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JP3416594B2 - Ptcサーミスタおよびその製造方法 - Google Patents

Ptcサーミスタおよびその製造方法

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JP3416594B2
JP3416594B2 JP31290799A JP31290799A JP3416594B2 JP 3416594 B2 JP3416594 B2 JP 3416594B2 JP 31290799 A JP31290799 A JP 31290799A JP 31290799 A JP31290799 A JP 31290799A JP 3416594 B2 JP3416594 B2 JP 3416594B2
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powder
sintered layer
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nickel
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正和 棚橋
俊郎 久米
光一 森本
潤二 小島
恵美子 井垣
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、PTCサーミスタ
用電極およびその製造方法ならびにPTCサーミスタに
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、リチウム電池の保護や電子機器の
インターフェイスの保護や充電回路の保護のため、復帰
型ヒューズのように使用できる過電流保護素子が盛んに
用いられるようになっている。
【0003】過電流保護素子の一つとして、正の温度係
数(positive temperature co
efficient)を有するサーミスタ(以下、PT
Cサーミスタという)が知られている。PTCサーミス
タは、導電性粒子を結晶性ポリマ中に充填した導電性ポ
リマと導電性ポリマの両側に配置された一対の電極とを
備える。このPTCサーミスタに過電流が流れると、自
己発熱によって導電性ポリマの温度が結晶性ポリマの融
点付近まで上昇し、結晶性ポリマが体積膨張する。そし
て、結晶性ポリマがその融点付近で急激に膨張すると、
結晶性ポリマ中の導電性粒子の導電パスが切断され、電
極間の抵抗値が高くなり、PTCサーミスタに流れる電
流が減衰する。このようにして、PTCサーミスタは、
過電流を減衰させる。
【0004】PTCサーミスタでは、電極と導電性ポリ
マとの接着力が弱いと、繰り返し過電流が印加されたと
きに、電極と導電性ポリマとの間の電気抵抗が大きくな
り、信頼性が低下したり、素子として機能しなくなった
りするという問題がある。そのため、電極となる金属箔
と導電性ポリマとの間には、強い接着力が要求される。
【0005】金属箔と導電性ポリマとの接着力を高める
方法として、電着によって形成された凹凸を有する金属
箔を用いたPTCサーミスタが報告されている(登録特
許公報第2788968号)。上記特許公報には、金属
箔を電解液にさらし、電着によってミクロラフな表面を
形成する方法が示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、金属箔
表面に電着によって凹凸形状を形成する上記従来の方法
では、樹脂である導電性ポリマと金属箔との接着力が必
ずしも十分でないという問題があった。そのため、上記
従来のPTCサーミスタでは、過電流を繰り返し印加す
ると抵抗値変化率が大きくなるという問題があった。
【0007】また、電着処理には長時間を要するため、
製造コストが高いという問題があった。さらに、電着処
理の際に、メッキ液のコントロールが難しく、安定した
品質の金属箔が得られないという問題があった。
【0008】上記従来の問題を解決するため、本発明
は、導電性ポリマとの接着力が大きく、製造が容易なP
TCサーミスタ用電極およびその製造方法、ならびにP
TCサーミスタを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のPTCサーミスタは、一対の電極と、前記
一対の電極の間に配置されたPTC特性を有するポリマ
シートとを備えるPTCサーミスタであって、前記ポリ
マシートが導電性粒子を含む結晶性ポリマからなり、前
記電極は、金属からなり導電性を有する基体と、前記基
体上に形成された焼結層とを含み、前記焼結層は、金属
材料からなる導電性粉末を焼結することによって形成さ
れた導電性を有しバインダを含まない焼結層であって、
且つ、表面に凹凸形状を有する焼結層であり、且つ導電
性を有する複数の粒子がチェーン状に連なって形成され
た焼結層であり、且つ前記ポリマシートに接しているこ
とを特徴とする。以下に、本発明のPTCサーミスタの
電極について説明する。
【0010】上記本発明のPTCサーミスタ用電極で
は、前記焼結層の中心線平均粗さRaが、0.5μm以
上20μm以下であることが好ましい。上記構成によれ
ば、導電性ポリマとの接着力が特に大きいPTCサーミ
スタ用電極が得られる。
【0011】上記本発明のPTCサーミスタ用電極で
は、前記導電性粉末の平均粒径が0.1μm以上50μ
m以下であることが好ましい。上記構成によれば、導電
性ポリマとの接着力が特に大きいPTCサーミスタ用電
極が得られる。
【0012】上記本発明のPTCサーミスタ用電極で
は、前記導電性粉末の表面に金属膜が形成されているこ
とが好ましい。上記構成によれば、焼結層の形成が容易
なPTCサーミスタ用電極が得られる。
【0013】上記本発明のPTCサーミスタ用電極で
は、前記基体が金属材料からなり、前記金属膜が前記基
体と同一の金属材料からなる構成としてもよい。上記構
成によれば、基体および導電性粉末の焼結の拡散スピー
ドが等しいため、焼結による基体と導電性粉末との接合
が短時間で進み、焼結層の形成が特に容易なPTCサー
ミスタ用電極が得られる。
【0014】上記本発明のPTCサーミスタ用電極で
は、前記基体が金属材料からなり、前記金属膜が前記基
体よりも融点が低い金属材料からなる構成としてもよ
い。上記構成によれば、低温で導電性粉末を焼結するこ
とができるため、焼結層の形成が特に容易なPTCサー
ミスタ用電極が得られる。
【0015】上記本発明のPTCサーミスタ用電極で
は、前記導電性粉末は、導電性を有する複数の粒子がチ
ェーン状に連なって形成された粉末を含むことが好まし
い。上記構成によれば、焼結層に占める空隙の体積を大
きくできるため、導電性ポリマとの接着力が特に大きい
PTCサーミスタ用電極が得られる。
【0016】上記本発明のPTCサーミスタ用電極で
は、前記導電性粉末は、導電性を有する第1の粉末と導
電性を有する第2の粉末とを含み、前記第1の粉末の平
均粒径が、前記第2の粉末の平均粒径の2倍以上である
ことが好ましい。上記構成によれば、粒径の大きい第1
の粉末によって形成される空隙に、粒径の小さい第2の
粉末が配置されるため、焼結層の形成が特に容易なPT
Cサーミスタ用電極が得られる。
【0017】上記本発明のPTCサーミスタ用電極で
は、前記導電性粉末に含まれる前記第2の粉末の含有量
が、60wt%以下であることが好ましい。上記構成に
よれば、導電性ポリマとの接着力が粒径の大きい第1の
粉末によって確保されるため、導電性ポリマとの接着力
が十分で、焼結層の形成が特に容易なPTCサーミスタ
用電極が得られる。
【0018】
【0019】上記本発明のPTCサーミスタ用電極で
は、前記金属膜は、ニッケル、銅、銀、金、パラジウ
ム、チタン、亜鉛、モリブデン、タングステン、マンガ
ン、鉛、クロム、白金、すず、コバルトおよびインジウ
ムから選ばれる少なくとも一つの元素を含むことが好ま
しい。上記構成によれば、基体と導電性粉末との焼結が
特に容易なPTCサーミスタ用電極が得られる。
【0020】上記本発明のPTCサーミスタ用電極で
は、前記基体は、表面に凹凸形状を有することが好まし
い。上記構成によれば、基体と焼結層との接着力が大き
いPTCサーミスタ用電極が得られる。
【0021】
【0022】上記本発明のPTCサーミスタ用電極で
は、前記導電性粉末が、鉄、ニッケル、銅、銀、金、パ
ラジウム、亜鉛、モリブデン、タングステン、マンガ
ン、鉛、クロム、白金、すず、コバルト、モリブデン、
タングステン、マンガン、インジウムおよびチタンから
選ばれる少なくとも一つの元素を含む金属材料からなる
ことが好ましい。上記構成によれば、前記導電性粉末は
導電性が良いため、導電性ポリマとの接触抵抗を小さく
でき、電気伝導性に優れたPTCサーミスタ用電極が得
られる。
【0023】上記本発明のPTCサーミスタ用電極で
は、前記基体が、鉄、銅およびニッケルから選ばれる少
なくとも一つの元素を含む金属材料からなることが好ま
しい。上記構成によれば、電気伝導性が特に優れたPT
Cサーミスタ用電極が得られる。
【0024】本発明のPTCサーミスタの製造方法は、
一対の電極と、前記一対の電極の間に配置されたPTC
特性を有するポリマシートとを備えるPTCサーミスタ
の製造方法であって、金属からなり導電性を有する基体
の表面に、金属材料からなる導電性粉末を含むペースト
を塗布する第1の工程と、前記ペーストを熱処理するこ
とによって前記導電性粉末を焼結させてバインダを含ま
ない焼結層を形成する第2の工程と、前記焼結層が形成
された前記基体を電極として2つ用意し、その焼結層
で、PTC特性を有するポリマシートを挟む第3の工程
とを含むことを特徴とする。以下に、電極の形成方法に
ついて説明する。
【0025】上記PTCサーミスタ用電極の製造方法で
は、前記導電性粉末の平均粒径が0.1μm以上50μ
m以下であることが好ましい。上記構成によれば、導電
性ポリマとの接着力が特に大きいPTCサーミスタ用電
極を製造できる。
【0026】
【0027】上記PTCサーミスタ用電極の製造方法で
は、前記第1の工程の前に、前記基体の表面に凹凸形状
を形成する工程をさらに備えることが好ましい。上記構
成によれば、基体と焼結層との接着力が大きいPTCサ
ーミスタ用電極を製造できる。
【0028】
【0029】上記PTCサーミスタ用電極の製造方法で
は、前記第1の工程は、前記ペーストを塗布した後、前
記基体に塗布されたペーストを乾燥し圧延する工程をさ
らに備えることが好ましい。上記構成によれば、基体と
導電性粉末との焼結を容易に行うことができる。
【0030】上記PTCサーミスタ用電極の製造方法で
は、前記熱処理は、還元性雰囲気中で行われることが好
ましい。上記構成によれば、表面が酸化されていない焼
結層を形成することができる。このような焼結層を備え
るPTCサーミスタ用電極を用いることによって、抵抗
値変化率が特に小さいPTCサーミスタを製造できる。
【0031】上記PTCサーミスタ用電極の製造方法で
は、前記導電性粉末が、鉄、ニッケル、銅、銀、金、パ
ラジウム、亜鉛、モリブデン、タングステン、マンガ
ン、鉛、クロム、白金、すず、コバルト、インジウムお
よびチタンから選ばれる少なくとも一つの元素を含む金
属材料からなることが好ましい。
【0032】上記PTCサーミスタ用電極の製造方法で
は、前記基体が、鉄、銅およびニッケルから選ばれる少
なくとも一つの元素を含む金属材料からなることが好ま
しい。上記構成によれば、電気伝導性に優れたPTCサ
ーミスタ用電極を製造できる。
【0033】本発明のPTCサーミスタは、少なくとも
