JP2610566B2 - ポリオレフィン成形物用コーテイング樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
ポリオレフィン成形物用コーテイング樹脂組成物及びその製造方法Info
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Description
用コーティング樹脂組成物及びその製造方法に関し、特
に、無洗浄無処理ポリプロピレン成形物への接着性に優
れ、均質で透明なコーティングを可能とするポリオレフ
ィン成形物用コーティング樹脂組成物及びその製造方法
に関する。
デザインの自由度が広く、しかも軽量、防錆、耐衝撃性
等の多くの利点があるため、自動車部品、電気部品、建
築資材等の材料として広く用いられている。とりわけポ
リオレフィン系樹脂は、価格が安いのみならず、成形
性、耐薬品性、耐熱性、耐水性、良好な電気特性など、
多くの優れた性質を有するため、工業材料として広範囲
に使用されており、将来その需要の伸びが最も期待され
ている材料の一つである。
ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹
脂、ポリエステル系樹脂等に代表される極性を有する合
成樹脂と異なり、非極性でかつ結晶性であるため、塗装
や接着が困難であると言う欠点を有する。そこで、従
来、ポリオレフィン系樹脂成形物の表面をプラズマ処理
やガス炎処理によって活性化することにより、その表面
の付着性を改良しているが、この方法は、工程が複雑で
多大な設備費や時間的な損失を伴うこと、又は成形物の
形状の複雑さ及び樹脂中の顔料や添加物の影響により、
表面処理効果にバラツキを生ずる等の欠点を有してい
る。
法として、自動車のポリプロピレンバンパーの塗装に見
られるようなプライマー組成物を使用することが種々提
案されており、例えば特公昭62−21027号公報に
見られるような、プロピレン−α−オレフィン共重合体
をマレイン酸変性した表面処理剤が、プライマー組成物
として提案されている。しかしながら、ポリオレフィン
にマレイン酸を導入しただけのプライマー組成物では、
付着性、耐溶剤性はあるものの、スプレー性、溶解性、
相容性が悪いという欠点を有し、また、煩雑なツーコー
ト仕上げをしなければならないという欠点を有する。
としては、ポリオレフィン系樹脂に対して強い接着力を
有する塩素化ポリオレフィンや環化ゴム等があるが、耐
侯性、耐湿性、耐ガソリン性等の点で劣り、十分な塗膜
性能を示さない。そこで、良好な塗料物性を有するアク
リル樹脂やアルキッド樹脂を混合して使用する試みがな
されているが、本来アクリル樹脂やアルキッド樹脂は塩
素化ポリオレフィンと相溶性が悪いため、塗膜の光沢が
低下し、外観を著しく損なうなどの問題を生じる。
−71966号公報に見られるような、アクリル系単量
体と塩素化ポリオレフィンを共重合して得られる被覆用
組成物や、特開昭59−27968号公報に見られるよ
うな、水酸基を有するアクリル系単量体等と塩素化ポリ
オレフィンを共重合させた、塩素化ポリオレフィン変性
水酸基含有アクリル共重合体とイソシアネート化合物を
必須成分として構成される塗料組成物や、特開昭62−
95372号公報に見られるような、塩素化ポリオレフ
ィンと液状ゴムの存在下で、水酸基を有するアクリル系
単量体等と共重合した水酸基含有アクリル変性塩素化ポ
リオレフィン、及びイソシアナート化合物を主成分とし
て構成される接着剤樹脂組成物などが提案されている。
しかしながら、塩素を含有するこれらの組成物は、耐紫
外線性や耐熱性にやや劣り、長期間に亘る耐侯性が得ら
れないという欠点があった。
2−273083号公報には、マレイン酸をグラフト重
合したポリオレフィンと、マレイン酸と反応する官能基
を有するラジカル重合性不飽和モノマー、及び他のラジ
カル重合性不飽和モノマーを共重合した重合体と、架橋
剤とからなる組成物を使用して構成される複層塗膜形成
法が提案されている
和結合を導入する方法(特開平1−123812号、特
開平2−269109号公報)、有機過酸化物を導入す
る方法(特開平1−131220号公報)、2官能性有
機過酸化物を用いる方法(特開昭64−36614号公
報)などが提案されているが、これらはいずれもポリオ
レフィンとラジカル重合性不飽和モノマーとの反応性を
向上させるための工夫である。
共重合反応を行った場合、反応中にゲル化する恐れがあ
るため、非常に希薄な濃度で反応を行う必要がある。こ
のため、ポリオレフィンへのグラフト共重合効率は非常
に低く、ラジカル重合性不飽和モノマーのホモポリマー
を生じやすいので、精製などの工程を経なければ2層分
離を起こし、そのままでは使用することができないとい
う欠点を有する。
種類のプラスチックフィルムが開発され、これに伴って
包装形態も多様化しており、特に包装内容物を保護する
ための、ラミネートされた複合フィルムの使用が多くな
っている。これらの包装用に使用されるラミネート印刷
用インキとしては、フィルムの種類に応じて数多くのイ
ンキが使い分けられていたが、今日では2種類に大別さ
れるようになっている。
て用いられる、塩素化ポリプロピレンと塩素化エチレン
酢酸ビニル共重合体を主たるバインダーとするインキ組
成物と、専らポリエステルやナイロンのフィルムに対し
て用いられる、ウレタン樹脂を主たるバインダーとする
インキ組成物である。前者の、塩素化ポリプロピレンと
塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体を主たるバインダー
