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JP3044217B1 - 自律型無人潜水機の水中ドッキング装置とドッキング方法 - Google Patents

自律型無人潜水機の水中ドッキング装置とドッキング方法

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JP3044217B1
JP3044217B1 JP11081651A JP8165199A JP3044217B1 JP 3044217 B1 JP3044217 B1 JP 3044217B1 JP 11081651 A JP11081651 A JP 11081651A JP 8165199 A JP8165199 A JP 8165199A JP 3044217 B1 JP3044217 B1 JP 3044217B1
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capturing
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Kawasaki Jukogyo KK
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  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Aviation & Aerospace Engineering (AREA)
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Abstract

【要約】 【課題】 母船からの支援を要することなく水中でエネ
ルギー補給やデータ交換等が行えるような水中ドッキン
グ装置がない。 【解決手段】 自律型無人潜水機Vと水中ステーション
Sとの間に、水中を航走する潜水機Vを捕捉する捕捉手
段を設け、この捕捉手段を、先端にフックを有する捕捉
アーム7と、この捕捉アーム7のフックを引っ掛けて結
合位置に案内する捕捉位置決め装置Tとで構成し、この
潜水機Vと水中ステーションSとの間に、捕捉位置決め
装置Tで位置決めした潜水機Vを水中ステーションSと
ドッキングさせる固定装置3とコネクタ4とを設けるこ
とにより、潜水機Vが自律して水中ステーションSとド
ッキングするとともにエネルギー補給やデータ交換等を
行うことができるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、海底調査等を行
う自律型の無人潜水機への動力源補給やデータ交換等を
水上母船の支援なく水中で行えるように水中ステーショ
ンとドッキングさせるための水中ドッキングシステムに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、海底調査等を行うために、有
索無人潜水機(ROV:Remotely Operated Vehicle)や
自律型無人潜水機(AUV:Autonomous Underwater Veh
icle)が利用されているが、水中では母船からの支援を
必要とせず、母船が荒天下であっても運用できるととも
に、複数の潜水機を用いて広域で同時観測が可能とな
る、等の利点から、近年、自律型無人潜水機の開発が行
われている。
【0003】しかし、このような自律型無人潜水機(こ
の明細書では、単に「潜水機」という)は内蔵する動力
源(バッテリー等)を用いて航走するため、搭載エネル
ギー量により航走時間が著しく制限される。この動力源
を補給する方法として、自律型無人潜水機を母船上に引
き上げてエネルギーを補給した後、再び海面に降ろす方
法が考えられるが、この場合には、母船が海上にて待機
しておく必要があるため、運用コストが高くなるととも
に、揚収作業に多大な労力を要してしまう。また、荒天
下での母船運用や着水揚収作業は危険を伴うため、荒天
下ではこのような運用はできない。
【0004】そこで、水中での動力源補給を行う方法が
提案されており、その従来技術として、特開平3−26
6794号公報記載の発明がある。この発明では、水中
ステーション自体を有索無人機として母船から遠隔操縦
してドッキングするように構成しており、そのドッキン
グシステムとして、自律型無人潜水機を進入させること
ができる円錐形状の結合部を有する格納容器を水中に配
設し、この格納容器に自律型無人潜水機を進入させるこ
とにより結合して動力源を補給する構成が記載されてい
る(従来例1)。
【0005】また、他の従来技術として、特開平7−2
23589号公報記載の発明があり、この発明では、水
中潜水体が水中ステーションにある程度接近した段階
