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JP3117203B2 - 発光ダイオードおよびその製造方法 - Google Patents

発光ダイオードおよびその製造方法

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JP3117203B2
JP3117203B2 JP22564189A JP22564189A JP3117203B2 JP 3117203 B2 JP3117203 B2 JP 3117203B2 JP 22564189 A JP22564189 A JP 22564189A JP 22564189 A JP22564189 A JP 22564189A JP 3117203 B2 JP3117203 B2 JP 3117203B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明はIn1-y(Ga1-xAlxyP系半導体材料(0≦x
≦1、0≦y≦1)を使用した可視光発光ダイオードお
よびその製造方法に関する。
(従来の技術) In1-y(Ga1-xAlxyP混晶(0≦x≦1、0≦y≦
1)はGaAsに格子整合するIII−V族化合物半導体の中
で直接遷移バンドギャップが最も大きいことから可視光
領域の発光素子用材料として注目されている。そして最
近、有機金属を用いた化学気相成長法(以下、MOCVD法
と略記する)によりGaAs基板上にInGaAlP結晶層を形成
することが可能となっており、この技術を利用した可視
光半導体レーザが報告されている。
可視光領域の発光ダイオードは赤色領域では、GaAlAs
系材料を利用することにより高輝度の素子が実現されて
いるが、それより短波長領域ではGaPやGaAsPのような間
接遷移型を用いているため、赤色領域のものに匹敵する
ような高輝度のものが実現されていない。
ところで、叙上のように、InGaAlP系材料は緑色領域
まで直接遷移型のバンド構造を有するため、広い可視光
領域にわたって高輝度の発光ダイオードを実現できる可
能性をもっている。しかし、これを実現する上で素子の
直列抵抗を小さくするため抵抗率の小さいInGaAlPを成
長させる必要があるが、抵抗率の小さいInGaAlPを得る
ことは容易でなく、特にp型層にあっては極めて難し
い。p型層の抵抗率を小さくするためには高濃度の不純
物を添加する必要があるが、InGaAlP系材料にあっては
高濃度にp系不純物を添加していくと、添加不純物の一
部しか電気的に活性化しない、すなわち活性化率の低下
が起こり、キャリア濃度の飽和が生じる。更に、Al組成
が大きくなると、添加不純物の取り込まれ率が低下する
ため、添加できる不純物濃度にも限界がある。また、In
GaAlPのキャリアの移動度は比較的小さく、特に正孔の
移動度は10〜20cm2/V・sと極めて小さいため、1018cm
-3程度のドーピングでも抵抗率はあまり低くすることは
できない。このため、n型GaAs基板上にn型InGaAlPク
ラッド層、InGaAlP活性層、p型InGaAlPクラッド層の順
に積層した構造では、電極から注入された正孔が横方向
に広がりにくく、活性層での発光再結合の大部分はp型
層側電極の下で起こるため、発光はp型層側電極の周辺
部でしか観測されず、発光の取り出し効率が極めて悪く
なる。一方、n型のドーパンドは高濃度ドーピングが比
較的容易であるので、p型GaAs基板上にp型InGaAlPク
ラッド層、InGaAlP活性層、n型InGaAlPクラッド層の順
に積層した構造が考えられる。InGaAlPの電子の移動度
はクラッド層に用いられるAl組成の大きい組成範囲では
100cm2/V・s前後とあまり高くなく、注入電流の横方向
への広がりをはかるにはn型クラッド層の厚さを数10μ
m以上に厚くする必要がある。しかし、InGaAlP材料の
結晶成長法として適しているMOCVD法でこの程度の厚い
膜を成長させることは原理的に不可能ではないが、成長
時間が極めて長くなったり、V族原料ガスを極めて大量
に流すことが必要になるなど実現上の大きな障害があ
