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JP2647601B2 - 多層構成フィルム及びその製造方法 - Google Patents

多層構成フィルム及びその製造方法

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JP2647601B2
JP2647601B2 JP4091915A JP9191592A JP2647601B2 JP 2647601 B2 JP2647601 B2 JP 2647601B2 JP 4091915 A JP4091915 A JP 4091915A JP 9191592 A JP9191592 A JP 9191592A JP 2647601 B2 JP2647601 B2 JP 2647601B2
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ethylene
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plastic film
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガスバリアー性と耐屈
曲性と耐ボイル性を兼備え、紫外線で黄変しにくい多層
構成フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、透明性・機械的強度・価格等に優
れる二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下OPPと略
称する)や、二軸延伸ポリアミドフィルム(以下OPA
と略称する)や、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート
フィルム(以下PETと略称する)等の基材フィルム
は、熱封緘性付与の為ポリオレフィンフィルムとラミネ
ートされ、食品用、薬品用を初めとした各種用途の包装
材料として使用されている。しかしこれ等のフィルム
は、ガスバリアー性が良くない為、内容物が揮散した
り、外部から袋内に侵入する酸素により、内容物に黴が
生えたり、油脂分が酸化されたり、風味が変化したりし
やすく、内容物の保存性が悪く、ガスバリアー性の改善
が望まれている。
【0003】ガスバリアー性の改善方法としては、塩化
ビニリデン・塩化ビニル共重合体ラテックスや塩化ビニ
リデン・アクリロニトリル共重合体の溶液を、それ等フ
ィルムにコーティングしたり(PVDCコートフィルム
と称され各社より発売されている)、エチレン−ビニル
アルコール共重合体(以下EVOHと略称する)のフィ
ルムやポリビニルアルコール(以下PVAと略称する)
のフィルムと、それ等フィルムをラミネートする事によ
り可能である。しかしPVDCコートフィルムはそのま
までも黄色味を帯びており、しかも紫外線で更に黄変す
るという欠点がある。
【0004】一方EVOHやPVAのフィルムとのラミ
ネート品は、無色透明で紫外線でも黄変するという心配
もないが、価格が高くなる事と、フィルムの硬さに由来
する耐屈曲性の悪化と、高温でボイル処理した時にデラ
ミが発生しやすいという欠点がある。
【0005】特開昭51−18775号公報には基材フ
ィルムに少なくとも2層からなりかつそのうちの1層が
EVOHである薄膜状溶融物を圧着する事を特徴とする
ラミネートフィルムの製造方法について述べられてい
る。しかし該発明には、実施例から明らかなように、基
材フィルムと共押出しコート層との接着力の発現には、
イソシアネート系接着剤(アンカーコート剤)を塗布す
る事の記述はあるが、アンカーコート剤を介さずに共押
出しコーティングする事に関する記述がない。アンカー
コート剤を用いるには、コーターと乾燥機が必要とな
り、機械が複雑になるだけでなく、コストアップにな
り、しかも高速化が困難という欠点がある。また、密度
0.90g/cm3以下のエチレン系重合体よりなる接
着性樹脂と、溶融指数の比が一定範囲内にあるEVOH
を、一定範囲内の厚さで積層すること、およびEVOH
層の厚さのみならず接着性樹脂層の厚みの両者を薄くす
