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JP2538134B2 - 徐放性製剤およびその製造法 - Google Patents

徐放性製剤およびその製造法

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JP2538134B2
JP2538134B2 JP3075335A JP7533591A JP2538134B2 JP 2538134 B2 JP2538134 B2 JP 2538134B2 JP 3075335 A JP3075335 A JP 3075335A JP 7533591 A JP7533591 A JP 7533591A JP 2538134 B2 JP2538134 B2 JP 2538134B2
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sustained
coating
acid
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和夫 野田
征雄 小林
孝 大澤
徹 前島
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Tanabe Seiyaku Co Ltd
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Tanabe Seiyaku Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は徐放性製剤およびその製
造法に関し、さらに詳しくは、薬物に適した溶出速度を
有する徐放性製剤およびそれを製造するための簡便で効
率のよい方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、医薬化合物を含有する固体粒
子の表面を油脂、ワックスなどの疎水性物質で被覆する
ことにより、薬剤の放出が遅延化された徐放性製剤が知
られている。
【0003】これらの徐放性製剤は、医薬化合物を有効
成分として含有する芯物質および、その周囲の疎水性物
質を含有する溶出制御のための被覆層とからなってお
り、それぞれは、通常、別々の工程により調製される。
すなわち、医薬化合物を含有する芯物質は、湿式、乾式
法などの常法にしたがって製され、さらに、それに対し
て別の設備、方法により、被覆層のコーティングが施さ
れる。有効成分の溶出速度を制御する被覆層の製造法に
関しては種々の技術が報告されているが、疎水性物質を
用いる方法としてはつぎのような方法が知られている。
【0004】すなわち、一般的な方法として、疎水性固
体物質を有機溶媒に溶解し、えられる溶液を医薬化合物
を含有する固体粒子の表面に噴霧し、乾燥することによ
り固体粒子を疎水性固体物質でコーティングする方法が
ある。しかしながら、このような方法では、通常有機溶
媒として、人体に有害な四塩化炭素、クロロホルムなど
のハロゲン炭化水素;ヘキサン、ベンゼンなどの炭化水
素;メタノール、プロパノールなどの低級アルコール;
およびアセトンなどのケトン類が使用されているので、
徐放性製剤の製造上、作業者などへの安全性を確保し、
また大気汚染の防止を図るために多大の設備を必要とす
る。また、かかる有機溶媒を、コーティング後の製剤中
から除去するためにも、多大の設備と時間を必要とす
る。さらに、それにもかかわらず、製剤中に有機溶媒が
残存するという問題がなお残る。これらの問題点を改善
する方法として、たとえば特開昭63-99009号公報および
同63-27424号公報においては、医薬化合物を含有する固
体粒子を転動させながら、該固体粒子の表面に、メチル
セルロースなどの水あるいはアルコールに可溶性の高分
子物質をバインダーとして用いてこのバインダーの水性
溶液を噴霧しつつ疎水性固体物質の微粒子散布し付着
せしめる粉末コーティング方法が提案されている。この
方法では、疎水性固体物質を有機溶媒に溶解し噴霧する
方法に比べると、使用する有機溶媒の量がかなり減量さ
れあるいは使用しなくてすむものの、依然として水や有
機溶媒を使用するため、乾燥工程において必要とされる
設備および時間や、有機溶媒を使用するうえでの安全性
に関わる問題が残る。
