JP3336599B2 - 窒化物半導体レーザ素子 - Google Patents
窒化物半導体レーザ素子Info
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Description
XAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)よりな
るレーザ素子に関する。
の材料として窒化物半導体が知られており、本出願人
は、最近この材料を用いてパルス電流において、室温で
の410nmのレーザ発振を発表した(例えば、Jpn.J.
Appl.Phys. Vol35 (1996) pp.L74-76)。発表したレー
ザ素子はいわゆる電極ストライプ型のレーザ素子であ
り、活性層を含む窒化物半導体層のストライプ幅を数十
μmにして、レーザ発振させたものである。しかしなが
ら,前記レーザ素子の閾値電流は1〜2Aもあり、連続
発振させるためには、さらに閾値電流を下げる必要があ
る。
化物半導体よりなるレーザ素子の構造がいくつか示され
ている。この公報では、クラッド層で挟まれたストライ
プ状の活性層の両側をi型の窒化物半導体で挟んだ埋め
込みへテロ型のレーザ素子が示されている。しかし、こ
のレーザ素子の構造では閾値電流の低下は難しい。
ーザのパルス発振が確認された現在では、早急に室温で
の連続発振が望まれている。従って、本発明はこのよう
な事情を鑑みて成されたものであって、その目的とする
ところは、窒化物半導体よりなるレーザ素子の閾値電流
を下げて室温での連続発振を目指すことにある。
ーザ素子は、基板上部に形成された活性層と、活性層上
に形成されたリッジ形状のストライプを有するAlaG
a1−aN(0≦a<1)よりなる層を有する第1のp
型クラッド層とを有し、前記リッジの頂上に窒化物半導
体が成長しない選択的性質を有する保護膜を形成してお
くことで、前記第1のp型クラッド層のストライプ側面
及び上に選択成長された埋め込み層を有し、該埋め込み
層は、II族元素よりなるp型不純物をn導電性が補償さ
れる程度ドープされたAlbGa1−bN(0<b≦
1、b>a)からなる層を有するi型の埋め込み層であ
ることを特徴とする
は、基板上部に形成された活性層と、活性層上に形成さ
れたリッジ形状のストライプを有するAlaGa1−a
N(0≦a<1)よりなる層を有する第1のp型クラッ
ド層とを有し、前記リッジの頂上に窒化物半導体が成長
しない選択的性質を有する保護膜を形成しておくこと
で、前記第1のp型クラッド層のストライプ側面及び上
に選択成長された埋め込み層を有し、該埋め込み層は、
p型不純物をドープした状態でAlの混晶比が0.4以
上のAlbGa1−bN(0<b≦1、b>a)である
層を有するi型の埋め込み層であることを特徴とする
ジ形状の側面の基板表面に対する角度が90゜以上であ
ることにより、結晶性良く埋め込み層が成長できる。埋
め込み層の表面と、第1のp型クラッド層の表面とに接
して、さらに第1のp型クラッド層よりもバンドギャッ
プエネルギーが小さい第2のp型クラッド層が、その埋
め込み層の上に形成されていると、例えば第2のp型ク
ラッド層に直接電極が形成でき、電極の接触抵抗が下が
る。
的な断面図である。基本構造として、基板10の上に、
n型コンタクト層11、n型クラッド層12、活性層1
3、p型クラッド層14、およびp型コンタクト層15
の積層構造を有しており、n型クラッド層12とp型ク
ラッド層14は、両方ともレーザ光の縦方向の光閉じ込
め層として作用している。本発明のレーザ素子では、活
性層13上にリッジ形状のストライプを有するp型クラ
ッド層14を有している。この図はストライプに垂直な
方向で素子を切断した際の断面図を示しており、リッジ
状のp型クラッド層14のストライプ側面に、活性層お
よび第1のp型クラッド層よりも屈折率の小さい窒化物
半導体よりなる埋め込み層20が形成されている。これ
により、活性層13の発光はp型クラッド層14のリッ
ジの下に集中することにより、横方向の光が制御される
ので、閾値電流が低下する。活性層13およびp型クラ
