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JP2736392B2 - 車両の車輪作用力検出装置、車両のアンチロックブレーキ装置および車両のトラクションコントロール装置 - Google Patents

車両の車輪作用力検出装置、車両のアンチロックブレーキ装置および車両のトラクションコントロール装置

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JP2736392B2
JP2736392B2 JP2024819A JP2481990A JP2736392B2 JP 2736392 B2 JP2736392 B2 JP 2736392B2 JP 2024819 A JP2024819 A JP 2024819A JP 2481990 A JP2481990 A JP 2481990A JP 2736392 B2 JP2736392 B2 JP 2736392B2
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vehicle
wheel
axle
brake
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長生 宮崎
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Nihon Denshi Kogyo KK
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Publication date
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  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本願発明は、路面摩擦係数に近似的に対応した信号を
出力する車両の車輪作用力検出装置、車両の制動時に車
輪のロックを防止するアンチロックブレーキ装置および
車両の加速時に車輪の過度のスリップを防止するトラク
ションコントロール装置に関するものである。
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、ブレーキトルクの検出装置として、特開昭61−
27049号公報、あるいは特開昭62−75142号公報に記載さ
れたものが知られている。前者に記載されたものは、車
輪のディスクブレーキ機構において、ブレーキパッド
(ブレーキディスクとの間に制動摩擦を生じさせる部
材)に作用するブレーキトルクを梃子に伝達し、梃子の
軸のねじれ変形を磁歪センサで測定するものである。後
者に記載されたものは、ロードセル(荷重を計測する手
段)を備え、ブレーキパッドに作用するブレーキトルク
を梃子を介してロードセルに伝達することによりブレー
キトルクを計測するものである。これらはいずれも、装
置の構造が複雑であるという欠点を有している。 また、自動車に装備される従来の車両のアンチロック
ブレーキ装置(ABS)では、車体速度と車輪速度とをも
とに、スリップ比がある一定の範囲に入るように制動を
制御する方式が一般的である(たとえば特公昭59−3058
5公報、特開昭60−61354号公報等参照)。 しかし、路面摩擦係数とスリップ比との間の関係は、
路面の状況によって変わりうるものであり、このため、
上記の従来の方式では、路面の状況によっては制動力が
最大とはならないこともあり、その場合には最小の制動
距離が得られない。また、車体速度は車輪速度からの推
定値にすぎないため、スリップ比の制御における精度上
の問題がある。車体速度を正確に把握するためには、対
地速度センサ(たとえば特開昭63−64861号公報参
照)、車体減速度センサ(たとえば特開昭63−170157号
公報参照)などの複雑な装置を必要とする。 また、特開昭63−25169号公報に示された装置では、
車輪に作用する路面摩擦力に起因するトルク(ダイヤト
ルク)を、車輪角加速度とブレーキ液圧とから演算によ
って算出して、ブレーキ液圧上昇中のタイヤトルクの下
降の始まりを車輪のロックの直前状態の判断材料の一つ
として採用している。 しかし、この装置では、タイヤトルクを、車輪角加速
度とブレーキ液圧とから演算によって間接的に求めてお
り、車輪の慣性能率、ブレーキの制動効率等の不確定な
定数の存在のため、計算値に精度上の問題がある。 さらに、従来の車両の加速時における車輪の過度のス
リップを防止するトラクションコントロール装置(TC
S)は、従来のアンチロックブレーキ装置(ABS)と同様
に、車輪速度センサの検出信号をもとに車輪加速度(車
輪の回転周速度の時間変化率)、ならびにスリップ比
(車輪のスリップの度合いを表す量であって、車体速
度、すなわち車体の走行速度と車輪速度(車輪の回転週
速度)の比の1に対する補数として定義され、Sと表記
する)を演算し、これらの組合せにより車輪のスリップ
を防止するように車輪加速度の制御を行うものである。
すなわち、現状のTCSは、路面摩擦力(路面と車輪との
間に作用する摩擦力であって、Eと表記する)を検出す
る手段、もしくは路面摩擦係数(路面と車輪との間の摩
擦係数であって、μと表記する)を検出する手段のいず
れをも備えていない。したがって、現状のTCSは、路面
摩擦力もしくは路面摩擦係数が最大値付近の最適な値に
あるように車輪加速度を制御することが容易でなく、加
速時間(車両が所定の速度まで加速されるのに要する時
間)が最短にはならないという欠点を有している。 本願発明は、上記した従来の装置が有する欠点を除去
した車輪作用力検出装置、アンチロックブレーキ装置、
およびトランクションコントロール装置を提供すること
をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術
的手段を講じている。 すなわち、本願発明の第1の側面によって提供される
車両の車輪作用力検出装置は、車両の車軸または車軸近