【0005】水や有機溶媒を全く用いずに油脂やワック
スなどの疎水性物質をコーティングする方法としては、
溶融コーティング法がある。この方法の1つに、溶融性
物質を熱溶融させて噴霧する方法が知られているが、こ
の方法は、溶融した溶融性物質を噴霧するための設備と
して、溶融釜や、高温保持の可能な配管、ノズルなどが
必要となるうえに作業性が悪いなどの欠点を有してい
る。一方、粉末や錠剤などの表面を溶融性物質でコーテ
ィングする方法として、粉末や錠剤などに溶融性物質の
粉末を散布し、これらを加熱下に転動せしめてコーティ
ングを行なう溶融コーティング法が知られている(特公
昭40-3789 号公報)。この方法によれば、有機溶媒をま
ったく使用せず、かつ、特別な配管系を必要とせずにコ
ーティングすることが可能である。この方法を利用した
溶出制御被覆層の形成法としては、特開昭57-171918 号
公報に、医薬化合物としてテオフィリンを含有する芯物
質とワックスなどの溶融性物質を加熱下に転動せしめ、
溶融性物質が溶融してからステアリン酸カルシウムなど
の疎水性微粉末物質を散布し付着させる方法が開示され
ている。ところが、この方法では、溶融性物質と疎水性
微粉末物質とを混合せずに別々に添加しているため、操
作が繁雑で溶出制御被覆層の均一性にも問題が残る。
【0006】一方、徐放性製剤の製造をさらに簡便にす
る方法として、医薬化合物を有効成分として含有する芯
物質の調製およびそれに対する溶出制御のための被覆層
の形成といった2つの工程を、ワックスなどの溶融性物
質を用いて連続して行なう方法が特開昭58-214333 号公
報および同62-181214 号公報に開示されている。これら
の方法は、加熱した流動層造粒機中で溶融性物質の表面
を溶融させ、これを芯物質としてこれに医薬化合物を添
加し付着させることにより、有効成分含有粒を形成せし
め、さらに、同様に加熱流動させた状態でタルクなどの
水不溶性物質を添加し付着させることによって溶出制御
のための被覆層の形成を行なう方法である。しかしなが
ら、この方法によれば、溶融性物質である芯物質の表面
部分を溶融させ、それに医薬化合物および水不溶性物質
を順次付着させるため、付着させうる粉末の量に制限が
ある。すなわち、医薬化合物および水不溶性物質の配合
量を自在に増加することが困難であり、したがって、徐
放性製剤としての溶出速度のコントロールを、水不溶性
物質のコーティング量の増減により実施するには不向き
な方法であるといえる。さらにまた、溶融性物質を表面
から徐々に溶融させながら粉末を付着させていくため、
製造時には厳密な温度コントロールが要求されるという
欠点を有する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上述べた
ような有機溶媒を使用しない製造法における問題点、お
よび有効成分を含有する芯物質から放出制御のための被
覆層までを連続して調製する製造法における問題点を解
決し、種々の薬物について、その薬物に最適に、精度よ
く放出が制御された徐放性製剤およびその、有機溶媒を
必要としない安全で簡便な製造法を提供しようとするも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、溶融した溶融性物
質をバインダーとして用いて、医薬化合物および必要で
あれば非溶融物質の1種または2種以上を担体の周囲に
付着させて速放性の芯物質を製し、さらにその周囲に溶
融性物質をバインダーとして水不溶性の非溶融性溶出制
御剤を付着させて溶出制御被覆層を形成することによ
り、水や有機溶剤などの溶媒類を全く用いることなく、
しかも、医薬化合物を含有する有効成分層の形成から溶
出制御のための被覆層の形成までを連続して簡便にかつ
精度よく行なえることを見出し、本発明を完成するにい
たった。
【0009】すなわち本発明は、担体の周囲に、加熱溶
融した溶融性物質をバインダーとして形成された医薬化
合物を含有する有効成分層を有し、さらに該有効成分層
の周囲に加熱溶融した溶融性物質をバインダーとして形
成された非溶融性溶出制御剤を含有する被覆層を設けて
なる徐放性製剤に関する。
【0010】また、本発明は、溶融性物質が溶融する温
度条件下に、担体粒子を転動させながら、医薬化合物お
よび溶融性物質を含有する混合物を加え、溶融した溶融
