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JP2022146291A - プレコート液、プレコート液を用いる画像形成方法および画像形成装置 - Google Patents

プレコート液、プレコート液を用いる画像形成方法および画像形成装置 Download PDF

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JP2022146291A
JP2022146291A JP2021047177A JP2021047177A JP2022146291A JP 2022146291 A JP2022146291 A JP 2022146291A JP 2021047177 A JP2021047177 A JP 2021047177A JP 2021047177 A JP2021047177 A JP 2021047177A JP 2022146291 A JP2022146291 A JP 2022146291A
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昭博 本谷
Akihiro Mototani
亜希子 河村
Akiko Kawamura
裕之 安川
Hiroyuki Yasukawa
好康 松本
Yoshiyasu Matsumoto
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Abstract

【課題】画像の転写性が良好であり、高精細な画像を得ることができるプレコート液を提供すること。【解決手段】本願発明のプレコート液は、活性線硬化型インクおよび中間転写体を用いる中間転写型の画像形成方法において、前記活性線硬化型インクが付与される前の前記中間転写体の表面に付与されるプレコート液である。前記プレコート液は、水溶性ポリマー、親水性液体、界面活性剤および水を含み、前記水溶性ポリマーの含有量は、前記親水性液体100質量部に対して、0.1質量部以上100質量部以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、プレコート液、当該プレコート液を用いる画像形成方法および画像形成装置に関する。
インクジェット法は、簡便かつ安価に画像を作製できるため、各種印刷、マーキング、細線形成、カラーフィルター等の特殊印刷を含む様々な印刷分野に応用されている。インクジェット法は、版を用いずデジタル印刷が可能であるため、多様な画像を少量ずつ形成するような用途に特に好適である。
インクジェット法によって、紙などのインクを吸収する記録媒体に画像を形成するとき、インクジェットヘッドから吐出されて記録媒体に着弾したインクの一部は、記録媒体の内部へ浸透する。そのため、インク使用量を低減して画像形成を低コスト化しようとすると、画像の隠蔽率が低下してしまい、形成した画像にムラが生じやすくなる。また、上記記録媒体への浸透を抑制して記録媒体の表面でインクを広がりやすくするために、インクを低粘度化すると、インクが滲みやすく、高精細な画像を形成しにくい。
これに対し、インクを浸透させにくい中間転写体の表面に中間画像を形成し、その後、上記中間画像を記録媒体に転写することにより、より少量のインクによっても隠蔽率の高い画像を形成することができ、かつ、インクの滲みも抑制できるため、より低コストで高精細な画像形成が可能となる。しかしながら、中間転写体の表面に形成した中間画像を記録媒体の表面に転写すると、中間画像の一部が中間転写体の表面に残ってしまい、画像欠陥が生じることがあった。そのため、中間転写体の表面に形成した画像の転写性の向上が望まれている。
そこで、中間転写体の表面にプレコート層を形成し、上記プレコート層上に活性線硬化型インクを付与して、中間画像を形成する画像形成方法が検討されている。
たとえば、特許文献1には、ワックス状デンプンと、少なくとも1つのポリカルボン酸架橋剤と、少なくとも1つの吸湿性材料と、少なくとも1つの界面活性剤とを含むコーティング組成物が記載されている。特許文献1によると、当該コーティング組成物をブランケット(中間転写体)の表面に付与してコーティング層を形成し、当該層の表面にインクを付与することにより、記録媒体への転写性を向上させることができるとされている。
特開2017-039316号公報
本願発明者らが検討したところ、特許文献1のように、コーティング層の表面にインクを付与して画像を形成すると、記録媒体への画像の転写性は向上するものの、コーティング層の表面に付与されたインクが濡れ広がりにくかったり、液体状のコーティング層の表面でインクが流動してしまったりするため、ドット同士が合一せずに所望する鮮明な画像を得られないことがあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、画像の転写性が良好であり、高精細な画像を得ることができるプレコート液を提供することを目的とする。また、本発明は、当該プレコート液を用いた画像形成方法および画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明のプレコート液は、活性線硬化型インクおよび中間転写体を用いる中間転写型の画像形成方法において、前記活性線硬化型インクが付与される前の前記中間転写体の表面に付与されるプレコート液であって、前記プレコート液は、水溶性ポリマー、親水性液体、界面活性剤および水を含み、前記水溶性ポリマーの含有量は、前記親水性液体100質量部に対して、0.1質量部以上100質量部以下である。
本発明の画像形成方法は、中間転写体の表面に上記プレコート液を付与する工程と、前記中間転写体に付与されたプレコート液から、親水性液体を残存させつつ水を除去して、プレコート層を形成する工程と、前記プレコート層の表面に活性線硬化型インクを付与する工程と、前記付与された活性線硬化型インクを記録媒体に転写する工程と、前記転写された活性線硬化型インクを硬化させる工程と、を有する。
本発明の画像形成装置は、中間転写体と、前記中間転写体の表面に上記プレコート液を付与するプレコート液付与部と、前記中間転写体に付与されたプレコート液に含有される水および親水性液体のうち、前記水を除去して、前記親水性液体を残存させてプレコート層を形成するプレコート層形成部と、前記プレコート層の表面に、活性線硬化型インクを付与するインク付与部と、前記付与された活性線硬化型インクを記録媒体に転写する転写部と、前記転写された活性線硬化型インクを硬化させる硬化部と、を有する。
本発明によれば、画像の転写性が良好であり、高精細な画像を得ることができるプレコート液を提供することができる。また、本発明によれば、当該プレコート液を用いた画像形成方法および画像形成装置を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成方法を実施するための画像形成装置の構成を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
1.プレコート液
本発明の一実施の形態に係るプレコート液は、活性線硬化型インクが付与される前の中間転写体の表面に付与されて、中間画像(活性線硬化型インク)を記録媒体に転写する際に、中間転写体の表面から中間画像を剥離しやすくする。
上記プレコート液は、水溶性ポリマー、親水性液体、界面活性剤および水を含む。上記プレコート液は、中間転写体の表面に付与され、水を除去されることで、膜を形成した水溶性ポリマーと、親水性液体と、を含むプレコート層を形成する。
1-1.水溶性ポリマー
水溶性ポリマーは、中間転写体の表面に付与されたプレコート液を乾燥させて水を除去したときに、親水性の膜を形成する。膜を形成することにより、プレコート層の流動を抑制して、膜の表面に付与されたインクの位置ズレを抑制することができる。また、水溶性ポリマーは、膜の形成によりプレコート層の表面を固体状として、付与されたインクの流動を抑制することにより、インクを安定して十分に塗れ広がらせて、インクのドットを合一させやすくすることができる。さらには、水溶性ポリマーは、上記安定した塗れ広がりにより、付与されたインクをより均一に塗れ広がらせて、より真円に近い形状のドットを形成させ、形成される画像をより鮮明にすることができる。なお、上記水溶性ポリマーは、後述するように親水性液体との親和性が高いため、プレコート層の内部で親水性液体と層分離せずに、これらが一体となったプレコート層を形成する。そのため、水溶性ポリマーを用いて膜を形成することで、インクを付与された後の水溶性ポリマーの膜が親水性液体の表面を流動することによるインクの位置ズレも、生じにくくすることができる。なお、本明細書において、水溶性ポリマーとは、25℃における水100gに対して1g以上溶解するポリマーのことをいう。
上記水溶性ポリマーの例には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその塩、ポリメタクリル酸およびその塩、ポリアクリルアミドおよびその塩、ポリメタクリルアミドおよびその塩、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)およびその塩、ポリ(2-オキサゾリン)、ポリエチレンオキサイド、水溶性の多糖類などが含まれる。なお、上記水溶性ポリマーは、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記水溶性ポリマーは、水溶性の多糖類であることが好ましい。多糖類は、多数の水酸基を有するため、親水性液体との間に水素結合を形成しやすい。そのため、水溶性の多糖類により膜を形成したプレコート層は、内部に良好に分散した親水性液体により十分に軟化されているため層内剥離しやすく、記録媒体への画像の転写性が高い。上記水溶性の多糖類の例には、アルギン酸塩、アルギン酸エステル、セルロース誘導体、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、ゲランガム、デキストリン、デキストラン、プルランなどが含まれる。これらのうち、プレコート液の流動性の観点から、直鎖状の水溶性ポリマーが好ましい。直鎖状の水溶性ポリマーの例には、アルギン酸塩、アルギン酸エステル、セルロース誘導体、ゲランガムおよびプルランが含まれる。また、これらのうち、ドットの形状をより円形に近くして画像をより鮮明にし、かつドットの位置ズレをより抑制する観点からは、水溶性のセルロース誘導体が好ましい。
