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JP2019133056A - クリーニングブレードおよびこれを備えた画像形成装置 - Google Patents

クリーニングブレードおよびこれを備えた画像形成装置 Download PDF

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JP2019133056A JP2018016344A JP2018016344A JP2019133056A JP 2019133056 A JP2019133056 A JP 2019133056A JP 2018016344 A JP2018016344 A JP 2018016344A JP 2018016344 A JP2018016344 A JP 2018016344A JP 2019133056 A JP2019133056 A JP 2019133056A
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憲俊 萩本
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Abstract

【課題】回転体に対する当接圧のばらつきを抑制することのできるクリーニングブレードおよびこれを備えた画像形成装置を提供する。【解決手段】クリーニングブレード71は、回転体としての感光体1に付着した異物を除去するクリーニングブレードである。クリーニングブレード71は、当接部材21と、当接部材21を支持する支持部材22と、支持部材22を保持する保持部材23とを備える。当接部材21は、感光体1に当接する当接層31と、当接層31以外の部分である調整層32とを含む。感光体1の回転の際に感光体1から当接部材21に摩擦力が加えられた場合に、調整層32の伸び率は当接層31の伸び率よりも大きい。【選択図】図4

Description

本発明は、クリーニングブレードおよびこれを備えた画像形成装置に関する。より特定的には、回転体に付着した異物を除去するクリーニングブレードおよびこれを備えた画像形成装置に関する。
電子写真式の画像形成装置には、スキャナー機能、ファクシミリ機能、複写機能、プリンターとしての機能、データ通信機能、およびサーバー機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)、ファクシミリ装置、複写機、プリンターなどがある。
画像形成装置は、一般に次のような方法で用紙に画像を形成する。画像形成装置は、像担持体上に静電潜像を形成し、現像器を用いて静電潜像を現像してトナー像を形成する。次に画像形成装置は、トナー像を用紙へ転写し、定着装置によってトナー像を用紙に定着させる。また、画像形成装置の中には、感光体にトナー像を形成し、1次転写ローラーを用いてトナー像を中間転写ベルトに転写し、2次転写ローラーを用いて中間転写ベルト上のトナー像を用紙へ2次転写するものも存在する。
画像形成装置には、回転する像担持体に当接することにより、像担持体から残トナーを除去するクリーニングブレードが設けられている。クリーニングブレードは、一般的に、ポリウレタンエラストマーよりなっている。ポリウレタンエラストマーは適切な弾力性を有しているため、ポリウレタンエラストマーよりなるクリーニングブレードは良好なクリーニング性を有している。
一方で、ポリウレタンエラストマーよりなるクリーニングブレードには次のような問題があった。
クリーニングブレードは像担持体に常に当接している。ポリウレタンエラストマーが経時劣化すると、像担持体から受ける力によりクリーニングブレードには永久歪(ヘタリ)が生じ、永久歪によってクリーニングブレードが像担持体に当接する圧力(当接圧)が低下するという問題があった。クリーニングブレードの当接圧の低下はクリーニング不良の要因となる。また、ポリウレタンエラストマーの経時劣化に起因するクリーニングブレードの当接圧の低下を補うために、クリーニングブレードの使用開始初期の当接圧を高く設定した場合には、クリーニングブレードの高い当接圧が像担持体の回転の妨げとなり、像担持体の回転に必要なトルクの増加を招いていた。
加えて、ポリウレタンエラストマーよりなるクリーニングブレードは、環境による性能の変化が大きかった。すなわち、高温の環境下では当接圧が高くなり像担持体の回転に必要なトルクが増加し、低温の環境下では当接圧が低くなっていた。そこで、低温の環境下において必要な当接圧を確保することができるような高い値に当接圧が設定されていた。その結果、像担持体の回転に必要なトルクの増加を招いていた。
さらに、ポリウレタンエラストマーの特性上、クリーニングブレードにおける像担持体に当接しているエッジ部が像担持体の回転方向下流側に引き込まれた場合には、クリーニングブレードが変形して、当接圧が増加する。その結果、像担持体の回転に必要なトルクの増加を招いていた。
上述のようなポリウレタンエラストマーよりなるクリーニングブレードの問題を解決し得る技術が、下記特許文献1などに開示されている。下記特許文献1におけるクリーニングブレードは、像担持体に当接するウレタンゴムなどよりなる弾性体と、弾性体を支持する金属製の板バネと、板バネを保持する金属製の保持板金とを備えている。板バネの先端は保持板金から突出しており、板バネにおける保持板金から突出した部分に弾性体は支持されている。下記特許文献1のクリーニングブレードによれば、像担持体に当接する弾性体と、弾性体を支持する板バネとが別部材で構成されているため、経時劣化や環境による性能の変化の少なさという観点で最適な材料を板バネの材料として選択することができる。
従来のクリーニングブレードの構成は、下記特許文献2〜5などにも開示されている。下記特許文献2には、金属板の一面に弾性層が形成されてなるクリーニングブレードにおいて、弾性層を、クリーニング対象に当接するクリーニング層とクリーニング層以外のバックアップ層とからなる多層構造とする技術が開示されている。バックアップ層のヤング率または硬度の少なくとも一方はクリーニング層より大きい。
下記特許文献3には、板の縁が像担持体の表面に当接して、像担持体の表面から残留トナーを除去するブレードと、ブレードの表裏面のうち像担持体に対向しない裏面を覆った、ブレードのたわみの恒久化を抑制する補助部材と、本体筐体と補助部材との間に介在して補助部材とともにブレードを本体筐体に対して支持する支持部材とを備えたクリーニング装置が開示されている。支持部材は、少なくとも一部に弾性部材を有しており、ブレードが像担持体に当接することによる応力を弾性部材で受ける。
下記特許文献4および5には、弾性ブレードを含むクリーニング装置が開示されている。弾性ブレードは、先端稜線部を備えるエッジ層であって、23℃における100%モジュラス値が6MPa以上であるエッジ層と、エッジ層よりも100%モジュラス値が低いバックアップ層とを含んでいる。
特開2007−323026号公報 特開2008−122821号公報 特開2005−309383号公報 特開2014−115528号公報 特開2014−170118号公報
