JP2811139B2 - ダム堤体用型枠及びこの型枠によるダム堤体の構築方法 - Google Patents
ダム堤体用型枠及びこの型枠によるダム堤体の構築方法Info
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Description
よるダム堤体の構築に用いられる型枠及びこの型枠によ
るダム堤体の構築方法に関する。
体の構築は、図7に示すように、リフト高(一工程当た
りの打設高さ)Hが約50〜150cm、図示の断面と
垂直な方向の幅が約15mの単位でコンクリートAが打
設される。したがって、コンクリートAの打設用の型枠
Bも、1ユニットが高さ50〜150cm、幅約15m
の単位で組まれ、この型枠B内へのコンクリートAの打
設及び所定の養生期間が経過したら、次の区画へ型枠B
を移動させ、このようにして順次コンクリートAを打ち
継ぐことによってダム堤体の構築が進められる。
従来、基本的には堰板1と、この堰板1の外側面に組ま
れる支保工2からなり、複数のセパレータ3に、金具3
aを介して固定される。この型枠Bの取り付け・取り外
し等の諸作業は、ダム堤体の外面に組み立てた作業足場
4上で行われる。ダム堤体は無筋コンクリートで構築さ
れ、一回の打設高さが50〜150cm程度であるた
め、打設時のコンクリートAの側圧が非常に小さく、し
たがって、型枠Bを固定するためのセパレータ3は、1
リフト下側のコンクリートAn に予め埋設するといった
比較的簡単な方法で取り付けられる。
来の構築方法によると、次のような問題がある。 (1) セパレータ3の取り付け及びこのセパレータ3への
型枠Bの取り付け・取り外しが、構築されるダム堤体の
外側から行われるので、工事の進行につれて高所作業に
なると、非常に危険である。 (2) 型枠Bには打設されたコンクリートAの水和反応の
健全な進行を補助するという重要な役目があるので、充
分な養生期間を経てコンクリート強度が発現されるまで
は型枠Bを取り外すことができず、したがって、工事を
円滑に進めるためには多数の型枠を必要とする。 (3) 型枠Bを取り外した後は、コンクリート(ダム堤
体)の表面が外気に曝されることになるので、外気温度
や湿度等気象条件の変化によってひび割れが発生しやす
く、このため、新しいコンクリート表面の強度が充分に
発現されてひび割れ防止が発生することがなくなるま
で、常に前記表面を散水によって養生する必要がある。
また、この散水によってダム表面が竣工前に汚れてしま
う。 (4) 近年は、景観を良くする目的で、ダム堤体の下流側
表面に凹凸による浮き出し模様を施すことが多くなって
いるが、コンクリート表面にこのような模様を現場作業
によって形成することが困難である。
れたもので、その技術的課題とするところは、ダム堤体
の構築における構築の省力化及び作業の安全性の向上を
図ると共に、構築されるダム堤体の耐久性を向上させる
ことの可能な型枠構造及びダム堤体の構築方法を提供す
ることにある。
本発明によって有効に解決することができる。すなわち
本発明に係るダム堤体用型枠は、裏面同士が互いに対向
した状態に配置され前記裏面がダム堤体の打設コンクリ
ートと接合されるPCaコンクリート板と、互いに対向
配置された前記PCaコンクリート板の間にあって前記
ダム堤体に埋設される支持骨組と、この支持骨組と前記
PCaコンクリート板の裏面とを緊結する緊結材と、を
含むものである。このダム堤体用型枠の一層好ましい実
施例は、PCaコンクリート板の裏面に極めて多数の凹
凸からなる粗面が形成され、あるいはPCaコンクリー
ト板の裏面に所要数のジベル筋が取り付けられ、あるい
は面方向に隣接するPCaコンクリート板の互いの目地
部に、互いに対応する嵌合凹凸が形成される。
は、上記構成のダム堤体用型枠を用いたもので、ダム堤
体コンクリートの打設予定空間内に所要数の支持骨組を
組み立て、前記コンクリート打設予定空間の両側にPC
aコンクリート板を互いに対向配置すると共にこのPC
aコンクリート板を緊結材を介して前記各支持骨組に固
定し、互いに対向した前記PCaコンクリート板で区画
された前記コンクリート打設予定空間にコンクリートを
打設する。
