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JP2017059094A - 太陽電池の昇圧機能付き発電動作点制御回路装置 - Google Patents

太陽電池の昇圧機能付き発電動作点制御回路装置 Download PDF

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Abstract

【課題】太陽電池用の昇圧機能を有する動作点制御回路装置に於いて、従前に比して、スイッチング半導体素子やコンデンサで生じる損失を低減できる構成を提供すること。【解決手段】発電動作点制御回路装置は、太陽電池PVに対して、並列に接続されるコンデンサC1,C2と、インダクタL1を介して並列に接続されるスイッチング手段M1,M2と、コンデンサに対して直列に接続される追加のコンデンサと、スイッチング手段に対して直列に接続される追加のスイッチング手段とを含み、常に、スイッチング手段のうちの一つが導通遮断状態となり、他方のスイッチング手段が導通状態となるようにスイッチング手段の導通が制御される。また、かかる発電動作点制御回路装置が直列に接続された多段型発電動作点制御回路装置により、太陽電池を直列に接続した構成が得られる。【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池用の発電動作点制御回路装置に係り、より詳細には、太陽電池の発電電圧を制御すると共に出力電圧の昇圧が可能な構成を有する装置に係る。
太陽光発電技術の分野に於いてよく知られている如く、一つの太陽電池(セル)は、図6(A)に例示されているように、発電電圧が0Vから増大すると共に電流が変化する特性を有しており、発電電力には、その大きさが最大となる最適な動作点(最大電力点又は最適動作点と称される。)が存在する。また、一般に、種々の機械器具や充電器の動作電圧は、太陽電池の発電電圧と必ずしも一致しないので、太陽電池の出力で種々の機械器具の駆動や充電器の充電を実行する際には、太陽電池の発電電圧を機械器具や充電器の動作電圧に変換するための昇降圧機構が必要となる。従って、太陽電池を動作させる際には、通常、太陽電池は、昇圧回路又は昇降圧回路(DC−DCコンバータ回路、以下、単に、「コンバータ回路」と称する。)を介して種々の機械器具や充電器(負荷)へ接続され、コンバータ回路は、太陽電池の発電電圧が最大電力点の電圧となるように太陽電池の動作点を制御しつつ、回路の出力電圧を負荷の動作電圧に一致させる電圧変換を実行する。そのような太陽電池のためのコンバータ回路としては、一般的には、図6(B)、(C)に例示されている如き、昇圧チョッパ回路や昇降圧チョッパ回路が用いられ、これらのチョッパ回路の場合、端的に述べれば、回路の出力側の電圧Voutが負荷動作電圧となり、回路の入力側の太陽電池の発電電圧Vsiが最大電力点の電圧Vopとなる昇降圧比(Vout/Vop)が得られるように、スイッチング手段のデューティ比を調節するパルス幅変調制御が実行される。
また、一つの太陽電池の発電電圧を負荷電圧まで昇圧する場合に(本明細書に於いて、「昇圧する」という場合、特に断らない限り、或る電圧を入力電圧として、それよりも高い出力電圧を得る電圧変換を行うことをいうものとする。)、上記のチョッパ回路による昇圧機能では不十分であるときには、複数個の太陽電池セルを直列に接続した構成(太陽電池モジュール)が採用される場合がある。しかしながら、単に複数個の太陽電池セルを直列しただけの構成の場合、一部のセル上に発生した影などによってセル毎の受光量のバラつきが生じたときには、セル毎に最大電力点に於ける電流が互いに異なることとなり(図6(A)参照)、それにもかかわらず、直列に接続された全セルに同一の電流が流れると、一部のセルに於いて、最大電力点での動作が達成されない状態が発生し、太陽電池モジュールの出力を低下させることとなり得る(この場合、発電量の小さいセルは抵抗(逆バイアスのダイオード)となるので、電力の損失も生ずる。)。そこで、複数個の太陽電池セルを直列に接続した構成に於ける太陽電池セル毎の受光量のバラつきに起因する出力低下を回避するための装置として、図7(A)に例示されている如き、直列に接続された太陽電池セルの各々の勳作点を個別に制御することが可能な発電動作点制御回路装置が提案されている(非特許文献1〜3)。かかる発電動作点制御回路装置は、複数の太陽電池セルが直列に接続された回路構成に対して、多段昇圧チョッパ回路を用いて、太陽電池セル毎に、それぞれの最大電力点に於ける電流が流れるように発電電圧を制御し、これにより、全ての太陽電池セルが実質的に最大電力点にて発電することが可能となっている。なお、非特許文献1〜3の発電動作点制御回路装置の場合、その出力電圧Voutは、複数の太陽電池セルのそれぞれの最大電力点での電圧の総和となるので、太陽電池モジュールを負荷へ接続する際には、やはり、上記の如きコンバータ回路が更に用いられることとなる。
清水敏久他6名、太陽/風カエネルギー講演論文集、1996年57−60頁 清水敏久、FBテクニカルニュース No.56 2000年11月1日22−27頁 清水敏久他3名、"Generation Control Circuit for Photovoltaic Modules" IEEE TRANSACTIONS ON POWER ELECTRONICS, VOL.16, NO. 3, MAY 2001年 293−300頁
太陽電池の動作点制御を実行しつつ、特に、太陽電池の発電電圧を昇圧して負荷の動作電圧に一致した出力電圧を得るための昇圧機能付き発電動作点制御回路装置として用いられるコンバータ回路(昇圧チョッパ回路や昇降圧チョッパ回路)に於いて、その動作による損失は、できるだけ小さい方が好ましい。例えば、図6(B)、(C)に例示の回路よりも、スイッチング手段に使用されている半導体素子での電力損失を更に低減できる回路構成があれば有利である。また、複数個の太陽電池セルを直列に接続した構成のための発電動作点制御回路装置について、その出力電圧を昇圧して負荷電圧を得ようとする場合、既に触れた如く、発電動作点制御回路装置にコンバータ回路が接続されることとなるところ、その場合には、太陽電池の発電電圧の総和又はそれを更に昇圧した出力電圧がコンバータ回路内のスイッチング手段、インダクタ等に印加されることとなるので、それに耐え得る素子を準備する必要があり、また、それらに於ける損失も大きくなってしまう可能性がある。従って、太陽電池セルを直列に接続する場合にも、発電動作点制御回路装置にチョッパ回路を接続する場合よりも損失を更に低減できる回路構成があれば有利であろう。
かくして、本発明の一つの課題は、太陽電池用の昇圧機能を有する発電動作点制御回路装置に於いて、従前に比して、半導体素子等であるスイッチング手段等で生じる損失を低減できる構成を提供することである。
