JP2017167878A - 行動分析システムおよびプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、トピックモデリングを参照モデルとして、センサと行動にマルコフ性を仮定した混合ディリクレ分布で行動をモデル化し、ギブスサンプリングを用いたマルコフ連鎖モンテカルロ法により、効率の良いモデルの学習と予測精度の高い行動の推定を行う行動認識技術を提案する。
【選択図】図1
Description
例えば、特許文献1においては、独居高齢者宅に人体の動きを検知するモーションセンサーを多数設置し、センサ情報の分析に基づいて居住者の行動を認識し、異常な行動が検知された場合には遠隔にいる家族や介助者に通報する技術が開示されている。
また、ウェアラブルセンサの着装は利用者にとって煩わしく、日常的に使用してもらえない場合が多い。
このような制約から、行動に関して多くの情報をもたらすセンサが利用できない場合も多く、焦電センサやドアスイッチセンサ等、設置・維持コストが低く利用者負担が小さいものの得られる情報が乏しいセンサしか利用できない場合が多い。
このような情報量が小さいセンサを用いる場合、個人毎に大きく異なる居住環境や行動様式の違いのため、汎用的な行動のモデルを構築することは困難である。
また、生活環境や行動様式は時間とともに変化するので、その都度教師信号付きのデータを用意することはさらに非現実的である。
ただし、分節そのものは教師なし学習で得られるものの、行動識別を行う際は教師信号を必要とする。
一方、行動のマルコフ性の導入は、LDAが多重トピックモデルであり、文書中の単語が複数のトピックから生成されることを仮定しているので文書レベルのトピックのマルコフ性の導入は単純ではない。
このようなモデル化をHierarchical Poison-Dirichlet Process(HPDP)を用いて実現しているが、パラメータ数が増大し、学習・推論が複雑化してしまうという問題が生じる。
また、センサや行動のマルコフ性をできるだけモデルを複雑化せずに導入することも課題である。
ただし、センサと行動のマルコフ性を導入するために混合ディリクレモデルを拡張し、拡張されたモデルを効率良くかつ精度良く学習・推論するために、ギブスサンプラーを構成し、マルコフ連鎖モンテカルロ法により学習と推論を行う。
また、センサ系列から直接異常を検出するのではなく、一度行動のレベルに抽象化した上で、推定された行動が日常的に良く観察されるか否かに基づいて異常を検出することができる。
この際、行動の分節や行動の識別に係る教師信号を与えることなく、センサの発火系列のみから行動列が推定されるので、分析に必要なコストを大幅に低減できる。
さらに、別の一形態において、センサ活動そのものからではなく、行動に基づいて計算される信頼性の高い、活動量、睡眠の質や歩行速度に基づいて、日常的に居住者の健康をモニタリングし、定期的あるいは特定のイベントが発生した時に、健康レポートを自動的に遠隔地の家族や施設スタッフに通知する、低コストで信頼性の高い遠隔健康見守りシステムが実現できる。
(全体構成例)
利用者の居宅に、人体感知センサ(焦電センサ等)や、スイッチセンサ(磁気近接型ドア開閉センサ等)のようなプライバシー侵襲度が低くいセンサを複数設置する。
これらのセンサとしては、電池で1年以上動作し、有線・無線で親機に情報を伝達可能な安価なセンサが利用可能である。
天井に設置できない場合は、壁面にグリッド状に設置し、センサXとセンサYが同時に発火することを以てXとYの検知範囲の交わる領域で動作が行われたことを検知できる。
この警報はインターネット等の居宅外のネットワークを通じて伝搬され、監視センター(17)、あるいは遠隔地で見守る家族やケアワーカーの元へ伝達される。
まず、学習に用いるセンサの発火系列からフレームの系列を抽出する(P21)。
センサの状態が変化したという情報同様、センサの情報が変化していないという情報も行動を理解するために重要な情報源であるので、データ前処理部は、間欠的な情報を連続する時区間の情報に変換する。
例えば、ドアセンサD001のIDは63であり、図5において最初の3フレームの間で発火した(ドアが開いた)ことが分かる。
さらに、あるフレームの間にどのセンサも発火しない場合は、図5最後のフレームのように特別なID、0が記録される。
本発明では、混合ディリクレ分布を用いた階層的な確率モデルを用いて行動をモデル化するが、行動およびセンサにマルコフ性を仮定する。
