JP2576039B2 - 陰茎挙上器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の技術分野】この発明は、男性のすべての年齢層
においてかなり多く現われている陰茎勃起不全症患者の
手術的治療のための陰茎挙上器に関する。

【０００２】この発明の明細書において、陰茎挙上器と
は、陰茎勃起不全症患者の下腹部及び陰茎の皮下に手術
的方法により矯正をして、陰茎勃起不全症患者が自在に
性交行為を行いうる装置を意味し、この発明による陰茎
挙上器は、陰茎の膨張又は収縮にしたがって、支持手段
に対し、シリンダー部材が伸長又は収縮されるように構
成されている。

【０００３】

【従来の技術】陰茎勃起不全症患者が性生活を行いうる
よう考案された陰茎補形物（Ｐｅｎｉｌｅ Ｐｒｏｓｔ
ｈｅｓｉｓ）としては、米国特許明細書第４，１５１，
８４１号、同第４，２６７，８２９号、同第４，８０
７，６０８号及び同第５，１２９，８８０号などがあ
る。

【０００４】これらの米国特許明細書に開示されている
陰茎補形物は陰茎勃起不全症患者の陰茎に固定させよう
とすれば、陰茎勃起不全症患者の陰茎を構成する海綿体
を手術用ナイフで切開し、上記海綿体内部に屈曲できる
か、膨張できる陰茎補形物を固設する手術的治療方法に
より行われていた。

【０００５】このように、従来の陰茎補形物を手術的方
法により、陰茎の海綿体内に固定する陰茎勃起不全症患
者の治療方法は、陰茎の内部組織である海綿体を破壊し
た後、その内部に陰茎補形物を入れて固設すべきである
ため、手術作業が煩雑で、かつ勃起不全の原因が精神的
な場合や、その他治療できる肉体的な場合においては、
その原因が回復された場合、陰茎の海綿体内部に固定さ
れている補形物を取り除いても、陰茎の海綿体が完全に
破壊されているため、海綿体を原状態に取り戻すことが
できないため、永久的に陰茎勃起不全症患者になるとい
う問題点があった。

【０００６】さらに、陰茎の海綿体内部に固設された陰
茎補形物が常時一定の直立状態で固定されているため、
行動の不自然のゆえ、社会活動などに制約をうけるなど
の問題があった。

【０００７】

【発明の目的】従って、この発明は、上記種々の問題点
に鑑みてなされたものであって、この発明の目的は、陰
茎勃起不全症患者を安全、かつ簡便に治療して、性生活
ができるよう、陰茎と下腹部の皮下に手術的に支持固定
できる陰茎挙上器を提供することにある。

【０００８】この発明のさらに他の目的は、陰茎の勃起
不全症が精神的又は肉体的原因の場合、精神的又は肉体
的な陰茎勃起不全症が回復された場合には、陰茎と下腹
部の皮下で、手術方法により容易に除去できる陰茎挙上
器を提供することにある。

【０００９】この発明のさらに他の目的は、陰茎の勃起
（膨張）にしたがって伸長（拡張）されるとともに、陰
茎の収縮にしたがって収縮される陰茎挙上器を提供する
ことにある。

【００１０】この発明のさらに他の目的は、陰茎と下腹
部の皮下に固定されて容易に屈伸できる陰茎挙上器を提
供することにある。

【００１１】

【発明の構成】上記のごとき目的を達成するために、こ
の発明は、小径のステンレス鋼からなり、外表面がシリ
コンにより被覆された支持台（１）と、上記支持台
（１）の外側支持台（１ｂ）に一側が固着され、他側が
開口されている固定手段（２）と、上記固定手段（２）
の開口部に挿入されて機械力により固着される複数の銀
線からなる支持手段（３）と、上記支持手段（３）の外
周面に挿入され、陰茎の膨張又は収縮にしたがって、上
記支持手段（３）に対し自在にスライディングされて、
伸長又は収縮されるシリンダー部材（４）と上記シリン
ダー部材（４）の先端部に配設され、陰茎の亀頭下部の
皮下内で陰茎の直径方向外周面を取り囲むシリコンリン
グ（６）とからなることを特徴とする陰茎挙上器を要旨
とする。

