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JP2023168868A - 全固体二次電池 - Google Patents

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JP2023168868A
JP2023168868A JP2022080231A JP2022080231A JP2023168868A JP 2023168868 A JP2023168868 A JP 2023168868A JP 2022080231 A JP2022080231 A JP 2022080231A JP 2022080231 A JP2022080231 A JP 2022080231A JP 2023168868 A JP2023168868 A JP 2023168868A
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啓子 竹内
Keiko Takeuchi
禎一 田中
Teiichi Tanaka
泰輔 益子
Taisuke Masuko
岳夫 塚田
Gakuo Tsukada
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Abstract

【課題】良好なサイクル特性を有する全固体二次電池を提供する。【解決手段】正極層1と、負極層2と、正極層1と負極層2との間に挟持された固体電解質層3とを有し、固体電解質層3は、LiとSiとPとOとを含み、γ-Li3PO4型の結晶構造を有する第1固体電解質を含む第1相と、LiとSiとPとOとを含み、第1固体電解質とは異なる組成からなり、Li4SiO4型の結晶構造を有する第2固体電解質を含む第2相とを有し、第1相を含み、第2相の体積割合が第1相の体積割合以下であり、正極層1と負極層2との間に連続して形成された第1層状領域31と、正極層1と負極層2との間に連続して形成された第2相を含み、正極層1または負極層2と隣接して配置され、第2相の体積割合が第1相の体積割合超である第2層状領域32とを有する、全固体二次電池10とする。【選択図】図2

Description

本発明は、全固体二次電池に関する。
近年、エレクトロニクス技術の発達はめざましく、携帯電子機器の小型軽量化、薄型化、多機能化が図られている。それに伴い、電子機器の電源となる電池に対し、小型軽量化、薄型化、信頼性の向上が強く望まれている。そこで、電解質として固体電解質を用いる全固体二次電池が注目されている。従来、全固体二次電池の固体電解質としては、主に硫化物系固体電解質と酸化物系固体電解質とが用いられている。
硫化物系固体電解質は可塑性に優れているため、圧粉することにより固体電解質と活物質との界面を形成可能である。しかしながら、硫化物系固体電解質は、水と反応すると硫化水素を発生するため、安全性に問題がある。
一方、酸化物系固体電解質は、水との反応により硫化水素を発生させる恐れはなく、安全である。しかしながら、酸化物系固体電解質において、高いイオン伝導率を得るためには、緻密化させる必要があり、そのためには高温で焼結する必要がある。しかしながら、緻密な固体電解質層を形成するための焼結では、酸化物系固体電解質と活物質とが反応して、酸化物系固体電解質と活物質との界面にイオン伝導性の低い反応層が生成する場合がある。
活物質に対して比較的安定な酸化物系固体電解質として、LSPO(Li3+xSi1-x)が知られている(非特許文献1参照)。
Solid State Ionics 283(2015)109-114
従来の全固体二次電池では、より一層、サイクル特性を向上させることが要求されている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、良好なサイクル特性を有する全固体二次電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
本発明の一態様に係る全固体二次電池は、正極層と、負極層と、前記正極層と前記負極層との間に挟持された固体電解質層とを有し、前記固体電解質層は、LiとSiとPとOとを含み、γ-LiPO型の結晶構造を有する第1固体電解質を含む第1相と、LiとSiとPとOとを含み、前記第1固体電解質とは異なる組成からなり、LiSiO型の結晶構造を有する第2固体電解質を含む第2相とを有し、前記第1相を含み、前記第2相の体積割合が前記第1相の体積割合以下であり、前記正極層と前記負極層との間に連続して形成された第1層状領域と、前記正極層と前記負極層との間に連続して形成された前記第2相を含み、前記正極層または前記負極層と隣接して配置され、前記第2相の体積割合が前記第1相の体積割合超である第2層状領域とを有する、全固体二次電池である。
本発明の全固体二次電池は、LiとSiとPとOとを含み、γ-LiPO型の結晶構造を有する第1固体電解質を含む第1相と、LiとSiとPとOとを含み、前記第1固体電解質とは異なる組成からなり、LiSiO型の結晶構造を有する第2固体電解質を含む第2相とを有し、第1相を含み、第2相の体積割合が第1相の体積割合以下であり、正極層と負極層との間に連続して形成された第1層状領域と、正極層と負極層との間に連続して形成された第2相を含み、正極層または負極層と隣接して配置され、第2相の体積割合が第1相の体積割合超である第2層状領域とを有する固体電解質層を有する。このため、本発明の全固体二次電池は、良好なサイクル特性を有する。
第1実施形態にかかる全固体二次電池を示した断面模式図である。 図1に示す全固体二次電池10の一部を拡大して示した断面模式図である。 第2層状領域の厚みの測定方法を説明するための模式図であり、1視野の二次電子像に引いた10本の直線から選ばれる1本の直線Lと、その周辺領域を示した模式図である。
本発明は以下の態様を含む。
[1] 正極層と、負極層と、前記正極層と前記負極層との間に挟持された固体電解質層とを有し、
前記固体電解質層は、LiとSiとPとOとを含み、γ-LiPO型の結晶構造を有する第1固体電解質を含む第1相と、
LiとSiとPとOとを含み、前記第1固体電解質とは異なる組成からなり、LiSiO型の結晶構造を有する第2固体電解質を含む第2相とを有し、
前記第1相を含み、前記第2相の体積割合が前記第1相の体積割合以下であり、前記正極層と前記負極層との間に連続して形成された第1層状領域と、
前記正極層と前記負極層との間に連続して形成された前記第2相を含み、前記正極層または前記負極層と隣接して配置され、前記第2相の体積割合が前記第1相の体積割合超である第2層状領域とを有する、全固体二次電池。
[2] 前記第2層状領域は、前記第2相の体積割合が80体積%以上である、[1]に記載の全固体二次電池。
[3] 前記固体電解質層の厚みに対する前記第2層状領域の厚みの比が、0.1以上0.5未満である、[1]または[2]に記載の全固体二次電池。
