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JP2019015316A - 内燃機関の振動低減装置 - Google Patents

内燃機関の振動低減装置 Download PDF

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Masanori Higuchi
将成 樋口
昌也 宮澤
Masaya Miyazawa
昌也 宮澤
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Abstract

【課題】 クランクシャフトの捩り振動を低減することができる内燃機関の振動低減装置を提供する。【解決手段】 内燃機関1の振動低減装置50であって、複数のシリンダ6に対応したクランクシャフト10と、クランクシャフトの一端25に設けられたクランクプーリ33と、クランクシャフトの他端26に設けられたフライホイール40と、クランクシャフトの捩り振動を抑制すべく、クランクシャフトの捩り振動の1節モードの腹、2節モードの腹、及び3節モードの腹の少なくとも1つに対応する位置に設けられた少なくとも1つの遠心振り子ダンパ51とを有する。【選択図】 図3

Description

本発明は、内燃機関の振動低減装置に関する。
クランクシャフトの捩り振動を低減するために、クランクシャフトのクランクアームに遠心振り子ダンパを備えた内燃機関が公知である(例えば、特許文献1)。
特開2001−153185号公報
しかしながら、特許文献1に係る内燃機関は、遠心振り子ダンパが設けられる位置を特定していない。捩り振動における固有振動の振幅は、クランクシャフトにおける位置に応じて変化する。そのため、遠心振り子ダンパを設ける位置を適切に設定することによって、振動の低減効果が向上する可能性がある。
本発明は、以上の背景を鑑み、クランクシャフトの捩り振動を低減することができる内燃機関の振動低減装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明の一態様は、内燃機関(1)の振動低減装置(50)であって、複数のシリンダ(6)に対応したクランクシャフト(10)と、前記クランクシャフトの一端(25)に設けられたクランクプーリ(33)と、前記クランクシャフトの他端(26)に設けられたフライホイール(40)と、前記クランクシャフトの捩り振動を抑制すべく、前記クランクシャフトの捩り振動の1節モードの腹、2節モードの腹、及び3節モードの腹の少なくとも1つに対応する位置に設けられた少なくとも1つの遠心振り子ダンパ(51)とを有することを特徴とする。
この態様によれば、クランクシャフトの共振が抑制され、クランクシャフトの捩り振動が抑制される。1節モード、2節モード、3節モードの固有振動は内燃機関の常用回転域において発生する。そのため、これらの各モードの腹の少なくとも1つに対応した位置に遠心振り子ダンパを設け、固有振動を抑制することでクランクシャフトの捩れ振動における共振を抑制することができる。
また、上記の態様において、前記遠心振り子ダンパは、前記クランクシャフトの前記他端から全長に対して1/3〜1/2の位置に隣接した2つの前記シリンダ(12B、12C)の少なくとも一方に対応して設けられているとよい。
この態様によれば、遠心振り子ダンパが1節モードの腹、2節モードの腹及び3節モードの腹のいずれにも対応する位置に設けられるため、2節モード及び3節モードの固有振動を抑制することができる。
また、上記の態様において、前記遠心振り子ダンパは、前記クランクシャフトの前記一端に設けられているとよい。
この態様によれば、遠心振り子ダンパが1節モードの腹に対応する位置で固有振動を抑制することができる。
また、上記の態様において、前記遠心振り子ダンパは、前記クランクシャフトの捩り振動の2次より高次の振動を低減するべく調整されているとよい。
この態様によれば、常用回転域における内燃機関の振動を低減することができる。2次より高次の捩り振動は、内燃機関の常用回転域においてクランクシャフトの固有振動数と一致するため、これらの振動を低減することによって共振を抑制することができる。
また、上記の態様において、前記遠心振り子ダンパは、前記クランクシャフトの捩り振動の4次、6次、及び8次の振動の少なくとも1つを低減するべく調整されているとよい。
