JP3396132B2 - 大入熱溶接部の熱影響部靱性が優れた低降伏比高張力鋼板およびその製造方法 - Google Patents
大入熱溶接部の熱影響部靱性が優れた低降伏比高張力鋼板およびその製造方法Info
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Description
物に使用される590N/mm2級以上の高張力鋼板において、
低い降伏比と大入熱溶接熱影響部の優れた靱性を確保す
る技術に属するものである。
は、タンク、橋梁、ペンストック等に使用されてきた
が、焼入れ焼戻しの熱処理によってマルテンサイトやベ
イナイト等の高硬度のミクロ組織の生成を利用している
ため、降伏比(降伏強さ/引張強さ)が通常90%以上と
高く、塑性変形能が十分でなく、大地震時に十分な安全
性を確保できないため、建築用としてはほとんど用いら
れなかった。
パン化の要求が強まり、従来の490N/mm2級鋼板から、よ
り強度の高い590N/mm2級以上の高張力鋼板を使用しよう
とする動きが強まり、降伏比を80%以下に低減した高張
力鋼板が要求されるようになった。
上の温度からの再加熱焼入れ(Q)あるいはAr3点以上
の温度からの直接焼入れ(DQ)とAc1点未満の温度で
の焼戻し(T)との組み合わせからなる従来の熱処理方
法と異なり、この二つの熱処理の中間に、二相域温度
(Ac1点以上Ac3点未満)からの焼入れ(Q’)を施す
新たな熱処理方法(Q−Q’−TあるいはDQ−Q’−
T)が開発された。この方法によれば、Q’によって低
硬度で延性に優れるフェライトが組織中に生成するた
め、低い降伏比が得られるのである。
処理によって得られる低降伏比の590N/mm2級鋼板は、高
層建築用として使用されるようになったが、次のような
問題があり、改善が求められている。すなわち、建築用
鋼板独特の入熱50〜100kJ/mmに及ぶ超大入熱溶接を適用
した場合の熱影響部の靱性が確保しにくいという問題が
ある。
力鋼板において、80%以下の低い降伏比を確保すると同
時に、大入熱溶接時にも良好な熱影響部靱性が得られる
大入熱溶接部の熱影響部靱性が優れた590N/mm2級以上の
低降伏比高張力鋼板を提供することを目的とする。
590N/mm2級以上の高強度を確保しつつ、80%以下の低い
降伏比と超大入熱溶接時の優れた熱影響部靱性を確保す
るために、鋭意研究を行った結果、化学成分を調整し、
さらに焼入れ性の指標DIを限定し、母材のミクロ組織
の粒界析出フェライト分率を限定し、残部がベイナイト
である組織にすることによって、目標とする低降伏比高
張力鋼板を得ることができるという新たな知見により本
発明に至ったものである。
Si:0.05〜0.50%、 Mn:0.30 〜2.00%、 P:0.012%以
下、 S:0.003%以下、Al:0.002〜0.10%、 N:0.002〜0.
010%を含有し、さらに、 Cu:0.05〜1.20%、 Ni:0.05
〜1.00%、 Cr:0.05〜1.20%、 Mo:0.05〜1.00%、 V:
0.005〜0.08%、Nb:0.005〜0.05%、B:0.0003〜0.0025
%、Ti:0.005〜0.025 %の内の1種または2種以上を含
有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ下
記式で求まる焼入れ性の指標DIが40.6〜55.9 (mm) ま
たは83.8〜99.1(mm)を満足し、母材のミクロ組織が 5〜
20%の粒界析出フェライトと残部がベイナイトからなる
大入熱溶接部の熱影響部靱性が優れた590N/mm2級以上の
低降伏比高張力鋼板である。 DI=1.16(C/10)1/2・(0.7Si+1) ・(3.33Mn+1)・(0.35Cu+1)・(0.36Ni+1)・ (2.16Cr+1)・(3.00Mo+1)・(1.75V+1) ・(200B+1)・(25.4) (mm) ただし、(3.33Mn+1)はMn≦1.2 %のときのみ適用。 Mn>1.2 %のときは{5.1(Mn-1.2)+5.0 }に置き換える。 なお、各成分は質量%である。
01〜0.010 %を含有する上記の大入熱溶接部の熱影響部
靱性が優れた590N/mm2級以上の低降伏比高張力鋼板であ
る。
不可避的不純物からなり、かつ上記式で求まる焼入れ性
の指標DIが40.6〜55.9 (mm) または83.8〜99.1(mm)を
満足する鋼片を熱間圧延後、 930〜700 ℃の温度から、
1〜10℃/sの冷却速度で 600℃〜室温まで加速冷却し、
必要に応じて、加速冷却後、 650℃以下の温度で焼戻し
処理を行う大入熱溶接部の熱影響部靱性が優れた590N/m
m2級以上の低降伏比高張力鋼板の製造方法である。
(以下、HT590 という)では、入熱を数 kJ/mm程度の小
入熱に抑えることによって熱影響部の組織を下部ベイナ
イトとし、問題のないレベルに熱影響部靱性を確保して
いるが、入熱50〜100kJ/mmもの超大入熱溶接の行われる
建築用鋼板では、熱影響部組織は焼きが入っていない上
部ベイナイトとなり、熱影響部靱性が非常に劣化する。
これは上部ベイナイト中には非常に硬くて脆い島状マル
テンサイトが生成し、脆性破壊の起点となるためであ
る。
させ、熱影響部の上部ベイナイト量を減少させ、靱性の
良好なフェライト−パーライト主体の組織(上部ベイナ
イトよりもさらに焼きが入っていない組織)とするこ
と、(2) 逆に焼入れ性を増加させ、熱影響部を靱性の良
好な下部ベイナイトとすることが考えられる。いずれの
の場合にも、前述の島状マルテンサイトが減少するた
め、熱影響部靱性が改善されるのである。
イト組織は一般に HT490級鋼板の組織であり、そのよう
な低い焼入れ性の鋼を用いて HT590級の母材強度を確保
することは容易ではないという問題がある。逆に、(2)
の高い焼入れ性の鋼では、従来の製造法のままでは母材
の降伏比が十分に低下しないという問題がある。したが
って、本発明の要旨は、超大入熱溶接の熱影響部靱性確
保のために鋼の焼入れ性を変化させた場合に、所定の H
T590級の母材強度と低い降伏比を確保するための化学成
分、ミクロ組織、製造方法を具体的に提示することに他
ならない。
織を(1) フェライト−パーライト主体、(2) あるいは下
部ベイナイト主体とするために必要な鋼の焼入れ性に関
して検討を行った。用いた鋼の化学成分を表1に示す。
ここではC 量は0.09%と固定し、合金元素の含有量を変
えることにより、焼入れ性の指標であるDIを30.5〜13
4.6mm まで変化させた。この鋼を板厚60mmの鋼板に熱間
圧延した後、入熱 70kJ/mmのエレクトロスラグ溶接を行
い、ボンド(溶接線)部にノッチを入れたシャルピ衝撃
試験と継手断面の硬さ測定を実施した。その結果を図1
に示す。この図よりDI値が55.9mm以下、あるいは83.8
mm以上の範囲で熱影響部靱性が良好となることがわか
る。一方、継手の中に軟化部が存在してもその幅が狭け
れば、全体としての継手強度が590N/mm2は確保できる
が、軟化幅が広くなると継手強度が不足する。先程の図
1よりDI値が40.6mm未満では軟化部(断面の硬さがビ
ッカース硬さで 150を下回る部分)の幅が 5mmを超える
ことがわかる。以上のことから継手の靱性および強度確
保の観点から、本発明のDI値は40.6〜55.9mmの範囲に
限定する。一方、DI値が高めの場合に、その上限を9
9.1mmとする理由については後述する。
た場合に、母材強度と低い降伏比を確保する観点からの
検討結果について説明する。まず、焼入れ性の指標DI
を40.6〜55.9mmと低めに設定した場合について説明す
る。前述したように、現状の低降伏比型 HT590の製造方
法として、Q−Q’−T法が広く用いられているが、こ
の製造方法のままでは強度確保が困難と予想されるた
め、種々の製造方法を適用した場合の強度、降伏比を調
査した。用いた鋼の化学成分を表2に示すが、DI値は
45.7mmである。また板厚は50mmである。製造方法として
は、表3に示すように、Q−Q’−T法と、熱間圧延後
の加速冷却条件を変えた8種類の加速冷却法である。