[4] 前記第2層状領域が、前記負極層に隣接して配置されている、[1]~[3]のいずれかに記載の全固体二次電池。
[5] 前記負極層が、Tiを含む負極活物質を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の全固体二次電池。
以下、本実施形態の全固体二次電池について、図面を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合がある。したがって、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であり、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
[全固体二次電池]
図1は、本実施形態の全固体二次電池10を示した断面模式図である。全固体二次電池10は、積層体4と、第1外部端子5と、第2外部端子6とを有する。第1外部端子5及び第2外部端子6は、導電材料で形成されている。第1外部端子5及び第2外部端子6は、積層体4の対向する面にそれぞれ接している。第1外部端子5及び第2外部端子6は、積層体4の積層面と交差(直交)する方向に延びている。
積層体4は、正極層1と、負極層2と、正極層1と負極層2との間に挟持された固体電解質層3とを有する。積層体4は、正極層1と負極層2とを、固体電解質層3を介して積層し、焼結してなる焼結体である。積層体4に含まれる正極層1及び負極層2の層数は、それぞれ1層ずつであってもよいし、2層以上であってもよい。図1に示すように、固体電解質層3は、正極層1と負極層2との間だけでなく、正極層1と第2外部端子6との間、負極層2と第1外部端子5との間にもある。また、図1に示すように、正極層1は、一端が第1外部端子5に接続されている。負極層2は、一端が第2外部端子6と接続されている。
全固体二次電池10は、正極層1と負極層2との間で、固体電解質層3を介したイオンの授受により充電又は放電する。
「固体電解質層」
固体電解質層3は、外部から印加された電場によって、イオンを移動させることができる。固体電解質層3を形成している固体電解質は、外部から印加された電場によって、イオンを移動させることができる物質(例えば、粒子)である。固体電解質層3は、LiとSiとPとOとを含み、γ-LiPO型の結晶構造を有する第1固体電解質を含む第1相と、LiとSiとPとOとを含み、第1固体電解質とは異なる組成からなり、LiSiO型の結晶構造を有する第2固体電解質を含む第2相とを有する。
固体電解質層3は、第1相と第2相のみからなるものであってもよい。固体電解質層3には、本発明の効果を損なわない範囲で、第1相および第2相以外の相が含まれていてもよい。第1相および第2相以外の相は、例えば、第1相および第2相とは異なる組成および結晶構造を有する金属酸化物からなる相であってもよい。
第1相に含まれる第1固体電解質は、活物質と反応しにくく、安定したγ-LiPO型の結晶構造を有するものとなるため、Li3+xSi1-x(0<x<0.6)であることが好ましく、式中のxが0.1以上0.6未満であることがより好ましい。
第1固体電解質は、LiとSiとPとOのみからなるものであってもよいし、全固体二次電池10に要求される特性など必要に応じて、γ-LiPO型の結晶構造を保持できる範囲で、Ti、Co、Mn、Niからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含んでいてもよい。具体的には、第1固体電解質は、Li3+xSi1-x(0<x<0.6)と、Ti、Co、Mn、Niからなる群から選択される少なくとも1種の元素とからなる固溶体であってもよい。第1固体電解質は、例えば、Li3+xSi1-x(0<x<0.6)におけるPの一部が、Ti、Co、Mn、Niからなる群から選択される少なくとも1種の元素によって置換されたものであってもよい。
また、第1相には、第1固体電解質だけでなく、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、焼結助剤、正極層1および/または負極層2を形成する活物質材料などに由来する成分が含まれていてもよい。
第2相に含まれる第2固体電解質は、活物質と反応しにくく、安定したLiSiO型の結晶構造を有するものとなるため、Li3+xSi1-x(0.6≦x≦0.9)であることが好ましく、式中のxが0.7以上0.8以下であることがより好ましい。
第2固体電解質は、LiとSiとPとOのみからなるものであってもよいし、全固体二次電池10に要求される特性など必要に応じて、LiSiO型の結晶構造を保持できる範囲で、Ti、Co、Mn、Niからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含んでいてもよい。具体的には、第2固体電解質は、Li3+xSi1-x(0.6≦x≦0.9)と、Ti、Co、Mn、Niからなる群から選択される少なくとも1種の元素とからなる固溶体であってもよい。第2固体電解質は、例えば、Li3+xSi1-x(0.6≦x≦0.9)におけるPの一部が、Ti、Co、Mn、Niからなる群から選択される少なくとも1種の元素によって置換されたものであってもよい。
また、第2相には、第2固体電解質だけでなく、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、焼結助剤、正極層1および/または負極層2を形成する活物質材料などに由来する成分が含まれていてもよい。
積層体4が焼結体である場合、固体電解質層3を形成する際の生産性向上、歩留まり向上などの製造上の理由により、固体電解質層3の材料として第1固体電解質および第2固体電解質とともに焼結助剤を用いてもよい。この場合、固体電解質層3中には、積層体4を製造するための焼成工程などにおいて除去されずに残留している焼結助剤が含まれていてもよい。
焼結助剤としては、焼結性改善効果があるものであればよく、公知のものを用いることができる。具体的には、焼結助剤として、例えば、リチウム(Li)、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、ビスマス(Bi)などを含有する化合物などが挙げられる。
図2は、図1に示す全固体二次電池10の一部を拡大して示した断面模式図である。図2に示すように、固体電解質層3は、第1層状領域31と第2層状領域32(特許請求の範囲における層状領域)とが積層されたものである。第1層状領域31および第2層状領域32は、図2に示すように、それぞれ正極層1と負極層2との間に連続して配置されている。図2に示す全固体二次電池10では、第1層状領域31が正極層1に隣接して配置され、第2層状領域32が負極層2に隣接して配置されている。本実施形態では、第2層状領域32が負極層2に隣接して配置されているため、より一層良好なサイクル特性を有する全固体二次電池10となる。
