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JP2976833B2 - 大断面鋳型への溶鋼注湯方法 - Google Patents

大断面鋳型への溶鋼注湯方法

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JP2976833B2
JP2976833B2 JP7015412A JP1541295A JP2976833B2 JP 2976833 B2 JP2976833 B2 JP 2976833B2 JP 7015412 A JP7015412 A JP 7015412A JP 1541295 A JP1541295 A JP 1541295A JP 2976833 B2 JP2976833 B2 JP 2976833B2
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molten steel
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一幸 谷口
研三 綾田
秀夫 森
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Kobe Steel Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は大断面連鋳機の鋳型への
溶鋼注湯方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、厚板鋼板や鍛鋼品等は寸法が制約
されており連鋳化が困難であるため、通常は造塊法が適
用されている。このような大断面の鋳片を鋳造するいわ
ゆる大型インゴットの鋳造においては、例えば特開昭62
−282750号公報に示されているような造塊方法が知られ
ている。この種の造塊においては、造塊鋳型内に溶融金
属に供給して鋳塊を得るに際し、まず、鋳型の上部に造
塊しようとする溶融金属によって浸食されにくい鋳枠を
設置し、次に鋳型内に引き続きその鋳枠内に溶融金属を
注湯し、次に鋳枠部分で形成される溶融金属の凝固殻が
ブレークアウトを生じない程度になった後、鋳枠を取り
外し、その鋳枠の代わりに保温性に優れた押湯枠を設置
し、それにより造塊を行なうものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような造塊法に代
わって連鋳化を図るため、大断面連鋳装置が提案されて
いる。しかしながら、鋳片横断面のサイズが650mm角
以上であり、フットロールが2段を超えないような大断
面連鋳機では、バルジング現象を抑えるために鋳造速度
を0.15m/min 以下にする必要があるため、鋳型への
注湯流量を少なくしなければならず、鋳型内に溶鋼が行
き渡るのに長時間を要している。その結果、メニスカス
部の温度低下を招き、メニスカスに皮張りが発生しやす
くなっている。このような皮張りが生じると、保温剤と
してメニスカス上面に投入されたパウダーの巻き込み、
爪部の偏析による表層欠陥や皮張り部の脱落による内部
欠陥が生じることになる。さらには、皮張りが助長する
と、ブレークアウトを引き起こす危険性も生じることに
なる。従って、鋳型内に溶鋼が短時間で行き渡り、メニ
スカス部に皮張りが発生しない注湯方法が望まれてい
る。
【0004】本発明は以上のような、大断面連鋳での溶
鋼注湯方法における課題を考慮してなされたものであ
り、注湯流量が少なくても短時間で鋳型内に溶鋼を行き
渡らせることができる大断面鋳型への溶鋼注湯方法を提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の大断面鋳型への
溶鋼注湯方法としては以下に示す方法がある。第一の溶
鋼注湯方法は、低い鋳造速度で大断面鋳片を鋳造する連
鋳機の鋳型への溶鋼注湯方法において、横断面サイズが
650mm角以上である略正方形の大断面鋳型を用い、浸漬
ノズルの吐出孔を4孔とし、これら各吐出孔の吐出方向
を、上向きには5°〜30°で且つ水平面内では、鋳型の
隅部から各辺の1/8〜1/3辺長さの部位に向けてそれぞ
れほぼ等しい角度にて配置し、鋳造速度0.15m/min以下
で注湯を行うことを要旨とする。
