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JP2020058387A - 作業車 - Google Patents

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Abstract

【課題】作業地の端部での旋回が終了した後に、設定走行ラインに沿っての自動的な走行が適切に開始されるようにする。【解決手段】設定走行ラインLB1を設定する設定部、設定走行ラインLB1に沿って自動的に走行するように走行装置を操作する自動走行制御部を備える。自動走行制御部を作動状態と停止状態とに操作する操作部、旋回LL1の終了を検出する旋回終了検出部を備える。旋回終了検出部により旋回LL1の終了が検出されないと、操作部による自動走行制御部の作動状態への操作を阻止し、旋回終了検出部により旋回LL1の終了が検出されると、操作部による自動走行制御部の作動状態への操作を許容する牽制部を備える。【選択図】図8

Description

本発明は、GPSやジャイロセンサー等の検出値に基づいて、設定走行ラインに沿って自動的に走行するように構成された作業車に関する。
特許文献1に開示されているように、乗用型田植機等の作業車では、作業地の一方の端部から他方の端部に向って作業走行を行い、次に作業地の他方の端部で旋回して、次に作業地の他方の端部から一方の端部に向って作業走行を行っており、作業地の一方(他方)の端部から他方(一方)の端部への作業走行と、作業地の一方(他方)の端部での旋回とを繰り返している。
特許文献1では、基準走行ラインを設定すると(外部から得ると)、多数の設定走行ラインが、基準走行ラインと平行に、且つ、基準走行ラインから機体の横幅に相当する間隔を置いて並ぶように設定される。
これにより、特許文献1では、第1の設定走行ラインに沿って自動的に走行するように前輪が自動的に操向操作されて、第1の作業走行が行われるのであり、第1の作業走行が終了して機体が作業地の一方の端部に達すると、作業地の一方の端部で旋回が行われる。
次に第1の設定走行ラインの隣の第2の設定走行ラインに沿って自動的に走行するように前輪が自動的に操向操作されて、第2の作業走行が行われるのであり、第2の作業走行が終了して機体が作業地の他方の端部に達すると、作業地の他方の端部で旋回が行われる。
特開2008−92818号公報
特許文献1のような設定走行ラインに沿っての自動的な走行において、旋回が完全に終了していない状態において、設定走行ラインに沿っての自動的な走行が開始されようとした場合、設定走行ラインと機体の位置との間に大きな差が生じている可能性がある。
従って、設定走行ラインと機体の位置との間に大きな差が生じている状態で、設定走行ラインに沿っての自動的な走行が開始されると、機体は自動的に大きく向きや位置を変更しながら設定走行ラインの位置に移動しようとするので、機体の安定性という面で改善の余地がある。
本発明は、作業地の端部での旋回が終了した後に、設定走行ラインに沿っての自動的な走行が適切に開始されるようにすることを目的としている。
[I](構成)
本発明の第1特徴は、作業車において次のように構成することにある。
設定走行ラインを設定する設定部と、
前記設定走行ラインに沿って自動的に走行するように走行装置を操作する自動走行制御部とを備え、
前記自動走行制御部を作動状態と停止状態とに操作する操作部と、旋回の終了を検出する旋回終了検出部とを備えて、
前記旋回終了検出部により旋回の終了が検出されないと、前記操作部による前記自動走行制御部の作動状態への操作を阻止し、前記旋回終了検出部により旋回の終了が検出されると、前記操作部による前記自動走行制御部の作動状態への操作を許容する牽制部を備えている。
(作用及び発明の効果)
本発明の第1特徴によると、設定走行ラインに沿って自動的に走行するように走行装置を操作する自動走行制御部と、自動走行制御部を作動状態と停止状態とに操作する操作部と、旋回の終了を検出する旋回終了検出部とを備えている。
本発明の第1特徴によると、作業地の端部で旋回が行われて、次に操作部により自動走行制御部が作動状態に操作される状態において、旋回が終了していないと(旋回終了検出部により旋回の終了が検出されないと)、操作部による自動走行制御部の作動状態への操作が阻止される。
これにより、設定走行ラインと機体の位置との間に大きな差が生じている状態で、自動走行制御部が作動状態に操作されることが回避されるのであり、これによって機体の安定性を確保することができる。
[II](構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の作業車において次のように構成することにある。
事前に設定された基準方位を備えて、
前記設定部は、前記操作部により前記自動走行制御部が作動状態に操作された時点の機体の位置から、前記基準方位と平行に前記設定走行ラインを設定する。
(作用及び発明の効果)
本発明の第2特徴によると、操作部により自動走行制御部が作動状態に操作された時点の機体の位置から、基準方位と平行に設定走行ラインが設定される。
これにより、例えば第1の設定走行ラインに沿っての自動的な走行が終了して、作業地に達した場合、作業地の端部での旋回を、大きな旋回半径で行ったり、小さな旋回半径で行ったりすることによって、操作部により自動走行制御部が作動状態に操作された時点の機体の位置を、運転者の意思によって設定することが可能になるのであり、設定走行ラインの位置を運転者の意思によって設定することが可能になる。
[III](構成)
本発明の第3特徴は、本発明の第1又は第2特徴の作業車において次のように構成することにある。
前記操作部が、人為的に操作されることにより前記自動走行制御部を作動状態と停止状態とに操作するものである。
(作用及び発明の効果)
本発明の第3特徴によると、旋回終了検出部により旋回の終了が検出されて、自動走行制御部の作動状態への操作が許容された状態となった後、運転者が操作部を操作することにより、自動走行制御部を作動状態に操作することができる。
これにより、運転者の意思によって、自動走行制御部を作動状態に操作するか否かを決定することができる。
[IV](構成)
本発明の第4特徴は、本発明の第3特徴の作業車において次のように構成することにある。
走行用の変速装置を操作するもので人為的に操作される変速操作部に、前記操作部を備えている。
(作用及び発明の効果)
前項[III]に記載のように、運転者が操作部を操作する場合、本発明の第4特徴によると、走行用の変速装置を操作する変速操作部に操作部が備えられている。
これにより、運転者は変速操作部を操作しながら操作部を操作することができるのであり、操作性の良いものとなる。
[V](構成)
本発明の第5特徴は、本発明の第1〜第4特徴の作業車のうちのいずれか一つにおいて次のように構成することにある。
前記牽制部は、前記旋回終了検出部により旋回の終了が検出されてから機体が設定距離又は設定時間だけ走行した後に、前記操作部による前記自動走行制御部の作動状態への操作を許容する。
(作用及び発明の効果)
前項[I]に記載のように、旋回終了検出部により旋回の終了が検出されて、操作部による自動走行制御部の作動状態への操作が許容される状態となった場合、本発明の第5特徴によると、旋回終了検出部により旋回の終了が検出されてから機体が設定距離(設定時間)だけ走行した後に、操作部による自動走行制御部の作動状態への操作が許容される。
これにより、旋回の終了から設定距離(設定時間)だけ走行することによって、機体の姿勢を安定させることができるので、この後に自動走行制御部を作動状態に操作することにより、機体の安定性を確保することができる。
[VI](構成)
本発明の第6特徴は、本発明の第1〜第5特徴の作業車のうちのいずれか一つにおいて次のように構成することにある。
機体の方位を検出する方位検出部を備えて、
前記操作部による前記自動走行制御部の作動状態への操作が許容された状態で、前記操作部により前記自動走行制御部が作業状態に操作される状態において、
前記牽制部は、前記設定走行ラインと機体の方位との角度差が設定値を越えていると、前記操作部による前記自動走行制御部の作動状態への操作を阻止し、前記設定走行ラインと機体の方位との角度差が設定値を越えていないと、前記操作部による前記自動走行制御部の作動状態への操作を許容する。
(作用及び発明の効果)
前項[I][V]に記載のように、操作部による自動走行制御部の作動状態への操作が許容された状態となっても、操作部により自動走行制御部が作業状態に操作される際、実際には設定走行ラインと機体の方位との角度差が大きな状態となっていることが想定される。
前述の状態において、本発明の第6特徴によると、操作部による自動走行制御部の作動状態への操作が許容された状態となった後、操作部により自動走行制御部が作業状態に操作される際、設定走行ラインと機体の方位との角度差が設定値を越えていると、操作部による自動走行制御部の作動状態への操作が阻止される。
