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JP2822518B2 - 窒化アルミニウム焼結体への金属化層形成方法 - Google Patents

窒化アルミニウム焼結体への金属化層形成方法

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JP2822518B2 JP1331726A JP33172689A JP2822518B2 JP 2822518 B2 JP2822518 B2 JP 2822518B2 JP 1331726 A JP1331726 A JP 1331726A JP 33172689 A JP33172689 A JP 33172689A JP 2822518 B2 JP2822518 B2 JP 2822518B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は窒化アルミニウム焼結体の表面に金属化層
を形成する方法に関し、特にタングステンを金属成分と
する金属化層の形成方法に関するものである。
[従来の技術][発明が解決しようとする課題] 近年、半導体装置の高速動作化、高集積化等の大きな
変化がみられ、特にLSIなどでは集積度の向上が著しく
なっている。このため、半導体素子がその上に搭載され
る基板材料の放熱性が重要視されるようになってきた。
このようなIC基板用セラミックスとしては、従来から
アルミナ(Al2O3)が用いられてきた。しかし、従来の
アルミナ焼結体の熱伝導率は低いために放熱性が不十分
である。そのため、ICチップの発熱量の増大に十分対応
可能な基板用セラミックスとしてアルミナ焼結体を用い
ることは困難になってきている。
そこで、このようなアルミナ基板に代わるものとし
て、高い熱伝導率を有する窒化アルミニウムを用いた基
板あるいはヒートシンクなどが注目されており、その実
用化のために多くの研究がなされている。
この窒化アルミニウムは、本来、材質的に高い熱伝導
性、高い絶縁性を有し、同様に高い熱伝導率を有するベ
リリアと異なり毒性がないので、半導体装置用の絶縁材
料やパッケージ材料として有望視されている。しかしな
がら、このような特性を有する窒化アルミニウム焼結体
は金属またはガラス質等の材料との接合強度において問
題を有する。この窒化アルミニウム焼結体は、その表面
に金属化層を付与した状態で用いられることが一般的で
ある。この金属化層の形成は、窒化アルミニウム焼結体
の表面に直接、市販されているメタライズペーストを塗
布する厚膜法、あるいは活性金属または金属の薄膜を蒸
着などの手法を用いて形成する薄膜法等によって行なわ
れる。しかしながら、このような方法によって形成され
た金属化層は、窒化アルミニウム焼結体との間で実用に
十分耐え得る接合強度を得ることはできない。そのた
め、実際には金属化前または金属化操作中に何らかの手
法に用いて窒化アルミニウム焼結体の表面を改質し、他
のたとえば、金属等との接合性を改善する必要がある。
このような窒化アルミニウム焼結体の表面を改質する
ための従来の方法としては、窒化アルミニウム焼結体の
表面に酸化処理等を施して酸化物層を形成する方法が知
られている。
たとえば、特公昭58−11390号公報には、窒化アルミ
ニウム焼結体の表面にSiO2、Al2O3、ムライト、Fe2O3
の酸化物層を形成する方法が開示されている。しかしな
がら、上記の例示のような酸化物層はガラス層、アルミ
ナ層などに対しては良好な親和性を有し、強固な結合を
生ずるが、窒化アルミニウム焼結体自体とは親和性が小
さく、信頼性に問題があるものと考えられる。ここで、
信頼性とは、酸化物層と窒化アルミニウム焼結体との間
に接合強度にばらつきが存在しないこと、所定のヒート
サイクル試験においても一定の接合強度が維持され得る
こと等が挙げられる。
また、特開昭63−11593号公報には、タングステンお
よび/またはモリブデンと、接着強度の増強剤としてSi
O2、Al2O3、CaOの酸化物混合体とを主成分とする導体ペ
ーストが窒化アルミニウム焼結体に塗布された後、温度
1600℃以上で焼成する方法が開示されている。しかしな
がら、この方法によれば、焼成温度が高いとともに、得
られる金属化層の信頼性も十分とは言えないという問題
点があった。
そこで、この発明の目的は、高い接着強度と信頼性と
を備えた金属化層を形成することができるとともに、よ
り低い焼成温度で金属化層を形成することが可能な、窒
化アルミニウム焼結体への金属化層形成方法を提供する
ことである。
[課題を解決するための手段] この発明に従った窒化アルミニウム焼結体の表面に金
属化層を形成する方法は、以下の工程を備える。
(a) 所定の形状を有するように予め焼成されて形成
された窒化アルミニウム焼結体を準備する工程。
