JP3457268B2 - クランクシャフト軸頚部の加工装置及び加工方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、請求項１のプレア
ンブルに記載のように、クランクシャフトのクランクシ
ャフト軸頚部の加工に用いられる移動可能な加工装置
と、この装置を使用するための、請求項１８から２０に
記載の方法とに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】外周上にスプロケットホイール状の歯が
形成された２つの分割回転リングを有し、該回転リング
の半径方向位置が、プラスチックからなる摺動ブロック
によってクランクシャフト軸頚部間の移行溝上に保持さ
れガイドされるという形態の装置は公知である。回転リ
ングの駆動は、一方の回転リングに掛けられたローラー
チェーンを介し、圧縮空気で駆動されるモーターによっ
て行われる。他方の回転リングはねじ込み可能なスペー
サロッドによって被駆動回転リングに連結されている。
摺動面の機械加工は、回転リングが回転し、該加工装置
に取付けられカップホイールを備えた圧縮空気式研削装
置によって行われる。仕上げ加工は、該加工装置に取付
けられた軌道式研削装置によって、または、手動のやす
り掛けまたは砥石掛けによって可能である。その後、移
行溝は、手動ガイドされる半径方向研削装置によって再
仕上げされなければならない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】研削による加工効率の
悪さのため、この方法は経済的ではなく、また、作業領
域が健康に有害な研削ダストによって汚れるので、清浄
化に多大な経費が必要である。

【０００４】移行溝の摺動ブロックによるガイドは精密
ではなく遊びを有するので、加工時間が増大し、なおか
つ大きな余肉を残さなければならない。この余肉は複雑
な手作業により仕上げられなければならず、製造品質の
低下を招き、多大な時間の浪費につながる。

【０００５】装置の組立て及びクランクシャフト軸頚部
における位置調整にも時間がかかる。装置に接続されて
いる圧縮空気用ホースは、装置の作動と共に自動的に巻
き上げられてしまうので、これを戻すために装置の回転
方向は定期的に逆転されなければならない。

【０００６】独国特許文献第34 34 140号は、架台上に
懸架され、ローラーまたは摺動ブロックによってクラン
クシャフト軸頚部上に支持される装置を開示している。
この装置は、架台のおかげで回転するクランクシャフト
軸頚部に追従し、電気的水準器によってクランクシャフ
ト中心軸頚部に対して常に平行な位置に保持される。加
工は被駆動研削シリンダによって行われる。

【０００７】この装置は、研削方法に関する先に述べた
欠点の他に、加工装置の周辺で振動が発生した場合に、
平行状態を保つ制御が不正確になる危険性を有し、従っ
て、例えば船上で使用される場合などには加工品質が低
下する。さらに、クランクシャフトの主ベアリングが加
工最中に回転によってストレスを受け、場合によっては
損傷することがある。

【０００８】独国実用新案第77 09 500号公報は、クラ
ンクシャフトの腕部に軸線方向及び半径方向に調節可能
な状態で取付けられる分割可能な固定アウターリングを
備えた装置を開示している。このアウターリング内に
は、変速機によって駆動されるキャリヤリングが回転自
在に設けられている。キャリヤリングは、ガイドに沿っ
て軸線方向に変位可能なスライド部材を保持している。
このスライド部材には、クランクシャフト軸頚部加工用
のカッターが取付けられ、このカッターは、送り装置に
よって軸頚部摺動面に沿って変位可能とされている。

【０００９】この装置の組立て作業及び取付け作業は非
常に複雑であり、また、固定アウターリングの位置を精
密に調整するためには長時間を要する。

【００１０】本発明の目的は、クランクシャフトのクラ
ンクシャフト軸頚部の迅速かつ精密な加工が可能であ
り、なおかつ構造が簡単な装置と、該装置を用いた加工
方法とを提供することである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記課
題は、請求項１の特徴部分、及び請求項１８から２０に
記載の方法によって解決される。