ることにより多層構成フィルムのゲルボフレックステス
ター(米軍規格 MIL−B−131G,METHOD
2017で規定された装置)による耐屈曲性が、もと
の基材フィルムの耐屈曲性とで大差ない物を得る事が可
能になる事に関する記述がない。むしろ該公報にはフィ
ルムとの接着力を発現させるためには、溶融樹脂の熱容
量を大きくする必要があり、そのために接着性樹脂の厚
みを厚くする必要があるとの記述がある。
【0006】また、特開昭52−119690号公報に
は、紙層とEVOH層の間に、引張弾性率100kg/
mm2以下の熱可塑性樹脂を設けてなる積層材料につい
て述べられている。しかし該発明には、紙層とEVOH
層との接着に関する記述はあるが、プラスチックフィル
ムに関する記述がない。さらに、アンカーコート剤を介
さずに積層する事や、耐屈曲性に関する記述がない。
【0007】また、特開昭57−182435号公報に
は、ポリオレフィン層/カルボキシル基含有ポリオレフ
ィンもしくはカルボキシル基含有ポリオレフィンに金属
化合物を配合した変性ポリオレフィン層/EVOH層/
接着剤層/ポリオレフィン層からなる積層体の製造方法
において、EVOH、変性ポリオレフィンとEVOH、
EVOHと接着剤、あるいは変性ポリオレフィンとEV
OHと接着剤の1層ないし3層を溶融押出しもしくは共
押出してサンドイッチラミネーションすることを特徴と
する積層体の製造方法について述べられている。しかし
該公報には、共押出しコーティングや耐屈曲性に関する
記述がない。
【0008】この様に、ガスバリアー性と耐屈曲性と耐
ボイル性を兼備え、紫外線で黄変しにくい安価なフィル
ムが、業界では切望されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ガス
バリアー性と耐屈曲性とを兼備え、紫外線で黄変しにく
い多層構成フィルムを安価に供給することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題点
の認識の元に鋭意研究を重ねた結果、エチレン含有量2
0〜60モル%、溶融指数ηEg/10分のエチレン−
ビニルアルコール共重合体(A)層を少なくとも一層
と、溶融指数ηAg/10分、密度0.90g/cm3
以下のエチレン系重合体よりなる接着性樹脂(以下AP
Oと略称する)(B)層を少なくとも一層と、プラスチ
ックフィルム(C)よりなり、プラスチックフィルム
(C)に(B)層が隣接するように積層されており、か
つ下記式を満足する多層構成フィルムが、ガスバリアー
性と耐屈曲性と耐ボイル性を兼備え、紫外線で黄変しに
くい事を見出し本発明を完成するに至った。 0.5μm≦a≦20μm ……(1) 0.5μm≦b´≦20μm ……(2) 1μm≦a+b≦30μm ……(3) 0.08≦ηE/ηA≦8 ……(4) 式中、aは(A)層の全層の厚さを、bは(B)層の全
層の厚さを、b´は(B)層の一層当りの厚さを表す。
【0011】さらにまた本発明者は、(A)層を少なく
とも一層と、(B)層を少なくとも一層含み、かつ前記
(4)式を満足する溶融多層体を、プラスチックフィル
ム(C)に(B)層が隣接するように共押出しコーティ
ングすることにより高速にて多層構成フィルムを得るこ
とができること、とくに前記(1)、(2)および
(3)式を満足させることにより、高速にてガスバリア
ー性と耐屈曲性と耐ボイル性を兼備え、紫外線で黄変し
にくい多層構成フィルムを得ることを見出だした。
【0012】以下、本発明を更に詳しく説明する。本発
明において、EVOHとは、エチレンとビニルエステル
を、加圧下メタノールやt−ブチルアルコール等の溶剤
中で、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル
等の重合開始剤を用い公知の方法で重合させ、続いて
酸、またはアルカリ触媒で鹸化して得られる物である。
ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビ
ニル、バーサチック酸ビニル、ピバリン酸ビニル等の各
種脂肪酸ビニルエステル、安息香酸ビニルなどが挙げら