特許文献1のクリーニングブレードでは、金属製の板バネに対して弾性体が接着剤などを用いて固定される。クリーニングブレードの長手方向(像担持体の回転軸の延在方向)で板バネと弾性体との間隔を均一にすることは困難であり、板バネにおける突出した部分の先端付近において、クリーニングブレードの長手方向における弾性体の高さにばらつきが生じていた。その結果、クリーニングブレードの長手方向において、像担持体に対するクリーニングブレードの当接状態が不均一となり、当接圧にばらつきが生じていた。
像担持体に対するクリーニングブレードの当接圧にばらつきが生じると、次の2つの問題が生じる。
当接圧のばらつきによる1つ目の問題は、像担持体の減耗ムラに起因する濃度ムラである。当接圧にばらつきが生じると、当接圧が高い部分では像担持体の減耗が多くなり、当接圧が低い部分では像担持体の減耗が少なくなる。減耗が多い部分と減耗が少ない部分との差が生じると濃度ムラが生じる。すなわち、像担持体が感光体である場合には、感光体の感光層の厚さにより感光体の帯電量に差が生じる。帯電方式により帯電の仕方が異なるが、たとえば感光体の帯電方式がコロナ帯電方式である場合には、感光層が薄い部分に堆積する負イオンは少なく、感光層が薄い部分の電位は他の部分の電位よりも低くなる。また感光体の帯電方式がローラー帯電などの近接帯電方式である場合には、感光層が薄い部分の静電容量は他の部分よりも大きくなり、感光層が薄い部分の電位は他の部分の電位よりも高くなる。電位のばらつきが生じると、現像するトナーの量に差が生じ、濃度ムラとなる。
当接圧のばらつきによる2つ目の問題は、クリーニング不良である。クリーニング不良の原因は主に像担持体に対するクリーニングブレードの当接圧が低くなることである。通常、当接圧が低くなる原因としては、印刷枚数の増加に伴うクリーニングブレードの先端部の摩耗と、経時劣化によるクリーニングブレードの永久歪とがある。引用文献1のような板バネで弾性体を指示する構成のクリーニングブレードでは、使用初期の当接圧を低く設定することができるため、クリーニングブレードの先端部の摩耗速度が他の構成と比較して遅く、経時劣化によるクリーニングブレードの永久歪が他の構成と比較して小さい。しかし、当接圧のばらつきが存在する場合には、クリーニングブレードの摩耗が進行するとクリーニングブレードの長手方向の一部でクリーニングに必要な当接圧を下回り、クリーニング不良が生じる。
当接圧のばらつきは、接着によるクリーニングブレードの高さのばらつきだけが原因でなく、そもそも金属製の板バネとウレタンゴムを固定したことも原因である。金属製の板バネは可撓性があるが、撓む方向は当接圧を与える方向だけであり、感光体の回転方向に対してはほぼ剛体の特性となる。ウレタンゴムの先端部(エッジの反対側)は金属製の板バネに固定されており、ほぼ拘束されている。このような状態では引込量が小さくなる。引込量が小さいことは、変形が少なくトルク上昇を抑制したり、エッジの変形によるウレタンの劣化を抑制する効果があるが、当接圧のばらつきを吸収できないという弊害もある。たとえば、同じ高さのばらつきがある場合でも引込量が小さいと引込量に対する高さのばらつきの比率は高く、当接圧のばらつきは大きくなる。従来のウレタンゴムのみのクリーニングブレードであれば、ウレタンゴムの高さにばらつきがあっても、金属製の板バネに拘束されていないため引込量が大きく、引込量に対する高さのばらつきの比率が低く、当接圧のばらつきは少ない。よって、クリーニングブレードの長手方向における弾性体の高さのばらつきは、当接部材が支持部材によって支持されたクリーニングブレードに特有の問題である。
上述の問題は、像担持体に付着した異物を除去するクリーニングブレードのみでなく、回転体に付着した異物を除去するクリーニングブレード全般において起こり得る問題であった。
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、回転体に対する当接圧のばらつきを抑制することのできるクリーニングブレードおよびこれを備えた画像形成装置を提供することである。
本発明の一の局面に従うクリーニングブレードは、回転体に付着した異物を除去するクリーニングブレードであって、当接部材と、当接部材を支持する支持部材と、支持部材を保持する保持部材とを備え、当接部材は、回転体に当接する当接層と、当接層以外の部分である調整層とを含み、回転体の回転の際に回転体から当接部材に摩擦力が加えられた場合に、調整層の伸び率は当接層の伸び率よりも大きい。
上記クリーニングブレードにおいて好ましくは、伸び率が0%である長さから100%である長さまで調整層を伸ばすのに必要な引張り応力の積分値は、伸び率が0%である長さから100%である長さまで当接層を伸ばすのに必要な引張り応力の積分値よりも低い。
上記クリーニングブレードにおいて好ましくは、調整層の200%モジュラスは当接層の200%モジュラスよりも低い。
上記クリーニングブレードにおいて好ましくは、当接層の破断伸びは調整層の破断伸びよりも大きい。
上記クリーニングブレードにおいて好ましくは、当接層および調整層は所定の積層方向に積層される。
上記クリーニングブレードにおいて好ましくは、当接層の積層方向の厚みを厚みt1とし、調整層の積層方向の厚みを厚みt2とした場合、厚みt1およびt2は、t1<t2の関係を有する。
上記クリーニングブレードにおいて好ましくは、当接層の積層方向の長さである厚みを厚みt1とし、調整層の積層方向の長さである厚みを厚みt2とし、当接層の100%モジュラスをモジュラスM1とし、調整層の100%モジュラスをモジュラスM2とした場合、厚みt1およびt2、ならびにモジュラスM1およびM2は、(t2×M1)/(t1×M2)>3の関係を有する。
上記クリーニングブレードにおいて好ましくは、調整層は当接層よりも支持部材に近い側に配置され、調整層は支持部材に接着される。
上記クリーニングブレードにおいて好ましくは、支持部材のヤング率は98GPa以上206GPa以下である。
上記クリーニングブレードにおいて好ましくは、支持部材は金属製の板バネよりなり、保持部材は板金よりなる。
上記クリーニングブレードにおいて好ましくは、支持部材の厚さは0より大きく100μm以下である。
上記クリーニングブレードにおいて好ましくは、保持部材は支持部材の一方の端部を保持し、当接部材は支持部材の他方の端部に固定される。
上記クリーニングブレードにおいて好ましくは、保持部材は、当接部材が回転体に当接する位置の側に存在する第1の保持部材面と、第1の保持部材面とは反対側に存在する第2の保持部材面とを含み、支持部材は、当接部材が回転体に当接する位置の側に存在する第1の支持部材面と、第1の支持部材面とは反対側に存在し、第1の保持部材面と対向する第2の支持部材面とを含み、当接部材は第1の支持部材面に固定される。
上記クリーニングブレードにおいて好ましくは、調整層は支持部材に固定され、当接層は支持部材に固定されない。
本発明の他の局面に従う画像形成装置は、回転体である像担持体と、像担持体に付着した異物を除去する上記クリーニングブレードとを備える。