一対の電極と前記一対の電極間に配置された導電性ポリ
マとを含むPTCサーミスタ(複数対の電極を含んでも
よい。)であって、前記電極が、上記本発明のPTCサ
ーミスタ用電極であることを特徴とする。上記構成によ
れば、電極と導電性ポリマとの接着力が大きいため、過
電流を繰り返し印加したときの抵抗値変化率が小さいP
TCサーミスタが得られる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら説明する。
【0035】(実施形態1)実施形態1では、本発明の
PTCサーミスタ用電極について、一例を説明する。実
施形態1のPTCサーミスタ用電極10について、一部
断面図を図1に模式的に示す。
【0036】図1を参照して、PTCサーミスタ用電極
10は、導電性を有する基体11と、基体11上に形成
された焼結層12(ハッチングは省略する)とを含む。
【0037】基体11は、導電性材料からなるものであ
り、たとえば、金属(合金または非金属元素と金属元素
との化合物などを含む。以下同じである。)からなる
箔、金属板、パンチングメタル、導電性樹脂、導電性セ
ラミクスなどを用いることができる。この中でも、基体
11は、金属材料からなることが好ましい。具体的に
は、基体11には、銅、ニッケルおよび鉄から選ばれる
少なくとも一つの元素を含む金属材料を用いることがで
きる。たとえば、基体11には、銅、ニッケルまたは
鉄、あるいはこれらの合金、あるいはこれらと非金属元
素との化合物を用いることができる。この中でも、銅ま
たは銅合金が特に好ましい。
【0038】なお、基体11の表面(基体11と焼結層
12との間)に、金属膜13が形成されていてもよい。
この場合のPTCサーミスタ用電極10aについて、一
例を図2に示す。金属膜13は、ニッケル、銅、銀、
金、パラジウム、チタン、亜鉛、モリブデン、タングス
テン、マンガン、鉛、クロム、白金、すず、コバルトお
よびインジウムから選ばれる少なくとも一つの元素を含
むことが好ましい。たとえば、金属膜13には、ニッケ
ル、銅、ニッケルボロン、ニッケルリンなどを用いるこ
とができる。金属膜13の厚さとしては、0.1μmか
ら10μmが好ましく、特に2μm程度が好ましい。
【0039】また、基体11は、表面に凹凸形状14を
有してもよい(この場合の基体11と特に基体11aと
いう)。この場合のPTCサーミスタ10bについて、
一例を図3に示す。なお、凹凸形状14上に、さらに金
属膜13を形成してもよい。
【0040】焼結層12は、導電性粉末を焼結すること
によって形成された導電性を有する焼結層であり、表面
に凹凸形状を有する焼結層である。焼結層12は、基体
11の少なくとも一つの主面に形成される。焼結層12
の中心線平均粗さRaは、0.5μm以上20μm以下
であることが好ましい(中心線平均粗さRaについて
は、実施形態1の最後に説明する)。特に、焼結層12
の中心線平均粗さRaは、1μm以上5μm以下である
ことが好ましい。これによって、導電性ポリマとの接着
力が特に大きいPTCサーミスタ用電極が得られる。
【0041】焼結層12の材料である導電性粉末には、
さまざまな粒径のものを用いることができるが、平均粒
径が0.1μm以上50μm以下の導電性粉末を用いる
ことが好ましい。
【0042】上記導電性粉末には、導電性を有するさま
ざまな材料を用いることができ、たとえば金属材料、導
電性樹脂、導電性セラミクスなどを用いることができ
る。たとえば、上記導電性粉末には、鉄、ニッケル、
銅、銀、金、パラジウム、亜鉛、モリブデン、タングス
テン、マンガン、鉛、クロム、白金、すず、コバルト、
インジウムおよびチタンから選ばれる少なくとも一つの
元素を含む金属材料を用いることができる。具体的に
は、たとえば、鉄、ニッケル、銅、銀、金、パラジウ
ム、亜鉛、モリブデン、タングステン、マンガン、鉛、
クロム、白金、すず、コバルト、インジウムまたはチタ
ン、あるいはこれらの合金、あるいはこれらと非金属元
素との化合物を用いることができる。この中でも、ニッ
ケルが特に好ましい。
【0043】なお、上記導電性粉末は、導電性を有する
第1の粉末と、導電性を有する第2の粉末とを含み、第
1の粉末の平均粒径が第2の粉末の平均粒径の2倍以上
となるようにしてもよい。このとき、上記導電性粉末に
含まれる第2の粉末の含有量が60wt%以下であるこ
とが好ましい。
【0044】また、上記導電性粉末には、真球状、針
状、楕円体状またはチェーン状のように、さまざまな形
状のものを用いることができる。上記導電性粉末として
は、特に、(長径)/(短径)の値が1.3以上である
粉末や、(長辺)/(短辺)の値が1.3以上である粉
末や、導電性を有する複数の粒子がチェーン状に連なっ
て形成された粉末が好ましい。これによって、空隙が占
める割合が大きい焼結層12を形成することができ、導
電性ポリマとの接着力が特に大きいPTCサーミスタ用
電極が得られる。
【0045】また、上記導電性粉末は、その表面に金属
膜が形成されているものであってもよい。上記金属膜に
は、たとえば、基体11と同一の金属材料や、基体11
よりも融点が低い金属材料などを用いることができる。
上記金属膜は、メッキ法や蒸着法などによって形成でき
る。
【0046】さらに、焼結層12は、2層の焼結層を含
んでもよい。この場合のPTCサーミスタ10cについ
て、一例を図4に示す。図4を参照して、PTCサーミ
スタ10cの焼結層12は、基体11側から積層された
第1の焼結層12aと第2の焼結層12bとを含む。第
1の焼結層12aは、平均粒径が0.1μm以上1μm
以下の導電性粉末を焼結して形成した導電性を有する焼
結層(緻密な焼結層)である。また、第2の焼結層12
bは、平均粒径が1μm以上の導電性粉末を焼結して形
成した導電性を有する焼結層である。なお、焼結層12
bは、平均粒径が2.2μm以上3.3μm以下である
導電性粉末を焼結して形成した焼結層であることが特に
好ましい。これによって、PTCサーミスタを形成した
ときに、特に導電性ポリマとの接着力が大きいPTCサ
ーミスタ用電極が得られる。
【0047】上記実施形態1のPTCサーミスタ用電極
10では、基体11上に焼結層12を形成することによ
って、表面に凹凸形状を形成している。したがって、P
TCサーミスタ用電極10によれば、PTCサーミスタ
を形成したときに、導電性ポリマとの接着力を大きくす
ることができる。また、PTCサーミスタ用電極10
は、容易に製造することができる。
【0048】以下に、中心線平均粗さRa(JIS規格
B−0601)の測定方法について説明する。中心線平
均粗さRaは、表面粗さを表すパラメータである。具体
的には、中心線平均粗さRaは、基準長さLだけ抜き取
った粗さ曲線について、平均線の方向にx軸を、縦方向
にy軸をとり、粗さ曲線をy=f(x)で表したとき
に、以下の式で求められる値をマイクロメートル(μ
m)で表したものをいう(模式図である図5参照)。
【0049】
【数1】
【0050】なお、中心線平均粗さRaは、市販されて
いる測定装置(たとえば、東京精密社製、サーフコム5
50A)を用いて容易に測定することができる。
【0051】(実施形態2)実施形態2では、本発明の
PTCサーミスタ用電極の製造方法について、一例を説
明する。なお、実施形態1で説明した部分については、
重複する説明を省略する。
【0052】まず、図6(a)に示すように、基体11
を用意する。このとき、PTCサーミスタ用電極10a
を製造する場合には、表面に金属膜13が形成された基
体11を用いる。金属膜13は、メッキ法や蒸着法によ
って形成できる。また、PTCサーミスタ用電極10b
を製造する場合には、表面に凹凸形状が形成された基体
11aを用いる。基体11aは、基体11に、化学エッ
チング処理、電解エッチング処理、サンドブラスト処
理、プレス処理またはメタリコン(金属溶射被覆法)な
どの処理を行うことによって形成できる。
【0053】その後、図6(b)に示すように、導電性
粉末61を含むペースト62(ハッチングは省略する)
を、基体11の表面に塗布する。
【0054】ペースト62は、高分子化合物(バイン
ダ)を溶解させた溶媒に、実施形態1で説明した導電性
粉末(焼結層12の材料)を加えて混練したものであ
る。ペースト62の材料である溶媒としては、酢酸ブチ
ル、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、αターピ
ネオールまたはアルコール類等の有機溶剤や水を用いる
ことができる。また、ペースト62の材料である高分子
化合物(バインダ)としては、メチルセルロース、エチ
ルセルロース、ニトロセルロースなどのセルロース系樹
脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ブチラール系樹脂、
メタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリアセタール
樹脂、ロジン等を用いることができる。
【0055】具体的には、まず、溶媒に1wt%ないし
15wt%程度の高分子化合物を添加したのち、加熱す
ることによって高分子化合物を溶解させ、ビヒクル(v
ehicle)をつくる。その後、50重量部ないし1
50重量部のビヒクルに対して、上記導電性粉末100
重量部を添加して混練機でよく練りあげることによっ
て、ペースト62を得る。このようにして得られたペー
スト62を、基体11に塗布する。塗布の方法として
は、ドクターブレード法、ディップコーター法、ダイコ
ーター法、リバースロールコーター法、スクリーン印刷
法、またはバーコーター法などを用いることができる。
なお、ビヒクルは、必要に応じて、可塑剤、消泡剤、分
散剤などを含んでもよい。
【0056】その後、ペースト62が塗布された基体1
1を、中性雰囲気中または酸化性雰囲気中で熱処理する
ことによって、ペースト62の乾燥と脱バインダとを行
う。中性雰囲気のガスとしては、たとえば、窒素ガスや
炭酸ガスが挙げられる。酸化性雰囲気のガスとしては、
たとえば空気が挙げられる。なお、水蒸気を添加した窒
素ガスが、特に好ましい。
【0057】なお、ペースト62を塗布したのち脱バイ
ンダを行う前に、ペースト62を乾燥し圧延する工程を
行ってもよい。圧延は、たとえば、圧延ロールなどのプ
レス装置を用いて行うことができる。このとき、たとえ
ば、40℃以上の温度で圧延を行うことによって、導電
性粉末と基体11との密着性を向上させることができ
る。
【0058】その後、ペースト62を焼成することによ
って、図6(c)に示すように、焼結層12を形成す
る。焼成は、還元性雰囲気中、200℃ないし1200
℃の温度で0.5分ないし30分程度熱処理することに
よって行う。還元性雰囲気のガスとしては、たとえば、
水素−窒素混合ガス、水素−炭酸ガス混合ガス、または
これらに水蒸気を添加したガスなどが挙げられる。そし
て、焼成後、必要に応じて還元性雰囲気中で基体11を
冷却する。このようにして、PTCサーミスタ用電極1
0を製造することができる。
【0059】なお、図4に示したPTCサーミスタ用電
極10cを製造する場合には、まず、平均粒径が0.1
μm以上1μm以下である導電性粉末を含むペースト6
2を用いて焼結層12aを形成する。そして、平均粒径
が1μm以上の導電性粉末を含むペーストを焼結層12
a上に塗布し、図6(c)の工程で説明したのと同様の
方法で焼結層12bを形成すればよい。
【0060】上記製造方法に用いる焼結装置の一例を、
図7に模式的に示す。
【0061】図7を参照して、焼結装置は、コーター部
