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JP2521880B2 - 電子電気機器用銅合金とその製造法 - Google Patents

電子電気機器用銅合金とその製造法

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JP2521880B2
JP2521880B2 JP5177225A JP17722593A JP2521880B2 JP 2521880 B2 JP2521880 B2 JP 2521880B2 JP 5177225 A JP5177225 A JP 5177225A JP 17722593 A JP17722593 A JP 17722593A JP 2521880 B2 JP2521880 B2 JP 2521880B2
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Japan
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alloy
electronic
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真人 浅井
章二 志賀
好正 大山
重雄 篠崎
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Furukawa Electric Co Ltd
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Furukawa Electric Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子電気機器、特に半導
体リード材、コネクター、スイッチ、リレーなどの接点
ばね、端子等として強度、導電性、メッキ性、半田付け
性等の実用特性に優れた銅合金とその製造法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】電子電気機器の部品や部材にはCu合金
が多用されているが、近時小型化、高密度化、高精度化
に加えて経済性が強く志向され、従来の純Cu、黄銅、
リン青銅に替ってより高性能と経済性が要求されるよう
になった。例えば黄銅に比べてはるかに機械的特性が優
れたリン青銅でも応力腐食割れ(SCC)感受性に加え
て、電子電気用途に普遍的な半田接合の信頼性の問題が
大きい。これと同種の欠陥として電気接点や接続部に貴
金属に代えてSnやSn−Pb合金(半田)メッキを用
いる場合、経時的に密着性が失なわれ、前記半田接合部
と同様に剥離現象を起す。これはCuとSnとの拡散反
応に起因する現象で100℃以下の低温でも進行するた
め、特公昭51−41222号公報や特開昭49−10
8562号公報に例示される如く厚いCuやNiのバリ
ヤー層をメッキ等により予め形成する等余分の工程を必
要とする。
【0003】このため一部ではCu−Fe合金、例えば
C194(2.3wt%Fe,0.12wt%Zn,
0.03wt%P,残部Cu)(以下wt%を%と略
記)やC195(1.5%Fe,0.6%Sn,0.2
%Co,0.03%P,残部Cu)等が用いられてい
る。これ等合金は多量のFe分をリン化物や金属単体状
に析出分散させたもので、精密な曲げ加工においてミク
ロクラックを起すばかりか、前記半田接合の信頼性に劣
る問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような状況下にお
いて、機械的強度や精密加工性の優れたCu−Sn合金
について、下記の欠点欠陥の改善が強く望まれている。
【0005】(1)高価なSnを節約して同等の強度を
発揮させること。 (2)強度と導電率は相反する関係にあるが、これをよ
り高い値で両立させること。 (3)SCCを起さないこと。 (4)半田接合やSn,Sn−Pb合金メッキの経時剥
離を起さないこと。 (5)熱間加工において割れなどの欠陥を起さない製造
上有利な組成であること。 (6)特別な設備を必要としない大気溶解鋳造で造られ
ること。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はこれに鑑み種々
検討の結果、電子電気機器、特に半導体リード材、コネ
クター、スイッチ、リレーなどの接点ばね、端子等とし
て強度、導電性、メッキ性、半田付け性等の実用特性に
優れた銅合金とその製造法を開発したものである。
【0007】本発明銅合金としては、Sn:0.05〜
2%,P:0.005〜0.1%,Mn:0.03〜
2.0%を含み、更にCr,Co,Ti,Zrの何れか
1種又は2種以上を合計0.05〜1%を含み、残部C
uからなることを特徴とするものである。
【0008】また本発明製造法は、Sn:0.05〜2
%,P:0.005〜0.1%,Mn:0.03〜2.