とするインキ組成物は、例えば、特公昭60−3167
0号公報に、また塩素化エチレン/酢酸ビニル共重合体
を更にスルフォクロル化した重合体をバンイダーとする
インキ組成物は、特開昭55−145775号公報に、
それぞれ開示されている。
ロピレンフィルムに対するインキの接着性が良好である
と共に、エクストリュージョンラミネート方式でラミネ
ート印刷した場合にも良好な接着性を示す。しかしなが
ら、上記のインキ組成物は、ポリエステルやナイロン等
のフィルムに対しては接着性が乏しく、ラミネート印刷
用インキとしては適さない。
るバインダーとするインキ組成物は、特開昭62−15
3366号、特開昭62−153367号等の公報に示
されるように、ポリエステル及びナイロンなどの極性を
有するフィルムに対しては良好な接着性を示すものの、
未処理ポリプロピレンフィルムに対しては全く接着性が
なく、ポリプロピレンエクストリュージョンラミネート
方式による印刷は不可能であった。
するために、減成ポリオレフィンに不飽和単量体をグラ
フト重合させた重合体(特願平4−29899号)や、
マレイン化ポリオレフィンに不飽和単量体をグラフト重
合させた重合体(特願平4−29898号、特願平3−
293710号)等を提案し、各種の合成樹脂フィル
ム、シート又は成形物に対して優れた諸物性を示すと共
に、溶液とした場合の透明性が良好な重合体組成物を、
塗料、印刷インキ、あるいは接着剤用のバインダー樹脂
組成物として提供してきた。
壊する恐れのある物質の削減問題に鑑み、ポリオレフィ
ン成形物に対する塗装の前処理として、トリクロルエタ
ン蒸気を用いて洗浄することを廃止しようという検討が
進められており、ポリオレフィン成形物を洗浄処理しな
いで塗装を施すことが試みられている。特に、自動車用
バンパーやホイールカバーなど、リサイクル性のよい材
料として消費量の多いポリプロピレン成形物において
は、洗浄面積も多いことから、早急な対応策が必要とな
っている。このような分野においては、従来のワンコー
ト仕上げ用のバインダー樹脂を用いても、無洗浄無処理
のポリオレフィン成形物に対する接着性が十分でないこ
とから、プライマーを用いたツーコート仕上げ方式へと
移行する傾向となってきている。
塩素化ポリジエンへのアクリル系モノマーのグラフト重
合については発明を完成させ、ポリオレフィンと他の極
性樹脂との両者に付着するバインダーとしてその効果を
確認している(特開昭61−215666号公報)。し
かしながら、最近になって無洗浄無処理ポリオレフィン
成形物への接着性不良や長期の使用に際しては、塩酸が
脱離することによる劣化が問題となる事が判明した。
ないが溶剤への溶解性の良いポリオレフィンである、プ
ロピレン、エチレン及び炭素数4〜20のα−オレフィ
ンを共重合したポリオレフィンを、有機過酸化物を用い
て熱により減成して得られた減成ポリオレフィンにラジ
カル重合性不飽和モノマーをグラフト重合させる方法を
提案すると共に(特願平4−29899号)、プロピレ
ン−α−オレフィン共重合体に、α,β−不飽和カルボ
ン酸及び/又はその酸無水物をグラフト共重合した後、
ラジカル重合性不飽和モノマーをグラフト重合させる方
法を提案した(特願平3−293710号)。
合物の分子量の調整に熱及び有機過酸化物を用いてお
り、その減成機構はラジカル分解である。前記の有機過
酸化物による減成反応では、元のポリオレフィンの性質
を損なうことなく分子量を低減することができるが、分
子量を1万以下に低減させることは困難な場合が多く、
また相溶性については大きく改善することができない。
はその酸無水物をグラフト共重合する方法の場合には、
分子量の調整が困難である上、グラフト化のために、元
のポリオレフィンの性質を損ない易いという欠点を有し
ていた。更に、極性の低いポリオレフィンと極性の高い
ラジカル重合性不飽和モノマーを均一に相溶させるため
には、ポリオレフィンの方にもある程度の極性基の導入
が必要であるが、無洗浄無処理のポリオレフィン成形物
に対する接着性を得るためには、元のポリオレフィンの
性質を大きく変えることのないことが重要となってくる
ので、これらのバランスを考慮する必要がある。
は、エチレン/酢酸ビニル共重合体の軟化点向上剤に見
られるように、アイソタクチックポリプロピレンを酸化
分解する方法が挙げられる(特公昭51−44974号
公報)。上記の酸化分解法では、有機過酸化物による減
成の場合より低温で容易に低分子量化することができ、
α,β−不飽和カルボン酸及び/又はその酸無水物をグ
ラフト重合する方法よりも、元のポリオレフィンの性質
を変えることなく相溶性を改善することができることが
判明した。
酸化分解は容易であり、一般に行われているが、得られ
た樹脂は溶剤への溶解性に乏しく、コーティング樹脂の
原料としては不向きであることから、プロピレン−α−
オレフィン共重合物の酸化分解について検討を行ったと
ころ、プロピレン以外の共重合成分が分解を阻害し、ポ
リプロピレンほど容易には酸化が進行しないことが明ら
かとなった。
は、以上の従来技術のように、塩素化ポリオレフィン系
のコーティング樹脂にみられるような耐侯性の低下がな
い上、非塩素ポリオレフィン系グラフト物重合体にみら
れるような架橋によるゲル化物が少なく、特に無洗浄無
処理ポリオレフィン成形物に対する接着性が良好である
と共に、高表面光沢性、耐ガソリン性、耐湿・耐温水性
等を有し、溶液としたときの均一透明性が良好な、塗
料、印刷インキ、あるいは接着剤用として適したコーテ
ィング樹脂組成物を提供することにある。
酸価が1〜20mgKOH/gでかつ重量平均分子量が