71と、脱バインダ部72と、焼成部73と、冷却部7
4とを備える。
【0062】コーター部71は、基体11にペースト6
2を塗布する部分である。
【0063】脱バインダ部72は、400℃程度の温度
で熱処理することによって、基体11に塗布されたペー
スト62の乾燥と脱バインダを行う部分である。そし
て、脱バインダ部72は、中性雰囲気のガス(窒素ガス
や炭酸ガスなど)、あるいは酸化性雰囲気のガス(空気
など)で満たされていることが好ましい。特に、水蒸気
を添加した窒素ガスで満たされていることが好ましい。
なお、ペースト62を圧延する場合には、圧延ロールな
どのプレス装置が、コーター部71と脱バインダ部72
との間に配置される。
【0064】焼成部73は、200℃〜1200℃程度
の温度で熱処理することによって、焼結層12を形成す
る部分である。焼成部73は、還元性雰囲気のガス(水
素−窒素混合ガス、水素−炭酸ガス混合ガス、あるいは
これらに水蒸気を添加した混合ガス)で満たされている
ことが好ましい。
【0065】冷却部74は、焼結層12が形成された基
体11を、たとえば100℃〜500℃の温度で冷却す
るための部分である。冷却部74は、還元性雰囲気のガ
スまたは中性雰囲気のガスで満たされていることが好ま
しい。
【0066】上記焼結装置によって焼結層12が形成さ
れた基体11は、その後に所定の大きさに切断され、P
TCサーミスタ用電極10となる。
【0067】上記実施形態2の製造方法によれば、実施
形態1で説明したPTCサーミスタ用電極10、10
a、10bおよび10cを容易に製造することができ
る。特に、ペースト62に含まれる導電性粉末61の粒
径や形状を変化させたり、塗布膜厚を変えることによっ
て、焼結層12の中心線平均粗さを容易に制御できる。
【0068】(実施形態3)実施形態3では、本発明の
PTCサーミスタについて、一例を説明する。
【0069】図8を参照して、実施形態3のPTCサー
ミスタ80は、少なくとも一対のPTCサーミスタ用電
極10(PTCサーミスタ用電極10a、10bおよび
10cを含む)と、前記一対のPTCサーミスタ用電極
10の間に配置された導電性ポリマ81と、はんだ82
によってPTCサーミスタ用電極10に接続されたリー
ド線83とを含む。
【0070】PTCサーミスタ用電極10は、実施形態
1で説明したPTCサーミスタ用電極、または実施形態
2の製造方法によって製造されるPTCサーミスタ用電
極である。PTCサーミスタ用電極10は、焼結層12
が、導電性ポリマ81と接するように配置される。
【0071】導電性ポリマ81は、PTC特性を有する
導電性ポリマである。導電性ポリマ81には、たとえ
ば、導電性粒子を含む結晶性ポリマを用いることができ
る。導電性ポリマ81中の導電性粒子には、たとえば、
カーボンブラックを用いることができる。また、導電性
ポリマ81の材料である結晶性ポリマには、たとえば、
HDPE(high density polyeth
ylene)、LDPE(low density p
olyethylene)、PP(polypropy
lene)ポリプロピレン、EVA(ethylene
vinyl acetate copolymer)
などを用いることができる。
【0072】上記実施形態3のPTCサーミスタ80
は、本発明のPTCサーミスタ用電極10を備えるた
め、PTCサーミスタ用電極10と導電性ポリマ81と
の接着力が大きい。このため、PTCサーミスタ80に
よれば、過電流を繰り返し印加しても、抵抗値変化が小
さいPTCサーミスタが得られる。
【0073】なお、本発明のPTCサーミスタは、PT
Cサーミスタ用電極10を備えるものであればよく、図
8に示した構造に限定されない。たとえば、図8には、
一対のPTCサーミスタ用電極10を備えるPTCサー
ミスタを示したが、本発明のPTCサーミスタは、二対
以上のPTCサーミスタ用電極を備えてもよい。また、
本発明のPTCサーミスタは、面実装型やアキシャルタ
イプのPTCサーミスタであってもよく、PTCサーミ
スタ用電極を3個以上備えた多層型のPTCサーミスタ
であってもよい。
【0074】
【実施例】以下に、本発明のPTCサーミスタ用電極、
およびこれを用いたPTCサーミスタを製造した具体例
を説明する。
【0075】(実施例1)ブチラール樹脂5wt%と、
可塑剤であるジブチルフタレート2wt%と、溶媒であ
る酢酸ブチル45wt%およびブチルセロソルブ48w
t%とを混合してビヒクル(以下、この混合比のビヒク
ルをビヒクルAという)を得た。このビヒクルA100
重量部と平均粒径4μmのニッケル粉(導電性粉末)1
00重量部とを混練し、ペーストを得た。このペースト
を、厚さ60μmの銅箔(基体)にドクターブレード法
(塗布速度は10mm/secであり、以下の実施例に
おいても同じである。)によって、30μmの膜厚にな
るように塗布した。その後、窒素ガス中または空気中に
おいて、450℃で熱処理することによって脱バインダ
を行った。その後、水素55%−窒素45%の混合ガス
(混合ガスの%は、体積比を表す。以下において同様で
ある。)中において、900℃で5分間熱処理を行い、
焼結層を形成してPTCサーミスタ用電極を得た。この
ようにして形成された焼結層表面の中心線平均粗さRa
について、サーフコム550A(東京精密社製)を用い
て測定(カットオフ値0.8mm、基準長さ2.5m
m)したところ、5.5μmであった。なお、以下の実
施例においても、焼結層表面の中心線平均粗さRaは、
同様の方法で測定した。
【0076】その後、上記PTCサーミスタ用電極を用
いてPTCサーミスタを作製した。具体的には、まず、
結晶性ポリマの一種であるHDPE(三井化学製)48
wt%とカーボンブラック(三菱化学製)52wt%と
を、190℃に加熱した2本の熱ロールを用いて混合し
た後、厚さが0.5mmのシートに成形し、導電性ポリ
マシートを得た。この導電性ポリマシートを、2枚の上
記PTCサーミスタ用電極で挟み、熱圧着(150℃、
490N/cm2(50kgf/cm2))し、積層物を
得た。この積層物の両側の銅箔に、はんだ付けによって
リード線を取り付け、PTCサーミスタを得た。
【0077】この様にして得られたPTCサーミスタに
ついて、過電流印加サイクル試験を行った。過電流印加
サイクル試験は、1分間の通電と5分間の通電停止とを
1サイクルとして1000サイクル繰り返すことによっ
て行った。このとき、通電は、40Aの過電流を印加で
きるように、PTCサーミスタを12Vの直流電源およ
び負荷抵抗に接続して行った。
【0078】過電流印加サイクル試験の前後におけるP
TCサーミスタの抵抗値を測定し、過電流印加サイクル
試験前後の抵抗値変化率を計算した。ここで、抵抗値変
化率とは、(試験後の抵抗値−試験前の抵抗値)/(試
験前の抵抗値)×100(%)で表される値である。実
施例1のPTCサーミスタ10個について測定した値の
平均値を表1に示す(以下の実施例および比較例におい
ても、表1に示す値はすべてPTCサーミスタ10個の
平均値である)。
【0079】
【表1】
【0080】また、実施例1のPTCサーミスタについ
て、導電性ポリマとPTCサーミスタ用電極との間の引
き剥がし強度を測定した(引き剥がし試験)。実施例1
のPTCサーミスタ5個について測定した値の平均値を
表2に示す(以下の実施例および比較例においても、表
2に示す値はすべてPTCサーミスタ5個の平均値であ
る)。
【0081】
【表2】
【0082】(実施例2)3.5wt%のメチルセルロ
ースを含む水溶液100gと平均粒径2μmの銀粉(導
電性粉末)90gとをよく混練し、ペーストを得た。こ
のペーストを、厚さ60μmの銅箔(基体)に、ドクタ
ーブレード法によって27μmの膜厚になるように塗布
した。その後、窒素ガス中または空気中において、45
0℃で熱処理することによって脱バインダを行った。そ
の後、混合ガス(水素35%−窒素65%)中におい
て、870℃で5分間熱処理を行うことによって焼結層
を形成し、PTCサーミスタ用電極を得た。このように
して形成された焼結層の表面の中心線平均粗さRaは、
2μmであった。
【0083】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。すなわち、実施例1と同一の条件で作製した導電
性ポリマシートを、2枚の上記PTCサーミスタ用電極
で挟み、150℃、490N/cm2(50kgf/c
2)の条件で熱圧着して積層物を得たのち、この積層
物の両側の金属箔に、はんだ付けによってリード線を取
り付けて、PTCサーミスタを得た(以下の実施例にお
いても同様にPTCサーミスタを作製した)。そして、
実施例1と同様の条件で、過電流印加サイクル試験およ
び引き剥がし試験を行った(表1および表2参照)。
【0084】(実施例3)ビヒクルA100gと平均粒
径3μmのニッケル粉(導電性粉末)100gとをよく
混練し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ60μ
mのニッケル箔(基体)に、ドクターブレード法によっ
て100μmの膜厚になるように塗布した。その後、窒
素ガス中または空気中において、450℃で熱処理する
ことによって脱バインダを行った。その後、混合ガス
(水素5%−窒素95%)中において、900℃で5分
間熱処理を行うことによって焼結層を形成し、PTCサ
ーミスタ用電極を得た。このようにして形成された焼結
層の表面の中心線平均粗さRaは、3.5μmであっ
た。
【0085】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0086】(実施例4)ビヒクルA100gと平均粒
径3μmのクロム粉(導電性粉末)100gとをよく混
練し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ60μm
のニッケル箔(基体)に、ドクターブレード法によって
27μmの膜厚になるように塗布した。その後、窒素ガ
ス中または空気中において、450℃で熱処理すること
によって脱バインダを行った。その後、混合ガス(水素
65%−窒素35%)中において、1000℃で5分間
熱処理を行うことによって焼結層を形成し、PTCサー
ミスタ用電極を得た。このようにして形成された焼結層
の表面の中心線平均粗さRaは、3.5μmであった。
【0087】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0088】なお、基体として銅箔を用いても、表1お
よび表2に示す実施例4の結果と同様の結果が得られ
た。また導電性粉末として、金粉末、白金粉末、パラジ
ウム粉末、黄銅粉末、青銅粉末、コバルト粉末、洋白粉
末、銅粉末、ニッケルメッキ銅粉末、すず粉末、亜鉛粉
末、タングステン粉末、モリブデン粉末、マンガン粉末
を用いても、実施例4と同様な結果が得られた。
【0089】(実施例5)ビヒクルA100gと導電性
粉末100g(平均粒径0.3μmの亜鉛粉末3gと平
均粒径2μmの銅粉97gとの混合物)とをよく混練し
てペーストを得た。このペーストを、厚さ60μmのニ
ッケル箔(基体)に、ドクターブレード法によって27
μmの膜厚になるように塗布した。その後、混合ガス
(水蒸気10%−窒素90%)中において、390℃で
熱処理することによって、脱バインダを行った。その
後、混合ガス(水素50%−窒素50%)中において、
800℃で5分間熱処理を行うことによって焼結層を形
成し、PTCサーミスタ用電極を得た。このようにして
形成された焼結層の表面の中心線平均粗さRaは、2.