この態様によれば、内燃機関の常用回転域において共振を発生させ得る4次、6次、及び8次の振動の少なくとも1つを低減することによって、常用回転域における内燃機関の振動を低減することができる。
また、上記の態様において、前記遠心振り子ダンパは、前記クランクシャフトの長手方向における同一の位置に2つ以上設けられているとよい。
この態様によれば、各モードの振動の腹に対応した位置に遠心振り子ダンパを集中させることができ、捩り振動を効率良く低減することができる。
また、上記の態様において、前記クランクシャフトの長手方向における同一の位置に設けられた複数の前記遠心振り子ダンパは、異なる次数の捩り振動を低減するべく調整されているとよい。
この態様によれば、各モードの振動の腹に対応した位置に、各次数に対応した遠心振り子ダンパを集中させることができ、捩り振動を効率良く低減することができる。
また、上記の態様において、前記クランクプーリは、前記クランクシャフトに結合されたプーリ内周部(34)と、前記プーリ内周部の外周に弾性部材(36)を介して設けられ、ベルト(38)が巻き掛けられるプーリ外周部(35)とを有し、前記遠心振り子ダンパは、前記プーリ内周部に設けられているとよい。
この態様によれば、遠心振り子ダンパをクランクシャフトの回転軸から径方向に離れた位置に配置することができる。
また、上記の態様において、前記シリンダは、前記クランクシャフトの前記一端から前記他端にかけて、第1シリンダ(12A)、第2シリンダ(12B)、第3シリンダ(12C)、第4シリンダ(12D)を有し、前記遠心振り子ダンパは、前記クランクシャフトの捩り振動の4次振動を低減するべく調整された少なくとも1つの4次ダンパ(51B)と、前記クランクシャフトの捩り振動の6次振動を低減するべく調整された少なくとも1つの6次ダンパ(51C)とを有し、前記4次ダンパの1つは、前記プーリ内周部に設けられ、前記6次ダンパの1つは、前記クランクシャフトの前記第2シリンダ又は前記第3シリンダに対応した部分に設けられているとよい。
この態様によれば、内燃機関の常用回転域においてクランクシャフトの共振を抑制することができる。4次振動は、内燃機関の常用回転域において1節モードの固有振動と共振する可能性があるため、1節モードの腹に対応したプーリ内周部に4次ダンパを設けることによって、4次振動による共振を抑制することができる。6次振動は、内燃機関の常用回転域において2節モードの固有振動と共振する可能性があるため、2節モードの腹に対応した第2シリンダ又は第3シリンダに対応した位置に6次ダンパを設けることによって、6次振動による共振を抑制することができる。
また、上記の態様において、前記6次ダンパの他の1つは、更に前記プーリ内周部に設けられているとよい。
この態様によれば、内燃機関の常用回転域においてクランクシャフトの共振を抑制することができる。6次振動は、内燃機関の常用回転域において1節モードの固有振動と共振する可能性があるため、1節モードの腹に対応したプーリ内周部に6次ダンパを設けることによって、6次振動による共振を抑制することができる。
また、上記の態様において、前記遠心振り子ダンパは、前記クランクシャフトの捩り振動の8次振動を低減するべく調整された少なくとも1つの8次ダンパ(51D)を有し、前記8次ダンパの1つは、前記クランクシャフトの前記第2シリンダ又は前記第3シリンダに対応した部分に設けられているとよい。
この態様によれば、内燃機関の常用回転域においてクランクシャフトの共振を抑制することができる。8次振動は、内燃機関の常用回転域において2節モードの固有振動と共振する可能性があるため、2節モードの腹に対応した第2シリンダ又は第3シリンダに対応した位置に8次ダンパを設けることによって、6次振動による共振を抑制することができる。
また、上記の態様において、前記シリンダは、前記クランクシャフトの前記一端から前記他端にかけて、第1シリンダ(12A)、第2シリンダ(12B)、第3シリンダ(12C)、第4シリンダ(12D)を有し、前記遠心振り子ダンパは、前記クランクシャフトの捩り振動の4次振動を低減するべく調整された2つの4次ダンパ(51B)と、前記クランクシャフトの捩り振動の6次振動を低減するべく調整された2つの6次ダンパ(51C)と、前記クランクシャフトの捩り振動の8次振動を低減するべく調整された2つの8次ダンパ(51D)とを有し、前記4次ダンパの一方、前記6次ダンパの一方、及び前記8次ダンパの一方は、前記プーリ内周部に設けられ、前記4次ダンパの他方、前記6次ダンパの他方、及び前記8次ダンパの他方は、前記クランクシャフトの前記第2シリンダ又は前記第3シリンダに対応した部分に設けられているとよい。
