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JP2019192325A - 非水電解質二次電池用正極活物質及び非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用正極活物質及び非水電解質二次電池 Download PDF

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JP2019192325A JP2016169923A JP2016169923A JP2019192325A JP 2019192325 A JP2019192325 A JP 2019192325A JP 2016169923 A JP2016169923 A JP 2016169923A JP 2016169923 A JP2016169923 A JP 2016169923A JP 2019192325 A JP2019192325 A JP 2019192325A
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lithium transition
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Yoshinori Aoki
良憲 青木
元治 斉藤
Motoharu Saito
元治 斉藤
毅 小笠原
Takeshi Ogasawara
毅 小笠原
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Abstract

【課題】Ni含有量の高いニッケル含有リチウム遷移金属酸化物を含有していながら、初期充放電効率を改善することが可能な非水電解質二次電池用正極活物質を提供する。【解決手段】本開示の一態様である非水電解質二次電池用正極活物質は、層状構造を有する、Ni含有リチウム遷移金属酸化物(Ni≧80mol%)を含み、前記Ni含有リチウム遷移金属酸化物の粒子内にはホウ素が存在しており、前記Ni含有リチウム遷移金属酸化物中のリチウムを除く金属元素の総モル量に対する前記ホウ素の割合bは、0mol%<b≦0.5mol%の範囲であり、2.5V〜4.3V(vs.Li/Li+)の放電容量に占める3.5V以下の放電容量の割合dは、6%<dの範囲であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本開示は、非水電解質二次電池用正極活物質及び非水電解質二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池の正極活物質の一つであるニッケル含有リチウム遷移金属酸化物(例えばLiNiO)は、コバルト含有リチウム遷移金属酸化物(例えばLiCoO)と比べて、高容量であること、ニッケルがコバルトよりも安価であり、安定して入手可能であることなどの利点を有しているため、次世代の正極材料として期待されている。
特許文献1には、ニッケル酸リチウムの合成時、焼成材料に焼成助剤を添加することより、ニッケル酸リチウムが所望の結晶成長を得るために必要な焼成温度より低温で結晶成長が促され、構造安定性に寄与する元素の結晶内への置換が促進されること、また、合成時の結晶の歪みや酸素欠損が抑制され、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供できることが開示されている。
国際公開第2011−111377号
ところで、ニッケル含有リチウム遷移金属酸化物を正極活物質として使用する場合、ニッケル含有量の増加に伴い、充放電容量は増加するものの、初期充放電効率が低下するという問題がある。初期充放電効率とは、初回の充電容量に対する初回の放電容量の割合である。
そこで、本開示は、Ni含有量の高いニッケル含有リチウム遷移金属酸化物を含有していながら、初期充放電効率を改善することが可能な非水電解質二次電池用正極活物質を提供することを目的とする。
本開示の一態様である非水電解質二次電池用正極活物質は、層状構造を有する、Ni含有リチウム遷移金属酸化物(Ni≧80mol%)を含み、前記Ni含有リチウム遷移金属酸化物の粒子内にはホウ素が存在しており、前記Ni含有リチウム遷移金属酸化物中のリチウムを除く金属元素の総モル量に対する前記ホウ素の割合bは、0mol%<b≦0.5mol%の範囲であり、2.5V〜4.3V(vs.Li/Li)の放電容量に占める3.5V以下の放電容量の割合dは、6%<dの範囲であることを特徴とする。
本開示の一態様である非水電解質二次電池用正極活物質によれば、Ni含有量の高いニッケル含有リチウム遷移金属酸化物を含有していながら、初期充放電効率を改善することが可能となる。
試験セルA1〜A4と試験セルB1の放電容量を電位で二次微分処理した曲線を示す。
