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JP2020136448A - 基板処理装置及び基板処理方法 - Google Patents

基板処理装置及び基板処理方法 Download PDF

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JP2020136448A
JP2020136448A JP2019027115A JP2019027115A JP2020136448A JP 2020136448 A JP2020136448 A JP 2020136448A JP 2019027115 A JP2019027115 A JP 2019027115A JP 2019027115 A JP2019027115 A JP 2019027115A JP 2020136448 A JP2020136448 A JP 2020136448A
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陽平 山下
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Abstract

【課題】基板同士が接合された重合基板において、一の基板の周縁部を適切に除去する基板処理装置及び基板処理方法を提供する。【解決手段】基板を処理する基板処理装置であって、第1の基板Wと第2の基板Sが接合された重合基板において第2の基板を保持する保持部と、保持部に保持された第1の基板の内部に、除去対象の周縁部と中央部の境界に沿ってレーザ光を照射して改質層M1を形成する改質部と、保持部と改質部を制御する制御部と、を有する。制御部は、第1の基板と第2の基板が接合された接合領域Aaと、当該接合領域の外側の未接合領域Abとの接合境界Acから径方向内側に改質層を形成するよう改質部を制御し、改質層の形成位置は、第1の基板と第2の基板の接合強度に応じて決定される。【選択図】図12

Description

本開示は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
特許文献1には、外周部に砥粒が設けられた円板状の研削工具を回転し、研削工具の少なくとも外周面を半導体ウェハに線状に当接させて半導体ウェハの周端部を略L字状に研削することが開示されている。半導体ウェハは、二枚のシリコンウェハを貼り合わせて作製されたものである。
特開平9−216152号公報
本開示にかかる技術は、基板同士が接合された重合基板において、一の基板の周縁部を適切に除去する。
本開示の一態様は、基板を処理する基板処理装置であって、第1の基板と第2の基板が接合された重合基板において前記第2の基板を保持する保持部と、前記保持部に保持された前記第1の基板の内部に、除去対象の周縁部と中央部の境界に沿ってレーザ光を照射して改質層を形成する改質部と、前記保持部と前記改質部を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記第1の基板と前記第2の基板が接合された接合領域と、当該接合領域の外側の未接合領域との接合境界から径方向内側に前記改質層を形成するよう前記改質部を制御し、前記改質層の形成位置は、前記第1の基板と前記第2の基板の接合強度に応じて決定される。
本開示によれば、基板同士が接合された重合基板において、一の基板の周縁部を適切に除去することができる。
本実施形態にかかるウェハ処理システムの構成の概略を模式的に示す平面図である。 重合ウェハの構成の概略を示す側面図である。 重合ウェハの一部の構成の概略を示す側面図である。 改質装置の構成の概略を示す平面図である。 改質装置の構成の概略を示す側面図である。 周縁除去装置の構成の概略を示す平面図である。 周縁除去装置の構成の概略を示す側面図である。 周縁除去装置の構成の概略を模式的に示す説明図である。 搬送アームの構成の概略を示す縦断面図である。 本実施形態にかかるウェハ処理の主な工程を示すフロー図である。 本実施形態にかかるウェハ処理の主な工程の説明図である。 被処理ウェハに周縁改質層を形成する様子を示す説明図である。 被処理ウェハに周縁改質層を形成した様子を示す説明図である。 比較例として、周縁改質層を接合境界から径方向外側に形成した場合の説明図である。 比較例として、周縁改質層を接合境界から径方向内側であって、改質層形成範囲の径方向内側に形成した場合の説明図である。 被処理ウェハに分割改質層を形成する様子を示す説明図である。 被処理ウェハに分割改質層を形成した様子を示す説明図である。 被処理ウェハに内部面改質層を形成する様子を示す説明図である。 被処理ウェハに内部面改質層を形成する様子を示す説明図である。 他の実施形態にかかる重合ウェハに対して周縁改質層を形成した様子を示す説明図である。 他の実施形態にかかる重合ウェハに対して周縁改質層を形成した様子を示す説明図である。
半導体デバイスの製造工程においては、表面に複数の電子回路等のデバイスが形成されたウェハに対し、当該ウェハの裏面を研削して、ウェハを薄化することが行われている。そして、この薄化されたウェハをそのまま搬送したり、後続の処理を行ったりすると、ウェハに反りや割れが生じるおそれがある。そこで、ウェハを補強するために、例えば支持基板にウェハを貼り付けることが行われている。
通常、ウェハの周縁部は面取り加工がされているが、上述したようにウェハに研削処理を行うと、ウェハの周縁部が鋭く尖った形状(いわゆるナイフエッジ形状)になる。そうすると、ウェハの周縁部でチッピングが発生し、ウェハが損傷を被るおそれがある。そこで、研削処理前に予めウェハの周縁部を除去する、いわゆるエッジトリムが行われている。
上述した特許文献1に記載の端面研削装置は、このエッジトリムを行う装置である。端面研削装置は、チャックテーブルと、スピンドルと、ダイヤモンドホイールとを有する。チャックテーブルは、ウェハを載置し、Z軸方向(鉛直方向)を回転軸として回転する。スピンドルは、その先端部にダイヤモンドホイールを取り付け、Y軸方向(水平方向)を回転軸として回転する。またスピンドルは、Y軸方向及びZ方向に移動する。ダイヤモンドホイールは、外周部にダイヤモンド砥粒が設けられた円板状の研削工具である。かかる端面研削装置を用いて、ウェハの周縁部の端面研削を行う場合には、チャックテーブルを回転させながら、スピンドルをY軸方向及びZ軸方向に移動させることにより、ダイヤモンドホイールをウェハに当接させる。そして、ウェハの周縁部を略L字状に研削する。