上記水溶性のセルロース誘導体は、ヒドロキシアルキル基、またはカルボキシアルキル基を有するセルロースであることが好ましい。上記ヒドロキシアルキル基、またはカルボキシアルキル基を有するセルロースの例には、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどが含まれる。この中では、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースであることが好ましく、転写性をより高める観点からはヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースであることがより好ましく、ヒドロキシエチルセルロースであることがさらに好ましい。
上記水溶性ポリマーの含有量は、親水性液体100質量部に対して、0.1質量部以上100質量部以下であり、1質量部以上65質量部未満であることが好ましく、1質量部以上40質量部未満であることがより好ましく、5質量部以上40質量部未満であることがさらに好ましい。水溶性ポリマーの含有量を0.1質量部以上とすることにより、適切な厚さの水溶性ポリマーの膜が形成され、かつ膜の内部の親水性液体が流動しにくくなり、膜の表面に付与されたインクの位置ズレが抑制されるので、高精細な画像を形成することができる。また、100質量部以下とすることにより、プレコート層の内部に含まれる親水性液体の相対量を多くして、プレコート層を柔らかくし、プレコート層を記録媒体の動きに追随しやすくし、かつ層内剥離させやすくして、転写性を向上させることができる。
1-2.親水性液体
親水性液体は、水と相溶する液体である。プレコート層の内部に残存する上記親水性液体は、インクとの相溶性が低いため、インクをプレコート層の内部に染み込みにくくする。これにより、プレコート層の表面でインクを十分に濡れ広がらせ、インクを合一させやすくする。一方で、上記親水性液体は、インクとの親和性が低いため、プレコート層の表面におけるインクの過剰な濡れ広がりを抑制する。このように、親水性液体は、染み込みの抑制により十分な量のインクをプレコート層の表面にとどめ、一方でインクの過剰な濡れ広がりを抑制することにより、インクのドット径を所望の大きさに調整する。
また、親水性液体は、プレコート層の内部へのインクの染み込みを抑制することにより、転写性の低下も抑制する。
また、上記親水性液体は、プレコート層の内部に残存してプレコート層を軟化させ、転写時にプレコート層を層内剥離させやすくする。上記層内剥離により、インクが付与された面を中間転写体から記録媒体へと移行しやすくすることでも、インクの転写率を向上させることができる。
上記親水性液体は、1分子中に2つ以上の水酸基を含有する化合物であることが好ましく、1分子中に3つ以上の水酸基を含有する化合物であることがより好ましい。水酸基の数が多いほど、インクとの親和性が低く、プレコート層の内部へのインクの染み込みや、プレコート層の表面におけるインクの過剰な濡れ広がりを抑制しやすい。また、水酸基の数が多いほど、水溶性ポリマーとの相互作用が生じやすく、プレコート層の内部により良好に分散してプレコート層をより十分に軟化させ、層内剥離を生じやすくして転写性を高めやすい。一方で、親水性液体の分子量を過剰に高めないためには水酸基の数も過剰ではないことが好ましく、この観点から、親水性液体が、水酸基1つあたりの分子量が60g/mol以上であることが好ましく、または1分子内に含有する水酸基の数は、10個以下であることが好ましい。
また、1分子中に3つ以上の水酸基を含有する化合物は、下記一般式(1)で表される構造を有することが好ましく、1分子中に2つ以上の水酸基を含有する化合物は、下記一般式(2)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2022146291000002
式(1)中、nは重合度を示す。nは1~8の整数であることが好ましく、1~5の整数であることがより好ましい。
Figure 2022146291000003
式(2)中、Rは炭素数が2~6の直鎖または分岐鎖のアルキレン基、またはユニットの繰り返し数が2以上4以下のエチレンオキサイド基またはプロピレンオキサイド基であることが好ましい。
上記一般式(1)で表される構造を有する親水性液体(1分子中に3つ以上の水酸基を含有する化合物)の例には、グリセリン、ジグリセリン、およびポリグリセリンが含まれる。これらのうち、1分子あたりの水酸基がより多いグリセリンが好ましい。
また、一般式(2)で表される構造を有する親水性液体(1分子中に2つ以上の水酸基を含有する化合物)の例には、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコールが含まれる。これらのうち、インクをより均一に濡れ広がらせやすいことから、ポリエチレングリコールおよび1,3-プロパンジオールが好ましい。
これらのうち、水酸基が多いため、インクとの親和性が低く、かつ水溶性ポリマーとの親和性が高いことから、一般式(1)で表される化合物がより好ましい。
1-3.界面活性剤
界面活性剤は、プレコート層の表面に配列して、活性線硬化型インクの濡れ広がりやすさを調整し、かつ均一に濡れ広がらせる。
上記界面活性剤は、炭素数が8以上18以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基を含むことが好ましい。界面活性剤の炭素数が8以上18以下であることにより、活性線硬化型インクとの親和性が高すぎず低すぎない程度となるため、活性線硬化型インクをより均一かつ十分な大きさに濡れ広がらせることができる。
また、上記界面活性剤は、硫酸エステル塩であることが好ましく、エチレンオキサイドユニットを含む硫酸エステル塩であることがより好ましい。界面活性剤が硫酸エステル塩であることにより、水に対する高い溶解性が得られる。また、界面活性剤がエチレンオキサイドユニットを有することにより、同様の構造を有する上述の親水性液体と相溶しやすくなるので、プレコート液中に均一に分散することができる。
また、本実施の形態においては、上記界面活性剤は、グリセリンユニットを含むことが好ましい。界面活性剤が、グリセリンユニットを有することにより、同様の構造を有する上述の親水性液体と相溶しやすくなるので、プレコート液中に均一に分散することができる。
上記界面活性剤の含有量は、上記親水性液体100質量部に対して、0.001質量部以上0.1質量部以下であることが好ましく、0.001質量部以上0.01質量部以下であることがより好ましい。
界面活性剤の含有量を0.001質量部以上とすることにより、親水性のプレコート層の表面に適切な量の界面活性剤の疎水性基が存在し得るので、活性線硬化型インクをより均一かつ十分な大きさに濡れ広がらせることができる。また、界面活性剤の含有量を0.1質量部以下とすることにより、プレコート層の表面に配位した界面活性剤が流動する際にインクを移動させることによる、インクの位置ズレを抑制することができる。
1-4.水
水は、水溶性ポリマーおよび親水性液体を含むプレコート液の粘度を調整し、中間転写体の表面に塗布しやすくする。これにより、中間転写体の表面にプレコート液を均一に塗布することができる。
上記水は、特に限定されるものではなく、イオン交換水、蒸留水、または純水であってもよい。上記水の含有量は、プレコート液が低粘度となって中間転写体に塗布しやすくなり、かつ、短時間でプレコート液中の水を除去することができる範囲において、任意に設定することができる。
1-5.プレコート液の物性
本実施の形態に係るプレコート液の粘度は、20℃において、5mPa・s以上100mPa・s以下であることが好ましく、10mPa・s以上50mPa・s以下であることがより好ましい。上記プレコート液の粘度が、5mPa・s以上であると、中間転写体の表面に形成される薄膜の膜厚の均一性が良好となる。100mPa・s以下であることにより、中間転写体の表面にプレコート液を均一に濡れ広がらせることができる。なお、20℃における、上記プレコート液の粘度は、ストレス制御型レオメータ(Anton Paar社製、Physica MCR301(コーンプレートの直径:75mm、コーン角:1.0°))で測定することができる。
2.活性線硬化型インク
本発明に用いることができる活性線硬化型インクは、活性線重合性化合物を含み、活性線の照射により上記活性線重合性化合物が重合および架橋して硬化するインクである。また、上記活性線硬化型インクは、必要に応じて、重合開始剤、ゲル化剤、重合禁止剤、染料および顔料などの色材、顔料を分散させるための分散剤、顔料を基材に定着させるための定着樹脂、界面活性剤、pH調整剤、保湿剤、紫外線吸収剤などを含有してもよい。上記その他の成分は、上記組成物中に、1種類のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
2-1.活性線重合性化合物
上記活性線重合性化合物は、活性線の照射により架橋または重合する化合物である。活性線の例には、電子線、紫外線、α線、γ線およびエックス線などが含まれる。上記活性線の中では、紫外線または電子線であることが好ましく、紫外線であることがより好ましい。上記活性線重合性化合物の例には、ラジカル重合性化合物、カチオン重合性化合物、またはそれらの混合物が含まれる。上記活性線重合性化合物の中では、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。なお、上記活性線重合性化合物は、モノマー、重合性オリゴマー、プレポリマーおよびこれらの混合物のいずれであってもよい。
