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JP2020140065A - 硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物および電子部品 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物および電子部品 Download PDF

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JP2020140065A
JP2020140065A JP2019035336A JP2019035336A JP2020140065A JP 2020140065 A JP2020140065 A JP 2020140065A JP 2019035336 A JP2019035336 A JP 2019035336A JP 2019035336 A JP2019035336 A JP 2019035336A JP 2020140065 A JP2020140065 A JP 2020140065A
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resin
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太郎 北村
Taro Kitamura
太郎 北村
健志 依田
Kenji Yoda
健志 依田
庸二 滝井
Yoji Takii
庸二 滝井
絵梨 鈴木
Eri Suzuki
絵梨 鈴木
信人 伊藤
Nobuhito Ito
信人 伊藤
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Taiyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

【課題】熱被りが抑制されるとともに、高い解像性及びクラック耐性をも発揮し得る、アルカリ現像型硬化性樹脂組成物およびその硬化物の提供。【解決手段】少なくとも、成分(A)〜(E)を含有する、アルカリ現像型硬化性樹脂組成物。(A)エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)光重合開始剤、(D)フェノール性水酸基を有する光重合性モノマー、および(E)無機フィラー。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物に、および当該硬化性樹脂組成物から形成されたドライフィルムに、ならびに、当該ドライフィルムを有する電子部品に関する。
従来、プリント配線板などの電子部品に対して、ソルダーレジスト層、メッキレジスト層、層間絶縁層等の電気絶縁性の層を形成するために、種々の硬化性の樹脂組成物が使用されている。このうち、高精度および高密度、ならびに環境問題の観点から、紫外線照射して硬化させ、その後にアルカリ溶液を用いて現像を行うアルカリ現像型の硬化性樹脂組成物が主流となっている。
このような、紫外線等の露光により硬化し得る感光性樹脂組成物は、基本的に、基板上に塗布された後に乾燥され、さらにその後の露光を経て、アルカリ溶液にて現像が行われ、さらに所定の手順を経ることによって、ソルダーレジストのパターンが形成される。
ここで、上述の露光前の乾燥は不可欠な段階であるものの、加熱を伴うため、その後の露光において、未露光部がアルカリ現像後にも残存してしまう、いわゆる熱被りを生ずることがある。熱被りは現像不良を引き起こして現像性を低下させるために、好ましくない。
また一方では、ソルダーレジスト等の硬化膜においては、熱被りの防止の他、はんだ接続信頼性を確保するために、レジストパターンの開口形状が順テーパ構造を有することを意味する高解像性と、TCT耐性(冷熱衝撃特性)ともいうクラック耐性をも、バランス良く備えることも求められる。
以上の点において、例えば、特許文献1は、優れた現像性を得るために、カルボキシル基を有する有機フィラーを含有する感光性樹脂組成物を提案している。
特開2017−219862
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、レジストパターンの開口形状が逆テーパ構造になりやすく、そのため高い解像性を得ることが難しい。
現状、高い解像性、クラック耐性および現像性を同時に付与し得る硬化性樹脂組成物およびそれから形成される硬化膜の提供がなお望まれる。
上記課題を解決するべく、本発明者らは検討を重ねた結果、フェノール性水酸基を有する光重合性モノマーと特定量以上の無機フィラーとを併用することによって、熱被りが抑制されるとともに、高い解像性及びクラック耐性をも発揮し得る、アルカリ現像型硬化性樹脂組成物およびその硬化物が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明における目的は、少なくとも、下記成分(A)〜(E):
(A)エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂、
(B)エポキシ樹脂、
(C)光重合開始剤、
(D)フェノール性水酸基を有する光重合性モノマー、および
(E)無機フィラー
を含有する、アルカリ現像型硬化性樹脂組成物であって、前記(E)無機フィラーの含有量が、前記アルカリ現像型硬化性樹脂組成物の不揮発成分の総量に対して、25質量%以上である、アルカリ現像型硬化性樹脂組成物によって、解決され得ることが見出された。
また、本発明のアルカリ現像型硬化性樹脂組成物においては、(D)フェノール性水酸基を有する光重合性モノマーが、150〜3200g/eqの水酸基当量及び260〜2200g/eqのアクリル当量を有することが好ましい。
また、本発明のアルカリ現像型硬化性樹脂組成物においては、(E)無機フィラーの含有量が、前記硬化性樹脂組成物の不揮発成分の総量に対して、80質量%以下であることも好ましい。
また、本発明は、上述のアルカリ現像型硬化性樹脂組成物から形成された樹脂層を有するドライフィルムに、当該ドライフィルムの樹脂層から成る硬化物に、および、当該硬化物を有する電子部品をも提供する。
本発明によれば、熱被りが抑制され、解像性が高く、且つクラック耐性が良好である、という効果を発揮し得るアルカリ現像型硬化性樹脂組成物およびその硬化物を提供し得る。
従って、本発明のアルカリ現像型硬化性樹脂組成物の硬化物は、例えば、ソルダーレジスト層、メッキレジスト層、層間絶縁層等の電気絶縁性の層として、より好適に使用され得ることが期待される。
