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JP2024144998A - トイレットロール - Google Patents

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JP2024144998A
JP2024144998A JP2023057211A JP2023057211A JP2024144998A JP 2024144998 A JP2024144998 A JP 2024144998A JP 2023057211 A JP2023057211 A JP 2023057211A JP 2023057211 A JP2023057211 A JP 2023057211A JP 2024144998 A JP2024144998 A JP 2024144998A
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真一 藁科
忍 篠原
穣 岩崎
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Abstract

【課題】巻長さが長くても柔らかく、ミシン目で切断されやすいトイレットロールを提供する。【解決手段】1プライの坪量が11.0~16.5g/m2のシートが、2プライに積層され、エンボスE2が形成され、巻き取られたトイレットロールであって、2プライでの紙厚が140~220μm、巻長さが55m以上、ロール径が110~130mmであり、シートは100%純パルプ、又は古紙パルプの含有量が30%以下であるシートであり、ミシン目を有し、非ミシン目部の全幅での縦方向の引張強度が1300~1800cN、ミシン目部の全幅での縦方向の引張強度が580~780cNであり、ミシン目部の全幅での縦方向の引張弾性率が5.0~33.0Mpaである。【選択図】図2

Description

本発明は、トイレットロールに関する。
トイレットロールにおける通常品の巻取長は、ダブルなどとも称される2プライの製品においては25~30m程度である。近年、トイレットロールの一部の消費者にとって、通常品の2倍の50~60m程度の巻取長や、通常品の3倍の75~90m程度の巻取長のいわゆる長尺のトイレットロールが好まれている。
これは、購入後における持ち運びの便宜、購入・交換回数が少なくなるメリット、保管スペースに利便性があるなどの利点を要因としている。また、トイレットロールの長尺化は、省資源化や販売者においても、店頭陳列スペースをコンパクトにできるメリットもある。
従来の長尺のトイレットロールは、たとえば、特許文献1では、その実施例に従えば、2プライのシングルエンボスを付与した巻取品であり、1プライの坪量は13.5~16.5g/mであり、巻取長が74~91mでの長尺巻取品(以下「従来長尺巻取品」ともいう。)である。
この種の「従来長尺巻取品」を含めた長尺巻取品においては、柔らかさを確保するためにエンボスが付与される。特に、「従来長尺巻取品」のような通常品(以下「短尺巻取品」ともいう。)の3倍程度の巻取長の長尺巻取品においては、古紙パルプを含有し、シングルエンボスが付与される。
特許第6726653号
しかるに、従来の長尺巻取品においては、特に巻取長が長くなるにつれてロールを手に持った際に過度に固く感じられやすく、消費者が巻かれているシートも固いと印象を持つことがあった。
また、従来の長尺巻取品においては、シートの柔らかさが必ずしも十分ではなく、特に、日常的に短尺巻取品を使用している、柔らかさを望んでいる消費者にとって改良の余地があるものであった。
加えて、「従来長尺巻取品」を含めた長尺巻取品においては、図7に示すように、使用者がトイレットホルダーに取り付けたトイレットロール101からトイレットペーパー110を使用者がつかんで引き出し、ミシン目m1でカットする操作を行った際に、図7(A)~(C)に示すように、使用者がつかんでいる部分やその近傍Z1で破断T2が生じて、ミシン目m1の連続的な裂開が開始されなかったり、スムーズに進まなかったりして、適切なミシン目で分断されないことがあった。
そこで本発明の主たる課題は、長尺巻取品でありながら、ロールが柔らかく感じられやすく、シートにおいても十分な柔らかさ滑らかさを示し、ミシン目でスムーズに分断でき、特に、ミシン目でカットしようする際に使用者がつかんでいる部分やその近傍で破断が生じ難い、トイレットロールを提供することにある。
上記課題を解決したトイレットロールは次の態様を有する。
1プライの坪量が11.0~16.5g/mのシートが、2プライに積層され、その2プライシートにエンボスが形成され、巻き取られたトイレットロールであって、
2プライでの紙厚が140~220μm、巻長さが55m以上、ロール径が110~130mmであり、
シートは100%純パルプ、又は古紙パルプの含有量が30%以下であるシートであり、
ミシン目を有し、
非ミシン目部の全幅での縦方向の引張強度が1300~1800cN、ミシン目部の全幅での縦方向の引張強度が580~780cNであり、かつ、
ミシン目部の全幅での縦方向の引張弾性率が5.0~33.0Mpaであり、
ミシン目部の全幅での縦方向の引張エネルギー吸収量と非ミシン目部の全幅での縦方向の引張エネルギー吸収量の比率((ミシン目部引張エネルギー吸収量(縦)全幅)/(非ミシン目部引張エネルギー吸収量(縦)全幅))が、13.5%~25.0%である、
ことを特徴とするトイレットロール。
本発明によれば、長尺巻取品でありながら、ロールが柔らかく感じられやすく、シートにおいても十分な柔らかさ、滑らかさを示し、ミシン目でスムーズに分断でき、特に、ミシン目でカットしようする際に使用者がつかんでいる部分やその近傍で破断が生じ難い、トイレットロールを提供することができる。
シングルエンボス品による部分断面図である。 実施の形態に係るダブルエンボス品の部分断面図の一例である。 (A)及び(B)はエンボス形状及び配置の説明図である。 トイレットロールの概要説明図である。 シートの表面性の測定領域の概要説明図である。 ミシン目での縦裂けを説明するための図である。 ミシン目分断操作時の意図しない破れを説明するための図である。 ミシン目分断操作時の意図しないミシン目の裂開を説明するための図である。
次いで、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。図4に示すように、トイレットロール1は、2プライの帯状のトイレットペーパー10を紙管(管芯とも称される)20にロール状に巻いたものである。トイレットペーパーには、所定間隔でミシン目11が設けられている。ロールの幅L1は、必ずしも限定されないが好ましくは、100~120mm、紙管径L3は、必ずしも限定されないが好ましくは、35~42mmである。
本発明に係るトイレットロールの一つの態様は、巻長さが55m以上、ロール径L2が110~130mmである。巻長さの上限値は105mであり、望ましい範囲は、50~90m、特に望ましくは50~85mである。また、製品群を考慮して2倍巻き程度の55~65mm、3倍巻き程度の70~82mとするのも望ましい。純パルプ品として市販されている2プライの通常品のトイレットロール(短尺巻取品)の巻長さが一般に25~30m程度であるのに対し、本発明に係るトイレットロールの一つの態様によれば、巻長さが55m以上と長尺であるために、購入後における持ち運びの便宜が高く、保管スペースに利便性がある。
ロール径は、本発明の作用効果の観点、及び日本における一般的なロールホルダー寸法との関係で、110~130mmとされる。130mm超では、ホルダーへの装着可能が悪化する場合がある。また、繰り出しの容易性の点でも限界がある。ロール径は、望ましくは110~125mm、特に望ましくは、JISのロールホルダー寸法との関係で110~120mmである。