傍の中心線を挟んで前後方向に対向するようにして、一
側に各2個、合計4個の歪ゲージを、各一側の2個の歪
ゲージが上記中心軸に対して略平行であって略垂直方向
に延びる面内において、前後方向視において上記中心軸
と直交する軸に対して対称をなして交差するように配置
するとともに、各歪ゲージを含むブリッジ回路を、車軸
に作用する垂直荷重のみに比例した信号を出力するよう
に構成した第1の検出手段と、車両の車軸または車軸近
傍の中心線を挟んで上下方向に対向するようにして、一
側に各2個、合計4個の歪ゲージを、各一側の2個の歪
ゲージが上記中心軸に対して略平行であって略水平方向
に延びる面内において、上下方向視において上記中心軸
と直交する軸に対して対称をなして交差するように配置
するとともに、各歪ゲージを含むブリッジ回路を、車軸
に作用する軸トルクのみに比例した信号を出力するよう
に構成した第2の検出手段と、を含み、上記第1の検出
手段による出力信号と、上記第2の検出手段による出力
信号を用いて、路面摩擦係数に近似的に対応した信号を
出力するように構成したことを特徴としている。 そして、本願発明の第2の側面によって提供される車
両の車輪作用力検出装置は、車両の車軸または車軸近傍
の中心線を挟んで前後方向に対向するようにして、一側
に各2個、合計4個の歪ゲージを、各一側の2個の歪ゲ
ージが上記中心軸に対して略平行であって略垂直方向に
延びる面内において、前後方向視において上記中心軸と
直交する軸に対して対称をなして交差するように配置す
るとともに、各歪ゲージを含むブリッジ回路を、車軸に
作用する垂直荷重のみに比例した信号を出力するように
構成した第1の検出手段と、ブレーキキャリパ支持部材
の適部に配置した歪ゲージおよびこの歪ゲージを含むブ
リッジ回路により、ブレーキトルクに起因する軸トルク
に比例した信号を出力するように構成した第3の検出手
段と、を含み、上記第1の検出手段による出力信号と、
上記第3の検出手段による検出信号を用いて、路面摩擦
係数に近似的に対応した信号を出力するように構成した
ことを特徴としている。 さらに、本願発明の第3の側面によって提供される車
両のトラクションコントロール装置は、上記本願発明の
第1の側面または第2の側面によって提供される車輪作
用力検出装置、アクセルペダルの踏力センサ、および、
ブレーキ液圧発生装置とエンジンのスロットルバルブ駆
動装置の制御装置を備え、上記制御装置は、車両の加速
時に、エンジンのスロットルバルブの開度が増加するに
ともなって、上記車輪作用力検出装置の出力値が増大す
る間は上記スロットルバルブの開度を増大させ、駆動車
輪の一部もしくは全車輪についての上記出力値の上昇速
度が負数を含む所定の設定値以下になったときに、上記
開度を減衰あるいは閉塞させるか、もしくは、駆動車輪
の一部もしくは全車輪に制動を作動させるかの少なくと
も一方を行い、上記出力値が設定値以下に減衰した後に
上記開度を再び増大させ、かつ駆動車輪に制動が作動し
た場合にはこれを開放もしくは減衰調整を行い、以上の
動作を反復してエンジンのスロットルバルブの開度、も
しくは駆動車輪の制動の少なくとも一方を制御するよう
にしたことを特徴としている。 また、本願発明の第4の側面によって提供される車両
のアンチロックブレーキ装置は、上記本願発明の第1の
側面または第2の側面によって提供される車輪作用力検
出装置と、ブレーキ液圧発生装置の制御装置とを備え、
上記制御装置は、車両の走行中の制動時にブレーキ液圧
の上昇にともなって上記車輪作用力検出装置の出力値が
増大する間はブレーキ液圧を上昇させ、上記出力値の増
大速度が設定速度以下になったときにブレーキ液圧を緩
和または開放し、上記出力値が設定値以下に減衰した後
にブレーキ液圧を再上昇させ、以上の動作を反復するよ
うにしたことを特徴としている。
【作用】
本願発明の第1の側面に係る車輪作用力検出装置にお
いては、その第1の検出手段が、合計4個の歪ゲージを
上記のように配置するとともに、各歪ゲージを含むブリ
ッジ回路の構成を工夫することにより、車軸に作用する
垂直荷重のみに比例した信号を出力するとともに、第2
の検出手段が、合計4個の歪ゲージを上記のように配置
するとともに、各歪ゲージを含むブリッジ回路の構成を
工夫することにより、車軸に作用する軸トルクのみに比
例した信号を出力し、所定の演算回路が、上記第1の検
出手段による出力信号と、上記第2の検出手段による出
力信号を用いて、路面摩擦係数に近似的に対応した信号
を出力する。 本願発明の第2の側面に係る車輪作用力検出装置にお
いては、その第1の検出手段が、合計4個の歪ゲージを
上記のように配置するとともに、各歪ゲージを含むブリ
ッジ回路の構成を工夫することにより、車軸に作用する
垂直荷重のみに比例した信号を出力するとともに、第3
の検出手段が、ブレーキキャリパ支持部材に作用する作
用力を検出することによって、ブレーキトルクに起因す
る軸トルクに比例した信号を出力し、所定の演算手段
が、上記第1の検出手段による出力信号と、上記第3の
検出手段による出力信号を用いて、路面摩擦係数に近似
的に対応した信号を出力する。 本願発明の第3の側面に係る車両のトラクションコン
トロール装置においては、車両の加速時に、上記第1の
側面または第2の側面に係る車輪作用力検出装置による
出力、すなわち、路面摩擦係数に近似的に対応する出力
値の上昇速度が負数を含む所定の設定範囲となるよう
に、エンジンのスロットルバルブの開度もしくは駆動車
輪の制動の少なくとも一方を制御する。 本願発明の第4の側面に係る車両のアンチロックブレ
ーキ装置においては、車両の制動時に、上記第1の側面
または第2の側面に係る車輪作用力検出装置による出
力、すなわち、路面摩擦係数に近似的に対応する出力値
の上昇速度が所定の設定範囲となるように、ブレーキ液
圧を制御する。
【実施例の説明】
以下、本願発明の実施例を図面を参照しつつ、具体的
に説明する。以下に示す実施例は、車両の中で特に自動
車への応用を例にとったものであるが、自動車以外の車