ッド層14の屈折率よりも、埋め込み層20の屈折率を
小さくするには、例えば、Al組成比が活性層およびp
型クラッド層14よりも大きい窒化物半導体で埋め込み
層20を形成すればよい。さらに、埋め込み層20は窒
化物半導体よりなっているため、窒化物半導体よりなる
p型クラッド層14の上に、同じ窒化物半導体を成長さ
せるため、埋め込み層が成長しやすく、また後に、埋め
込み層20の上にp型コンタクト層15を成長させる際
においても、結晶性良く成長できる。埋め込み層20の
導電型はn型、p型、i型いずれの導電型でも良いが、
好ましくはi型若しくはn型の導電型とする。
がInXGa1-XN(0<X<1)よりなる層を有し、p
型クラッド層がAlaGa1-aN(0≦a<1)よりなる
層を有し、埋め込み層がAlbGa1-bN(0<b≦1、
b>a)よりなる層を有する。活性層をInGaNを含
む層とするのは、InGaNは結晶の性質がAlGaN
に比べて柔らかいので、レーザ発振させるために、多重
量子井戸構造としやすいからである。またバンドギャッ
プエネルギーが1.95eV〜3.4eVまであるた
め、365nm〜660nm間での高出力なLDを実現
することができる。さらに窒化物半導体の中でも屈折率
の比較的大きな材料でもあるので、活性層にするとクラ
ッド層、電流阻止層の設計が容易になる。一方、リッジ
型のp型クラッド層をAlaGa1-aN(0≦a<1)と
すると、活性層との屈折率差を大きくできるので縦方向
の光閉じ込めが効果的に行える。さらにまた、ストライ
プ状のリッジの側面に形成されている埋め込み層を、p
型クラッド層よりもAl組成比か大きいAlbGa1-bN
(0<b≦1)とすると、屈折率がp型クラッド層より
も小さくなるため、実質的に活性層の横方向の光がリッ
ジの下に閉じ込められて、実効屈折率導波型のレーザ素
子となるため、単一モードのレーザ光が得やすくなる。
さらに好ましいことに、AlbGa1-bNはb値が大きく
なるに従って、抵抗率が大きくなるという性質を有して
いる。例えばAl組成比(b値)が0.4以上になると
その傾向が大きい。このため、i型の埋め込み層として
作用し、埋め込み層がi型となると、電流を阻止する作
用を奏するために、リッジ部分のp型クラッド層に電流
を集中させることができる。この性質はAlGaNの非
常に有用な作用である。また上記のように、電流を阻止
するためにはn型の導電型とすることも好ましい。
型クラッド層、および埋め込み層とも単一の窒化物半導
体層で形成されていなくても良く、複数の窒化物半導体
層の積層構造よりなっていても良い。この例として図3
に本発明のレーザ素子に係る他の構造を示す模式断面図
を示す。このレーザ素子は基板110の上に、n型コン
タクト層111、n型光閉じ込め層112、n型光ガイ
ド層113、多重量子井戸構造の活性層114、p型光
ガイド層115、p型光閉じ込め層116、p型コンタ
クト層117とが積層された構造となっている。n型光
閉じ込め層112、n型光ガイド層113はn型クラッ
ド層として作用し、p型光ガイド層115、およびp型
光閉じ込め層116がp型クラッド層として作用してい
る。まず、この図に示すように、活性層114の上に、
p型光ガイド層115と、p型光閉じ込め層116とか
らなるリッジ形状のストライプを有しており、リッジの
下部に活性層の光が閉じ込められる。さらに、リッジの
側面に形成された埋め込み層は活性層114側に接近し
て形成された第1の埋め込み層201と、p型コンタク
ト層117側に接近して形成された第2の埋め込み層2
02との少なくとも二層構造を有している。埋め込み層
を二層以上の構造とすると、例えばAlGaNよりなる
窒化物半導体を厚膜で形成すると、結晶中にクラックが
入りやすくなるので、クラックの入りにくい範囲でAl
GaN薄膜を積層して、全体としての埋め込み層にクラ
ックを入りにくくできる。また、活性層114は多重量
子井戸構造とされている。多重量子井戸構造とすること
により井戸層と障壁層との積層構造による量子準位間発
光が得られ、レーザ素子の活性層として特に好ましい。
