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JP2019097695A - 車椅子 - Google Patents

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JP2019097695A JP2017229546A JP2017229546A JP2019097695A JP 2019097695 A JP2019097695 A JP 2019097695A JP 2017229546 A JP2017229546 A JP 2017229546A JP 2017229546 A JP2017229546 A JP 2017229546A JP 2019097695 A JP2019097695 A JP 2019097695A
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功司 山崎
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松田 淳
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松田  淳
泰伸 関
Yasunobu Seki
泰伸 関
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夏実 竹中
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Abstract

【課題】下り坂において制動させるとき搭乗者の負担を軽減できる車椅子を提供する。【解決手段】車椅子は、一対の車輪3と、一対の車輪のそれぞれを支持する一対の支持部材及び搭乗者用の操作部材8を有し、操作部材の操作により支持部材が移動して車輪のトー角を調整するトー角調整機構と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、車椅子に関する。
車椅子に係る技術分野において、手動式の車椅子と電動式の車椅子とが知られている。手動式の車椅子は、電動式の車椅子に比べて、安価で軽量であり環境に対する負荷が小さいという利点を有する。
特開2013−144077号公報
手動式の車椅子は、搭乗者の腕力を必要とする。下り坂を下る車椅子を制動させる場合、搭乗者に大きい腕力が要求される。高齢化社会の進展に伴い搭乗者が高齢者であるケースが増加することが予想される。高齢者が下り坂を下る車椅子を制動させることは困難である可能性が高い。
本発明の態様は、下り坂における制動において搭乗者の負担を軽減できる車椅子を提供することを目的とする。
本発明の態様に従えば、一対の車輪と、一対の車輪のそれぞれを支持する一対の支持部材及び搭乗者用の操作部材を有し、操作部材の操作により支持部材が移動して車輪のトー角を調整するトー角調整機構と、を備える車椅子が提供される。
本発明の態様において、トー角調整機構は、接続部材を介して操作部材に接続され操作部材の移動により移動する可動部材と、可動部材と支持部材とを連結する動力伝達機構と、を有してもよい。
本発明の態様において、トー角調整機構は、第1関節を介して一方の支持部材に連結される第1リンク及び第2関節を介して他方の支持部材に連結され第3関節を介して第1リンクに連結される第2リンクを有するリンク機構と、第3関節に連結されガイド部材にガイドされるロッド部材と、を有し、可動部材は、ロッド部材であり、動力伝達機構は、リンク機構を含んでもよい。
本発明の態様において、トー角調整機構は、支持部材に接続され旋回軸を中心に回転可能なピニオンと、ピニオンに噛み合うラックと、を有し、可動部材は、ラックであり、動力伝達機構は、ピニオンを含んでもよい。
本発明の態様において、メインフレームと、メインフレームに移動可能に支持され搭乗者が着座するシートと、を備え、操作部材は、シートを含んでもよい。
本発明の態様において、トー角調整機構は、トー角を第1角度と第1角度よりも大きい第2角度との一方から他方に変更することが好ましい。
本発明の態様において、第1角度は、0[°]であることが好ましい。
本発明の態様において、第2角度は、5[°]以上15[°]以下であることが好ましい。
本発明の態様において、トー角調整機構は、一対の支持部材を同期して移動することが好ましい。
本発明の態様において、トー角調整機構は、一対の車輪のトー角を同じ角度に変更することが好ましい。
本発明の態様において、車輪の前方に配置されるキャスターを備え、トー角調整機構は、一対の車輪の前端部の間隔が後端部の間隔よりも短くなるようにトー角を調整してもよい。