本実施形態では、第1層状領域31が正極層1に隣接して配置され、第2層状領域32が負極層2に隣接して配置されている場合を例に挙げて説明するが、固体電解質層3は、第2層状領域32が正極層1に隣接して配置され、第1層状領域31が負極層2に隣接して配置されているものであってもよい。
本実施形態では、図2に示すように、第1層状領域31および第2層状領域32の層数が、それぞれ1層のみ設けられている場合を例に挙げて説明するが、第1層状領域31および第2層状領域32の層数は、少なくとも1層の第2層状領域32が正極層1または負極層2に隣接して配置されていれば、それぞれ複数層設けられていてもよい。したがって、本実施形態では、第1層状領域31の層数と、第2層状領域32の層数とは、同じであるか、または第2層状領域32の層数が第1層状領域31の層数よりも1層多い。第1層状領域31および第2層状領域32の層数は、製造が容易であるため、それぞれ1層のみ設けられていることが好ましい。
第1層状領域31は、第1相を含む。第1層状領域31は、第2相を含んでいてもよいし、第2相を含んでいなくてもよい。第1層状領域31が、第2相を含む場合、第1層状領域31中に含まれる第2相の体積割合は、第1相の体積割合以下である。また、第1層状領域31は、正極層1と負極層2との間に連続して形成された第2相を含まない。
第2層状領域32は、正極層1と負極層2との間に連続して形成された第2相を含む。第2層状領域32には、第2相に取り囲まれた第1相が含まれていてもよい。また、第2層状領域32には、第2相と正極層1または負極層2(図2に示す例では負極層2)とに取り囲まれた第1相が含まれていてもよい。
第2層状領域32は、第2相の体積割合が第1相の体積割合超であるものである。第2層状領域32は、第2相の体積割合が80体積%以上であることが好ましく、90体積%以上であることがより好ましい。第2相の体積割合が80体積%以上であると、第2相が正極層1と負極層2との間に連続して形成されやすくなるとともに、より一層、良好なサイクル特性を有する全固体二次電池10となる。第2層状領域32に含まれる第2相の体積割合は、100体積%であってもよい。
固体電解質層3の厚みに対する第2層状領域32の厚みの(第2層状領域32の厚み/固体電解質層3の厚み)比は、特に限定されないが、0.1以上0.5未満であることが好ましく、0.1以上0.2以下であることがより好ましい。固体電解質層3の厚みに対する第2層状領域32の厚みの比が、0.1以上0.5未満であると、より一層、良好なサイクル特性を有する全固体二次電池10となる。これは、正極層1または負極層2と隣接して配置されている第2層状領域32によって、正極層1に含まれる正極活物質または負極層2に含まれる負極活物質(図2に示す例では負極層2に含まれる負極活物質)の膨張収縮による応力を緩和する効果が顕著となることによるものであると推定される。
「正極層」
図1に示すように、正極層1は、例えば、正極集電体1Aと、正極活物質層1Bとを有する。正極活物質層1Bは、図1に示すように、正極集電体1Aの両面に形成されていてもよいし、片面にのみ形成されていてもよい。
(正極集電体)
正極集電体1Aは、導電率に優れる。正極集電体1Aは、例えば、銀、パラジウム、金、プラチナ、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属およびそれらの合金からなる。正極集電体1Aは、例えば、リチウムバナジウム化合物(LiV、Li(PO、LiVOPO)などの正極活物質を含んでいてもよい。
(正極活物質層)
正極活物質層1Bは、正極活物質を含む。正極活物質層1Bは、導電助剤、固体電解質を含んでもよい。
(正極活物質)
正極活物質は、リチウムイオンの放出及び吸蔵、リチウムイオンの脱離及び挿入を可逆的に進行させることが可能であればよく、特に限定されない。例えば、公知のリチウムイオン二次電池に用いられている正極活物質を使用できる。
正極活物質は、例えば、遷移金属酸化物、遷移金属複合酸化物から選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
正極活物質としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNiCoMn(x+y+z+a=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素を示す)で表される複合金属酸化物、チタン酸リチウム(LiTi12)、等を用いてもよい。
正極活物質としては、リチウムを含有していない正極活物質を使用してもよい。リチウムを含有していない正極活物質は、あらかじめ負極層2に金属リチウムおよび/またはリチウムイオンをドープした負極活物質を配置しておき、全固体二次電池10を放電から開始することにより使用できる。リチウムを含有していない正極活物質としては、例えば、金属酸化物(MnO、Vなど)、などが挙げられる。
(導電助剤)
導電助剤は、正極活物質層1B内の電子伝導性を良好にするものであれば特に限定されず、公知の導電助剤を使用できる。導電助剤は、例えば、黒鉛、カーボンブラック、グラフェン、カーボンナノチューブ等の炭素系材料、金、白金、銀、パラジウム、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属、ITO(酸化インジウムスズ)などの伝導性酸化物、またはこれらの混合物などが挙げられる。導電助剤は、粉体、繊維の各形態であっても良い。
(固体電解質)
正極活物質層1Bに含まれる固体電解質は、正極活物質層1B内のイオン伝導度を良好にする。固体電解質としては、公知のものを1種または2種以上混合して用いることができる。固体電解質として、上述した固体電解質層3に使用した第1固体電解質または第2固体電解質と同様のものを用いてもよい。
「負極層」
図1に示すように、負極層2は、例えば、負極集電体2Aと、負極活物質層2Bとを有する。負極活物質層2Bは、図1に示すように、負極集電体2Aの両面に形成されていてもよいし、片面にのみ形成されていてもよい。
(負極集電体)
負極集電体2Aは、正極集電体1Aと同様である。負極集電体2Aは、AgPd合金を含むことが好ましい。負極集電体2Aが、AgPd合金を含む場合、より一層、良好なサイクル特性を有する全固体二次電池10となる。AgPd合金としては、例えば、AgとPdとをモル比で8:2(Ag:Pd)の割合で含むものを用いることができる。
(負極活物質層)
負極活物質層2Bは、負極活物質を含む。負極活物質層2Bは、導電助剤、固体電解質を含んでもよい。
(負極活物質)
負極活物質は、イオンを吸蔵・放出可能な化合物である。負極活物質は、正極活物質より卑な電位を示す化合物である。負極活物質としては、正極活物質と同様の材料を用いることができる。負極活物質の電位と正極活物質の電位とを考慮して、全固体二次電池10に用いる負極活物質及び正極活物質が決定される。