【００１２】本発明の装置を使用した加工方法は、設定
された寸法公差、形状公差、位置公差内の加工を実現す
る。また、素材から加工を行う際に必要である手作業に
よる仕上げ工程を極くわずかに抑えた表面仕上げを可能
にする。

【００１３】特に有利な点は、装置の取付け及び操作が
簡単であるので、加工時間を大幅に削減でき、その結
果、加工の全体的な経済性が向上することである。

【００１４】仕上げ加工の際の研削粉が低減されるの
で、健康に有害な研削ダストに悩まされることもほぼ完
全になくなる。

【００１５】この取付け方法は、孔を必要としない点で
特に優れており、従って、加工終了後においても、材料
の切除や特性変化によってクランクシャフトの強度が低
下することはない。特に、エンジンに装着されている損
傷したクランクシャフト軸頚部（例えば硬化した表面を
有している）を、構造的に許容される下限直径まで再加
工することが可能である。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、図面と共に示す本発明に係
る実施形態を参照しながら、本発明をより詳細に説明す
る。

【００１７】図１は、クランクシャフト中心軸頚部を備
えたクランクシャフト２を切断してその一部を示してい
る。クランクシャフト２は、クランクシャフト腕部によ
って境界が定められたクランクシャフト軸頚部３を有し
ている。クランクシャフト軸頚部３の摺動面からクラン
クシャフト腕部への移行部分には移行溝２０が形成され
ている。

【００１８】装置１は、クランクシャフト腕部の２つの
面のそれぞれに、１つずつの分割インナーリング６を介
して取付けられている。インナーリング６は、複数の固
定用断片８によってクランクシャフト軸頚部の軸線に対
して同心円状に位置決めされている。これら固定用断片
８それぞれのクランクシャフト軸頚部３の摺動面に接す
る面は、該摺動面に正確に合った凹状円弧とされてい
る。好ましい構成では、分割リング６の上半分及び下半
分のそれぞれに、２つずつの固定用断片８が取り外し可
能な状態でねじ止めされる。本発明に従って加工を行う
際、前記固定用断片は、摺動面においてそれらが覆って
いる境界領域が加工されるときまで取外されることはな
い。というのは、この時点まで、前記固定用断片８は付
加的な半径方向固定部材として使用可能であるからであ
る。異なる軸頚部径に対しては、適合する円弧を有して
対応する固定用断片８を作成する必要がある。

【００１９】また好ましい構成では、インナーリング６
は、クランクシャフト腕部の両内側面に強力な円形磁石
によって固定される。これら磁石９は、分割インナーリ
ング６の下半分に設けられた段差状の複数の穴内に収容
されている。これらの穴は所定のピッチ円上に並べら
れ、その内径、数、及びピッチ円の直径は、磁石９がク
ランク腕部側面に対して最大の吸着力を発揮するように
最適化される。インナーリング６を取付ける別の方法と
して、インナーリング６とクランク腕部側面との間に接
着剤を使用することもできる。この場合接着剤は、装置
１を取外す際には化学溶媒によって残留物を残すことな
く除去できるものとされる。

【００２０】インナーリング６のクランクシャフト主軸
に対する直角度、及びインナーリング６同士の平行度の
調整は、複数のスタッドボルト２６によって行われる。
これらスタッドボルト２６は、インナーリング６に設け
られた雌ねじ穴にねじ込まれ、クランク腕部側面に対し
て位置決めされる。こうして、固定用断片８が外された
際に生じる可能性のある装置１の半径方向へのずれが防
止される。