れるが、価格等の点から酢酸ビニルが好ましく、バリア
ー性点からピバリン酸ビニルが好ましい。EVOHのエ
チレン含量は20〜60モル%、好ましくは20〜50
モル%、脂肪酸ビニルエステル成分の鹸化度は90モル
%以上、好ましくは95モル%以上である。エチレン含
有量が20モル%未満では、高湿度時のガスバリアー性
が低下する。一方、60モル%を越えると十分なガスバ
リアー性が得られない。一方、鹸化度が90モル%未満
は、高湿度時のガスバリアー性が低下するだけでなく、
EVOHの熱安定性が悪化し、得られる膜面にゲルが発
生しやすい。
【0013】また、EVOHには更に少量のプロピレ
ン、イソブテン、4−メチルペンテン−1、ヘキセン、
オクテン等のα−オレフィン、イタコン酸、メタクリル
酸、アクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、そ
の塩、その部分または完全エステル、そのニトリル、そ
のアミド、その無水物、ビニルトリメトキシシラン等の
ビニルシラン系化合物、不飽和スルホン酸、その塩、ア
ルキルチオール類、N−ビニルピロリドン等の共重合成
分を含んでいても差支えない。
【0014】また、EVOHはエチレン共重合比率の異
なる2種類以上のEVOHの混合物であってもよく、ま
た、重合度の異なる2種類以上のEVOHの混合物であ
ってもよい。さらに、エチレン共重合比率と重合度が共
に異なっていてもよい。さらにまた、これ等2種類以上
のEVOHの多層体であっても良い。
【0015】また、EVOHには、本発明を阻害しない
範囲で、酸化防止剤、色剤、紫外線吸収剤、スリップ
剤、帯電防止剤、可塑剤、硼酸等の架橋剤、無機充填
剤、無機乾燥剤等の各種添加剤、ポリアミド、ポリオレ
フィン、高吸水性樹脂等の各種樹脂を配合してもよい。
【0016】本発明において、APOとしては、エチレ
ンを主成分とし、プロピレン、ブテン、イソブテン、4
−メチルペンテン、ヘキセン、オクテン等の炭素数3以
上、好ましくは炭素数3〜10のα−オレフィンの1種
または2種以上あるいはブタジエンとを、7〜45kg
/cm2の圧力、75〜100℃の温度で、クロム系触
媒またはチーグラー触媒で、溶液法液相法、スラリー法
液相法、流動床気相法、攪拌床気相法等を用いて重合し
て得られる共重合体を、またはエチレンを主成分とし、
酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステ
ル等とを通常の低密度ポリエチレンの重合と同様に20
00〜3000kg/cm2の圧力、120〜250℃
の温度で、ラジカル触媒で、流動床気相法、攪拌床気相
法等を用いて重合して得られる共重合体を、無水マレイ
ン酸、マレイン酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アク
リル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸または無水
物で、重合槽または押出機内でラジカル重合開始剤(例
えば2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブチ
ルパーオキシ)ヘキサン−3を0.1重量%存在下)を
用い200〜240℃でグラフト変性したものである。
前記不飽和カルボン酸またはその無水物のグラフト変性
度は前記共重合体に対し好ましくは0.005〜7重量
%である。前記共重合体の内好ましいものは、エチレン
と、プロピレン、ブテン、4−メチルペンテンとの1種
または2種以上のα−オレフィンとの共重合物(共重合
比率エチレン60〜90モル%、α−オレフィン10〜
40モル%、好ましくはエチレン70〜85モル%、α
−オレフィン15〜30モル%)を、無水マレイン酸で
グラフト変性(変性度0.005〜7重量%、好ましく
は0.02〜5重量%)したものであり、密度0.90
g/cm3以下、好ましくは0.89g/cm3以下のも
のである。密度が0.90g/cm3を越えると、共押
出しコーティングの時にプラスチックフィルム(C)と
の接着性が低下し、アンカーコート剤が必要となる。ま
た、アンカーコート剤を介さずに、EVOHをプラスチ
