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JP2859419B2 - 酢酸ビニルの分離法 - Google Patents

酢酸ビニルの分離法

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JP2859419B2
JP2859419B2 JP2275508A JP27550890A JP2859419B2 JP 2859419 B2 JP2859419 B2 JP 2859419B2 JP 2275508 A JP2275508 A JP 2275508A JP 27550890 A JP27550890 A JP 27550890A JP 2859419 B2 JP2859419 B2 JP 2859419B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (技術の利用分野) 本発明は、酢酸ビニルの単離法に関する。
(従来の技術) 気相において固定床触媒を用いてエチレンと酢酸およ
び酸素または酸素含有ガスとの反応によって酢酸ビニル
を製造することは既に公知である。この反応は一般に1
〜25barの圧力および100〜250℃の温度で実施される。
適する触媒は貴金属の部分と活性化剤の部分とを含んで
いる。貴金属の部分はパラジウムおよび/またはその化
合物より成る。更に金またはその化合物も存在し得る。
活性化剤の部分は周期律表の第一主族および/または第
二主族の元素の化合物および/またはカドミウムより成
る。これらの活性成分は細かく分散した状態で、担持と
して一般に用いられる珪素またはアルミナに担持されて
いる。
一般に触媒のパラジウム含有量は0.5〜5重量%であ
る。
金またはその化合物の一種を用いる場合には、0.01〜
4重量%で添加する。
各個々の開始剤も一般に0.01〜4重量%の量で添加す
る。上記三つの%表示において、これら成分の金属含有
量はそれぞれ担持触媒の全重量を基準としている。以下
の触媒が有利である: パラジウム/アルカリ金属/カドミウムおよびパラジ
ウム/金/アルカリ金属。但し、パラジウムおよび金
は、金属または化合物として既成の触媒中に存在してい
てもよく、そしてアルカリ金属としてはカリウム(炭酸
塩の形で)が特に好ましい。
酢酸パラジウム/酢酸カリウム/酢酸カドミウムおよ
び酢酸パラジウム/アセト金酸バリウム/酢酸カリウム
からなる触媒が特に有利である。
多段階接触法では、酢酸ビニルおよび水が下記の総反
応式で示される通り、当量生じる: 触媒 H2C=CH2+CH3−COOH+0.5 O2→H2C=CH−O−CO−CH
3+H2O 完全に避けることのできないエチレンの完全酸化反応
で、二酸化炭素および水が生じる: H2C=CH2+3O2→2CO2+2H2O 従って、1モルの酢酸ビニル当たり1モルより多い水
が生じ、一般に水の重量は生じる酢酸ビニルの約1/4で
ある。
二酸化炭素以外に僅かな量の他の副生成物も生じ、そ
の中には酢酸エチルが、生じる酢酸ビニルを基準として
約1000〜2000重量ppmの量で含まれている。酢酸エチル
は純粋な酢酸ビニル中に最高150重量ppmの量だけ存在し
ていてもよい。従来には酢酸エチルを分離する為に多量
のエネルギーが必要とされた。それ故に酢酸ビニルを、
従来よりも僅かなエネルギー消費量で純粋な状態で且つ
酢酸エチルおよび他の副生成物を含まずに製造する方法
が試みられてきた。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の課題は、僅かなエネルギー消費量で酢酸ビニ
ルを単離することができそして特に酢酸エチルを含ませ
ない方法である。
反応に使用される混合物は化学量論的に必要とされる
量の数倍の量のエチレンを含有している。
従って約10%というエチレンの転化率は比較的に低
く、未転化のエチレンを反応領域に循環しなければなら
ない。酢酸ビニルは一般的に多段階法においてガスとし
て生じる反応生成物の混合物から分離される。
ドイツ特許出願公開第3,422,575号明細書(=米国特
許第4,818,347号明細書)に従う方法では、酢酸ビニル