ラジカル重合性化合物とは、分子中にエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物である。ラジカル重合性化合物は、単官能または多官能の化合物でありうる。ラジカル重合性化合物の例には、不飽和カルボン酸エステル化合物である、(メタ)アクリレートが含まれる。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタアクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基またはメタアクリロイル基を意味し、「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタクリルを意味する。
単官能の(メタ)アクリレートの例には、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル-フタル酸およびt-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートが含まれる。
多官能の(メタ)アクリレートの例には、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートおよびトリプロピレングリコールジアクリレートなどの2官能の(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能の(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレートなどの3官能以上の(メタ)アクリレート;ポリエステルアクリレートオリゴマーを含む(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー、ならびにこれらの変性物などが含まれる。上記変性物の例には、エチレンオキサイド基を挿入したエチレンオキサイド変性(EO変性)アクリレート、およびプロピレンオキサイドを挿入したプロピレンオキサイド変性(PO変性)アクリレートが含まれる。
また、カチオン重合性化合物とは、分子中にカチオン重合性基を有する化合物である。カチオン重合性化合物の例には、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物およびオキセタン化合物などが含まれる。
上記エポキシ化合物の例には、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンモノエポキサイド、ε-カプロラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1-メチル-4-(2-メチルオキシラニル)-7-オキサビシクロ[4,1,0]ヘプタン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサノン-メタ-ジオキサンおよびビス(2,3-エポキシシクロペンチル)エーテルなどの脂環式エポキシ樹脂、1,4-ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、およびグリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種類または2種類以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドなど)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテルなどを含む脂肪族エポキシ化合物、ならびに、ビスフェノールAまたはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAまたはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、およびノボラック型エポキシ樹脂などを含む芳香族エポキシ化合物などが含まれる。
上記ビニルエーテル化合物の例には、エチルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル-o-プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、およびオクタデシルビニルエーテルなどを含むモノビニルエーテル化合物、ならびにエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、およびトリメチロールプロパントリビニルエーテルなどを含むジまたはトリビニルエーテル化合物などが含まれる。
上記オキセタン化合物の例には、3-ヒドロキシメチル-3-メチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-エチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-プロピルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-ノルマルブチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-フェニルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-ベンジルオキセタン、3-ヒドロキシエチル-3-メチルオキセタン、3-ヒドロキシエチル-3-エチルオキセタン、3-ヒドロキシエチル-3-プロピルオキセタン、3-ヒドロキシエチル-3-フェニルオキセタン、3-ヒドロキシプロピル-3-メチルオキセタン、3-ヒドロキシプロピル-3-エチルオキセタン、3-ヒドロキシプロピル-3-プロピルオキセタン、3-ヒドロキシプロピル-3-フェニルオキセタン、3-ヒドロキシブチル-3-メチルオキセタン、1,4-ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタンおよびジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテルなどが含まれる。
上記ラジカル重合性化合物およびカチオン重合性化合物の中では、(メタ)アクリレートが好ましい。
また、上記活性線重合性化合物の含有量は、例えば、活性線硬化型インクの全質量に対して1質量%以上97質量%以下であることが好ましく、30質量%以上90質量%以下とすることがより好ましい。
2-2.重合開始剤
上記活性線硬化型インクは、重合開始剤を含むことができる。上記重合開始剤は、上述の活性線の照射により、上記活性線重合性化合物の重合を開始できるものであればよい。たとえば、上記活性線硬化型インクがラジカル重合性化合物を有するときは、重合開始剤は光ラジカル開始剤とすることができ、上記活性線硬化型インクがカチオン重合性化合物を有するときは、重合開始剤は光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)とすることができる。
ラジカル重合開始剤には、分子内結合開裂型のラジカル重合開始剤と分子内水素引き抜き型のラジカル重合開始剤とが含まれる。
分子内結合開裂型のラジカル重合開始剤の例には、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ(4-メチルチオフェニル)プロパン-1-オン、および2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノンなどのアセトフェノン系の開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、およびベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン系の開始剤、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどのアシルホスフィンオキシド系の開始剤、ならびに、ベンジルおよびメチルフェニルグリオキシエステルなどが含まれる。
分子内水素引き抜き型のラジカル重合開始剤の例には、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、および3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系の開始剤、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントンなどのチオキサントン系の開始剤、ミヒラーケトン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノンなどのアミノベンゾフェノン系の開始剤、10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアントラキノン、9,10-フェナントレンキノン、ならびにカンファーキノンなどが含まれる。
光カチオン重合開始剤の例には、光酸発生剤が含まれる。光酸発生剤の例には、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、およびホスホニウムなどを含む芳香族オニウム化合物のB(C 、PF 、AsF 、SbF 、CFSO 塩など、スルホン酸を発生するスルホン化物、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物、ならびに鉄アレン錯体などが含まれる。
上記重合開始剤の含有量は、活性線(例えば紫外線)の照射によって活性線硬化型インクが十分に硬化し、かつ活性線硬化型インクの吐出性を低下させない範囲において、任意に設定することができる。たとえば、上記重合開始剤の含有量は、上記活性線硬化型インクの全質量に対して、0.1質量部以上12質量部以下であることが好ましく、1質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
2-3.ゲル化剤
