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JP2020170636A - 積層型電池 - Google Patents

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JP2020170636A
JP2020170636A JP2019071260A JP2019071260A JP2020170636A JP 2020170636 A JP2020170636 A JP 2020170636A JP 2019071260 A JP2019071260 A JP 2019071260A JP 2019071260 A JP2019071260 A JP 2019071260A JP 2020170636 A JP2020170636 A JP 2020170636A
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negative electrode
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文樹 後藤
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文樹 後藤
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】第1電極板および第2電極板の位置ずれを防止しつつ、外装体の封止性能の低下を抑制することができる積層型電池および積層型電池の製造方法の提供。【解決手段】積層型電池1は、外装体40と、第1電極板と第2電極板とが積層方向に交互に積層された膜電極接合体5と、膜電極接合体5を積層方向に押圧する押圧テープ50と、を備えている。押圧テープ50は、第2方向における膜電極接合体5の第1端部および第2端部のうち第1端部にのみ取り付けられている。または、押圧テープ50は、第1端部に少なくとも2つ以上取り付けられ、かつ、第1端部に取り付けられた押圧テープ50の個数よりも少ない個数で第2端部に取り付けられている。【選択図】図2

Description

本発明は、積層型電池および積層型電池の製造方法に関する。
例えば特許文献1で提案されているように、正極板と負極板とを交互に積層してなる積層型電池が広く普及している。積層型電池の一例として、リチウムイオン二次電池が例示され得る。リチウムイオン二次電池は、他の形式の積層型電池と比較して大容量であることを特徴の一つとしている。このような特徴を有するリチウムイオン二次電池は、今般、車載用途や定置住宅用途等の種々の用途での更なる普及を期待されている。
積層型電池は、交互に積層された複数の正極板(第1電極板)および複数の負極板(第2電極板)を有する膜電極接合体を備えている。積層型電池の製造時において、正極板および負極板は、それぞれの活物質層が設けられた領域(有効領域)が互いに重なるよう積層方向に交互に積層される。積層された膜電極接合体は、外装体内に配置され、電解液とともに封止される。
特開2017−91614号公報
積層型電池の製造時において、膜電極接合体の第1電極板および第2電極板を積層してから外装体に封止するまでの間に第1電極板および第2電極板が互いに位置ずれを起こすことが考えられる。このような電極板の位置ずれを防止するために、膜電極接合体を積層方向に跨ぐように押圧テープを貼り付ける場合がある。
しかしながら、この押圧テープが何らかの原因で部分的に剥がれてしまった状態で外装体を封止すると、押圧テープの剥がれた部分が外装体のシール部に噛み込んでしまうおそれがある。この場合、外装体の封止性能が低下する等の問題が生じ得る。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、第1電極板および第2電極板の位置ずれを防止しつつ、外装体の封止性能の低下を抑制することができる積層型電池および当該積層型電池の製造方法を提供することを目的とする。
本発明による積層型電池は、
外装体と、
前記外装体内に封止された膜電極接合体であって、第1方向において互いに隣接する第1有効領域および第1接続領域を含む第1電極集電体と、前記第1有効領域に設けられた第1電極活物質層と、を有する第1電極板と、前記第1方向において互いに隣接する第2有効領域および第2接続領域を含む第2電極集電体と、前記第2有効領域に設けられた第2電極活物質層と、を有する第2電極板とが、前記第1有効領域および前記第2有効領域が互いに重なるよう積層方向に交互に積層された膜電極接合体と、
前記膜電極接合体を前記積層方向に押圧する押圧テープと、を備え、
前記膜電極接合体は、前記積層方向で見たときに前記第1方向に直交する第2方向において一側に設けられた第1端部と、他側に設けられた第2端部と、を有し、
前記押圧テープは、前記第1端部および前記第2端部のうち前記第1端部にのみ取り付けられている、または、
前記押圧テープは、前記第1端部に少なくとも2つ以上取り付けられ、かつ、前記第1端部に取り付けられた前記押圧テープの個数よりも少ない個数で前記第2端部に取り付けられている。
本発明による積層型電池において、
前記外装体は、金属層と前記金属層の内面に設けられた樹脂接着層とを含む第1基材と、前記第1基材に対向する第2基材と、を有し、前記第1基材と前記第2基材とをヒートシールして前記膜電極接合体を封止している、
ようにしてもよい。
本発明による積層型電池において、
前記外装体は、前記第1方向における端部に設けられた開口部を含む、前記膜電極接合体を収容する電池缶と、前記開口部を封止する電池蓋と、を有する、
ようにしてもよい。
ようにしてもよい。
本発明による積層型電池において、
前記押圧テープは、前記第1端部に2つ取り付けられている、
ようにしてもよい。
本発明による積層型電池において、
前記膜電極接合体は、前記積層方向における両側に設けられた一対の最外面を有し、
前記押圧テープは、前記膜電極接合体の一対の前記最外面に接合されている、
ようにしてもよい。
本発明による積層型電池において、
前記押圧テープは、2%以上15%以下の伸び率を有する、
ようにしてもよい。
本発明による積層型電池の製造方法は、
第1方向において互いに隣接する第1有効領域および第1接続領域を含む第1電極集電体と、前記第1有効領域に設けられた第1電極活物質層と、を有する第1電極板と、前記第1方向において互いに隣接する第2有効領域および第2接続領域を含む第2電極集電体と、前記第2有効領域に設けられた第2電極活物質層と、を有する第2電極板とが、前記第1有効領域および前記第2有効領域が互いに重なるよう積層方向に交互に積層された膜電極接合体を準備する準備工程と、
前記膜電極接合体に、前記膜電極接合体を前記積層方向に押圧する押圧テープを取り付ける押圧テープ取付工程と、
前記押圧テープ取付工程の後、外装体内に前記膜電極接合体を封止する封止工程と、を備え、
前記膜電極接合体は、前記積層方向で見たときに前記第1方向に直交する第2方向において一側に設けられた第1端部と、他側に設けられた第2端部と、を有し、
前記押圧テープ取付工程において、前記押圧テープを、前記第1端部および前記第2端部のうち前記第1端部にのみ取り付ける、または、
前記押圧テープを、前記第1端部に少なくとも2つ以上取り付け、かつ、前記第1端部に取り付ける前記押圧テープの個数よりも少ない個数で前記第2端部に取り付ける。
本発明による積層型電池の製造方法において、
前記外装体は、金属層と前記金属層の内面に設けられた樹脂接着層とを含む第1基材と、第2基材と、を有し、
前記封止工程において、前記第1基材と前記第2基材とをヒートシールして前記膜電極接合体が封止される、
ようにしてもよい。
本発明による積層型電池の製造方法において、
前記外装体は、前記第1方向における端部に設けられた開口部を含む電池缶と、電池蓋とを有し、
前記封止工程において、前記電池缶内に前記膜電極接合体が配置された後、前記開口部が前記電池蓋により封止される、
ようにしてもよい。
本発明による積層型電池の製造方法において、
前記押圧テープ取付工程において、前記押圧テープは、前記第1端部に2つ取り付けられる、
ようにしてもよい。
本発明による積層型電池の製造方法において、
前記膜電極接合体は、前記積層方向における両側に設けられた一対の最外面を有し、
前記押圧テープ取付工程において、前記押圧テープは、前記膜電極接合体の一対の前記最外面に接合される、
ようにしてもよい。
本発明による積層型電池の製造方法において、
前記押圧テープは、2%以上15%以下の伸び率を有する、
ようにしてもよい。
本発明によれば、第1電極板および第2電極板の位置ずれを防止しつつ、外装体の封止性能の低下を抑制することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態を説明するための図であって、積層型電池を示す斜視図である。 図2は、図1の積層型電池に含まれる膜電極接合体を示す斜視図である。 図3は、図1の平面断面図である。 図4は、図2の平面図である。 図5は、図2の膜電極接合体の第2方向d2で見た部分断面図である。 図6は、図1の積層型電池の第1方向d1で見た断面図である。 図7は、図3のA−A線に沿った部分断面図である。 図8Aは、本発明の第1の実施の形態による積層型電池の製造方法において、膜電極接合体を準備する工程を説明するための図である。 図8Bは、本発明の第1の実施の形態による積層型電池の製造方法において、膜電極接合体に押圧テープを取り付ける工程を説明するための図である。 図8Cは、本発明の第1の実施の形態による積層型電池の製造方法において、膜電極接合体にタブを取り付ける工程を説明するための図である。 図8Dは、本発明の第1の実施の形態による積層型電池の製造方法において、外装体内に膜電極接合体を封止する工程を説明するための図である。 図8Eは、本発明の第1の実施の形態による積層型電池の製造方法により作製された積層型電池を示す平面図である。 図9は、図2の第2の変形例を示す斜視図である。 図10は、図5の第3の変形例を示す部分断面図である。 図11は、本発明の第2の実施の形態を説明するための図であって、積層型電池を示す斜視図である。 図12は、図11の積層型電池を示す分解斜視図である。 図13は、図11の電池蓋を示す分解斜視図である。 図14は、図13の電池蓋の第2方向d2で見た部分断面図である。 図15は、本発明の第2の実施の形態による積層型電池の製造方法において、電池缶内に膜電極接合体を封止する工程を説明するための正面断面図である。 図16は、図12の第5の変形例を示す分解斜視図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