で、この水中ステーションに搭載した結合具を水上の母
船から遠隔操作することによってドッキングさせてい
る。そのドッキングシステムとして、水中潜水体の上下
に設けられた固定腕で水中ステーションに設置された固
定物を捕まえ、その後、水中潜水体と水中ステーション
に設けられた結合具によって結合し、自律型無人潜水機
を挟み込んで固定する構成が記載されている(従来例
2)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来例1の場合、格納容器の円錐形状結合部に船体を進入
して結合する構成であるため、格納容器の結合部と船体
表面とを同様の形状にしなければならないとともに、進
入する船体表面には突起物を設けることができず、格納
容器と船体との間の制約が厳しい。しかも、異なった形
状のものでは使用できないので、常に同一の格納容器と
船体とを対にして使用しなければならず、使用条件も限
られてしまう。
【0007】また、前記従来例2の場合、結合具によっ
て水中潜水体を水中ステーションと結合させる構造が機
構的に複雑であり、水上からの遠隔操作が困難であると
ともに、水中での使用の信頼性に欠ける。
【0008】さらに、いずれの従来技術でも水上母船の
支援を必要とするため、荒天下での運用ができない場合
があるとともに、運用コストが大きい等の問題がある。
しかも、これら従来技術は、最終的には遠隔操縦という
作業が必要なため、潜水機へのエネルギー補給を完全に
自律化させて行うことはできない。
【0009】そのため、母船からの支援を要することな
く水中でエネルギー補給やデータ交換等を自律して行え
るような水中ドッキングシステムが切望されている。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、本願発明のドッ
キング装置は、内蔵動力源によって水中を航走する自律
型無人潜水機を、水中ステーションとドッキングさせる
水中ドッキングシステムであって、前記無人潜水機と水
中ステーションとの間に、水中を航走する潜水機を捕捉
する捕捉手段を設け、該捕捉手段を、先端に係止部を有
する捕捉アームと、該捕捉アームの係止部を引っ掛けて
結合位置に案内する捕捉位置決め装置とで構成し、該潜
水機と水中ステーションとの間に、捕捉位置決め装置で
位置決めした潜水機を水中ステーションに固定する固定
装置とコネクタとを設けている。この結合位置とは、自
律型無人潜水機と水中ステーションとを結合させる固定
装置の固定可能位置である。
【0011】このように航走中の自律型無人潜水機を、
捕捉アームの係止部を捕捉位置決め装置で引っ掛けて捕
捉することにより、水中センサー等の機器によって捕捉
アームと捕捉位置決め手段とを近接させれば水中を航走
する自律型無人潜水機を水中ステーションとドッキング
させることができるので、固定装置で固定した状態でコ
ネクタから動力源等を補充することが自律型無人潜水機
のみで可能となり、母船を要することなく数日〜数ヶ月
間の長期間にわたって水中での調査等を同一の潜水機で
行える。しかも、水中で自律してエネルギーを補給する
ことができるので、自律型無人潜水機に搭載する動力源
も小型化できる。
【0012】前記捕捉位置決め装置に、捕捉アームの係
止部を引っ掛けて該捕捉位置決め装置の所定位置まで案
内する案内手段を具備させれば、捕捉位置決め装置によ
って捕捉アームを引っ掛けることにより、案内手段によ
って捕捉アームを所定方向に案内して常に所定位置で係
止部を引っ掛けた状態とすることができる。この案内手
段としては、例えば、捕捉位置決め装置に、引っ掛かっ
た係止部を中央に導くような形状(例えば、V字形状
等)の案内部材を設けることによって実現することがで
きる。
【0013】また、捕捉アームと捕捉位置決め装置とか
らなる捕捉手段を、無人潜水機の左右にそれぞれ配置す
ることにより、潜水機と水中ステーションとを引っ掛け
て固定すれば、自律型無人潜水機を水中ステーション上
に固定することにより潜水機の水平方向方位も固定する
ことができる。
【0014】さらに、捕捉位置決め装置に、捕捉アーム
の係止部を引っ掛けて結合した状態を維持するロック機
構を設けて、該ロック機構を解除するまで引っ掛けた捕
捉アームを離れないようにすれば、捕捉アームと捕捉位
置決め装置との結合状態を安定して維持することができ
る。
【0015】また、捕捉アーム又は捕捉位置決め装置
に、これらの係合時の衝撃を吸収する衝撃吸収手段を設
ければ、捕捉位置決め装置による捕捉アームの捕捉時
に、衝撃を生じることなく引っ掛けて結合することがで
きる。
【0016】その上、捕捉位置決め装置に、引っ掛けた
捕捉アームを水中ステーション側へ引き寄せる引き寄せ
手段を設ければ、捕捉アームと捕捉位置決め装置とが多