ックフィルムと接触するように共押出しコーティングし
た場合にも、プラスチックフィルムと十分な接着力は得
られない。ここで密度はASTM−D−1505に準じ
て求められる値である。
【0017】また、APOには、本発明を阻害しない範
囲で、酸化防止剤、色剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、
帯電防止剤、可塑剤、架橋剤、無機充填剤、無機乾燥剤
等の各種添加剤、熱可塑性樹脂等の各種樹脂を配合して
もよい。
【0018】本発明において、EVOH層の全層の厚さ
をaμm、およびAPO層の全層の厚さをbμm、
(B)層の一層当りの厚さをb´μmとする時、下記数
式を満足する事が重要であり、 0.5μm≦a≦20μm ……(1) 0.5μm≦b´≦20μm ……(2) 1μm≦a+b≦30μm ……(3) 好ましくは、下記の通りである。 0.5μm≦a≦15μm ……(5) 0.5μm≦b´≦15μm ……(6) 1μm≦a+b≦25μm ……(7) さらに好ましくは、下記の通りである。 1μm≦a≦10μm ……(8) 1μm≦b´≦10μm ……(9) 2μm≦a+b≦20μm ……(10)
【0019】EVOH層の全層の厚さ(a)が、0.5
μm未満では十分なガスバリアー性が得られない。一
方、20μmを越えると多層構成フィルムの耐屈曲性が
悪化する。また、APO層の一層当りの厚さ(b´)
が、0.5μm未満ではアンカーコート剤なしでは十分
な層間接着力が得られない。一方、20μmを越えると
多層構成フィルムのと透明性が悪化するだけでなく、経
済性も悪化する。さらに、EVOH層の全層の厚さとA
PO層の全層の厚さの合計(a+b)が、1μm未満で
は溶融多層体の安定性が悪く、膜切れが発生しやすい。
一方、30μmを越えると多層構成フィルムの耐屈曲性
が悪化するだけでなく、経済性も悪化する。このような
条件を全て満足させる事により、生産性・経済性・強度
等を兼備えた多層構成フィルムを得る事が可能になる。
【0020】この様に薄くかつ、各層および全層の幅方
向の厚み分布が均一な共押出しコーティング膜を得るに
は、EVOHの(EVOHがブレンド物の場合にはブレ
ンド物の)溶融指数(JIS K 7210に準じ、温
度230℃,荷重2160gで半径1mmのノズルより
10分間に吐出する重量。以下MFRと略称する)をη
Eg/10分、同様にAPOのMFRをηAg/10分
とする時、0.08≦ηE/ηA≦8、好ましくは0.
1≦ηE/ηA≦5、より好適には0.2≦ηE/ηA
≦3の範囲から選ぶことが重要であり、ηE/ηAが
0.08未満や8を越える場合には、共押出しコーティ
ング膜に幅方向の厚み斑が発生したり、木目模様や梨地
が発生し、外観不良となり、薄くする事ができない。さ
らにデュアルスロットダイ等異なる方式の装置では、各
層を均一に薄くする事が難しい。またEVOH(A)と
APO(B)の各流路ごとにピンとベインが設けられ、
厚み調節性に優れたクローレン社のフィードブロックを
用いることが望ましい。このような条件を採用すること
によって高速にて各層の厚みの均一な多層構成フィルム
を得ることができる。
【0021】本発明において、プラスチックフィルム
(C)にとくに制限は設けないが、延伸面積倍率10倍
以上の二軸延伸ポリプロピレンフィルム、または延伸面
積倍率4倍以上の二軸延伸または圧延高密度ポリエチレ
ンフィルム、または延伸面積倍率4倍以上の二軸延伸ポ
リアミドフィルム、または延伸面積倍率4倍以上の二軸
延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが、印刷性、
実用強度、経済性等の面から好適である。さらにこれ等
プラスチックフィルムには印刷が施されていても良い
し、無地であっても良い。
【0022】本発明において、共押出しコーティングに
より得られた多層構成フィルムの耐屈曲性(ゲルボフレ
ックステスターで、20℃での屈曲によりピンホールが
1つ発生する回数d)が、プラスチックフィルム(C)
の耐屈曲性(同回数c)の0.5倍以上、すなわち0.
5×c≦dを満足することが望ましく、好ましくは0.