ここで、ウェハの周縁部は所定の位置で除去される必要がある。しかしながら、この端面研削装置では、スピンドルの移動は、例えば公差などの種々の要因により一定でない場合がある。かかる場合、ダイヤモンドホイールの移動が適切に制御されず、端面研削装置において除去される周縁部は上記所定の位置からずれる場合がある。したがって、従来のエッジトリムには改善の余地がある。
本開示にかかる技術は、エッジトリムを適切に行う。以下、エッジトリムを適切に行う本実施形態にかかる基板処理装置としてのウェハ処理システム、及び基板処理方法としてのウェハ処理方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
先ず、本実施形態にかかるウェハ処理システムの構成について説明する。図1は、ウェハ処理システム1の構成の概略を模式的に示す平面図である。
ウェハ処理システム1では、図2及び図3に示すように第1の基板としての被処理ウェハWと第2の基板としての支持ウェハSとが接合された、重合基板としての重合ウェハTに対して所定の処理を行う。そしてウェハ処理システム1では、被処理ウェハWの周縁部Weを除去し、さらに当該被処理ウェハWを薄化する。以下、被処理ウェハWにおいて、支持ウェハSに接合された面を表面Waといい、表面Waと反対側の面を裏面Wbという。同様に、支持ウェハSにおいて、被処理ウェハWに接合された面を表面Saといい、表面Saと反対側の面を裏面Sbという。
被処理ウェハWは、例えばシリコンウェハなどの半導体ウェハであって、表面Waに複数のデバイスを含むデバイス層(図示せず)が形成されている。また、デバイス層にはさらに第1の表面膜としての酸化膜Fw、例えばSiO膜(TEOS膜)が形成されている。なお、被処理ウェハWの周縁部Weは面取り加工がされており、周縁部Weの断面はその先端に向かって厚みが小さくなり、面取り部(ベベル部)が形成されている。また、周縁部Weはエッジトリムにおいて除去される部分であり、例えば被処理ウェハWの外端部から径方向に1mm〜5mmの範囲である。
支持ウェハSは、被処理ウェハWを支持するウェハであって、例えばシリコンウェハである。支持ウェハSの表面Saには第2の表面膜としての酸化膜Fs、例えば熱酸化膜が形成されている。また、支持ウェハSは、被処理ウェハWの表面Waのデバイスを保護する保護材として機能する。なお、支持ウェハSの表面Saに複数のデバイスが形成されている場合には、被処理ウェハWと同様に表面Saにデバイス層(図示せず)が形成される。
なお、図2においては、図示の煩雑さを回避するため、酸化膜Fw、Fsの図示を省略している。また、以下の説明で用いられる他の図面においても同様に、酸化膜Fw、Fsの図示を省略する場合がある。
ここで、被処理ウェハWの周縁部Weにおいて、被処理ウェハWと支持ウェハSが接合されていると、周縁部Weを適切に除去できないおそれがある。そこで、被処理ウェハWと支持ウェハSの界面には、酸化膜Fwと酸化膜Fsが接合された接合領域Aaと、接合領域Aaの径方向外側の領域である未接合領域Abとを形成する。このように未接合領域Abが存在することで、周縁部Weを適切に除去できる。なお、詳細は後述するが、接合領域Aaと未接合領域Abの接合境界Ac(接合領域Aaの径方向外側端部)は、除去される周縁部Weの内側端部より所定距離だけ径方向外側に位置している。
なお、未接合領域Abは、例えば接合前に形成される。すなわち接合前に、酸化膜Fwの外周部Fweには、酸化膜Fsに対して接合強度を低下させる処理が行われる。具体的には、外周部Fweの表層を研磨やウェットエッチングなどを行って除去してもよい。あるいは、外周部Fweの表面を疎水化してもよいし、レーザで荒らしてもよい。
また、未接合領域Abは、例えば接合後に形成してもよい。例えば接合後、酸化膜Fwの外周部Fweにレーザ光を照射することで、酸化膜Fsに対する接合強度を低下させることも可能である。
また、被処理ウェハWと支持ウェハSは、ファンデルワールス力及び水素結合(分子間力)による、いわゆるボンディングウェーブが中心から径方向外側に向けて拡がることで順次接合される。ボンディングウェーブの端部では空気が圧縮されて高圧になるが、酸化膜の外側端部(接合境界)において、この高圧な空気が大気開放されると、急激に大気圧まで減圧されることになる。そうすると、この急激な減圧によりジュールトムソン効果が発生して温度が低下し、結露が発生する。さらに、この結露が重合ウェハTの周縁部に閉じ込められ、ボイドとなる。
この点、本実施形態では未接合領域Abが形成されるので、ボンディングウェーブの端部の高圧な雰囲気が開放される空間が小さくなり、大気圧まで減圧されることがない。このように急激な減圧を抑えることで、エッジボイドを抑制することができる。
図1に示すようにウェハ処理システム1は、搬入出ステーション2と処理ステーション3を一体に接続した構成を有している。搬入出ステーション2は、例えば外部との間で複数の重合ウェハTを収容可能なカセットCtが搬入出される。処理ステーション3は、重合ウェハTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えている。
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。図示の例では、カセット載置台10には、複数、例えば3つのカセットCtをY軸方向に一列に載置自在になっている。なお、カセット載置台10に載置されるカセットCtの個数は、本実施形態に限定されず、任意に決定することができる。
搬入出ステーション2には、カセット載置台10のX軸負方向側において、当該カセット載置台10に隣接してウェハ搬送装置20が設けられている。ウェハ搬送装置20は、Y軸方向に延伸する搬送路21上を移動自在に構成されている。また、ウェハ搬送装置20は、重合ウェハTを保持して搬送する、例えば2つの搬送アーム22、22を有している。各搬送アーム22は、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸周りに移動自在に構成されている。なお、搬送アーム22の構成は本実施形態に限定されず、任意の構成を取り得る。そして、ウェハ搬送装置20は、カセット載置台10のカセットCt、及び後述するトランジション装置30に対して、重合ウェハTを搬送可能に構成されている。