また、本発明のもう一つの課題は、複数個の太陽電池セルを直列に接続した構成の太陽電池モジュール用の発電動作点制御回路装置に於いて、全ての太陽電池セルが実質的に最大電力点にて発電することを可能にしつつ、昇圧機能を有し、更に、従前に比して、スイッチング手段、インダクタで生じる損失を低減できる構成を提供することである。
本発明の一つの態様によれば、上記の課題は、太陽電池のための発電動作点制御回路装置であって、
一対の出力端子と、
前記一対の出力端子の間にて太陽電池の電極端子に接続される一対の電極用接続端子と、
前記一対の出力端子の間にて、前記太陽電池に対して前記一対の電極用接続端子を介して並列に接続されるコンデンサと、
前記一対の出力端子の間にて、前記太陽電池に対して前記一対の電極用接続端子とインダクタとを介して並列に接続されて前記接続された一対の前記電極用接続端子の間を選択的に互いに導通するスイッチング手段と
前記太陽電池の一方の端側の前記電極用接続端子と前記出力端子の一方との間にて、前記コンデンサに対して直列して接続された追加のコンデンサと、
前記追加のコンデンサに対して並列に且つ前記スイッチング手段に対して直列して接続された追加のスイッチング手段と、
前記スイッチング手段及び前記追加のスイッチング手段が、同一の所定の周期にて、それぞれ、互いに異なる時期に、前記接続された一対の電極用接続端子の間及び前記接続された電極用接続端子と前記出力端子の一方との間のうちの対応する端子間の導通を遮断し、且つ、常に、前記スイッチング手段及び前記追加のスイッチング手段のうちの一方が、前記接続された一対の電極用接続端子の間及び前記接続された電極用接続端子と前記出力端子の一方との間のうちの対応する端子間の導通を遮断し、他方の前記スイッチング手段及び前記追加のスイッチング手段が、前記接続された一対の電極用接続端子の間及び前記接続された電極用接続端子と前記出力端子の一方との間のうちの対応する端子間を導通するよう前記スイッチング手段及び前記追加のスイッチング手段の導通を制御するスイッチング制御手段と
を含む装置によって達成される。なお、「太陽電池」は、典型的には、太陽電池セルであるが、単一の太陽電池セルの寸法が小さい場合など、太陽電池セルを或る程度の数量にて直列に接続しても、その直列された太陽電池セル上にて影などによる受光量のムラが許容される範囲内である場合には、複数の直列接続された太陽電池セルであってもよい(以下、「太陽電池」という言う場合には、単一の太陽電池セル、複数の太陽電池セルが直列に又は並列に接続されて成る太陽電池モジュール又はアレイのいずれであってもよいものとする。)。スイッチング手段、コンデンサ、インダクタは、それぞれ、この分野に於いて通常使用される回路用の素子であってよい。
上記の本発明の装置は、後述の図面を参照した説明からより容易に理解される如く、基本的には、太陽電池に昇圧チョッパ回路(ただし、この場合、図6(B)に於いて、出力側のスイッチング手段M2を除いた構成)を接続した構成に於いて、コンデンサとスイッチング手段とに対して、追加のコンデンサとスイッチング手段とを、それぞれに、直列に接続した構成を有する。換言すれば、本発明の回路の構成は、出力端子間に於いて、太陽電池に昇圧チョッパ回路を接続した構成に、太陽電池が接続されていない昇圧チョッパ回路を直列に接続した二段型の昇圧チョッパ回路となっている。そして、スイッチング手段と追加のスイッチング手段は、同一の所定の周期にて、それぞれの接続された端子間の導通と遮断とを繰り返すところ、一方が端子間を導通しているときには、他方が端子間の導通を遮断するよう作動される。
上記の回路装置の構成によれば、追加のコンデンサとスイッチング手段とからなる回路部分の存在によって、一対の出力端子間の出力電圧を、太陽電池の発電電圧よりも高い値にする昇圧機能が達成され、しかも、回路に使用されるスイッチング手段と追加のスイッチング手段との印加電圧を、従前のコンバータ回路の構成に比して、低減することが可能となる。
この点に関し、より詳細には、既に触れた如く、一般に、太陽電池の発電電圧は、電流に応じて変化する(図6(A)参照)。従って、太陽電池の発電電圧を調節する場合、図6(B)、(C)に例示されている如き、従前のコンバータ回路に於いては、一対の出力端子間に接続される負荷の電圧(充電池の電圧、或いは、最大電力点追従(MPPT:Maximum Power Point Tracking)を実行するMPPT制御器等の電圧又は電流制御器によって設定された電圧となる。以下、「設定出力電圧」と称する。)を基準にして、スイッチング手段M1、M2の交互の導通・遮断の反復動作(チョッパ動作)によって、設定出力電圧と発電電圧との比(昇圧比は、[設定出力電圧]/[発電電圧]である。)を調節することにより、太陽電池の発電電圧が決定されることとなる。この場合、図から理解される如く、チョッパ動作を実行するスイッチング手段M1、M2には、出力端子間の電圧Voutが印加されることとなる。なお、図6(B)、(C)に於いて、スイッチング手段M2には、ダイオードが用いられる場合もある。
一方、本発明の装置の回路構成に於いては、既に触れた如く、太陽電池が接続された昇圧チョッパ回路と太陽電池が接続されていない昇圧チョッパ回路とが直列に接続された二段型昇圧チョッパ回路の構成であり、かかる構成の場合、設定出力電圧を基準として昇圧比を調節する点は、従前と同様であるところ、スイッチング手段と追加のスイッチング手段の交互の導通・遮断の反復動作(チョッパ動作)を上記の態様の如く実行すると、後の実施形態の欄に於いて、より詳細に説明される如く、設定出力電圧が太陽電池の発電電圧より高いときには、設定出力電圧と太陽電池の発電電圧との差圧が、追加のコンデンサで保持されることとなる。そして、チョッパ動作を行うスイッチング手段と追加のスイッチング手段とに印加される電圧は、それぞれ、太陽電池の発電電圧又は追加のコンデンサの保持電圧となり、出力端子間の出力電圧より低いものとすることが可能となる。即ち、スイッチング手段と追加のスイッチング手段とには、出力電圧が分配されて割り当てられることとなるので、図6(B)、(C)に例示されている如き、従前のコンバータ回路の場合に比して、スイッチング手段と追加のスイッチング手段の印加電圧を相対的に低減することが可能となり、かくして、そこで生じる損失が低減されることとなる。