上記活性線硬化型インクは、ゲル化剤を含むことができる。ゲル化剤は、常温では固体であるが、加熱すると液体となることにより、上記活性線硬化型インクを温度変化に応じてゾルゲル相転移させることができる有機物である。
また、上記ゲル化剤は、インクのゲル化温度以下の温度で、インク中で結晶化することが好ましい。ここで、ゲル化温度とは、加熱によりゾル化または液体化したインクを冷却していったときに、インクがゾルからゲルに相転移し、インクの粘度が急変する温度をいう。具体的には、ゾル化または液体化したインクを、例えば、レオメータ MCR300(Anton Paar社製)で粘度を測定しながら冷却していき、粘度が急激に上昇した温度を、そのインクのゲル化温度とすることができる。
上記ゲル化剤がインク中で結晶化すると、板状に結晶化したゲル化剤およびワックスによって形成された三次元空間に活性線重合性化合物が内包される構造が形成されることがある(このような構造を、以下「カードハウス構造」という)。カードハウス構造が形成されると、液体の活性線重合性化合物が上記空間内に保持されるため、インクが付着して形成されたドットがより濡れ広がりにくくなり、インクのピニング性がより高まる。インクのピニング性が高まると、インクが記録媒体に付着して形成されたドットが過度に濡れ広がることを抑制することができる。
上記ゲル化剤の例には、ジペンタデシルケトン、ジヘプタデシルケトン、ジリグノセリルケトン、ジベヘニルケトン、ジステアリルケトン、ジエイコシルケトン、ジパルミチルケトン、ジミリスチルケトン、ラウリルミリスチルケトン、ラウリルパルミチルケトン、ミリスチルパルミチルケトン、ミリスチルステアリルケトン、ミリスチルベヘニルケトン、パルミチルステアリルケトン、パルミチルベヘニルケトンおよびステアリルベヘニルケトン等の脂肪族ケトンワックス;パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル、イコサン酸イコシル、ステアリン酸ベヘニル、ステアリン酸パルミチル、ステアリン酸ラウリル、パルミチン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸ステアリル、エルカ酸ステアリル、リノール酸ステアリル、オレイン酸ベヘニルおよびリノール酸アラキジル等の脂肪族エステルワックス;N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジブチルアミド、N-(2-エチルヘキサノイル)-L-グルタミン酸ジブチルアミド等のアミド化合物;1,3:2,4-ビス-O-ベンジリデン-D-グルシトール等のジベンジリデンソルビトール類;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス;キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、ホホバ固体ロウ、およびホホバエステル等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリンおよび鯨ロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、および水素化ワックス等の鉱物系ワックス;硬化ヒマシ油または硬化ヒマシ油誘導体;モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体またはポリエチレンワックス誘導体等の変性ワックス;ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸,ラウリン酸、オレイン酸、およびエルカ酸等の高級脂肪酸;ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;12-ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシステアリン酸;12-ヒドロキシステアリン酸誘導体;ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、12-ヒドロキシステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド;N-ステアリルステアリン酸アミド、N-オレイルパルミチン酸アミド等のN-置換脂肪酸アミド;N,N’-エチレンビスステアリルアミド、N,N’-エチレンビス-12-ヒドロキシステアリルアミド、およびN,N’-キシリレンビスステアリルアミド等の特殊脂肪酸アミド;ドデシルアミン、テトラデシルアミンまたはオクタデシルアミンなどの高級アミン;ステアリルステアリン酸、オレイルパルミチン酸、グリセリン脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル化合物;ショ糖ステアリン酸、ショ糖パルミチン酸等のショ糖脂肪酸エステル;ポリエチレンワックス、α-オレフィン無水マレイン酸共重合体ワックス等の合成ワックス;重合性ワックス;ダイマー酸;ダイマージオール等が含まれる。これらのワックスは、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
これらのうち、インクのピニング性をより高める観点からは、脂肪族ケトンワックス、脂肪族エステルワックス、高級脂肪酸、高級アルコールおよび脂肪酸アミドが好ましく、ケト基またはエステル基を挟んで両側に配置された炭素鎖の炭素数がいずれも9以上25以下である脂肪族ケトンワックスまたは脂肪族エステルワックスがより好ましい。
上記ゲル化剤の含有量は、活性線硬化型インクの全質量に対して0.5質量%以上10質量%未満であることが好ましく、活性線硬化型インクの全質量に対して1質量%以上10質量%未満であることがより好ましく、活性線硬化型インクの全質量に対して2質量%以上7質量%以下であることがさらに好ましい。
2-4.重合禁止剤
上記活性線硬化型インクは、重合禁止剤を含むことができる。
上記重合禁止剤の例には、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1-ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p-ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5-ジ-t-ブチル-p-ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ-p-ニトロフェニルメチル、N-(3-オキシアニリノ-1,3-ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o-イソプロピルフェノール、ブチルアルドキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシムが含まれる。
上記重合禁止剤の含有量は、インクの全質量に対して0.05質量%以上0.2質量%以下とすることができる。
2-5.色材
上記活性線硬化型インクは、色材を含むことができる。色材には、顔料および染料が含まれる。活性線硬化型インクの分散安定性をより高め、かつ耐候性が高い画像を形成する観点からは、色材は顔料であることが好ましい。顔料の例には、有機顔料および無機顔料が含まれる。染料の例には、各種の油溶性染料が含まれる。
上記顔料は、形成すべき画像の色などに応じて、例えば、カラーインデックスに記載される赤またはマゼンタ顔料、黄顔料、緑顔料、青またはシアン顔料および黒顔料から選択することができる。
顔料または染料の含有量は、インクの全質量に対して0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.4質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。顔料または染料の含有量が、インクの全質量に対して0.1質量%以上であると、得られる画像の発色が十分となる。顔料または染料の含有量がインクの全質量に対して20質量%以下であると、インクの粘度が高まりすぎない。
2-6.分散剤
上記顔料は、分散剤で分散されていてもよい。上記分散剤は、上記顔料を十分に分散させることができればよい。分散剤の例には、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、およびステアリルアミンアセテートが含まれる。
分散剤の含有量は、顔料の全質量に対して20質量%以上70質量%以下であることが好ましい。分散剤の含有量が顔料の全質量に対して20質量%以上であると、顔料の分散安定性が高まり、分散剤の含有量が顔料の全質量に対して70質量%以下であると、インクジェットヘッドからのインクの吐出性が安定しやすくなる。
2-7.定着樹脂
上記活性線硬化型インクは、塗膜の耐擦性およびブロッキング耐性をより高めるため、定着樹脂を含むことができる。
定着樹脂の例には、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリシロキサン樹脂、マレイン酸樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース、酢酸セルロース、エチルセルロース、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、およびアルキド樹脂が含まれる。
上記定着樹脂の含有量は、例えば、活性線重合性化合物の全質量に対して1質量%以上10質量%以下とすることができる。
2-8.界面活性剤
上記活性線硬化型インクは、界面活性剤を含むことができる。
界面活性剤は、インクの表面張力を調整して、付与後のインクの基材に対する濡れ性を調整することができる。
界面活性剤の例には、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、およびパーフルオロアルケニル基を有するフッ素系界面活性剤などが含まれる。
界面活性剤の含有量は、活性線硬化型インクの全質量に対して0.001質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.001質量%以上1質量%以下であることがより好ましい。