性物質をバインダーとして担体の周囲に医薬化合物を含
有する有効成分層を形成せしめて芯物質を調製し、つい
で同条件下に溶融性物質および非溶融性溶出制御剤の混
合物を添加し、溶融した溶融性物質をバインダーとして
該芯物質の周囲に非溶融性溶出制御剤を含有する被覆層
を設けることを特徴とする徐放性製剤の製造法に関す
る。
【0011】
【実施例】本発明の徐放性製剤は、図1に示すように、
担体1の周囲に加熱溶融した溶融性物質をバインダーと
して形成した、医薬化合物および要すれば賦形剤や溶解
補助剤などの通常医薬製剤の添加剤として用いられてい
る非溶融性の物質を1種または2種以上含有する有効成
分層2を有し、さらに該有効成分層2の周囲に加熱溶融
した溶融性物質をバインダーとして形成した水不溶性の
非溶融性溶出制御剤を含有する被覆層3を設けた粒状物
である。
【0012】本発明の徐放性製剤に含有される医薬化合
物は特に制限されず、たとえば塩酸ジルチアゼム、塩酸
ベラパミル、ニカルジピン、ニトレンジピン、ニモジピ
ンなどのカルシウム拮抗剤、テオフィリン、トリメトキ
ノールなどの抗喘息薬、水溶性ビタミン類、抗生物質、
抗悪性腫瘍剤、解熱鎮痛剤、血糖降下剤などがあげられ
る。
【0013】本発明の徐放性製剤における有効成分層中
の溶融性物質としては、常温では粉末で、30〜100 ℃の
範囲内で溶融する物質であればよく、たとえば高級脂肪
酸、高級脂肪族アルコール、高級脂肪酸エステル、ヒド
ロキシ高級脂肪酸エステルおよびポリエチレングリコー
ル類などを用いることができる。また、被覆層中の溶融
性物質としては、有効成分層において用いうる上記のも
ののうち、ポリエチレングリコール類以外のものを使用
することができる。被覆層における溶融性物質は、所望
によりポリエチレングリコール類と併用することもでき
る。
【0014】高級脂肪酸としては、たとえば炭素数10〜
32の飽和または不飽和脂肪酸があげられ、高級脂肪族ア
ルコールとしては、たとえば炭素数12〜30の脂肪族一価
アルコールがあげられる。また、高級脂肪酸エステルと
しては、炭素数14〜24の飽和または不飽和脂肪酸と炭素
数12〜24の脂肪族一価アルコールのエステル、炭素数12
〜18の飽和または不飽和脂肪酸とグリセリンとのエステ
ルもしくはその水素添加物またはそれらの混合物があげ
られ、ヒドロキシ高級脂肪酸エステルとしては炭素数12
〜22のヒドロキシ脂肪酸と炭素数12〜22の脂肪族一価ア
ルコールのエステル、炭素数12〜22のヒドロキシ飽和脂
肪酸とグリセリンとのエステル、炭素数12〜22のヒドロ
キシ不飽和脂肪酸とグリセリンとのエステルもしくはそ
の水素添加物またはそれらの混合物があげられる。
【0015】高級脂肪酸の具体例としては、カプリン
酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリス
チン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル
酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン
酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モ
ンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、エライジン酸、ブ
ラシジン酸などがあげられ、これらのうちミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸または
ベヘン酸が好ましく、とりわけパルミチン酸、ステアリ
ン酸またはベヘン酸が好ましい。
【0016】また高級脂肪族アルコールの具体例として
は、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリ
スチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルア
ルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコ
ール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、
セリルアルコール、メリシルアルコールなどがあげられ
る。これらのうちセチルアルコール、ステアリルアルコ