この態様によれば、内燃機関の常用回転域においてクランクシャフトの共振を抑制することができる。
以上の構成によれば、クランクシャフトの捩り振動を低減することができる内燃機関の振動低減装置を提供することができる。
実施形態に係る内燃機関の断面図 実施形態に係る遠心振り子ダンパの側面図 クランクシャフトの模式図 (A)比較例1に係るクランクシャフトの模式図、(B)クランクシャフトの1節モードの固有振動を示すグラフ、(C)クランクシャフトの2節モードの固有振動を示すグラフ、(D)クランクシャフトの3節モードの固有振動を示すグラフ (A)クランクシャフトに生じる捩り振動とクランクシャフトの固有振動との関係を示すグラフ(比較例1)、(B)クランクシャフトに生じる捩り振動を示すグラフ(比較例1) (A)クランクシャフトに生じる捩り振動を示すグラフ(比較例2)、(B)クランクシャフトに生じる捩り振動を示すグラフ(実施例1) 変形実施形態に係るクランクシャフトの模式図 変形実施形態に係るクランクシャフトの模式図 変形実施形態に係るクランクシャフトの模式図 変形実施形態に係るクランクシャフトの模式図 変形実施形態に係るクランクシャフトの模式図(3気筒)
以下、図面を参照して、本発明を適用した自動車用の内燃機関の実施形態について説明する。
図1に示すように、内燃機関1は、シリンダブロック2と、シリンダブロック2の上部に設けられたシリンダヘッド3と、シリンダブロック2の下部に設けられたオイルパン4とを有する。シリンダブロック2は、複数のシリンダ6が互いに直列に形成されたアッパブロック7と、アッパブロック7の下部に結合されたロアブロック8とを有する。本実施形態では、複数のシリンダ6は、第1シリンダ6A、第2シリンダ6B、第3シリンダ6C、及び第4シリンダ6Dを有する。第1〜第4シリンダ6A〜6Dは、アッパブロック7の一端から他端にかけて順に配列されている。第1〜第4シリンダ6A〜6Dの配列方向をシリンダ列方向といい、第1シリンダ6Aが設けられた側を一側、第4シリンダ6Dが設けられた側を他側という。
アッパブロック7とロアブロック8との間には、クランクシャフト10が回転可能に支持されている。クランクシャフト10は、シリンダ列方向に延び、第1〜第4シリンダ6A〜6Dの下端と対向している。クランクシャフト10は、互いに同軸に配置された複数のクランクジャーナル11と、各クランクジャーナル11間に設けられた第1〜第4クランクスロー12A〜12Dとを有する。各クランクジャーナル11は、アッパブロック7とロアブロック8との間に支持された複数の軸受(不図示)に回転可能に支持され、クランクシャフト10の回転軸をなす。
第1〜第4クランクスロー12A〜12Dは、第1〜第4シリンダ6A〜6Dに対応して配置されている。各クランクスロー12は、一対のクランクウェブ17と、一対のクランクウェブ17間に設けられたクランクピン18とを有する。一対のクランクウェブ17は、隣り合うクランクジャーナル11の互いに対向する端部に結合され、クランクジャーナル11から径方向に延びている。各クランクピン18は、クランクジャーナル11に対して平行に、かつオフセットして配置されている。各クランクウェブ17は、クランクピン18が設けられた側と相反する側にカウンターウェイト19を有する。
第1及び第4クランクスロー12A、12Dのクランクピン18は同位相に配置され、第2及び第3クランクスロー12B、12Cのクランクピン18は第1クランクスロー12Aのクランクピン18に対して180°位相がオフセットされている。各クランクピン18は、コンロッド21を介してピストン22に連結されている。
クランクシャフト10の一端をなす第1端部25は、第1クランクスロー12Aの一側に設けられたクランクジャーナル11の外端に接続し、シリンダブロック2の外方に突出している。クランクシャフト10の他端をなす第2端部26は、第4クランクスロー12Dの他側に設けられたクランクジャーナル11の外端に接続し、シリンダブロック2の外方に突出している。
シリンダブロック2及びシリンダヘッド3と協働してチェーン室27を画定する板状のチェーンケース28が、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3の一端に結合されている。チェーンケース28の下縁は、オイルパン4の上縁部に結合されている。第1端部25は、チェーンケース28を貫通してチェーンケース28の外方に突出している。第1端部25は、チェーン室27内においてスプロケット29を有する。スプロケット29には、クランクシャフト10と動弁機構のカムシャフトとを連結するタイミングチェーン31が巻き掛けられている。
