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JP2017128701A - 紙器用水性グラビア印刷インキ組成物および紙器用印刷物の製造方法 - Google Patents

紙器用水性グラビア印刷インキ組成物および紙器用印刷物の製造方法 Download PDF

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JP2017128701A JP2016010902A JP2016010902A JP2017128701A JP 2017128701 A JP2017128701 A JP 2017128701A JP 2016010902 A JP2016010902 A JP 2016010902A JP 2016010902 A JP2016010902 A JP 2016010902A JP 2017128701 A JP2017128701 A JP 2017128701A
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Abstract

【課題】経時安定性が優れ、印刷後にオーバープリントニス組成物が塗布されなくても、優れた乾燥性、耐汚染性、耐摩擦性および加工適性を有する印刷物が得られる紙器用水性グラビア印刷インキ組成物および紙器用印刷物の製造方法を提供する。【解決手段】着色剤と、アルカリ可溶型水溶性樹脂と、エマルジョン型の水性樹脂と、ワックスと、水性媒体とを含み、ワックスは、粒子径2〜10μmの大粒径ワックスと粒子径1.0μm以下の小粒径ワックスとを含み、大粒径ワックスは、0.05〜0.5質量%含まれ、小粒径ワックスは、0.5〜6質量%含まれ、水性媒体は、水と印刷改質剤とを含み、印刷改質剤は、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等であり、0.1〜5質量%含まれる、紙器用水性グラビア印刷インキ組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、紙器用水性グラビア印刷インキ組成物および紙器用印刷物の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、経時安定性が優れ、紙器用印刷物に紙器用オーバープリントニス組成物が塗布されなくても、乾燥性、耐汚染性、耐摩擦性および加工適性等の各種印刷適性の優れる紙器用水性グラビア印刷インキ組成物および紙器用印刷物の製造方法に関する。
従来、菓子、ティッシュ、洗剤等の食品から家庭用品に至る種々の商品の外装箱や、酒類や飲料のマルチパック用パッケージ等には、美粧化のために水性インキがグラビア方式で印刷され、さらに、表面保護や光沢付与のために水性オーバープリントニスが塗工されている(たとえば特許文献1、特許文献2参照)。
特開2012−097235号公報 特開2011−144334号公報
近年、コスト削減によりティッシュケース等では、紙器用水性グラビア印刷インキ組成物を印刷後、紙器用オーバープリントニスを塗工しないものが望まれつつある。しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の紙器用水性グラビア印刷インキ組成物を印刷した印刷物では、オーバープリントニスを塗工しない場合、印刷物のインキ塗膜が他の印刷物や生産ラインと接触し、色移りが発生し得る。そのため、製品のロスや、細かな検品作業やライン洗浄等の必要性が増す。
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、経時安定性が優れ、印刷後にオーバープリントニス組成物が塗布されなくても、優れた乾燥性、耐汚染性、耐摩擦性および加工適性を有する印刷物が得られる紙器用水性グラビア印刷インキ組成物および紙器用印刷物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、紙器用水性グラビア印刷インキ組成物中に、粒径の異なる種類のワックスを特定量併用し、水性媒体として特定量の改質剤を使用することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。すなわち、上記課題を解決する本発明の紙器用水性グラビア印刷インキ組成物および紙器用印刷物の製造方法には、以下の構成が主に含まれる。
(1)着色剤と、アルカリ可溶型水溶性樹脂と、エマルジョン型の水性樹脂と、ワックスと、水性媒体とを含み、前記ワックスは、粒子径2〜10μmの大粒径ワックスと粒子径1.0μm以下の小粒径ワックスとを含み、前記大粒径ワックスは、紙器用水性グラビア印刷インキ組成物の固形分中に0.05〜0.5質量%含まれ、前記小粒径ワックスは、紙器用水性グラビア印刷インキ組成物の固形分中に0.5〜6質量%含まれ、前記水性媒体は、水と印刷改質剤とを含み、前記印刷改質剤は、下記式(1)で表わされる化合物、下記式(2)で表わされる化合物、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールイソブチレート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、および、イソアミルアセテートからなる群より選択される少なくとも1種であり、紙器用水性グラビア印刷インキ組成物中、0.1〜5質量%含まれる、紙器用水性グラビア印刷インキ組成物。