0%を含み、更にCr,Co,Ti,Zrの何れか1種
又は2種以上を合計0.05〜1%を含み、残部Cuか
らなる合金を700〜1050℃で熱間加工してから、
少なくとも400℃まで15℃/sec以上の速度で冷
却し、しかる後30%以上の冷間加工を行なってから、
400〜650℃で熱処理を施すことを特徴とするもの
である。
【0009】即ち本発明は上記組成の合金からなり、そ
のインゴットを700〜1050℃で熱間加工してか
ら、少なくとも400℃まで15℃/sec以上の速度
で冷却し、その後30%以上の冷間加工を施し、しかる
後400〜650℃で熱処理を施すことにより造られ
る。また本発明合金は上記熱処理後、更に加工して所望
サイズに仕上げてから200〜400℃の低温焼鈍を施
せば、強度を失うことなく、伸びや応力緩和抵抗を向上
することができる。そして特に半導体リード材や電気機
器類のように導電性及び耐熱性が重視されるものではS
n含有量を0.1〜2%とする。
【0010】
【作用】本発明合金はCr,Co,Ti,Zrの析出を
併用したCu−Sn固溶体合金であり、同一Sn量の合
金に対し、強度、導電率を向上することができる。添加
元素や組成にもよるが大略Sn量の1〜2%分に相当す
るので、経済的にも有利である。上記添加元素は金属単
体、Pとの化合物、特にZrはCuZr,TiはTi
Snとして微小な析出物となり、Cu−Sn合金のSC
C感受性を大巾に改善抑制することができる。
【0011】本発明ではPを0.005〜0.1%と通
常のリン青銅のP量(0.1〜0.25%)より低濃度
化し、替りにZnやMnを脱酸剤として利用したもので
ある。Pの低下は熱間加工時の割れの主因となるCu−
P、Cu−Sn−P等の低融点相の形成を防止し、Sn
メッキや半田付け性を大巾に改善する。即ち剥離したメ
ッキや半田接合部は何れも黒色を呈し、CuやSnの他
に濃縮したPが検出される。これはメッキや半田とリン
青銅との界面に形成されるCuとSnの金属間化合物
(η′相とε相)のうちリン青銅側のε相にリン青銅中
のPが拡散濃縮し、ε相が一層脆化することにより、半
田接合部の強度を低下するものである。
【0012】本発明はPを0.005〜0.1%に抑え
ることにより上記脆化現象を防止したもので、Mnの添
加は上記脆化現象を防止するばかりか、熱間加工性の向
上や機械的性質をも改善する。上記のZn、Mnの作用
のメカニズムは不明であるが、CuとSnとの拡散反応
に関与して脆化層の発生を抑止するものと推される。熱
間加工性はCu−Sn合金、特にSn3〜8%の高Sn
合金の課題であり、粒界におけるSn偏析や、上記Pの
作用に因る。Cr,Co,Ti,Zr等の添加元素も結
晶微細化して上記偏析を防止し、熱間加工性を改善する
ものである。またV,Mg,Be,Fe,Te,Sb,
Bi,Y,希土類元素についても同様の効果が見られ
た。
【0013】しかしてMnの含有量を0.03〜2.0
%と限定したのは、下限未満では十分な効果が得られ
ず、上限を越えると導電率や加工性、特に曲げ成形性を
低下させるためである。またCr,Co,Ti,Zrの
何れか1種又は2種以上(以下Cr等と略記)の合計含
有量を0.05〜1%と限定したのは、0.05%未満
では上記効果を発揮し難く、1%を越えると冷間等の加
工性を阻害するためである。またP含有量を0.1%以
下と限定したのは、これを越える過剰の濃度では、上記
改善効果が実用的に発現され難いためである。即ち過剰
のPはCr等と結合し、Cr等の添加効果を減少せしめ
るばかりか、加工性を阻害する。
【0014】本発明合金は析出硬化を利用したものであ
り、700〜1050℃の高温熱間加工後、15℃/s
ec以上の速度で少なくとも400℃まで冷却するのは
上記析出物の析出を抑制するためであり、冷却速度が1
5℃/sec未満では粗大粒状析出を起し、上記の効果
が得られない。また30%以上の冷間加工を施してから
400〜650℃で熱処理するのは加工歪により均一微
細な析出を起させるためであり、加工率30%未満の加
工歪では均一微細な析出が得られない。
【0015】