第1端部25のチェーンケース28から外方に突出した部分には、クランクプーリ33が設けられている。クランクプーリ33は、第1端部25に結合された円板状のプーリ内周部34と、プーリ内周部34の外周に設けられたリング状のプーリ外周部35と、プーリ内周部34とプーリ外周部35との間に介装された弾性部材36とを有する。弾性部材36は例えばゴムである。クランクプーリ33は、ダイナミックダンパを構成する。プーリ外周部35の外周にはベルト溝37が形成されている。プーリ外周部35の外周部には、クランクシャフト10とエンジン補機とを連結する補機ベルト38が巻き掛けられている。
第2端部26には、フライホイール40が設けられている。フライホイール40は、第2端部26に結合された円板状の第1フライホイール41と、第1フライホイール41と同軸に設けられた円板状の第2フライホイール42と、第1フライホイール41及び第2フライホイール42の間に介装された弾性部材43とを有する。弾性部材43は、第1フライホイール41の周方向に延びる圧縮コイルばねであり、一端において第1フライホイール41に結合し、他端において第2フライホイール42に結合している。第2フライホイール42は、クラッチ44を介してトランスミッション45に連結される。
内燃機関1には、クランクシャフト10の捩り振動を低減する振動低減装置50が設けられている。振動低減装置50は、クランクシャフト10のクランクウェブ17及びプーリ内周部34の少なくとも一つに設けられた少なくとも1つの遠心振り子ダンパ51を有する。図2は、クランクウェブ17のカウンターウェイト19に遠心振り子ダンパ51を設けた例について示している。図2に示すように、遠心振り子ダンパ51は、カウンターウェイト19に支持軸52を中心として回動可能に支持された振り子部材53を有する。遠心振り子ダンパ51をプーリ内周部34に設ける場合、プーリ内周部34の側面に支持軸52を設け、支持軸52に回動可能に振り子部材53を支持させるとよい。
振り子部材53の回転軸をなす支持軸52の軸線は、クランクシャフト10の軸線と平行にクランクシャフト10の軸線から半径R0[m]離れた位置に設けられている。振り子部材53の重心Gは、振り子部材53の回転軸から半径R1[m]離れている。
遠心振り子の固有振動数f[Hz]は、クランクシャフト10の角速度をω[rad/s]とすると、以下の数式(1)で表される。
f=ω√(R0/R1) ...(1)
式(1)からわかるように、遠心振り子の固有振動数fはクランクシャフト10の角速度ωに比例する。
本実施形態に係る内燃機関1は、4気筒、4ストロークであるため、クランクシャフト10が2回転する間に各シリンダ6において1回燃焼が生じる。すなわち、クランクシャフト10が1回転する間に2回の燃焼が生じ、燃焼に起因する加振力がクランクシャフト10に加わる。燃焼に起因する加振力によって、クランクシャフト10には回転数の偶数倍の捩り振動(2次振動、4次振動、6次振動、8次振動、10次振動)が生じる。
クランクシャフト10のn次の捩り振動を抑制するためには、以下の数式(2)のように、半径R0及び半径R1を定めるとよい。
n=√(R0/R1) ...(2)
本実施形態のように内燃機関1が4気筒、4ストロークである場合、数式(2)においてnを2、4、6、8、10のいずれかに設定し、遠心振り子ダンパ51の半径R0及び半径R1を調整するとよい。n次振動(2次振動、4次振動、6次振動、8次振動、10次振動...)を低減するように半径R0及び半径R1が調整された遠心振り子ダンパ51をn次ダンパ(2次ダンパ51A、4次ダンパ51B、6次ダンパ51C、8次ダンパ51D、10次ダンパ51E...)とする(図3、図10等参照)。
図4(A)は、遠心振り子ダンパ51を有しないクランクシャフト10を模式的に表した図である。クランクシャフト10の捩り振動の固有振動数は、捩り振動のモードに応じて定まる。
図4(B)に示すように、捩り振動の1節モードでは、フライホイール40に結合されたクランクシャフト10の第2端部26が1つの節になり、第1端部25、すなわちプーリ内周部34付近が1つの腹になる。
図4(C)に示すように、捩り振動の2節モードでは、クランクシャフト10の第2端部26とクランクプーリ33の弾性部材36との2点が節になり、プーリ外周部35と、プーリ内周部34から第3クランクスロー12Cまでの部分との2つの領域が腹になる。