これにより、設定走行ラインと機体の方位との角度差が大きな状態で、自動走行制御部が作動状態に操作されることが回避されるのであり、これによって機体の安定性を確保することができる。
[VII](構成)
本発明の第7特徴は、本発明の第1〜第5特徴の作業車のうちのいずれか一つにおいて次のように構成することにある。
機体の方位を検出する方位検出部を備えて、
前記操作部による前記自動走行制御部の作動状態への操作が許容された状態で、前記操作部により前記自動走行制御部が作動状態に操作される状態において、前記設定走行ラインと機体の方位との角度差が設定値を越えていると、機体の走行速度を減速する自動減速部を備えている。
(作用及び発明の効果)
前項[I][V]に記載のように、操作部による自動走行制御部の作動状態への操作が許容された状態となっても、操作部により自動走行制御部が作業状態に操作される際、実際には設定走行ラインと機体の方位との角度差が大きな状態となっていることが想定される。
前述の状態において、本発明の第7特徴によると、操作部による自動走行制御部の作動状態への操作が許容された状態となった後、操作部により自動走行制御部が作業状態に操作される際、設定走行ラインと機体の方位との角度差が設定値を越えていると、機体の走行速度が自動的に減速されて、自動走行制御部が作動状態に操作されるのであり、これによって機体の安定性を確保することができる。
[VIII](構成)
本発明の第8特徴は、本発明の第7特徴の作業車において次のように構成することにある。
前記自動減速部により機体の走行速度が減速された状態であることを報知する減速報知部を備えている。
(作用及び発明の効果)
前項[VII]に記載ように、機体の走行速度が自動的に減速されて、自動走行制御部が作動状態に操作される場合、本発明の第8特徴によると、自動減速部により機体の走行速度が減速された状態であることが報知されるので、運転者は機体の走行速度が減速された状態を把握することができて、運転者の誤解を招くことがない。
[IX](構成)
本発明の第9特徴は、本発明の第1〜第8特徴の作業車のうちのいずれか一つにおいて次のように構成することにある。
前記牽制部は、機体の後進状態において前記操作部による前記自動走行制御部の作動状態への操作を阻止し、且つ、前記自動走行制御部の作動状態において機体が後進状態になると、前記自動走行制御部を停止状態に操作する。
(作用及び発明の効果)
本発明の第9特徴によると、機体の後進状態において自動走行制御部の作動状態となるというような機体の安定性を欠く状態を回避することができるのであり、これによって機体の安定性を確保することができる。
[X](構成)
本発明の第10特徴は、本発明の第9特徴の作業車において次のように構成することにある。
前記自動走行制御部の作動状態において機体が後進状態になったことによって、前記牽制部により前記自動走行制御部が停止状態に操作されたことを報知する後進停止報知部を備えている。
(作用及び発明の効果)
前項[IX]に記載のように、自動走行制御部の作動状態において機体が後進状態になったことにより、自動走行制御部が停止状態に操作された場合、本発明の第10特徴によると、牽制部により自動走行制御部が停止状態に操作された状態であることが報知されるので、運転者は自動走行制御部が停止状態に操作された状態を把握することができて、運転者の誤解を招くことがない。
[XI](構成)
本発明の第11特徴は、本発明の第1〜第10特徴の作業車のうちのいずれか一つにおいて次のように構成することにある。
前記牽制部により前記自動走行制御部の作動状態への操作が阻止された状態であることを報知する阻止報知部を備えている。
(作用及び発明の効果)
牽制部により自動走行制御部の作動状態への操作が阻止された場合、本発明の第11特徴によると、牽制部により自動走行制御部の作動状態への操作が阻止された状態であることが報知されるので、運転者は自動走行制御部の作動状態への操作が阻止された状態を把握することができて、運転者の誤解を招くことがない。
[XII](構成)
本発明の第12特徴は、本発明の第1〜第11特徴の作業車のうちのいずれか一つにおいて次のように構成することにある。
前記牽制部により前記操作部による前記自動走行制御部の作動状態への操作が許容された状態であることを報知する許容報知部を備えている。
(作用及び発明の効果)
牽制部により操作部による自動走行制御部の作動状態への操作が許容された場合、本発明の第12特徴によると、牽制部により操作部による自動走行制御部の作動状態への操作が許容された状態であることが報知されるので、運転者は牽制部により操作部による自動走行制御部の作動状態への操作が許容された状態であることを把握することができて、運転者の誤解を招くことがない。
[XIII](構成)
本発明の第13特徴は、本発明の第1〜第12特徴の作業車のうちのいずれか一つにおいて次のように構成することにある。
前記自動走行制御部の作動状態であることを報知する作動報知部を備えている。
(作用及び発明の効果)
本発明の第13特徴によると、自動走行制御部の作動状態であることが報知されることにより、運転者の誤解を招くことがない。
[XIV](構成)
本発明の第14特徴は、本発明の第1〜第13特徴の作業車のうちのいずれか一つにおいて次のように構成することにある。
前記旋回終了検出部は、機体に昇降自在に支持された作業装置が上昇位置から地面に下降したことを、旋回の終了として検出する。
(作用及び発明の効果)機体に作業装置を昇降自在に支持した作業車では、旋回の開始に伴って作業装置を地面から上昇させ、旋回の終了に伴って作業装置を地面に下降させることがある。
本発明の第14特徴によると、作業装置が上昇位置から地面に下降したことを、旋回の終了として検出することによって、旋回の終了を明確に検出することができる。
[XV](構成)
本発明の第15特徴は、本発明の第1〜第13特徴の作業車のうちのいずれか一つにおいて次のように構成することにある。
前記旋回終了検出部は、機体に支持された作業装置に動力を伝達する作業クラッチが伝動状態に操作されたことを、旋回の終了として検出する。
(作用及び発明の効果)
作業装置を備えた作業車では、旋回の開始に伴って作業クラッチを遮断状態に操作して作業装置を停止させ、旋回の終了に伴って作業クラッチを伝動状態に操作して作業装置を作動させることがある。
本発明の第15特徴によると、作業クラッチが伝動状態に操作されたことを、旋回の終了として検出することによって、旋回の終了を明確に検出することができる。
[XVI](構成)
本発明の第16特徴は、本発明の第1〜第13特徴の作業車のうちのいずれか一つにおいて次のように構成することにある。
前記旋回終了検出部は、人為的に操作されるもので機体の向きを変更する操向操作部が旋回位置から直進位置に操作されたことを、旋回の終了として検出する。
(作用及び発明の効果)
作業車には、人為的に操作されるもので機体の向きを変更する操向操作部(操縦ハンドルや操縦レバー等)が備えられているので、操向操作部が旋回位置から直進位置に操作されたことを、旋回の終了として検出することによって、旋回の終了を明確に検出することができる。
[XVII](構成)
本発明の第17特徴は、本発明の第1〜第13特徴の作業車のうちのいずれか一つにおいて次のように構成することにある。
右及び左の前記走行装置に動力を伝達する右及び左のサイドクラッチを備え、
旋回の開始に伴って旋回中心側の前記サイドクラッチを遮断状態に操作し、旋回の終了に伴って旋回中心側の前記サイドクラッチを伝動状態に操作するサイドクラッチ操作部を備えて、
前記旋回終了検出部は、旋回中心側の前記サイドクラッチが伝動状態に操作されたことを、旋回の終了として検出する。
(作用及び発明の効果)
作業車では、右及び左の走行装置に動力を伝達する右及び左のサイドクラッチを備えたものがあり、旋回の開始に伴って旋回中心側のサイドクラッチが遮断状態(旋回中心側の走行装置の自由回転状態)に操作され、旋回の終了に伴って旋回中心側のサイドクラッチが伝動状態(旋回中心側の走行装置の駆動状態)に操作されるように構成されたものがある。
本発明の第17特徴によると、旋回中心側のサイドクラッチが伝動状態に操作されたことを、旋回の終了として検出することによって、旋回の終了を明確に検出することができる。
[XVIII](構成)
本発明の第18特徴は、本発明の第1〜第13特徴の作業車のうちのいずれか一つにおいて次のように構成することにある。
前記走行装置は前輪及び後輪を備えており、
前輪及び後輪を略同じ速度で駆動する標準状態、並びに、前輪を後輪よりも高速で駆動する増速状態に操作自在な前輪増速装置と、
旋回の開始に伴って前記前輪増速装置を増速状態に操作し、旋回の終了に伴って前記前輪増速装置を標準状態に操作する操作装置とを備えて、
前記旋回終了検出部は、前記前輪増速装置が標準状態に操作されたことを、旋回の終了として検出する。