PCaコンクリート板は、予め工場生産され、充分養生
されたもので、打設されたダム堤体コンクリートと一体
化されてダム堤体の外壁面をなす。このため、前記PC
aコンクリート板は、コンクリート打設後に取り外され
ることはなく、打設されたコンクリートの表面を常に保
護して充分に養生させる。また、型枠の組み立てにおい
ては、先打ちされたダム堤体の上面を足場として、コン
クリート打設予定空間内からPCaコンクリート板を緊
結材を介して支持骨組に固定することができ、しかも従
来のような堰板の外側に組まれる支保工が存在しないこ
とから、ダム堤体の外側からの危険な高所作業を伴わな
い。
ンクリートとの接合面であるPCaコンクリート板の裏
面における粗面やジベル筋が、打設コンクリートとの確
実な接合状態を実現する。また、面方向に隣接するPC
aコンクリート板の互いの目地部は、互いに対応する嵌
合凹凸同士で嵌合状態に接合されるので、前記目地部か
らPCaコンクリート板と打設コンクリートとの接合面
に雨水や越流水が侵入するのを防止でき、かつ隣接する
PCaコンクリート板同士もしっかりと接合される。以
下、本発明を図1乃至図6に示す好適な実施例を参照し
ながら説明する。
型枠の堰板として用いられるPCaコンクリート板10
の斜視図、図2はその正面図(a)と側面図(b)と下
面図(c)を含む三面図、図3はこの実施例によるダム
堤体100の構築方法を説明するための断面図、図4は
同じく平面図、図5は同じく正面図で、各図中における
参照符号10はPCaコンクリート板、20はL型鋼か
らなる支持骨組、30はこの支持骨組20と前記PCa
コンクリート板10の裏面10bを緊結する緊結材であ
る。
生産され、十分な乾燥・収縮が行われたもので、図1及
び図2に示すように、一工程当たりのコンクリート打設
高さHを考慮して、例えば縦(短辺方向)の長さL1 が
50〜150cm、横幅(長辺方向の)長さL2 が3m
程度の、正面形状が横長の長方形をなしている。また、
その厚さTは10〜20cm程度に形成され、支保工な
しで充分な強度を有するものとなっている。
その表面(正面)10aが平滑な平面状に形成される
か、あるいは必要に応じて予め適当な浮き出し模様が形
成されており、打設コンクリートと接触される裏面10
bには、極めて多数の凹凸11からなる粗面が形成され
ると共に所要数のジベル筋12及び結合金具13が一体
に取り付けられており、下面10c及び一方の側面10
dには、断面半円状の溝状嵌合凹部14が形成され、上
面10e及び他方の側面10fには、前記嵌合凹部14
と対応する嵌合凸部15が形成されている。なお、図2
のように、ダム堤体100の一方の面101が垂直、他
方の面102が傾斜角θをなす場合には、傾斜面102
側に組み立てられるPCaコンクリート板10の縦寸法
L1 は、垂直面101側に設けられるPCaコンクリー
ト板10の縦寸法L1 に対して1/sin θ倍の寸法に形
成される。
トダム堤体100を構築するには、図3乃至図5に示す
ように、まずコンクリート打設予定空間Sに、支持骨組
20を一工程の打設高さHよりも高く組み立てる。次
に、PCaコンクリート板10を組立位置に図示しない
クレーン等によって搬送し、緊結材30を介して前記支
持骨組20に固定する。緊結材30は、PCaコンクリ
ート板10の裏面10bにおける結合金具13及び支持
骨組20に適当な螺子部材又は溶接等によって接合され
る。また、このPCaコンクリート板10の下面10c
に形成された嵌合凹部14は、一段下の先打ちコンクリ
ートAn の堰板として組み立てられたPCaコンクリー
ト板10の上面10eの嵌合凸部15に咬合させると共
に、水平方向に隣接したPCaコンクリート板10と
は、互いに対向する側面10d,10fに形成された嵌
合凹部14と嵌合凸部15同士で咬合させ、これによっ
て、面方向に隣接したPCaコンクリート板10の間の
目地Gからの雨水や越流水の侵入を効果的に防止すると
共に、隣接するPCaコンクリート板10同士もしっか
り接合することができる。
4と嵌合凸部15の断面形状を半円形としたが、これ
は、他の形状、例えば図6の(B)に示すような雛壇形
や、同(C)に示すような「凹」字形及びこれに対応す
