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JP2023500056A - 歯付きベベルワークピースをホーニング加工するための歯付きベベルホーニング加工工具を製造する方法および歯付きベベルホーニング加工工具ならびにベベルギアをホーニング加工する方法 - Google Patents

歯付きベベルワークピースをホーニング加工するための歯付きベベルホーニング加工工具を製造する方法および歯付きベベルホーニング加工工具ならびにベベルギアをホーニング加工する方法 Download PDF

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Abstract

ホーニング加工工具(24)を生成する方法であって、ホーニング加工工具(24)は、ホーニング加工しようとするベベルピニオンおよびリングギア(26)と共役であり、標準的なベベルギア自由成形機で生成(例えば、切削)することができる、方法。本方法は、2つの変換ステップによって説明され、変換は理論創成ギアに基づいている。本発明はまた、かかる方法によって生成された歯付きベベルホーニング加工工具、およびかかる方法によって生成されたかかる工具が提供されたときにベベルギアをホーニング加工する方法に関する。

Description

本発明は、ギアのホーニング加工を対象とし、特に、ベベルギアおよびハイポイドギアのホーニング加工ならびにそのための工具を対象とする。
ギア、特にベベルギアおよびハイポイドギアの生成では、2つのタイプのプロセス、創成プロセスおよび非創成プロセスが通常用いられる。
創成プロセスは、2つのカテゴリ、フェイスミル加工(間欠割出し)およびフェイスホブ加工(連続割出し)に大別することができる。創成フェイスミル加工プロセスでは、回転工具が所定の深さまでワークピースに送られる。この深さに達すると、工具およびワークピースは、ワークピースが理論創成ギアと噛み合って回転しているかのように、創成転がりとして知られる所定の相対転がり運動でともに転がり加工され、理論創成ギアの歯が、工具のストック除去表面によって表される。歯の外形形状は、創成転がり中の工具およびワークピースの相対運動によって形成される。
創成フェイスホブ加工プロセスでは、工具およびワークピースは、タイミングを合わせた関係で回転し、工具は、ある深さまで送られ、それによって、工具の1回のプランジですべての歯溝を形成する。最大深さまで達した後、創成転がりが開始される。
非創成プロセスは、間欠割出しまたは連続割出しのいずれかであり、ワークピース上の歯の外形形状が工具上の外形形状から直接生成されるプロセスである。工具がワークに送られ、工具上の外形形状がワークに付与される。創成転がりは用いられないが、理論「クラウンギア」の形態の理論創成ギアの概念は、非創成プロセスに適用可能である。クラウンギアは、非創成プロセスにおいて、歯表面がワークピースの歯表面と相補的である理論ギアである。したがって、工具の切削刃は、非創成ワークピース上に歯表面を形成するときの理論クラウンギアの歯を表す。
湾曲した逃げ面ラインを有するベベルギアおよびハイポイドギアの製造では、利用される切削工具は主にフェイスミルカッタまたはフェイスホブカッタであり、かかるタイプの切削工具はギア製造の分野において周知である。フェイスミルカッタでは、切削刃はカッタヘッドに円形に配置され、それにより、フェイスミル加工プロセスにおいて、カッタのプランジごとに1つの歯溝が形成され、次の歯溝を形成するために、カッタが引き出され、ワークピースが次の歯溝位置に割り出されなければならない。フェイスミル加工によって形成された歯溝およびギアの歯は、円弧の形態の長手方向の湾曲を有する。
フェイスホブ加工は、カッタの周りに配置された切削刃を備え、互いに一列に配置されるのではなく、グループで、通常は内側切削刃および外側切削刃を含む対で配置される。すべての切削刃が歯溝をその形成中に通過する大部分のフェイスミル加工プロセスとは異なり、フェイスホブ加工では、切削刃の各連続するグループがそれぞれの連続する歯溝を通過し、グループ内の各刃は、歯溝の長手方向部分に沿って完全な切削を形成する。カッタおよびワークピースは互いにタイミングを合わせた関係で回転し、それによってワークピースの連続割出しおよびギアの各歯溝の連続的な形成を可能にする。これにより、フェイスホブ加工(すなわち、連続割出し)では、切削工具の1回のプランジにより、ワークピースのすべての歯溝が形成されることになる。フェイスホブ加工によって形成された歯溝およびギアの歯は、エピサイクロイドの形態の長手方向の湾曲を有する。
ワークピースと理論創成ギアとの間の関係は、基本機械設定として当技術分野で知られている一群のパラメータによって定義することができる。これらの基本設定は、創生ギアおよびワークピースに関するサイズおよび割合の感覚を伝達し、ギアデザインに共通の開始点を提供し、これにより、多くの機械モデルの間でデザイン手順を一元化する。基本設定は、任意の瞬間における工具とワークピースの相対的な位置関係を完全に説明する。
ギアを形成するための基本機械設定は当技術分野で知られており、それらのかかる開示の1つは、Goldrich、「CNC Generation of Spiral Bevel and Hypoid Gears:Theory and Practice」、The Gleason Works、Rocheter,N.Y.、1990に見出すことができる。この刊行物では、基本機械設定は以下のように特定されている。
・ラジアル、S、これは、クレードル軸線と工具軸線との間の距離である。
・チルト角、Pi、これは、クレードル軸線と工具軸線との間の角度を画定する。
・スイブル角、Pj、これは、クレードル上の固定基準線に対する工具軸線の向きを画定する。
・クレードル角、q、これは、クレードル軸線を中心とする工具の角度位置を画定する。
・ルート角、Σ、これは、クレードル軸線に対するワーク支持体の向きを示す。
・摺動基部、Xb、これは、機械中心点からワーク軸線およびクレードル軸線の見かけ上の交点までの距離である。
・ヘッド設定、Xp、これは、ワーク軸線およびクレードル軸線の見かけ上の交点から、ワークピースから一定の距離に位置する点までのワーク軸線に沿った距離である。
・ワークオフセット、Em、これは、ワーク軸線とクレードル軸線との間の距離を画定する。
・ワークピースの回転位置、WG、および
・工具の回転位置、WT、これは、フェイスホブ加工の場合に使用される。
加えて、創成プロセスでは、クレードルの回転に対するワークピースの回転の比である転がり比Raを知る必要がある。