5μmであった。なお、基体として、厚さが60μmの
銅箔を用いても同様の中心線平均粗さRaが得られた。
【0090】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0091】(実施例6)ビヒクルA80gと平均粒径
3μmの金粉(導電性粉末)100gとをよく混練し、
ペーストを得た。このペーストを、厚さ60μmのニッ
ケル箔(基体)に、ドクターブレード法によって27μ
mの膜厚になるように塗布した。その後、窒素ガス中ま
たは空気中において、390℃で熱処理することによっ
て脱バインダを行った。その後、混合ガス(水素50%
−窒素50%)中において、980℃で5分間熱処理を
行うことによって焼結層を形成し、PTCサーミスタ用
電極を得た。このようにして形成された焼結層の表面の
中心線平均粗さRaは、2μmであった。
【0092】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0093】(実施例7)ビヒクルA100gと平均粒
径3μmのコバルト粉(導電性粉末)100gとをよく
混練し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ60μ
mの銅箔(基体)に、ドクターブレード法によって27
μmの膜厚になるように塗布した。その後、窒素ガス中
または空気中において450℃で熱処理することによっ
て、脱バインダを行った。その後、混合ガス(水素25
%−窒素75%)中において、900℃で5分間熱処理
を行うことによって焼結層を形成し、PTCサーミスタ
用電極を得た。このようにして形成された焼結層の表面
の中心線平均粗さRaは、4μmであった。
【0094】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0095】実施例7において、基体として銅箔やニッ
ケル箔を用いても同様の結果が得られた。また、実施例
7では、水素ガス含有量が0.1%ないし100%のガ
ス中で焼結を行うことができた(他の実施例においても
同様である)。また、窒素ガス中で脱バインダを行うこ
とによって、空気中で脱バインダを行うよりも焼結時間
を短縮できた。また、窒素ガスに水蒸気を添加したガス
中で脱バインダを行うと、さらに焼結時間を短縮でき
た。
【0096】(実施例8)ビヒクルA100gと平均粒
径3μmのニッケル粉(導電性粉末)100gとをよく
混練し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ60μ
mのステンレス箔(SUS304からなる基体)に、ド
クターブレード法によって27μmの膜厚になるように
塗布した。その後、窒素ガス中または空気中において4
50℃で熱処理することによって、脱バインダを行っ
た。その後、混合ガス(水素50%−窒素50%)中に
おいて、900℃で5分間熱処理を行うことによって焼
結層を形成し、PTCサーミスタ用電極を得た。このよ
うにして形成された焼結層の表面の中心線平均粗さRa
は、3.5μmであった。
【0097】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0098】(実施例9)ビヒクルA120gと導電性
粉末100g(平均粒径3μmのニッケル粉80gと平
均粒径1μm以下のニッケル粉20gとの混合物)とを
よく混練してペーストを得た。このペーストを、厚さ1
0μmのニッケルがメッキされた基体(厚さ60μmの
銅箔)に、ドクターブレード法によって27μmの膜厚
になるように塗布した。その後、窒素ガス中または空気
中において、450℃で熱処理することによって、脱バ
インダを行った。その後、混合ガス(水素50%−窒素
50%)中において、890℃で5分間熱処理を行うこ
とによって焼結層を形成し、PTCサーミスタ用電極を
得た。このようにして形成された焼結層の表面の中心線
平均粗さRaは、4μmであった。
【0099】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0100】なお、基体として、クロムをメッキした銅
箔を用いても同様の結果が得られた。
【0101】(実施例10)ビヒクルA120gと導電
性粉末100g(平均粒径3μmのニッケル粉80gと
平均粒径1μm以下のニッケル粉20gとの混合物)を
よく混練し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ
1.5μmのニッケルをメッキした基体(厚さ60μm
の銅箔)に、ドクターブレード法によって27μmの膜
厚になるように塗布した。その後、窒素ガス中または空
気中において、450℃で熱処理することによって脱バ
インダを行った。その後、混合ガス(水素50%−窒素
50%)中において、890℃で5分間熱処理を行うこ
とによって焼結層を形成し、PTCサーミスタ用電極を
得た。このようにして形成された焼結層の表面の中心線
平均粗さRaは、3μmであった。
【0102】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0103】なお、ニッケルメッキの厚さを0.01μ
mとしても、同様の結果が得られた。
【0104】また、上記導電性粉末において、平均粒径
が0.7μm以下のニッケル粉の含有量を60wt%以
下とすることによって、導電性ポリマとの接合力が強い
PTCサーミスタ用電極が得られた。
【0105】また、導電性粉末としては、円柱状の粉末
や、直方体状の粉末を用いることによって、特に好まし
い結果が得られた。具体的には、扁平率2以上の楕円体
状粒子粉末、針状比1.3以上の針状粒子粉末を用いる
ことによって、抵抗値変化率が小さいPTCサーミスタ
が得られた。特に、複数の粒子がチェーン状に連結した
構造を有する導電性粉末を用いると、抵抗値変化率が非
常に小さいPTCサーミスタが得られた。これらの導電
性粉末を用いると、焼結層中の空隙が大きくなるため、
導電性ポリマとの接着力が向上するものと考えられる。
【0106】(実施例11)ビヒクルA120gと導電
性粉末100g(平均粒径3μmの銅粉80gと平均粒
径1μm以下のニッケル粉20gとの混合物)をよく混
練し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ60μm
の銅箔(基体)に、ドクターブレード法によって20μ
mの膜厚になるように塗布した。その後、窒素ガス中ま
たは空気中において450℃で熱処理することによっ
て、脱バインダを行った。その後、混合ガス(水素50
%−窒素50%)中において、900℃で5分間熱処理
を行うことによって焼結層を形成し、PTCサーミスタ
用電極を得た。このようにして形成された焼結層の表面
の中心線平均粗さRaは、2μmであった。なお、基体
として、厚さ100μmのニッケル箔や厚さ1mmのニ
ッケル板を用いても、同様の中心線平均粗さRaが得ら
れた。
【0107】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0108】(実施例12)ビヒクルA120gと導電
性粉末100g(平均粒径3μmの銅粉80gと平均粒
径2μmのニッケル粉20gとの混合物)とをよく混練
し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ60μmの
銅箔(基体)に、ドクターブレード法によって27μm
の膜厚になるように塗布した。その後、窒素ガス中また
は空気中において450℃で熱処理することによって、
脱バインダを行った。その後、混合ガス(水素50%−
窒素50%)中において、900℃で5分間熱処理を行
うことによって焼結層を形成し、PTCサーミスタ用電
極を得た。このようにして形成された焼結層の表面の中
心線平均粗さRaは、3.5μmであった。
【0109】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0110】なお、導電性粉末として、銅粉およびニッ
ケル粉の代わりに、チタン粉、クロム粉、白金粉、コバ
ルト粉、銀粉、金粉、黄銅粉、青銅粉、洋白粉、タング
ステン粉、モリブデン粉、マンガン粉、パラジウム粉、
亜鉛粉、すず粉、およびニッケルリンやニッケルボロン
でメッキをした金属粉末を用いても同様の結果が得られ
た。
【0111】(実施例13)ロジン5gと溶媒であるα
ターピネオール100gとを混合してビヒクルを得た。
このビヒクル105gと導電性粉末100g(平均粒径
3μmの銅粉90gと平均粒径1μm以下のすず粉10
gとの混合物)とをよく混練し、ペーストを得た。この
ペーストを、厚さ60μmの銅箔(基体)に、ドクター
ブレード法によって27μmの膜厚になるように塗布し
た。その後、窒素ガス中において400℃で熱処理する
ことによって、脱バインダを行った。その後、混合ガス
(水素50%−窒素50%)中において、700℃で5
分間熱処理を行うことによって焼結層を形成し、PTC
サーミスタ用電極を得た。このようにして形成された焼
結層の表面の中心線平均粗さRaは、3.5μmであっ
た。
【0112】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0113】なお、導電性粉末として、すず粉の含有量
が30wt%以下(銅粉の含有量が70wt%以上)の
導電性粉末を用いると良好な結果が得られた。
【0114】また、基体として、金、パラジウム、銀、
亜鉛、すず、鉄、銅、ニッケル、コバルト、クロム、白
金、チタン、洋白、黄銅、青銅、ニッケルリンやニッケ
ルボロンでメッキをした金属箔を用いても同様の結果が
得られた。また、基体と導電性粉末とに同一材質のメッ
キを行った場合には、熱処理時間を短縮することができ
た。
【0115】(実施例14)ビヒクルA100gと平均
粒径3μmのニッケル粉(導電性粉末)100gとをよ
く混練し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ2μ
mのパラジウムをメッキした基体(厚さ60μmの銅
箔)に、ドクターブレード法によって27μmの膜厚に
なるように塗布した。その後、窒素ガス中または空気中
において450℃で熱処理することによって、脱バイン
ダを行った。その後、混合ガス(水素50%−窒素50
%)中において、950℃で5分間熱処理を行うことに
よって焼結層を形成し、PTCサーミスタ用電極を得
た。このようにして形成された焼結層の表面の中心線平
均粗さRaは、4.5μmであった。
【0116】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0117】(実施例15)ビヒクルA100gと平均
粒径3μmのニッケル粉(導電性粉末)100gとをよ
く混練し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ1μ
mのインジウムをメッキした基体(厚さ60μmの銅
箔)に、ドクターブレード法によって27μmの膜厚に
なるように塗布した。その後、窒素ガス中または空気中
において450℃で熱処理することによって、脱バイン
ダを行った。その後、混合ガス(水素50%−窒素50
%)中において、850℃で5分間熱処理を行うことに
よって焼結層を形成し、PTCサーミスタ用電極を得
た。このようにして形成された焼結層の表面の中心線平
均粗さRaは、4μmであった。
【0118】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0119】(実施例16)ビヒクルA100gと平均
粒径3μmのニッケル粉(導電性粉末)100gとをよ
く混練し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ1μ
mのすずをメッキした基体(厚さ60μmの銅箔)に、
ドクターブレード法によって27μmの膜厚になるよう
に塗布した。その後、窒素ガス中または空気中において
450℃で熱処理することによって、脱バインダを行っ
た。その後、混合ガス(水素50%−窒素50%)中に
おいて、850℃で5分間熱処理を行うことによって焼