本実施形態の全固体二次電池10では、負極層2が、Tiを含む負極活物質を含むことが好ましい。良好なサイクル特性を有する全固体二次電池10となるためである。Tiを含む負極活物質としては、公知のものを用いることができ、例えば、チタン酸リチウム(LiTi12)などを好ましく用いることができる。
(導電助剤)
導電助剤は、負極活物質層2Bの電子伝導性を良好にする。導電助剤は、正極活物質層1Bと同様の材料を用いることができる。
(固体電解質)
負極活物質層2Bに含まれる固体電解質は、負極活物質層2B内のイオン伝導を良好にする。固体電解質としては、公知のものを1種または2種以上混合して用いることができる。固体電解質として、上述した固体電解質層3に使用した第1固体電解質または第2固体電解質と同様のものを用いてもよい。
本実施形態の全固体二次電池10においては、図1に示すように、負極層2が、負極集電体2Aと、負極活物質層2Bとを有する場合を例に挙げて説明したが、負極層は、負極集電体と負極活物質層とを兼ねるものであってもよい。負極集電体と負極活物質層とを兼ねる負極層は、正極活物質より卑な電位を示す。
負極集電体と負極活物質層とを兼ねる負極層は、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)及びプラチナ(Pt)からなる群から選ばれるいずれかの金属を含むことが好ましい。Ag、Pd、Au及びPtは、積層体4を作製するための焼結工程を、大気雰囲気中で行っても融解せず、酸化しにくいためである。負極集電体と負極活物質層とを兼ねる負極層は、上記のいずれかの金属からなるものであってもよいし、上記いずれかの金属を含む合金からなるものであってもよい。
負極集電体と負極活物質層とを兼ねる負極層は、特に、AgPd合金を含むことが好ましい。負極集電体と負極活物質層とを兼ねる負極層が、AgPd合金を含む場合、エネルギー密度の高い全固体二次電池となる。AgPd合金としては、例えば、AgとPdとをモル比で8:2(Ag:Pd)の割合で含むものを用いることができる。
[全固体二次電池の製造方法]
次に、本実施形態の全固体二次電池10の製造方法について説明する。
先ず、積層体4を作製する。積層体4は、例えば、同時焼成法又は逐次焼成法を用いて作製でき、同時焼成法を用いて作製することが好ましい。同時焼成法は、各層を形成する材料を積層した後、一括焼成により積層体4を作製する方法である。逐次焼成法は、各層を形成する毎に焼成を行う方法である。同時焼成法は、逐次焼成法よりも少ない作業工程で積層体4を作製できる。また、同時焼成法で作製した積層体4は、逐次焼成法を用いて作製した積層体4より緻密となる。以下、同時焼成法を用いて積層体4を作製する場合を例に挙げて、積層体4の製造方法を説明する。
先ず、積層体4を構成する正極集電体1A、正極活物質層1B、固体電解質層3、負極活物質層2B、及び負極集電体2Aの各材料をペースト化し、各層の材料に対応するペーストを製造する。
本実施形態では、固体電解質層3のペーストとして、第1層状領域31となる第1ペーストと、第2層状領域32となる第2ペーストとを製造する。
第1ペーストは、例えば、第1固体電解質からなる粒子と、必要に応じて含有される第2固体電解質からなる粒子および焼結助剤とを、所定の体積比で混合し、ペースト化することにより得られる。第1固体電解質からなる粒子および第2固体電解質からなる粒子は、それぞれの組成に応じた公知の製造方法により製造できる。
第2ペーストは、例えば、第2固体電解質からなる粒子と、必要に応じて含有される第1固体電解質からなる粒子および焼結助剤とを、所定の体積比で混合し、ペースト化することにより得られる。
積層体4の製造に使用する各材料をペースト化する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ビヒクルに各材料の粉末を混合してペーストを得る方法を用いることができる。ここで、ビヒクルとは、液相における媒質の総称である。本実施形態におけるビヒクルには、溶媒、結着材(バインダー)、可塑剤が含まれる。溶媒としては、例えば、ジヒドロターピネオールを用いることができる。バインダーとしては、例えば、エチルセルロースを用いることができる。
次に、グリーンシートを作製する。グリーンシートは、それぞれの材料毎に作製されたペーストをPET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムなどの基材上に塗布し、必要に応じて乾燥させた後、基材を剥離して得られるものである。ペーストの塗布方法は、特に限定されるものではなく、例えば、スクリーン印刷や塗布、転写、ドクターブレードなどの公知の方法を用いることができる。
次に、それぞれの材料毎に作製されたグリーンシートを、所望の順序及び積層数で積み重ねて積層シートを作製する。グリーンシートを積層する際は、必要に応じてアライメントおよび切断などを行う。例えば、並列型又は直並列型の電池を作製する場合には、正極集電体1Aの端面と負極集電体2Aの端面とが一致しないようにアライメントを行い、それぞれのグリーンシートを積み重ねることが好ましい。
積層シートとなるグリーンシートは、あらかじめ作製した固体電解質層ユニットと、正極ユニットと、負極ユニットであってもよい。
正極ユニットの作製手順としては、まず、PETフィルムなどの基材の上に、スクリーン印刷により正極活物質層1B用のペーストを印刷して乾燥し、正極活物質層1Bを形成する。次に、正極活物質1Bの上に、スクリーン印刷により正極集電体1A用のペーストを印刷して乾燥し、正極集電体1Aを形成する。次に、正極集電体1Aの上に、スクリーン印刷により正極活物質層1B用のペーストを印刷して乾燥し、正極活物質層1Bを形成する。その後、PETフィルムを剥離することで、正極ユニットが得られる。正極ユニットは、正極活物質層1B、正極集電体1A、及び正極活物質層1Bが、この順で積層されたグリーンシートである。
また、同様の手順で、負極ユニットを作製する。負極ユニットは、固体電解質層3、負極活物質層2B、負極集電体2A、及び負極活物質層2Bが、この順で積層されたグリーンシートである。
また、固体電解質層ユニットは、PETフィルムなどの基材の上に、第1層状領域31用のペーストをドクターブレード法により塗布し、乾燥してシート状の第1層状領域31を形成する。次に、第1層状領域31の上に、第2層状領域32用のペーストをドクターブレード法により塗布し、乾燥してシート状の第2層状領域32を形成する。固体電解質層ユニットは、第2層状領域32を形成してから、第2層状領域32の上に、第1層状領域31を形成する方法により作製してもよい。固体電解質層ユニットは、第1層状領域31と、第2層状領域32とが積層されたグリーンシートである。