図1は、機械基部2、機械基部2に付着したウェイ6上で直線的に移動可能な工具ヘッド4を備える理論基本ギア機械を示している。基本機械はまた、ピボット軸線WPを中心としてウェイ14上の円弧状経路で移動可能なワークテーブル12に付着したウェイ10上で直線的に移動可能なワークヘッド8を含む。
工具ヘッド4上には、クレードル軸線Wcを中心として回転可能なクレードル16が据え付けられており、クレードル16には、偏心角、スイブル角、およびチルト角をそれぞれ制御する一連の調整可能なドラム18、20、および22が取り付けられている。これらのドラムは、ワークギア26に対し適切な方法で、工具24を位置決めするように設定され、工具軸線WTを中心に回転可能である。
ワークヘッド8は、スライド28を含み、スライド28は、ワーク軸線WGを中心に回転可能なワークギア26を搬送する。スライド28が位置決めされ、所望のハイポイドオフセット距離に設定される。
理論機械の軸線はすべて、ギアの理論的な意味を有する。理論ギア機械は、好ましくは8本の軸線を含むが、それより多くまたは少なく存在し得、本発明の範囲内である。ウェイ6上の工具ヘッド4の移動は、切削の深さを制御するための摺動基部設定Xbを規定する。スライド28の位置決めは、垂直運動またはハイポイドオフセットEmを制御する。ウェイ10に沿ったワークヘッド8の移動は、ヘッド設定またはピッチ錐体設定Xpを制御する。軸線WPを中心としたワークテーブル12の運動により、ルート角Σが設定される。ドラム18の回転調整(偏心角)により、ワークギアのスパイラル角が調整される。ドラム20および22の回転調整により、カッタ軸線の位置、スイブル(角度Pj)およびチルト(角度Pi)がそれぞれ設定され、逃げ面外形を調整し、長手方向クラウニングおよびメッシュクラウニングに作用する。クレードル16の回転は、軸線WCを中心とする創成ギア(角度γ)の回転を提供する。軸線WTおよびWGは、それぞれ工具およびワークギアの回転を提供する。ギアが創成法によって生成される場合、クレードル回転に対するワークギア回転の比である転がり比Raも必要とされる。
従来のメカニカルギア成形機では、クレードル角、ワーク回転、および工具回転は創成中に変化する一方で、他の設定はほぼ固定されたままである。これに対する2つの注目すべき例外は、摺動基部Xbの運動を伴うらせん運動、およびワークオフセットEm方向の運動である垂直運動である。
ベベルギアおよびハイポイドギアを生成するための従来のメカニカル機械は、ワーク支持機構およびクレードル機構を備え、創成プロセス中に、クレードル軸線として知られる軸線を中心とする円形経路に沿って円形工具を搬送する。クレードルは理論創成ギアの本体を表し、クレードル軸線は理論創成ギアの軸線に対応している。工具は、創成ギア上の1つ以上の歯を表す。
従来のメカニカル機械は、ほぼすべての機械設定が理論基本設定に対応しているため、理論基本機械の概念を満たしている。かかる機械は、前述のGoldrichの刊行物に示され、記載されている。メカニカル機械では、ラジアルSの基本設定は、通常「β」で表される偏心角として知られる角度機械設定によって制御される。
工具をワークピースに対して方向付けるのに必要な機械設定の数を低減するギア生成機械が開発されている。これらの機械は、従来のメカニカル機械の設定および移動をシステムの直線軸線、回転軸線、および枢動運動軸線に変換することにより、より汎用的であるが単純化された機械が得られる。例えば、US4,981,402およびUS6,712,566を参照されたく、両方の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
連続割出しフェイスホブ加工プロセスに従って製造されるベベルギアおよびハイポイドギアのハード仕上げは、これまでラッピング加工およびスカイビング加工に限定されていた。ラッピング加工では、オイルおよび特定の研磨粒子、例えば、炭化ケイ素または酸化アルミニウム粒子の混合物が、噛み合って回転しているピニオンとギアとの間の噛み合いに注入される。ラッピング加工中、軽いトルクが、最初に回転の一方向に、次に反対の回転方向に印加される。軽負荷下で標準の歯接触よりも大きい逃げ面表面の領域で仕上げ材料の除去を達成するために、駆動側(第1の回転方向)および惰走側(第2の回転方向)の回転接触中に、デカルト座標系に似たラッピング加工機の3つの軸線の振動が印加される。ハード仕上げ動作としてのラッピング加工プロセスの結果は、熱処理後の表面平滑化であり、また強化熱処理歪みの低減であり、これは通常、単一の逃げ面試験および歯接触チェックにおいて低い複合誤差をもたらす。
ラッピング加工されたピニオンおよびギアの個々の逃げ面形態は、理論的に計算されたフェイスホブ加工された逃げ面表面と一致しない。これにより、ラッピング加工されたギアセットの最終的な物理的特性を判断することが困難になる。また、ラッピング加工機のサイクルパラメータに対する補正が、座標測定機からの偏差結果ではなく、直感および経験を使用することによって適用される必要があるため、閉ループ製造設定にラッピング加工プロセスを含めることは不可能である。
熱処理後のスカイビング加工は、通常、少量の大きいサイズのベベルギアセットに使用される。スカイビング加工は、ソフト切削動作と非常に類似したフェイスカッタのヘッドおよび刃を使用し、ベベルギアおよびハイポイドギアの浸炭および焼入れの場合の後に、特定の取り代を除去する。スカイビング加工は、研削と同様に、各部材の各歯に画定された表面形態をもたらす(これは、フェイスホブ加工されたベベルギアでは不可能である)。スカイビング加工用刃の工具寿命は、ソフト切削における工具寿命と比較して短く、これにより、スカイビング加工が魅力的ではなく、より大きな生産のバッジには高価なものになる。
フェイスホブ加工されたベベルギアセットの研削は、理論歯形態が保持されるべきである場合には不可能である。カップ状砥石ホイールを用いる研削は、円形の逃げ面LEAD関数を形成し、ここで、フェイスホブ加工されたベベルギアの正確なLEAD関数はエピサイクロイドである。
長年にわたり、フェイスホブ加工されたベベルギアの製造業界は、閉ループオンライン製造システムにおける座標測定結果の利用を可能にする精密で最新のハード仕上げ生産を確立するために、フェイスミル加工されたベベルギアの研削と類似する規定のハード仕上げ動作を所望してきた。