【００２１】２つのインナーリング６の位置はダイヤル
ゲージ１２，２１を用いて検査される。半径方向の変位
は、ダイヤルゲージ１２によって示される。ダイヤルゲ
ージ１２は、インナーリング６のクランクシャフト腕部
から突出している部分に磁力ホルダー等によって取付け
られ、その先端部は、クランクシャフト腕部の半径方向
外面に配置される。軸線方向の変位は、さらなるダイヤ
ルゲージ２１によって測定される。ダイヤルゲージ２１
は、クランクシャフト腕部外面に磁力ホルダーまたはそ
の他の固定手段によって取付けられ、その先端部は、イ
ンナーリング６の突出部に、軸線方向を向いて突き当て
られている。

【００２２】インナーリング６の外周面には、回転リン
グ４を遊びなくガイドするために複数の突出ローラー７
が埋め込まれている。この目的のために、好ましくは、
一般的に入手可能な深溝ボールベアリングが使用され
る。これらボールベアリングは、遊びのない回転軸受け
機能及びアウターリングのガイド機能という２つの機能
を果たす。分割回転リング４の対向振動が対向するロー
ラー７に同時に伝わることを避けるために、ローラー７
は、インナーリング６の外周上に不等間隔で配置されて
いる。回転リング４は、ローラー７によって、軸線方向
及び半径方向の両方向に関して遊びなくガイドされる。

【００２３】ローラー７を粉塵から保護するために、イ
ンナーリング６と回転リング４との間には、詳細を図示
しないシール部材が設けられている。

【００２４】クランク腕部両側面に配置された回転リン
グ４は、複数のスペーサプレート１１によって互いに連
結されており、その回転駆動は、回転リング４と一体に
形成された歯切り部５に掛けられたローラーチェーン１
９によってなされる。この歯切り部５は、両回転リング
４によって押圧された付加的なリング上に設けてもよ
い。

【００２５】複数のスペーサプレート１１は輪郭周上で
互いに対向配置され、その各々は、アングル部において
回転リング４にねじ止めされている。

【００２６】好ましくは２つあるスペーサプレート１１
のうち一方には、送り装置１４が取付けられている。送
り装置１４は、スピンドル１５によってクランクシャフ
ト軸頚部３の軸線に沿って移動する。好ましい実施形態
では、スピンドル１５はねじ付きスピンドルとされ、そ
の両端部は、両回転リング４内に、回転自在に、しかし
軸線方向移動は規制された状態で取付けられている。一
方の回転リング４に近い部分のスピンドル１５上には星
形の駆動部材１６が取付けられている。この駆動部材１
６は、回転リング４の１回転につき１回、対応するイン
ナーリング６に取付けられた送りフィンガー２２と噛合
うようになっている。こうして、スピンドル１５が所定
角度だけ回転する。この角度は調節可能である。送り部
材３７に組込まれたスピンドルナットはスピンドル１５
と相互作用する。送り部材３７は、スペーサプレート１
１に形成された開口部を通って突出し、プレート２４に
連結されている。この開口部は、全移動経路にわたって
延在している。プレート２４は、複数の直線ガイド部材
１３上でスライド部材２３によって遊びのない形態でガ
イドされる。直線ガイド部材１３は、スペーサプレート
１１の開口部の両側において移動経路に沿って取付けら
れている。直線ガイド部材１３は、好ましくは、スペー
サプレート１１の下面、すなわち機械加工される摺動面
に面しているスペーサプレート１１の面に取付けられ
る。プレート２４には、調整部材１７を保持しているホ
ルダー２５が取付けられている。調整部材１７の主軸
は、好ましくは、クランクシャフト軸頚部３の回転軸線
に対して３０°の角度を有して取付けられる。しかし、
調整部材１７の取付け角度は、約０〜９０°の間に入る
他の角度としてもよい。好ましい構成によれば、調整刻
みが例えば0.01mmである市場で入手可能な精密穴コレッ
トが調整部材１７として使用される。調整部材１７に
は、回転機械加工を行うために用いられる切削部材１８
が取付けられている。適切な切削部材１８としては、超
高速度鋼、超硬金属、またはセラミック切削材からなる
反転可能な切削チップ、旋盤用工具、及びその類いが挙
げられる。

