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JP2572832B2 - 焼結用Al基合金粉末 - Google Patents

焼結用Al基合金粉末

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JP2572832B2
JP2572832B2 JP1012750A JP1275089A JP2572832B2 JP 2572832 B2 JP2572832 B2 JP 2572832B2 JP 1012750 A JP1012750 A JP 1012750A JP 1275089 A JP1275089 A JP 1275089A JP 2572832 B2 JP2572832 B2 JP 2572832B2
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strength
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powder
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秀敏 井上
利久 末光
栄典 楠本
司 塩見
克之 吉川
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、自動車,航空機,鉄道車輛,船舶等の各種
産業機械分野で広く使用されているAl基合金粉末焼結体
の原料素材となる焼結用Al基合金粉末に関するものであ
る。
[従来の技術] 近年、Al粉末冶金の新しい技術として、急冷凝固法を
応用してAlに各種の遷移元素を含有させたAl基合金粉末
を得、該Al基合金粉末を用いて焼結体を成形することに
より熱間強度の高い焼結体を製造する技術が数多く開発
されている。上記技術は、急冷凝固粉末を用いると平衡
状態では得られない組成のAl−Fe,Al−Cr,Al−Zr,Al−S
i等の合金の製造が可能となるのを応用したものであ
り、また結晶粒の大きさや微細混合物を調節することが
でき、耐熱性,耐摩耗性及び疲れ強さの優れた新素材を
得ることができるものである。
例えば特開昭59−43802号公報,同60−234936号公
報,同60−248860号公報,同61−49551号公報,同61−9
6051号公報,同51−130451号公報等に数多くの技術が開
示されており、更には米国特許第4,464,199号にも同様
に技術が開示されている。
上記文献に見られる技術はいずれも、概ね8〜12%の
Feを含む他、Ce等の希土類元素若しくはV,Zr,Mo等の遷
移金属元素をAl中に含有させたAl−Fe系合金粉末を急冷
凝固法によって得、該粉末を焼結してAlマトリックス中
にAl−Fe−X化合物(Xは前記Ce,V,Zr,Mo等)を分散さ
せ、熱間強度を高めたAl基合金粉末焼結体に関するもの
である。
上に見られるAl−Fe系合金粉末以外のAl基合金粉末に
ついても多くの研究開発が行なわれており、例えば特開
昭59−116352号公報にはAl中にCrやZr等を含有させたAl
−Cr−Zr系合金粉末について開示されている。
[発明が解決しようとする課題] 前記Al−Fe系合金粉末から得られる焼結体は、いずれ
も常温から300℃程度までの温度範囲では高い引張強度
を有している。又これらの焼結体はAl中においてFeや他
の合金元素が比較的高温でも拡散しにくい点を応用し、
合金元素の化合物をAlマトリックス中に微細分散させる
ことによって高温域での強度を向上させた分散強化型焼
結体であることも知られている。
しかしながら上記焼結体における分散相は、急冷凝固
の過程若しくは粉末を熱間で固化成形する際の初期の段
階でAlマトリックス中に分散されるものと考えられてお
り、従って塑性変形を伴なう固化成形工程において焼結
体の変形抵抗を著しく高める要因となっている。それば
かりか上記分散相においては個々の分散粒子(金属間化
合物)が脆性を有しているので、塑性加工の際に該分散
相が割れの発生源となり易く、焼結体の変形能を低下さ
せる原因となっている。
Al基合金粉末焼結体は前述した趣旨のもとで開発され