本発明によれば、回転体に対する当接圧のばらつきを抑制することのできるクリーニングブレードおよびこれを備えた画像形成装置を提供することができる。
本発明の一実施の形態における画像形成装置の主要部の構成を示す断面図である。 本発明の一実施の形態における感光体清掃部7の構成を示す断面図である。 本発明の一実施の形態におけるクリーニングブレード71の構成を示す上面図である。 図3中IV−IV線に沿った断面図の一例である。 第1の比較例におけるクリーニングブレード1071aの構成を示す断面図である。 図5中Vで示す方向から見た場合のクリーニングブレード1071aの構成を示す図である。 第1の比較例のクリーニングブレード1071aにおける当接部材21のエッジの引込量を模式的に示す図である。 第2の比較例におけるクリーニングブレード1071bの構成を示す断面図である。 第3の比較例のクリーニングブレード1071cにおける当接部材21のエッジの引込量を模式的に示す図である。 図9に示すクリーニングブレード1071cにおける当接部材21のエッジの拡大図である。 本発明の一実施の形態におけるクリーニングブレード71の引込量を模式的に示す図である。 図11に示すクリーニングブレード71における当接部材21のエッジの拡大図である。 本発明の一実施の形態における当接層31および調整層32の各々のSS(Stress−Strain)特性と、応力ST1が加えられた場合の伸び率EL1およびEL2とを示す図である。 本発明の一実施の形態における当接層31および調整層32の各々のSS特性と、伸び率が0%である長さから100%である長さまで伸ばすのに必要な引張り応力の積分値S1およびS2とを示す図である。 本発明の一実施の形態における当接層31および調整層32の各々のSS特性と、200%モジュラスM11およびM12とを示す図である。 本発明の一実施の形態における当接層31および調整層32の各々のSS特性と、破断伸びBL1およびBL2とを示す図である。 本発明の第1の実施例における本発明例1〜5および比較例1〜5の構成および検証結果を示す表である。 本発明の第1の実施例における各種条件を示す表である。 本発明の第2の実施例における(t2×M1)/(t1×M2)の値と引込量との関係を示す図である。 本発明の一実施の形態におけるクリーニングブレード71の変形例の構成を示す断面図である。
以下、本発明の一実施の形態について、図面に基づいて説明する。
以下の実施の形態では、クリーニングブレードが搭載される画像形成装置がMFPである場合について説明する。クリーニングブレードが搭載される画像形成装置はMFPの他、ファクシミリ装置、複写機、またはプリンターなどであってもよい。
[画像形成装置の構成]
始めに、本実施の形態における画像形成装置の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態における画像形成装置の主要部の構成を示す断面図である。
図1を参照して、本実施の形態における画像形成装置は、フルカラータンデム型の画像形成装置である。画像形成装置は、電子写真方式の画像形成プロセスにより感光体1上に形成したトナー像を、用紙などの記録媒体Tに転写し、定着して画像形成を行うものである。画像形成装置は、感光体1(回転体および像担持体の一例)と、帯電部2と、露光部3と、現像装置4と、中間転写ベルト5と、1次転写ローラー6と、感光体清掃部7と、2次転写ローラー8と、中間転写ベルト清掃部9と、定着部11と、支持ローラー12とを備えている。
感光体1、帯電部2、露光部3、現像装置4、1次転写ローラー6、および感光体清掃部7は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、およびK(トナー)の各色について設けられている。感光体1の周囲には、矢印αで示す感光体1の回転方向に沿って、帯電部2、露光部3、現像装置4、および感光体清掃部7がこの順序で配置されている。中間転写ベルト5は、感光体1の下部に設けられており、矢印βで示す方向に回転する。1次転写ローラー6は、中間転写ベルト5を介して感光体1と対向している。
2次転写ローラー8は、中間転写ベルト5における各色の1次転写ローラー6よりも中間転写ベルト5の回転方向の下流側の位置に配置されている。2次転写ローラー8は、中間転写ベルト5を挟んで所定の支持ローラー12と対向している。中間転写ベルト清掃部9は、中間転写ベルト5における2次転写ローラー8と対向する位置よりも中間転写ベルト5の回転方向の下流側の位置に配置されている。
複数の支持ローラー12の各々は、互いに平行に配置されており、中間転写ベルト5に対して一定の張力を与えている。複数の支持ローラー12のうち1つの支持ローラー13は回転駆動され、それによって中間転写ベルト5は回転する。他の支持ローラー12は中間転写ベルト5に従動して回転する。定着部11は、搬送経路TRにおける2次転写ローラー8よりも下流側に配置されている。
感光体1は、その表層に静電潜像を担持する。帯電部2は、感光体1表面を一様に帯電する。露光部3は、感光体1表面の画像対応部を露光して静電潜像を形成する。現像装置4は、電界力の作用により、感光体1表面の静電潜像を帯電したトナーにより現像する。1次転写ローラー6は、感光体1表面に形成されたトナー像を電界力の作用で中間転写ベルト5上に転写する。感光体清掃部7は、感光体1表面に残留したトナー(転写残トナー)を除去する。
YMCK各色のトナー像は中間転写ベルト5表面に重ねて転写され、2次転写ローラー8と対向する位置まで搬送される。一方、記録媒体Tは、図示しない搬送部によって搬送経路TRに沿って2次転写ローラー8まで搬送される。
2次転写ローラー8は、中間転写ベルト5表面に転写されたYMCKのトナー像を、電界力の作用により記録媒体Tへと転写する。トナー像が転写された記録媒体Tは定着部11によって加熱および加圧される。これによってトナー像は記録媒体Tに定着される。その後記録媒体Tは、搬送経路TRに沿って搬送され、画像形成装置の外部に排出される。中間転写ベルト清掃部9は、中間転写ベルト5に当接しており、中間転写ベルト5表面に残留したトナー(転写残トナー)を除去(清掃)する。
上述の画像形成装置の構成は一例である。画像形成装置における感光体、帯電部、露光部、現像装置、清掃部、転写部、定着部などの構成としては、周知の電子写真方式の技術を任意に選択して使用されてもよい。
続いて、本実施の形態における感光体清掃部7の構成について説明する。
図2は、本発明の一実施の形態における感光体清掃部7の構成を示す断面図である。図2では、説明の便宜のため、感光体1が示されている。
図2を参照して、感光体清掃部7は、クリーニングブレード71と、ハウジング72と、スクリュー73と、トナーシール部材74とを含んでいる。クリーニングブレード71は、感光体1に当接しており、感光体1に付着した異物である残トナー(転写残トナー)を除去する。ハウジング72は、クリーニングブレード71によって除去された残トナーを収容するものであり、クリーニングブレード71およびスクリュー73を収容している。スクリュー73は、クリーニングブレード71によって除去された残トナーを、図示しない廃トナー収容ボックスに搬送する。トナーシール部材74は、ハウジング72内を密閉することにより、除去された残トナーが感光体1周辺に飛散することを防止し、感光体1表面の汚染を防止する。