ベベルピニオンギア状および/またはベベルリングギア状の研磨面を有する工具を使用するホーニング加工プロセスは、例えば、US3,909,990、US4,799,337号、US5,044,127、およびUS5,079,877によって示されているように、ベベルギア製造業界で知られている。これらの過去の開発の障害は、利用可能な機械技術の制限に起因するが、それ以上に、ピニオンギア部材およびリングギア部材のための適切な共役ホーニング加工工具を画定することができないことに起因する。
DE 43 13 533 A1に記載のホーニング加工プロセスでは、ホーニング加工工具およびワークピースの回転の間のタイミングを合わせた関係に加えて、創成運動が導入される。創成運動により、ホーニング加工工具は、創成ギアを包み込み、開始転がり位置から中心転がり位置までの切屑負荷の緩やかな増加を達成するために、仮想の内部創成ギアの内側を移動する。中心転がり位置から終端転がり位置まで、切屑負荷はフェードしてゼロに戻る。連続転がり加工および二重逃げ面切屑除去接触に関連する複雑な創成運動のプロセスは、制御することが非常に困難である。DE 43 13 533 A1には、ホーニング加工されるギアまたはピニオンに共役である必要な工具形状をどのように判定するか、およびそれらの工具の製造可能性をどのように達成するかについての教示はない。
フェイスホブ加工されたベベルギアのホーニング加工プロセスを開発するための過去の多くの試みにおけるホーニング加工工具の形状は、試行錯誤または「背面成形プロセス」のいずれかによって定義されてきた。背面成形プロセスでは、リングギア用の(すなわち、ピニオンに似た形態の)ホーニング加工工具は、仕上げ処理された(ただし軟質の)リングギアの歯をCBN(立方晶系窒化ホウ素)被覆することによって作り出される。次いで、この被覆されたリングギアを使用して、取り代で切削された標準のピニオンから、まだ被覆されていない実際のリングギアホーニング加工工具をホーニング加工する。次いで、ホーニング加工されたピニオンは、CBN被覆され、リングギア用のホーニング加工工具を形成する。工具をCBN研磨剤で被覆する1つの方法は、研磨剤被覆が付着するべき工具の領域にニッケルおよびCBNの層をめっきすることを含む。CBN粒子は、例えば、0.050mmのグリットサイズを有し得る。ニッケルの追加の層(例えば、CBN層の厚さの50%)を塗布して、研磨剤を埋め込み、それを工具にしっかりと付着させ得る。
上記の方法は、背面成形プロセスによって、リングギア工具が、ホーニング加工されるリングギアに完全に共役である逃げ面形態を受容することになるという利点を有する。欠点は、背面成形のプロセスに時間がかかることに次いで、ほとんどの場合、逃げ面表面の一部のみがギアリング法則を満たし、必要な共役外形およびリードを提示したという事実である。ルートフィレットへの移行部のような領域は、欠損および干渉を示し、多くの場合、切下げがアクティブな逃げ面表面に延在して、逃げ面表面の広い領域が回転の正確な伝達に関与することを排除した。さらに、背面成形法によって作り出されたホーニング加工工具は、1つの単一のリングギアまたはピニオンのホーニング加工中に、干渉領域および不正確な逃げ面表面において被覆を失うことが多い傾向にある。
ホーニング加工プロセスは通常、研削のような湿式機械加工プロセスであるが、相対表面スピードはかなり遅くなる。ホーニング加工工具とワークギアとの間の相対表面スピードは、約5~約10メートル/秒(m/s)であり、研削においては、通常、約18~約30m/sの相対表面スピードである。ホーニング加工プロセスでは、相対速度は、工具とワークとの間の相対摺動速度によって生成される。必要なレベルの摺動速度は、ホーニング加工機スピンドルの最大可能RPMに関連して、工具とワークピースとの間に特定のハイポイドオフセットを必要とする。元のギアセットは、十分な相対摺動を創成しない小さなハイポイドオフセットのみを有することが可能である。従来技術は、この問題を克服する方法を教示していない。このようなギアセットは、どうしてもホーニング加工できなかった。
従来技術のホーニング加工プロセスにおける切屑除去技術は、図2に見られるように、二重逃げ面ホーニング加工に基づいており、図2は、従来技術の二重逃げ面ホーニング加工の原理を示している。ベベルギア(またはピニオン)のような歯を有するが、加えて、CBN被覆された研磨逃げ面表面を有するホーニング加工工具は、ワークピースおよび工具の両方が同期回転している間に、ホーニング加工されるピニオン(またはギア)と噛み合うように送られる。第1の二重逃げ面接触が発生した(「材料除去開始」として示される)地点で、ホーニング加工工具の研磨剤被覆層は、ハード仕上げ動作のために残留している残りのストックを除去し始める。この地点から、プランジ送り運動は、「材料除去終了」位置に到達するまで、低速で精密な送り速度で発生する。この低速の送り速度は、接触する部材間に迎合性が欠如しているために、このプロセスにとって重要である。臨界値を超える送り速度により、ホーニング加工工具からのCBN被覆の剥離が生じ、それとともに、高価な工具が破壊されることになる。問題は、臨界プランジ送り速度が不明であるという事実である。
臨界プランジ送り速度は、ワークピースと工具逃げ面表面の間の有効摺動速度に、熱処理によるワークギアの歪みに、およびスパイラルベベルまたはハイポイドピニオン(もしくはギア)の溝を形成する2つの逃げ面表面間の典型的な差に依存する。2つの逃げ面の差により、被覆層に法線力が生じることがあり、この法線力は、各工具の歯の噛み合い中に10倍変化し得、また、熱処理歪みによって、ワークギアの各回転中に10倍変化することもある。「ハイスポット」が集まる回転位置では、法線力は、例えば、ロースポットにおけるよりも100倍高くなることがある。法線力が、摺動速度とともに、表面に対して接線方向のせん断力を作り出すため、工具表面上の研磨CBN粒子が、被覆結合から分断され、被覆の剥離が始まる。
図2の従来技術の二重逃げ面ホーニング加工では、CBN被覆されたホーニング加工工具歯は、ワークギア溝の両方の逃げ面に同時に接触し、これにより、明らかにそれと分かるプロセス迎合性のないシステムを作り出す。その結果、CBN被覆された工具の早期破損を引き起こす状態になる。プランジ送りレートが可能な切屑除去レートよりも高い場合、CBN被覆が工具表面から剥離する可能性が高くなる。単一逃げ面ホーニング加工は、高速スピンドルの電子的結合が動的問題を示し、この動的問題は、ワークピースギア歯への工具歯の「ハンマリング」を引き起こし、これにより、工具が割り出し位置から第1の歯逃げ面接触まで接近する間に、工具被覆が破壊されることが多かったため、それほど考慮されなかった。
