JP3275818B2 - 積層コンデンサ - Google Patents
積層コンデンサInfo
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Description
部電極を用いた積層コンデンサに関し、例えば高耐圧が
要求される中高圧用途に適した積層コンデンサに関す
る。
に、電子部品の面実装化が進んでおり、使用される電子
部品においても、より一層小型のものが用いられてい
る。従って、積層コンデンサにおいては、より一層の小
型化及び高容量化が強く求められている。
イトやスイッチング電源等においては、耐電圧の高い中
高圧用コンデンサが用いられている。そして、この種の
中高圧用コンデンサにおいても、耐電圧が高いだけでな
く、より小型であり、さらに安価なものが求められてい
る。
としては、耐電圧を高めるために、外表面における放電
を抑制することが強く求められている。そこで、従来、
高耐電圧に耐え得る積層コンデンサとして、種々の構造
のものが提案されている(例えば、実開昭60−760
28号公報、実開昭62−120333号公報、特開昭
62−210612号公報、実開昭58−56431号
公報など)。
における放電を抑制するために、複数の内部電極が重な
り合っている容量取出部分の上下に、厚みの厚いセラミ
ック層を設けることにより、耐電圧を高めた中高圧用積
層コンデンサが提案されている。
は、内部電極の重なり合っている容量取出部分の上下に
相対的に誘電率が低いセラミック層を配置することによ
り、焼結体の上面及び下面におけるフラッシュオーバー
を抑制し、耐電圧を高めた積層コンデンサが開示されて
いる。
ラミック層を容量取出部分の上下に配置した従来の中高
圧用積層コンデンサでは、容量取出部分の上下に厚みの
厚いセラミック層を必要とするため、積層コンデンサの
寸法が大きくなり、特に低背化の要求に応えることがで
きないという問題があった。
−210612号公報に記載の中高圧用積層コンデンサ
では、内部電極はAgやAg−Pdなどの貴金属を用い
て構成されているため、コストが高くつくという問題が
あった。
デンサにおいてNiやCuなどの卑金属を内部電極材料
として用いた構造が知られている。しかしながら、卑金
属は、酸化され易いため、セラミック積層一体焼成技術
を用いて積層コンデンサを得ようとした場合、耐還元性
に優れたセラミックスを用いなければならない。しかし
ながら、従来、中高圧用途に適し、耐電圧を高め得る耐
還元性に優れたセラミックスを用いた積層コンデンサに
ついては提案されていない。
積層コンデンサの欠点を解消し、耐電圧が高いだけでな
く、小型であり、かつ安価な積層コンデンサを提供する
ことにある。
係る積層コンデンサは、セラミック焼結体と、前記セラ
ミック焼結体内においてセラミック層を介して厚み方向
に重なり合うように配置されており、交互にセラミック
焼結体の第1,第2の端面に引き出された複数の内部電
極とを備える積層コンデンサにおいて、前記セラミック
焼結体の複数の内部電極により挟まれているセラミック
焼結体部分がBaTiO3 を主体とする耐還元性セラミ
ックスにより構成されており、複数の内部電極が積層さ
れている部分の上部及び下部がCaZrO3 を主体とす
る耐還元性セラミックスにより構成されており、かつ前
記複数の内部電極が卑金属により構成されていることを
特徴とする。
は、上記BaTiO3 を主体とする耐還元性セラミック
スに対し、CaZrO3 を主体とする耐還元性セラミッ
クスが比誘電率が低く、中高圧コンデンサに適した低誘
電率層を形成するのに好適であること、並びに両者が、
耐還元性雰囲気下で焼成した場合に、相互拡散により強
固に接合されることに鑑み、中高圧用途に適した積層コ
ンデンサを得ることができることを見出し、それによっ
て安価な卑金属により内部電極を構成することを可能と