(第1の実施の形態)
まずは、本発明の第1の実施の形態による積層型電池について説明する。図1〜図7は、第1の実施の形態による積層型電池を説明するための図である。
図1および図2に示すように、本実施の形態による積層型電池1は、外装体40と、外装体40内に収容された膜電極接合体5と、膜電極接合体5に接続された一対のタブ16,26と、を備えている。外装体40は、その内部に膜電極接合体5を収容している。タブ16,26は、外装体40の内部から外部へと延び出している。電気自動車等の自動車の分野においては、複数の積層型電池1を組み合わせることにより構成されるモジュールが自動車に搭載される。複数の積層型電池1の間の電気的な接続は、タブ16,26を介して実現される。
以下、積層型電池1の各構成要素について説明する。
(外装体)
外装体40は、膜電極接合体5を封止するための包装材である。外装体40は、第1基材41と、第1基材41に対向する第2基材42と、を有している(図6参照)。本実施の形態による第1基材41と第2基材42は、別体として構成されている。第2基材42は、シート状に形成されている。一方、第1基材41は、凸状に形成されている。すなわち、第1基材41は、周辺部43と、周辺部43に対して外側(第2基材42の側とは反対側)に膨出した膨出部44と、を有している。この膨出部44により、第1基材41と第2基材42との間に、封止空間45が画定されている。この封止空間45に、膜電極接合体5が収容されている。このような膨出部44は、例えば、シート状の第1基材41のうち所望の領域を押圧すること(絞り加工)により形成される。この場合、周辺部43と膨出部44は一体的に形成される。なお、第1基材41と第2基材42とは、一体的に形成されていてもよい。
外装体40は、フレキシブル性を有していてもよい。外装体40の第1基材41および第2基材42はそれぞれ、金属層40aと、金属層40aの内側に設けられた樹脂接着層40bと、を有するラミネートフィルムで構成されている。金属層40aは、高ガスバリア性と成形加工性を有することが好ましい。このような金属層40aは、アルミニウム箔やステンレス箔等の金属材料により形成されていてもよい。樹脂接着層40bは、金属層40aの内面に位置し、金属層40aを接合するためのシール層として機能する。樹脂接着層40bは、接着性に加え、絶縁性、耐薬品性、熱可塑性等を有していることが好ましい。このような樹脂接着層40bは、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、低密度ポリプロピレン、アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル等の樹脂材料により形成されていてもよい。
本実施の形態による積層型電池1は、第1基材41と第2基材42との間に膜電極接合体5を配置した後、ラミネート加工される。すなわち、外装体40の周縁部において、第1基材41および第2基材42の各々の内面に形成された樹脂接着層40bがヒートシール(熱溶着)されて、シール部46が形成される。より具体的には、図3に示すように、シール部46は、第1シール部46aと、第2シール部46bと、第3シール部46cと、第4シール部46dと、を有している。第1シール部46aは、後述する第2方向d2において外装体40の一側の縁部(図3における下側)に形成される。第2シール部46bは、後述する第1方向d1において外装体40の一側の縁部(後述する負極タブ26の側、図3における左側)に形成される。第3シール部46cは、第1方向d1において外装体40の他側の縁部(後述する正極タブ16の側、図3における右側)に形成される。第4シール部46dは、第2方向d2において外装体40の他側の縁部(図3における上側)に形成される。このようにして、第1基材41と第2基材42とが接合されて、外装体40の内部を封止した封止空間45に、膜電極接合体5が収容される。
(膜電極接合体)
膜電極接合体5は、積層方向dLに交互に積層された正極板10X(第1電極板)および負極板20Y(第2電極板)を含む複数の電極板10X,20Yを有している。
本実施の形態においては、膜電極接合体5がリチウムイオン二次電池を構成する例について説明する。この例において、第1電極板は正極板10Xを構成し、第2電極板は負極板20Yを構成するものとする。ただし、以下に説明する作用効果の記載からも理解され得るように、第1電極板が負極板20Yを構成し、第2電極板が正極板10Xを構成してもよい。更には、リチウムイオン二次電池に限定されることなく、第1電極板および第2電極板を交互に積層してなる膜電極接合体5に広く適用され得る。
図1〜図7に示すように、膜電極接合体5は、複数の正極板10Xおよび複数の負極板20Yを有している。正極板10Xおよび負極板20Yは、積層方向dLに沿って交互に配列されて積層されている。膜電極接合体5および積層型電池1は、全体的に偏平形状を有し、積層方向dLへの厚さが薄く、積層方向dLに直交する方向d1,d2に広がっている。
図示された非限定的な例において、正極板10Xおよび負極板20Yは、積層方向dLで見たときに、全体的に長方形形状の外輪郭を有している。積層型電池1は、一対のタブ16,26が配列される方向である第1方向d1と、第1方向d1に直交する第2方向d2と、を有している。第1方向d1が、積層型電池1の長手方向(長さ方向)に相当し、第2方向d2が、積層型電池1の短手方向(幅方向)に相当する。積層方向dLは、第1方向d1および第2方向d2の両方に直交している。正極板10Xおよび負極板20Yは、第1方向d1にずらして配置されている。より具体的には、複数の正極板10Xは、第1方向d1における一側(図4における右側)に寄って配置され、複数の負極板20Yは、第1方向d1における他側(図4における左側)に寄って配置されている。正極板10Xおよび負極板20Yは、第1方向d1における中央部(後述する正極有効領域b1および負極有効領域b2)において、積層方向dLに重なり合っている。
正極板10Xは、図示するように、シート状の外形状を有している。正極板10Xは、正極集電体11X(第1電極集電体)と、正極集電体11X上に設けられた正極活物質層12X(第1電極活物質層)と、を有している。正極活物質層12Xは、長方形形状の外輪郭を有している。リチウムイオン二次電池において、正極板10Xは、放電時にリチウムイオンを放出し、充電時にリチウムイオンを吸蔵する。
正極集電体11Xは、互いに反対側に位置する第1面11aおよび第2面11bを主面として有している。正極活物質層12Xは、正極集電体11Xの第1面11aおよび第2面11bの少なくとも一方の面上に形成される。本実施の形態においては、各正極板10Xの正極集電体11Xの両側に、正極活物質層12Xがそれぞれ設けられており、各正極板10Xは、互いに同一に構成され得る。
正極集電体11Xおよび正極活物質層12Xは、積層型電池1(リチウムイオン二次電池)に適用され得る種々の材料を用いて種々の製法により、作製され得る。一例として、正極集電体11Xは、アルミニウム箔によって形成され得る。正極活物質層12Xは、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダーとなる結着剤を含んでいてもよい。正極活物質層12Xは、正極活物質、導電助剤および結着剤を溶媒に分散させてなる正極用スラリーを、正極集電体11Xをなす材料上に塗工して固化させることで、作製され得る。正極活物質として、例えば、一般式LiM(ただし、Mは金属であり、xおよびyは金属Mと酸素Oの組成比である)で表される金属酸リチウム化合物が用いられる。金属酸リチウム化合物の具体例として、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム等が例示され得る。導電助剤としては、黒鉛粉末やアセチレンブラック等が用いられ得る。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン等が用いられ得る。
図4に示すように、正極集電体11Xは、互いに隣接する正極接続領域a1(第1接続領域)および正極有効領域b1(第1有効領域)を有している。正極活物質層12Xは、正極集電体11Xの正極有効領域b1のみに配置されている。正極有効領域b1は、長方形形状の外輪郭を有しており、全体的に正極活物質層12Xが設けられた領域になっている。正極接続領域a1および正極有効領域b1は、正極板10Xの第1方向d1に配列されている。正極接続領域a1は、正極有効領域b1よりも正極板10Xの第1方向d1における外側(図4における右側)に位置している。