トイレットロール1は、長尺巻取品であっても、短尺巻取品であっても、通常、トイレットホルダーで使用可能なロール径とされる。したがって、このロール径の関係で、長尺巻取品は、短尺巻取品よりも、紙厚及び坪量が低い傾向にあり、硬く巻かれ質量も大きい。また、製造時にワインダーで巻き取る際に、短尺巻取品よりも高いテンションで巻き取りが行われる。このため長尺巻取品では、製造時にミシン目で断紙しないように巻取前の原紙におけるミシン目部分の強度が短尺巻取品よりも強く設定される傾向にある。
その一方で、巻き取り時にミシン目は、シートの長手方向に引っ張られるため、長尺巻取品の高いテンションでは、カット部が開きやすくカット部の形状、その間のタイ部の形状にバラツキが生じやすいと推測される。そのうえ、シートは繊維で構成されているため、タイ部近傍の繊維配向性にはかならずバラツキがある。
また、長尺巻取品は、硬く巻かれているため、ロールからトイレットペーパーを引き出した際には、トイレットペーパーが、短尺巻取品よりも強く弛緩されると推測される。また、短尺巻取品よりも、質量が大きいため、使用者がトイレットホルダーに取り付けたトイレットロールからトイレットペーパーを引き出す際に、ロールが回転し始め難い。
短尺巻取品は、巻き取り時のテンションを高くする必要がなく質量も小さいため、ミシン目の強度を低く設定することができ、容易にミシン目で裂開されるように設計しやすく、意図しない個所でのミシン目の破断が生じにくいが、長尺巻取品においては、上記のように、製造時、ロール形態時、使用時におけるミシン目に加わる力の特性等が短尺巻取品とは大きく異なっているため、これが長尺巻取品特有のミシン目の裂開に関する問題の要因となっている推測される。
本実施の形態では、長尺巻取品でありながら紙が柔らかく、しかもミシン目の裂開に関する問題に関し、特に、ミシン目でカットしようする際に使用者がつかんでいる部分やその近傍で破断が生じ難く、ミシン目でのスムーズな裂開がされやすいものとすべく、トイレットペーパーは、非ミシン目部の全幅での縦方向の引張強度が1300~1800cN、ミシン目部の全幅での縦方向の引張強度が580~780cNであり、かつ、ミシン目部の全幅での縦方向の引張エネルギー吸収量と非ミシン目部の全幅での縦方向の引張エネルギー吸収量の比率((ミシン目部引張エネルギー吸収量(縦)全幅)/(非ミシン目部引張エネルギー吸収量(縦)全幅))が、13.5%~25.0%となっている。
ここで、本発明及び本明細書における全幅とは、ロール幅と同じ幅である。本発明の作用効果の観点、及び一般的な製品幅との関係で、本発明に係るトイレットロールのロール幅は、105~120mmとされる。したがって、本発明に係る全幅とは、この範囲内における全幅である。
非ミシン目部の全幅での縦方向の引張強度は、ミシン目とミシン目との間のミシン目が形成されていない部分における全幅での縦方向の引張強度であり、JIS P 8113:2006に準拠して、紙の幅を全幅、すなわちトイレットロールの幅の試験片を用い、紙の縦方向(MD方向)、チャック間距離を100mmとして測定した値である。なお、試験片を測定器にチャックさせて取り付けるにあたっては、縦方向に沿って半分折りした後、さらに縦方向に沿って半分折りして、四つ折りにして取り付ける。測定装置としては、ミネベア株式会社製「万能引張圧縮試験機 TG-200N」及びその相当機が挙げられる。なお、引張強度は、乾燥時の引張強度(乾燥引張強度)を示す。単位はcNとして表す。
ミシン目部の全幅での縦方向の引張強度は、ミシン目が形成されている部分における全幅での縦方向の引張強度であり、JIS P 8113:2006に準拠し、紙の幅を全幅、すなわちトイレットロールの幅のままとした試験片を用い、紙の縦方向(MD方向)、チャック間距離を100mmとして測定した値である。なお、試験片を測定器にチャックさせて取り付けるにあたっては、ミシン目の位置が一致とするように半分折りした後、さらにミシン目の位置が一致とするように半分折りして、ミシン目が一致する四つ折りにして、チャック間中央にミシン目が位置するようにして取り付ける。測定装置としては、ミネベア株式会社製「万能引張圧縮試験機 TG-200N」及びその相当機が挙げられる。なお、この引張強度も、乾燥時の引張強度(乾燥引張強度)を示す。単位はcNとして表す。
非ミシン目部の全幅での縦方向の引張強度が1300~1800cN、ミシン目部の全幅での縦方向の引張強度が580~780cNであれば、使用時に十分な強度を有している。望ましくは、非ミシン目部の全幅での縦方向の引張強度が1400~1750cN/、ミシン目部の全幅での縦方向の引張強度が590~700cNである。トイレットロールでは、トイレットペーパーの連続方向(長手方向)が、紙の縦方向となる。よって、縦方向の引張強度は、ミシン目が分断される方向の引張強度となる。ミシン目部及び非ミシン目部の縦方向の引張強度が上記範囲であれば、製造時における断紙なく製造でき、ミシン目でのスムーズな裂開もされやすいものとなる。
ミシン目部の全幅での縦方向の引張強度と非ミシン目部の全幅での縦方向の引張強度との比率((ミシン目部引張強度(縦)全幅)/(非ミシン目部引張強度(縦)全幅))は、必ずしも限定されないが、過度に差があるのは望ましくなく、36.0~47.0%が好適である。特に好適には、38.0~45.0%である。巻長さが55~65mの場合には、38~43%も望ましい。
ミシン目部の全幅での縦方向の引張エネルギー吸収量は、ミシン目が形成されている部分における縦方向の引張エネルギー吸収量であり、JIS P 8113:2006に準拠し、紙の幅を全幅、すなわちトイレットロールの幅のままとした試験片を用い、紙の縦方向(MD方向)、チャック間距離を100mmとして測定した値である。なお、試験片を測定器にチャックさせて取り付けるにあたっては、ミシン目の位置が一致とするように半分折りした後、さらにミシン目の位置が一致とするように半分折りして、ミシン目が一致する四つ折りにして、チャック間中央にミシン目が位置するようにして取り付ける。測定装置としては、ミネベア株式会社製「万能引張圧縮試験機 TG-200N」及びその相当機が挙げられる。なお、引張エネルギー吸収量は、乾燥時の値である。引張エネルギー吸収量は、引張り破断させるのに要する単位面積当たりの仕事量(J/m)である。引張エネルギー吸収量は、連続的に記録された伸び-荷重曲線の張力最大値までの面積によって算出され、試験片が破断するまでの伸び-荷重曲線の積分値でもある。したがって、破断が生じるまでの引張試験の過程で引張荷重と伸びとを連続的に測定し、測定値をプロットして得た曲線に基づいて面積として算出することができる。
非ミシン目部の全幅での縦方向の引張エネルギー吸収量は、ミシン目とミシン目との間のミシン目が形成されていない部分における縦方向の引張エネルギー吸収量であり、JIS P 8113:2006に準拠し、紙の幅を全幅、すなわちトイレットロールの幅の試験片を用い、紙の縦方向(MD方向)、チャック間距離を100mmとして測定した値である。なお、試験片を測定器にチャックさせて取り付けるにあたっては、縦方向に沿って半分折りした後、さらに縦方向に沿って半分折りして、四つ折りにして取り付ける。測定装置としては、ミネベア株式会社製「万能引張圧縮試験機 TG-200N」及びその相当機が挙げられる。なお、引張エネルギー吸収量も、乾燥時の値である。引張エネルギー吸収量の算出は、上記のミシン目部と同様である。
