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JP2581736B2 - 芳香族ポリイソシアナートおよびその製造方法 - Google Patents

芳香族ポリイソシアナートおよびその製造方法

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JP2581736B2
JP2581736B2 JP63055043A JP5504388A JP2581736B2 JP 2581736 B2 JP2581736 B2 JP 2581736B2 JP 63055043 A JP63055043 A JP 63055043A JP 5504388 A JP5504388 A JP 5504388A JP 2581736 B2 JP2581736 B2 JP 2581736B2
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耕造 林
勝好 笹川
彰宏 山口
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、芳香族ポリイソシアナートおよびその製造
方法に関する。本発明のイソシアナートは新規な構造の
ポリイソシアネートであり、ポリウレタン樹脂やポリウ
レア樹脂の原料として発泡体、弾性体、合成皮革、接着
剤、フィルム等多方面に使用する事が出来る。
(従来の技術) 芳香族ポリイソシアナートとして従来より公知のもの
は一般式(e)で示される、ポリフェニルメタンポリイ
ソシアナート所謂 P−MDIがよく知られ、ポリウレタン樹脂、ポリウレア
樹脂の原料として多方面に使用されている。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、上記P−MDIとは構造の全く異なる、ポリ
ウレタン樹脂、ポリウレア樹脂等の原料として新たな用
途が期待される、新規な芳香族ポリイソシアナートを提
供する事を課題としている。
(課題を解決するための手段および作用) 本発明者らは、上記した課題を達成するために鋭意検
討した結果、特定の構造を有する芳香族アミン樹脂又は
その塩を用いることによって本発明の課題が達成される
ことを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、 一般式(a) (式中、Aはフェニレン基、アルキレン基、アルキル置
換フェニレン基、ジフェニレン基、ジフェニルエーテル
基又はナフチレニル基を示し、R1は水素原子、ハロゲン
原子、炭素数4以下の低級アルコキシ基又は炭素数5以
下の低級アルキル基を示し、かつR1は互いに同一であっ
ても異なってもよく、は1又は2を示し、は0〜3
の整数を示し、は0〜300の整数を示す。)で表され
る芳香族ポリイソシアナートであり、更には、 一般式(b) (式中、A、R1は請求項1に記載のものと
同じ) で表される芳香族アミン樹脂又はその塩とホスゲンを反
応させることを特徴とする一般式(a)で示される芳香
族ポリイソシアナートの製造方法である。
一般式(b)で表される芳香族アミン樹脂は最近開発
されたばかりの全く新規の化合物であり、その性状およ
び製造法は、特開平1−95125号および特開平1−12382
8号に詳細に記述されている。
本発明の一般式(a)で表される芳香族ポリイソシア
ナートの製法について述べる。
本発明の芳香族ポリイソシアナートは前述の一般式
(b)で表される芳香族アミン樹脂を直接ホスゲンと反
応させる方法、又は、一般式(b)で表される芳香族ア
ミン樹脂の塩酸塩等の塩を予め合成し、これを不活性溶
媒中に懸濁させてホスゲンと反応させる方法によって製
造される。
前者の方法は“冷熱二段ホスゲン化”と呼ばれ、反応
の実施態様は特に限定はないが、一般にはホスゲンガス
導入管を備えた反応系内が充分に攪拌可能な反応器に不
活性溶媒の存在下、反応系内を0〜5℃に冷却しホスゲ
ンガスを導入し、ホスゲンを不活性溶媒に所定量溶解さ
せ、その後、所定量のホスゲンガスを導入しながら不活
性溶媒に溶解した上記芳香族アミン樹脂溶液を添加す
る。この間反応液の温度を15℃以下に保ち、発生する塩
化水素と過剰ホスゲンは還流冷却器を通して逃がす。反
応器内容物はスラリ状となる。主反応はカルバミルクロ
リドおよびアミン塩酸塩の生成である。アミン溶液の添
加後、所定時間反応を続ける。以上を冷ホスゲン化と称
する。