搬入出ステーション2には、ウェハ搬送装置20のX軸負方向側において、当該ウェハ搬送装置20に隣接して、重合ウェハTを受け渡すためのトランジション装置30が設けられている。
処理ステーション3には、例えば3つの処理ブロックG1〜G3が設けられている。第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2、及び第3の処理ブロックG3は、X軸正方向側(搬入出ステーション2側)から負方向側にこの順で並べて配置されている。
第1の処理ブロックG1には、エッチング装置40、洗浄装置41、及びウェハ搬送装置50が設けられている。エッチング装置40と洗浄装置41は、積層して配置されている。なお、エッチング装置40と洗浄装置41の数や配置はこれに限定されない。例えば、エッチング装置40と洗浄装置41はそれぞれX軸方向に延伸し、平面視において並列に並べて載置されていてもよい。さらに、これらエッチング装置40と洗浄装置41はそれぞれ、積層されていてもよい。
エッチング装置40は、後述する加工装置80で研削された被処理ウェハWの裏面Wbをエッチング処理する。例えば、裏面Wbに対して薬液(エッチング液)を供給し、当該裏面Wbをウェットエッチングする。薬液には、例えばHF、HNO、HPO、TMAH、Choline、KOHなどが用いられる。
洗浄装置41は、後述する加工装置80で研削された被処理ウェハWの裏面Wbを洗浄する。例えば裏面Wbにブラシを当接させて、当該裏面Wbをスクラブ洗浄する。なお、裏面Wbの洗浄には、加圧された洗浄液を用いてもよい。また、洗浄装置41は、被処理ウェハWの裏面Wbと共に、支持ウェハSの裏面Sbを洗浄する構成を有していてもよい。
ウェハ搬送装置50は、例えばエッチング装置40と洗浄装置41に対してY軸負方向側に配置されている。ウェハ搬送装置50は、重合ウェハTを保持して搬送する、例えば2つの搬送アーム51、51を有している。各搬送アーム51は、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸周りに移動自在に構成されている。なお、搬送アーム51の構成は本実施形態に限定されず、任意の構成を取り得る。そして、ウェハ搬送装置50は、トランジション装置30、エッチング装置40、洗浄装置41、及び後述する改質装置60に対して、重合ウェハTを搬送可能に構成されている。
第2の処理ブロックG2には、改質装置60、周縁除去装置61、及びウェハ搬送装置70が設けられている。改質装置60と周縁除去装置61は、積層して配置されている。なお、改質装置60と周縁除去装置61の数や配置はこれに限定されない。
改質装置60は、被処理ウェハWの内部にレーザ光を照射し、周縁改質層、分割改質層、及び内部面改質層を形成する。改質装置60の具体的な構成は後述する。
周縁除去装置61は、改質装置60で形成された周縁改質層を基点に、被処理ウェハWの周縁部Weを除去する。周縁除去装置61の具体的な構成は後述する。
ウェハ搬送装置70は、例えば改質装置60と周縁除去装置61に対してY軸正方向側に配置されている。ウェハ搬送装置70は、重合ウェハTを保持して搬送する、例えば2つの搬送アーム71、71を有している。各搬送アーム71は、多関節のアーム部材72に支持され、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸周りに移動自在に構成されている。搬送アーム71の具体的な構成は後述する。そして、ウェハ搬送装置70は、洗浄装置41、改質装置60、周縁除去装置61、及び後述する加工装置80に対して、重合ウェハTを搬送可能に構成されている。
第3の処理ブロックG3には、加工装置80が設けられている。なお、加工装置80の数や配置は本実施形態に限定されず、複数の加工装置80が任意に配置されていてもよい。
加工装置80は、被処理ウェハWの裏面Wbを研削する。そして、内部面改質層が形成された裏面Wbにおいて、当該内部面改質層を除去し、さらに周縁改質層を除去する。
加工装置80は、回転テーブル81を有している。回転テーブル81は、回転機構(図示せず)によって、鉛直な回転中心線82を中心に回転自在に構成されている。回転テーブル81上には、重合ウェハTを吸着保持するチャック83が2つ設けられている。チャック83は、回転テーブル81と同一円周上に均等に配置されている。2つのチャック83は、回転テーブル81が回転することにより、受渡位置A0及び加工位置A1に移動可能になっている。また、2つのチャック83はそれぞれ、回転機構(図示せず)によって鉛直軸回りに回転可能に構成されている。
受渡位置A0では、重合ウェハTの受け渡しが行われる。加工位置A1では、研削ユニット84が配置される。研削ユニット84では、被処理ウェハWの裏面Wbを研削する。研削ユニット84は、環状形状で回転自在な研削砥石(図示せず)を備えた研削部85を有している。また、研削部85は、支柱86に沿って鉛直方向に移動可能に構成されている。そして、チャック83に保持された被処理ウェハWの裏面Wbを研削砥石に当接させた状態で、チャック83と研削砥石をそれぞれ回転させ、裏面Wbを研削する。
以上のウェハ処理システム1には、制御部としての制御装置90が設けられている。制御装置90は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、ウェハ処理システム1における重合ウェハTの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、ウェハ処理システム1における後述のウェハ処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから制御装置90にインストールされたものであってもよい。
次に、上述した改質装置60について説明する。図4は、改質装置60の構成の概略を示す平面図である。図5は、改質装置60の構成の概略を示す側面図である。
改質装置60は、重合ウェハTを上面で保持する、保持部としてのチャック100を有している。チャック100は、被処理ウェハWが上側であって支持ウェハSが下側に配置された状態で、当該支持ウェハSを吸着保持する。チャック100は、エアベアリング101を介して、スライダテーブル102に支持されている。スライダテーブル102の下面側には、回転機構103が設けられている。回転機構103は、駆動源として例えばモータを内蔵している。チャック100は、回転機構103によってエアベアリング101を介して、鉛直軸回りに回転自在に構成されている。スライダテーブル102は、その下面側に設けられた移動機構104によって、基台106に設けられY軸方向に延伸するレール105に沿って移動可能に構成されている。なお、移動機構104の駆動源は特に限定されるものではないが、例えばリニアモータが用いられる。