少ずれていたとしても、確実に引っ掛けて潜水機を水中
ステーション側へ引き寄せて結合することができる。
【0017】一方、本願発明のドッキング方法は、自律
型無人潜水機が水中ステーションとドッキングさせる必
要を検知したらドッキングルートへ航走し、該自律型無
人潜水機が水中ステーションとの相対位置を検出しなが
らドッキングルート上から水中ステーション上へ航走
し、該潜水機から下げた捕捉アームで水中ステーション
の上面に設けた捕捉位置決め装置を引っ掛けて潜水機を
水中ステーション上に停止させ、該潜水機を水中ステー
ション上に固定した状態でコネクタを接続して充電を行
い、充電が完了するとコネクタの連結を解除するととも
に潜水機の固定状態を解除し、捕捉アームを捕捉位置決
め装置から離して潜水機を上昇させて水中ステーション
から離脱するようにしているので、自律型無人潜水機が
自律してドッキング作業を行って充電等を完了させなが
ら、母船を要することなく数日〜数ヶ月間の長期間にわ
たって水中での調査等を同一の潜水機で行うことが可能
となる。
【0018】また、潜水機の捕捉アームを水中ステーシ
ョン上に接触させた状態で水中ステーション上のドッキ
ングルートを航走させて捕捉位置決め装置に引っ掛ける
ので、潜水機が多少高さ方向に変化したとしても、捕捉
アームを捕捉位置決め装置に確実に引っ掛けて捕捉する
ことができ、潜水機の高度のずれを吸収できる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の一実施形態を図
面に基づいて説明する。図1は本願発明の一実施形態を
示す水中ドッキングシステムの概念を示す斜視図であ
り、図2は図1に示す自律型無人潜水機を水中ステーシ
ョン上に捕捉する状態を示す側面図である。
【0020】図1,2に示すように、水中の所定位置に
設けられた水中ステーションSは、上面が平面状に形成
され、その進入側の上部角部が滑らかな円弧状に形成さ
れている。また、自律型無人潜水機Vが進入する水中ス
テーションSの先端(図の右側)には、この潜水機Vと
交信して位置を検出する位置検出手段の一方である超音
波発振器1が設けられている。そして、この超音波発振
器1に誘導されて航走してくる潜水機Vの進入側の水中
ステーション上面には、進入側から先端に向けて狭まる
V字形状の捕捉部材2を有する捕捉位置決め装置Tが設
けられている。この実施形態では、捕捉部材2をV字形
状とすることにより、後述するように、潜水機Vの水平
方向および進入角度がドッキングルートから多少ずれて
いたとしても、引っ掛かった捕捉アーム7をV字形状の
中央部(先端部)まで案内するようにしている。この捕
捉部材2をV字形状に形成して捕捉アーム7の案内手段
を構成している。この捕捉部材2の形状は他の形状であ
ってもよく、捕捉アーム7を所定位置まで案内できれば
よい。この案内手段は他の構成であってもよい。また、
この実施形態では、後述するように同形状の捕捉アーム
7が潜水機Vの両側部に設けられているため、同形状の
捕捉位置決め装置Tが左右同位置に設けられている。
【0021】さらに、この捕捉位置決め装置Tの先方に
は、潜水機Vを水中ステーションS上に固定するための
固定装置3の一方である係止部材3sと、潜水機Vとの
間で充電やデータ交換等を行うコネクタ4の一方のコネ
クタ4sが設けられている。
【0022】自律型無人潜水機Vは、先端に位置検出手
段の一方である側位ソナー5を有するとともに、所定位
置に垂直スラスタ6が設けられ、その中央長手方向には
水中ステーション側に固定する固定装置3の一方である
嵌合部材3vと一方のコネクタ4vとが設けられてい
る。また、この実施形態では、潜水機Vの両側部に捕捉
アーム7が回動自在に設けられており、この捕捉アーム
7は、潜水機V内に設けられた駆動手段(駆動モータ
等)によって、船体下方へ突出させたり、船体側部に格
納させたりできるように構成されている。この動作は、
潜水機V内に設けられた自律制御装置8によって自律制
御される。
【0023】さらに、この潜水機Vには、先端に水中テ
レビカメラ9が設けられており、このテレビカメラ9に
よる画像認識によってドッキング位置および方向等を自
律的に確認することも可能となっている。なお、10は
潜水機Vの主スラスタであり、11は縦舵、12は横舵
である。これらの動作も、自律制御装置8によって制御
される。
【0024】図3はこの自律型無人潜水機に設けられた
捕捉アームの係止部の一例を示す拡大側面図、図4は捕
捉位置決め装置に設けられたロック機構の一例を示す平
面図である。
【0025】図3に示すように、捕捉アーム7の先端に
は係止部たるフック7aが設けられており、潜水機Vの
進行方向に開口7bを有するように形成されている。こ