(1)R1−O−(Cm2mO)n−R2
(式(1)中、R1、R2は、それぞれ独立して水素またはアルキル基であって、R1の炭素数とR2の炭素数の和が4以上であり、mは2または3であり、nは1、2または3である)
(2)R3−O−(Cm2mO)2−CO−CH3
(式(2)中、R3は炭素数が1〜4のアルキル基であり、mは2または3である)
このような構成によれば、紙器用水性グラビア印刷インキ組成物は、印刷後にオーバープリントニス組成物が塗布されなくても、優れた乾燥性、耐汚染性、耐摩擦性および加工適性を示す。
(2)前記アルカリ可溶型水溶性樹脂は、炭素数8〜20の長鎖アルキル基を有する単量体に由来する構成単位を10〜30質量%含む、(1)記載の紙器用水性グラビア印刷インキ組成物。
このような構成によれば、紙器用水性グラビア印刷インキ組成物は、経時安定性が優れる。
(3)前記エマルジョン型の水性樹脂は、スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、スチレン−マレイン酸系樹脂エマルジョンおよびスチレン−マレイン酸ハーフエステル系樹脂エマルジョンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、(1)または(2)記載の紙器用水性グラビア印刷インキ組成物。
このような構成によれば、得られる紙器用水性グラビア印刷インキ組成物は、より優れた乾燥性を発揮しやすい。
(4)前記印刷改質剤は、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルへキシルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールイソブチレート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、及び、イソアミルアセテートからなる群より選択される少なくとも1種である、(1)〜(3)のいずれかに記載の紙器用水性グラビア印刷インキ組成物。
このような構成によれば、得られる紙器用水性グラビア印刷インキ組成物は、より優れたレベリング性を発揮しやすい。
(5)紙基材に、(1)〜(4)のいずれかに記載の紙器用水性グラビア印刷インキ組成物をグラビア方式で印刷し、印刷後に紙器用オーバープリントニスを塗布しない、紙器用印刷物の製造方法。
このような構成によれば、紙器用水性グラビア印刷インキ組成物は、優れた乾燥性、耐汚染性、耐摩擦性および加工適性を示す。そのため、このような製造方法によって得られる紙器用印刷物は、印刷後にオーバープリントニス組成物が塗布されなくても、他の印刷物や生産ラインと接触する際に、色移り等を発生しにくい。
本発明によれば、印刷後にオーバープリントニス組成物が塗布されなくても、優れた乾燥性、耐汚染性、耐摩擦性および加工適性を有する印刷物が得られる紙器用水性グラビア印刷インキ組成物および紙器用印刷物の製造方法を提供することができる。
<紙器用水性グラビア印刷インキ組成物>
本発明の一実施形態の紙器用水性グラビア印刷インキ組成物(以下、インキ組成物ともいう)は、着色剤と、アルカリ可溶型水溶性樹脂と、エマルジョン型の水性樹脂と、ワックスと、水性媒体とを含む。
(着色剤)
本実施形態のインキ組成物において使用される着色剤は、特に限定されない。着色剤は、通常、水性印刷インキで使用される従来公知の顔料であってもよい。一例を挙げると、着色剤は、無機顔料であってもよく、酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等が例示される。着色剤は、有機顔料であってもよく、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等が例示される。
着色剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、着色剤の含有量は、印刷時において4〜11質量%であることが好ましい。含有量が4質量%未満である場合、所望の印刷濃度の印刷物が得られにくい傾向がある。一方、含有量が11質量%を超える場合、得られるインキ組成物の粘度が高くなり、取り扱いにくい傾向がある。
着色剤は、乾燥性や流動性を向上させるための体質顔料が適宜配合されてもよい。体質顔料としては特に限定されない。一例を挙げると、体質顔料は、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、クレー、タルク等である。