既述したように、Ni含有リチウム遷移金属酸化物は、ニッケル含有量の増加に伴い、初期充放電効率が低下する。これは、Ni含有量が高くなる(特にNi≧80%)と、充電に伴う結晶格子の伸縮や構造変化に起因して、放電時にLiが再挿入されにくくなるためであると考えられる。ここで、Ni含有リチウム遷移金属酸化物の粒子内にホウ素を所定量存在させることで、上記構造変化等が抑制され、Liの再挿入が可能となり、放電時の3.4〜3.5V付近(例えば、3.35〜3.55V)にNiの価数変化による新たな電位平坦部が生じ、放電容量が増加する。これにより、初期充放電効率を改善することが可能となる。但し、2.5V〜4.3V(vs.Li/Li)の放電容量に占める3.5V以下の放電容量の割合dが6%以下を示すNi含有リチウム遷移金属酸化物では、粒子内に存在しているホウ素の一部が粒子表面に析出した状態になっていると考えられ、放電時の3.4〜3.5V付近にNiの価数変化による新たな電位平坦部が生じにくいと考えられる。
そのため、本開示の一態様である非水電解質二次電池用正極活物質のように、Ni含有リチウム遷移金属酸化物(Ni≧80mol%)の粒子内にホウ素を所定量存在させ、2.5V〜4.3V(vs.Li/Li)の放電容量に占める3.5V以下の放電容量の割合dを、6%<dの範囲とすることで、3.5V以上の放電容量の低下を抑えながら、3.5V以下の放電容量を増加させることが可能となり、初期充放電効率を改善することができる。
以下、非水電解質二次電池用正極活物質の構成について詳述する。
本開示の一態様である非水電解質二次電池用正極活物質は、層状構造を有し、粒子内にホウ素が存在しているNi含有リチウム遷移金属酸化物(Ni≧80mol%)を含む。そして、Ni含有リチウム遷移金属酸化物(Ni≧80mol%)中のリチウムを除く金属元素の総モル量に対するホウ素の割合bは、0mol%<b≦0.5mol%の範囲である。粒子内にホウ素が存在しているとは、例えば、Ni含有リチウム遷移金属酸化物の結晶構造内にホウ素が均一に分散している形態、結晶構造内の一部にホウ素が存在している形態を示す。また、Ni含有リチウム遷移金属酸化物(Ni≧80mol%)とは、当該遷移金属酸化物中のリチウムを除く金属元素の総モル量に対してNiの割合が80モル%以上であるものを意味している。以下、粒子内にホウ素が存在しているNi含有リチウム遷移金属酸化物(Ni≧80mol%)を、単に高Ni含有リチウム遷移金属酸化物と称する場合がある。
高Ni含有リチウム遷移金属酸化物の層状構造は、例えば、空間群R−3mに属する層状構造、空間群C2/mに属する層状構造等が挙げられる。これらの中では、高容量化、結晶構造の安定性等の点で、空間群R−3mに属する層状構造であることが好ましい。
高Ni含有リチウム遷移金属酸化物は、上記の通りNiの割合が80モル%以上であり、粒子内に所定量のホウ素が存在していれば特に制限されるものではないが、例えば、以下の組成式で表されるNi含有リチウム遷移金属酸化物であることが好ましい。
LiNiCoαβ2−γ (1)
式中、x、y、α、β、z及びγはそれぞれ、0.95<x<1.05、0.80≦y<1、0<α<0.15、0<β<0.05、y+α+β=1、0<z≦0.005、及び0≦γ<0.05を満たす。また、式中Mは、結晶構造内に存在するNi、Co以外の添加金属元素であり、例えば、Al、Mg、Si、Ge、Sn、Mg、Cr、Ti、W、Nb、Zr、MnおよびFeから選ばれる1種以上の元素等が挙げられる。なお、組成式(1)においては、Ni、Co及びMの総量を1モルとして、即ち、y+α+β=1として、各元素のモル存在比を示している。
組成式(1)のxは、Ni、Co及びMの総量に対するリチウム(Li)の含有量(モル比)を示す。非水電解質二次電池の充放電容量を向上することができる点で、リチウムの含有量は、0.95<x<1.05の範囲であることが好ましく、0.98<x≦1の範囲であることがより好ましい。
組成式(1)のyは、Ni、Co及びMの総量に対するニッケル(Ni)の含有量(モル比)を示す。非水電解質二次電池の充放電容量を向上することができる点で、ニッケルの含有量は、0.80≦y<1の範囲であることが好ましく、0.85<y<1であることがより好ましい。
組成式(1)のαは、Ni、Co及びMの総量に対するコバルト(Co)の含有量(モル比)を示す。コバルトの含有量を0<αの範囲とすることで、非水電解質二次電池の耐久性を向上することができる。また、コバルトの含有量をα<0.15の範囲とすることで、非水電解質二次電池の充放電容量を向上させることができる。より好ましいコバルトの含有量は0.03<α<0.12の範囲である。
組成式(1)のβは、Ni、Co及びMの総量に対するMの含有量(モル比)を示す。
Mの含有量を0<βの範囲とすることで、非水電解質二次電池の耐久性を向上することができる。また、Mの含有量をβ<0.05の範囲とすることで、非水電解質二次電池の充放電容量を向上させることができる。より好ましいMの含有量は0.005<β<0.05の範囲である。