反応器を出る、未反応エチレン、未反応酢酸、未反応酸
素、窒素、アルゴン、酢酸ビニル、反応水、二酸化炭素
並びに酢酸エチルから実質的に成る熱いガス混合物を、
追加的に加熱せずに運転される蒸留塔、いわゆる予備脱
水塔に導く。この塔の塔頂から離れるガス混合物を−20
〜+50℃に冷却し、その際に一部が凝縮する。この凝縮
物は有機相と水性相との二つの相に分離する。水性相を
除き、有機相が全部または一部分を予備脱水塔の塔頂へ
還流として戻す。この塔の塔頂蒸気の未凝縮分には未だ
ガス状の酢酸ビニルが含まれ、これを酢酸を洗浄液とし
て用いて運転される洗浄塔においてガス混合物から洗い
出す。残りのガスを反応器に循環する。予備脱水塔の塔
底に酢酸ビニル、酢酸および、反応水の約半分並びに副
生成物より成る混合物が生じる。反応水の残り半分は、
エネルギーを加えずに既に分離されそして予備脱水塔の
塔頂蒸気の上述の冷却の際に生じた凝縮物の水性相を形
成する。
予備脱水塔の塔底生成物は第二の塔においてA)塔頂
生成物としての水で飽和した酢酸ビニル、B)除かれる
酢酸エチルを含む側流およびC)循環される酢酸の状態
で系に戻される塔底生成物に分かれる。次いで水で飽和
した酢酸ビニルA)を洗浄塔の塔底生成物と一緒にし、
そしてこの混合物を二つの別の塔で処理する。
(課題を解決するための手段) 本発明者は驚くべきことに、循環ガスの洗浄処理段階
の塔底生成物を水で飽和した酢酸ビニルA)と直接混合
せずに、それを塔頂生成物として酢酸ビニル−水共沸液
を生成し且つ塔底生成物として(上述に第二の塔にまた
は循環ガス洗浄段階にまたは直接に反応領域に戻され
る)水性酢酸を与える別の塔に最初に導入することが有
利であることを見出した。冷却により生じる水性相を分
離除去した後に、塔頂生成物を水で飽和した酢酸ビニル
A)(第二の塔の塔頂生成物)と一緒に別の塔で乾燥
し、そして純粋な酢酸ビニルを最後の塔において塔頂で
蒸留する。この後処理法は、ドイツ特許出願公開第3,42
2,575号明細書(=米国特許第4,818,347号明細書)に記
載されているのと同様に僅かな蒸留エネルギー消費量で
あるが、後処理法の為に必要な全体の塔プレート数が少
ないという長所を有しており、このことは投下資本の費
用が著しく少なくすることを意味する。
従って本発明は、エチレン、酢酸および酸素を含む混
合物を、気相で、且つ反応領域中でパラジウム又はパラ
ジウム化合物を含有する触媒と接触反応させることによ
って生成した酢酸ビニル、酢酸エチル、酢酸、水および
二酸化炭素を含むガス混合物から酢酸ビニルを分離する
方法であって、 a)反応領域を離去するガス混合物を第一の留去塔に導
入し、 b)第一の蒸留塔の塔頂から出るガス混合物を−20℃〜
+50℃に冷却し、その結果生じた凝縮物が水性相と有機
相とに分離し、 c)b)階段で生じた水性相を除き、 d)b)階段で生じた有機相の全部または一部分をa)
段階で用いられる第一の蒸留塔の塔頂へ還流として再導
入し還流として使用されない有機相の部分を除去し、 e)b)段階で凝縮しない酢酸ビニル含有ガスを少なく
とも90%濃度の水性酢酸で洗浄塔で洗浄して、塔底部で
酢酸ビニル含有酢酸溶液を得、 f)酢酸ビニル、酢酸エチル、酢酸および水を含むa)
段階の塔底生成物を第二の蒸留塔に供給し、酢酸エチル
を含む側流を該塔の塔底の上方の濃縮領域から除き、 g)酢酸および水を含むf)段階の塔底生成物の全部ま
たは一部をe)段階でのガス洗浄のために用い、 h)f)段階の塔頂蒸気を冷却し、その結果として生じ
た凝縮物が水性相と有機相とに分かれ、 i)h)段階で生じた水性相を除き、 k)h)段階で生じた有機相の一部をf)段階で用いる
第二の蒸留塔の塔頂へ還流として再導入し、 l)h)段階で生じた有機相の残りの部分を除去する ことからなる各方法段階によって酢酸ビニルを単離する
に当たって、 m)e)段階で用いた洗浄塔の塔底生成物を第三の蒸留
塔に導入し、 n)m)段階で用いた第三の蒸留塔の塔底生成物をf)
段階で用いる第二の蒸留塔に戻すかまたはe)段階で用
いる洗浄塔にまたは反応領域に循環し、 o)m)段階の塔頂蒸気を冷却し、その結果として生じ