7倍以上、さらには0.8倍以上である事が望ましい。
一般に耐屈曲性が良好なもの(回数の多いもの)は、輸
送等の振動でピンホールが発生しにくいが、フィルムを
ラミネートすると残念ながら耐屈曲性が悪化するという
傾向がある。
【0023】本発明において、共押出しコーティングさ
れた多層構成フィルムをそのまま包装材料に用いても良
いが、十分なヒートシール強度が得られにくい場合があ
る。したがってプラスチックフィルム(C)よりJIS
K 7206で規定された方法で測定したビカット軟
化点が15℃以上、好ましくは25℃以上低いプラスチ
ックよりなるヒートシール層を(C)層の反対側(印刷
が施されていても良い)に積層したり、またEVOH
(A)よりビカット軟化点が低いプラスチックよりなる
ヒートシール層を(C)層側(印刷が施されていても良
い)に積層したり、またはプラスチックフィルム(C)
とEVOH(A)の両者よりビカット軟化点が低いプラ
スチックよりなるヒートシール層を両側に(印刷が施さ
れれていても良い)積層したりすることにより、十分な
ヒートシール強度が得られだけでなく、良好なヒートシ
ール性を有する包装材料にできる。ヒートシール層の厚
みは、内容物の重量により適宜選定されるが、一般的に
は、20〜150μmである。
【0024】ヒートシール層を貼り合せる方法として
は、プラスチックフィルム(C)やEVOH(A)より
も、ビカット軟化点が低いプラスチックよりなるフィル
ムまたは、少なくともヒートシールされる面のビカット
軟化点が低い多層プラスチックフィルムと、前記した本
発明の多層構成フィルムとをドライラミネートまたは、
ポリサンドラミネートする方法、または、最終的にビカ
ット軟化点が低いプラスチックを本発明の多層構成フィ
ルムに押出しラミネートするか、少なくともヒートシー
ルされる面のビカット軟化点が低い溶融多層体を、本発
明の多層構成フィルムに共押出しラミネートする方法等
が挙げられる。
【0025】ヒートシール層に用いられるビカット軟化
点が低いプラスチックとしては、ポリプロピレン、ポリ
エチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニ
トリル等があげられ、単独で用いても良いし、2種以上
のプラスチックをブレンドして用いても良い。また、こ
れ等プラスチックには、本発明を阻害しない範囲で、酸
化防止剤、色剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、帯電防止
剤、可塑剤、架橋剤、無機充填剤、無機乾燥剤等の各種
添加剤、熱可塑性樹脂等の各種樹脂を配合してもよい。
【0026】ヒートシール層に用いられるポリプロピレ
ンとしては、プロピレンのホモポリマー、及びプロピレ
ンを主成分とする、エチレン、ブテン−1、5−エチリ
デン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボル
ネン、1,4−ヘキサジエン等との共重合体、更には無
水マレイン酸等のカルボン酸でグラフト変性されたもの
等があげられる。
【0027】またヒートシール層に用いられるポリエチ
レンとしては、エチレンのホモポリマーである高密度ポ
リエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレ
ン、及びエチレンを主成分とする、プロピレン、ブテン
−1、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−オ
クテン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチ
レン−2−ノルボルネン、酢酸ビニル、酢酸ブチル、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸等
との共重合体があげられる。前記共重合体のうちアクリ
ル酸やメタクリル酸との共重合体は、ナトリウム、亜
鉛、アルミニウム等で架橋されていても良いし、また酢
酸ビニルとの共重合体は、酢酸ビニル成分の一部又は全
てが鹸化されていても良い。又、ポリエチレンは、無水
マレイン酸等のカルボン酸でグラフト変性されていても
良い。
【0028】さらにヒートシール層に用いられるポリエ
ステルとしては、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、トリメチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4,4´−
ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン、グリセリ
ン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール成分と、
パラヒドロキシ安息香酸、δ−バレロラクトン、ε−カ
プロラクトン、酒石酸等のヒドロキシカルボン酸成分
と、テレフタール酸、イソフタール酸、各種ナフタリン
