JP2976833B2 - 大断面鋳型への溶鋼注湯方法 - Google Patents
大断面鋳型への溶鋼注湯方法Info
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Description
溶鋼注湯方法に関するものである。
されており連鋳化が困難であるため、通常は造塊法が適
用されている。このような大断面の鋳片を鋳造するいわ
ゆる大型インゴットの鋳造においては、例えば特開昭62
−282750号公報に示されているような造塊方法が知られ
ている。この種の造塊においては、造塊鋳型内に溶融金
属に供給して鋳塊を得るに際し、まず、鋳型の上部に造
塊しようとする溶融金属によって浸食されにくい鋳枠を
設置し、次に鋳型内に引き続きその鋳枠内に溶融金属を
注湯し、次に鋳枠部分で形成される溶融金属の凝固殻が
ブレークアウトを生じない程度になった後、鋳枠を取り
外し、その鋳枠の代わりに保温性に優れた押湯枠を設置
し、それにより造塊を行なうものである。
わって連鋳化を図るため、大断面連鋳装置が提案されて
いる。しかしながら、鋳片横断面のサイズが650mm角
以上であり、フットロールが2段を超えないような大断
面連鋳機では、バルジング現象を抑えるために鋳造速度
を0.15m/min 以下にする必要があるため、鋳型への
注湯流量を少なくしなければならず、鋳型内に溶鋼が行
き渡るのに長時間を要している。その結果、メニスカス
部の温度低下を招き、メニスカスに皮張りが発生しやす
くなっている。このような皮張りが生じると、保温剤と
してメニスカス上面に投入されたパウダーの巻き込み、
爪部の偏析による表層欠陥や皮張り部の脱落による内部
欠陥が生じることになる。さらには、皮張りが助長する
と、ブレークアウトを引き起こす危険性も生じることに
なる。従って、鋳型内に溶鋼が短時間で行き渡り、メニ
スカス部に皮張りが発生しない注湯方法が望まれてい
る。
鋼注湯方法における課題を考慮してなされたものであ
り、注湯流量が少なくても短時間で鋳型内に溶鋼を行き
渡らせることができる大断面鋳型への溶鋼注湯方法を提
供することを目的とする。
溶鋼注湯方法としては以下に示す方法がある。第一の溶
鋼注湯方法は、低い鋳造速度で大断面鋳片を鋳造する連
鋳機の鋳型への溶鋼注湯方法において、横断面サイズが
650mm角以上である略正方形の大断面鋳型を用い、浸漬
ノズルの吐出孔を4孔とし、これら各吐出孔の吐出方向
を、上向きには5°〜30°で且つ水平面内では、鋳型の
隅部から各辺の1/8〜1/3辺長さの部位に向けてそれぞ
れほぼ等しい角度にて配置し、鋳造速度0.15m/min以下
で注湯を行うことを要旨とする。
断面鋳片を鋳造する連鋳機の鋳型への溶鋼注湯方法にお
いて、鋳型横断面が長方形からなり該横断面における長
辺/短辺比が1.5以上で且つ短辺が650mm以上である
大断面鋳型を用い、浸漬ノズルの吐出孔を4孔とし、こ
れら各吐出孔の吐出方向を、上向きには5°〜30°で且
つ水平面内では、鋳型の隅部と、該隅部から長辺側に略
1/4辺長さにある部位までの間の範囲に向けてそれぞれ
配置し、鋳造速度0.15m/min以下で注湯を行うことを要
旨とする。
小径からなる補助吐出孔を、その吐出方向が上向きには
5°〜30°で且つ水平面内では鋳型の各長辺の略中央
部に向けて浸漬ノズルに設ければ、長辺略中央部に向け
て注湯を行うことも可能である。
形である大断面鋳型を用い、浸漬ノズルの吐出孔を4孔
とし、これら各吐出孔の吐出方向を、上向きには5゜〜
30゜で且つ水平面内では、鋳型の隅部から各辺の1/
8〜1/3辺長さの部位に向けてそれぞれほぼ等しい角
度にて配置し、注湯を行えば、鋳型内に水平方向の撹拌
流が発生し、メニスカス部に優先的に溶鋼が供給される
とともに、鋳型内に溶鋼が短時間で行き渡る。
方形で該横断面における長辺/短辺比が1.5以上であ
る大断面鋳型を用い、浸漬ノズルの吐出孔を4孔とし、
これら各吐出孔の吐出方向を、上向きには5゜〜30゜
で且つ水平面内では、鋳型の隅部と、該隅部から長辺側
に略1/4辺長さにある部位までの間の範囲に向けてそ
れぞれ配置し、注湯を行えば、鋳型内全域に短時間で溶
鋼を供給することができる。
り小径からなる補助吐出孔を、その吐出方向が上向きに
は5゜〜30゜で且つ水平面内では鋳型の各長辺の略中
央部に向けて浸漬ノズルに設ければ、長辺略中央部に対
する注湯を行うことができ、鋳型長辺中央部への拡散時
間も短くすることができる。
を詳細に説明する。本発明は鋳型内のメニスカス部に溶
鋼を短時間で行き渡らせる必要があることから、浸漬ノ
ズルの吐出孔に着目して注湯方法を改善したものであ
り、水モデルにて鋳型内の流れを調査して確認し、改善
された注湯方法を実機に適用するものである。まず、鋳
型横断面が略正方形である大断面鋳型への溶鋼注湯方法
について説明する。
らなる鋳片を製造するための注湯方法を示したものであ