上記のとおりの成分構成を有する本発明のアルカリ現像型硬化性樹脂組成物(以下、単に硬化性樹脂組成物ともいう)を用いた場合には、熱被りが抑制され得る。
望ましくない現象であるこの熱被りは、乾燥管理幅と密接に関連している。乾燥管理幅とは、硬化性樹脂組成物を基板に塗布した後、露光を行う前に行う乾燥段階において、熱被りなどの現像不良を生じないその乾燥条件(乾燥温度および乾燥時間)の幅をいう。この乾燥管理幅が小さいと、限定的な乾燥条件で乾燥を行わなければならない。
この点、本発明の硬化性樹脂組成物においては、熱被りが効果的に抑制されているため、乾燥管理幅を長く取ることができる、言い換えると、たとえ乾燥時間を長くしたとしても、現像残渣を生じ難い。
本発明の硬化性樹脂組成物はさらに、良好な解像性をも発揮し得る。より具体的には、現像後に形成されたレジストパターンの開口形状が、順テーパ構造を有するものである。順テーパ構造とは、レジストパターンの開口径が、基板に向かって次第に小さくなるように、当該レジストパターンの側壁が傾斜していく形状をいう(ボトム径がトップ径より小さい)。他方、その反対の形状を、逆テーパ構造という。レジストパターンの開口形状がこの逆テーパ構造であると、はんだ実装性低下やその後の工程でのはんだ脱落といった問題を生ずるおそれがあり、ひいては解像性の低下にもつながる。
本発明の硬化性樹脂組成物を用いた場合においては、順テーパ構造の開口形状を有するレジストパターンを得ることができるため、そのような問題の発生が抑えられている。
さらに、本発明の硬化性樹脂組成物は、良好なクラック耐性、より具体的には、TCT耐性(冷熱衝撃耐性)を永久塗膜に付与し得るという特徴をもさらに有する。
以下、かような本発明のアルカリ現像型硬化性樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
[(A)エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂]
(A)エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂は、フェノール性水酸基、チオール基およびカルボキシル基のうち1種以上の官能基と、エチレン性不飽和基(エチレン性不飽和二重結合ともいう)とを含有し、アルカリ溶液で現像可能な樹脂であり、好ましくはフェノール性水酸基を2個以上有する感光性樹脂、カルボキシル基含有感光性樹脂、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有する感光性樹脂、チオール基を2個以上有する感光性樹脂が挙げられる。なおここで、「感光性」とは、エチレン性不飽和基を有することを意味する。
(A)エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂はカルボキシル基を有することがより好ましく、エポキシ樹脂を出発原料とするカルボキシル基含有感光性樹脂、フェノール化合物を出発原料とするカルボキシル基含有感光性樹脂、共重合構造を有するカルボキシル基含有感光性樹脂、ウレタン構造を有する感光性カルボキシル基含有樹脂であることがさらに好ましい。エチレン性不飽和二重結合としては、(メタ)アクリル酸もしくは(メタ)アクリル酸誘導体由来のものが好ましい。
(A)エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂の具体例としては、以下に(1)〜(10)として列挙するような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)が挙げられるが、勿論それらに限定されない。
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂に、グリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等の分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなる、共重合構造を有するカルボキシル基含有感光性樹脂。なお、低級アルキルとは、炭素原子数1〜5のアルキル基を指す。
(2−1)ジイソシアネートと、カルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物との重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂に、さらに上記したような分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるウレタン構造を有するカルボキシル基含有感光性樹脂。
(2−2)ジイソシアネートと、カルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物と、分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを反応させて得られるウレタン構造を有するカルボキシル基含有感光性樹脂。
(2−3)ジイソシアネートと、カルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物と、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを反応させて得られるウレタン構造を有するカルボキシル基含有感光性樹脂。
ここで、ジイソシアネートとしては、脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。
カルボキシル基含有ジアルコール化合物としては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等が挙げられる。
ジオール化合物としては、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等が挙げられる。
分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物などが挙げられる。
(3−1)ジイソシアネートと、2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物と、カルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物との重付加反応によるウレタン構造を有するカルボキシル基含有感光性樹脂。