上記の本発明の構成に於いて、スイッチング手段と追加のスイッチング手段のチョッパ動作により調節される太陽電池の発電電圧と追加のコンデンサの保持電圧の高さは、スイッチング手段と追加のスイッチング手段に於ける所定の周期に対する導通を遮断する時間幅の比(オフ時間デューティ比)によって決定される。そして、後述の実施形態の欄に於いて説明される如く、出力端子の間の出力電圧が太陽電池の発電電圧よりも高い電圧であるときには、スイッチング手段と追加のスイッチング手段のオフ時間デューティ比は、それぞれ、一対の出力端子の間の出力電圧に対する太陽電池の発電電圧の比、一対の出力端子の間の出力電圧に対する追加のコンデンサの保持電圧(出力電圧から前記太陽電池の発電電圧を差し引いた電圧差)の比となる(出力端子の間の出力電圧が太陽電池の発電電圧に等しいときには、追加のコンデンサの保持電圧は0であってよく、その場合には、追加のスイッチング手段のオフ時間デューティ比は0となる。)。従って、上記の本発明の装置の構成に於いて、前記一対の出力端子の間の出力電圧が前記太陽電池の発電電圧よりも高い電圧であるときに、前記スイッチング手段の前記所定の周期に対する前記接続された一対の電極用接続端子の間の導通を遮断する時間幅の比が前記一対の出力端子の間の出力電圧に対する前記太陽電池の発電電圧の比であり、前記追加のスイッチング手段の前記所定の周期に対する前記接続された電極用接続端子と前記出力端子の一方との間の導通を遮断する時間幅の比が前記一対の出力端子の間の出力電圧に対する前記一対の出力端子の間の出力電圧から前記太陽電池の発電電圧を差し引いた電圧差の比であるように、スイッチング手段と追加のスイッチング手段に於ける導通と導通遮断が制御されてよい。
また、上記の説明から理解される如く、太陽電池から取り出せる発電電力が最大となるのは、太陽電池がその最大電力点に於ける発電電圧にて発電しているときである。そして、本発明の装置の場合には、上記の如く、スイッチング手段と追加のスイッチング手段の設定により、出力端子間の出力電圧に於いて、太陽電池の発電電圧に追加されるべき電圧を任意に設定できることとなるので、設定出力電圧を或る所望の電圧に設定した上で、スイッチング手段の所定の周期に対する接続された一対の電極用接続端子の間の導通を遮断する時間幅の比を、出力電圧に対する太陽電池の最大電力点に於ける発電電圧の比に設定すれば、太陽電池がその最大電力点に於ける発電電圧にて発電する状態が実現される。かくして、上記の本発明の装置に於いて、前記一対の出力端子の間の出力電圧が所望の電圧であり、前記スイッチング手段の前記所定の周期に対する前記接続された一対の電極用接続端子の間の導通を遮断する時間幅の比が、前記出力電圧に対する前記太陽電池の最大電力点に於ける発電電圧の比に設定されるようになっていてよい。
更に、一般に、太陽光発電システムに於いては、太陽電池の環境条件、例えば、受光量、温度等の環境条件が変化した場合には、その変化に応じて、リアルタイムに、太陽電池の発電電圧が調節できるようになっていることが好ましく、多くの場合、MPPT制御器等の電圧又は電流制御器は、逐次的に太陽電池の発電電力をモニターして、発電電圧の調節を実行するよう構成されている。これと同様に、本発明の装置に於いても、逐次的に太陽電池の発電電圧を調節できるようになっていることが好ましい。この点に関し、既に述べた如く、本発明の装置の場合には、太陽電池の発電電圧は、それに並列に接続されたスイッチング手段の所定の周期に対する接続された一対の電極用接続端子の間の導通を遮断する時間幅の比によって調節される。従って、上記の本発明の装置に於いて、前記太陽電池の発電電圧が前記最大電力点に於ける電圧となるように前記スイッチング手段の前記所定の周期に対する前記接続された一対の電極用接続端子の間の導通を遮断する時間幅の比を調節する手段が更に設けられていてよい。かかる手段は、一対の出力端子間の出力電圧を調節するMPPT制御器等の電圧又は電流制御器に於いてモニターされる発電電力の変化に基づいて、発電電力が最大となるようにスイッチング手段の所定の周期に対する接続された一対の電極用接続端子の間の導通を遮断する時間幅の比を適宜変更するように構成されていてよい
ところで、図6(A)から理解される如く、一般に、太陽電池に於いて、最大電力点に於ける電流は大幅に変化する一方、発電電圧の高さは、さほどに変化しない。従って、複数の太陽電池を並列に接続する場合、それらの間で、最大電力点が互いに異なっていても、発電電圧の高さは概ね一致するので、並列に接続された複数の太陽電池の群に対しては、本発明の回路構成により、発電動作点の制御と昇圧を実行することが可能である。かくして、上記の本発明の構成に於いて、一対の電極用接続端子間に、複数の太陽電池が並列に追加されてもよい。かかる構成によれば、同じ太陽電池の数に対して制御回路を少なくできる点で有利である。
更に、上記の一連の本発明の発電動作点制御回路装置は、複数、直列に接続されて使用することも可能であるので、本発明のもう一つの態様によれば、複数の上記の発電動作点制御回路装置が前記出力端子にて直列に接続されて成る多段型発電動作点制御回路装置が提供される。
既に触れた如く、上記の本発明の発電動作点制御回路装置は、単体で、出力端子間の出力電圧を任意の電圧に設定した状態で、太陽電池の発電電圧をその最大電力点に於ける電圧に調整することが可能である。その場合の太陽電池の電流は、最大電力点に於ける電流になるところ、出力端子間の電流は、太陽電池の発電電力を出力端子間の出力電圧で除した値となり、出力端子間の電流と太陽電池の電流との差分は、端的に述べれば、スイッチング手段と追加のスイッチング手段に於ける切り換えによって太陽電池を迂回して流通することとなる。即ち、かかる構成の場合、単体の発電動作点制御回路装置の太陽電池の動作点を最大電力点に調整した状態で出力電圧が変動可能となっているので、上記の如く、単体の発電動作点制御回路装置を直列に接続し、出力電圧の総和を任意に設定した状態でも、それぞれの太陽電池の動作点を最大電力点に調整した状態が実現可能となる。換言すれば、本発明の多段型発電動作点制御回路装置によれば、直列に接続された複数の太陽電池の群に於いて、太陽電池の最大電力点が互いに異なっていても、発電電力を低下してしまうことなく、それぞれの太陽電池の動作点を最大電力点に調整した状態にて、太陽電池の発電動作が可能となり、しかも、多段型発電動作点制御回路装置の出力電圧、即ち、各単体の発電動作点制御回路装置の出力電圧の総和が任意に昇圧できることとなる。
上記の構成の場合、より詳細には、単体の発電動作点制御回路装置の各々に於ける出力電流が共通となり、発電電力の総和が、各太陽電池の発電電力の総和となる。従って、後に説明される如く、単体の発電動作点制御回路装置の出力端子間の出力電圧は、各太陽電池の発電電力の比で分配されることとなる。即ち、上記の如く、多段型発電動作点制御回路装置の出力電圧は、直列に接続された複数の発電動作点制御回路装置の一対の出力端子間の出力電圧の総和であり、任意に設定可能な発電動作点制御回路装置の単体の出力電圧は、各太陽電池の発電電力の比で分配されることとなるので、結局、直列に接続された複数の発電動作点制御回路装置の一対の出力端子間の出力電圧の総和が所望の電圧であってよいこととなる。