結層を形成し、PTCサーミスタ用電極を得た。このよ
うにして形成された焼結層の表面の中心線平均粗さRa
は、3.5μmであった。
【0120】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0121】(実施例17)ビヒクルA100gと平均
粒径3μmのニッケル粉(導電性粉末)100gとをよ
く混練し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ1μ
mの亜鉛をメッキした基体(厚さ60μmの銅箔)に、
ドクターブレード法によって90μmの膜厚になるよう
に塗布した。その後、窒素ガス中または空気中において
450℃で熱処理することによって、脱バインダを行っ
た。その後、混合ガス(水素50%−窒素50%)中に
おいて、870℃で5分間熱処理を行うことによって焼
結層を形成し、PTCサーミスタ用電極を得た。このよ
うにして形成された焼結層の表面の中心線平均粗さRa
は、4.5μmであった。
【0122】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0123】(実施例18)ビヒクルA100gと平均
粒径3μmのニッケル粉(導電性粉末)100gとをよ
く混練し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ1μ
mのニッケルをメッキした基体(厚さ60μmの銅箔)
に、ドクターブレード法によって27μmの膜厚になる
ように塗布した。その後、窒素ガス中または空気中にお
いて450℃で熱処理することによって、脱バインダを
行った。その後、混合ガス(水素50%−窒素50%)
中において900℃で5分間熱処理を行うことによって
焼結層を形成し、PTCサーミスタ用電極を得た。この
ようにして形成された焼結層の表面の中心線平均粗さR
aは、3μmであった。
【0124】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0125】(実施例19)ビヒクルA100gと平均
粒径3μmのニッケル粉(導電性粉末)100gとをよ
く混練し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ1μ
mの金をメッキした基体(厚さ60μmの銅箔)に、ド
クターブレード法によって27μmの膜厚になるように
塗布した。その後、窒素ガス中または空気中において4
50℃で熱処理することによって、脱バインダを行っ
た。その後、混合ガス(水素5%−窒素95%)中にお
いて、950℃で5分間熱処理を行うことによって焼結
層を形成し、PTCサーミスタ用電極を得た。このよう
にして形成された焼結層の表面の中心線平均粗さRa
は、3.5μmであった。
【0126】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0127】なお、金の代わりに基体に白金をメッキし
た場合でも、同様の結果が得られた。
【0128】(実施例20)ビヒクルA100gと平均
粒径3μmの亜鉛粉(導電性粉末)100gとをよく混
練し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ60μm
の銅箔(基体)に、ドクターブレード法によって27μ
mの膜厚になるように塗布した。その後、窒素ガス中ま
たは空気中において390℃で熱処理することによっ
て、脱バインダを行った。その後、混合ガス(水素50
%−窒素50%)中において、418℃で5分間熱処理
を行うことによって焼結層を形成し、PTCサーミスタ
用電極を得た。このようにして形成された焼結層の表面
の中心線平均粗さRaは、4.5μmであった。
【0129】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0130】(実施例21)ビヒクルA100gと平均
粒径3μmの白金粉(導電性粉末)100gとをよく混
練し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ60μm
の銅箔(基体)に、ドクターブレード法によって27μ
mの膜厚になるように塗布した。その後、窒素ガス中ま
たは空気中において450℃で熱処理することによっ
て、脱バインダを行った。その後、混合ガス(水素50
%−窒素50%)中において、1000℃で5分間熱処
理を行うことによって焼結層を形成し、PTCサーミス
タ用電極を得た。このようにして形成された焼結層の表
面の中心線平均粗さRaは、2.5μmであった。
【0131】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0132】(実施例22)ビヒクルA100gと平均
粒径3μmのパラジウム粉(導電性粉末)100gとを
よく混練し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ
0.1μmのCoをメッキした基体(厚さ60μmの鉄
箔)に、ドクターブレード法によって27μmの膜厚に
なるように塗布した。その後、窒素ガス中または空気中
において450℃で熱処理することによって、脱バイン
ダを行った。その後、混合ガス(水素50%−窒素50
%)中において、950℃で5分間熱処理を行うことに
よって焼結層を形成し、PTCサーミスタ用電極を得
た。このようにして形成された焼結層の表面の中心線平
均粗さRaは、3μmであった。なお、基体に銅箔また
はニッケル箔を用いても、同様の中心線平均粗さRaが
得られた。
【0133】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0134】(実施例23)ビヒクルA100gと平均
粒径3μmのチタン粉(導電性粉末)100gとをよく
混練し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ60μ
mのニッケル箔に、ドクターブレード法によって、27
μmの膜厚になるように塗布した。その後、窒素ガス中
において450℃で熱処理することによって、脱バイン
ダを行った。その後、混合ガス(水素50%−炭酸ガス
50%)中において、1050℃で5分間熱処理を行う
ことによって焼結層を形成し、PTCサーミスタ用電極
を得た。このようにして形成された焼結層の表面の中心
線平均粗さRaは、3μmであった。
【0135】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0136】(実施例24)ビヒクルA100gと導電
性粉末(厚さ0.5μmのニッケルをメッキした平均粒
径2μmの銅粉)100gとをよく混練し、ペーストを
得た。このペーストを、厚さ1μmのニッケルをメッキ
をした基体(厚さ60μmの鉄箔)に、ドクターブレー
ド法によって27μmの膜厚になるように塗布した。そ
の後、窒素ガス中において450℃で熱処理することに
よって、脱バインダを行った。その後、混合ガス(水素
50%−窒素50%)中において、900℃で5分間熱
処理を行うことによって焼結層を形成し、PTCサーミ
スタ用電極を得た。このようにして形成された焼結層の
表面の中心線平均粗さRaは、3.5μmであった。な
お、基体として銅箔を用いた場合でも、同様の中心線平
均粗さRaが得られた。
【0137】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0138】(実施例25)ビヒクルA100gと導電
性粉末(厚さ0.5μmのすずをメッキした平均粒径2
μmの銅粉)100gとをよく混練し、ペーストを得
た。このペーストを、厚さ1μmのニッケルをメッキし
た基体(厚さ60μmの銅箔)に、ドクターブレード法
によって27μmの膜厚になるように塗布した。その
後、窒素ガス中において450℃で熱処理することによ
って、脱バインダを行った。その後、混合ガス(水素1
0%−窒素90%)中において、850℃で5分間熱処
理を行うことによって焼結層を形成し、PTCサーミス
タ用電極を得た。このようにして形成された焼結層の表
面の中心線平均粗さRaは、3μmであった。
【0139】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0140】(実施例26)ビヒクルA100gと導電
性粉末(厚さ0.5μmのすずをメッキした平均粒径2
μmのニッケル粉)100gとをよく混練し、ペースト
を得た。このペーストを、厚さ1μmのニッケルをメッ
キした基体(厚さ60μmの銅箔)に、ドクターブレー
ド法によって27μmの膜厚になるように塗布した。そ
の後、窒素ガス中において450℃で熱処理することに
よって、脱バインダを行った。その後、混合ガス(水素
50%−窒素50%)中において、830℃で5分間熱
処理を行うことによって焼結層を形成し、PTCサーミ
スタ用電極を得た。このようにして形成された焼結層の
表面の中心線平均粗さRaは、3.5μmであった。
【0141】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0142】(実施例27)ビヒクルA100gと導電
性粉末(厚さ0.5μmの白金をメッキした平均粒径2
μmの鉄粉)100gとをよく混練し、ペーストを得
た。このペーストを、厚さ1μmのニッケルをメッキし
た基体(厚さ60μmの銅箔)に、ドクターブレード法
によって27μmの膜厚になるように塗布した。その
後、窒素ガス中において450℃で熱処理することによ
って、脱バインダを行った。その後、混合ガス(水素5
0%−窒素50%)中において、950℃で5分間熱処
理を行うことによって焼結層を形成し、PTCサーミス
タ用電極を得た。このようにして形成された焼結層の表
面の中心線平均粗さRaは、3.5μmであった。
【0143】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0144】なお、導電性粉末として、亜鉛、金、白
金、銀、クロム、コバルト、錫、インジウムまたはパラ
ジウムをメッキした銅粉を用いても同様の結果が得られ
た。また、導電性粉末として、銅粉にニッケルリンまた
はニッケルボロンをメッキしたものを用いても同様の結
果が得られた。また、導電性粉末として、亜鉛、金、白
金、クロム、コバルト、インジウム、銅、パラジウム、
ニッケルリンまたはニッケルボロンをメッキしたニッケ
ル粉を用いても同様の結果が得られた。また、導電性粉
末として、すず、亜鉛、白金、ニッケル、銅、銀、クロ
ム、コバルト、インジウム、パラジウム、ニッケルリン
またはニッケルボロンをメッキした鉄粉を用いても同様
の結果が得られた。また、導電性粉末として、すず、亜
鉛、白金、ニッケル、銅、銀、コバルト、インジウム、
金、パラジウム、ニッケルリンまたはニッケルボロンを
メッキしたクロム粉を用いても同様の結果が得られた。
また、すず、亜鉛、ニッケル、白金、金、銅、クロム、
コバルト、インジウム、パラジウム、ニッケルリンまた
はニッケルボロンをメッキした銀粉を用いても同様の結
果が得られた。また、導電性粉末として、すず、亜鉛、
白金、ニッケル、銅、銀、クロム、インジウム、金、パ
ラジウム、ニッケルリンまたはニッケルボロンをメッキ
したコバルト粉を用いても同様の結果が得られた。ま
た、導電性粉末として、亜鉛粉、白金粉、金粉、マンガ
ン粉、タングステン粉またはモリブデン粉に、上記金属
または合金類のメッキを行っても同様の効果が得られ
た。導電性粉末のメッキの厚さとしては、0.1μmな
いし2μm程度が良好であった。
【0145】(実施例28)ビヒクルA100gと導電
性粉末100g(平均粒径3μmの銀粉95gと平均粒
径3μmのすず粉5gとの混合物)とをよく混練し、ペ
ーストを得た。このペーストを、厚さ60μmの銅箔
(基体)に、ドクターブレード法によって27μmの膜
厚になるように塗布した。その後、窒素ガス中において
450℃で熱処理することによって、脱バインダを行っ
た。その後、混合ガス(水素15%−窒素85%)中に
おいて、800℃で5分間熱処理を行うことによって焼
結層を形成し、PTCサーミスタ用電極を得た。このよ
うにして形成された焼結層の表面の中心線平均粗さRa