両についても同様に本願発明を適用することが可能であ
る。また、以下に示す実施例は、好ましい実施例であっ
て、本願発明の範囲はこのような実施例に限定されるも
のではない。 本願発明の第1の側面に係る車輪作用力検出装置は基
本的に、車軸または車軸近傍に所定のように配置された
合計4個の歪ゲージと、車軸に作用する垂直荷重のみに
比例した信号を出力するように上記歪ゲージを含ませて
構成したブリッジ回路とを備える第1の検出手段と、車
軸または車軸近傍に所定のように配置された合計4個の
歪ゲージと、車軸に作用する軸トルクのみに比例した信
号を出力するように上記歪ゲージを含ませて構成した第
2の検出手段とを含み、第1の検出手段による出力信号
と、第2の検出手段による出力信号とを用いて、路面摩
擦係数に近時的に対応した信号を出力するように構成し
たものである。 第1図ないし第4図には、上記第1の検出手段および
第2の検出手段の歪ゲージの配置例を示している。 第1図、第2図および第3図において、矢印31は車輪
34の上下方向、32は進行方向、33は車軸方向を示してい
る。第1図において、符号36は後部車輪34のアクスルハ
ウジング、35はアクスルハウジングを車体28に弾性支持
するリヤースプリングを示している。この実施例では、
上記アクスルハウジング34におけるリヤースプリング35
と後部車輪34との間の表面に、8個の歪ゲージ11〜14,2
1〜24が貼着されている。このうち、符号11〜14は、上
記第1の検出手段を構成するための歪ゲージを、符号21
〜24は上記第2の検出手段を構成するための歪ゲージ
を、それぞれ示している。 歪ゲージ11〜14は、アクスルハウジング36の中心線を
挟んで前後方向に対向するようにして、一側に2個、合
計4個のものが、前後方向視において上記中心軸と直交
する軸に対して対称をなして45゜で交差するようにして
配置されている。そして、上記歪ゲージ11〜14は、本実
施例では、円筒形のアルスルハウジングの表面に上記の
ようにして貼着されていることから、各2個の歪ゲージ
が上記中心軸に対して略平行であって略垂直方向に延び
る面内に位置することとなる。 また、歪ゲージ21〜24は、アクスルハウジング36の中
心線を挟んで上下方向に対向するようにして、一側に2
個、合計4個のものが、上下方向視において上記中心軸
と直交する軸に対して対称をなして45゜で交差するよう
にして配置されている。同様に、この歪ゲージ21〜24も
また、各2個の歪ゲージが上記中心軸に対して略平行で
あって略水平方向に延びる面内に位置することになる。 各4個の歪ゲージ11〜14および21〜24は、第4図に示
すようにしてブリッジ回路に組み込まれ、第1の検出手
段と第2の検出手段とが構成される。 車輪34に加わる垂直荷重により、アクスルハウジング
36には、中心軸を含む垂直面上において、中心軸が曲が
る曲げ変形が生じる。同時に、アクスルハウジング36の
中心軸に対して垂直な断面に、垂直荷重に等しい大きさ
のせん断力が垂直方向に加わる。このせん断力に比例し
て、アクスルハウジング36にはせん断歪が生じる。歪ゲ
ージ11,12,13,14の組からなる第1の歪計測手段のブリ
ッジ回路は、このせん断歪を検出する。仮に上記曲げ変
形によって各歪ゲージが圧縮または伸長を受けたとして
も、前記のように、第4図のようにブリッジ回路を構成
しているから、この曲げ変形の影響は相殺される。すな
わち、増幅器15の電圧出力には、車輪に加わる垂直荷重
のみに比例し、垂直荷重によるリヤースプリング35の周
りのモーメントの影響は現れない。 車輪34に加わる路面摩擦力により、アクスルハウジン
グ36には、中心軸を含む水面上に中心軸が曲がる曲げ変
形が加わる。同時に、車輪のブレーキトルクが生まれる
ために、アクスルハウジング36には、中心軸の周りのね
じれ変形が生じる。さらに、アクスルハウジング36の中
心軸に垂直な断面に、路面摩擦力に等しい大きさのせん
断力が、水平方向に加わる。歪ゲージ21,22,23,24の組
からなる第2の計測手段のブリッジ回路は、これらのう
ち、ブレーキトルクによるねじれ変形を検出する。ただ
し、第4図のようにブリッジ回路を構成しているから、
上記曲げ変形およびせん断歪の影響は相殺される。した
がって、増幅器25の電圧出力は、車輪34に加わるブレー
キトルクのみに比例する。 さらに、垂直荷重によるアクスルハウジングの曲げ変
形およびせん断歪は、上記歪ゲージ21〜24の組からなる
ブリッジ回路の出力電圧に影響を与えず、路面摩擦力に
よる曲げ変形、せん断歪、ならびにねじれ変形は、他の
組の歪ゲージ11〜14からなるブリッジ回路の出力電圧に
影響を与えない。車輪34に加わるサイドフォース(車輪
に軸に平行な方向の力)により、アクスルハウジング36
に中心軸方向の圧縮歪または引っ張り歪が加わるが、こ
れらの歪は、歪ゲージ11〜14の組からなるブリッジ回路
の出力電圧にも、また他の組の歪ゲージ21〜24からなる
ブリッジ回路の出力電圧にも影響を与えない。 さらに、アクスルハウジング36が熱伝導率の高い鋼材
からなることを考慮すれば、歪ゲージ11〜14の相互間お
よび歪ゲージ21〜24の相互間の温度差は小さく、気温の
変化があっても各増幅器15,25の出力電圧への影響は小
さい。すなわち、垂直荷重およびブレーキトルクの各検
出値への気温変化の影響は小さい。アクスルハウジング
36を一部銅材で表面処理して、その表面に8個の歪ゲー
ジを貼付すれば、ゲージ間の温度差をさらに小さくする
ことができ、したがって、気温変化の影響をさらに小さ
くすることができる。 後部車輪34に加わる垂直荷重およびブレーキトルクに
よるアクスルハウジング36に作用するリヤースプリング
35の周りのモーメントは、垂直荷重またはブレーキトル
クが一定であっても、タイヤ表面上における接地点の車
軸方向の移動により変化する。したがって、これらのモ
ーメントを検出せずに、垂直荷重およびブレーキトルク
をそのものを検出することが望ましい。この実施例に係
る車輪作用力検出装置はこの要請に沿うものである。 第4図に示すように、この実施例に係る車輪作用力検