チャック100の上方には、改質部としてのレーザヘッド110が設けられている。レーザヘッド110は、レンズ111を有している。レンズ111は、レーザヘッド110の下面に設けられた筒状の部材であり、チャック100に保持された被処理ウェハWにレーザ光を照射する。
レーザヘッド110は、レーザ光発振器(図示せず)から発振された高周波のパルス状のレーザ光であって、被処理ウェハWに対して透過性を有する波長のレーザ光を、被処理ウェハWの内部の所定位置に集光して照射する。これによって、被処理ウェハWの内部においてレーザ光が集光した部分が改質し、周縁改質層、分割改質層、及び内部面改質層が形成される。
レーザヘッド110は、支持部材112に支持されている。レーザヘッド110は、鉛直方向に延伸するレール113に沿って、昇降機構114により昇降自在に構成されている。またレーザヘッド110は、移動機構115によってY軸方向に移動自在に構成されている。なお、昇降機構114及び移動機構115はそれぞれ、支持柱116に支持されている。
チャック100の上方であって、レーザヘッド110のY軸正方向側には、マクロカメラ120とマイクロカメラ121が設けられている。例えば、マクロカメラ120とマイクロカメラ121は一体に構成され、マクロカメラ120はマイクロカメラ121のY軸正方向側に配置されている。マクロカメラ120とマイクロカメラ121は、昇降機構122によって昇降自在に構成され、さらに移動機構123によってY軸方向に移動自在に構成されている。
マクロカメラ120は、被処理ウェハW(重合ウェハT)の外側端部を撮像する。マクロカメラ120は、例えば同軸レンズを備え、可視光、例えば赤色光を照射し、さらに対象物からの反射光を受光する。なお例えば、マクロカメラ120の撮像倍率は2倍である。
マイクロカメラ121は、被処理ウェハWの周縁部を撮像し、接合領域Aaと未接合領域Abの境界を撮像する。マイクロカメラ121は、例えば同軸レンズを備え、赤外光(IR光)を照射し、さらに対象物からの反射光を受光する。なお例えば、マイクロカメラ121の撮像倍率は10倍であり、視野はマクロカメラ120に対して約1/5であり、ピクセルサイズはマクロカメラ120に対して約1/5である。
次に、上述した周縁除去装置61について説明する。図6は、周縁除去装置61の構成の概略を示す平面図である。図7は、周縁除去装置61の構成の概略を示す側面図である。図8は、周縁除去装置61の構成の概略を模式的に示す説明図である。
周縁除去装置61は、重合ウェハTを上面で保持するチャック130を有している。チャック130は、被処理ウェハWが上側であって支持ウェハSが下側に配置された状態で、当該支持ウェハSを保持する。またチャック130は、回転機構131によって鉛直軸回りに回転可能に構成されている。
チャック130の側方には、被処理ウェハWの周縁部Weを除去する周縁除去部140が設けられている。周縁除去部140は、周縁部Weに衝撃を付与して当該周縁部Weを除去する。周縁除去部140は、くさびローラ141と支持ローラ142を有している。
くさびローラ141は、側面視において、先端が尖ったくさび形状を有している。くさびローラ141は、被処理ウェハWと支持ウェハSの外側端部から、当該被処理ウェハWと支持ウェハSの界面に挿入される。そして、挿入されたくさびローラ141により周縁部Weが押し上げられ、被処理ウェハWから分離して除去される。
支持ローラ142は、くさびローラ141の中心を貫通して、当該くさびローラ141を支持している。支持ローラ142は、移動機構(図示せず)によって水平方向に移動自在に構成され、支持ローラ142が移動することでくさびローラ141も移動する。また、支持ローラ142は鉛直軸回りに回転自在に構成され、支持ローラ142が回転することでくさびローラ141も回転する。なお、本実施形態では、支持ローラ142には、後述するようにチャック130の回転を受けて回転する、いわゆるフリーローラが用いられる。但し、支持ローラ142は、回転機構(図示せず)によって積極的に回転されてもよい。
なお、本実施形態では、挿入部材としてくさびローラ141を用いたが、挿入部材はこれに限定されない。例えば挿入部材は、側面視において径方向外側に向けて幅が小さくなる形状を備えたものであればよく、先端が先鋭化したナイフ状の挿入部材を用いてもよい。
チャック130の上方及び下方にはそれぞれ、被処理ウェハWに洗浄液を供給するノズル150、151が設けられている。洗浄液には、例えば純水が用いられる。周縁除去部140を用いて周縁部Weに衝撃を付与して当該周縁部Weを除去する場合、除去に伴い粉塵(パーティクル)が発生する。そこで、本実施形態では、ノズル150、151から洗浄液を供給することで、この粉塵が飛散するのを抑制する。
上部ノズル150は、チャック130の上方に配置され、被処理ウェハWの上方から裏面Wbに洗浄液を供給する。この上部ノズル150からの洗浄液により、周縁部Weの除去時に発生する粉塵が飛散するのを抑制することができ、さらに粉塵が被処理ウェハW上へ飛散するもの抑制することができる。具体的に洗浄液は、粉塵を被処理ウェハWの外周側へ流す。また下部ノズル151は、チャック130の下方に配置され、支持ウェハS側から被処理ウェハWに洗浄液を供給する。この下部ノズル151からの洗浄液により、粉塵が飛散するのをより確実に抑制することができる。また、下部ノズル151からの洗浄液により、粉塵や周縁部Weの破材が支持ウェハS側まで回り込むのを抑制することができる。
なお、ノズル150、151の数や配置は本実施形態に限定されない。例えばノズル150、151はそれぞれ複数設けられていてもよい。また、下部ノズル151は省略可能である
なお、粉塵の飛散を抑制する方法は、洗浄液の供給に限定されない。例えば、吸引機構(図示せず)を設け、発生した粉塵を吸引除去してもよい。
チャック130の上方には、被処理ウェハWから周縁部Weが除去されたか否かを確認するための検知部160が設けられている。検知部160は、チャック130に保持され、且つ周縁部Weが除去された被処理ウェハWにおいて、周縁部Weの有無を検知する。検知部160には、例えばセンサが用いられる。センサは、例えばライン型のレーザ変位計であり、重合ウェハT(被処理ウェハW)の周縁部にレーザを照射して当該重合ウェハTの厚みを測定することで、周縁部Weの有無を検知する。なお、検知部160による周縁部Weの有無の検知方法はこれに限定されない。例えば検知部160には、例えばラインカメラを用い、重合ウェハT(被処理ウェハW)を撮像することで、周縁部Weの有無を検知してもよい。
