JP3543737B2 - 板状部品用メッキシステム - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、板状部品用メッキシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、板状(短冊状)の部品、例えば人体検知用センサ等の部品を電解メッキでメタライズする場合、被メッキ材である部品を針金に引っ掛ける治具を用い、部品を1個、1個装着し、また外していた。これらに対応する従来のメッキ装置としては、特開平3−2777796号や実開平7−6268号などある。
【0003】
ところで上記のような従来の治具では、被メッキ材である部品を治具に装着する作業及び治具からの取り外し作業の能率が悪く、そのため生産性が悪いという問題があった。
【0004】
そこで本発明者らは、生産性を向上させるために、図9に示す板状部品用の治具本体1を製作した。図示する治具本体1は箱状のPVCの樹脂成形品であって、上、下面が開口し、両側壁には上下方向が長手の長孔2を複数、両端方向に並行穿設してあり、図10に示すメッキ浴槽3内の電解メッキ液に浸漬した際に電解メッキ液が治具本体1内に速やかに入り、内部に装着された被メッキ用板状部品4を確実に浸漬できるようになっている。また隣接する長孔2、2間の治具本体1の両側壁の内側面には図11に示すように上下方向の溝5を形成してある。
【0005】
これらの溝5は下端が閉塞され、上端が開口し、対向するもの同士が対を為している。対向する対の溝5、5は、被メッキ用板状部品4を治具本体1内に収納する際及び取り出す際のガイド及び装着時の保持する手段となるもので、被メッキ用板状部品4を治具本体1内に装着するに当たっては被メッキ用板状部品4の両端部を対向する対の溝5、5の上端開口からスライド挿入して治具本体1内に落とし込むことにより、板面が底部に対して垂直面となり且つ各被メッキ用板状部品4の板面が並行するように収納装着するようになっている。この際溝5の下端閉塞部に溝5内の被メッキ用板状部品4の側端下部が当たって、安定よく保持される。メッキ処理が終了して被メッキ用板状部品4を治具本体1より取り外す場合には被メッキ用板状部品4の上端を手等で持って上方へ引き上げれば良い。
【0006】
かようにして治具本体1の溝5、5により被メッキ用板状部品4の装着及び取り外しが極めて簡単に行なえ、作業効率の向上が図れるのである。結果メッキ工程の生産性を高めることが可能となる。
【0007】
また被メッキ用板状部品4を装着したメッキ用治具本体1を用いて、電解メッキを行なう場合に、図12に示すように略Z字状に折り曲げられた板ばねからなる陰極電極6を複数装着した導電性支持体7の両端に露出した接触電極部7aを、図10に示す治具本体1の両端に設けた吊り下げ片8の切欠孔9に嵌め、その導電性支持体7の両端の接触電極部7aをメッキ浴槽3の両端の壁に設けた凹部からなる支持部10に載置することにより、導電性支持体7で治具本体1をメッキ浴槽3内に懸架装着する。同時に支持部10の底部に設けた電極11に導電性支持体7の両端の接触電極部7aが電気的に接続される。
【0008】
導電性支持体7は金属性の棒体からなり、治具本体1内の各被メッキ用板状部品4の装着位置に対応する各位置に板ばねをく字状に折り曲げて形成した陰極電極6を電気的、機械的に溶接等で夫々固定することで一体的に連結して、陰極電極6とで給電装置30を構成している。
【0009】
そして給電装置30を使用してメッキ処理を行う場合、まず給電装置30の導電性支持体7を支持部10上に載置して治具本体1をメッキ浴槽3内に懸架すると、支持体7の各陰極電極6の下端面が被メッキ用板状部品4の上端部に接して被メッキ用板状部品4と電気的に接続される。そしてメッキ用電源装置(図示せず)からの陽極の電源線をメッキ槽3内に設けた陽極電極に対して接続する。
【0010】
同様にして陰極の電源線(図示せず)を電極11に接続して、電極11,導電性支持体7、陰極電極6を通じて被メッキ用板状部品4にメッキ用電源装置の陰極を接続する。
【0011】
このようにして治具本体1の取付けを終了した後、メッキ槽3に電解メッキ液を入れてメッキ用電源装置(図示せず)をオンすれば電解メッキが行なえるのである。
【0012】
尚導電性支持体7及び陰極電極6を構成する板ばねは電気的接触を必要とする部位(導電性支持体7では両端の接触電極部7a、板ばねでは被メッキ用板状部品4に接触する先端部位)以外には絶縁コーティング12で被覆してある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、治具本体1内の被メッキ用板状部品4の上端面に弾接させる給電装置30の陰極電極6は、図12に示すように単に板ばねを略Z字状に折り曲げたものであるため、板状メッキ部品4の上端面に対する押さえ力が弱く、しかも曲げ加工の加工精度による押さえ力のばらつきが大きいと言う問題があり、給電の信頼性がやや低いという問題があった。
【0014】
ろころでメッキ処理の終了後、メッキ浴槽3より治具本体1を取り出し、この治具本体1毎、板状部品4を乾燥させる処理が為されるのであるが、従来では遠心力を利用する遠心乾燥や、クリーン熱風を吹き付ける熱風乾燥、或いはエアノズルにより空気を吹き付けて乾燥させる方法が用いられているが、遠心乾燥では遠心力発生装置の遠心軸の摩耗粉などの影響があるため、クリーン乾燥には適さないという問題があった。また治具本体1その外部から熱風を吹き付ける乾燥では、板状部品4の表面に付着した水分を完全に乾燥させるのに要する時間が長くなるという問題があった。
【0015】
更に治具本体1の外側からのエアノズルによる空気吹き付けでは、治具本体1の外側に付着した水分を吹き飛ばすことができるが、隙間や穴が存在したり凹み形状の被メッキ用板状部品の水分を乾燥させるのには効率が非常に悪いという問題があった。図13はボックス20内に被メッキ用板状部品4を装着したままの治具本体1を収納し、ボックス20内に配設してあるエアノズル21…により治具本体1の周囲の4方向から高圧の乾燥空気を吹き付ける乾燥装置を示しているが、この装置では治具本体1の水滴などを除去できるものの、隙間や穴が存在したり凹み形状の被メッキ用板状部品4を効率良く乾燥させることができないという問題がある。