る。
(発明が解決しようとする課題) 以上述べたようにIn1-y(Ga1-xAlxyP(0≦x≦
1、0≦y≦1)の半導体材料を用いた発光ダイオード
においては、発光の取り出し効率が低いことなど高輝度
の素子を実現することは容易でない。
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、ダブル
ヘテロ構造の積層方法に工夫を加えることにより、高輝
度の可視光発光ダイオードを提供することを目的とす
る。
〔発明の構成〕
(課題を解決するための手段) n型クラッド層、活性層、p型クラッド層からなるIn
1-y(Ga1-xAlxyP(0≦x≦1、0≦y≦1)のダブ
ルヘテロ接合部と、前記n型クラッド層側に形成された
n型側電極と、前記p型クラッド側のほぼ中央部上に形
成されたp型側電極と、前記p型側電極直下の前記p型
クラッド層上に形成されたn型電流阻止部とを具備し、
前記p型クラッド層中の電流は前記電流阻止部がn型で
あることによるpn接合電位障壁により周辺部に生じ、発
光は前記p型側電極の外側に該当する領域で生じること
を特徴とする発光ダイオード。
(作 用) 以上説明したように、In1-y(Ga1-xAlxyP(0≦x
≦1、0≦y≦1)の発光ダイオードにおいては、発光
が表面電極の周辺部に限られるという問題点があった。
しかし、本発明者らの研究の結果、n型クラッド層中に
p型の電流阻止部を設けることにより前記問題点を回避
できること、また、電流阻止部はp型クラッド層中に含
まれるp型不純物の選択拡散で形成できることがわかっ
た。すなわち、この構造ではp型クラッド層中の電流の
流れは電流阻止部がn型であることによるpn接合電位障
壁により周辺部方向に曲げられるため、発光はp型側電
極の外側に該当する領域で生じ、発光の取り出し効率が
向上する。さらに、p型クラッド層中に含まれるp型不
純物の拡散はp型クラッド層上のキャップ層の構造に依
存することがわかった。すなわち、n型のInGaAlP層上
に不純物としてZnを含んだp型のInGaAlP層を成長さ
せ、さらにその上にn型のGaAsキャップ層を成長させた
のち、このGaAsキャップ層の一部をエッチングにより取
り除いてp型InGaAlP層の表面が露出している部分と、G
aAsキャップ層によりおおわれている部分を作り、アニ
ールしたところ、n型GaAsキャップ層が付いている部分
の下のn型InGaAlP層にはZnが拡散しp型に変換する
が、n型GaAsキャップ層を除去した部分の下のn型InGa
AlP層にはZnは拡散しておらずn型のままであった。ま
た、このZnの拡散はp型InGaAlP層中に含まれるZnの濃
度が高い程生じやすくなり、かつ、n型InGaAlP層のAl
組成が大きい程拡散が起こりやすい。従って、p型クラ
ッドInGaAlP層中に挿入されたn型InGaAlP層のAl組成を
InGaAlP活性層のAl組成より大きくしておき、p型クラ
ッド層中のZnの濃度を適正化すれば、p型クラッド層表
面に形成してあるn型GaAsキャップ層の形状に対応した
形のn型InGaAlP層をp型クラッド層中に埋め込むこと
ができる。また、キャップ層としてはn型GaAs以外でも
n型GaAlAsやn型InGaAlPでも同様の効果が認められ
る。
(実施例) 第1図に本発明にかかる発光ダイオードの第1の実施
例の構造を断面図で示す。第1図に示すように、Siドー
プによりn濃度が3×1018cm-3のn−GaAs基板11上に、
Siドープによりn濃度が2×1018cm-3、層厚0.5μmの
n−GaAsバッファ層12、Siドープによりn濃度が2×10
18cm-3、層厚2μmのn−In0.5(Ga0.3Al0.70.5Pク
ラッド層13、アンドープで層厚0.5μmのIn0.5(Ga0.55
Al0.450.5P活性層14、Znドープによりp濃度が4×1
017cm-3、層厚1μmのp−In0.5(Ga0.3Al0.70.5
第1クラッド層15、Siドープによりn濃度が2×1017cm
-3、層厚0.5μmのn−In0.5(Ga0.3Al0.70.5P電流
阻止層16、Znドープによりp濃度が7×1017cm-3、層厚
