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JP2019039339A - 内燃機関冷却制御装置 - Google Patents

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JP2019039339A JP2017161311A JP2017161311A JP2019039339A JP 2019039339 A JP2019039339 A JP 2019039339A JP 2017161311 A JP2017161311 A JP 2017161311A JP 2017161311 A JP2017161311 A JP 2017161311A JP 2019039339 A JP2019039339 A JP 2019039339A
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Abstract

【課題】減筒運転から全筒運転への切替え後におけるEGRガス温度の上昇を抑制する。
【解決手段】通常気筒5aと熱交換可能に隣接した領域を有してEGRクーラ32に冷却水を流通させる通常流路40aと、休止可能気筒5bと熱交換可能に隣接した領域を有してEGRクーラ32に冷却水を流通させる休止可能流路40bと、を有するエンジン1に適用される冷却制御装置。通常流路40aに設けられた冷却水開閉弁43aによって、通常流路40aへの冷却水の流量を、全筒運転中及び減筒運転中には第1の流量とすると共に、減筒運転中であっても全筒運転への切替え要求があった場合には、休止可能気筒5bの燃焼を開始させるよりも前の所定の待機時間twにわたり、第1の流量よりも小さい第2の流量とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の気筒を有し且つその一部の気筒が作動を休止可能に構成されている内燃機関への冷却水の流通及び遮断を制御する内燃機関冷却制御装置に関する。
一般に内燃機関では、運転温度を所定範囲内に維持するために、各気筒に隣接するシリンダブロック内のウォータジャケットに冷却水を流通させて、気筒を冷却するように構成されている。近年、燃費を向上させるために、車両走行中に一部の気筒の作動を休止させることが行われている。作動が休止している気筒では、燃料供給を停止すると共に、吸気弁及び排気弁を閉状態に保ち、気筒内で燃焼が起こらないようにしている。さらに、例えば特許文献1及び特許文献2に記載の内燃機関では、作動を休止できる気筒(以下適宜「休止可能気筒」という)が休止している間の無駄な冷却を回避しウォーターポンプの消費エネルギを抑制するために、ウォータジャケット内に隔壁を設けてこれを各気筒の周囲の領域ごとに区分すると共に、休止可能気筒に向けた冷却水の供給を遮断可能としている。そして、休止可能気筒内での燃焼が停止されている状態(以下適宜「減筒運転」という)では、休止可能気筒への冷却水の供給を停止させている。
特開2013−87758号公報 特開2013−87759号公報
休止可能気筒が休止している間は、気筒内で燃焼が生じない。特許文献1に記載の内燃機関では、減筒運転から、全ての気筒が運転している状態(以下適宜「全筒運転」という)に移行した際の休止可能気筒の燃焼室温度の上昇を妨げないようにするため、全筒運転への復帰直後も、休止可能気筒への冷却水の供給を遮断している。
他方、特許文献2に記載の内燃機関では、全筒運転に移行する前に休止可能気筒の燃焼室温度を上昇させておくために、全筒運転への復帰直前に、休止可能気筒への冷却水の供給を再開させている。
ところで、特許文献1及び特許文献2に記載の内燃機関では、複数の気筒のうち休止可能気筒を除いた残余の気筒(以下適宜「通常気筒」という)への冷却水の水量を、休止可能気筒から独立して制御する構成は採用されていない。