複数の正極集電体11Xは、正極接続領域a1において、抵抗溶接や超音波溶接、テープによる貼着、融着等によって接合され、電気的に接続されている。このように、各々の正極集電体11Xの正極接続領域a1によって、正極接続部13(第1接続部)が構成されている。正極接続部13は、第1基材41の側の面である第1面13aと、第2基材42の側の面である第2面13bと、を有している。第1面13aは、複数の正極集電体11Xのうち最も第1基材41の側に配置された正極集電体11Xの正極接続領域a1における第1面11aに相当する。また、第2面13bは、複数の正極集電体11Xのうち最も第2基材42の側に配置された正極集電体11Xの正極接続領域a1における第2面11bに相当する。本実施の形態では、第2面13bに、正極タブ16(第1タブ)が電気的に接続されている。
一方、図4に示すように、正極有効領域b1は、積層方向dLで見たときに、負極板20Yの後述する負極活物質層22Yに対向する領域内に設けられている。このため、正極板10Xの正極有効領域b1の第1方向d1における寸法は、負極板20Yの後述する負極有効領域b2の第1方向d1における寸法よりも小さくなっている。また、正極板10Xの第2方向d2における寸法は、負極板20Yの第2方向d2における寸法よりも小さくなっている。このような正極有効領域b1の配置により、負極活物質層22Yからのリチウムの析出を防止することができる。
次に、負極板20Yについて説明する。負極板20Yも、正極板10Xと同様に、シート状の外形状を有している。負極板20Yは、負極集電体21Y(第2電極集電体)と、負極集電体21Y上に設けられた負極活物質層22Y(第2電極活物質層)と、を有している。負極活物質層22Yは、長方形形状の外輪郭を有している。リチウムイオン二次電池において、負極板20Yは、放電時にリチウムイオンを吸蔵し、充電時にリチウムイオンを放出する。
負極集電体21Yは、互いに反対側に位置する第1面21aおよび第2面21bを主面として有している。負極活物質層22Yは、負極集電体21Yの第1面21aおよび第2面21bの少なくとも一方の面上に形成される。最も第1基材41の側に配置された負極板20Yの負極集電体21Yの第1面21aには、負極活物質層22Yは設けられなくてもよい。また、最も第2基材42の側に配置された負極板20Yの負極集電体21Yの第2面21bには、負極活物質層22Yは設けられていなくてもよい。本実施の形態においては、これらの負極集電体21Yを除き、各負極板20Yの負極集電体21Yの両側に、負極活物質層22Yがそれぞれ設けられており、各負極板20Yは、互いに同一に構成され得る。
負極集電体21Yおよび負極活物質層22Yは、積層型電池1(リチウムイオン二次電池)に適用され得る種々の材料を用いて種々の製法により、作製され得る。一例として、負極集電体21Yは、例えば銅箔によって形成される。負極活物質層22Yは、例えば、炭素材料からなる負極活物質、および、バインダーとして機能する結着剤を含んでいてもよい。負極活物質層22Yは、例えば、炭素粉末や黒鉛粉末等からなる負極活物質とポリフッ化ビニリデンのような結着剤とを溶媒に分散させてなる負極用スラリーを、負極集電体21Yをなす材料上に塗工して固化することで、作製され得る。
図4に示すように、負極集電体21Yは、互いに隣接する負極接続領域a2(第2接続領域)および負極有効領域b2(第2有効領域)を有している。負極活物質層22Yは、負極集電体21Yの負極有効領域b2のみに配置されている。負極有効領域b2は、長方形形状の外輪郭を有しており、全体的に負極活物質層22Yが設けられた領域になっている。負極接続領域a2および負極有効領域b2は、負極板20Yの第1方向d1に配列されている。負極接続領域a2は、負極有効領域b2よりも負極板20Yの第1方向d1における外側(図4における左側)に位置している。
複数の負極集電体21Yは、負極接続領域a2において、抵抗溶接や超音波溶接、テープによる貼着、融着等によって接合され、電気的に接続されている。このように、各々の負極集電体21Yの負極接続領域a2によって、負極接続部23(第2接続部)が構成されている。負極接続部23は、第1基材41の側の面である第1面23aと、第2基材42の側の面である第2面23bと、を有している。第1面23aは、複数の負極集電体21Yのうち最も第1基材41の側に配置された負極集電体21Yの負極接続領域a2における第1面21aに相当する。また、第2面13bは、複数の負極集電体21Yのうち最も第2基材42の側に配置された負極集電体21Yの負極接続領域a2における第2面21bに相当する。本実施の形態では、第2面13bに、負極タブ26(第2タブ)が電気的に接続されている。
一方、図4に示すように、負極有効領域b2は、積層方向dLで見たときに、正極板10Xの正極活物質層12Xに対向する領域を内包するように広がっている。すなわち、負極有効領域b2は、積層方向dLで見たときに、全周に亘って、正極活物質層12Xの外側にはみ出すように広がっている。このため、上述したように、負極板20Yの負極有効領域b2の第1方向d1における寸法は、正極板10Xの正極有効領域b1の第1方向d1における寸法よりも大きくなっている。また、負極板20Yの第2方向d2における寸法は、正極板10Xの第2方向d2における寸法よりも大きくなっている。
図5に示すように、正極板10Xおよび負極板20Yの少なくとも一方が、他方に対向する面に機能層30Aを有していてもよい。機能層30Aは、絶縁性を有し、正極板10Xおよび負極板20Yが短絡することを防止する。図示された例においては、正極板10Xが機能層30Aを有している。機能層30Aは、正極活物質層12Xの負極板20Yの側の面(負極板20Yに対向する面)に設けられている。すなわち、各正極活物質層12Xの対向する負極板20Yの側の面に機能層30Aが設けられている。各正極活物質層12Xの当該面は、機能層30Aにより覆われている。そして、正極板10Xのうち負極板20Yの負極活物質層22Yと積層方向dLに対向する面が、機能層30Aによって形成されている。ただし、図4に示す機能層30Aの代わりに、あるいは加えて、負極板20Yが、各負極活物質層22Yを覆う機能層30Aを有することも可能である。
機能層30Aは、正極活物質層12Xよりも高い空孔率を有していてもよい。また、機能層30Aは、優れた耐熱性を有していてもよい。このような機能層30Aの材料には、例えば、無機材料を用いてもよい。無機材料は、高い空孔率とともに優れた耐熱性、例えば150℃以上の耐熱性を機能層30Aに付与することができる。無機材料としては、アルミナ、セルロースおよびその変成体、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、アラミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等の繊維状物や粒子状物が挙げられる。機能層30Aは、アルミナで形成する場合には、正極活物質層12X上に塗工して固化させることで、作製され得る。
膜電極接合体5は、第2方向d2において一側(図4における下側)に設けられた一側端部5c(第1端部)と、他側(図4における上側)に設けられた他側端部5d(第2端部)と、を有している。一側端部5cは、積層方向dLで見たときの、正極有効領域b1(正極活物質層12X)および負極有効領域b2(負極活物質層22Y)の第2方向d2における一側の端部に相当する。同様に、他側端部5dは、積層方向dLで見たときの、正極有効領域b1(正極活物質層12X)および負極有効領域b2(負極活物質層22Y)の第2方向d2における他側に設けられた端部に相当する。本実施の形態では、膜電極接合体5の一側端部5cに、押圧テープ50が取り付けられている。詳細は後述する。
(タブ)
図1〜図4に示すように、膜電極接合体5の正極接続部13に正極タブ16が電気的に接続され、膜電極接合体5の負極接続部23に負極タブ26が電気的に接続されている。図示された例においては、正極タブ16は、膜電極接合体5の正極接続部13の第2面13bに取り付けられており、負極タブ26は、膜電極接合体5の負極接続部23の第2面23bに取り付けられている。タブ16,26はそれぞれ、融着等によって取り付けられている。これにより、正極タブ16は正極集電体11Xと電気的に接続され、負極タブ26は負極集電体21Yと電気的に接続される。
図3に示すように、タブ16,26はそれぞれ、第1方向d1において外装体40の内部からシール部46を通って外装体40の外部に延び出ている。より具体的には、正極タブ16は、第1方向d1における一側に形成された第2シール部46bを通って外装体40の外部へ第1方向d1に延び出ており、負極タブ26は、第1方向d1における他側に形成された第3シール部46cを通って外装体40の外部へ第1方向d1に延び出ている。タブ16,26はそれぞれ、積層型電池1における端子として機能する。外装体40の第1基材41と各タブ16,26とは、シーラント部18,28を介してヒートシールされる。同様に、外装体40の第2基材42と各タブ16,26とは、シーラント部18,28を介してヒートシールされる。このようにして、封止空間45と外装体40の外部とを連通するような隙間が各タブ16,26の周囲に形成されることを防止している。
正極タブ16は、アルミニウム等を用いて形成され得る。負極タブ26は、ニッケル、ニッケルメッキ銅等を用いて形成され得る。シーラント部18,28は、外装体40の樹脂接着層40bとタブ16,26とに溶着可能な材料から構成される。シーラント部18,28の材料としては、外装体40の樹脂接着層40bと同様に、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、低密度ポリプロピレン、アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル等を挙げることができる。
(押圧テープ)