本発明の態様において、車輪の前方に配置されるキャスターを備え、トー角調整機構は、一対の車輪の前端部の間隔が後端部の間隔よりも長くなるようにトー角を調整してもよい。
本発明の態様によれば、下り坂における制動において搭乗者の負担を軽減できる車椅子が提供される。
図1は、第1実施形態に係る車椅子の一例を模式的に示す斜視図である。 図2は、第1実施形態に係るトー角調整機構の一例を模式的に示す側面図である。 図3は、第1実施形態に係るトー角調整機構の一例を模式的に示す平面図である。 図4は、第1実施形態に係る車椅子の使用例を模式的に示す図である。 図5は、第2実施形態に係るトー角調整機構の一例を模式的に示す側面図である。 図6は、第3実施形態に係るトー角調整機構の一例を模式的に示す平面図である。 図7は、第4実施形態に係る車椅子の使用例を模式的に示す図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
[第1実施形態]
(車椅子の概要)
図1は、本実施形態に係る車椅子1の一例を模式的に示す斜視図である。車椅子1は、手動式の車椅子である。手動式の車椅子とは、電動機のようなアクチュエータを備えず、介助者又は搭乗者の力を利用して動く車椅子をいう。手動式の車椅子は、バッテリ及び電動機を備える電動式の車椅子に比べて、安価で軽量であり環境に対する負荷が小さいという利点を有する。
図1に示すように、車椅子1は、搭乗者を支持する車体2と、車体2を支持する一対の車輪3と、車体2を支持する一対のキャスター4と、介助者に操作されるハンドグリップ5と、介助者に操作されるティッピングバー6と、一対の車輪3を制動させるブレーキ機構7と、一対の車輪3のそれぞれを支持する一対の支持部材9及び搭乗者用の操作部材8を有し、操作部材8の操作により支持部材9が移動して車輪3のトー角θを調整するトー角調整機構10とを備える。
車体2は、メインフレーム21と、シート22と、バックレスト23と、アームレスト24と、レッグレスト25と、フットレスト26と、サイドガード27とを有する。
メインフレーム21は、シート22、バックレスト23、アームレスト24、レッグレスト25、フットレスト26、及びサイドガード27を支持する。メインフレーム21は、複数のパイプを組み合わせることによって形成される。メインフレーム21は、シート22、レッグレスト25、及びフットレスト26を支持するメインパイプ211と、アームレスト24を支持するアームパイプ212と、バックレスト23を支持するバックレストパイプ213と、メインパイプ211の一部と連結されるベースパイプ214と、メインパイプ211とベースパイプ214とを連結するサポートパイプ215と、メインパイプ211とベースパイプ214とを連結するクロスパイプ216とを有する。
シート22は、搭乗者が着座する座面22Sを有する。バックレスト23は、搭乗者の背中を支持する。アームレスト24は、搭乗者の腕を支持する。アームレスト24は、搭乗者の左腕及び右腕のそれぞれを支持するために一対設けられる。レッグレスト25は、搭乗者の脚を支持する。フットレスト26は、搭乗者の足を支持する。フットレスト26は、搭乗者の左足及び右足のそれぞれを支持するために一対設けられる。サイドガード27は、搭乗者の衣類がシート22の外側に垂れ下がることを防止する。
以下の説明においては、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」の用語を用いて各部の位置関係について説明する。シート22の座面22Sと平行な面内においてシート22に対してレッグレスト25及びフットレスト26が存在する方が「前」であり、バックレスト23が存在する方が「後」である。シート22の座面22Sと平行な面内においてシート22に対して一方のアームレスト24が存在する方が「左」であり、他方のアームレスト24が存在する方が「右」である。シート22の座面22Sと直交する方向においてシート22に対してバックレスト23が存在する方が「上」であり、レッグレスト25及びフットレスト26が存在する方が「下」である。
バックレスト23は、シート22の後方において、シート22よりも上方に配置される。バックレスト23は、上下方向に延在する。一方のアームレスト24は、シート22の左方において、シート22よりも上方に配置される。他方のアームレスト24は、シート22の右方において、シート22よりも上方に配置される。一対のアームレスト24は、前後方向に延在する。レッグレスト25は、シート22の前方において、シート22よりも下方に配置される。フットレスト26は、レッグレスト25の前方において、レッグレスト25よりも下方に配置される。サイドガード27は、シート22の左方及び右方のそれぞれに配置される。