組成式(1)のzは、Ni、Co及びMの総量に対するホウ素(B)の含有量(モル比)を示す。層状酸化物が0<z≦0.005の範囲でホウ素を含有することにより、3.5V以下の放電容量が増加し、非水電解質二次電池の初期充放電効率の低下を抑制することができる。なお、ホウ素の含有量が多過ぎると、場合によって、粒子上にホウ酸リチウムが生成して充放電容量が低下する場合がある。
組成式(1)の「2−γ」は、Ni、Co及びMの総量に対する酸素原子(O)の含有量(モル比)を示す。ここでγは酸素欠損量を示し、γの値が増加すると、それに応じて2価のNiの量が増加して、層状構造が岩塩型構造となるいわゆる「岩塩化」が生じ、充放電容量が低下すると考えられる。このため、充放電容量の向上の点で、岩塩化の促進因子であるγを0≦γ<0.05の範囲とすることが好ましい。
なお、Ni含有リチウム遷移金属酸化物は、本開示の目的を損なわない範囲でLi、Ni、Co、M以外の金属元素を含有していてもよい。
正極活物質を構成する元素の含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)や電子線マイクロアナライザー(EPMA)、エネルギー分散型X線分析装置(EDX)等により測定することができる。
高Ni含有リチウム遷移金属酸化物において、2.5V〜4.3V(vs.Li/Li)の放電容量に占める3.5V以下の放電容量の割合dは、6%<dの範囲であればよいが、好ましくは7%<dの範囲である。上記3.5V以下の放電容量の割合dの上限については、初期充放電効率や結晶構造の安定性等の観点から、例えば、好ましくは20%以下であり、より好ましくは15%以下である。
ここで、上記3.5V以下の放電容量の割合dは、以下のようにして測定された値である。高Ni含有リチウム遷移金属酸化物を正極活物質として作製した電極と、対極としてのリチウム金属とを備えるセル(セル容量30mAh)を用いて、25℃の温度条件下で、電圧が4.3Vになるまで電流値6mAで定電流充電を行い、次いで、電流値が1.5mAになるまで4.3Vで定電圧充電を行う。その後、電圧が2.5Vになるまで6mAで定電流放電を行う。このような充放電において、2.5V〜4.3V(vs.Li/Li)の放電容量に占める2.5〜3.5Vの放電容量の割合を3.5V以下の放電容量の割合dとする。放電容量は、正極活物質の単位重量当たりの放電容量(mAh/g)である。
非水電解質二次電池用正極活物質の総量に対する、粒子内にホウ素が存在している高Ni含有リチウム遷移金属酸化物の割合は、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは99質量%以上である。高Ni含有リチウム遷移金属酸化物の割合が90質量%未満であると、放電容量の減少につながる。
また、本実施形態の非水電解質二次電池用正極活物質は、粒子内にホウ素が存在している高Ni含有リチウム遷移金属酸化物以外に、その他のリチウム遷移金属酸化物を含んでいても良い。その他のリチウム遷移金属酸化物としては、例えば、Ni含有率が0モル%〜80モル%未満のリチウム遷移金属酸化物、当該リチウム遷移金属酸化物にホウ素が含まれたホウ素含有酸化物等が挙げられる。
高Ni含有リチウム遷移金属酸化物は、本発明の目的を損なわない範囲において、粒子内に存在しているホウ素の一部が粒子表面に析出していてもよい。
3.5V以下の放電容量の割合dは、以下で説明するNi含有リチウム遷移金属酸化物の合成方法によって、6%<dとすることが可能である。
粒子内にホウ素が存在するNi含有リチウム遷移金属酸化物の合成方法は、例えば、Li含有化合物(Li原料)、Niを含む金属含有化合物(Niを含む金属原料)、及びB含有化合物(B原料)を、目的とするNi含有リチウム遷移金属酸化物に基づく混合比率で混合し、当該混合物を焼成する方法が挙げられる。ここで、Li原料とNiを含む金属原料とによりNi含有リチウム遷移金属酸化物を合成した後、B原料を添加混合し、当該混合物を焼成する方法も考えられるが、当該方法では、放電時に3.4〜3.5V付近に新たな電位平坦部が出現するようなNi含有リチウム遷移金属酸化物を合成することは困難である。Ni含有リチウム遷移金属酸化物の合成段階でB原料を添加する方法により、2.5V〜4.3V(vs.Li/Li)の放電容量に占める3.5V以下の放電容量の割合を上記範囲内とするNi含有リチウム遷移金属酸化物が得られやすくなる。
Li原料は、Liを除く金属に対するLiのモル比Lが、1.03<L<1.18の範囲となるように添加されることが好ましい。より好ましくは1.04≦L≦1.15である。Liのモル比Lが1.03以下又は1.18以上である場合、得られたNi含有リチウム遷移金属酸化物において、放電時に3.4〜3.5V付近に新たな電位平坦部が出現しにくくなる。
原料混合物の焼成温度は、650℃〜750℃の範囲であり、焼成時間は、1時間〜20時間の範囲である。原料混合物の焼成は、酸素気流中で行うことが好ましい。上記条件を満たすことで、3.4〜3.5V付近に新たな電位平坦部が出現し、2.5V〜4.3V(vs.Li/Li)の放電容量に占める3.5V以下の放電容量の割合を上記範囲内にできる。