(アルカリ可溶型水溶性樹脂)
アルカリ可溶型水溶性樹脂は、着色剤の分散性を向上させるために配合される。アルカリ可溶型水溶性樹脂は特に限定されない。アルカリ可溶型水溶性樹脂は、水性印刷インキで顔料等の分散性を向上させるために使用される従来公知のアルカリ可溶型樹脂であって、塩基性化合物の存在下で水性媒体中に溶解できるものであればよい。それらの中でも、アルカリ可溶型水溶性樹脂は、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン基(−P(=O)(OH)2)などの酸基を1種以上含む樹脂であって、塩基性化合物の存在下で、水性媒体中に溶解できるものが好ましい。
アルカリ可溶型水溶性樹脂の酸価は、40KOHmg/g以上であることが好ましく、60KOHmg/g以上であることがより好ましい。また、アルカリ可溶型水溶性樹脂の酸価は、300KOHmg/g以下であることが好ましく、200KOHmg/g以下であることがより好ましい。アルカリ可溶型水溶性樹脂の酸価が40KOHmg/g未満である場合、顔料の水性分散液の分散安定性が低下する傾向がある。一方、アルカリ可溶型水溶性樹脂の酸価が300KOHmg/gを超える場合、親水性が高くなり過ぎるため、インキ組成物の貯蔵安定性、耐水性が低下する傾向がある。なお、本実施形態において、酸価は、たとえば共重合体1gを得るために理論上必要な各エチレン性不飽和単量体の量に対して、KOHの理論上の中和量を求め、その中和量の総和のmg数を共重合体の酸価(理論酸価)とみなすことにより算出し得る。
また、アルカリ可溶型水溶性樹脂の分子量は、重量平均分子量が3000以上であることが好ましく、7000以上であることがより好ましい。また、アルカリ可溶型水溶性樹脂の分子量は、重量平均分子量が200000以下であることが好ましく、100000以下であることがより好ましい。
アルカリ可溶型水溶性樹脂は、分散安定性や耐汚染性の観点から、酸基含有エチレン性不飽和単量体と、炭素数8〜20の長鎖アルキル基、脂環族または芳香族の環状炭化水素基等の疎水性基を有している単量体、その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との混合物を通常のラジカル発生剤(たとえば、ベンゾイルパーオキサイド、ターシャリブチルパーオキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル等)の存在下、溶媒中で重合して得られるものが好適に使用される。
酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、スルホエチルメタクリレート、ホスホノエチルメタクリレート等が例示される。
炭素数8〜20の長鎖アルキル基、脂環族または芳香族の環状炭化水素基等の疎水性基を有している単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、それらの誘導体等のスチレン系単量体、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数8〜20の長鎖アルキル基含有エチレン性不飽和単量体が例示される。
アルカリ可溶型水溶性樹脂は、炭素数8〜20の長鎖アルキル基を有する単量体に由来する構成単位を10質量%以上となるよう含むことが好ましく、15質量%以上となるよう含むことがより好ましい。また、アルカリ可溶型水溶性樹脂は、炭素数8〜20の長鎖アルキル基を有する単量体に由来する構成単位を30質量%以下となるよう含むことが好ましく、25質量%以下となるよう含むことがより好ましい。アルカリ可溶型水溶性樹脂は、炭素数8〜20の長鎖アルキル基を有する単量体に由来する構成単位を上記範囲となるよう含むことにより、経時安定性が優れる。
アルカリ可溶型水溶性樹脂に含まれ得るその他の単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシルなどの(メタ)アクリル酸の炭素数が8未満のアルキルエステル類等が例示される。
アルカリ可溶型樹脂は、後述する樹脂溶解用水性媒体中に溶解させるために、塩基性化合物が併用され得る。塩基性化合物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような無機塩基性化合物や、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンのような有機塩基性化合物等が例示される。これら塩基性化合物は、併用されてもよい。
塩基性化合物の配合量は、アルカリ可溶型水溶性樹脂を樹脂溶解用水性媒体中に溶解させ得る量であればよい。一例を挙げると、塩基性化合物の配合量は、一般に、中和量の80〜120%の範囲である。配合量は、この範囲を超える量であってもよい。