クリーニングブレード71は、感光体1に当接する当接部材21と、当接部材21を支持する支持部材22と、支持部材22を保持する保持部材23とを含んでいる。保持部材23はハウジング72に固定されている。支持部材22が板バネとして作用することにより、当接部材21は感光体1に対して必要な当接圧で当接する。これにより、1次転写後の感光体1表面の転写残トナーが当接部材21によって掻き取られて除去される。当接部材21は感光体1に対して矢印F1で示す方向に当接している。当接部材21は、感光体1に当接する当接機能を有している。支持部材22は、クリーニングブレード71において、当接部材21を支持する支持機能を有している。
[クリーニングブレードの構成]
続いて、本実施の形態におけるクリーニングブレードの構成について説明する。
図3は、本発明の一実施の形態におけるクリーニングブレード71の構成を示す上面図である。図4は、図3中IV−IV線に沿った断面図の一例である。図3および図4では、説明の便宜のため、感光体1が示されており、支持部材22が撓んでいない状態で示されている。実際には感光体1から受ける力により支持部材22は撓んでいる。
以降の説明において、クリーニングブレード71における感光体1に近い端部(図3中右端部)を先端部と記し、図3におけるクリーニングブレード71における感光体1から遠い端部(図3中左端部)を後端部と記すことがある。
図3および図4を参照して、当接部材21は、板状であり、上方から見た場合に矩形状を有している。当接部材21は、平面である上面21aと、上面21aとは反対側に存在する平面である下面21bとを含んでいる。当接部材21は、上面21aと先端部211との境界であるエッジ付近において感光体1と当接しており、下面21bにおいて支持部材22に支持されている。
当接部材21は弾性体よりなっている。具体的には、当接部材21は、ウレタンゴム、フッ素ゴム(FKM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、またはアクリロニトリルゴム(NBR)などよりなっている。当接部材21は、耐摩耗性や耐オゾン性に優れた材料よりなっていることが好ましい。当接部材21は、0.5mm以上2.0mm以下の厚さ(図4中縦方向の長さ)を有していることが好ましい。
当接部材21は、当接層31と、調整層32とを含んでいる。当接層31は、感光体1に当接している。調整層32は、当接層31以外の当接部材21の部分である。感光体1の回転の際に感光体1から当接部材21に摩擦力が加えられた場合に、調整層32の伸び率は当接層31の伸び率よりも大きい。
本実施の形態において、当接層31および調整層32は所定の積層方向(ここでは、支持部材22の上面22aに対して垂直な方向、図4中縦方向)に積層されている。調整層32は当接層31よりも支持部材22に近い側に配置されており、調整層32は支持部材22に接着材24で固定されている。当接層31は支持部材22に固定されていない。調整層32を支持部材22に接着される層とすることで、エッジ(先端部211と上面21aとの境界)からより遠い位置において当接圧のばらつきを抑制することができる。当接層31の積層方向の厚みを厚みt1とし、調整層32の積層方向の厚みを厚みt2とした場合、厚みt1およびt2は、t1<t2の関係を有していることが好ましい。
本実施の形態では、当接部材21を当接層31と調整層32とで構成することにより、当接部材21が有する当接機能と支持機能とが、それぞれ当接層31と調整層32とにより果たされる。すなわち、当接層31は、感光体1に当接するエッジを有しており、感光体1に当接する当接機能を有している。当接機能は、残留トナーをエッジで堰き止めるクリーニング性、長期にわたってクリーニングを行うための耐摩耗性、および感光体1を傷つけないように当接する機能などを含んでいる。調整層32は、感光体1に対するクリーニングブレード71の当接圧のばらつきを抑制する機能である調整機能を有している。
クリーニングブレード71の長手方向(図3中矢印LGで示す方向)に沿った当接部材21の長さW1(感光体1の回転軸方向の長さ)は、感光体1の画像形成領域の長さW2よりも長い。クリーニングブレード71を金型で成型する場合には、当接部材21の厚さや長さW1は上述の範囲よりも小さくてもよい。クリーニングブレード71の短手方向(図3中矢印PRで示す方向)に沿った当接部材21の長さは、5mm以上10mm以下であることが好ましい。
当接部材21は、両面テープなどにより支持部材22に固定されていてもよい。支持部材22の真直度を確保する観点で、当接部材21は接着剤24により支持部材22に固定されることが好ましい。接着剤24としては熱可塑性接着剤が好ましい。さらに、当接部材21の成型時に当接部材21の金型に支持部材22を固定した状態で当接部材21の溶融した材料を金型に流し込むことにより、当接部材21が支持部材22に固定されてもよい。この場合、接着剤や両面テープが不要になる。
当接部材21の先端部211の位置は、支持部材22の先端部221の位置と一致することが好ましい。支持部材22の先端部221が当接部材21の先端部211より突出する場合には、感光体1に支持部材22が接触しないようにすることが好ましい。当接部材21の先端部211が支持部材22の先端部221より突出する場合には、当接部材21が突出する長さは0.5mm以下であることが好ましい。これにより、支持部材22の先端部221から突出した当接部材21の部分が変形し、経時により感光体1への当接圧が低下する事態を回避することができる。
支持部材22は、板状であり、上方から見た場合に矩形状を有している。支持部材22は、保持部材23から先端部側に突出した(クリーニングブレード71の短手方向に突出した)突出部分PRを含んでいる。突出部分PRは、保持部材23から感光体1の回転方向(矢印αで示す方向)とは反対の方向に突出している。支持部材22の先端部221には当接部材21が固定されている。支持部材22は、当接部材21のエッジ(当接部材21が感光体1に当接する位置)の側に存在する上面22a(第1の支持部材面の一例)と、上面22aとは反対側に存在し、保持部材23の上面23aと対向する下面22b(第2の支持部材面の一例)とを含んでいる。支持部材22の上面22aには当接部材21が固定されている。
支持部材22は金属製の板バネなどよりなっている。具体的には、支持部材22は、耐腐食性の高いステンレス鋼やリン青銅などよりなっている。特にステンレス鋼は、強度が高く疲労強度が高いため好適である。