なお、チャック130の下方には、周縁除去部140で除去された周縁部Weを回収する回収部(図示せず)が設けられている。
次に、上述したウェハ搬送装置70の搬送アーム71について説明する。図9は、搬送アーム71の構成の概略を示す縦断面図である。
搬送アーム71は、重合ウェハTより大きい径を有する、円板状の吸着板170を有している。吸着板170の下面には、被処理ウェハWの中央部Wcを保持する保持部180が設けられている。
保持部180には中央部Wcを吸引する吸引管181が接続され、吸引管181は例えば真空ポンプなどの吸引機構182に連通している。吸引管181には、吸引圧力を測定する圧力センサ183が設けられている。圧力センサ183の構成は任意であるが、例えばダイヤフラム型の圧力計が用いられる。
吸着板170の上面には、当該吸着板170を鉛直軸回りに回転させる回転機構190が設けられている。回転機構190は、支持部材191に支持されている。また、支持部材191(回転機構190)は、アーム部材72に支持されている。
次に、以上のように構成されたウェハ処理システム1を用いて行われるウェハ処理について説明する。図10は、ウェハ処理の主な工程を示すフロー図である。図11は、ウェハ処理の主な工程の説明図である。なお、本実施形態では、ウェハ処理システム1の外部の接合装置(図示せず)において、被処理ウェハWと支持ウェハSが接合され、予め重合ウェハTが形成されている。
先ず、図11(a)に示す重合ウェハTを複数収納したカセットCtが、搬入出ステーション2のカセット載置台10に載置される。
次に、ウェハ搬送装置20によりカセットCt内の重合ウェハTが取り出され、トランジション装置30に搬送される。続けて、ウェハ搬送装置50により、トランジション装置30の重合ウェハTが取り出され、改質装置60に搬送される。改質装置60では、図11(b)に示すように被処理ウェハWの内部に周縁改質層M1と分割改質層M2が順次形成され(図10のステップA1、A2)、さらに図11(c)に示すように内部面改質層M3が形成される(図10のステップA3)。周縁改質層M1は、エッジトリムにおいて周縁部Weを除去の際の基点となるものである。分割改質層M2は、除去される周縁部Weが小片化するための基点となるものである。内部面改質層M3は、被処理ウェハWを薄化するための基点となるものである。
改質装置60では先ず、ウェハ搬送装置50から重合ウェハTが搬入され、チャック100に保持される。次に、チャック100をマクロアライメント位置に移動させる。マクロアライメント位置は、マクロカメラ120が被処理ウェハWの外側端部を撮像できる位置である。
次に、マクロカメラ120によって、被処理ウェハWの周方向360度における外側端部の画像が撮像される。撮像された画像は、マクロカメラ120から制御装置90に出力される。
制御装置90では、マクロカメラ120の画像から、チャック100の中心Ccと被処理ウェハWの中心Cwの第1の偏心量を算出する。さらに制御装置90では、第1の偏心量に基づいて、当該第1の偏心量のY軸成分を補正するように、チャック100の移動量を算出する。チャック100は、この算出された移動量に基づいてY軸方向に移動し、チャック100をマイクロアライメント位置に移動させる。マイクロアライメント位置は、マイクロカメラ121が被処理ウェハWの周縁部を撮像できる位置である。ここで、上述したようにマイクロカメラ121の視野はマクロカメラ120に対して約1/5と小さいため、第1の偏心量のY軸成分を補正しないと、被処理ウェハWの周縁部がマイクロカメラ121の画角に入らず、マイクロカメラ121で撮像できない場合がある。このため、第1の偏心量に基づくY軸成分の補正は、チャック100をマイクロアライメント位置に移動させるためともいえる。
次に、マイクロカメラ121によって、被処理ウェハWの周方向360度における接合領域Aaと未接合領域Abの境界を撮像する。撮像された画像は、マイクロカメラ121から制御装置90に出力される。
制御装置90では、マイクロカメラ121の画像から、チャック100の中心Ccと接合領域Aaの中心Caの第2の偏心量を算出する。さらに制御装置90では、第2の偏心量に基づいて、接合領域Aaの中心とチャック100の中心が一致するように、周縁改質層M1に対するチャック100の位置を決定する。
次に、図12及び図13に示すようにレーザヘッド110からレーザ光L1(周縁用レーザ光L1)を照射して、被処理ウェハWの周縁部Weと中央部Wcの境界に周縁改質層M1を形成する(図10のステップA1)。
上記レーザ光L1によって形成される周縁改質層M1は、厚み方向に延伸し縦長のアスペクト比を有する。周縁改質層M1の下端は、薄化後の被処理ウェハWの目標表面(図12中の点線)より上方に位置している。すなわち、周縁改質層M1の下端と被処理ウェハWの表面Waとの間の距離H1は、薄化後の被処理ウェハWの目標厚みH2より大きい。かかる場合、薄化後の被処理ウェハWに周縁改質層M1が残らない。なお、被処理ウェハWの内部には、周縁改質層M1からクラックC1が進展し、裏面Wbと表面Waに到達している。
ステップA1では、制御装置90で決定されたチャック100の位置に合わせて、接合領域Aaの中心とチャック100の中心が一致するように、回転機構103によってチャック100を回転させると共に、移動機構104によってチャック100をY軸方向に移動させる。この際、チャック100の回転とY軸方向の移動を同期させる。
そして、このようにチャック100(被処理ウェハW)を回転及び移動させながら、レーザヘッド110から被処理ウェハWの内部にレーザ光L1を照射する。すなわち、第2の偏心量を補正しながら、周縁改質層M1を形成する。そうすると周縁改質層M1は、接合領域Aaと同心円状に環状に形成される。このため、その後周縁除去装置61において、周縁改質層M1を基点に周縁部Weを適切に除去することができる。
なお、本例においては、第2の偏心量がX軸成分を備える場合に、チャック100をY軸方向に移動させつつ、チャック100を回転させて、当該X軸成分を補正している。一方、第2の偏心量がX軸成分を備えない場合には、チャック100を回転させずに、Y軸方向に移動させるだけでよい。