【0006】第二の溶鋼注湯方法は、低い鋳造速度で大
断面鋳片を鋳造する連鋳機の鋳型への溶鋼注湯方法にお
いて、鋳型横断面が長方形からなり該横断面における長
辺/短辺比が1.5以上で且つ短辺が650mm以上である
大断面鋳型を用い、浸漬ノズルの吐出孔を4孔とし、こ
れら各吐出孔の吐出方向を、上向きには5°〜30°で且
つ水平面内では、鋳型の隅部と、該隅部から長辺側に略
1/4辺長さにある部位までの間の範囲に向けてそれぞれ
配置し、鋳造速度0.15m/min以下で注湯を行うことを要
旨とする。
【0007】第二の溶鋼注湯方法において、吐出孔より
小径からなる補助吐出孔を、その吐出方向が上向きには
5°〜30°で且つ水平面内では鋳型の各長辺の略中央
部に向けて浸漬ノズルに設ければ、長辺略中央部に向け
て注湯を行うことも可能である。
【0008】
【作用】第一の溶鋼注湯方法では、鋳型横断面が略正方
形である大断面鋳型を用い、浸漬ノズルの吐出孔を4孔
とし、これら各吐出孔の吐出方向を、上向きには5゜〜
30゜で且つ水平面内では、鋳型の隅部から各辺の1/
8〜1/3辺長さの部位に向けてそれぞれほぼ等しい角
度にて配置し、注湯を行えば、鋳型内に水平方向の撹拌
流が発生し、メニスカス部に優先的に溶鋼が供給される
とともに、鋳型内に溶鋼が短時間で行き渡る。
【0009】第二の溶鋼注湯方法では、鋳型横断面が長
方形で該横断面における長辺/短辺比が1.5以上であ
る大断面鋳型を用い、浸漬ノズルの吐出孔を4孔とし、
これら各吐出孔の吐出方向を、上向きには5゜〜30゜
で且つ水平面内では、鋳型の隅部と、該隅部から長辺側
に略1/4辺長さにある部位までの間の範囲に向けてそ
れぞれ配置し、注湯を行えば、鋳型内全域に短時間で溶
鋼を供給することができる。
【0010】また、第二の注湯方法において、吐出孔よ
り小径からなる補助吐出孔を、その吐出方向が上向きに
は5゜〜30゜で且つ水平面内では鋳型の各長辺の略中
央部に向けて浸漬ノズルに設ければ、長辺略中央部に対
する注湯を行うことができ、鋳型長辺中央部への拡散時
間も短くすることができる。
【0011】
【実施例】以下、図面に示した実施例に基づいて本発明
を詳細に説明する。本発明は鋳型内のメニスカス部に溶
鋼を短時間で行き渡らせる必要があることから、浸漬ノ
ズルの吐出孔に着目して注湯方法を改善したものであ
り、水モデルにて鋳型内の流れを調査して確認し、改善
された注湯方法を実機に適用するものである。まず、鋳
型横断面が略正方形である大断面鋳型への溶鋼注湯方法
について説明する。
【0012】図1及び図2は、650mm角以上の等辺か
らなる鋳片を製造するための注湯方法を示したものであ
り、図1は浸漬ノズルの吐出角度を示し、図2は吐出方
向を示したものである。両図において、1は水冷鋳型
(以下鋳型と略称する)であり、断面650mm角以上の
等辺から構成されている。2は浸漬ノズルであり2aは
その先端に設けられた吐出孔である。
【0013】このような構成の大断面連鋳機において、
メニスカス部に溶湯を供給するには、吐出角度を上向き
にし、且つ吐出孔を4孔とすることにより、鋳型内で水
平方向の撹拌が発生するようにすれば、メニスカスの皮
張りが防止できると推測される。そこで、凝固しやすい
メニスカス部に注入流を勢いよく供給するため、吐出孔
を4孔とし、各孔径を20〜35mmとし、水モデルにて
鋳型内の流れを確認した。
【0014】図3に水モデルによる吐出角度の影響を示
す。なお、吐出角度の影響を調べるに際し、鋳型隅部と
鋳型面中央部とのメニスカス下10mmにセンサを配置
し、拡散時間を調査した。同図から分かるように、吐出
角度が0゜の場合では、鋳型隅部と鋳型面中央部とでは
拡散時間が大きく異なっている。一方、吐出角度が上向
きに5゜及び15゜の場合では、拡散時間は略等しくな
っている。従って、メニスカス部に注入流を供給するに
は、浸漬ノズルにおける吐出角度を上向きに5゜以上と
する必要がある。しかしながら、表1に示すように、吐
出角度が30゜を超える場合にはメニスカスの変動が大
きくなってしまう。従って吐出角度は上向きに5゜〜1
5゜の範囲で選択することが好ましい。
【0015】
【表1】
【0016】図4はさらに水平面内における吐出方向の
影響を示したものである。吐出角は上記したように5゜