た凝縮物が水性相と有機相とに分離し、 p)o)段階で生じた水性相を除去し、 q)o)段階で生じた有機相の一部をm)段階で用いた
第三の蒸留塔の塔頂に還流として再導入し、 r)o)段階で生じた有機相の残りの部分をl)段階で
除去された有機相の残りと一緒におよびd)段階で除か
れた残りの有機相と一緒に第四の蒸留塔に導き、 s)r)段階の塔頂蒸気を冷却し、その結果として生じ
た凝縮物が水性相と有機相に分離し、 t)s)段階で生じた水性相を除去し、 u)s)段階で相じた有機相の全部または一部をr)段
階で用いる第四の蒸留塔の塔頂に還流として戻しそして
還流として用いられなかった有機相分を低沸点成分を分
離除去する為に除き、 v)r)段階からの塔底生成物を第五の蒸留塔に導き、 w)純粋の酢酸ビニルをv)段階で用いた第五の蒸留塔
の塔頂から取り出すことを特徴とする、上記酢酸ビニル
の分離法に関する。
a)段階においては、反応領域を離れるガス混合物を
好ましくはより冷たい循環ガス(このものはそれによっ
て加熱され、次いで反応に戻される)を用いる向流式熱
交換器によって最初に(冷却ガスは加熱され、次いで反
応に戻す)約115〜130℃に冷却し(その際に液化し得る
成分の凝縮は未だ生じない)、次いで初めて第一の蒸留
塔に投入する。
b)段階で生じた有機相の量は、ガス混合物がこの段
階で冷却される温度に依存している。d)段階で還流と
して用いないb)段階からの有機相の一部をr)段階に
おいて(h)およびo)段階からの有機相と一緒にして
第二および第三の蒸留塔のための還流として使用しな
い)第四の蒸留塔に導入する。b)段階での冷却温度お
よびd)段階で還流として用いられるb)段階で生じる
有機相の割合は、最小量の酢酸ビニルが、場合によって
は酢酸エチル全量もa)段階からの塔底生成物中に存在
するように選択するのが好ましい。このことは、酢酸ビ
ニルの約20〜50重量%がこの塔底生成物中に存在するこ
とを意味する。その時、残る50〜80重量%の酢酸ビニル
は一部がe)段階で生じる酢酸溶液中に存在してそして
一部が、d)段階で還流として使用されないb)段階で
生じる有機相の成分中に存在する。
e)段階のガス洗浄のために第二の蒸留塔(f)段
階)の塔底生成物の少なくとも一部分を使用しそして追
加的に、m)段階で生じる第三の蒸留塔の塔底生成物を
使用してもよい;両方の塔底生成物は主として酢酸で組
成されており、最高10重量%の水を含んでいる。e)段
階で必要とされない蒸気の塔底生成物の一部を、高沸点
成分および重合体を除く為に僅かの部分を流し出した後
に、反応器に戻すのが有利である。
K)段階においては、第二の蒸留塔の塔頂蒸気が最小
量の酢酸および酢酸エチルを含有するような量だけの、
h)段階で生じた有機相を還流として戻すのが有利であ
る。この目的の為に必要とされない有機相分をr)段階
に従う第四の蒸留塔に導入する。
q)段階においては、最小量の酢酸ビニルが第三の蒸
留塔の塔底で得られるような量の、o)段階で生じる有
機相を、第三の蒸留塔の塔頂へ還流として戻すのが好ま
しい。
u)段階においては、s)段階で生じる有機相を第四
の蒸留塔のための還流としてその全部を使用するのでな
く、低沸点成分を分離除去するのに十分な部分を除くの
が好ましい。
本発明の方法の驚くべき長所は、酢酸ビニル反応で副
生成分として生じる酢酸エチルを従来よりも複雑でない
装置でエネルギーの節約下に分離できることである(ド
イツ特許出願公開第3,422,575号明細書および米国特許
第4,818,347号明細書);a)段階で用いる予備脱水塔
(第一のの蒸留塔)において酢酸ビニルの一部を既に酢
酸エチルを含まない状態で分離する。その理由は、実質
的に全ての酢酸エチルが予備脱出塔の塔底に残留し、一
方酢酸ビニルの一部がb)段階で凝縮せず(酢酸溶液の
状態でe)段階で得られる)そしてd)段階で除かれる
あるいは残る有機相も実質的に酢酸エチルを含有してお
らず、それ故に酢酸ビニル部分流から酢酸エチルをエネ
ルギーの消費下に除く必要がない。この後処理は本発明
の方法において、ドイツ特許出願公開第3,422,575号明
細書に従うよりも少ない塔プレート数によって達成され