車輪3は、シート22の左方及び右方のそれぞれに1つずつ設けられる。車輪3は、ホイールと、ホイールに装着されるタイヤとを含む。車輪3は、トー角調整機構10の支持部材9に回転可能に支持される。車輪3は、回転軸RXを中心に回転可能である。回転軸RXは、シート22の座面22Sと実質的に平行である。
以下の説明においては、シート22の左方に配置される車輪3を適宜、左車輪3L、と称し、シート22の右方に配置される車輪3を適宜、右車輪3R、と称する。左車輪3Lの構造及び寸法と右車輪3Rの構造及び寸法とは同一である。
また、以下の説明においては、左車輪3Lを回転可能に支持する支持部材9を適宜、左支持部材9L、と称し、右車輪3Rを回転可能に支持する支持部材9を適宜、右支持部材9R、と称する。左支持部材9Lの構造及び寸法と右支持部材9Rの構造及び寸法とは同一である。
車輪3にハンドリム31が装着される。ハンドリム31は、左右方向において車輪3の外側に装着されるリング状の部材である。搭乗者は、ハンドリム31を操作して、車輪3を回転させることができる。
キャスター4は、車輪3の前方に配置される。キャスター4は、シート22の左方及び右方のそれぞれに1つずつ設けられる。キャスター4の直径は、車輪3の直径よりも小さい。キャスター4は、キャスターフォーク41に回転可能に支持される。キャスター4は、回転軸FXを中心に回転可能である。回転軸FXは、シート22の座面22Sと実質的に平行である。キャスターフォーク41は、車体2のメインフレーム21に回転可能に支持される。キャスターフォーク41は、回転軸VXを中心に回転可能である。回転軸VXは、キャスター4の回転軸FXと平行な軸と直交する。
以下の説明においては、シート22の左方に配置されるキャスター4を適宜、左キャスター4L、と称し、シート22の右方に配置されるキャスター4を適宜、右キャスター4R、と称する。左キャスター4Lの構造及び寸法と右キャスター4Rの構造及び寸法とは同一である。
ハンドグリップ5は、介助者に操作される介助者用の操作部材である。ハンドグリップ5は、介助者に握られる。ハンドグリップ5は、バックレストパイプ213の上端部よりも上方に配置される。介助者は、ハンドグリップ5を握った状態で車椅子1を動かすことができる。
ティッピングバー6は、介助者に操作される介助者用の操作部材である。ティッピングバー6は、キャスター4を上昇させるときに介助者に踏み込まれる。ティッピングバー6は、シート22よりも下方に配置される。
ブレーキ機構7は、車輪3に制動力を付与する。ブレーキ機構7は、介助用ブレーキ71と、駐車用ブレーキ72とを含む。
介助用ブレーキ71は、ハンドグリップ5の下方に設けられる介助用操作レバーと、介助用操作レバーの操作により車輪3の少なくとも一部と接触するブレーキパッドとを含む。介助者用操作レバーは、ワイヤを介してブレーキパッドに接続される。介助者が介助用操作レバーを操作すると、車輪3の少なくとも一部と接触するようにブレーキパッドが作動する。ブレーキパッドと車輪3の少なくとも一部とが接触することにより、車椅子1が制動する。
駐車用ブレーキ72は、シート22の左方及び右方のそれぞれに設けられる駐車用操作レバーと、駐車用操作レバーの操作により車輪3を押さえ付ける押圧部材とを含む。介助者又は搭乗者が駐車用操作レバーを操作すると、車輪3を押さえ付けるように押圧部材が作動する。押圧部材が車輪3を押さえ付けることにより、車椅子1が停止する。
(トー角調整機構)
次に、本実施形態に係るトー角調整機構10について説明する。図2は、本実施形態に係るトー角調整機構10の一例を模式的に示す側面図である。図3は、本実施形態に係るトー角調整機構10の一例を模式的に示す平面図である。
トー角調整機構10は、車輪3のトー角θを調整する。トー角θとは、車椅子1を上方から見たときの車椅子1の進行方向に対する車輪3の角度をいう。すなわち、トー角θとは、シート22の座面22Sと平行な面内において、左右方向における車体2の中心を通り前後方向に延在する車体中心線ALと、タイヤ幅方向における車輪3の中心を通るタイヤ中心線CL(タイヤ赤道面)とがなす角度をいう。
本実施形態において、トー角調整機構10は、左車輪3Lを回転可能に支持する左支持部材9Lと、右車輪3Rを回転可能に支持する右支持部材9Rとを有する。トー角調整機構10は、左支持部材9Lを移動することにより左車輪3Lのトー角θを調整し、右支持部材9Rを移動することにより右車輪3Rのトー角θを調整する。
支持部材9(9L,9R)は、車輪3(3L,3R)に連結されたシャフト部材91を回転可能に支持する。シャフト部材91は、回転軸RXを含む。シャフト部材91は、回転軸RXを中心に車輪3と一緒に回転する。