図4(D)に示すように、捩り振動の3節モードでは、クランクシャフト10の第4クランクスロー12D及び第1クランクスロー12Aと、クランクプーリ33の弾性部材36との3点が節になり、プーリ外周部35と、プーリ内周部34と、第2クランクスロー12Bから第3クランクスロー12Cまでの部分との3つの領域が腹になる。
プーリ内周部34と、第2クランクスロー12Bから第3クランクスロー12Cまでの範囲とは、1節モード、2節モード及び3節モードにおいていずれも振動の腹になる。また、クランクシャフト10の第2端部26から全長に対して1/3〜1/2の位置は、1節モード、2節モード及び3節モードにおいていずれも振動の腹になる。クランクシャフト10の第2端部26から全長に対して1/3〜1/2の位置に隣接したシリンダ6は、4気筒の場合には第2シリンダ6B又は第3シリンダ6Cになる。
図3に示すように、遠心振り子ダンパ51は、1節モードの腹、2節モードの腹、3節モードの腹の少なく共1つに対応する位置に設けられている。本実施形態では、遠心振り子ダンパ51は、第2クランクスロー12Bのカウンターウェイト19、第3クランクスロー12Cのカウンターウェイト19、及び第1端部25に結合されたプーリ内周部34の少なくとも1つに設けられている。
遠心振り子ダンパ51は、クランクシャフト10の長手方向における同一の位置に2つ以上設けられていてもよい。同一の位置に設けられる複数の遠心振り子ダンパ51は、異なる次数の捩り振動を低減するべく調整されているとよい。
図3に示すように、本実施形態の1つの態様では、プーリ内周部34に4次ダンパ51B及び6次ダンパ51Cが設けられ、第3クランクスロー12Cのクランクウェブ17に6次ダンパ51C及び8次ダンパ51Dが設けられている。
また、2次ダンパ51Aが、第2フライホイール42に設けられている。第2フライホイール42に設けられる2次ダンパ51Aは、第2フライホイール42の回転変動を抑制する効果を奏する。
以上のように構成した振動低減装置50の効果について説明する。クランクシャフト10に、1つの4次ダンパ51Bと、2つの6次ダンパ51Cと、1つの8次ダンパ51Dとが設けられているため、クランクシャフト10に生じる捩り振動の4次振動、6次振動、及び8次振動が低減される。遠心振り子ダンパ51の固有振動数と、クランクシャフト10に生じる捩り振動の各次数の振動とは共にクランクシャフト10の回転数に比例するため、遠心振り子ダンパ51はクランクシャフト10の回転数によらず各次数の振動を低減することができる。
各遠心振り子ダンパ51は、クランクシャフト10の捩り振動の1節モードの腹、2節モードの腹、及び3節モードの腹に対応する、第3クランクスロー12Cのクランクウェブ17と、プーリ内周部34とに設けられている。そのため、各遠心振り子ダンパ51は、1節モード、2節モード、及び3節モードの各モードに対応したクランクシャフト10の固有振動を抑制することができる。また、プーリ内周部34は、クランクシャフト10の捩り振動の1節モード、2節モード、及び3節モードの腹に対応する。そのため、プーリ内周部34に設けられた遠心振り子ダンパ51は、1節モード、2節モード、及び3節モードの各モードに対応したクランクシャフト10の固有振動を抑制することができる。これにより、クランクシャフト10の捩り振動の固有振動が抑制され、クランクシャフト10の共振が抑制される。
以下に遠心振り子ダンパ51を設ける位置と振動低減効果との関係を確認するために行なったシミュレーション結果について示す。検討は、遠心振り子ダンパ51を有しない例(比較例1)と、遠心振り子ダンパ51をプーリ内周部34のみに有する例(比較例2)と、遠心振り子ダンパ51をプーリ内周部34及び第3クランクスロー12Cのクランクウェブ17に有する例(実施例1)とについて行なった。