ール、またはエイコシルアルコールが好ましく、とりわ
けセチルアルコールまたはステアリルアルコールが好ま
しい。
【0017】さらに高級脂肪酸エステルの具体例として
は、たとえばパルミチン酸ミリスチル、ステアリン酸ス
テアリル、ミリスチン酸ミリスチル、リグノセリン酸セ
リル、セロチン酸ラクセリル、ラクセル酸ラクセリルな
どの脂肪酸エステル、ラノリン、密蝋、鯨蝋、セラック
蝋などの動物由来の天然蝋、カルナウバ蝋、カンデリラ
蝋の如き植物由来の天然蝋、グリセルモノラウリレー
ト、グリセリルモノミリスチレート、グリセリルモノス
テアレート、グリセリルジラウリレート、グリセリルジ
ミスチレート、グリセリルジステアレート、グリセリル
トリラウリレート、グリセリルトリミリスチレート、グ
リセリルトリステアレートなどのほか、牛脂、豚脂、硬
化牛脂、硬化ナタネ油、硬化ヒマシ油、硬化ヤシ油、硬
化大豆油などがあげられる。なお、天然蝋あるいは牛
脂、豚脂さらには種々の硬化油は各種の成分を含むもの
であるが、いずれも本発明の徐放性製剤に好適に用いる
ことができる。たとえばセラック蝋はリグノセリン酸セ
リルを主成分とし、セロチン酸セリルやラクセリル酸ラ
クセリルを混合物として含むほか、遊離アルコールや炭
化水素、樹脂分などの成分も含有するが、好適に使用す
ることができる。
【0018】ヒドロキシ高級脂肪酸エステルの具体例と
しては、たとえばヒドロキシステアリン酸トリグリセリ
ドなどがあげられる。
【0019】ポリエチレングリコール類の具体例として
は、たとえばPEG-600 、PEG-1000、PEG-1500、PEG-154
0、PEG-4000、PEG-6000などがあげられる。
【0020】これらの溶融性物質は一種のみを用いても
よくまた二種以上適宜混合して用いてもよい。
【0021】なお、これらの溶融性物質の粒子径は1〜
500 μmの範囲であり、好ましくは5〜300 μmの範囲
であることが好適である。
【0022】また、本発明の徐放性製剤における有効成
分層中に医薬化合物と共に所望により配合される非溶融
性物質としては、100 ℃以下で溶融しない粉末状の全て
の製剤添加物があげられる。たとえば、通常賦形剤、崩
壊剤、結合剤、被覆剤、滑沢剤、溶解補助剤として用い
られているものおよび高分子化合物などを使用すること
ができる。
【0023】具体的な製剤添加物としては、乳糖、白
糖、マンニット、D-ソルビット、ブドウ糖、デキストリ
ン、リン酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、軽質無水
ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、乳
酸カルシウム、メタケイ酸アルミニウム、リン酸水素カ
ルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、水酸化
アルミニウム、水酸化マグネシウム、沈降炭酸カルシウ
ム、炭酸水素カルシウムなどの賦形剤;トウモロコシデ
ンプン、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロー
スナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウ
ム、カルボキシメチルセルロース、低置換度ヒドロキシ
プロピルセルロース、カルボキシメチル澱粉ナトリウム
などの崩壊剤;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エ
チルセルロース、デキストリン、アルギン酸ナトリウ
ム、ゼラチン、ヒドロキシプロピルスターチなどの結合
剤;アクリル系樹脂、プルラン、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース、ヒドキシプロピルメチルセルロースフ
タレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテ
ートフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、
酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、セラック、