【0016】
本発明は、上記の問題点に鑑みて為されたもので、その目的とするところは、治具本体に収納した被メッキ用板状部品に対する陰極電極の接触を、陰極電極の加工精度の影響を受けることなく、確実なものとして、被メッキ用板状部品に対する給電が確実に行える板状部品用メッキシステムを提供することにある。
【0017】
併せて、治具本体内に装着したままで被メッキ用板状部品を確実に乾燥させることができる板状部品用メッキシステムを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記に目的を達成するために、請求項1の発明では、被メッキ用板状部品を板面が底部に対して垂直面となるように収納配置する配置部位を所定間隔で複数設けた箱状の治具本体をメッキ浴槽内に入れて板状部品のメッキを行う板状部品用メッキシステムにおいて、該治具本体の上部に配置され、各配置部位に収納配置された被メッキ用板状部品の上端面に一端を弾性的に接触させる陰極電極を各配置部位に対応させて複数設けた導電体からなる給電装置を備えたものであって、各陰極電極を、一端を導電体に一体的に連結し、他端を被メッキ用板状部品に弾接させるコイルばねにより構成したことを特徴とする。
【0019】
請求項2の発明では、被メッキ用板状部品を板面が底部に対して垂直面となるように収納配置する配置部位を所定間隔で複数設けた箱状の治具本体をメッキ浴槽内に入れて板状部品のメッキを行う板状部品用メッキシステムにおいて、該治具本体の上部に配置され、各配置部位に収納配置された被メッキ用板状部品の上端面に弾性的に接触させる陰極電極を各配置部位に対応させて複数設けた導電体からなる給電装置を備えたものであって、各陰極電極を、略S字状に湾曲させて上端を導電体に一体的に連結し、下部の下向き曲面を被メッキ用板状部品の上端面に弾接させる板ばね体により構成したことを特徴とする。
【0020】
請求項3の発明では、被メッキ用板状部品を板面が底部に対して垂直面となるように収納配置する配置部位を所定間隔で複数設けた箱状の治具本体をメッキ浴槽内に入れて板状部品のメッキを行う板状部品用メッキシステムにおいて、該治具本体の上部に配置され、各配置部位に収納配置された被メッキ用板状部品の上端面に弾性的に接触させる陰極電極を各配置部位に対応させて複数設けた導電体からなる給電装置を備えたものであって、各陰極電極を、上下方向に弾発するように折り曲げた両側片の上端を導電体に一体的に連結し、両側片の下端間を連結する連結片を、被メッキ用板状部品の上端面に弾接させる部位を複数備えるように折り曲げ形成した板ばね体により構成したことを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下本発明を実施形態により説明する。
【0026】
(実施形態1)
図1は本実施形態を示しており、治具本体1は箱状のPVCの樹脂成形品からなるもので、従来例の治具本体1と同じ構造のものであり、上、下面が開口し、両側壁に上下方向が長手の長孔2を両端方向に並行穿設してあり、メッキ浴槽内の電解メッキ液に浸漬した際に電解メッキ液が治具本体1内に速やかに入り、内部に装着された被メッキ用板状部品4を確実に浸漬できるようになっている。また隣接する長孔2を上下方向に穿設してある治具本体1の各側壁部位の内側面には、従来例と同様な上下方向の溝5(図11参照)を形成してある。
【0027】
このように上下方向の長孔2の長手方向に対応するようにして、治具本体1の両側壁に対向形成した溝5が被メッキ用板状部品4を治具本体1内に収納する際及び取り出す際のガイド及び装着時の保持する手段となるもので、これら手段の位置が、被メッキ用板状部品4の配置部位となる。この配置部位は、治具本体1の長手方向に所定間隔で複数設けてある。
【0028】
また隣接する被メッキ用板状部品4の配置部位間の底部には後述する乾燥装置のエアノズル13(図6参照)を底部下方から内部へ挿入可能な開口14(図6、図11参照)を設けている。
【0029】
各配置部位に被メッキ用板状部品4を収納配置するに当たっては被メッキ用板状部品4の両側端を最上部の対向する対の溝5の上端開口からスライド挿入して治具本体1内に落とし込むことにより行う。ここで同一配置部位に上下方向に複数の被メッキ用板状部品4を積み重ねて収納配置するようになっており、この際上下の被メッキ用板状部品4、4同士は端面接触により電気的に接続される。
【0030】
ここで本実施形態では、所定寸法の被メッキ用板状部品4を4枚上下方向に積み重ねて配置できるようになっているが、被メッキ用板状部品4の寸法の関係や、メッキすべき被メッキ用板状部品4の必要枚数により4枚に限定されるものではなく、必要メッキ数によっては1枚の被メッキ用板状部品4を収納配置しても良い。
【0031】
治具本体1の長手方向の両端に形成せる吊り下げ片8、8は基部付近に切欠孔9を形成してあって、この切欠孔9には、コイルばねからなる陰極電極15を、治具本体1内の各配置部位の間隔に対応した数だけ並設した棒状の導電体からなる導電性支持体16の両端部を嵌めるようになっている。この導電性支持体16と陰極電極15とにより給電装置30が構成される。
【0032】
コイルばねからなる各陰極電極15は上端が導電性支持体16の中間部に設けた平板部16bの下面に溶接などにより固着されて図2に示すように吊り下げられた形となり、対応する配置部位に収納配置された被メッキ用板状部品4中、最上部の被メッキ用板状部品4の上端に下端を弾接して当該被メッキ用板状部品4を図1に示すように電気的に接続するようになっている。導電性支持体16の両端部の上面に一体に設けた板状部は治具本体1を持ち運ぶ際の把持部16cを構成する。尚上記平板部16a、把持部16cを含む両端の接触電極部16aまでは絶縁コーティング12が施されている。
【0033】