は、3.5μmであった。
【0146】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0147】なお、導電性粉末として、銀粉の含有量が
40wt%以上(すず粉の含有量が60wt%以下)の
導電性粉末を用いた場合には、良好な結果が得られた。
【0148】(実施例29)ビヒクルA100gと導電
性粉末100g(平均粒径3μmの銅粉95gと平均粒
径3μmの亜鉛粉5gとの混合物)とをよく混練し、ペ
ーストを得た。このペーストを、厚さ60μmの銅箔
(基体)に、ドクターブレード法によって27μmの膜
厚になるように塗布した。その後、窒素ガス中において
400℃で熱処理することによって、脱バインダを行っ
た。その後、混合ガス(水素50%−窒素50%)中に
おいて、825℃で5分間熱処理を行うことによって焼
結層を形成し、PTCサーミスタ用電極を得た。このよ
うにして形成された焼結層の表面の中心線平均粗さRa
は、3.5μmであった。
【0149】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0150】なお、上記実施例では、導電性粉末中の銅
粉と亜鉛粉の含有量を変化させても、良好な結果が得ら
れた。
【0151】(実施例30)ビヒクルA100gと導電
性粉末100g(平均粒径3μmの銀粉95gと平均粒
径2μmの亜鉛粉5gとの混合物)とをよく混練し、ペ
ーストを得た。このペーストを、厚さ60μmの銅箔
(基体)に、ドクターブレード法によって27μmの膜
厚になるように塗布した。その後、窒素ガス中において
400℃で熱処理することによって、脱バインダを行っ
た。その後、混合ガス(水素8%−窒素92%)中にお
いて、825℃で5分間熱処理を行うことによって焼結
層を形成し、PTCサーミスタ用電極を得た。このよう
にして形成された焼結層の表面の中心線平均粗さRa
は、2.5μmであった。
【0152】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0153】なお、上記導電性粉末では、銀粉と亜鉛粉
の含有量を変化させても、良好な結果が得られた。
【0154】(実施例31)ビヒクルA100gと導電
性粉末100g(平均粒径3μmのニッケル粉95gと
平均粒径3μmの亜鉛粉5gとの混合物)とをよく混練
し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ60μmの
銅箔(基体)に、ドクターブレード法によって27μm
の膜厚になるように塗布した。その後、窒素ガス中にお
いて400℃で熱処理することによって、脱バインダを
行った。その後、混合ガス(水素50%−窒素50%)
中において、825℃で5分間熱処理を行うことによっ
て焼結層を形成し、PTCサーミスタ用電極を得た。こ
のようにして形成された焼結層の表面の中心線平均粗さ
Raは、2.5μmであった。
【0155】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0156】なお、上記導電性粉末では、ニッケル粉と
亜鉛粉の含有量を変化させても、良好な結果が得られ
た。
【0157】(実施例32)ビヒクルA100gと導電
性粉末100g(平均粒径3μmのニッケル粉95gと
平均粒径3μmのすず粉5gとの混合物)とをよく混練
し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ60μmの
銅箔(基体)に、ドクターブレード法によって27μm
の膜厚になるように塗布した。その後、窒素ガス中にお
いて450℃で熱処理することによって、脱バインダを
行った。その後、混合ガス(水素20%−窒素80%)
中において、825℃で5分間熱処理を行うことによっ
て焼結層を形成し、PTCサーミスタ用電極を得た。こ
のようにして形成された焼結層の表面の中心線平均粗さ
Raは、3.5μmであった。
【0158】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0159】なお、導電性粉末として、ニッケル粉の含
有量が40wt%以上(すず粉の含有量が60wt%以
下)の導電性粉末を用いることによって、良好な結果が
得られた。
【0160】(実施例33)ビヒクルA100gと導電
性粉末100g(平均粒径3μmのコバルト粉95gと
平均粒径3μmの亜鉛粉5gとの混合物)をよく混練
し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ60μmの
銅箔(基体)に、ドクターブレード法によって27μm
の膜厚になるように塗布した。その後、約6670Pa
(50mmHg)の水蒸気を含む窒素ガス中において4
00℃で熱処理することによって、脱バインダを行っ
た。その後、混合ガス(水素1%−窒素99%)中にお
いて、845℃で5分間熱処理を行うことによって焼結
層を形成し、PTCサーミスタ用電極を得た。このよう
にして形成された焼結層の表面の中心線平均粗さRa
は、3μmであった。
【0161】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0162】なお、上記実施例では、導電性粉末中のニ
ッケル粉と亜鉛粉の含有量を変化させても、良好な結果
が得られた。
【0163】(実施例34)ビヒクルA100gと導電
性粉末100g(平均粒径3μmのニッケル粉50gと
平均粒径3μmの銅粉50gとの混合物)をよく混練
し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ0.5μm
のニッケルをメッキした基体(厚さ60μmの銅箔)
に、ドクターブレード法によって、100μmの膜厚に
なるように塗布した。その後、窒素ガス中または空気中
において450℃で熱処理することによって、脱バイン
ダを行った。その後、混合ガス(水素50%−窒素50
%)中において、950℃で5分間熱処理を行うことに
よって焼結層を形成し、PTCサーミスタ用電極を得
た。このようにして形成された焼結層の表面の中心線平
均粗さRaは、6μmであった。
【0164】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0165】(実施例35)ビヒクルA100gと導電
性粉末100g(平均粒径3μmのインジウム粉5gと
平均粒径3μmの銅粉95gとの混合物)とをよく混練
し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ60μmの
銅箔(基体)に、ドクターブレード法によって27μm
の膜厚になるように塗布した。その後、窒素ガス中にお
いて400℃で熱処理することによって、脱バインダを
行った。その後、混合ガス(水素50%−窒素50%)
中において、700℃で5分間熱処理を行うことによっ
て焼結層を形成し、PTCサーミスタ用電極を得た。こ
のようにして形成された焼結層の表面の中心線平均粗さ
Raは、3.5μmであった。
【0166】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0167】なお、導電性粉末として、銅粉の含有量が
40wt%以上(インジウム粉の含有量が60wt%以
下)の導電性粉末を用いることによって、良好な結果が
得られた。
【0168】(実施例36)ビヒクルA100gと導電
性粉末100g(平均粒径3μmのすず粉5gと平均粒
径2μmの銅粉5gと平均粒径3μmのニッケル粉90
gとの混合物)とをよく混練し、ペーストを得た。この
ペーストを、厚さ60μmの銅箔(基体)に、ドクター
ブレード法によって27μmの膜厚になるように塗布し
た。その後、窒素ガス中において400℃で熱処理する
ことによって、脱バインダを行った。その後、混合ガス
(水素10%−窒素90%)中において、700℃で5
分間熱処理を行うことによって焼結層を形成し、PTC
サーミスタ用電極を得た。このようにして形成された焼
結層の表面の中心線平均粗さRaは、3μmであった。
【0169】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0170】なお、導電性粉末として、すず粉の含有量
が60wt%以下の導電性粉末を用いることによって、
良好な結果が得られた。
【0171】(実施例37)ビヒクルA100gと導電
性粉末92g(平均粒径2μmのすず粉1gと平均粒径
2μmの亜鉛粉1gと平均粒径2μmのニッケル粉90
gとの混合物)をよく混練し、ペーストを得た。このペ
ーストを、厚さ60μmの銅箔(基体)に、ドクターブ
レード法によって27μmの膜厚になるように塗布し
た。その後、窒素ガス中において400℃で熱処理する
ことによって、脱バインダを行った。その後、混合ガス
(水素10%−窒素90%)中において、750℃で5
分間熱処理を行うことによって焼結層を形成し、PTC
サーミスタ用電極を得た。このようにして形成された焼
結層の表面の中心線平均粗さRaは、2μmであった。
【0172】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0173】(実施例38)ビヒクルA100gと平均
粒径6μmのニッケル粉(導電性粉末)100gとをよ
く混練し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ1μ
mのニッケルをメッキした基体(厚さ60μmの銅箔)
に、ドクターブレード法によって、60μmの膜厚にな
るように塗布した。その後、窒素ガス中において400
℃で熱処理することによって、脱バインダを行った。そ
の後、混合ガス(水素20%−窒素80%)中におい
て、900℃で10分間熱処理を行うことによって焼結
層を形成し、PTCサーミスタ用電極を得た。このよう
にして形成された焼結層の表面の中心線平均粗さRa
は、7μmであった。
【0174】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0175】(実施例39)ビヒクルA130gと導電
性粉末100g(平均粒径0.2μmのすず粉5gと平
均粒径0.2μmの亜鉛粉5gと平均粒径0.2μmの
ニッケル粉90gとの混合物)とをよく混練し、ペース
トを得た。このペーストを、基体(厚さ60μmの銅
箔)に、ダイコーター法(塗布速度10mm/sec)
によって、5μmの膜厚になるように塗布した。その
後、窒素ガス中において400℃で熱処理することによ
って、脱バインダを行った。その後、混合ガス(水素5
0%−窒素50%)中において、700℃で5分間熱処
理を行うことによって、緻密な焼結層を形成した。
【0176】次に、ブチラール樹脂5wt%と、溶媒で
ある酢酸ブチル25wt%およびブチルセロソルブ70
wt%とを混合して、ビヒクルを得た。このビヒクル1
00gと導電性粉末100g(平均粒径2μmのすず粉
5gと平均粒径2μmの亜鉛粉5gと平均粒径2μmの
ニッケル粉90gとの混合物)とをよく混練し、ペース
トを得た。このペーストを、上記緻密な焼結層上に、ド
クターブレード法によって、27μmの膜厚になるよう
に塗布した。その後、窒素ガス中において400℃で熱
処理することによって、脱バインダを行った。その後、
混合ガス(水素50%−窒素50%)中において、70
0℃で5分間熱処理を行うことによって、焼結層を形成
した。このようにして、緻密な焼結層および粗い焼結層
の2層の焼結層を有するPTCサーミスタ用電極を作製
した。焼結層の表面の中心線平均粗さRaは、1.5μ
mであった。
【0177】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0178】また、導電性粉末として、銅粉等を添加し
た4種類以上の金属粉末を含む導電性粉末を用いても、
表1および表2に示す結果と同様の結果が得られた。
【0179】また、上記緻密な焼結層を形成する際に、
導電性粉末として、平均粒径0.2μmの金属粉末の代
わりに、平均粒径0.7μmの金属粉末を用いた場合に
は、焼成温度を30℃高くする必要があり、中心線平均
粗さRaが大きくなったものの、表1および表2と同様