ゼインなどの被覆剤;キチン、キトサンなどの高分子化
合物;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシ
ウム、タルク、酸化チタン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ
酸マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、リン酸
水素カルシウムなどの滑沢剤;およびクエン酸、コハク
酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、マイレン酸、グルタ
ル酸、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの溶解
補助剤があげられる。
【0024】これらの非溶融性物質の粒子径は、通常50
0 μm以下、好ましくは1〜300μmの範囲であるのが
適当である。
【0025】本発明の徐放性製剤における被覆層中の非
溶融性溶出制御剤としては、ステアリン酸マグネシウ
ム、ステアリン酸カルシウム、タルク、酸化チタン、軽
質無水ケイ酸、合成ケイ酸マグネシウム、乾燥水酸化ア
ルミニウムゲル、沈降炭酸カルシウム、硫酸カルシウム
などの100 ℃以下で溶融しない水不溶性物質が用いられ
る。これらの溶出制御剤は、適宜、2種以上混合して用
いることもできる。
【0026】これらの非溶融性溶出制御剤は粉末状で用
いられ、その粒子径は、通常500μm以下、好ましくは
1〜300 μmの範囲であるのが適当である。
【0027】また、被覆層に乳糖、マンニットなどの水
溶性非溶融性物質を配合せしめてもよく、これにより、
溶出速度を速くすることができる。
【0028】さらに、被覆層にポリエチレングリコール
などの水溶性溶融性物質を配合せしめてもよく、これに
より、溶出速度を速くすることもできる。
【0029】なお、本発明で用いられる担体は市販の粒
状白糖、たとえばノンパレル(商品名、フロイント産業
(株)製)のほか、薬理学的に不活性であり、使用する
医薬化合物と相互作用のない物質であれば全ての物が使
用できる。白糖、乳糖、マンニット、キシリトールなど
の糖または糖アルコール類、各種セルロース類、各種デ
ンプン類などがあげられ、これらの結晶を用いてもよい
し、これらの単独または混合物を顆粒やビーズなどに造
粒したものであってもよいが、球形に近いものの方が有
効成分層および被覆層のコーティングに都合がよい。
【0030】これらの担体のサイズは、目的とする製剤
のサイズに照らして適宜選択されるが、通常粒子径が10
〜2000μm、好ましくは50〜1500μmのものを使用する
のが適当である。
【0031】本発明の方法は、転動造粒機、遠心流動型
造粒コーティング装置など、当業者が通常の造粒、コー
ティング操作において使用する造粒コーティング装置を
用いて実施することができる。すなわち、本発明の方法
は、上記装置中に担体を加熱転動させながら溶融性物
質、医薬化合物および必要であれば賦形剤や溶解補助剤
などの通常医薬製剤の添加剤として用いられている非溶
融性物質を混合したものを散布し付着させることによっ
て該担体の周囲に溶融性物質をバインダーとする有効成
分層を形成せしめることで芯物質を調製し、ひき続き該
芯物質を加熱転動させながら溶融性物質および非溶融性
溶出制御剤を混合したものを散布し付着させることによ
って該芯物質の周囲に溶出制御のための被覆層を形成せ
しめることにより実施される。その好適な一方法を以下
に記す。
【0032】担体への有効成分層のコーティングは次の
ようにして行なわれる。あらかじめ、上記造粒コーティ
ング装置中に担体を投入し、転動させながら、有効成分
層に用いる溶融性物質の融点よりも5℃以上高く、100
℃以下の温度に加熱しておく。ただしこのばあい、加熱
温度は溶融性物質が完全に溶解する温度であればよく、
厳密な温度コントロールは必要でない。これに、溶融性
物質、医薬化合物および必要に応じ非溶融性物質を加え
た混合末を、担体を転動させた状態で散布し、担体に付
着させる。このばあい、混合末中の溶融性物質および非
溶融性物質の配合比率は両成分の組み合わせにより若干
異なるが、5:95〜50:50であり、好ましくは10:90〜
40:60である。上記配合比率よりも溶融性物質が多くな