支持部材22は、感光体1の回転への良好な追随性を確保するために、0より大きく100μm以下の厚さ(図4中縦方向の長さ)を有していることが好ましい。さらに支持部材22は、98GPa以上206GPa以下のヤング率を有していることが好ましい。上述の厚さおよびヤング率を考慮して支持部材22の構成が選定されることが好ましい。
保持部材23は、支持部材の後端側の部分を保持している。保持部材23は、当接部材21のエッジの側に存在する上面23a(第1の保持部材面の一例)と、上面23aとは反対側に存在する平面である下面23b(第2の保持部材面の一例)とを含んでいる。
支持部材22は、たとえば溶接、接着剤、またはネジ止めなどの方法により、保持部材23の上面23aに固定されている。ここでは、支持部材22がスポット溶接により保持部材23に固定されている構成が示されており、支持部材22と保持部材23との間には溶接部(支持部材22と保持部材23とが溶けて固定された位置)25が存在している。
保持部材23は金属(板金)などよりなっている。具体的には、保持部材23は、SECC(電気亜鉛メッキ鋼板)などの鋼板よりなっている。クリーニングブレード71に加わる圧力や外力などによる保持部材23の変形を抑制し、クリーニングブレード71の高いエッジ真直度を確保することが可能な強度を確保するため、保持部材23は、1.6mm以上2.0mm以下の厚さを有していることが好ましい。
感光体1と当接部材21との距離は、クリーニングブレード71がハウジング72に固定される位置およびハウジング72に対するクリーニングブレード71の角度によって規定される。また、クリーニングブレード71の自由長は、支持部材22が保持部材23に設置される位置によって規定される。また、支持部材22のたわみ量は、クリーニングブレード71がハウジング72に固定される位置によって規定される。
[実施の形態の効果]
続いて、本実施の形態におけるクリーニングブレード71の効果について説明する。
図5は、第1の比較例におけるクリーニングブレード1071aの構成を示す断面図である。図6は、図5中Vで示す方向から見た場合のクリーニングブレード1071aの構成を示す図である。なお、図6では、クリーニングブレード71の高さHのばらつきが実際よりも強調されて示されている。
図5および図6を参照して、第1の比較例におけるクリーニングブレード1071aは、当接部材21が1層(ここでは調整層32と同じ材質よりなる層)のみを含む点において、本実施の形態におけるクリーニングブレード71とは異なっている。
当接部材21と支持部材22とを接着する接着剤24の状態や接着時の方法などにより、図6に示すようにクリーニングブレード1071aの高さHにはばらつきが生じる。高さHにばらつきが生じると、当接部材21が感光体1に当接する場合に、高さHが高い部分は当接圧が高くなり、高さHが低い部分は当接圧が低くなる。その結果、当接圧のばらつきが感光体1の減耗量のムラを引き起こし、印刷する画像に濃度ムラが生じる。また、高さHが低い部分は当接圧が低くなり、クリーニング不良が生じる。この問題は、当接部材21と支持部材22との接着の精度を向上することである程度抑制することができるが、完全に解決することはできない。
図7は、第1の比較例のクリーニングブレード1071aにおける当接部材21のエッジの引込量を模式的に示す図である。
図7を参照して、クリーニングブレード1071aの高さHのばらつきは、接着のみに起因するものではなく、当接部材21と支持部材22とが互いに異なる材質よりなるにもかかわらず、当接部材21が支持部材22に対して固定されていることに起因するものでもある。一例として支持部材22が金属製の板バネよりなる場合、支持部材22は可撓性を有しているが、撓む方向は矢印F1で示す方向(感光体1に対して当接圧を加える方向)に対して反対の方向のみである。支持部材22は、矢印F2で示す方向(感光体1の回転方向)には撓まず、ほぼ剛体の特性を示す。
感光体1が回転すると、クリーニングブレード1071aには矢印F2で示す方向の摩擦力が加わり、当接部材21のエッジ(感光体1との当接位置)は位置P2から位置P3に引き込まれる。上述のように支持部材22はこの摩擦力によってほとんど撓まない。また、当接部材21は支持部材22に固定されており、当接部材21における先端部側の端部の位置P1は、支持部材22に拘束されている。このため、感光体1の回転による当接部材21のエッジの引込量(位置P2から位置P3までの距離)は小さい。
感光体1の回転による当接部材21のエッジの引込量が小さいと、当接圧のばらつきを抑制する(均す)効果が小さい。すなわち、クリーニングブレード1071aの高さHのばらつきが一定であると仮定すると、エッジの引込量が大きいとエッジの引込量に対する高さHのばらつきの比率が低くなり、エッジの引込量によって当接圧のばらつきを均すことができるが、エッジの引込量が小さいとエッジの引込量に対する高さHのばらつきの比率が高くなり、エッジの引込量によって当接圧のばらつきを均すことができない。
図8は、第2の比較例におけるクリーニングブレード1071bの構成を示す断面図である。
図8を参照して、第2の比較例におけるクリーニングブレード1071bは、当接部材21が支持部材によって支持されておらず、1層(ここでは調整層32と同じ材質よりなる層)のみを含む点において、本実施の形態におけるクリーニングブレード71とは異なっている。
感光体1が回転すると、クリーニングブレード1071bには矢印F2で示す方向の摩擦力が加わり、当接部材21のエッジ(感光体1との当接位置)は位置P2から位置P4に引き込まれる。クリーニングブレード1071bでは、当接部材21が支持部材によって拘束されていないため、感光体1の回転による当接部材21のエッジの引込量(位置P2から位置P4までの距離)は大きい。このため、クリーニングブレード1071bの高さHにばらつきが生じていても、当接圧のばらつきは均される。よって、クリーニングブレードの長手方向の当接圧のばらつきは、当接部材21が支持部材22に支持されたクリーニングブレードに特有の問題である。なお、クリーニングブレード1071bでは、当接部材21が支持部材によって支持されていないため、クリーニングブレードに永久歪が生じやすいという問題がある。
図9は、第3の比較例のクリーニングブレード1071cにおける当接部材21のエッジの引込量を模式的に示す図である。図10は、図9に示すクリーニングブレード1071cにおける当接部材21のエッジの拡大図である。
図9および図10を参照して、第3の比較例におけるクリーニングブレード1071cは、当接部材21が1層(ここでは当接層31と同じ材質よりなる層)のみを含む点において、本実施の形態におけるクリーニングブレード71とは異なっている。言い換えれば、クリーニングブレード1071cは、当接部材21が支持部材22に支持された従来のクリーニングブレードにおいて、当接部材21として伸びやすい材料を使用したものである。
クリーニングブレード1071cによれば、感光体1の回転によって当接部材21のエッジは位置P2から位置P5に引き込まれ、感光体1の回転による当接部材21のエッジの引込量(位置P2から位置P5までの距離)を大きくすることができる。その結果、クリーニングブレード71の高さHにばらつきが生じていても、当接圧のばらつきを均すことができる。