ミシン目部の全幅での縦方向の引張エネルギー吸収量と非ミシン目部の全幅での縦方向の引張エネルギー吸収量の比率((ミシン目部引張エネルギー吸収量(縦)全幅)/(非ミシン目部引張エネルギー吸収量(縦)全幅))が、13.5%~25.0%であると、トイレットペーパーを切断しようとミシン目を含む位置で引っ張り操作を行った際に、スムーズにミシン目で裂開され、特に、図7(A)から(C)に示すように、ミシン目m1でカットしようする際に使用者がつかんでいる部分やその近傍Z1での破断T2が生じ難くなる。引張エネルギー吸収量は、引張り破断させるのに要する単位面積当たりの仕事量である。上記範囲であると、トイレットペーパーを切断しようとミシン目を含む位置で引っ張り操作を行った際に、ミシン目部分と非ミシン目部分を破断させる仕事量の比率が適度な範囲にあり、使用者がつかんでいる部分やその近傍の引っ張り力がミシン目にまでしっかり加わりやすく、裂開が連続的に進むようになり、スムーズにミシン目で裂開され、特に、図7に示すような、使用者がつかんでいる部分やその近傍での破断、特にミシン目を起点する破断が生じ難くなると推測される。この値が、13.5%未満の場合、ミシン目部の全幅での縦方向の引張エネルギー吸収量が非ミシン目部の全幅での縦方向の引張エネルギー吸収量に対して小さすぎて、意図しない箇所のミシン目で切れやすくなる。25.0%超である場合には、ミシン目部の全幅での縦方向の引張エネルギー吸収量が非ミシン目部の全幅での縦方向の引張エネルギー吸収量に対して大きすぎて、使用者が意図したミシン目でカットしようとした際に、ミシン目以外の部分の引張エネルギー吸収量が大きく破れにくいため、ミシン目で切れ難く、手元の指先にかける力が大きくなり使用者がつかんでいる部分で破れやすくなり、特に使用者がつかんでいる部分やその近傍での破断する事象が生ずることがある。
具体的なミシン目部の全幅での縦方向の引張エネルギー吸収量は、必ずしも限定されないが、この引張エネルギー吸収量は、好ましくは、1.0~12.5J/mである。より好ましくは、1.0~8.5J/mである。巻長さが55~65mの場合には、1.0~5.0J/mとするのも望ましい。非ミシン目部の全幅での縦方向の引張エネルギー吸収量も、必ずしも限定されないが、好ましくは、9.0~60.0J/mである。これらの範囲で、上記のミシン目部の全幅での縦方向の引張エネルギー吸収量と非ミシン目部の全幅での縦方向の引張エネルギー吸収量の比率((ミシン目部引張エネルギー吸収量(縦)全幅)/(非ミシン目部引張エネルギー吸収量(縦)全幅))を13.5~25.0%とするのがより好ましい。
さらに、実施形態のトイレットロールでは、長尺巻取品でありながら紙が柔らかく、ミシン目でのよりスムーズな裂開がされやすいものとすべく、ミシン目部の全幅での縦方向の引張弾性率と非ミシン目部の全幅での縦方向の引張弾性率の比率((ミシン目部引張弾性率(縦)全幅)/(非ミシン目部引張弾性率(縦)全幅))を、70.0%~100.0%とするのが望ましい。
ミシン目部の全幅での縦方向の引張弾性率は、ミシン目が形成されている部分における縦方向の引張弾性率であり、JIS P 8113:2006に準拠し、紙の幅を全幅、すなわちトイレットロールの幅のままとした試験片を用い、紙の縦方向(MD方向)、チャック間距離を100mmとして測定した値である。なお、試験片を測定器にチャックさせて取り付けるにあたっては、ミシン目の位置が一致とするように半分折りした後、さらにミシン目の位置が一致とするように半分折りして、ミシン目が一致する四つ折りにして、チャック間中央にミシン目が位置するようにして取り付ける。測定装置としては、ミネベア株式会社製「万能引張圧縮試験機 TG-200N」及びその相当機が挙げられる。なお、引張弾性率は、乾燥時の値である。引張弾性率は、連続的に記録された単位長さ当たりの伸びに対する単位面積(断面積)当たりの引張荷重の比から求めるもので、伸び-荷重曲線の最大傾きから算出され、下記式(A)で算出されるヤング率である。引張弾性率=(伸び(mm)/チャック間の距離(mm))×(荷重-伸び曲線の最大傾き(N/mm))/(試験片の幅(mm)×試験片の厚み(mm) )… (A) 引張弾性率はMpa単位で表す。なお、ここでの試験片の厚みは、JIS P 8118における100kPaで測定した紙厚である。
非ミシン目部の全幅での縦方向の引張弾性率は、ミシン目とミシン目との間のミシン目が形成されていない部分における縦方向の引張弾性率であり、JIS P 8113:2006に準拠し、紙の幅を全幅、すなわちトイレットロールの幅の試験片を用い、紙の縦方向(MD方向)、チャック間距離を100mmとして測定した値である。なお、試験片を測定器にチャックさせて取り付けるにあたっては、縦方向に沿って半分折りした後、さらに縦方向に沿って半分折りして、四つ折りにして取り付ける。測定装置としては、ミネベア株式会社製「万能引張圧縮試験機 TG-200N」及びその相当機が挙げられる。なお、この引張弾性率も、乾燥時の値である。非ミシン目部の全幅での縦方向の引張弾性率もミシン目部の全幅での縦方向の引張弾性率と同様に、連続的に記録された引張強度(引張荷重)及び伸びから算出され、上記式(A)で算出されるヤング率である。
ミシン目部の全幅での縦方向の引張弾性率と非ミシン目部の全幅での縦方向の引張弾性率の比率((ミシン目部引張弾性率(縦)全幅)/(非ミシン目部引張弾性率(縦)全幅))が、70.0~100.0%であると、トイレットペーパーを切断しようとミシン目を含む位置で引っ張り操作を行った際に、スムーズにミシン目で裂開され、特に、図6(A)、(B)に示すような、ミシン目m1の途中で縦方向に裂ける事象T1が生じ難くなる。ミシン目部の全幅での縦方向の引張弾性率と非ミシン目部の全幅での縦方向の引張弾性率の比率((ミシン目部引張弾性率(縦)全幅)/(非ミシン目部引張弾性率(縦)全幅))のより望ましい値は、80~98%であり、特に望ましい値は86~97%である。上記のミシン目部の全幅での縦方向の引張弾性率と非ミシン目部の全幅での縦方向の引張弾性率の比率は、ミシン目部と非ミシン目部での引っ張りに対する伸びやすさの比率である。上記範囲であると、トイレットペーパーを切断しようとミシン目を含む位置で引っ張り操作を行った際に、非ミシン目部分に対してミシン目部分が適度に変形する。ミシン目においては、具体的にはミシン目が開くように変形する。そして、本発明に係る他の構成と相まって、上記範囲であると、各部の適度な変形の後にミシン目の裂開が始まるとともに、裂開が連続的に進むようになり、スムーズにミシン目で裂開され、特に、ミシン目の途中で縦方向により裂け難くなると推測される。この値が、70.0%未満の場合、加工時にワインダーでの断紙や意図しないミシン目で破断する可能性が高まる。また、破断までにミシン目部が変形しすぎる。すなわち、ミシン目では、カット部に対しタイ部での伸びが過度に大きく、タイ部が裂開せず耐えてスムーズにミシン目で裂開され難かったり、特にあるタイ部が縦裂けの起点となりやすくなる。100.0%超であると、使用時に意図した力を加えても容易にミシン目が裂開されなかったり、裂開開始後に急激に早すぎる裂開が進むものとなりやすく、ミシン目以外の部分での裂開が発生、特にミシン目の途中で縦方向により裂ける事象が十分に改善されないことがある。
具体的なミシン目部の全幅での縦方向の引張弾性率は、5.0~33.0MPaである。巻長さが55~65mの場合には、5.0~15.0MPaも望ましい。33.0MPa超であるとミシン目部が伸び固い。また、ミシン目のタイ部の長さを小さく調整することになり、ミシン目強度のバラツキを導きやすく好ましくない。5.0MPa未満であるとミシン目部が伸ばされ易く、過度にミシン目で裂開しやすくなり好ましくない。
具体的な非ミシン目部の全幅での縦方向の引張弾性率は、限定されないが、上記の好ましいミシン目部の全幅での縦方向の引張弾性率との関係で、好ましくは、5.5~36.0MPaである。巻長さが55~65mの場合には、6.0~15.5MPaも望ましい。
さらに、実施形態のトイレットロールでは、長尺巻取品でありながら紙が柔らかく、ミシン目でのよりスムーズな裂開がされやすいものとすべく、ミシン目部の全幅での縦方向の引張破断伸びと非ミシン目部の全幅での縦方向の引張破断伸びの比率((ミシン目部引張破断伸び(縦)全幅)/(非ミシン目部引張破断伸び(縦)全幅))を、34.5%~55.0%とするのが望ましい。