なお、図2の構造のレーザ素子においても、活性層がI
nXGa1-XN(0<X<1)よりなる層を有し、p型ク
ラッド層がAlaGa1-aN(0≦a<1)よりなる層を
有し、埋め込み層がAlbGa1-bN(0<b≦1、b>
a)よりなる層(特にn型、若しくはi型)を有するこ
とが好ましい。
状の側面の基板表面に対する角度が90゜以上であるこ
とを特徴としている。つまり、図1および図2に示すθ
1およびθ2の角度が90゜以上であることが好まし
い。本発明のレーザ素子において、ストライプ状のp型
クラッド層のリッジの形状は特に問うものではなく、図
θ1、θ2が90゜よりも大きい角度、順メサ形状となる
ようにしても良く、またθ1、θ2が90゜よりも小さい
角度、逆メサ形状となるようにしても良い。しかしなが
ら、本発明では90゜以上、好ましくは90゜より大き
い角度、さらに好ましくは95゜以上にする。なぜな
ら、90゜よりも小さい逆メサ部には窒化物半導体が均
一な膜厚で成長しにくい傾向にあるからである。これに
対し、θ1、θ2を90゜以上にすると、AlGaNのよ
うな屈折率の小さい窒化物半導体でも、結晶中にクラッ
クが入らないようにして成長させることができる。
め込み層の表面と、第1のp型クラッド層の表面とに接
して、その第1のp型クラッド層よりもバンドギャップ
エネルギーが小さい第2のp型クラッド層が形成されて
いる。即ち、図1および図2ではp型コンタクト層1
5、117がその第2のp型クラッド層に相当する。電
極を形成するための第2のp型クラッド層の材料として
はp型GaNが最も好ましい。p型GaNはキャリア濃
度の高い層が得られ易く、正電極30と好ましいオーミ
ック接触が得られる他、正電極30をp型コンタクト層
のほぼ全面に形成することができるので、レーザ素子の
Vf(順方向電圧)を低下させることができる。また正
電極30を埋め込み層20、202の上に形成した場合
に比べて、素子の信頼性が良くなる。
プの長さ方向、つまり共振方向に対して平行な負電極3
1を、正電極30を挟んで対向する形状で設けている。
このように、活性層を挟んでレーザの共振方向に平行な
負電極を対向して設けることにより、電流が電極に均一
に分配されるため、窒化物半導体層に電界の集中を回避
できるので閾値電流を下げることができるという作用も
ある。この負電極の作用については、同一面側に正、負
一対の電極が形成された窒化物半導体よりなるレーザ素
子であれば、素子の構造を問わず全てについて適用可能
である。
面図であり、図4〜図7は実施例において得られるウェ
ーハの構造を示す模式的な断面図である。以下これらの
図を元に、MOVPE法により本発明のレーザ素子を作
製する方法について詳説する。
程) スピネル(MgAl2O4)111面を主面とする基板3
10をMOVPE装置の反応容器内に設置した後、原料
ガスにTMG(トリメチルガリウム)と、アンモニアを
用い、温度500℃で、基板310の表面にGaNより
なるバッファ層を200オングストロームの膜厚で成長
させる。基板310にはスピネルの他、A面、R面、C
面を主面とするサファイアも使用でき、またこの他、S
iC、MgO、GaN、Si、ZnO等の単結晶よりな
る従来より知られている基板が用いられる。バッファ層
は基板の種類、成長方法等によっては削除できるので、
図では特に示していない。
にTMG、アンモニア、ドナー不純物としてSiH4
(シラン)ガスを用いて、SiドープGaNよりなるn
型コンタクト層311を4μmの膜厚で成長させる。n
型コンタクト層311はInXAlYGa1-X-YN(0≦
X、0≦Y、X+Y≦1)で構成することができ、特にGa
N、InGaN、その中でもSiドープGaNで構成す
ることにより、キャリア濃度の高いn型層が得られ、ま
た負電極と好ましいオーミック接触が得られるので、レ
ーザ素子の閾値電流を低下させることができる。負電極
の材料としてはAl、Ti、W、Cu、Zn、Sn、I
n等の金属若しくは合金が好ましいオーミックが得られ
る。
TMG、TMI(トリメチルインジウム)、アンモニ
ア、不純物ガスにシランガスを用い、SiドープIn0.