一方、クリーニングブレード1071cには次の問題がある。クリーニングブレード1071cは、感光体1の回転の際に感光体1から当接部材21に摩擦力が加えられた場合に、当接部材21全体に大きな負荷が加わり、当接部材21の変形量が大きくなる。これにより、印刷枚数の増加により当接部材21に疲労が蓄積し、当接部材21のエッジの欠けや破断などが起こりやすい。その結果、当接部材21の寿命が低くなる。
図11は、本発明の一実施の形態におけるクリーニングブレード71の引込量を模式的に示す図である。図12は、図11に示すクリーニングブレード71における当接部材21のエッジの拡大図である。
図11および図12を参照して、本実施の形態におけるクリーニングブレード71では、調整層32によって高さHのばらつきに起因する当接圧のばらつきが抑制されている。すなわち、感光体1の回転の際に感光体1から当接部材21に摩擦力が加えられた場合に、調整層32の伸び率は当接層31の伸び率よりも大きい。このため、調整層32は位置P1で支持部材22に拘束されていても十分な長さだけ伸びることができる。感光体1の回転によって当接部材21のエッジは位置P2から位置P6に引き込まれ、感光体1の回転による当接部材21のエッジの引込量(位置P2から位置P6までの距離)を大きくすることができる。その結果、クリーニングブレード71の高さHにばらつきが生じていても、当接圧のばらつきを抑制することができる。また、当接圧のばらつきが抑制されるので、感光体1の減耗ムラに起因する濃度ムラやクリーニング不良を抑制することができる。また、当接層31の伸び率が小さいので、当接層31への疲労の蓄積による当接部材21のエッジの欠けや破断などを抑制することができる。その結果、当接部材21の寿命を向上することができる。さらに、当接部材21を別部材である支持部材22によって支持することにより、クリーニングブレード71の永久歪を抑制することができる。
特に、図4に示すように当接層31の積層方向の厚みt1よりも調整層32の積層方向の厚みt2を厚くすることで、当接部材21における伸びやすい部分が大きくなるため、当接圧のばらつきを効果的に抑制することができる。
[当接層および調整層の特性]
続いて、本実施の形態における当接層および調整層の特性について説明する。
図13は、本発明の一実施の形態における当接層31および調整層32の各々のSS(Stress−Strain)特性と、応力ST1が加えられた場合の伸び率EL1およびEL2とを示す図である。なお、図13〜図16において、線L1は当接層31のSS特性を示しており、線L2は調整層32のSS特性を示している。
図13を参照して、感光体1の回転の際に感光体1から当接部材21に摩擦力が加えられた場合に、当接部材21には応力ST1が加えられる。応力ST1が加えられた場合の調整層32の伸び率EL2は当接層31の伸び率EL1よりも大きい。応力ST1は、クリーニングブレード71の仕様、使用状態、または使用環境などによって変わるが、通常数MPaである。
図14は、本発明の一実施の形態における当接層31および調整層32の各々のSS特性と、伸び率が0%である長さから100%である長さまで伸ばすのに必要な引張り応力の積分値S1およびS2とを示す図である。
図14を参照して、伸び率が0%である長さから100%である長さまで調整層32を伸ばすのに必要な引張り応力の積分値S2は、伸び率が0%である長さから100%である長さまで当接層31を伸ばすのに必要な引張り応力の積分値S1よりも低いことが好ましい。これにより、通常の伸び率の範囲である0〜100%の範囲内で調整層32の方が当接層31よりも伸びやすくなる。
図15は、本発明の一実施の形態における当接層31および調整層32の各々のSS特性と、200%モジュラスM11およびM12とを示す図である。
図15を参照して、200%モジュラスとは、伸び率が0%である長さから200%である長さまで材料を伸ばすのに必要な力である。調整層32の200%モジュラスM12は当接層31の200%モジュラスM11よりも低いことが好ましい。異常時には、当接部材21には局所的にまたは全体的に強い力が加わることがある。当接層31および調整層32の200%モジュラスM11およびM12が上述の関係を有することにより、当接部材21に強い力が加わった場合に、当接層31の伸び率が調整層32の伸び率よりも大きくなる事態(調整層32が図15中線L3で示すような特性を有する事態)を回避することができ、当接層31への疲労の蓄積による当接部材21のエッジの欠けや破断などを抑制することができる。
図16は、本発明の一実施の形態における当接層31および調整層32の各々のSS特性と、破断伸びBL1およびBL2とを示す図である。
図16を参照して、当接層31の破断伸びBL1は調整層32の破断伸びBL2よりも大きいことが好ましい。破断伸びは材料が破断するときの伸び率であり、伸びやすさとは異なる。当接部材21に強い力が加わった場合、本実施の形態では主に調整層32が伸びて、当接層31に加わる負荷が低減される。当接層31および調整層32の破断伸びBL1およびBL2が上述の関係を有することにより、当接部材21にさらに強い力が加わった場合であっても当接層31の引張り強度が強くなり、当接層31が破断しにくくなる。
[第1の実施例]
本願発明者らは、本発明のクリーニングブレードの性能を評価すべく以下の実験を行った。
図17は、本発明の第1の実施例における本発明例1〜5および比較例1〜5の構成および検証結果を示す表である。図18は、本発明の第1の実施例における各種条件を示す表である。
図17および図18を参照して、本発明例1〜5および比較例1〜5という10種類のクリーニングブレードを準備し、検証1〜5を実施した。本発明例1〜5は、図4に示す構造を有しており、当接層よりも調整層の方が同じ力に対する伸び率が大きい例である。比較例1および2は、当接層よりも調整層の方が同じ力に対する伸び率が小さい例である。比較例3および4は、図5に示す構造を有しており、1層のみよりなる当接部材が支持部材によって支持された例である。比較例5は、図8に示す構造を有しており、当接部材が支持部材によって支持されていない例(従来のウレタンゴムのみのクリーニングブレード)である。比較例5における当接部材の自由長は10mmである。
コニカミノルタ社製の「bizhub C284e」という製品名を有するMFPにおけるドラムユニット(感光体を含むユニット)を準備した。そしてこのドラムユニットの感光体清掃部のクリーニングブレードとして、上述の10種類のクリーニングブレードの各々を使用した。ドラムユニットの感光体としては、検証2において減耗ムラを正確に評価するため、長寿命化のための高硬度保護層を有さない有機感光体を使用した。実験における他の条件を図18に示す。なお、図18における自由長とは、保持部材における支持部材の変形の支点となる位置から支持部材に固定した当接部材の先端部までの距離である。
上述の10種類のクリーニングブレードの各々に対して、図17に示す5つの検証を実施した。