また、トー角調整機構10は、左支持部材9Lと右支持部材9Rとを連結するリンク機構11と、旋回軸SXを中心に支持部材9を旋回可能に支持する旋回機構81とを有する。
旋回機構81の旋回軸SXは、車輪3の回転軸RXに平行な軸と直交する。
支持部材9は、車輪3に連結されるシャフト部材91を回転可能に支持する軸受部材93と、軸受部材93から後方に突出する突出部材94とを有する。軸受部材93は、旋回機構81に連結される。旋回機構81は、メインフレーム21に支持される。
リンク機構11は、第1関節112を介して左支持部材9Lに連結される第1リンク113と、第2関節114を介して右支持部材9Rに連結される第2リンク116とを有する。第2リンク116は、第3関節115を介して第1リンク113に連結される。第1リンク113は、第1関節112を介して左支持部材9Lの軸受部材93に連結される。第2リンク116は、第2関節114を介して右支持部材9Rの軸受部材93に連結される。第3関節115は、第1関節112及び第2関節114よりも後方に配置される。
第1関節112の回転軸、第2関節114の回転軸、及び第3関節115の回転軸のそれぞれは、車輪3の回転軸RXに平行な軸と直交する。
第1関節112は、左支持部材9Lの突出部材94に接続される。第2関節114は、右支持部材9Rの突出部材94に接続される。第1リンク113の一端部は、第1関節112を介して左支持部材9Lに連結される。第2リンク116の一端部は、第2関節114を介して右支持部材9Rに連結される。第1リンク113の他端部と第2リンク116の他端部とは第3関節115を介して連結される。第1リンク113の長さと第2リンク116の長さとは同一である。
また、トー角調整機構10は、第3関節115に連結されるロッド部材117と、ロッド部材117をガイドするガイド部材118とを有する。ロッド部材117は、接続部材119を介してシート22に接続される。
ガイド部材118は、リニアガイド機構を含む。ガイド部材118は、メインフレーム21に支持される。ロッド部材117は、前後方向に移動可能にガイド部材118にガイドされる。
本実施形態において、トー角調整機構10を操作するための操作部材8は、シート22である。図2に示すように、本実施形態において、シート22は、メインフレーム21に移動可能に支持される。シート22は、前後方向に移動可能である。シート22は、接続部材119を介してロッド部材117と接続されている。シート22の移動により、ロッド部材117も前後方向に移動する。
ロッド部材117と支持部材9とはリンク機構11により連結される。シート22の移動によりロッド部材117が移動すると、ロッド部材117の移動により発生した動力は、リンク機構11を介して支持部材9に伝達される。
図3(B)に示すように、トー角調整機構10は、一対の車輪3の前端部3Sの間隔が後端部3Tの間隔よりも短くなるようにトー角θを調整する。車輪3の前端部3Sとは、前後方向においてキャスター4に最も近い車輪3の部位をいう。車輪3の後端部3Tとは、前後方向においてキャスター4から最も遠い車輪3の部位をいう。すなわち、本実施形態において、トー角調整機構10は、一対の車輪3がトーイン(toe in)になるようにトー角θを調整する。
上述のように、トー角θとは、車体中心線ALとタイヤ中心線CLとがなす角度をいう。トー角調整機構10は、車体中心線ALに対して車輪3の後端部3Tが前端部3Sよりも外側に移動するようにトー角θを調整する。本実施形態において、車輪3の前端部3Sを通り車体中心線ALに平行な仮想線ILとタイヤ中心線CLとがなす角度をトー角θとする。図3(A)に示すように、車輪3の後端部3Tが車体中心線ALに接近したとき、車輪3のトー角θは小さくなる。図3(B)に示すように、車体2の後端部3Tが車体中心線ALから離れたとき、車輪3のトー角θは大きくなる。
図3(A)に示すように、シート22が後方に移動し、ロッド部材117が後方に移動すると、第1リンク113と第2リンク116とがなす角度は小さくなり、第1リンク113は、旋回機構81に支持されている左支持部材9Lの軸受部材93が規定方向に旋回するように軸受部材93に力を付与し、第2リンク116は、旋回機構81に支持されている右支持部材9Rの軸受部材93が規定方向に旋回するように軸受部材93に力を付与する。これにより、図3(A)に示すように、車輪3のトー角θは小さくなる。