(3−2)(3−1)のカルボキシル基含有感光性樹脂に、さらに分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるウレタン構造を有するカルボキシル基含有感光性樹脂。
(3−3)ジイソシアネートと、2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物と、カルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物と、分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを反応させて得られるウレタン構造を有するカルボキシル基含有感光性樹脂。
(3−4)ジイソシアネートと、2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物と、カルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物と、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを反応させて得られるウレタン構造を有するカルボキシル基含有感光性樹脂。
(4)多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(5)2官能エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(6)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p−ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、不飽和モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(7)多官能オキセタン樹脂にジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂に、さらにグリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等の分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(8)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(9)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(10)前記(4)〜(9)のカルボキシル基含有感光性樹脂に、さらに上記したような分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(A)エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂の酸価は、20〜200mgKOH/gの範囲が望ましく、より好ましくは40〜150mgKOH/gの範囲である。(A)アルカリ現像性樹脂の酸価が20mgKOH/g以上の場合、塗膜の密着性が良好で、光硬化性樹脂組成物とした場合にはアルカリ現像が良好となる。一方、酸価が200mgKOH/g以下の場合、現像液による露光部の溶解を抑制できるため、必要以上にラインが痩せたり、場合によっては、露光部と未露光部の区別なく現像液で溶解剥離したりすることを抑制して、良好にレジストパターンを描画することができる。
(A)エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、(4)〜(10)のカルボキシル基含有感光性樹脂が好ましく、HAST耐性の観点から上記(8)、(9)のカルボキシル基含有感光性樹脂がより好ましい。
また、(A)エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量は、樹脂骨格にもよるが、1500〜150000の範囲が好ましく、1500〜100000の範囲がより好ましい。質量平均分子量が1500以上の場合、タックフリー性能が良好であり、露光後の塗膜の耐湿性が良好で、現像時の膜減りを抑制し、解像度の低下を抑制できる。一方、質量平均分子量が150000以下の場合、現像性が良好で、保存安定性にも優れる。
さらにまた、(A)エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂の二重結合当量は、例えば、500〜3,500eq/gであり、解像性の観点から700〜3,000eq/gであることが好ましい。
本発明においては、(A)エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂の含有量は、全組成物に対して、固形分に基づき、1〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。1〜60質量%の場合、塗膜強度が良好であり、組成物の粘性が適度で、塗布性等を向上できる。
これらの(A)エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
[(B)エポキシ樹脂]
(B)エポキシ樹脂としては、三菱ケミカル社製のjER828、jER834、jER1001、jER1004、DIC社製のEPICLON840、EPICLON850、EPICLON1050、EPICLON2055、新日鐵住友化学社製のエポトートYD−011、YD−013、YD−127、YD−128、ダウケミカル社製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、住友化学社製のスミ−エポキシESA−011、ESA−014、ELA−115、ELA−128、旭化成社製のA.E.R.330、A.E.R.331、A.E.R.661、A.E.R.664等(いずれも商品名)のビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のjERYL903、DIC社製のEPICLON152、EPICLON165、新日鐵住友化学社製のエポトートYDB−400、YDB−500、ダウケミカル社製のD.E.R.542、住友化学社製のスミ−エポキシESB−400、ESB−700、旭化成社製のA.E.R.711、A.E.R.714等(いずれも商品名)のブロム化エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のjER152、jER154、ダウケミカル社製のD.E.N.431、D.E.N.438、DIC社製のEPICLONN−730、EPICLONN−770、EPICLONN−865、新日鐵住友化学社製のエポトートYDCN−701、YDCN−704、日本化薬社製のEPPN−201、EOCN−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306、NC−3000、住友化学社製のスミ−エポキシESCN−195X、ESCN−220、旭化成社製のA.E.R.ECN−235、ECN−299等(いずれも商品名)のノボラック型エポキシ樹脂;DIC社製のEPICLON830、三菱ケミカル社製jER807、新日鐵住友化学社製のエポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004等(いずれも商品名)のビスフェノールF型エポキシ樹脂;新日鐵住友化学社製のエポトートST−2004、ST−2007、ST−3000(商品名)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のjER604、新日鐵住友化学社製のエポトートYH−434、住友化学社製のスミ−エポキシELM−120等(いずれも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;株式会社ダイセル製のセロキサイド2021P等(商品名)の脂環式エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のYL−933、ダウケミカル社製のT.E.N.、EPPN−501、EPPN−502等(いずれも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のYL−6056、YX−4000、YL−6121(いずれも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物;日本化薬社製EBPS−200、株式会社ADEKA社製EPX−30、DIC社製のEXA−1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のjER157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;三菱ケミカル社製のjERYL−931等(商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;日産化学社製のTEPIC等(いずれも商品名)の複素環式エポキシ樹脂;日本油脂社製ブレンマーDDT等のジグリシジルフタレート樹脂;新日鐵住友化学社製ZX−1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鐵化学社製ESN−190、ESN−360、DIC社製HP−4032、EXA−4750、EXA−4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;DIC製HP−7200、HP−7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日本油脂社製CP−50S、CP−50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体(例えば株式会社ダイセル製エポリード PB−3600等)、CTBN変性エポキシ樹脂(例えば新日鐵住友化学社製のYR−102、YR−450等)等が挙げられるが、もちろんこれらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、1種または2種以上を組合せて用いることができる。これらの中でも、特にノボラック型エポキシ樹脂、変性ノボラック型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物が好ましい。
このような(B)エポキシ樹脂の含有量は、(A)エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂に対して、固形分に基づき、10〜100質量%が好ましく、20〜60質量%がより好ましい。
[(C)光重合開始剤]
(C)光重合開始剤としては、光重合開始剤や光ラジカル発生剤として公知の光重合開始剤であれば、いずれのものを用いることもできる。
(C)光重合開始剤としては、例えば、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2−メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)等のモノアシルフォスフィンオキサイド類;1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p−メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p−ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(2−(1−ピル−1−イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類;フェニルジスルフィド2−ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)光重合開始剤の含有量は、(A)エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂に対して、0.5〜20質量%であることが好ましい。0.5質量部以上の場合、表面硬化性が良好となり、20質量部以下の場合、ハレーションが生じにくく良好な解像性が得られる。
[(D)フェノール性水酸基を有する光重合性モノマー]