(作用及び発明の効果)
作業車では、前輪及び後輪を略同じ速度で駆動する標準状態、並びに、前輪を後輪よりも高速で駆動する増速状態に操作自在な前輪増速装置を備えたものがあり、旋回の開始に伴って前輪増速装置が増速状態に操作され、旋回の終了に伴って前輪増速装置が標準状態に操作されるように構成されたものがある。
本発明の第18特徴によると、前輪増速装置が標準状態に操作されたことを、旋回の終了として検出することによって、旋回の終了を明確に検出することができる。
[XIX](構成)
本発明の第19特徴は、本発明の第1〜第13特徴の作業車のうちのいずれか一つにおいて次のように構成することにある。
機体の方位を検出する方位検出部を備えて、
前記旋回終了検出部は、前記方位検出部の検出値に基づいて旋回の終了を検出する。
(作用及び発明の効果)
本発明の第19特徴によると、方位検出部を備えて機体の方位を検出することにより、旋回の終了を明確に検出することができる。
乗用型田植機の全体側面図である。 乗用型田植機の全体平面図である。 前輪の操向操作系、前輪及び後輪への伝動系を示す概略平面図である。 制御装置と各部との連係状態を示す図である。 乗用型田植機の作業形態の概略を示す平面図である。 乗用型田植機の作業形態において、始点位置K1から終点位置K2の状態を示す平面図である。 乗用型田植機の作業形態において、始点位置K1から位置K3の状態を示す平面図である。 乗用型田植機の作業形態において、始点位置K1から位置K4の状態を示す平面図である。 乗用型田植機の作業形態において、始点位置K1から位置K5の状態を示す平面図である。 乗用型田植機の作業形態において、始点位置K1から位置K6の状態を示す平面図である。 乗用型田植機の作業形態において、始点位置K1から位置K7の状態を示す平面図である。 乗用型田植機の作業形態における制御の流れを示す図である。 乗用型田植機の作業形態における制御の流れを示す図である。 乗用型田植機の作業形態における制御の流れを示す図である。 発明の実施の第3別形態において、機体の状態を示す概略平面図である。 発明の実施の第5別形態において、制御装置と各部との連係状態を示す図である。 発明の実施の第8別形態において、前輪の操向操作系、前輪及び後輪への伝動系を示す概略図である。
本発明の実施形態における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、以下のように記載している。機体の作業走行時における前進側の進行方向が「前」であり、後進側の進行方向が「後」である。前後方向での前向き姿勢を基準として右側に相当する方向が「右」であり、左側に相当する方向が「左」である。
[1]
図1及び図2に示すように、右及び左の前輪1(走行装置に相当)、右及び左の後輪2(走行装置に相当)を備えた機体の後部に、リンク機構3及びリンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダ4が備えられており、リンク機構3の後部に8条植え型式の苗植付装置5(作業装置に相当)が支持されて、作業車の一例である乗用型田植機が構成されている。
図1及び図2に示すように、苗植付装置5は、左右方向に所定間隔を置いて配置された4個の植付伝動ケース6、植付伝動ケース6の後部の右及び左側部に回転自在に支持された回転ケース7、回転ケース7の両端に備えられた一対の植付アーム8、フロート9及び苗のせ台10等を備えて、8条植え型式に構成されている。
図1及び図4に示すように、右及び左のマーカー19が苗植付装置5の右及び左側部に備えられており、田面に接地して作業行程L01〜L05(図5参照)の指標を形成する作用姿勢(図1参照)、及び田面から上方に離れた格納姿勢(図4参照)に変更自在に構成されている。右及び左のマーカー19は上下に揺動自在に苗植付装置5に支持されたアーム部19aと、アーム部19aの先端部に自由回転自在に支持された回転体19bとを備えて構成されており、右及び左のマーカー19を作用姿勢及び格納姿勢に操作する電動モータ21が備えられて、制御装置23により電動モータ21が操作される。
[2]
右及び左の前輪1、右及び左の後輪2への伝動系について説明する。
図1及び図3に示すように、機体の前部に備えられたエンジン31の動力が、伝動ベルト32を介して静油圧式無段変速装置33(走行用の変速装置に相当)及びミッションケース34に伝達され、ミッションケース34の内部の副変速装置(図示せず)から、前輪デフ機構(図示せず)及び前車軸ケース35の内部の伝動軸(図示せず)を介して、右及び左の前輪1に伝達される。
図1及び図3に示すように、副変速装置の動力が伝動軸36、後車軸ケース37の入力軸38、入力軸38に固定されたベベルギヤ38a、ベベルギヤ38aに咬合するベベルギヤ39a、ベベルギヤ39aが固定された伝動軸39、右及び左のサイドクラッチ40を介して、右及び左の後輪2に伝達される。
図1,2,4に示すように、操縦ハンドル20(操向操作部に相当)の左の横側に変速レバー45(変速操作部に相当)が備えられており、変速レバー45により静油圧式無段変速装置33が操作される。変速レバー45により、静油圧式無段変速装置33を中立位置Nから前進側F及び後進側Rに無段階に操作することができる。
図3に示すように、ミッションケース34の下部の縦軸芯P2周りに、操向部材41(サイドクラッチ操作部に相当)が揺動自在に支持され、操縦ハンドル20により操向部材41が揺動操作されるように構成されており、操向部材41と右及び左の前輪1とに亘ってタイロッド42が接続されている。操縦ハンドル20を操作することによって、右及び左の前輪1を直進位置A1から、右及び左の操向限度A3に亘って操向操作することができる。
図3に示すように、右及び左のサイドクラッチ40は摩擦多板式に構成されており、バネ(図示せず)により伝動状態に付勢されている。右及び左のサイドクラッチ40をバネに抗して遮断状態に操作する右及び左の操作軸43が、後車軸ケース37に下向きに支持されて、操向部材41と右及び左の操作軸43とに亘り、右及び左の操作ロッド44(サイドクラッチ操作部に相当)が接続されている。右及び左の操作ロッド44において右及び左の操作軸43との接続部分に、融通としての長孔44aが備えられている。
図3に示すように、右及び左の前輪1が直進位置A1、右及び左の設定角度A2の範囲に操向操作されていると、右及び左の操作ロッド44の長孔44aの融通によって、右及び左のサイドクラッチ40は伝動状態に操作されている。これにより右及び左の前輪1、右及び左の後輪2(右及び左のサイドクラッチ40の伝動状態)に動力が伝達された状態で、機体は前進(後進)する。
図3に示すように、右及び左の前輪1が右の設定角度A2を越えて右の操向限度A3側に操向操作されると、右の操作ロッド44の長孔44aの範囲を越えて右(左)の操作ロッド44が引き操作されることになり、右の操作軸43により右のサイドクラッチ40が遮断状態に操作される。これにより、右及び左の前輪1、左の後輪2(旋回外側)(左のサイドクラッチ40の伝動状態)に動力が伝達され、右の後輪2(旋回中心側)(右のサイドクラッチ40の遮断状態)が自由回転する状態で、機体は右に旋回する。
図3に示すように、右及び左の前輪1が左の設定角度A2を越えて左の操向限度A3側に操向操作されると、左の操作ロッド44の長孔44aの範囲を越えて左の操作ロッド44が引き操作されることになり、左の操作軸43により左のサイドクラッチ40が遮断状態に操作される。これにより、右及び左の前輪1、右の後輪2(旋回外側)(右のサイドクラッチ40の伝動状態)に動力が伝達され、左の後輪2(旋回中心側)(左のサイドクラッチ40の遮断状態)が自由回転する状態で、機体は左に旋回する。
図3に示すように、右及び左の前輪1が右(左)の操向限度A3側から右(左)の設定角度A2を越えて直進位置A1側に操向操作されると、遮断状態に操作されていた右(左)のサイドクラッチ40が伝動状態に操作されて、右及び左のサイドクラッチ40が伝動状態に操作された状態に復帰する。
[3]
苗植付装置5への伝動系について説明する。
図1及び図4に示すように、ミッションケース34において、副変速装置の直前から分岐した動力が、植付クラッチ26(作業クラッチに相当)及びPTO軸25を介して苗植付装置5に伝達されており、植付クラッチ26を伝動及び遮断状態に操作する電動モータ28が備えられている。
図1及び図2に示すように、植付クラッチ26が伝動状態に操作されると、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が図1の紙面反時計方向に回転駆動され、苗のせ台10の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面に植え付ける。植付クラッチ26が遮断状態に操作されると、苗のせ台10の往復横送り駆動及び回転ケース7の回転駆動が停止する。