たものであり、焼結・熱間成形後において普通の鋳塊と
同様に熱間の鍛造,圧延及び押出し等の加工が行なわれ
るのが一般的であり(従って本発明における「焼結体」
とは製造に加工する前の成形材の意味である)、Al−Fe
系合金粉末焼結体を各種形状の製品(又は部品)に塑性
加工しようとすれば、大きな変形抵抗に見合った大きな
力量を備えた押出機や鍛造機等のプレス装置を必要とす
るばかりか、塑性変形時の割れ発生防止という観点から
温度やプレス速度等の加工条件を微妙に選定する必要が
ある。
一方前記Al−Cr−Zr系合金粉末については、急冷凝固
する際にCr及びZrがAl中に強制的に固溶した過飽和固溶
体を形成するものである。そしてこの様な粉末を焼結し
た後熱処理すると、過飽和固溶体が相分解して強化に寄
与し、所謂析出強化型Al基合金焼結体を形成することが
知られている。しかしながらAl−Cr−Zr系合金粉末につ
いてのこれまでの研究は、そのほとんどがAl−Cr−Zrの
3元合金自体に関するものであり、Al−Cr−Zr3元合金
粉末を用いて固化成形された製品についての特性を調査
した例はあまり存在しない。
本発明者らが、Al−Cr−Zrのみを各種割合で配合した
Al−Cr−Zr系合金粉末焼結体についてその特性について
調査したところ、上記3成分のみでは実用上充分な強度
が得られないことが判明した。
前記特開昭59−116352号公報に開示された技術は、Al
−Cr−Zrの3元合金に更にMnを添加し、得られる焼結体
の強度を高めたものであるが、この焼結体には次に示す
様な問題点があった。
例えば1986年4月に発行されたMaterials Science an
d Technology,Vol.2の第394〜399頁には、Al−Cr−Zr−
Mn合金粉末に関する研究が発表されており、それによる
とこの合金粉末から得られる焼結体は熱間押出等におけ
る加熱条件の影響を受け易いことが開示されている。従
ってこのAl基合金粉末から得られる焼結体に所期の特性
を発現させるには、常温押出し等の比較的低温度の加工
を必要とするので大きな力量の押出しプレスを必要とす
る。そればかりか当該焼結体は、低温押出しを行なった
場合に、押出しままの状態における強度及び変形抵抗が
高くなりすぎ、押出棒を素材として複雑な形状の部品に
鍛造加工する際に、必要とされる鍛造プレス力量が大き
くなり、又割れも発生し易くなる。更に本発明者らの研
究によれば、上記鍛造加工を実施すると、鍛造材におけ
る強度は押出素材の強度と比べてかなり低下することが
明らかになった。
本発明はこうした技術的課題を解決する為になされな
ものであって、その目的とするところは、押出加工後の
成形性に優れ且つ成形後の熱処理によって常温及び高温
での強度を高めることのできる焼結体の原料素材となる
Al基合金粉末を提供する点にある。
[課題を解決する為の手段] 上記目的を達成し得た本発明のAl基合金粉末とは、C
r:2〜5%及びZr:1〜2.5%を必須成分として含む他、C
u:0.5〜5%及びNi:0.5〜4.5%から選ばれる1種又は2
種を合計で0.5〜5%含み、残部がAl及び不可避不純物
からなる点に要旨を有するものである。
又上記各成分に加え、B:0.1〜0.5%、Fe:0.5〜2.0
%、Ti:0.5〜2%及びMn:0.1〜1%からなる群から選択
される1種又は2種以上を合計で0.1〜2%含有させれ
ば、本発明の目的が更に有効に達成される。
[作用] 本発明者らは、前記Al−Cr−Zr系合金粉末焼結体が有
する時効硬化性に着目し、Al−Cr−Zr3元合金に及ぼす
各種第4元素の作用・効果について、前記従来技術にお
けるMnの作用効果をも含めて種々の検討を重ねた。
まずAl−Cr−Zr系に対するMn元素の添加は、時効硬化
能を高める作用を有さず、むしろ転位組織に作用して加
工硬化に寄与することが判明した。従ってMnの添加によ
って焼結体の強度を向上させるには、Mnの析出が開始す
る前に塑性変形を加えて高密度の転位を導入しておく必
要があり、その為には焼結・熱間成形を行なう前に粉末
を冷間で加工するか或は常温押出の様な低温加工を行な
うことによって、粉末を加工硬化させることが不可欠と
なる。即ちAl−Cr−Zr−Mn合金粉末から得られる焼結体