り、図1は浸漬ノズルの吐出角度を示し、図2は吐出方
向を示したものである。両図において、1は水冷鋳型
(以下鋳型と略称する)であり、断面650mm角以上の
等辺から構成されている。2は浸漬ノズルであり2aは
その先端に設けられた吐出孔である。
メニスカス部に溶湯を供給するには、吐出角度を上向き
にし、且つ吐出孔を4孔とすることにより、鋳型内で水
平方向の撹拌が発生するようにすれば、メニスカスの皮
張りが防止できると推測される。そこで、凝固しやすい
メニスカス部に注入流を勢いよく供給するため、吐出孔
を4孔とし、各孔径を20〜35mmとし、水モデルにて
鋳型内の流れを確認した。
す。なお、吐出角度の影響を調べるに際し、鋳型隅部と
鋳型面中央部とのメニスカス下10mmにセンサを配置
し、拡散時間を調査した。同図から分かるように、吐出
角度が0゜の場合では、鋳型隅部と鋳型面中央部とでは
拡散時間が大きく異なっている。一方、吐出角度が上向
きに5゜及び15゜の場合では、拡散時間は略等しくな
っている。従って、メニスカス部に注入流を供給するに
は、浸漬ノズルにおける吐出角度を上向きに5゜以上と
する必要がある。しかしながら、表1に示すように、吐
出角度が30゜を超える場合にはメニスカスの変動が大
きくなってしまう。従って吐出角度は上向きに5゜〜1
5゜の範囲で選択することが好ましい。
影響を示したものである。吐出角は上記したように5゜
及び15゜とし、吐出方向をそれぞれ、各隅部“C”向
け、互いにほぼ等しい角度で各辺の1/4辺長さの部位
“S”向けとしたものである(図2参照)。図4から分
かるように、吐出角度5゜,15゜のどちらの角度にお
いても吐出方向を隅部“C”向けにしたものは、鋳型隅
部と鋳型面中央部とで大きな拡散時間差を生じている。
一方、吐出方向を各辺の1/4の部位“S”向けとした
ものは、鋳型隅部と鋳型面中央部とで略等しい拡散時間
が得られている。この現象は、吐出方向が各隅部向けで
あると、注入流が鋳型隅部に衝突した後、その大部分が
鋳型下方にもぐり込み、水平方向の流れが生じていない
ことによる。これに対し、吐出方向が各辺の1/4の部
位“S”向けでは、鋳型内で水平方向の撹拌が生じ、注
入流がメニスカス全域に短時間で行き渡ることができる
ようになる。
大断面鋳型に対しては、浸漬ノズルと鋳型各面との距離
が等間隔であるため、注入流れが連続的に供給される
と、鋳型内で渦巻き状の流れが形成される。次に鋳型横
断面が長方形である大断面鋳型への溶鋼注湯方法につい
て説明する。
1.5以上である大断面連鋳機の鋳型への注湯方法を示
したものである。なお、吐出角度は上向きに5゜〜30
゜の範囲であることを前提とする。同図の(a)は、各
吐出孔の吐出方向を長辺の隅部“C”から長辺側に1/
4辺長さにある部位“K”にそれぞれ向けたものであ
り、同図の(b)は、同じく1/8辺長さにある部位
“N”に向けたものであり、同図の(c)は、隅部
“C”に向けたものであり、同図の(d)は、比較例と
して吐出孔を2孔とし、吐出方向を長辺と平行にしたも
のである。なお、図6の符号S1〜S5は、センサの取
付位置を示したものである。
づいて拡散時間を比較したものである。同図に示すよう
に、吐出孔が2孔である吐出方向“D”では、鋳型長辺
中央部とノズル近傍の拡散時間が長く、注入流が鋳型全
域に供給されていない。これに対し、吐出孔を4孔とし
た吐出方向“A”,“B”,“C”では、ノズル近傍に
おいては若干拡散時間を要しているが、鋳型内全域に注
入流が供給されている。なお、吐出方向を隅部向けとし
た吐出方向“C”は、鋳型長辺中央部で拡散時間が若干
長くなるため、望ましくは吐出方向を“A”及び
“B”、即ち、鋳型隅部から長辺側に1/4辺長さにあ
る部位〜1/8辺長さにある部位の間の範囲に向けるこ
とが好ましい。
断面鋳型に対しては、浸漬ノズルと鋳型短辺との距離が
離れているため、注入流を長辺側の面に反射させてから
短辺まで到達させるか、または鋳型隅部に向けて到達さ
せている。なお、短辺に到達した時点で注入流はその勢
いが減衰しているため、互いに衝突して乱流を形成する
ことはない。次に、鋳型長辺略中央部に対する拡散時間
を改善した注湯方法について説明する。
に向けて補助吐出孔2bを2孔追加した6孔ノズルで
は、図9のグラフに示されるように、鋳型長辺略中央部
に対する拡散時間も大幅に短縮されている。なお、この
補助吐出孔2bの2孔については、鋳型内壁と浸漬ノズ
ルとの間隔が短いため、注入初期において鋳型内壁への
衝突、またはノズル詰まりの発生が危惧されるが、メニ
スカス部の皮張りを防止する点については良好な結果が
得られる。この2孔の追加は、鋳片長辺/短辺比が大き
くなればさらに有効に作用することになる。また、上記
2孔は4孔の径よりも小さい径、例えば10mmに形成さ
れている。
張り有無を調べた結果である。鋳片サイズは700×7
00mmと、700×1400mmの2種類であり、鋳造速