ジカルボン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ピメリン
酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸等の多価カルボ
ン酸及びそのエステル成分を原料として得られるポリエ
ステル等があげられる。
【0029】さらにまたヒートシール層に用いられるポ
リアミドとしては、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジ
ン、テトラメチレンジアミン、エチレンジアミン、メタ
キシリレンジアミン等のジアミン成分と、δ−バレロラ
クタム、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、ω
−アミノウンデカン酸、ω−アミノドデカン酸等のアミ
ノカルボン酸成分と、各種ナフタリンジカルボン酸、テ
レフタール酸、イソフタール酸、アゼライン酸、セバシ
ン酸、ピメリン酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸
等の多価カルボン酸成分を原料として得られるポリアミ
ド等があげられる。
【0030】さらにまたヒートシール層に用いられるポ
リアクリロニトリルとしては、アクリロニトリルを主成
分とし、スチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸メ
チル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、ブタジ
エン等との共重合体等があげられる。
【0031】本発明の多層構成フィルムの層構成として
は、C/B/A、C/B/A/B、C/B/A/B/
A、さらにこれらの層構成のフィルムの片側または両側
に前記したヒートシール層を設けたものが代表例として
挙げられる。またこのようにして得られた多層構成フィ
ルムは各種包装材(食品、医薬)として有用であり、と
くに耐屈曲性の要求されるバッグインボックスなどに有
効である。
【0032】以下実施例により、本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれによってなんら限定を受ける
ものではない。なお部、%とあるのは、特に断りのない
限りいずれも重量基準である。
【0033】
【実施例】実施例1 厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OP
P)(延伸面積倍率10倍)(東京セロファン紙(株)
製「トーセロOP U−1ビカット軟化点150℃」)
(C)に、250℃に溶融させた、エチレン含有量27
モル%、酢酸ビニル成分の鹸化度99.6モル%、MF
R7.0g/10分のビカット軟化点180℃のEVO
H(A)と、220℃に溶融させた、密度0.88g/
cm3、MFR8.0g/10分のエチレン(75モル
%)を主成分とするプロピレン(25モル%)との共重
合体に、無水マレイン酸(0.1重量%)をグラフトし
たAPO(B)とを、クローレン社のフィードブロック
を用いて、速度50m/分で、APO(B)層がOPP
(C)と接触するように共押出しコーティングを行な
い、(A)層および(B)層の厚さが各2μmの多層構
成フィルムを得た。
【0034】ゲルボフレックステスター(理学工業
(株)製)を用い、20℃での屈曲によりピンホールが
1つ発生する回数(A−4判の大きさのフィルムを、一
定回数屈曲して、フィルムに発生したピンホール数を測
定し、屈曲回数とピンホール数の相関図を作り、回帰曲
線よりピンホールが1つ発生する屈曲回数を求める。以
下NP=1と略称する)は、OPPで1800回に対
し、得られた多層構成フィルムでは2200回と良好で
あった。またOPPとAPOおよびAPOとEVOHと
のラミネート強度(T型剥離、速度250mm/分、サ
ンプル幅15mm)は、コート膜の材料破壊が起こり、
測定不能なほど大きかった。
【0035】ドライラミネート用接着剤(武田薬品工業
(株)製 タケラック A−385とタケネート A−
50を6対1の比で混合)を、得られた多層構成フィル
ムのEVOH面に、固形分として3g/m2塗布し、溶
剤を蒸発させた後、厚さ60μmの低密度ポリエチレン
フィルム(アイセロ化学(株)製 スズロンL S−2
10、以下LDPEと略称するビカット軟化点95℃)
と速度50m/分で積層した。このフィルムのガスバリ
アー性は2cc/m2・day・atm(モダンコント
ロール(株)製 OX−TRAN 10/50Aを用
い、温度20℃、湿度65%での測定値)と良好であっ
た。
【0036】このフィルムをサイドシール温度155
℃、底シール温度160℃、速度60袋/分で、縦23
0mm、横150mmに製袋し、水100mlを入れイ
ンパルスシーラーでシールして4方袋を得た。この物を
98℃で30分ボイルしても、デラミ等の外観変化は見
られず、良好な耐ボイル性を有していた。また蛍光灯に
1か月さらしてもフィルムの黄変は発生しなかった。