な結果を得た。
【0180】なお、以下の方法でも、2層の焼結層を有
するPTCサーミスタ用電極を製造できる。すなわち、
まず、ビヒクルA130gと導電性粉末100g(平均
粒径0.2μmのすず粉5gと平均粒径0.2μmの亜
鉛粉5gと平均粒径0.2μmのニッケル粉90gとの
混合物)とをよく混練し、第1のペーストを得た。この
第1のペーストを、基体(厚さ60μmの銅箔)に、ダ
イコーター法(塗布速度10mm/sec)によって、
5μmの膜厚になるように塗布し、塗布した第1のペー
ストを乾燥させた。次にブチラール樹脂5%に溶媒であ
る酢酸ブチル25%ブチルセロソルブ70%とを混合し
て、ビヒクルを得た。このビヒクル100gと2μmの
すず粉5gと2μmの亜鉛粉5gと2μmのニッケル粉
90gの比で配合したもの(導電性粉末)をよく混練
し、第2のペーストを得た。この第2のペーストを、第
1のペーストが塗布された銅箔にドクターブレード法
(塗布速度)によって27μmの膜厚に10mm/se
cにて塗布し、窒素ガス中において400℃で熱処理す
ることによって、脱バインダを行った。その後、混合ガ
ス(水素50%−窒素50%)中において、700℃で
5分間熱処理を行うことによって焼結層を形成し、PT
Cサーミスタ用電極を得た。このようにして形成された
焼結層の表面の中心線平均粗さRaは、1.7μmであ
った。上記製造方法によって形成されたPTCサーミス
タ用電極を用いてPTCサーミスタを作製した。その結
果、試験前抵抗値46mΩ、試験後抵抗値68mΩ、抵
抗値変化率48%、引き剥がし強度21.6N/cm2
(2.2kgf/cm2)のPTCサーミスタが得られ
た。
【0181】(実施例40)ビヒクルA100gと平均
粒径3μmのニッケル粉(導電性粉末)100gとをよ
く混練し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ1μ
mのニッケルをメッキした基体(厚さ60μmの銅箔)
に、ドクターブレード法によって27μmの膜厚になる
ように塗布した。なお、基体である銅箔には、メッキを
する前に、220メッシュパスのアルミナを用いてサン
ドブラスト処理を行って、表面に凹凸を形成しておい
た。その後、窒素ガス中において390℃で熱処理する
ことによって、脱バインダを行った。その後、混合ガス
(水素50%−窒素50%)中において、890℃で5
分間熱処理を行うことによって焼結層を形成し、PTC
サーミスタ用電極を得た。このようにして形成された焼
結層の表面の中心線平均粗さRaは、3.5μmであっ
た。
【0182】なお、上記実施例では、基体である金属箔
の種類、メッキの有無、導電性粉末のメッキの有無にか
かわらず、良好な結果が得られた。
【0183】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0184】(実施例41)ビヒクルA100gと平均
粒径3μmのニッケル粉(導電性粉末)100gとをよ
く混練し、ペーストを得た。このペーストを、基体(3
規定の硝酸を用いて化学エッチングを行い、表面に凹凸
を形成した厚さ60μmの銅箔)に、ドクターブレード
法によって27μmの膜厚になるように塗布した。その
後、窒素ガス中において500℃で熱処理することによ
って、脱バインダを行った。その後、混合ガス(水素5
0%−窒素50%)中において、1000℃で5分間熱
処理を行うことによって焼結層を形成し、PTCサーミ
スタ用電極を得た。このようにして形成された焼結層の
表面の中心線平均粗さRaは、3μmであった。
【0185】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0186】なお、基体をエッチングして凹凸を形成す
るために用いるエッチング液には、様々なものを用いる
ことができるが、硫酸−過酸化水素系のエッチング液を
用いることによって、特に大きな凹凸を形成することが
できた。エッチング液を選択することによって、基体で
ある金属箔の種類、メッキの有無、導電性粉末のメッキ
の有無にかかわらず、良好な結果が得られた。
【0187】(実施例42)ビヒクルA100gと平均
粒径2μmのニッケル粉(導電性粉末)100gとをよ
く混練し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ0.
1μmのニッケルをメッキした基体(メッキする前に3
規定の塩化ナトリウム水溶液中で電解エッチングを行う
ことによって、表面に凹凸を形成した厚さ60μmの銅
箔)に、ドクターブレード法によって27μmの膜厚に
なるように塗布した。その後、窒素ガス中において39
0℃で熱処理することによって、脱バインダを行った。
その後、混合ガス(水素50%−窒素50%)中におい
て、890℃で5分間熱処理を行うことによって焼結層
を形成し、PTCサーミスタ用電極を得た。このように
して形成された焼結層の表面の中心線平均粗さRaは、
3.5μmであった。
【0188】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0189】なお、基体として、メタリコン(金属溶射
被覆法)によって表面に凹凸を形成した銅箔を用いて
も、同様の結果が得られた。
【0190】(実施例43)エチルセルロース4wt%
と、溶媒であるエタノール48wt%およびトルエン4
8wt%とを混合して、ビヒクルを得た。このビヒクル
100gと平均粒径2μmのニッケル粉(導電性粉末)
100gとをよく混練し、ペーストを得た。このペース
トを、厚さ1μmのニッケルをメッキした基体(厚さ6
0μmの銅箔)に、ドクターブレード法によって27μ
mの膜厚になるように塗布した。その後、窒素ガス中に
おいて390℃で熱処理することによって、脱バインダ
を行った。その後、混合ガス(水素50%−窒素50
%)中において、900℃で5分間熱処理を行うことに
よって焼結層を形成し、PTCサーミスタ用電極を得
た。このようにして形成された焼結層の表面の中心線平
均粗さRaは、2.5μmであった。
【0191】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0192】(実施例44)ビヒクルA100gと導電
性粉末100g(厚さ0.5μmのニッケルをメッキし
た平均粒径2μmの鉄粉5gと厚さ0.5μmのニッケ
ルをメッキした平均粒径2μmの銅粉5gと平均粒径2
μmのニッケル粉90gとの混合物)とをよく混練し、
ペーストを得た。このペーストを、厚さ1μmのニッケ
ルをメッキした基体(厚さ60μmの銅箔)に、ドクタ
ーブレード法によって27μmの膜厚になるように塗布
した。その後、窒素ガス中において450℃で熱処理す
ることによって、脱バインダを行った。その後、混合ガ
ス(水素50%−窒素50%)中において、900℃で
5分間熱処理を行うことによって焼結層を形成し、PT
Cサーミスタ用電極を得た。このようにして形成された
焼結層の表面の中心線平均粗さRaは、2μmであっ
た。
【0193】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0194】(実施例45)ビヒクルA80gと導電性
粉末100g(平均粒径2μmのすず粉5gと平均粒径
2μmの亜鉛粉5gと平均粒径50μmのニッケル粉9
0gとの混合物)とをよく混練し、ペーストを得た。こ
のペーストを、厚さ1μmのニッケルをメッキをした基
体(厚さ60μmの銅箔)に、ドクターブレード法によ
って、150μmの膜厚になるように塗布した。その
後、窒素ガス中において390℃で熱処理することによ
って、脱バインダを行った。その後、混合ガス(水素5
0%−窒素50%)中において、700℃で15分間熱
処理を行うことによって焼結層を形成し、PTCサーミ
スタ用電極を得た。このようにして形成された焼結層の
表面の中心線平均粗さRaは20μmであった。
【0195】なお、導電性粉末として、平均粒径が50
μm以下の導電性粉末を用いることによって、ペースト
中で導電性粉末が沈殿することを抑制でき、特に容易に
ペーストを基体に塗布することができた。
【0196】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0197】なお、導電性粉末として、ニッケル粉の含
有量が40wt%以上の導電性粉末を用いることによっ
て、銅箔との接着力が特に大きくなった。
【0198】(実施例46)ビヒクルA110gと導電
性粉末100g(平均粒径0.7μmのすず粉5gと平
均粒径0.7μmの亜鉛粉5gと平均粒径0.7μmの
ニッケル粉90gとの混合物)とをよく混練し、ペース
トを得た。このペーストを、厚さ1μmのニッケルをメ
ッキした基体(厚さ60μmの銅箔)に、ドクターブレ
ード法によって27μmの膜厚になるように塗布した。
その後、窒素ガス中において390℃で熱処理すること
によって、脱バインダを行った。その後、水素ガス中に
おいて、700℃で15分間熱処理を行うことによって
焼結層を形成し、PTCサーミスタ用電極を得た。この
ようにして形成された焼結層の表面の中心線平均粗さR
aは、0.5μmであった。
【0199】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0200】なお、導電性粉末として、ニッケル粉の含
有量が70wt%以上の導電性粉末を用いることによっ
て、銅箔との接着力が特に大きくなった。
【0201】また、上記実施例では、ブチラール樹脂の
代わりに、メチルセルロース、エチルセルロース、ニト
ロセルロース等のセルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリ
アセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂またはロジ
ン等を用いてもよい。
【0202】(実施例47)メチルセルロースの含有量
が3.5wt%である水溶液100gと平均粒径2μm
のニッケル粉(導電性粉末)90gとをよく混練し、ペ
ーストを得た。このペーストを、厚さ60μmの銅箔
(基体)に、ドクターブレード法、リバーシブルロール
法またはスクリーン印刷法によって、27μmの膜厚に
なるように塗布した(塗布速度10mm/sec)。そ
の後、好ましくは5%以下の水素ガスを含む窒素ガス中
で、350℃の温度で圧延ロール処理または熱プレス処
理を行った。その後、450℃で熱処理することによっ
て、脱バインダを行った。その後、混合ガス(水素35
%−窒素65%)中において、950℃で5分間熱処理
を行うことによって焼結層を形成し、PTCサーミスタ
用電極を得た。このようにして形成された焼結層の表面
の中心線平均粗さRaは、2μmであった。
【0203】なお、室温のような低温で圧延ロール処理
や熱プレス処理を行うよりも、高温(たとえば350℃
以上)で処理したほうが、基体とニッケル粉末との密着
性が大きくなった。
【0204】また、基体として、ニッケル箔、あるいは
ニッケルをメッキした鉄箔、あるいはニッケルをメッキ
した銅箔、あるいはニッケル、銅、銀、金、パラジウ
ム、亜鉛、クロム、白金、すず、コバルト、インジウ
ム、リン青銅、黄銅、洋白、ニッケルリン、ニッケルボ
ロンまたはこれらの合金またはこれらの化合物によるメ
ッキが施された金属箔を用いても、同様の結果が得られ
た。
【0205】また、導電性粉末として、銅、銀、亜鉛、
パラジウム、金、白金、コバルト、鉄、チタン、ニッケ
ルリン、ニッケルボロン、モリブデン、タングステン、
マンガン、鉛、またはこれらを含む合金からなる導電性
粉末、あるいはこれらにメッキを行った導電性粉末を用
いても、良好な結果が得られた。
【0206】特に、基体および導電性粉末に、ニッケル
リンまたはニッケルボロンをメッキした場合には、良好
な結果が得られた。
【0207】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0208】(実施例48)ビヒクルA100gと平均
粒径3μmのニッケル粉(導電性粉末)100gとをよ
く混練し、ペーストを得た。このペーストを、厚さ1μ
mのニッケルリンを無電解メッキした基体(厚さ60μ