のフック7aには、捕捉位置決め装置Tの捕捉部材2と
連結した状態を維持するようなロック機構13が設けら
れている。このロック機構13は、この例では、フック
7aの下部から上方に向けて、垂直面内で回動自在に設
けられた揺動部材13aと、この揺動部材13aの開口
側でガイド13bに沿って上下方向にスライドするロッ
ク部材13cとが設けられている。揺動部材13aは、
スプリング13dによって図3に示す位置を保持するよ
うに支持されており、外力が加わっている時のみ時計回
り又は反時計回りに回動する。ロック部材13cは、揺
動部材13aを時計回りに回動させる力が加わった時、
揺動部材13aが回動してフック7aが捕捉部材2から
外れることを防止する。このロック部材13cは、電磁
石13fによってスライド可能となっている。
【0026】図4に示すように、捕捉部材2の中央部2
aには、前記図3に示すフック7aと結合した状態を維
持するロック機構14が設けられており、このロック機
構14は、水平面内で回動自在に設けられた揺動部材1
4aと、この揺動部材14aの進入側でガイド部14b
に沿って水平方向(図の左右方向)にスライドするロッ
ク部材14cとが設けられている。この揺動部材14a
は、スプリング14dによって図4に示す位置を保持す
るように支持されており、外力が加わっている時のみ時
計回り又は反時計回りに回動する。ロック部材14c
は、揺動部材14aを時計回りに回動させる力が加わっ
た時、揺動部材14aが回動してフック7aが捕捉部材
2から外れることを防止する。このロック部材14c
も、電磁石14fによってスライド可能となっている。
【0027】図5は本願発明における固定装置とコネク
タの一例を示す図面であり、(a)は自律型無人潜水機
と固定装置とコネクタとの関係を示す斜視図、(b)は
固定装置の側断面図、(c)は固定した時の爪部材の拡
大斜視図、(d)は固定装置の別な例を示す斜視図であ
る。前記したように、この実施形態では、固定装置3
が、水中ステーションSから上方へ突出するように設け
られた係止部材3sと、潜水機V側から下方へ突出する
ように設けられた嵌合部材3vとで構成されており、潜
水機V側の嵌合部材3vを水中ステーション側の係止部
材3s間に嵌合させることにより、この嵌合部材3vの
両面から突出するように軸支された爪部材15がスプリ
ング16によって嵌合部材3vの表面から突出して係止
部材3sの爪部17に係止され、固定装置3による固定
(結合)が完了する。また、この爪部17の上部は、外
側(前後)から中央に向けて傾斜したテーパ面17aに
形成されており、潜水機Vが前後方向に多少ずれていた
としてもそのずれを吸収して係止部材3sの中央部で確
実に結合することができる。一方、嵌合部材3vの爪部
材15は、嵌合部材3vの中間に設けられた電磁石18
によって格納可能に構成されており、結合解除時には電
磁石18で爪部材15を吸引することによって嵌合部材
3v内に格納できる。19は潜水機Vの外板を示す断面
である。なお、この例では、潜水機Vの所定位置に固定
された嵌合部材3vを例示しているが、図5(a)の嵌
合部材3vに2点鎖線で示すように、この嵌合部材3v
にラックを形成して潜水機V側に設けたピニオン20で
潜水機Vから突出又は格納するように構成してもよい。
この嵌合部材3vを突出又は格納させるための構成は、
シリンダ等の他の構成であってもよい。
【0028】さらに、図5(d)に示すように、嵌合部
材3vを下向き円錐状に形成し、係止部材3sのテーパ
面17aを上向き円錐状(すり鉢状であり、この例では
左右を切り欠いている)に形成することにより、潜水機
Vが前後左右方向に多少ずれていたとしてもそのずれを
吸収して係止部材3sの中央部で確実に結合することが
できる。これら嵌合部材3vと係止部材3sは、使用条
件等に応じて好ましい形態を決定すればよい。
【0029】また、コネクタ4は、固定装置3による固
定が完了すると、潜水機V側と水中ステーションS側と
が連結されるように構成されている。この例では、水中
ステーションS側のコネクタ4sに緩衝支持ばね21を
設けることにより、結合時の衝撃緩和を図っている。こ
のコネクタ4としては、結合させた状態で環状コア端面
を面接触させて、電磁誘導によって水中ステーションS
側から潜水機V側へ電力を効率よく供給するとともに、
連結状態で光ファイバ間の端面で光線式に信号伝達する
ようなものが好ましく、例えば、実開平7−29502
号公報に記載された電気・光複合コネクタを用いること
ができ、このようなコネクタ4によって水中での電力供
給と信号伝達を効率良く行うことができる。
【0030】図6は、上述した自律型無人潜水機による
水中ドッキングシステムの一例を示す自律型無人潜水機