【0037】比較例1 実施例1において、220℃に溶融させた、密度0.8
8g/cm3、MFR8.0g/10分のエチレンを主
成分としてなるAPOの代りに、250℃に溶融させ
た、密度0.91g/cm3、MFR12g/10分の
直鎖状低密度ポリエチレン{エチレンを主成分(95モ
ル%)とする4−メチル−1−ペンテン(5モル%)と
の共重合体に無水マレイン酸(0.07重量%)をグラ
フトしたもの}からなるAPOを用いた以外は実施例1
に準じて行った。
【0038】OPPとAPOとのラミネート強度は、2
0g/15mm以下と全く接着していなかった。
【0039】比較例2 厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート
(PET)(延伸面積倍率9倍)(ダイアホイル(株)
H−500、ビカット軟化点240℃)に、ドライラ
ミネート用接着剤(武田薬品工業(株)製 タケラック
A−385とタケネート A−50を6対1の比で混
合)を、固形分として3g/m2塗布し、70℃で溶剤
を蒸発させた後、厚さ15μmの二軸延伸EVOHフィ
ルム((株)クラレ製EF−XL)と速度20m/分で
積層した。さらにドライラミネート用接着剤を、固形分
として3g/m2塗布し、溶剤を蒸発させた後、厚さ6
0μmのLDPEと速度20m/分で積層し、40℃で
3日エージングした。得られたフィルムを実施例1と同
様に製袋し、98℃で30分ボイルテストを行ったが、
全面にデラミが発生した。
【0040】比較例3 厚さ20μmのOPP(東京セロファン紙(株)製 ト
ーセロOP U−1)に、アンカーコート剤(東洋モー
トン(株)製 AD−503/CAT−10A−50を
100対4.5の比で混合)を、固形分として0.2g
/m2塗布し、溶剤を蒸発させた後、厚さ60μmのL
DPEと、250℃に溶融させた、密度0.92g/c
3、MFR2.0g/10分の低密度ポリエチレンを
主成分としてなるAPOとを、250℃に溶融させた、
エチレン含有量32モル%、酢酸ビニル成分の鹸化度9
9.5モル%、MFR20g/10分、ビカット軟化点
170℃のEVOHとを、クローレン社のフィードブロ
ックを用いて、各々の厚み10μm、速度15m/分
で、EVOHがOPPと接触するようにサンドイッチラ
ミネーションを行った。得られたフィルムは、各層の厚
み斑による木目模様が入り外観不良となったばかりでな
く、そのNP=1は700回と、OPPの1800回よ
り大きく劣っていた。
【0041】実施例2 実施例1において、厚さ20μmのOPPに、250℃
に溶融させた、エチレン含有量27モル%、酢酸ビニル
成分の鹸化度99.6モル%、MFR7.0g/10
分、ビカット軟化点145℃のEVOH(A)と、22
0℃に溶融させた、密度0.88g/cm3、MFR
8.0g/10分のエチレンを主成分とするプロピレン
との共重合体に無水マレイン酸をグラフトしたAPO
(B)とを、クローレン社のフィードブロックを用いて
積層し、各々2μmで、速度50m/分で、APOがO
PPと接触するように共押出しコーティングを行った代
りに、厚さ15μmのOPA(延伸面積倍率9倍)
((株)興人製「ボニールR」、ビカット軟化点205
℃)(C)に、250℃に溶融させた、エチレン含有量
47モル%、酢酸ビニル成分の鹸化度99.5モル%、
MFR25g/10分のEVOH(A)と、240℃に
溶融させた、密度0.89g/cm3、MFR16g/
10分のエチレン(80モル%)を主成分とするプロピ
レン(20モル%)との共重合体に無水マレイン酸
(0.2重量%)をグラフトしたAPO(B)とを、ク
ローレン社のフィードブロックを用いて速度120m/
分で、APO(B)がOPP(C)と接触するように共
押出しコーティングを行ない、(A)層および(B)層
の厚さが各々4μmの多層構成フィルムを得た以外は実
施例1に準じて行った。NP=1は、OPAで4200
回に対し、得られた多層構成フィルムでは4500回と
良好であり、ガスバリアー性も13cc/m2・day
・atmと良好であった。さらにこの多層構成フィルム
にLDPEフィルムをラミネートしたものを98℃で3
0分ボイルテストを行ったが、デラミは発生しなかっ
た。また蛍光灯に1か月さらしてもフィルムの黄変は発
生しなかった。
【0042】比較例 4 実施例1において、EVOH(A)の厚さを4μm、A
PO(B)層の厚さを40μmとする以外は、実施例1
と同様の条件で多層構成フィルムを得た。得られた多層
構成フィルムは、OPPの熱負けによる筋状の模様が見
られ外観不良であった。製袋品のボイルテストはAPO
層の乱れによるデラミが見られた。
【0043】実施例3 実施例1において、厚さ20μmのOPPに、250℃
に溶融させた、エチレン含有量27モル%、酢酸ビニル
成分の鹸化度99.6モル%、MFR7.0g/10
分、ビカット軟化点145℃のEVOH(A)と、22
0℃に溶融させた、密度0.88g/cm3、MFR
8.0g/10分のエチレンを主成分とするプロピレン
