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JP3159425B2 - インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置

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JP3159425B2
JP3159425B2 JP02380795A JP2380795A JP3159425B2 JP 3159425 B2 JP3159425 B2 JP 3159425B2 JP 02380795 A JP02380795 A JP 02380795A JP 2380795 A JP2380795 A JP 2380795A JP 3159425 B2 JP3159425 B2 JP 3159425B2
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仁 杉本
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被記録材上に高品位の
画像を得ることができるインクジェット記録方法および
記録装置に関し、詳しくは、被記録媒体上に有色のイン
クおよびインク中の成分を不溶化または凝集させる成分
を有する記録性向上液(処理液S)を吐出させるインク
ジェット記録方法および記録装置に関する。なお、ここ
で、記録とは、布、糸、紙、シート材等のインク付与を
受けるインク支持体全てへのインク付与等(プリント)
を含むもので、記録装置は、各種情報処理装置全てある
いはその出力器としてのプリンタを含むものであり、具
体的な適用機器としては、プリンタ、複写機、ファクシ
ミリ等の事務機器や工業用生産機器等を挙げることがで
きる。
【0002】なお、本発明において、記録性の向上と
は、濃度、彩度、エッジ部分のシャープネス度合い、ド
ット径等の画質を向上させること、インクの定着性を向
上させること、耐水性、耐光性等の耐候性、すなわち画
像保存性を向上させること、を含むものである。
【0003】
【従来の技術】従来、インクジェット記録方法は、低騒
音、低ランニングコスト、装置が小型化しやすい、カラ
ー化が容易、等からプリンタや複写機等に利用されてい
る。
【0004】しかしながら、インクジェット記録方法を
応用したこれらの記録装置により、いわゆる普通紙と呼
ばれる被記録材上に画像を得る場合、画像の耐水性が不
十分であったり、また、カラー画像を得る場合には、フ
ェザリングの生じない高濃度の画像と、色間のにじみの
生じない画像とを両立させることができず、良好な画像
堅牢性を持ち、かつ、良好な品位のカラー画像を得るこ
とは困難であった。
【0005】画像の耐水性を向上させる方法としてイン
ク中に含まれる色材に耐水性を持たせたインクも近年で
は実用化されつつある。しかしながら、その耐水性はま
だまだ不十分であるとともに、原理的に乾燥後、水に溶
解しにくいインクであるために、記録ヘッドのノイズ詰
まりが生じやすく、これを防止するために装置構成が複
雑になってしまう欠点があった。
【0006】また、従来より被記録物の堅牢性を向上さ
せる技術が多数開示されている。特開昭53−2448
6号公報では、染色物の湿潤堅牢度を増進させるため
に、染色物を後処理することで染料をレーキ化し固着さ
せる技術が開示されている。
【0007】特開昭54−43733号公報では、イン
クジェット記録方式により、相互に接触すると常温また
は加熱時に被膜形成能が増大する2つ以上の成分を用い
て、記録する方法が開示されており、被記録媒体上で各
成分が接触することで強固に密着した被膜を形成した印
刷物を得ている。
【0008】特開昭55−150396号公報でも、水
性染料インクを用いてインクジェット記録した後に、該
染料とレーキを形成する耐水化剤を付与する方法が開示
されている。
【0009】特開昭58−128862号公報には、記
録すべき画像位置をあらかじめ識別し、記録インクと処
理インクとを重ねて記録するインクジェット記録方法が
開示されており、記録インクに先立って処理インクで描
いたり、先に描かれた記録インク上に処理インクを重ね
たり、先に描かれた処理インク上に記録インクを重ね、
さらに処理インクを重ねて描いたりする方法が、開示さ
れている。
【0010】しかしながら、これらには、本来は画像の
記録に関係の無い記録性向上液の使用量を最小限に抑え
る方法は、開示されていない。
【0011】また、複数の記録モードを有し、目的に応
じて、それらの記録モードを切り替えて使用する方法
も、開示されていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、前記
従来の問題点を解決することにあり、記録媒体上で、記
録性向上液とインクとを混合または反応させ、記録画像
の耐水性を向上させ、記録画像の発色性を向上させ、複
数色の色間ブリードを最小限にし、記録媒体に対するイ
ンクの定着性を向上させる、ことにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記課題を達成する本発
明のインクジェット記録方法および記録装置は、以下に
示す構成を備える。
【0014】すなわち、本発明の請求項1のインクジェ
ット記録方法は、色材を含有するインクと該インクの色
材を不溶化または凝集させる記録性向上液を吐出するた
めの吐出部を用い、前記吐出部から被記録媒体に向けて
前記インクおよび前記記録性向上液を吐出して画像を記
録するインクジェット記録方法であって、前記記録性向
上液と前記インクを吐出して前記記録性向上液と前記イ
ンクの重複部分を形成する記録モードaと、前記記録性
向上液を吐出せず前記インクのみを吐出する記録モード
cとを含む記録モードのうち、選択されたいずれかの記
録モードにより画像を記録する記録工程を備え、前記記
録モードaでは、前記記録モードaにより記録される前
記重複部分のインクドット径が前記記録モードcにより
記録されるインクドット径と同じ大きさとなるように、
前記記録モードaにおいて吐出される前記インクの単位
面積あたりの吐出量を前記記録モードcにおいて吐出さ
れる前記インクの単位面積あたりの吐出量よりも大とす
ことを特徴とする。
【0015】本発明の請求項2のインクジェット記録方
法は、前記請求項1の記録方法において、前記吐出部
は、複数色のインクを吐出することを特徴とする。
【0016】本発明の請求項3のインクジェット記録方
法は、前記請求項2の記録方法において、前記記録モー
ドとして、前記記録性向上液を異なる色のインクの境界
部に重点的に吐出する記録モードbを更に備えることを
特徴とする。
【0017】本発明の請求項4のインクジェット記録方
法は、前記請求項3の記録方法において、前記記録モー
ドとして、前記記録性向上液を異なる色のインクの境界
部に重点的に吐出する記録モードbを更に備えることを
特徴とする。
【0018】本発明の請求項5のインクジェット記録方
法は、前記請求項3または4の記録方法において、前記
記録モードbでは、前記記録性向上液と前記インクとが
重複する重複部分と、前記前記記録性向上液と前記イン
クとが重複しない非重複部分とを形成することを特徴と
する。
【0019】本発明の請求項6のインクジェット記録方
法は、前記請求項5の記録方法において、前記記録モー
ドbでは、前記重複部分に対して吐出される前記インク
の単位面積あたりの吐出量を、前記非重複部分に対して
吐出される前記インクの単位面積当たりの吐出量よりも
大とすることを特徴とする。
【0020】本発明の請求項7のインクジェット記録方
法は、前記請求項1乃至6のいずれかの記録方法におい
て、前記記録モードaでは、前記記録性向上液と前記イ
ンクとが重複する重複部分と、前記前記記録性向上液と
前記インクとが重複しない非重複部分とを形成すること
を特徴とする
【0021】本発明の請求項8のインクジェット記録方
法は、前記請求項の記録方法において、前記記録モー
ドaでは、前記重複部分に対して吐出される前記インク
の単位面積あたりの吐出量を、前記非重複部分に対して
吐出される前記インクの単位面積当たりの吐出量よりも
大とすることを特徴とする。
【0022】本発明の請求項9のインクジェット記録方
法は、前記請求項1ないし8のいずれかの記録方法にお