而してコイルばねからなる陰極電極15による給電装置30を取り付けた治具本体1を図に示すメッキ浴槽3に配置して電気メッキを行う場合には、導電性支持体16の両端の接触電極部16aを夫々に対応してメッキ浴槽3の側壁に設けた凹部10に載置することにより、治具本体1をメッキ浴槽3内に懸架配置するのである。
【0034】
そして従来例と同様に凹部10内に設けた電極11に導電性支持体16の接触電極部16aが接触し、その結果該電極11に接続されているメッキ用電源装置(図示せず)の陰極が、導電性支持体16と各陰極電極15を介して被メッキ用板状部品4に電気的に接続されることになる。
【0035】
ここで本実施形態ではコイルばねからなる陰極電極15を導電性支持体16より吊り下げる形で用いるため、縦方向の弾力が大きくて加工精度の影響を吸収することができ、またコイルばねからなる陰極電極15の下端で被メッキ用板状部品4の上面を押さえるため、2点接触による給電及び被メッキ用板状部品4の真上から垂直給電できるため接触信頼性の向上が図れる。コイルばねを用いるため市販品のコイルばねを加工して利用することが可能となり、給電装置30の製作も容易でコストも安価となり、しかも高精度の加工が可能となる。
【0036】
(実施形態2)
上記実施形態1ではコイルばねからなる陰極電極15を用いた給電装置30を使用しているが、本実施形態では図3に示すように略S字状に曲げ形成した板ばねからなる陰極電極17を用いて給電装置30を構成している。ここで導電性支持体16は両端部の把持部16c、16cの間に陰極電極17を支持する太径部位16dを設け、この部位16dに各陰極電極17の一端を溶接等で固定することで一体連設している。そして導電性支持体16の両端の接触電極部16a,16a及び陰極電極17の被メッキ用板状部品4と接触させる他端部17aを除いて絶縁コーティング12を施してある。
【0037】
以上のように構成した給電装置30を治具本体1に装着して電気メッキを行う手順、方法は実施形態1と同じであるので説明を省略する。
【0038】
而して本実施形態における給電装置30の陰極電極17はS字状に曲げた板ばねで構成してあるため、従来例の板ばねよりなる陰極電極を用いた場合に比べて縦方向への弾力が大きく、加工精度の影響が少ない。従って、接触信頼性も高くなり、給電も確実に行える。
【0039】
(実施形態3)
上記実施形態1ではコイルばねからなる陰極電極15を、また実施形態2ではS字状に曲げ加工した板ばねからなる陰極電極17を用いた給電装置30を使用しているが、本実施形態では、図4に示すように上下方向に弾発するように外方向に突出するように略く字状に折り曲げた両側片18a、18aの上端を導電性支持体16の太径部位16dに溶接固定し、両側片18a,18aの下端間を連結する連結片18bを中央が上方に突出するようにM字状に屈曲させて両端に被メッキ用板状部品4の上端面に弾接する接触部18cを夫々形成した板ばねよりなる陰極電極18を用いて構成した給電装置30を用いている。
【0040】
そして導電性支持体16の両端の接触電極部16a,16a、陰極電極18の被メッキ用板状部品4と接触させる接触部18c、両側片18a,18aを除いて絶縁コーティング12を施してある。
【0041】
以上のように構成した給電装置30を治具本体1に装着して電気メッキを行う手順、方法は実施形態1と同じであるので説明を省略する。
【0042】
而して本実施形態における給電装置30の陰極電極18はS字状に曲げた板ばねで構成してあるため、従来例の板ばねよりなる陰極電極を用いた場合に比べて縦方向への弾力が大きく、加工精度の影響がすくない。しかも2カ所の接触部18c、18cにより被メッキ用板状部品4の上端面を押さえるので、接触信頼性も高くなり、給電が確実に行える。
次にメッキ処理後の被メッキ用板状部品の乾燥処理に用いる乾燥装置の例について説明する。
【0043】
本発明における被メッキ用板状部品用のメッキシステムは上述した給電装置30を用いて電気メッキを行った後、治具本体1及び給電装置30をメッキ浴槽3より取り出して水洗した後乾燥処理を行うのであるが、乾燥処理工程では、治具本体1から給電装置30を取り外し、被メッキ用板状部品4を装着したまま図5に示すように乾燥装置のボックス20内に上面開口部20aより納めるのである。
【0044】
このボックス20の底部には治具本体1の底部の各開口14…より治具本体1内に挿入される扁平な柱状のエアノズル13が所定間隔で立設されており、治具本体1をボックス20の底部に載置すると、治具本体1内に各エアノズル13が挿入され、図6に示すように隣接する被メッキ用板状部品4の配置部位間に介在することになる。
【0045】
エアノズル13は図7に示すように被メッキ用板状部品4と対向する両側面に、エア吹き出し口19…を幅方向に複数開口した列を高さ方向に一定間隔で複数列設けてある。そして一側面側の各列の高さ位置に対して他側面側の各列の高さを図6、図8に示すように千鳥となるように設定している。
【0046】
そしてエアノズル13の内部構造は、一側面側のエア吹き出し口19…に空気を供給する供給路23と、他側面側のエア吹き出し口19…に空気を供給する供給路24とを分離しており、夫々に独立的に空気を供給できるようになっている。
【0047】
この供給路23,24に供給する空気としては被メッキ用板状部品4の表面に付着した水を除去するためのクリーンな高圧空気と、熱風乾燥用のクリーンな熱風とをエアコンプレッサ(図示せず))及び熱風発生器(図示せず)により供給できるようなっている。
【0048】
また各供給路23,24への供給はシーケンサ(図示せず)、電磁弁(図示せず)を利用して交互に切り替えて吹き出しタイミングをずらすしている。
【0049】
更にまた本例では収納した治具本体1の上部周囲から治具本体1の表面に付着した水分を吹き飛ばすためのクリーンな高圧空気を斜め下向きに吹き付けるためのエアノズル21を配設してある。
【0050】