図5(A)及び(B)は、比較例1における、クランクシャフト10に生じる各次数の捩り振動と、クランクシャフト10の1節モード及び2節モードに対応した固有振動数との関係を示すグラフである。図5(A)に示すように、内燃機関1の常用回転域(1000rpm〜4000rpm)において、4次、6次、8次、及び10次の捩り振動は、クランクシャフト10の1節モード及び2節モードに対応した固有振動数と一致する箇所を含む。図5(B)に示すように、各次数の捩り振動がクランクシャフト10の捩り振動における固有振動数と一致する場合に共振が発生し、捩り振動が大きくなる(ピークを形成する)。常用回転域において、4次振動は1節モードに対応した固有振動と共振し、1つのピークを形成する。6次振動、8次振動、及び10次振動は1節モード及び2節モードに対応した固有振動と共振し、それぞれ2つのピークを形成する。なお、10次振動は、他の次数の振動に対して振幅が小さく、全体の振動に与える影響は小さい。1節モードの固有振動に起因する共振は内燃機関の低回転域(1000〜2000Hz)において発生し、2節モードの固有振動に起因する共振は内燃機関の中回転域(2000〜4000Hz)において発生する。
図6(A)は、比較例2における、クランクシャフト10に生じる各次数の捩り振動を示すグラフである。比較例2では、プーリ内周部34に4次ダンパ51B、6次ダンパ51C、8次ダンパ51D、及び10次ダンパ51Eが設けられている。4次ダンパ51B、6次ダンパ51C、8次ダンパ51D、及び10次ダンパ51Eは、捩り振動の4次、6次、8次、10次の各振動を抑制する。また、各ダンパがプーリ内周部34に設けられることによって、1節モード、2節モード及び3節モードのクランクシャフト10の第1端部25(プーリ内周部34)における固有振動が抑制され、これらに起因する共振が抑制される。これにより、4次振動のピークと、6次振動、8次振動、及び10次振動の1000〜2000Hz付近のピークが消失する。
図6(B)は、実施例1における、クランクシャフト10に生じる各次数の捩り振動を示すグラフである。実施例1では、プーリ内周部34及び第3クランクスロー12Cのクランクウェブ17のそれぞれに4次ダンパ51B、6次ダンパ51C、8次ダンパ51D、及び10次ダンパ51Eが設けられている。4次ダンパ51B、6次ダンパ51C、8次ダンパ51D、及び10次ダンパ51Eは、捩り振動の4次、6次、8次、10次の各振動を抑制する。また、各ダンパがプーリ内周部34に設けられることによって、1節モード及び2節モードのクランクシャフト10の第1端部25における振動が抑制され、これらに起因する共振が抑制される。また、各ダンパが第3クランクスロー12Cのクランクウェブ17に設けられることによって、1節モード、2節モード及び3節モードのクランクシャフト10の第3シリンダ6Cに対応した部分における振動が抑制され、これらに起因する共振が抑制される。すなわち、各ダンパによって、1節モード、2節モード及び3節モードにおける2つの腹に対応した振動が抑制される。これにより、4次振動のピークと、6次振動、8次振動、及び10次振動の2000〜4000Hz付近のピークが消失する。
本実施形態に係る遠心振り子ダンパ51は、2次より高次の振動を低減するべく調整されているため、常用回転域における内燃機関1の振動を効率良く低減することができる。また、遠心振り子ダンパ51は、クランクシャフト10の長手方向における同一の位置に複数設けられ、それぞれが異なる次数の振動を低減するように調整されているため、4次、6次、8次等の複数の次数の捩り振動を抑制することができる。
遠心振り子ダンパ51をクランクシャフト10の第1端部25に設ける場合に、遠心振り子ダンパ51をプーリ内周部34に設けることによって、遠心振り子ダンパ51をクランクシャフト10の回転軸から径方向に離れた位置に配置することができる。これにより、遠心振り子ダンパ51の半径R0の変更が容易になると共に、遠心振り子ダンパ51を効率良く配置することができる。
本実施形態に係る遠心振り子ダンパ51は、クランクシャフト10の曲げ振動を低減することもできる。遠心振り子ダンパ51をクランクシャフト10の長手方向における中央に位置する第2クランクスロー12Bや第3クランクスロー12Cに設けた場合、曲げ振動を効率良く低減することができる。
上記の実施形態の変形例として、以下に示すように遠心振り子ダンパ51を配置することができる。図7に示すように、プーリ内周部34に4次ダンパ51B及び6次ダンパ51Cを設け、第2クランクスロー12Bのクランクウェブ17に6次ダンパ51C、及び8次ダンパ51Dを設けてもよい。このように、遠心振り子ダンパ51は、第3クランクスロー12Cに代えて第2クランクスロー12Bに設けてもよい。
図8に示すように、プーリ内周部34に4次ダンパ51B、6次ダンパ51C、及び8次ダンパ51Dを設け、第3クランクスロー12Cのクランクウェブ17に4次ダンパ51B、6次ダンパ51C、及び8次ダンパ51Dを設けてもよい。この態様において、4次ダンパ51B、6次ダンパ51C、及び8次ダンパ51Dは、第3クランクスロー12Cに代えて第2クランクスロー12Bに設けてもよい。