しかし、通常気筒及び休止可能気筒と熱交換可能に隣接した領域を通じてEGRクーラに冷却水を流通させる流路を有する内燃機関では、気筒の作動状態がEGRクーラの冷却性能に影響しうる。具体的には、減筒運転から全筒運転への切替えの際には、排気ガス流量が急増する一方、減筒運転中に休止可能気筒に冷却水を供給しない場合には、全筒運転への切替え後に休止可能気筒を経由した低温の冷却水がEGRクーラに到達するまでに遅れが存在する。このため、減筒運転から全筒運転への切替えの直後にEGRクーラによる冷却が一時的に不足となり、EGRクーラ通過後のEGRガス温度が上昇し、吸気温度が上昇して気筒の壁体温度を上昇させてしまう。その結果、燃焼温度が過大となってディーゼルノックとNOxが増大してしまうという問題があった。
上記問題に鑑み、本発明は、ウォータジャケットを経由してEGRクーラに冷却水を流通させるようにした内燃機関において、減筒運転から全筒運転への切替え後におけるEGRガス温度の上昇を抑制しうる内燃機関冷却制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る内燃機関冷却制御装置の特徴構成は、
複数の気筒を有し、全ての気筒内で混合気の燃焼が実施される全筒運転と、一部の気筒である休止可能気筒内での燃焼が停止され残余の気筒である通常気筒内で燃焼が実行される減筒運転との間で切り替え可能に構成され、かつ、排気ガスの一部を吸気通路に還流させるEGR通路内の排気ガスを冷却するためのEGRクーラと、前記通常気筒と熱交換可能に隣接した領域を有して前記EGRクーラに冷却水を流通させる通常流路と、前記休止可能気筒と熱交換可能に隣接した領域を有して前記EGRクーラに冷却水を流通させる休止可能流路と、を有する内燃機関に適用される冷却制御装置であって、
冷却水の流通を調節するように前記通常流路に設けられた通常流路調節部と、
前記通常流路調節部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記通常流路への冷却水の流量を、全筒運転中及び減筒運転中には第1の流量とすると共に、減筒運転中であっても全筒運転への切替え要求があった場合には、前記休止可能気筒の燃焼を開始させるよりも前の所定の待機時間にわたり、前記第1の流量よりも小さい第2の流量とするように構成されている点にある。
このような特徴構成とすれば、制御部は、通常流路への冷却水の流量を、全筒運転中及び減筒運転中には第1の流量とすると共に、減筒運転中であっても全筒運転への切替え要求があった場合には、休止可能気筒の燃焼を開始させるよりも前の所定の待機時間にわたり、前記第1の流量よりも小さい第2の流量とするので、全筒運転の開始の直前に通常気筒を経由してEGRクーラに供給される高温の冷却水の流量が減少させられ、これによってEGRクーラ内の冷却水温の上昇が抑制される。したがって、全筒運転の開始後にEGRクーラを通過するガス流量が急増しても、EGRガス温度の上昇を抑制することができる。
また、本発明に係る内燃機関冷却制御装置においては、
前記内燃機関は、前記休止可能気筒と熱交換可能に隣接した領域を通じて前記EGRクーラに冷却水を流通させる休止可能流路を更に有し、
内燃機関冷却制御装置は、前記冷却水の流通を調節するように前記休止可能流路に設けられた休止可能流路調節部を更に備え、
前記制御部は、前記休止可能流路への冷却水の流量を、全筒運転中には第3の流量とし、減筒運転中には遮断状態とすると共に、減筒運転中であっても全筒運転への切替え要求があった場合には、前記休止可能気筒の燃焼を開始させるよりも前の所定の増量時間にわたり、前記冷却水を前記遮断状態よりも大きい第4の流量とすると好適である。
このような構成にすれば、休止可能気筒の燃焼を開始させるよりも前の所定の増量時間にわたり、冷却水が増量されるので、全筒運転の開始後におけるEGRガス温度の上昇を更に効果的に抑制することができる。