次に、作製した正極ユニットと、負極ユニットとを、固体電解質層ユニットを介して積層する。このとき、固体電解質層ユニットにおける第2層状領域32が、負極ユニットと向かい合うように配置して積層する。このことにより、正極活物質層1B、正極集電体1A、正極活物質層1B、第1層状領域31、第2層状領域32、負極活物質層2B、負極集電体2A、負極活物質層2B、第2層状領域32、第1層状領域31が、この順で積層された積層シートが得られる。なお、正極ユニットと、固体電解質層ユニットと、負極ユニットとを積層する際には、正極ユニットが積層シートの一方の端面にのみ延出し、負極ユニットが積層シートの反対側の端面にのみ延出するように、交互にずらしながら積層する。
次に、作製した積層シートを一括して加圧し、各層の密着性を高め、積層基板とする。加圧は、例えば、金型プレス、温水等方圧プレス(WIP)、冷水等方圧プレス(CIP)、静水圧プレス等で行うことができる。加圧は、加熱しながら行うことが好ましい。加圧時の加熱温度は、例えば40~95℃とすることができる。
次いで、ダイシング装置を用いて加圧後に得られた積層基板を切断し、積層チップとする。その後、得られた積層チップに対する脱バインダー及び焼成工程を行う。このことにより、焼結体からなる積層体4が得られる。
脱バインダー及び焼成工程は、例えば、セラミック台上に、積層体を載置して行うことができる。脱バインダー及び焼成工程は、例えば、大気雰囲気下で550℃~1100℃に加熱する工程とすることができる。加熱時間(焼成時間)は、例えば、0.1時間~6時間とすることができる。脱バインダー及び焼成工程における加熱温度および焼成時間は、積層体4を構成する各層の組成などに応じて適宜決定できる。
焼結した積層体4(焼結体)は、アルミナなどの研磨材とともに円筒型の容器に入れて、バレル研磨する方法により研磨してもよい。これにより、積層体4の角の面取りを行うことができる。積層体4の研磨は、サンドブラストを用いて行ってもよい。サンドブラストは、積層体4の表面の特定の部分のみを削ることができるため好ましい。
次に、作製された積層体4の互いに対向する側面に、第1外部端子5および第2外部端子6をそれぞれ形成する。第1外部端子5および第2外部端子6は、それぞれ、スパッタリング法、ディッピング法、スクリーン印刷法、スプレーコート法などの方法を用いて形成できる。
以上の工程を経ることによって、全固体二次電池10を製造できる。
本実施形態の全固体二次電池10は、LiとSiとPとOとを含み、γ-LiPO型の結晶構造を有する第1固体電解質を含む第1相と、LiとSiとPとOとを含み、第1固体電解質とは異なる組成からなり、LiSiO型の結晶構造を有する第2固体電解質を含む第2相とを有し、第1相を含み、第2相の体積割合が第1相の体積割合以下であり、正極層1と負極層2との間に連続して形成された第1層状領域31と、正極層1と負極層2との間に連続して形成された第2相を含み、正極層1または負極層2(図2に示す例では負極層2)と隣接して配置され、第2相の体積割合が第1相の体積割合超である第2層状領域32とを有する固体電解質層3を有する。このため、本実施形態の全固体二次電池10は、良好なサイクル特性を有する。
本実施形態の全固体二次電池10が良好なサイクル特性を示す理由は定かではないが、第2相を十分に含む第2層状領域32が、正極層1と負極層2との間に連続し、かつ正極層1または負極層2(図2に示す例では負極層2)に隣接して配置されていることにより、固体電解質層3と、固体電解質層3の第2層状領域32に隣接して配置されている正極層1および/または負極層2(図2に示す例では負極層2のみ)との結合性および密着性が良好なものとなるためであると推定される。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
「実施例1」
(第1ペースト)
第1固体電解質としてのLi3+xSi1-x(式中のxは0.5である。)からなる粒子と、第2固体電解質としてのLi3+xSi1-x(式中のxは0.75である。)からなる粒子とを、体積比で55:45(第1固体電解質:第2固体電解質)となるように混合し、エチルセルロースとジヒドロターピネオールとをボールミルに加えて湿式混合し、実施例1の第1ペーストを作製した。第1固体電解質からなる粒子および第2固体電解質からなる粒子は、以下に示す方法により製造した。
(第1固体電解質からなる粒子の製造)
LiCOとSiOとLiPOとを出発材料として用意した。LiCOとSiOとLiPOとをモル比が2:1:1となるように量り取り、ボールミルを用いて水を分散媒として16時間湿式混合した。得られた混合物を1200℃で2時間仮焼きし、Li3.5Si0.50.5からなる粒子を得た。得られた粒子について、X線回折装置(PANlytical社製X‘pert PRO)を用いてCuKα線を用いたX線回折測定を行い、γ-LiPO型の結晶構造を有することを確認した。以上の工程により、実施例1の第1固体電解質からなる粒子を得た。
(第2固体電解質からなる粒子の製造)
LiCOとSiOとLiPOとを出発材料として用意した。LiCOとSiOとLiPOとをモル比が6:3:1となるように量り取り、ボールミルを用いて水を分散媒として16時間湿式混合した。得られた混合物を1200℃で2時間仮焼きし、Li3.75Si0.750.25からなる粒子を得た。得られた粒子について、X線回折装置(PANlytical社製X‘pert PRO)を用いてCuKα線を用いたX線回折測定を行い、LiSiO型の結晶構造を有することを確認した。以上の工程により、実施例1の第2固体電解質からなる粒子を得た。
(第2ペースト)
第1ペーストに使用した第1固体電解質と同じLi3+xSi1-x(式中のxは0.5である。)からなる粒子と、第1ペーストに使用した第2固体電解質と同じLi3+xSi1-x(式中のxは0.75である。)からなる粒子とを、体積比で5:95(第1固体電解質:第2固体電解質)となるように混合し、エチルセルロースとジヒドロターピネオールとをボールミルに加えて湿式混合し、実施例1の第2ペーストを作製した。
(正極集電体ペーストの作製)
AgとPdとをモル比で8:2(Ag:Pd)の割合で含むAgPd合金からなる粉末と、エチルセルロースとジヒドロターピネオールとをボールミルに加えて湿式混合し、実施例1の正極集電体ペーストを作製した。
(正極活物質層ペーストの作製)
コバルト酸リチウム(LiCoO)と、エチルセルロースとジヒドロターピネオールとをボールミルに加えて湿式混合し、実施例1の正極活物質層ペーストを作製した。
(負極用ペーストの作製)
チタン酸リチウム(LiTi12)粉末と、エチルセルロースとジヒドロターピネオールとをボールミルに加えて湿式混合し、実施例1の第1負極用ペーストを作製した。次いで、AgとPdとをモル比で8:2(Ag:Pd)の割合で含むAgPd合金からなる粉末と、エチルセルロースとジヒドロターピネオールとをボールミルに加えて湿式混合し、実施例1の第2負極用ペーストを作製した。