本発明において、(D)フェノール性水酸基を有する光重合性モノマーは、公知の手法を用いて、フェノール樹脂とエポキシ基およびエチレン性不飽和基を有する化合物とを反応させることによって調製され得る。このとき、フェノール樹脂の水酸基の全てがエポキシ基およびエチレン性不飽和基を有する化合物により修飾されないように、フェノール樹脂の水酸基に対して当量未満のエポキシ基およびエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させるとよい。より具体的には、このように調製された(D)フェノール性水酸基を有する光重合性モノマーは、150〜3200g/eqの水酸基当量および260〜2200g/eqの二重結合当量を有することが好ましく、200〜1200g/eqの水酸基当量および300〜600g/eqの二重結合当量を有することがさらに好ましい。ここで、エポキシ基およびエチレン性不飽和基を有する化合物としては、グリシジルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートの少なくとも1種が好ましい。
(D)フェノール性水酸基を有する光重合性モノマーの調製のために用いられ得るフェノール樹脂としては、例えば、ビフェニル骨格若しくはフェニレン骨格またはその両方の骨格を有する化合物や、フェノール、オルソクレゾール、パラクレゾール、メタクレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、ピロガロール、フロログルシノール等を用いて合成した、様々な骨格を有するフェノール樹脂が挙げられる。
より具体的には、例えば、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、Xylok型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ポリビニルフェノール類、ビスフェノールF、ビスフェノールS型フェノール樹脂、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ナフトールとアルデヒド類の縮合物、ジヒドロキシナフタレンとアルデヒド類との縮合物などの公知慣用のフェノール樹脂が挙げられる。
また、入手可能なフェノール樹脂の市販品としては、例えば、HF1H60(明和化成社製)、フェノライトTD−2090、フェノライトTD−2131(大日本印刷社製)、ベスモールCZ−256−A(DIC社製)、シヨウノールBRG−555、シヨウノールBRG−556(アイカ工業社製)、CGR−951(丸善石油社製)、ポリビニルフェノールのCST70、CST90、S−1P、S−2P(丸善石油社製)、TAM−005(アイカ工業株式会社製)が挙げられる。
かような(D)フェノール性水酸基を有する光重合性モノマーの含有量は、(A)エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂に対して、10〜90質量%であり、好ましくは30〜70質量%であり、より好ましくは40〜60質量%である。
[(E)無機フィラー]
本発明において用いられる(E)無機フィラーとしては、例えば、シリカ、結晶性シリカ、ノイブルグ珪土、水酸化アルミニウム、ガラス粉末、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、天然マイカ、合成マイカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化鉄、非繊維状ガラス、ハイドロタルサイト、ミネラルウール、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、および亜鉛華等の無機フィラーを挙げることができる。これらのうち、比重が小さく硬化物中に高充填でき高強度化が容易であるため、シリカが好ましい。
(E)無機フィラーとしては、表面処理された無機フィラーであることが好ましく、無機フィラーの表面に硬化性反応基を導入可能な表面処理が施されていることがより好ましい。
ここで、硬化性反応基とは、(A)エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂や(B)のエポキシ樹脂等の熱硬化性成分などの硬化性化合物と硬化反応する基を指し、光硬化性反応基でも熱硬化性反応基でもよい。光硬化性反応基としては、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、スチリル基等が挙げられ、熱硬化性反応基としては、エポキシ基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、イミノ基、オキセタニル基、メルカプト基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、オキサゾリン基等が挙げられる。
無機フィラーの表面に硬化性反応基を導入する方法は特に限定されず、公知慣用の方法を用いて導入すればよく、硬化性反応基を有する表面処理剤、例えば、硬化性反応基を有機基として有するカップリング剤等で無機フィラーの表面を処理すればよい。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等を用いることができる。なお、硬化性反応基を有しない表面処理された無機フィラーとしては、例えば、シリカ−アルミナ表面処理、チタネート系カップリング剤処理、アルミネート系カップリング剤処理、有機処理がされた無機フィラー等が挙げられる。
(E)無機フィラーの平均粒径(D50)としては、300nm以下であり、200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。
(E)無機フィラーの平均粒径が小さいほど光照射時の乱反射を抑えて硬化物パターンの微細加工を容易にすることができる。
平均粒径(D50)は、例えば、レーザー回折法による測定装置Microtrac MT3300EXII(マイクロトラック・ベル株式会社)を用いて測定し得る。
(E)無機フィラーは、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
熱被りの抑制、高い解像性、及び良好なクラック耐性を併せて付与し得るという観点において、(E)無機フィラーの含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の不揮発成分総量に対して、25質量%以上であり、25質量%〜80質量%がより好ましく、30質量%〜70質量%が最も好ましい。
[その他の成分]
本発明の硬化性樹脂組成物においては、本発明の目的から逸脱しない範囲において、必要に応じて、さらなる添加剤をその他の成分として配合することも勿論可能である。