また、上記合成方法により、以下で説明する格子定数、遷移金属量等のその他のパラメータも目的とする範囲に制御することができる。
[X線回折パターン]
高Ni含有リチウム遷移金属酸化物のX線回折パターンは、粉末X線回折装置(株式会社リガク製、商品名「RINT−TTR」、線源Cu−Kα)を用いて、以下の条件による粉末X線回折法に基づく解析によって得られる。
測定範囲;15−120°
スキャン速度;4°/min
リートベルト解析;PDXL2(株式会社リガク)を使用。
解析範囲;30−120°
バックグラウンド;B−スプライン
プロファイル関数;分割型擬Voigt関数
束縛条件;Li(3a) + Ni(3a)=1
Ni(3a) + Ni(3b)=y
ICSD No.;98−009−4814
高Ni含有リチウム遷移金属酸化物は、上記X線回折によって得られたX線回折パターンの解析結果によって得られた結晶構造のa軸長を示す格子定数aが2.867Å<a<2.873Åの範囲であり、c軸長を示す格子定数cが14.17Å<c<14.19Åの範囲であることが好ましい。格子定数aが2.867Å以下であると原子間距離が狭く不安定な構造になり、サイクル特性が低下する場合があり、2.873Å以上であると負荷特性が低下する場合がある。また、格子定数cが14.17Å以下であると原子間距離が狭く不安定な構造になり、サイクル特性が低下する場合があり、14.19Å以上であると原子間距離が広く不安定な構造になり、サイクル特性の低下につながる場合がある。
また、高Ni含有リチウム遷移金属酸化物は、上記X線回折によって得られたX線回折パターンのリートベルト解析結果から得られた結晶構造中の3aサイト(リチウムサイト)に存在する遷移金属量mが、遷移金属の総モル量に対して 0mol≦m<2mol%の範囲に含まれることが好ましい。結晶構造中の3aサイト(リチウムサイト)に存在する遷移金属量mが2mol%を超えると、結晶構造の歪みが生じリチウムイオンの拡散性を低下させ、電池特性の低下を招く場合がある。
高Ni含有リチウム遷移金属酸化物は、上記X線回折によって得られたX線回折パターンにおける(104)面の回折ピークの半値幅からシェラーの式(Scherrer equation)により算出される結晶子サイズsが、300Å≦s≦700Åであることが好まく、350Å≦s≦550Åであることが好ましい。シェラーの式は、下式(2)で表される。
D=Kλ/Bcosθ (2)
式(2)において、Dは結晶子サイズ、λはX線の波長、Bは(104)面の回折ピークの半値全幅、θは回折角(rad)、KはScherrer定数である。本実施形態においてKは0.9とする。
高Ni含有リチウム遷移金属酸化物の結晶子サイズsが300Åより小さいと、結晶性が低下して、耐久性が低下する場合がある。また、高Ni含有リチウム遷移金属酸化物の結晶子サイズsが700Åを越えると、レート特性が低下する場合がある。
[圧縮破壊強度]
高Ni含有リチウム遷移金属酸化物の二次粒子の圧縮破壊強度Kは50MPa<K<150 MPaの範囲であることが好ましく、70MPa<K<120MPaの範囲であることがより好ましい。二次粒子とは、一次粒子が凝集した形態である。圧縮破壊強度Kが50MPa以下であると、充放電サイクルに伴い粒子が崩壊し、サイクル特性が低下する場合があり、150 MPa以上であると、充填性が低下し電池の体積容量密度の低下につながる場合がある。
圧縮破壊強度は、微小圧縮試験機(株式会社島津製作所製 「MCT−W201」)を
用いて、下記測定条件にて測定することにより得られる。具体的には、サンプル粒子1個に対し、下記負荷速度で荷重をかけたときのサンプル粒子の変形量と荷重とを測定する。そして、サンプル粒子が変形してその破壊点(急激に変位が増加を始める点)に達したときの荷重(N)と、変形前のサンプル粒子の粒子径(CCDカメラにより測長された粒子径)とを、次式(1)に代入することにより圧縮破壊強度を算出する。
圧縮破壊強度(MPa)=2.8×荷重(N)/{π×(粒子径(mm))2} (1)
<圧縮強度の測定条件>
試験温度:常温(25℃)
上部加圧圧子:直径50μmの平面圧子(材質:ダイヤモンド)
下部加圧板:SKS平板
測定モード:圧縮試験
試験荷重:最小10mN、最大50mN
負荷速度:最小0.178mN/秒、最小0.221mN/秒
変位フルスケール:10μm
[空隙率と1次粒子径]
高Ni含有リチウム遷移金属酸化物の二次粒子の空隙率hは、2%<h<6%の範囲であることが好ましい。空隙率が2%以下の場合、二次粒子内への電解液の浸透性が悪く、リチウムの拡散が低下する場合があり、6%以上の場合、一次粒子間の接触性の問題から電子伝導性が低下する場合がある。
高Ni含有リチウム遷移金属酸化物の一次粒子径Rは、400nm<R<1300nmの範囲であることが好ましい。一次粒子径Rが400nm以下であると、表面積が大きくなり、電解液との反応性が高くなるため、電解液の分解生成物が堆積し易く、直流抵抗値の上昇に影響を与える場合がある。1次粒子径が1300nm以上となると、表面積が小さくなり、リチウムイオンの脱挿入面積が小さくなるため、直流抵抗値の上昇に影響を与える場合がある。