ただし、図中、網掛けされた丸は観測できる確率変数を、網掛けされていない丸は潜在する確率変数を表している。
もちろん、マルコフ性は一次に限定する必要はなく、また、場合によれば、どちらかあるいは両方を0次と仮定しても同様な議論を行うことができる。
図6では、各フレームの行動を表す確率変数zは、直前の行動tに依存して、θtをパラメータとするカテゴリカル分布から生成される。
行動モデルの学習には、これら頻度nq,tやnt u,wを推定することが必要になる。
図7では、行動が直前の行動に依存し、ある行動におけるセンサの発火が直前のセンサの発火に依存するというように、行動とセンサが共に一次マルコフ性を有すると仮定する場合に用いるカウンタの初期化法が示されている。
このとき、各フレームで発火するセンサの頻度を数え上げ、主記憶上に保存し、これをsu,w(m)と表す。
図9は、一次マルコフ性を仮定した行動モデルのパラメータを計算するためのカウンタを、ギブスサンプラーを用いたマルコフ連鎖モンテカルロ法で計算する方法が示されている。
最後に、カウンタを行動DBに保存する(P25)。
一次マルコフ性を仮定する場合、カウンタから、行動モデルのパラメータは以下のように計算できる。
まず、行動モデル学習部(図2)のP21と同様な方法で、推定したいセンサ発火系列からフレーム列を抽出する(P31)。
そして最後に、得られたフレーム列に対する行動列Zを行動DBに保存する(P35)。
つまり、図2、P22のカウンタの初期化を行う代わりに、図3、P32と同様に、行動DBから既に保存されているカウンタを呼び出した後に、カウンタの更新(P23およびP24)を行い、新しいカウンタを行動DBに保存(P25)すれば良い。
行動モデルの下で、あるフレームが日常的にありふれたものであるか否かを判定するためには、そのフレームの尤度を用いれば良い。
例えば、推定された行動列Zと観測されたセンサ発火列Wを所与として、数式18、数式19と数式20を用いてm番目のフレームの尤度を計算することができる。
尤度が、あらかじめ決められた閾値、あるいは学習データから決定された閾値、例えば学習の結果得られた尤度の最小値よりも低い場合に、非日常的な行動、すなわち異常と判断することができる。
なお、ここで計算された尤度は、各フレームの属性の1つとして行動DBに保存され、後の分析等に利用される。
図10の縦軸は、予測された行動列を人間が付与した行動列に照合して一致していた時間の割合を表しており、横軸は、モデル化の際に仮定した行動の種類の数Tである。
(行動分析システム)
図11を用いて、行動分析システムの全体構成例を説明する。
センサの構成、受信部(111)、行動モデル学習部(112)、行動モデル推定部(113)および異常検出部(115)については図1記載の異常監視システムと同じである。
速度計測部(116)では、各行動におけるセンサの発火速度が計算される。今、ある行動の時区間内bで発火したセンサをs1,…,sL、各々の発火時刻をt(si)(1≦i≦L)とすると、発火速度の計算のために、
ただし、[P]は、Pが真のとき1、偽のとき0の値を取るとする。
頻度計測部(117)では、特定の条件下の特定の行動を、検索部(118)を用いて行動DB(114)から抽出し、その頻度を、行動可視化部(119)を介してユーザに提示可能にする。
条件や行動の指定は、行動可視化部(119)を介してユーザからの指示に従う場合の他、あらかじめ決められた条件を埋め込んでおくこともできる。
例えば、行動列b1,…,bLにおいて同一の行動b(bi=b,1≦i≦L)が連続している場合には、これらを1つの行動bとしてマージして提示することは最も単純な平滑化の1つである。
クラスタリング法としては、k−平均法などの既知の手法を用いることができるが、いずれの方法を使う場合でも行動と行動の距離あるいは類似度を定める必要がある。
平滑化を行った結果、複数の連続するフレームが一つの行動としてマージされる場合、新たに得られた時区間を一つのフレームとして再び行動推定部113に入力し、新たなフレーム列に対する行動の推定と尤度の計算を行うことでより精度を高めることができる。
最上部には、センサの発火時刻に合わせて縦線がセンサ毎に色分けされて表示されている。
その下には、センサの発火系列から推定された行動列が、破線で囲まれた時区間として表示されている。
また、各行動には異常検出部(115)で計算された尤度が「通常度」として表示されている。