1Ga0.9Nよりなるクラック防止層を500オングスト
ロームの膜厚で成長させる。クラック防止層はInを含
むn型の窒化物半導体、好ましくはInGaNで成長さ
せることにより、次に成長させるAlを含む窒化物半導
体よりなるn型光閉じ込め層312を厚膜で成長させる
ことが可能となり、非常に好ましい。LDの場合は、光
閉じ込め層、光ガイド層となる層を、例えば0.1μm
以上の膜厚で成長させる必要がある。従来ではGaN、
AlGaN層の上に直接厚膜のAlGaNを成長させる
と、後から成長させたAlGaNにクラックが入りやす
くなるので素子作製が困難であったが、このクラック防
止層が、次に成長させる光閉じ込め層にクラックが入る
のを防止することができる。クラック防止層は100オ
ングストローム以上、0.5μm以下の膜厚で成長させ
ることが好ましい。100オングストロームよりも薄い
と前記のようにクラック防止として作用しにくく、0.
5μmよりも厚いと、結晶自体が黒変する傾向にある。
なお、このクラック防止層も成長方法、成長装置等によ
っては省略可能であるので特に図示していないが、レー
ザ素子を作製する上では成長させる方が好ましい。
チルアルミニウム)、アンモニア、不純物ガスにシラン
ガスを用いて、Siドープn型Al0.3Ga0.7Nよりな
るn型光閉じ込め層312を0.5μmの膜厚で成長さ
せる。n型光閉じ込め層312はAlを含むn型の窒化
物半導体で構成し、好ましくは二元混晶あるいは三元混
晶のAlYGa1-YN(0<Y≦1)とすることにより、
結晶性の良いものが得られ、また活性層との屈折率差を
大きくしてレーザ光の縦方向の閉じ込めに有効である。
この層は通常0.1μm〜1μmの膜厚で成長させるこ
とが望ましい。0.1μmよりも薄いと光閉じ込め層と
して作用しにくく、1μmよりも厚いと、たとえ、クラ
ック防止層の上に成長させたAlGaNでも、結晶中に
クラックが入りやすくなり、素子作成が困難となる傾向
にある。
不純物ガスにシランガスを用い、Siドープn型GaN
よりなるn型光ガイド層313を500オングストロー
ムの膜厚で成長させる。n型光ガイド層313は、In
を含むn型の窒化物半導体若しくはn型GaN、好まし
くは三元混晶若しくは二元混晶のInXGa1-XN(0≦
X≦1)とする。この層は通常100オングストローム
〜1μmの膜厚で成長させることが望ましく、特にIn
GaN、GaNとすることにより次の活性層104を量
子構造とすることが容易に可能になる。なお、本発明で
はクラック防止層、n型光閉じ込め層312、およびn
型光ガイド層313等の活性層を挟んだ一方のn型層
は、全てn型クラッド層の中に含まれるものとする。
アを用いて活性層314を成長させる。活性層は温度を
750℃に保持して、まずノンドープIn0.2Ga0.8N
よりなる井戸層を25オングストロームの膜厚で成長さ
せる。次にTMIのモル比を変化させるのみで、同一温
度で、ノンドープIn0.01Ga0.95Nよりなる障壁層を
50オングストロームの膜厚で成長させる。この操作を
13回繰り返し、最後に井戸層を成長させ総膜厚0.1
μmの膜厚の多重量子井戸構造よりなる活性層314を
成長させる。
構成し、前記したように好ましくは三元混晶のInXG
a1-XN(0<X<1)を含む層とすることが望ましい。
三元混晶のInGaNは四元混晶のものに比べて結晶性
が良い物が得られるので、発光出力が向上する。その中
でも特に好ましくは活性層をInXGa1-XNよりなる井
戸層と、井戸層よりもバンドギャップの大きい窒化物半
導体よりなる障壁層とを積層した多重量子井戸構造(M
QW:Multi-quantum-well)とする。障壁層も同様に三