空隙率と一次粒子径の測定方法は以下の通りである。高Ni含有リチウム遷移金属酸化物と熱硬化性樹脂とを混合し、樹脂を硬化して高Ni含有リチウム遷移金属酸化物を樹脂中に埋め込み、機械研磨などを併用して粗断面を作製後、クロスセクションポリッシャー(CP)法による仕上げ断面加工し、研磨面をSIM(Scanning Ion Microscopy)で倍率1千〜1万倍の条件で観察する。得られた画像から、Image−Pro PLUSの解析ソフトを用いて、高Ni含有リチウム遷移金属酸化物の1次粒子径の測定と空隙率を計算する。具体的には、二次粒子の空孔部分の色と二次粒子の空孔部分以外の部分の色とを、白色と黒色又は黒色と白色の部分に分割し、それぞれの面積を求め、その面積の比から空隙率を求める。
以下に、本実施形態の非水電解質二次電池用正極活物質を適用した非水電解質二次電池について説明する。
実施形態の一例である非水電解質二次電池は、正極と、負極と、非水電解質とを備える。正極と負極との間には、セパレータを設けることが好適である。具体的には、正極及び負極がセパレータを介して巻回されてなる巻回型の電極体と、非水電解質とが外装体に収容された構造を有する。或いは、巻回型の電極体の代わりに、正極及び負極がセパレータを介して積層されてなる積層型の電極体など、他の形態の電極体が適用されてもよい。また、非水電解質二次電池の形態としては、特に限定されず、円筒型、角型、コイン型、ボタン型、ラミネート型などが例示できる。
[正極]
正極は、例えば金属箔等の正極集電体と、正極集電体上に形成された正極活物質層とで構成される。正極集電体には、アルミニウムなどの正極の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。
正極活物質層は、前述した非水電解質二次電池用正極活物質を含む。当該正極活物質の説明は既述の通りであり説明を省略する。また、正極活物質層は、正極活物質の他に、導電材及び結着剤を含むことが好適である。
導電材としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛等の炭素材料が例示できる。これらは、1種類を使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。導電材の含有率は、正極活物質層の総質量に対して0.1〜30質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、0.1〜10質量%が特に好ましい。
結着剤は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアセテート、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、又はこれらの2種以上の混合物等が用いられる。結着剤は、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリエチレンオキシド(PEO)等の増粘剤と併用されてもよい。これらは、1種類を使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。結着剤の含有率は、正極活物質層の総質量に対して0.1〜30質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、0.1〜10質量%が特に好ましい。
[負極]
負極は、例えば金属箔等の負極集電体と、負極集電体の表面に形成された負極活物質層とを備える。負極集電体には、アルミニウムや銅などの負極の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質の他に、結着剤を含むことが好適である。また、必要により導電材を含んでいてもよい。
負極活物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛、リチウム、珪素、炭素、錫、ゲルマニウム、アルミニウム、鉛、インジウム、ガリウム、リチウム合金、予めリチウムを吸蔵させた炭素、珪素、及びこれらの合金並びに混合物等を用いることができる。結着剤としては、正極の場合と同様にPTFE等を用いることもできるが、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)又はこの変性体等を用いることが好ましい。結着剤は、CMC等の増粘剤と併用されてもよい。
[非水電解質]
非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した電解質塩とを含む。非水電解質は、液体電解質(非水電解液)に限定されず、ゲル状ポリマー等を用いた固体電解質であってもよい。非水溶媒には、例えばエステル類、エーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、及びこれらの2種以上の混合溶媒等を用いることができる。