次に、周縁改質層M1の径方向の位置(レーザ光L1の照射位置)について説明する。周縁改質層M1は、接合領域Aaと未接合領域Abの接合境界Ac(酸化膜Fwの外周部Fweの径方向内側端部)よりも径方向内側に形成される。
ここで、例えば図14(a)に示すように周縁改質層M1が、接合境界Acから径方向外側に形成される場合、その後、周縁除去装置61において周縁部Weが除去されると、支持ウェハSに対して被処理ウェハWの端部が浮いた状態になってしまう。この状態で、その後、加工装置80において被処理ウェハWの裏面Wbを研削すると、研削部85の研削砥石が被処理ウェハWの端部に引っかかり、被処理ウェハWにチッピングが発生し、図14(b)に示すように接合境界Acから割れGが発生するおそれがある。
このため、周縁改質層M1は、接合境界Acよりも径方向内側に形成するのが良い。かかる場合、レーザヘッド110からレーザ光L1を照射する際に、例えば加工誤差などにより周縁改質層M1が接合境界Acからずれて形成されたとしても、当該周縁改質層M1が接合境界Acから径方向外側に形成されるのを抑制できる。
一方、周縁改質層M1を接合境界Acよりも径方向内側に形成する場合であっても、その周縁改質層M1の形成位置には適切な位置がある。発明者らが鋭意検討したところ、周縁改質層M1の形成位置が径方向内側に入り過ぎると、接合面積が大きいため、その後、周縁除去装置61において周縁部Weを適切に除去できないことが分かった。なお、以下の説明において、接合境界Acから径方向内側において、周縁部Weを適切に除去することができるように周縁改質層M1を形成する範囲を改質層形成範囲Rという。
上記周縁改質層M1の形成位置についてさらに詳述する。例えば図15(a)に示すように周縁改質層M1が改質層形成範囲Rより径方向内側に形成されている場合、その後、図15(b)に示すように周縁部Weを除去する際、改質層形成範囲Rの径方向内側端部から割れGが発生するおそれがある。この割れGは、酸化膜Fwと酸化膜Fsの接合強度と被処理ウェハWの強度(シリコンの強度)とに起因する。すなわち、被処理ウェハWの周縁部Weでは、酸化膜Fwと酸化膜Fsの接合強度が、被処理ウェハWの強度よりも大きいため、酸化膜Fwと酸化膜Fsが剥がれるよりも先に、被処理ウェハWに割れGが生じる。そこで、周縁改質層M1の形成位置は、改質層形成範囲R内に位置するのが良い。
上述した改質層形成範囲Rは、酸化膜Fwと酸化膜Fsの接合強度に応じて決定される。接合強度は、例えば酸化膜Fwと酸化膜Fsの材料によって決定される強度や、酸化膜Fwと酸化膜Fsの接合面積などによって決定される。発明者らが鋭意検討したところ、酸化膜FwがTEOS膜であって、酸化膜Fsが熱酸化膜である場合、接合強度は約2.10J/mであった。そして被処理ウェハWの周縁部Weが適切に除去されるためには、この接合強度が、被処理ウェハWの強度より小さい必要がある。
さらに発明者らは、改質層形成範囲Rの距離D1(接合境界Acから径方向内側の距離D1)の適切な範囲について調べた。具体的には、赤外線カメラを用いて接合境界Acを認識した上で、距離D1を変化させて周縁改質層M1を形成し、周縁部Weが適切に除去できるか否かを調べた。その結果、距離D1が70μmまでは周縁部Weを適切に除去することができたが、距離D1が80μmになると被処理ウェハWに割れGが発生し周縁部Weを除去することができなかった、したがって、本実施形態では、改質層形成範囲Rの距離D1は70μmが適切であることが分かった。
なお、改質層形成範囲Rの距離D1の70μmは、TEOS膜と熱酸化膜が接合された場合の距離であって、接合対象によって変わる。例えば接合対象の酸化膜の種類によって距離D1は変わる。あるいは、接合対象は酸化膜以外、例えば窒化膜などの場合もあり、かかる場合も当然に距離D1は変わる。そして、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合強度に応じて、改質層形成範囲Rの距離D1が決定される。
このように決定される改質層形成範囲Rは、ウェハ処理システム1におけるウェハ処理の前に、予め制御装置90に記憶される。そしてステップA1では、図12に示すようにレーザヘッド110からレーザ光L1が、改質層形成範囲R内に照射される。すなわち、改質層形成範囲Rの距離D1が70μmの場合、レーザ光L1の照射位置の接合境界Acからの径方向距離D2は0μm〜70μmであればよい。本実施形態では、距離D2を例えば35μmとしている。このようにして、改質層形成範囲R内にレーザ光L1が照射され周縁改質層M1が形成される。
なお、上述のように決定される改質層形成範囲Rは、必ずしも制御装置90に記憶されなくてもよい。例えば、酸化膜Fwと酸化膜Fsの接合強度に応じて周縁改質層M1の形成位置(レーザ光L1の照射位置)を決定し、オペレータが当該位置を制御装置90に入力してもよい。そして、入力された位置に基づいて、レーザヘッド110からレーザ光L1が照射され周縁改質層M1が形成される。
以上のように周縁改質層M1が形成されると、次に、レーザヘッド110をY軸方向に移動させて、図16及び図17に示すようにレーザヘッド110からレーザ光L2(分割用レーザ光L2)を照射して、周縁改質層M1の径方向外側に分割改質層M2を形成する(図10のステップA2)。
分割改質層M2も、周縁改質層M1と同様に厚み方向に延伸し、縦長のアスペクト比を有する。なお、本実施形態においては、分割改質層M2は周縁改質層M1と同じ高さに形成される。また、分割改質層M2からクラックC2が進展し、裏面Wbと表面Waに到達している。
また、分割改質層M2及びクラックC2を径方向に数μmのピッチで複数形成することで、図17に示すように周縁改質層M1から径方向外側に延伸する、1ラインの分割改質層M2が形成される。なお、図示の例においては、径方向に延伸するラインの分割改質層M2は8箇所に形成されているが、この分割改質層M2の数は任意である。少なくとも、分割改質層M2が2箇所に形成されていれば、周縁部Weは除去できる。かかる場合、エッジトリムにおいて周縁部Weを除去する際、当該周縁部Weは、環状の周縁改質層M1を基点に分離しつつ、分割改質層M2によって複数に分割される。そうすると、除去される周縁部Weが小片化され、より容易に除去することができる。
なお、本実施形態では分割改質層M2を形成するにあたり、レーザヘッド110をY軸方向に移動させたが、チャック100をY軸方向に移動させてもよい。