【００１２】

【実施例】以下、この発明の一実施例について、添付図
面に沿って詳述する。

【００１３】図１ないし図５に示すごとく、この発明の
一実施例による陰茎挙上器は、人体下腹部の皮膚内の手
術方法により固定されるステンレス製の支持台（１）
と、上記支持台（１）の固定部材（２）に一側が挿固さ
れる支持手段（３）と、上記支持手段（３）の外周面に
スライディングできるように嵌合されて陰茎の勃起又は
収縮にしたがって、収縮又は伸長されるシリンダー部材
（４）と、シリンダー部材（４）の先端部に固定され、
陰茎の亀頭下端皮下部に外嵌されるシリコンリング
（６）とからなっている。

【００１４】上述において、支持台（１）は、小径のス
テンレス鋼のパイプにより方形状からなるものであっ
て、この支持台（１）は、中央部に捩れなどを防止する
べく支持台（１ａ）の両端部が溶接などにより配設され
ており、この支持台（１ａ）に対し外側支持台（１ｂ）
の中央には、支持手段（３）の一側が挿入された後、機
械力により支持手段（３）を固着させる一対の固定部材
（２）が溶接などにより固定されている。支持台（１）
の外表面は医療用シリコンで被覆されている。固定部材
（２）は支持台（１）をなすステンレスと同様の材質か
らなるパイプ状のものであって、複数本の細銀線の筋か
らなる支持手段（３）の端部側（図１、図３の支持手段
（３）の下部側）を固定部材（２）の開口部に夫々挿入
後、固定部材（２）の外周面を機械的に圧着することに
より、支持手段（３）が固定部材（２）の固定される。

【００１５】一方、多数筋の銀線からなる支持手段
（３）は図２及び図４に示すごとく、外部表面がテフロ
ンＰＦＡ、ポリエチレン又は人造ゴムなどの被覆層（１
０）によって被覆されており、この被覆層（１０）の外
周面は、医療用シリコンなどからなるシリコン被膜層
（１２）により被覆されている。

【００１６】さらに、シリンダー部材（４）は、支持手
段（３）を収容するとともに、陰茎の勃起又は収縮にし
たがって、支持手段（３）に対し、スライディングでき
るように長手方向に沿って中空部が形成され、シリンダ
ー部材（４）の中空部は長手方向に対し垂直に切断した
場合の断面が正円又は長円状などいろいろな形状で形成
することもできるが、長円状で形成するのが施術した場
合、見かけがいい。

【００１７】また、上記シリンダー部材（４）の長さ
は、支持手段（３）の長さと同一か、やや短かく形成す
るほうが好ましく、シリンダー部材（４）には、この発
明の陰茎挙上器を手術によって人体の陰茎皮下に固定さ
せた場合、体液の循環を自在にして、炎症がおこらない
ように、多数個の孔（５）が形成されている。

【００１８】また、上記シリンダー部材（４）の先端部
には、一側の開放されたシリコンリング（６）が図示の
ない接着手段により固定されている。ここで、シリンダ
ー部材（４）とシリコンリング（６）は、シリコンを押
出成形することにより、相互一体に形成することもで
き、シリンダー部材（４）とシリコンリング（６）は、
１〜８０度の硬度をもつのが望ましいが、シリコンリン
グ（６）の硬度をシリンダー部材（４）の硬度よりいさ
さか小に形成するのが好ましい。

【００１９】上記シリコンリング（６）は、陰茎亀頭下
部の皮下内に配設され、陰茎の直径方向外周面を取り囲
むものであって、シリコンリング（６）の一側を開放さ
せる理由は、陰茎の膨張又は収縮にしたがって、陰茎が
直径方向へ膨張又は収縮が容易になるようにするための
ものである。

【００２０】図６は、この発明の他の実施例による陰茎
挙上器の図示であって、同図に示す陰茎挙上器が図１な
いし図５のこの発明の一実施例と異なる点は、支持台
（１）の外側支持台（１ｂ）に一つの固定手段（２０）
が固着されており、この一つの固定部材（２０）に細銀
線筋からなる一筋の支持手段（３０）の一端部を挿入し
たのち、機械的に圧着し、固定手段（２０）に支持手段
（３０）を固定したものである。

【００２１】このように構成されたこの発明の一実施例
による陰茎挙上器の作用及び効果について述べる。

【００２２】まず、ステンレスパイプを切断して溶接す
ることにより、図１に示すごとく外側支持台（１ｂ）と
中間支持台（１ａ）とからなる支持台（１）を作ったの
ち、外側支持台（１ｂ）の中央部の近傍に一対の固定手
段（２）を溶着し、これらの支持台（１）と固定手段
（２）外表面を触りが柔らかいようにシリコンで被覆す
る。