度は0.10〜0.05m/min 、鋼種は0.2%C〜
1.0%C鋼を鋳造した。
プであり吐出角度は上向き15゜である。また、吐出方
向は700×700mmの等辺鋳型については、各隅部向
け、及び各辺の1/4辺長さの部位向けの2つの条件に
ついて行い、また、700×1400mmの矩形鋳型につ
いては、各隅部向け、鋳型隅部から長辺側に1/8辺長
さにある部位向けの2つの条件について行った。
長方形の鋳型のいずれも吐出方向を各コーナー向けとし
たものはメニスカスに皮張りを発生したが、吐出方向を
各辺の1/4の部位、1/8の部位向けとしたものは皮
張りが発生せず、良好な結果を得た。
本発明の溶鋼注湯方法によれば、鋳型内に水平方向の撹
拌を発生させ、メニスカス部全域に溶鋼を短時間で行き
渡らせることができるため、メニスカスの皮張りを防止
することができる。これにより、パウダーの巻き込み、
爪部の偏析による表層欠陥、皮張り部の脱落による内部
欠陥、さらには皮張りによるブレークアウトを防止する
ことができる。
注湯方法を示す縦断面図である。
を示すグラフである。
ある。
示す説明図である。
図である。
である。
す説明図である。
フである。
Claims (3)
- 【請求項1】 低い鋳造速度で大断面鋳片を鋳造する連
鋳機の鋳型への溶鋼注湯方法において、横断面サイズが650mm角以上である略正方形の 大断面鋳
型を用い、浸漬ノズルの吐出孔を4孔とし、これら各吐
出孔の吐出方向を、上向きには5°〜30°で且つ水平面
内では、前記鋳型の隅部から各辺の1/8〜1/3辺長さの
部位に向けてそれぞれほぼ等しい角度にて配置し、鋳造
速度0.15m/min以下で注湯を行うことを特徴とする大断
面鋳型への溶鋼注湯方法。 - 【請求項2】 低い鋳造速度で大断面鋳片を鋳造する連
鋳機の鋳型への溶鋼注湯方法において、 前記鋳型横断面が長方形からなり該横断面における長辺
/短辺比が1.5以上で且つ短辺が650mm以上である大
断面鋳型を用い、浸漬ノズルの吐出孔を4孔とし、これ
ら各吐出孔の吐出方向を、上向きには5°〜30°で且つ
水平面内では、前記鋳型の隅部と、該隅部から長辺側に
略1/4辺長さにある部位までの間の範囲に向けてそれぞ
れ配置し、鋳造速度0.15m/min以下で注湯を行うことを
特徴とする大断面鋳型への溶鋼注湯方法。 - 【請求項3】 前記吐出孔より小径からなる補助吐出孔
を、その吐出方向が上向きには5゜〜30゜で且つ水平
面内では前記鋳型の各長辺の略中央部に向けて前記浸漬
ノズルに設け、前記長辺略中央部に対する注湯を行う請
求項2記載の溶鋼注湯方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7015412A JP2976833B2 (ja) | 1995-02-01 | 1995-02-01 | 大断面鋳型への溶鋼注湯方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7015412A JP2976833B2 (ja) | 1995-02-01 | 1995-02-01 | 大断面鋳型への溶鋼注湯方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08206798A JPH08206798A (ja) | 1996-08-13 |
JP2976833B2 true JP2976833B2 (ja) | 1999-11-10 |
Family
ID=11888035
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7015412A Expired - Fee Related JP2976833B2 (ja) | 1995-02-01 | 1995-02-01 | 大断面鋳型への溶鋼注湯方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2976833B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE50301315D1 (de) * | 2003-08-01 | 2006-02-16 | Hof Te Fiennes N V | Giesssystem und Verfahren zum Vergiessen von NE-Metallschmelzen |
JP2016131983A (ja) * | 2015-01-16 | 2016-07-25 | 品川リフラクトリーズ株式会社 | 溶鋼の連続鋳造方法 |
-
1995
- 1995-02-01 JP JP7015412A patent/JP2976833B2/ja not_active Expired - Fee Related
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