1μmのp−In0.5(Ga0.3Al0.70.5P第2クラッド層
17、Znドープによりp濃度が1×1018cm-3、層厚0.05μ
mのp−In0.5Ga0.5Pコンタクト層18、からなる積層層
によるダブルヘテロ接合構造部を備えている。また、上
記GaAs基板11の裏面側にn型側電極すなわちAu−Ge電極
19a、上記コンタクト層18上にp型側電極すなわちAu−Z
n電極19bが夫々設けられている。
次に、本発明の一実施例に係る発光ダイオードの製造
方法を第1図および第2図を参照して説明する。まず、
Siドープによりn濃度が3×1018cm-3のn−GaAs基板11
を用意し、この上面に減圧有機金属気相成長法(以下、
減圧MOCVD法と略記する)によりSiをドープしn濃度が
3×1018cm-3、層厚0.5μmのn−GaAsバッファ層12を
形成したのち、同様にSiをドープしてn濃度が3×1018
cm-3、層厚2μmのn−In0.5(Ga0.3Al0.70.5Pクラ
ッド層13を、ついで、アンドープで層厚0.5μmのIn0.5
(Ga0.55Al0.450.5P活性層14を、ついで、Znドープ
によりp濃度が4×1017cm-3、層厚1μmのp−In0.5
(Ga0.3Al0.70.5P第1クラッド層15を、ついで、Si
ドープによりn濃度が2×1017cm-3、層厚0.5μmのn
−In0.5(Ga0.3Al0.70.5P電流阻止層16を、ついで、
Znドープによりp濃度が7×1017cm-3、層厚1μmのp
−In0.5(Ga0.3Al0.70.5P第2クラッド層17を、つい
で、Znドープによりp濃度が1×1018cm-3、層厚0.05μ
mのp−In0.5Ga0.5Pコンタクト層18を順次成長させ、
これらの積層層によるダブルヘテロ接合構造部を形成す
る。ついで、Siドープによりn濃度が8×1018cm-3、層
厚0.5μmのn−GaAsキャップ層20を成長させる(第2
図(a))。上記減圧MOCVD法による成長条件として
は、基板温度730℃、反応管内圧力25Torr、成長速度3
μm/時で行なった。
次いで、第2図(b)に示す如く、n−GaAsキャップ
層(20)のうちp型側電極を付けるべき部分をエッチン
グにより除去したのち、650℃で30分間アニールする。
このとき、p−In0.5Ga0.5Pコンタクト層18の露出表面
からのPの蒸発を防ぐためPH3雰囲気でアニールする。
このアニールによってn−In0.5(Ga0.3Al0.70.5P電
流阻止層16のうち、n−GaAsキャップ層20の下部に対応
する部分16aがp型の導電型に変化した。
次いで、第2図(c)に示す如く、n−GaAsキャップ
層20をエッチングにより除去したのち、第2図(d)に
示す如く、n−GaAs基板11の裏面全面にAu−Ge電極19a
を、上記p−In0.5Ga0.5Pコンタクト層上18には、Au−
Zn電極19bを設け、p−In0.5Ga0.5Pキャップ層20のAu
−Zn電極部19b以外の部分はエッチングにより除去す
る。
上述の積層構造を有する0.3mm×0.3mm角の素子に順方
向に電圧を印加し電流を流したところ550mmにピーク波
長を有する緑色発光がAu−Zn電極部を除いた周辺部から
観測された。次に、この素子をエポキシ樹脂でモールド
した素子を作製し、輝度を測定したところ500mcdをこえ
る高輝度の緑色発光ダイオードを得ることができた。こ
の成果は、従来GaPによる発光輝度が200mcdを越えるこ
とができなかったのに比べ、顕著なものである。
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものでは
ない。実施例では電流阻止層の組成としてはIn0.5(Ga
0.3Al0.70.5Pを用いたが、活性層からの発光波長に
対して透明であるのに十分なバンドギャップをもってお
れば良く、この組成に限るものではない。実施例では活
性層の組成としてはIn0.5(Ga0.55Al0.450.5Pを用い
たが、Al組成を変化させることによって赤色から緑色域
にわたる可視光領域の発光を得ることができる。また、