本発明によれば、ウォータジャケットを経由してEGRクーラに冷却水を流通させるようにした内燃機関において、減筒運転から全筒運転への切替え後におけるEGRガス温度の上昇を抑制することができる。
本発明の実施形態である内燃機関冷却制御装置の構成及び制御系を示す機能ブロック図である。 減筒運転及び全筒運転に係る各条件の成立から実行までの流れを示すフローチャートである。 本実施形態の内燃機関冷却制御装置の制御状態とEGRクーラ内の冷却水温の推移を示すタイミングチャートである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る内燃機関冷却制御装置の構成及び制御系を示す。エンジン1は、車両(図示せず)に搭載された多気筒内燃機関である。本実施形態において、車両はトラック等の大型車両であり、これに搭載される車両動力源としてのエンジン1は直列4気筒ディーゼルエンジンである。しかしながら、車両および内燃機関の種類、形式、用途等に特に限定はなく、例えば車両は乗用車等の小型車両であってもよいし、エンジン1はガソリンエンジンであってもよい。
エンジン1は、エンジン本体2と、エンジン本体2に接続された吸気通路3および排気通路4と、ターボチャージャ14と、燃料噴射弁37とを備える。エンジン本体2は、シリンダヘッド、シリンダブロック、クランクケース等の構造部品と、その内部に収容されたピストン、クランクシャフト、バルブ等の可動部品とを含む。
吸気通路3は、エンジン本体2のシリンダヘッドに接続された吸気マニホールド10と、吸気マニホールド10の上流端に接続された吸気管11とにより主に画成される。吸気マニホールド10は、吸気管11から送られてきた吸気を各気筒の吸気ポートに分配供給する。吸気管11には、上流側から順に、エアクリーナ12、エアフローメータ13、ターボチャージャ14のコンプレッサ14C、インタークーラ15、および電子制御式の吸気スロットルバルブ16が設けられる。エアフローメータ13は、エンジン1の単位時間当たりの吸入空気量すなわち吸気流量を検出するためのセンサであり、マスエアフロー(MAF)センサ等とも称される。
排気通路4は、エンジン本体2(特にシリンダヘッド)に接続された排気マニホールド20と、排気マニホールド20の下流側に接続された排気管21とにより主に画成される。排気マニホールド20は、各気筒の排気ポートから送られてきた排気ガスを集合させる。排気管21、もしくは排気マニホールド20と排気管21の間には、ターボチャージャ14のタービン14Tが設けられる。タービン14Tより下流側の排気通路4には、排気スロットルバルブ17及び排気後処理装置22が設けられる。排気後処理装置の内部には、上流側から順に、酸化触媒、フィルタ、選択還元型NOx触媒(SCR)およびアンモニア酸化触媒が配置される。
エンジン1は更に、EGR装置30を備える。EGR装置30は、排気通路4内(特に排気マニホールド20内)の排気ガスの一部(EGRガスという)を吸気通路3内(特に吸気マニホールド10内)に還流させるためのEGR通路31と、EGR通路31を流れるEGRガスを冷却する水冷式のEGRクーラ32と、EGRガスの流量を調節するためのEGR弁33とを備える。
エンジン本体2が有する4つのシリンダのうち、#1及び#4が通常気筒5aであり、#2及び#3が休止可能気筒5bである。本実施形態に係るエンジン1は、吸気弁及び排気弁(いずれも図示せず)の動作を制御するための可変動弁機構36を備えている。可変動弁機構36は、吸気弁及び排気弁の開弁時期及びリフト量を可変とする機能のほか、減筒運転の際に通常気筒5aの吸気弁及び排気弁の動作を維持しながら、休止可能気筒5bの吸気弁及び排気弁を閉状態で停止させる機能を有する。なお、2つの休止可能気筒5bは、互いに独立して休止及び再作動させることができるように構成しても良い。
各燃焼室で発生した燃焼エネルギの一部は、熱として壁体に残留する。壁体に残留する残留熱による壁体高熱化を防止するために、冷却水循環用流路(以下単に流路とも称する)40が設けられており、その内部には冷却水が流通されている。