そのような成分として、例えば、(D)フェノール性水酸基を有する光重合性モノマー以外の光重合性モノマー、顔料および染料等の着色料、溶剤、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、老化防止剤、抗菌・防黴剤、レベリング剤、増粘剤、密着性付与剤、チキソ性付与剤、光開始助剤、増感剤、光塩基発生剤、熱可塑性樹脂、エラストマー、ウレタンビーズなどの有機フィラー、離型剤、表面処理剤、分散剤、分散助剤、表面改質剤、安定剤、蛍光体、セルロース樹脂等が挙げられる。
[ドライフィルム]
本発明の硬化性樹脂組成物は、ドライフィルム化して用いても勿論良い。
本発明のドライフィルムは、キャリアフィルム上に、本発明の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより得られる樹脂層を有する。ドライフィルムを形成する際には、まず、本発明の硬化性樹脂組成物を上記有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整した上で、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等により、キャリアフィルム上に均一な厚さに塗布する。その後、塗布された組成物を、通常、50〜130℃の温度で1〜30分間乾燥することで、樹脂層を形成することができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で、10〜150μm、好ましくは20〜60μmの範囲で適宜選択される。
キャリアフィルムとしては、プラスチックフィルムが用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等を用いることができる。キャリアフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10〜150μmの範囲で適宜選択される。
キャリアフィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を形成した後、樹脂層の表面に塵が付着することを防ぐ等の目的で、さらに、樹脂層の表面に、剥離可能なカバーフィルムを積層することが好ましい。剥離可能なカバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルムやポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができる。カバーフィルムとしては、カバーフィルムを剥離するときに、樹脂層とキャリアフィルムとの接着力よりも小さいものであればよい。
なお、本発明においては、上記カバーフィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより樹脂層を形成して、その表面にキャリアフィルムを積層するものであってもよい。すなわち、本発明においてドライフィルムを製造する際に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布するフィルムとしては、キャリアフィルムおよびカバーフィルムのいずれを用いてもよい。
[硬化物]
本発明の硬化性樹脂組成物を用いて硬化物を形成するには、その組成物を基板上に塗布し、溶剤を揮発乾燥した後に得られた樹脂層に対し、露光(光照射)を行うことにより、露光部(光照射された部分)が硬化する。具体的には、接触式または非接触方式により、パターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光、もしくは、レーザーダイレクト露光機により直接パターン露光して、未露光部をアルカリ水溶液(例えば、0.3〜3質量%炭酸ソーダ水溶液)により現像することにより、レジストパターンが形成される。さらに約100〜180℃の温度に加熱して熱硬化(ポストキュア)させることにより、耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、電気特性等の諸特性に優れた硬化膜(硬化物)を形成することができる。
[電子部品]
また、本発明は、上記硬化物を有する電子部品をも提供する。
本発明の硬化性樹脂組成物を用いることによって、品質、耐久性及び信頼性の高い電子部品が提供される。
なお、本発明において電子部品とは、電子回路に使用する部品を意味し、プリント配線板、トランジスタ、発光ダイオード、レーザーダイオード等の能動部品の他抵抗、コンデンサ、インダクタ、コネクタ等の受動部品も含まれる。
(本発明の硬化性樹脂組成物の製造および使用方法)
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)光重合開始剤、(D)フェノール性水酸基を有する光重合性モノマー、(E)無機フィラーおよび所望により、その他の成分を、所定の量にて、例えば3本ロールミル等で混合分散することによって、調製され得る。
本発明の硬化性樹脂組成物を用いた硬化膜の形成は、下記のとおり行うことにより為し得る。
まず硬化性樹脂組成物を基板上に塗布し、溶剤を揮発乾燥した後に得られた樹脂層に対し、露光(光照射)を行うことにより、露光部(光照射された部分)が硬化する。具体的には、接触式または非接触方式により、パターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光、または、レーザーダイレクト露光機により直接パターン露光する。その後、未露光部をアルカリ水溶液(例えば、0.3〜3質量%炭酸ソーダ水溶液)により現像することにより、レジストパターンが形成される。さらに約100〜180℃の温度に加熱して熱硬化(ポストキュア)させることにより、耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、電気特性等の諸特性に優れた硬化膜を形成することができる。
ここで、本発明の硬化性樹脂組成物は、例えば、有機溶剤を用いて塗布方法に適した粘度に調整し、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布した後、約60〜100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることで、タックフリーの樹脂層を形成することもできる。
基材としては、予め銅等により回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンオキシド・シアネート等を用いた高周波回路用銅張積層板等の材質を用いたもので、全てのグレード(FR−4等)の銅張積層板、その他、金属基板、ポリイミドフィルム、PETフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