クラッド層の組成は実施例ではIn0.5(Ga0.3Al0.70.5
Pを用いたが、キャリアの閉じ込めに十分な活性層との
バンドギャップ差があれば良く、この組成に限るもので
はない。さらに、実施例ではキャップ層としてn型GaAs
用いたが、n型GaAlAsあるいはn型InGaAlPを用いても
同様の効果がある。また、実施例ではp型クラッド層へ
の添加不純物としてはZnを用いたが、Mgなどの他のp型
不純物を用いても同様の効果がある。その他、本発明の
要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することがで
きる。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、In1-y(Ga1-xAl
xyP系材料(0≦x≦1、0≦y≦1)を用いた発光
ダイオードにおいて、p型クラッド層中の電流の流れは
電流阻止部がn型であることによるpn接合電位障壁によ
り周辺部方向に曲げられるため、発光はp型側電極の外
側に該当する領域で生じて発光の取り出し効果が向上す
る。また、前記p型クラッド層中の電流の広がりをはか
るための電流阻止部が埋込み形成されているので、電流
広がりにより発光が電極に遮られることなく取り出せ、
高輝度の可視光発光ダイオードを実現することが可能で
ある顕著な利点がある。
また、本発明は上記電流阻止部の埋め込み形成が1回
の結晶成長で達成できる利点もあり、本発明は有用性の
大きいものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明にかかる1実施例の発光ダイオードの断
面図、第2図(a)〜(d)は1実施例の発光ダイオー
ドの製造方法を工程順に示すいずれも断面図である。 11……n−GaAs基板、 12……n−GaAsバッファ層 13……n−In0.5(Ga0.3Al0.70.5Pクラッド層 14……アンドープIn0.5(Ga0.55Al0.450.5P活性層 15……p−In0.5(Ga0.3Al0.70.5P第1クラッド層 16、26……n−In0.5(Ga0.3Al0.70.5P電流阻止層 17……p−In0.5(Ga0.3Al0.70.5P第2クラッド層 18、28……p−In0.5Ga0.5Pコンタクト層 19a……Au−Ge電極、 19b、29b……Au−Zn電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−3480(JP,A) 特開 昭63−240083(JP,A) 特開 昭64−5077(JP,A) 特開 昭61−102786(JP,A) 特開 平2−181980(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】n型クラッド層、活性層、p型クラッド層
    からなるダブルヘテロ接合部と、前記n型クラッド層側
    に形成された第1の電極と、前記p型クラッド層のほぼ
    中央部上に形成された第2の電極と、この第2の電極直
    下の前記p型クラッド層内に埋め込まれたn型電流阻止
    部と、前記第2の電極直下の前記p型クラッド層上に形
    成されたp型コンタクト層パターンとを具備することを
    特徴とする発光ダイオード。
  2. 【請求項2】GaAs基板上にn型クラッド層、活性層、第
    1のp型クラッド層、n型電流阻止部となるn型半導体
    層、及び第2のp型クラッド層を順次積層する工程と、
    前記活性層のほぼ中央部上以外の前記n型半導体層中に
    前記p型クラッド層中のp型不純物を選択的に拡散させ
    て、前記活性層のほぼ中央部上に前記n型電流阻止部を
    形成する工程と、前記n型クラッド層側に第1の電極を
    形成する工程と、前記第2のp型クラッド層上に前記n
    型電流阻止部に対向するp型コンタクト層パターン及び
    第2の電極を順に積層する工程とを具備することを特徴
    とする発光ダイオードの製造方法。
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