出装置では、増幅器15の出力として得られる垂直荷重に
比例した電圧信号と、増幅器25の出力として得られる車
輪のブレーキトルクに比例した電圧信号とを、それぞれ
演算回路26に入力している。この演算回路26は、車輪の
ブレーキトルクと垂直荷重との商を演算して、路面摩擦
係数μに近似的に対応した電気信号を出力する。 第5図および第6図に、前部車輪27の車軸近傍におけ
る歪ゲージの貼付例を、サスペンション機構がいわゆる
「ストラット型」である場合について例示する。なお、
矢印31は車輪の上下方向、17は進行方向、18は車軸方向
をそれぞれ示している。また、矢印16は、矢印18と平行
であって、矢の向きが車輪の置かれる例を示している。
車輪27に加わる力をストラット68に伝達する支持部材69
の側面に、歪ゲージ11〜14を、上下両面に21〜24をそれ
ぞれ貼付する。歪ゲージ11〜14は上下方向31に対して45
゜の角度をなす方向に、かつ11と12との対および13と14
との対が支持部材69の両側面上の対称の位置になるよう
に貼付される。同様に、歪ゲージ21〜24は、車軸方向18
に対して45゜の角度をなす方向に、かつ21と22の対およ
び23と24の対が支持部材69の上下面上の対称の位置にな
るように貼付される。これら歪ゲージ11〜14および21〜
24の組は、第4図に示すようにそれぞれブリッジ回路を
構成し、増幅器15,25に接続される。各増幅器15,25は、
各々車輪27に作用する垂直荷重および車輪のブレーキト
ルクに比例した電気信号を出力する。さらに、これらの
電気信号は演算回路26に入力され、前述の後部車輪34の
場合と同様に、路面摩擦係数μと近似的に対応する電気
信号がこの演算回路26から出力される。 本実施例においても、車輪に加わるサイドフォース
は、垂直荷重および車輪のブレーキトルクの検出値に影
響を与えない。また、垂直荷重はブレーキトルクの検出
値に影響しないし、その逆も同様に成り立つ。さらに、
気温変化の影響も小さい。支持部材69の表面の一部を銅
材で処理して、その表面に歪ゲージを貼付すれば、気温
の影響をさらに小さくすることができる。後部車輪34の
場合と同様に、車輪27に加わる垂直荷重により、支持部
材69にせん断歪だけではなく、曲げ変形が加わる。さら
に、車輪27のブレーキが作動するときには、ブレーキト
ルクだけではなく、せん断歪および曲げ変形が生じる。
しかしながら、歪ゲージの組11〜14および21〜24からな
るブリッジ回路の出力電圧のいずれにも、検出目的以外
のこれらの変形、歪は影響を及ぼさない。したがって、
増幅器15,25は、各々車輪27に作用する垂直荷重、ブレ
ーキトルクのみに比例した電圧信号を出力する。 本願発明の第2の側面に係る車輪作用力検出装置は基
本的に、車軸または車軸近傍に所定のように配置された
合計4個の歪ゲージと、車軸に作用する垂直荷重のみに
比例した信号を出力するように上記歪ゲージを含ませて
構成したブリッジ回路とを備える第1の検出手段と、ブ
レーキキャリパ支持部材の適部に配置した歪ゲージおよ
びこの歪ゲージを含むブリッジ回路により、ブレーキト
ルクに起因する軸トルクに比例した信号を出力するよう
に構成した第3の検出手段とを含み、上記第1の検出手
段による出力信号と、上記第3の検出手段による出力信
号とを用いて、路面摩擦係数に近似的に対応した信号を
出力するように構成したものである。すなわち、この第
2の側面に係る車輪作用力検出装置は、上記第1の側面
に係る車輪作用力検出装置における第2の検出手段を、
以下に例示する第3の検出手段に置き換えたものであ
る。 第7図ないし第9図に、第3の検出手段の構成例を示
す。第7図および第8図に示すものはいずれも、ブレー
キディスク50を制動するパッドを保持するキャリパを支
持するキャリパ支持部材52の適部に歪ゲージ21〜24を貼
付したものである。これらの歪ゲージ21〜24は、第9図
に示すようにブリッジ回路を構成し、増幅器25に接続さ
れる。第7図に示す例では、支持部材52におけるキャリ
パ51にできるだけ近いアーム状の部位の側面に、単一の
ゲージを4箇所に貼付している。ゲージの方向は、車軸
の中心軸に垂直な方向がよい。このゲージの組では、部
材52における上記アーム状の部位の曲げ歪が計測され
る。第8図に示す例では、支持部材52におけるアーム状
の部位の正面に、クロスゲージとしての歪ゲージが貼付
されている。このゲージの組では、上記アーム状の部位
のせん断歪が計測される。いずれの例においても、増幅
器25から、車輪のブレーキトルクに比例した信号が出力
される。なお、本願発明において車軸または車軸近傍の
部材とは、アクスルハウジング、ナックル、ブレーキデ
ィスクを含む部材である。また、アクスルハウジング、
サスペンション機構(車体が車輪を柔軟に支持する機
構)の一部であり、回転軸受を介して駆動車軸を支持す
ると同時に駆動車軸を覆っている機構部分であり、ナッ
クルとは、同じくサスペンション機構の一部であり、車
輪を回転自在に支持する軸受部分と一体になった機構部
分のすべてを含むものである。 車両の加速時に、路面状況によっては駆動輪のホイー
ルスピンにより、車両が充分な加速が得られず、また不
安定になる場合がある。このようなことを防止するた
め、車輪のスリップを制御し、車両の駆動力と、安定性
を確保するのがトラクションコントロール(TCS)であ
る。本願発明の第3の側面においては、上記第1の側面
または第2の側面による車輪の作用力検出装置からの出
力信号が近似的に対応して表す路面摩擦係数が最適とな
るようにエンジンのスロットルバルブの開度もしくは駆
動車輪の制動の少なくとも一方を制御するようにした車
両のトラクションコントロール装置が提供される。 第10図〜第14図は、本願発明に係る上記トラクション
コントロール装置の実施例を示している。第10図にこの
トラクションコントロール装置の全体構成のブロック図
の一例を示す。この実施例では、車輪作用力検出装置10