ると、粒状物の凝集性および器壁への付着性が増大し、
回収率および良品率が低下する。逆に前記範囲よりも溶
融性物質が少なくなると、非溶融性物質の飛散性が増大
し、回収率が低下する。
【0033】また、転動条件は毎分回転数50〜500 回
転、好ましくは60〜400 回転であり、転動時間3〜300
分、好ましくは5〜180 分の範囲で行なう。
【0034】このようにしてえられる芯物質の有効成分
層は通常5〜500 μmの厚さを有し、表面が滑らかで、
芯物質は真球度が高く、次工程の被覆層のコーティング
にも好都合である。
【0035】次に、前記芯物質への被覆層のコーティン
グが次のようにして行なわれる。あらかじめ造粒コーテ
ィング装置中に芯物質を投入しあるいは芯物質の調整に
引続いて、有効成分層のコーティングにおけるのと同様
にして、芯物質を転動させながら、被覆層に用いる溶融
性物質の融点よりも5℃以上高く、100 ℃以下の温度に
加熱しておく。ただしこのばあい、加熱温度は溶融性物
質が完全に溶解する温度であればよく、厳密な温度コン
トロールは必要でない。これに、溶融性物質および水不
溶性の非溶融性溶出制御剤を加えた混合粉末を、芯物質
を転動させた状態で散布し、芯物質に付着させる。この
ばあい、混合末中の溶融性物質および非溶融性物質の配
合比率は5:95〜50:50であり、好ましくは10:90〜4
0:60である。上記配合比率よりも溶融性物質が多くな
ると粒状物の凝集性および器壁への付着性が増大し、回
収率および良品率が低下する。逆に、上記範囲よりも溶
融性物質が少ないと粒状物の飛散性が増大し、回収率が
低下する。
【0036】また、転動条件は、回転数50〜500 回転、
好ましくは60〜400 回転であり、転動時間3〜300 分、
好ましくは5〜180 分の範囲で行なう。
【0037】このようにしてえられた徐放性粒状物の被
覆層は通常5〜100μmの厚さを有している。また、本
発明による製造法により調製された被覆層は緻密であ
り、非溶融性溶出制御剤を溶融性物質と混合して添加し
ているため被覆層中の溶出制御剤の分布が均一であるこ
とから、徐放性製剤としての高い溶出制御能を付与しう
るものである。さらに、これらの徐放性製剤は表面が滑
らかで真球度が高く、良好な流動性を有している。
【0038】なお、溶解度の低い医薬化合物に本発明に
よる製造法を適用するばあいには、溶出制御のための被
覆層の成分に水溶性非溶融性物質もしくは水溶性溶融性
物質を添加し、溶出速度を速くすることもできる。この
ばあい、かかる水溶性物質は被覆層重量に対して一般に
約2〜50%(重量%)の割合で用いられる。
【0039】すなわち、有効成分層および被覆層に用い
る医薬化合物、製剤添加剤、溶出制御剤などの非溶融性
物質は、コーティング操作温度で非溶融状態で粉末状の
物質であればいずれも可能であり、溶融性物質と混合す
るこれらの非溶融性物質は、単独、または、複数を組み
合わせ混合して用いてもよく、したがって、本発明によ
れば、非溶融物質に医薬化合物を選べば有効成分層のコ
ーティングが、また、水不溶性の溶出制御剤を用いれば
溶出制御のための被覆層のコーティングが、さらに両工
程を連続して行なえば有効成分層から被覆層の形成まで
を同一機器内で溶媒を用いずかつ乾燥を必要とせず短時
間で製造できる。
【0040】かくしてえられる本発明の徐放性製剤は、
そのまま顆粒剤や細粒剤などの粒状製剤としてもよく、
さらに適宜賦形剤、滑沢剤、崩壊剤などを加えて打錠す
れば徐放錠とすることができる。また、必要により滑沢
剤を加えてカプセルに充填すればカプセル剤とすること
もできる。
【0041】つぎに実施例および試験例をあげて本発明
をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。
【0042】実施例1 遠心流動型造粒コーティング装置(CF-360)に、ノンパ
レル(粒子径:710 〜840 μm)250 gを入れ、90℃で
転動(200 回転/分)させながら塩酸ジルチアセム(粒
子径:5〜50μm)188 gおよび硬化ヒマシ油(平均粒
子径:25μm)62gの混合物を徐々に散布し付着させて
芯物質を調製した。芯物質の調製時には粉末の飛散およ
び粒状物の凝集は認められなかった。ついでこの芯物質
200gを遠心流動型造粒コーティング装置(CF-360)に