上記の各ペーストに使用したエチルセルロースはバインダーである。ジヒドロターピネオールは溶媒である。
(正極ユニットの作製)
PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムからなる基材上に、スクリーン印刷を用いて、正極活物質層ペーストを5μmの厚みで塗布し、80℃で5分間乾燥した。乾燥後の正極活物質層ペースト上に、スクリーン印刷を用いて、正極集電体ペーストを5μmの厚みで塗布し、80℃で5分間乾燥した。乾燥後の正極集電体ペースト上に、スクリーン印刷を用いて、正極活物質層ペーストを5μmの厚みで塗布し、80℃で5分間乾燥した後、基材から剥離した。このことにより、正極活物質層と、正極集電体層と、正極活物質層とが、この順で積層された正極ユニットを得た。
(固体電解質層ユニットの作製)
PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムからなる基材上に、スクリーン印刷を用いて、第1ペーストを18μmの厚みで塗布し、80℃で10分間乾燥した。乾燥後の第1ペースト上に、スクリーン印刷を用いて、第2ペーストを2μmの厚みで塗布し、80℃で5分間乾燥した後、基材から剥離した。このことにより、第1ペーストを用いて作製したシートと、第2ペーストを用いて作製したシートとが積層された固体電解質層ユニットを得た。
(負極ユニットの作製)
PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムからなる基材上に、スクリーン印刷を用いて、第1負極用ペーストを5μmの厚みで塗布し、80℃で5分間乾燥した。乾燥後の第1負極用ペースト上に、スクリーン印刷を用いて、第2負極用ペーストを5μmの厚みで塗布し、80℃で5分間乾燥した。乾燥後の第2負極用ペースト上に、スクリーン印刷を用いて、第1負極用ペーストを5μmの厚みで塗布し、80℃で5分間乾燥した後、基材から剥離した。このことにより、第1負極用ペーストを用いて作製したシートと、第2負極用ペーストを用いて作製したシートと、第1負極用ペーストを用いて作製したシートとが積層された負極ユニットを得た。
(全固体二次電池の作製)
正極ユニット25枚と、負極層ユニット25枚とを、固体電解質層ユニット挟むように交互に積み重ねて、積層体4となる積層シートを得た。このとき、積層シート内の固体電解質層ユニットにおける第2ペーストを用いて作製したシートが、負極ユニットと向かい合うように配置した。また、積層シートの最上面および最下面が、固体電解質層ユニットとなるように積層した。また、正極ユニットが積層シートの一方の端面にのみ延出し、負極ユニットが積層シートの反対側の端面にのみ延出するように、ずらして積み重ねた。
次に、作製した積層シートを一括して加圧し、ダイシング装置を用いて切断して積層チップを作製した。その後、積層チップに対する脱バインダー及び焼成工程を行い、焼結体からなる実施例1の積層体を得た。脱バインダー及び焼成工程では、大気雰囲気下、900℃で1時間加熱した。
次に、作製された積層体の互いに対向する側面に、Auスパッタ法により、第1外部端子および第2外部端子をそれぞれ形成した。
以上の工程により、図1に示す実施例1の全固体二次電池10を得た。
「実施例2」
以下に示す方法により固体電解質層ユニットを作製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の全固体二次電池10を得た。
PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムからなる基材上に、スクリーン印刷を用いて、第1ペーストを12μmの厚みで塗布し、80℃で10分間乾燥した。乾燥後の第1ペースト上に、スクリーン印刷を用いて、第2ペーストを8μmの厚みで塗布し、80℃で5分間乾燥した後、基材から剥離した。このことにより、第1ペーストを用いて作製したシートと、第2ペーストを用いて作製したシートとが積層された実施例2の固体電解質層ユニットを得た。
「実施例3」
以下に示す方法により固体電解質層ユニットを作製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の全固体二次電池10を得た。
PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムからなる基材上に、スクリーン印刷を用いて、第1ペーストを10μmの厚みで塗布し、80℃で10分間乾燥した。乾燥後の第1ペースト上に、スクリーン印刷を用いて、第2ペーストを10μmの厚みで塗布し、80℃で10分間乾燥した後、基材から剥離した。このことにより、第1ペーストを用いて作製したシートと、第2ペーストを用いて作製したシートとが積層された実施例3の固体電解質層ユニットを得た。
「実施例4」
以下に示す方法により固体電解質層ユニットを作製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の全固体二次電池10を得た。
PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムからなる基材上に、スクリーン印刷を用いて、第1ペーストを2μmの厚みで塗布し、80℃で5分間乾燥した。乾燥後の第1ペースト上に、スクリーン印刷を用いて、第2ペーストを18μmの厚みで塗布し、80℃で10分間乾燥した後、基材から剥離した。このことにより、第1ペーストを用いて作製したシートと、第2ペーストを用いて作製したシートとが積層された実施例4の固体電解質層ユニットを得た。
「実施例5」
以下に示す方法により第2ペーストを作製し、これを用いて以下に示す方法により固体電解質層ユニットを作製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の全固体二次電池10を得た。
第1固体電解質と、第2固体電解質とを、体積比で3:7(第1固体電解質:第2固体電解質)となるように混合したこと以外は、実施例1と同様にして実施例5の第2ペーストを作製した。
PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムからなる基材上に、スクリーン印刷を用いて、第1ペーストを16μmの厚みで塗布し、80℃で10分間乾燥した。乾燥後の第1ペースト上に、スクリーン印刷を用いて、実施例5の第2ペーストを4μmの厚みで塗布し、80℃で5分間乾燥した後、基材から剥離した。このことにより、第1ペーストを用いて作製したシートと、第2ペーストを用いて作製したシートとが積層された実施例5の固体電解質層ユニットを得た。
「実施例6」
積層シート内の固体電解質層ユニットにおける第2ペーストを用いて作製したシートが、正極ユニットと向かい合うように配置したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6の全固体二次電池10を得た。