なお、上記の多段型発電動作点制御回路装置に於いて、各単体の発電動作点制御回路装置は、それぞれ、既に説明された一連の特徴的な構成を有していてよいことは理解されるべきである。各単体の発電動作点制御回路装置に於いては、それぞれで、多段型発電動作点制御回路装置の出力電圧のうちの各太陽電池の発電電力の比で配分された電圧を、各単体の出力電圧として、スイッチング手段及び追加のスイッチング手段のオフ時間デューティ比が決定されることとなる。即ち、上記の多段型発電動作点制御回路装置に於いては、各単体の発電動作点制御回路装置に於いて、その単体の一対の出力端子の間の出力電圧が太陽電池の発電電圧よりも高い電圧であるときに、スイッチング手段の所定の周期に対する接続された一対の電極用接続端子の間の導通を遮断する時間幅の比がその単体の一対の出力端子の間の出力電圧に対する太陽電池の発電電圧の比であり、追加のスイッチング手段の所定の周期に対する接続された電極用接続端子と出力端子の一方との間の導通を遮断する時間幅の比がその単体の一対の出力端子の間の出力電圧に対する一対の出力端子の間の出力電圧から太陽電池の発電電圧を差し引いた電圧差の比であってよく、また、スイッチング手段の所定の周期に対する接続された一対の電極用接続端子の間の導通を遮断する時間幅の比が、その単体の出力電圧に対する太陽電池の最大電力点に於ける発電電圧の比に設定されてよい。そして、各単体の発電動作点制御回路装置に於いて、一対の電極用接続端子間に複数の太陽電池が並列に接続されてもよいことは理解されるべきである。
更に、上記の本発明による多段型発電動作点制御回路装置に於いては、更に、直列に接続された複数の発電動作点制御回路装置に於ける隣接する装置の出力端子間を導通可能に接続し、外部からの信号に応答して、導通可能に接続された出力端子間の導通を遮断する外部応答スイッチング手段が設けられていてよい。例えば、かかる外部からの信号は、多段型発電動作点制御回路装置が搭載される設備又は車両に於いて前記太陽電池の発電動作を停止すべき事態の発生が検知されると発せられる信号であってよい。かかる構成によれば、太陽電池の発電動作を停止したい場合に、外部からの信号によって、外部応答スイッチング手段に於ける導通を遮断することによって、速やかに、太陽電池が多段型発電動作点制御回路装置の出力端子間(両端の発電動作点制御回路装置の出力端子間)に於ける電圧の印加を停止することが可能となる。太陽電池を直列に接続する場合には、発電電圧の総和が、太陽電池単体の場合に比して高くなるので、相当に出力電圧も高くなる場合がある。従って、例えば、多段型発電動作点制御回路装置が搭載される設備又は車両に於いて太陽電池の発電動作を停止すべき事態が発生した場合に、外部からの信号を通じて、速やかに、高い出力電圧が印加された状態を解消することができる点で有利である。
かくして、上記の本発明による発電動作点制御回路装置(単体)によれば、既に述べた如く、従前の同様の機能を有するコンバータ回路に比して、スイッチング手段に印加される電圧が相対的に低下されるので、スイッチング手段に於ける損失が低減されることとなる。また、印加電圧が低下されるので、採用するスイッチング手段として、許容耐電圧の低いものも選択可能となる。また、上記の本発明による多段型発電動作点制御回路装置によれば、既に述べた如く、直列に接続された複数の太陽電池の群に於いて、それぞれの太陽電池の動作点を最大電力点に調整した状態にて、太陽電池の発電動作が可能となり、且つ、多段型発電動作点制御回路装置の出力電圧の昇圧が可能となる。この点に関し、非特許文献1〜3に記載された発電動作点制御回路の場合にも、その出力端子にコンバータ回路を接続すれば、同様の機能が達成されることとなるが、この場合、発電動作点制御回路の出力電圧、即ち、太陽電池の発電電圧の総和に対して昇圧を実行することとなるので、コンバータ回路内に用いられるスイッチング手段やインダクタとして、許容耐電圧がより高いものが必要となる。また、非特許文献1〜3に記載された発電動作点制御回路に於いては、各スイッチング手段のオフ時間デューティ比は、出力電圧に対するそれぞれの太陽電池の発電電圧の比となるので、全ての太陽電池の発電電圧を最大電力点に調整するための処理がやや複雑となり得る。これに対し、本発明の多段型発電動作点制御回路装置の場合には、部品点数が多くなるものの、各スイッチング手段のオフ時間デューティ比は、配分された電圧に対する太陽電池の発電電圧の比を調整することとなるので、太陽電池の発電電圧を最大電力点に調整するための処理が相対的に容易となる点で有利である。
本発明のその他の目的及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明により明らかになるであろう。
図1(A)は、本発明による発電動作点制御回路装置の一つの実施形態の例示的な回路構成図であり、図1(B)は、スイッチング手段のON/OFF状態の例示的なタイムチャートを示す図である。図1(C)は、本発明による発電動作点制御回路装置の一つの実施形態の例示的な回路構成図であって、電流計と電圧計とが設けられている例である。図1(D)は、本発明による発電動作点制御回路装置の一つの実施形態の例示的な回路構成図であって、複数の太陽電池が並列接続されている例である。 図2(A)、(B)は、それぞれ、図1(A)の回路構成に於いて、スイッチング手段M2、M1がOFF状態となっているときの電流の流れを示す図である。点線の矢印が電流の流れの方向を示している。 図3は、複数の図1(A)に例示の発電動作点制御回路装置が直列に接続されて成る多段型発電動作点制御回路装置の回路構成図である。 図4は、図3の多段型発電動作点制御回路装置に於いて、スイッチング手段の制御を一つのMPPT制御回路で実行する場合のMPPT制御回路装置を模式的に示した図である。 図5は、図3の多段型発電動作点制御回路装置に於いて、単体の発電動作点制御回路装置の間に安全管理用スイッチング手段(外部応答スイッチング手段)を設けた場合の例示的な回路構成図である。 図6(A)は、太陽電池の発電電圧に対する発電電流と発電電力の変化を模式的に表す特性図である。図6(B)、(C)は、それぞれ、従来の技術に於ける発電動作点制御回路装置として用いられる昇圧チョッパ回路、昇降圧チョッパ回路の回路構成の例を示す図である。 図7(A)は、直列に接続された複数の太陽電池からなる太陽電池モジュールのための従来の技術に於ける発電動作点制御回路装置の回路構成の例を示す図であり、図7(B)は、スイッチング手段のON/OFF状態の例示的なタイムチャートを示す図である。
PV…太陽電池セル
M…スイッチング手段(MOSFET)
C…コンデンサ
L…インダクタ
S…制御入力
U…発電動作点制御回路装置(ユニット)
ct…電極用接続端子