揮発乾燥または熱硬化は、例えば、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、水銀ショートアークランプ等を搭載し、350〜450nmの範囲で紫外線を照射する装置であればよく、さらに、直接描画装置(例えば、コンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)も用いることができる。直描機のランプ光源またはレーザー光源としては、最大波長が350〜410nmの範囲にあるものでよい。画像形成のための露光量は膜厚等によって異なるが、一般には20〜1000mJ/cm、好ましくは20〜800mJ/cmの範囲内とすることができる。
現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液が使用できる。
以下、実施例および比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が以下の実施例に限定されるものでないことは言うまでもない。
なお、他に但書が無い限り、示される「部」および「%」は質量に基づくものとする。
合成例1
下記の手順により、(A)エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂である、アルカリ可溶性樹脂A−1を合成した。
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、ビスフェノールA456部、水228部、37%ホルマリン649部を仕込み、40℃以下の温度を保ち、25%水酸化ナトリウム水溶液228部を添加した、添加終了後50℃で10時間反応した。反応終了後40℃まで冷却し、40℃以下を保ちながら37.5%リン酸水溶液でpH4まで中和した。その後静置し水層を分離した。分離後メチルイソブチルケトン300部を添加し均一に溶解した後、蒸留水500部で3回洗浄し、50℃以下の温度で減圧下、水、溶媒等を除去した。得られたポリメチロール化合物をメタノール550部に溶解し、ポリメチロール化合物のメタノール溶液1230部を得た。
得られたポリメチロール化合物のメタノール溶液の一部を真空乾燥機中室温で乾燥したところ、固形分が55.2%であった。
続いて、冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、得られたポリメチロール化合物のメタノール溶液500部、2,6−キシレノール440部を仕込み、50℃で均一に溶解した。均一に溶解した後50℃以下の温度で減圧下メタノールを除去した。その後シュウ酸8部を加え、100℃で10時間反応した。反応終了後180℃、50mmHgの減圧下で溜出分を除去し、ノボラック樹脂Aの550部を得た。
次いで、温度計、窒素導入装置兼アルキレンオキシド導入装置および撹拌装置を備えたオートクレーブに、ノボラック樹脂A 130部、50%水酸化ナトリウム水溶液2.6部、トルエン/メチルイソブチルケトン(質量比=2/1)100部を仕込み、撹拌しつつ系内を窒素置換し、次に加熱昇温し、150℃、8kg/cmでプロピレンオキシド60部を徐々に導入し反応させた。反応はゲージ圧0.0kg/cmとなるまで約4時間を続けた後、室温まで冷却した。この反応溶液に3.3部の36%塩酸水溶液を添加混合し、水酸化ナトリウムを中和した。この中和反応生成物をトルエンで希釈し、3回水洗し、エバポレーターにて脱溶剤して、水酸基価が189g/eq.であるノボラック樹脂Aのプロピレンオキシド付加物を得た。これは、フェノール性水酸基1当量当りプロピレンオキシドが平均1モル付加しているものであった。
得られたノボラック樹脂Aのプロピレンオキシド付加物189部、アクリル酸36部、p−トルエンスルホン酸3.0部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部、トルエン140部を撹拌機、温度計、空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を吹き込みながら攪拌して、115℃に昇温し、反応により生成した水をトルエンと共沸混合物として留去しながら、さらに4時間反応させたのち、室温まで冷却した。得られた反応溶液を5%NaCl水溶液を用いて水洗し、減圧留去にてトルエンを除去したのち、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを加えて、固形分67%のアクリレート樹脂溶液を得た。
次に、撹拌器および還流冷却器の付いた4つ口フラスコに、得られたアクリレート樹脂溶液322部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部、トリフェニルホスフィン0.3部を仕込み、この混合物を110℃に加熱し、テトラヒドロ無水フタル酸60部を加え、4時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして得られたカルボキシル基含有感光性樹脂溶液は、固形分70%、固形分酸価81mgKOH/gであった。
以下、この樹脂をアルカリ可溶性樹脂A−1とも称す。
合成例2
下記の手順により、無機フィラーE−1を調製した。
球状シリカ(電気化学工業社製SFP−30M)を70gと、溶剤としてPMA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を30gとを混合分散させて、無機フィラーE−1を得た。
合成例3
下記の手順により、無機フィラーE−2を調製した。
球状シリカ(電気化学工業社製SFP−30M)を70gと、溶剤としてPMA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を28gと、シランカップリング剤としてKBM−503(信越化学工業社製)を2gとを均一分散させて、無機フィラーE−2を得た。
実施例1〜5および比較例1〜2
下記表1に示すとおりの各成分を、各配合量にて、撹拌機で予備混合した後、3本ロールミルにて混練し、実施例1〜5および比較例1〜2の硬化性樹脂組成物をそれぞれ調製した。
Figure 2020140065
*1 ビフェニルノボラック変性型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製)