次に反応系内を過熱し約1時間で140℃に昇温する。
昇温時には溶解ホスゲンが気化して泡立ちやすいので、
冷ホスゲン化時に比較してホスゲン流量を所定量に減少
させる。昇温後、所定時間反応を続ける。スラリが完全
に溶解すれば反応終了とする。以上を熱ホスゲン化と称
する。なお熱ホスゲン化の主反応はカルバミルクロリド
イソシアナートへの分解とアミン塩酸塩のイソシアナー
トへのホスゲン化である。
熱ホスゲン化終了後、反応系内を160℃に加熱し窒素
ガスを所定量吹き込み、溶解ガスを除き、未反応のカル
バミルクロリドの分解を充分に行う。次いで冷却後、減
圧下不活性溶媒を留去し芳香族ポリイソシアナートを得
る。
後者の方法は“アミン塩酸塩のホスゲン化法”と呼ば
れるもので、予め上記芳香族アミン樹脂の塩酸塩を合成
する。塩酸塩の合成法は周知の方法で、芳香族アミン樹
脂を塩化水素又は濃塩酸と処理する事により容易に得ら
れる。充分に乾燥し、微粉砕化された上記の芳香族アミ
ン塩酸塩を前述の“冷熱二段ホスゲン化法”で用いたの
と同様な反応器内で不活性溶媒に分散させ、反応温度を
80〜150℃に維持し、ホスゲンガスを導入しイソシアナ
ートを合成する。反応の進行は、発生する塩化水素のガ
スの量と原料の不活性溶媒に不溶の芳香族アミン塩酸塩
が消失し、反応液が透明均一になる事により推測でき
る。発生する塩化水素と過剰のホスゲンガスは還流冷却
器を通して逃がす。反応終了後に反応溶媒中に窒素ガス
を導入し溶存しているホスゲンを除き、冷却後濾過した
後、不活性溶媒を減圧下留去し芳香族ポリイソシアナー
トを得る。
導入するホスゲンの量は“冷熱二段ホスゲン化法”及
び“アミン塩酸塩のホスゲン化法”共理論量の3倍から
10倍量用いれば充分である。又不活性溶媒としては芳香
族炭化水素または塩素化芳香族炭化水素であり、好まし
くはオルトジクロベンゼンである。
(実施例) 以下、実施例により本発明を具体的に説明する。実施
例は一般式(a)に於いて特にAがp−フェニレン基、
R1が水素原子、が1であるポリパラキシリレンポリフ
ェニルポリイソシアナート(c)について記述するが、
本発明は以下 の実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1) 一般式(b)′で示されるポリパラキシリレンポリア
リニンを 原料としてホスゲン化を行った。原料のポリアニリン樹
脂の分子量分布はGPCカラムによる高速液体クロマトグ
ラフィーにより組成分析した結果、一般式(b)′のn
=0は76.3wt%、n=1は18.7wt%、n=2は4.3wt
%、n=3以上は0.7wt%であり、平均分子量は約350、
過塩素酸−氷酢酸法によるこの樹脂のアミン当量は0.65
3eq/100gであった。攪拌後、温度計、ホスゲンガス導入
管、冷却管、滴下ロートを装備した2反応フラスコに
オルトジクロルベンゼン682gを装入し、攪拌下、反応フ
ラスコを氷水浴につけ内温を1〜2℃にし、ホスゲンガ
スを100g/時の割合で導入した。次いでオルトジクロル
ベンゼン704gに溶解した上記ポリアニリン樹脂100gを45
分間で滴下した。滴下時も100g/時の割合でホスゲンガ
スを導入した。この時の温度は2〜8℃、更に30分間ホ
スゲンガスを100g/時の割合で導入しながら4〜5℃で
冷ホスゲン化を行った。冷ホスゲン化により反応フラス
コ内はカルバミルクロリドとアミン塩酸塩の生成により
黄緑色のスラリ状を呈した。次いで反応フラスコをマン
トルヒーターにより過熱を行い、約45分間で140℃まで
昇温した。昇温時も100g/時の割合でホスゲンガスを導
入した。昇温の過程でスラリは激しく塩化水素ガスを出
しながらオルトジクルベンゼンに完溶した。更に140℃
の状態で100g/時の割合でホスゲンガスを導入しながら
熱ホスゲン化を行った。冷熱二段ホスゲン化で合計525g
のホスゲンガスを導入した。これは論理量の8.1倍であ
った。次いで反応液を160℃まで昇温後、2時間窒素ガ
スを500ml/分の割合で導入し、溶存ガスを除き、又未反
応のカルバミルクロリドを充分に分解した。冷却後、僅
かの不溶物を濾過して除いて、減圧下(約1mmHg)オル
トジクロルベンゼンを留去し、ポリパラキシリレンポリ
フェニルポリイソシアナート119.8gを得た。分析結果は
NCO%23.5%(理論値23.5%)、加水分解性塩素0.28wt
%、酸分0.063%、残存ODCBは47ppmであった。なお、こ
の芳香族ポリイソシアナートの1R分析の結果を第1図に