したことに特徴を有する。
ク焼結体において、前記複数の内部電極がセラミック層
を介して重なり合っている部分の側方がCaZrO3 を
主体とする耐還元性セラミックスにより覆われている。
を挙げることにより、本発明の詳細を説明する。
デンサを示す断面図である。積層コンデンサ1は、直方
体状のセラミック焼結体2を用いて構成されている。セ
ラミック焼結体2は、対向し合う第1,第2の端面2
a,2bを有する。
電極3〜6が、セラミック層を介して重なり合うように
配置されている。内部電極3,5は、端面2aに引き出
されており、内部電極4,6が端面2bに引き出されて
いる。内部電極3〜6は、卑金属により構成されてい
る。
Co、Mn、Mo、W、Ti、Zrなどを用いることが
でき、それによって積層コンデンサ1のコストの低減を
図ることができる。
うように第1,第2の外部電極7,8が形成されてい
る。第1の外部電極7は、端面2aを覆うように、かつ
本実施例では、セラミック焼結体2の上面2c,下面2
d及び両側面に至るように形成されている。
覆うように、かつ上面2c,下面2d及び両側面に至る
ように形成されている。外部電極7,8は、例えばAg
−PdペーストやAgペーストあるいはNiやCuペー
ストを塗布し、焼き付けることにより形成され得る。も
っとも、外部電極7,8は、適宜の導電性材料を、メッ
キや蒸着、スパッタリングなどの薄膜形成方法により付
与することにより、形成してもよい。また、外部電極
7,8は、複数の導電性材料層を積層した構造であって
もよい。
重なり合っている容量取出部分2gが、比誘電率の高い
BaTiO3 を主体とする耐還元性セラミックスにより
構成されており、さらに、容量取出部分の上下に、比誘
電率が相対的に低いCaZrO3 を主体とする耐還元性
セラミックスにより構成されている低誘電率層2e,2
fが設けられている。
出部分2gの上下に、上記低誘電率層2e,2fが形成
されているため、セラミック焼結体2の上面2c及び下
面2dにおけるフラッシュオーバーを抑制することがで
き、耐電圧が高められる。これを、図2及び図3を参照
して説明する。
分を模式的に拡大して示す断面図である。積層コンデン
サ1の上面2cの周囲には雰囲気を構成している空気9
が存在する。外部電極7,8は上面2cに至るように形
成されている。ここで、セラミック焼結体2内の最上部
に位置する内部電極3は、外部電極7に接続されてお
り、使用時には外部電極8とは異なる電位とされる。
る部分の先端8aと、内部電極3の外部電極8側の先端
3aとが近接されており、この間に大きな電界が加わ
る。積層コンデンサ1の実使用状態の電界分布を、有限
要素法で解析したところ、図3に示す結果が得られた。
電極3の先端3aと、外部電極8の焼結体の上面2cに
至っている部分の先端8aとの間に大きな電界が加わっ
ており、かつセラミック焼結体2の外部にまで電界が分
布していることがわかる。このような内部電極間以外の
電界、特にセラミック焼結体2の上面2c外に漏れる電
界が、放電を引き起こすきっかけとなる。そして、この
漏れ電界が大きい程、低い電圧でリークが発生すること
になる。
部電極8の先端8aと、内部電極3の先端3aとの距離
を長くすること、すなわち内部電極3の上方のセラミッ
ク層の厚みを厚くする方法が考えられる。しかしなが
ら、積層コンデンサの厚みは、基本的には規格で決めら
れているため、全体の寸法を一定とした場合には、上下
のセラミック層の厚みを厚くする程、内側のセラミック
層の厚みを小さくしなければならないことになり、静電
容量が低下する。
は、2000〜8000であり、CaZrO3 の比誘電
率は20〜100程度である。従って、内部電極3〜6
が積層されている容量取出部分2gの上下のセラミック
層の厚みを従来例と同等とした場合、容量取出部分2g