1,000〜20,000であると共に有機容剤への溶
解性に優れた酸化減成ポリオレフィンに対して、ラジカ
ル重合性モノマーをグラフト重合させてなる樹脂を主成
分として含有する樹脂組成物であって、前記酸化減成ポ
リオレフィンが、プロピレンを少なくとも50モル%含
有するプロピレン−α−オレフィン共重合体を加熱溶融
し、有機過酸化物を添加して減成した後、加熱下に攪拌
しながら、更に空気又は酸素ガス、若しくは、オゾンを
含有する空気又は酸素ガスを作用させることによって得
られる酸化減成ポリオレフィンであると共に、該酸化減
成ポリオレフィンと前記ラジカル重合性モノマーとの重
量比(酸化減成ポリオレフィン/ラジカル重合性モノマ
ー)が1/4〜4であることを特徴とするポリオレフィ
ン成形物用コーティング樹脂組成物及びその製造方法に
より達成された。
原料であるプロピレン−α−オレフィン共重合体として
は、ランダム共重合体が好ましく用いられ、その構成モ
ノマーの量比は必要に応じて適宜選択することができる
が、特に、ポリプロピレンに対する接着性を向上させる
必要性から、プロピレン成分を少なくとも50モル%含
むことが必要である。またこの共重合体の重量平均分子
量は1〜20万であることが好ましい。1万より小さい
と収量が低くなりすぎ、20万より大きいと溶剤への溶
解性が十分でなかったり、収量の低下が大きい。
ン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペン
テン−1、3−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、オ
クテン−1、ノネン−1、デセン−1、ドデセン−1等
のものが挙げられるが、特に炭素数2〜10のものを使
用することが好ましい。また、これらのうち2種以上を
共重合しても良い。
融状態で有機過酸化物を添加して行う。この場合の反応
の温度は120〜250℃の範囲でよく、好ましくは1
80〜250℃の範囲である。120℃より低温では分
解しにくかったり、逆にゲル化する場合があり、250
℃より高温では熱分解が急速に進み、低分子量分解物が
増えたり着色が著しくなるので好ましくない。
イサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−
ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテー
ト等を用いることができるが、中でもジ−t−ブチルパ
ーオキサイドを用いることが好ましい。有機過酸化物の
添加量は、原料ポリオレフィンに対して0.1〜3重量
%程度で足り、好ましくは1〜2重量%である。その添
加方法は、特に制限されるものではないが、1重量%以
上添加する場合には、1重量%未満の量に分割した上で
30分以上間隔をあけて添加するか、定量ポンプ等を用
いて、1時間当たり2重量%以下の速度で連続的に添加
することが望ましい。
ンの分子量は、溶解性及び接着性の観点から、1,00
0〜20,000程度であることが好ましい。次いで、
得られた減成ポリオレフィンの酸化反応を行うに際し、
その前に減成反応で生成した揮発分を、減圧下で留去し
ておくことが望ましい。上記酸化反応は、減成ポリオレ
フィンを加熱溶融した状態で、十分に攪拌しながら、酸
化剤を作用させることによって進行する。
いは更にオゾンを含有させた空気又は酸素ガスを用いる
ことができる。空気や酸素ガスには、必要に応じて窒素
ガスを混合することにより、酸素濃度を調整することも
できる。オゾンは、空気又は酸素中に0.01〜2容量
%程度含有させて用いることができ、必要に応じて更に
窒素ガスにより濃度を調整しても良い。
レフィンの溶融物中に直接導入することが一般的である
が、反応容器の気相部に導入し、強い攪拌により気相部
を巻き込むようにして作用させても良い。いずれにして
も、減成ポリオレフィンと酸化剤とが効率的に接触する
限り、特に導入方法は制限されるものではない。酸化反
応の温度は、特に制限されるものではないが、150〜
200℃の範囲が良く、好ましくは170〜190℃の
範囲である。150℃より低いと、酸化反応の進行が遅
いため反応に時間がかかりすぎ、200℃より高いと熱
分解が激しくなり、酸価が低くなる。
よる減成反応の温度を超えない範囲で行うことが好まし
い。この範囲を超えると分解物が多くなり、収量が低下
すると共に十分な酸価が得られない。酸化剤の導入速度
は適宜調整することができるが、原料ポリオレフィン1
gに対して毎分0.1〜3mlの速度で供給しながら作
用させることが望ましい。毎分0.1mlより遅いと酸
化が十分に進行せず、毎分3mlより速い場合には、酸
化剤を十分に加熱しながら導入しなければならないな
ど、反応温度を維持する為にエネルギーが多く必要とな
り、効率的でない。
を得るためにその反応時間を調整することができるが、
通常5〜10時間の範囲で調整することが望ましい。酸
化反応が終了した後、減圧下で分解残渣の留去を行い、
大気圧下、180℃、1時間で乾燥したときの揮発分が
1%以下となるまで分解残渣を除去することが望まし
く、次いで、速やかに反応物を取り出して冷却すること
が望ましい。揮発分を除去した後長時間高温で放置する
と、分解が進行して再び分解残渣が蓄積するので、コー
ティング樹脂原料として用いた場合の種々の塗膜物性
(接着性、耐溶剤性等)に悪影響を与える。
る酸化減成ポリオレフィンの酸価を1〜20mgKOH
/gとなるように調整すると共に、重量平均分子量を
1,000〜20,000の範囲となるように調整す
る。その調整は、溶剤への溶解性とラジカル重合性不飽