2-9.その他の成分
上記活性線硬化型インクは、上記成分以外に、必要に応じて、多糖類、粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防黴剤、防錆剤などを含んでもよい。
2-10.活性線硬化型インクの物性
インクジェットヘッドからの射出性をより高める観点からは、上記活性線硬化型インクがゲル化剤を含まないインクであるとき、上記活性線硬化型インクの40℃における粘度は3mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましい。また、上記活性線硬化型インクがゲル化剤を含むインクであるとき、上記活性線硬化型インクの80℃における粘度は3mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましい。80℃における粘度が3mPa・s以上20mPa・s以下であると、インクジェットヘッドからの上記活性線硬化型インクの射出時に活性線硬化型インクがゲル化しにくいため、より安定して上記活性線硬化型インクを射出することができる。また、活性線硬化型インクがゲル化剤を含有している場合には、着弾して常温に降温した際にインクを十分にゲル化させる観点から、上記活性線硬化型インクの25℃における粘度は1000mPa・s以上であることが好ましい。25℃における粘度は1000mPa・s以上であると、中間転写体に付与されたインク液滴を適度に濡れ広がらせることができる。
上記活性線硬化型インクの25℃における粘度、40℃における粘度、80℃における粘度は、レオメータにより、活性線硬化型インクを100℃に加熱し、ストレス制御型レオメータ(Anton Paar社製、Physica MCR301(コーンプレートの直径:75mm、コーン角:1.0°))によって粘度を測定しながら、剪断速度11.7(1/s)、降温速度0.1℃/sの条件で40℃までインクを冷却して得られた粘度の温度変化曲線において40℃および80℃における粘度をそれぞれ読み取ることにより求めることができる。
2-11.活性線硬化型インクの調製方法
上記活性線硬化型インクは、前述の活性線重合性化合物と、任意のその他の成分とを、加熱下において混合することにより調製することができる。この際、得られた混合液を所定のフィルターで濾過することが好ましい。なお、顔料を含有するインクを調製する際は、顔料、活性線重合性化合物を含む顔料分散液を調製し、その後、顔料分散液と他の成分とを混合することが好ましい。顔料分散液は、分散剤をさらに含んでもよい。
上記顔料分散液は、活性線重合性化合物に顔料を分散して調製することができる。顔料の分散は、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカーなどを用いて行えばよい。このとき、分散剤を添加してもよい。
3.画像形成方法
本発明の実施の形態に係る画像形成方法は、中間転写体の表面に上述のプレコート液を付与する工程と、上記中間転写体に付与されたプレコート液から、親水性液体を残存させつつ水を除去して、プレコート層を形成する工程と、上記プレコート層の表面に活性線硬化型インクを付与する工程と、上記付与された活性線硬化型インクを記録媒体に転写する工程と、上記転写された活性線硬化型インクを硬化させる工程と、を有する。以下、各工程について説明する。
3-1.プレコート液を付与する工程
プレコート液を付与する工程は、中間転写体の表面にプレコート液を付与する工程である。
上記プレコート液の付与する方法の例には、スプレー塗布、ノズルやスリットを用いたスパイラル塗布、ディッピング塗布、ロールコーター塗布、グラビア塗布、フレキソ塗布、バーコーター塗布、インクジェット法による塗布などが含まれる。上記プレコート液は、ロールコーター塗布方法を用いて中間転写体の表面全体に付与することが好ましい。
このときの、上記プレコート液の付与量は、1g/m以上50g/m以下であることが好ましく、2g/m以上30g/m以下であることがより好ましい。上記プレコート液の付与量を1g/m以上とすることにより、十分な厚さのプレコート層を形成して、転写性をより高めることができる。上記プレコート液の付与量を50g/m以下とすることにより、塗布および乾燥をより短時間で行うことができる。
3-2.プレコート層を形成する工程
プレコート層を形成する工程は、中間転写体に付与されたプレコート液から、プレコート液に含有される水および親水性液体のうち、親水性液体を残存させつつ水を除去して、水溶性ポリマーの膜を有するプレコート層を形成する工程である。
プレコート液から水を除去する方法の例には、乾燥炉や熱風送風機などの非接触加熱型の乾燥装置を用いる方法、および、赤外線ヒータ、ホットプレート、熱ローラーなどの接触加熱型の乾燥装置を用いる方法などが含まれる。また、プレコート液から水を除去する温度は、プレコート液に含まれる親水性液体の種類などに応じて適宜変更してもよい。
本実施の形態では、プレコート液から水を除去する方法は、特に限定されないが、50~120℃の熱風で、1~30秒加熱することが好ましく、60~80℃の熱風で、5~30秒加熱することがより好ましい。上記温度の熱風をプレコート液の表面に吹き付けることにより、プレコート層の表面から内部に近づくにつれて、親水性液体の比率が増加するように乾燥させることができる。プレコート層の表面から内部に近づくにつれて親水性液体の比率が増加することにより、記録媒体への転写時に、形成されたプレコート層が層内剥離しやすくなるので、転写性を向上させることができる。
3-3.活性線硬化型インクを付与する工程
活性線硬化型インクを付与する工程は、中間転写体の表面に形成されたプレコート層の表面に活性線硬化型インクを付与して、中間画像を形成する工程である。
活性線硬化型インクを上記プレコート層の表面に付与する方法の例には、スプレー塗布、浸漬法、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、インクジェット法などが含まれる。本実施の形態では、活性線硬化型インクを、インクジェットヘッドから吐出して、上記液体状のプレコート層の表面に付与する、インクジェット法を用いることが好ましい。
インクジェット法で使用するインクジェットヘッドは、オンデマンド方式およびコンティニュアス方式のいずれのインクジェットヘッドでもよい。オンデマンド方式のインクジェットヘッドの例には、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型およびシェアードウォール型を含む電気-機械変換方式、ならびにサーマルインクジェット型およびバブルジェット(「バブルジェット」はキヤノン株式会社の登録商標)型を含む電気-熱変換方式等が含まれる。
また、インクジェットヘッドは、スキャン式およびライン式のいずれのインクジェットヘッドでもよい。
このとき、活性線硬化型インクの液滴の吐出性を高めるために、インクジェットヘッド内の活性線硬化型インクを40~120℃に加熱して、上記加熱された活性線硬化型インクを吐出することが好ましい。
また、上記活性線硬化型インクがゲル化剤を含むときは、インクジェットヘッド内の活性線硬化型インクの温度を、活性線硬化型のゲル化温度より10℃以上40℃未満高い温度に設定することが好ましい。インクジェットヘッド内の活性線硬化型インクの温度をゲル化温度+10℃以上にすることで、インクジェットヘッド内もしくはノズル表面で活性線硬化型インクがゲル化することがなく、活性線硬化型インクを良好に射出することができる。また、インクジェットヘッド内の活性線硬化型インクの温度を活性線硬化型インクのゲル化温度+40℃未満とすることで、インクジェットヘッドの熱的負荷を小さくすることができる。特に、ピエゾ素子を用いたインクジェットヘッドでは、熱的負荷による性能低下が生じやすいため、活性線硬化型インクの温度を上記範囲内とすることが特に好ましい。
上記活性線硬化型インクがゲル化剤を含むときは、中間転写体の表面に付与された活性線硬化型インクは、ゲル化剤が結晶化してピニングされる。これにより、活性線硬化型インクが付与されて形成されたドットが過度に濡れ広がることを抑制することができる。
このとき、活性線硬化型インクのピニング性を高めるために、中間転写体の表面温度をゲル化剤のゲル化温度の付近またはそれ以下としてもよい。
3-4.記録媒体に転写する工程
活性線硬化型インクを転写する工程は、活性線硬化型インクを、中間転写体から記録媒体の表面に転写する工程である。記録媒体に転写する際に、上記中間転写体の表面に形成された活性線硬化型インクを加圧部材で加圧する工程を、さらに含んでもよい。上記画像を加圧する際の、上記加圧部材の温度は、20℃以上90℃以下であることが好ましく、20℃以上80℃以下であることがより好ましい。上記加圧部材の温度を上記範囲にすることにより、上記活性線硬化型インクのガラス転移点(Tg)が室温よりも高い場合であっても、転写性を低下させることなく、上記活性線硬化型インクを中間転写体から上記記録媒体に転写することができる。なお、記録媒体は、普通紙、プラスチックフィルムなどの公知の記録媒体を用いることができる。
3-5.活性線硬化型インクを硬化させる工程
活性線硬化型インクを硬化する工程では、記録媒体に転写された活性線硬化型インク(中間画像)に活性線(例えば紫外線)を照射して、上記活性線硬化型インク(中間画像)を硬化させる工程である。これにより、記録媒体の表面に、目的とする高精細な画像が形成される。なお、当該工程で照射される活性線の波長は350nm以上450nm以下であること好ましく、380nm以上430nm未満であることがより好ましい。
本発明の実施の形態に係る画像形成方法は、上述の画像形成方法に限定されない。たとえば、活性線硬化型インクを記録媒体に転写する前に、または転写時に、活性線硬化型インクに活性線を照射して活性線硬化型インクを増粘させる増粘工程を有していてもよい。
4.画像形成装置