る。
本発明の方法を第1図によって更に詳細に説明する。
エチレン、酸素および二酸化炭素より成るガス混合物
(循環されるガス)を導管(1)を通して気泡塔として
形成された酢酸蒸発器(2)に導き、そこにおいて該ガ
ス流に導管(3)を介して供給される酢酸を飽和させ
る。酢酸蒸発器(2)を離れるガス混合物をスチームで
加熱された導管(4)を通して反応器(5)に供給す
る。この反応器はジャケットで囲まれた長さ5.60mで内
径32mmの反応管で構成されている。反応器の熱の除去
は、このジャケット中で加熱下の沸騰水によって行う。
反応管には触媒が充填されている。主としてエチレン、
酢酸、酢酸ビニル、水、二酸化炭素、酸素および不活性
ガス、例えば窒素およびアルゴンより成る、反応器
(5)を離れるガス混合物を、導管(6)を介して第一
の蒸留塔、即ち予備脱水塔(7)に導く。塔(7)は2.
5mの長さおよび50mmの直径を有している。これには巻い
たステンレス鋼製ワイヤーネットで造られた充填物(い
わゆるグットローエ(Goodloe)充填物)が充填されて
いる。塔頂から塔(7)を離れるガス混合物は導管
(8)を通して熱交換器(9)に入り、そこにおいて導
管(16)を通して入りそして導管(10)を通して塔
(7)に循環される循環液で向流式熱交換器に導かれ
る。熱交換器(9)から、ガス混合物は水で冷却された
冷却器(12)に導管(11)を通して入り、そこで約35℃
に冷却される。液化した部分はタンク(14)に導管(1
3)を通して入り、そこに集められる。捕集タンク(1
4)において液分がある水準を超えると、ポンプ(15)
によって導管(16)、熱交換器(9)および導管(10)
を通って脱水塔(7)にポンプ搬送により戻される。一
定時間後に、捕集タンク(14)で生じた凝集液は(17)
と(18)の二つの相に分かれる。今度は、水性相(17)
を導管(19)を通して放出しそして有機相(18)だけ、
その全部または一部を導管(16)、熱交換器(9)およ
び導管(10)を通して予備脱水塔(7)の塔頂に還流と
してポンプ搬送により戻す。安定剤溶液を貯蔵タンク
(20)からポンプ(21)および導管(22)を通して捕集
タンク(14)にポンプ供給する。主として酢酸ビニル、
酢酸および水よりなりかつほとんど全部の酢酸エチルを
含有する、予備脱水塔(7)の塔底に生じる液体を、タ
ンク(28)に導管(23)通対して流入させる。導管(2
4)を通して冷却器(12)を離れるガス混合物から、導
管(25)を通して酢酸が供給される洗浄塔(26)におい
て未凝縮の酢酸ビニル分が除かれる。塔(26)の塔底生
成物は導管(27)を通って塔(78)に入る。導管(29)
を通って洗浄塔(26)を離れる残留ガス(エチレン、未
反応酸素および副生成物として生じた二酸化炭素)は導
管(1)および酢酸蒸発器(2)を通って循環ガスコン
プレッサー(30)によって反応器(5)に戻される。循
環されるガスの一部は不活性成分を放出するために、導
管(31)を通って排ガスとして除かれる。新鮮なエチレ
ンは導管(32)を通して供給しそして新鮮な酸素は導管
(33)を通して供給する。タンク(28)からの混合物を
導管(34)を通して第二の蒸留塔(35)に導入する。塔
(35)の塔頂蒸気は導管(36)を通して冷却器(37)に
導きそしてそこで凝縮する。導管(38)を通ってタンク
(39)に入る凝縮液は、導管(41)を対して排気される
水性相(40)と有機相(42)に分かれる。有機相(42)
の一部を導管(43)およびポンプ(44)を通してタンク
(45)に供給し、一方、他の部分を導管(46)およびポ
ンプ(47)を通して塔(35)に戻しそしてそこで、酢酸
および酢酸エチルが塔頂生成物に入り込むのを防止する
ために還流として使う。タンク(28)中の混合物中に含
まれそして導管(34)を通して塔(35)に入る酢酸エチ
ルは導管(48)を通して塔(35)の塔底部の上の濃度領
域から除く。塔(35)の塔底生成物は、酢酸、最高10重
量%の水および少量の高沸点成分および重合体を含有し
そして痕跡量の酢酸ビニルおよび酢酸エチルしか含有し
ていない。
塔(35)の塔底部からの水性酢酸を分ける。e)段階