【実施例】表1に示す組成の合金を木炭被覆の黒鉛ルツ
ボにより溶解し、金型に鋳造して小型鋳塊(3kg)と
してから外削し、厚さ10mmの板とした。これを90
0℃に加熱してから厚さ1.2mmまで熱間圧延した。
上り温度は710〜750℃であり、これを直ちに水冷
した。400℃迄の冷却速度は約20℃/secであっ
た。これを酸洗してから厚さ0.6mm迄冷間圧延し、
550℃で30分間熱処理した。更にこれを0.21m
m迄圧延してから310℃で20分間低温焼鈍を行なっ
た。これ等について導電率、引張強さ、伸び、曲げ性、
半田接合強度、SCCを調べ、その結果を表2に示す。
【0016】曲げ性は各種先端半径(R)の押し棒と9
0°溝ダイスを用い、プレスにより折り曲げ、角部のミ
クロクラックを検査し、割れ発生のない最小Rと板厚
(t)の比で比較した。半田接合強度はリード線を半田
付け(4.5mm)した後、150℃に300時間エ
ージングしてからプル強度を測定し、半田接合の経時劣
化を比較した。SCCはJISC8306に従い、3V
ol%NHガス中で40kg/mmの定荷重をか
け、破断するまでの時間を求めた。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】表1及び表2から明らかなように本発明合
金No.1は何れの特性も優れており、従来のリン青銅
からなる比較合金No.4と比較して高い導電率を示す
ことが判る。特に比較合金No.4では熱間圧延時にコ
バ割れを起すばかりか、SCCをも起し、更に半田接合
強度も劣るのに、本発明合金No.1では、熱間圧延時
にコバ割れを起すことがなく、SCCも抑制され、半田
接合強度も改善されることが判る。
【0020】また本発明合金の組成範囲から外れる比較
合金No.2〜4では、要求される特性の何れか一つ以
上が劣ることが判る。即ちMnやCr等を含まない比較
合金No.4ではSCCを起すばかりか、半田接合強度
も劣り、またMnの含有量が多い比較合金No.2では
導電率の低下が著しい。またP含有量の多い比較合金N
o.3では曲げ性が劣り、Cr等の含有量が多い比較合
金No.5では熱間圧延において割れが著しく、その後
の加工を中止した。
【0021】
【発明の効果】このように本発明によれば、Cu−Sn
合金の優れた機械的強度や精密加工性を活かしつつ上記
改善点(1)〜(6)のすべてを改善したもので電子電
気機器、特に半導体リード材、コネクター、スイッチ、
リレーなどの接点ばね、端子として強度、導電性、メッ
キ性、半田付け性等の実用特性を満足することができる
等工業上顕著な効果を奏するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 篠崎 重雄 栃木県日光市清滝町500番地 古河電気 工業株式会社 日光電気精銅所内 (56)参考文献 特開 昭59−153853(JP,A) 特公 昭61−413(JP,B2) 特公 昭60−59979(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Sn:0.05〜2wt%,P:0.0
    05〜0.1wt%,Mn:0.03〜2.0wt%を
    含み、更にCr,Co,Ti,Zrの何れか1種又は2
    種以上を合計0.05〜1wt%を含み、残部Cuから
    なる電子電気機器用銅合金。
  2. 【請求項2】 Sn:0.05〜2wt%,P:0.0
    05〜0.1wt%,Mn:0.03〜2.0wt%を
    含み、更にCr,Co,Ti,Zrの何れか1種又は2
    種以上を合計0.05〜1wt%を含み、残部Cuから
    なる合金を700〜1050℃で熱間加工してから、少
    なくとも400℃まで15℃/sec以上の速度で冷却
    し、しかる後30%以上の冷間加工を行なってから、4
    00〜650℃で熱処理を施すことを特徴とする電子電
    気機器用銅合金の製造法。
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