1を備えており、これは路面摩擦係数と近似的に対応し
た信号を出力するものであって、すでに説明した本願発
明の第1の側面または第2の側面に係る車輪作用力検出
装置が用いられる。この車輪作用力検出装置101の出力
信号とアクセルペダルの踏力センサ102からの信号が制
御装置103に入力される。制御装置103では、これらの信
号をもとにエンジンのスロットルバルブの開度、並びに
ブレーキ液圧を、各々スロットルバルブ駆動装置107、
並びにブレーキ液圧発生装置104に指示する。制御装置1
03は、マイクロプロセッサ、メモリ、および入出力イン
タフェイスを含む電子回路で構成され、あらかじめメモ
リに書き込まれたプログラムにしたがって動作する。 制御装置103の動作の一例を第11図ないし第14図のフ
ローチャートにしたがって説明する。 作用力検出装置101による検出信号の値は、加速時と
起動時とでは逆の方向に変化する。制動時の符号を正と
し、加速時の符号を負とする。 アルセルぺダルの踏力が設定値以上になると、このト
ラクションコントロール装置が動作を開始して通常の加
速動作からトラクションコントロール動作に移行する。
第11図に示すメインルーチンのステップ1110がこのトラ
クションコントロール動作の開始を表している。続いて
ステップ1111において、検出装置101により得られる検
出値μを検出し、ステップ1112においてこのμの値をμ
t−1でラベルされた変数に記憶する。続いて、この値
をステップ1113においてμpでラベルされた変数に記憶
する。次に、ステップ1115でスロットルバルブの開度を
増加させた後に、ステップ1116でμを検出する。ステッ
プ1117では、μtでラベルされた変数にステップ1116で
の検出値を記憶する。次にステップ1118に進んで、2つ
の記憶値μtとμt−1の差が所定の基準値μcと比較
される。この差μt−μt−1がμcより小さければス
テップ1119へ進み、等しいか大きければステップ1123の
加速緩和ルーチンへと進む。ステップ1119では、変数μ
tに記憶された値が変数μt−1に記憶されてこのμt
−1の記憶値が更新される。続いて、処理はステップ11
13に戻る。 加速緩和ルーチン1123では、第12図に示すとおり、ま
ずステップ1142でスロットルバルブの開度を減少させ、
かつブレーキ液圧を増大させる。続いてステップ1143で
μを検出した後、ステップ1144で変数μt−1にこの検
出値を記憶する。次に、ステップ1146へ進んでμt−1
をα・μpと比較する。係数αはゼロから1までの範囲
の適当な一定値にあらかじめ設定された定数である。変
数μt−1のほうが大きければ、ステップ1149に進んで
加速緩和ルーチン1123を終了し、ステップ1124の再加速
ルーチンへと進む。変数μt−1のほうが小さいか等し
ければ、ステップ1142に戻る。 加速緩和ルーチン1123に続く再加速ルーチン1124で
は、第13図に示す処理を行う。まず、ステップ1162では
スロットルバルブの開度を増大させ、かつブレーキ液圧
を開放する。続いてステップ1163でμを検出し、ステッ
プ1164でこれを変数μtに記憶する。次に、ステップ11
65で変数μtを変数μt−1と比較する。変数μtのほ
うが小さければ、ステップ1166へ進んで変数μt−1に
変数μtの値を記憶し、変数μt−1の記憶値を更新す
る。続いて、ステップ1171へ進んで再加速ルーチンを終
了し、メインルーチンのステップ1113に戻る。ステップ
1165において変数μtのほうが大きいか等しい場合に
は、ステップ1167へ進んでステップ1166と同様に変数μ
t−1の値に更新する。 制御装置103が以上の処理を行うことにより、本実施
例に係るトラクションコントロール装置は次のように動
作する。 トラクションコントロール装置が動作を始めると、車
輪作用力検出装置によって実質的に得られる検出値μの
下降速度が所定の基準値を下回る間は、スロットルバル
ブの開度を増大させてゆく。検出値μの下降速度が基準
値より高くなると、スロットルバルブの開度を減少させ
ると同時にブレーキ液圧を上昇させる。この際、上昇に
転じる直前の検出値μの値を記憶しておく。この記憶さ
れた変数がμpである。検出値μがαで決定される所定
の割合、たとえば50%まで上昇した時点で、スロットル
バルブの開度を増大に転じさせると同時にブレーキ液圧
を開放する。以下、上記の動作を反復する。 制御装置103がフローチャートのどの段階にあって
も、アクセルペダルの踏力が所定の基準値を下回ると、
第14図の割り込みルーチンが実行され、トラクションコ
ントロール動作を終了して、アクセルペダルが通常のア
クセルペダルの機能を回復する。 再加速ルーチン1124の中のステップ1165における比較
の内容を、負の所定の適当な基準値μc2に対してμt−
μt−1<μc2であるかどうかを比較する内容に置き換
えると、より効果的にトラクションコントロール動作を
行うことができる。この場合、加速緩和ルーチン1123中
のステップ1143から1146、1149を経て、再加速ルーチン
1124中のステップ1160から1163に至るまでの時間と、再
加速ルーチン1124中のステップ1163から1165、1167、11
62を経て1163へ戻るループを一巡する時間とのうち、大
きいほうΔt2とし、メインルーチンにおけるステップ11
16から1118、1119、1113を経て1116へ戻るループを一巡
する時間をΔt1とすると、基準値μc2は、μc2/Δt2<
μc/Δt1となるような適当な値に定めるのがよい。ま
た、第11図に示すメインルーチンにおいて、ステップ11
12の後に上述の再加速ルーチンを挿入するとよい。ステ
ップ1119からステップ1113へ戻る流れはそのままであ
る。この場合、ステップ1111から、挿入された再加速ル
ーチン1124中のステップ1163に至るまでの時間と、挿入
された再加速ルーチン1124中のステップ1163から1165、
1167、1162を経て、1163に戻るループを一巡する時間と