*2 2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(IGM Resins社製Omnirad TPO)
*3 フェノール樹脂TAM−005(アイカ工業株式会社製)のフェノール性水酸基をグリシジルメタクリレートで75%修飾したモノマー(水酸基当量1010g/eqおよびアクリル当量340g/eq;固形分60%)
*4 フェノール樹脂TAM−005のフェノール性水酸基をグリシジルメタクリレートで45%修飾したモノマー(水酸基当量390g/eqおよびアクリル当量480g/eq;固形分60%)
*5 ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(日本化薬株式会社製)
得られた実施例1〜5および比較例1〜2の硬化性樹脂組成物について、下記のとおりに、解像性、乾燥管理幅およびTCT耐性についての試験を行った。
<解像性(ソルダーレジストの開口形状)の試験および評価>
パッケージ基板上に、実施例1〜5および比較例1〜2の硬化性樹脂組成物をそれぞれ全面塗布した。続いて、これらを乾燥し、室温まで放冷することにより、硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を形成した。次に、これら樹脂層に対して、最適露光量にて、銅パッド上にSRO(Solder Resist Opening)80μmの開口サイズでダイレクトイメージング露光を行った。その後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を噴射することにより現像を行い、硬化被膜のパターンを得た。更に既定の条件で加熱して硬化した。
上記により得られた評価基板のソルダーレジスト開口部のボトム径とトップ径を1000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察を行い、以下の評価基準で評価した。
○:ボトム径がトップ径より小さい(順テーパ構造)。
×:ボトム径がトップ径より大きい(逆テーパ構造)。
結果を下記表2に示す。
<乾燥管理幅の試験および評価>
パッケージ基板上に、実施例1〜5および比較例1〜2の硬化性樹脂組成物をそれぞれ全面塗布した。続いて、これらを80℃の熱風循環式乾燥炉で乾燥させた際に熱被りによる現像不良が起こらない時間を比較した。具体的には、80℃で60、70分間乾燥し、その後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を噴射することにより現像を行い、それぞれの時間での現像性を目視にて評価した。残渣として残った場合に、熱被りが生じたものとみなす。
◎:70分間乾燥で、硬化性樹脂組成物の成分が残渣として残らなかった。
○:60分間乾燥で、硬化性樹脂組成物の成分が残渣として残らなかった。
×:60分間乾燥で、硬化性樹脂組成物の成分が残渣として残った。
結果を下記表2に示す。
<TCT耐性の試験および評価>
パッケージ基板上に、各実施例および比較例の硬化性樹脂組成物を全面塗布した。これを乾燥し、室温まで放冷することにより、硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を形成した。これに対して、最適露光量にて、銅パッド上にSRO(Solder Resist Opening)80μmの開口サイズでダイレクトイメージング露光を行った。その後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を噴射することにより現像を行い、硬化被膜のパターンを得た。更に既定の条件で加熱して硬化した。その後、Auめっき処理およびはんだバンプ形成を行い、Siチップを実装して、評価基板を得た。
上記により得られた評価基板を、−65℃と150℃の間で温度サイクルが行われる冷熱サイクル機に入れ、TCT(Thermal Cycle Test)を行った。そして、600サイクル時、800サイクル時および1000サイクル時の硬化被膜の表面を観察した。判定基準は以下の通りである。
◎:1000サイクルで異常なし
○:800サイクルで異常なし、1000サイクルでクラック発生
×:800サイクルでクラック発生
結果を下記表2に示す。
Figure 2020140065
<結果>
上記表2の結果より、本発明の硬化性樹脂組成物およびその硬化物は、熱被りが抑制され、解像性が高く、且つクラック耐性が良好である、という効果を発揮し得ることが示された。

Claims (6)

  1. 少なくとも、下記成分(A)〜(E):
    (A)エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂、
    (B)エポキシ樹脂、
    (C)光重合開始剤、
    (D)フェノール性水酸基を有する光重合性モノマー、および
    (E)無機フィラー
    を含有するアルカリ現像型硬化性樹脂組成物であって、
    前記(E)無機フィラーの含有量が、前記アルカリ現像型硬化性樹脂組成物の不揮発成分の総量に対して、25質量%以上である、アルカリ現像型硬化性樹脂組成物。
  2. 前記(D)フェノール性水酸基を有する光重合性モノマーが、150〜3200g/eqの水酸基当量及び260〜2200g/eqのアクリル当量を有する、請求項1に記載のアルカリ現像型硬化性樹脂組成物。
  3. 前記(E)フィラーの含有量が、前記アルカリ現像型硬化性樹脂組成物の不揮発成分の総量に対して、80質量%以下である、請求項1に記載のアルカリ現像型硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のアルカリ現像型硬化性樹脂組成物から形成された樹脂層を有するドライフィルム。
  5. 請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のアルカリ現像型硬化性樹脂組成物、または、請求項4に記載のドライフィルムの樹脂層から成る、硬化物。
  6. 請求項5に記載の硬化物を有する、電子部品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024204720A1 (ja) * 2023-03-31 2024-10-03 太陽ホールディングス株式会社 硬化性樹脂組成物、硬化物、該硬化物を備えるプリント配線板

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