アルカリ可溶型樹脂を溶解する樹脂溶解用水性媒体としては、水、または、水と水混和性有機溶剤との混合物が好適に使用される。水混和性有機溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコールなどの低級アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどの(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテートなどの(ポリ)アルキレングリコールのモノ脂肪酸エステル類等が例示される。これら水混和性有機溶剤は、併用されてもよい。
(エマルジョン型の水性樹脂)
エマルジョン型の水性樹脂は、得られるインキ組成物の乾燥性や印刷物の品質を向上させるために配合される。エマルジョン型の水性樹脂は、公知の方法で製造される酸価10〜100mgKOH/gのエマルジョン型の水性樹脂であることが好ましい。エマルジョン型の水性樹脂は、アクリル系樹脂エマルジョン、スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、スチレン−マレイン酸系樹脂エマルジョン、スチレン−マレイン酸ハーフエステル系樹脂エマルジョン等が例示される。これらの中でも、得られるインキ組成物の乾燥性をより向上させる点から、エマルジョン型の水性樹脂は、スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、スチレン−マレイン酸系樹脂エマルジョン、スチレン−マレイン酸ハーフエステル系樹脂エマルジョン等であることが好ましい。特に、エマルジョン型の水性樹脂は、水溶性アクリル系樹脂を高分子乳化剤として用いて、スチレン系モノマー、必要に応じて(メタ)アクリル酸のアルキルエステル等のモノマーを共重合して得られる常温で造膜するものが好適である。また、エマルジョン型の水性樹脂は、併用されてもよい。
エマルジョン型の水性樹脂の使用量は特に限定されない。一例を挙げると、エマルジョン型の水性樹脂の使用量は、インキ組成物中、固形分換算で5〜50質量%である。得られるインキ組成物の乾燥性が優れる点から、固形分は、高いほうが好ましい。
エマルジョン型の水性樹脂の酸価は、10〜100mgKOH/gであることが好ましい。また、エマルジョン型の水性樹脂のガラス転移温度は、30〜90℃であることが好ましい。酸価が10mgKOH/g未満である場合、得られるインキ組成物は、再溶解性が低下する傾向がある。一方、酸価が100gKOH/gを超える場合、得られる印刷物は、乾燥性が低下する傾向がある。また、ガラス転移温度が30℃未満である場合、得られる印刷物は、ブロッキング性が低下する傾向がある。一方、ガラス転移温度が90℃を超える場合、得られる印刷物は、耐摩擦性が低下する傾向がある。
高分子乳化剤としては、カルボキシル基含有α,β−モノエチレン性不飽和単量体、疎水性の高いスチレン類等の芳香環を有するエチレン性不飽和単量体(A)、および、必要に応じて、その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(B)を共重合して得られる酸価70〜200mgKOH/gの共重合樹脂が例示される。カルボキシル基含有α,β−モノエチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル等が例示される。高分子乳化剤の酸価が70mgKOH/g未満である場合、高分子乳化剤は、水中での溶解性が低下する傾向がある。一方、高分子乳化剤の酸価が200mgKOH/gを超える場合、得られる印刷物は、耐水性が低下する傾向がある。上記酸価は、80〜150mgKOH/gであることがより好ましい。
高分子乳化剤を水中に溶解または分散するために、塩基性化合物が使用されてもよい。塩基性化合物は、上記したものと同様である。
なお、本実施形態において、エマルジョン型の水性樹脂のガラス転移温度および酸価は、それぞれ以下の方法により求めることができる。
<ガラス転移温度>
ガラス転移温度は、以下のWoodの式により求められる理論ガラス転移温度である。
Woodの式:1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+・・・+Wx/Tgx
(式中、Tg1〜Tgxは共重合体を構成する単量体1、2、3、・・・、xのそれぞれの単独重合体のガラス転移温度、W1〜Wxは単量体1、2、3、・・・、xのそれぞれの質量分率、Tgは理論ガラス転移温度を表す。ただし、Woodの式におけるガラス転移温度は絶対温度である)また、エマルジョン型の水性樹脂のガラス転移温度とは、乳化重合に利用される全てのエチレン性不飽和単量体を、コア部、シェル部と分けずに一度に共重合した時に得られる共重合体のガラス転移温度を表す。
<酸価>
共重合体1gを得るために理論上必要な各エチレン性不飽和単量体の量に対して、KOHの理論上の中和量を求め、その中和量の総和のmg数を共重合体の酸価(理論酸価)とみなす。また、酸価は、高分子乳化剤に由来するものであり、たとえば酸価100mgKOH/gの高分子乳化剤が、水性樹脂の固形分比率として10質量%含まれているときの酸価は酸価10mgKOH/gとなる。