と同じ誘電体材料を用いて上下の外層部分を構成した従
来例に比べ、本実施例の積層コンデンサ1では、約20
〜30%程度表面リーク開始電極を高めることができ
る。よって、セラミック焼結体の厚みを増加させずと
も、フラッシュオーバーの抑制を図ることができ、耐電
圧の向上が図られる。従って、小型及び大容量化を図る
ことができる。
を図るために、内部電極としてNiやCuなどの卑金属
を用いることが試みられている。ところが、これらの卑
金属は酸化し易いため、セラミック焼結体2と内部電極
3〜6とを一体焼成する場合、中性あるいは還元性雰囲
気下で焼成することが必要となる。
用いた場合、使用し得る誘電体セラミックスは耐還元性
に優れたものであることが求められる。本実施例で用い
られる上記BaTiO3 を主体とする誘電体セラミック
ス及びCaZrO3 を主体とする誘電体セラミックス
は、耐還元性誘電体材料である。従って、本実施例の積
層コンデンサ1では、内部電極3〜6を卑金属で構成
し、還元性雰囲気下で焼成したとしても、BaTiO3
を主体とする中央に配置される容量取出部分2g及びC
aZrO3 を主体とする低誘電率層2e,2fのいずれ
もが、還元性雰囲気下で確実に焼成される。
を介在させてセラミックグリーンシートを積層して得ら
れる積層体を焼成してなる一体焼成型のセラミック焼結
体を用いて構成される。ここで、本発明の積層コンデン
サのように、異種のセラミック材料を用いてセラミック
焼結体を構成する場合には、用いる複数種のセラミック
スの焼結温度が近いこと、接合部分が適度に相互拡
散し、両者が確実に接合されること、拡散が進み過ぎ
て、内側の誘電体セラミックスに特性上の悪影響を与え
ないこと、収縮や熱膨張による応力で破壊し難いこと
などが求められる。上記BaTiO3 及びCaZrO3
は、これらの条件を満たすものであり、従って、上記の
ように、耐電圧が高く、小型化・大容量化を図ることが
可能な積層コンデンサ1を提供することができる。
容量取出部分2gを構成するセラミック材料として、B
aTiO3 粉末を主体とし、これに希土類酸化物、アル
カリ土類酸化物粉末などを加え、酢酸ビニルを主体とす
るバインダー、分散剤及び可塑剤並びに溶媒としての水
を加え、セラミックスラリーを用意した。このセラミッ
クスラリーを用いて、容量取出部分用セラミックグリー
ンシートを成形した。
して、CaZrO3 を主成分とし、焼結助剤としてアル
カリ錫族、アルカリ土類錫族、アルミニウム族の中から
1つ以上の酸化物の珪酸塩からなるガラス粉末を全体の
3重量%、アクセプターとしてMnO2 を主成分である
CaZrO3 に対し1モル%の割合で配合し、さらに、
酢酸ビニルを主体とする有機バインダー、分散剤及び可
塑剤と共に溶媒としての水に添加し、混練し、セラミッ
クスラリーを用意した。このセラミックスラリーを用
い、低誘電率層用セラミックグリーンシートを成形し
た。
ートに、内部電極を構成するために、Niを主体とする
導電ペーストを印刷したものを複数枚用意した。上記低
誘電率層用セラミックグリーンシートを複数枚積層し、
続いて内部電極が印刷された容量取出部分用セラミック
グリーンシートを積層コンデンサ1の積層数に応じて積
層し、最後に低誘電率層用セラミックグリーンシートを
複数枚積層し、積層体を得た。
形体を得、該プレス成形体を約400℃で酸素−窒素混
合気流中で脱脂した後、約1300℃で窒素−水素混合
気流中で焼成した。
1.6mm×厚み1.0mmのセラミック焼結体2を得
た。また、このセラミック焼結体2においては、厚み方
向に隣り合う内部電極間のセラミック層の厚みは0.1
mm、低誘電率層2e,2fの厚みは0.15mmであ
った。
の第1,第2の端面2a,2bに、AgまたはCuを主
体とする金属電極ペーストを塗布し、焼き付け、さらに
その外表面にNiとSnまたはNiと半田をメッキする
