JP2016088407A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤの偏摩耗を抑制することで、摩耗後のタイヤを使用して走行する時の騒音を改善する。
【解決手段】第1周方向溝31と、第1周方向溝のタイヤ幅方向外側に設けられ、タイヤ全周にわたって連続するとともに、前記第1周方向溝からタイヤ幅方向外側にタイヤ接地端まで連続する陸部36と、第1周方向溝からタイヤ幅方向外側に離間した位置を開始端とし、タイヤ周方向の第1の方向に向かうとともに、タイヤ幅方向外側に傾斜して延びる第1傾斜溝32と、第1傾斜溝のタイヤ幅方向外側端部から接地端まで延びる第1ラグ溝33と、第1傾斜溝と第1ラグ溝との接続部から第1の方向とは反対の第2の方向に延びる第2傾斜溝34とを備えるタイヤである。溝深さが浅い底上げ部40を接続部に設けることで、陸部の剛性が低下する接続部におけるヒールアンドトウ摩耗を低減する。
【選択図】図2
【解決手段】第1周方向溝31と、第1周方向溝のタイヤ幅方向外側に設けられ、タイヤ全周にわたって連続するとともに、前記第1周方向溝からタイヤ幅方向外側にタイヤ接地端まで連続する陸部36と、第1周方向溝からタイヤ幅方向外側に離間した位置を開始端とし、タイヤ周方向の第1の方向に向かうとともに、タイヤ幅方向外側に傾斜して延びる第1傾斜溝32と、第1傾斜溝のタイヤ幅方向外側端部から接地端まで延びる第1ラグ溝33と、第1傾斜溝と第1ラグ溝との接続部から第1の方向とは反対の第2の方向に延びる第2傾斜溝34とを備えるタイヤである。溝深さが浅い底上げ部40を接続部に設けることで、陸部の剛性が低下する接続部におけるヒールアンドトウ摩耗を低減する。
【選択図】図2
Description
本発明は、トレッド部にトレッドパターンが形成された空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤのウェット性能を向上させるために、タイヤのトレッド部には溝が設けられる。ウェット性能を向上させるためには溝面積比を大きくする必要がある。一方、溝面積比を大きくすると、走行時の騒音が大きくなる。また、溝面積比を大きくすると、接地面積が低減するため、タイヤのグリップ力が小さくなり、操縦安定性が低下するおそれがある。このため、騒音の低減や操縦安定性を向上させるために、溝面積比を小さくすることが求められる。
このように相反する要求を満たすため、トレッド部に設けられるタイヤ周方向溝の幅や数、ラグ溝の傾斜角度や幅の工夫が行われている(例えば、特許文献1参照)。
このように相反する要求を満たすため、トレッド部に設けられるタイヤ周方向溝の幅や数、ラグ溝の傾斜角度や幅の工夫が行われている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、公道を走行可能なタイヤをサーキットのレースコースの走行に使用したいという需要がある。このような需要に対して、排水用の溝を有し公道を走行可能である一方、一般的なタイヤよりも溝が少なく、グリップ力が高いタイヤがある。
一般に、排水用の溝を有するタイヤには、溝の部分で局所的に剛性が低い部分がある。このようなタイヤを用いてレースコースを走行すると、剛性が低い部分でタイヤの偏摩耗が生じる。偏摩耗したタイヤを用いて車両を走行させると、偏摩耗により生じた段差によりタイヤが回転に伴って上下に振動するため、摩耗前よりも走行時の騒音が大きくなる傾向がある。
そこで、本発明は、偏摩耗によって大きくなる騒音を抑制することができる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
一般に、排水用の溝を有するタイヤには、溝の部分で局所的に剛性が低い部分がある。このようなタイヤを用いてレースコースを走行すると、剛性が低い部分でタイヤの偏摩耗が生じる。偏摩耗したタイヤを用いて車両を走行させると、偏摩耗により生じた段差によりタイヤが回転に伴って上下に振動するため、摩耗前よりも走行時の騒音が大きくなる傾向がある。
そこで、本発明は、偏摩耗によって大きくなる騒音を抑制することができる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明の一つの態様は、トレッド部にトレッドパターンを有する空気入りタイヤである。