で酢酸洗浄に必要とされる分はポンプ(49)および導管
(25)を通して洗浄塔(26)に供給する。残りはポンプ
(50)、導管(51)および導管(3)を通して酢酸蒸発
器(2)に再び供給する。洗浄塔(26)のデザインおよ
び洗浄すべきガスの温度に応じて洗浄液として異なる量
の酢酸が必要とされる。それ故に塔(35)の塔底部から
流し出す水性酢酸は相当して分ける。反応で消費される
酢酸量に相応する新鮮な酢酸は導管(52)および(3)
を通して酢酸蒸発器(2)に供給する。塔(26)の塔底
生成物は導管(27)を通して第三の蒸留塔(78)に供給
する。タンク(39)からの有機相(42)の一部は導管
(43)およびポンプ(44)を通してタンク(45)に供給
する。さらに、全部の有機相(18)を予備脱水塔(7)
で還流として用いない場合には、有機相(18)の残り
を、導管(53)を通して捕集タンク(14)からタンク
(45)に導く。タンク(45)中の液体を導管(54)およ
びポンプ(55)を通して第四の蒸留塔(56)に通す。塔
(56)の塔頂蒸気は導管(57)を通して冷却器(58)に
導き、生じる凝縮液を導管(59)を通してタンク(63)
に導く。タンク(63)において、これは水性相(62)と
有機相(65)と二つの相に分離する。水性相(62)を導
管(64)を通して放出する。有機相(65)は導管(66)
およびポンプ(67)を通して塔(56)の塔頂部に還流と
して循環する。有機相(65)のわずかな部分流を、低沸
点成分を分離するために導管(60)を通して放出する。
塔(56)の実質的に水を含まない塔底生成物を導管(6
8)を通して導く(後記参照)。塔(78)の塔頂蒸気は
導管(79)を通して冷却器(80)に供給する。生じる濃
縮液を導管(81)を通してタンク(82)に流し込む。凝
縮液は有機相(83)と水性相(84)を形成する。水性相
(84)を導管(88)を通して放出する。有機相(83)の
一部を導管(85)およびポンプ(86)を通して塔(78)
の塔頂部に還流液として戻す。一部は導管(87)を通し
てタンク(45)に供給する。塔(78)の塔底生成物は一
般に、ポンプ(89)および導管(90)を通して塔(35)
の塔底生成物と一緒にされ、次いで酢酸洗浄溶液(26)
にまたは酢酸蒸発器(2)にポンプ供給される。しかし
ながら導管(91)を通して塔(35)に導いてもよい。塔
(56)の塔底部に生じる実質的に水を含まない酢酸ビニ
ルは第五の蒸留塔(69)に導管(68)を通して導く。こ
の塔の塔頂蒸気は導管(70)を通って冷却器(71)に入
る。生じる濃縮液は実質的に酢酸エチルを含まない純粋
な酢酸ビニルである。この酢酸ビニルの非常にわずかな
分を導管(73)を通して塔(69)に循環する。純粋な酢
酸ビニルは導管(74)を通して放出する。重合体、高沸
点成分および酢酸ビニル/酢酸エチル/酢酸を含む塔
(69)の塔底生成物は導管(75)およびポンプ(76)を
通して塔(35)に循環する。部分流を、最終的に全部の
高沸点成分と重合体とが循環される酢酸蒸発器(2)か
ら導管(77)を通して除いて、重合体を流し出す。
実施例 以下の実験は、上に説明しかつ第1図に示した装置で
実施した。反応器(5)に2.3重量%のパラジウム、2
重量%のカリウムおよび1.9重量%のカドミウムを含む
(これらはそれぞれ酢酸塩の形でシリカ担体(直径4〜
6mmの球状物)の上に担持されている)公知の酢酸ビニ
ル合成用触媒4.4Lを充填する。約69容量%のエチレン、
24容量%の二酸化炭素および7容量%の酸素を含む混合
物12Nm3/時を酢酸蒸発器(2)に導入する。酢酸蒸発器
(2)に導管(3)を通して供給する酢酸の量は、4.83
kgの酢酸がその中で蒸発する程である。高沸点成分およ
び重合体を放出するために、0.5kg/時の物質を導管(7
7)を通して酢酸蒸発器(2)から放出する。反応器に
流入するガスを導管(4)において155℃に予備加熱す
る。8barの過剰圧(9barの絶対圧)を反応器入口(5)
で達成しそして反応器出口の温度を、反応器の外部ジャ
ケットにおける沸騰水冷却系の圧力によって160℃に調
節する。予備脱水塔(7)の入口における反応ガスの温