(ワックス)
ワックスは、粒子径2〜10μmの大粒径ワックスと、粒子径1.0μm以下の小粒径ワックスとを含む。ワックスの種類は特に限定されない。一例を挙げると、ワックスは、ポリエチレンワックス、PTFEワックス等である。
大粒径ワックスの粒子径は、1μm以上であればよく、2μm以上であることが好ましい。また、大粒径ワックスの粒子径は、10μm以下であればよく、8μm以下であることが好ましい。大粒径ワックスの粒子径が2μm未満である場合、得られるインキ組成物の耐摩擦性が低下する傾向がある。一方、大粒径ワックスの粒子径が10μmを超える場合、耐汚染性が低下する傾向がある。一方、小粒径ワックスの粒子径は、0.01μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましい。また、小粒径ワックスの粒子径は、1.0μm以下であればよく、0.8μm以下であることがより好ましい。小粒径ワックスの粒子径が1.0μmを超える場合、得られるインキ組成物は、耐汚染性が低下する傾向がある。
大粒径ワックスの含有量は、紙器用水性グラビア印刷インキ組成物の固形分中に0.05質量%以上であればよく、0.1質量%以上であることが好ましい。また、大粒径ワックスの含有量は、紙器用水性グラビア印刷インキ組成物の固形分中に0.5質量%以下であればよく、0.4質量%以下であることが好ましい。大粒径ワックスの含有量が0.05質量%未満である場合、得られるインキ組成物は、耐摩擦性が低下する傾向がある。一方、大粒径ワックスの含有量が0.5質量%を超える場合、得られるインキ組成物は、耐汚染性が低下する傾向がある。
小粒径ワックスの含有量は、紙器用水性グラビア印刷インキ組成物の固形分中に0.5質量%以上であればよく、0.75質量%以上であることが好ましい。また、小粒径ワックスの含有量は、紙器用水性グラビア印刷インキ組成物の固形分中に6質量%以下であればよく、4質量%以下であることが好ましい。小粒径ワックスの含有量が0.5質量%未満である場合、得られるインキ組成物は、耐汚染性が低下する傾向がある。一方、小粒径ワックスの含有量が6質量%を超える場合、得られるインキ組成物は、耐熱性、再溶解性が低下する傾向がある。
大粒径ワックスと小粒径ワックスとを混合する方法は特に限定されない。
(水性媒体)
水性媒体は、水と印刷改質剤とを含む。水性媒体は、炭素数1〜4の低級アルコールをさらに含んでもよい。
印刷改質剤は、下記式(1)で表わされる化合物、下記式(2)で表わされる化合物、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールイソブチレート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、および、イソアミルアセテートからなる群より選択される少なくとも1種である。
(1)R1−O−(Cm2mO)n−R2
(式(1)中、R1、R2は、それぞれ独立して水素またはアルキル基であって、R1の炭素数とR2の炭素数の和が4以上であり、mは2または3であり、nは1、2または3である)
(2)R3−O−(Cm2mO)2−CO−CH3
(式(2)中、R3は炭素数が1〜4のアルキル基であり、mは2または3である)
レベリング性の点から、印刷改質剤は、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルへキシルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールイソブチレート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、及び、イソアミルアセテートからなる群より選択される少なくとも1種を使用することが好ましい、印刷改質剤としては、中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールが好ましい。
炭素数1〜4の低級アルコールは特に限定されない。一例を挙げると、炭素数1〜4の低級アルコールは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、イソブタノール等である。
印刷改質剤は、インキ組成物中、0.1質量%以上となるよう含まれればよく、0.3質量%以上となるよう含まれることが好ましい。また、印刷改質剤は、インキ組成物中、5質量%以下となるよう含まれればよく、2.5質量%以下となるよう含まれることが好ましい。印刷改質剤の配合量が0.1質量%未満である場合、得られるインキ組成物は、塗膜の柔軟性が充分でない傾向がある。一方、印刷改質剤の配合量が5質量%を超える場合、得られるインキ組成物は、経時安定性が低下する傾向がある。
(任意成分)