図3(B)に示すように、シート22が前方に移動し、ロッド部材117が前方に移動すると、第1リンク113と第2リンク116とがなす角度は大きくなり、第1リンク113は、旋回機構81に支持されている左支持部材9Lの軸受部材93が規定方向の逆方向に旋回するように軸受部材93に力を付与し、第2リンク116は、旋回機構81に支持されている右支持部材9Rの軸受部材93が規定方向の逆方向に旋回するように軸受部材93に力を付与する。これにより、図3(B)に示すように、車輪3のトー角θは大きくなる。
トー角調整機構10は、車輪3のトー角θを第1角度θ1と第2角度θ2との一方から他方に変更する。第2角度θ2は、第1角度θ1よりも大きい。図3(A)は、トー角θが第1角度θ1である状態を示す。図3(B)は、トー角θが第2角度θ2である状態を示す。
本実施形態において、第1角度θ1は、0[°]である。第2角度θ2は、5[°]以上15[°]以下である。
搭乗者は、シート22に座った状態で、メインフレーム21に対してシート22が後方に移動するようにシート22を操作することにより、車輪3のトー角θを第2角度θ2から第1角度θ1に変更することができる。また、搭乗者は、シート22に座った状態で、メインフレーム21に対してシート22が前方に移動するようにシート22を操作することにより、車輪3のトー角θを第1角度θ1から第2角度θ2に変更することができる。
シート22は、リンク機構11によって規定される可動範囲において前後方向に移動可能である。シート22が後方に移動するようにシート22が操作されると、図3(A)に示すように、第1リンク113と第2リンク116とがなす角度が小さくなるように、リンク機構11が作動する。シート22が前方に移動するようにシート22が操作されると、図3(B)に示すように、第1リンク113と第2リンク116とがなす角度が大きくなるように、リンク機構11が作動する。
リンク機構11の作用により、トー角調整機構10は、一対の支持部材9(9L,9R)を同期して移動することができる。また、リンク機構11の作用により、トー角調整機構10は、一対の車輪3(3L,3R)のトー角θを同じ角度に変更することができる。例えば、左車輪3Lのトー角θが0[°]のとき、右車輪3Rのトー角θも0[°]となる。左車輪3Lのトー角θが10[°]のとき、右車輪3Rのトー角θも10[°]となる。
(使用例)
次に、本実施形態に係る車椅子1の使用例について説明する。図4は、本実施形態に係る車椅子1の使用例を模式的に示す図である。図4に示すように、車椅子1を下り坂において移動させる場合、搭乗者は、車輪3のトー角θが第2角度θ2になるように、メインフレーム21に対してシート22を前方に移動させる。車輪3のトー角θが大きいので、車輪3と地面との摩擦抵抗が大きくなる。車輪3と地面との摩擦抵抗により、車椅子1の移動速度が高くなることが抑制される。車椅子1は制動しながら下り坂をゆっくりと移動することができる。
一方、車椅子1を水平な地面において移動させる場合又は上り坂において移動させる場合、搭乗者は、車輪3のトー角θが第1角度θ1になるように、メインフレーム21に対してシート22を後方に移動させる。車輪3のトー角θが小さいので、車輪3と地面との摩擦抵抗は小さくなる。したがって、搭乗者は、ハンドリム31を操作して車椅子1を円滑に移動させることができる。
(効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、車椅子1にトー角調整機構10が設けられることにより、下り坂において車椅子1を移動させるとき、搭乗者は、車輪3のトー角θを大きくすることによって、車椅子1を制動しながら移動させることができる。搭乗者用の操作部材8を操作して支持部材9を移動させるだけで、車椅子1に制動力を付与することができるので、搭乗者の負担は軽減される。
下り坂において車椅子1を移動させるとき、搭乗者は、車椅子1の移動速度が高くなることを抑制するために、重力の作用に抗うようにハンドリム31を操作する必要がある。このような場合、搭乗者に大きい力(腕力)が要求される。搭乗者が高齢者である場合、下り坂において車椅子を有効に制動しながら移動させることは困難である可能性が高い。
本実施形態によれば、車輪3が回転している状態で操作部材8を操作することにより、搭乗者は、小さい力で車輪3のトー角θを大きくすることができる。したがって、搭乗者の負担が軽減された状態で、車椅子1は、下り坂を制動しながら移動することができる。
また、本実施形態においては、左支持部材9Lと右支持部材9Rとロッド部材117とはリンク機構11を介して連結される。これにより、搭乗者は、操作部材8を介して1本のロッド部材117を操作するだけで、左支持部材9Lと右支持部材9Rとを同期して移動させたり、左車輪3Lのトー角と右車輪3Rのトー角θとを同じ角度にしたりすることができる。