いて、前記吐出ヘッド部が、電気−熱変換体であること
を特徴とする。
【0023】本発明の請求項10のインクジェット記録
方法は、前記請求項1ないし8のいずれかの記録方法に
おいて、前記吐出ヘッド部が、電気−機械変換体である
ことを特徴とする。
【0024】本発明の請求項11のインクジェット記録
方法は、前記請求項1ないし10のいずれかの記録方法
において、前記記録性向上液は、低分子成分と高分子成
分のカチオン性物質を含み、前記インクはアニオン性染
料を含むことを特徴とする。
【0025】本発明の請求項12のインクジェット記録
方法は、前記請求項1ないし10のいずれかの記録方法
において、前記記録性向上液は、低分子成分と高分子成
分のカチオン性物質を含み、前記インクはアニオン性染
料が含有されているか、または少なくともアニオン性化
合物と顔料とが含有されていることを特徴とする。
【0026】本発明の請求項13のインクジェット記録
方法は、前記請求項4の記録方法において、前記カラー
インク吐出部は、イエローインク、シアンインクおよび
マゼンタインクを吐出することを特徴とする。
【0027】本発明の請求項14のインクジェット記録
方法は、前記請求項1乃至13のいずれかの記録方法に
おいて、前記記録工程の前に、前記記録モードaと前記
記録モードcとを含む記録モードのうちのいずれかのモ
ードを選択する選択工程を行うことを特徴とする。
【0028】本発明の請求項15のインクジェット記録
装置は、色材を含有するインクと該インクの色材を不溶
化または凝集させる記録性向上液を吐出するための吐出
部を用い、前記吐出部から被記録媒体に向けて前記イン
クおよび前記記録性向上液を吐出して画像を記録するイ
ンクジェット記録装置であって、前記記録性向上液と前
記インクを吐出して前記記録性向上液と前記インクの重
複部分を形成する記録モードaと、前記記録性向上液を
吐出せず前記インクのみを吐出する記録モードcとを含
む記録モードのうち、選択されたいずれかの記録モード
により画像を記録する記録制御手段を備え、前記記録モ
ードaでは、前記記録モードaにより記録される前記重
複部分のインクドット径が前記記録モードcにより記録
されるインクドット径と同じ大きさとなるように、前記
記録モードaにおいて吐出される前記インクの単位面積
あたりの吐出量を前記記録モードcにおいて吐出される
前記インクの単位面積あたりの吐出量よりも大とするこ
とを特徴とする。
【0029】本発明の請求項16のインクジェット記録
装置は、前記請求項15の記録装置において、前記吐出
部は、複数色のインクを吐出することを特徴とする。
発明の請求項17のインクジェット記録装置は、前記請
求項16の記録装置において、前記記録モードとして、
前記記録性向上液を異なる色のインクの境界部に重点的
に吐出する記録モードbを更に備えることを特徴とす
る。
【0030】本発明の請求項18のインクジェット記録
装置は、前記請求項17の記録装置において、前記吐出
部は、ブラックインクを吐出するためのブラックインク
吐出部、前記ブラックとは異なる色のカラーインクを吐
出するためのカラーインク吐出部及び前記記録性向上液
を吐出するための記録性向上液吐出部であり、前記記録
モードbは、前記記録性向上液を前記ブラックインクと
該ブラックとは異なる色のカラーインクとの境界部に重
点的に吐出するモードであることを特徴とする。
【0031】本発明の請求項19のインクジェット記録
装置は、前記請求項17または18の記録装置におい
て、前記記録モードbでは、前記記録性向上液と前記イ
ンクとが重複する重複部分と、前記前記記録性向上液と
前記インクとが重複しない非重複部分とを形成すること
を特徴とする。
【0032】本発明の請求項20のインクジェット記録
装置は、前記請求項19の記録装置において、前記記録
モードbでは、前記重複部分に対して吐出される前記イ
ンクの単位面積あたりの吐出量を、前記非重複部分に対
して吐出される前記インクの単位面積当たりの吐出量よ
りも大とすることを特徴とする。
【0033】本発明の請求項21のインクジェット記録
装置は、前記請求項15乃至20の記録装置において、
前記記録モードaでは、前記記録性向上液と前記インク
とが重複する重複部分と、前記前記記録性向上液と前記
インクとが重複しない非重複部分とを形成することを特
徴とする。
【0034】本発明の請求項22のインクジェット記録
装置は、前記請求項21の記録装置において、前記記録
モードaでは、前記重複部分に対して吐出される前記イ
ンクの単位面積あたりの吐出量を、前記非重複部分に対
して吐出される前記インクの単位面積当たりの吐出量よ
りも大とすることを特徴とする。
【0035】本発明の請求項23のインクジェット記録
装置は、前記請求項15乃至22の記録装置において、
前記吐出部は、電気−熱変換体を有することを特徴とす
る。
【0036】本発明の請求項24のインクジェット記録
装置は、前記請求項15乃至22の記録装置において、
前記吐出部は、電気-機械変換体を有することを特徴と
する。 本発明の請求項25のインクジェット記録装置
は、前記請求項15乃至24の記録装置において、前記
記録性向上液は、低分子成分と高分子成分のカチオン性
物質を含み、前記インクは、アニオン性染料を含むこと
を特徴とする。本発明の請求項26のインクジェット記
録装置は、前記請求項15乃至24の記録装置におい
て、前記記録性向上液は、低分子成分と高分子成分のカ
チオン性物質を含み、前記インクは、アニオン性染料が
含有されているか、または少なくともアニオン性化合物
と顔料とが含有されていることを特徴とする。本発明の
請求項27のインクジェット記録装置は、前記請求項1
8の記録装置において、前記カラーインク吐出部は、イ
エローインク、シアンインクおよびマゼンタインクを吐
出することを特徴とする。本発明の請求項28のインク
ジェット記録装置は、前記請求項15乃至27の記録装
置において、前記記録工程の前に、前記記録モードaと
前記記録モードcとを含む記録モードのうちのいずれか
のモードを選択する選択工程を行うことを特徴とする。
【0037】
【作用】前記構成の本発明によれば、記録媒体上で、記
録性向上液とインクとを混合または反応させ、記録画像
の耐水性を向上させ、記録画像の発色性を向上させ、複
数色の色間ブリードを最小限にし、記録媒体に対するイ
ンクの定着性を向上させる、ことができる。
【0038】例えば、本発明の請求項1乃至8の構成
は、少なくとも2つのモードを有し、手動あるいは自動
で切り替えられる構成であり、頁毎あるいは頁内でも切
り替えられる。つまり、記録領域に応じて、記録モード
を判断して記録性向上液を作用させることにより、記録
性向上液の使用量を効果的で最小限にして記録すること
が、可能となる。さらに、記録性向上液とインクを重複
させる領域のインク吐出量を、記録性向上液とインクと
を重複させない領域よりも多くする。記録性向上液とイ
ンクとが反応すると、にじみがそこで止まり、ドット径
が小さくなってしまうからである。
【0039】
【0040】
【0041】なお、本発明において、凝集(不溶化とも
いう)とは、(i)インクに使用している色剤がアニオ
ン性基を有する水溶性染料の場合では、前記アニオン性
基と記録性向上液中に含まれるカチオン性物質のカチオ
ン性基がイオン的に相互作用を起こしてイオン結合が生
じ、インク中に均一に溶解していた染料が溶液中から分
離する現象を意味する。また、(ii)インクに使用して
いる色剤が顔料で場合には、顔料分散剤あるいは顔料表
面と記録性向上液中に含まれるカチオン性物質のカチオ
ン性基がイオン的相互作用を起こし、顔料の分散破壊が
生じ、顔料の粒子径が巨大化することを意味する。通
常、このような凝集に伴って、インクの粘度が上昇す
る。
【0042】また、吐出ベッド部とは、同一ヘッドの一
部でも、異なるヘッドでもよい。
【0043】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。
【0044】(実施例1)図1は、本発明を適用可能な
インクジェット記録装置の斜視図を示す。記録装置10
0の給紙位置に挿入された記録媒体106は、送りロー
ラ109によって矢印Pの方向に進み、記録ヘッドユニ
ット103の記録可能領域へ搬送される。記録可能領域
における記録媒体の下部には、プラテン108が設けら