エンジン本体2のシリンダブロックには、冷却水が内部に流通されるウォータジャケット41が設けられている。ウォータジャケット41は、各気筒と熱交換可能に形成されている。ウォータジャケット41の内部には、通常気筒5aと休止可能気筒5bとの間で冷却水の流通を遮断するように、隔壁42が設けられている。これら隔壁42によってウォータジャケット41内が、通常気筒5aと熱交換可能に隣接した領域と、休止可能気筒5bと熱交換可能な領域とに区分されている。なお本実施形態では2つの休止可能気筒5bの間には隔壁を設けていないが、これを設けても良い。
流路40は、主にエンジン本体2のシリンダヘッドブロック内に配置され、ウォータジャケット41に向けて開口した流入口及び流出口を有する。流路40には、電動ポンプ43、ラジエータ44及びEGRクーラ32が設けられている。電動ポンプ43は不図示の電気モータを駆動源としており、エンジン1のクランクシャフトの回転とは無関係に駆動可能であるが、クランクシャフトからの動力によって駆動される機械式のものであっても良い。電動ポンプ43は、ラジエータ44に接続されている流路40を流れる冷却水を吸引して、ウォータジャケット41に供給する。冷却水は、ウォータジャケット41の内部を流通する際にシリンダ壁から熱を吸収してその水温を上昇させることにより、壁体温度を低下させる。また冷却水は、EGRクーラ32を通過する際にEGR通路31内の排気ガスから熱を吸収する。水温が上昇した冷却水はラジエータ44を流通する際に熱を放出してその水温を下げる。流路40には、ウォータジャケット41を通過した後の冷却水の温度を検出する冷却水温センサ45が設けられている。
流路40は、ウォータジャケット41と接続する流入口の上流側で分岐して、ウォータジャケット41と共に通常流路40a及び休止可能流路40bを形成している。通常流路40aを流通する冷却水は、ウォータジャケット41における各通常気筒5aと熱交換可能に隣接した領域を流通する。休止可能流路40bを流通する冷却水は、ウォータジャケット41における各休止可能気筒5bと熱交換可能に隣接した領域を流通する。通常流路40aと休止可能流路40bは、ウォータジャケット41と接続する流出口の下流側で合流して再び単一の流路40を形成する。なお、流路40a、40bは、冷却水の流れが平面視における各気筒5a,5bの両側面に向かうように、更に2つずつに分岐している。
通常気筒5aに隣接する通常流路40aにおけるウォータジャケット41の上流側には、冷却水のウォータジャケット41への流量が電気的に調節可能な冷却水開閉弁43aが設けられている。休止可能気筒5bに隣接する休止可能流路40bにおけるウォータジャケット41の上流側には、冷却水のウォータジャケット41への流量が電気的に調節可能な冷却水開閉弁43bが設けられている。冷却水開閉弁43a,43bは、それぞれ本発明における通常流路調節部及び休止可能流路調節部に相当し、モータあるいはソレノイドなどのアクチュエータを有する。冷却水開閉弁43aは、冷却水の流量を全開及び全閉(遮断)の間で無段階あるいは多段階に調節することができる。冷却水開閉弁43bは、全開及び全閉(遮断)の2位置で動作する。なお本実施形態では、冷却水開閉弁43a,43bは気筒5a,5bのウォータジャケット41の上流側に設けたが、これはウォータジャケット41に流入する前の低温の冷却水を開閉する方が、冷却水開閉弁43a,43bの耐熱性の観点でより好ましいからである。ただし、これら冷却水開閉弁43a,43bを気筒5a,5bのウォータジャケット41の下流側に設けてもよい。また冷却水開閉弁43a,43bはエンジン本体2の排気側に設けたが、吸気側に設けても良い。