而して治具本体1をボックス20内に配置して乾燥処理を開始すると、シーケンサ(図示せず)の制御の下で、まずエアノズル13,21からクリーンな高圧空気を同時に吹き出させ、エアノズル21からの高圧空気により治具本体1の外側に付いた水分を吹き飛ばし、同時に内部ではエアノズル13からの高圧空気で被メッキ用板状部品4の表面についた水分を吹き飛ばすのである。ここで内部のエアノズル13から高圧空気を吹き出す面が片面ずつ交互に切り替えられるため、空気吹き出し口19…の千鳥配置と合わせて、両面側において吹き飛ばした水分が再付着せず、また吹き出された空気が干渉せず、効率良く水分除去ができることになる。
【0051】
このようにして治具本体1の外側及び被メッキ用板状部品4の表面に付着した水分を高圧空気の吹き付けにより吹き飛ばして除去した後、これら高圧空気の供給を停止させ、熱風による乾燥を行う。この場合も、治具本体1内部のエアノズル13から片面ずつ交互に熱風を吹き出させる。
【0052】
このように本例の乾燥装置では、被メッキ用板状部品4を装着したままの治具本体1をボックス20内に収納した状態で、水分を吹き飛ばす一次乾燥と、熱風による二次乾燥とを連続的に行えるため、効率のよい乾燥処理が行える。
【0053】
【発明の効果】
請求項1の発明は、被メッキ用板状部品を板面が底部に対して垂直面となるように収納配置する配置部位を所定間隔で複数設けた箱状の治具本体をメッキ浴槽内に入れて板状部品のメッキを行う板状部品用メッキシステムにおいて、該治具本体の上部に配置され、各配置部位に収納配置された被メッキ用板状部品の上端面に一端を弾性的に接触させる陰極電極を各配置部位に対応させて複数設けた導電体からなる給電装置を備えたものであって、各陰極電極を、一端を導電体に一体的に連結し、他端を被メッキ用板状部品に弾接させるコイルばねにより構成したので、陰極電極の縦方向の弾力が大きくて加工精度の影響を吸収することができ、またコイルばねからなる陰極電極の他端で被メッキ用板状部品部品の上面を押さえるため、2点接触による給電が可能となり、また被メッキ用板状部品部品の真上から垂直給電できるため接触信頼性が高くなって、給電も確実に行え、またコイルばねを用いるため市販品のコイルばねを加工して利用することが可能となり、結果給電装置の製作も容易な上にコストも安価で、しかも高精度の加工ができるという効果がある。
【0054】
請求項2の発明は、被メッキ用板状部品を板面が底部に対して垂直面となるように収納配置する配置部位を所定間隔で複数設けた箱状の治具本体をメッキ浴槽内に入れて板状部品のメッキを行う板状部品用メッキシステムにおいて、該治具本体の上部に配置され、各配置部位に収納配置された被メッキ用板状部品の上端面に弾性的に接触させる陰極電極を各配置部位に対応させて複数設けた導電体からなる給電装置を備えたものであって、各陰極電極を、略S字状に湾曲させて上端を導電体に一体的に連結し、下部の下向き曲面を被メッキ用板状部品の上端面に弾接させる板ばね体により構成したので、陰極電極の縦方向の弾力が大きくなって、加工精度の影響が少なく、結果接触信頼性も高くなって、給電も確実に行えるという効果がある。
【0055】
請求項3の発明は、被メッキ用板状部品を板面が底部に対して垂直面となるように収納配置する配置部位を所定間隔で複数設けた箱状の治具本体をメッキ浴槽内に入れて板状部品のメッキを行う板状部品用メッキシステムにおいて、該治具本体の上部に配置され、各配置部位に収納配置された被メッキ用板状部品の上端面に弾性的に接触させる陰極電極を各配置部位に対応させて複数設けた導電体からなる給電装置を備えたものであって、各陰極電極を、上下方向に弾発するように折り曲げた両側片の上端を導電体に一体的に連結し、両側片の下端間を連結する連結片を、被メッキ用板状部品の上端面に弾接させる部位を複数備えるように折り曲げ形成した板ばね体により構成したので、陰極電極の縦方向の弾力が大きくなって、加工精度の影響が少なくしかも複数箇所で被メッキ用板状部品を押さえられるので、接触信頼性も高くなり、給電が確実に行えるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に用いる給電装置を取り付けた状態の治具本体の斜視図である。
【図2】同上に用いる給電装置の斜視図である。
【図3】本発明の実施形態2に用いる給電装置の斜視図である。
【図4】本発明の実施形態3に用いる給電装置の斜視図である。
【図5】本発明に用いる乾燥装置の一部破断且つ省略せる斜視図である。
【図6】同上の要部の一部省略せる断面図である。
【図7】同上のエアノズルの斜視図である。
【図8】同上に用いるエアノズルの一部省略せる拡大断面図である。
【図9】被メッキ用板状部品用のメッキシステムに用いる治具本体の斜視図である。
【図10】電気メッキに用いるメッキ浴槽の一部省略せる斜視図である。
【図11】治具本体の一部省略せる断面図である。
【図12】従来の給電装置の斜視図である。
【図13】乾燥装置の一例の一部破断且つ省略せる斜視図である。
【符号の説明】
1 治具本体
2 長孔
4 被メッキ用板状部品
8 吊り下げ片
9 切欠孔
12 絶縁コーティング
15 陰極電極
16 導電性支持体
【発明の属する技術分野】
本発明は、板状部品用メッキシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、板状(短冊状)の部品、例えば人体検知用センサ等の部品を電解メッキでメタライズする場合、被メッキ材である部品を針金に引っ掛ける治具を用い、部品を1個、1個装着し、また外していた。これらに対応する従来のメッキ装置としては、特開平3−2777796号や実開平7−6268号などある。
【0003】
ところで上記のような従来の治具では、被メッキ材である部品を治具に装着する作業及び治具からの取り外し作業の能率が悪く、そのため生産性が悪いという問題があった。
【0004】