示した。
実施例2 実施例1で得られた芳香族ポリイソシアナート30gを
減圧蒸留の操作で精製を行った。沸点210〜220℃/0.2mm
Hg、蒸留フラスコの油浴温220〜240℃で黄色透明液体約
20gを得た。この液状物は速やかに固化して融点45〜48
℃の結晶になった。この液状物は実施例1で得られた芳
香族ポリイソシアナート一般式(c)に於いてn=0の
パラキシリレンジフェニルイソシアナートである事が以
下の示す分析の結果明らかとなった。
・元素分析(C22H16N2O2) C H N 計算値(%) 77.63 4.74 8.23 分析値(%) 77.86 4.35 8.25 ・NCO% 分析値24.65%(計算値24.69%) ・IR 第2図 ・H−NMR(CDCI3,TMS)ppm δ 3.92(4H -CH2-×2) 7.10(12H Ph-H4×3) 実施例3 実施例1と同様に一般式(b)′で示されるポリパラ
キシリレンポリアニリンを原料としてホスゲン化を行っ
た。原料のポリアニリン樹脂の分子量分布は、実施例1
と同様な組成分析によれば、n=0は56.5wt%、n=1
は26.5wt%、n=2は10.1wt%、n=3は5.6wt%、n
=4は1.3wt%であり、平均分子量は約423、過塩素酸−
氷酢酸法によるこの樹脂のアミン当量は0.633eq/100gで
あった。このポリアニリン樹脂100gをオルトジクロルベ
ンゼン704gに溶解し、実施例1と同様の方法でホスゲン
化を行った。冷熱二段ホスゲン化で合計400gのホスゲン
ガスを導入した。これは理論量の6.4倍であった。次い
で反応液から溶存ガスを除き、又、カルバミリクロリド
を充分に分解した。冷却後、ろ過が行い、次いで減圧下
にオルトジクロルベンゼンを留去し、ポリパラキシリレ
ンポリフェニルポリイソシアナート103.5gを得た。分析
したところ、NCO%23.1%、加水分解性塩素0.41wt%、
酸分0.10%であった。
(発明の効果) 本発明に方法によって得られる芳香族ポリイソシアナ
ートは、従来より知られていない全く新規な化合物であ
り、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂等の原料として
新規な用途が期待される。又この芳香族ポリイソシアナ
ートから高真空蒸留等の操作で、一般式(a)に於いて
Aがp−フェニレン基、R1が水素原子、が1、が0
の比較的低分子の芳香族ポリイソシアナート(芳香族ジ
イソシアナート)が得られ、これも全く新規な化合物で
あり新しい用途が期待される。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1におけるポリパラキシリレンポリフェ
ニルポリイソシアナートのIRチャートであり、第2図は
実施例2におけるパラキシリレンジフェニルイソシアナ
ートのIRチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−95125 (JP,A) 特開 平1−123828 (JP,A) 特開 昭50−130850(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(a) (式中、Aはフェニレン基、アルキレン基、アルキル置
    換フェニレン基、ジフェニレン基、ジフェニルエーテル
    基又はナフチレニル基を示し、R1は水素原子、ハロゲン
    原子、炭素数4以下の低級アルコキシ基又は炭素数5以
    下の低級アルキル基を示し、かつR1は互いに同一であっ
    ても異なってもよく、1は1又は2を示し、mは0〜3
    の整数を示し、nは0〜300の整数を示す。) で表される芳香族ポリイソシアナート。
  2. 【請求項2】一般式(b) (式中、A、R1、1、m、nは式(a)の場合と同じ意
    味を示す。) で表される芳香族アミン樹脂又はその塩とホスゲンを反
    応させることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリ
    イソシアナートの製造方法。
  3. 【請求項3】Aがp−フェニレン基、R1が水素原子、1
    が1である請求項1に記載の芳香族ポリイソシアナー
    ト。
  4. 【請求項4】nが0である請求項3に記載の芳香族ポリ
    イソシアナート。
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