すが、Q−Q’−T法では強度が不足し、また、冷却速
度の速い加速冷却では降伏比が高いが、それを除いた
製造法では、 HT590として十分な母材強度と80%以下の
低い降伏比が得られている。このことより、このように
鋼の焼入れ性を低下させた場合にも、加速冷却時の冷却
開始温度、冷却速度、冷却停止温度を適切に制御するこ
とにより、低降伏比型HT590を製造できることが明らか
である。
高めに設定した場合について説明する。この場合には、
従来の製造方法では低降伏比に不可欠の軟質のフェライ
ト相が十分に得られず、降伏比の低減が困難と予想され
るため、表4に示すようにQ−Q’−T法と、熱間圧延
後の加速冷却条件を変えた6種類の製造方法で鋼板を製
造し、母材特性を調査した。用いた鋼の化学成分を表5
に示すが、DI値は91.4mmと101.6mm であり、板厚は50
mmである。その結果を図3に示すが、DI値が91.4mmで
のQ−Q’−T法では降伏比が高すぎ、それ以外の製造
方法では、十分な強度と低い降伏比が得られている。こ
れに対して、DI値が101.6mm では、Q−Q’−T法の
みならず、いずれの加速冷却法においても降伏比が高す
ぎる。したがって、DI値の上限は99.1mmとする。以上
より、鋼の焼入れ性を高めた場合でも、DI値を99.1mm
以下として加速冷却時の冷却開始温度、冷却速度、冷却
停止温度を適切に制御することにより、低降伏比型 HT5
90を製造できることが明らかである。
冷却開始温度 930〜700 ℃、冷却速度 1〜10℃/s、冷却
停止温度 600℃〜室温の条件で加速冷却する。また、加
速冷却後の鋼板の歪み除去のために行う焼戻し処理は、
強度の低下や降伏比の上昇を防止するために 650℃以下
の温度で行う。
て説明する。前述の種々の製造方法によって得られた鋼
板の母材ミクロ組織を調査し、所定の強度と降伏比が得
られたものと、得られなかったものとの相違点を調査し
た。その結果、目標を満足したDI値45.7mmの表3の加
速冷却〜のもの、およびDI値91.4mmの表4の加速
冷却〜のものは、いずれも粒界析出フェライトと残
部がベイナイトである混合組織であることがわかった。
これらのミクロ組織中の粒界析出フェライトの面積分率
を測定した結果、 5〜20%の範囲であったことから、本
発明ではミクロ組織として、 5〜20%の粒界析出フェラ
イトと残部がベイナイトの混合組織であることを必須と
する。DI値45.7mmの表3の加速冷却の粒界析出フェ
ライトの例を図4に示す。この粒界析出フェライトは、
圧延後の空冷あるいは加速冷却中に、均一にオーステナ
イトの粒界から核生成し成長したものであり、オーステ
ナイトの結晶粒界であった位置に環状に生成しており、
本発明の特徴をなすミクロ組織である。
却の場合には、粒界析出フェライトはほとんど認めら
れず、ベイナイト主体の組織であった。一方、表3の強
度の不足したQ−Q’−T法の場合には、図5に示すよ
うに、粒界析出フェライトは少なく、ポリゴナル(多角
形)フェライトにベイナイトが混合した組織である。こ
のポリゴナルフェライトは、二相域処理であるQ’時に
生成したものであり、上述の粒界析出フェライトと異な
り環状に生成しているわけではなく、形態および生成機
構がまったく異なるのである。
について説明する。C は高張力鋼板としての強度を確保
するために必要な元素であるが、含有量が0.05%未満で
は、引張強さ590N/mm2級以上の強度は得がたく、また、
0.15%を超えて添加すると耐溶接割れ性を害するので好
ましくない。したがって、C 含有量は0.05〜0.15%の範
囲とする。
0.05%未満ではこの効果は少なく、また、0.50%を超え
て過多に添加すると、溶接性、靱性を劣化させるので好
ましくない。したがって、Si含有量は0.05〜0.50%の範
囲とする。
を確保するために必要な元素であるが、含有量が0.30%
未満ではこのような効果は十分に得られず、また、2.00
%を超えて過剰に添加すると、溶接性、靱性を劣化させ
るので好ましくない。したがって、Mn含有量は0.30〜2.