れる。キャリッジ101は、ガイド軸104とガイド軸
105の2つのガイド軸によって、定められた方向に移
動可能な構成となっており、記録領域を往復走査する。
キャリッジ101には、複数の色インクと処理液を吐出
する記録ヘッドと、それぞれの記録ヘッドにインクや処
理液を供給するインクタンクを含む記録ヘッドユニット
103が搭載されている。この例のインクジェット記録
装置に設けられる複数の色のインクは、Bk(ブラッ
ク)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)
の4色である。
【0045】キャリッジ101が移動可能な領域の左端
には、下部に回復系ユニット110があり、記録ヘッド
からのインクや記録性向上液(処理液S)の吐出に不具
合が生じた場合に回復動作したり、非記録時に記録ヘッ
ドの吐出口部をキャップしたりする。この左端を記録ヘ
ッドのホームポジションと呼ぶ。
【0046】107は、スイッチ部と表示素子部であ
り、スイッチ部は記録装置の電源のオン/オフや各種記
録モードの設定時等に使用され、表示素子部は記録装置
の状態を表示する役割をする。
【0047】図2は、記録ヘッドユニット103の斜視
図である。この例は、記録ヘッド102に供給するB
k,C,M,Yの各色インクと、記録性向上液Sのタン
クが全て独立に交換可能な構成の場合である。
【0048】キャリッジ101には、Bk,C,M,Y
とSを吐出する記録ヘッド102と、Bkインクタンク
12、Cインクタンク13、Mインクタンク14、Yイ
ンクタンク15、及び、Sタンク11が搭載される。各
タンクは、記録ヘッドとの接続部を介して記録ヘッドと
接続し、記録ヘッドの吐出口にインクや処理液を供給す
る。インクタンクの部材は透明の部材であり、内部の液
体の残量レベルが見えるようになっている。
【0049】この例の他に、例えば、処理液とBkのタ
ンクが一体構造であっても良く、また、CとMとYのタ
ンクが一体構造であっても良い。あるいは、全タンクが
一体の構造であってもよい。
【0050】図3は、記録ヘッド102の発熱体付近の
拡大断面図である。この例のインクジェット記録装置
は、各インク吐出口に対応して電気−熱変換体である発
熱体30を配置し、記録情報に対応する駆動信号を発熱
体30に印加して、吐出口23からインクを吐出させる
記録方式を採用するものである。発熱体30は、全ての
ノズルに対してそれぞれ独立に発熱可能な構成となって
いる。
【0051】吐出口23は、図の紙面と直交する方向に
複数個配列されている。配列のピッチは約70μmで、
360dpiの解像度を1回の主走査スキャンで記録可
能な構成になっている。
【0052】発熱体30の発熱により急速に加熱された
ノズル内のインクは膜沸騰により気泡を形成し、この気
泡生成の圧力によりインク滴35が記録媒体31に向か
って吐出され、記録媒体31上に文字や画像を形成す
る。この時、吐出される各色のインク滴の体積は15〜
80ngである。
【0053】吐出口23の各々には、吐出口に連通する
インク液路が設けられており、インク液路が配設される
部位の後方にはこれら液路にインクを供給するための共
通液室32が設けられる。吐出口23の各々に対応する
インク液路には、これら吐出口からインク滴を吐出する
ために利用される熱エネルギーを発生する電気−熱変換
体である発熱体30やこれに電力を供給するための電極
配線が設けられている。これら、発熱体30や電極配線
は、シリコン等からなる基板33上に成膜技術によって
形成される。発熱体30の上には、インクと発熱体30
が直接接触しないように保護膜36が形成されている。
さらに、この基板33上に樹脂やガラス材よりなる隔壁
34を積層することによって上記吐出口23、インク液
路、共通液室32等が構成される。
【0054】このように、電気−熱変換体である発熱体
を使用した記録方式は、インク滴吐出時に熱エネルギー
の印加により形成される気泡を使用しているため、通称
バブルジェット記録方式と呼ばれている。
【0055】図4は、記録ヘッド102の吐出口23の
配置を示す図である。記録ヘッド102を記録媒体10
6の上部側から透視して見た模式図である。記録ヘッド
102は、記録媒体106に対し矢印Qの方向に相対的
に移動する。記録媒体106は、記録ヘッド102に対
し相対的に矢印Pの方向に移動する。SヘッドとBkヘ
ッドの吐出口の数は、それぞれ128個であり、一体構
造のYMCヘッドの各吐出口の数は、それぞれ48個で
あり、YとM,MとCの間の分離領域は、吐出口数で8
個分である。
【0056】各ヘッドの吐出口のピッチは、全て約70
μmである。S,Bk,CMY各色用のヘッド間の主走
査方向の間隔は、吐出口が180個分である。各ヘッド
の吐出口は、主走査とほぼ直交する方向に直線状に配置
されている。各SとBkとYMC用の各ヘッドの下端
は、記録ヘッド102が移動する主走査方向に対して一
致するように配置されている。
【0057】図5は、本発明を適用可能なインクジェッ
ト記録装置のブロック図である。ホストコンピュータか
ら、記録すべき文字や画像のデータ(以下画像データと
いう)が記録装置の受信バッファー401に入力され
る。また、正しくデータが転送されているかを確認する
データや、記録装置の動作状態を知らせるデータが記録
装置からホストコンピュータに帰される。受信バッファ
ー401のデータはCPU402の管理のもとで、メモ
リ部403に転送され、RAM(ランダムアクセスメモ
リ)に一次的に記憶される。メカコントロール部404
は、CPU402からの指令により、キャリッジモータ
やラインフィードモータ等のメカ部405を駆動する。
センサ/SWコントロール部406は、各種センサやS
W(スイッチ)からなるセンサ/SW部407からの信
号をCPU402に送る。表示素子コントロール部40
8は、CPUからの指令により表示パネル群のLEDや
液晶表示素子等からなる表示素子部409を制御する。
記録ヘッドコントロール部410は、CPUからの指令
により記録ヘッド102を制御する。また、記録ヘッド
102の状態を示す温度情報等をセンスし、CPU40
2に伝える。これら構成によって、本発明の記録手段が
構成される。
【0058】図6は、記録動作のフローチャートであ
る。
【0059】STEP01は、記録モード判別部で、ま
ず、記録モード判別手段で、記録モードが設定される。
ここでは、記録モードaか記録モードbか記録モードc
が選択される。設定には、2種類の方法がある。1つ目
は、ホストコンピュータから送るデータでの設定であ
る。また2つ目は、記録装置のSW部からの入力であ
る。ここでは前者であるがいずれの方法でも良い。
【0060】STEP02は、記録モードaが選択され
た場合で、1頁の記録動作をする。記録性向上液Sを記
録画像全体に吐出させる記録モードで、記録媒体上で、
Sとインクとを混合または反応させ、記録画像の耐水性
を向上させる、また、記録画像の発色性を向上させる、
また、複数色の色間ブリードを最小限にする、また、記
録媒体に対するインクの定着性を向上させる、記録モー
ドである。したがって、記録性向上液Sを最大限に使用
して、その効果も最大限に得る記録モードである。
【0061】この時、記録モードcに比べ、Y,M,
C,Bk各インクの単位面積当りへの吐出量を多くす
る。具体的には、各インク滴の大きさを記録モードcの
約1.05倍とするように、ヘッド駆動波形を制御す
る。この制御方法は公知のパルス幅変調法であるが、温
度制御により高温度にしても良く、手段は問わない。ま
た、増加の割合は使用するインクや記録性向上液Sや記
録媒体等により最適値が選択される設計事項である。こ
の手段は、記録ヘッドコントロール部に設ける。
【0062】この処理をしない場合には、記録性向上液
Sとインクが反応または混合する部分で、粒状感が目立
つ、記録媒体の色(一般には白色)が目立つ、等の記録
画像の劣化が発生する。
【0063】各インクの単位面積当りへの吐出量を多く
するは、記録媒体上での記録性向上液Sとインクとの
混合あるいは反応により、インクのドット径がやや小さ
くなるからである。
【0064】この処理は、さらに、記録性向上液Sとイ
ンクとがまさに同一記録位置に吐出されるドットのみ吐
出体積を増加させ、記録性向上液Sとインクとが同一記
録位置に吐出されないドットは吐出体積の増加をしない