次に、図18及び図19に示すようにレーザヘッド110からレーザ光L3(内部面用レーザ光L3)を照射して、面方向に沿って内部面改質層M3を形成する(図10のステップA3)。なお、図19に示す黒塗り矢印はチャック100の回転方向を示し、以下の説明においても同様である。
内部面改質層M3の下端は、薄化後の被処理ウェハWの目標表面(図18中の点線)より少し上方に位置している。すなわち、内部面改質層M3の下端と被処理ウェハWの表面Waとの間の距離H3は、薄化後の被処理ウェハWの目標厚みH2より少し大きい。なお、被処理ウェハWの内部には、内部面改質層M3から面方向にクラックC3が進展する。
ステップA3では、チャック100(被処理ウェハW)を回転させると共に、レーザヘッド110を被処理ウェハWの外周部から中心部に向けてY軸方向に移動させながら、レーザヘッド110から被処理ウェハWの内部にレーザ光L3を照射する。そうすると、内部面改質層M3は、被処理ウェハWの面内において、外側から内側に螺旋状に形成される。
なお、本実施形態では内部面改質層M3を形成するにあたり、レーザヘッド110をY軸方向に移動させたが、チャック100をY軸方向に移動させてもよい。また内部面改質層M3を形成するにあたり、チャック100を回転させたが、レーザヘッド110を移動させて、チャック100に対してレーザヘッド110を相対的に回転させてもよい。
次に、被処理ウェハWに内部面改質層M3が形成されると、ウェハ搬送装置70によって重合ウェハTが搬出される。
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置70により周縁除去装置61に搬送される。周縁除去装置61では、図11(d)に示すように周縁改質層M1を基点に、被処理ウェハWの周縁部Weを除去する(図10のステップA4)。ステップA4では、図8に示したように、くさびローラ141を、被処理ウェハWと支持ウェハSの外側端部から、当該被処理ウェハWと支持ウェハSの界面に挿入する。そして、挿入されたくさびローラ141により周縁部Weが押し上げられ、周縁改質層M1を基点に被処理ウェハWから分離して除去される。この際、ステップA1において周縁改質層M1は改質層形成範囲R内に形成されているので、周縁部Weを適切に除去することができる。また、この際、分割改質層M2を基点に、周縁部Weは小片化して分離される。なお、除去された周縁部Weは、回収部(図示せず)に回収される。
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置70により加工装置80に搬送される。加工装置80では、先ず、搬送アーム71から受渡位置A0のチャック83に重合ウェハTを受け渡す。この際、図11(e)に示すように内部面改質層M3を基点に、被処理ウェハWの裏面Wb側(以下、裏面ウェハWb1という)を分離する(図10のステップA5)。
ステップA5では、搬送アーム71の吸着板170で被処理ウェハWを吸着保持しつつ、チャック83で支持ウェハSを吸着保持する。そして、吸着板170を回転させて、内部面改質層M3を境界に裏面ウェハWb1が縁切りされる。その後、吸着板170が裏面ウェハWb1を吸着保持した状態で、当該吸着板170を上昇させて、被処理ウェハWから裏面ウェハWb1を分離する。この際、圧力センサ183で裏面ウェハWb1を吸引する圧力を測定することで、裏面ウェハWb1の有無を検知して、被処理ウェハWから裏面ウェハWb1が分離されたか否かを確認することができる。なお、分離された裏面ウェハWb1は、ウェハ処理システム1の外部に回収される。
続いて、チャック83を加工位置A1に移動させる。そして、研削ユニット84によって、図11(f)に示すようにチャック83に保持された被処理ウェハWの裏面Wbを研削し、当該裏面Wbに残る内部面改質層M3と周縁改質層M1を除去する(図10のステップA6)。ステップA6では、裏面Wbに研削砥石を当接させた状態で、被処理ウェハWと研削砥石をそれぞれ回転させ、裏面Wbを研削する。なおその後、洗浄液ノズル(図示せず)を用いて、被処理ウェハWの裏面Wbが洗浄液によって洗浄されてもよい。
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置70により洗浄装置41に搬送される。洗浄装置41では被処理ウェハWの研削面である裏面Wbがスクラブ洗浄される(図10のステップA7)。なお、洗浄装置41では、被処理ウェハWの裏面Wbと共に、支持ウェハSの裏面Sbが洗浄されてもよい。
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置50によりエッチング装置40に搬送される。エッチング装置40では被処理ウェハWの裏面Wbが薬液によりウェットエッチングされる(図5のステップA8)。上述した加工装置80で研削された裏面Wbには、研削痕が形成される場合がある。本ステップA8では、ウェットエッチングすることによって研削痕を除去でき、裏面Wbを平滑化することができる。
その後、すべての処理が施された重合ウェハTは、ウェハ搬送装置50によりトランジション装置30に搬送され、さらにウェハ搬送装置20によりカセット載置台10のカセットCtに搬送される。こうして、ウェハ処理システム1における一連のウェハ処理が終了する。
以上の実施形態によれば、ステップA1において周縁改質層M1を形成する際、レーザヘッド110からレーザ光L1を改質層形成範囲Rに照射する。改質層形成範囲Rは、酸化膜Fwと酸化膜Fsの接合強度に応じて、周縁部Weを除去できるように決定されている。したがって、その後のステップA4では、被処理ウェハWに割れを発生させることなく、周縁部Weを適切に除去することができる。
ここで、例えば従来のように研削によりエッジトリムを行う場合、研削屑などによるパーティクルが発生し、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合に影響がでる。また、研削によりエッジトリムを行うため、大量の研削水を使用し、汚水処理装置も必要となる。さらに、研削によるエッジトリムでは、砥石が消耗して定期的に交換する必要があり、ランニングコストがかかる。
これに対して、本実施形態では、ステップA1において周縁改質層M1を形成した後、ステップA4において周縁改質層M1を基点に周縁部Weを除去している。かかる場合、研削屑などのパーティクルの発生を抑制できる。また、周縁改質層M1の形成に用いられるレーザヘッド110は経時的に劣化しにくく、消耗品が少なくなるため、メンテナンス頻度を低減することができる。さらに、レーザを用いたドライプロセスであるため、研削水や廃水処理が不要となる。このため、ランニングコストを低廉化することができる。