ミシン目部の全幅での縦方向の引張破断伸びは、ミシン目が形成されている部分における縦方向の引張破断伸びであり、JIS P 8113:2006に準拠し、紙の幅を全幅、すなわちトイレットロールの幅のままとした試験片を用い、紙の縦方向(MD方向)、チャック間距離を100mmとして測定した値である。なお、試験片を測定器にチャックさせて取り付けるにあたっては、ミシン目の位置が一致とするように半分折りした後、さらにミシン目の位置が一致とするように半分折りして、ミシン目が一致する四つ折りにして、チャック間中央にミシン目が位置するようにして取り付ける。測定装置としては、ミネベア株式会社製「万能引張圧縮試験機 TG-200N」及びその相当機が挙げられる。引張破断伸びは、引張強度試験により紙が破断した時の伸び率であり、初期試験長さ(100mm)に対する百分率、小数点1桁として表す。なお、引張破断伸びは、乾燥時の値である。
非ミシン目部の全幅での縦方向の引張破断伸びは、ミシン目とミシン目との間のミシン目が形成されていない部分における縦方向の引張破断伸びであり、JIS P 8113:2006に準拠し、紙の幅を全幅、すなわちトイレットロールの幅の試験片を用い、紙の縦方向(MD方向)、チャック間距離を100mmとして測定した値である。なお、試験片を測定器にチャックさせて取り付けるにあたっては、縦方向に沿って半分折りした後、さらに縦方向に沿って半分折りして、四つ折りにして取り付ける。測定装置としては、ミネベア株式会社製「万能引張圧縮試験機 TG-200N」及びその相当機が挙げられる。この引張破断伸びも、引張強度試験により紙が破断した時の伸び率であり、初期試験長さ(100mm)に対する百分率、小数点1桁として表す。なお、引張破断伸びは、乾燥時の値である。
ミシン目部の全幅での縦方向の引張破断伸びと非ミシン目部の全幅での縦方向の引張破断伸びの比率((ミシン目部引張破断伸び(縦)全幅)/(非ミシン目部引張破断伸び(縦)全幅))を、34.5%~55.0%であると、トイレットペーパーを切断しようとミシン目を含む位置で引っ張り操作を行った際に、スムーズに意図したミシン目で裂開されるようになる。特に、図8(A)、(D)に示すような、切断を意図したミシン目m1ではない意図しないミシン目m2で切断される事象が生じ難くなる。引張破断伸びは、紙が破断した時の伸び率である。上記範囲であると、トイレットペーパーを切断しようとミシン目を含む位置で引っ張り操作を行った際に、ミシン目部分と非ミシン目部分において破断に至る引張破断伸びの比率が適度な範囲にあり、使用者が引っ張った際に意図したミシン目に力が加わりやすく、当該ミシン目で裂開が開始されその裂開が連続的に進むようになり、使用者が意図しないミシン目が裂開され難くなると推測される。この値が、34.5%未満である場合、ミシン目部の全幅での縦方向の引張破断伸びが非ミシン目部の全幅での縦方向の引張破断伸びに対して小さすぎて、どのミシン目のどの箇所でも切れ易くなってしまい、使用者が意図した位置のミシン目でカットされない可能性が高まる。55.0%超である場合には、ミシン目部の全幅での縦方向の引張破断伸びが非ミシン目部の全幅での縦方向の引張破断伸びに対して大きすぎて、どのミシン目のどの箇所でも切れ難くなってしまい使用者が意図したミシン目でカットされない可能性が高まる。
具体的なミシン目部の全幅での縦方向の引張破断伸びは、必ずしも限定されないが、この引張破断伸びは、好ましくは、3.0~10.0%である。非ミシン目部の全幅での縦方向の引張破断伸びも、必ずしも限定されないが、好ましくは、5.0~25.0%である。これらの範囲で、上記のミシン目部の全幅での縦方向の引張破断伸びと非ミシン目部の全幅での縦方向の引張破断伸びの比率((ミシン目部引張破断伸び(縦)全幅)/(非ミシン目部引張破断伸び(縦)全幅))34.5~55.0%とするのがより好ましい。
ここで、非ミシン目部の横方向の引張強度は、必ずしも限定されないが、400~600cNであるのが望ましい。非ミシン目部の横方向の引張強度は、ミシン目とミシン目との間のミシン目が形成されていない部分における横方向の引張強度であり、JIS P 8113:2006に準拠し、紙の幅を縦方向の全幅と同様、すなわちトイレットロールの幅と同様の幅に裁断した試験片を用い、紙の横方向(CD方向)、チャック間距離を100mmとして測定した値である。なお、試験片を測定器にチャックさせて取り付けるにあたっては、横方向に沿って半分折りした後、さらに横方向に沿って半分折りして、四つ折りにして取り付ける。測定装置としては、ミネベア株式会社製「万能引張圧縮試験機 TG-200N」及びその相当機が挙げられる。なお、この引張強度も、乾燥時の引張強度(乾燥引張強度)を示す。単位はcNとして表す。として表す。
非ミシン目部の横方向の引張強度が上記範囲であれば、より使用時に十分な強度を有している。特に、紙では、横方向の引張強度は、縦方向の引張強度より弱くなるため、非ミシン目部の横方向の引張強度が上記範囲であれば、使用時の破れのおそれが小さいといえる、また、ミシン目のカット部端で微細な縦裂けが発生しても、横方向に分断しがたいため裂開が進み難い。したがって、ミシン目の途中で縦方向により裂け難くなる。
実施形態におけるミシン目11間の間隔L4は、必ずしも限定されないが、トイレットロールでは一般的には100~300mmであり、この範囲において、本発明の効果が得られるものとすることができる。効果との関係で、ミシン目の間隔は、好ましくは180~280mm、特に好ましくは200~260mmである。ミシン目の間隔は、例えば、ロールから引き出してJIS1級直尺によって測定することができる。
実施形態におけるミシン目11のカット部とタイ部の長さの比(タイ/カット)比は、必ずしも限定されないが、20.0~50.0%が好適である。(タイ/カット)比が20%未満の場合、加工時にワインダーでの断紙やミシン目以外の意図しない破断が生じやすくなる傾向にあり、50%超の場合、使用時にミシン目が切れにくかったり、ミシン目部以外の部分で破断する可能性が高まる傾向にある。具体的なカット部とタイ部の長さとしては、タイ部の長さは0.5mm~1.5mm、カット部の長さは2.0~5.0mmが好適である。
他方で、本発明に係るトイレットロールの一つの態様は、1プライの坪量が11.0~16.5g/mのシートが、2プライに積層され、その2プライシートにエンボスが形成され、巻き取られたトイレットロールである。シートは100%純パルプ、又は古紙パルプの含有量が30%以下であるシートであり、2プライでの紙厚は140~220μmである。
既述のとおり純パルプ品として市販されている2プライの積層トイレットロールの巻長さが一般に25~35m程度であるのに対し、本発明に係るトイレットロールの一つの態様によれば、巻長さが55m以上とかなり長尺である。そして、長尺巻取品における紙厚又は坪量が低い割に、上記ミシン目に係る問題が改善されているとともに、紙質が柔らかく、より好適には滑らかさを示すようになる。さらに、長尺巻取品であり巻きが密であるにもかかわらずロールが柔らかく感じられやすいものとなる。
これは、第1にシートが100%純パルプ、又は古紙パルプの含有量が30%以下であること、第2にエンボスが形成されていることが要因の一つであると思われる。
古紙パルプの含有量としては、より好ましくは20%以下、特に好ましくは15%以下である。
下である。
第1の要因に関する、古紙パルプと純パルプ又は少ない古紙配合量との関係については、次の点を挙げることができる。
「古紙パルプ」(編集兼発行所 紙パルプ技術協会 紙パルプ製造技術シリーズ4 2005年8月25日初版発行)第4章 古紙パルプの抄紙性、4.まとめにおいては、次の記載がある。
「湿潤と乾燥を繰り返すリサイクルを行った場合、針葉樹クラフトパルプなどの化学パルプの繊維はパルプ内部の繊維同士が密着して角質化し、パルプの膨潤性が損なわれて保水度が低下し、柔軟性を失って剛直になる。繊維間結合能力が大きく低下し、シートにすると密度が低下して嵩高になり、破裂強さ、剛度、比散乱係数、不透明度、透気度は高くなる。・・・カールした剛直な繊維はワイヤーパートのサクションボックスで圧縮されにくく、水が搾り出されないので ろ水性は悪化する。剛直な繊維が紙層を形成するので、平滑性、圧縮性は低下する。」