処理とするとさらに良い。
【0065】この処理は、次の記録モードbでも同様の
理由で効果がある。
【0066】STEP03は、記録モードbが選択され
た場合で、1頁の記録動作をする。記録性向上液Sを記
録画像の色間、特にブラックとY,M,Cとの境界部に
重点的に吐出させる記録モードで、色間のブリード、特
にブラックとY,M,Cとのブリードを防止した画像を
得るための記録モードである。記録媒体に対する記録性
向上液Sの使用量を最小限に抑えるメリットがある。B
kとY,M,Cの境界検出処理は、公知の手段でおこな
う。
【0067】ここでは、BkとYまたはMまたはCとの
境界部に記録性向上液Sを吐出する処理としたが、イン
クの特性によっては、Bk,Y,M,Cそれぞれの境部
にSを吐出する処理としてもよい。
【0068】STEP04は、記録モードcが選択され
た場合で、1頁の記録動作をする。記録性向上液Sを吐
出しない記録モードで、従来と同様の記録をする記録モ
ードである。従来の記録品位を求め、記録性向上液Sを
使用しない分ランニングコストが上がらないメリットが
ある。
【0069】このように、ユーザが必要に応じて1頁単
位で、記録モードを使い分ける処理をする。
【0070】ここで、記録モードbでは、記録性向上液
Sは一主走査中少なくともBkより先行する記録位置の
ノズルを使用して、主走査の双方向記録を可能にしてい
る。
【0071】記録ヘッドの構成は、主走査方向に対し、
X1の方向ではS,Bk,YMCである。通常の記録動
作では、記録領域に、まず、BkとY,M,Cの境界部
を検出して先行してSを吐出し、つぎにBkを吐出す
る。この時、BkとSとが反応し、BkはY,M,Cと
の境界領域でY,M,Cとブリードしにくい状態とな
る。その後、Y,M,Cを吐出する。このため、Bkと
Y,M,Cとのブリードは発生しにくい。
【0072】逆に、X2の方向ではYMC,Bk,Sの
順である。記録領域に、まず、Y,M,Cを吐出し、次
にBkで、最後にSを吐出する。Y,M,CインクとB
kインクとが、記録媒体上でブリードした後でSを吐出
するため、ブリード防止の効果がえられない。この対策
として、X1方向のみを使用した片方向記録での記録も
考えられるが、この場合には記録速度が低下する。
【0073】そこで、ここでは、1パス双方向記録モー
ドで、かつ、ブリードを防止する記録モードの実現のた
め、1主走査での記録領域で、記録性向上液SはBkに
先行する記録領域を記録できるようなノズルを使用す
る。
【0074】図7は、記録モードbで使用する各ヘッド
の吐出口を示す図である。YMCは全ての吐出口を使用
する。この記録モードでは、全吐出口の内、Sは、主走
査方向に対しCと同位置にある吐出口であるR1の領域
の48の吐出口を使用する。また、Bkは、同じくMと
同位置にある吐出口であるR2の領域の48の吐出口を
使用する。
【0075】記録動作時に記録領域に対し、X1の方向
では、S,C,Bk,M,Yの順に記録する。X2の方
向では、C,S,M,Bk,Yの順に記録する。また、
双方向記録では、S,C,M,Bk,Yの順に記録す
る。詳細には、吐出口の無い領域R4とR5が存在する
ため、記録領域の特定部では多少の記録順序差はあるも
のの、SとCを吐出後に、Bkを吐出する順序は変わら
ない。すなわち、必ずSを吐出後Bkを吐出する。この
ため、Sの効果により、Bkは他の色に対してのブリー
ドを最小限にすることが可能となる。しかも、1パスで
双方向の高速記録が可能となる。
【0076】ここで、使用したインクと処理液の処方は
以下の様である。
【0077】 Y(イエロー)インク グリセリン 5.0重量% チオジグリコール 5.0重量% 尿素 5.0重量% イソプロピルアルコール 4.0重量% アセチノールEH(川研ケミカル) 1.0重量% 染料C.I.ダイレクトイエロー142 2.0重量% 水 78.0重量% M(マゼンタ)インク グリセリン 5.0重量% チオジグリコール 5.0重量% 尿素 5.0重量% イソプロピルアルコール 4.0重量% アセチノールEH(川研ケミカル) 1.0重量% 染料C.I.アシッドレッド289 2.5重量% 水 77.5重量% C(シアン)インク グリセリン 5.0重量% チオジグリコール 5.0重量% 尿素 5.0重量% イソプロピルアルコール 4.0重量% アセチノールEH(川研ケミカル) 1.0重量% 染料C.I.ダイレクトブルー199 2.5重量% 水 77.5重量% Bk(ブラック)インク グリセリン 5.0重量% チオジグリコール 5.0重量% 尿素 5.0重量% イソプロピルアルコール 4.0重量% 染料C.I.フードブラック2 3.0重量% 水 78.0重量% S(処理液) ポリアリルアミン塩酸塩 5.0重量% 塩化ベンサルコニウム 1.0重量% ジエチレングリコール 10.0重量% アセチノールEH(川研ケミカル) 0.5重量% 水 78.0重量% このように、YMCインクにはBkインクに比べ界面活
性剤であるアセチノールEHを1.0%添加し浸透性を
向上させてある。このため、YMCインクはBkに比
べ、定着性が優れている。一方、BkはYMCに比べ浸
透性がやや悪いが記録濃度が高くエッジ部のシャープさ
が良いため文字や線画の記録に適している。また、Sに
もアセチノールEHを0.5%添加し、やや浸透性を向
上させてある。
【0078】なお、Y,M,C,Bkインクの色材とし
て染料を使用した例を示したがこれに限定されることな
く、色材として例えば顔料を使用したもの、あるいは染
料と顔料を混合したもの等でも良い。色材と溶剤を含有
した各インクがインクのいずれかの成分と凝集する最適
な記録性向上液Sを使用することで同様な効果が得られ
る。
【0079】また、これまでの実施例では、記録ヘッド
として電気・熱変換素子を使用した例を示したがこれに
限定されることなく、例えば電気・機械変換素子を使用
してもよい。
【0080】前述したそれぞれ処理液(液体組成物)と
インクとの混合において、本発明では、上述した処理液
とインクが被プリント材上あるいは被プリント材に浸透
した位置で混合する結果、反応の第1段階として処理液
中に含まれているカチオン性物質の内、低分子量の成分
またはカチオン性オリゴマーとインクに使用しているア
ニオン性基を有する水溶性染料または顔料インクに使用
しているアニオン性化合物とがイオン的相互作用により
会合を起こし、瞬間的に溶液相から分離を起こす。この
結果顔料インクにおいては分散破壊が起こり、顔料の凝
集体ができる。
【0081】次に、反応の第2段階として、上述した染
料と低分子カチオン性物質またはカチオン性オリゴマー
との会合体または顔料の凝集体が処理液中に含まれる高
分子成分により吸着されるために、会合で生じた染料の
凝集体または顔料の凝集体のサイズがさらに大きくな
り、被プリント材の繊維間の隙間に入り込みにくくな
り、その結果として固液分離した液体部分のみが記録紙
中にしみこむことにより、プリント品位と定着性との両
立が達成される。同時に上述したようなメカニズムによ
り生成したカチオン物質の低分子成分またはカチオン性
オリゴマーとアニオン性染料とカチオン性物質とで形成
される凝集体または顔料の凝集体は粘性が大きくなり、
液媒体の動きとともに移動することがないので、フルカ
ラーの画像形成時のように隣接したインクドットが異色
のインクで形成されていたとしても互いに混じり合うよ
うなことはなく、ブリーデイングも起こらない。また、
上記凝集体は本質的に水不溶性であり形成された画像の
耐水性は完全なものとなる。また、ポリマーの遮蔽効果
により形成された画像の耐光堅牢性も向上するという効
果も有する。
【0082】本明細書において使用される不溶化または
凝集として、その一例は前記第1段階のみの現象であ
り、他の例は第1段階と第2段階の両方を含んだ現象で
ある。
【0083】また、本発明の実施にあたっては、従来技
術のように分子量の大きいカチオン性高分子物質や多価
の金属塩を使用する必要がないか、あるいは使用する必
要があっても本発明の効果をさらに向上させるために補
助的に使用するだけで良いので、その使用量を最小限に
抑えることができる。その結果として、従来のカチオン
性高分子物質や多価金属塩を使用して耐水化効果を得よ
うとした場合の問題点であった染料の発色性の低下がな
くなるということを本発明の別の効果として挙げること