【００２７】ホルダー２５には、従来技術として公知の
圧縮空気式研削装置、例えば植刃式正面フライスといっ
たフライス工具を有するフライス装置を取付けてもよ
い。

【００２８】これらの研削装置またはフライス装置は、
スペーサプレート１１に直接取付けてもよい。このよう
な構成では、クランクシャフト軸頚部の摺動面上で１つ
の加工筋を仕上げた後、さらなる加工筋を加工するため
に、研削装置またはフライス装置は軸線方向に移動され
なければならない。これらの装置は、図示する砥粒式研
削装置３８の場合と同様の方法で取付けることができ
る。

【００２９】砥粒式研削装置３８は、係合面がクランク
シャフト軸頚部３の円筒面に合った凹面とされている成
形ブロック２９を有して構成されている。上記係合面
は、表面仕上げの慣用手段であるように、砥粒布または
それに類する材料で覆われている。成形ブロック２９
は、スペーサプレート１１にねじ込まれるねじ付きロッ
ド２８によってスペーサプレート１１に取付けられてい
る。従って、摺動面に対する成形ブロック２９の押付け
力は調節することができる。この押付け力は材料の削り
量に影響する。ねじ付きロッドを収容するために、スペ
ーサプレート１１には複数の孔部２７が設けられてい
る。これら孔部２７は、クランクシャフト軸頚部の軸線
に沿って直線状に配置され、こうして成形ブロック２９
を、クランクシャフト軸頚部３の摺動面の幅全域にわた
って移動させることが可能になっている。

【００３０】図２，図３では装置１を側面図で示してい
る。これらの図においては、インナーリング６上に設け
られた固定用断片８の配置、及びクランクシャフト軸頚
部３の摺動面に対する固定用断片８の当接状態が示され
ている。さらに、インナーリング６及び回転リング４の
分割された二部分の連結部とねじ結合状態とが示されて
いる。複数のローラー７がインナーリング６の外周部に
不等間隔で配置されていることを明瞭に示すために、実
際には見えないローラー７の周縁部を破線で描いてい
る。送りフィンガー２２は、図では装置１の水平中央面
付近に配置され、かつマウント３０によってオフセット
が与えられている。マウント３０は、両リング４，６に
よってほぼ隠されているが、インナーリング６に取付け
られている。

【００３１】両インナーリング６を平行に保つために設
けられているスタッドボルト２６も、同様に図の中に見
ることができる。

【００３２】回転リング４と共に回転するスペーサプレ
ート１１は切断状態で示している。ここでは、送り部材
３７のための直線ガイド部材１３及び開口部のみが、上
部に描かれたスペーサプレート１１上に見られる。下方
に描かれたスペーサプレート１１上には、クランクシャ
フト軸頚部３に凹面で当接する成形ブロック２９を接続
するための連結用アングル材とねじ付きロッド２８とが
見られる（アングル材は上方のスペーサプレート上にも
見られる）。

【００３３】回転駆動は、回転リング４の一方の歯切り
部５周りに掛けられたローラーチェーン１９を介してモ
ーター３３により行われる。このモーターは、好ましく
は、圧縮空気で作動するものとされ、かつチェーン用ピ
ニオン３２への変更可能な伝達比を有する。ローラーチ
ェーン１９を張るために、チェーン用ピニオン３２は、
装置１とは独立に前後方向に移動可能な状態で接続され
ている。電気モーターまたはその他の駆動装置を用いる
こともできる。回転駆動は、左側回転リング４または右
側回転リング４のいずれで行うことも可能であり（図１
参照）、さらに、２つの駆動ユニット３３，３２，１
９，５を用いて両回転リング４を同時に駆動してもよ
い。

【００３４】ローラーチェーン１９に生じる横振れを減
衰させるために、及び／または該ローラーチェーンに張
力を付加するために、減衰手段と共に作用する張り調整
装置３１を設けてもよい。