図2〜図4に示すように、膜電極接合体5には、膜電極接合体5を押圧する押圧テープ50が取り付けられている。図示された例においては、押圧テープ50は、膜電極接合体5の一側端部5cおよび他側端部5dのうち一側端部5cにのみ取り付けられている。すなわち、本実施の形態では、押圧テープ50は、膜電極接合体5の一側端部5cに取り付けられており、他側端部5dには取り付けられていない。図示された例においては、押圧テープ50は一側端部5cに2つ取り付けられているが、一側端部5cに3つ以上取り付けられていてもよい。
図7に示すように、押圧テープ50は、膜電極接合体5の一側端部5cのうちの一部に取り付けられており、一側端部5cの一部が押圧テープで覆われている。押圧テープ50は、膜電極接合体5の一側端部5cにおいて、膜電極接合体5を積層方向dLに跨ぐように配置されており、膜電極接合体5の積層方向dLにおける両側に設けられた一対の最外面5a,5bに接合されている。すなわち、押圧テープ50は、一方の最外面5aから膜電極接合体5の一側端部5cを積層方向dLに跨いで、他方の最外面5bまで延びている。膜電極接合体5の最外面5a、5bが、負極板20Yで構成されている場合には、押圧テープ50は、最も第1基材41の側(図7における上側)に配置された負極板20Yの第1面21aに接合されているとともに、最も第2基材42の側(図7における下側)に配置された負極板20Yの第2面21bに接合されている。なお、膜電極接合体5の最外面5a、5bが、絶縁シートで構成されている場合には、押圧テープ50は、最も第1基材41の側に配置された絶縁シートに接合されるとともに、最も第2基材42の側に配置された絶縁シートに接合されていてもよい。
押圧テープ50は、膜電極接合体5を積層方向dLに押圧するように貼り付けられている。このため、押圧テープ50は、正極板10Xおよび負極板20Yの位置ずれを防止することができる。また、膜電極接合体5に押圧テープ50が貼り付けられてから、積層型電池1として出荷され使用されるまでの間に、膜電極接合体5が膨潤して厚みが増大する場合がある。この膜電極接合体5の厚みの増大により押圧テープ50が剥がれることを抑制するために、押圧テープ50は、伸縮性を有していてもよい。より具体的には、押圧テープ50は、2%以上15%以下の伸び率を有していてもよい。
図7に示すように、押圧テープ50は、テープ基材層51と、テープ基材層51に積層され、膜電極接合体5の一対の最外面5a,5bに粘着した粘着層52と、を含んでいる。テープ基材層51は、絶縁性、耐薬品性、耐熱性等を有していることが好ましい。テープ基材層51を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンなどを用いることができる。粘着層52は、粘着性に加え、絶縁性、耐薬品性、耐熱性等を有していることが好ましい。粘着層52を構成する材料としては、例えば、アクリル樹脂を用いることができる。
押圧テープ50の厚さは、40μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは9μm以下である。このことにより、積層型電池1の厚さの増大を抑制することができ、エネルギー密度の低下を抑制することができる。また、押圧テープ50の厚さは、絶縁性を確保するとともに取り付け作業時に破断することを防止可能な強度を持たせるために、5μm以上であってもよい。このような厚さの押圧テープ50を構成するために、テープ基材層51の厚さは、例えば2μm〜14μmである。粘着層52の厚さは、例えば3μm〜20μmである。
(積層型電池の製造方法)
次に、図8A〜図8Eを用いて、リチウムイオン二次電池として構成された本実施の形態に係る積層型電池1の製造方法について説明する。以下に説明する積層型電池の製造方法は、膜電極接合体5を準備する膜電極接合体準備工程と、膜電極接合体5に押圧テープ50を取り付ける押圧テープ取付工程と、膜電極接合体5にタブ16,26を取り付けるタブ取付工程と、外装体40内に膜電極接合体5を封止する封止工程と、を備える。以下、各工程について説明する。
(膜電極接合体準備工程)
膜電極接合体準備工程は、正極板10Xおよび負極板20Yをそれぞれ作製する工程と、正極板10Xおよび負極板20Yを交互に積層する工程と、正極集電体11Xおよび負極集電体21Yをそれぞれ接合する工程と、を含んでいる。
まず、正極板10Xおよび負極板20Yをそれぞれ作製する工程について説明する。まず、正極集電体11Xを構成するようになる長尺のアルミニウム箔上に、正極活物質層12Xを構成するようになる組成物(スラリー)を塗工して固化する。次に、所望の大きさに断裁し、枚葉状の正極板10Xが作製され得る。同様に、負極集電体21Yを構成するようになる長尺の銅箔上に、負極活物質層22Yを構成するようになる組成物(スラリー)を塗工して固化する。次に、所望の大きさに断裁し、枚葉状の負極板20Yが作製され得る。なお、正極板10Xおよび負極板20Yの少なくとも一方に機能層30Aをアルミナで形成して付与する場合には、例えば、電極板10X,20Yをなすようになる断裁前の長尺材上または断裁後の枚葉材上に、アルミナを含む材料を塗布して固化させることで機能層30Aを作製することができる。
次に、正極板10Xおよび負極板20Yを交互に積層する工程を実施する。この工程では、正極板10Xの正極活物質層12Xと負極板20Yの負極活物質層22Yとが正対するようにして、正極板10Xおよび負極板20Yを積層していく。
続いて、正極集電体11Xおよび負極集電体21Yをそれぞれ接合する工程を実施する。この工程では、積層された正極板10Xの正極集電体11Xを、正極接続領域a1において束ねて、超音波溶接等によって接合する。これにより、複数の正極接続領域a1が、積層方向dLに積層されて互いに電気的に接続された正極接続部13が形成される。同様に、積層された負極板20Yの負極集電体21Yを、負極接続領域a2において束ねて、超音波溶接等によって接合する。これにより、複数の負極接続領域a2が、積層方向dLに積層されて互いに電気的に接続された負極接続部23が形成される。なお、この正極集電体11Xおよび負極集電体21Yをそれぞれ接合する工程は、後述する押圧テープ取付工程の後に実施されてもよい。
このようにして、図8Aに示すような膜電極接合体5を得ることができる。
(押圧テープ取付工程)
押圧テープ取付工程は、押圧テープ50を準備する工程と、膜電極接合体5に押圧テープ50を取り付ける工程と、を含んでいる。
押圧テープ50を準備する工程においては、テープ基材層51に粘着層52が積層されて形成された押圧テープ50を準備する。
次に、膜電極接合体5に押圧テープ50を取り付ける工程を実施する。この工程においては、準備した押圧テープ50を、膜電極接合体5に取り付ける。本実施の形態においては、膜電極接合体5の第2方向d2において一側に設けられた一側端部5cおよび他側に設けられた他側端部5dのうち一側端部5cにのみ押圧テープ50を取り付ける。すなわち、押圧テープ50は、膜電極接合体5の一側端部5cに取り付けられ、他側端部5dには取り付けられない。本実施の形態においては、押圧テープ50は、一側端部5cに2つ取り付けられる。
押圧テープ50は、膜電極接合体5の一側端部5cにおいて、膜電極接合体5を積層方向dLに跨ぐように配置され、膜電極接合体5の積層方向dLにおける両側に設けられた一対の最外面5a,5bに接合される。すなわち、押圧テープ50は、膜電極接合体5の最も上側に配置された負極板20Yの第1面21aに接合されるとともに、膜電極接合体5の最も下側に配置された負極板20Yの第2面21bに接合される。
押圧テープ50は、張力が付与された状態で、膜電極接合体5に貼り付けられる。このことにより、押圧テープ50が、膜電極接合体5を締め付けて積層方向dLに押圧される。
このようにして、図8Bに示すような押圧テープ50が取り付けられた膜電極接合体5を得ることができる。
(タブ取付工程)
タブ取付工程は、タブ16,26を準備する工程と、膜電極接合体5にタブ16,26を取り付ける工程と、を含んでいる。
タブ16,26を準備する工程を実施する。この工程においては、アルミニウム金属で形成された正極タブ16であって、正極シーラント部18が取り付けられた正極タブ16を準備する。正極シーラント部18は、第1方向d1において正極タブ16の一部を覆うように取り付けられ、第2方向d2において正極タブ16の両側に延び出るように取り付けられる。また、銅金属で形成された負極タブ26であって、負極シーラント部28が取り付けられた負極タブ26を準備する。負極シーラント部28は、第1方向d1において負極タブ26の一部を覆うように取り付けられ、第2方向d2において負極タブ26の両側に延び出るように取り付けられる。
次に、膜電極接合体5にタブ16,26を取り付ける工程を実施する。この工程では、準備したタブ16,26を、膜電極接合体5の接続部13,23にを取り付ける。まず、正極タブ16をステージ上に載置する。次に、正極タブ16の上面と膜電極接合体5の正極接続部13の第2面13bとが部分的に重なるように、膜電極接合体5を載置する。この際、第2方向d2における正極接続領域a1の中心位置と正極タブ16の中心位置とが一致するように、正極タブ16に対する膜電極接合体5の位置合わせを行う。その後、抵抗溶接や超音波溶接等によって正極タブ16を膜電極接合体5の正極接続部13に融着させる。これにより、正極タブ16を膜電極接合体5の正極接続部13に電気的に接続させることができる。同様にして、負極タブ26を膜電極接合体5の負極接続部23に電気的に接続させることができる。
ここで、膜電極接合体5にタブ16,26を取り付ける工程において、上述したように、タブ16,26を取り付けるために、膜電極接合体5を移動させている。膜電極接合体5は正極板10Xおよび負極板20Yが交互に積層して構成されているため、移動時に正極板10Xおよび負極板20Yが互いに位置ずれを起こすことが考えられる。しかしながら、本実施の形態においては、膜電極接合体5には、上述した押圧テープ取付工程において、一側端部5cに押圧テープ50が取り付けられている。このため、膜電極接合体5の移動時に、正極板10Xおよび負極板20Yが位置ずれを起こすことを防止することができる。