[4]
苗植付装置5の自動昇降制御部59について説明する。
図4に示すように、苗植付装置5の横軸芯P1周りに中央のフロート9の後部が上下に揺動自在に支持されて、苗植付装置5に対する中央のフロート9の高さを検出するポテンショメータ型式の高さセンサー22が備えられており、高さセンサー22の検出値が制御装置23に入力されている。機体の進行に伴って中央のフロート9が田面に接地追従するのであり、高さセンサー22の検出値により、田面(中央のフロート9)から苗植付装置5までの高さを検出することができる。
図4に示すように、自動昇降制御部59がソフトウェアとして制御装置23に備えられており、油圧シリンダ4に作動油を給排操作する制御弁24が、自動昇降制御部59により操作される。制御弁24により油圧シリンダ4に作動油が供給されると、油圧シリンダ4が収縮作動して苗植付装置5が上昇し、制御弁24により油圧シリンダ4から作動油が排出されると、油圧シリンダ4が伸長作動して苗植付装置5が下降する。
図4に示すように、田面(中央のフロート9)から苗植付装置5までの高さに基づいて苗植付装置5が田面から設定高さに維持されるように(高さセンサー22の検出値(高さセンサー22と中央のフロート9との上下間隔)が設定値に維持されるように)、自動昇降制御部59により制御弁24が操作されて、油圧シリンダ4が伸縮作動し、苗植付装置5が自動的に昇降する。
[5]
昇降レバー11について説明する。
図1,2,4に示すように、運転座席13の右横側に昇降レバー11が備えられ、昇降レバー11は自動位置、上昇位置、中立位置、下降位置及び植付位置に操作自在に構成されており、昇降レバー11の操作位置が制御装置23に入力されている。機体に対するリンク機構3の上下角度を検出するポテンショメータ29が備えられており、ポテンショメータ29の検出値が制御装置23に入力されている。
図4に示すように、昇降レバー11を上昇位置、中立位置、下降位置及び植付位置に操作した場合(昇降レバー11を自動位置に操作していない場合)、後述の[6]に記載の操作レバー12の第1及び第2上昇位置U1,U2の機能、第1及び第2下降位置D1,D2の機能は作動せず、操作レバー12の右及び左マーカー位置R,Lの機能だけが作動する。
図4に示すように、昇降レバー11を上昇位置に操作すると、自動昇降制御部59が停止状態となり、電動モータ28により植付クラッチ26が遮断状態に操作され、電動モータ21により右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作され、制御弁24が供給位置に操作され、油圧シリンダ4が収縮作動して苗植付装置5が上昇する。苗植付装置5が上限位置に達したことがポテンショメータ29により検出されると、制御弁24が中立位置に操作されて、油圧シリンダ4が自動的に停止する。
図4に示すように、昇降レバー11を下降位置に操作すると、自動昇降制御部59が停止状態となり、電動モータ28により植付クラッチ26が遮断状態に操作され、電動モータ21により右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作された状態で、制御弁24が排出位置に操作され、油圧シリンダ4が伸長作動して苗植付装置5が下降する。
図4に示すように、昇降レバー11を下降位置に操作した状態で、中央のフロート9が田面に接地すると、中央のフロート9が少し上昇するので、中央のフロート9が田面に接地したこと(中央のフロート9が少し上昇したこと)が高さセンサー22により検出されると、自動昇降制御部59が作動状態となり、苗植付装置5が田面に接地して停止した状態となる。
図4に示すように、昇降レバー11を中立位置に操作すると、自動昇降制御部59が停止状態となり、電動モータ28により植付クラッチ26が遮断状態に操作され、電動モータ21により右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作された状態で、制御弁24が中立位置に操作されて、油圧シリンダ4が停止する。このように昇降レバー11を上昇位置、中立位置及び下降位置に操作することにより、苗植付装置5を任意の高さに上昇及び下降させて停止させることができる。
図4に示すように、昇降レバー11を植付位置に操作すると、電動モータ21により右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作された状態で、自動昇降制御部59が作動状態となり、電動モータ28により植付クラッチ26が伝動状態に操作される。これにより、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って回転ケース7が回転駆動され、苗のせ台10の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面に植え付ける。
[6]
操作レバー12について説明する。
図1,2,4に示すように、操縦ハンドル20の下側の右の横側に操作レバー12が備えられて、操作レバー12が右の横外側に延出されている。操作レバー12は中立位置Nから上側の第1上昇位置U1、第2上昇位置U2,下側の第1下降位置D1、第2下降位置D2、後側の右マーカー位置R及び前側の左マーカー位置Lの十字方向に操作自在に構成されて、中立位置Nに付勢されており、操作レバー12の操作位置が制御装置23に入力されている。
図4に示すように、昇降レバー11を自動位置に操作した状態で、以下のように操作レバー12の機能が作動する。
図4に示すように、操作レバー12を第2上昇位置U2に操作すると、電動モータ28により植付クラッチ26が遮断状態に操作され、自動昇降制御部59が停止状態となり、電動モータ21により右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作されて、制御弁24が供給位置に操作され、油圧シリンダ4が収縮作動して苗植付装置5が上昇する。苗植付装置5が上限位置に達したことがポテンショメータ29により検出されると、制御弁24が中立位置に操作されて、油圧シリンダ4が自動的に停止する。
図4に示すように、操作レバー12を第2下降位置D2に操作すると、電動モータ28により植付クラッチ26が遮断状態に操作され、自動昇降制御部59が停止状態となり、電動モータ21により右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作された状態で、制御弁24が排出位置に操作され、油圧シリンダ4が伸長作動して苗植付装置5が下降する。中央のフロート9が田面に接地すると、自動昇降制御部59が作動状態となって、苗植付装置5が田面に接地して停止した状態となる(前項[5]に記載の昇降レバー11を下降位置に操作した状態を参照)。
操作レバー12を第2下降位置D2に操作して中立位置Nに操作した後、操作レバー12を再び第2下降位置D2に操作すると、自動昇降制御部59の作動状態で、電動モータ28により植付クラッチ26が伝動状態に操作される。
自動昇降制御部59の停止状態で、電動モータ28により植付クラッチ26が遮断状態に操作され、電動モータ21により右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作された状態において、図4に示すように、操作レバー12を第1上昇位置U1に操作すると、制御弁24が供給位置に操作され、油圧シリンダ4が収縮作動して、操作レバー12が第1上昇位置U1に操作されている間だけ苗植付装置5が上昇する。操作レバー12を中立位置Nに操作すると、制御弁24が中立位置に操作されて苗植付装置5の上昇が停止する。
自動昇降制御部59の停止状態で、電動モータ28により植付クラッチ26が遮断状態に操作され、電動モータ21により右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作された状態において、図4に示すように、操作レバー12を第1下降位置D1に操作すると、制御弁24が排出位置に操作され、油圧シリンダ4が伸長作動して、操作レバー12が第1下降位置D1に操作されている間だけ苗植付装置5が下降する。操作レバー12を中立位置Nに操作すると、制御弁24が中立位置に操作されて苗植付装置5の下降が停止する。
以上のように操作レバー12を第1上昇及び第1下降位置U1,D1に操作している間だけ、苗植付装置5を上昇及び下降させることができるのであり、苗植付装置5を任意の高さに上昇及び下降させて停止させることができる。
図4に示すように、操作レバー12を右マーカー位置Rに操作すると、電動モータ21により右のマーカー19が作用姿勢に操作される。操作レバー12を左マーカー位置Lに操作すると、電動モータ21により左のマーカー19が作用姿勢に操作される。