る「凸」字形や、同(D)に示すような断面V字形とす
ることなど、種々の形状が考えられる。また、一回当た
りのコンクリート打設は、高さHが50〜150cm、
水平方向の幅が約15mの単位で行われ、したがって、
PCaコンクリート板10の横幅の長さL2 が3mであ
るこの実施例の場合は、PCaコンクリート板10を横
に五枚連ねた型枠を一単位として組み立てられる。
るPCaコンクリート板10と支持骨組20との結合作
業や、その他の作業は、PCaコンクリート板10で囲
まれる内側のコンクリート打設予定空間S内において行
われる。また、コンクリート打設によるダム堤体100
の構築は、順次水平方向に進められ、その段におけるダ
ム堤体100の構築が完了してからその上段における工
事へ移行するため、図3に示す状態においては、一段下
の先打ちコンクリートAn はすでに充分に硬化してお
り、上述の型枠組立作業は、先打ちコンクリートAn の
上面を足場として行うことができ、作業足場の組立や解
体等の作業が不要となる。しかも、先打ちコンクリート
An の打設面よりも常に1〜2リフト分だけ高さを先行
して型枠の組立が行われるので、低い位置での作業とな
り、作業性が良く、工事の進行と共に作業場所が漸次高
くなっても、PCaコンクリート板10の外側での作業
を伴わないので、安全である。
ト板10によって画成されたコンクリート打設予定空間
Sに、コンクリートを打設する。このとき、支持骨組2
0の一部及び緊結材30は、打設されたコンクリート中
に埋没される。また、PCaコンクリート板10は、打
設時のコンクリートを両側から堰き止めると共に、この
コンクリートの両側面を保護し、経時的なコンクリート
の水和反応による強度の発現すなわちコンクリートの養
生を促す。
る次のコンクリート打設予定区画に上述の型枠組立及び
コンクリート打設を繰り返して行い、このようにして順
次水平方向へ工事を進めて行くことによって、その段
(図3における一点鎖線で示す高さ)におけるダム堤体
100の構築が完了したら、その上段における工事へ移
行する。
たコンクリートに対する堰板として機能するPCaコン
クリート板10は、打設コンクリートの所定の養生期間
が経過した後に取り外されるものではなく、そのままコ
ンクリート表面に残される。このため、コンクリートの
水和反応による硬化(養生)が充分に行われる。また、
このPCaコンクリート板10は、前記コンクリートと
の接触面となる裏面10bに無数の凹凸11が形成され
ていると共に、ジベル筋12が設けられているので、水
和反応によって硬化して行くコンクリートと一体的に接
合されて、そのままコンクリートダム堤体100の外壁
面を構成する。このため、打設されたコンクリートは、
従来のように型枠の撤去によって外気に曝されることが
ないことから、ダム堤体100表面の散水養生は不要と
なる。しかも、このPCaコンクリート板10は、工場
において高強度・高品質に生産されたものであって、耐
久性に優れているので、前記外壁面のひび割れの発生が
防止されると共に、工場における生産過程でその表面1
0aに予め設計された所望の模様を施すことが可能であ
るため、この模様をそのまま、コンクリートダム堤体1
00の外壁の模様とすることができる。
によると、次に列挙するような効果を奏することができ
る。 (1) 緊結材によるPCaコンクリート板と支持骨組との
結合作業を主体とする型枠組立が、PCaコンクリート
板で囲まれる内側において行われ、ダム堤体の外側での
高所作業を伴わないので、作業の安全性が向上する。 (2) 型枠の堰板として用いられたPCaコンクリート板
は、打設されたコンクリートの養生期間経過後に取り外
されるものではなく、打設されたコンクリートと一体化
してダム堤体の外壁となるので、コンクリートを充分に
養生してダム堤体の耐久性を向上させることができ、従
来のような型枠取り外し後の散水養生も不要となるの
で、散水によってダム堤体表面が汚れることもなくな
る。 (3) PCaコンクリート板は、予め工場で高強度・高品
質に生産することができるので、ダム堤体の外壁として
一体化されるこのPCaコンクリート板自体に気候変化