「実施例7」
負極ユニットに代えて、以下に示す方法により作製した負極層となる積層用シートを用いたことと、以下に示す方法により固体電解質層ユニットを作製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7の全固体二次電池10を得た。
(負極層ペーストの作製)
AgとPdとをモル比で8:2(Ag:Pd)の割合で含むAgPd合金からなる粉末と、エチルセルロースとジヒドロターピネオールとをボールミルに加えて湿式混合し、実施例7の負極層ペーストを作製した。
(負極層となる積層用シートの作製)
PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムからなる基材上に、スクリーン印刷を用いて、実施例7の負極層ペーストを5μmの厚みで塗布し、80℃で5分間乾燥した後、基材から剥離した。このことにより、負極層となる積層用シートを得た。
PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムからなる基材上に、スクリーン印刷を用いて、第1ペーストを16μmの厚みで塗布し、80℃で10分間乾燥した。乾燥後の第1ペースト上に、スクリーン印刷を用いて、第2ペーストを4μmの厚みで塗布し、80℃で5分間乾燥した後、基材から剥離した。このことにより、第1ペーストを用いて作製したシートと、第2ペーストを用いて作製したシートとが積層された実施例7の固体電解質層ユニットを得た。
「比較例1」
固体電解質層ユニットに代えて、以下に示す方法により作製した固体電解質層となる積層用シートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の全固体二次電池10を得た。
実施例1の第1ペーストと第2ペーストとを、体積比で1:1となるように混合し、比較例1の固体電解質層のペーストを作製した。
そして、PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムからなる基材上に、スクリーン印刷を用いて、比較例1の固体電解質層のペーストを20μmの厚みで塗布し、80℃で10分間乾燥した後、基材から剥離した。このことにより、比較例1の固体電解質層となる積層用シートを得た。
このようにして得られた実施例1~実施例7、比較例1の全固体二次電池10について、固体電解質層の材料として使用した第1固体電解質および第2固体電解質と、負極層の構成を表1に示す。
Figure 2023168868000002
また、実施例1~実施例7、比較例1の全固体二次電池10について、以下に示す方法により、第1層状領域の有無、第1層状領域中の第2相の体積割合(体積%)、第2層状領域の有無、第2層状領域中の第2相の体積割合(体積%)、第2層状領域の存在箇所、第2層状領域と固体電解質層との厚みの比(第2層状領域/固体電解質層)、容量維持率(1000サイクル後の容量/初期容量)を求めた。
まず、全固体二次電池10をチップ中央にて切断して、断面を露出させ、クロスセクションポリッシャー(CP)により清澄な断面を得た。全固体二次電池10は、積層体を積層面から見たときの第1外部端子と第2外部端子との間を、略中央部で分断するように切断した。そして、得られた断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて5000倍で観察し、10視野の二次電子像を得た。
得られた10視野の二次電子像のコントラストにより、正極層、負極層、固体電解質層中の第1相と第2相をそれぞれ判別した。その結果、全ての視野において、固体電解質層が第1相と第2相のみからなるものであることが確認された。
次に、各視野について、二次電子像のコントラストにより判別した第1相および第2相を抽出し、正極層または負極層と隣接して配置され、正極層と負極層との間に連続して形成された第2相があるか否かを確認した。そして、上記の連続して形成された第2相がある場合、第2相に取り囲まれた第1相と、上記の連続して形成された第2相と隣接している正極層または負極層とに取り囲まれた第1相と、上記の連続して形成された第2相とからなる領域を第2層状領域とみなし、第2層状領域が存在するものとした。
また、各視野の固体電解質層の第2層状領域でない領域について、第1相を含み、正極層と負極層との間に連続して形成された第1層状領域が存在するか否かを確認した。
次に、各二次電子像をモノクロ画像に変換して二値化した。そして、各視野内の第2層状領域に相当する部分のピクセル数と、第2層状領域内の第2相に相当する部分のピクセル数とを測定し、それぞれ足し合わせた。そして、以下に示す式により、第2層状領域内の第2相の体積割合(体積%)を算出した。
第2層状領域内の第2相の体積割合(体積%)=(全視野内の第2層状領域内の第2相のピクセル数/全視野内の第2層状領域に相当する部分のピクセル数)×100
また、各視野内の第1層状領域に相当する部分のピクセル数と、第1層状領域内の第2相に相当する部分のピクセル数とを測定し、それぞれ足し合わせた。次に、以下に示す式により、第1層状領域内の第2相の体積割合(体積%)を算出した。
第1層状領域内の第2相の体積割合(体積%)=(全視野内の第1層状領域内の第2相のピクセル数/全視野内の第1層状領域に相当する部分のピクセル数)×100
次に、上記の10視野の二次電子像それぞれに、固体電解質層を積層体4の積層面と直交する方向(積層方向)に横断する10本の直線を引いた。10本の直線は、等間隔で離間させて配置した。
各直線の固体電解質層上に重なって配置された部分の長さを測定し、その平均値を各視野ごとに算出し、さらに10視野の平均値を求め、固体電解質層の厚みとした。
また、上記の10本の直線上について、上記の連続して形成された第2相がある場合、上記の連続して形成された第2相と隣接している正極層または負極層から見て、上記の連続して形成された第2相を超えて初めて第1相が出現するまでの長さを、それぞれ測定した。なお、第2相に取り囲まれた第1相、および上記の連続して形成された第2相と隣接している正極層または負極層とに取り囲まれた第1相は、上記の連続して形成された第2相の一部とみなして、上記の第2相を超えて初めて第1相が出現するまでの長さを測定した。
図3は、第2層状領域の厚みの測定方法を説明するための模式図であり、上記の10視野の二次電子像のうち、1視野に引いた10本の直線から選ばれる1本の直線Lと、その周辺領域を示した模式図である。
図3において、符号11は第1相を示し、符号21は第2相を示し、符号22は正極層1と負極層2との間に連続して形成された第2相を示す。符号Lは、1視野の二次電子像に引いた10本の直線から選ばれる1本の直線を示す。図3に示す符号t2は、直線L上において、第2相21が連続して形成された第2相22と隣接している負極層2から見て、上記の連続して形成された第2相22を超えて初めて第1相11が出現するまでの長さを示す。