のうち、大きいほうをΔt2として、挿入された再加速ル
ーチン1124中の基準値μc2を、μc2/Δt2<μc/Δt1と
なるような適当な値に定めるとよい。 第11図に示すフローチャートにおいて、さらにブレー
キペダルの踏力センサを備え、このセンサの出力信号を
も制御装置103へ入力するとよい。制御装置103ではトラ
クションコントロール装置が作動している間、前記の各
ルーチンにおいて、ブレーキ液圧が、ブレーキペダル踏
力センサの出力信号に相応した大きさ以下にならないよ
うに制御するのが好ましい。 従来のトラクションコントロール装置において、エン
ジンスロットルバルブの開度の制御とともに、駆動輪の
ブレーキを左右独立に制御するものが知られている。こ
れらのコントロールに重要なことは、非常に速い応答性
が要求されることである。本願発明によるトラクション
コントロール装置は、路面摩擦係数μに対応する出力を
得ることができる車輪作用力検出装置を備えており、こ
の車輪作用力検出装置により、路面摩擦係数μに対応す
る出力をリアルタイムに検出して、これに基づいてエン
ジンのスロットルバルブの開度、あるいは駆動車輪のブ
レーキ、もしくはこれらの双方を制御するものである。
このために、従来の車輪速度を検出して、スリップ比を
もとに制御するトラクションコントロール装置に比較し
て格段に優れており、最大の駆動力を精度よく引き出す
ことができ、応答性やデフロック効果等もより効果的に
実現することができる。 本願発明の第4の側面においては、上記第1の側面ま
たは第2の側面による車輪の作用力検出装置からの出力
信号が近似的に対応して表す路面摩擦係数μが最適とな
るようにブレーキ液圧を制御するようにした車両のアン
チロックブレーキ装置(ABS)が提供される。 第15図〜第19図は、本願発明に係る上記アンチロック
ブレーキ装置の実施例を示している。第15図にこのアン
チロックブレーキ装置の全体構成のブロック図の一例を
示す。この実施例では、車輪作用力検出装置12を備えて
おり、これは、路面摩擦係数と近似的に対応した信号を
出力するものであって、すでに説明した本願発明の第1
の側面または第2の側面に係る車輪作用力検出装置が用
いられる。制御装置3は、ブレーキ踏力と、上記車輪作
用力検出装置12で得られる路面摩擦係数と対応した検出
値μと、車速の検出値を参照してブレーキ液圧を制御す
る。ブレーキペダルの踏力センサー2、ブレーキ液圧発
生装置4およびブレーキ装置5は、公知の技術を利用す
る。 制御装置3は、マイクロプロセッサ、メモリーおよび
入出力インタフェイスを含む電子回路で構成され、予め
メモリーに書き込まれたプログラムにしたがって動作す
る。制御装置3の動作の一例を第16図ないし第19図のフ
ローチャートにしたがって説明する。 ブレーキ踏力が設定値以上になると、このアンチロッ
クブレーキ装置が動作を開始して通常のブレーキ動作か
らアンチロックブレーキ動作に移行する。第16図に示す
メインルーチンのステップ110がこのアンチロックブレ
ーキ動作の開始を表している。続いてステップ111で、
検出装置により得られる検出値μを検出し、ステップ11
2においてこのμの値をμt−1でラベルされた変数に
記憶する。続いてこの値をステップ113においてμpで
ラベルされた変数に記憶する。次に、ステップ115でブ
レーキ液を増圧した後に、ステップ116でμを検出す
る。ステップ117では、μtでラベルされた変数にステ
ップ116でのμの検出値を記憶する。次にステップ118に
進んで、2つの記憶値μtとμt−1の差μt−μt−
1が、所定の基準値μcと比較される。差μt−μt−
1がμcより大きければステップ119へ進み、等しいか
小さければステップ123のブレーキ液減圧ルーチンへと
進む。ステップ119では、変数μtに記憶された値が変
数μt−1に記憶されてこのμt−1の記憶値が更新さ
れる。続いて処理はステップ113に戻る。 ブレーキ液減圧ルーチン123では、第17図に示すよう
に、まず、ステップ142でブレーキ液圧を開放あるいは
一定の低い水準に減圧する。続いてステップ143でμを
検出した後、ステップ144で変数μt−1にこの検出値
を記憶する。次に、ステップ146へ進んでμt−1を、
α・μpと比較する。係数αは0から1までの範囲の適
当な一定値に予め設定された定数である。変数μt−1
のほうが小さければ、ステップ149に進んでブレーキ液
減圧ルーチン123を終了し、ステップ124のブレーキ再加
圧ルーチンへと進む。変数μt−1のほうが大きいか等
しければ、ステップ142に戻る。 ブレーキ液減圧ルーチン123に続くブレーキ液再加圧
ルーチン124では、第18図に示す処理を行う。まず、ス
テップ162ではブレーキ液を増圧する。続いてステップ1
63でμを検出し、ステップ164でこれを変数μtに記憶
する。次に、ステップ165で変数μtを変数μt−1と
比較する。変数μtのほうが大きければ、ステップ166
へ進んで変数μt−1に変数μtの値を記憶し、変数μ
t−1の記憶値を更新する。続いて、ステップ171へ進
んでブレーキ液再加圧ルーチンを終了し、メインルーチ
ンのステップ113に戻る。ステップ165において変数μt
のほうが小さいか等しい場合には、ステップ167へ進ん
でステップ166と同様に変数μt−1の値をμtの値に
更新する。そして、ステップ162に戻る。 制御装置3が以上の処理を行うことにより、本実施例
に係るアンチロックブレーキ装置は次のように動作す
る。アンチロックブレーキ装置が動作を始めると、検出
装置により得られる検出値μの上昇速度が所定の基準値
を上回る間は、ブレーキ液圧を上昇させてゆく。検出値
μの上昇速度が基準値より低くなると、ブレーキ液圧を
緩和または開放する。この際、減少に転じる直前の検出
値μの値を記憶しておく。この記憶された変数がμpで
ある。検出値μがαで決定される所定の割合、たとえば
50%まで減少した時点で、ブレーキ液圧を再度上昇に転
じさせる。以下、上記の動作を反復する。 第15図における車速検出装置6は、運転席前面に表示