【００３５】本発明による装置及び方法に関して特に強
調しておくべき利点は、これらがエンジンに装着された
クランクシャフトにも適用可能であるということであ
る。

【００３６】内燃機関のエンジンフレーム３４に装着さ
れたクランクシャフト２に本発明による移動可能な装置
１を適用した状態は、図４を参照することによって理解
されるであろう。

【００３７】図４は、エンジンの挿入部位、例えば船の
船郭または発電所のエンジンルームの基盤部に取付けら
れたエンジンフレーム３４を示す断面図である。クラン
クシャフト軸頚部領域でシリンダーに沿って設けられた
開口部３５のためのカバーは外されている。

【００３８】装置１を駆動するためのモーター３３は、
エンジンフレーム３４の外方の装置棚（図示せず）上に
取付けられ、ローラーチェーン１９によって装置を駆動
する。

【００３９】クランクシャフト２の主ベアリング、及び
本発明に関係しないその他の内燃機関部品は省略してい
る。

【００４０】クランクシャフト軸頚部３を機械加工する
ためには、まず始めに、クランクシャフト軸頚部３上に
配置され固定用断片８を有するインナーリング６の二分
割部分を互いにねじ止めし、位置調整して、それぞれの
クランク腕部側面に固定する。次いで、回転リング４の
二分割部分をインナーリング６の上に配置し、同様に、
互いをねじ固定する。この過程で、スピンドル１５及び
スペーサプレート１１は、送りユニット１４と共に既に
回転リング間に挿入するが、互いにねじ止めされた回転
リング４への固定は、それらを位置調整した後に行う。
さらなるスペーサプレート１１を、まず砥粒式研削装置
３８なしの状態で取付ける。駆動装置１９，３２，３
３，３１を取付けた後、クランクシャフト軸頚部３の摺
動面の機械加工が開始可能になる。クランクシャフト軸
頚部３の貫通孔３６に切削部材１８を当てる。この貫通
孔３６は、潤滑油供給の作用をするものである。次いで
装置１を作動させ、摺動面の加工を貫通孔３６から開始
し、軸線に沿って一方向に進めて固定用断片８付近まで
行う。その後、ホルダー２５をプレート２４上で１８０
°回転させ、同じ貫通孔から摺動面の加工を開始し、前
記と同様に、しかし反対方向に向けて進める。

【００４１】クランクシャフト軸頚部３摺動面の境界領
域を加工するためには、固定用断片８を外し、境界付近
の貫通孔３６から上記と同様に加工を始める。

【００４２】回転式加工の後、摺動面にはなお１００分
の数mmの余肉がある。この部分は、砥粒式研削装置３８
によって研削する。

【００４３】そのためには、砥粒材料を有する成形ブロ
ック２９を摺動面に当接させ、装置１により摺動面に沿
って移動させる。摺動面を軸線方向全域にわたって加工
するためには、成形ブロック２９を軸線方向に該ブロッ
クの幅程度オフセットさせなければならない。これは、
軸線方向にオフセットして設けられた対応する貫通孔２
７にねじ込まれるねじ付きロッド２８によって実現され
る。従って、この場合の加工は加工条毎に段階的に行わ
れる。

【００４４】最後に、摺動面両側の移行溝２０を、好ま
しくはホルダー２５または調整部材１７に装着された成
形工具によって再加工する。移行溝２０は、成形工具の
段階的調整によって加工される。成形工具は、移行溝２
０の対応部分に位置合わせされる複数の成形セグメント
から構成することもできる。

【００４５】移行溝２０の最終的な仕上げ加工は、装置
１を取外した後に、新構造の場合に一般的であるような
手加工で行われる。しかし、この仕上げ加工は、装置１
を用い、一方のスペーサプレート１１に取付けられた研
削装置を圧縮空気または電気で駆動することにより行う
ことも可能である。