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成方法を実施するための画像形成装置の構成を示す模式図である。
本実施の形態に係る画像形成装置100は、中間転写体110と、中間転写体110の表面にプレコート液を付与するプレコート液付与部120と、中間転写体に付与されたプレコート液に含有される水および親水性液体のうち、水を除去して、親水性液体を残存させてプレコート層を形成するプレコート層形成部130と、プレコート液が付与された面に活性線硬化型インクを付与するインク付与部140と、付与された活性線硬化型インクを記録媒体Pに転写する転写部150と、転写された活性線硬化型インクを硬化させる硬化部160と、を有する。画像形成装置100は、さらに、無端状のベルトの形状を有する中間転写体110を張架する支持ローラー170、171および172と、中間画像が転写される記録媒体Pを搬送する搬送路180と、記録媒体Pに転写されずに中間転写体110の表面に残存した残組成物(残塗布物)を中間転写体110の表面から除去するクリーニング部190と、を有する。
中間転写体110は、支持ローラー170、171および172によって張架され、かつ回転移動して、プレコート液付与部120でプレコート液が付与された中間転写体110の表面に、中間画像形成部141で形成された中間画像を転写部150に搬送する。
3つの支持ローラー170、171および172のうち、少なくとも1つのローラーは、駆動ローラーであり、中間転写体110を図1における時計回り方向(矢印A方向)に回転させる。
中間転写体110は、芳香族ポリイミド(PI)、芳香族ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、芳香族ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、芳香族ポリカーボネート、および芳香族ポリエーテルケトンなどのベンゼン環を含む構造単位を有する樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ならびにこれらの混合物または共重合物などを含む基材層を有する。
あるいは、中間転写体110は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、1,4-ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレン(PS)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、およびアイオノマーフィルムなどの樹脂フィルム、セロハン、酢酸セルロースなどのセルロース誘導体から形成されていてもよい。
また、中間転写体110は、活性線(例えば紫外線)を透過させる材料から形成されていてもよい。
また、中間転写体110は、インクの付与面側に、シリコーンゴム(SR)、クロロプンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)およびエピクロルヒドリンゴム(ECO)などのゴム、エラストマーおよび弾性樹脂など含む弾性層(不図示)を有することが好ましい。
上記弾性層は、弾性層を構成する樹脂に、親水性官能基を有するシラン化合物、親水性官能基を有するエポキシ化合物、または親水性官能基を有するイソシアネート化合物などの親水性基を有する化合物を反応させて、親水性官能基で化学修飾することが好ましい。上記親水性官能基は、極性官能基またはイオン性の官能基であることが好ましく、イオン性の官能基であることがより好ましい。また、上記極性官能基の例には、ケト基、エステル基、エーテル基(オキシアルキレン基を含む)、アミノ基、アミド基、ウレタン基、チオール基、スルホン基、スルホキシド基、およびヒドロキシ基などが含まれる。上記極性官能基は、水素結合性の官能基であることが好ましく、ヒドロキシ基であることがより好ましい。これらのうち、樹脂(特にシリコーンゴム)との反応性が高いことから、親水性官能基を有するシラン化合物が好ましい。これにより、弾性層の表面に十分な量の親水性官能基を露出させて、上述のプレコート液の濡れ広がりやすさを十分に高めることができる。
なお、中間転写体110は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素樹脂ならびにアクリル樹脂などを含む表面層を有していてもよい。
また、中間転写体110は、その表面の純水接触角が50°以下であることが好ましく、40°以下であることがより好ましく、20°以下であることがさらに好ましい。中間転写体110の表面の純水接触角を50°以下とすることにより、中間転写体110の表面にプレコート液を十分に濡れ広がらせることができる。なお、上記純水接触角は、JIS R 3257(1999年)に準拠して20℃で測定された値とすることができる。
中間転写体110における、逆三角形状の左右の頂点部分に位置する支持ローラー170、171に張架された部分は、インク付与部140から付与された活性線硬化型インクの着弾面となっている。中間転写体110における、逆三角形状の下側の頂点部分に位置する支持ローラー172は、中間転写体110を搬送路180に向けて所定のニップ圧により加圧する加圧ローラーであり、インク付与部140から吐出された活性線硬化型インクが付与して形成された中間画像を記録媒体Pに転写する加圧部151として機能する。
プレコート液付与部120は、表面をスポンジで被覆されたロールコーター121、およびスクレーパー122を有する。ロールコーター121は、中間転写体110の表面にプレコート液を付与する。スクレーパー122は、過剰量のプレコート液を除去して付与されたプレコート液の表面を平滑化し、中間転写体110の表面にプレコート液が所定の厚みで広がってなる液体状のプレコート層を形成する。なお、プレコート液付与部120では、バーコーターを用いる方法やインクジェット法などを用いてもよい。
プレコート層形成部130は、乾燥炉や熱風送風機などの非接触加熱型の乾燥装置、または赤外線ヒータ、ホットプレート、熱ローラーなどの接触加熱型の乾燥装置を用いることができる。本実施の形態においては、プレコート層形成部130は、上記プレコート液を乾燥することができれば、乾燥装置の種類は特に限定されない。なお、プレコート層形成部130における、プレコート液の乾燥は、50~120℃の熱風で1~30秒加熱することが好ましく、60~80℃の熱風で5~30秒加熱することがより好ましい。上記温度の熱風をプレコート液の表面に吹き付けることにより、プレコート液に含有される水が除去され、プレコート層の表面から内部に近づくにつれて、親水性液体の比率が増加するように乾燥させることができる。これにより、水溶性ポリマーの膜を有するプレコート層を形成することができる。
インク付与部140でもある中間画像形成部141は、本実施の形態ではインクジェット法により中間画像を形成するインク付与部であり、それぞれY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色の活性線硬化型組成物(インクジェットインク)をノズルから吐出して中間転写体110(プレコート層)の表面に付与させる、インクジェットヘッド140Y、140M、140Cおよび140Kを有する。インクジェットヘッド140Y、140M、140Cおよび140Kは、上記各色の活性線硬化型インクを、中間転写体110(プレコート層)の表面のうち形成されるべき画像に応じた位置に付与して、中間画像を形成する。
転写部150は、中間転写体110と搬送路180とが最接近した部分であって、支持ローラー170、171および172によって中間転写体110が搬送路180の方向に付勢されることにより、中間転写体110が接する搬送路180の表面を加圧する。中間転写体110(プレコート層)の表面に形成されて搬送されてきた中間画像(活性線硬化型インク)と、搬送路180の表面に配置されて搬送されてきた記録媒体Pとは、転写部150において接触され、支持ローラー172を介して中間転写体110から搬送路180側に加圧されることで、記録媒体Pに転写される。なお、記録媒体は、普通紙、プラスチックフィルムなどの公知の記録媒体を用いることができる。
硬化部160は、搬送路180による記録媒体Pの搬送方向における、転写部150より下流側に配置され、搬送路180の表面に向けて活性線(例えば紫外線)を照射する。これにより、硬化部160は、記録媒体Pに転写された中間画像に活性線を照射して、中間画像を構成する活性線硬化型インクを硬化(本硬化)させる。これにより、記録媒体Pの表面に、目的とする高精細な画像が形成される。
搬送路180は、例えば、金属ドラムで構成され、中間画像が転写される記録媒体Pを搬送する。搬送路180は、中間転写体110の一部の表面に接して配置され、支持ローラー172よって中間転写体110の上記接する表面が加圧されることで、転写部150が形成される。搬送路180は、記録媒体Pの先端を固定する爪(不図示)を有してもよい。搬送路180は、当該爪に記録媒体Pの先端を固定し、図1における反時計回り方向に回転することで、記録媒体Pを転写部に搬送する。
クリーニング部190は、ウェブローラーやスポンジローラー等のクリーニングローラーであり、転写部150の下流側で、中間転写体110の表面に接触する。クリーニング部190は、上記クリーニングローラーが駆動回転することで、転写部150において記録媒体Pに転写されずに中間転写体110の表面に残存した残組成物(残塗布物)を除去する。
なお、本実施の形態に係る画像形成装置100は、活性線硬化型インクを記録媒体に転写する前に、または転写時に、活性線硬化型インクに活性線を照射して活性線硬化型インクを増粘させるための増粘部を有していてもよい。
また、以上の説明では、インクジェット法により中間転写体の移動する表面に中間画像を形成しているが、中間画像の形成方法は特に限定されず、スプレー塗布、浸漬法、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷などの公知の方法を使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.中間転写体の作製