元混晶のInX'Ga1-X'N(0≦X'<1、X'<X)が好
ましく、例えば井戸+障壁+井戸+・・・+障壁+井戸
層(逆でも可)となるように積層して多重量子井戸構造
を構成する。このように活性層をInGaNを積層した
MQWとすると、量子準位間発光で約365nm〜66
0nm間での高出力なLDを実現することができる。さ
らに、井戸層の上にInGaNよりなる障壁層を積層す
ると、InGaNよりなる障壁層はGaN、AlGaN
結晶に比べて結晶が柔らかい。そのためクラッド層のA
lGaNの厚さを厚くできるのでレーザ発振が実現でき
る。さらに、InGaNとGaNとでは結晶の成長温度
が異なる。例えばMOVPE法ではInGaNは600
℃〜800℃で成長させるのに対して、GaNは800
℃より高い温度で成長させる。従って、InGaNより
なる井戸層を成長させた後、GaNよりなる障壁層を成
長させようとすれば、成長温度を上げてやる必要があ
る。成長温度を上げると、先に成長させたInGaN井
戸層が分解してしまうので結晶性の良い井戸層を得るこ
とは難しい。さらに井戸層の膜厚は数十オングストロー
ムしかなく、薄膜の井戸層が分解するとMQWを作製す
るのが困難となる。それに対し本発明では、障壁層もI
nGaNであるため、井戸層と障壁層が同一温度で成長
できる。従って、先に形成した井戸層が分解することが
ないので、結晶性の良いMQWを形成することができ
る。これはMQWの最も好ましい態様を示したものであ
るが、他に井戸層をInGaN、障壁層をGaN、Al
GaNのように井戸層よりも障壁層のバンドギャップエ
ネルギーを大きくすればどのような組成でも良い。また
この活性層314を単一の井戸層のみで構成した単一量
子井戸構造としても良い。
してTMG、TMA、アンモニア、アクセプター不純物
源としてCp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウ
ム)を用い、Mgドープp型Al0.2Ga0.8Nよりなる
p型キャップ層を100オングストロームの膜厚で成長
させる。このp型キャップ層は1μm以下、さらに好ま
しくは10オングストローム以上、0.1μm以下の膜
厚で成長させることにより、InGaNよりなる活性層
が分解するのを防止するキャップ層としての作用があ
り、また活性層の上にAlを含むp型窒化物半導体、好
ましくはAlYGa1-YN(0<Y<1)よりなるp型キ
ャップ層を成長させることにより、発光出力が格段に向
上する。このp型キャップ層の膜厚は1μmよりも厚い
と、層自体にクラックが入りやすくなり素子作製が困難
となる傾向にある。なお、p型キャップ層も成長方法、
成長装置等によっては省略可能であるため、特に図示し
ていない。
MG、アンモニア、Cp2Mgを用いMgドープp型G
aNよりなるp型光ガイド層315を500オングスト
ロームの膜厚で成長させる。p型光ガイド層315も、
Inを含むp型の窒化物半導体若しくはp型GaN、好
ましくは二元混晶または三元混晶のInXGa1-XN(0
≦X≦1)を成長させる。光ガイド層は、通常100オ
ングストローム〜1μmの膜厚で成長させることが望ま
しく、特にInGaN、GaNとすることにより、次の
p型光閉じ込め層315を結晶性良く成長できる。
p2Mgを用いてMgドープAl0.3Ga0.7Nよりなる
p型光閉じ込め層316を0.5μmの膜厚で成長させ
る。図4にp型光閉じ込め層316まで成長させたウェ
ーハの断面構造を示す。なお、p型光閉じ込め層316
は、Alを含むp型の窒化物半導体で構成し、好ましく
は二元混晶または三元混晶のAlaGa1-aN(0<a≦