また、本実施形態においては、操作部材8はシート22である。これにより、搭乗者は、シート22に座った状態で上体を前後方向にずらすだけで、トー角調整機構10を操作することができる。
また、本実施形態においては、メインフレーム21に対してシート22を前方に移動したときに、トー角θが大きくなる。図4に示すように、下り坂においては、重力の作用により、搭乗者は、シート22を円滑に前方に移動させることができる。そのため、搭乗者は、下り坂において、トー角θを円滑に大きくすることができ、車椅子1を制動させることができる。
また、本実施形態においては、トー角調整機構10は、トー角θを第1角度θ1と第1角度θ1よりも大きい第2角度θ2との一方から他方に変更する。水平な地面又は上り坂において車椅子1を移動させる場合、トー角θが第1角度θ1に変更され、下り坂において車椅子1を移動させる場合、トー角θが第2角度θ2に変更されることにより、様々な傾斜角度の地面において車椅子1を円滑に移動させることができる。
また、本実施形態においては、第1角度θ1は、0[°]である。これにより、水平な地面又は上り坂において車椅子1を移動させる場合、車輪3と地面との摩擦抵抗を十分に抑制した状態で、車椅子1を円滑に移動させることができる。
また、本実施形態においては、第2角度θ2は、5[°]以上15[°]以下である。本発明者の知見によると、第2角度θ2が5[°]よりも小さいと、車輪3と地面との間の摩擦抵抗が小さ過ぎるため、下り坂において十分な制動効果を発揮させることができない。一方、第2角度θ2が15[°]よりも大きいと、車輪3と地面との間の摩擦抵抗が大き過ぎるため、下り坂においても車椅子1は停止してしまう。トー角θを5[°]以上15[°]以下に設定することにより、下り坂において適度な制動力が得られ、車椅子1は下り坂をゆっくりと移動することができる。なお、この知見は、下り坂の傾斜角度が8[°]以上10[°]以下であるときの知見である。
また、本実施形態においては、トー角調整機構10は、左支持部材9Lと右支持部材9Rを同期して移動する。左支持部材9Lと右支持部材9Rとが同一のタイミングで移動を開始し同一のタイミングで移動を終了することにより、車輪3を回転させながらトー角θを変更するとき、車椅子1は安定して走行することができる。
また、本実施形態においては、トー角調整機構10は、左車輪3Lのトー角θと右車輪3Rのトー角θとを同じ角度に変更する。これにより、車椅子1は、下り坂を真っ直ぐに安定して移動することができる。
また、本実施形態においては、トー角調整機構10は、一対の車輪3をトーインに調整する。これにより、車椅子1は、下り坂を安定して移動することができる。
なお、本実施形態においては、第1角度θ1が0[°]であることとした。第1角度θ1は0[°]でなくてもよく、例えば1[°]以上4[°]以下でもよい。以下の実施形態においても同様である。
なお、本実施形態において、車椅子1が自走式の車椅子である場合、介助用ブレーキ71は省略されてもよい。以下の実施形態においても同様である。
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は対応する構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図5は、本実施形態に係るトー角調整機構10の一例を模式的に示す側面図である。上述の実施形態と同様、ロッド部材117は、接続部材119を介してシート22に接続されている。本実施形態において、シート22は、ヒンジ機構120を介してメインフレーム21と接続される。ヒンジ機構120の回転軸は、左右方向に延在する。シート22は、ヒンジ機構120により、メインフレーム21に対して前後方向に傾動可能である。
下り坂を下るとき、メインフレーム21の前部は下方に傾斜する。搭乗者は、上下方向においてシート22の前部とメインフレーム21との距離が長くなるように、シート22を操作する。すなわち、下り坂を下るとき、搭乗者は、後方に体重をかける(後方にのけ反る)。
メインフレーム21とガイド部材118との相対位置は固定されている。下り坂において、シート22の前部とメインフレーム21との距離が長くなるようにシート22が操作されることにより、接続部材119を介してシート22に接続されているロッド部材117は、ガイド部材118に対して前方に移動する。これにより、図3(B)を参照して説明したように、車輪3のトー角θが大きくなり、車椅子1は制動しながら下り坂を移動することができる。
一方、水平な地面又は上り坂を移動するとき、搭乗者は、上下方向においてシート22の前部とメインフレーム21との距離が短くなるように、シート22を操作する。すなわち、水平な地面又は上り坂を移動するとき、搭乗者は、通常の姿勢でシート22に着座する。