この内燃機関冷却制御装置1で採用されている制御系の中核要素としての制御ユニット50は、ECUと称されるものであり、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROMに記憶されたプログラムを実行することで、エンジン1の制御に関する種々の機能を作り出す。上述したエアフローメータ13及び冷却水温センサ45に加え、不図示のクランクシャフトの近傍に設けられ回転速度を検出するクランク角センサ51、アクセルペダルの開度を検出するためのアクセル開度センサ52、不図示の駆動輪の近傍に設けられ車両の走行速度を検出する車速センサ53などの各種センサの検出信号が、制御ユニット50に入力される。また制御ユニット50は制御信号を出力し、可変動弁機構36、燃料噴射弁37、EGR弁33、吸気スロットルバルブ16、排気スロットルバルブ17を制御することに加え、さらに、電動ポンプ43、冷却水開閉弁43a,43bなどの動作を制御する。
本実施形態では、制御ユニット50は、エンジン1が作動しているときに、クランク角センサ51、アクセル開度センサ52、車速センサ53等の検出信号に基づいて、燃料噴射弁37の噴射量を制御し、かつ可変動弁機構36の動作を制御して休止可能気筒5bを休止状態あるいは作動状態にさせる。例えば、渋滞中に低速度で発進、停止を繰り返しているときのようにエンジン1に対する負荷トルクが小さいときや、一定速度での走行を一定時間以上継続しているときのように負荷トルクの変動が小さいときには、燃費を向上させるために、休止可能気筒5bが休止させられる。作動が休止している気筒では、吸気弁及び排気弁を閉状態に保ち、気筒内で燃焼が起こらないようにしている。
そして制御ユニット50は更に、冷却水開閉弁43a,43bの開閉を制御する。減筒運転中には、休止可能気筒5bへの冷却水の供給を停止させ、これによって、休止可能気筒5bが休止している間の無駄な冷却を回避してウォーターポンプ43の消費電力が抑制される。
ところで、減筒運転から全筒運転への切替えの際に排気ガス流量が急増する一方、通常気筒及び休止可能気筒と熱交換可能に隣接した領域を通じてEGRクーラに冷却水を流通させる流路を有する内燃機関では、減筒運転中に休止可能気筒に冷却水を供給しない場合には、全筒運転への切替え後に休止可能気筒を経由した低温の冷却水がEGRクーラに到達するまでに遅れが存在する。このため、減筒運転から全筒運転への切替えの直後にEGRクーラによる冷却が一時的に不足となり、EGRクーラ通過後のEGRガス温度が上昇し、気筒の壁体温度を上昇させてしまう。その結果、燃焼温度が過大となってディーゼルノックとNOxが増大してしまうという問題があった。
そこで本実施形態では、通常流路40aへの冷却水の流量を、全筒運転時及び減筒運転時には第1の流量FR1とすると共に、減筒運転中であっても全筒運転への切替え要求があった場合には、休止可能気筒5bの燃焼を開始させるよりも前の所定の待機時間twにわたり、前記第1の流量FR1よりも小さい第2の流量FR2とする。また、これと並行して、休止可能流路40bへの冷却水の流量を、全筒運転時には第3の流量FR3とし、減筒運転時には遮断状態とすると共に、減筒運転中であっても全筒運転への切替え要求があった場合には、待機時間twにわたり、冷却水を全筒運転時と同じ流量FR3(第4の流量)とする。なお、本実施形態では本発明における第4の流量を第3の流量FR3と等しい値(すなわち、全開状態相当量)としている。
以下、制御ユニット50において実行される冷却制御処理につき説明する。図2のフローチャートに係る処理は、制御ユニット50において所定の制御周期Δtごとに繰り返し実行される。
図2において、まず制御ユニット50は各センサの検出値を読み込む(S10)。ここで読み込まれる検出値には、クランク角センサ51、アクセル開度センサ52、車速センサ53等の検出値が含まれる。
次に制御ユニット50は、減筒運転条件が成立しているかを判断する(S20)。この減筒運転条件は、上述のとおり、例えば渋滞中に低速度で発進、停止を繰り返しているときのように内燃機関に対する負荷トルクが小さい場合や、一定速度での走行を一定時間以上継続しているときのように負荷トルクの変動が小さい場合に成立する。この判断は、クランク角センサ51、アクセル開度センサ52及び車速センサ53の検出信号に基づいて実行される。