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明する。図中、同一の符号は、同一の部位を示す。
発電動作点制御回路装置(単体)の構成
図1(A)を参照して、本発明による太陽電池の発電動作点制御回路装置の回路構成は、出力端子ot+〜ot−間に於いて、太陽電池PVに対して、コンデンサC1とスイッチング手段M1とを並列に接続し、インダクタL1を介してコンデンサC1とスイッチング手段M1との間を接続して成る回路に、更に、コンデンサC1に対して直列にコンデンサC2が追加され、スイッチング手段M1に対してスイッチング手段M2が追加される。かかる構成は、コンデンサC1とスイッチング手段M1とインダクタL1とから成る昇圧チョッパ回路(ただし、出力端子側のスイッチング手段を除いた構成。以下同様。)と、コンデンサC2とスイッチング手段M2とインダクタL1とから昇圧チョッパ回路とが、出力端子ot+〜ot−間に於いて直列に接続された二段の昇圧チョッパ回路の構成となっているということもできる。なお、端子ct-ct間に接続される太陽電池PVは、単一の太陽電池セルであってもよく、或いは、太陽電池セルを或る程度の数量にて直列に接続しても、その直列された太陽電池セル上にて影などによる受光量のムラが許容される範囲内である場合には、複数の直列接続された太陽電池セルであってもよい。また、スイッチング手段M1、M2は、典型的には、通常の太陽電池セルの発電動作点制御回路装置に於いて利用されているMOSFETなどのスイッチング手段であってよい。スイッチング手段M1、M2は、それぞれ、制御入力S1、S2を有し、後に述べる態様にて、その制御入力S1、S2の入力に応じて、図中、上下の端子間、即ち、並列に接続された対応する太陽電池PV及びコンデンサC1、C2の両端の端子間を選択的に導通又は遮断する。コンデンサとインダクタとは、この分野で通常使用されている任意のものであってよい。
上記の発電動作点制御回路装置を実際に使用する場合には、出力端子ot+、ot−の間に、負荷、例えば、任意の機械器具、装置、充電器等が接続されると共に、出力端子間の電圧Voutを制御するMPPT制御回路又はその他の任意の電圧/電流制御器(以下、単に「電圧/電流制御器」と称する。)が接続される。電圧/電流制御器は、出力端子間の出力電圧を、負荷に於いて要求される電圧又は所望の電圧に保持し、更に、太陽電池セルPVの発電電圧を調節するべく選択的に導通又は遮断するための制御信号を制御入力S1、S2へ与えるよう構成される。電圧/電流制御器は、太陽電池の発電制御の分野で知られている任意の形式の構成の回路又は制御器であってよい。また、負荷は、電圧/電流制御器を介して接続されるようになっていてもよい。或いは、負荷は、例えば、充電池など、それ自身の入力端子間に有意な電圧を持っているものであってもよく、その場合、出力端子ot+、ot−の間に電圧を保持する機能が制御器により実行されていなくてもよい。即ち、本発明の回路構成に於いて、スイッチング手段M1、M2よりも出力側の負荷が接続される端子間に、何等かの手法にて、有意な電圧(出力電圧)が発生していればよく、かかる出力電圧は、任意の電圧に設定され、典型的には、負荷動作電圧に等しく設定される。なお、図1(A)に示されている如く、通常、負荷に対して並列に接続されて、出力電圧を平滑化するための平滑化コンデンサC+が接続される。平滑化コンデンサC+の機能は、電圧/電流制御器に於いて達成されてもよい(平滑化コンデンサC+が電圧/電流制御器内に設けられていると考えてよい。)。平滑化コンデンサC+は、図6、7の従前の回路の構成の場合も同様に、負荷に対して並列に接続されるか、電圧/電流制御器に於いて設けられる。
発電動作点制御回路装置の作動
(1)従来のコンバータ回路を用いた場合の発電動作点制御
図6(A)を参照して、既に述べた如く、太陽電池は、一般に、図示の如き発電電圧に対して電流(実線)が変化する特性を有しており、その発電電力(一点鎖線)の変化に於いて、電力が最大となる最大電力点(Pm1、Pm2)が存在する。かかる太陽電池の電流−電圧特性及び電力−電圧特性は、太陽電池の環境条件によって変化し、影などによって、受光量が低減すると、例えば、図中、電流Hにて示された特性曲線が、電流Lにて示された特性曲線へと電流が低下する方向へ変化し、従って、電力Hにて示された特性曲線も電力Lにて示された特性曲線へと変化する、といった現象が生ずる。従って、太陽電池の発電を実行する場合には、好適には、太陽電池の動作点が最大電力点となるように、太陽電池の発電電圧が制御される(発電動作点制御)。
かかる発電動作点制御を実行するために、従前に於いては、図6(B)、(C)に例示されている如きコンバータ回路が用いられ、かかる回路に於いては、スイッチング手段M1、M2の制御入力S1、S2へ、これらのスイッチング手段が、交互に導通・遮断を実行するように、即ち、チョッパ動作を実行するように、制御信号(ON/OFF)が与えられ、これにより、太陽電池PVの電圧が調節される(図1(B)参照)。例えば、図6(B)の回路の場合、出力端子間[ot+,ot−]の電圧Voutと、太陽電池PVの接続される端子間[ct,ct]の電圧Vsiとの関係は、スイッチング手段M1の所定の周期Tsに対するOFF状態の時間幅の比であるOFF時間デューティ比D(以下、単に、「デューティ比」と称する。)を用いて、下記の関係が成立する。
Vsi=D・Vout …(1)
即ち、負荷の動作電圧である出力電圧Voutが或る値であるときに、Vsiが太陽電池PVの最大電力点に於ける発電電圧Vopとなるように、デューティ比Dを調節すれば、太陽電池PVの出力を最大にした状態で負荷の駆動又は充電が達成されることとなる(図6(C)の場合も略同様である。)。また、Vout≧Viとなるので、コンバータ回路により、太陽電池の動作点が調節されるとともに、昇圧が達成することとなる。なお、図示の例で、スイッチング手段M2は、スイッチング手段M1がONのとき、即ち、導通状態であるときに、負荷と太陽電池との導通を遮断するべく、OFF、即ち、遮断状態にされ、スイッチング手段M1がOFFのとき、負荷と太陽電池とを導通するべく、ONにされる。かかるスイッチング手段M2は、ダイオード素子でも達成可能であるので、スイッチング手段M2に於いては、ダイオード素子が採用される場合もある。
上記の図6(B)、(C)のコンバータ回路の場合、特に、スイッチング手段M1、M2に於いては、チョッパ動作中に、出力電圧Voutが印加されることとなるので、出力電圧Voutに応じた損失がスイッチング手段M1、M2に発生し、また、スイッチング手段M1、M2の許容耐電圧は、出力電圧Voutよりも高い必要がある。
(2)本発明の発電動作点制御装置の制御