水平な地面又は上り坂において、シート22の前部とメインフレーム21との距離が短くなるようにシート22が操作されることにより、接続部材119を介してシート22に接続されているロッド部材117は、ガイド部材118に対して後方に移動する。これにより、図3(A)を参照して説明したように、車輪3のトー角θが小さくなり、車椅子1は水平な地面又は上り坂を円滑に移動することができる。
以上説明したように、本実施形態においても、トー角調整機構10は、搭乗者用の操作部材8であるシート22の操作により、車輪3のトー角θを第1角度θ1と第2角度θ2との一方から他方に変更することができる。
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は対応する構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図6は、本実施形態に係るトー角調整機構10の一例を模式的に示す平面図である。図6に示すように、トー角調整機構10は、支持部材9に接続され旋回軸SXを中心に回転可能なピニオン95と、ピニオン95に噛み合うラック96と、ラック96に連結されるロッド部材117と、ロッド部材117をガイドするガイド部材118とを有する。
ピニオン95の旋回軸SXは、車輪3の回転軸RXに平行な軸と直交する。
支持部材9は、車輪3に連結されるシャフト部材91を回転可能に支持する軸受部材93を含む。軸受部材93は、ピニオン95に連結される。ピニオン95は、メインフレーム21に回転可能に支持される。
以下の説明において、左支持部材9Lの軸受部材93に連結されるピニオン95を適宜、左ピニオン95L、と称し、右支持部材9Rの軸受部材93に連結されるピニオン95を適宜、右ピニオン95R、と称する。
左ピニオン95Lの直径及び歯数と右ピニオン95Rの直径及び歯数とは同一である。
ラック96は、左ピニオン95Lと右ピニオン95Rとの間に配置される。ラック96は、前後方向に移動可能である。
上述の実施形態と同様、ロッド部材117は、接続部材119を介してシート22に操作される。シート22の移動により、ロッド部材117が前後方向に移動する。ロッド部材117の移動により、ラック96が前後方向に移動する。ラック96の移動によりピニオン95が回転し、ピニオン95の回転により支持部材9が移動する。
図6(A)に示すように、ラック96が前方に移動するようにシート22が操作されると、ピニオン95が回転する。左ピニオン95Lは、左支持部材9Lの軸受部材93が規定方向に旋回するように回転し、右ピニオン95Rは、右支持部材9Rの軸受部材93が規定方向に旋回するように回転する。これにより、図6(A)に示すように、車輪3のトー角θは、第1角度θ1に変更される。
図6(B)に示すように、ロッド部材117が後方に移動するようにシート22が操作されると、ピニオン95が回転する。左ピニオン95Lは、左支持部材9Lの軸受部材93が規定方向の逆方向に旋回するように回転し、右ピニオン95Rは、右支持部材9Rの軸受部材93が規定方向の逆方向に旋回するように回転する。これにより、図6(B)に示すように、車輪3のトー角θは、第2角度θ2に変更される。
以上説明したように、本実施形態においても、トー角調整機構10は、操作部材8であるシート22の操作により、車輪3のトー角θを第1角度θ1と第2角度θ2との一方から他方に変更することができる。
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は対応する構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図7は、本実施形態に係る車椅子1の使用例を模式的に示す図である。上述の各実施形態においては、トー角調整機構10は、一対の車輪3の前端部3Sの間隔が後端部3Tの間隔よりも短くなるようにトー角θを調整することとした。トー角調整機構10は、一対の車輪3の前端部3Sの間隔が後端部3Tの間隔よりも長くなるようにトー角θを調整してもよい。上述のように、車輪3の前端部3Sとは、前後方向においてキャスター4に最も近い車輪3の部位をいい、車輪3の後端部3Tとは、前後方向においてキャスター4から最も遠い車輪3の部位をいう。図7に示すように、下り坂において車輪3がキャスター4よりも進行方向前方に配置された状態で、車椅子1を移動させる場合、一対の車輪3の前端部3Sの間隔が後端部3Tの間隔よりも長くなるようにトー角θが調整されることにより、車椅子1は、下り坂を安定して移動することができる。