mの銅箔)に、ドクターブレード法によって27μmの
膜厚になるように塗布した。その後、窒素ガス中または
空気中において450℃で熱処理することによって、脱
バインダを行った。その後、混合ガス(水素50%−窒
素50%)中において、800℃で5分間熱処理を行う
ことによって焼結層を形成し、PTCサーミスタ用電極
を得た。このようにして形成された焼結層の表面の中心
線平均粗さRaは、3.5μmであった。
【0209】なお、ニッケルリンの代わりにニッケルボ
ロンをメッキした基体を用いても、同様の結果が得られ
た。
【0210】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0211】なお、基体として、ニッケル箔、あるいは
ニッケルをメッキした鉄箔、あるいはニッケルをメッキ
した銅箔、あるいはニッケル、銅、銀、金、パラジウ
ム、亜鉛、クロム、白金、すず、コバルト、インジウ
ム、リン青銅、洋白、ニッケルリン、ニッケルボロンま
たはこれらの合金若しくはこれらの化合物がメッキされ
た金属箔を用いても同様の結果が得られた。
【0212】また、導電性粉末として、銅、銀、亜鉛、
パラジウム、金、白金、コバルト、鉄、チタン、ニッケ
ルリン、ニッケルボロンからなる導電性粉末や、これら
にメッキをした導電性粉末を用いても、良好な結果が得
られた。
【0213】(比較例)メッキ法によって形成した銅箔
(電解銅箔)に厚さ1μmのニッケルをメッキした後、
電流密度を上げて上記ニッケルメッキ上にさらに電着に
よってニッケルを析出させ、表面を粗化した。このよう
にして形成されたニッケルメッキ層の表面の中心線平均
粗さRaは、1.5μmであった。
【0214】さらに、2枚の上記PTCサーミスタ用電
極を用いて、実施例1と同様にPTCサーミスタを作製
した。そして、実施例1と同様の条件で、過電流印加サ
イクル試験および引き剥がし試験を行った(表1および
表2参照)。
【0215】表1に示すように、比較例のPTCサーミ
スタでは、抵抗値変化率が50%以上と大きかった。そ
して、比較例のPTCサーミスタでは、過電流印加サイ
クル試験後に、保証通電電流(具体的には、1A)を通
電しようとしても通電できなかった。一方、実施例1な
いし48のPTCサーミスタでは、抵抗値変化率が50
%以下と小さかった。また、実施例1ないし48のPT
Cサーミスタでは、過電流印加サイクル試験後でも、保
証通電電流を通電することができた。
【0216】さらに、表2に示すように、比較例のPT
Cサーミスタでは、PTCサーミスタ用電極と導電性ポ
リマとの間の引き剥がし強度が小さかったのに対し、実
施例1ないし48のPTCサーミスタでは、9.8N/
cm2(1kgf/cm2)以上の引き剥がし強度(実用
上問題がない値である)が得られた。
【0217】以上、本発明の実施形態について例を挙げ
て説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されず
本発明の技術的思想に基づき他の実施形態に適用するこ
とができる。
【0218】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のPTCサ
ーミスタ用電極は、導電性を有する基体と、基体上に形
成された焼結層とを含み、焼結層は、導電性粉末を焼結
することによって形成された導電性を有する焼結層であ
る。したがって、本発明のPTCサーミスタによれば、
導電性ポリマとの接着力が大きく、製造が容易なPTC
サーミスタ用電極が得られる。
【0219】また、本発明のPTCサーミスタ用電極の
製造方法は、導電性を有する基体の表面に、導電性粉末
を含むペーストを塗布する第1の工程と、前記ペースト
を熱処理することによって前記導電性粉末を含む焼結層
を形成する第2の工程とを含む。したがって、上記製造
方法によれば、本発明のPTCサーミスタ用電極を容易
に製造できる。特に、上記製造方法によれば、ペースト
中の導電性粉末の形状や粒径を変化させることによっ
て、中心線平均粗さを、容易にコントロールすることが
できる。
【0220】また、本発明のPTCサーミスタは、一対
の電極と前記一対の電極間に配置された導電性ポリマと
を含むPTCサーミスタであって、電極が上記本発明の
PTCサーミスタ用電極であることを特徴とする。した
がって、上記本発明のPTCサーミスタによれば、PT
Cサーミスタ用電極と導電性ポリマとの接着強度が大き
く、過電流を繰り返し印加しても抵抗値変化率が小さい
PTCサーミスタが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のPTCサーミスタ用電極について、
一例を示す断面図である。
【図2】 本発明のPTCサーミスタ用電極について、
他の一例を示す断面図である。
【図3】 本発明のPTCサーミスタ用電極について、
その他の一例を示す断面図である。
【図4】 本発明のPTCサーミスタ用電極について、
さらにその他の一例を示す断面図である。
【図5】 中心線平均粗さRaの測定方法を示す模式図
である。
【図6】 本発明のPTCサーミスタ用電極の製造方法
について、一例を示す工程図である。
【図7】 本発明のPTCサーミスタ用電極の製造方法
について、製造装置の一例を示す模式図である。
【図8】 本発明のPTCサーミスタについて、一例を
示す断面図である。
【符号の説明】
10、10a、10b、10c PTCサーミスタ 11、11a 基体 12 焼結層 12a 第1の焼結層 12b 第2の焼結層 13 金属膜 14 凹凸形状 61 導電性粉末 62 ペースト 80 PTCサーミスタ 81 導電性ポリマ Ra 中心線平均粗さ L 基準長さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森本 光一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 小島 潤二 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 井垣 恵美子 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−21208(JP,A) 特開 平9−219302(JP,A) 特開 平10−125504(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01C 7/02 - 7/22

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の電極と、前記一対の電極の間に配
    置されたPTC特性を有するポリマシートとを備えるP
    TCサーミスタであって、 前記ポリマシートが導電性粒子を含む結晶性ポリマから
    なり、 前記電極は、金属からなり導電性を有する基体と、前記
    基体上に形成された焼結層とを含み、 前記焼結層は、金属材料からなる導電性粉末を焼結する
    ことによって形成された導電性を有しバインダを含まな
    い焼結層であって、且つ、表面に凹凸形状を有する焼結
    層であり、且つ前記ポリマシートに接していることを特
    徴とするPTCサーミスタ。
  2. 【請求項2】 前記焼結層の中心線平均粗さRaが、
    0.5μm以上20μm以下である請求項1に記載のP
    TCサーミスタ。
  3. 【請求項3】 前記導電性粉末の表面に金属膜が形成さ
    れている請求項1に記載のPTCサーミスタ。
  4. 【請求項4】 前記導電性粉末の表面に形成された前記
    金属膜が前記基体と同一の金属材料からなる請求項3に
    記載のPTCサーミスタ。
  5. 【請求項5】 前記導電性粉末の表面に形成された前記
    金属膜が前記基体よりも融点が低い金属材料からなる請
    求項3に記載のPTCサーミスタ。
  6. 【請求項6】 前記基体と前記焼結層との間に形成され
    た金属膜を備える請求項1に記載のPTCサーミスタ。
  7. 【請求項7】 前記金属膜は、ニッケル、銅、銀、金、
    パラジウム、チタン、亜鉛、モリブデン、タングステ
    ン、マンガン、鉛、クロム、白金、すず、コバルトおよ
    びインジウムから選ばれる少なくとも一つの元素を含む
    請求項6に記載のPTCサーミスタ。
  8. 【請求項8】 前記焼結層は、前記基体側から積層され
    た第1の焼結層と第2の焼結層とを含み、 前記第1の焼結層は、平均粒径が0.1μm以上1μm
    以下の導電性粉末を焼結して形成した焼結層であり、 前記第2の焼結層は、平均粒径が1μm以上の導電性粉
    末を焼結して形成した 焼結層である請求項1に記載のP
    TCサーミスタ。
  9. 【請求項9】 前記導電性粉末が、鉄、ニッケル、銅、
    銀、金、パラジウム、亜鉛、モリブデン、タングステ
    ン、マンガン、鉛、クロム、白金、すず、コバルト、イ
    ンジウムおよびチタンから選ばれる少なくとも一つの元
    素を含む金属材料からなる請求項1に記載のPTCサー
    ミスタ。
  10. 【請求項10】 前記基体が、鉄、銅およびニッケルか
    ら選ばれる少なくとも一つの元素を含む金属材料からな
    請求項1に記載のPTCサーミスタ。
  11. 【請求項11】 前記基体は、表面に凹凸形状を有する
    請求項1に記載のPTCサーミスタ。
  12. 【請求項12】 一対の電極と、前記一対の電極の間に
    配置されたPTC特性を有するポリマシートとを備える
    PTCサーミスタの製造方法であって、 金属からなり導電性を有する基体の表面に、金属材料か
    らなる導電性粉末を含むペーストを塗布する第1の工程
    と、 前記ペーストを熱処理することによって前記導電性粉末
    を焼結させてバインダを含まない焼結層を形成する第2
    の工程と、 前記焼結層が形成された前記基体を電極として2つ用意
    し、その焼結層で、PTC特性を有するポリマシートを
    挟む第3の工程とを含むことを特徴とするPTCサーミ
    スタの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記第1の工程の前に、前記基体の表
    面に金属膜を形成する工程をさらに備える請求項12に
    記載のPTCサーミスタの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記導電性粉末は、平均粒径が0.1
    μm以上1μm以下であり、 前記第2の工程の後であって前記第3の工程の前に、金
    属材料からなり平均粒径が1μm以上の第2の導電性粉
    末を含むペーストを前記焼結層に塗布したのち熱処理す
    ることによって、前記焼結層に積層された第2の焼結層
    を形成する工程を含む請求項12に記載のPTCサーミ
    スタの製造方法。
  15. 【請求項15】 前記第1の工程は、前記ペーストを塗
    布した後、前記基体に塗布されたペーストを乾燥し圧延
    する工程をさらに備える請求項12に記載のPTCサー
    ミスタの製造方法。
  16. 【請求項16】 前記熱処理は、還元性雰囲気中で行わ
    れる請求項12に記載のPTCサーミスタの製造方法。
  17. 【請求項17】 前記導電性粉末が、鉄、ニッケル、
    銅、銀、金、パラジウム、亜鉛、モリブデン、タングス
    テン、マンガン、鉛、クロム、白金、すず、コバルト、
    インジウムおよびチタンから選ばれる少なくとも一つの
    元素を含む金属材料からなる請求項12に記載のPTC
    サーミスタの製造方法。
  18. 【請求項18】 前記基体が、鉄、銅およびニッケルか
    ら選ばれる少なくとも一つの元素を含む金属材料からな
    請求項12に記載のPTCサーミスタの製造方法。
  19. 【請求項19】 前記第1の工程の前に、前記基体の表
    面に凹凸形状を形成する工程をさらに備える請求項12
    に記載のPTCサーミスタの製造方法。
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