なお、以上の実施形態では、図3に示したように酸化膜Fwの外周部Fweには接合前の前処理が行われているが、図20に示すように酸化膜Fwの外周部Fweには、径方向外側に向けて酸化膜Fwの厚みが小さくなる傾斜が形成される場合がある。このように外周部Fweに傾斜を形成しておくことで、当該外周部Fweにおいては径方向外側に向けて徐々に空間が拡がる。そうすると、接合に際しては、ボンディングウェーブの端部の高圧な雰囲気が外周方向に向けて徐々に大気圧まで減圧されていくため、すなわち、急激な減圧を抑えることができるため、ボイドを抑制することができる。
かかる場合、接合境界Acは、外周部Fweの径方向内側端部となる。そして、ステップA1において周縁改質層M1を改質層形成範囲R内に形成することで、上記実施形態と同様の効果を享受することができ、周縁部Weを適切に除去することができる。
また、以上の実施形態では、図3に示したように酸化膜Fwの外周部Fweには接合前の前処理が行われていたが、かかる前処理を省略し、被処理ウェハWと支持ウェハSは全面で接合されていてもよい。かかる場合、図21に示すように酸化膜Fwと酸化膜Fsはそれぞれ被処理ウェハWと支持ウェハSの端部まで延伸し、接合領域Aaが形成される。なお、被処理ウェハWと支持ウェハSの外側端部には面取り部(ベベル部)が形成されており、この面取り部は接合されない。
かかる場合、ステップA1において周縁改質層M1を、接合境界Acから径方向内側に改質層形成範囲R内に形成する。例えば周縁改質層M1は、接合境界Acである、面取り部の径方向内側端部に形成されていてもよい。そうすると、上記実施形態と同様の効果を享受することができ、周縁部Weを適切に除去することができる。
なお、以上の実施形態では、周縁部Weの除去は、周縁除去装置61において周縁除去部140を用いて行われたが、除去方法はこれに限定されない。例えば、周縁部Weを保持して除去してもよいし、周縁部Weに対して物理的な衝撃や超音波などを付与して除去してもよい。
また、以上の実施形態では、被処理ウェハWからの裏面ウェハWb1の分離は、ウェハ搬送装置70の搬送アーム71から加工装置80のチャック83に重合ウェハTを受け渡す際に行っていたが、分離方法はこれに限定されない。例えば、分離装置(図示せず)を周縁除去装置61と同一装置内に設けてもよいし、分離装置(図示せず)を別途設けてもよい。
さらに、以上の実施形態では、被処理ウェハWの薄化は、裏面ウェハWb1を分離することで行っていたが、薄化方法はこれに限定されない。例えば被処理ウェハWの裏面Wbを研削してもよいし、あるいは裏面Wbをエッチングしてもよい。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
1 ウェハ処理システム
60 改質装置
90 制御装置
100 チャック
110 レーザヘッド
Aa 接合領域
Ab 未接合領域
Ac 接合境界
M1 周縁改質層
R 改質層形成範囲
S 支持ウェハ
T 重合ウェハ
W 被処理ウェハ
Wc 中央部
We 周縁部

Claims (8)

  1. 基板を処理する基板処理装置であって、
    第1の基板と第2の基板が接合された重合基板において前記第2の基板を保持する保持部と、
    前記保持部に保持された前記第1の基板の内部に、除去対象の周縁部と中央部の境界に沿ってレーザ光を照射して改質層を形成する改質部と、
    前記保持部と前記改質部を制御する制御部と、を有し、
    前記制御部は、前記第1の基板と前記第2の基板が接合された接合領域と、当該接合領域の外側の未接合領域との接合境界から径方向内側に前記改質層を形成するよう前記改質部を制御し、
    前記改質層の形成位置は、前記第1の基板と前記第2の基板の接合強度に応じて決定される基板処理装置。
  2. 前記制御部には、前記周縁部を除去するための前記改質層を形成する改質層形成範囲が予め記憶され、
    前記制御部は、前記改質層の形成位置が前記改質層形成範囲内に位置するように前記改質部を制御する、請求項1に記載の基板処理装置。基板処理装置。
  3. 前記重合基板において、前記第1の基板の表面に形成された第1の表面膜と前記第2の基板の表面に形成された第2の表面膜とが接合され、
    前記第1の表面膜の外周部は、前記第2の表面膜に対して接合強度を低下させる処理が行われ、
    前記接合境界は、前記第1の表面膜の外周部の径方向内側端部である、請求項1又は2に記載の基板処理装置。
  4. 前記第1の基板の外端部と前記第2の基板の外端部にはそれぞれ面取り部が形成され、
    前記接合境界は、前記面取り部の径方向内側端部である、請求項1又は2に記載の基板処理装置。
  5. 基板を処理する基板処理方法であって、
    第1の基板と第2の基板が接合された重合基板において前記第2の基板を保持部で保持することと、
    改質部から前記保持部に保持された前記第1の基板の内部に、除去対象の周縁部と中央部の境界に沿ってレーザ光を照射して改質層を形成することと、を有し、
    前記第1の基板と前記第2の基板が接合された接合領域と、当該接合領域の外側の未接合領域との接合境界から径方向内側において、前記周縁部を除去するための前記改質層を形成する改質層形成範囲が前記第1の基板と前記第2の基板の接合強度に応じて予め決定され、
    前記改質層を形成する際、前記改質層形成範囲内に前記レーザ光を照射する、基板処理方法。
  6. 前記改質層形成範囲は、予め制御部に記憶されている、請求項5に記載の基板処理方法。
  7. 前記重合基板において、前記第1の基板の表面に形成された第1の表面膜と前記第2の基板の表面に形成された第2の表面膜とが接合され、
    前記第1の表面膜の外周部は、前記第2の表面膜に対して接合強度を低下させる処理が行われ、
    前記接合境界は、前記第1の表面膜の外周部の径方向内側端部である、請求項5又は6に記載の基板処理方法。
  8. 前記第1の基板の外端部と前記第2の基板の外端部にはそれぞれ面取り部が形成され、
    前記接合境界は、前記面取り部の径方向内側端部である、請求項5又は6に記載の基板処理方法。
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