と水中ステーションを含む水域の一例を示す斜視図であ
り、図7は図6における作業の流れを示すフローチャー
トである。図8(o)〜(w)は、図6に示す水中ドッ
キングシステムにおけるドッキングの一例を示す流れ図
である。これらの図に基づいて、潜水機Vで水中の調査
対象物を調査する例を以下に説明する。
【0031】図6、図7に示すように、自律型無人潜水
機Vが水面W上に位置する状態(a)から、潜水機Vを
潜航させ(b)、水中の調査対象物Oの調査作業を行い
(c)、動力源である電池の電圧が下限値に到達したら
(d)、潜水機Vが水中ステーションSとのドッキング
作業を開始する(e)。この電池電圧が下限値に到達し
なければ、調査作業(c)を継続して行う。そして、固
定装置3によってドッキング作業完了後(f)、コネク
タ4を接続し(g)、ドッキング状態で電池を充電する
(h)。電池電圧が上昇して上限値に到達したら
(i)、充電完了と認識して、潜水機Vの離脱作業を開
始する(j)。この作業は、コネクタ4と固定装置3を
離脱させた後、潜水機Vを上昇させる(k)。この段階
で、調査作業を継続するか否かを判断し(l)、継続す
る場合には、水中調査作業(c)を再開し、調査作業を
終了する場合には浮上して(m)、前記(a)の状態に
戻る。
【0032】この図7(d)〜(k)に記載される潜水
機Vと水中ステーションSとのドッキング作業を、図8
(o)〜(w)に示す流れ図に基づいて詳細に説明す
る。
【0033】図8(o)に示すように、潜水機Vを水中
ステーションSとドッキングさせる必要が生じると、ま
ず、潜水機Vは、慣性航法や推測航法等(以下「慣性航
法」を例に説明する)により、水中ステーションSの付
近位置まで航行する。そして、(p)に示すように、音
響航法装置の有効範囲内に入ったら、慣性航法と音響航
法を組み合せて位置を検出する。この時、水中ステーシ
ョンSの超音波発振器1によって潜水機Vの側位ソナー
5を誘導している。しかも、必要ならばテレビカメラ9
の画像認識(画像の照合)等を用いて水中ステーション
Sの設置方向を調べる。このように潜水機Vを誘導する
位置検出手段は、適宜組合わせればよい。その後、ドッ
キングするためのドッキングルート(航路)の始点に移
動する。
【0034】そして、(q)に示すように、慣性航法と
音響航法を組み合せて相対位置を検出しながら微速にて
ドッキングルート上を直進し、(r)に示すように、潜
水機Vが水中ステーションSの手前まで来たら、捕捉ア
ーム7を船体下方へ下げる。
【0035】この状態で、(s)に示すように、潜水機
Vの下方から突出させた捕捉アーム7によって水中ステ
ーションSの上面をこすりながら前進し、捕捉位置決め
装置Tの捕捉部材2に引っ掛けることによって潜水機V
が水中ステーションS上に停止させられる。この時、水
中ステーションSの進入路が円弧状に形成されているた
め、捕捉アーム7と水中ステーションSとの滑らかな接
触開始を可能としている。しかも、潜水機Vが多少高さ
方向に変化したとしても、捕捉アーム7は水中ステーシ
ョン上をこすりながら水中ステーションSとの接触を保
った状態で進むので、潜水機Vをドッキングルート上で
航走させることによって捕捉アーム7を捕捉位置決め装
置Tに確実に引っ掛けて捕捉することができる。このよ
うに、捕捉アーム7を水中ステーションS上に押し付け
た状態(自重またはスプリング等によって)で潜水機V
が前進させるため、潜水機Vの高度(高さ方向)のずれ
を吸収できる。
【0036】また、この捕捉位置決め装置Tは、(t)
に示すように、潜水機Vの左右方向のずれを吸収するよ
うに、捕捉部材2が進入側から先端に向けて狭まるV字
形状に形成され、また、捕捉アーム7を潜水機Vの左右
に設けているため、両方の捕捉アーム7を捕捉部材2の
中央部2aまで誘導することにより、潜水機Vの前後方
向位置だけでなく水平面内における横方向のずれと方位
のずれを吸収することができる。このように捕捉部材2
で捕捉アーム7を正確な位置に案内することができるの
で、潜水機Vの水平方向および進入角度がドッキング進
入路から多少ずれていたとしても、水中センサー等の機
器のみで正確な位置にドッキングさせることができる。
さらに、この捕捉アーム7の先端にロック機構13(図
3)が設けられるとともに、捕捉位置決め装置Tの捕捉
部材2の中央部2aにロック機構14(図4)が設けら
れているため、捕捉アーム7のフック7aが捕捉部材2
の中央部2aまで来た時点で捕捉アーム7のフック7a
が捕捉部材2の中央部2aから外れないようにロックさ
れる。
【0037】その後、(u)に示すように、このように
して潜水機Vを捕捉した状態で、潜水機Vに装備された
垂直スラスタ6(他に、注水装置等の重量調整装置であ