ができる。
【0084】なお、本発明を実施するにあたって使用す
る被プリント材については特に制限されるものではな
く、従来から使用されているコピー用紙、ボンド紙等の
いわゆる普通紙を好適に用いることができる。もちろん
インクジェットプリント用に特別に作製したコート紙や
OHP用透明フィルムも好適に使用でき、また、一般の
上質紙や光沢紙も好適に使用可能である。
【0085】図8は、電気−機械変換素子を使用した記
録ヘッドでの例である。ここで38は電気−機械変換素
子である圧電素子である。
【0086】その他、記録ヘッドの構成は問わない。
【0087】実施例では1頁単位での記録モード切り替
えの例を示したが、これに限定されるものではない。
【0088】例えば、1頁内で、記録モードa,記録モ
ードb,記録モードcを切り替えると、以下の効果が得
られる。記録モードa,b,cは実施例と同様のモード
とする。
【0089】記録画像のほとんどの部分(part1)
がブラック色の文字で、一部分(part2)がカラー
の風景画であるイメージ画像、これと異なる一部分(p
art3)がカラーのグラフである画像を描く場合を想
定する。
【0090】この場合、part1は記録モードc、p
art2は記録モードa、part3は記録モードb、
とすると、良い効果が得られる。
【0091】part1では、ブラック色の文字だけで
あるので、他の色であるYMCとは記録媒体上で接触し
ないため、YMCとのブリードは発生しない。このた
め、Sは使用しない、Sを節約する。
【0092】part2では、風景画であるので記録画
像の発色性を最高に良くしたい。このため、全記録領域
おいてインクにSを作用させて記録する。
【0093】part3では、グラフであるので、色間
のエッジ部がくっきりとした記録をしたい。このため、
Sを色間のエッジ部のみに作用させて色間ブリードが最
小限でかつ、全記録領域にはSを作用させないで節約す
る。
【0094】このように、記録領域に応じて、記録モー
ドを自動的に判断してSを作用させることによって、効
果的で最小限のSの使用の記録が可能となる。
【0095】図9は、1頁内で記録モードを自動的に判
断して1頁を記録するフローチャートである。
【0096】STEP11は、記録画素単位で、記録す
べき画像の性質を判断する工程である。ここでは、文字
か、グラフか、イメージ画像かを判断する。判断する方
法は公知の手段で行うが、処理方法によっては多少の判
断ミスもやむをえない。文字の場合には、STEP12
へ、グラフの場合にはSTEP13へ、イメージ画像の
場合にはSTEP14へ進む。
【0097】STEP12は、文字の場合で、モードc
に相当する処理を行う。すなわち、Sを使用しない、通
常の処理を行う。
【0098】STEP13は、グラフの場合で、モード
bに相当する処理を行う。すなわち、YMCBkの色間
にのみSを吐出させるデータを作成する。
【0099】STEP14は、イメージ画像の場合で、
モードaに相当する処理を行う。すなわち、記録領域全
体にSを使用するようにSデータを作成する。
【0100】STEP15は、記録動作で、YMCBk
とSを記録データに対応させて順次吐出する。
【0101】ここでは、記録画像が、文字か、グラフ
か、イメージ画像かを判断する例を示したが、判断の分
類や、分岐数は必要に応じて最適化される。例えば、文
字の場合にのみ記録モードc、グラフかイメージ画像の
場合には記録モードaとしてもよい。
【0102】本発明の実施例として具体的に示さなかっ
たが、本発明の変形例として、多色インクのうち、所定
の色インクには凝集あるいは不溶化を起こさず、他の色
のインクには凝集あるいは不溶化を生じさせる記録性向
上液の場合には、前記所定の色インク中に含ませる構成
が可能であり、この場合は、本発明の目的がさらに先鋭
的に実現可能となる。また、この場合、当然、記録性向
上液は、インクと同時に吐出、塗布されることになる。
【0103】また、前記本発明の構成において、インク
タンク(インク容器)へのインクの注入は、インク容器
にインク供給パイプ等を接続することでインクを導入す
るインク導入路を形成し、このインク導入路を介してイ
ンク容器にインクを注入することができる。インク容器
側のインク供給口としては、インクジェット記録ヘッド
側への供給口、大気連通口や、インク容器の壁面に穿っ
た孔部等を用いることができる。本発明では、記録性向
上液をタンク部の一部に貯蔵する構成とすることによ
り、装置使用者が、色材を含むインクのインク切れに伴
い、タンクを交換する際に、記録性向上液も同時に交換
できるようにしたものであるので、前記のようにしてイ
ンクを注入する場合には、記録性向上液も同時に注入し
ておくことが望ましく、この記録性向上液の注入も、前
記インクの注入と同様の手段および手順により行うこと
ができる。
【0104】(その他)なお、本発明は、特にインクジ
ェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために
利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段
(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エ
ネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録
ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすもので
ある。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が
達成できるからである。
【0105】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書,同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急
速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加
することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結
果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)
内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成
長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐
出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信
号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が
行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐
出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信
号としては、米国特許第4463359号明細書,同第
4345262号明細書に記載されているようなものが
適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する
発明の米国特許第4313124号明細書に記載されて
いる条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことが
できる。
【0106】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体
の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に
熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示す
る米国特許第4558333号明細書,米国特許第44
59600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるも
のである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通
するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示
する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧
力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示す
る特開昭59−138461号公報に基いた構成として
も本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの
形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録
を確実に効率よく行うことができるようになるからであ
る。
【0107】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのよう
な記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによっ
てその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の
記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0108】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装
置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や
装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチ
ップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一
体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの
記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0109】また、本発明に記録装置の構成として設け
られる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助
手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できる
ので、好ましいものである。これらを具体的に挙げれ
ば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニ
ング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれと
は別の加熱素子或はこれらの組み合わせによる予備加熱
手段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出モードを行な
うことも安定した記録を行なうために有効である。
【0110】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して1個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては
黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるか
いずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色
によるフルカラーの少なくとも一つを備えた装置にも本
発明は極めて有効である。
【0111】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するもの、あるいはインクジェット方式ではイ
ンク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を
行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制
御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時に
インクが液状をなすものであればよい。加えて、積極的
に熱エネルギによる昇温をインクの固形状態から液体状
態への状態変化のエネルギとして使用せしめることで防
止するか、またはインクの蒸発防止を目的として放置状
態で固化するインクを用いるかして、いずれにしても熱
エネルギの記録信号に応じた付与によってインクが液化
し、液状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達す
る時点ではすでに固化し始めるもの等のような、熱エネ
ルギによって初めて液化する性質のインクを使用する場
合も本発明は適用可能である。このような場合のインク
は、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60
−71260号公報に記載されるような、多孔質シート
凹部または貫通孔に液状または固形物として保持された
状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態とし
てもよい。本発明においては、上述した各インクに対し
て最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するも
のである。
【0112】さらに加えて、本発明の液体噴射記録ヘッ
ドを使用する記録機構を備えた記録装置の形態として
は、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末とし
て用いられるものの他、リーダ等と組合せた複写装置、
さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を
採るもの等であってもよい。
【0113】図10は本発明の記録装置をワードプロセ
ッサ、パーソナルコンピュータ、ファクシミリ装置、複
写装置としての機能を有する情報処理装置に適用した場
合の概略構成を示すブロック図である。
【0114】図中、1801は装置全体の制御を行なう
制御部で、マイクロプロセッサ等のCPUや各種I/O
ポートを備え、各部に制御信号やデータ信号等を出力し
たり、各部よりの制御信号やデータ信号を入力して制御
を行なっている。1802はディスプレイ部で、この表
示画面には各種メニューや文書情報およびイメージリー
ダ1807で読み取ったイメージデータ等が表示され
る。1803はディスプレイ部1802上に設けられた
透明な感圧式のタッチパネルで、指等によりその表面を
押圧することにより、ディスプレイ部1802上での項
目入力や座標位置入力等を行なうことができる。
【0115】1804はFM(Frequency M
odulation)音源部で、音楽エディタ等で作成
された音楽情報をメモリ部1810や外部記憶装置18
12にデジタルデータとして記憶しておき、それらメモ
リ等から読み出してFM変調を行なうものである。FM
音源部1804からの電気信号はスピーカ部1805に
より可聴音に変換される。プリンタ部1806はワード
プロセッサ、パーソナルコンピュータ、ファクシミリ装
置、複写装置の出力端末として、本発明記録装置が適用
されたものである。
【0116】1807は原稿データを光電的に読取って
入力するイメージリーダ部で、原稿の搬送経路途中に設
けられており、ファクシミリ原稿や複写原稿の他各種原
稿の読取りを行なう。1808はイメージリーダ部18
07で読取った原稿データのファクシミリ送信や、送ら
れてきたファクシミリ信号を受信して復号するファクシ
ミリ(FAX)の送受信部であり、外部とのインターフ
ェース機能を有する。1809は通常の電話機能や留守
番電話機能等の各種電話機能を有する電話部である。
【0117】1810はシステムプログラムやマネージ
ャプログラムおよびその他のアプリケーションプログラ
ム等や文字フォントおよび辞書等を記憶するROMや、
外部記憶装置1812からロードされたアプリケーショ
ンプログラムや文書情報さらにはビデオRAM等を含む
メモリ部である。
【0118】1811は文書情報や各種コマンド等を入
力するキーボード部である。
【0119】フロッピィディスクやハードディスク等を
記憶媒体とする外部記憶装置で、こ外部記憶装置181