この行動をポイントすることで、この日に行われた複数のトイレ行動がハイライトされて表示されている。
図では、このような検索の結果、11月中の午後9時から午前6時の間にトイレに行った回数が20回であること、その総時間がおよそ100分であることが表示されている。
この値は、トイレに行って帰ってくるまでの移動速度が反映されている。
図13を用いて健康管理システムを説明する。
センサの構成、受信部(131)、行動モデル学習部(132)、行動モデル推定部(133)、異常検出部(135)、速度計測部(136)、頻度計測部(137)、検索部(138)については図2記載の行動分析システムと同じである。
歩行速度の低下はロコモティブ症候群(非特許文献6)や認知症(非特許文献7)の早期発見の指標となるからである。
この計算のためには、睡眠やトイレという行動が識別されている必要があるが、これら場所に強く結びついた行動の識別は、単純なルールベースの識別器で実現できる。例えば、ベッド周辺のセンサの活動を含み1時間以上継続する行動を睡眠行動と判定すれば、それ以外の時刻に現れる同一の行動全体で睡眠行動を識別できる。
その際、例えば、ベッド周辺のセンサは、日中ベッド周辺に近づいただけでも活動するが、本発明の行動推定を用いれば、前後のセンサ活動の違いから、同じベッド周辺センサの活動でも、睡眠中のものと日中の活動中のものと区別できるので、より信頼性の高い指標となり得る。
本発明では、センサの発火活動より上位の行動列を取得できるので、1日の中で観察された行動の頻度、時間や種類を活動量として用いることができる。例えば、1日に現れるT種類の行動bの累積時間をt(b)と表すことにすると、以下の平均エントロピーを活動量の指標とすることができる。
また、活動量の指標として、数式21で計算されるセンサの発火頻度の総和を用いることもできる。この場合、外出、睡眠やトイレを除いた行動におけるセンサ発火頻度の総和を計算することができるので、より信頼性の高い活動量が計算できる。
本発明の行動推定法によれば、外出前後の玄関周辺のセンサや玄関のドアスイッチセンサの活動などの文脈が考慮されるので、外出行動は部屋の中でじっとしている行動とは区別されて抽出される。
2 センサ
3 フレーム
4 フレーム数
5 m番目のフレームのセンサ発火数
6 行動の種類の数
7 センサの種類の数
8 1日の回数
9 発火速度
10 行動ラベル付与
21 検索範囲
22 頻度/月
23 総時間/月
11,111,131 受信部
12,112,132 行動モデル学習部
13,113,133 行動モデル推定部
14、114,134 行動DB
15,115、135 異常検出部
16 異常警報部
17 監視センター
116、136 速度計測部
117、137 頻度計測部
118,138 検索部
119 行動可視化部
139 健康レポート生成部
Claims (11)
- 少なくともセンサと受信部と行動モデル学習部と行動モデル推定部と行動DBと異常検出部を備えた閉空間または開空間の所定の領域における人の行動の異常監視システムであって、
前記行動とセンサが共にマルコフ性を有するものとし、
前記所定の領域には少なくとも人体感知センサとスイッチセンサとを含むセンサが複数個配置され、
前記受信部において前記各センサから送信された各センサ情報は時系列的に少なくともセンサの名前、センサの状態およびその状態が変化した日時を含むセンサデータ列に変換され行動モデル学習部と行動モデル推定部に送られ、
前記行動モデル学習部において前記一のセンサデータ列に基づいて前記人の行動が学習されて得られる行動系列からなる初期化行動モデルは、前記一のセンサデータ列に含まれるセンサの初期化された発火頻度(以後頻度カウンタと呼ぶ)ともに行動DBに格納され、
前記行動モデル推定部において前記他のセンサデータ列に基づいて前記人の行動が推定されて得られる行動系列は、前記他のセンサデータ列に含まれる当該センサの発火頻度で更新された当該頻度カウンタとともに行動DBに格納され、かつ、前記推定された行動系列が抽出されて異常検出部に送られ、
前記異常検出部において前記抽出された行動系列に関し前記頻度カウンタに基づいて当該行動が生起し得る確率が計算され、