【００２３】その後、支持台（１）に固着された一対の
固定手段（２）の開口部内に２筋の支持手段（３）の端
部を夫々挿入後、機械的に圧着して、固定手段（２）に
支持手段（３）端部を固着させる。このさい、支持手段
（３）の外表面にはテフロンなどにより、被覆層（１
０）がかぶされているため、この被覆層（１０）と固定
手段（２）との内周面が固く気密に固定されるのであ
る。

【００２４】上述において、支持手段（３）は、細い多
数本の銀線からなり、これら銀線の外周面をテフロンに
よる被覆層（１０）でおおった後、中央部を折ることに
より、支持手段（３）の両端部は固定手段（２）の開口
部に挿入することができる。

【００２５】つぎに、支持手段（３）と固定手段（２）
の表面をシリコンで被せてシリコン被膜層（１２）をつ
くった後、先端部にシリコンリング（６）を付着させた
シリンダー部材（４）の開口部側（詳しくは、基端部
側）をとおして支持手段（３）を挿入する。

【００２６】このように、シリンダー中空部内に支持手
段（３）がスライディングできるように挿入されたこの
発明による陰茎挙上器を、手術的方法により陰茎勃起不
全症患者の下腹部と陰茎の皮膚（外皮）を切開し、支持
台（１）を下腹部の皮下に、さらに支持手段（３）に外
嵌されたシリンダー部材（４）とシリンダー部材（４）
の先端部に固定されたシリコンリング（６）を陰茎皮下
に固定させる。

【００２７】このように、陰茎勃起不全症患者の下腹部
と陰茎にかけてこの発明の陰茎挙上器を固定させた状態
で患者の性的欲求により陰茎が拡張（膨張）された場合
には、シリンダー部材（４）が支持手段（３）に対し、
図３の矢印Ｑの反対方向へスライディングされながら伸
長されるため、性生活をしうるとし、さらに、性行為を
すませたのちには、陰茎の収縮につれてシリンダー部材
（４）が図３の矢印Ｑ方向へスライディングされ、長さ
が収縮される。このさい、シリンダー部材（４）には、
体液を通過させる孔（５）が多く形成されているため、
シリンダー部材（４）は支持手段（３）を中心にスライ
ディングするさい、体液の媒介作用により、やわらかく
スライディングされる。

【００２８】一方、陰茎が全く膨張しない患者や又は早
漏症患者に、この発明の陰茎挙上器を手術方法により施
術して固定した場合には、この陰茎挙上器をそのまま伸
ばされた状態で保持されることにより、陰茎の不膨張状
態でも、常時性行為を行ないうるし、また、性行為後に
は陰茎挙上器の支持手段（３）を一定位置に曲げて位置
させることもできるため、日常生活に不便がない。

【００２９】つまり、この発明の陰茎挙上器を手術方法
により設置を終えた状態では、通常の陰茎機能をするこ
とができるのみならず、必要により望む状態で自在に調
整できるため、生活に何ら不便がない。

【００３０】上記においては、多数筋の銀線からなる支
持手段（３）の外表面をテフロンなどの被覆層（１０）
により覆うものについて述べたが、この発明は、これに
限定されず、例えば、支持手段（３）の堅固性のため、
複数筋の細銀線を撚った後、テフロンなどにより被覆し
ても、この発明の概念から逸脱するものではない。ま
た、上記において、シリンダー部材（４）の先端部に固
着されるシリコンリング（６）を第１〜５及び図６のご
とく、一つだけが固着されたものを例として述べたが、
この発明はこれに限定されず、例えば、シリンダー部材
（４）の先端近くに一つ以上（２或は３つ）を固着して
も、この発明の概念から外れるのではない。

【００３１】さらに、この発明は、陰茎勃起不全症患者
の多様な身体条件や、患者の症状程度にしたがって、形
状などをいささか異なるようにするか、陰茎の長さ、太
さにしたがって、適した大きさに、選択的につくって使
用することもできる。つまり、陰茎に設けられた支持手
段（３）は、きわめて屈折容易なる銀線からなっている
ため、この支持手段（３）を立てると、陰茎が勃起した
状態と同じくなるため、陰茎の機能が円滑に発揮でき、
かつこのほかにも適宜な状態で折曲させて活動できる。