(b) 酸化物成分を1重量%以上40重量%以下含有
し、その酸化物成分中においてSiO2を1重量%以上40重
量%以下含有し、CaOのAl2O3に対する重量比率が0.5以
上2以下である、タングステンの金属ペーストを作製す
る工程。
(c) 金属ペーストを窒化アルミニウム焼結体の表面
に塗布する工程。
(d) 金属ペーストが塗布された窒化アルミニウム焼
結体を温度1500℃以上1600℃以下の非酸化性雰囲気中で
加熱焼成する工程。
すなわち、従来の金属化層形成方法によれば、窒化ア
ルミニウム焼結体およびタングステンの両者の間に十分
な濡れ性と接着強度とを付与するための酸化物成分の検
討が不十分であった。これに対し、本発明によれば、上
記のようにその最適範囲が規定されている。
[発明の作用効果] この発明に従った金属化層形成方法によれば、窒化ア
ルミニウム焼結体の表面に所定の組成を有する金属ペー
ストがスクリーン印刷法等を用いて塗布された後、焼成
される。金属ペーストは、酸化物成分とタングステンの
金属導体成分とを主成分とし、その他に有機物を含む。
この有機物は、エチルセルロース系またはアクリル系の
樹脂と、その樹脂に応じた溶媒とからなる。酸化物成分
は、この発明の金属化層形成方法において重要な構成要
素である。この酸化物成分は、Al2O3、CaO、SiO2からな
る。酸化物成分は、金属ペースト中に1重量%以上40重
量%以下含有する。1重量%未満では、形成される金属
化層の窒化アルミニウム焼結体に対する接着強度が低く
なるとともに、その金属化層の表面上に施されるめっき
処理時においてめっき層のふくれ、しみ等が多く発生す
る。また、酸化物成分が金属ペースト中に40重量%を越
えて含有されると、形成された金属化層の表面に酸化物
層が形成され、その金属化層の表面上にめっき処理を施
すことが困難となったり、めっき層のふくれ、しみ等が
発生する。好ましくは、金属化層中における酸化物成分
の含有量は10重量%以上30重量%以下の範囲で適宜選択
されるのがよい。
この酸化物成分中において、SiO2は、1重量%以上40
重量%含有する。また、酸化物成分中において、CaOのA
l2O3に対する重量比率(=CaO/Al2O3)は0.5以上2以下
である。酸化物成分中において、SiO2が40重量%を越え
ると、得られる金属化層と窒化アルミニウム焼結体との
間の接着力が低下する。また、SiO2が酸化物成分中にお
いて1重量%未満であれば、形成された金属化層の表面
にめっき処理が施されるとき、金属化層が劣化し、窒化
アルミニウム焼結体に対する接着力が低下してしまう。
CaO/Al2O3の比が2を越えると、金属化層の窒化アルミ
ニウム焼結体に対する接着力が低下する。CaO/Al2O3
比が0.5未満では、加熱焼成中においてガラス成分が浮
き出るという現象が顕著となる。
なお、上記の組成を有する金属ペーストに、必要に応
じて周期律表第I、II、IIIおよびIV族の元素の酸化
物、たとえば、MgO、Nd2O、Y2O3、TiO2、B2O3等が添加
されてもよい。また、金属ペースト中に含有される酸化
物は、予め混合、加熱され、ガラス化された後、金属ペ
ーストに添加されてもよい。あるいは、各酸化物は単独
でタングステンと混練されてもよい。金属ペースト中に
含有される酸化物は、炭酸塩等の化合物の形態でタング
ステンに混合されてもよい。本発明の金属化層形成方法
においては、金属ペースト中の導体成分としてタングス
テンを用いているが、微細なタングステン粉末を用いる
ことが好ましい。特に、中心粒径1μm以下になるよう
に混合された微粒粉末と粗粒粉末との混合粉末を用いる
ことが好ましい。さらに、タングステンの焼成を促進さ
せるため、金属ペースト中に遷移金属元素を1重量%以
下添加してもよい。
金属ペーストを構成する各成分は、ボールミル、3本
ロールミル等を用いて十分に混練される。得られた金属
ペーストは、窒化アルミニウム焼結体の表面上にスクリ
ーン印刷法、筆塗り法等を用いて塗布される。乾燥後、
金属ペーストが塗布された窒化アルミニウム焼結体は、
温度1400℃以上2000℃以下の非酸化性雰囲気中で加熱焼
成される。この焼成温度が1400℃未満では、焼成が不十
分であり、得られる金属化層の窒化アルミニウム焼結体
に対する接着強度が低くなる。この焼成温度は、好まし
くは1500℃以上1600℃以下であればよい。
[実施例] 実施例1 以下の第1表に示された粒度分布を有するタングステ
ン粉末と酸化物成分とに、エチルセルロース、ブチルカ
ルビトールを添加し、3本ロールミルを用いて十分混練
することにより、各試料の金属ペーストが準備された。
第1表中において、タングステンの粒度分布は、たとえ
ば、試料No.1の『0.5/1.0=1』は、『平均粒径0.5μm
のタングステン粉末と、平均粒径1.0μmのタングステ
ン粉末との混合割合が1対1の重量比であること』を示