そこで本発明者らは、生産性を向上させるために、図9に示す板状部品用の治具本体1を製作した。図示する治具本体1は箱状のPVCの樹脂成形品であって、上、下面が開口し、両側壁には上下方向が長手の長孔2を複数、両端方向に並行穿設してあり、図10に示すメッキ浴槽3内の電解メッキ液に浸漬した際に電解メッキ液が治具本体1内に速やかに入り、内部に装着された被メッキ用板状部品4を確実に浸漬できるようになっている。また隣接する長孔2、2間の治具本体1の両側壁の内側面には図11に示すように上下方向の溝5を形成してある。
【0005】
これらの溝5は下端が閉塞され、上端が開口し、対向するもの同士が対を為している。対向する対の溝5、5は、被メッキ用板状部品4を治具本体1内に収納する際及び取り出す際のガイド及び装着時の保持する手段となるもので、被メッキ用板状部品4を治具本体1内に装着するに当たっては被メッキ用板状部品4の両端部を対向する対の溝5、5の上端開口からスライド挿入して治具本体1内に落とし込むことにより、板面が底部に対して垂直面となり且つ各被メッキ用板状部品4の板面が並行するように収納装着するようになっている。この際溝5の下端閉塞部に溝5内の被メッキ用板状部品4の側端下部が当たって、安定よく保持される。メッキ処理が終了して被メッキ用板状部品4を治具本体1より取り外す場合には被メッキ用板状部品4の上端を手等で持って上方へ引き上げれば良い。
【0006】
かようにして治具本体1の溝5、5により被メッキ用板状部品4の装着及び取り外しが極めて簡単に行なえ、作業効率の向上が図れるのである。結果メッキ工程の生産性を高めることが可能となる。
【0007】
また被メッキ用板状部品4を装着したメッキ用治具本体1を用いて、電解メッキを行なう場合に、図12に示すように略Z字状に折り曲げられた板ばねからなる陰極電極6を複数装着した導電性支持体7の両端に露出した接触電極部7aを、図10に示す治具本体1の両端に設けた吊り下げ片8の切欠孔9に嵌め、その導電性支持体7の両端の接触電極部7aをメッキ浴槽3の両端の壁に設けた凹部からなる支持部10に載置することにより、導電性支持体7で治具本体1をメッキ浴槽3内に懸架装着する。同時に支持部10の底部に設けた電極11に導電性支持体7の両端の接触電極部7aが電気的に接続される。
【0008】
導電性支持体7は金属性の棒体からなり、治具本体1内の各被メッキ用板状部品4の装着位置に対応する各位置に板ばねをく字状に折り曲げて形成した陰極電極6を電気的、機械的に溶接等で夫々固定することで一体的に連結して、陰極電極6とで給電装置30を構成している。
【0009】
そして給電装置30を使用してメッキ処理を行う場合、まず給電装置30の導電性支持体7を支持部10上に載置して治具本体1をメッキ浴槽3内に懸架すると、支持体7の各陰極電極6の下端面が被メッキ用板状部品4の上端部に接して被メッキ用板状部品4と電気的に接続される。そしてメッキ用電源装置(図示せず)からの陽極の電源線をメッキ槽3内に設けた陽極電極に対して接続する。
【0010】
同様にして陰極の電源線(図示せず)を電極11に接続して、電極11,導電性支持体7、陰極電極6を通じて被メッキ用板状部品4にメッキ用電源装置の陰極を接続する。
【0011】
このようにして治具本体1の取付けを終了した後、メッキ槽3に電解メッキ液を入れてメッキ用電源装置(図示せず)をオンすれば電解メッキが行なえるのである。
【0012】
尚導電性支持体7及び陰極電極6を構成する板ばねは電気的接触を必要とする部位(導電性支持体7では両端の接触電極部7a、板ばねでは被メッキ用板状部品4に接触する先端部位)以外には絶縁コーティング12で被覆してある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、治具本体1内の被メッキ用板状部品4の上端面に弾接させる給電装置30の陰極電極6は、図12に示すように単に板ばねを略Z字状に折り曲げたものであるため、板状メッキ部品4の上端面に対する押さえ力が弱く、しかも曲げ加工の加工精度による押さえ力のばらつきが大きいと言う問題があり、給電の信頼性がやや低いという問題があった。
【0014】
ろころでメッキ処理の終了後、メッキ浴槽3より治具本体1を取り出し、この治具本体1毎、板状部品4を乾燥させる処理が為されるのであるが、従来では遠心力を利用する遠心乾燥や、クリーン熱風を吹き付ける熱風乾燥、或いはエアノズルにより空気を吹き付けて乾燥させる方法が用いられているが、遠心乾燥では遠心力発生装置の遠心軸の摩耗粉などの影響があるため、クリーン乾燥には適さないという問題があった。また治具本体1その外部から熱風を吹き付ける乾燥では、板状部品4の表面に付着した水分を完全に乾燥させるのに要する時間が長くなるという問題があった。
【0015】
更に治具本体1の外側からのエアノズルによる空気吹き付けでは、治具本体1の外側に付着した水分を吹き飛ばすことができるが、隙間や穴が存在したり凹み形状の被メッキ用板状部品の水分を乾燥させるのには効率が非常に悪いという問題があった。図13はボックス20内に被メッキ用板状部品4を装着したままの治具本体1を収納し、ボックス20内に配設してあるエアノズル21…により治具本体1の周囲の4方向から高圧の乾燥空気を吹き付ける乾燥装置を示しているが、この装置では治具本体1の水滴などを除去できるものの、隙間や穴が存在したり凹み形状の被メッキ用板状部品4を効率良く乾燥させることができないという問題がある。
【0016】
本発明は、上記の問題点に鑑みて為されたもので、その目的とするところは、治具本体に収納した被メッキ用板状部品に対する陰極電極の接触を、陰極電極の加工精度の影響を受けることなく、確実なものとして、被メッキ用板状部品に対する給電が確実に行える板状部品用メッキシステムを提供することにある。
【0017】
併せて、治具本体内に装着したままで被メッキ用板状部品を確実に乾燥させることができる板状部品用メッキシステムを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記に目的を達成するために、請求項1の発明では、被メッキ用板状部品を板面が底部に対して垂直面となるように収納配置する配置部位を所定間隔で複数設けた箱状の治具本体をメッキ浴槽内に入れて板状部品のメッキを行う板状部品用メッキシステムにおいて、該治具本体の上部に配置され、各配置部位に収納配置された被メッキ用板状部品の上端面に一端を弾性的に接触させる陰極電極を各配置部位に対応させて複数設けた導電体からなる給電装置を備えたものであって、各陰極電極を、一端を導電体に一体的に連結し、他端を被メッキ用板状部品に弾接させるコイルばねにより構成したことを特徴とする。