第2の要因に関する、エンボスは、エンボス加工によるエンボス凹部、エンボス凸部の形成によってシートの柔らかさが高められる。ここで、本実施形態では、このエンボスは、ダブルエンボスとされるのが特に好ましい。理由は次のとおりである。
既述のように、「従来長尺巻取品」は、古紙パルプを配合した2プライのエンボスのトイレットペーパーの場合では、シングルエンボスが採用されていたものである。「従来長尺巻取品」において、ダブルエンボスでなく、シングルエンボスが採用されている理由は、次のとおりであると考えられる。すなわち、2プライのダブルエンボス品では2プライの各シートの内部側面(手に触れない側)に凸エンボスが形成されるため、長尺のトイレットロールとして巻き取る際に、シートを通常長さのものより強く引っ張りながら巻き取っている。その結果、トイレットロール内部のシート厚さ方向の圧力が高くなる長尺のトイレットペーパーにおいては、単一エンボスシートごとに張力がかかりシートが個別的に伸ばされ、シングルエンボスの場合のように、互いの凸部が干渉してエンボスの形を保持できず、トイレットロール外側面の表面性の低下やエンボス(形状)の不鮮明さにつながる。また、このように単一エンボスシートごとに張力がかかりシートが個別的に伸ばされ、結果、各シートのミシン目が僅かにずれるなど、安定してミシン目で裂開されるものを形成することが困難である。このように、ダブルエンボス品では、このような機序及び理由が存し、目的の品質確立が困難であったために、 「従来長尺巻取品」ではシングルエンボス形態を採用していたものと考えられる。
古紙パルプを配合したトイレットペーパー原紙は、パルプ繊維が柔軟性を失い剛直になっているため固くなり、剛直な繊維(柔軟性のない)が紙層を形成しているので平滑性が低下しトイレットペーパー原紙の表面がざらざらする。また、「従来長尺巻取品」における、古紙パルプを配合した2プライのエンボスのトイレットペーパーの場合では、シングルエンボスが採用されている。しかるに、シングルエンボス(図1の符号E1で示す)では、2プライシートを1枚シートとして同じパターンで型をつけるから、パルプ品よりエンボス形状は強固で潰れにくい反面、図1の概要図から推測できるように、表裏差が明確であり、エンボス裏面側(ロール内側面)に突出したエンボス凸部(符号Aで示す)の表面性が粗く、ざらざらした質感となる。
他方で、本発明の一つの態様に係る、パルプ100%原料によるトイレットロール、又は古紙配合量が30%以下の純パルプに近いトイレットロールは、ペーパー原紙のパルプ繊維が柔軟性を示すため紙質が柔らかく、柔らかな繊維により柔らかい紙層を形成しているので紙の厚み方向に柔らかく、かつ、柔軟なシートになる。
そのうえ、パルプ100%原料又は純パルプに近いトイレットロールでは、紙質が柔らかいとともに剛直な繊維が少ないため、トイレットペーパー表面に平滑性があり滑らかであり表面性に優れる。しかも、図2の概要図に示す、ダブルエンボス(符号E2で示す)では、両面に凹部が形成され、積層シートの表裏差がない又は少ない。また、積層シート両面が凹部であるということは、使用者はその指先を、凹部間における山部又は山部に向かう緩やかな角度の部分を触ることになるので、しかも表裏面を複数の指で触ることになるので、表裏にその部分が形成される関係で指先の感覚として柔らかく、しかも、柔軟性に富むパルプ原料及び山部及び山部に向かう緩やかな角度の部分の生成との関係で滑らかな表面性であることを指先を介して強く感じるようになる。
そして、上記のとおり本実施形態では、長尺巻取品、特にダブルエンボス品の長尺巻取品としても、長尺巻取品特有のミシン目における問題が改善される。さらに、ダブルエンボスシートの巻取形態を工夫すると、前述の巻取に伴う難点が解消されることが知見された。
主として、以上の理由(クレーピングの要素も含む)により、従来、古紙パルプ又は古紙パルプ配合量が高いものでは期待できなかった、長尺品でありながら柔らかく、滑らかなトイレットロールを得ることができる。
1プライの坪量は、上記のとおり11.0~16.5g/mとされる。望ましくは11.5~16.0g/m、特に望ましくは14.5g/m以上16.0g/m未満である。坪量が高いと、巻長が短くせざるを得ず、反対に過度に低いと強度の低下を招き、また、エンボス効果が十分に発揮しないことになり、柔らかさが十分でないものとなる。坪量は、JIS P 8124(2011)に準拠して、1枚当たりの坪量として計測を行う。
2プライでの紙厚は、上記のとおり140~220μmとされる。望ましくは145~210μm、特に望ましくは150~205μmである。坪量と同様のことを言える。すなわち紙厚が厚いと、巻長が短くせざるを得ず、反対に過度に薄いと強度の低下を招き、また、エンボス効果が十分に発揮しないことになり、柔らかさが十分でないものとなる。この紙厚は、2プライの試験片をJIS P 8111(1998)の条件下で十分に調湿した後、同条件下でダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて測定した値である。具体的には、プランジャーと測定台の間にゴミ、チリ等がないことを確認してプランジャーを測定台の上におろし、前記ダイヤルシックネスゲージのメモリを移動させてゼロ点を合わせ、次いで、プランジャーを上げて試験片を測定台の上におき、プランジャーをゆっくりと1mm/秒以下の速度で下ろしその時のゲージを読み取る。測定時には、金属製のプランジャーの端子(直径10mmの円形の平面)が紙平面に対し垂直に当たるように留意する。紙厚の測定値は、測定を10回行って得られる平均値とする。
さらに、実施形態に係るトイレットペーパーは、シートの表面性に関し、特に、2プライシートの両外側面のSq(μm)は、9.2(μm)~15.0(μm)であるのが好ましい。
[Sq(μm)]
ISO25178表面性状(面粗さ測定)、表面粗さの評価方法を定めた国際規格に基づく。つまり、平均面からの距離の標準偏差に相当するSq二乗平均平方根高さを示す。実施の形態では、原紙米坪、紙厚をティシュペーパー程度に下げ、クレープ率を15~19%の範囲とし、クレーピングドクターブレードの形状、剥離剤等によるドライヤーからの剥離性等を調整して柔らかさ滑らかさが感じられる表面紙質としている。ワンショット3D形状測定機VR6200により3次元画像データを測定し、解析アプリケーションVRA2アプリケーションにより画像解析を行ない求めたSq(μm)は、高さの標準偏差に相当し、値が大きいとシートに触れたときに表面(肌の触れる部分)の凹凸感を感じる。値が小さいとシートに触れたとき平面的で固さを感じる。Sqが大きいとシートに触れたときに凸部や山部が凸凹に粗く感じられ、Sqが小さいと凹凸が無く、指が触った箇所で平面的な感触が得られると考えられる。
[ワンショット3D形状測定機VR6200によるSqの測定方法]
シート表面の3次元画像データを測定し、画像処理で面形状補正(うねり除去、補正の強さ「20」)を行なった後、基準面設定を選択し領域設定の任意設定で測定する対象の領域を設定する。Sq(μm)の測定領域Arは、図5(A)で示したようにエンボス凹部E,Eと隣り合うエンボス凹部の中間部分でエンボス凹部にかからない範囲Ar内で3次元画像を撮影しそのデータ分析を行なって測定する。特に、エンボス凹部間が山型、ドーム型に凸となるエンボスパターンの場合にはエンボス加工による凸となった部分の頂部を測定する。表面粗さ測定で画像解析領域を直径1mmの円形の範囲内で複数個に亘って測定し複数個の測定面を合わせて30mm~40mmの画像解析域を3次元画像測定し解析する。測定パラメーターは「高さパラメーターSq(μm)」を適用する。Sq(μm)は、9.2(μm)~15.0(μm)であるのが好ましい。Sq(μm)が9.2(μm)未満であると表面を触ったとき表面が平坦で柔らかさが感じられない。Sq(μm)が15.0(μm)超であると表面が凸凹していてなめらかさや柔らかさが感じられない。また、ロール外面側のシートの外側のSq1(μm)とロール内面側のシートの外側のSq2(μm)の比率、Sq1/Sq2=0.80~1.25とするのが望ましい。この範囲では、表裏差が小さく、表裏の凸凹感の差異を感じにくい。測定は使い始めの最外端から30%の位置で10点平均値をSq値とする。