減筒運転条件が成立している場合には、ステップS20で肯定され、ステップS30〜S60の処理が行われる。まず、休止可能気筒5bに連なる冷却水開閉弁43bが全閉となるように制御出力が行われて、休止可能気筒5bへの冷却水が停止され(S30)、かつ、通常気筒5aに連なる冷却水開閉弁43aが全開となるように制御出力が行われて、通常気筒5aへの冷却水が流通状態とされる(S40)。そして、可変動弁機構36及び燃料噴射弁37への制御出力が行われて、休止可能気筒5bの動作が停止させられる(S50)。すなわち、休止可能気筒5bについては、燃料噴射弁37による燃料噴射が停止されると共に、可変動弁機構36により吸気弁及び排気弁が全閉状態で停止させられる。以上のとおり、減筒運転の開始の際には、休止可能気筒5bの動作の停止と、休止可能気筒5bへの冷却水の遮断とが、実質的に同時に行われる。そして、制御ユニット50における所定のメモリ領域に設けられた減筒フラグがセット(=1)される(S60)。
減筒運転条件が成立しなくなった場合には、ステップS20で否定され、全筒運転への切替え要求があったものとして、ステップS70〜S130の処理が行われる。まず、休止可能気筒5bに連なる冷却水開閉弁43bが全開となるように制御出力が行われて、休止可能気筒5bへの冷却水が流通状態とされる(S70)。
次に制御ユニット50は、上述した減筒フラグを参照し、同フラグがセットされているかを判断する(S80)。そして同フラグがセットされていない(=0)場合には、通常気筒5aに連なる冷却水開閉弁43aが全開となるように制御出力が行われて、通常気筒5aへの冷却水が流通状態とされる(S120)。そして、可変動弁機構36及び燃料噴射弁37への制御出力が行われて、休止可能気筒5bが作動させられる(S130)。すなわち、通常気筒5aだけでなく休止可能気筒5bについても、燃料噴射弁37による燃料噴射が実行されると共に、可変動弁機構36により吸気弁及び排気弁が動作させられる。
他方、ステップS80において減筒フラグがセットされている状態は、減筒運転中に全筒運転への切替え要求があったときに生じる。この場合には、次に制御ユニット50は、全筒運転条件の成立時点から予め定められた待機時間twが経過したかを判断する(S90)。このステップS90で否定、すなわち待機時間twが経過していない間は、通常気筒5aに連なる冷却水開閉弁43aが、全開と全閉との間である抑制位置となるように制御出力が行われて、通常気筒5aへの冷却水が流量FR2に抑制される(S100)。この抑制状態は、待機時間tw(S90)が経過するまで継続される。
全筒運転条件の成立時点から待機時間twが経過すると、ステップS90で肯定され、減筒フラグがリセット(=0)されると共に(S110)、通常気筒5aに連なる冷却水開閉弁43aが全開となるように制御出力が行われて、通常気筒5aへの冷却水が流通状態とされる(S120)。そして、可変動弁機構36及び燃料噴射弁37への制御出力が行われて、休止可能気筒5bが作動させられる(S130)。すなわち、休止可能気筒5bについて燃料噴射弁37による燃料噴射が実行されると共に、可変動弁機構36により吸気弁及び排気弁が動作させられる。
以上の処理の結果、図3に示されるように、減筒運転条件の成立前(=a)には、ステップS20及びS80での否定を経て、通常流路40a及び休止可能流路40bがいずれも全開(流量FR1,FR3)とされ、かつ休止可能気筒5bが運転状態にされる(S70,S120,S130)。