ことにより、外部電極7,8を形成し、積層コンデンサ
1を得た。
リーンシートの代わりに、容量取出部分を構成するのに
用いたのと同じセラミックグリーンシートを用いたこと
を除いては、上記と同様にして比較例の積層コンデンサ
を作製した。得られた比較例の積層コンデンサの構造
を、図4に示す。図4から明らかなように、比較例の積
層コンデンサ11では、セラミック焼結体12は、Ba
TiO3 を主体とする均一な組成で構成されている。
コンデンサ1と、比較例の積層コンデンサ11につい
て、直流を印加した場合の表面における放電開始電圧を
測定した。その結果、比較例の積層コンデンサ11で
は、表面放電開始電圧は2000Vであったのに対し、
実施例の積層コンデンサ1では、2600Vであった。
率層2e,2fを設けることにより、積層コンデンサの
寸法を大きくすることなく、表面放電開始電圧を高め得
ることがわかる。
積層されている部分の上下にのみ低誘電率層2e,2f
を形成したが、内部電極3〜6が積層されている部分の
側方を、CaZrO3 を主体とする耐還元性誘電体セラ
ミックスにより被覆してもよく、それによって、より一
層表面放電開始電圧を高めることができる。
ンサでは、複数の内部電極により挟まれている容量取出
部分が、相対的に比誘電率の高いBaTiO3 を主体と
する耐還元性セラミックスにより構成されており、該容
量取出部分の上部及び下部はCaZrO3 を主体とする
比誘電率の相対的に低い耐還元性セラミックスにより構
成されているので、上面及び下面における放電を抑制す
ることができ、耐電圧を高めることが可能とされてい
る。すなわち、CaZrO3 を主体とする耐還元性セラ
ミックスを用いて容量取出部分の上部及び下部を構成し
ているため、厚みをさほど増加させることなく、耐電圧
を高めることができる。
元性セラミックスと、CaZrO3を主体とする耐還元
性セラミックスは、いずれも還元性雰囲気下で焼成する
ことができ、かつ相互に強固に接合される。従って、酸
化され易い卑金属を用いて内部電極を構成することがで
きるので、積層コンデンサのコストを低減することがで
きる。
安価であり、中高圧用途に適した積層コンデンサを提供
することが可能となる。請求項2に記載の発明によれ
ば、セラミック焼結体において、複数の内部電極がセラ
ミック層を介して重なり合っている部分の側方がCaZ
rO3 を主体とする耐還元性セラミックスにより覆われ
ているので、セラミック焼結体の側面におけるフラッシ
ュオーバーも効果的に抑制することができ、より一層耐
電圧の高い積層コンデンサを提供することが可能とな
る。
断面図。
するための模式的断面図。
時の電界分布を有限要素法で解析した状態を示す模式的
断面図。
示す断面図。
Claims (2)
- 【請求項1】 セラミック焼結体と、前記セラミック焼
結体内においてセラミック層を介して厚み方向に重なり
合うように配置されており、交互にセラミック焼結体の
第1,第2の端面に引き出された複数の内部電極とを備
える積層コンデンサにおいて、 前記セラミック焼結体の複数の内部電極により挟まれて
いるセラミック焼結体部分がBaTiO3 を主体とする
耐還元性セラミックスにより構成されており、複数の内
部電極が積層されている部分の上部及び下部がCaZr
O3 を主体とする耐還元性セラミックスにより構成され
ており、かつ前記複数の内部電極が卑金属により構成さ
れていることを特徴とする、積層コンデンサ。 - 【請求項2】 前記セラミック焼結体において、前記複
数の内部電極がセラミック層を介して重なり合っている
部分の側方がCaZrO3 を主体とする耐還元性セラミ
ックスにより覆われている、請求項1に記載の積層コン
デンサ。
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