本実施形態のインキ組成物は、適宜、任意成分が配合されてもよい。任意成分は、界面活性剤、ワックス、湿潤剤、消泡剤、pH調整剤、粘度調整剤、乾燥調整剤、光沢剤、架橋剤等が例示される。
<紙器用水性グラビア印刷インキ組成物の製造方法>
インキ組成物の製造方法は特に限定されない。一例を挙げると、インキ組成物は、着色剤、アルカリ可溶型水溶性樹脂、および、必要に応じて添加する分散剤等を混合し、公知のインキ製造装置(ボールミル、アトライター、サンドミル等)を用いて攪拌、混練後、アルカリ可溶型水溶性樹脂、エマルジョン型の水性樹脂、ワックス、水性媒体等を添加混合して製造する方法が挙げられる。
<紙器用印刷物の製造方法>
本発明の一実施形態の紙器用印刷物は、コート紙等の紙基材に、上記実施形態において詳述した紙器用水性グラビア印刷インキ組成物をグラビア方式で印刷することにより、製造し得る。また、本実施形態の製造方法は、印刷後に紙器用オーバープリントニスを塗工しない。
印刷物の製造効率を考慮すると、印刷スピードは150m/分以上であることが好ましい。また、本実施形態の製造方法は、印刷後に、各種加熱乾燥装置を利用した乾燥工程が採用されてもよい。なお、印刷時、インキ組成物の粘度は、ザーンカップNo.3の流出秒数が15〜19秒程度であることが好ましい。15秒未満である場合、レベリング性が低下する傾向がある。一方、19秒を超える場合、印刷適性が低下する傾向がある。
また、インキ組成物は、濃縮の状態で保存され、印刷時に希釈剤により希釈されてから使用されてもよい。
また、本実施形態の製造方法は、たとえば飲料の6缶パックのパッケージ等を製造する際には、紙基材にインキ組成物を印刷後、打ち抜き加工等の後加工が行われる。後加工は、印刷と一連の工程で行われても良く、別々の機会に工程を分けて行われても良い。
以上、本実施形態の紙器用印刷物の製造方法において使用するインキ組成物は、優れた乾燥性、耐汚染性、耐摩擦性および加工適性を示す。そのため、このような製造方法によって得られる紙器用印刷物は、印刷後にオーバープリントニス組成物が塗布されなくても、他の印刷物や生産ラインと接触する際に、色移り等を発生しにくい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。なお、特に制限のない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
使用した原料および調製方法を以下に示す。
<着色剤>
赤色顔料(PR48:3)
黄色顔料(PY14)
青色顔料(PB15:3)
黒色顔料(PB7)
<水性媒体>

2−エチル−1,3−ヘキサンジオール
ジエチレングリコールモノブチルエーテル
ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル
ジエチレングリコールジエチルエーテル
ジエチレングリコールジブチルエーテル
ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
トリエチレングリコールジメチルエーテル
プロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル
プロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル
ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル
ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル
ジプロピレングリコールジブチルエーテル
ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール
2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールイソブチレート
1,6−ヘキサンジオールアセテート
酢酸イソアミル
<消泡剤>
BYK−028#C(ビックケミー(株)製)
<ワックス>(粒径値はパンフレット値)
大粒径ワックスは三井化学(株)製
7μm(ポリエチレンワックス)
6μm(ポリエチレンワックス)
4μm(ポリエチレンワックス)
3μm(ポリエチレンワックス)
2.5μm(ポリエチレンワックス)
小粒径ワックスは東邦化学(株)製
0.3μm(ポリエチレンワックス)
0.1μm(ポリエチレンワックス)
<エマルジョン型の水性樹脂>
(エマルジョン型の水性樹脂1)
アクリル酸8質量%、メタクリル酸メチル70質量%、アクリル酸ブチル22質量部からなるアルカリ可溶型樹脂のジメチルエタノールアミン水溶液を高分子乳化剤として調製した。この高分子乳化剤の樹脂固形分53質量部に対し、2−エチルヘキシルアクリレート19質量部、スチレン28質量部を添加し、常法により乳化重合し、酸価33、ガラス転移温度22℃、固形分濃度40%のエマルジョン型の水性樹脂1を得た。
(エマルジョン型の水性樹脂2)