との共重合体に無水マレイン酸をグラフトしたAPO
(B)とを、クローレン社のフィードブロックを用いて
積層し、各々2μmで、速度50m/分で、APOがO
PPと接触するように共押出しコーティングを行った代
りに、厚さ15μmのOPA((株)興人製「ボニール
R」、ビカット軟化点205℃)(C)に、250℃に
溶融させた、エチレン含有量47モル%、酢酸ビニル成
分の鹸化度99.5モル%、MFR25g/10分のE
VOH(A)と、240℃に溶融させた、密度0.90
g/cm3、MFR12g/10分のエチレンを主成分
(82モル%)とするブテン(18モル%)との共重合
体に無水マレイン酸(0.26重量%)をグラフトした
APO(B)とを、クローレン社のフィードブロックを
用いて速度80m/分で、APO(B)がOPP(C)
と接触するように共押出しコーティングを行ない、
(A)層および(B)層の厚さが各々4μmの多層構成
フィルムを得た以外は実施例1に準じて行った。NP
1は、OPAで4200回に対し、得られた多層構成フ
ィルムでは4100回と良好であり、ガスバリアー性も
13cc/m2・day・atmと良好であった。さら
にこの多層構成フィルムにLDPEフィルムをラミネー
トしたものを98℃で30分ボイルテストを行ったが、
デラミは発生しなかった。また蛍光灯に1か月さらして
もフィルムの黄変は発生しなかった。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明により、ガ
スバリア性、耐屈曲性および耐ボイル性を兼備え、紫外
線で黄変しにくい多層構成フィルムが得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/32 B32B 27/32 // B29K 23:00 29:00 B29L 9:00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン含有量20〜60モル%、溶融
    指数ηEg/10分のエチレン−ビニルアルコール共重
    合体(A)層を少なくとも一層と、溶融指数ηAg/1
    0分、密度0.90g/cm3以下のエチレン系重合体
    よりなる接着性樹脂(B)層を少なくとも一層と、プラ
    スチックフィルム(C)よりなり、(B)層と(C)層
    が互いに隣接するよう積層されており、下記式を満足す
    る多層構成フィルム。 0.5μm≦a≦20μm ……(1) 0.5μm≦b´≦20μm ……(2) 1μm≦a+b≦30μm ……(3) 0.08≦ηE/ηA≦8 ……(4) 式中、aは(A)層の全層の厚さを、bは(B)層の全
    層の厚さを、b´は(B)層の一層当りの厚さを表す。
  2. 【請求項2】 プラスチックフィルム(C)よりビカッ
    ト軟化点が低いプラスチックよりなるヒートシール層
    を、プラスチックフィルム(C)の反対側に積層する
    か、またはエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)
    よりビカット軟化点が低いプラスチックよりなるヒート
    シール層を、プラスチックフィルム(C)層側に積層す
    るか、またはプラスチックフィルム(C)とエチレン−
    ビニルアルコール共重合体(A)の両者よりビカット軟
    化点が低いプラスチックよりなるヒートシール層を両側
    に積層した、請求項1に記載の多層構成フィルム。
  3. 【請求項3】 エチレン含有量20〜60モル%、溶融
    指数ηEg/10分のエチレン−ビニルアルコール共重
    合体(A)層を少なくとも一層と、溶融指数ηAg/1
    0分、密度0.90g/cm3以下のエチレン系重合体
    よりなる接着性樹脂(B)層を少なくとも一層含み、
    0.08≦ηE/ηA≦8なる関係を満足する溶融多層
    体を、プラスチックフィルム(C)に(B)層が隣接す
    るように共押出しコーティングすること特徴とする多層
    構成フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 プラスチックフィルム(C)よりビカッ
    ト軟化点が低いプラスチックよりなるヒートシール層
    を、プラスチックフィルム(C)の反対側に積層する
    か、またはエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)
    よりビカット軟化点が低いプラスチックよりなるヒート
    シール層を、プラスチックフィルム(C)層側に積層す
    るか、またはプラスチックフィルム(C)とエチレン−
    ビニルアルコール共重合体(A)の両者よりビカット軟
    化点が低いプラスチックよりなるヒートシール層を両側
    に積層した、請求項3に記載の多層構成フィルムの製造
    方法。
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