前記トレッドパターンは、
タイヤ周方向に延び、タイヤ全周にわたって環状に設けられる第1周方向溝と、
前記第1周方向溝のタイヤ幅方向外側に設けられ、タイヤ全周にわたって連続するとともに、前記第1周方向溝からタイヤ幅方向外側にタイヤ接地端まで連続する陸部と、
前記第1周方向溝からタイヤ幅方向外側に離間した位置を開始端とし、タイヤ周方向の第1の方向に向かうとともに、タイヤ幅方向外側に傾斜して延びる第1傾斜溝がタイヤ周方向に複数設けられた第1傾斜溝群と、
前記第1傾斜溝のそれぞれのタイヤ幅方向外側端部から接地端まで延びる第1ラグ溝がタイヤ周方向に複数設けられた第1ラグ溝群と、
前記第1傾斜溝および前記第1ラグ溝と、タイヤ周方向の第1の方向とは反対の第2の方向に隣接する他の第1傾斜溝および他の第1ラグ溝との間の陸部を開始端とし、タイヤ周方向の第1の方向に向かって前記第1傾斜溝と前記第1ラグ溝との接続部まで延び、タイヤ周方向の長さが前記第1傾斜溝よりも短い第2傾斜溝がタイヤ周方向に複数設けられた第2傾斜溝群と、
を備え、
前記接続部、前記第1傾斜溝の前記接続部側の端部、前記第1ラグ溝の前記接続部側の端部、および前記第2傾斜溝の前記接続部側の端部には、前記第1傾斜溝および前記第1ラグ溝の溝幅よりもタイヤ周方向に長くかつ前記第2傾斜溝の溝幅よりもタイヤ幅方向に長い領域であって、前記第1傾斜溝、前記第1ラグ溝、および前記第2傾斜溝の他の部分よりも溝深さが浅い底上げ部が設けられている。
前記トレッドパターンは、
タイヤ周方向に延び、タイヤ全周にわたって環状に設けられる第1周方向溝と、
前記第1周方向溝のタイヤ幅方向外側に設けられ、タイヤ全周にわたって連続するとともに、前記第1周方向溝からタイヤ幅方向外側にタイヤ接地端まで連続する陸部と、
前記第1周方向溝からタイヤ幅方向外側に離間した位置を開始端とし、タイヤ周方向の第1の方向に向かうとともに、タイヤ幅方向外側に傾斜して延びる第1傾斜溝がタイヤ周方向に複数設けられた第1傾斜溝群と、
前記第1傾斜溝のそれぞれのタイヤ幅方向外側端部から接地端まで延びる第1ラグ溝がタイヤ周方向に複数設けられた第1ラグ溝群と、
前記第1傾斜溝および前記第1ラグ溝と、タイヤ周方向の第1の方向とは反対の第2の方向に隣接する他の第1傾斜溝および他の第1ラグ溝との間の陸部を開始端とし、タイヤ周方向の第1の方向に向かって前記第1傾斜溝と前記第1ラグ溝との接続部まで延び、タイヤ周方向の長さが前記第1傾斜溝よりも短い第2傾斜溝がタイヤ周方向に複数設けられた第2傾斜溝群と、
を備え、
前記接続部、前記第1傾斜溝の前記接続部側の端部、前記第1ラグ溝の前記接続部側の端部、および前記第2傾斜溝の前記接続部側の端部には、前記第1傾斜溝および前記第1ラグ溝の溝幅よりもタイヤ周方向に長くかつ前記第2傾斜溝の溝幅よりもタイヤ幅方向に長い領域であって、前記第1傾斜溝、前記第1ラグ溝、および前記第2傾斜溝の他の部分よりも溝深さが浅い底上げ部が設けられている。
タイヤの赤道線から接地端までの幅をWとしたとき、タイヤ赤道線から前記接続部までのタイヤ幅方向の距離は0.50W〜0.85Wであることが好ましい。
前記第1傾斜溝の両端を結ぶ直線とタイヤ周方向のなす角θ1は15°≦θ1≦40°であることが好ましい。
前記第2傾斜溝の両端を結ぶ直線とタイヤ周方向のなす角θ3の絶対値は10°以下であることが好ましい。
前記第1傾斜溝の前記接続部側の端部に設けられた底上げ部のタイヤ幅方向の長さおよび前記第2傾斜溝の前記接続部側の端部に設けられた底上げ部のタイヤ周方向の長さは、前記第1ラグ溝の前記接続部側の端部に設けられた底上げ部のタイヤ幅方向の長さよりも長く、かつ、前記第2傾斜溝の両端間の距離の1/2以下であることが好ましい。
前記第2傾斜溝の両端を結ぶ直線とタイヤ周方向のなす角θ3の絶対値は10°以下であることが好ましい。
前記第1傾斜溝の前記接続部側の端部に設けられた底上げ部のタイヤ幅方向の長さおよび前記第2傾斜溝の前記接続部側の端部に設けられた底上げ部のタイヤ周方向の長さは、前記第1ラグ溝の前記接続部側の端部に設けられた底上げ部のタイヤ幅方向の長さよりも長く、かつ、前記第2傾斜溝の両端間の距離の1/2以下であることが好ましい。
前記第1傾斜溝と前記第・2傾斜溝とにより陸部に形成される角部、および、前記第1ラグ溝と前記第2傾斜溝とにより陸部に形成される角部には、面取り部が設けられていることが好ましい。