アクリル酸12質量%、メタクリル酸メチル71質量%、アクリル酸ブチル17質量部からなるアルカリ可溶型樹脂のジメチルエタノールアミン水溶液を高分子乳化剤として調製した。この高分子乳化剤の樹脂固形分53.3質量部に対し、スチレン46.7質量部を添加し、常法により乳化重合し、酸価50、ガラス転移温度20℃、固形分濃度40%のエマルジョン型の水性樹脂2を得た。
<アルカリ可溶型水溶性樹脂>
(アルカリ可溶型水溶性樹脂1)
スチレン22質量部、α−メチルスチレン6質量部、メタクリル酸6質量部、メチルメタクリレート28質量部、無水マレイン酸のイソブタノールのハーフエステル34質量部を常法の重合方法により合成し、酸価150mgKOH/g、重量平均分子量19000の共重合体を得た。この共重合体樹脂をアンモニア水で中和し、固形分濃度20.2%のアルカリ可溶型水溶性樹脂1を得た。
(アルカリ可溶型水溶性樹脂2)
スチレン15質量部、メチルメタクリレート50質量部、ステアリルメタクリレート20、アクリル酸15質量部を常法の重合方法により合成し、酸価80mgKOH/g、重量平均分子量38000の共重合体を得た。この共重合体樹脂をジメチルエタノールアミン水で中和し、固形分濃度20.2%のアルカリ可溶型水溶性樹脂2を得た。
(アルカリ可溶型水溶性樹脂3)
スチレン15質量部、メチルメタクリレート60質量部、ラウリルメタクリレート10質量部、アクリル酸15質量部を常法の重合方法により合成し、酸価80mgKOH/g、重量平均分子量38000の共重合体を得た。この共重合体樹脂をジメチルエタノールアミン水で中和し、固形分濃度20.2%のアルカリ可溶型水溶性樹脂3を得た。
<ベースインキの調製>
以下の表1に示される質量割合にしたがって各成分を攪拌混合し、ベースインキ1〜6を調製した。
Figure 2017128701
<インク組成物の調製>
実施例1〜37、比較例1〜8のインキ組成物について、それぞれ表2〜表4に記載の配合組成となるように、ベースインキ1〜6、エマルジョン型の水性樹脂、アルカリ可溶型水溶性樹脂、消泡剤、ワックス、各印刷改質剤、水を攪拌混合した。その後、イソプロパノール/水が70/30の希釈剤を用いて、ザーンカップNo.3で15〜19秒となる範囲で、インキ組成物中の固形分濃度が15〜30質量%の範囲となるように希釈し、それぞれ黒色、赤色、黄色、青色のインキ組成物を得た。
Figure 2017128701
Figure 2017128701
Figure 2017128701
<印刷物の製造および印刷物の評価>
実施例1〜37および比較例1〜8のインキ組成物を用いて、以下の条件で印刷を行い、印刷物1〜45を得た。得られた印刷物について、以下の評価方法および評価基準にしたがって経時安定性、印刷評価(乾燥性、耐汚染性、耐摩擦性、洗浄性、加工性)を評価した。結果を表2〜表4に示す。
(印刷条件)
用紙:コート紙(CRC230、レンゴー(株)社製)
印刷機械:東芝グラビア印刷機
インキを印刷する刷版:ヘリオ175line/inch(図柄:網点濃度5〜100%の諧調を有する諧調版)
印刷速度:150〜200m/min
乾燥条件:80℃・80cm3/min
印圧:2.2t
(経時安定性)
実施例1〜37および比較例1〜8のインキ組成物について、その初期粘度と、40℃で7日間保存後の粘度をB型粘度計により測定し、それら粘度比(40℃で7日間保存後の粘度/初期粘度)から粘度安定性を評価した。結果を表2〜表4に示す。
評価基準
○:粘度比が2.0以下であった。
△:粘度比が2.0を越え、5.0以下であった。
×:粘度比が5.0を越えた。
<印刷評価>
(乾燥性)
東芝グラビア印刷機にて印刷速度を変えて印刷・塗工を行い、ガイドロールに(印刷面、塗工面)が触れた時に、ガイドロールにインキが付着して汚れる度合いを目視にて、以下の評価基準にしたがって評価した。その結果を表2〜4に示す。
評価基準
○:ガイドロールに付着しなかった。
△:ガイドロールへの付着量が少なかった。
×:ガイドロールへの付着量が多かった。
(耐汚染性)
印刷物1〜45を2.5cm×25cmに切断してテストピースとし、学振型摩擦試験機((株)大宋科学精器製作所製)を使用して、晒し布を印刷面に当てて、200gの荷重で2回ずつ摩擦を行う。摩擦面を10回交換し、以下の評価基準に従って評価した。結果を表2〜表4に示す。
評価基準
○:晒し布が全く汚れなかった。
△:晒し布が少し汚れた。
×:晒し布が汚れた。
(耐摩擦性)
印刷物1〜45を2.5cm×25cmに切断してテストピースとし、学振型摩擦試験機((株)大宋科学精器製作所製)を使用して、当て紙(非印刷状態のコート紙)を印刷物の印刷面に当てて、500gの荷重で500回ずつ摩擦して耐摩擦性を以下の評価基準にしたがって評価した。結果を表2〜表4に示す。
評価基準
○:当て紙が全く損傷しなかった。
△:当て紙に少し損傷が認められた。
×:当て紙に損傷が認められた。
<洗浄性>