このようにして測定した上記の連続して形成された第2相22を超えて初めて第1相11が出現するまでの長さについて、上記の10本の直線の平均値を各視野ごとに算出し、さらに10視野の平均値を求め、第2層状領域の厚みとした。
このようにして得られた固体電解質層の厚みと第2層状領域の厚みを用いて、厚みの比(第2層状領域/固体電解質層)を算出した。
上記の方法により測定した結果、実施例1~実施例7の全固体二次電池10では、全ての視野において、固体電解質層中に、正極層と負極層との間に連続して形成された第1層状領域が1層存在していることが確認できた。また、実施例1~実施例7の全固体二次電池10における第1層状領域は、いずれも第1層状領域中の第2相の体積割合が50体積%以下であることが確認できた。
また、実施例1~実施例7の全固体二次電池10では、全ての視野において、固体電解質層中に、正極層と負極層との間に連続して形成された第2相を含み、正極層または負極層と隣接して配置され、第2相の体積割合が第1相の体積割合超である第2層状領域が1層存在していることが確認できた。
すなわち、実施例1~実施例7の全固体二次電池10では、全ての視野において、固体電解質層中に、第1層状領域および第2層状領域がそれぞれ1層ずつ存在していた。
一方、比較例1の全固体二次電池では、全ての視野において、固体電解質層中に、第1層状領域のみしか存在しておらず、第2層状領域は存在していなかった。
また、実施例1~実施例5、実施例7の全固体二次電池10では、全ての視野において、第2層状領域が負極層に隣接して配置されていることが確認できた。また、実施例6の全固体二次電池10では、全ての視野において、第2層状領域が正極層に隣接して配置されていることが確認できた。
(容量維持率(1000サイクル後の容量/初期容量)の測定)
電気化学試験装置(北斗電工株式会社製)を用いて、以下に示す方法により、実施例1~実施例7、比較例1の全固体二次電池10の定電流充放電試験(CC-CC)を行った。
充電レート0.2C(25℃で1mA定電流充電を行ったときに10時間で充電終了となる電流値)の定電流充電で、電池電圧が4.0Vとなるまで充電(CC充電)を行い、放電レート0.2Cの定電流放電で、電池電圧が1.0Vとなるまで放電(CC放電)を行った。充放電終了後の放電容量(μAh)を検出し、初回サイクルの放電容量(初期容量)Qを求めた。
電池容量Qを求めた全固体二次電池を、再び充電レート0.2Cの定電流充電で、電池電圧が4.0Vとなるまで充電(CC充電)を行い、放電レート0.1Cの定電流放電で、電池電圧が1.0Vとなるまで放電(CC放電)を行った。上記充放電を1サイクルとカウントし、1000サイクルの充放電を行った。その後、1000サイクル充放電終了後の放電容量Qを求めた。
このようにして求めた放電容量Q、Qから、以下の式を用いて1000サイクル後の容量維持率Eを求めた。その結果を表1に示す。
E(%)=(Q/Q)×100
表1に、実施例1~実施例7、比較例1の全固体二次電池10について、第2層状領域の有無、第2層状領域中の第2相の体積割合(体積%)、第2層状領域の存在箇所、第2層状領域と固体電解質層との厚みの比(第2層状領域/固体電解質層)、容量維持率(1000サイクル後の容量/初期容量)を示す。
表1に示すように、実施例1~実施例7の全固体二次電池10は、固体電解質層に第2層状領域が存在しない比較例1の全固体二次電池と比較して、容量維持率の大きいものであった。これは、実施例1~実施例5、実施例7の全固体二次電池10では、固体電解質層中に存在する第2層状領域によって、固体電解質層と、負極層2との結合性および密着性が良好なものになっているためであると推定される。また、実施例6の全固体二次電池10では、固体電解質層中に存在する第2層状領域によって、固体電解質層と、正極層1との結合性および密着性が良好なものになっているためであると推定される。
特に、第2層状領域中の第2相の体積割合が80体積%以上である実施例1~実施例3の全固体二次電池10は、第2層状領域中の第2相の体積割合が70体積%である実施例5の全固体二次電池10と比較して、容量維持率の大きいものであった。
また、固体電解質層の厚みに対する第2層状領域の厚みの比が、0.1以上0.5未満である実施例1、実施例2の全固体二次電池10は、上記の厚みの比が0.5以上である実施例3、実施例4の全固体二次電池10と比較して、容量維持率の大きいものであった。
また、第2層状領域が負極層に隣接して配置されている実施例1の全固体二次電池10は、第2層状領域が正極層に隣接して配置されている実施例6の全固体二次電池10と比較して、容量維持率の大きいものであった。
また、負極層がAgPd合金からなる負極集電体とTiを含む負極活物質とを含む実施例1、実施例2の全固体二次電池10は、第2層状領域中の第2相の体積割合が実施例1、実施例2と同じであって、負極層が負極集電体と負極活物質層とを兼ねるAgPd合金からなる実施例7の全固体二次電池10と比較して、容量維持率の大きいものであった。
1…正極層、1A…正極集電体、1B…正極活物質層、2…負極層、2A…負極集電体、2B…負極活物質層、3…固体電解質層、4…積層体、5…第1外部端子、6…第2外部端子、10…全固体二次電池、31…第1層状領域、32…第2層状領域(層状領域)。

Claims (5)

  1. 正極層と、負極層と、前記正極層と前記負極層との間に挟持された固体電解質層とを有し、
    前記固体電解質層は、LiとSiとPとOとを含み、γ-LiPO型の結晶構造を有する第1固体電解質を含む第1相と、
    LiとSiとPとOとを含み、前記第1固体電解質とは異なる組成からなり、LiSiO型の結晶構造を有する第2固体電解質を含む第2相とを有し、
    前記第1相を含み、前記第2相の体積割合が前記第1相の体積割合以下であり、前記正極層と前記負極層との間に連続して形成された第1層状領域と、
    前記正極層と前記負極層との間に連続して形成された前記第2相を含み、前記正極層または前記負極層と隣接して配置され、前記第2相の体積割合が前記第1相の体積割合超である第2層状領域とを有する、全固体二次電池。
  2. 前記第2層状領域は、前記第2相の体積割合が80体積%以上である、請求項1に記載の全固体二次電池。
  3. 前記固体電解質層の厚みに対する前記第2層状領域の厚みの比が、0.1以上0.5未満である、請求項1または請求項2に記載の全固体二次電池。
  4. 前記第2層状領域が、前記負極層に隣接して配置されている、請求項1または請求項2に記載の全固体二次電池。
  5. 前記負極層が、Tiを含む負極活物質を含む、請求項1または請求項2に記載の全固体二次電池。
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