図1(A)、(B)を参照して、本発明による発電動作点制御装置の制御に於いては、出力端子間に直列に接続されたスイッチング手段M1、M2は、従前のコンバータ回路と同様に、電圧/電流制御器からの制御入力S1、S2に従って、図1(B)に模式的に示されている如く、所定の周期Tsにて、交互に導通・遮断を実行するよう制御される。かかる構成に於いて、出力電圧Voutと、太陽電池PVの電圧Vsi、コンデンサC2の電圧ΔVの間には、スイッチング手段M1、M2の所定の周期Tsに対するOFF状態の時間幅の比であるOFF時間デューティ比D1、D2を用いて、下記の関係が成立する。
Vout=Vsi+ΔV …(2a)
Vsi=D1・Vout …(2b)
ΔV=D2・Vout …(2c)
D1+D2=1 …(2d)
即ち、デューティ比D1、D2は、それぞれ、出力電圧に対する太陽電池の発電電圧の比(Vsi/Vout)、出力電圧に対する前記一対の出力端子の間の出力電圧から太陽電池の発電電圧を差し引いた電圧差の比(ΔV/Vout)となる。なお、上記の構成に於いて、コンデンサC2がΔVを保持するための電荷は、スイッチング手段のON/OFF状態の変化過程に於けるインダクタからの電流の流入によって与えられることとなる。図2を参照して、スイッチング手段動作中の電流の流れに於いて、コンデンサC2に於いては、対応するスイッチ素子がON状態にあるときには、他段のインダクタから電流が流入し、対応するスイッチ素子がOFF状態にあるときには、コンデンサC2から電流が流出することとなる。その際、出力電圧がVoutに保持されているので、時間平均に於いて、コンデンサC2の電圧は、上記の式に示されている如く、出力電圧Voutから太陽電池セル発電電圧の総和を差し引いた電圧となる。
上記の本発明による発電動作点制御回路装置に於いては、Vout、D1、D2の値は、各素子の許容限界の範囲内で任意に設定可能であるので、D1、D2を調節することにより、或る負荷動作電圧Voutに対して、Vsiが太陽電池に於いて可能な範囲の任意の電圧となるように設定することができ、そして、Vsiが太陽電池の最大電力点に於ける発電電圧Vopとなるように、D1、D2を調節することにより、太陽電池PVの出力を最大にした状態で、太陽電池の発電電圧が負荷の動作電圧まで昇圧することが可能となる。上記の回路に於いて、D1、D2の値の実際の設定に於いては、電圧/電流制御器(MPPT制御回路等)等により任意の値のVoutが保持した状態で、D1、D2の値を変更しながら出力端子間の電圧と電流とをモニターして、発電電力を計測し、最大の電力を与えるD1、D2の条件が探索され、使用されることとなる。従って、図1(C)の如く、出力端子間の電圧をモニターする電圧計と出力端子間の電流をモニターする電流計とが設けられてよい(出力端子間の電圧と電流は、電圧/電流制御器に於いてモニターされてもよい。)。また、環境の変化等によって、太陽電池の最大電力点が変化したときには、電圧/電流制御器に於いて、再度、最大の電力を与えるD1、D2の条件が探索され、更新されることとなる。典型的には、例えば、任意の周期にて、最大の電力を与えるD1、D2の条件の探索及び更新が実行されてよい。
図1(A)に例示の本発明の回路構成の場合、図から理解される如く、スイッチング手段M1、M2に於いては、出力電圧Voutが分配され、印加される電圧は、それぞれ、Vsi(=Vop)、ΔVとなり、いずれも、出力電圧Voutよりも低い値となる。従って、本発明の装置と従前のコンバータ回路とによって、同じ負荷電圧にて同じ太陽電池の発電電圧の動作点制御及び昇圧を実行する場合には、本発明の装置に於けるスイッチング手段M1、M2に印加される電圧は、従前のコンバータ回路の場合に比して相対的に低減されることとなる。かくして、本発明の装置の場合には、スイッチング手段M1、M2に於ける損失が従前に比して低減され、また、スイッチング手段M1、M2に要求される許容耐電圧も低減されることとなる。
ところで、図6(A)を再度参照して、一般に、単一の太陽電池セルに於いて、最大電力点が、例えば、図中の矢印Xの如く、Pm1からPm2に変化した場合、最大電力点での電流値は大きく変化するが、発電電圧の変化は、比較的小さい。この点に関し、上記の本発明の装置に於いては、太陽電池の発電電圧を制御することとなるので、太陽電池の最大電力点での発電電圧が大幅に変わらなければ、太陽電池PVの接続される端子間[ct,ct]に複数の太陽電池が並列に接続されても、いずれの太陽電池も概ね最大電力点にて発電動作が達成される。従って、上記の本発明の装置に於いては、図1(D)に例示されている如く、複数の太陽電池が端子間[ct,ct]に並列に接続されてよい。この場合、出力電圧が略変わらない一方、出力電流を増大させることが可能となる。
多段型発電動作点制御回路装置の構成と作動
図1(A)に関連して説明された本発明の発電動作点制御回路装置は、図3に示されている如く、複数、直列に接続され、多段型発電動作点制御回路装置を構成するようになっていてよい。この場合も、全ての太陽電池を最大電力点で動作させた状態で、且つ、多段型発電動作点制御回路装置の両端の出力電圧は、太陽電池の発電電圧の総和よりも高い任意の電圧に設定することが可能である。即ち、上記の構成によれば、複数の太陽電池を直列して使用したい場合に、太陽電池の間で最大電力点が異なっていても、全ての太陽電池をそれぞれの最大電力点で動作させ、そして、その出力電圧を任意の負荷電圧に一致するように昇圧することが可能となる。
既に触れた如く、太陽電池が直列に接続される場合に、例えば、一部の太陽電池が日陰に入るなどの要因によって、太陽電池間に於いて電流−電圧特性曲線のずれが生ずると、最大電力点に於ける電流に差が生ずることとなるので、直列接続された太陽電池セルに同一の電流が流れる構成の場合では、一部の太陽電池セルを最大電力点にて発電させることができなくなる。そうすると、その状態で得られる電力は、全ての太陽電池セルの受光量に対応して得られるはずの最大の電力よりも低下してしまうこととなる。そこで、従前に於いては、全ての太陽電池セルがそれぞれの最大電力点にて発電動作させられるようにするために、例えば、非特許文献1−3に於いて、図7(A)に例示されている如く、太陽電池セル毎に昇圧チョッパ回路が接続される発電動作点制御回路装置により、太陽電池セル毎に発電電圧と電流とを調節することが提案されている。
端的に述べれば、図7(A)に例示されている発電動作点制御回路装置の作動に於いては、スイッチング手段M1、M2は、図7(B)に例示されている如く、所定の周期TsにてON状態とOFF状態との切替が行われ、且つ、いずれか一つがOFF状態となり、それ以外がON状態となるように制御される(図1の場合と同様である。)。その場合、図示の如き昇圧チョッパ回路に於いては、太陽電池セルの電圧V1、V2と、出力電圧Voutとの間には、スイッチング手段のデューティ比D1、D2を用いて、下記の関係が成立する。
Vout=V1+V2 …(3a)
V1=D1・Vout …(3b)