図9に示すように、プーリ内周部34に4次ダンパ51B、6次ダンパ51C、及び8次ダンパ51Dを設け、第2クランクスロー12Bのクランクウェブ17に4次ダンパ51B、6次ダンパ51C、及び8次ダンパ51Dを設け、第3クランクスロー12Cのクランクウェブ17に4次ダンパ51B、6次ダンパ51C、及び8次ダンパ51Dを設けてもよい。この態様において、4次ダンパ51B、6次ダンパ51C、及び8次ダンパ51Dは、第2クランクスロー12B及び第3クランクスロー12Cの少なくとも一方に設けられているとよい。例えば、第2クランクスロー12Bに4次ダンパ51B及び6次ダンパ51Cを設け、第3クランクスロー12Cに8次ダンパ51Dを設けてもよい。
図10に示すように、プーリ内周部34に4次ダンパ51B、6次ダンパ51C、及び8次ダンパ51Dを設け、第3クランクスロー12Cのクランクウェブ17に4次ダンパ51B、6次ダンパ51C、8次ダンパ51D、及び10次ダンパ51Eを設けてもよい。この態様において、4次ダンパ51B、6次ダンパ51C、8次ダンパ51D、及び10次ダンパ51Eは、第2クランクスロー12Bのクランクウェブ17に設けてもよい。
図11は、内燃機関1が3気筒エンジンの場合について示す。3気筒の場合も4気筒の場合と同様に、遠心振り子ダンパ51は、クランクシャフト10の捩れ振動の1節モードの腹、2節モードの腹、及び3節モードの腹の少なくとも1つに配置されるとよい。また、遠心振り子ダンパ51は、1節モードの腹、2節モードの腹、及び3節モードの腹の全てに共通する位置に配置されるとよい。3気筒の場合、内燃機関1の構成は、4気筒の場合に比べて第4シリンダ6D及び第4クランクスロー12Dが省略された構成になる。内燃機関1が3気筒、4ストロークの場合、クランクシャフト10が1回転する間に1.5回の燃焼が生じ、燃焼に起因する加振力がクランクシャフト10に加わる。燃焼に起因する加振力によって、クランクシャフト10には回転数の1.5倍の捩り振動(3次振動、4.5次振動、6次振動、7.5次振動、9次振動)が生じる。
図11に示すように、3気筒の場合、プーリ内周部34に3次ダンパ51F、4.5次ダンパ51G、及び6次ダンパ51Cを設け、第2クランクスロー12Bのクランクウェブ17に3次ダンパ51F、4.5次ダンパ51G、及び6次ダンパ51Cを設けるとよい。3次ダンパ51F、4.5次ダンパ51G、及び6次ダンパ51Cは、プーリ内周部34及び第2クランクスロー12Bの少なくとも一方に設けられるとよい。プーリ内周部34及び第2クランクスロー12Bのそれぞれは、1節モードの腹、2節モードの腹、及び3節モードの腹の全てに対応する。また、プーリ内周部34及び第2クランクスロー12Bの少なくとも一方に7.5次ダンパが設けられてもよい。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、遠心振り子ダンパ51の構成は公知の様々な構造を適用することができる。
1 :内燃機関
2 :シリンダブロック
6A〜6D :第1〜第4シリンダ
10 :クランクシャフト
11 :クランクジャーナル
12A〜12D :第1〜第4クランクスロー
17 :クランクウェブ
18 :クランクピン
19 :カウンターウェイト
25 :第1端部
26 :第2端部
33 :クランクプーリ
34 :プーリ内周部
35 :プーリ外周部
36 :弾性部材
40 :フライホイール
41 :第1フライホイール
42 :第2フライホイール
43 :弾性部材
50 :振動低減装置
51 :遠心振り子ダンパ
51A :2次ダンパ
51B :4次ダンパ
51C :6次ダンパ
51D :8次ダンパ
51E :10次ダンパ

Claims (12)

  1. 内燃機関の振動低減装置であって、
    複数のシリンダに対応したクランクシャフトと、
    前記クランクシャフトの一端に設けられたクランクプーリと、
    前記クランクシャフトの他端に設けられたフライホイールと、
    前記クランクシャフトの捩り振動を抑制すべく、前記クランクシャフトの捩り振動の1節モードの腹、2節モードの腹、及び3節モードの腹の少なくとも1つに対応する位置に設けられた少なくとも1つの遠心振り子ダンパとを有することを特徴とする内燃機関の振動低減装置。