他方、減筒運転条件が成立すると(t1=ステップS20で肯定)、休止可能気筒5bへの冷却水が停止され(b=S30)、かつ、通常気筒5aへの冷却水が流通状態とされる(c=S40)。そして、休止可能気筒5bの動作が停止させられる(d=S50)。すなわち、休止可能気筒5bについては、燃料噴射弁37による燃料噴射が停止されると共に、可変動弁機構36により吸気弁及び排気弁が全閉状態で停止させられる。以上のとおり、減筒運転の開始の際には、休止可能気筒5bの動作の停止と、休止可能気筒5bへの冷却水の遮断とが実質的に同時(t1)に行われる。
このような減筒運転中において、減筒運転条件が成立しなくなった場合には(t2)、全筒運転への切替え要求があったものとして、ステップS20で否定され、休止可能気筒5bへの冷却水が流通状態とされる(e=S70)。減筒運転中であった場合(減筒フラグ=1)には、まず待機時間twが経過するまでの間にわたり、通常気筒5aに連なる冷却水開閉弁43aが、全開と全閉との間である抑制位置となるように制御出力が行われて、通常気筒5aへの冷却水が全開位置の場合の流量FR1よりも小さい流量FR2に抑制される(f=S100)。その結果、本発明による改良前、すなわち(A)全筒運転への切替え要求の前後で通常流路への流量を変更せず、且つ(B)全筒運転への切替え要求があると同時に休止可能気筒の動作を開始する場合には、EGRクーラ32内の冷却水温Tが符号gのように上昇していたのに対し、本実施形態では符号hのように、EGRクーラ32内の冷却水温を抑制することができる。
そして、全筒運転条件の成立時点から待機時間twが経過すると(t3)、ステップS90で肯定され、通常気筒5aへの冷却水が流通状態とされ(i=S120)、休止可能気筒5bが作動させられることになる(j=S130)。
以上のとおり、本実施形態では、制御ユニット50は、通常流路40aへの冷却水の流量を、全筒運転中及び減筒運転中には第1の流量FR1とすると共に、減筒運転中であっても全筒運転への切替え要求があった場合には、休止可能気筒5bの燃焼を開始させるよりも前の所定の待機時間twにわたり、前記第1の流量FR1よりも小さい第2の流量FR2とする。その結果、全筒運転の開始の直前に通常気筒5aを経由してEGRクーラ32に供給される高温の冷却水の流量が減少させられ、これによってEGRクーラ32内の冷却水温Tの上昇が抑制される。したがって、全筒運転の開始後にEGRクーラ32を通過するガス流量が急増しても、EGRガス温度の上昇を抑制することができる。
また、本実施形態では、制御ユニット50は、休止可能流路40bへの冷却水の流量を、全筒運転中には第3の流量FR3とし、減筒運転中には遮断状態とすると共に、減筒運転中であっても全筒運転への切替え要求があった場合には、休止可能気筒5bの燃焼を開始させるよりも前の所定の増量時間(本実施形態では、待機時間tw)にわたり、冷却水を流通状態(流量FR3:本発明における第4の流量)としたので、休止可能気筒流路40bへの冷却水が増量されることにより、全筒運転の開始後におけるEGRガス温度の上昇を更に効果的に抑制することができる。
なお、上記実施形態では、減筒運転中に全筒運転への切替え要求があった場合に、休止可能気筒5bへの冷却水を流通状態(流量FR3)とする増量時間を、通常流路40aへの冷却水の流量を抑制させる待機時間twと等しく設定したが、増量時間は待機時間twよりも長くても短くても良い。また、待機時間tw内における通常流路40aへの冷却水の流量を、第1の流量FR1よりも抑制された範囲内で変化させても良い。
また、上記実施形態では、減筒運転中に全筒運転への切替え要求があった場合に、休止可能気筒5bの燃焼を開始させるよりも前の所定の増量時間(本実施形態では、待機時間tw)にわたり、冷却水を流通状態(流量FR3)としたが、この増量時間における流量は全開状態に相当する流量FR3であることは必ずしも必要でなく、遮断状態(流量0)よりも大きい第4の流量であれば良いものであって、その限りにおいて所期の効果を得ることができる。