及び15゜とし、吐出方向をそれぞれ、各隅部“C”向
け、互いにほぼ等しい角度で各辺の1/4辺長さの部位
“S”向けとしたものである(図2参照)。図4から分
かるように、吐出角度5゜,15゜のどちらの角度にお
いても吐出方向を隅部“C”向けにしたものは、鋳型隅
部と鋳型面中央部とで大きな拡散時間差を生じている。
一方、吐出方向を各辺の1/4の部位“S”向けとした
ものは、鋳型隅部と鋳型面中央部とで略等しい拡散時間
が得られている。この現象は、吐出方向が各隅部向けで
あると、注入流が鋳型隅部に衝突した後、その大部分が
鋳型下方にもぐり込み、水平方向の流れが生じていない
ことによる。これに対し、吐出方向が各辺の1/4の部
位“S”向けでは、鋳型内で水平方向の撹拌が生じ、注
入流がメニスカス全域に短時間で行き渡ることができる
ようになる。
【0017】このように、鋳型横断面が略正方形である
大断面鋳型に対しては、浸漬ノズルと鋳型各面との距離
が等間隔であるため、注入流れが連続的に供給される
と、鋳型内で渦巻き状の流れが形成される。次に鋳型横
断面が長方形である大断面鋳型への溶鋼注湯方法につい
て説明する。
【0018】図5は鋳片横断面における長辺/短辺比が
1.5以上である大断面連鋳機の鋳型への注湯方法を示
したものである。なお、吐出角度は上向きに5゜〜30
゜の範囲であることを前提とする。同図の(a)は、各
吐出孔の吐出方向を長辺の隅部“C”から長辺側に1/
4辺長さにある部位“K”にそれぞれ向けたものであ
り、同図の(b)は、同じく1/8辺長さにある部位
“N”に向けたものであり、同図の(c)は、隅部
“C”に向けたものであり、同図の(d)は、比較例と
して吐出孔を2孔とし、吐出方向を長辺と平行にしたも
のである。なお、図6の符号S1〜S5は、センサの取
付位置を示したものである。
【0019】図7は上記センサから得られたデータに基
づいて拡散時間を比較したものである。同図に示すよう
に、吐出孔が2孔である吐出方向“D”では、鋳型長辺
中央部とノズル近傍の拡散時間が長く、注入流が鋳型全
域に供給されていない。これに対し、吐出孔を4孔とし
た吐出方向“A”,“B”,“C”では、ノズル近傍に
おいては若干拡散時間を要しているが、鋳型内全域に注
入流が供給されている。なお、吐出方向を隅部向けとし
た吐出方向“C”は、鋳型長辺中央部で拡散時間が若干
長くなるため、望ましくは吐出方向を“A”及び
“B”、即ち、鋳型隅部から長辺側に1/4辺長さにあ
る部位〜1/8辺長さにある部位の間の範囲に向けるこ
とが好ましい。
【0020】このように、鋳型横断面が長方形である大
断面鋳型に対しては、浸漬ノズルと鋳型短辺との距離が
離れているため、注入流を長辺側の面に反射させてから
短辺まで到達させるか、または鋳型隅部に向けて到達さ
せている。なお、短辺に到達した時点で注入流はその勢
いが減衰しているため、互いに衝突して乱流を形成する
ことはない。次に、鋳型長辺略中央部に対する拡散時間
を改善した注湯方法について説明する。
【0021】図8に示すように、鋳型各長辺の略中央部
に向けて補助吐出孔2bを2孔追加した6孔ノズルで
は、図9のグラフに示されるように、鋳型長辺略中央部
に対する拡散時間も大幅に短縮されている。なお、この
補助吐出孔2bの2孔については、鋳型内壁と浸漬ノズ
ルとの間隔が短いため、注入初期において鋳型内壁への
衝突、またはノズル詰まりの発生が危惧されるが、メニ
スカス部の皮張りを防止する点については良好な結果が
得られる。この2孔の追加は、鋳片長辺/短辺比が大き
くなればさらに有効に作用することになる。また、上記
2孔は4孔の径よりも小さい径、例えば10mmに形成さ
れている。
【0022】表2は本実施例を実機に適用した場合の皮
張り有無を調べた結果である。鋳片サイズは700×7
00mmと、700×1400mmの2種類であり、鋳造速
度は0.10〜0.05m/min 、鋼種は0.2%C〜
1.0%C鋼を鋳造した。
【0023】浸漬ノズルの構成は、φ35mmの4孔タイ
プであり吐出角度は上向き15゜である。また、吐出方
向は700×700mmの等辺鋳型については、各隅部向
け、及び各辺の1/4辺長さの部位向けの2つの条件に
ついて行い、また、700×1400mmの矩形鋳型につ
いては、各隅部向け、鋳型隅部から長辺側に1/8辺長