【0019】
請求項2の発明では、被メッキ用板状部品を板面が底部に対して垂直面となるように収納配置する配置部位を所定間隔で複数設けた箱状の治具本体をメッキ浴槽内に入れて板状部品のメッキを行う板状部品用メッキシステムにおいて、該治具本体の上部に配置され、各配置部位に収納配置された被メッキ用板状部品の上端面に弾性的に接触させる陰極電極を各配置部位に対応させて複数設けた導電体からなる給電装置を備えたものであって、各陰極電極を、略S字状に湾曲させて上端を導電体に一体的に連結し、下部の下向き曲面を被メッキ用板状部品の上端面に弾接させる板ばね体により構成したことを特徴とする。
【0020】
請求項3の発明では、被メッキ用板状部品を板面が底部に対して垂直面となるように収納配置する配置部位を所定間隔で複数設けた箱状の治具本体をメッキ浴槽内に入れて板状部品のメッキを行う板状部品用メッキシステムにおいて、該治具本体の上部に配置され、各配置部位に収納配置された被メッキ用板状部品の上端面に弾性的に接触させる陰極電極を各配置部位に対応させて複数設けた導電体からなる給電装置を備えたものであって、各陰極電極を、上下方向に弾発するように折り曲げた両側片の上端を導電体に一体的に連結し、両側片の下端間を連結する連結片を、被メッキ用板状部品の上端面に弾接させる部位を複数備えるように折り曲げ形成した板ばね体により構成したことを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下本発明を実施形態により説明する。
【0026】
(実施形態1)
図1は本実施形態を示しており、治具本体1は箱状のPVCの樹脂成形品からなるもので、従来例の治具本体1と同じ構造のものであり、上、下面が開口し、両側壁に上下方向が長手の長孔2を両端方向に並行穿設してあり、メッキ浴槽内の電解メッキ液に浸漬した際に電解メッキ液が治具本体1内に速やかに入り、内部に装着された被メッキ用板状部品4を確実に浸漬できるようになっている。また隣接する長孔2を上下方向に穿設してある治具本体1の各側壁部位の内側面には、従来例と同様な上下方向の溝5(図11参照)を形成してある。
【0027】
このように上下方向の長孔2の長手方向に対応するようにして、治具本体1の両側壁に対向形成した溝5が被メッキ用板状部品4を治具本体1内に収納する際及び取り出す際のガイド及び装着時の保持する手段となるもので、これら手段の位置が、被メッキ用板状部品4の配置部位となる。この配置部位は、治具本体1の長手方向に所定間隔で複数設けてある。
【0028】
また隣接する被メッキ用板状部品4の配置部位間の底部には後述する乾燥装置のエアノズル13(図6参照)を底部下方から内部へ挿入可能な開口14(図6、図11参照)を設けている。
【0029】
各配置部位に被メッキ用板状部品4を収納配置するに当たっては被メッキ用板状部品4の両側端を最上部の対向する対の溝5の上端開口からスライド挿入して治具本体1内に落とし込むことにより行う。ここで同一配置部位に上下方向に複数の被メッキ用板状部品4を積み重ねて収納配置するようになっており、この際上下の被メッキ用板状部品4、4同士は端面接触により電気的に接続される。
【0030】
ここで本実施形態では、所定寸法の被メッキ用板状部品4を4枚上下方向に積み重ねて配置できるようになっているが、被メッキ用板状部品4の寸法の関係や、メッキすべき被メッキ用板状部品4の必要枚数により4枚に限定されるものではなく、必要メッキ数によっては1枚の被メッキ用板状部品4を収納配置しても良い。
【0031】
治具本体1の長手方向の両端に形成せる吊り下げ片8、8は基部付近に切欠孔9を形成してあって、この切欠孔9には、コイルばねからなる陰極電極15を、治具本体1内の各配置部位の間隔に対応した数だけ並設した棒状の導電体からなる導電性支持体16の両端部を嵌めるようになっている。この導電性支持体16と陰極電極15とにより給電装置30が構成される。
【0032】
コイルばねからなる各陰極電極15は上端が導電性支持体16の中間部に設けた平板部16bの下面に溶接などにより固着されて図2に示すように吊り下げられた形となり、対応する配置部位に収納配置された被メッキ用板状部品4中、最上部の被メッキ用板状部品4の上端に下端を弾接して当該被メッキ用板状部品4を図1に示すように電気的に接続するようになっている。導電性支持体16の両端部の上面に一体に設けた板状部は治具本体1を持ち運ぶ際の把持部16cを構成する。尚上記平板部16a、把持部16cを含む両端の接触電極部16aまでは絶縁コーティング12が施されている。
【0033】
而してコイルばねからなる陰極電極15による給電装置30を取り付けた治具本体1を図に示すメッキ浴槽3に配置して電気メッキを行う場合には、導電性支持体16の両端の接触電極部16aを夫々に対応してメッキ浴槽3の側壁に設けた凹部10に載置することにより、治具本体1をメッキ浴槽3内に懸架配置するのである。
【0034】
そして従来例と同様に凹部10内に設けた電極11に導電性支持体16の接触電極部16aが接触し、その結果該電極11に接続されているメッキ用電源装置(図示せず)の陰極が、導電性支持体16と各陰極電極15を介して被メッキ用板状部品4に電気的に接続されることになる。
【0035】
ここで本実施形態ではコイルばねからなる陰極電極15を導電性支持体16より吊り下げる形で用いるため、縦方向の弾力が大きくて加工精度の影響を吸収することができ、またコイルばねからなる陰極電極15の下端で被メッキ用板状部品4の上面を押さえるため、2点接触による給電及び被メッキ用板状部品4の真上から垂直給電できるため接触信頼性の向上が図れる。コイルばねを用いるため市販品のコイルばねを加工して利用することが可能となり、給電装置30の製作も容易でコストも安価となり、しかも高精度の加工が可能となる。