するための従来の装置を利用することができる。この車
速は、たとえば変速機駆動軸の回転速度センサー出力を
電気的に処理して得られる。駆動軸の回転速度と表示車
速との間には、通常時間遅れが存在する。この時間遅れ
をともなう車速検出値をそのまま利用してもよい。ある
いは、変速機駆動軸の回転速度センサーに、適当な時間
遅れを有した車速信号を出力する信号処理系を付加する
ことにより、車速信号出力に時間的遅れを生じさせ、こ
れを車速データとして制御装置3に入力してもよい。制
御装置3は、この車速が一定値(たとえば時速数km)以
下になれば、ブレーキペダルを所定の踏力以上で踏み込
んでも、通常ブレーキ動作からアンチロックブレーキ動
作に移行することがない。アンチロックブレーキ動作中
に車速が一定値以下になった場合には、制御装置3が第
16図から第18図に示すフローチャートのどの段階にあっ
ても、直ちに第19図に示す割り込みルーチンを実行して
アンチロックブレーキ動作を終了し、通常ブレーキ動作
に戻るようにブレーキ液圧装置を制御する。車速が十分
低ければ、アンチロックブレーキ動作の必要は低く、停
車時にはその必要が全くない。この点を考慮して、本実
施例では一定車速以下で、アンチロックブレーキ動作を
させない。参照する車速データは、駆動軸の回転速度に
対して時間遅れを有しているために、制動時の駆動車輪
のロックによる急激な駆動軸回転速度の低下には応答し
ない。このため、ブレーキペダルの操作により通常ブレ
ーキ動作からアンチロックブレーキ動作に入る直前にロ
ックしてアンチロックブレーキ動作に移行しなくなる危
険性は低減される。また、アンチロックブレーキ動作中
にロックが起った場合に、アンチロックブレーキ動作が
解除されて通常ブレーキ動作に戻る危険性が取り除かれ
る。 前述したように、制御装置3がフローチャートのどの
段階にあっても、アンチロックブレーキ解除命令によっ
て、直ちに第19図の割り込みルーチンが実行され、アン
チロックブレーキ動作を終了して、通常のブレーキ動作
に戻る。アンチロックブレーキ解除命令の発生タイミン
グは、(1)ブレーキペダルの踏力が所定の基準値を下
回ったとき、(2)ブレーキ踏力を解放して、再度ブレ
ーキペダルを踏み込み始めるとき、(3)エンジンキー
を切ったとき等を採用しうる。これらのうち(2)およ
び(3)では、事故により運転者が操縦不能に陥った場
合でも、理想的な制動と特性によって車体を自動的に停
止に導くことが可能である。 ブレーキ液再加圧ルーチン124の中のステップ165にお
ける比較の内容を、正の所定の適当な基準値μc2に対し
てμt−μt−1>μc2であるかどうかを比較する内容
に置き換えると、より効果的にアンチロックブレーキの
制御を行うことができる。この場合、ブレーキ液減圧ル
ーチン123中のステップ143〜146、149を経て、ブレーキ
液再加圧ルーチン124中のステップ160〜163に至るまで
の時間と、ブレーキ液再加圧ルーチン124中のステップ1
63へ戻るループを一巡する時間とのうち、大きい方をΔ
t2とし、メインルーチンにおけるステップ116〜118、11
9、113を経て116へ戻るループを一巡する時間をΔt1と
すると、基準値μc2は、μc2/Δt2>μc/Δt1となるよ
うな適当な値に定めるのがよい。また、第16図に示すメ
インルーチンにおいて、ステップ112の後に上述のブレ
ーキ液再加圧ルーチンを挿入するとよい。ステップ119
からステップ113へ戻る流れはそのままである。この場
合、ステップ111から挿入されたブレーキ液再加圧ルー
チン124中のステップ163に至るまでの時間と、挿入され
たブレーキ液再加圧ルーチン124中のステップ163〜16
5、167、162を経て163へ戻るループを一巡する時間との
うち、大きい方をΔt2として、挿入されたブレーキ液再
加圧ループ124中の基準値μc2を、μc2/Δt2>μc/Δt1
となるような適当な値に定めるとよい。
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本願発明による車
輪作用力検出装置によれば、簡単な構成により、路面摩
擦係数μに対応した出力値を精度よく、しかもリアルタ
イムに検出することが可能となる。 そして、上記の車輪作用力検出装置でリアルタイムで
出力される路面摩擦係数対応値が所定の条件範囲となる
ようにスロットルバルブの開度等を制御する本願発明に
係るトラクションコントロール装置によれば、路面の状
況にかかわりなく、加速時間の可能な限りの短縮化を図
ることができる。 さらに、上記の車輪作用力検出装置でリアルタイムで
出力される路面摩擦係数対応値が所定の条件範囲となる
ようにブレーキ液圧を制御する本願発明に係るアンチブ
ロックブレーキ装置によれば、路面の状況にかかわりな
く、制動距離の可能な限りの短縮化を図ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本願発明に係る車輪作用力検出装置を構成する
ための歪ゲージの取付け例を示す正面図である。 第2図は第1図に示される歪ゲージの取付け例の拡大正
面図である。 第3図は第1図に示される歪ゲージの取付け例の拡大平
面図である。 第4図は本願発明に係る車輪作用力検出装置を構成する
ためのブリッジ回路の構成図である。 第5図は本願発明に係る車輪作用力検出装置を構成する
ための歪ゲージの他の取付け例を示す正面図である。 第6図は第5図に示される歪ゲージの取付け例の拡大斜
視図である。 第7図は本願発明に係る車輪作用力検出装置を構成する
ためのブレーキトルク検出手段の他の例の説明図であ
る。 第8図は本願発明に係る車輪作用力検出装置を構成する
ためのブレーキトルク検出手段のさらに他の例の説明図
である。 第9図は第7図または第8図に示された検出手段におけ
る歪ゲージによるブリッジ回路の構成図である。 第10図は本願発明に係る車両のトラクションコントロー
ル装置の一例のブロック図である。 第11図は第10図に示される制御装置の動作メインルーチ