このようにして、図8Cに示すようなタブ16,26が取り付けられた膜電極接合体5を得ることができる。
(封止工程)
封止工程では、外装体40内に膜電極接合体5を封止する。封止工程は、膜電極接合体5の周囲に第1シール部46a、第2シール部46bおよび第3シール部46cを形成する第1シール工程と、封止空間45内に電解液を注入する注入工程と、第4シール部46dを形成する第2シール工程と、を含んでいる。
まず、第1シール工程について説明する。この第1シール工程においては、まず、ステージ上に第2基材42を載置する。次に、第2基材42上にタブ16,26が取り付けられた膜電極接合体5を載せる。続いて、その上から第1基材41を被せて、タブ16,26が外部に延び出た状態で、膜電極接合体5を第1基材41と第2基材42との間に配置する。その後、外装体40の周縁部に沿って、第1基材41と第2基材42とがそれぞれ、例えば100℃〜200℃の温度を有する金属製のヒートバーにより押圧される。より具体的には、外装体40の第2方向d2における一側の縁部(図8Dにおける下側)、第1方向d1における一側の縁部(図8Dにおける左側)および第1方向d1における他側の縁部が、ヒートバーにより押圧される。これにより、ヒートバーにより押圧された領域の近傍において、第1基材41と第2基材42の各々の内面に形成された樹脂接着層40bが溶解し、それらが互いにヒートシール(熱溶着)して、第1シール部46a、第2シール部46bおよび第3シール部46cが形成される。なお、第1基材41と第2基材42とは、一体的に連続状に形成されていてもよい。この場合、第1基材41と第2基材42との間の部分で折り曲げることにより、第2基材42に載せた電極体5に第1基材41を被せることができる。この折り曲げた部分にはシール部46が形成されていなくてもよく、当該部分は、第2方向d2における一側に配置されてもよい。すなわち、この場合、第1シール部46aが形成されず、第2シール部46bおよび第3シール部46cのみが形成されてもよい。
第2シール部46bおよび第3シール部46cにおいて、外装体40とタブ16,26との間に、シーラント部18,28が介在されていてもよい。ヒートシールの際、第1基材41の樹脂接着層40b、第2基材42の樹脂接着層40bおよびシーラント部18,28がそれぞれ溶解する。このため、第1基材41とタブ16,26とがヒートシールされるとともに、第2基材42とタブ16,26とがヒートシールされる。これにより、タブ16,26の周囲に、封止空間45と外装体40の外部とを連通するような隙間が形成されることが防止される。シーラント部18,28の一部は、外装体40の外部に露出していてもよい。
このような第1シール部46a、第2シール部46bおよび第3シール部46cが形成されることにより、図8Dに示すように、外装体40の第2方向d2における他側の縁部(図8Dにおける上側)に、開口部47が形成される。なお、第1シール工程において、外装体40の第2方向d2における他側の縁部もヒートシールされ、その際、その縁部全体がヒートシールされるのではなく、一部がヒートシールされないようにすることで、外装体40の第2方向d2における他側の縁部の一部に開口部47が形成されるようにしてもよい。
次に、注入工程では、開口部47から電解液が注入される。これにより、外装体40内が電解液で充填される。
続いて、第2シール工程について説明する。この第2シール工程においては、外装体40の第2方向d2における他側の縁部(図8Eにおける上側)が、ヒートバーにより押圧される。これにより、外装体40の第2方向d2における他側の縁部がヒートシールされ(最後のヒートシール)、第4シール部46dが形成される。このため、図8Eに示すように、膜電極接合体5の周囲で全周にわたってシール部46が連続状に形成される。これにより、枠状のシール部46によって封止空間45内の膜電極接合体5が電解液とともに外装体40内に封止される。第2シール工程は、図示しない減圧チャンバ内で行われ、封止空間45が減圧されながら開口部47が封止される。
注入工程において、外装体内50に電解液を注入したとき、押圧テープ50が電解液に浸されることにより押圧テープ50の粘着力が低下して、膜電極接合体5に取り付けられていた押圧テープ50が剥がれてしまうことが考えられる。更に、第2シール工程において、封止空間45が減圧されるため、封止空間45内のガスが開口部47から排出される。そのガスの流れにより、剥がれた押圧テープ50の一部が開口部47に引き寄せられることが考えられる。この場合、第4シール部46dを形成する際、押圧テープ50の一部が第4シール部46dに噛み込むおそれがある。しかしながら、本実施の形態では、膜電極接合体5の第2方向d2における他側に設けられた他側端部5dには、押圧テープ50が取り付けられていない。すなわち、外装体40内を封止するために最後のヒートシールをする側(図8Eにおける上側)の端部に押圧テープ50が取り付けられることが回避されている。このため、最後のヒートシールをして第4シール部46dを形成する際、剥がれた押圧テープ50が第4シール部46dに噛み込むことを防止することができる。
以上のようにして、図8Eに示すような外装体40内に膜電極接合体5が電解液とともに封止された積層型電池1を得ることができる。
このように本実施の形態によれば、押圧テープ50は、膜電極接合体5の第2方向d2において一側に設けられた一側端部5cおよび他側に設けられた他側端部5dのうち一側端部5cにのみ取り付けられている。このことにより、第1シール工程において押圧テープ50とは反対側の縁部に開口部47を形成することで、膜電極接合体5の最後のヒートシールを行う側の端部に押圧テープ50が取り付けられることを回避することができる。このため、剥がれた押圧テープ50がシール部46に噛み込むことを防止することができる。この結果、正極板10Xおよび負極板20Yの位置ずれを防止しつつ、外装体40の封止性能の低下を抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、外装体40は、金属層40aと金属層の内面に設けられた樹脂接着層40bとを含む第1基材41と、第1基材41に対向する第2基材42と、を有し、第1基材41と第2基材42とをヒートシールして膜電極接合体5を封止している。このような所謂ラミネートフィルム型の外装体40内に膜電極接合体5を封止する場合、通常、上述したように、第1シール工程において、外装体40の周縁部における3辺がヒートシールされ、注入工程において、まだヒートシールされていない縁部の側から電解液が注入され、第2シール工程において、当該側に最後のヒートシールが行われる。本実施の形態によれば、このような場合、第1シール工程において押圧テープ50とは反対側の縁部に開口部47を形成することで、膜電極接合体5の最後のヒートシールを行う側の端部に押圧テープ50が取り付けられることを回避することができる。このため、剥がれた押圧テープ50がシール部46に噛み込むことを防止することができる。この結果、正極板10Xおよび負極板20Yの位置ずれを防止しつつ、外装体40の封止性能の低下を抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、押圧テープ50は、膜電極接合体5の一側端部5cに2つ取り付けられている。押圧テープ50の個数を2つとすることにより、膜電極接合体5の正極板10Xおよび負極板20Yの平面内における相対移動を抑制し、正極板10Xおよび負極板20Yの平面内の位置ずれを効果的に防止することができる。また、押圧テープ50の個数をより少ない2つとすることにより、積層型電池1の製造時の作業工数を低減することができ、製造コストの増大を抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、押圧テープ50は、膜電極接合体5の一対の最外面5a,5bに接合されている。このことにより、押圧テープ50が膜電極接合体5から剥がれることを抑制することができ、膜電極接合体5の正極板10Xおよび負極板20Yをしっかりと保持することができる。
また、本実施の形態によれば、押圧テープ50は、2%以上15%以下の伸び率を有する。このことにより、膜電極接合体5が、押圧テープ50が貼り付けられた後に、膨潤して厚みが増大した場合であっても、押圧テープ50を追従させることができ、押圧テープ50が剥がれることを抑制することができる。
以上において、具体例を参照しながら一実施の形態を説明してきたが、上述した具体例が一実施の形態を限定することを意図していない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
(第1の変形例)
上述した第1の実施の形態において、押圧テープ50が、膜電極接合体5の一側端部5cおよび他側端部5dのうち一側端部5cにのみ取り付けられている例を示した。しかしながら、押圧テープ50が、膜電極接合体5の一側端部5cおよび他側端部5dのうち他側端部5dにのみ取り付けられるようにしてもよい。すなわち、他側端部5dが第1端部を構成し、一側端部5cが第2端部を構成するようにしてもよい。この場合、第1シール工程において、開口部47は、外装体40の第2方向d2における一側(図4における下側)の縁部に形成される。このため、外装体40内を封止するための最後のヒートシールは、外装体40の第2方向d2における一側の縁部で行われる。