2には文書情報や音楽或は音声情報、ユーザのアプリケ
ーョンプログラム等が格納される。
【0120】図11は図10に示す情報処理装置の模式
的外観図である。
【0121】図中、1901は液晶等を利用したフラッ
トパネルディスプレイで、各種メニューや図形情報およ
び文書情報等を表示する。このディスプレイ1901上
にはタッチパネル1803の表面を指等で押圧すること
により座標入力や項目指定入力を行なうことができる。
1902は装置が電話器として機能するときに使用され
るハンドセットである。キーボード1903は本体と脱
着可能にコードを介して接続されており、各種文書情報
や各種データ入力を行なうことができる。また、このキ
ーボード1903には各種機能キー1904等が設けら
れている。1905は外部記憶装置212へのフロッピ
ーディスクの挿入口である。
【0122】1906はイメージリーダ部1807で読
取られる原稿を戴置する用紙戴置部で、読取られた原稿
は装置後部より排出される。またファクシミリ受信等に
おいては、インクジェットプリンタ1907より記録さ
れる。
【0123】なお、上記でディスプレイ部1802はC
RTでもよいが、強誘電性液晶を利用した液晶ディスプ
レイ等のフラットパネルが望ましい。小型、薄型化に加
え軽量化が図れるからである。
【0124】上記情報処理装置をパーソナルコンピュー
タやワードプロセッサとして機能する場合、キーボード
部211から入力された各種情報が制御部1801によ
り所定のプログラムに従って処理され、プリンタ部18
06に画像として出力される。
【0125】ファクシミリ装置の受信機として機能する
場合、通信回線を介してFAX送受信部1808から入
力したファクシミリ情報が制御部1801により所定の
プログラムに従って受信処理され、プリンタ部1806
に受信画像として出力される。
【0126】また、複写装置として機能する場合、イメ
ージリーダ部1807によって原稿を読取り、読取られ
た原稿データが制御部1801を介してプリンタ部18
06に複写画像として出力される。なお、ファクシミリ
装置の受信機として機能する場合、イメージリーダ部1
807によって読取られた原稿データは、制御部180
1により所定のプログラムに従って送信処理された後、
FAX送受信部1808を介して通信回線に送信され
る。
【0127】なお、上述した情報処理装置は図12に示
すようにインクジェットプリンタを本体に内蔵した一体
型としてもよく、この場合は、よりポータブル性を高め
ることが可能となる。同図において、図11と同一機能
を有する部分には、対応する符号を付す。
【0128】以上説明した多機能型情報処理装置に本発
明の記録装置を適用することによって、高品位の記録画
像を高速かつ低騒音で得ることができるため、上記情報
処理装置の機能をさらに向上させることが可能となる。
【0129】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、 記録モードa:記録媒体上で、Sとインクとを混合又は
反応させ、記録画像の耐水性を向上させる、また、記録
画像の発色性を向上させる、また、複数色の色間ブリー
ドを最小限にする、また、記録媒体に対するインクの定
着性を向上させる、ことを目的とする記録モード。
【0130】記録モードb:記録媒体上で、Sを記録画
像の色間、特にブラックとYMCとの境界部に重点的に
吐出させる記録モードで色間のブリードを防止し、か
つ、Sの節約をする記録モード。
【0131】記録モードc:Sを吐出しない記録モード
で従来の記録をする記録モード。
【0132】の、少なくとも2種類以上の記録モードを
必要に応じて1頁単位で使い分けることが可能となっ
た。
【0133】また、Sとインクが混合する同一記録位置
でインクの吐出体積を増加させる処理により、記録モー
ドaと記録モードbと記録モードcとで、ドット径の変
わらない記録が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に適用可能な記録装置の斜視図である。
【図2】記録ヘッドユニットの斜視図である。
【図3】記録ヘッドの拡大断面図である。
【図4】記録ヘッドの構成を示す図である。
【図5】本発明に適用可能な記録装置のブロック図であ
る。
【図6】本発明の記録動作のフローチャートである。
【図7】モードbで使用する各ヘッドの吐出口を示す図
である。
【図8】他の記録ヘッドの拡大断面図である。
【図9】本発明の他の記録動作のフローチャートであ
る。
【図10】本発明を記録装置をワードプロセッサなどと
して機能する情報処理装置に適用した場合の概略構成を
示すブロック図である。
【図11】図10に示した情報処理装置の模式的外観図
である。
【図12】図10に示した情報処理装置のインクジェッ
トプリンタを内蔵した構成の模式的外観図である。
【符号の説明】
11 Sタンク 12 Bkインクタンク 13 Cインクタンク 14 Mインクタンク 15 Yインクタンク 23 吐出口 30 発熱体 31 記録媒体 32 共通液室 33 基板 34 隔壁 35 インク滴 100 記録装置 101 キャリッジ 102 記録ヘッド 103 記録ヘッドユニット 104 ガイド軸a 105 ガイド軸b 106 記録媒体 107 スイッチ部と表示素子部 108 プラテン 109 送りローラ 110 回復ユニット 401 受信バッファー 402 CPU 403 メモリ部 404 メカコントロール部 405 メカ部 406 センサ/SWコントロール部 407 センサ/SW部 408 表示素子コントロール部 409 表示素子部 410 記録ヘッドコントロール部 411 記録ヘッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B41J 3/04 103X (56)参考文献 特開 平6−286162(JP,A) 特開 平6−107988(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/21 B41J 2/205 B41M 5/00

Claims (28)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 色材を含有するインクと該インクの色材
    を不溶化または凝集させる記録性向上液を吐出するため
    の吐出部を用い、前記吐出部から被記録媒体に向けて前
    記インクおよび前記記録性向上液を吐出して画像を記録
    するインクジェット記録方法であって、 前記記録性向上液と前記インクを吐出して前記記録性向
    上液と前記インクの重複部分を形成する記録モードa
    と、前記記録性向上液を吐出せず前記インクのみを吐出
    する記録モードcとを含む記録モードのうち、選択され
    たいずれかの記録モードにより画像を記録する記録工程
    を備え、 前記記録モードaでは、前記記録モードaにより記録さ
    れる前記重複部分のインクドット径が前記記録モードc
    により記録されるインクドット径と同じ大きさとなるよ
    うに、前記記録モードaにおいて吐出される前記インク
    の単位面積あたりの吐出量を前記記録モードcにおいて
    吐出される前記インクの単位面積あたりの吐出量よりも
    大とすることを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 【請求項2】 前記吐出部は、複数色のインクを吐出す
    ることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記
    録方法。
  3. 【請求項3】 前記記録モードとして、前記記録性向上
    液を異なる色のインクの境界部に重点的に吐出する記録
    モードbを更に備えることを特徴とする請求項2に記載
    のインクジェット記録方法。
  4. 【請求項4】 前記吐出部は、ブラックインクを吐出す
    るためのブラックインク吐出部、前記ブラックとは異な
    る色のカラーインクを吐出するためのカラーインク吐出
    部及び前記記録性向上液を吐出するための記録性向上液
    吐出部であり、 前記記録モードbは、前記記録性向上液を前記ブラック
    インクと該ブラックとは異なる色のカラーインクとの境
    界部に重点的に吐出するモードであることを特徴とする