本発明におけるエンボス凹部の深さは、限定されるものではない。公知のエンボス加工による凹部と同程度の深さとすることができる。また、適宜に調整することができる。ここで、実施の形態のエンボスパターンは必ずしも限定されるわけではない。エンボスは、マイクロエンボスやドット型のエンボス、デザインエンボス等の適宜のエンボスパターンとすることができる。
また、好適なエンボスパターン例は、凹部の面積が1.0~2.5mmで、密度が5.0~50個/cmである。トイレットペーパーとしての柔らかさが向上するとともに、トイレットロールのようにロール状態における柔らかさが高まり、消費者が手に持った際に柔らかいと感じやすくなる。特に、図3に示すように、紙面全体に、底面が対角L4×対角L4=1.0~1.5×1.0~1.5mmの正方形の凹部31(図3A)又はその正方形の四方角が対角線外方に向かって延在された略正方形(図3B)をなす凹部32が、中心間隔L5が4.5~5.5mmで幅方向に対する配列角度が45°で斜め格子状に配列され、かつ、凹部31(32)と凹部31(32)との間に凹部の四方角同士から延在する谷線部33を有するものである。なお、谷線部33は、凹部31(32)の四方角が最も深く、凹部間の中間が最も浅くなるように漸次緩やかに断面弓なりに配されているのが望ましい。このエンボスパターンは、幅方向の45°に向かって谷線部によって、巻き取り時のテンションが分散され巻硬さなどを調整しやすく、長尺に巻いてもエンボスが不明瞭となりがたい。また、トイレットペーパー自体の柔らかさや便の拭き取り性についても優れる。
[巻長さ伸び(%)]
巻長さ伸びは、0.9~4.5%が好ましく、より望ましくは1.0~4.3%である。巻長さ伸びは、ロール内に引っ張られて巻かれているシートの伸びを表す。トイレットロールは、柔軟な薄いシートが幾重にも巻かれているため、「2プライシートの巻長さ伸び」、ロールの柔らかさをより好適に調整する要素の一つとなる。
巻長さ伸びの測定は、巻長さL0とロール内シート長さLs(m)から、巻長さ伸び(%)=(Ls-L0)/L0…〔式1〕により求める。ここで、巻長さL0(m)は以下の方法で求める。ミシン目で区切られたシート単位でシート数を数え、巻長さはロールのテールシール部を含む最外巻シート(第1シート)の次の第2シートから第6シートまでを第1セットとし、以降、連続的に5シート毎に鋏等でカットしてシート寸法を実測する。最終セットはピックアップ部の2シート分を含まないように最内巻部の最終セットを採取する。この時の最終セットを第nセットとする。シート寸法を実測する際には平らな台の上に連続5シート分(セット)を載せJIS1級金尺により実測する。まず、平均セット長さを求める。平均セット長さは、平均セット長(m)={第1セットの長さ+第2セット長さ+…+第nセット長さ}÷n…〔式2〕として求める。巻長さL0は、L0(m)=(平均セット長)×n+(平均セット長/5)×{1+(ピックアップ部を含むセットでない最内巻シートの数)}…〔式3〕なお、テールシール部、ピックアップ部のシート長さは糊が付着したり、皺があり正確なシート長さが測定できないため、平均シート長さ(平均セット長/5)として換算し計算する。
ロール内のシート長さLs(m)はロール内でのシートの巻長さを表し、以下の手順により求める。
(1)ロール側面にマジック等でロール最外面から紙管まで紙管中心軸を通る直線上で直線を引く。ロール最外面の印(マジック)は、シートの最外端部に合わせる。
(2)ロールを巻き解きシート幅端部にマジックで印した数を数え、ロール内のシートの重なり枚数P1(2プライ)とする。ピックアップ部を含むセットではない部分のシート分は、(セットではないシートの数×平均シート長さ)÷〔(紙管径r)×π〕として層の数P2を求め合計しシート層数Pとする。
(3)ロール断面積S(cm)=π/4×〔(ロール径R)-(紙管径r)〕…〔式4〕、Sはcm単位で表す。ロール径R、紙管径rはcmに換算する。
(4)また、ロール状態でのロール内のシートの紙厚をT(mm)としたとき、シートをロール状に巻き付け積層した面積がロール断面積となるから、T(mm)=1/2×(R-r)/(P×10)…〔式5〕
(5)そして、S(cm)=ロール内シート長さLs(m)×T(mm)×10…〔式6〕、T(mm)はロール内のシートの紙厚
(6)したがって、ロール内シート長さLs(m)=S(cm)/(T(mm)×10)ゆえに、〔式4〕及び〔式5〕を代入して、Ls=π/2×(R+r)×P÷100…〔式6〕として求める。
このように、〔式1〕の巻長さ伸び(%)はロール内に引っ張られて巻かれているシートの伸び(%)を表わす。伸び(%)が大きいほどシートがロール内で伸ばされていることを示す。
巻長さ伸び(%)が0.9%未満であると、シートの引張り剛性が高く、伸びにくいシートであるから紙が固く感じるとともに、その引張り剛性のためにエンボスが潰れないようにエンボスを深く強固にする必要があり、ざらざらした表面性になる。巻長さ伸び(%)が3.6%超であると、シートの引張り剛性が低過ぎて、容易にシートが伸びるから紙が柔らか過ぎて厚み感や安心感が無くなるとともに、その引張り剛性が低すぎるためにシートが伸ばされてエンボスの凹凸も延ばされエンボスが潰れて見え、鮮明度が落ち見栄えが悪くなる。
さらに、実施形態に係るトイレットペーパーは、シートの表面性に関し、特に、2プライシートの両外側面の[Spd(1/mm)]は、12.5~17.4(1/mm)であるのが好ましい。
[Spd(1/mm)]
Spd(1/mm)は、ISO25718表面形状の定義による。実施の形態では、原紙米坪、紙厚をティシュペーパー程度に下げ、クレープ率を15~19%の範囲とし、クレーピングドクターブレードの形状、剥離剤等によるドライヤーからの剥離性等を調整して柔らかさ滑らかさが感じられる表面紙質としている。ワンショット3D形状測定機VR6200により3次元画像データを測定し、解析アプリケーションVRA2アプリケーションにより画像解析を行ない求めたSpd(1/mm)は「山の頂点密度」を示し、1mm当たりの頂点の数(1/mm)が大きいほど頂点が詰まって配置されており肌触りが滑らかに感じる。頂点とはシート表面のクレープ等により形成される山頂部と推定される。また、トイレットロールは、柔軟な薄いシートが幾重にも巻かれているため、2プライシートの両外側面の表面性は、ロールの柔らかさに影響を与える要素の一つとなる。
[ワンショット3D形状測定機VR6200によるSpdの測定方法]
シート表面の3次元画像データを測定し、画像処理で面形状補正(うねり除去、補正の強さ「20」)を行なった後、基準面設定を選択し領域設定の任意設定で測定する対象の領域を設定する。Spd(1/mm)の測定領域Arは、図5(A)で示したようにエンボス凹部E,Eと隣り合うエンボス凹部の中間部分でエンボス凹部にかからない範囲Ar内で3次元画像を撮影しそのデータ分析を行なって測定する。特に、エンボス凹部間が山型、ドーム型に凸となるエンボスパターンの場合にはエンボス加工による凸となった部分の頂部を測定する。表面粗さ測定で画像解析領域を直径1mmの円形の範囲内で複数個に亘って測定し複数個の測定面を合わせて30mm2~40mm2の画像解析域を3次元画像測定し解析する。測定パラメーターは「形態パラメーターSpd(1/mm2)」を適用する。Spd(1/mm2)が12.5(1/mm2)未満であると表面がざらつき、肌触りが良くない。Spd(1/mm2)が17.4(1/mm2)超であると表面が固く、表面性が悪い。ロール外面側のシートのSpd1(1/mm2)とロール内面側のシートのSpd2(1/mm2)の比率、Spd1/Spd2=0.80~1.25とするのが望ましい。この範囲を外れると、1シートの表裏で表裏差があり、ざらつき感を感じる。これらの範囲であれば、ロールが柔らかく感じられやすくなる。ロール状に巻かれた隣接するシートの表面間の接触の関係によると考えらえる。なお、測定は使い始めの最外端から30%の位置で10点平均値をSpd値とする。