本変形例においても、第1シール工程において押圧テープ50とは反対側の縁部に開口部47を形成することで、膜電極接合体5の最後のヒートシールを行う側の端部に押圧テープ50が取り付けられることを回避することができる。このため、剥がれた押圧テープ50がシール部46に噛み込むことを防止することができる。この結果、正極板10Xおよび負極板20Yの位置ずれを防止しつつ、外装体40の封止性能の低下を抑制することができる。
(第2の変形例)
上述した第1の実施の形態において、押圧テープ50が、膜電極接合体5の一側端部5cおよび他側端部5dのうち一側端部5cにのみ取り付けられている例を示した。しかしながら、図9に示すように、押圧テープ50が、一側端部5cに少なくとも2つ以上取り付けられ、かつ、一側端部5cに取り付けられた押圧テープ50の個数よりも少ない個数で他側端部5dに取り付けられるようにしてもよい。図9に示す例においては、一側端部5cに2つの押圧テープ50が取り付けられ、他側端部5dに1つの押圧テープ50が取り付けられている。
本変形例によれば、外装体40内を封止するために最後のヒートシールを行う側の端部に取り付けられた押圧テープ50の個数を少なくすることができる。このことにより、最後のヒートシールを行う側において、押圧テープ50の個数を減らすことができる。このため、最後のヒートシールを行う側において押圧テープ50が剥がれてシール部46に噛み込むことを抑制することができる。この結果、正極板10Xおよび負極板20Yの位置ずれを防止しつつ、外装体40の封止性能の低下を抑制することができる。
(第3の変形例)
上述した第1の実施の形態において、正極板10X及び負極板20Yの少なくとも一方が、機能層30Aを有する例を示した。しかしながら、図10に示すように、正極板10X及び負極板20Yの少なくとも一方が機能層30Aを含むことに加えて、若しくは代えて、正極板10X及び負極板20Yの間に、正極板10X及び負極板20Yとは別部材として構成された絶縁シート60が配置されるようにしてもよい。この場合、絶縁シート60は、正極板10Xと負極板20Yとの間に介在されて、セパレータとして機能する。図10に示す例では、絶縁シート60は、正極板10Xの機能層30Aと負極板20Yの負極活物質層22Yとの間に配置されている。このような絶縁シート60は、例えば、不織布や多孔質材から形成され得る。この例において、外装体40内に収容された電解液又はゲル状電解液が、絶縁シート60に含浸して保持される。この例に用いられる絶縁シート60は、特に限定されることなく、積層型電池1、とりわけリチウムイオン二次電池に適用され得る種々の絶縁体を用いることができる。
本変形例によれば、正極板10Xと負極板20Yとの間に絶縁シート60を介在させることにより、正極板10Xと負極板20Yとが短絡することをより一層防止することができる。
(第2の実施の形態)
次に、図11〜図16を用いて、本発明の第2の実施の形態による積層型電池について説明する。
図11〜図16に示す第2の実施の形態においては、外装体が電池缶と電池蓋とを有している点が主に異なり、他の構成は、図1〜図10に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図11〜図15において、図1〜図10に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図11および図12に示すように、本実施の形態による積層型電池100は、外装体40と、外装体40内に封止された膜電極接合体5と、を備えている。このうち外装体40は、開口部102を有する電池缶101と、電池缶101の開口部102を封止する電池蓋110と、を有している。電池缶101は、膜電極接合体5を収容するように構成されている。本実施の形態においては、電池缶101は直方体形状で形成されており、積層方向dL(主方向)において互いに反対側に位置する第1主面部101aおよび第2主面部101bを有している。電池缶101は、積層方向dLで見たときに互いに直交する第1方向d1および第2方向d2を有している。電池缶101は、第2方向d2において互いに反対側に位置する第1側面部101cおよび第2側面部101dと、第1方向d1において電池蓋110の反対側に位置する底部101eと、を有している。
電池蓋110は、電池缶101の開口部102を封止する蓋板111と、蓋板111に設けられた正極端子112Xおよび負極端子112Yと、を有している。このうち蓋板111は、第2方向d2に沿う長手方向を有しており、正極端子112Xおよび負極端子112Yは、蓋板111の長手方向(第2方向d2)において両側に離間して配置されている。正極端子112Xおよび負極端子112Yは、第1方向d1において外装体40の内部から外部に延び出ている。電気自動車などの自動車の分野においては、複数の積層型電池100を組み合わせることにより構成されるモジュールが自動車に搭載される。複数の積層型電池100の間の電気的な接続は、正極端子112Xおよび負極端子112Yを介して実現される。
図13および図14に示すように、正極端子112Xおよび負極端子112Yは、蓋板111の上側に設けられた端子平板部113aと、端子平板部113aから電池缶101の側(図13および図14における下方)に延び、蓋板111を貫通する軸部113bと、をそれぞれ含んでいる。蓋板111には、軸部113bが貫通する貫通孔111aが設けられている。各端子112X、112Yの軸部113bの下端部は、後述する下部パッキン116および集電板117X、117Yを組み立てた後に、かしめられて、かしめ部114が形成される。かしめ部114が形成されることにより、各端子112X、112Yおよび後述する集電板117X、117Yが蓋板111に固定される。
蓋板111と各端子112X、112Yの端子平板部113aとの間には、電池缶101内の電解液の漏洩を防止する上部パッキン115が介在されている。上部パッキン115は絶縁性の材料によって形成されており、図14に示すように、上部パッキン115の一部は貫通孔111a内に延びることで、蓋板111と端子112X、112Yとを電気的に絶縁している。同様にして、蓋板111と各端子112X、112Yのかしめ部114との間には、電池缶101内の電解液の漏洩を防止する下部パッキン116が介在されている。下部パッキン116は、上部パッキン115と同様に絶縁性の材料によって形成されている。かしめ部114と下部パッキン116との間には、集電板117X、117Yが介在されている。集電板117X、117Yと対応する端子112X、112Yは、電気的に接続されている。
集電板117X、117Yは、電池缶101の内部に向かって(図13および図14における下方)に延びている。正極集電板117Xは、膜電極接合体5の正極接続部13に電気的に接続されている。負極集電板117Yは、膜電極接合体5の負極接続部23に電気的に接続されている。
図12および図13に示すように、蓋板111には、電池缶101内に電解液を注入するための注液孔118が設けられている。電解液の注入後には、注液孔118は注液栓119により封止される。なお、図示しないが、蓋板111には、ガス排出弁が設けられていてもよい。ガス排出弁は、電池缶101内の圧力が所定値よりも大きくなった場合に開放して電池缶101内のガスを放出するように構成されてもよい。
電池缶101、蓋板111、正極端子112Xおよび正極集電板117Xは、例えば、アルミニウム合金によって形成され得る。負極端子112Yおよび負極集電板117Yは、例えば、銅合金によって形成され得る。
図12に示すように、本実施の形態による膜電極接合体5は、第1の実施の形態と同様に、複数の正極板10X(第1電極板)および複数の負極板20Y(第2電極板)を有している。正極板10Xおよび負極板20Yは、枚葉状にそれぞれ形成されて、積層方向dL(主方向)に沿って交互に配列されて積層されている。本実施の形態における積層方向dLは、上述した電池缶101の第1主面部101aおよび第2主面部101bの法線方向に相当する。積層型電池100および膜電極接合体5は、図11および図12に示すように、全体的に偏平形状を有し、積層方向dLへの厚さが薄く、積層方向dLに直交する方向d1,d2に広がっている。
図12に示された非限定的な例において、正極板10Xおよび負極板20Yは、積層方向dLで見たときに、略長方形形状の外輪郭を有している。正極板10Xおよび負極板20Yは、第1方向d1における中央部(正極有効領域b1および負極有効領域b2)において、積層方向dLに重なり合っている。
正極板10Xは、図示するように、シート状の外形状を有している。正極板10Xは、正極集電体11X(第1電極集電体)と、正極集電体11X上に設けられた正極活物質層12X(第1電極活物質層)と、を有している。正極活物質層12Xは、長方形形状の外輪郭を有している。
正極集電体11Xは、互いに隣接する正極接続領域a1(第1接続領域)および正極有効領域b1(第1有効領域)を有している。正極活物質層12Xは、正極集電体11Xの正極有効領域b1のみに配置されている。正極有効領域b1は、長方形形状の外輪郭を有しており、全体的に正極活物質層12Xが設けられた領域になっている。本実施の形態では、正極接続領域a1および正極有効領域b1は、第1方向d1において互いに隣接して配列されている。正極接続領域a1は、正極有効領域b1よりも正極板10Xの第1方向d1における外側(蓋板111の側、図12における上側)に位置している。また、第1接続領域a1は、正極板10Xの第2方向d2における一側(図12における右側)に位置している。
複数の正極集電体11Xは、正極接続領域a1において、抵抗溶接や超音波溶接、テープによる貼着、融着等によって接合され、電気的に接続されている。このように、各々の正極集電体11Xの正極接続領域a1によって、正極接続部13(第1接続部)が構成されている。この正極接続部13に、上述した正極集電板117Xが電気的に接続されている。