【００３２】とりわけ、この発明においては、支持手段
（３）の外部に支持手段（３）と略同じ長さのシリンダ
ー部材（４）が嵌入されているため、陰茎勃起及び収縮
時に、シリコンリング（６）を付されたシリンダー部材
（４）が、支持手段（３）に嵌入された状態で、上下に
スライディングするため、支持手段（３）からシリンダ
ー部材（４）が脱げるおそれがなく、シリンダー部材
（４）に形成された多数の孔（５）をとおして体液が円
滑に循環されるため、炎症の生じるおそれも最少化でき
る。

【００３３】

【発明の効果】上述のように、この発明の陰茎挙上器に
よれば、陰茎挙上器を陰茎勃起不全症患者に手術方法に
より、陰茎と下腹部の皮下に固定する場合、従来のよう
に、陰茎の内部組織の海綿体を破壊する煩雑な手術をす
ることなく、上記患者の下腹部と陰茎の皮膚下に、上記
陰茎挙上器を手術方法により安全かつ、簡便に固設でき
るため、上記患者の身体に負担を与えずに精神的に安定
された状態で、簡便に治療でき、かつ必要により、時と
処にこだわらずに、陰茎を自在に曲げたり、立てて、陰
茎の円滑な機能ができるため、日常生活においても全く
支障をもたらすことのない優れた効果がある。

【００３４】また、上記陰茎挙上器によれば、患者の身
体条件なり症状の程度により、陰茎挙上器の長さと太
さ、形状を異なるようにつくって、上記患者の陰茎に設
けることにより、手術的治療が極大化でき、さらに、患
者の生活環境の変化、その他の、自家又は通院治療など
を続けることにより、精神、肉体的原因による陰茎勃起
不全症が治療され、陰茎の機能が正常化されると、下腹
部と陰茎の皮膚下に埋没されている陰茎挙上器を簡単に
除去することにより、陰茎機能を１００％に、原状態に
戻すことができるという、きわめて優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例による陰茎挙上器の斜視図
である。

【図２】図１のＡ部分を、シリコン被膜層及び被覆層を
除去した状態で示す拡大断面図である。

【図３】図１のII−II線断面図である。

【図４】図３のＢ部分の拡大断面図である。

【図５】図１のIII −III 線断面図である。

【図６】この発明の他の実施例による陰茎挙上器の斜視
図である。

【符号の説明】

１…支持台 １ａ…支持台 ２…固定部材 ３…支持手段 ４…シリンダー部材 ５…体液循環孔 ６…シリコンリング

Claims (7)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 小径のステンレス鋼からなり、外表面が
   シリコンにより被覆された支持台（１）と上記支持台
   （１）の外側支持台（１ｂ）に一側が固着され、他側が
   開口されている固定手段（２）と、上記固定手段（２）
   の開口部に挿入されて機械力により固着される複数の銀
   線からなる支持手段（３）と、上記支持手段（３）の外
   周面に挿入され、陰茎の膨張または収縮にしたがって上
   記支持手段（３）に対し自在にスライディングされて、
   伸長または収縮されるシリンダー部材（４）と、上記シ
   リンダー部材（４）の先端部に配設され、陰茎の亀頭下
   部の皮下内で陰茎の直径方向外周面を取り囲むシリコン
   リング（６）とからなることを特徴とする陰茎挙上器。
2. 【請求項２】 上記支持手段（３）の外周面は、テフロ
   ンにより被覆された被覆層（１０）が形成されているこ
   とを特徴とする請求項１に記載の陰茎挙上器。
3. 【請求項３】 上記支持手段（３）を被覆した被覆層
   （１０）の外周面にはシリコン被膜層（１２）が形成さ
   れていることを特徴とする請求項２に記載の陰茎挙上
   器。
4. 【請求項４】 上記シリコンリング（６）は、陰茎の直
   径方向膨張又は収縮にしたがって膨張又は収縮されるよ
   う一側が開放されていることを特徴とする請求項１に記
   載の陰茎挙上器。
5. 【請求項５】 上記シリンダー部材（４）には、上記支
   持手段（３）に対し自在にスライディングされるよう体
   液を通過させる多数個の孔（５）が形成されていること
   を特徴とする請求項１に記載の陰茎挙上器。
6. 【請求項６】 上記シリコンリング（６）は、シリンダ
   ー部材（４）の硬度より小なることを特徴とする請求項
   １に記載の陰茎挙上器。
7. 【請求項７】 シリコンリング（６）は、少なくとも一
   つ以上が上記シリンダー部材（４）に固定されているこ
   とを特徴とする請求項１に記載の陰茎挙上器。