【００４６】本加工方法を実施するにあたり装置１は、
直列型エンジン及びＶ型エンジンどちらに組付けられた
クランクシャフト２にも取付け可能であり、また、エン
ジンから取外されたクランクシャフト２にも取付け可能
である。

【００４７】装置１を、異なるタイプのエンジンの異な
るクランクシャフト２に適用する際には、直線ガイド部
材１３を備えたスペーサプレート１１、スピンドル１
５、貫通孔２７を有するスペーサプレート１１、及び固
定用断片８を交換することによって、装置１を異なる寸
法諸元に適合させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係る装置の一実施形態を示す正面図
である。

【図２】 図１に示す装置の側面図である。

【図３】 図１に示す装置をクランクシャフト軸頚部に
沿って切断した断面図である。

【図４】 図１〜図３に示す装置をエンジンに装着され
ているクランクシャフトに適用した状態を示す側面図で
ある。

【符号の説明】

１ 装置 ２ クランクシャフト ３ クランクシャフト軸頚部 ４ 回転リング ６ インナーリング ７ ローラー ８ 固定用断片 ９ 磁石 １１ スペーサプレート １２，２１ ダイヤルゲージ １４ 送り装置（送りユニット） １７ 調整部材 １８ 切削部材（工具） １９ ローラーチェーン ２０ 移行溝 ２２ 送りフィンガー ２６ スタッドボルト ３１ 張り調整装置 ３３ モーター ３８ 砥粒式研削装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−100010（ＪＰ，Ａ) 実開 平２−47161（ＪＰ，Ｕ) 西独国特許3434140（ＤＥ，Ｂ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B23P 23/02 B23B 5/20 B24B 5/42 B24B 33/04