度は、導管(6)の熱放射によって130℃になるにすぎ
ない。予備脱水塔(7)をその塔頂部から離れるガス混
合物を冷却器(12)で35℃に冷却する。タンク(14)に
おいて、9kg/時の有機相(18)が生じ、これを予備脱水
塔(7)にポンプ(15)および熱交換器(9)を通して
循環する。3重量%の酢酸ビニル、0.1重量%の酢酸お
よび0.05重量%のアセトアルデヒドを含有する350g/時
の水性相(17)をタンク(14)から除く。80℃の塔頂温
度および90℃の塔底温度に達する予備脱水塔(7)の塔
底部で、74重量%の酢酸、7.5重量%の水、17.5重量%
の酢酸ビニル、0.05重量%のエチリデンジアセテート、
0.06重量%の酢酸エチル、0.1重量%のアセトアルデヒ
ドおよび0.05重量%の高沸点成分および重合体よりなる
4kgの混合物が1時間当たりに生じる。安定化するため
に、酢酸ビニル中に2.5重量%のp−ベンゾキノンを含
む15mL/時の溶液を貯蔵タンク(20)からタンク(14)
にポンプ供給する。
冷却器(12)からの残りのガスを導管(24)を通して
洗浄塔(26)に導く。3.1kg/時の水含有酢酸を、塔(3
5)の塔底部から導管(25)を通して洗浄塔(26)の塔
頂部にポンプ供給する。洗浄塔(26)の塔底部で、57.6
重量%の酢酸、5.1重量%の水、37重量%の酢酸ビニ
ル、0.02重量%のアセトアルデヒドおよび30重量ppmの
酢酸エチルよりなる混合物5kg/時が生じる。
洗浄塔(26)を離れるガスは導管(29)および循環ガ
スコンプレッサー(30)を通して酢酸蒸発器(2)に循
環する。反応で消費されるエチレンおよび酸素は新鮮な
エチレン(導管(32))および新鮮な酸素(導管(3
3))を循環されるガス中に供給することによって補充
される。反応で副生成物として生じるCO2は、導管(3
1)を通して排ガスとして循環ガスから除く。排ガスの
量は24容量%のCO2濃度が循環ガス中で維持される程で
ある。
予備脱水塔(7)の塔底生成物は導管(23)を通して
貯蔵タンク(28)に導入されそしてそこから導管(34)
を通して第二の蒸留塔(35)に供給される。塔(35)
は、50mmの内径、6mの長さおよび80のバブルキャップト
レーを持ち、真空ジャケットを装備しかつ電気塔底部加
熱器を備えたガラス製塔として形成されている。
タンク(28)からの混合物4kg/時を塔(35)の40番目
のプレートの所に導入する。塔底部の加熱は、蒸留液の
全量が5.3kg/時であるように調節する。相分離器(39)
において177kg/時の水性相(40)が生じ、これを放出す
る。導管(43)を通してタンク(45)にポンプ供給され
る有機相(42)の割合は、塔(35)の温度が25番目のプ
レートの所で約112℃である(約0.7kg/時)。有機相(4
2)の大部分は塔(35)に導管(46)を通して還流とし
て循環する。タンク(45)に導入される有機相(42)は
酢酸ビニルの他に、0.05重量%の酢酸、0.2重量%のア
セトアルデヒド、0.015重量%の酢酸エチルおよび1.3重
量%の水を含有している。
塔(35)の20番目のプレートの所に側部出口(48)が
あり、そこから約5重量%の酢酸エチル、2重量%の酢
酸ビニル、12重量%の水および81重量%の酢酸を含有す
る50g/時の物質が引き出される。塔(35)の塔底部で生
じる酢酸は約4重量%の水を含有している。それの3.1k
gを導管(25)を通して洗浄塔(26)に通し、そして残
りをポンプ(50)および導管(51)および(3)を通し
て酢酸蒸発器(2)に通す。
タンク(45)中で、酢酸ビニルの他に1.3重量%の
水、0.04重量%のアセトアルデヒドおよび0.01重量%の
酢酸エチルを含む2.7kg/時の物質が生じる。
以下の部分流をタンク(45)に供給する:塔(35)の
蒸留物の0.7kg、塔(78)の蒸発物1.85kgおよび予備脱
水塔(7)の蒸留物0.18kg。
この物質をさらに第四の蒸留塔(56)で蒸留する。こ
の塔はガラスで造られており、真空ジャケットおよび電
気塔底部加熱器を備えている。この塔は40枚のプレート
を有し、入口は30番目のプレートの所にある。塔底部の