入れ、90℃で転動(200 回転/分)させながら、硬化ヒ
マシ油(平均粒子径:25μm)およびタルク(平均粒子
径:10μm)の混合物(混合比、2:8)40gを徐々に
散布し付着させ、芯物質に対する被覆層の割合が20%で
ある徐放性製剤をえた(製剤1)。
【0043】さらに、上記硬化ヒマシ油とタルクの混合
物80gを、上記と同様に芯物質に散布して付着させ、芯
物質に対する被覆層の割合が40%の徐放性製剤をえた
(製剤2)。
【0044】実施例2 実施例1において、硬化ヒマシ油とタルクの混合物に代
えて、硬化ヒマシ油(平均粒子径:25μm)とステアリ
ン酸マグネシウム(平均粒子径:15μm)の混合物(混
合比、2:8)40g、60gおよび80gを用いるほかは、
実施例1と同様にして、芯物質に対する被覆層の割合が
それぞれ20%、30%および40%の徐放性製剤をえた(そ
れぞれ製剤3、4および5)。
【0045】実施例3 実施例1において、硬化ヒマシ油とタルクの混合物に代
えて、硬化ヒマシ油(平均粒子径:25μm)とステアリ
ン酸カルシウム(平均粒子径:5μm)の混合物(混合
比、2:8)60gおよび80gを用いるほかは、実施例1
と同様にして、芯物質に対する被覆層の割合がそれぞれ
30%および40%の徐放性製剤をえた(それぞれ製剤6お
よび7)。
【0046】実施例4 遠心流動型造粒コーティング装置(CF-360)に、ノンパ
レル(粒子径:710 〜840 μm)250 gを入れ、90℃で
転動させながらニコチン酸アミド(粒子径:5〜50μ
m)176 g、タルク(平均粒子径:10μm)20gおよび
硬化ヒマシ油(平均粒子径:25μm)44gの混合物を徐
々に散布し付着させて芯物質を調製した。芯物質の調製
時には粉末の飛散および粒状物の凝集は認められなかっ
た。ついでこの芯物質200 gを90℃で転動させながら、
ポリエチレングリコール6000(平均粒子径:100 μ
m)、硬化ヒマシ油(平均粒子径:25μm)およびステ
アリン酸マグネシウム(平均粒子径:20μm)を(0:
2:8)、(5:15:80)、(1:1:8)、(2:
0:8)となるように混合した粉末30gを徐々に散布し
付着させ、芯物質に対する被覆層の割合が15%である4
種の徐放性製剤をえた。
【0047】実施例5 実施例4において、ポリエチレングリコール6000、硬化
ヒマシ油およびステアリン酸マグネシウムの混合物に代
えて硬化ナタネ油(平均粒子径:30μm)とエチルセル
ロース(平均粒子径:5μm)の混合物(混合比、35:
65)75gを用いるほかは、実施例4と同様にして、芯物
質に対する被覆層の割合が15%である徐放性製剤をえ
た。
【0048】実施例6 実施例4と同様にしてえた芯物質500 gを70℃で転動さ
せながら、ステアリルアルコール(粒子径:250 μm以
下)および酸化チタン(平均粒子径:0.4 μm)の混合
物(混合比、1:9)150 gを散布し付着させ、芯物質
に対する被覆層の割合が、30%である徐放性製剤をえ
た。
【0049】実施例7 実施例4と同様にしてえた芯物質500 gを80℃で転動さ
せながら、ステアリン酸(粒子径:250 μm以下)、タ
ルク(平均粒子径:10μm)および沈降炭酸カルシウム
(平均粒子径:10μm)の混合物(2:6:2)150 g
を散布し付着させ、芯物質に対する被覆層の割合が、30
%である徐放性製剤をえた。
【0050】実施例8 遠心流動型造粒コーティング装置(CF-360)に、ノンパ
レル(粒子径:710 〜840 μm)250 gを入れ、90℃で
転動させながらテオフィリン(粒子径:5〜50μm)18
9 g、タルク(平均粒子径:10μm)21gおよび硬化ヒ
マシ油(平均粒子径:25μm)40gの混合物を徐々に散
布し付着させて芯物質をえた。芯物質の調製時には粉末
の飛散および粒状物の凝集は認められなかった。つい
で、この芯物質500 gを75℃で転動させながら、硬化ナ
タネ油(平均粒子径:30μm)、タルク(平均粒子径:
10μm)および乳糖(平均粒子径:50μm)を(2:
7:1)、(2:8:0)となるように混合した粉末を
150 gを徐々に散布し付着させ、芯物質に対する被覆層
の割合が30%である2種の徐放性製剤をえた。
【0051】実施例9 遠心流動型造粒コーティング装置(CF-360)に、精製白