以上のように、前項[5]に記載の昇降レバー11及び本項[6]に記載の操作レバー12により、苗植付装置5の昇降、植付クラッチ26の操作、右及び左のマーカー19の操作を行うのであり、後述する[9]〜[13]における苗植付装置5の昇降(自動昇降制御部59の作動及び停止)、植付クラッチ26の操作、右及び左のマーカー19の操作を、昇降レバー11又は操作レバー12によって行う。
[7]
機体の位置検出及び方位検出の構成について説明する。
図1及び図2に示すように、機体の前部の右部及び左部に右及び左の支持フレーム16が備えられており、支持フレーム16に予備苗のせ台15が支持されている。右及び左の支持フレーム16の上部に亘って支持フレーム17が連結されている。
図1及び図2に示すように、支持フレーム17において、平面視で機体の左右中央CLに位置する部分に、計測装置30が取り付けられている。計測装置30には、衛星測位システムにより位置情報を取得する受信装置(図示せず)、機体の傾き(ピッチ角、ロール角)を検出する慣性計測装置(図示せず)が備えられている。
図1及び図2に示すように、後車軸ケース37において、平面視で機体の左右中央CLに位置する部分に、慣性情報を計測する慣性計測装置48が取り付けられており、慣性計測装置48及び計測装置30の慣性計測は、IMU(Inertial Measurement Unit)により構成されている。
前述の衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satelite System)には、代表的なものとしてGPS(Global Positioning System)が挙げられる。GPSは、地球の上空を周回する複数のGPS衛星や、GPS衛星の追跡と管制を行う管制局や、測位を行う対象(機体)が備える受信装置を使用して、計測装置30の受信装置の位置を計測するものである。
慣性計測装置48は、機体のヨー角度(機体の旋回角度)の角速度を検出可能なジャイロセンサー(図示せず)、及び、互いに直交する3軸方向の加速度を検出する加速度センサー(図示せず)を備えている。慣性計測装置48により計測される慣性情報には、ジャイロセンサーにより検出される方位変化情報と、加速度センサーにより検出される位置変化情報と、が含まれている。
[8]
自動走行に関する構成について説明する。
図1,2,4に示すように、変速レバー45の操作位置が制御装置23に入力されている。機体の前部において平面視で機体の左右中央CLの位置に、センターマスコット14が備えられている。操向部材41を操向操作する操向モータ51が備えられている。
図3及び図4に示すように、外周部に小さな凹凸が多数形成されたリング部材49が、右及び左のサイドクラッチ40のクラッチケースに外嵌されており、近接センサー型式の右及び左の回転数センサー50が、リング部材49に対向するように後車軸ケース37の上部に固定され、右及び左の回転数センサー50の検出値が制御装置23に入力されている。
リング部材49の凹凸に対応するように右及び左の回転数センサー50からパルスが発信されるのであり、右及び左の回転数センサー50のパルスによって、右及び左の後輪2の回転数を検出することができる。
図4に示すように、基準方位設定部60、設定部61、自動走行制御部62、旋回終了検出部63、牽制部64、後進停止報知部65、阻止報知部66、許容報知部67、作動報知部68、走行距離検出部69がソフトウェアとして制御装置23に備えられている。
図2及び図4に示すように、自動走行制御部62を作動状態及び停止状態に人為的に操作する操作ボタン18(操作部に相当)が、変速レバー45の握り部に備えられており、操作ボタン18の操作信号が制御装置23に入力される。
図2及び図4に示すように、操縦ハンドル20の前部に表示パネル27が備えられて、表示パネル27の右側に始点設定スイッチ46が備えられ、表示パネル27の左側に終点設定スイッチ47が備えられており、始点及び終点設定スイッチ46,47の操作信号が制御装置23に入力される。
[9]
乗用型田植機の作業形態について説明する。
例えば図5に示すように、平面視で四角形の水田において、乗用型田植機は以下のような作業形態を採用することがある。
最初に図5に示す位置(始点位置K1)に機体を位置させて、苗植付装置5を田面に下降させ、左のマーカー19を作用姿勢(右のマーカー19は格納姿勢)に操作する。この状態において植付クラッチ26を遮断状態に操作して畦Bに沿って走行し(自動昇降制御部59の作動状態)、左のマーカー19により次の作業行程L01の指標を田面に形成する(基準作業行程LA1)。
前述のように基準作業行程LA1において、植付クラッチ26を伝動状態に操作しないのに、苗植付装置5を田面に下降させて走行するのは、前輪1及び後輪2の通過跡を苗植付装置5のフロート9によって消す為である。
図5に示すように、基準作業行程LA1から機体が畦際に達すると、苗植付装置5を田面から上昇させて(自動昇降制御部59の停止状態)、旋回LL1(左方向)を行い、苗植付装置5を田面に下降させて(自動昇降制御部59の作動状態)、植付クラッチ26を伝動状態に操作して、作業行程L01に入る。
作業行程L01において、左のマーカー19を格納姿勢に操作し、右のマーカー19を作用姿勢に操作して、基準作業行程LA1において田面に形成された指標に沿って機体を走行させることにより、苗の植え付けを行いながら、右のマーカー19により次の作業行程L02の指標を田面に形成する。
図5に示すように作業行程L01から機体が畦際に達すると、植付クラッチ26を遮断状態に操作し、苗植付装置5を田面から上昇させて(自動昇降制御部59の停止状態)、旋回LL2(右方向)を行い、苗植付装置5を田面に下降させて(自動昇降制御部59の作動状態)、植付クラッチ26を伝動状態に操作して、作業行程L02に入る。
作業行程L02において、右のマーカー19を格納姿勢に操作し、左のマーカー19を作用姿勢に操作して、作業行程L01において田面に形成された指標に沿って機体を走行させることにより、苗の植え付けを行いながら、左のマーカー19により次の作業行程L03の指標を田面に形成する。
図5に示すように、複数回の作業行程L01,L02,L03,L04,L05及び旋回LL1(左方向),LL2(右方向),LL3(左方向),LL4(右方向),LL5(左方向)を行うと、畦Bに沿って苗の植え付けが行われていない部分が形成される。この状態において、作業行程L05から機体が畦際に達すると、植付クラッチ26を遮断状態に操作し、苗植付装置5を田面から上昇させて(自動昇降制御部59の停止状態)、旋回LL6(右方向)を行い、位置K10に機体を位置させる。
図5に示すように、位置K10において、苗植付装置5を田面に下降させ(自動昇降制御部59の作動状態)、植付クラッチ26を伝動状態に操作して、右及び左のマーカー19を格納姿勢に操作した状態で、畦Bに沿って走行する(回り作業行程)。これにより、作業行程L01〜L05において、苗の植え付けが行われていない部分に対して、苗の植え付けを行う。
[10]
前項[9]及び図5において説明した乗用型田植機の作業形態に対して、本発明を適用した状態について説明する(その1)。
図6及び図12に示すように、機体を始点位置K1に位置させた状態において、運転者が始点設定スイッチ46を操作すると(ステップS1)、計測装置30の検出値に基づいて始点設定スイッチ46が操作された時点の機体の位置が、始点位置K1として設定される(ステップS2)。
次に図6及び図12に示すように、運転者は、苗植付装置5を田面に下降させ(自動昇降制御部59の作動状態)、左のマーカー19を作用姿勢(右のマーカー19は格納姿勢)に操作し、植付クラッチ26を遮断状態に維持する。運転者は、操縦ハンドル20及び変速レバー45を操作して、機体を畦Bに沿って走行させて、左のマーカー19により次の作業行程L01の指標を田面に形成する(基準作業行程LA1)。
図6及び図12に示すように、基準作業行程LA1から機体が畦際に達して、運転者が終点設定スイッチ47を操作すると(ステップS3)、計測装置30の検出値に基づいて終点設定スイッチ47が操作された時点の機体の位置が、終点位置K2として設定される(ステップS4)。終点位置K2が設定されると、基準方位設定部60により、始点位置K1と終点位置K2とを結ぶ直線(方位)が、基準方位Eとして設定される(ステップS5)。
次に、図7及び図12に示すように、運転者は、苗植付装置5を上昇させ(自動昇降制御部59の停止状態、植付クラッチ26の遮断状態、右及び左のマーカー19の格納姿勢)、操縦ハンドル20及び変速レバー45を操作して旋回LL1を行う。
基準作業行程LA1において左のマーカー19により次の作業行程L01の指標が田面に形成されているので、運転座席13に着座する運転者は、旋回LL1においてセンターマスコット14と前述の指標を目視しながら、前述の田面の指標を目標にして操縦ハンドル20を操作して、機体を位置K3に位置させる。