なお、上述の各実施形態においては、搭乗者用の操作部材8がシート22であることとした。操作部材8は、搭乗者が操作可能であればよく、例えばメインフレーム21に支持される操作レバーでもよい。
1…車椅子、2…車体、3…車輪、3L…左車輪、3R…右車輪、3S…前端部、3T…後端部、4…キャスター、4L…左キャスター、4R…右キャスター、5…ハンドグリップ、6…ティッピングバー、7…ブレーキ機構、8…操作部材、9…支持部材、9L…左支持部材、9R…右支持部材、10…トー角調整機構、11…リンク機構、21…メインフレーム、22…シート、22S…座面、23…バックレスト、24…アームレスト、25…レッグレスト、26…フットレスト、27…サイドガード、31…ハンドリム、71…介助用ブレーキ、72…駐車用ブレーキ、81…旋回機構、91…シャフト部材、93…軸受部材、94…突出部材、95…ピニオン、95L…左ピニオン、95R…右ピニオン、96…ラック、112…第1関節、113…第1リンク、114…第2関節、115…第3関節、116…第2リンク、117…ロッド部材、118…ガイド部材、119…接続部材、211…メインパイプ、212…アームパイプ、213…バックレストパイプ、214…ベースパイプ、215…サポートパイプ、216…クロスパイプ、AL…車体中心線、CL…タイヤ中心線、FX…回転軸、RX…回転軸、SX…旋回軸、VX…回転軸。

Claims (12)

  1. 一対の車輪と、
    一対の前記車輪のそれぞれを支持する一対の支持部材及び搭乗者用の操作部材を有し、前記操作部材の操作により前記支持部材が移動して前記車輪のトー角を調整するトー角調整機構と、
    を備える車椅子。
  2. 前記トー角調整機構は、接続部材を介して前記操作部材に接続され前記操作部材の移動により移動する可動部材と、前記可動部材と前記支持部材とを連結する動力伝達機構と、を有する、
    請求項1に記載の車椅子。
  3. 前記トー角調整機構は、第1関節を介して一方の前記支持部材に連結される第1リンク及び第2関節を介して他方の前記支持部材に連結され第3関節を介して前記第1リンクに連結される第2リンクを有するリンク機構と、前記第3関節に連結されガイド部材にガイドされるロッド部材と、を有し、
    前記可動部材は、前記ロッド部材であり、
    前記動力伝達機構は、前記リンク機構を含む、
    請求項2に記載の車椅子。
  4. 前記トー角調整機構は、前記支持部材に接続され旋回軸を中心に回転可能なピニオンと、前記ピニオンに噛み合うラックと、を有し、
    前記可動部材は、前記ラックであり、
    前記動力伝達機構は、前記ピニオンを含む、
    請求項2に記載の車椅子。
  5. メインフレームと、
    前記メインフレームに移動可能に支持され前記搭乗者が着座するシートと、を備え、
    前記操作部材は、前記シートを含む、
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車椅子。
  6. 前記トー角調整機構は、前記トー角を第1角度と前記第1角度よりも大きい第2角度との一方から他方に変更する、
    請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車椅子。
  7. 前記第1角度は、0[°]である、
    請求項6に記載の車椅子。
  8. 前記第2角度は、5[°]以上15[°]以下である、
    請求項6又は請求項7に記載の車椅子。
  9. 前記トー角調整機構は、一対の前記支持部材を同期して移動する、
    請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の車椅子。
  10. 前記トー角調整機構は、一対の前記車輪のトー角を同じ角度に変更する、
    請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の車椅子。
  11. 前記車輪の前方に配置されるキャスターを備え、
    前記トー角調整機構は、一対の前記車輪の前端部の間隔が後端部の間隔よりも短くなるように前記トー角を調整する、
    請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の車椅子。
  12. 前記車輪の前方に配置されるキャスターを備え、
    前記トー角調整機構は、一対の前記車輪の前端部の間隔が後端部の間隔よりも長くなるように前記トー角を調整する、
    請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の車椅子。
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