エステル類の例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状炭酸エステル、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート等の鎖状炭酸エステル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン等のカルボン酸エステル類などが挙げられる。
エーテル類の例としては、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、1,8−シネオール、クラウンエーテル等の環状エーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、o−ジメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、1,1−ジメトキシメタン、1,1−ジエトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチル等の鎖状エーテル類などが挙げられる。
非水溶媒は、上記各種溶媒の水素をフッ素等のハロゲン原子で置換したハロゲン置換体を含有することが好適である。特に、フッ素化環状炭酸エステル、フッ素化鎖状炭酸エステルが好ましく、両者を混合して用いることがより好ましい。これにより、負極はもとより正極においても良好な保護被膜が形成されてサイクル特性が向上する。フッ素化環状炭酸エステルの好適な例としては、4−フルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,4,5−トリフルオロエチレンカーボネート、4,4,5,5−テトラフルオロエチレンカーボネート等が挙げられる。フッ素化鎖状エステルの好適な例としては、2,2,2−トリフルオロ酢酸エチル、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチル、ペンタフルオロプロピオン酸メチル等が挙げられる。
電解質塩は、リチウム塩であることが好ましい。リチウム塩の例としては、LiPF、LiBF、LiAsF、LiClO、LiCFSO、LiN(FSO、LiN(C2l+1SO)(C2m+1SO)(l,mは1以上の整数)、LiC(CF2p+1SO)(C2q+1SO)(C2r+1SO)(p,q,rは1以上の整数)、Li[B(C](ビス(オキサレート)ホウ酸リチウム(LiBOB))、Li[B(C)F] 、Li[P(C)F]、Li[P(C]、LiPO等が挙げられる。これらのリチウム塩は、1種類を使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
[セパレータ]
セパレータには、例えば、イオン透過性及び絶縁性を有する多孔性シートが用いられる。多孔性シートの具体例としては、微多孔薄膜、織布、不織布等が挙げられる。セパレータの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、セルロースなどが好適である。セパレータは、セルロース繊維層及びオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂繊維層を有する積層体であってもよい。
以下、実施例により本開示をさらに説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
[正極活物質(高Ni含有リチウム遷移金属酸化物)の調製]
Ni0.88Co0.09Al0.03(OH)の組成式で表されるニッケルコバルトアルミニウム複合水酸化物を共沈により得た後、500℃で熱処理して複合酸化物を調製した。次に、LiOH、当該複合酸化物及びHBOを、Li、遷移金属(Ni、Co及びAl)の合計量及びBのモル比が1.04:1:0.01となる量で混合した。その後、当該混合物を酸素気流中710℃で3時間焼成後、水洗により不純物を除去した。ICP発光分光分析装置(Thermo Fisher Scientific社製、商品名「iCAP6300」)を用いて、得られた高Ni含有リチウム遷移金属酸化物の組成を測定した。その結果、組成式Li0.95Ni0.88Co0.09Al0.030.001で表される高Ni含有リチウム遷移金属酸化物であることを確認した。これを実施例1の正極活物質とした。
[正極の作製]
上記正極活物質を91質量部、導電材としてアセチレンブラックを7質量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを2質量部の割合で混合した。当該混合物を混練機(T.K.ハイビスミックス、プライミクス株式会社製)を用いて混練し、正極合材スラリーを調製した。次いで、正極合材スラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔に塗布し、塗膜を乾燥してアルミニウム箔に正極活物質層を形成した。これを正極とした。