00%の範囲とする。
中に含有される元素であるが、その量が少ないほど母材
および溶接熱影響部の靱性は良好となる。しかし過度に
低減することは著しいコストアップをもたらす。したが
って、P 含有量は 0.012%以下、S 含有量は 0.003%以
下とする。
未満ではそのような効果は少なく、また、0.10%を超え
て添加すると、靱性の劣化をもたらす。したがって、Al
含有量は 0.002〜0.10%の範囲とする。
るが、この作用は含有量が 0.002%未満では発揮され
ず、一方、 0.010%を超えて含有すると、母材および溶
接熱影響部の靱性を著しく劣化させる。したがって、N
含有量は 0.002〜0.010 %の範囲とする。
Ti、Caを板厚、目標靱性および強度レベルに応じて1種
または2種以上添加するものとする。
有効な元素であるが、含有量が0.05%未満ではこのよう
な効果を十分に発揮することができず、また、1.20%を
超えて添加すると熱間加工性が劣化し、鋼板表面に割れ
を生じやすい。したがって、Cu含有量は0.05〜1.20%の
範囲とする。
量が0.05%未満ではそのような効果は十分に発揮され
ず、また、1.00%を超えて過剰に添加するとスケール疵
が発生しやすくなり、またコストアップとなる。したが
って、Ni含有量は0.05〜1.00%の範囲とする。
含有量が0.05%未満ではそのような効果は十分に発揮さ
れず、また、1.20%を超えて添加すると溶接性を害す
る。したがって、Cr含有量は0.05〜1.20%の範囲とす
る。
す元素であるが、含有量が0.05%未満ではそのような効
果は十分に得られず、また、1.00%を超えて過剰に添加
すると、溶接性を劣化させ、コストアップにもなる。し
たがって、Mo含有量は0.05〜1.00%の範囲とする。
戻し軟化抵抗を高める元素であり、その効果を得るため
には 0.005%以上の添加が必要であるが、 0.080%を超
えて添加すると溶接性を害する。したがって、V 含有量
は 0.005〜0.080 %の範囲とする。
入れ・焼戻しを行う場合には析出強化作用をもたらす元
素である。その効果を得るためには、 0.005%以上の添
加が必要であり、また0.05%を超えて添加すると溶接
性、靱性を劣化させる傾向にある。したがって、Nb含有
量は 0.005〜0.05%の範囲とする。
す元素であるが、含有量が0.0003%未満ではその効果は
十分に得られず、また、0.0025%を超えると靱性が劣化
する。したがって、B 含有量は0.0003〜0.0025%の範囲
とする。
れ性向上効果の促進作用を有するが、含有量が 0.005%
未満ではこれらの効果が得られず、また、 0.025%を超
えると介在物の増加により靱性が劣化する。したがっ
て、Ti含有量は 0.005〜0.025%の範囲とする。
質の異方性の低減に有効な元素であるが、含有量が 0.0
01%未満ではその十分な効果は得られず、また、 0.010
%を超えて添加すると介在物の増加により靱性が劣化す
る。したがって、Ca含有量は0.001〜0.010 %の範囲と
する。
ついて説明する。本発明の大入熱溶接部の熱影響部靱性
が優れた低降伏比高張力鋼板の製造方法は、上記のよう
に、化学成分を調整し、焼入れ性の指標DIが40.6〜5
5.9 (mm) または83.8〜99.1(mm)を満足する鋼片を熱間
圧延後、 930〜700 ℃の温度から、 1〜10℃/sの冷却速
度で 600℃〜室温まで加速冷却することにより590N/mm2
級以上の低降伏比高張力鋼板を得ることができる。ま
た、必要に応じて、加速冷却後、 650℃以下の温度で焼
戻し処理を行う。
ラブを熱間圧延により板厚32〜90mmの鋼板に圧延後、表
8および表9に示す種々の製造条件で加速冷却したもの
である。これらの鋼板について母材の引張試験、ミクロ
組織調査を行った。さらに溶接入熱50〜95kJ/mm でエレ
クトロスラグ溶接を行い、ノッチをボンド部に入れシャ
ルピ衝撃試験を行った。継手形状、ノッチ位置は図1と
同じである。試験結果および調査結果を表8および表9
に併記する。なお、表7および表9は比較鋼である。
板A〜Pは、いずれも590N/mm2級以上の引張強さと80%
未満の低降伏比を有しているだけでなく、入熱 50kJ/mm
以上の超大入熱溶接部の熱影響部の vE0( 0℃でのシャ
ルピ衝撃吸収エネルギー) も70J以上の良好な値を示し
ている。
焼入れ性の指標DIが32.8mmと小さいため、粒界析出フ
ェライト分率が30%と高く強度が低い。比較鋼板のRは
焼入れ性の指標DIが73.2mmと大きいため、粒界析出フ
ェライト分率は 0%で降伏比が高く、熱影響部の vE0
も低い。比較鋼板のSは冷却速度が速いため、粒界析出
フェライト分率は 0%で降伏比が高い。比較鋼板のTは
冷却停止温度が高いため、粒界析出フェライト分率が23
%と高く強度が低い。比較鋼板のUは冷却開始温度が低
いため、粒界析出フェライト分率が37%と高く強度が低