和モノマーとのグラフト重合の際の相溶性及び粘性を得
るために必要である。
たカルボキシル基の量を定量したものであるが、1mg
KOH/gより小さいと溶解性や相溶性が十分に得られ
ず、20mgKOH/gより多いと無洗浄無処理ポリプ
ロピレン成形物への接着性が低下する。重量平均分子量
は、酸価と同様な理由から必要であり、1,000より
小さいと十分な粘性が得られず、20,000より大き
いと溶解性や相溶性が十分に得られない。
レフィンは、塗料、インキ、及び接着剤等の原料樹脂と
してこれまでにない優れた溶剤溶解性を示し、接着性や
耐湿性の改善用として、このままで他のコーティング樹
脂に添加して使用することができる上、ラジカル重合性
不飽和モノマーと共重合させることにより、従来の原料
樹脂では実現することのできなかった、無洗浄無処理ポ
リプロピレン成形物への接着性を大幅に改善した塗膜を
形成することができる。
た酸化減成ポリオレフィンにラジカル重合性不飽和モノ
マーをグラフト重合させることによって、塗料、イン
キ、接着剤等の原料樹脂としての諸物性のみならず、無
洗浄無処理ポリプロピレン成形物への接着性を更に良好
なものとすることができる。ここで、ラジカル重合性不
飽和モノマーとしては、不飽和モノカルボン酸エステル
及び不飽和ジカルボン酸エステルまたは酸無水物、不飽
和芳香族モノマー等を挙げることができるが、特に水酸
基含有又はグリシジル基含有のラジカル重合性不飽和モ
ノマーを使用することが好ましい。
4〜20の(メタ)アクリル酸エステルの中から適宜選
択して使用することができるが、その具体例としては、
例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸
エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリ
ル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリ
ル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メ
タ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル
酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)
アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸
2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒド
ロキシブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が
挙げられる。
は、例えば無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレ
イン酸ジエチル、マレイン酸ジ−2−エチルヘキシル、
マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジ−
2−エチルヘキシル、フマル酸ジブチル等が挙げられ
る。更に、不飽和芳香族モノマーとしては、例えばスチ
レン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチ
レン、イソプロピルスチレン、α−メチルスチレン、α
−エチルスチレン等が挙げられる。
性不飽和モノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸
2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロ
キシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチ
ル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アク
リル酸−ヒドロキシブチル等が挙げられる。また、グリ
シジル基含有のラジカル重合性不飽和モノマーとして
は、グリシジル(メタ)アクリレ−ト、アリルグリシジ
ルエーテル等が挙げられる。
性不飽和モノマーを、単独或いは数種混合して用いるこ
とができるが、特に、最終的な樹脂固形分中における水
酸基の量が0.1〜3重量%、グリシジル基の量が1〜
7重量%の範囲となるように調整することが望ましい。
水酸基とグリシジル基の含有量が上記の範囲より少ない
と、架橋硬化させた場合に塗膜強度が十分に得られなく
なり、逆に上記の範囲より多いと、架橋硬化時の内部応
力の発生により接着力が低下する。
オレフィン20〜80重量部、好ましくは40〜60重
量部に対し、上記のラジカル重合性不飽和モノマーを8
0〜20重量部、好ましくは40〜60重量部添加して
グラフト重合する。酸化減成ポリオレフィンが20重量
部未満ではポリオレフィンに対する接着性が劣り、80
重量部を超えるとポリウレタン系樹脂、ポリエステル系
樹脂等の各種の極性基材に対する接着性や耐溶剤性が低
下する。
ルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキ
サン、メチルエチルケトン、メチルイソブチレン、酢酸
エチル、テトラヒドロフラン等の有機溶媒中で行う。反
応濃度は、反応開始時に酸化減成ポリオレフィンのみを
溶解したときの固形分濃度を20〜50重量%の範囲と
し、これに有機過酸化物を添加した後に、反応液内の濃
度が1リットルあたり0.5モルを超えないように、ラ
ジカル重合性不飽和モノマーを徐々に添加する。
0重量%の範囲としたのは、グラフト反応の初期反応を