【0036】
(実施形態2)
上記実施形態1ではコイルばねからなる陰極電極15を用いた給電装置30を使用しているが、本実施形態では図3に示すように略S字状に曲げ形成した板ばねからなる陰極電極17を用いて給電装置30を構成している。ここで導電性支持体16は両端部の把持部16c、16cの間に陰極電極17を支持する太径部位16dを設け、この部位16dに各陰極電極17の一端を溶接等で固定することで一体連設している。そして導電性支持体16の両端の接触電極部16a,16a及び陰極電極17の被メッキ用板状部品4と接触させる他端部17aを除いて絶縁コーティング12を施してある。
【0037】
以上のように構成した給電装置30を治具本体1に装着して電気メッキを行う手順、方法は実施形態1と同じであるので説明を省略する。
【0038】
而して本実施形態における給電装置30の陰極電極17はS字状に曲げた板ばねで構成してあるため、従来例の板ばねよりなる陰極電極を用いた場合に比べて縦方向への弾力が大きく、加工精度の影響が少ない。従って、接触信頼性も高くなり、給電も確実に行える。
【0039】
(実施形態3)
上記実施形態1ではコイルばねからなる陰極電極15を、また実施形態2ではS字状に曲げ加工した板ばねからなる陰極電極17を用いた給電装置30を使用しているが、本実施形態では、図4に示すように上下方向に弾発するように外方向に突出するように略く字状に折り曲げた両側片18a、18aの上端を導電性支持体16の太径部位16dに溶接固定し、両側片18a,18aの下端間を連結する連結片18bを中央が上方に突出するようにM字状に屈曲させて両端に被メッキ用板状部品4の上端面に弾接する接触部18cを夫々形成した板ばねよりなる陰極電極18を用いて構成した給電装置30を用いている。
【0040】
そして導電性支持体16の両端の接触電極部16a,16a、陰極電極18の被メッキ用板状部品4と接触させる接触部18c、両側片18a,18aを除いて絶縁コーティング12を施してある。
【0041】
以上のように構成した給電装置30を治具本体1に装着して電気メッキを行う手順、方法は実施形態1と同じであるので説明を省略する。
【0042】
而して本実施形態における給電装置30の陰極電極18はS字状に曲げた板ばねで構成してあるため、従来例の板ばねよりなる陰極電極を用いた場合に比べて縦方向への弾力が大きく、加工精度の影響がすくない。しかも2カ所の接触部18c、18cにより被メッキ用板状部品4の上端面を押さえるので、接触信頼性も高くなり、給電が確実に行える。
次にメッキ処理後の被メッキ用板状部品の乾燥処理に用いる乾燥装置の例について説明する。
【0043】
本発明における被メッキ用板状部品用のメッキシステムは上述した給電装置30を用いて電気メッキを行った後、治具本体1及び給電装置30をメッキ浴槽3より取り出して水洗した後乾燥処理を行うのであるが、乾燥処理工程では、治具本体1から給電装置30を取り外し、被メッキ用板状部品4を装着したまま図5に示すように乾燥装置のボックス20内に上面開口部20aより納めるのである。
【0044】
このボックス20の底部には治具本体1の底部の各開口14…より治具本体1内に挿入される扁平な柱状のエアノズル13が所定間隔で立設されており、治具本体1をボックス20の底部に載置すると、治具本体1内に各エアノズル13が挿入され、図6に示すように隣接する被メッキ用板状部品4の配置部位間に介在することになる。
【0045】
エアノズル13は図7に示すように被メッキ用板状部品4と対向する両側面に、エア吹き出し口19…を幅方向に複数開口した列を高さ方向に一定間隔で複数列設けてある。そして一側面側の各列の高さ位置に対して他側面側の各列の高さを図6、図8に示すように千鳥となるように設定している。
【0046】
そしてエアノズル13の内部構造は、一側面側のエア吹き出し口19…に空気を供給する供給路23と、他側面側のエア吹き出し口19…に空気を供給する供給路24とを分離しており、夫々に独立的に空気を供給できるようになっている。
【0047】
この供給路23,24に供給する空気としては被メッキ用板状部品4の表面に付着した水を除去するためのクリーンな高圧空気と、熱風乾燥用のクリーンな熱風とをエアコンプレッサ(図示せず))及び熱風発生器(図示せず)により供給できるようなっている。
【0048】
また各供給路23,24への供給はシーケンサ(図示せず)、電磁弁(図示せず)を利用して交互に切り替えて吹き出しタイミングをずらすしている。
【0049】
更にまた本例では収納した治具本体1の上部周囲から治具本体1の表面に付着した水分を吹き飛ばすためのクリーンな高圧空気を斜め下向きに吹き付けるためのエアノズル21を配設してある。
【0050】
而して治具本体1をボックス20内に配置して乾燥処理を開始すると、シーケンサ(図示せず)の制御の下で、まずエアノズル13,21からクリーンな高圧空気を同時に吹き出させ、エアノズル21からの高圧空気により治具本体1の外側に付いた水分を吹き飛ばし、同時に内部ではエアノズル13からの高圧空気で被メッキ用板状部品4の表面についた水分を吹き飛ばすのである。ここで内部のエアノズル13から高圧空気を吹き出す面が片面ずつ交互に切り替えられるため、空気吹き出し口19…の千鳥配置と合わせて、両面側において吹き飛ばした水分が再付着せず、また吹き出された空気が干渉せず、効率良く水分除去ができることになる。
【0051】
このようにして治具本体1の外側及び被メッキ用板状部品4の表面に付着した水分を高圧空気の吹き付けにより吹き飛ばして除去した後、これら高圧空気の供給を停止させ、熱風による乾燥を行う。この場合も、治具本体1内部のエアノズル13から片面ずつ交互に熱風を吹き出させる。
【0052】
このように本例の乾燥装置では、被メッキ用板状部品4を装着したままの治具本体1をボックス20内に収納した状態で、水分を吹き飛ばす一次乾燥と、熱風による二次乾燥とを連続的に行えるため、効率のよい乾燥処理が行える。
【0053】
【発明の効果】