検証1は引込量測定である。検証1では、摩擦係数を一定値に設定したドラムユニットに対してクリーニングブレードを設置した。感光体を165mm/sの速度で駆動し、駆動中の感光体の回転軸の延在方向からクリーニングブレードと感光体との当接位置をカメラで撮影することにより、停止時の当接位置からの移動距離を測定し、測定した値を引込量とした。
引込量が非常に大きい場合(従来のウレタンのみよりなるクリーニングブレード(図8)の引込量と同等である場合、具体的には引込量が100μm以上である場合)には「◎」、引込量が大きい場合(従来の1層のみよりなる当接部材が支持部材によって支持されたクリーニングブレード(図5)の引込量よりも大きい場合)には「○」、引込量が小さい場合(従来の1層のみよりなる当接部材が支持部材によって支持されたクリーニングブレード(図5)の引込量と同程度である場合)には「×」と評価した。
検証1の結果として、本発明例1〜5では、いずれも「◎」または「○」の評価となった。比較例4では、伸びやすい材料よりなる当接部材を採用したため、「◎」の評価となった。比較例5では、当接部材が支持部材によって支持されていないため、引込量は152μm(条件によっては120μm程度)と大きくなり、「◎」の評価となった。一方、比較例1および2では、当接部材が伸びにくい材料よりなっているため、引込量が50μm程度と小さく、従来の1層のみよりなる当接部材が支持部材によって支持されたクリーニングブレード(比較例3)の引込量と同程度であった。
検証2は減耗ムラの評価である。検証2〜4では、通常環境(温度23℃、湿度65%)において、5%の印字率の文字および画像のチャートを間欠モードで10万枚の用紙に印字を行うことにより耐久実験を予め行った。
検証2では、上記耐久実験後に感光体の長手方向の長さ10mmの領域の減耗量を計測した。この領域における減耗量の差(減耗差)が3μm未満である場合には「○」と評価し、3μm以上である場合には「×」と評価した。感光体の長手方向の長さ10mmの領域で3μm以上の減耗差が生じると、印字した画像において濃度ムラが目視で確認されるためである。
検証2の結果として、本発明例1〜5では、いずれも「○」の評価となった。比較例4でも、引込量が大きいために「○」の評価となった。なお、比較例5では、当接部材が支持部材によって支持されておらず、元来減耗ムラの問題が発生しないため、「○」の評価となった。一方、比較例1〜3では、引込量が小さいために「×」の評価となった。
検証3はクリーニング性能の評価である。検証3では、上記耐久実験後にクリーニングブレードをドラムユニットから取り出して、別の新品のドラムユニットに対して設置した。低温低湿の環境(温度10℃、湿度15%)において、100%の印字率の画像を感光体上に現像し、中間転写ベルトへの転写率を抑制して印字を行うことにより感光体上に多量の残トナーを付着(残存)させた。感光体へのトナーの付着量は0〜3g/m2の範囲で変化させた。用紙に印字された画像を目視にて確認した。クリーニングブレードの拭き残しに起因するスジが現れない場合には「○」と評価し、クリーニングブレードの拭き残しに起因するスジが現れた場合には「×」と評価した。
検証3の結果として、本発明例1〜5では、いずれも「○」の評価となった。比較例1〜5では、いずれも「×」の評価となった。特に比較例1〜3では、当接圧のばらつきにより感光体へのクリーニングブレードの当接圧が低下した部分に対応する画像の位置に拭き残しに起因するスジが現れた。比較例4では、当接部材のエッジの破損が発生し、エッジが破損した部分に対応する画像の位置に拭き残しに起因するスジが現れた。比較例5では、当接部材のエッジの破損および当接部材の永久歪により感光体へのクリーニングブレードの当接圧が低下し、画像全体に拭き残しに起因するスジが現れた。
検証4は、過酷な条件下でのクリーニングブレードの破損の有無の評価である。検証4では、上記耐久試験後にさらに過酷な条件で追加耐久試験を行い、クリーニングブレードの先端部(当接部材の先端部)の破損の有無を評価した。追加耐久試験は、低温低湿の環境(温度10℃、湿度15%)および高温高湿の環境(温度30℃、湿度85%)で、耐久試験の場合よりも間欠回数を多くしてそれぞれ5万枚の用紙に印字を行った。追加耐久試験後にクリーニングブレードの先端部が通常の摩耗のみで破損しなかった場合には「○」と評価し、耐久試験後にクリーニングブレードの先端部が破損せず、追加耐久試験後にクリーニングブレードの先端部が破損した場合には「△」と評価し、追加耐久試験前にクリーニングブレードの先端部が破損した場合には「×」と評価した。
検証4の結果として、本発明例1、4、および5では「○」の評価となった。本発明例2および3では当接層の破断伸びが調整層の破断伸びよりも小さいため、「△」の評価となった。破断伸びは破損するときの伸びであり、当接層の破断伸びが低いと過酷条件において当接層のエッジが破損することが分かった。比較例1〜3では「○」の評価となった。比較例4および5では「×」の評価となり、追加耐久試験を行う前に当接部材のエッジが既に破損していた。
検証5は、永久歪の評価である。検証5では、図18に示す設定条件でドラムユニットに対してクリーニングブレードをドラムユニットに設置し、高温高湿の環境(温度30℃、湿度85%)で1000時間放置した。放置後に感光体に対するクリーニングブレードの当接圧を測定し、放置前後での当接圧の低下量を算出した。当接圧の低下量が所定値よりも小さい場合には「○」と評価し、当接圧の低下量が所定値よりも大きい場合には「×」と評価した。
検証5の結果として、本発明例1〜5および比較例1〜4では、当接部材が支持部材によって支持されているため永久歪が発生せず、「○」の評価となった。比較例5では、当接部材が支持部材によって支持されていないため永久歪が発生し、「×」の評価となった。これにより、当接部材を支持部材によって支持することにより、永久歪が発生せず、当接圧が低下しないことが分かった。
なお、本発明例1および2の結果を参照すると、当接層および調整層の各々の硬度およびヤング率については、検証1〜3の結果に影響をほとんど及ぼさないことが分かった。
[第2の実施例]
本願発明者らは、本発明のクリーニングブレードの性能を評価すべく以下の実験を行った。
図19は、本発明の第2の実施例における(t2×M1)/(t1×M2)の値と引込量との関係を示す図である。
図19を参照して、当接層の積層方向の長さである厚みを厚みt1とし、調整層の積層方向の長さである厚みを厚みt2とし、当接層の100%モジュラスをモジュラスM1とし、調整層の100%モジュラスをモジュラスM2とした場合に、(t2×M1)/(t1×M2)の値が互いに異なる多数のクリーニングブレードを準備した。準備したクリーニングブレードは、いずれも本発明例(図4に示す構造を有しており、当接層よりも調整層の方が同じ力に対する伸び率が大きいもの)である。準備したクリーニングブレードの各々に対して、第1の実施例の検証1と同様の方法で引込量測定を行った。