制御する上で重要だからである。即ち20重量%より低
いとグラフト効率が低下して2層分離を生じ、50重量
%より高いと架橋によってゲル化したり粘度が上昇する
傾向がある。
濃度を、1リットルあたり0.5モルを超えない範囲で
徐々に添加するに際しては、その重合反応性に応じてそ
の添加量を調整し、添加速度がモノマーの消費速度を超
えないようにすることが好ましい。ラジカル重合性不飽
和モノマーの濃度が1リットルあたり0.5モルを超え
ると、該モノマーのホモポリマーが生成すると共にその
成長が著しくなり、2層分離を生じることになる。な
お、未反応のラジカル重合性不飽和モノマーの濃度は、
ガスクロマトグラフィー等により定量することができ
る。
使用する有機過酸化物としては、例えば、ジ−t−ブチ
ルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチ
ルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、
ジラウリルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサ
イド、t−ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキ
サイド、ジラウリルパーオキサイド、クメンハイドロパ
ーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−
トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチル
パーオキシ)−シクロヘキサン、シクロヘキサノンパー
オキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−
ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキ
シ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチ
ルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパ
ーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシ
オクトエート等が挙げられる。
酸化物の半減期により調整すれば良く、特に限定される
ものではないが、70〜150℃の範囲であることが好
ましい。本発明によって得られるコーティング樹脂組成
物の溶液は、実用濃度においても均一透明性が良好であ
り、これをフィルム等にキャストしたコーティング膜も
均一で透明なものである。
組成物に対して、更に架橋硬化剤としてポリイソシアネ
ート化合物、又は、1分子中に−NH基もしくは−NH
2 基を2個以上含有する化合物を配合することができ
る。これらの架橋硬化剤は、コーティング樹脂中に導入
した水酸基もしくはグリシジル基と反応して架橋硬化す
ることにより、耐ガソリン性、耐候性、耐湿・耐温水性
等、塗料やインキに必要な塗膜物性を向上させることが
できる。
レンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソ
シアネート、イソホロンジイソシアネート等の有機ジイ
ソシアネート類を使用することができる。本発明におい
ては、これらの有機ジイソシアネート類を、ビューレッ
ト体、イソシアヌレート体、トリメチロールプロパンア
ダクト体等のイソシアネート誘導体に変性して用いるこ
とが好ましい。
2個以上含有する化合物としては、エチレンジアミン、
ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペン
タエチレンヘキサミン等の脂肪族アミン、イソホロンジ
アミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン等の脂環族ポ
リアミン、m−キシレンジアミン等の芳香族アミン類、
重合脂肪酸等と反応させて得られるポリアミド樹脂等が
挙げられる。
液の濃度調整をするだけでそのままコーティングするこ
ともできるが、これに顔料、溶剤、顔料分散剤、粘度調
整剤、可塑剤、安定剤、架橋硬化剤等を添加して混練
し、インキ、塗料あるいは接着剤として用いることもで
きる。更に、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリエス
テル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ
オレフィン、塩素化ポリオレフィン等を添加しても差し
支えない。
ング樹脂組成物は、従来の塩素化ポリオレフィン系のコ
ーティング樹脂にみられるような耐候性の低下がなく、
また従来の非塩素化ポリオレフィン系グラフト物にみら
れるような架橋によるゲル化物の生成が少なく、特に無
洗浄無処理ポリオレフィン成形物に対する接着性を改善
し、高表面光沢性、耐ガソリン性、耐湿・耐温水性等を
有し、かつポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、
アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等、各種合成樹脂の
フィルム、シートまたは成形物に対し優れた諸物性を示
し、溶液の均一透明性の良好な塗料、印刷インキ、ある
いは接着性のコーティング樹脂組成物として、その応用
が期待される。
が、本発明はこれによって限定されるものではない。
尚、%は重量%を示す。 実施例1.