V2=D2・Vout …(3c)
即ち、D1+D2=1となる。
ここで、Vout、D1、D2の値は、各素子の許容限界の範囲内で任意に設定可能であるので、出力電圧Voutが全ての太陽電池セルの最大電力点に於ける発電電圧の総和に等しいとき、即ち、
Vout=V1_pm+V2_pm …(4a)
であるとき(V1_pm、V2_pmは、それぞれ、太陽電池セルの最大電力点に於ける発電電圧)、デューティ比D1、D2を
D1=V1_pm/Vout …(4b)
D2=V2_pm/Vout …(4c)
となるように調節すると、全ての太陽電池セルが、それぞれ、最大電力点に於ける発電電圧にて発電することとなり、全ての太陽電池セルの受光量に対応して得られるはずの最大の電力が得られることとなる。
上記の図7(A)の発電動作点制御回路装置の場合、出力電圧Voutが全ての太陽電池セルの最大電力点に於ける発電電圧の総和より大きい場合、即ち、
Vout=V1_pm+V2_pm+ΔV …(5a)
であるときでも、式(3a)〜(3c)が成立するので、例えば、式(4b)が成立するとき、即ち、
V1=V1_pm=D1・Vout …(5b)
が成立するときには、V2は、
V2=V2_pm+ΔV=D2・Vout …(5c)
に決定される。即ち、この場合、太陽電池セルPV2の発電電圧は、その最大電力点での発電電圧V2_pmからずれることとなる。そうすると、例えば、図6(A)の特性曲線電力Lを参照して理解される如く、太陽電池セルPV2の発電電力は、V2のずれΔVに伴って、最大電力点の場合に比して低下することとなる(動作点が黒点の位置から白点の位置へ変化する)。即ち、図7(A)の如く、昇圧チョッパ回路の全てに太陽電池セルが接続されている構成に於いては、要求される出力電力が全ての太陽電池セルの最大電力点に於ける発電電圧の総和より大きいときに、全ての太陽電池セルを最大電力点にて発電させて受光量に対応して最大の電力を得るためには、出力端子ot+、ot−間に、昇圧器として、別途、図6(B)、(C)に例示されている如きコンバータ回路の接続が必要となる。なお、上記の説明は、直列接続される太陽電池が3つ以上であっても同様であることは理解されるべきである。
一方、既に述べた如く、図3の本発明の多段型発電動作点制御回路装置によれば(以下、「多段型装置」と称する。)、これのみで、直列に接続された複数の太陽電池の間で最大電力点が異なっていても、全ての太陽電池をそれぞれの最大電力点で動作させ、そして、直列に接続された複数の太陽電池の両端の出力電圧を、任意の負荷電圧に一致するように昇圧することが可能となる。
まず、図3の多段型装置に於いて、各単体の発電動作点制御回路装置(U1〜U3)(以下、単に「ユニット」と称する。)では、既に述べた如く、太陽電池を最大電力点で動作させた状態で、出力端子間の出力電圧VToutを太陽電池の発電電圧よりも高い任意の電圧に設定することが可能である。即ち、上記の多段型装置の各ユニットに於いて、出力端子間に或る出力電圧Voutiが設定された場合、それぞれのユニット内で、図1(A)の構成に関連して説明されたように、昇圧比が太陽電池の発電電圧を最大電力点に於ける電圧に対する設定出力電圧Voutiとなるようにデューティ比が設定可能である。
一方、多段型装置の出力電圧VToutは、
VTout=Vout1+Vout2+… …(6)
となる。ところで、多段型装置に於いては、各ユニットの出力電圧は、それぞれ異なっていてもよいが、ユニット間に流れる電流及び出力端子間の電流Itは、共通となる。また、各ユニットから出力される電力Piは、各太陽電池の受光量等によって決定される。従って、多段型装置の出力電力PTは、
PTout=P1+P2+… …(7)
により与えられ、出力端子間及びユニット間の電流Itは、
It=PTout/VTout …(8)
に決定される。そして、ユニット間の電流Itが決定されれば、各ユニットの出力電圧Voutiは、
Vouti=Pi/It …(9)
に割り当てられる。かくして、既に述べた如く、各ユニットでは、デューティ比の設定により、割り当てられた出力電圧Voutiに対して太陽電池の発電電圧を任意に調節できるので、上記の如く、直列に接続された複数の太陽電池に於いて、全ての太陽電池をそれぞれの最大電力点で動作させ、且つ、両端の出力電圧を、任意の負荷電圧に一致するように昇圧することが可能となる。なお、図3の回路構成に於ける各ユニットのD1、D2の値の実際の設定に於いても、多段型装置の出力電圧VToutを保持した状態で、各ユニットのD1、D2の値を変更しながら出力端子間の電圧と電流とをモニターして、発電電力を計測し、それぞれのユニットの最大の電力を与えるD1、D2の条件が探索され、使用されることとなる。また、環境の変化等によって、太陽電池の最大電力点が変化したときにも、同様に、電圧/電流制御器に於いて、再度、それぞれのユニットの最大の電力を与えるD1、D2の条件が探索され、更新されることとなる。典型的には、例えば、任意の周期にて、最大の電力を与えるD1、D2の条件の探索及び更新が実行されてよい。
図3に例示の本発明による多段型装置と図7(A)に例示の従前の発電動作点制御回路装置に更にコンバータ回路を接続した場合(図示せず)とを比較すると、従前の発電動作点制御回路装置の場合には、発電動作点制御回路装置に接続される昇圧器の入力側に太陽電池の発電電圧の総和が印加されることとなり、従って、印加電圧に対応して、昇圧器の内部のスイッチング手段、インダクタの損失が生じ、また、これらの手段の許容耐電圧は、太陽電池の発電電圧の総和及び昇圧器の出力電圧よりも高い必要がある。これに対し、本発明による多段型装置の場合には、各ユニットのスイッチング手段M1、M2とインダクタの印加電圧は、いずれも、既に述べた如く、多段型装置の出力電圧VToutから各ユニットへ分配された出力電圧Voutiを更に分配した電圧となるので、従前の発電動作点制御回路装置の昇圧器のスイッチング手段、インダクタにて生じていた損失は生ずることがなく、また、従前の発電動作点制御回路装置の昇圧器のスイッチング手段、インダクタに要求される許容耐電圧を準備する必要がなくなる点で有利である。また、装置内に組み込まれるスイッチング手段のデューティ比の調節に関して、図7(A)に例示の従前の発電動作点制御回路装置の場合、各太陽電池に並列に接続されたスイッチング手段のデューティ比は、全ての太陽電池の発電電圧を考慮して調節され、更に、昇圧器のスイッチング手段のデューティ比が入出力電圧を考慮して調節されることとなり、調節処理がやや複雑となる一方、図3に例示の本発明による多段型装置の場合には、各ユニットの発生電力に基づいて各ユニットの出力電圧の割り当てが決定されると、ユニット毎にスイッチング手段のデューティ比が調節されることとなるので、調節処理が容易となることが期待される。