本発明は、ホーニング加工しようとするベベルピニオンおよびリングギアと共役であり、標準的なベベルギア自由成形機で生成(例えば、切削)することができるホーニング加工工具を生成するための方法を対象とする。本方法は、好ましくは、2つの変換ステップによって説明され、その変換は理論創成ギアに基づいている。
歯付きベベルワークピースをホーニング加工するための歯付きベベルホーニング加工工具を製造する本発明の方法は、カッタを用いて歯付きベベルワークピースを生成するための切削機設定パラメータを定義することを含み、該カッタは、複数の切削刃を備え、各切削刃は切削刃外形を有しており、設定パラメータは、歯付きベベルワークピースの創成ギア設定およびカッタ形状を含む第1の創成ギア設定を定義することを含む。
第1の変換が実行され、この実行されることによって、第1の創成ギア設定が、歯付きベベルホーニング加工工具のための創成ギア上に切削歯を生成するための創成ギア設定およびカッタ形状を含む第2の創成ギア設定に変換される。第2の変換が実行され、この実行されることによって、第2の創成ギア設定が、歯付きベベルホーニング加工工具上に歯を生成するための創成ギア設定およびカッタ形状を含む第3の創成ギア設定に変換され、この変換されることによって、歯付きベベルホーニング加工工具は、歯付きベベルワークピースと共役になる。
ベベルホーニング加工工具ブランクは、歯付きベベルホーニング加工工具ブランクを生成するために機械加工され、機械加工することは、歯付きベベルホーニング加工工具上に歯を生成するための第3の創成ギア設定およびカッタ形状に従う。歯付きベベルホーニング加工工具ブランクの歯に研磨剤被覆を塗布して、歯付きベベルホーニング加工工具を生成する。
理論ベベルギアおよびハイポイドギア創成機を示す。 先行技術の二重逃げ面プランジホーニング加工を示す。 ピニオン切削のための基本設定を示す。 ピニオン用の創成ギアを示す。 ピニオンホーニング加工工具のための内部創成ギアを示す。 創成ギアの鏡像を示す。 ピニオン工具およびホーニング加工されるピニオンを示す。 初期刃外形を示す。 軸線Y10の周りの刃外形回転を示す。 外形正接の周りの刃外形回転を示す。 外形法線の周りの刃外形回転を示す。 非創成ギア切削のための単純化された機械設定を示す。 単純化された非創成機設定の上面図である。 リングギアのための創成ギアを示す。 リングギアホーニング加工工具のための創成ギアを示す。 リングギアホーニング加工工具切削のための基本設定を示す。 ホーニング加工されるリングギアと係合したリングギアホーニング加工工具を示す。 側面ホーニング加工の原理を示す。
本明細書で使用される「発明(invention)」、「本発明(the invention)」、および「本発明(the present invention)」という用語は、本明細書の主題のすべておよび以下の任意の特許請求項を広く指すことが意図される。これらの用語を含む記述は、本明細書に記載された主題を限定するもの、または以下のいかなる特許請求項の意味もしくは範囲も限定するものと理解されるべきではない。さらに、本明細書は、本出願のいかなる特定部分、段落、記述、または図面においても、いずれかの請求項によってカバーされる主題を説明または限定しようと努めるものではない。本主題は、本明細書全体、すべての図面、および以下のいずれかの請求項を参照することによって理解されるはずである。本発明は、他の構成が可能であり、様々な方法で実践されるか、または実行されることが可能である。また、本明細書で使用される表現および用語は、説明のためのものであり、限定的であると見なされるべきではないことが理解される。
本明細書での「含む(including)」、「有する(having)」、および「備える(comprising)」、ならびにこれらの変形の使用は、その後に列挙される項目およびその等価物、ならびに追加の項目をも包含することを意味する。方法またはプロセスの要素を識別するための文字の使用は、単に識別のためのものであり、要素が特定の順序で実施されるべきであると示すことを意味するわけではない。加えて、「第1の(first)」、「第2の(second)」、「第3の(third)」などの用語は、本明細書では説明の目的で使用され、重要性または有意性を示すまたは暗示することを意図するものではない。本明細書で使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上、特に明示されない限り、複数形も含むことを意図している。本明細書で使用される場合、「および/または(and/or)」という用語は、関連付けられ、列挙された項目のうちの1つ以上の任意のおよびすべての組み合わせを含み、「/」と省略され得る。
ここで、本発明の詳細を、単に例として、本発明を図示する添付図面を参照して考察する。図面において、類似の特徴または構成要素は、同様の参照番号によって言及される。
本発明の文脈において、「ベベル(bevel)」ギアという用語は、ベベルギアとして知られるタイプのギアを含むのに十分な範囲であると理解され、ベベルギアには、ベベルピニオンおよびベベルリングギア、「ハイポイド(hypoid)」ギア、ならびに「クラウン(crown)」ギアまたは「フェイス(face)」ギアとして知られるギアが含まれる。
ホーニング加工することになっているベベルピニオンおよびリングギアと共役であり、標準的なベベルギア自由成形機(例えば、US6,712,566)で生成(例えば、切削)することができるホーニング加工工具を作り出す本発明の方法は、好ましくは2つの変換ステップによって説明される。変換は、理論創成ギア設定に基づいている。
まず、(ベベルリングギアの形態の)ピニオンホーニング加工工具の変換について論じ、次いで、創成法または非創成法の(ベベルピニオンの形態の)リングギアホーニング加工工具の変換について論じる。
典型的なピニオン創成ギア設定が、図3に示されている。ホーニング加工されるピニオンの共役相手の製造に必要な本発明の切削機設定は、2つの変換ステップを含む。
図3は、二次元正面図および二次元上面図における座標系X4-Y4-Z4を示している。主座標系X4-Y4-Z4は、創成ギア軸線(Y4軸)および創成平面(X4-Z4平面)を表している。図3の上部は、創成平面の正面図を表している。ベクトルRM*は、創成ギアの平均ラジアルを画定する(ベクトルRMと大きさが等しく、これは、創成ギアの中心点から始まり、ピニオンの中間面点を指す)。好ましくは、ホーニング加工されるベベルギアセットはハイポイドギアセットであり、これは、ハイポイドオフセットを有することを意味する。ハイポイドオフセットは、図3にベクトルTTとして示されている。本例では、ハイポイドオフセットTTにより、ピニオン回転軸線Z1がX4軸線に沿ってY4-Z4平面の下に移動した。ピノン境界平均錐体ラジアルベクトルRMWは、RMW=RM-TTで計算することができる。