取り付けた、2リットルの4つ口フラスコ中に、プロピ
レンとエチレンとブテンのランダム共重合体であるポリ
オレフィン(プロピレン成分75%、エチレン成分20
モル%、1−ブテン成分5モル%、重量平均分子量9
万)を1,000部仕込み、加熱溶融下に攪拌しなが
ら、200℃付近でジ−t−ブチルパーオキサイド10
部を30分間かけて添加し、減成して、重量平均分子量
2万の減成ポリオレフィンを得た。これを、そのまま1
80℃まで降温させながら揮発分を減圧留去した後、酸
素ガスを、直径2mm・長さ150mmの注射針を用い
て、500ml/分の速度で減成ポリオレフィン中に連
続的に導入した。そのまま温度を維持して酸素ガスの導
入を続け、12時間後に酸素の導入を止め、減圧留去に
より揮発分を除去した。
が5.1mgKOH/g、重量平均分子量が19,00
0、揮発分が0.8%で、透明な50%トルエン溶液と
することができた。次に、攪拌器、冷却管、温度計およ
び滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコ中で、上記の
酸化減成ポリオレフィン100重量部をトルエン250
重量部に溶解し、110℃に加温した後、攪拌しながら
t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート7重量
部を添加した。
け、これにラジカル重合性不飽和モノマーとして、アク
リル酸シクロヘキシル60重量部、メタクリル酸シクロ
ヘキシル60重量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル
20重量部、及びアクリル酸2−ヒドロキシプロピル1
0重量部を混合した溶液を、チューブポンプを用い3時
間かけて添加した。充分な攪拌を行いながら更に5時間
攪拌を継続させた後冷却した。得られたコーティング樹
脂溶液の濃度は50%で、均一で且つ透明であった。ま
た、樹脂固形分中の水酸基含有量は、約1.2%であっ
た。
行った他は、実施例1と全く同様にして、重量平均分子
量1.5万の減成ポリオレフィンを得、実施例1と同様
にして減圧留去した後、190℃で8時間、空気を用い
て酸化し、その後揮発分を除去した。
が3.7mgKOH/g、重量平均分子量が7,00
0、揮発分が0.6%で、透明な50%トルエン溶液と
することができた。ラジカル重合性不飽和モノマーとし
て、アクリル酸メチル60重量部、メタクリル酸メチル
60重量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル20重量
部、およびアクリル酸2−ヒドロキシプロピル10重量
部を用いた他は、実施例1と同様にして、均一で透明な
濃度50%のコーティング樹脂溶液を得た。また、樹脂
固形分中の水酸基含有量は、約1.7%であった。
均分子量3万の減成ポリオレフィンを得、減圧留去した
後に、160℃で15時間、酸素を用いて酸化し、揮発
分を除去した。得られた酸化減成ポリオレフィンは、酸
価が4.6mgKOH/g、重量平均分子量が16,0
00、揮発分が0.5%で、透明な50%トルエン溶液
とすることができた。
クリル酸ブチル60重量部、メタクリル酸メチル60重
量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル20重量部、お
よびアクリル酸4−ヒドロキシブチル10重量部を用い
た他は、実施例1と同様にして均一で透明な濃度50%
のコーティング樹脂溶液を得た。また、樹脂固形分中の
水酸基含有量は、約1.65%であった。
量平均分子量2万の減成ポリオレフィンを得、減圧留去
した後、200℃で10時間、酸素を用いて酸化し、揮
発分を除去した。得られた酸化減成ポリオレフィンは、
酸価が2.8mgKOH/g、重量平均分子量が9,0
00、揮発分が0.7%で、透明な50%トルエン溶液
とすることができた。
クリル酸2−エチルヘキシル60重量部、メタクリル酸
メチル60重量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル2
0重量部、およびアクリル酸4−ヒドロキシブチル10
重量部を用いた他は、実施例1と同様にして均一で透明
な濃度50%のコーティング樹脂溶液を得た。また、樹
脂固形分中の水酸基含有量は、約1.7%であった。
なかった他は、実施例1と同様にして、酸価が0.2m
gKOH/g、重量平均分子量が18,000、揮発分
が1%の減成ポリオレフィン樹脂を得た。得られた樹脂
は、透明な50%トルエン溶液とすることができた。
クリル酸シクロヘキシル45重量部、メタクリル酸シク
ロヘキシル45重量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル40重量部、及びアクリル酸2−ヒドロキシプロピル
20重量部を用いた他は、実施例1と同様にしてグラフ
ト重合を行わせ、得られた樹脂を用いて、実施例1と同
様にして濃度が50%で、均一ではあるがやや白濁した
コーティング樹脂溶液を得た。樹脂固形分中の水酸基含
有量は、約3.4%であった。
よる減成を行わなかった他は、実施例1と同様にして、
酸価が0.6mgKOH/g、重量平均分子量が12,
000、揮発分が0.8%の酸化ポリオレフィンを得
た。得られた酸化ポリオレフィンは、透明で濃度が50
%のトルエン溶液とすることができた。
は、実施例1と全く同様にしてグラフト反応を行わせ、
濃度が50%で、均一且つ透明なコーティング樹脂溶液
を得た。また、樹脂固形分中の水酸基含有量は、約1.