[非水電解質の調製]
エチレンカーボネート(EC)と、メチルエチルカーボネート(MEC)と、ジメチルカーボネート(DMC)とを、3:3:4の体積比で混合した。当該混合溶媒に対して、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1.2モル/リットルの濃度となるように溶解させて、非水電解質を調製した。
[試験セルの作製]
上記正極と、リチウム金属箔からなる負極とを、セパレータを介して互いに対向するように積層し、巻回して、巻回電極体を作製した。次いで、巻回電極体及び上記非水電解質をアルミニウム製の外装体に挿入し、非水電解質二次電池(試験セルA1)を作製した。
<実施例2>
正極活物質の調製において、LiOH、上記複合酸化物及びHBOを、Li、遷移金属(Ni、Co及びAl)の合計量及びBのモル比が1.1:1:0.03となる量で混合したこと以外は、実施例1と同様にして、組成式Li0.96Ni0.88Co0.09Al0.030.003で表される高Ni含有リチウム遷移金属酸化物を得た。これを実施例2の正極活物質として、実施例1と同様に非水電解質二次電池(試験セルA2)を作製した。
<実施例3>
正極活物質の調製において、LiOH、上記複合酸化物及びHBOを、Li、遷移金属(Ni、Co及びAl)の合計量及びBのモル比が1.15:1:0.03となる量で混合したこと以外は、実施例1と同様にして、組成式Li0.97Ni0.88Co0.09Al0.030.003で表される高Ni含有リチウム遷移金属酸化物を得た。これを実施例3の正極活物質として、実施例1と同様に非水電解質二次電池(試験セルA3)を作製した。
<実施例4>
正極活物質の調製において、LiOH、上記複合酸化物及びHBOを、Li、遷移金属(Ni、Co及びAl)の合計量及びBのモル比が1.15:1:0.05となる量で混合したこと以外は、実施例1と同様にして、組成式Li0.97Ni0.88Co0.09Al0.030.005で表される高Ni含有リチウム遷移金属酸化物を得た。これを実施例4の正極活物質として、実施例1と同様に非水電解質二次電池(試験セルA4)を作製した。
<比較例1>
正極活物質の調製において、HBOを使用せず、LiOH及び上記複合酸化物を、Li及び遷移金属(Ni、Co及びAl)の合計量が1.03:1となる量で混合したこと以外は、実施例1と同様にして、組成式Li0.95Ni0.88Co0.09Al0.03で表される高Ni含有リチウム遷移金属酸化物を得た。これを比較例1の正極活物質として、非水電解質二次電池(試験セルB1)を作製した。
<比較例2>
正極活物質の調製において、HBOを使用せず、LiOH及び上記複合酸化物を、Li及び遷移金属(Ni、Co及びAl)の合計量が1.03:1となる量で混合し、酸素気流中760℃で焼成したこと以外は、実施例1と同様にして、組成式Li0.96Ni0.88Co0.09Al0.03で表される高Ni含有リチウム遷移金属酸化物を得た。これを比較例2の正極活物質として、非水電解質二次電池(試験セルB2)を作製した。
<比較例3>
正極活物質の調製において、LiOH、上記複合酸化物及びHBOを、Li、遷移金属(Ni、Co及びAl)の合計量及びBのモル比が1.1:1:0.03となる量で混合し、酸素気流中760℃で焼成したこと以外は、実施例1と同様にして、組成式Li0.97Ni0.88Co0.09Al0.030.003で表される高Ni含有リチウム遷移金属酸化物を得た。これを比較例3の正極活物質として、非水電解質二次電池(試験セルB3)を作製した。
<比較例4>
正極活物質の調製において、LiOH、当該複合酸化物及びHBOを、Li、遷移金属(Ni、Co及びAl)の合計量及びBのモル比が1.2:1:0.03となる量で混合したこと以外は、実施例1と同様にして、組成式Li0.99Ni0.88Co0.09Al0.030.003で表される高Ni含有リチウム遷移金属酸化物を得た。これを比較例4の正極活物質として、非水電解質二次電池(試験セルB4)を作製した。
<比較例5>
正極活物質の調製において、LiOH、当該複合酸化物及びHBOを、Li、遷移金属(Ni、Co及びAl)の合計量及びBのモル比が1.03:1:0.05となる量で混合し、酸素気流中760℃焼成したこと以外は、実施例1と同様にして、組成式Li0.84Ni0.88Co0.09Al0.030.005で表される高Ni含有リチウム遷移金属酸化物を得た。これを比較例5の正極活物質として、非水電解質二次電池(試験セルB5)を作製した。
各実施例及び比較例のX線回折パターンを解析した結果、層状構造を示す回折線が確認された。
[充放電試験]