1)とすることにより結晶性の良いものが得られる。p
型光閉じ込め層316はn型光閉じ込め層312と同じ
く、0.1μm〜1μmの膜厚で成長させることが望ま
しく、AlGaNのようなAlを含むp型窒化物半導体
とすることにより、活性層との屈折率差を大きくして、
レーザ光の縦方向の光閉じ込め層として有効に作用す
る。
工程) p型光閉じ込め層316成長後、ウェーハを反応容器か
ら取り出し、p型光閉じ込め層316の表面に、フォト
リソグラフィー技術を用いて、ストライプ幅5μmのS
iO2よりなる保護膜を形成する。保護膜300形成
後、RIE(反応性イオンエッチング)装置を用いて、
図5に示すように、p型光閉じ込め層316を0.4μ
mの深さでストライプ状にメサエッチし、ストライプ状
のリッジ形状を有するp型光閉じ込め層316を作製す
る。なおリッジ側面の基板に対する角度はおよそ100
゜とする。エッチング後、保護膜を除去した状態の断面
図が図5であり、この図はストライプに垂直な方向で切
断した際の図を示している。本実施例ではエッチング深
さをp型光閉じ込め層316の途中までとしたが、いう
までもなく、p型光ガイド層315、またはp型キャッ
プ層までエッチングしても、その作用には変わりない。
また、p型光ガイド層315で成長を止め、そのp型光
ガイド層315のみをストライプ状のリッジとしても良
い。好ましいストライプ幅としては、幅の広い方のスト
ライプで10μm以下、さらに好ましくは5μm以下、
最も好ましくは3μm以下とする。
ッジの頂上のp型光閉じ込め層316の表面に、SiO
2よりなる別の保護膜を形成した後、ウェーハを再び反
応容器内に移送し、次にp型光閉じ込め層316の表面
に埋め込み層400を形成する。
G、TMA、アンモニアを用い、不純物ガスにシランガ
スを用い、1050℃でSiドープn型Al0.5Ga0.5
Nよりなる埋め込み層400を0.2μmの膜厚で選択
成長させる。埋め込み層400は窒化物半導体よりなる
光閉じ込め層316の上には成長するが、SiO2より
なる保護膜の上には成長しない。その他、このような選
択的性質を有する保護膜としては、SiO2以外の酸化
ケイ素(SiXOY)、窒化ケイ素(SiXNY)等があ
る。また、埋め込み層400はi型のAlYGa1-YNと
してもよい。i型にするには、Zn、Cd、Mg等のII
族元素よりなるp型不純物を、n導電性が補償される程
度ドープするか、またはノンドープの状態で、あるいは
p型不純物をドープした状態でAlの混晶比を例えば
0.4以上にするとi型となりやすい。i型およびp型
の埋め込み層を形成すると電流狭窄層としての作用があ
る。その他、埋め込み層はp型の窒化物半導体としても
良い。但し、p型の窒化物半導体とすると電流狭窄層と
しての作用はなく、活性層の横方向の光を閉じ込める層
のみとして作用する。
容器から取り出し、保護膜を除去する。保護膜除去後の
ウェーハの構造を示す断面図が図6である。保護膜を除
去した後、ウェーハを反応容器内に設置し、1050℃
でMgドープp型GaNよりなるp型コンタクト層31
7を、0.5μmの膜厚で成長させる。p型コンタクト
層317はp型InXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦
Y、X+Y≦1)で構成することができ、特にInGa
N、GaN、その中でもMgをドープしたp型GaNと
すると、最もキャリア濃度の高いp型層が得られて、正
電極と良好なオーミック接触が得られ、閾値電流を低下
させることができる。正電極の材料としてはNi、P
d、Ir、Rh、Pt、Ag、Au等の比較的仕事関数
の高い金属又は合金がオーミックが得られやすい。