によるひび等が発生するのを防止することができる。 (4) 型枠の解体作業がなくなり、工期を著しく短縮する
ことができる。 (5) ダム堤体の壁面に模様を付ける場合、この壁面とな
るPCaコンクリート板の工場生産過程で、所望の模様
を容易に形成することができる。
Caコンクリート板の裏面を示す斜視図である。
は正面図、(b)は側面図、(c)は下面図である。
るための断面図である。
るための平面図である。
るための正面図である。
凸部の形状例を示す要部断面図である。
ための断面図である。
ための平面図である。
るための正面図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 裏面同士が互いに対向した状態に配置さ
れ前記裏面がダム堤体の打設コンクリートと接合される
PCaコンクリート板と、 互いに対向配置された前記PCaコンクリート板の間に
あって前記ダム堤体に埋設される支持骨組と、 この支持骨組と前記PCaコンクリート板の裏面とを緊
結する緊結材と、を含むことを特徴とするダム堤体用型
枠。 - 【請求項2】 請求項1の記載において、PCaコンク
リート板の裏面に極めて多数の凹凸からなる粗面が形成
されたことを特徴とするダム堤体用型枠。 - 【請求項3】 請求項1の記載において、PCaコンク
リート板の裏面に所要数のジベル筋が取り付けられたこ
とを特徴とするダム堤体用型枠。 - 【請求項4】 請求項1の記載において、面方向に隣接
するPCaコンクリート板の互いの目地部に、互いに対
応する嵌合凹凸が形成されたことを特徴とするダム堤体
用型枠。 - 【請求項5】 ダム堤体コンクリートの打設予定空間内
に所要数の支持骨組を組み立てる工程と、 前記コンクリート打設予定空間の両側にPCaコンクリ
ート板を互いに対向配置すると共にこのPCaコンクリ
ート板を緊結材を介して前記各支持骨組に固定する工程
と、 互いに対向した前記PCaコンクリート板で区画された
前記コンクリート打設予定空間にコンクリートを打設す
る工程と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のダ
ム堤体用型枠を用いたダム堤体の構築方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP35368392A JP2811139B2 (ja) | 1992-12-15 | 1992-12-15 | ダム堤体用型枠及びこの型枠によるダム堤体の構築方法 |
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JPH06185036A JPH06185036A (ja) | 1994-07-05 |
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Family Applications (1)
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JP35368392A Expired - Fee Related JP2811139B2 (ja) | 1992-12-15 | 1992-12-15 | ダム堤体用型枠及びこの型枠によるダム堤体の構築方法 |
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JP6463197B2 (ja) * | 2015-03-31 | 2019-01-30 | 日鐵住金建材株式会社 | 斜面構造物の構築方法 |
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CN114753298A (zh) * | 2022-04-20 | 2022-07-15 | 中国建筑第七工程局有限公司 | 一种河道护坡桩板支撑体系及其施工方法 |
-
1992
- 1992-12-15 JP JP35368392A patent/JP2811139B2/ja not_active Expired - Fee Related
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