上記で作製した電池容量30mAh程度の試験セルA1〜A4(実施例1〜4)及び試験セルB1〜B5(比較例1〜5)をそれぞれ用いて、25℃の温度条件下、電圧が4.3Vになるまで電流値6mAで定電流充電を行い、次いで、電流値が1.5mAになるまで4.3Vで定電圧充電を行った。その後、電圧が2.5Vになるまで6mAで定電流放電を行った。この充放電測定により試験セルから得られた容量を、各試験セルの初回充電容量、初回放電容量(mAh/g)とし、初回充電容量における初回放電容量の百分率の値を初期充放電効率とした。また、2.5V〜4.3Vの初回放電容量における2.5〜3.5Vの放電容量の百分率を3.5V以下の放電容量の割合dとして算出した。
図1に、実施例1〜4と比較例1の放電容量を電位で二次微分処理した曲線(dQ/dV曲線)を示す。二次微分処理の値(dQ/dV値)は充放電曲線において電位平坦部が生じ始める電位(充放電曲線の傾きの変化割合が大きくなる電位)にピークが出現する。このピークの出現は充放電曲線において電位平坦部が生じていることを示すものである。ここで言うピークの出現とは所定の電位範囲において極小値(極大値)があるということである。
実施例1〜4では3.4〜3.5V付近(網掛部)のdQ/dV値にピークが出現しているのに対し、比較例1ではピークは確認されない。実施例1〜4では、放電時に、3.4〜3.5V付近において、高Ni含有リチウム遷移金属酸化物中のNiの価数変化が起こり、比較例1には表れない電位平坦部が生じた結果、比較例1に比べ容量が増加したといえる。
表1に、各実施例及び比較例のB含有量(モル比)、初期充放電効率、3.5V以下の容量割合、3.4−3.5V付近でのdQ/dV曲線のピークの有無をまとめた。
実施例1〜4は、比較例1〜5と比較して、初期充放電効率が高い値となった。この結果から、高Ni含有リチウム遷移金属酸化物の粒子内にホウ素を存在させ、高Ni含有リチウム遷移金属酸化物中のリチウムを除く金属元素の総モル量に対するホウ素の割合bを0mol%<b≦0.5mol%の範囲とし、3.5V以下の放電容量の割合dを6%<dの範囲とすることで、初期充放電効率の改善が可能であると言える。なお、比較例3〜5は、正極活物質合成時の焼成温度が実施例より高い又はLi原料のモル比が1.03以下又は1.18以上であるため、3.5V以下の放電容量の割合dが6%以下を示す高Ni含有リチウム遷移金属酸化物が合成され、実施例より低い初期充放電効率となった。
表2に、各実施例及び比較例の格子定数、3aサイトの遷移金属量、結晶子サイズ、圧縮破壊強度の測定値をまとめた。各測定値の測定方法は既述の通りである。
試験セルB5(比較例5)の放電容量は、他の試験セルと比較して大きく低下した。これは、結晶構造中の3aサイト(リチウムサイト)に存在する遷移金属量mが遷移金属の総モル量に対して2mol%以上となっているため、結晶構造の歪みが生じ、リチウムイオンの拡散性が低下したため、放電容量が低下したと考えられる。

Claims (6)

  1. 層状構造を有する、Ni含有リチウム遷移金属酸化物(Ni≧80mol%)を含み、
    前記Ni含有リチウム遷移金属酸化物の粒子内にはホウ素が存在しており、
    前記Ni含有リチウム遷移金属酸化物中のリチウムを除く金属元素の総モル量に対する前記ホウ素の割合bは、0mol%<b≦0.5mol%の範囲であり、
    2.5V〜4.3V(vs.Li/Li)の放電容量に占める3.5V以下の放電容量の割合dは、6%<dの範囲である、非水電解質二次電池用正極活物質。
  2. 前記Ni含有リチウム遷移金属酸化物は、X線回折により得られたX線回折パターンの解析結果から得られた結晶構造のa軸長を示す格子定数a及びc軸長を示す格子定数cが、2.867Å<a<2.873Å、14.17Å<c<14.19Åの範囲である、請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  3. 前記Ni含有リチウム遷移金属酸化物は、X線回折により得られたX線回折パターンのリートベルト解析結果から得られた結晶構造中の3aサイトに存在する遷移金属量mが、遷移金属の総モル量に対して、0mol%≦m<2mol%の範囲である、請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  4. 前記Ni含有リチウム遷移金属酸化物は、X線回折により得られたX線回折パターンの(104)面の回折ピークの半値幅からシェラーの式により算出された結晶子サイズsが、350Å≦s≦550Åの範囲である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  5. 前記Ni含有リチウム遷移金属酸化物の二次粒子の圧縮破壊強度Kは、50MPa<K<100MPaの範囲である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  6. 正極及び負極を備える非水電解質二次電池であって、前記正極は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質を含む、非水電解質二次電池。
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