中間転写体1を以下の手順で作製した。
1-1.基材の作製
3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp-フェニレンジアミン(PDA)とを反応させて得られるポリアミド酸のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶液(U-ワニスS(固形分18質量%)、宇部興産株式会社製)に、乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH3.0、揮発分:14.0%))を添加して、混合物を得た。上記酸化処理カーボンブラックは、上記ポリアミド酸から得られるポリイミド系樹脂の固形分100質量部に対して、23質量部になる量を添加した。得られた混合物を、衝突型分散機(GeanusPY、ジーナス社製)を用い、圧力200MPaで、最小面積が1.4mmで2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して、カーボンブラック入りポリアミド酸溶液を得た。
上記カーボンブラック入りポリアミド酸溶液を、円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して回転させながら、30rpmで15分間回転させて0.5mmの均一な厚みを有する円筒状層に塗布した。その後、上記カーボンブラック入りポリアミド酸溶液が塗布された金型を、15rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あて、その後、150℃で60分加熱した。さらに、360℃まで2℃/分の昇温速度で上記金型を昇温し、さらに360℃で30分加熱して溶媒の除去および脱水閉環水の除去を行い、イミド転化反応を完結させた。その後、上記金型を室温に戻し、円筒状層を金型から剥離して、総厚0.1mmの無端ベルト状の基材を得た。
1-2.弾性層の作製
液状シリコーンゴム(KE-2061-30、信越化学工業株式会社製)のA液とB液とを等量撹拌混合し、液状シリコーンゴム溶液を得た。上記1-1で作製した無端ベルト状の基材を1rpmで回転させながら、ディスペンサーを介して上記液状シリコーンゴム溶液を上記基材の外面に螺旋状に供給し、0.5mmの厚みに塗布した。上記基材をそのまま回転させながら120℃の熱風を5分間あてて、一次硬化を行った。次いで、200℃に昇温したのちに60分加熱し、弾性層付き無端状のベルトを得た。
1-3.表面処理剤溶液の調製
イオン交換水に酢酸を加えてpH4に調整した溶液を用意した。100質量部の上記溶液に、親水性官能基を有する表面処理剤としての2質量部のメトキシポリエチレノキシ(6~9)プロピルトリメトキシシラン(SIM6492.7、Gelest社製)をゆっくりと滴下し、1時間撹拌し表面処理剤が完全に溶解したことを確認して、表面処理剤溶液を得た。
1-4.中間転写体の作製
[中間転写体1の作製]
上記弾性層付き無端状のベルトを100mm/sで回転させながら、コロナ放電装置(春日電機株式会社製)を用い、350mWの条件でコロナ放電処理を行った。
上記コロナ放電の直後に、スプレーノズルを用いて、ベルト表面の全体が濡れるように上記表面処理剤溶液を塗布して、120℃で60分加熱乾燥した。その後、イオン交換水でベルトの表面を洗浄した後、乾燥し、12時間エージングして、中間転写体1を得た。得られた中間転写体の表面の純水に対する接触角をJIS R 3257(1999年)に準拠して20℃で測定したところ、純水接触角は16°であった。
[中間転写体2の作製]
上記1-1で作製した無端ベルト状の基材を中間転写体2とした。中間転写体2の表面の純水に対する接触角を中間転写体1と同様にして測定したところ、純水接触角は50°であった。
[中間転写体3の作製]
上記1-2で作製した弾性層付き無端状のベルトを、100mm/sで回転させながら、コロナ放電装置を用い、350mWの条件でコロナ放電処理を行った。上記コロナ放電処理のみを行った弾性層付き無端状のベルトを中間転写体3とした。中間転写体3の表面の純水に対する接触角を中間転写体1と同様にして測定したところ、純水接触角は10°であった。
2.プレコート液の調製
プレコート液1を以下の手順で調製した。
1000質量部の純水と、10質量部のヒドロキシエチルセルロースと、100質量部のグリセリンと、0.001質量部の界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム)とを混合攪拌し均一に分散したのちに、80℃に昇温させて30分間加熱混合することにより、プレコート液1を得た。
表1に、プレコート液1~31の各成分の含有量(単位は質量部)を示す。
表1で示される、水溶性ポリマー、液体(親水性液体、疎水性液体)、界面活性剤の略号は次のとおりである。
(水溶性ポリマー)
A-1:ヒドロキシエチルセルロース
A-2:カルボキシメチルセルロース
A-3:ヒドロキシプロピルセルロース
A-4:デキストリン
A-5:ポリビニルアルコール
A-6:ポリビニルピロリドン
A-7:ポリアクリル酸ナトリウム
A-8:ポリアクリルアミド
[液体]
(親水性液体)
B-1:グリセリン
B-2:ポリエチレングリコール(エチレンオキサイド基の繰り返し数は3)
B-3:1,3-プロパンジオール
(疎水性液体)
B-4:シリコーンオイル
B-5:流動パラフィン
(界面活性剤)
C-1:エマールE-27C「ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム」
C-2:ニューコール261A「ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム」
C-3:SYグリスターML-750「デカグリセリンラウリルエステル」
C-4:エマール0「ラウリル硫酸ナトリウム」
C-5:KF-6011「PEG-11メチルエーテルジメチコン」
なお、エマールE-27C、エマール0は花王株式会社製であり、「エマール」は同社の登録商標である。ニューコール261Aは、日本乳化剤株式会社製であり、「ニューコール」は同社の登録商標である。SYグリスターML-750は阪本薬品工業株式会社製である。KF-6011は、信越化学工業株式会社製である。
Figure 2022146291000004
2.活性線硬化型インクの調製
活性線硬化型インクを以下の手順で調製した。
2-1.顔料分散液の調製
9質量部の顔料分散剤(アジスパーPB824、味の素ファインテクノ株式会社製、「アジスパー」は味の素株式会社の登録商標)と、70質量部の活性線重合性化合物(トリプロピレングリコールジアクリレート)と、0.02質量部の重合禁止剤(Irgastab UV10、BASF社製、「Irgastab」は同社の登録商標)と、をステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレートで加熱しながら、1時間加熱撹拌した。
上記混合液を室温まで冷却した後、これに21.0質量部のPigment Red 122(クロモファインレッド6112JC、大日精化工業株式会社製)を加えた。混合液を、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gと共にガラス瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて8時間分散処理した。その後、ジルコニアビーズを除去して顔料分散液を得た。
2-2.活性線硬化型インクの調製
5質量%のゲル化剤「ルナックBA」(ベヘニン酸、花王株式会社製、「ルナック」は同社の登録商標)と、29.9質量%の活性線重合性化合物(ポリエチレングリコール#400ジアクリレート)と、23質量%の6EO変性トリメチロールプロパントリアクリレートと、15質量%の4EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレートと、6質量%の重合開始剤「DAROCUR TPO」(BASF社製、「DAROCUR」は同社の登録商標)と、1質量%の重合開始剤「ITX」(DKSHジャパン社製)と、1質量%の重合開始剤「DAROCUR EDB」(BASF社製)と、0.1質量%の界面活性剤「KF-352」(信越化学工業株式会社製)と、19.0質量%の顔料分散液をステンレスビーカーに入れ、これを80℃のホットプレートで加熱しながら1時間撹拌した。得られた溶液を加熱しながら、ADVATEC社製テフロン(登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過することにより活性線硬化型インクを得た。
3.評価
プレコート液1~31を用い、乾燥後の膜厚が1μmとなるようにプレコート液を付与した中間転写体を用いて画像形成を行い、転写性評価、ドットの先鋭性評価、ドット径評価、ドット合一性評価、およびドット位置の乱れ評価を下記条件で行った。
3-1.転写性評価
(評価方法)
画像形成装置に、各記録媒体を600mm/sで搬送し、上記活性線硬化型インクで、10枚の30cm×30cmのベタ画像および10%濃度のハーフトーン像を形成し、ベタ画像およびハーフトーン像がそれぞれ記録媒体(OKトップコート、米坪128g/m、王子製紙株式会社製)に転写しているか目視にて判定した。
(評価基準)
◎:95%以上のドットが転写している
○:90%以上の95%未満のドットが転写している
△:70%以上90%未満のドットが転写している
×:インクがプレコート液と相溶、またはプレコート液中に沈降して記録媒体にドットが転写しない
3-2.ドットの鮮鋭性評価
(評価方法)
画像形成装置に、各記録媒体を600mm/sで搬送し、活性線硬化型インクで、10枚の30cm×30cmの10%濃度のハーフトーン像を記録媒体(OKトップコート、米坪128g/m)に形成し、ハーフトーン像のドットの形状を観察した。