ればよい)を用いて潜水機Vを下方に押し下げると、捕
捉アーム7のフック7aが捕捉部材2の中央部2aでヒ
ンジ固定された状態で、このフック7aと中央部2aの
結合部を中心にして、潜水機Vがヒンジ回転して水中ス
テーションS上に着座する。この着座位置には固定装置
3が設けられており、この固定装置3を結合することに
よって潜水機Vが水中ステーションS上に固定される。
この時、固定装置3は、上述したように嵌合部材3vと
係合部材3sとの間でずれを吸収することができるの
で、捕捉アーム7と捕捉部材2との間のがたつき等によ
って嵌合部材3vと係合部材3sとの間にずれがあった
としても吸収することができる。このように、潜水機V
を水中ステーションS上に固定した状態で、(v)に示
すように、コネクタ4が接続されてドッキングが完了
し、このコネクタ4によって充電やデータ交換が行われ
る。
【0038】そして、(w)に示すように、充電等が完
了すると、コネクタ4の連結が解除され、固定装置3が
外されて、捕捉アーム7のフック7aをロックしている
捕捉部材2のロック機構14が解除され、この状態で捕
捉アーム7が捕捉位置決め装置Tから離れるまで潜水機
Vが後退して捕捉アーム7の結合が解除される。この状
態で垂直スラスタ6等によって潜水機Vが上昇して水中
ステーションSから離脱し、捕捉アーム7を潜水機側に
格納して、潜水機Vは引き続き次の作業に移る。これら
一連の作業は潜水機Vに内蔵された自律制御装置8によ
りコントロールされる。
【0039】この流れが前記図7のフローチャート
(e)〜(k)に記載したドッキング作業であり、その
後はフローチャート(l)以降の作業が進められる。
【0040】以上のようにして、自律型無人潜水機Vが
自律してドッキング作業を行って充電等を完了させるの
で、母船を要することなく数日〜数ヶ月間の長期間にわ
たって水中での調査等を同一の潜水機Vで行うことが可
能となる。
【0041】前記例では、電圧降下を条件として水中ス
テーションSとドッキングする例を説明したが、このよ
うにして潜水機Vを水中ステーションSとドッキングさ
せる条件としては、予め潜水機Vにプログラムされた条
件のいずれかが満たされた場合に行われ、その条件とし
ては、他に、所定の任務の1セットが終了した時、
所定時間航行した時、等が挙げられ、これらは作業内容
等に応じて適宜決定される。そして、潜水機Vに予めプ
ログラムされたこれらの条件のいずれかが満たされた場
合、水中ステーションSの位置まで自動的に航行しドッ
キングして充電を行うように設定される。
【0042】以上、自律型無人潜水機Vの水中ドッキン
グシステムの一例を説明したが、この他にも、水中ステ
ーションS側の捕捉位置決め装置Tに駆動機構を設けて
潜水機Vを引き込む(または押え込む)方式などのさま
ざまな類似方式が考えられる。以下に説明するが、いず
れも捕捉アーム7のフック7aを捕捉位置決め装置Tに
引っ掛けてドッキングする方式に基づくものである。な
お、上述した構成と同一の構成には同一符号を付して説
明する。
【0043】図9は、本願発明の捕捉アームに設けられ
た衝撃吸収手段の一例を示す断面図である。この例で
は、捕捉アーム7の中間位置に、衝撃吸収手段22とし
てスプリング22aとダンパー22bとが直列的に設け
られており、航走する潜水機Vの捕捉アーム7の先端に
設けられたフック7aが捕捉位置決め装置Tと係合した
時に、これらのスプリング22aとダンパー22bによ
って衝撃を吸収することができる。
【0044】図10は、本願発明の捕捉位置決め装置に
設けられた衝撃吸収手段の一例を示す斜視図である。こ
の例では、捕捉位置決め装置Tの捕捉部材2の支持位置
(例えば、水中ステーション内)に、この捕捉部材2を
水平方向にスライド可能に支持する衝撃吸収手段23が
設けられている。この衝撃吸収手段23は、筒状の案内
部材23aの軸方向(水平方向)にスライド可能なスラ
イド部材23bと、このスライド部材23bと直列的に
軸方向に設けられたスプリング23cとダンパー23d
とから構成されている。23eも、スライド部材23b
の案内部材である。この場合も、航走する潜水機Vの捕
捉アーム7の先端に設けられたフック7aが捕捉位置決
め装置Tと係合した時に、これらのスプリング23cと
ダンパー23dによって衝撃を吸収することができる。
【0045】図11〜図14は、捕捉位置決め装置Tの
捕捉部材2を上下方向に昇降させるための構成を示した
図面であり、図11は、本願発明の捕捉位置決め装置に
設けられた捕捉部材の一例を示す斜視図である。この例
は、捕捉アーム7を引っ掛けた捕捉位置決め装置Tによ
って潜水機Vを水中ステーションS側へ引き寄せる構成
を示しており、捕捉部材2が昇降自在に構成されてい