引込量測定の結果、(t2×M1)/(t1×M2)の値が3よりも大きい場合に、引込量が特に大きくなり、当接圧のばらつきを抑制する効果が高くなった。
[クリーニングブレードの変形例]
図20は、本発明の一実施の形態におけるクリーニングブレード71の変形例の構成を示す断面図である。
図20を参照して、本実施の形態のクリーニングブレード71の当接部材21は、図4に示す構成の他、次の構成を有していてもよい。図20(a)に示す当接部材21では、当接層31および調整層32の両方が支持部材22に固定されており、当接層31は調整層32の上面および側面の一部を取り囲んでいる。調整層32は、当接部材21における先端部側の端部の位置P1付近にのみ設けられている。
図20(b)に示す当接部材21では、調整層32は当接部材21の上面21aの一部を構成しており、当接層31の下面及び一部の側面を取り囲んでいる。当接層31は当接部材21のエッジ付近にのみ設けられている。
図20(c)に示す当接部材21では、当接層31および調整層32は、支持部材22の上面22aに対して傾斜した方向(図20中左下から右上に向かう方向)に積層されている。
図20(d)に示す当接部材21は、当接層31および調整層32の他に下地層33をさらに含んでいる。下地層33は支持部材22に固定されている。調整層32は下地層33の上面に設けられており、支持部材22に固定されていない。
[その他]
当接層31の硬度と調整層32の硬度との関係は任意である。調整層32の硬度を当接層31の硬度よりも低くした場合には、接着剤を用いて当接部材21を固定する際の当接部材21の高さのばらつきを緩和しやすくなる。当接層31の硬度を調整層32の硬度よりも低くした場合には、当接部材21の耐摩耗性を向上することができる。同様に、当接層31のヤング率と調整層32のヤング率との関係も任意である。
上述の実施の形態におけるクリーニングブレード71は、感光体1に付着した付着物を除去する感光体清掃部7に搭載される場合の他、中間転写ベルト5に付着した付着物を除去する中間転写ベルト清掃部9に搭載されてもよい。
上述の実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 感光体(回転体および像担持体の一例)
2 帯電部
3 露光部
4 現像装置
5 中間転写ベルト
6 一次転写ローラー
7 感光体清掃部
8 二次転写ローラー
9 中間転写ベルト清掃部
11 定着部
12,13 支持ローラー
21 当接部材
21a 当接部材の上面
21b 当接部材の下面
22 支持部材
22a 支持部材の上面(第1の支持部材面の一例)
22b 支持部材の下面(第2の支持部材面の一例)
23 保持部材
23a 保持部材の上面(第1の保持部材面の一例)
23b 保持部材の下面(第2の保持部材面の一例)
24 接着剤
25 溶接部
31 当接層
32 調整層
33 下地層
71,1071a,1071b,1071c クリーニングブレード
72 ハウジング
73 スクリュー
74 トナーシール部材
211 当接部材の先端部
221 支持部材の先端部
F1 クリーニングブレードが感光体に対して当接圧を加える方向
F2 感光体がクリーニングブレードに摩擦力を加える方向
LG クリーニングブレードの長手方向
P1,P2,P3,P4,P5,P6 位置
PR 支持部材の突出部分
T 記録媒体
TR 搬送経路

Claims (15)

  1. 回転体に付着した異物を除去するクリーニングブレードであって、
    当接部材と、
    前記当接部材を支持する支持部材と、
    前記支持部材を保持する保持部材とを備え、
    前記当接部材は、
    前記回転体に当接する当接層と、
    前記当接層以外の部分である調整層とを含み、
    前記回転体の回転の際に前記回転体から前記当接部材に摩擦力が加えられた場合に、前記調整層の伸び率は前記当接層の伸び率よりも大きい、クリーニングブレード。
  2. 伸び率が0%である長さから100%である長さまで前記調整層を伸ばすのに必要な引張り応力の積分値は、伸び率が0%である長さから100%である長さまで前記当接層を伸ばすのに必要な引張り応力の積分値よりも低い、請求項1に記載のクリーニングブレード。
  3. 前記調整層の200%モジュラスは前記当接層の200%モジュラスよりも低い、請求項1または2に記載のクリーニングブレード。
  4. 前記当接層の破断伸びは前記調整層の破断伸びよりも大きい、請求項1〜3のいずれかに記載のクリーニングブレード。
  5. 前記当接層および調整層は所定の積層方向に積層される、請求項1〜4のいずれかに記載のクリーニングブレード。
  6. 前記当接層の前記積層方向の厚みを厚みt1とし、前記調整層の前記積層方向の厚みを厚みt2とした場合、厚みt1およびt2は、t1<t2の関係を有する、請求項5に記載のクリーニングブレード。
  7. 前記当接層の前記積層方向の長さである厚みを厚みt1とし、前記調整層の前記積層方向の長さである厚みを厚みt2とし、前記当接層の100%モジュラスをモジュラスM1とし、前記調整層の100%モジュラスをモジュラスM2とした場合、厚みt1およびt2、ならびにモジュラスM1およびM2は、(t2×M1)/(t1×M2)>3の関係を有する、請求項5または6に記載のクリーニングブレード。
  8. 前記調整層は前記当接層よりも前記支持部材に近い側に配置され、前記調整層は前記支持部材に接着される、請求項5〜7のいずれかに記載のクリーニングブレード。
  9. 前記支持部材のヤング率は98GPa以上206GPa以下である、請求項1〜8のいずれかに記載のクリーニングブレード。
  10. 前記支持部材は金属製の板バネよりなり、前記保持部材は板金よりなる、請求項1〜9のいずれかに記載のクリーニングブレード。
  11. 前記支持部材の厚さは0より大きく100μm以下である、請求項1〜10のいずれかに記載のクリーニングブレード。
  12. 前記保持部材は前記支持部材の一方の端部を保持し、
    前記当接部材は前記支持部材の他方の端部に固定される、請求項1〜11のいずれかに記載のクリーニングブレード。
  13. 前記保持部材は、前記当接部材が前記回転体に当接する位置の側に存在する第1の保持部材面と、前記第1の保持部材面とは反対側に存在する第2の保持部材面とを含み、
    前記支持部材は、前記当接部材が前記回転体に当接する位置の側に存在する第1の支持部材面と、前記第1の支持部材面とは反対側に存在し、前記第1の保持部材面と対向する第2の支持部材面とを含み、
    前記当接部材は前記第1の支持部材面に固定される、請求項12に記載のクリーニングブレード。
  14. 前記調整層は前記支持部材に固定され、前記当接層は前記支持部材に固定されない、請求項1〜13のいずれかに記載のクリーニングブレード。
  15. 前記回転体である像担持体と、
    前記像担持体に付着した異物を除去する請求項1〜14のいずれかに記載のクリーニングブレードとを備えた画像形成装置。
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