(評価基準)
○:ドットの輪郭が鮮明である
△:ドットの輪郭がぼやけているが実用上問題なし
×:ドットの輪郭が不鮮明であり実用不可
-:インクがプレコート液と相溶、またはプレコート液中に沈降して記録媒体にドットが転写しない
3-3.ドット径の評価
(評価方法)
画像形成装置に、各記録媒体を600mm/sで搬送し、1ドットのインクの液量が4plとなるように1on4off画像を記録媒体(OKトップコート、米坪128g/m)に形成した時のドット径の平均値を測定した。
(評価基準)
○:ドット径の平均値が48μm以上52μm未満
△:ドット径の平均値が45μm以上48μm未満、もしくは52μm以上55μm未満
×:ドット径の平均値が45μm未満、もしくは55μm以上
-:インクがプレコート液と相溶、またはプレコート液中に沈降して記録媒体にドットが転写しない
3-4.ドット合一性評価
(評価方法)
画像形成装置に、各記録媒体を600mm/sで搬送し、60μm間隔で、1ドットのインクの液量が5plとなるように1ドットラインを記録媒体(OKトップコート、米坪128g/m)に形成し、ドットの合一性を観察した。
(評価基準)
○:ドットが合一し、均一なライン画像が形成できている
△:ドットが合一しているが、ライン画像の縁に曲線が確認できる
×:ドットが合一していない
-:インクがプレコート液と相溶、またはプレコート液中に沈降して記録媒体にドットが転写しない
3-5.ドット位置の乱れ評価
(評価方法)
画像形成装置に、各記録媒体を600mm/sで搬送し、活性線硬化型インクで、10枚の30cm×30cmの10%濃度のハーフトーン像を記録媒体(OKトップコート、米坪128g/m)に形成し、目的の位置にドットが形成されているかを確認した。
(評価基準)
◎:ドットが目的の位置から5μm以内の範囲に形成されている
○:ドットが目的の位置から5μm超20μm以内の範囲に形成されている
△:ドットが目的の位置から20μm超40μm以内の範囲に形成されている
×:ドットが目的の位置から40μm超50μm以内の範囲に形成されている
-:インクがプレコート液と相溶、またはプレコート液中に沈降して記録媒体にドットが転写しない
上記評価結果を表2に示す。
Figure 2022146291000005
プレコート液に、親水性液体100質量部に対して、0.1質量部以上100質量部以下の水溶性ポリマーを含むことにより、高精細な画像を形成できることがわかった。これは、中間転写体の表面に付与されたプレコート液を乾燥させて水を除去したときに、適切な厚さの水溶性ポリマーの膜を形成することができ、かつ膜の内部の親水性液体が流動しにくくなるので、膜の表面に付与されたインクの位置ズレが抑制されるためであると考えられる。また、プレコート層の内部に十分な量の親水性液体を含ませて、プレコート層を柔らかくし、プレコート層を記録媒体の動きに追随しやすくして、転写性を向上させることができるためであると考えられる。
プレコート液に親水性液体を含むことにより、インクのドット径を所望の大きさに調整できるとともに、中間画像(インク)の転写性を向上させることができることがわかった。これは、親水性液体は、インクとの相溶性が低いため、インクがプレコート層の内部に染み込みにくくなるため、インクがプレコート層の表面で十分に濡れ広がって、合一しやすくなるためであると考えられる。また、親水性液体は、プレコート層の内部に残存してプレコート層を軟化させ、転写時にプレコート層を層内剥離させて、インクが付与された面を中間転写体から記録媒体へと移行しやすくするためであると考えられる。
プレコート液に炭素数が8以上18以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基を含む界面活性剤を、親水性液体100質量部に対して、0.001質量部以上0.1質量部以下の界面活性剤を含むことにより、高精細な画像を形成できることがわかった。これは、プレコート液を活性線硬化型インクとの親和性が高すぎず低すぎない程度にでき、親水性のプレコート層の表面に適切な量の界面活性剤の疎水性基が存在し得るので、活性線硬化型インクをより均一かつ十分な大きさに濡れ広がらせることができるためであると考えられる。
本発明のプレコート液を用いることにより、転写性に優れ、高精細な画像を得ることができる。そのため、本発明は、活性線硬化型インクを用いた中間転写方式の画像形成方法の適用の幅を広げ、同分野の技術の進展および普及に貢献することが期待される。
100 画像形成装置
110 中間転写体
120 プレコート液付与部
121 ロールコーター
122 スクレーパー
130 プレコート層形成部
140 インク付与部
141 中間画像形成部
150 転写部
151 加圧部
160 硬化部
170、171、172 支持ローラー
180 搬送路
190 クリーニング部
P 記録媒体

Claims (20)

  1. 活性線硬化型インクおよび中間転写体を用いる中間転写型の画像形成方法において、前記活性線硬化型インクが付与される前の前記中間転写体の表面に付与されるプレコート液であって、
    前記プレコート液は、水溶性ポリマー、親水性液体、界面活性剤および水を含み、
    前記水溶性ポリマーの含有量は、前記親水性液体100質量部に対して、0.1質量部以上100質量部以下である、プレコート液。
  2. 前記界面活性剤は、炭素数が8以上18以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基を含む、請求項1に記載のプレコート液。
  3. 前記界面活性剤は、硫酸エステル塩である、請求項1または請求項2に記載のプレコート液。
  4. 前記界面活性剤は、エチレンオキサイドユニットを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプレコート液。
  5. 前記界面活性剤は、グリセリンユニットを含む、請求項1または請求項2に記載のプレコート液。
  6. 前記界面活性剤の含有量は、前記親水性液体100質量部に対して、0.001質量部以上0.1質量部以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のプレコート液。
  7. 前記界面活性剤の含有量は、前記親水性液体100質量部に対して、0.001質量部以上0.01質量部以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のプレコート液。
  8. 前記水溶性ポリマーは、水溶性の多糖類である、請求項1~7のいずれか一項に記載のプレコート液。
  9. 前記水溶性の多糖類は、水溶性のセルロース誘導体である、請求項8に記載のプレコート液。
  10. 前記親水性液体は、分子内に2つ以上の水酸基を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のプレコート液。
  11. 前記親水性液体は、分子内に3つ以上の水酸基を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のプレコート液。
  12. 前記親水性液体は、下記一般式(1)で表される構造を有する、請求項11に記載のプレコート液。
    Figure 2022146291000006
    (式(1)中、nは重合度を示し、nは1~8の整数である。)
  13. 前記親水性液体は、下記一般式(2)で表される構造を有する、請求項10に記載のプレコート液。
    Figure 2022146291000007
    (式(2)中、Rは炭素数が2~6の直鎖または分岐鎖のアルキレン基、またはユニットの繰り返し数が2以上4以下のエチレンオキサイド基またはプロピレンオキサイド基である。)
  14. 前記水溶性ポリマーの含有量は、前記親水性液体100質量部に対して、1質量部以上65質量部未満である、請求項1~13のいずれか一項に記載のプレコート液。
  15. 前記水溶性ポリマーの含有量は、前記親水性液体100質量部に対して、1質量部以上40質量部未満である、請求項1~13のいずれか一項に記載のプレコート液。
  16. 中間転写体の表面に請求項1~15のいずれか一項に記載のプレコート液を付与する工程と、
    前記中間転写体に付与されたプレコート液から、親水性液体を残存させつつ水を除去して、プレコート層を形成する工程と、
    前記プレコート層の表面に活性線硬化型インクを付与する工程と、
    前記付与された活性線硬化型インクを記録媒体に転写する工程と、
    前記転写された活性線硬化型インクを硬化させる工程と、
    を有する、
    画像形成方法。
  17. 前記プレコート層を形成する工程は、前記プレコート液を、前記プレコート層の表面から内部に近づくにつれて、前記親水性液体の比率が増加するように乾燥させる、請求項16に記載の画像形成方法。
  18. 前記中間転写体の表面の純水接触角は、50°以下である、請求項16または請求項17に記載の画像形成方法。
  19. 前記中間転写体は、基材層および弾性層を有する、請求項16~18のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  20. 中間転写体と、
    前記中間転写体の表面に請求項1~15のいずれか一項に記載のプレコート液を付与するプレコート液付与部と、
    前記中間転写体に付与されたプレコート液に含有される水および親水性液体のうち、前記水を除去して、前記親水性液体を残存させてプレコート層を形成するプレコート層形成部と、
    前記プレコート層の表面に、活性線硬化型インクを付与するインク付与部と、
    前記付与された活性線硬化型インクを記録媒体に転写する転写部と、
    前記転写された活性線硬化型インクを硬化させる硬化部と、
    を有する、
    画像形成装置。
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