次に、負極板20Y(第2電極板)について説明する。負極板20Yも、正極板10Xと同様に、シート状の外形状を有している。負極板20Yは、負極集電体21Y(第2電極集電体)と、負極集電体21Y上に設けられた負極活物質層22Y(第2電極活物質層22)と、を有している。負極活物質層22Yは、長方形形状の外輪郭を有している。
負極集電体21Yは、互いに隣接する負極接続領域a2(第2接続領域)および負極有効領域b2(第2有効領域)を有している。負極活物質層22Yは、負極集電体21Yの負極有効領域b2のみに配置されている。負極有効領域b2は、長方形形状の外輪郭を有しており、全体的に負極活物質層22Yが設けられた領域になっている。本実施の形態では、負極接続領域a2および負極有効領域b2は、第1方向d1において互いに隣接して配列されている。負極接続領域a2は、負極有効領域b2よりも負極板20Yの第1方向d1における外側(蓋板111の側、図12における上側)に位置している。また、負極接続領域a2は、負極板20Yの第2方向d2における他側(図12における左側)に位置している。このように、負極集電体21Yの負極接続領域a2は、第2方向d2において、正極集電体11Xの正極接続領域a1と離間している。
複数の負極集電体21Yは、負極接続領域a2において、抵抗溶接や超音波溶接、テープによる貼着、融着等によって接合され、電気的に接続されている。このように、各々の負極集電体21Yの負極接続領域a2によって、負極接続部23(第2接続部)が構成されている。この負極接続部23に、上述した負極集電板117Yが電気的に接続されている。
膜電極接合体5は、第2方向d2において一側(図12における右側)に設けられた一側端部5c(第1端部)と、他側(図12における左側)に設けられた他側端部5d(第2端部)と、を有している。一側端部5cは、積層方向dLで見たときの、正極有効領域b1(正極活物質層12X)および負極有効領域b2(負極活物質層22Y)の第2方向d2における一側の端部に相当する。同様に、他側端部5dは、積層方向dLで見たときの、正極有効領域b1(正極活物質層12X)および負極有効領域b2(負極活物質層22Y)の第2方向d2における他側に設けられた端部に相当する。
本実施の形態では、図12に示すように、膜電極接合体5には、膜電極接合体5を押圧する押圧テープ50が取り付けられている。図示された例においては、押圧テープ50は、膜電極接合体5の一側端部5cおよび他側端部5dのうち一側端部5cにのみ取り付けられている。すなわち、本実施の形態では、押圧テープ50は、膜電極接合体5の一側端部5cに取り付けられており、他側端部5dには取り付けられていない。図示された例においては、押圧テープ50は一側端部5cに2つ取り付けられているが、一側端部5cに3つ以上取り付けられていてもよい。
第1の実施の形態と同様に、押圧テープ50は、膜電極接合体5の一側端部5cのうちの一部に取り付けられており、一側端部5cの一部が押圧テープで覆われている。押圧テープ50は、膜電極接合体5の一側端部5cにおいて、膜電極接合体5を積層方向dLに跨ぐように配置されており、膜電極接合体5の積層方向dLにおける両側に設けられた一対の最外面5a,5bに接合されている。すなわち、押圧テープ50は、一方の最外面5aから膜電極接合体5の一側端部5cを積層方向dLに跨いで、他方の最外面5bまで延びている。膜電極接合体5の最外面5a、5bが、負極板20Yで構成されている場合には、押圧テープ50は、最も第1主面部101aの側に配置された負極板20Yの第1面21aに接合されているとともに、最も第2主面部101bの側に配置された負極板20Yの第2面21bに接合されている。なお、膜電極接合体5の最外面5a、5bが、絶縁シートで構成されている場合には、押圧テープ50は、最も第1基材41の側に配置された絶縁シートに接合されるとともに、最も第2基材42の側に配置された絶縁シートに接合されていてもよい。
押圧テープ50は、膜電極接合体5を積層方向dLに押圧するように貼り付けられている。このため、押圧テープ50は、正極板10Xおよび負極板20Yの位置ずれを防止することができる。本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の種類の押圧テープ50を用いることができる。
次に、リチウムイオン二次電池として構成された本実施の形態に係る積層型電池100の製造方法について説明する。以下に説明する積層型電池の製造方法は、膜電極接合体5を準備する膜電極接合体準備工程と、膜電極接合体5に押圧テープ50を取り付ける押圧テープ取付工程と、電池缶101内に膜電極接合体5を封止する封止工程と、を備える。以下、各工程について説明する。
膜電極接合体準備工程では、第1の実施の形態と同様にして、膜電極接合体5を準備することができる。また、膜電極接合体準備工程とは別に、電池蓋110を準備する。その後、膜電極接合体5の正極接続部13に、電池蓋110の正極集電板117Xが電気的に接続される。また、膜電極接合体5の負極接続部23に、電池蓋110の負極集電板117Yが電気的に接続される。
押圧テープ取付工程では、第1の実施の形態と同様に、押圧テープ50を、膜電極接合体5の第2方向d2における端部に取り付ける。本実施の形態においては、膜電極接合体5の第2方向d2において一側に設けられた一側端部5cおよび他側に設けられた他側端部5dのうち一側端部5cにのみ押圧テープ50を取り付ける。すなわち、押圧テープ50は、膜電極接合体5の一側端部5cに取り付けられ、他側端部5dには取り付けられない。本実施の形態においては、押圧テープ50は、一側端部5cに2つ取り付けられる。
押圧テープ50は、膜電極接合体5の一側端部5cにおいて、膜電極接合体5を積層方向dLに跨ぐように配置され、膜電極接合体5の積層方向dLにおける両側に設けられた一対の最外面5a,5bに接合される。
押圧テープ50は、張力が付与された状態で、膜電極接合体5に貼り付けられる。このことにより、押圧テープ50が、膜電極接合体5を締め付けて積層方向dLに押圧される。
封止工程では、まず、図15に示すように、膜電極接合体5を電池缶101の開口部102から挿入する。膜電極接合体5は、第1方向d1における接続部13,23(電池蓋110)の反対側が電池缶101の底部101e(図15における下方)を向くように挿入される。ここで、図15に示すように、膜電極接合体5は、第2方向d2において電池缶101の第2側面部101dの側(図15における左側)に寄せて挿入される。すなわち、膜電極接合体5の他側端部5dと電池缶101の第2側面部101dの内壁面との間の間隙Δyよりも、膜電極接合体5の一側端部5cと電池缶101の第1側面部101cの内壁面との間の間隙Δxが大きくなるように、膜電極接合体5が電池缶101内に挿入される。そして、電池缶101の開口部102が、電池蓋110の蓋板111で覆われる。なお、膜電極接合体5が電池缶101内に配置された後、膜電極接合体5は、第2方向d2における任意の位置に移動されてもよい。
次に、蓋板111の周縁が、例えばレーザ溶接により電池缶101の開口端部(図12および図14における上端部)に接合される。このようにして、電池缶101の開口部102が蓋板111によって封止される。続いて、蓋板111に設けられた注液孔118から、電池缶101内に電解液が注入される。その後、積層型電池100が減圧チャンバに収容され、電池缶101の内部が減圧される。この減圧した状態で、注液孔118に注液栓119が挿入され、レーザ溶接等を用いて封止される。
封止工程において、電池缶101内に膜電極接合体5を挿入する際、膜電極接合体5に取り付けられた押圧テープ50が、電池缶101の第1側面部101cの内壁面と接触し、剥がれてしまうことが考えられる。剥がれた押圧テープ50は、開口部102と蓋板111との間のシール部に噛み込むおそれがある。しかしながら、本実施の形態では、押圧テープ取付工程において、膜電極接合体5の第2方向d2における他側に設けられた他側端部5dには、押圧テープ50が取り付けられていない。このことにより、膜電極接合体5の他側端部5dを電池缶101の第2側面部101dの側に寄せて挿入することで、膜電極接合体5の一側端部5cと電池缶101の第1側面部101cの内壁面との間の間隙Δxを大きくすることができる。このため、押圧テープ50が、電池缶101の第1側面部101cの内壁面と接触することを回避することができる。この結果、膜電極接合体5から押圧テープ50が剥がれることを抑制することができる。
以上のようにして、電池缶101と電池蓋110とを有する外装体40によって封止された膜電極接合体5を備える積層型電池100を作製することができる。