実施例1〜37、比較例1〜8のインキ組成物を印刷版にメアバーにて展色し、24時間(25℃)で放置後、水で濡らした綿棒でこすり、色のとれ具合により評価した。結果を表2〜表4に示す。
評価基準
○:1往復で色がとれた。
△:2〜3往復で色がとれた。
×:4往復以上で色がとれた。
(加工性)
印刷物1〜45をパンチ(No.420、プラス(株)製)で打ち抜き、その裁断面の状態を目視で確認し、以下の評価基準により、打ち抜き加工性を評価した。結果を表2〜表4に示す。
評価基準
○:裁断面での塗膜の割れがなかった。
△:裁断面での塗膜の割れが一部見られた。
×:裁断面での塗膜の割れ・剥がれが激しかった。
表2〜表4に示されるように、水性媒体として水と印刷改質剤とを特定量含むよう使用し、かつ、大粒径ワックスおよび小粒径ワックスを特定量併用した実施例1〜37のインキ組成物は、いずれも経時安定性、印刷評価が良好であった。
一方、大粒径ワックスを併用しなかった比較例1および大粒径ワックスの使用量の少なかった比較例3のインキ組成物は、いずれも耐摩擦性が劣った。また、小粒径ワックスを併用しなかった比較例2および小粒径ワックスの使用量の少なかった比較例4のインキ組成物は、耐汚染性が劣った。さらに、大粒径ワックスの使用量の多かった比較例5のインキ組成物は、耐汚染性が劣った。ほかにも、小粒径ワックスの使用量の多かった比較例6のインキ組成物は、洗浄性が劣った。また、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの使用量の少なかった比較例7のインキ組成物は、加工性が劣った。さらに、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの使用量の多かった比較例8のインキ組成物は、乾燥性が劣り、経時安定性が劣った。

Claims (5)

  1. 着色剤と、アルカリ可溶型水溶性樹脂と、エマルジョン型の水性樹脂と、ワックスと、水性媒体とを含み、
    前記ワックスは、粒子径2〜10μmの大粒径ワックスと粒子径1.0μm以下の小粒径ワックスとを含み、
    前記大粒径ワックスは、紙器用水性グラビア印刷インキ組成物の固形分中に0.05〜0.5質量%含まれ、
    前記小粒径ワックスは、紙器用水性グラビア印刷インキ組成物の固形分中に0.5〜6質量%含まれ、
    前記水性媒体は、水と印刷改質剤とを含み、
    前記印刷改質剤は、下記式(1)で表わされる化合物、下記式(2)で表わされる化合物、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールイソブチレート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、および、イソアミルアセテートからなる群より選択される少なくとも1種であり、紙器用水性グラビア印刷インキ組成物中、0.1〜5質量%含まれる、紙器用水性グラビア印刷インキ組成物。
    (1)R1−O−(Cm2mO)n−R2
    (式(1)中、R1、R2は、それぞれ独立して水素またはアルキル基であって、R1の炭素数とR2の炭素数の和が4以上であり、mは2または3であり、nは1、2または3である)
    (2)R3−O−(Cm2mO)2−CO−CH3
    (式(2)中、R3は炭素数が1〜4のアルキル基であり、mは2または3である)
  2. 前記アルカリ可溶型水溶性樹脂は、炭素数8〜20の長鎖アルキル基を有する単量体に由来する構成単位を10〜30質量%含む、請求項1記載の紙器用水性グラビア印刷インキ組成物。
  3. 前記エマルジョン型の水性樹脂は、スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、スチレン−マレイン酸系樹脂エマルジョンおよびスチレン−マレイン酸ハーフエステル系樹脂エマルジョンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2記載の紙器用水性グラビア印刷インキ組成物。
  4. 前記印刷改質剤は、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルへキシルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールイソブチレート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、及び、イソアミルアセテートからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙器用水性グラビア印刷インキ組成物。
  5. 紙基材に、請求項1〜4のいずれか1項に記載の紙器用水性グラビア印刷インキ組成物をグラビア方式で印刷し、印刷後に紙器用オーバープリントニスを塗布しない、紙器用印刷物の製造方法。
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