    請求項3に記載のインクジェット記録方法。
  5. 【請求項5】 前記記録モードbでは、前記記録性向上
    液と前記インクとが重複する重複部分と、前記前記記録
    性向上液と前記インクとが重複しない非重複部分とを形
    成することを特徴とする請求項3または4に記載のイン
    クジェット記 録方法。
  6. 【請求項6】 前記記録モードbでは、前記重複部分に
    対して吐出される前記インクの単位面積あたりの吐出量
    を、前記非重複部分に対して吐出される前記インクの単
    位面積当たりの吐出量よりも大とすることを特徴とする
    請求項5に記載のインクジェット記録方法。
  7. 【請求項7】 前記記録モードaでは、前記記録性向上
    液と前記インクとが重複する重複部分と、前記前記記録
    性向上液と前記インクとが重複しない非重複部分とを形
    成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記
    載のインクジェット記録方法。
  8. 【請求項8】 前記記録モードaでは、前記重複部分に
    対して吐出される前記インクの単位面積あたりの吐出量
    を、前記非重複部分に対して吐出される前記インクの単
    位面積当たりの吐出量よりも大とすることを特徴とする
    請求項7に記載のインクジェット記録方法。
  9. 【請求項9】 前記吐出部は、電気−熱変換体を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のイ
    ンクジェット記録方法。
  10. 【請求項10】 前記吐出部は、電気-機械変換体を有
    することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載
    のインクジェット記録方法。
  11. 【請求項11】 前記記録性向上液は、低分子成分と高
    分子成分のカチオン性物質を含み、 前記インクは、アニオン性染料を含むことを特徴とする
    請求項1乃至10のいずれかに記載のインクジェット記
    録方法。
  12. 【請求項12】 前記記録性向上液は、低分子成分と高
    分子成分のカチオン性物質を含み、 前記インクは、アニオン性染料が含有されているか、ま
    たは少なくともアニオン性化合物と顔料とが含有されて
    いることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記
    載のインクジェット記録方法。
  13. 【請求項13】 前記カラーインク吐出部は、イエロー
    インク、シアンインクおよびマゼンタインクを吐出する
    ことを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録
    方法。
  14. 【請求項14】 前記記録工程の前に、前記記録モード
    aと前記記録モードcとを含む記録モードのうちのいず
    れかのモードを選択する選択工程を行うことを特徴とす
    る請求項1乃至13のいずれかに記載のインクジェット
    記録方法。
  15. 【請求項15】 色材を含有するインクと該インクの色
    材を不溶化または凝集させる記録性向上液を吐出するた
    めの吐出部を用い、前記吐出部から被記録媒体に向けて
    前記インクおよび前記記録性向上液を吐出して画像を記
    録するインクジェット記録装置であって、 前記記録性向上液と前記インクを吐出して前記記録性向
    上液と前記インクの重複部分を形成する記録モードa
    と、前記記録性向上液を吐出せず前記インクのみを吐出
    する記録モードcとを含む記録モードのうち、選択され
    たいずれかの記録モードにより画像を記録する記録制御
    手段を備え、 前記記録モードaでは、前記記録モードaにより記録さ
    れる前記重複部分のインクドット径が前記記録モードc
    により記録されるインクドット径と同じ大きさとなるよ
    うに、前記記録モードaにおいて吐出される前記インク
    の単位面積あたりの吐出量を前記記録モードcにおいて
    吐出される前記インクの単位面積あたりの吐出量よりも
    大とすることを特徴とするインクジェット記録装置。
  16. 【請求項16】 前記吐出部は、複数色のインクを吐出
    することを特徴とする請求項15に記載のインクジェッ
    ト記録装置。
  17. 【請求項17】 前記記録モードとして、前記記録性向
    上液を異なる色のインクの境界部に重点的に吐出する記
    録モードbを更に備えることを特徴とする請求項16に
    記載のインクジェット記録装置。
  18. 【請求項18】 前記吐出部は、ブラックインクを吐出
    するためのブラックインク吐出部、前記ブラックとは異
    なる色のカラーインクを吐出するためのカラーインク吐
    出部及び前記記録性向上液を吐出するための記録性向上
    液吐出部であり、 前記記録モードbは、前記記録性向上液を前記ブラック
    インクと該ブラックとは異なる色のカラーインクとの境
    界部に重点的に吐出するモードであることを特徴とする
    請求項17に記載のインクジェット記録装置。
  19. 【請求項19】 前記記録モードbでは、前記記録性向
    上液と前記インクと が重複する重複部分と、前記前記記
    録性向上液と前記インクとが重複しない非重複部分とを
    形成することを特徴とする請求項17または18に記載
    のインクジェット記録装置。
  20. 【請求項20】 前記記録モードbでは、前記重複部分
    に対して吐出される前記インクの単位面積あたりの吐出
    量を、前記非重複部分に対して吐出される前記インクの
    単位面積当たりの吐出量よりも大とすることを特徴とす
    る請求項19に記載のインクジェット記録装置。
  21. 【請求項21】 前記記録モードaでは、前記記録性向
    上液と前記インクとが重複する重複部分と、前記前記記
    録性向上液と前記インクとが重複しない非重複部分とを
    形成することを特徴とする請求項15乃至20のいずれ
    かに記載のインクジェット記録装置。
  22. 【請求項22】 前記記録モードaでは、前記重複部分
    に対して吐出される前記インクの単位面積あたりの吐出
    量を、前記非重複部分に対して吐出される前記インクの
    単位面積当たりの吐出量よりも大とすることを特徴とす
    る請求項21に記載のインクジェット記録装置。
  23. 【請求項23】 前記吐出部は、電気−熱変換体を有す
    ることを特徴とする請求項15乃至22のいずれかに記
    載のインクジェット記録装置。
  24. 【請求項24】 前記吐出部は、電気-機械変換体を有
    することを特徴とする請求項15乃至22のいずれかに
    記載のインクジェット記録装置。
  25. 【請求項25】 前記記録性向上液は、低分子成分と高
    分子成分のカチオン性物質を含み、 前記インクは、アニオン性染料を含むことを特徴とする
    請求項15乃至24のいずれかに記載のインクジェット
    記録装置。
  26. 【請求項26】 前記記録性向上液は、低分子成分と高
    分子成分のカチオン性物質を含み、 前記インクは、アニオン性染料が含有されているか、ま
    たは少なくともアニオン性化合物と顔料とが含有されて
    いることを特徴とする請求項15乃至24のいずれかに
    記載のインクジェット記録装置。
  27. 【請求項27】 前記カラーインク吐出部は、イエロー
    インク、シアンイン クおよびマゼンタインクを吐出する
    ことを特徴とする請求項18に記載のインクジェット記
    録装置。
  28. 【請求項28】 前記記録工程の前に、前記記録モード
    aと前記記録モードcとを含む記録モードのうちのいず
    れかのモードを選択する選択工程を行うことを特徴とす
    る請求項15乃至27のいずれかに記載のインクジェッ
    ト記録装置。
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