さらに、実施形態に係るトイレットペーパーは、シートの柔らかさに関して、特に、1プライでのソフトネスは、0.6~2.1cN/100mmであるのが好ましい。トイレットロールは、柔軟な薄いシートが幾重にも巻かれているため、「1プライのソフトネス」は、ロールの柔らかさをより好適に調整する要素の一つとなる。
[ソフトネス]
JIS L 1096 E法に準じたハンドルオメータ法に基づいて測定した値である。但し、試験片は100mm×100mmの大きさとし、クリアランスは5mmとする。1プライで縦方向、横方向の各々5回ずつ測定し、その全10回の平均値とする。
さらに、実施形態に係るトイレットペーパーは、シートの表面性に関して、特に、Spc(1/mm)は、4.1(1/mm)~6.9(1/mm)であるのが好ましい。
[Spc(1/mm)]
ISO25178表面性状(面粗さ測定)、表面粗さの評価方法を定めた国際規格に基づく。実施の形態では、原紙米坪、紙厚をティシュペーパー程度に下げ、クレープ率を15~19%の範囲とし、クレーピングドクターブレードの形状、剥離剤等によるドライヤーからの剥離性等を調整して柔らかさ滑らかさが感じられる表面紙質としている。ワンショット3D形状測定機VR6200により3次元画像データを測定し、解析アプリケーションVRA2アプリケーションにより画像解析を行ない求めたSpc(1/mm)は、表面の凸形状の頂部の主曲率の平均を示し、Spc(1/mm)の値が小さいと、他の物体と接触する点が丸みを帯びていることを示し、指で感じる抵抗を大きく感じる。また、Spc(1/mm)の値が大きいと、他の物体と接触する点が尖っていることを示し、指で感じる抵抗を小さく感じる。表面の凸形状の頂部とはシート表面のクレープ等により形成される山頂部と推定される。なお、この表面の凸形状の頂部とは、エンボス加工による凸部の頂部とは別意である。
[ワンショット3D形状測定機VR6200によるSpcの測定方法]
シート表面の3次元画像データを測定し、画像処理で面形状補正(うねり除去、補正の強さ「20」)を行なった後、基準面設定を選択し領域設定の任意設定で測定する対象の領域を設定する。Spc(1/mm)の測定領域Arは、図5(A)で示したようにエンボス凹部E,Eと隣り合うエンボス凹部の中間部分でエンボス凹部にかからない範囲Ar内で3次元画像を撮影しそのデータ分析を行なって測定する。特に、エンボス凹部間が山型、ドーム型に凸となるエンボスパターンの場合にはエンボス加工による凸となった部分の頂部を測定する。表面粗さ測定で画像解析領域を直径1mmの円形の範囲内で複数個に亘って測定し複数個の測定面を合わせて30mm~40mmの画像解析域を3次元画像測定し解析する。測定パラメーターは「形態パラメーターSpc(1/mm)」を適用する。Spc(1/mm)が4.1(1/mm)未満であると表面の滑らかさが劣り、肌触りが良くない。Spc(1/mm)が6.9(1/mm)超であると表面が固く、表面の肌触りの滑らかさが悪い。ロール外面側のシートの外側面のSpc1(1/mm)とロール内面側のシートの外側面のSpc2(1/mm)の比率、Spc1/Spc2は、0.80~1.25であるのが望ましい。この範囲では、表裏差が小さく、表裏の摩擦感の差異を感じにくい。測定は使い始めの最外端から30%の位置で10点平均値をSpc値とする。
さらに、実施形態に係るトイレットペーパーは、シートの表面性に関し、特に、2プライシートの両外側面のSdr(1/1000)は、14.5(1/1000)~45.5(1/1000)であるのが好ましい。
[Sdr(1/1000)]
ISO25178表面性状(面粗さ測定)、表面粗さの評価方法を定めた国際規格に基づく。つまり、定義領域の展開面積(表面積)が、定義領域の面積に対してどれだけ増大したかを表す。実施の形態では、原紙米坪、紙厚をティシュペーパー程度に下げ、クレープ率を15~19%の範囲とし、クレーピングドクターブレードの形状、剥離剤等によるドライヤーからの剥離性等を調整して柔らかさ滑らかさが感じられる表面紙質としている。ワンショット3D形状測定機VR6200により3次元画像データを測定し、解析アプリケーションVRA2アプリケーションにより画像解析を行ない求めたSdr(1/1000)は、界面の展開面積比であり、「(凹凸を含む面積)/(見た目の面積)-1」を示し、値が大きいとシートに触れたときに厚み方向の柔らかさを感じる。値が小さいとシートに触れたとき固さを感じる。Sdrが大きいと凸部や山部が触れた箇所でクッション性を感じ柔らかい感触が得られ、Sdr値が小さいと凹凸が無く、指が触った箇所でクッション性を感じず、平面的な感触が得られると考えられる。(凹凸を含む面積)と(見た目の面積)の差は、シート表面のクレープ等によって生ずると推定される。なお、この表面の凸部や山部とは、エンボス加工による凸部、山部とは別意である。
[ワンショット3D形状測定機VR6200によるSdrの測定方法]
シート表面の3次元画像データを測定し、画像処理で面形状補正(うねり除去、補正の強さ「20」)を行なった後、基準面設定を選択し領域設定の任意設定で測定する対象の領域を設定する。Sdr(1/1000)の測定領域Arは、図5(A)で示したようにエンボス凹部E,Eと隣り合うエンボス凹部の中間部分でエンボス凹部にかからない範囲Ar内で3次元画像を撮影しそのデータ分析を行なって測定する。特に、エンボス凹部間が山型、ドーム型に凸となるエンボスパターンの場合にはエンボス加工による凸となった部分の頂部を測定する。表面粗さ測定で画像解析領域を直径1mmの円形の範囲内で複数個に亘って測定し複数個の測定面を合わせて30mm~40mmの画像解析域を3次元画像測定し解析する。測定パラメーターは「複合パラメーターSdr(-)」を適用する。Sdr(1/1000)は、14.5(1/1000)~21.5(1/1000)であるのが好ましい。Sdr(1/1000)が14.5(1/1000)未満であると表面を触ったときの柔らかさが劣り、肌触りが良くない。Sdr(1/1000)が45.5(1/1000)超であると表面が柔らか過ぎと感じられ、頼りない感覚となる。また、ロール外面側のシートの外側のSdr1(1/1000)とロール内面側のシートの外側のSdr2(1/1000)の比率、Sdr1/Sdr2=0.80~1.25とするのが望ましい。この範囲では、表裏差が小さく、表裏の摩擦感の差異を感じにくい。測定は使い始めの最外端から30%の位置で10点平均値をSdr値とする。
実施の形態での測定項目については、以下の測定によることができる。
[ロール幅]
ロール幅は、ロールの外周面の軸方向の長さをロール外周3か所でJIS1級金尺を用いて測定し平均値として求めた。単位はmm、小数点1桁として表す。
[ロール径]
ロール径は、ロールの外周を幅方向3か所でダイヤメータールール(ムラテックKDS株式会社)を用いて測定し3か所の平均値として求めた。単位はmm、小数点1桁として表す。
[紙管径]
紙管径は、紙管の外周を幅方向3か所でダイヤメータールール(ムラテックKDS株式会社)を用いて測定し3か所の平均値として求めた。単位はmm、小数点1桁として表す。
[ロール密度]
ロール密度は、(紙管を含まないロール重量(g))÷(ロール容積(cm))として求めた。単位はg/cm、小数点3桁として表す。ロール密度(g/cm)=(巻長さ(m)×坪量(g/m)×プライ数×ロール幅(cm)/100)÷(ロール断面積(cm)×ロール幅(cm))として求める。