請求項1の発明は、被メッキ用板状部品を板面が底部に対して垂直面となるように収納配置する配置部位を所定間隔で複数設けた箱状の治具本体をメッキ浴槽内に入れて板状部品のメッキを行う板状部品用メッキシステムにおいて、該治具本体の上部に配置され、各配置部位に収納配置された被メッキ用板状部品の上端面に一端を弾性的に接触させる陰極電極を各配置部位に対応させて複数設けた導電体からなる給電装置を備えたものであって、各陰極電極を、一端を導電体に一体的に連結し、他端を被メッキ用板状部品に弾接させるコイルばねにより構成したので、陰極電極の縦方向の弾力が大きくて加工精度の影響を吸収することができ、またコイルばねからなる陰極電極の他端で被メッキ用板状部品部品の上面を押さえるため、2点接触による給電が可能となり、また被メッキ用板状部品部品の真上から垂直給電できるため接触信頼性が高くなって、給電も確実に行え、またコイルばねを用いるため市販品のコイルばねを加工して利用することが可能となり、結果給電装置の製作も容易な上にコストも安価で、しかも高精度の加工ができるという効果がある。
【0054】
請求項2の発明は、被メッキ用板状部品を板面が底部に対して垂直面となるように収納配置する配置部位を所定間隔で複数設けた箱状の治具本体をメッキ浴槽内に入れて板状部品のメッキを行う板状部品用メッキシステムにおいて、該治具本体の上部に配置され、各配置部位に収納配置された被メッキ用板状部品の上端面に弾性的に接触させる陰極電極を各配置部位に対応させて複数設けた導電体からなる給電装置を備えたものであって、各陰極電極を、略S字状に湾曲させて上端を導電体に一体的に連結し、下部の下向き曲面を被メッキ用板状部品の上端面に弾接させる板ばね体により構成したので、陰極電極の縦方向の弾力が大きくなって、加工精度の影響が少なく、結果接触信頼性も高くなって、給電も確実に行えるという効果がある。
【0055】
請求項3の発明は、被メッキ用板状部品を板面が底部に対して垂直面となるように収納配置する配置部位を所定間隔で複数設けた箱状の治具本体をメッキ浴槽内に入れて板状部品のメッキを行う板状部品用メッキシステムにおいて、該治具本体の上部に配置され、各配置部位に収納配置された被メッキ用板状部品の上端面に弾性的に接触させる陰極電極を各配置部位に対応させて複数設けた導電体からなる給電装置を備えたものであって、各陰極電極を、上下方向に弾発するように折り曲げた両側片の上端を導電体に一体的に連結し、両側片の下端間を連結する連結片を、被メッキ用板状部品の上端面に弾接させる部位を複数備えるように折り曲げ形成した板ばね体により構成したので、陰極電極の縦方向の弾力が大きくなって、加工精度の影響が少なくしかも複数箇所で被メッキ用板状部品を押さえられるので、接触信頼性も高くなり、給電が確実に行えるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に用いる給電装置を取り付けた状態の治具本体の斜視図である。
【図2】同上に用いる給電装置の斜視図である。
【図3】本発明の実施形態2に用いる給電装置の斜視図である。
【図4】本発明の実施形態3に用いる給電装置の斜視図である。
【図5】本発明に用いる乾燥装置の一部破断且つ省略せる斜視図である。
【図6】同上の要部の一部省略せる断面図である。
【図7】同上のエアノズルの斜視図である。
【図8】同上に用いるエアノズルの一部省略せる拡大断面図である。
【図9】被メッキ用板状部品用のメッキシステムに用いる治具本体の斜視図である。
【図10】電気メッキに用いるメッキ浴槽の一部省略せる斜視図である。
【図11】治具本体の一部省略せる断面図である。
【図12】従来の給電装置の斜視図である。
【図13】乾燥装置の一例の一部破断且つ省略せる斜視図である。
【符号の説明】
1 治具本体
2 長孔
4 被メッキ用板状部品
8 吊り下げ片
9 切欠孔
12 絶縁コーティング
15 陰極電極
16 導電性支持体
Claims (3)
- 被メッキ用板状部品を板面が底部に対して垂直面となるように収納配置する配置部位を所定間隔で複数設けた箱状の治具本体をメッキ浴槽内に入れて板状部品のメッキを行う板状部品用メッキシステムにおいて、該治具本体の上部に配置され、各配置部位に収納配置された被メッキ用板状部品の上端面に一端を弾性的に接触させる陰極電極を各配置部位に対応させて複数設けた導電体からなる給電装置を備えたものであって、各陰極電極を、一端を導電体に一体的に連結し、他端を被メッキ用板状部品に弾接させるコイルばねにより構成したことを特徴とする板状部品用メッキシステム。
- 被メッキ用板状部品を板面が底部に対して垂直面となるように収納配置する配置部位を所定間隔で複数設けた箱状の治具本体をメッキ浴槽内に入れて板状部品のメッキを行う板状部品用メッキシステムにおいて、該治具本体の上部に配置され、各配置部位に収納配置された被メッキ用板状部品の上端面に弾性的に接触させる陰極電極を各配置部位に対応させて複数設けた導電体からなる給電装置を備えたものであって、各陰極電極を、略S字状に湾曲させて上端を導電体に一体的に連結し、下部の下向き曲面を被メッキ用板状部品の上端面に弾接させる板ばね体により構成したことを特徴とする板状部品用メッキシステム。
- 被メッキ用板状部品を板面が底部に対して垂直面となるように収納配置する配置部位を所定間隔で複数設けた箱状の治具本体をメッキ浴槽内に入れて板状部品のメッキを行う板状部品用メッキシステムにおいて、該治具本体の上部に配置され、各配置部位に収納配置された被メッキ用板状部品の上端面に弾性的に接触させる陰極電極を各配置部位に対応させて複数設けた導電体からなる給電装置を備えたものであって、各陰極電極を、上下方向に弾発するように折り曲げた両側片の上端を導電体に一体的に連結し、両側片の下端間を連結する連結片を、被メッキ用板状部品の上端面に弾接させる部位を複数備えるように折り曲げ形成した板ばね体により構成したことを特徴とする板状部品用メッキシステム。
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