糖(粒子径:150 〜180 μm)1000gを入れ、75℃で転
動させながら塩酸ジルチアゼム(粒子径:5〜50μm)
600 g、タルク(平均粒子径:10μm)200 gおよび硬
化ナタネ油(平均粒子径:30μm)200 gの混合物を徐
々に散布し付着させて芯物質をえた。芯物質の調製時に
は粉末の飛散および粒状物の凝集は認められなかった。
ついで、この芯物質1000gを75℃で転動させながら、硬
化ナタネ油(平均粒子径:30μm)およびタルク(平均
粒子径:10μm)の混合物(混合比、2:8)1000gを
散布し付着させ、芯物質に対する被覆層の割合が100 %
である徐放性製剤をえた。
【0052】実施例10 遠心流動型造粒コーティング装置(CF-360)にノンパレ
ル(粒子径:710 〜840 μm)500 gを入れ、35℃で転
動(200 回転/分)させる。3%ポリビニルピロリドン
含水エタノール溶液300 gを噴霧しながら、ニコチン酸
アミド(粒子径:5〜50μm)400 gを徐々に散布し付
着させ芯物質をえた。芯物質の調製時には粉末の飛散お
よび粒状物の凝集は認められなかった。ついでこの芯物
質500gを90℃で転動させながら、硬化ヒマシ油(平均
粒子径:25μm)とタルク(平均粒子径:10μm)の混
合物(混合比、2:8)150gを散布し付着させ、芯物
質に対する被覆層の割合が30%である徐放性製剤をえ
た。
【0053】試験例1 実施例1、2および3の芯物質ならびにえられた各徐放
性製剤(製剤1〜7)について、水900 mlを溶出液とし
て、37℃、パドル回転数100rpmの条件で溶出試験を実施
した。
【0054】結果は図2〜4に示すとおりであり、いず
れの徐放性製剤も溶出速度が制御されていること、また
被覆量(率)を変えることによっても溶出速度を調節す
ることができることがわかる。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、溶媒を用いずに薬物の
造粒から溶出制御層の形成までを連続して行なうことが
でき、造粒およびコーティング時の粒状物どうしの凝集
は極めて少なく、作業性、製造性ともに良好で、表面が
滑らかな真球度の高い球形顆粒が高い収率でえられる。
また、えられるコーティング層は緻密で均一なものであ
り、その結果、徐放性製剤として高い溶出制御能を付与
させることができる。本発明の製造法は、有機溶媒を使
用しないことから安全で、しかも複雑な設備および乾燥
工程を必要とせず、短時間に、低コストで徐放性製剤を
製造できる有用な手段である。さらに、コーティング量
およびコーティング組成を変えることで、種々の物理特
性の薬物に対して、その薬物に適した溶出速度をもつ徐
放性製剤を提供しうるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の徐放性粒状物の構造を示す説明図であ
る。
【図2】試験例1における、実施例1でえた徐放性製剤
の溶出試験結果を示すグラフである。
【図3】試験例1における、実施例2でえた徐放性製剤
の溶出試験結果を示すグラフである。
【図4】試験例1における、実施例3でえた徐放性製剤
の溶出試験結果を示すグラフである。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 担体の周囲に、加熱溶融した溶融性物質
    をバインダーとして形成された医薬化合物を含有する有
    効成分層を有し、さらに該有効成分層の周囲に加熱溶融
    した溶融性物質をバインダーとして形成された非溶融性
    溶出制御剤を含有する被覆層を設けてなる徐放性製剤。
  2. 【請求項2】 溶融性物質が溶融する温度条件下に、担
    体粒子を転動させながら、医薬化合物および溶融性物質
    を含有する混合物を加え、溶融した溶融性物質をバイン
    ダーとして担体の周囲に医薬化合物を含有する有効成分
    層を形成せしめて芯物質を調製し、ついで同条件下に溶
    融性物質および非溶融性溶出制御剤の混合物を添加し、
    溶融した溶融性物質をバインダーとして該芯物質の周囲
    に非溶融性溶出制御剤を含有する被覆層を設けることを
    特徴とする徐放性製剤の製造法。
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