X4-Y4-Z4座標系におけるカッタの中心位置は、Exで画定される。ExベクトルとZ4軸線との間の角度は、図3の中心転がり角W450を表している。追加のベクトルRWは、カッタラジアルベクトルである。EX+RW=RMは、熱処理後にホーニング加工されるべき元のピニオンを切削するために必要な機械設定のためのすべての情報(機械ルート角および転がり比を除く)を含む、いわゆる「三角ベクトル図」を表している。
図3の下部の創成ギア設定の上面図は、正確な逃げ面ラインと歯深さを切削するのに必要な位置にカッタヘッドの中心点を位置決めするベクトルExを示している。図3の上面図部分では、カッタ軸線ベクトルYCUTも示されている。YCUTは、カッタを三次元空間に方向付ける。また、カッタおよびピニオンの断面が上面図に示されている。追加の機械設定「機械ルート角Σ」は、創成ギア軸線Y4の負の側に対するワークギア軸線Z1の向きである。180°の角度Σは、画定ごとに並列システムの場合を示す。キネマティック機械設定パラメータ「転がり比」は、創成ギア歯の数をワークギア歯の数で除することによって計算される。
初期状態が図4に示され、図4は、図3の上面画像を示すが、機械設定およびカッタ形状によって表されるピニオン創成ギアが追加されている。また、図4では、ピニオンの歯先と創成ギアCL2のルートとの間の隙間が考慮されている。第1の変換は、ベクトルTT、EX、RWおよびYCUTをZ4軸線の周りで180°回転させることである。図5に示されるこの変換の結果は、内部リングギア(EX1、RW1、YCUT1)を切削することになる設定である。この内部リングギアは、ピニオンホーニング加工工具のための創成ギアである。この図におけるカッタは、内部創成ギアの歯を切削するように方向付けられている。内部ピニオンホーニング加工工具創成ギアは仮想的な性質のものにすぎず、目標は、ピニオンホーニング加工工具の創成ギアを機械加工することではなく、カッタがカッタ形状、位置決めおよびキネマティック(軸線Y4の周りの回転)を用いてピニオンホーニング加工工具創成ギアの1つの歯を表すために、第2の変換が必要とされる。
第2の変換では、カッタ軸線ベクトルYCUT1が、基準外形ラインの周りを180°回転する。この変換の結果は、ベクトルEX2、RW2、YCUT2を用いて、図6に示されている。図6では、カッタ軸線ベクトルYCUT2は、内部創成ギアルートラインから離れる方向を指し、カッタ刃先は(隙間値CL2を加えた)内部創成ギアの歯の頂部を表している。図6におけるカッタ設定は、リングギアを精密に切削することができる内部創成ギアを表し、これは、ピニオンホーニング加工工具として示されており、ホーニング加工されるピニオンと共役になる。
ピニオンホーニング加工工具を切削するために必要な基本設定の大部分は、ベクトルEX2およびYCUT2に含まれる。加えて、ピニオンホーニング加工工具歯の数のみが必要とされ、これは、元の非創成リングギアの歯の数に等しい。ピニオンをホーニング加工するプロセスにおいて、ピニオン切削のためのルート角Σに等しいホーニング加工工具とピニオンの間のホーニング加工機ルート角Σ(図7を参照)が、ホーニング加工プロセスにおいて使用される(図3を参照)。
ピニオンホーニング加工工具の場合、ギアリング法に違反することなく歯の数を変更することは不可能であり、その結果、工具とワークとの間の共役性が失われる。非創成リングギア用にデザインされたピニオンは、元の非創成リングギアと同じブランク寸法および基本データ(最も重要なのは、歯が同じ数であること)を有する他の非創成リングギアと共役に噛み合うことしかできない。ピニオンホーニング加工工具とピニオンの間の配置が、説明を明確にするために図7に示されており、そこでは、ピニオンホーニング加工工具がホーニング加工されるピニオンと噛み合い係合している。図6のカッタ配置も、参考として図7に示されている。
圧力角、外形曲率、および隆起に関して正確なピニオンホーニング加工工具逃げ面形態をホーニング加工工具ブランクに切削するために、元のピニオンカッタからの切削刃外形は、3回の変換を受ける必要があり、すなわち、3つの異なるミラー軸線で3回ミラーリングされる必要がある。図8(a)は、内側刃の例におけるすべての重要な刃外形要素を表現している。
10-Z10...刃外形座標系
HGER...外形高さ
HF...刃基準点の高さ
HPRW...隆起深さ
ALFW...刃圧力角
DALW...隆起角
RHSP...刃曲率
WROW...刃縁部ラジアル
HKOW...逃げ面修正深さ
DKOW...逃げ面修正角
SRAD...刃肩部ラジアル
HGEW...刃研削深さ
各ミラーリングは、特定の軸線を中心とする180°の回転と同等である。Y10軸線の周りの第1の180°回転γは、結果として、図8(b)のグラフになる。図8(a)の内側刃は、図8(b)の外側刃になっている。圧力角ALFWおよび点ラジアルRCOWは、図8(a)の内側刃の場合と同じままである。
外形正接の周りの第2の180°回転δは、例における凹状外形曲率を凸状にし、隆起を負(-DALW)にする。また、縁部ラジアルWROWは、他の外形要素とともに回転する。第2の回転の結果が、図8(c)に示されている。
外形基準点での外形法線の周りの第3の180°回転εの結果が、図8(d)に示されている。図8(c)の隆起角(-DALW)は、逃げ面修正角(DKOW)となる。外形基準点の下方および上方の刃部分は、ここではHFに等しい。逃げ面修正は、(Y10軸線に沿って測定される)刃先からのHKOWで始まり、これは刃研削深さからのHPRWに等しい。図8(c)の縁部ラジアルWROWは、図8(d)の刃肩部ラジアルSRADになる。結果として回転が実行されるため、第3の回転後の外形深さは、刃基準高さHFの2倍に等しくならなければならない。これはまた、必要な隙間値CL1およびCL2が、上記の回転後に自動的に達成される理由の説明でもある。外側刃外形の変換は、同一の手順に従う。
機械設定ならびに切削刃外形定義の変換後、ピニオンホーニング加工工具のブランク寸法は、ピッチ角および平均錐体ラジアル(ベクトルRMWで知られる)から、ならびに歯末HFおよび(ホーニング加工工具についてはHFにも等しい)歯元から計算することができる。ピニオンホーニング加工工具歯の外側錐体および内側錐体の距離は、ピニオンホーニング加工工具軸線をホーニング加工されるピニオンとともに同じ座標系に位置決めし、2つの物体が空間内で最も接近するという原理を適用することによって判定される。この技法は、Boris Shitplemanにより、「Design and Manufacture of Hypoid Gears」、John Wiley & Sons,Inc.1987、7~13ページに記載されている。その結果は、ホーニング加工工具ブランクのトウ境界およびヒール境界の座標である。この時点で、ピニオンホーニング加工工具ブランク画定に必要なすべての情報が与えられる。トウおよびヒールにおけるフェイス幅を、例えば、(3~6mmのモジュールを有するワークギアセットの場合)5mm拡張することが好事例である。