い。比較鋼板のVは焼入れ性の指標DIが108.5mm と大
きすぎるため、粒界析出フェライトが少なく、降伏比が
高い。比較鋼板のWは冷却速度が速いため、粒界析出フ
ェライト分率は 0%で降伏比が高い。比較鋼板のX、Y
は冷却開始温度が低く、冷却速度が遅いため、粒界析出
フェライトが多く、強度が低い。なお、本発明は本実施
例のみに限定されるものではない。
本発明鋼板は引張強さ590N/mm2級以上の高張力鋼板にお
いて、80%以下の低い降伏比を有するとともに、大入熱
溶接時にも良好な熱影響部靱性を確保することができる
ため、大地震時には十分な塑性変形能を示し、また、建
築用鋼板独特の入熱50〜100kJ/mmに及ぶ超大入熱溶接を
適用することも可能である。したがって、本発明の大入
熱溶接部の熱影響部靱性が優れた低降伏比高張力鋼板は
高層建築用鋼板に適したものである。
の指標DIの影響を示す図である。
である。
写真である。
Claims (4)
- 【請求項1】 質量%で、C:0.05〜0.15%、 Si:0.05〜
0.50%、 Mn:0.30〜2.00%、 P:0.012%以下、 S:0.003
%以下、Al:0.002〜0.10%、 N:0.002〜0.010 %を含有
し、さらに、 Cu:0.05〜1.20%、 Ni:0.05〜1.00%、 C
r:0.05〜1.20%、 Mo:0.05〜1.00%、 V:0.005〜0.08
%、Nb:0.005〜0.05%、B:0.0003〜0.0025%、Ti:0.005
〜0.025 %の内の1種または2種以上を含有し、残部が
Feおよび不可避的不純物からなり、かつ下記式で求まる
焼入れ性の指標DIが40.6〜55.9 (mm) または83.8〜9
9.1(mm)を満足し、母材のミクロ組織が 5〜20%の粒界
析出フェライトと残部がベイナイトからなることを特徴
とする大入熱溶接部の熱影響部靱性が優れた590N/mm 2 級
以上の低降伏比高張力鋼板。 DI=1.16(C/10) 1/2 ・(0.7Si+1) ・(3.33Mn+1)・(0.35Cu+1)・(0.36Ni+1)・ (2.16Cr+1)・(3.00Mo+1)・(1.75V+1) ・(200B+1)・(25.4) (mm) ただし、(3.33Mn+1)はMn≦1.2 %のときのみ適用。 Mn>1.2 %のときは{5.1(Mn-1.2)+5.0 }に置き換える。 - 【請求項2】 さらに化学成分として、質量%で、Ca:
0.001〜0.010 %を含有する請求項1記載の大入熱溶接
部の熱影響部靱性が優れた590N/mm 2 級以上の低降伏比高
張力鋼板。 - 【請求項3】 請求項1または2記載の化学成分を含有
し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ上記
式で求まる焼入れ性の指標DIが40.6〜55.9(mm) また
は83.8〜99.1(mm)を満足する鋼片を熱間圧延後、 930〜
700 ℃の温度から、 1〜10℃/sの冷却速度で 600℃〜室
温まで加速冷却することを特徴とする大入熱溶接部の熱
影響部靱性が優れた590N/mm 2 級以上の低降伏比高張力鋼
板の製造方法。 - 【請求項4】 加速冷却後、 650℃以下の温度で焼戻し
処理を行う請求項3記載の大入熱溶接部の熱影響部靱性
が優れた590N/mm 2 級以上の低降伏比高張力鋼板の製造方
法。
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JP30593695 | 1995-11-24 | ||
JP18608496A JP3396132B2 (ja) | 1995-11-24 | 1996-07-16 | 大入熱溶接部の熱影響部靱性が優れた低降伏比高張力鋼板およびその製造方法 |
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JP18608496A Expired - Lifetime JP3396132B2 (ja) | 1995-11-24 | 1996-07-16 | 大入熱溶接部の熱影響部靱性が優れた低降伏比高張力鋼板およびその製造方法 |
Country Status (1)
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JP4645461B2 (ja) * | 2006-01-27 | 2011-03-09 | Jfeスチール株式会社 | 耐延性亀裂発生特性と耐疲労亀裂伝播特性に優れた高強度鋼材およびその製造方法 |
JP4586080B2 (ja) | 2008-03-28 | 2010-11-24 | 株式会社神戸製鋼所 | 耐応力除去焼鈍特性と低温靭性に優れた高強度鋼板 |
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-
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