  2. 前記遠心振り子ダンパは、前記クランクシャフトの前記他端から全長に対して1/3〜1/2の位置に隣接した2つの前記シリンダの少なくとも一方に対応して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の振動低減装置。
  3. 前記遠心振り子ダンパは、前記クランクシャフトの前記一端に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の振動低減装置。
  4. 前記遠心振り子ダンパは、前記クランクシャフトの捩り振動の2次より高次の振動を低減するべく調整されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つの項に記載の内燃機関の振動低減装置。
  5. 前記遠心振り子ダンパは、前記クランクシャフトの捩り振動の4次、6次、及び8次の振動の少なくとも1つを低減するべく調整されていることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の振動低減装置。
  6. 前記遠心振り子ダンパは、前記クランクシャフトの長手方向における同一の位置に2つ以上設けられていることを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の振動低減装置。
  7. 前記クランクシャフトの長手方向における同一の位置に設けられた複数の前記遠心振り子ダンパは、異なる次数の捩り振動を低減するべく調整されていることを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の振動低減装置。
  8. 前記クランクプーリは、前記クランクシャフトに結合されたプーリ内周部と、前記プーリ内周部の外周に弾性部材を介して設けられ、ベルトが巻き掛けられるプーリ外周部とを有し、
    前記遠心振り子ダンパは、前記プーリ内周部に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項7に記載の内燃機関の振動低減装置。
  9. 前記シリンダは、前記クランクシャフトの前記一端から前記他端にかけて、第1シリンダ、第2シリンダ、第3シリンダ、第4シリンダを有し、
    前記遠心振り子ダンパは、前記クランクシャフトの捩り振動の4次振動を低減するべく調整された少なくとも1つの4次ダンパと、前記クランクシャフトの捩り振動の6次振動を低減するべく調整された少なくとも1つの6次ダンパとを有し、
    前記4次ダンパの1つは、前記プーリ内周部に設けられ、
    前記6次ダンパの1つは、前記クランクシャフトの前記第2シリンダ又は前記第3シリンダに対応した部分に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の内燃機関の振動低減装置。
  10. 前記6次ダンパの他の1つは、更に前記プーリ内周部に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の内燃機関の振動低減装置。
  11. 前記遠心振り子ダンパは、前記クランクシャフトの捩り振動の8次振動を低減するべく調整された少なくとも1つの8次ダンパを有し、
    前記8次ダンパの1つは、前記クランクシャフトの前記第2シリンダ又は前記第3シリンダに対応した部分に設けられていることを特徴とする請求項10に記載の内燃機関の振動低減装置。
  12. 前記シリンダは、前記クランクシャフトの前記一端から前記他端にかけて、第1シリンダ、第2シリンダ、第3シリンダ、第4シリンダを有し、
    前記遠心振り子ダンパは、前記クランクシャフトの捩り振動の4次振動を低減するべく調整された2つの4次ダンパと、前記クランクシャフトの捩り振動の6次振動を低減するべく調整された2つの6次ダンパと、前記クランクシャフトの捩り振動の8次振動を低減するべく調整された2つの8次ダンパとを有し、
    前記4次ダンパの一方、前記6次ダンパの一方、及び前記8次ダンパの一方は、前記プーリ内周部に設けられ、
    前記4次ダンパの他方、前記6次ダンパの他方、及び前記8次ダンパの他方は、前記クランクシャフトの前記第2シリンダ又は前記第3シリンダに対応した部分に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の内燃機関の振動低減装置。
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