加熱は、1時間当たりに2kgの蒸留物が相分離器(62)
で得られるように調節する。下側の水性相(63)の量は
35gであり、導管(64)を通して放出する。5重量%の
アセトアルデヒドを含有する有機相(65)から、20gを
導管(60)を通して放出する。有機相の大部分は導管
(66)およびポンプ(67)を通して(56)の塔頂部にポ
ンプにより戻す。塔(56)の塔底部から流し出される生
成物をさらに第五の蒸留塔(69)で処理する。塔(69)
は、ガラスで造られており、真空ジャケットおよび電気
塔底部加熱器を備えている。この塔は、50mmの内径およ
び15枚のプレートを有している。0.2の還流比で、50重
量ppmより少ない酢酸、約100重量ppmの水および40重量p
pmの酢酸エチルを含有する2.4kg/時の純粋な酢酸ビニル
が導管(74)を通して得られる。塔(69)の塔底部か
ら、250gを導管(75)を通してポンプ(76)によって塔
(35)に戻す。酢酸洗浄液の塔底部から、57.6重量%の
酢酸、37重量%の酢酸ビニル、5.1重量%の水、0.02重
量%のアセトアルデヒドおよび0.003重量%の酢酸エチ
ルよりなる混合物5kg/時を導管(27)を通して第三の蒸
留塔(78)に通す。
塔(78)は真空ジャケットを持つガラス製塔として形
成されており、電気塔底部加熱器を備えている。その内
径は50mmであり、40枚のプレートを備えている。蒸留液
を導管(79)を通して凝縮器(80)に通す。凝縮液は導
管(81)を通して受け器タンク(82)に入る。受け器タ
ンク(82)中の凝縮液は二つの相に分離する。1時間当
たりに、5kgの有機相(83)と166kgの水性相(84)とが
生じる。水性相は導管(88)を通して放出する。有機相
(83)の内、3.33kg/時を導管(85)およびポンプ(8
6)を通して塔(78)の塔頂部に還流として導き、そし
て1.85kg/時を導管(87)を通してタンク(45)にポン
プ供給する。塔(78)の塔底生成物をポンプ(89)およ
び導管(90)を通して塔(35)の塔底ドレーンにポンプ
供給する。
(発明の効果) 本発明に方法によって、わずかなエネルギー消費量し
か必要とせず、かつ特に酢酸エチルを含まずに酢酸ビニ
ルを単離することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
図面は、本発明の方法の一実施態様を示すフローシート
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 69/14 C07C 69/14 (72)発明者 ペーテル・ヘルステルマン ドイツ連邦共和国、ケーニッヒシュタイ ン/タウヌス、コールウエーク、9 (72)発明者 ラインハルト・グラドル ドイツ連邦共和国、エルフトシュタッ ト、ハイムバッヒェル・ウエーク、27 (72)発明者 ホルスト・ラングネル ドイツ連邦共和国、ハッテルスハイム、 シュタウフェンストラーセ、32 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 69/14 - 69/15 C07C 67/54 C07C 67/055 C07B 61/00 WPI/L(QUESTEL) EPAT(QUESTEL)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレン、酢酸および酸素を含む混合物
    を、気相で、且つ反応領域中でパラジウム又はパラジウ
    ム化合物を含有する触媒と接触反応させることによって
    生成した酢酸ビニル、酢酸エチル、酢酸、水および二酸
    化炭素を含むガス混合物から酢酸ビニルを分離する方法
    であって、 a)反応領域を離去するガス混合物を第一の蒸留塔に導
    入し、 b)第一の蒸留塔の塔頂から出るガス混合物を−20℃〜
    +50℃に冷却し、その結果生じた凝縮物が水性相と有機
    相とに分離し、 c)b)階段で生じた水性相を除き、 d)b)階段で生じた有機相の全部または一部分をa)
    段階で用いられる第一の蒸留塔の塔頂へ還流として再導