前記確率に基づいて前記他のセンサデータ列に係る行動の異常を判断する事を特徴とする異常監視システム。 - 前記行動モデルは、前記行動がディリクレ分布を事前分布とするカテゴリカル分布に従い生成され、前記センサは前記行動に依存してディリクレ分布を事前分布とするカテゴリカル分布に従い生成される、階層的な確率モデルであることを特徴とする請求項1に記載の異常監視システム。
- 前記センサデータ列は所定の幅の時間窓(フレームと呼ぶ)におけるセンサデータ列(フレーム列と呼ぶ)(次数M)であって、
前記一のセンサデータ列からフレーム列(学習用フレーム列)が行動モデル学習用に抽出され、
前記他のセンサデータ列からフレーム列(推定用フレーム列)が行動モデル推定用に抽出され、
前記各フレームの行動を表す確率変数zはそれ以前の行動に依存してカテゴリカル分布に従い生成され、
前記各フレームのセンサの発火を表す確率変数wは当該フレームに割り当てられた行動zとそれ以前のセンサの発火に依存してカテゴリカル分布に従い生成され、
前記カテゴリカル分布の各事前分布は前記ディリクレ分布であることを特徴とする請求項2に記載の異常監視システム。 - 前記行動モデル学習部および前記行動モデル推定部における前記頻度カウンタはnq,t、nq,・、nt u,・、nt u,vであって、前記学習用フレーム列または前記推定用フレーム列からギブスサンプリングを用いたマルコフ連鎖モンテカルロ法により初期化または更新されたことを特徴とする請求項3に記載の異常監視システム。
ただし、nq,tは、前記各学習用フレーム列において行動列qの直後に行動tが現れる頻度、nt u,vは、前記各学習用フレーム列において行動tにおいてセンサ列uが発火した直後にセンサwが発火する頻度であって、nq,・=Σtnq,tであり、nt u,・=Σvnt u,vとする。 - 前記行動モデル推定部における前記行動系列の抽出は、前記推定されて前記DBに保存された前記各頻度カウンタを前記DBから読み出して初期値とし、
前記各頻度カウンタを前記各推定用フレーム列に基づいて前記マルコフ連鎖モンテカルロ法により更新し、
推定された当該各推定用フレーム列に対応する行動列Zを前記行動DBに格納することを特徴とする請求項4に記載の異常監視システム。 - 前記異常検出部において前記推定用フレーム列の各フレームに係る行動について当該フレームの尤度に基づいて異常を判断することを特徴とする請求項5に記載の異常監視システム。
- 請求項6に記載の異常監視システムにさらに検索部、頻度計測部、速度計測部、および検索部の検索結果を表示する行動可視化部を備え、
前記速度計測部において前記推定用フレームに係る行動におけるセンサの発火速度が計算され当該行動毎に行動DBに格納され、
頻度計測部において行動DBから特定の行動を抽出してその頻度を前記行動DBに格納し、
前記検索部において前記センサの発火情報、前記異常と判断された前記尤度、前記推定された行動、前記センサ発火速度または前記特定の行動およびその頻度等を索引として前記行動DBの前記行動の検索を可能とし、
前記一の索引が与えられた場合に前記検索部において前記行動DBから所定の期間(日、週、月、年等)の前記行動を検索して当該行動を行動可視化部において表示することを特徴とする行動分析システム。 - 請求項7において前記行動可視化部に代わって健康レポート生成部を備え、前記特定の行動の当該頻度、時間や種類に基づいた活動量を記載した健康レポートを提供することを特徴とする健康管理システム。
- 請求項8に記載する健康管理システムであって、
前記計算された前記センサの発火速度を当該発火センサに係る前記領域の移動に係る前記特定行動の速さと看做して、
前記所定の期間における前記行動の平均発火速度の最大値を当該人の歩行速度と記載した健康レポートを提供することを特徴とする健康管理システム。 - 請求項8に記載する健康管理システムであって、
さらに特定の前記センサの発火を含み所定時間以上継続する前記行動を睡眠行動と識別し得る識別器を備え、
前記所定の期間に前記識別器が識別した前記睡眠行動からなる睡眠行動列の中断時間に基づいて前記睡眠行動列に係る睡眠の質と記載した健康レポートを提供することを特徴とする健康管理システム。 - 請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の健康管理システム、行動分析システム、異常監視システムに係る前記センサデータおよび関連データを当該処理する事を特徴とするプログラムを記録した記憶媒体。
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