の強度は、合金粉末中における複雑に絡み合った高密度
の転移組織と密接な関係があり、これが前述した様な複
雑な問題を提起する原因になっていると考えられる。
一方本発明者らはAl−Cr−Zr系合金に対するCuやNiの
作用効果について調査した。それによると、これらの元
素は時効硬化能を高める作用を有することが判明した。
即ちこれらの元素の少なくとも1種を適量配合すれば、
前記焼結体における成形性に悪影響を及ぼすことなく、
成形後の熱処理によって時効硬化能を有効に発揮させる
ことができ、得られる製品の常温及び高温強度を高め得
ることを見出した。
本発明に係るAl基合金粉末における各成分の作用及び
それらの数値限定理由は次の通りである。
Cr:2〜5% Zr:1〜2.5% Cr及びZrは急冷凝固時にAlマトリックス中に過飽和に
固溶するが、その後の熱間における固化成形時及び熱処
理時にマトリックス中に析出し、焼結体の常温及び高温
強度を高める作用を有する。この時効硬化作用を発揮さ
せる為には2%以上のCrと1%以上のZrを同時に添加す
る必要がある。しかしながらCrが5%を超えたり或はZr
が2.5%を超えると靭性の低下を招く。
Cr:0.5〜5%及び Ni:0.5〜4.5% から選ばれる1種又は2種(但し合計で0.5〜5%) Cu及びNiはCrとZrによる上記時効硬化作用を助長する
作用を有し、時効硬化後のピーク硬さを高める。そして
この作用を得る為にはCu,Niの1種又は2種を合計で少
なくとも0.5%添加する必要があるが、5%を超えると
靭性が低下する。
B :0.1〜0.5% Fe:0.5〜2% Ti:0.5〜2%及び Mn:0.1〜1% からなる群から選択される1種又は2種以上(但し合計
で0.1〜2%) 上記Cu,Niの添加によって時効硬化能を高めることが
できるのであるが、これらの元素に加え、B,Fe,Ti及びM
nからなる群から選択される1種又は2種以上を含有さ
せれば、本発明の効果が更に有効に達成される。即ちB,
Fe,Ti,Mn等の元素はマトリックス中に金属間化合物とし
て分散し、転位の移動を阻止して強化に寄与するばかり
か、粒界に析出することによって粒界移動を阻止して再
結晶化による強度低下を防止する。この作用を発揮させ
る為には上記範囲で添加する必要があるが、これらの範
囲を超えて添加すると靭性の低下を招く。
尚本発明に係るAl基合金粉末は前述した如く、平衡状
態では固溶限の小さな元素を大量に添加する目的で、溶
解した合金を急冷凝固法によって微細な粉末にするもの
であり、その具体的な手段については各種のアトマイズ
法が例示でき何ら限定するものではないが、希望する微
細粉末を得るには急冷速度を102deg/sec以上とするのが
好ましい。
[実施例] 実施例1 下記第1表に示した各種組成の合金を溶製し、N2ガス
アトマイズ法によって急冷凝固して粒径74μm以下の粉
末を得た。尚このときの冷却速度は、同一方法によって
作成された7075合金のミクロ組織観察結果から103deg/s
ec以上と推定された。
得られた各粉末を70mmφのアルミニウム合金(AA規格
5052)製カプセルに充填し、該カプセルごと300℃に加
熱しつつ、カプセルの一端に設けられた脱気管より内部
を真空脱気して前記粉末をカプセル内に真空封入した。
尚脱気に要した時間は約2時間であった。
次に前記カプセルを熱間押出加工し、得られた押出棒
からカプセルの外皮を旋削・除去して約15mmφの丸棒
(Al基合金粉末焼結体)を得た。尚カプセル加熱温度は
350℃であり、加熱に要した時間は約1時間であった。
この様にして得られた各丸棒試料について、下記の各
種試験を実施した。
まず最適な熱処理条件を探索する目的で各試料を350
℃で各種時間保持したときの常温ビッカース硬度(HV
の変化について測定した。その結果を粉末のNo.と対応
させて下記第2表に示すが、第2表中F及びTの記号は
押出しまま及び熱処理材の夫々のピーク硬度を意味して
いる。又代表例として、No.1,2(実施例粉末によるも
の)及びNo.12,13(比較例粉末によるもの)における測
定結果を第1図に示した。その結果、いずれの試料につ
いてもほぼ350℃×24時間でピーク強度が得られること