ウェーハを反応容器から取り出した後、反応性イオンエ
ッチング(RIE)装置にて、最上層のp型コンタクト
層317から選択エッチを行い、負電極を形成すべきn
型コンタクト層311の平面を露出させる。次に最上層
のp型コンタクト層317のほぼ全面に正電極30を形
成し、露出させたn型コンタクト層311には、活性層
の発振領域に平行、つまりリッジのストライプに平行
な、ストライプ状の負電極31を形成する。なお本発明
ではp型キャップ層、p型光ガイド層315、p型光閉
じ込め層316等の活性層を挟んだ一方のp型層は、全
てp型クラッド層の中に含まれるものとする。
し、基板を80μmの厚さになるまで研磨して薄くした
後、負電極31に垂直な方向でウェーハを劈開して共振
面を作製する。共振面となる劈開面に誘電体多層膜より
なる反射鏡をスパッタリング装置を用いて形成して共振
器を作製する。さらにストライプ状の負電極31に平行
な方向でウェーハをダイシングして、共振器長500μ
mのレーザチップとする。図3はこのレーザチップの構
造を示す断面図である。以上のようにして得られたチッ
プをヒートシンクに設置してレーザ素子としたところ、
閾値電流が直流0.1Aで、410nmの連続発振を示
した。
されたリッジ形状のストライプを有するp型クラッド層
を有し、p型クラッド層のストライプ側面に、活性層お
よび第p型クラッド層よりも屈折率の小さい窒化物半導
体よりなる埋め込み層が形成されていることにより、リ
ッジの下の部分にある活性層に光を集中させることがで
きるので、横方向のレーザ光が制御される。従って、素
子構造として、実効屈折率導波型のレーザ素子ができあ
がるため、電極ストライプ型のレーザ素子に比べて閾値
電流を下げることができ、室温での連続発振が可能とな
る。このように、本発明によると、窒化物半導体では初
めて実用的な屈折率導波型のレーザ素子が実現でき、短
波長半導体レーザを実現するために、その産業上の利用
価値は非常に大きい。
断面図。
断面図。
断面図。
主要部の構造を示す模式断面図。
主要部の構造を示す模式断面図。
主要部の構造を示す模式断面図。
主要部の構造を示す模式断面図。
Claims (2)
- 【請求項1】 基板上部に形成された活性層と、活性層
上に形成されたリッジ形状のストライプを有するAla
Ga1−aN(0≦a<1)よりなる層を有する第1の
p型クラッド層とを有し、前記リッジの頂上に窒化物半
導体が成長しない選択的性質を有する保護膜を形成して
おくことで、前記第1のp型クラッド層のストライプ側
面及び上に選択成長された埋め込み層を有し、該埋め込
み層は、II族元素よりなるp型不純物をn導電性が補償
される程度ドープされたAlbGa1−bN(0<b≦
1、b>a)からなる層を有するi型の埋め込み層であ
ることを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。 - 【請求項2】 基板上部に形成された活性層と、活性層
上に形成されたリッジ形状のストライプを有するAla
Ga1−aN(0≦a<1)よりなる層を有する第1の
p型クラッド層とを有し、前記リッジの頂上に窒化物半
導体が成長しない選択的性質を有する保護膜を形成して
おくことで、前記第1のp型クラッド層のストライプ側
面及び上に選択成長された埋め込み層を有し、該埋め込
み層は、p型不純物をドープした状態でAlの混晶比が
0.4以上のAlbGa1−bN(0<b≦1、b>
a)である層を有するi型の埋め込み層であることを特
徴とする窒化物半導体レーザ素子。
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