また、上記実施形態では、全筒運転への切替え要求があった場合に、休止可能気筒5bの作動開始に先立って、通常流路40aの流量の抑制に加えて、休止可能流路40bの流量をも変更(供給開始)することとしたが、休止可能気筒5bの作動開始に先立つ休止可能流路40bへの供給開始は行わない構成としても良い。また、休止可能気筒5bの作動開始に先立つ休止可能流路40bへの供給開始の有無を、エンジン負荷や冷却水温Tなどの運転状態に応じて決定することとしても良い。例えば、冷却水温Tやエンジン負荷が所定の基準値よりも大きい場合にのみ、増量時間中の休止可能流路40bへの冷却水供給を実行することとしても良い。
また、冷却水温Tやエンジン負荷が所定の基準値よりも大きい場合には、通常気筒5aの冷却を優先させるために、全筒運転への切替え要求があった場合における休止可能気筒5bの作動開始に先立つ通常流路40aの流量の抑制を行わないこととしても良い。
また、上記実施形態では、待機時間tw、この待機時間tw中における通常流路40aの流量FR2、及び増量時間中の休止可能流路40bの流量FR3をいずれも固定値としたが、これらの少なくともいずれかを、冷却水温Tやエンジン負荷などの運転状態を示すパラメータに基づいて補正・変更ないし動的に設定することとしても良い。例えば、冷却水温Tやエンジン負荷が大きいほど、待機時間twを長く、流量FR2を小さく、又は流量FR3を大きく設定することができる。なお、休止可能気筒5bが休止している間の冷却水温Tは、例えば制御ユニット50により、エアフローメータ13、吸気温センサ42、クランク角センサ51、スロットル開度センサ46、車速センサ53等の検出信号に基づいて推定することができる。
本発明は、複数の気筒を有し且つその一部の気筒が作動休止可能に構成されている内燃機関への冷却水の流通・遮断ないし流量を制御する内燃機関冷却制御装置に広く適用することができる。
1 内燃機関
5a 通常気筒
5b 休止可能気筒
32 EGRクーラ
40a 通常流路
40b 休止可能流路
41 ウォータジャケット
43a,43b 冷却水開閉弁
50 制御ユニット

Claims (2)

  1. 複数の気筒を有し、全ての気筒内で混合気の燃焼が実施される全筒運転と、一部の気筒である休止可能気筒内での燃焼が停止され残余の気筒である通常気筒内で燃焼が実行される減筒運転との間で切り替え可能に構成され、かつ、排気ガスの一部を吸気通路に還流させるEGR通路内の排気ガスを冷却するためのEGRクーラと、前記通常気筒と熱交換可能に隣接した領域を有して前記EGRクーラに冷却水を流通させる通常流路と、前記休止可能気筒と熱交換可能に隣接した領域を有して前記EGRクーラに冷却水を流通させる休止可能流路と、を有する内燃機関に適用される冷却制御装置であって、
    冷却水の流通を調節するように前記通常流路に設けられた通常流路調節部と、
    前記通常流路調節部を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記通常流路への冷却水の流量を、全筒運転中及び減筒運転中には第1の流量とすると共に、減筒運転中であっても全筒運転への切替え要求があった場合には、前記休止可能気筒の燃焼を開始させるよりも前の所定の待機時間にわたり、前記第1の流量よりも小さい第2の流量とするように構成されていることを特徴とする内燃機関冷却制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関冷却制御装置であって、
    冷却水の流通を調節するように前記休止可能流路に設けられた休止可能流路調節部を更に備え、
    前記制御部は、前記休止可能流路への冷却水の流量を、全筒運転中には第3の流量とし、減筒運転中には遮断状態とすると共に、減筒運転中であっても全筒運転への切替え要求があった場合には、前記休止可能気筒の燃焼を開始させるよりも前の所定の増量時間にわたり、前記冷却水を前記遮断状態よりも大きい第4の流量とするように構成されていることを特徴とする内燃機関冷却制御装置。
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