なお、図3の回路構成に於いては、スイッチング手段の制御のための手段である電圧/電流制御器(MPPT制御回路等)がユニット毎に設けられるよう描かれているが、図4に模式的に描かれている如く、全ユニットのスイッチング手段の制御が統合されて一つの電圧/電流制御器にて実行されるようになっていてもよい。
外部応答スイッチング手段を備えた多段型発電動作点制御回路装置
図3に例示されている如き多段型発電動作点制御回路装置に於いて、図5に描かれている如く、更に、外部からの信号Ssにより導通・遮断が制御されるスイッチング手段(外部応答スイッチング手段)Msが、ユニット間の接続する導線に装入されてよい。外部からの信号は、例えば、多段型装置が装備又は搭載される設備又は車両の火災報知器や衝突感知センサなど、安全のために、太陽電池の発電を緊急に停止すべき状態の発生を感知するセンサ(安全管理センサ)から信号に応答して、ユニット間の導通を遮断させるための信号であってよい。太陽電池の場合、例えば、設備又は車両に何等かの事故等が発生しても、太陽電池に損傷がなく、受光がある限り、電力が出力されることとなる。その場合、例えば、消火のための放水が為され、太陽電池に接続された電気系統の装置に水がかかると、漏電等が発生し得る。特に、多段型装置の場合、太陽電池が直列に接続されているので、その出力電圧が比較的高くになっているので、漏電等による支障が大きくなる事態が生じ得る。そこで、図5に例示されている如く、安全上の理由で、太陽電池の発電を緊急に停止すべき状態が発生したときには、そのことが安全管理センサにより感知され、その情報によって、スイッチング手段Msが導通を遮断するようになっていてよい。かかる構成によれば、安全管理センサからの信号Ssに応答してスイッチング手段Msが直列に接続された太陽電池の群が分断され、太陽電池のそれぞれが発電を継続しても、太陽電池が直列に接続されている場合に発生する高電圧の発生を速やかに停止することが可能となる。ユニット間の導線に装入されるスイッチング手段Msは、この分野で通常使用されているMOSFETなどのスイッチング手段であってよい。なお、外部からの信号Ssとしては、上記の安全管理センサの他、種々の他の要因に基づいて太陽電池の発電動作の可否を決定するための任意の信号であってもよい。
以上の説明は、本発明の実施の形態に関連してなされているが、当業者にとつて多くの修正及び変更が容易に可能であり、本発明は、上記に例示された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱することなく種々の装置に適用されることは明らかであろう。

Claims (9)

  1. 太陽電池のための発電動作点制御回路装置であって、
    一対の出力端子と、
    前記一対の出力端子の間にて太陽電池の電極端子に接続される一対の電極用接続端子と、
    前記一対の出力端子の間にて、前記太陽電池に対して前記一対の電極用接続端子を介して並列に接続されるコンデンサと、
    前記一対の出力端子の間にて、前記太陽電池に対して前記一対の電極用接続端子とインダクタとを介して並列に接続されて前記接続された一対の前記電極用接続端子の間を選択的に互いに導通するスイッチング手段と
    前記太陽電池の一方の端側の前記電極用接続端子と前記出力端子の一方との間にて、前記コンデンサに対して直列して接続された追加のコンデンサと、
    前記追加のコンデンサに対して並列に且つ前記スイッチング手段に対して直列して接続された追加のスイッチング手段と、
    前記スイッチング手段及び前記追加のスイッチング手段が、同一の所定の周期にて、それぞれ、互いに異なる時期に、前記接続された一対の電極用接続端子の間及び前記接続された電極用接続端子と前記出力端子の一方との間のうちの対応する端子間の導通を遮断し、且つ、常に、前記スイッチング手段及び前記追加のスイッチング手段のうちの一方が、前記接続された一対の電極用接続端子の間及び前記接続された電極用接続端子と前記出力端子の一方との間のうちの対応する端子間の導通を遮断し、他方の前記スイッチング手段及び前記追加のスイッチング手段が、前記接続された一対の電極用接続端子の間及び前記接続された電極用接続端子と前記出力端子の一方との間のうちの対応する端子間を導通するよう前記スイッチング手段及び前記追加のスイッチング手段の導通を制御するスイッチング制御手段と
    を含む装置。
  2. 請求項1の装置であって、前記一対の出力端子の間の出力電圧が前記太陽電池の発電電圧よりも高い電圧であるときに、前記スイッチング手段の前記所定の周期に対する前記接続された一対の電極用接続端子の間の導通を遮断する時間幅の比が前記一対の出力端子の間の出力電圧に対する前記太陽電池の発電電圧の比であり、前記追加のスイッチング手段の前記所定の周期に対する前記接続された電極用接続端子と前記出力端子の一方との間の導通を遮断する時間幅の比が前記一対の出力端子の間の出力電圧に対する前記一対の出力端子の間の出力電圧から前記太陽電池の発電電圧を差し引いた電圧差の比である装置。
  3. 請求項2の装置であって、前記一対の出力端子の間の出力電圧が所望の電圧であり、前記スイッチング手段の前記所定の周期に対する前記接続された一対の電極用接続端子の間の導通を遮断する時間幅の比が、前記出力電圧に対する前記太陽電池の最大電力点に於ける発電電圧の比に設定される装置。
  4. 請求項3の装置であって、前記太陽電池の発電電圧が前記最大電力点に於ける電圧となるように前記スイッチング手段の前記所定の周期に対する前記接続された一対の電極用接続端子の間の導通を遮断する時間幅の比を調節する手段を更に含む装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかの装置であって、前記一対の電極用接続端子間に複数の太陽電池が並列に接続される装置。
  6. 複数の請求項1乃至5のいずれかの発電動作点制御回路装置が前記出力端子にて直列に接続されて成る多段型発電動作点制御回路装置。
  7. 請求項6の装置であって、前記直列に接続された複数の発電動作点制御回路装置の前記一対の出力端子間の出力電圧の総和が所望の電圧である装置。
  8. 請求項6又は7の装置であって、更に、前記直列に接続された複数の発電動作点制御回路装置に於ける隣接する装置の出力端子間を導通可能に接続し、外部からの信号に応答して、前記導通可能に接続された出力端子間の導通を遮断する外部応答スイッチング手段が設けられている装置。
  9. 請求項8の装置であって、前記外部からの信号が、前記多段型発電動作点制御回路装置が搭載される設備又は車両に於いて前記太陽電池の発電動作を停止すべき事態の発生が検知されると発せられる信号である装置。
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