ンを示すフローチャートである。 第12図は第11図中の加速緩和ルーチンの詳細を示すフロ
ーチャートである。 第13図は第11図中の再加速ルーチンの詳細を示すフロー
チャートである。 第14図は第11図のメインルーチン処理に対する割り込み
処理を示すフローチャートである。 第15図は本願発明の係る車両のアンチロックブレーキ装
置の一例のブロック図である。 第16図は第15図に示される制御装置の動作メインルーチ
ンを示すフローチャートである。 第17図は第15図中のブレーキ液減圧ルーチンの詳細を示
すフローチャートである。 第18図は第15図中のブレーキ液再加圧ルーチンの詳細を
示すフローチャートである。 第19図は第15図のメインルーチン処理に対する割り込み
処理を示すフローチャートである。 11,12,13,14……歪ゲージ(第1の検出手段用) 15……増幅器 21,22,23,24……歪ゲージ(第2、第3の検出手段用) 25……増幅器 26……演算回路 27……車輪 3,103……制御装置 12,101……車輪作用力検出装置
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−50806(JP,A) 特開 昭51−69680(JP,A) 特開 昭62−3137(JP,A) 特開 昭63−96530(JP,A) 特開 昭47−27072(JP,A) 特開 昭60−173432(JP,A) 実開 昭56−148957(JP,U)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両の車軸または車軸近傍の中心線を挟ん
    で前後方向に対向するようにして、一側に各2個、合計
    4個の歪ゲージを、各一側の2個の歪ゲージが上記中心
    軸に対して略平行であって略垂直方向に延びる面内にお
    いて、前後方向視において上記中心軸と直交する軸に対
    して対称をなして交差するように配置するとともに、各
    歪ゲージを含むブリッジ回路を、車軸に作用する垂直荷
    重のみに比例した信号を出力するように構成した第1の
    検出手段と、 車両の車軸または車軸近傍の中心線を挟んで上下方向に
    対向するようにして、一側に各2個、合計4個の歪ゲー
    ジを、各一側の2個の歪ゲージが上記中心軸に対して略
    平行であって略水平方向に延びる面内において、上下方
    向視において上記中心軸と直交する軸に対して対称をな
    して交差するように配置するとともに、各歪ゲージを含
    むブリッジ回路を、車軸に作用する軸トルクのみに比例
    した信号を出力するように構成した第2の検出手段と、
    を含み、 上記第1の検出手段による出力信号と、上記第2の検出
    手段による出力信号を用いて、路面摩擦係数に近似的に
    対応した信号を出力するように構成したことを特徴とす
    る、車両の車輪作用力検出装置。
  2. 【請求項2】車両の車軸または車軸近傍の中心線を挟ん
    で前後方向に対向するようにして、一側に各2個、合計
    4個の歪ゲージを、各一側の2個の歪ゲージが上記中心
    軸に対して略平行であって略垂直方向に延びる面内にお
    いて、前後方向視において上記中心軸と直交する軸に対
    して対称をなして交差するように配置するとともに、各
    歪ゲージを含むブリッジ回路を、車軸に作用する垂直荷
    重のみに比例した信号を出力するように構成した第1の
    検出手段と、 ブレーキキャリパ支持部材の適部に配置した歪ゲージお
    よびこの歪ゲージを含むブリッジ回路により、ブレーキ
    トルクに起因する軸トルクに比例した信号を出力するよ
    うに構成した第3の検出手段と、を含み、 上記第1の検出手段による出力信号と、上記第3の検出
    手段による出力信号を用いて、路面摩擦係数に近似的に
    対応した信号を出力するように構成したことを特徴とす
    る、車両の車輪作用力検出装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2のいずれかに記載の車輪
    作用力検出装置、アクセルペダルの踏力センサ、およ
    び、ブレーキ液圧発生装置とエンジンのスロットルバル
    ブ駆動装置の制御装置を備え、上記制御装置は、車両の
    加速時に、エンジンのスロットルバルブの開度が増加す
    るにともなって、上記車輪作用力検出装置の出力中心軸
    が増大する間は上記スロットルバルブの開度を増大さ
    せ、駆動車輪の一部もしくは全車輪についての上記出力
    値の上昇速度が負数を含む所定の設定値以下になったと
    きに、上記開度を減衰あるいは閉塞させるか、もしく
    は、駆動車輪の一部もしくは全車輪に制動を作動させる
    かの少なくとも一方を行い、上記出力値が設定値以下に
    減衰した後に上記開度を再び増大させ、かつ駆動車輪に
    制動が作動した場合にはこれを開放もしくは減衰調整を
    行い、以上の動作を反復してエンジンのスロットルバル
    ブの開度、もしくは駆動車輪の制動の少なくとも一方を
    制御するようにしたことを特徴とする、車両のトラクシ
    ョンコントロール装置。
  4. 【請求項4】請求項1または2のいずれかに記載の車輪
    作用力検出装置と、ブレーキ液圧発生装置の制御装置と
    を備え、上記制御装置は、車両の走行中の制動時にブレ
    ーキ液圧の上昇にともなって上記車輪作用力検出装置の
    出力値が増大する間はブレーキ液圧を上昇させ、上記出
    力値の増大速度が設定速度以下になったときにブレーキ
    液圧を緩和または開放し、上記出力値が設定値以下に減
    衰した後にブレーキ液圧を再上昇させ、以上の動作を反
    復するようにしたことを特徴とする、車両のアッチロッ
    クブレーキ装置。
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