    入し還流として使用されない有機相の部分を除去し、 e)b)段階で凝縮しない酢酸ビニル含有ガスを少なく
    とも90%濃度の水性酢酸で洗浄塔で洗浄して、塔底部で
    酢酸ビニル含有酢酸溶液を得、 f)酢酸ビニル、酢酸エチル、酢酸および水を含むa)
    段階の塔底生成物を第二の蒸留塔に供給し、酢酸エチル
    を含む側流を該塔の塔底の上方の濃縮領域から除き、 g)酢酸および水を含むf)段階の塔底生成物の全部ま
    たは一部をe)段階でのガス洗浄のために用い、 h)f)段階の塔頂蒸気を冷却し、その結果として生じ
    た凝縮物が水性相と有機相とに分かれ、 i)h)段階で生じた水性相を除き、 k)h)段階で生じた有機相の一部をf)段階で用いる
    第二の蒸留塔の塔頂へ還流として再導入し、 l)h)段階で生じた有機相の残りの部分を除去する ことからなる各方法段階によって酢酸ビニルを単離する
    に当たって、 m)e)段階で用いた洗浄塔の塔底生成物を第三の蒸留
    塔に導入し、 n)m)段階で用いた第三の蒸留塔の塔底生成物をf)
    段階で用いる第二の蒸留塔に戻すかまたはe)段階で用
    いる洗浄塔にまたは反応領域に循環し、 o)m)段階の塔頂蒸気を冷却し、その結果として生じ
    た凝縮物が水性相と有機相とに分離し、 p)o)段階で生じた水性相を除去し、 q)o)段階で生じた有機相の一部をm)段階で用いた
    第三の蒸留塔の塔頂に還流として再導入し、 r)o)段階で生じた有機相の残りの部分をl)段階で
    除去された有機相の残りと一緒におよびd)段階で除か
    れた残りの有機相と一緒に第四の蒸留塔に導き、 s)r)段階の塔頂蒸気を冷却し、その結果として生じ
    た凝縮物が水性相と有機相に分離し、 t)s)段階で生じた水性相を除去し、 u)s)段階で生じた有機相の全部または一部をr)段
    階で用いる第四の蒸留塔の塔頂に還流として戻しそして
    還流として用いられなかった有機相分を低沸点成分を分
    離除去する為に除き、 v)r)段階からの塔底生成物を第五の蒸留塔に導き、 w)純粋の酢酸ビニルをv)段階で用いた第五の蒸留塔
    の塔頂から取り出すことを特徴とする、上記酢酸ビニル
    の分離法。
  2. 【請求項2】a)段階において反応領域を離去するガス
    混合物を、より低い温度の循環ガスを用いる向流式熱交
    換器によって最初に約115〜130℃に冷却し、その次に初
    めて第一の蒸留塔に導入する請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】b)段階での冷却温度およびd)段階で還
    流として用いるb)段階で生じた有機相の割合を、最小
    量の酢酸ビニルが、場合によっては酢酸エチルの全量も
    a)段階の塔底生成物中に存在するように選択する請求
    項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】k)段階において、第二の蒸留塔の塔頂蒸
    気が最小量の酢酸および酢酸エチルを含有するような量
    でh)段階で生じる有機相を還流として戻しそしてこの
    目的のために必要とされない一部の有機相をr)段階に
    従って第四の蒸留塔に導入する請求項1〜3のいずれか
    一項に記載の方法。
  5. 【請求項5】q)段階において、最小量の酢酸ビニルが
    第三の蒸留塔の塔底で得られるような量の、o)段階で
    生じる有機相を、第三の蒸留塔の塔頂へ還流として戻す
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 【請求項6】u)段階において、s)段階で生じる有機
    相を第四の蒸留塔のための還流としてその全部を使用す
    るのでなく、低沸点成分を分離除去するのに十分な部分
    だけを除く請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
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