7%であった。各実施例及び比較例に用いた反応処方
と、得られたコーティング樹脂溶液の物性について表1
にまとめた。
はメタクリレートを表し、トルエン溶解性は、50%ト
ルエン溶液の均一透明性を黙視で評価した。次に、得ら
れたコーティング樹脂組成物を塗料に応用した場合の性
能を、配合例1〜6の場合について説明する。また、従
来の塩素化ポリオレフィン樹脂を用いた場合の物性につ
いて参考例を示した。
グ樹脂溶液(固形分:50%)80gと二酸化チタン2
4g、及びトルエン20gをサンドミルで3時間混練し
た後、イソシアネート硬化剤(デスモジュールZ437
0:住友バイエルウレタン株式会社製の商品名、イソホ
ロンジイソシアネート系のイソシアヌレート体)2.8
4gを添加し、No.4のフォードカップで13〜15
秒/20℃となるように、キシレンを用いて粘度調整を
行い、ポリプロピレンの板(TX−1180:三菱油化
株式会社製の商品名))に、無洗浄無処理のままスプレ
ー塗装した。室温で15分間乾燥した後、更に80℃で
30分間強制乾燥し、1週間室内に静置してから塗膜の
試験を行った。
グ樹脂溶液の代わりに実施例2で得られたコーティング
樹脂溶液を用いると共に、硬化剤としてデスモジュール
Z4370の添加量を4.03gとした他は、配合例1
と全く同様にして塗料を調製し、無洗浄無処理のポリプ
ロピレン板(TX−1180)に、同様にスプレー塗装
して試験塗装板を作製し、試験を行った。
グ樹脂溶液の代わりに実施例3で得られたコーティング
樹脂溶液を用いると共に、硬化剤としてデスモジュール
Z4370の添加量を3.91gとした他は、配合例1
と同様にして塗料を調製し、無洗浄無処理のポリプロピ
レン板に同様にスプレー塗装して試験塗装板を作製し、
試験を行った。
グ樹脂溶液の代わりに実施例4で得られたコーティング
樹脂溶液を用いると共に、硬化剤としてデスモジュール
Z4370の添加量を4.03gとした他は、配合例−
1と同様にして塗料を調製し、無洗浄無処理のポリプロ
ピレン板に同様にスプレー塗装して試験塗装板を作製
し、試験を行った。
グ樹脂溶液の代わりに比較例1で得られたコーティング
樹脂溶液を用いると共に、硬化剤としてデスモジュール
Z4370の添加量を8.06gとした他は、配合例1
と同様にして塗料を調製し、無洗浄無処理のポリプロピ
レン板に同様にスプレー塗装して試験塗装板を作製し、
試験を行った。
グ樹脂溶液の代わりに比較例2で得られたコーティング
樹脂溶液を用いると共に、硬化剤としてデスモジュール
Z4370の添加量を4.03gとした他は、配合例−
1と同様にして塗料を調製し、無洗浄無処理のポリプロ
ピレン板に同様にスプレー塗装して試験塗装板を作製
し、試験を行った。
名:スーパークロン832L、山陽国策パルプ株式会社
製、塩素含有率27重量%、固形分30重量%)35
g、ポリアクリルポリオール(デスモフェンA−16
0、住友バイエルウレタン株式会社製、固形分60%、
固形分中の水酸基含有量:2.7%)35g、二酸化チ
タン26g及びデスモジュールZ4370を12.2g
の配合割合とした他は、配合例1と同様にして塗料を調
製し、塗膜の試験を行った。試験結果は、表2に示し
た。尚、表中の◎は良好、○は略良好、△はやや不良、
×は不良を表す。
を作り、その上にセロファン粘着テープを密着させて1
80°方向に引き剥がし、塗膜の残存する程度で判定し
た。 (2)促進耐候性 カーボンアーク式のサンシャインウェザーメーターを使
用した。白色度はハンターで、光沢度は60°鏡面反射
光沢度計で測定した。
浸漬した後の塗膜の状態を調べた。 (4)耐ガソリン性(浸漬2時間) 塗膜上に素地に達するスクラッチ(×)を入れ、日石レ
ギュラーガソリンに2時間浸漬し、塗膜の状態を調べ
た。
げたときの塗膜の状態を調べた。 (6)耐衝撃性 デュポン式緩衝試験機で、直径1/2インチ、荷重50
0gの撃芯を使用し、塗膜上に50cmの高さから落下
させたときの塗膜の状態を調べた。
リプロピレンへの接着性は従来の塩素化樹脂以上であ
り、特に無洗浄での接着性に優れている。また、耐候性
は塩素化樹脂に比べてかなり改善されていることがわか
る。さらに、耐温水性や耐ガソリン性についても大きく
改善され、屈曲性、耐衝撃性は固形分中の水酸基含有量
を調整することによって改善されている。これに対し、
比較例として示した配合例5及び6の場合には、酸価の
不足や水酸基含有量の調整等が原因となって、耐ガソリ
ン性、耐温水性などに悪影響を及ぼしていることがわか
る。
のコーティング樹脂組成物がポリオレフィン成形物に対
して極めて優れた性能を有することがわかる。次いで、
これらのコーティング樹脂組成物をインキに応用した場
合の性能を、配合例7及び8について評価した。試験方
法は下記の通りである。また、従来の塩素化ポリオレフ
ィン樹脂及びウレタン樹脂を用いた場合の物性につい
て、参考例2及び3に示した。
グ樹脂溶液(固形分:50%)、及び二酸化チタン(ル
チン型R−820:石原産業株式会社製)又はアゾ系有
機顔料(カーミン6BN:東洋インキ株式会社製)を、
サンドミルで2時間混練してインキを調製し、コーティ
ングロッド♯10を用いて、未処理ポリプロピレンフィ
ルム(以下、未処理PPと称す)、ポリエチレンテレフ
タレートフィルム(以下、PETと称す)及びナイロン