さにある部位向けの2つの条件について行った。
【0024】表2に示されるように、略正方形の鋳型、
長方形の鋳型のいずれも吐出方向を各コーナー向けとし
たものはメニスカスに皮張りを発生したが、吐出方向を
各辺の1/4の部位、1/8の部位向けとしたものは皮
張りが発生せず、良好な結果を得た。
【0025】
【表2】
【0026】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明の溶鋼注湯方法によれば、鋳型内に水平方向の撹
拌を発生させ、メニスカス部全域に溶鋼を短時間で行き
渡らせることができるため、メニスカスの皮張りを防止
することができる。これにより、パウダーの巻き込み、
爪部の偏析による表層欠陥、皮張り部の脱落による内部
欠陥、さらには皮張りによるブレークアウトを防止する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る大断面連鋳機の鋳型への
注湯方法を示す縦断面図である。
【図2】図1における撹拌状態を示す横断面図である。
【図3】同実施例に係る水モデルによる吐出角度の影響
を示すグラフである。
【図4】同実施例に係る吐出方向の影響を示すグラフで
ある。
【図5】同実施例に係る矩形大断面鋳型への注湯方法を
示す説明図である。
【図6】同実施例に係る鋳型内のセンサ配置を示す説明
図である。
【図7】同実施例による拡散時間測定結果を示すグラフ
である。
【図8】同実施例に係る6孔ノズルによる注湯方法を示
す説明図である。
【図9】6孔ノズルによる拡散時間測定結果を示すグラ
フである。
【符号の説明】
1:鋳型 2:浸漬ノズル 2a:吐出孔 C:鋳型コーナー F:注入流 S:等辺における1/4部位 K:長辺における1/4部位 N:長辺における1/8部位
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 秀夫 兵庫県加古川市尾上町池田字池田開拓 2222番地1 株式会社神戸製鋼所 加古 川研究地区内 (56)参考文献 特開 昭59−85351(JP,A) 特開 昭58−112641(JP,A) 特開 平2−52155(JP,A) 特開 昭52−151623(JP,A) 特開 昭58−77754(JP,A) 特開 昭50−124834(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22D 11/10 330 B22D 11/10 B22D 11/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低い鋳造速度で大断面鋳片を鋳造する連
    鋳機の鋳型への溶鋼注湯方法において、横断面サイズが650mm角以上である略正方形の 大断面鋳
    型を用い、浸漬ノズルの吐出孔を4孔とし、これら各吐
    出孔の吐出方向を、上向きには5°〜30°で且つ水平面
    内では、前記鋳型の隅部から各辺の1/8〜1/3辺長さの
    部位に向けてそれぞれほぼ等しい角度にて配置し、鋳造
    速度0.15m/min以下で注湯を行うことを特徴とする大断
    面鋳型への溶鋼注湯方法。
  2. 【請求項2】 低い鋳造速度で大断面鋳片を鋳造する連
    鋳機の鋳型への溶鋼注湯方法において、 前記鋳型横断面が長方形からなり該横断面における長辺
    /短辺比が1.5以上で且つ短辺が650mm以上である
    断面鋳型を用い、浸漬ノズルの吐出孔を4孔とし、これ
    ら各吐出孔の吐出方向を、上向きには5°〜30°で且つ
    水平面内では、前記鋳型の隅部と、該隅部から長辺側に
    略1/4辺長さにある部位までの間の範囲に向けてそれぞ
    れ配置し、鋳造速度0.15m/min以下で注湯を行うことを
    特徴とする大断面鋳型への溶鋼注湯方法。
  3. 【請求項3】 前記吐出孔より小径からなる補助吐出孔
    を、その吐出方向が上向きには5゜〜30゜で且つ水平
    面内では前記鋳型の各長辺の略中央部に向けて前記浸漬
    ノズルに設け、前記長辺略中央部に対する注湯を行う請
    求項2記載の溶鋼注湯方法。
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