ピニオンをホーニング加工するプロセスでは、これは、例えば、US6,712,566に開示されているタイプの多軸自由成形CNC機械で実施され得るが、ホーニング加工工具とピニオンの間のホーニング加工機のルート角(図7のΣ)は、ピニオンを創成するのに使用されるルート角Σに等しい(図4を参照)。工具とワークスピンドルとの間のホーニング加工比は、RAHON=ZWORK/ZTOOLで計算され、
ZWORK... ワークギア歯の数、
ZTOOL... ホーニング加工工具歯の数である。
創成リングギアホーニング加工工具の機械設定および工具定義の計算は、ピニオンホーニング加工工具について説明した計算ステップと同一である。
加えて、多くの自動車およびトラックベベルギアセットは、非創成リングギアを有し、それによって、本発明のホーニング加工工具およびプロセスを、非創成ギアにとって非常に魅力的なものにする。
非創成リングギアは、正確なスパイラル角および歯深さを切削するようにカッタヘッドを位置決めするために、創成ギアを表す基本設定の一般的なセットを必要としないが、単純化された機械設定のみを必要とする。単純化された非創成機設定は、カッタヘッドの垂直方向と水平方向の位置決めが単純なため、V-H設定とも呼ばれている。図9の例は、非創成リングギアを切削するためのV-H構成を示している。リングギアルートラインは、座標軸線Z4に平行な機械ルート角Σ0で調整される。3つのベクトル、EX0、RW0、およびRM0はすべて、平面にあり、座標軸線X4およびZ4によって画定される。カッタ軸線ベクトルYCUT0は、水平面Y4-Z4にある。EX0は、X4方向(V)に垂直構成要素およびZ4方向に水平構成要素(H)を有するが(図9の正面図)、Y4方向に構成要素は有しない(図9の上面図)。
ホーニング加工されるリングギアと共役であるホーニング加工工具を作り出すために、単純化された非創成リングギア設定が、創成基本設定に変換される必要がある。この変換は、開始点として、図10の構成を使用する。図10は、リングギアおよびカッタがV-H構成に位置決めすることを含む図9の上面画像を示している。図10は、図11~図13で与えられる説明のための基礎を提供する。
創成プロセスのための一般的基本設定へのV-H設定の変換は、米国特許第9,782,848号に記載されており、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。V-H設定は、図10および図11に示されるように、一般的基本設定に変換され得、これにより、同一の非創成リングギアが切削されることになる。非創成リングギアのための創成設定は、リングギア自体の内部鏡像を表す。図11の設定の転がり比は、1に等しい。これは、創成ギアとワークギアとの間に相対運動がないことを意味し、図11の設定は、切削機設定を定義するためのより一般的な方法にすぎない。
第1の変換は、ベクトルEX0、RW0、およびYCUT0をZ4軸線の周りで180°回転させることである。図12に示されるこの変換の結果は、リングギアホーニング加工工具(EX1,RW1,YCUT1)のための創成ギアを切削することになる設定である。この図におけるカッタは、創成ギアの歯を切削するように方向付けられている。本発明の課題は、リングギアホーニング加工工具の創成ギアを機械加工することではなく、カッタがリングギア創成ギアの1つの歯を表すことであるため、第2の変換が必要とされる。第2の変換では、カッタ軸線ベクトルYCUT1が、基準外形ラインの周りを180°回転して、YCUT2を得る。この変換の結果は、ベクトルEX2、RW2、YCUT2を用いて、図13に示されている。ベクトルEX2、RW2は、EX1およびRW1に対して変化していない。
図13では、カッタ軸線ベクトルYCUT2は、創成ギアから離れた方向を指し、カッタ刃先は(隙間値CL1を加えた)創成ギアの歯の頂部を表している。図13のカッタ設定は、ピニオンを精密に切削することができる創成ギアを表しており、これは、リングギアホーニング加工工具とも呼ばれ、ホーニング加工されるリングギアと正に共役である。リングギアホーニング加工工具と噛み合ってホーニング加工されるリングギアの組み合わせが図14に示されている。(図13の)切削刃を有するシンボル化されたカッタを含む創成ギア設定が、図14に参考として示されている。
リングギアホーニング加工工具を切削するために必要な基本設定の大部分は、ベクトルEX2およびYCUT2に含まれる。さらに必要な設定は、(リングギアホーニング加工工具切削機ルート角Σ2に等しい)機械ルート角Σ2およびリングギアホーニング加工工具の歯の数である。開始点として、元のピニオンの歯の数が、リングギアホーニング加工工具の歯の数として使用される。
リングギアホーニング加工工具の場合、工具の共役に影響を与えることなく、歯の数を変更することが可能である。摺動速度が不十分な場合は、元のギアセットのオフセットよりも大きい、ホーニング加工工具-ワークピースの組み合わせのオフセットを選択することも可能である。リングギアホーニング加工工具歯の数と工具オフセットを変更するには、工具ブランクのピッチ角(およびその後のルート角およびフェイス角)を調整する必要がある。ピッチ角の変更は、平均フェイスにおける円周が、変更された歯数値の横方向ピッチに対応することができるように計算される。工具歯数値を変更する場合、ホーニング加工工具を切削するための機械ルート角Σ2は、それに応じて、△Σによって調整される必要がある。各非創成リングギアは、様々な歯の数、ピッチ角、さらには異なるハイポイドオフセットを持つ複数のピニオンと噛み合うことができ、このことは、工具と対象のワークピース形状との間の共役関係を失うことなく、これらの変数がリングギアホーニング加工工具上で変更することができることを実証している。
リング後部をホーニング加工するプロセスにおいて、ホーニング加工工具とリングギアの間のホーニング加工機のルート角(図14を参照)は、リングギアホーニング加工工具を創成するために使用されるルート角Σ2に等しい(図13を参照)。工具とワークスピンドルとの間のホーニング加工比は、RAHON=ZWORK/ZTOOLで計算され、