る。この昇降させる手段として、捕捉部材2の昇降部2
4に垂直方向(上下方向)のラック25が形成され、こ
のラック25と噛合するピニオン26aが昇降用モータ
26に設けられている。なお、これら昇降部24は、図
示しない水中ステーションSの案内部によって上下方向
に案内されている。
【0046】また、この捕捉部材2の中央部2a(先端
部)には昇降用モータ26を駆動するスイッチ27が設
けられており、捕捉アーム7がこの先端部に引っ掛かる
と昇降用モータ26が駆動されて捕捉部材2が自動的に
下降する(水中ステーション側へ引き寄せる)ように構
成されている。
【0047】図12は、本願発明の捕捉位置決め装置に
設けられた捕捉部材の他の例を示す斜視図である。この
例では、後端が回動自在に軸支され、先端側がバネ等
(図示略)によって上方へ付勢された捕捉部材2の先端
を、この先端に設けられたロープ28(ワイヤロープ
等)を水中ステーションS内に設けられた巻取りドラム
29によって巻き取ることによって先端側を下降させる
ように構成している。このロープ28は、オートテンシ
ョンガイド30によって常に所定張力で引かれている。
この例では、捕捉部材2の中央部2aに捕捉アーム7
(図3)が位置した(引っ掛かった)のを検出して巻取
りドラム29でロープ28を巻き取れば、捕捉部材2で
捕捉アーム7を水中ステーションS側に引き寄せること
ができる。
【0048】図13は、本願発明の捕捉位置決め装置に
設けられた捕捉部材の更に他の例を示す斜視図である。
この例では、捕捉部材2の後端を回動自在に軸支し、こ
の捕捉部材2の下方から上下方向に伸縮する回転駆動手
段たる油圧ジャッキ31によって捕捉部材2の先端側を
上下方向に回動させている。この例の場合も、捕捉部材
2の先端に捕捉アーム7が位置した時点で、油圧ジャッ
キ31のピストンを縮小させて先端側を水中ステーショ
ンS側(下方)へ引き寄せるように構成されている。
【0049】図14は、捕捉位置決め装置に設けられた
捕捉部材の更にその他の例を示す斜視図である。この例
では、捕捉部材2の後端を回動自在に軸支するととも
に、この軸支部の一方に歯車32が設けられ、この歯車
32と噛合する歯車33aを有する回転駆動手段たる回
動モータ33が水中ステーションS側に設けられてい
る。この例によっても、捕捉部材2の先端に捕捉アーム
7が位置した時点で、回動モータ33が歯車33aを回
動させて、捕捉部材2の先端側を水中ステーションS側
(下方)へ引き寄せる。
【0050】なお、前記図1〜図5に記載した実施の形
態に、これら図9〜図14に記載した構成を適用しても
よく、また、これらの構成を適宜組み合せてもよく、使
用条件等に応じて適宜選択すればよい。
【0051】さらに、上述した実施形態は一実施形態で
あり、本願発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更
は可能であり、本願発明は上述した実施形態に限定され
るものではない。
【0052】
【発明の効果】本願発明は、以上説明したような形態で
実施され、以下に記載するような効果を奏する。
【0053】水中を航走する無人潜水機を、自律して水
中ステーションとドッキングさせることができるととも
に、この潜水機の動力源を水中で補充する作業を自律し
て行わせることができるので、母船の支援を要すること
なく水中で長期間にわたって作業を行うことが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態を示す水中ドッキングシ
ステムの概念を示す斜視図である。
【図2】図1に示す自律型無人潜水機を捕捉する状態を
示す側面図である。
【図3】図1に示す自律型無人潜水機に設けられた捕捉
アームの係止部の一例を示す拡大側面図である。
【図4】図1に示す捕捉位置決め装置に設けられたロッ
ク機構の一例を示す平面図である。
【図5】本願発明における固定装置とコネクタの一例を
示す図面であり、(a)は自律型無人潜水機と固定装置
とコネクタとの関係を示す斜視図、(b)は固定装置の
側断面図、(c)は固定した時の爪部材の拡大斜視図、
(d)は固定装置の別な例を示す斜視図である。
【図6】図1に示す自律型無人潜水機による水中ドッキ
ングシステムの一例を示す自律型無人潜水機と水中ステ
ーションを含む水域の一例を示す斜視図である。
【図7】図6における作業の流れを示すフローチャート
である。
【図8】(o)〜(w)は、図6に示す水中ドッキング
システムにおけるドッキングの一例を示す流れ図であ
る。
【図9】本願発明の捕捉アームに設けられた衝撃吸収手
段の一例を示す断面図である。
【図10】本願発明の捕捉位置決め装置に設けられた衝
撃吸収手段の一例を示す斜視図である。