が判明した。
そこで本発明者らはすべての試料について350℃×24
時間の熱処理を施しこれらの熱処理材について引張試験
を実施した。この結果を下記第2表に併記した。尚引張
試験は、ASTMB557M,ASTM 602及びASTM E21に準拠して
実施し、常温における平滑試験片の耐力(σ0.2)と強
度(σ)、切欠試験片の強度(σNTS)及び250℃にお
ける高温強度(σ)を測定した。そして靭性の評価に
は、前記強度(σNTS)及び耐力(σ0.2)の比(σNTS/
σ0.2)を用いた。
第1図の結果から次の様に考察できる。まずNo.13のA
l−Cr−Zr3元合金粉末焼結体は明瞭な時効硬化性を示す
ものの、その強度レベルは低いものである。またNo.12
のAl−Cr−Zr−Mn合金粉末焼結体は押出しままの状態に
おいても高い強度を示し(成形性が悪い)、時効硬化能
も認められない。
これに対しNo.1,2(実施例粉末によるもの)の焼結体
は、押出し状態における硬度はAl−Cr−Zr−Mn系に比べ
て低く(成形性が良い)、又ピーク硬度が高くなり、Cu
及びNiの添加効果が顕著である。
また第2表の結果からも明らかであるが、本発明の合
金粉末から得られる焼結体は押出しままでの硬度が低
く、熱処理後においては高い強度を有し、且つ高い靭性
を有していることが理解される。
実施例2 前述の方法で作成したNo.1,No.2(実施例粉末による
もの)及びNo.12(比較例粉末によるもの)の各押出材
(F材)を用い、350℃に加熱したときの変形抵抗を測
定すると共に、同温度で板厚5mmに熱間鍛造加工した。
尚加熱に要した保持時間は約1時間であった。又変形抵
抗は、15mmφ×30mmhの試料におもりを落下し、おもり
の位置エネルギーと試料の変形量の相関から算出する落
槌法によった。
そして上記鍛造加工によって得られた板材を、350℃
で更に24時間時効処理した後、常温強度を測定した。
この結果を下記第3表に示すが、この結果からNo.12
のAl−Cr−Zr−Mn合金粉末から得られる押出材は、本発
明の合金粉末から得られる押出材に比べて変形抵抗が高
いことが理解される。又前記第2表と下記第3表の結果
を対比して考察すると明らかであるが、No.12の合金粉
末から得られるものは、鍛造材の熱処理後の強度が押出
材の強度に比べて低いのに対し、No.1,2の本発明材にお
いてはこの強度低下が認められないのが理解される。
[発明の効果] 以上述べた如く本発明によれば、上記組成のAl基合金
粉末を用いることによって、常温及び高温における強度
向上を達成し、しかも成形性及び靭性の優れたAl基合金
粉末焼結体が実現できた。そしてこの焼結体はコンロッ
ドを始めとする各種エンジン部品や航空機及び各種飛翔
体の外皮等、形状が複雑で且つ常温及び高温での高強度
が要求される各種用途に最適である。
【図面の簡単な説明】
第1図は各種Al−Cr−Zr系合金粉末焼結体の時効硬化曲
線を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉川 克之 兵庫県神戸市灘区篠原伯母野山町1―1 ―2―417 (56)参考文献 特開 昭62−47449(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Cr:2〜5%(重量%の意味、以下同じ)及
    び Zr:1〜2.5%を必須成分として含む他、 Cu:0.5〜5%及びNi:0.5〜4.5%から選ばれる1種又は
    2種を合計で0.5〜5%含み、 残部がA1及び不可避不純物からなることを特徴とする焼
    結用A1基合金粉末。
  2. 【請求項2】B :0.1〜0.5%、 Fe:0.5〜2%、 Ti:0.5〜2%及び Mu:0.1〜1%からなる群れから選択される1種又は2種
    以上を合計で0.1〜2%含む請求項(1)に記載の焼結
    用A1基合金粉末。
JP1012750A 1989-01-21 1989-01-21 焼結用Al基合金粉末 Expired - Lifetime JP2572832B2 (ja)

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