RAHON... は、リングギアとそのホーニング加工工具の比率であり、
WORK.. は、ワークギア歯の数であり、
TOOL.. は、ホーニング加工工具歯の数である。
圧力角、外形曲率、および隆起に関する正確な逃げ面形態をホーニング加工工具ブランクに切削するために、リングギアホーニング加工工具切削刃も、ピニオンホーニング加工工具ブレード(図8(a)~8(d))に関連して説明された3つのミラー回転によって、元のリングギア切削刃形状から導出される。
ベベルギアホーニング加工工具の従来技術の開発では考慮されていない1つの要因は、ホーニング加工工具のプリハードン鋼を切削するときに切削刃が切屑を除去できるようにする技術的角度が、作り出された歯の表面の共役に悪影響を及ぼすという事実である。例えば、4.5°の横すくい角と3°の前すくい角は、4mmのモジュールおよび35mmのフェイス幅を有するベベルギアの逃げ面表面を、4つのコーナーで約10ミクロンだけねじることになる。最も一般的な場合、かかる表面のねじれを逃げ面形態の補正で除去することは不可能である。これは、必要とされる技術的な刃角度が使用されるという事実に起因して、ホーニング加工工具の共役性が与えられなかったことを意味する。10ミクロン以上のコーナー偏差を有するホーニング加工工具を使用する試みは、ピニオンおよびリングギアホーニング加工におけるすべての場合において、歯の接触と動作ノイズに関して深刻な欠陥を示すという結果となった。これが、前述の背面成形プロセスが従来技術のホーニング加工試験に使用された第2の理由である。
この問題に対する解決策は、Gleason Hypoid Gear Designソフトウェアで市販されているように、2フェイスおよび3フェイスの刃研削要約アプリケーションの有効刃角計算によって対処され得、これにより、入力項目として有効切れ刃フック角を選択することが可能になり、US2018/0264569でも論じられており、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。US2018/0264569による2フェイスおよび3フェイスの刃研削要約アプリケーションは、所与の横すくい角を用いて、入力項目として示される有効切れ刃フック角を達成するのに必要な前すくい角を判定する。ゼロ度の有効切れ刃フック角が入力項目である場合、任意の通常の横すくい角(例えば、4.5°)をフェイスホブ加工切削刃上で実現することができる。ピニオンおよびギアホーニング加工工具の仕上げ形状を切削するための刃がゼロ度切れ刃フック角で準備される場合、ホーニング加工工具の必要とされる共役逃げ面形状を達成することができる。
ホーニング加工工具歯は、歯先面を含み、CBN被覆されている。ホーニング加工工具の歯厚さは、CBN被覆層の厚さ(通常、逃げ面当たり80ミクロン)によって低減され、これにより、被覆後に正確なホーニング加工工具の歯厚さが得られる。CBN被覆されたホーニング加工工具歯がワークギア溝の両方の逃げ面に同時に接触する場合、明らかにそれと分かるプロセス迎合性のないシステムが作り出される。その結果は、CBN被覆された工具の早期損傷を引き起こし得る状態である。
本発明のホーニング加工工具形状を適用するための好ましい実施形態は、側面ホーニング加工による切屑除去である。現時点の機械スピンドル同期により、滑らかな切屑除去を達成するために、迎合的調整が可能になる。工具歯が歯厚さを薄くして製造されている場合、第1のステップにおいて、(切屑を除去することなく)最大深さまでプランジすることが可能である。プランジ中、ワークおよび工具は所望のホーニング加工速度で回転しており、プランジ運動中および最大深さの位置に達したときに工具歯がワークギア歯に接触しない(または非常に穏やかに接触する)ように同期する。これは、ホーニング加工工具歯の円形の歯厚さがワークギアの溝側面当たりの取り代に、(CBN被覆層によって必要とされる歯厚さの低減に加えて)例えば、0.2mmの隙間の追加量を加えた量だけ低減される場合に可能である。
第2のステップでは、例えば、最初にワークギアの左逃げ面をホーニング加工するために、図15に示されるような漸進的送り回転が適用される。左逃げ面のホーニング加工が終了した後、漸進的送り回転が反転し、今度は工具歯がワークギアの右逃げ面に接触してホーニング加工する。漸進的送り運動は、工具の回転に重ね合わされる回転である。この漸進的回転は、例えば、表面に対して垂直に0.1mmの取り代のみを除去するために小さい。左逃げ面上のストックが除去された後、漸進的送り回転が反転し、右逃げ面に対して工具歯を回転させる。この反転漸進的回転は、隙間を埋め、次いで、ワークギアの右逃げ面からストックを除去するために追加量だけ回転する。
逃げ面形態補正を実現するための自由度は、ドレッシング不可能な工具表面被覆によるホーニング加工では、機械設定変更に限定される。機械設定変更は、ホーニング加工工具およびワークギアを互いに対して異なる相対位置に移動させる。かかる異なる相対位置は、アキシャルホーニング加工工具移動、アキシャルワークギア移動、オフセット変更、ならびに工具およびワークの軸線に含まれるシャフト角の変更で説明することができる。機械設定変更は、一次逃げ面形態補正(圧力角およびスパイラル角)ならびに歯厚さ補正に対応することができる。従来技術のプランジホーニング加工の場合の制限は、所望の補正が片方の歯側(例えば、凸逃げ面)でしか実現できないことである。反対側(例えば、凹逃げ面)は、したがって、すべての現実的な場合において、それらの既存の逃げ面形態偏差の増加を受容する。従来技術のプランジホーニング加工プロセスは、既存のホーニング加工工具を用いて、独立した凸逃げ面および凹逃げ面の形態補正を実現することはできない。該補正が共役面に重ね合わされている新しいホーニング加工工具を製造する必要があるであろう。側面ホーニング加工の追加の利点は、ワークギアの凸逃げ面および凹逃げ面のホーニング加工中に異なる設定変更を使用するこが可能であることであり、これにより、凸逃げ面および凹逃げ面のホーニング加工を個別に補正することが可能になる。個別の補正により、ホーニング加工プロセスがより柔軟で経済的なハード仕上げ動作になる。
例として、以下の基本設定によって定義される11歯ベベルピニオン(元のデザイン)、および以下のV-H設定によって定義される45歯ベベルリングギア(元のデザイン)をホーニング加工するために、適切なホーニング加工工具を製造しなければならず、ホーニング加工プロセスのための適切な機械設定が判定されなければならない。
Figure 2023500056000002