このように本実施の形態によれば、押圧テープ50は、膜電極接合体5の第2方向d2において一側に設けられた一側端部5cおよび他側に設けられた他側端部5dのうち一側端部5cにのみ取り付けられている。このことにより、膜電極接合体5の他側端部5dを電池缶101の第2側面部101dの側に寄せて挿入することで、膜電極接合体5の一側端部5cに取り付けられた押圧テープ50が、電池缶101の第1側面部101cの内壁面と接触することを回避することができる。このため、膜電極接合体5から押圧テープ50が剥がれることを抑制することができる。この結果、剥がれた押圧テープ50が、開口部102と蓋板111との間のシール部に噛み込むことが抑制され、外装体40の封止性能の低下を抑制することができる。また、膜電極接合体5を電池缶101内に挿入する際に、膜電極接合体5の他側端部5dと電池缶101の第2側面部101dの内壁面との間の間隙Δyを小さくすることができる。すなわち、膜電極接合体5の一側端部5cと電池缶101の第1側面部101cの内壁面との間の間隙Δxを、押圧テープ50が接触することを回避可能な程度に確保しておけば、間隙Δyを小さくすることができる。このため、電池缶101の第2方向d2における全体寸法を小さくすることができ、積層型電池100のエネルギー密度を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、外装体40は、第1方向d1における端部に設けられた開口部102を有する電池缶101と、開口部102を封止する電池蓋110と、を有している。このような缶型の外装体40を構成する電池缶101内に膜電極接合体5を挿入する際、膜電極接合体5の第1方向d1と直交する第2方向d2における端部に取り付けられた押圧テープ50が、電池缶101の第1側面部101cの内壁面と接触するおそれがある。本実施の形態によれば、膜電極接合体5の他側端部5dを電池缶101の第2側面部101dの側に寄せて挿入することで、膜電極接合体5の一側端部5cに取り付けられた押圧テープ50が、電池缶101の第1側面部101cの内壁面と接触することを回避することができる。このため、膜電極接合体5から押圧テープ50が剥がれることを抑制することができる。この結果、剥がれた押圧テープ50が、開口部102と蓋板111との間のシール部に噛み込むことが抑制され、外装体40の封止性能の低下を抑制することができる。
(第4の変形例)
上述した第2の実施の形態において、押圧テープ50が、膜電極接合体5の一側端部5cおよび他側端部5dのうち一側端部5cにのみ取り付けられている例を示した。しかしながら、第1の変形例と同様に、押圧テープ50が、膜電極接合体5の一側端部5cおよび他側端部5dのうち他側端部5dにのみ取り付けられるようにしてもよい。すなわち、第1端部が他側端部5dを構成し、第2端部が一側端部5cを構成するようにしてもよい。この場合、封止工程において、膜電極接合体5の一側端部5cが電池缶101の第1側面部101cの側に寄せて挿入することができる。
本変形例においても、膜電極接合体5の一側端部5cを電池缶101の第1側面部101cの側に寄せて挿入することで、膜電極接合体5の他側端部5dに取り付けられた押圧テープ50が、電池缶101の第2側面部101dの内壁面と接触することを回避することができる。このため、膜電極接合体5から押圧テープ50が剥がれることを抑制することができる。この結果、剥がれた押圧テープ50が、開口部102と蓋板111との間のシール部に噛み込むことが抑制され、外装体40の封止性能の低下を抑制することができる。また、膜電極接合体5の一側端部5cと電池缶101の第1側面部101cの内壁面との間の間隙Δxを小さくすることができ、積層型電池100のエネルギー密度を向上させることができる。
(第5の変形例)
上述した第2の実施の形態において、押圧テープ50が、膜電極接合体5の一側端部5cおよび他側端部5dのうち一側端部5cにのみ取り付けられている例を示した。しかしながら、第2の変形例と同様に、図16に示すように、押圧テープ50が、一側端部5cに少なくとも2つ以上取り付けられ、かつ、一側端部5cに取り付けられた押圧テープ50の個数よりも少ない個数で他側端部5dに取り付けられるようにしてもよい。図16に示す例においては、一側端部5cに2つの押圧テープ50が取り付けられ、他側端部5dに1つの押圧テープ50が取り付けられている。
本変形例によれば、第2方向d2において電池缶101の第2側面部101dの側の端部に取り付けられた押圧テープ50の個数を少なくすることができる。このことにより、膜電極接合体5の他側端部5dを電池缶101の第2側面部101dの側に寄せて挿入した場合に、第2側面部101dの側において、押圧テープ50の個数を減らすことができる。このため、膜電極接合体5から押圧テープ50が剥がれることを抑制することができる。この結果、剥がれた押圧テープ50が、開口部102と蓋板111との間のシール部に噛み込むことが抑制され、外装体40の封止性能の低下を抑制することができる。
以上において、いくつかの実施の形態と各実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の実施の形態または複数の変形例を少なくとも部分的に適宜組み合わせて適用することも可能である。
1 積層型電池
5 膜電極接合体
5a 最外面
5b 最外面
5c 一側端部
5d 他側端部
10X 正極板
11X 正極集電体
12X 正極活物質層
20Y 負極板
21Y 負極集電体
22Y 負極活物質層
40 外装体
40a 金属層
40b 樹脂接着層
41 第1基材
42 第2基材
45 封止空間
46 シール部
46a 第1シール部
46b 第2シール部
46c 第3シール部
46d 第4シール部
50 押圧テープ
100 積層型電池
101 電池缶
102 開口部
110 電池蓋
a1 正極接続領域
a2 負極接続領域
b1 正極有効領域
b2 負極有効領域

Claims (12)

  1. 外装体と、
    前記外装体内に封止された膜電極接合体であって、第1方向において互いに隣接する第1有効領域および第1接続領域を含む第1電極集電体と、前記第1有効領域に設けられた第1電極活物質層と、を有する第1電極板と、前記第1方向において互いに隣接する第2有効領域および第2接続領域を含む第2電極集電体と、前記第2有効領域に設けられた第2電極活物質層と、を有する第2電極板とが、前記第1有効領域および前記第2有効領域が互いに重なるよう積層方向に交互に積層された膜電極接合体と、
    前記膜電極接合体を前記積層方向に押圧する押圧テープと、を備え、
    前記膜電極接合体は、前記積層方向で見たときに前記第1方向に直交する第2方向において一側に設けられた第1端部と、他側に設けられた第2端部と、を有し、
    前記押圧テープは、前記第1端部および前記第2端部のうち前記第1端部にのみ取り付けられている、または、
    前記押圧テープは、前記第1端部に少なくとも2つ以上取り付けられ、かつ、前記第1端部に取り付けられた前記押圧テープの個数よりも少ない個数で前記第2端部に取り付けられている、積層型電池。
  2. 前記外装体は、金属層と前記金属層の内面に設けられた樹脂接着層とを含む第1基材と、前記第1基材に対向する第2基材と、を有し、前記第1基材と前記第2基材とをヒートシールして前記膜電極接合体を封止している、請求項1に記載の積層型電池。
  3. 前記外装体は、前記第1方向における端部に設けられた開口部を含む、前記膜電極接合体を収容する電池缶と、前記開口部を封止する電池蓋と、を有する、請求項1に記載の積層型電池。
  4. 前記押圧テープは、前記第1端部に2つ取り付けられている、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型電池。
  5. 前記膜電極接合体は、前記積層方向における両側に設けられた一対の最外面を有し、
    前記押圧テープは、前記膜電極接合体の一対の前記最外面に接合されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層型電池。
  6. 前記押圧テープは、2%以上15%以下の伸び率を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層型電池。
  7. 第1方向において互いに隣接する第1有効領域および第1接続領域を含む第1電極集電体と、前記第1有効領域に設けられた第1電極活物質層と、を有する第1電極板と、前記第1方向において互いに隣接する第2有効領域および第2接続領域を含む第2電極集電体と、前記第2有効領域に設けられた第2電極活物質層と、を有する第2電極板とが、前記第1有効領域および前記第2有効領域が互いに重なるよう積層方向に交互に積層された膜電極接合体を準備する準備工程と、
    前記膜電極接合体に、前記膜電極接合体を前記積層方向に押圧する押圧テープを取り付ける押圧テープ取付工程と、
    前記押圧テープ取付工程の後、外装体内に前記膜電極接合体を封止する封止工程と、を備え、
    前記膜電極接合体は、前記積層方向で見たときに前記第1方向に直交する第2方向において一側に設けられた第1端部と、他側に設けられた第2端部と、を有し、
    前記押圧テープ取付工程において、前記押圧テープを、前記第1端部および前記第2端部のうち前記第1端部にのみ取り付ける、または、
    前記押圧テープを、前記第1端部に少なくとも2つ以上取り付け、かつ、前記第1端部に取り付ける前記押圧テープの個数よりも少ない個数で前記第2端部に取り付ける、積層型電池の製造方法。
  8. 前記外装体は、金属層と前記金属層の内面に設けられた樹脂接着層とを含む第1基材と、第2基材と、を有し、
    前記封止工程において、前記第1基材と前記第2基材とをヒートシールして前記膜電極接合体が封止される、請求項7に記載の積層型電池の製造方法。
  9. 前記外装体は、前記第1方向における端部に設けられた開口部を含む電池缶と、電池蓋とを有し、
    前記封止工程において、前記電池缶内に前記膜電極接合体が配置された後、前記開口部が前記電池蓋により封止される、請求項7に記載の積層型電池の製造方法。
  10. 前記押圧テープ取付工程において、前記押圧テープは、前記第1端部に2つ取り付けられる、請求項7から9のいずれか一項に記載の積層型電池の製造方法。
  11. 前記膜電極接合体は、前記積層方向における両側に設けられた一対の最外面を有し、
    前記押圧テープ取付工程において、前記押圧テープは、前記膜電極接合体の一対の前記最外面に接合される、請求項7から10のいずれか一項に記載の積層型電池の製造方法。
  12. 前記押圧テープは、2%以上15%以下の伸び率を有する、請求項7から11のいずれか一項に記載の積層型電池の製造方法。
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