している。また、たとえば、試料No.14において『0.5の
み』は、『平均粒径0.5μmのタングステン粉末のみ』
であることを示す。なお、試料No.19においては、タン
グステン粉末に加えてニッケル粉末が添加されており、
その混合比率はタングステンが99.5重量%、ニッケルが
0.5重量%であった。また、試料No.20においては、タン
グステン粉末にモリブデン粉末が添加されており、その
混合比率はタングステンが90重量%、モリブデンが10重
量%であった。
このようにして得られたタングステンペーストを、Al
Nの含有量が99重量%である窒化アルミニウム焼結体基
板にスクリーン印刷法を用いて塗布した。塗布面積とし
て2mm×2mmの大きさを有するパッドが形成されるよう
に、タングステンペーストが塗布された。その後、第1
表に示される各焼成条件に従って各試料が加熱焼成され
た。なお、表中において『N2−5H2』は、『N2ガスとH2
ガスの体積比率が95:5』であることを示す。
このようにして形成された金属化層の表面上に1.0μ
mの膜厚を有するニッケルめっき層が形成された。この
ニッケルめっき層の上には、幅2mm、厚み0.1mmのリード
フレームが、銀ろう付けされた。このようにして準備さ
れた各試料において、リードフレームを所定の方向に引
張ることによって、ピール強度(引き剥がし強度)が測
定された。
ピール強度の測定方法は、第1図に示されている。窒
化アルミニウム焼結体基板1の上に金属化層2が形成さ
れている。金属化層2の上にはニッケルめっき層3が形
成されている。このニッケルめっき層3の上には銀ろう
4を介してリードフレーム5が接合されている。図にお
いて、Lは1.7mmである。ピール強度の測定は、リード
フレーム5を矢印で示される方向に20mm/min.で引張る
ことによって行なわれた。
以上のようにして測定されたピール強度は第1表に示
されている。なお、試料No.に*が付されているものは
比較例を示す。第1表から明らかなように、本願発明に
従った方法によって形成された金属化層の接着強度は、
ピール強度として4kg以上のものが得られており、優れ
ている。
実施例2 Al2O3とCaOとSiO2とが種々の配合比で混合され、酸化
物成分が15重量%となるように、所定の粒度分布を有す
るタングステン粉末と混練された。タングステン粉末
は、平均粒径0.4μmの粉末と平均粒径1.5μmの粉末と
が1対1の重量比となるように準備された。このように
して得られたタングステンペーストを用いて、実施例1
と同様に窒化アルミニウム焼結体の表面上に金属化層を
形成した。なお、焼成条件は、窒素ガス雰囲気中におい
て温度1550℃とした。
得られた各試料は、実施例1と同様のリードフレーム
を接合し、ピール強度が測定された。ピール強度の測定
結果は、各試料の金属ペースト中における酸化物成分の
配合比に対応して第2図に示される。第2図は、SiO2
Al2O3とCaOとの3元組成図(重量%)を示している。こ
の3元組成図中に各試料のピール強度がプロットされて
いる。各プロットに付される数値は、ピール強度(kg)
を示している。ハッチングの付された線によって囲まれ
た組成範囲は、本発明に従った酸化物成分の組成を示し
ている。第2図から明らかなように、この発明に従った
酸化物成分を有する金属ペーストを用いて形成された金
属化層は、ピール強度として4.0kg以上の接着強度を有
する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、窒化アルミニウム焼結体基板の上に金属化層
を介して接合されたリードフレームのピール強度の測定
方法を示す側面図である。 第2図は、この発明で用いられる金属ペースト中の酸化
物成分の組成に対応してピール強度値がプロットされた
SiO2−Al2O3−CaO3元組成図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化アルミニウム焼結体の表面に金属化層
    を形成する方法であって、 所定の形状を有するように予め焼成されて形成された窒
    化アルミニウム焼結体を準備する工程と、 酸化物成分を1重量%以上40重量%以下、含有し、その
    酸化物成分中においてSiO2を1重量%以上40重量%以下
    含有し、CaOのAl2O3に対する重量比率が0.5以上2以下
    である、タングステンの金属ペーストを作製する工程
    と、 前記金属ペーストを前記窒化アルミニウム焼結体の表面
    に塗布する工程と、 前記金属ペーストが塗布された窒化アルミニウム焼結体
    を温度1500℃以上1600℃以下の非酸化性雰囲気中で加熱
    焼成する工程とを備えた、窒化アルミニウム焼結体への
    金属化層形成方法。
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