Figure 2023500056000003
上記の元のデザインのピニオンおよびリングギアの設定を上記考察に従って利用して、適切な基本設定とV-H設定を判定し、上記の「元の」ギアによって定義されるようなギアを機械加工するためのホーニング加工工具を定義する。
Figure 2023500056000004
Figure 2023500056000005
適切な工具が定義され生成されると、「元のデザイン」によるギア(ピニオンとリングギア)が、以下の機械基本設定および軸位置に従って定義され実行されるプロセスによってホーニング加工され得る。
リングギアホーニング加工概要-基本設定および軸位置
Figure 2023500056000006
Figure 2023500056000007
ピニオンホーニング加工概要-基本設定および軸位置
Figure 2023500056000008
Figure 2023500056000009
上記の考察から、本発明の重要な特徴には、以下が含まれる。
・ピニオンホーニング加工工具歯の数は、元のリングギアの歯の数と等しい。
・ピニオンホーニング加工機ルート角は、元のピニオンを切削するための切削機のルート角と等しい。
・リングギアホーニング加工機のルート角は、リングギアホーニング加工工具を切削するための切削機のルート角と等しい。
・好ましい実施形態では、図8a~図8dに記載の切削刃外形の3回転に関連して、図3~図7および図9~図15に記載の基本設定の2回転により、ホーニング加工工具とワークギアの間の共役関係を達成することができる。
・凸逃げ面および凹逃げ面の個別補正を行う側面ホーニング加工が可能である。
本発明は、好ましい実施形態を参照しながら説明されてきたが、本発明は、これらの特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。本発明は、添付の請求項の趣旨および範囲から逸脱することなく、本主題が属する、当業者にとっては明らかであろう変更を含むことが意図されている。

Claims (9)

  1. 歯付きベベルワークピースをホーニング加工するための歯付きベベルホーニング加工工具を製造する方法であって、前記方法が、
    カッタを用いて前記歯付きベベルワークピースを生成するための切削機設定パラメータを定義することであって、前記カッタが、各切削刃が切削刃外形を有する複数の切削刃を備え、前記設定パラメータが、前記歯付きベベルワークピースのための創成ギア設定およびカッタ形状を含む第1の創成ギア設定を定義することを含む、定義することと、
    第1の変換を実行することであって、前記実行することによって、前記第1の創成ギア設定が、前記歯付きベベルホーニング加工工具のための創成ギア上に切削歯を生成するための創成ギア設定およびカッタ形状を含む第2の創成ギア設定に変換される、実行することと、
    第2の変換を実行することであって、前記実行することによって、前記第2の創成ギア設定が、前記歯付きベベルホーニング加工工具上に歯を生成するための創成ギア設定およびカッタ形状を含む第3の創成ギア設定に変換され、前記変換されることによって、前記歯付きベベルホーニング加工工具が、前記歯付きベベルワークピースと共役になる、実行することと、
    歯付きベベルホーニング加工工具ブランクを生成するためにベベルホーニング加工工具ブランクを機械加工することであって、前記機械加工することが、前記歯付きベベルホーニング加工工具上に歯を生成するための前記第3の創成ギア設定およびカッタ形状に従う、機械加工することと、
    前記歯付きベベルホーニング加工工具を生成するために、前記歯付きベベルホーニング加工工具ブランクの前記歯に研磨剤被覆を塗布することと、を含む、方法。
  2. 前記歯付きベベルワークピースが、創成ベベルピニオンまたは創成ベベルリングギアを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記創成ベベルピニオンについて、嵌合ベベルリングギアおよびベベルリングギアの形態の前記歯付きベベルホーニング加工工具が同じ数の歯を備える、請求項2に記載の方法。
  4. 前記歯付きベベルワークピースが、非創成V-H機設定によって定義される非創成ベベルリングギアを備え、前記定義することの前に、前記非創成V-H機設定が、前記非創成ベベルリングギアの内部リングギア鏡像を表す創成基本設定に変換される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記歯付きベベルホーニング加工工具ブランクを生成するために前記ベベルホーニング加工工具ブランクを前記機械加工するために、前記各切削刃の前記切削刃外形を修正することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記修正された切削刃外形が、ゼロ度の切れ刃フック角を含む、請求項5に記載の方法。
  7. 請求項1に記載の方法によって生成された歯付きベベルホーニング加工工具。
  8. ベベルギアをホーニング加工する方法であって、
    請求項1に従って生成された歯付きベベルホーニング加工工具を提供することと、
    歯付きベベルギアワークピースを回転させることと、
    前記歯付きベベルギアホーニング加工工具を回転させることと、
    前記歯付きベベルギアホーニング加工工具の前記歯に、前記ベベルギアワークピースの隣接する歯の間の距離よりも薄い歯の厚さを提供することと、
    前記ワークピースおよび前記工具を同期的に係合することと、
    前記ホーニング加工工具を前記ワークピース内に最大深さ位置まで相対的にプランジすることであって、前記プランジすることによって、前記ホーニング加工工具が、前記ワークピースの前記隣接する歯の対向する歯表面に接触しない、プランジすることと、
    前記ワークピースおよび前記ホーニング加工工具のうちの少なくとも一方の漸進的送り回転を実行することであって、漸進的回転が、前記ワークピースおよび前記ホーニング加工工具のうちの少なくとも一方の前記回転に重ねられ、前記重ねられることによって、前記ホーニング加工工具と前記隣接する歯の前記対向する歯表面の一方との間でホーニング加工接触が生じる、実行することと、を含む、方法。
  9. 前記漸進的送り回転が反転され、前記反転されることによって、前記ホーニング加工工具と前記隣接する歯の前記対向する歯表面の他方との間でホーニング加工接触が生じる、請求項8に記載の方法。
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