この場合、旋回LL1において、苗植付装置5を上昇させていることによって、旋回終了検出部63により旋回の終了が検出されない状態であるので(ステップS6)、牽制部64により自動走行制御部62の作動状態への操作が阻止された状態となる。
従って、前述の状態で運転者が操作ボタン18を操作しても(ステップS7)、牽制部64により自動走行制御部62の作動状態への操作が阻止されるのであり(ステップS8)、阻止報知部66が作動して、自動走行制御部62の作動状態への操作が阻止された状態であることが報知される(表示パネル27での表示及び音声による報知)(ステップS9)。
[11]
前項[9]及び図5において説明した乗用型田植機の作業形態に対して、本発明を適用した状態について説明する(その2)。
図7及び図12に示すように、旋回LL1を終了して機体が位置K3に位置すると、運転者は、苗植付装置5を田面に下降させ(自動昇降制御部59の作動状態)(ステップS10)、植付クラッチ26を伝動状態に操作して、右のマーカー19を作用姿勢に操作する(左のマーカー19は格納姿勢)。これにより、運転者は、操縦ハンドル20及び変速レバー45を操作して次の作業行程L01に入る。
前述のように、苗植付装置5の下降により、中央のフロート9が田面に接地したこと(中央のフロート9が少し上昇したこと)が高さセンサー22により検出されると(前項[5]参照)(ステップS10)、旋回終了検出部63により旋回の終了が検出された状態となる(ステップS11)。この場合、牽制部64により自動走行制御部62の作動状態への操作が阻止された状態が維持される。
図7及び図13に示すように、作業行程L01に入ると、回転数センサー50の検出値に基づいて走行距離検出部69により、機体の走行距離Dの検出が開始される(ステップS12)。
図8及び図13に示すように、機体の走行距離Dが設定距離D1に達するまでの間において、運転者が操作ボタン18を操作しても(ステップS13)、牽制部64により自動走行制御部62の作動状態への操作が阻止されるのであり(ステップS14)、阻止報知部66が作動して、自動走行制御部62の作動状態への操作が阻止された状態であることが報知される(表示パネル27での表示及び音声による報知)(ステップS15)。
図8及び図13に示すように、走行距離検出部69により、機体の走行距離Dが設定距離D1に達したことが検出されると(位置K4)(ステップS16)、牽制部64により自動走行制御部62の作動状態への操作が許容された状態となるのであり(ステップS17)、許容報知部67が作動して、自動走行制御部62の作動状態への操作が許容された状態であることが報知される(表示パネル27での表示及び音声による報知)(ステップS18)。
[12]
前項[9]及び図5において説明した乗用型田植機の作業形態に対して、本発明を適用した状態について説明する(その3)。
図8及び図13に示すように、牽制部64により自動走行制御部62の作動状態への操作が許容された状態において(位置K4)、運転者が操作ボタン18を操作すると(ステップS19)、自動走行制御部62が作動状態となるのであり(ステップS20)、作動報知部68が作動して、自動走行制御部62の作動状態であることが報知される(表示パネル27での表示及び音声による報知)(ステップS21)。
図8及び図13に示すように、自動走行制御部62が作動状態となるのと同時に、計測装置30の検出値に基づいて設定部61により、自動走行制御部62が作動状態となった時点の機体の位置(位置K4)から、基準方位Eと平行に設定走行ラインLB1が設定される(ステップS22)。
この場合、自動走行制御部62が作動状態となった時点の機体の位置(位置K4)が、基準作業行程LA1において左のマーカー19により田面に形成された作業行程L01の指標から外れていれば、前述の指標と設定走行ラインLB1とは一致しない。
これにより、図9及び図13に示すように、自動走行制御部62の作動状態において、計測装置30及び慣性計測装置48の検出値に基づいて、機体が設定走行ラインLB1に沿って自動的に走行するように、自動走行制御部62により操向モータ51が操作される(前輪1が自動的に操向操作される)。
この場合、運転者が変速レバー45を操作することにより、静油圧式無段変速装置33を操作して、機体の走行速度を変更することができる。
[13]
前項[9]及び図5において説明した乗用型田植機の作業形態に対して、本発明を適用した状態について説明する(その4)。
図9及び図13に示すように、作業行程L01を終了して機体が畦Bに達すると(位置K5)、運転者は操作ボタン18を操作して自動走行制御部62を停止状態に操作する(ステップS23)。
次に前項[10]に記載の旋回LL1と同様に、図10及び図14に示すように、運転者は、苗植付装置5を上昇させ(自動昇降制御部59の停止状態、植付クラッチ26の遮断状態、右及び左のマーカー19の格納姿勢)、操縦ハンドル20及び変速レバー45を操作して旋回LL2を行う。
この場合、旋回LL1と同様に、運転座席13に着座する運転者は、センターマスコット14、及び、作業行程L01において右のマーカー19により田面に形成された次の作業行程L02の指標を目視しながら、前述の田面の指標を目標にして操縦ハンドル20を操作して、機体を位置K6に位置させて、作業行程L02に入る。
図11に示すように、旋回LL2及び位置K6から位置K7において、図12及び図13のステップS6〜S22と同じ操作が行われて、設定走行ラインLB2が設定されるのであり、自動走行制御部62の作動状態において(作業行程L02)、計測装置30及び慣性計測装置48の検出値に基づいて、機体が設定走行ラインLB2に沿って自動的に走行するように、自動走行制御部62により操向モータ51が操作される(前輪1が自動的に操向操作される)。
この後、図5に示す作業行程L02〜L05及び旋回LL3〜LL5において、図12及び図13のステップS6〜S22と同じ操作が行われる。
以上の作業行程L01〜L05での自動走行制御部62の作動状態において、運転者が変速レバー45を後進側Rに操作すると、牽制部64により自動走行制御部62が停止状態に操作され、現在の設定走行ラインLB1(LB2)が消去される。これと同時に後進停止報知部65が作動して、自動走行制御部62が停止状態に操作された状態であることが報知される(表示パネル27での表示及び音声による報知)。
この場合、変速レバー45が後進側Rに操作されたことに基づいて自動走行制御部62が停止状態に操作された状態において、運転者が操作ボタン18を操作しても、牽制部64により自動走行制御部62の作動状態への操作が阻止される。
前述のように変速レバー45が後進側Rに操作されたことに基づいて自動走行制御部62が停止状態に操作された状態において、運転者が変速レバー45を中立位置N又は前進側Fに操作した場合、図13のステップS12〜S19と同様に、運転者が変速レバー45を中立位置N又は前進側Fに操作してから機体が設定距離D1だけ走行した後に、牽制部64により自動走行制御部62の作動状態への操作が許容された状態となる。
この後、牽制部64により自動走行制御部62の作動状態への操作が許容された状態において、運転者が操作ボタン18を操作すると、自動走行制御部62が作動状態となるのであり、自動走行制御部62が作動状態となった時点の機体の位置から、基準方位Eと平行に新たな設定走行ラインLB1(LB2)が設定される。
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための形態]において、基準方位Eの設定、及び、操作ボタン18が操作される毎の設定走行ラインLB1,LB2の設定を行わずに、事前に水田(圃場)の位置情報をマップデータとして備え、水田(圃場)のマップデータにおいて設定走行ラインLB1,LB2を事前に設定しておいてもよい。
この場合、複数の設定走行ラインLB1,LB2を互いに平行に設定するのではなく、複数の設定走行ラインLB1,LB2を互いに傾斜するように設定したり、複数の設定走行ラインLB1,LB2を互いに直交するように設定したりすることもある。
前述のように、水田(圃場)のマップデータを備えておくと、機体の位置と畦Bとの位置関係を認識することができる。
この場合、自動走行制御部62の作動状態において、機体が畦Bに接近すると、畦Bに接近したことの報知を行うように構成すればよく、自動走行制御部62の停止状態において、機体が畦Bに接近しても、畦Bに接近したことの報知を行わないように構成してもよい。
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]において、設定距離D1(図8及び図11、図13のステップS12〜S16参照)に代えて、機体が設定時間だけ走行すると、牽制部64により自動走行制御部62の作動状態への操作が許容された状態となるように構成してもよい。