Claims (22)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 クランクシャフト軸頚部の摺動面を加工
   するために前記クランクシャフト軸頚部の軸線方向に移
   動可能とされた加工工具（１８；２９）を有した搬送可
   能な装置であって、 前記クランクシャフト軸頚部の摺動面上に設けられる固
   定用断片（８）を介して二組の分割インナーリング
   （６）が設けられ、 二組の前記分割インナーリング（６）上にそれぞれ分割
   回転リング（４）が、前記分割インナーリング（６）に
   対して回転可能にガイドされ、 前記加工工具（１８；２９）は、前記二組の分割回転リ
   ング（４）間を移動可能に構成されており、 二組の前記分割インナーリング（６）は、前記固定用断
   片（８）によって前記クランクシャフト軸頚部（３）の
   摺動面に対する半径方向位置が位置決めされるととも
   に、二組の該分割インナーリング（６）のそれぞれはク
   ランクシャフト軸頚部（３）のクランクシャフト腕部の
   対応する側面に固定可能とされている ことを特徴とする
   装置。
2. 【請求項２】 前記インナーリング（６）の半径方向位
   置は、前記クランクシャフト軸頚部（３）の摺動面に対
   して変更可能とされていることを特徴とする請求項１に
   記載の装置。
3. 【請求項３】 前記固定用断片（８）は、取外し可能と
   されていることを特徴とする請求項１に記載の装置。
4. 【請求項４】 前記インナーリング（６）は、前記クラ
   ンクシャフト軸頚部（３）のクランク腕部側面に磁石に
   よって固定可能とされていることを特徴とする請求項１
   に記載の装置。
5. 【請求項５】 前記インナーリング（６）は、前記クラ
   ンクシャフト軸頚部（３）のクランク腕部側面に化学的
   に溶解可能な接着剤によって固定可能とされていること
   を特徴とする請求項１に記載の装置。
6. 【請求項６】 前記インナーリング（６）は、前記クラ
   ンク腕部の外郭部に支持部材（１０）によって接続され
   ていることを特徴とする請求項１に記載の装置。
7. 【請求項７】 前記複数のインナーリング（６）同士
   は、前記クランク腕部側面に対して位置決めされたスタ
   ッドボルト（２６）によって互いに平行に配置可能とさ
   れていることを特徴とする請求項１に記載の装置。
8. 【請求項８】 前記複数の回転リング（４）同士は、複
   数のスペーサプレート（１１）によって互いに固定可能
   とされていることを特徴とする請求項１に記載の装置。
9. 【請求項９】 前記複数のスペーサプレート（１１）の
   少なくとも１つには送りユニット（１４）が設けられ、
   該送りユニット（１４）は、前記回転リング（４）の１
   回転毎に固定送りフィンガー（２２）によりスピンドル
   （１５）が調節可能な所定角度回転させられることによ
   って前記工具（１８）を軸線方向に移動させることを特
   徴とする請求項８に記載の装置。
10. 【請求項１０】 当該装置の作動の際に、前記インナー
    リング（６）の軸線方向位置及び半径方向位置がダイヤ
    ルゲージ（１２，２１）によって検査可能とされている
    ことを特徴とする請求項１に記載の装置。
11. 【請求項１１】 前記可動工具として、回転加工用の切
    削部材（１８）が取付けられていることを特徴とする請
    求項１に記載の装置。
12. 【請求項１２】 前記切削部材（１８）の調整部材（１
    ７）として、主軸が前記クランクシャフト軸頚部（３）
    の回転軸線に対して約０〜９０°傾いた精密穴コレット
    が設けられていることを特徴とする請求項１１記載の装
    置。
13. 【請求項１３】 前記スペーサプレート（１１）には、
    被駆動切削装置が取付けられていることを特徴とする請
    求項１に記載の装置。
14. 【請求項１４】 回転フライス加工を行うために、軸線
    方向にオフセット可能とされたフライス装置が、前記ス
    ペーサプレート（１１）の少なくとも１つに取付けられ
    ていることを特徴とする請求項８に記載の装置。
15. 【請求項１５】 前記スペーサプレート（１１）の少な
    くとも１つに、軸線方向にオフセット可能とされた研削
    装置（３８）が取付けられていることを特徴とする請求
    項８に記載の装置。
16. 【請求項１６】 前記回転リング（４）は、張り調整装
    置（３１）によって張力がかけられたローラーチェーン
    （１９）を介し、空気式モーターまたは電気モーター
    （３３）によって駆動可能とされていることを特徴とす
    る請求項１に記載の装置。
17. 【請求項１７】 前記回転リング（４）は複数のローラ
    ー（７）によってガイドされ、該複数のローラー（７）
    は、ローラーベアリングを有し、かつ前記インナーリン
    グ（６）の周上に不等間隔で取付けられていることを特
    徴とする請求項１に記載の装置。
18. 【請求項１８】 請求項１から１７のいずれか１項に記
    載の装置を用いてクランクシャフト軸頚部（３）を加工
    する方法であって、 前記クランクシャフト軸頚部（３）の摺動面及び移行溝
    （２０）を余肉を残して粗切削し、 前記摺動面の境界領域を加工するための前記固定用断片
    （８）を取外し、次いで前記装置を用いて前記摺動面を
    最終形状へと積極的に研削し、 最後に前記移行溝（２０）を仕上げ加工することを特徴
    とする方法。
19. 【請求項１９】 前記装置（１）を取外した後に、前記
    移行溝（２０）を手加工で仕上げ加工することを特徴と
    する請求項１８に記載の方法。
20. 【請求項２０】 前記移行溝（２０）を、前記装置
    （１）によって研削装置を介して仕上げ加工することを
    特徴とする請求項１８に記載の方法。
21. 【請求項２１】 回転加工に被駆動フライス工具を用い
    ることを特徴とする請求項１８に記載の方法。
22. 【請求項２２】 請求項１８から２１のいずれか１項に
    記載の方法を、クランクシャフトが取付けられているエ
    ンジンにおいて実施することを特徴とする方法。