フィルム(以下、NYと称す)の表面にそれぞれ塗工
し、24時間室温で乾燥した後、セロファン粘着テープ
を用い下記のセロテープ剥離試験、及びヒートシール強
度試験を行った。その結果を表4に示す。なお、インキ
の配合処方は表3に示した通りである。
セロファン粘着テープを貼付け、一気に剥がしたときの
塗工面の剥離状態を判定した。ヒートシール強度試験
は、インキ塗工面を重ね合わせて、110℃−1Kg/
cm2 で1秒間の圧着条件でヒートシールを行い、24
時間後テンシロンにて180°剥離強度試験を行った
(引張り速度50mm/min)。
られたコーティング樹脂溶液に代えて実施例2で得られ
たコーティング樹脂溶液(固形分:50%)を用いた他
は、配合例7と同様にしてインキを調製し、試験を行っ
た。その結果を表4に示した。
られたコーティング樹脂溶液に代えて塩素化ポリプロピ
レン(商品名:スーパークロン803MW、山陽国策パ
ルプ株式会社製、塩素含有率29.5重量%、固形分2
0重量%)と塩素化エチレン/酢酸ビニル共重合体(商
品名:スーパークロンBX、山陽国策パルプ株式会社
製、塩素含有率18重量%、固形分20重量%)の混合
物を用いた他は、配合例7と同様にしてインキを調製
し、試験を行った。その結果を、表4に示した。
られたコーティング樹脂溶液に代えてポリウレタン樹脂
(商品名:サンブレンIB−450、三洋化成化学工業
株式会社製、固形分30重量%)を用いた他は、配合例
7と同様にしてインキを調製し、試験を行った。その結
果を、表4に示した。
ー樹脂を用いた実施例の場合には、ポリプロピレン(P
P)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のいず
れのフィルムに対しても優れた接着性を示しており、従
来の塩素化樹脂及びポリウレタン樹脂の持つ性能を合わ
せ持った、汎用性のあるインキを調製することができ
る。
Claims (8)
- 【請求項1】 酸価が1〜20mgKOH/gでかつ重
量平均分子量が1,000〜20,000であると共に
有機溶剤への溶解性に優れた酸化減成ポリオレフィンに
対して、ラジカル重合性モノマーをグラフト重合させて
なる樹脂を主成分として含有する樹脂組成物であって、
前記酸化減成ポリオレフィンが、プロピレンを少なくと
も50モル%含有するプロピレン−α−オレフィン共重
合体を加熱溶融し、有機過酸化物を添加して減成した
後、加熱下に攪拌しながら、更に空気又は酸素ガス、若
しくは、オゾンを含有する空気又は酸素ガスを作用させ
ることによって得られる酸化減成ポリオレフィンである
と共に、該酸化減成ポリオレフィンと前記ラジカル重合
性モノマーとの重量比(酸化減成ポリオレフィン/ラジ
カル重合性モノマー)が1/4〜4であることを特徴と
するポリオレフィン成形物用コーティング樹脂組成物。 - 【請求項2】 ラジカル重合性不飽和モノマーの一部
が、水酸基含有ラジカル重合性不飽和モノマーであっ
て、グラフト重合後における、樹脂固形分中での水酸基
含有量が0.5〜3重量%の範囲である請求項1に記載
のポリオレフィン成形物用コーティング樹脂組成物。 - 【請求項3】 ラジカル重合性不飽和モノマーの一部
が、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーで
あって、グラフト重合後における、樹脂固形分中でのグ
リシジル基含有量が1〜7重量%の範囲である請求項1
に記載のポリオレフィン成形物用コーティング樹脂組成
物。 - 【請求項4】 請求項2に記載の樹脂組成物に、更に硬
化剤としてイソシアネート化合物を配合してなる、架橋
硬化可能なポリオレフィン成形物用コーティング樹脂組
成物。 - 【請求項5】 請求項3に記載の樹脂組成物に、更に硬
化剤として1分子中に−NH基若しくは−NH2 基を2
個以上含有する化合物を配合してなるポリオレフィン成
形物用コーティング樹脂組成物。 - 【請求項6】プロピレンを少なくとも50モル%含有す
るプロピレン−α−オレフィン共重合体を加熱溶融し、
有機過酸化物を添加して減成した後、加熱下に攪拌しな
がら、更に酸化剤を作用させて得られる、酸価が1〜2
0mgKOH/gでかつ重量平均分子量が1,000〜
20,000であると共に有機溶剤への溶解性に優れた
酸化減成ポリオレフィン20〜80重量部に対し、ラジ
カル重合性不飽和モノマーを80〜20重量部添加し、
グラフト重合させてなる樹脂組成物の製造方法であっ
て、有機過酸化物を添加する際の反応温度が180〜2
50℃の範囲であって、酸化剤を作用させる際の反応温
度が150〜200℃の範囲であると共に、後者の反応
温度が前者の反応温度を超えないことを特徴とする、ポ
リオレフィン成形物用コーティング樹脂組成物の製造方
法。 - 【請求項7】 酸化減成反応後に、大気圧下180℃で
1時間乾燥したときの揮発分が1%以下となるまで、減
圧下で分解物を留去する請求項6に記載のポリオレフィ
ン成形物用コーティング樹脂組成物の製造方法。 - 【請求項8】 有機過酸化物がジ−t−ブチルパーオキ
サイドである請求項6又は7に記載のポリオレフィン成
形物用コーティング樹脂組成物の製造方法。
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