トイレットペーパーにおけるパルプ繊維は、特に限定されないがバージンパルプ70~100質量%、古紙パルプ0~30質量%であるのが望ましい。古紙パルプを配合すると、バージンパルプ100質量%からなるものに比して、安価に製造することができる。また、古紙パルプは、古紙からパルプを再生する工程において、再生前のパルプ繊維に比して繊維が細かくなる傾向にあり、このような繊維の性質上、紙厚を厚くせずに、繊維が密となるが繊維が細かくなるため紙力は出にくい。過度に配合すると柔軟性や平滑性などの風合いが低下する。よって古紙パルプの特徴に鑑みて、その配合比率を0~30質量%の範囲で定めればよい。なお、古紙パルプの種類は必ずしも限定されるものではないが、特に、ミルクカートン古紙、上質古紙を原料とする古紙パルプが望ましい。これらは原料由来の針葉樹クラフトパルプ(NBKP)や広葉樹クラフトパルプ(LBKP)が多く配合されているため、紙力を発現させやすい。
他方、バージンパルプ100%とするのが特に望ましく、特にそのバージンパルプは、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)と広葉樹クラフトパルプ(LBKP)であるのが望ましい。これらの配合比率は、NBKP:LBKPを20:80~50:50とするのが望ましい。
以下、トイレットロール実施例、比較例、市販例を参照しながらさらに本発明に係るトイレットロールの効果について説明する。
また、各例に係るトイレットペーパーは、トイレットロールから引き出したものとした。なお、ダブルエンボス加工は図2に示すように両面凹部を有する形態である。なお、図では、表裏の凹部E2が対面しているが、必ずしも表裏の凹部E2が対面しているわけではない。各例に係る物性・組成は、表1のとおりである。但し、市販品1及び市販品3はシングルエンボスであるため、市販品1及び市販品3におけるSpc、Spd、Sdr、Sqの測定に関しては、特にエンボス加工による凸部が形成される面における測定領域Arを、図5(B)で示したようにエンボス加工による凸部E´の頂部領域としてした。これは、シングルエンボスでは、エンボス加工による凸部が形成された面は、特にその凸部の頂部が手に接触しやすい部分となるためである。
トイレットロール実施例、比較例、市販例について、ロール及びシートの官能評価試験を行った。試験は17名で行い、評価点のうち最高点、最低点を除く15名の点数の平均値を評価点とした。
ロール及びシートの官能評価試験、被験者に実際に各例に係るトイレットロールをホルダーにセットし、1週間、使用してもらい、ミシン目での切断に関し、「意図しないミシン目での破断がないか」、「ミシン目カット時 手元や指先で破断しないか」、「ミシン目カット時 ミシン目途中での縦裂けがないか」 、「シートの肌触りの柔らかさ」、「シートの肌触りの滑りの良さ」、「シートの表裏差」、「シートの厚み、クッション性」、「シートの破れにくさ」、「ロールのエンボス鮮明度」、「ロールのふんわり感」の各項目について、市販例1(長尺巻取品)を基準として、相対評価を行なうこととした。評価は、市販例1と同程度であるものを4点として、市販例1よりもやや良い5点、市販例1よりも良い6点、市販例1よりもとても良い7点、市販例1よりもやや劣る3点、市販例1よりも劣る2点、市販例1よりもとても劣る1点、として点数付けを行ない、その平均値を算出して判断することとした。
Figure 2024144998000002
エンボスの形状や密度などについては、実施例1~7、比較例1~2は実質的に同一のものである。また、実施例1、実施例2におけるミシン目は、(タイmm:カットmm)が1.0mm:2.0mmと設定した。実施例3~実施例7は、1.22mm:2.58mmと設定した。市販品については、市販品2は、1.00mm:0.985mmであった。
表1の結果によると、実施例1~実施例7は、同じ長尺品の市販品1や比較例と比較して、ミシン目での切断に関する項目、「意図しないミシン目での破断がないか」、「ミシン目カット時 手元や指先で破断しないか」、「ミシン目カット時 ミシン目途中での縦裂けがないか」について高い評価となっている。加えて、「シートの肌触りの柔らかさ」、「シートの肌触りの滑らかさ」及び「シートの厚み、クッション性」といったシート自体の評価に加え、「ロールのふんわり感」等のロール形態における評価においても、顕著に優れたものであることが分かる。
さらに、詳しくみると、実施例1~実施例7は、同じ長尺品の市販品1や比較例2と比較して、シート及びロールの評価が高く、比較的に巻長さが短い市販品2、市販品3と同等以上の評価が得られている。つまりシート、ロールともに柔らかさが感じられるものとなっている。実施例1~実施例7は、長尺巻取品でありながら、シート及びロールのふんわり感が高い評価を示している。これは、ダブルエンボスは、1プライ毎にエンボス加工がされているため、圧縮された際にロール内部で力が分散されるとともに、シートの表裏の表面性の差が小さく、また、シート自体の表面性と相まって、シングルエンボスの長尺巻取品よりも、柔らかでロールの柔らかさが感じられやすいと考えられる。
また、実施例1~実施例7は、同じ長尺品の市販品3や比較例2と比較して、ソフトネスが0.9~2.0cN/100mmと低い。また、巻長さ伸び(%)が1.7~4.2%と高く、シートが張力により伸ばされやすい柔らかなシートであることを示しており、実施例のシートの柔らかさが評価が高くなっている。また、比較的に巻長さが短い市販品2及び市販品3よりも評価が高い。これは、長尺化による坪量を低くしたことが関係すると思われる。さらに、シートのふんわり感は短尺巻取品の市販品3より高い評価となっている。これはダブルエンボスによると考えられる。
また、実施例1~実施例7は、同じ長尺品の市販品1や比較例と比較して、MMDが5.8~6.8と低く、実施例のシートの滑らかさが評価されている。
本発明のトイレットロールは家庭用のほか、業務用(例えば不特定多数が使用する空港のトイレ、病院など)としても使用できる。
1…トイレットロール、10…トイレットペーパー、20…紙管(管芯)、L2…トイレットロールのロール径(直径)、L3…トイレットロールの管芯の直径、L1…トイレットロールのロール幅、E、E1、E2…エンボス凹部、M…山部。

Claims (4)

  1. 1プライの坪量が11.0~16.5g/mのシートが、2プライに積層され、その2プライシートにエンボスが形成され、巻き取られたトイレットロールであって、
    2プライでの紙厚が140~220μm、巻長さが55m以上、ロール径が110~130mmであり、
    シートは100%純パルプ、又は古紙パルプの含有量が30%以下であるシートであり、
    ミシン目を有し、
    非ミシン目部の全幅での縦方向の引張強度が1300~1800cN、ミシン目部の全幅での縦方向の引張強度が580~780cNであり、かつ、
    ミシン目部の全幅での縦方向の引張弾性率が5.0~33.0Mpaであり、
    ミシン目部の全幅での縦方向の引張エネルギー吸収量と非ミシン目部の全幅での縦方向の引張エネルギー吸収量の比率((ミシン目部引張エネルギー吸収量(縦)全幅)/(非ミシン目部引張エネルギー吸収量(縦)全幅))が、13.5%~25.0%である、
    ことを特徴とするトイレットロール。
  2. ミシン目部の全幅での縦方向の引張エネルギー吸収量が、1.0~12.5J/mである、請求項1に記載のトイレットロール。
  3. 非ミシン目部の全幅での縦方向の引張エネルギー吸収量が、9.0~60.0J/mである、請求項2に記載のトイレットロール。
  4. 非ミシン目部の横方向の引張強度が400~600cNである、請求項3記載のトイレットロール。
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