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]において、設定距離D1(図8及び図11、図13のステップS12〜S16参照)を廃止して、旋回LL1〜LL5を終了すると(旋回終了検出部63により旋回の終了が検出された状態になると)、直ちに牽制部64により自動走行制御部62の作動状態への操作が許容された状態となるように構成してもよい。
同様に、前述の[発明を実施するための形態]の[13]において、後進側Rに操作されていた変速レバー45が中立位置N又は前進側Fに操作されると、直ちに牽制部64により自動走行制御部62の作動状態への操作が許容された状態となるように構成してもよい。
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態][発明の実施の第2別形態]において、以下に示す機能を牽制部64に備えてもよい。
図15に示すように、牽制部64により自動走行制御部62の作動状態への操作が許容された状態において、運転者が操作ボタン18を操作した場合、計測装置30(方位検出部に相当)及び慣性計測装置48(方位検出部に相当)により、運転者が操作ボタン18を操作した時点の機体の方位E1が検出される。
前述の機体の方位E1の検出と同時に、設定走行ラインLB1,LB2(基準方位E)と機体の方位E1とが比較されて、設定走行ラインLB1,LB2(基準方位E)と機体の方位E1との角度差θ1が設定値を越えていないと、自動走行制御部62が作動状態に維持される(自動走行制御部62の作動状態への操作が許容される)。
前述の機体の方位E1の検出と同時に、設定走行ラインLB1,LB2(基準方位E)と機体の方位E1とが比較されて、設定走行ラインLB1,LB2(基準方位E)と機体の方位E1との角度差θ1が設定値を越えていると、自動走行制御部62が停止状態に操作される(自動走行制御部62の作動状態への操作が阻止される)。
この場合、角度差θ1が設定値を越えていることが報知されるので(表示パネル27での表示及び音声による報知)、運転者は操縦ハンドル20を操作して、機体の方位E1を設定走行ラインLB1,LB2(基準方位E)に沿わせる(角度差θ1を設定値よりも小さくなるようにする)。
この後、角度差θ1が設定値よりも小さくなると、牽制部64により自動走行制御部62の作動状態への操作が許容された状態となるのであり、許容報知部67が作動して、自動走行制御部62の作動状態への操作が許容された状態であることが報知される(表示パネル27での表示及び音声による報知)。
これにより、運転者が操作ボタン18を操作することにより、自動走行制御部62が作動状態に操作される。
[発明の実施の第4別形態]
前述の[発明の実施の第3別形態]において、運転者が操作ボタン18を操作した時点の機体の方位E1が検出された場合、設定走行ラインLB1,LB2(基準方位E)と機体の方位E1とを比較するのではなく、以下に記載のように構成してもよい。
運転者が操作ボタン18を操作した時点の機体の位置と、この位置から所定距離だけ後側(過去)の機体の位置とを、直線で結んだ方位を検出して、この方位と機体の方位E1とを比較して、角度差θ1を求める。この比較の結果(角度差θ1)に基づいて、前述の[発明の実施の第3別形態]に記載の操作を行う。
[発明の実施の第5別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第4別形態]において、図16に示すように、自動減速部70及び減速報知部71を、制御装置23にソフトウェアとして備えてもよい。
図15に示すように、牽制部64により自動走行制御部62の作動状態への操作が許容された状態において、運転者が操作ボタン18を操作した場合、計測装置30(方位検出部に相当)及び慣性計測装置48(方位検出部に相当)により、運転者が操作ボタン18を操作した時点の機体の方位E1が検出される。
前述の機体の方位E1の検出と同時に、設定走行ラインLB1,LB2(基準方位E)と機体の方位E1とが比較されて、設定走行ラインLB1,LB2(基準方位E)と機体の方位E1との角度差θ1が設定値を越えていると、自動減速部70によりアクチュエータ52が作動して、変速レバー45(静油圧式無段変速装置33)が低速側に操作される(又はエンジン31のアクセルレバー(図示せず)が低速側に操作される)。
これと同時に、減速報知部71が作動して、自動減速部70により機体の走行速度が減速された状態であることが報知される(表示パネル27での表示及び音声による報知)。
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態][発明の実施の第2別形態]では、自動走行制御部62が作動状態に操作された状態で、自動減速部70により機体の走行速度が減速された状態となる。
この後、自動走行制御部62により(又は運転者が操向モータ51に抗して操縦ハンドル20を操作して)、角度差θ1が設定値よりも小さくなると、自動減速部70が停止して、この状態が報知(表示パネル27での表示及び音声による報知)されるので、運転者は変速レバー45(又はアクセルレバー)を高速側(元の操作位置)に操作することができる。
前述の[発明の実施の第3別形態][発明の実施の第4別形態]では、自動走行制御部62が停止状態に操作された状態(自動走行制御部62の作動状態への操作が阻止された状態)で、自動減速部70により機体の走行速度が減速された状態となる。
この後、運転者が操縦ハンドル20を操作して、角度差θ1が設定値よりも小さくなると、自動減速部70が停止して、この状態が報知(表示パネル27での表示及び音声による報知)されるので、運転者は変速レバー45(又はアクセルレバー)を高速側(元の操作位置)に操作することができ、操作ボタン18を操作して自動走行制御部62を作動状態に操作することができる。
本項[発明の実施の第4別形態]において、角度差θ1が設定値よりも小さくなると、自動減速部70が停止して、アクチュエータ52により変速レバー45(又はアクセルレバー)が自動的に元の操作位置に操作されるように構成してもよい。
[発明の実施の第6別形態]
前述の[発明の実施の第5別形態]において、角度差θ1が設定値を越えていると、変速レバー45(静油圧式無段変速装置33)を高速側に操作できないように構成し(アクセルレバーを高速側に操作できないように構成し)、機体の走行速度を高速にできない状態であることが報知されるように構成してもよい。(表示パネル27での表示及び音声による報知)。
この後、運転者が操縦ハンドル20を操作して、角度差θ1が設定値よりも小さくなると、自動減速部70が停止して、この状態が報知(表示パネル27での表示及び音声による報知)されるので、運転者は変速レバー45(又はアクセルレバー)を高速側に操作することができ、操作ボタン18を操作して自動走行制御部62を作動状態に操作することができる。
[発明の実施の第7別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第6別形態]において、苗植付装置5の下降により中央のフロート9が田面に接地したこと(中央のフロート9が少し上昇したこと)が高さセンサー22により検出されると、旋回終了検出部63により旋回の終了が検出された状態となる構成に代えて、以下の(1)〜(6)に記載の構成によって、旋回終了検出部63により旋回の終了が検出された状態となるように構成してもよい。
(1)
植付クラッチ26(作業装置に動力を伝達する作業クラッチ)(図4参照)が伝動状態に操作された状態。
(2)
右(左)のマーカー19(図4参照)が作用姿勢に操作された状態。
(3)
操向部材41(操縦ハンドル20)(右及び左の前輪1)(図3参照)が、右(左)の操向限度A3側から右(左)の設定角度A2を越えて、直進位置A1側に操作された状態(旋回位置から直進位置に操作された状態に相当)。
(4)
遮断状態に操作されていた右(左)のサイドクラッチ40(図3参照)が伝動状態に操作されて、右及び左のサイドクラッチ40が伝動状態に操作された状態に復帰した状態。
(5)
計測装置30(方位検出部に相当)及び慣性計測装置48(方位検出部に相当)により機体の方位E1を検出して、運転者が操作ボタン18を操作して自動走行制御部62が停止状態に操作されてから、機体の方位E1が設定角度(例えば180°程度)だけ変化した状態。
(6)
操作ボタン18とは別に備えられた旋回終了スイッチ(図示せず)が運転者により人為的に操作された状態。
この場合、前述の苗植付装置5の下降により中央のフロート9が田面に接地した状態、及び前項(1)〜(6)の状態の7つの状態において、この7つの状態から2つ以上の状態を選択し、選択された2つ以上の状態が成立すると、旋回終了検出部63により旋回の終了が検出された状態となるように構成してもよい。
[発明の実施の第8別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第7別形態]において、以下に示す構成を備えてもよい。