【図11】本願発明の捕捉位置決め装置に設けられた捕
捉部材の一例を示す斜視図である。
【図12】本願発明の捕捉位置決め装置に設けられた捕
捉部材の他の例を示す斜視図である。
【図13】本願発明の捕捉位置決め装置に設けられた捕
捉部材の更に他の例を示す斜視図である。
【図14】本願発明の捕捉位置決め装置に設けられた捕
捉部材の更にその他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…超音波発振器 2…捕捉部材 2a…中央部 3…固定装置 3s…係止部材 3v…嵌合部材 4…コネクタ 4s…コネクタ 4v…コネクタ 5…側位ソナー 6…垂直スラスタ 7…捕捉アーム 7a…フック 7b…開口 8…自律制御装置 9…テレビカメラ 10…主スラスタ 11…縦舵 12…横舵 13、14…ロック機構 15…爪部材 16…スプリング 17…爪部 18…電磁石 21…緩衝支持ばね 22、23…衝撃吸収手段 24…昇降部 25…ラック 26…昇降用モータ 27…スイッチ 28…ロープ 31…油圧ジャッキ 32…歯車 T…捕捉位置決め装置 S…水中ステーション V…自律型無人潜水機

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内蔵動力源によって水中を航走する自律
    型無人潜水機を、水中ステーションとドッキングさせる
    水中ドッキング装置であって、 前記無人潜水機と水中ステーションとの間に、水中を航
    走する潜水機を捕捉する捕捉手段を設け、該捕捉手段
    を、先端に係止部を有する捕捉アームと、該捕捉アーム
    の係止部を引っ掛けて結合位置に案内する捕捉位置決め
    装置とで構成し、該潜水機と水中ステーションとの間
    に、捕捉位置決め装置で位置決めした潜水機を水中ステ
    ーションに固定する固定装置とコネクタとを設けたこと
    を特徴とする自律型無人潜水機の水中ドッキング装置。
  2. 【請求項2】 捕捉位置決め装置に、捕捉アームの係止
    部を引っ掛けて該捕捉位置決め装置の所定位置まで案内
    する案内手段を具備させたことを特徴とする請求項1記
    載の自律型無人潜水機の水中ドッキング装置。
  3. 【請求項3】 捕捉アームと捕捉位置決め装置とからな
    る捕捉手段を、無人潜水機の左右にそれぞれ配置したこ
    とを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自律型無人
    潜水機の水中ドッキング装置。
  4. 【請求項4】 捕捉位置決め装置に、捕捉アームの係止
    部を引っ掛けて結合した状態を維持するロック機構を設
    けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記
    載の自律型無人潜水機の水中ドッキング装置。
  5. 【請求項5】 捕捉アーム又は捕捉位置決め装置に、こ
    れらの係合時の衝撃を吸収する衝撃吸収手段を設けたこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の自
    律型無人潜水機の水中ドッキング装置。
  6. 【請求項6】 捕捉位置決め装置に、引っ掛けた捕捉ア
    ームを水中ステーション側へ引き寄せる引き寄せ手段を
    設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に
    記載の自律型無人潜水機の水中ドッキング装置。
  7. 【請求項7】 自律型無人潜水機が水中の所定位置に設
    けた水中ステーションとドッキングさせる必要を検知し
    たらドッキングルートへ航走し、該自律型無人潜水機が
    水中ステーションとの相対位置を検出しながらドッキン
    グルート上から水中ステーション上へ航走し、該潜水機
    から下げた捕捉アームを水中ステーション上に接触させ
    た状態で水中ステーション上のドッキングルートを航走
    させ 水中ステーションの上面に設けた捕捉位置決め装
    引っ掛けて潜水機を水中ステーション上に停止さ
    せ、該潜水機を水中ステーション上に着座させて固定
    し、該潜水機を水中ステーション上に固定した状態でコ
    ネクタを接続して充電を行い、充電が完了するとコネク
    タの連結を解除するとともに潜水機の固定状態を解除
    し、捕捉アームを捕捉位置決め装置から離して潜水機を
    上昇させて水中ステーションから離脱する自律型無人潜
    水機の水中ドッキング方法。
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