図17に示すように、エンジン31の動力が静油圧式無段変速装置33に伝達され、ミッションケース53のギヤ変速式の副変速装置(図示せず)及び後輪デフ機構(図示せず)を介して右及び左の後輪2に伝達される。副変速装置と後輪デフ機構との間から分岐した動力が、前輪増速装置54、伝動軸55及び前輪デフ機構56を介して右及び左の前輪1に伝達される。
図17に示すように、前輪増速装置54は、前輪1及び後輪2を略同じ速度で駆動する標準状態、並びに、前輪1を後輪2よりも高速で駆動する増速状態に操作自在に構成されている。前輪1の操向操作系と前輪増速装置54とが、操作装置57(連係ロッドや連係リンク等)により連係されており、前輪増速装置54が以下に示すように操作される。
図17に示すように、右及び左の前輪1が直進位置A1、右及び左の設定角度A2の範囲で操向操作されていると、前輪増速装置54は標準状態に操作される。
右及び左の前輪1が右の設定角度A2を越えて右(左)の操向限度A3側に操向操作されると、前輪増速装置54が増速状態に操作される。これにより、前輪1が後輪2よりも高速で駆動された状態で、機体は右(左)に旋回する。右及び左の前輪1が左の設定角度A2を越えて直進位置A1側に操向操作されると、前輪増速装置54が標準状態に操作される。
以上の構成において、前輪増速装置54が標準状態に操作されると、旋回終了検出部63により旋回の終了が検出された状態となるように構成する。
この場合に、後輪デフ機構と右の後輪2との間に右のサイドブレーキ(図示せず)を備えて、後輪デフ機構と左の後輪2との間に左のサイドブレーキ(図示せず)を備えてもよい。
右及び左の前輪1が右の設定角度A2を越えて右(左)の操向限度A3側に操向操作されると、前輪増速装置54が増速状態に操作され、且つ、右(左)のサイドブレーキが制動状態に操作されて(左(右)のサイドブレーキは解除状態)、前輪1が後輪2よりも高速で駆動され、且つ旋回中心側の後輪2に制動が掛けられた状態で、機体は右(左)に旋回する。右及び左の前輪1が左の設定角度A2を越えて直進位置A1側に操向操作されると、前輪増速装置54が標準状態に操作され、且つ、右(左)のサイドブレーキが解除状態に操作される。
[発明の実施の第9別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第7別形態]において、以下に示す構成を備えてもよい。
右及び左の前輪1、右及び左の後輪2に代えて、右及び左のクローラ走行装置(走行装置に相当)(図示せず)を備える。計測装置30及び慣性計測装置48の検出値に基づいて、機体が設定走行ラインLB1に沿って自動的に走行するように、自動走行制御部62は右及び左のクローラ走行装置の駆動速度に差を発生させて、機体の操向操作を行う。
右及び左のクローラ走行装置が同じ駆動速度で駆動されている状態(右及び左のクローラ走行装置の駆動速度の差が設定値以下の状態)であると、旋回状態ではないと判断される。右及び左のクローラ走行装置の駆動速度の差が設定値を越えると、旋回状態であると判断される。
以上の構成において、右及び左のクローラ走行装置の駆動速度の差が設定値を越えた状態から、右及び左のクローラ走行装置の駆動速度の差が設定値以下の状態になると、旋回終了検出部63により旋回の終了が検出された状態となるように構成する。
[発明の実施の第10別形態]
作業車の一例であるトラクタでは、機体の後部にロータリ耕耘装置(作業装置に相当)(図示せず)が昇降自在に支持される。作業車の一例であるコンバインでは、機体の前部に刈取装置(作業装置に相当)(図示せず)が昇降自在に支持される。
ロータリ耕耘装置(刈取装置)を地面に下降させる場合、ロータリ耕耘装置(刈取装置)を作動させた状態(作業クラッチの伝動状態)で、ロータリ耕耘装置(刈取装置)を上昇位置から地面に下降させることが多い。
これにより、ロータリ耕耘装置を地面に下降させる場合、機体に対するロータリ耕耘装置の高さを検出する高さセンサー(図示せず)の検出値、又はロータリ耕耘装置の後部のカバーセンサー(図示せず)の後側(上側)への移動に基づいて、ロータリ耕耘装置が地面に下降したこと(耕耘爪が地面に接地したこと)を検出する。
刈取装置を地面に下降させる場合、機体に対する刈取装置の高さを検出する高さセンサー(図示せず)の検出値、又は刈取装置に備えられた株元センサー(図示せず)による圃場の穀稈の検出に基づいて、刈取装置が地面に下降したことを検出する。
[発明の実施の第11別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第10別形態]において、操作ボタン18を廃止し、制御装置23にソフトウェアとして操作部を備えてもよい。
これにより、旋回終了検出部63により旋回の終了が検出された状態となり、牽制部64により自動走行制御部62の作動状態への操作が許容された状態となると、制御装置23の操作部により自動的に自動走行制御部62が作動状態に操作されるように構成すればよい。
[発明の実施の第12別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第11別形態]において、以下に示すように構成してもよい。
図13のステップS21において、作動報知部68が作動して、自動走行制御部62の作動状態であることが報知される場合(表示パネル27での表示及び音声による報知)、始点及び終点設定スイッチ46,47に内装されたランプ(図示せず)を点滅させることにより、自動走行制御部62の作動状態であることを報知するように構成する。
図12及び図13のステップS9,S15において、阻止報知部66が作動して、牽制部64により自動走行制御部62の作動状態への操作が阻止された状態であることが報知される場合、例えば表示パネル27での表示を行い、音声による報知は行わない。表示パネル27での表示を行わず、音声による報知を行う。表示パネル27での表示及び音声による報知を行わない。
自動走行制御部62が停止状態であることの報知(表示パネル27での表示や音声による報知等)を行う。又は、自動走行制御部62が停止状態であると、何も報知しない。
前述の各種の報知(表示パネル27での表示や音声による報知等)を行う状態と、行わない状態とに、人為的に切換自在な操作スイッチ(図示せず)を備える。
本発明は、乗用型田植機ばかりではなく、乗用型直播機や、コンバイン、トラクタ等の作業車、土木建設用の作業車にも適用できる。
1 走行装置、前輪
2 走行装置、後輪
5 作業装置
18 操作部
20 操向操作部
26 作業クラッチ
30,48 方位検出部
33 走行用の変速装置
40 サイドクラッチ
41,44 サイドクラッチ操作部
45 変速操作部
54 前輪増速装置
57 操作装置
61 設定部
62 自動走行制御部
63 旋回終了検出部
64 牽制部
65 後進停止報知部
66 阻止報知部
67 許容報知部
68 作動報知部
70 自動減速部
71 減速報知部
D1 設定距離
E 基準方位
E1 機体の方位
LB1,LB2 設定走行ライン
LL1,LL2 旋回
θ1 角度差

Claims (6)

  1. 設定走行ラインを設定する設定部と、
    前記設定走行ラインに沿って自動的に走行するように走行装置を操作する自動走行制御部とを備え、
    前記自動走行制御部を作動状態と停止状態とに操作する操作部と、旋回の終了を検出する旋回終了検出部とを備えて、
    前記旋回終了検出部により旋回の終了が検出されないと、前記操作部による前記自動走行制御部の作動状態への操作を阻止し、前記旋回終了検出部により旋回の終了が検出されると、前記操作部による前記自動走行制御部の作動状態への操作を許容する牽制部とを備え、
    前記旋回終了検出部は、機体に昇降自在に支持された作業装置の上昇位置から下降位置への下降を、旋回の終了として検出する作業車。
  2. 前記旋回終了検出部は、前記作業装置の上昇位置から地面に下降したことを、旋回の終了として検出する請求項1に記載の作業車。
  3. 事前に設定された基準方位を備えて、
    前記設定部は、前記操作部により前記自動走行制御部が作動状態に操作された時点の機体の位置から、前記基準方位と平行に前記設定走行ラインを設定する請求項1又は2に記載の作業車。
  4. 前記操作部が、人為的に操作されることにより前記自動走行制御部を作動状態に操作するものである請求項1〜3のうちのいずれか一つに記載の作業車。
  5. 走行用の変速装置を操作するもので人為的に操作される変速操作部に、前記操作部を備えている請求項4に記載の作業車。
  6. 前記牽制部は、前記旋回終了検出部により旋回の終了が検出されてから機体が設定距離又は設定時間だけ走行した後に、前記操作部による前記自動走行制御部の作動状態への操作を許容する請求項1〜5のうちのいずれか一つに記載の作業車。
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