前記第1傾斜溝又は前記第2傾斜溝の溝壁とトレッド面とにより形成される角部には、面取り部が設けられていることが好ましい。
前記面取り部の深さは、前記第1傾斜溝又は前記第2傾斜溝の開始端側において最も深く、前記接続部側に向かって漸減することが好ましい。
前記面取り部の深さは、前記第1傾斜溝又は前記第2傾斜溝の開始端側において最も深く、前記接続部側に向かって漸減することが好ましい。
前記底上げ部には、前記第1傾斜溝と前記第1ラグ溝とを接続する第1サイプ、および、前記第1サイプと前記第2傾斜溝とを接続する第2サイプが設けられていることが好ましい。
前記第1サイプおよび前記第2サイプの底からトレッド面までの最大深さは、前記第1傾斜溝、前記第1ラグ溝および前記第2傾斜溝の最大溝深さよりも浅いことが好ましい。
前記第1サイプおよび前記第2サイプの底からトレッド面までの最大深さは、前記第1傾斜溝、前記第1ラグ溝および前記第2傾斜溝の最大溝深さよりも浅いことが好ましい。
上述の態様によれば、第1傾斜溝、第1ラグ溝、および第2傾斜溝の接続部に底上げ部を設けることで、陸部の剛性が低下する接続部におけるヒールアンドトウ摩耗を低減し、摩耗後のタイヤを使用して走行する時の騒音を改善することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(タイヤの全体説明)
以下、本実施形態の空気入りタイヤについて説明する。図1は、本実施形態の空気入りタイヤ(以降、タイヤという)10の断面を示すタイヤ断面図である。
タイヤ10は、例えば、乗用車用タイヤである。乗用車用タイヤは、JATMA YEAR BOOK 2012(日本自動車タイヤ協会規格)のA章に定められるタイヤをいう。この他、B章に定められる小型トラック用タイヤおよびC章に定められるトラック及びバス用タイヤに適用することもできる。
以降で具体的に説明する各パターン要素の寸法の数値は、乗用車用タイヤにおける数値例であり、本発明である空気入リタイヤはこれらの数値例に限定されない。
(タイヤの全体説明)
以下、本実施形態の空気入りタイヤについて説明する。図1は、本実施形態の空気入りタイヤ(以降、タイヤという)10の断面を示すタイヤ断面図である。
タイヤ10は、例えば、乗用車用タイヤである。乗用車用タイヤは、JATMA YEAR BOOK 2012(日本自動車タイヤ協会規格)のA章に定められるタイヤをいう。この他、B章に定められる小型トラック用タイヤおよびC章に定められるトラック及びバス用タイヤに適用することもできる。
以降で具体的に説明する各パターン要素の寸法の数値は、乗用車用タイヤにおける数値例であり、本発明である空気入リタイヤはこれらの数値例に限定されない。
以降で説明するタイヤ周方向とは、タイヤ回転軸を中心にタイヤ10を回転させたとき、トレッド面の回転する方向(両回転方向)をいい、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に対して直交して延びる放射方向をいい、タイヤ径方向外側とは、タイヤ回転軸からタイヤ径方向に離れる側をいう。タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸方向に平行な方向をいい、タイヤ幅方向外側とは、タイヤ10のタイヤセンターラインCLから離れる両側をいう。
(タイヤ構造)
タイヤ10は、骨格材として、一対のビードコア11と、カーカスプライ層12と、ベルト層14とを有し、これらの骨格材の周りに、トレッドゴム部材18と、サイドゴム部材20と、ビードフィラーゴム部材22と、リムクッションゴム部材24と、インナーライナゴム部材26と、を主に有する。
タイヤ10は、骨格材として、一対のビードコア11と、カーカスプライ層12と、ベルト層14とを有し、これらの骨格材の周りに、トレッドゴム部材18と、サイドゴム部材20と、ビードフィラーゴム部材22と、リムクッションゴム部材24と、インナーライナゴム部材26と、を主に有する。
一対のビードコア11は円環状であり、タイヤ幅方向の両端部であって、タイヤ径方向内側端部に配置されている。
カーカスプライ層12は、有機繊維をゴムで被覆した1又は複数のカーカスプライ材12a、12bからなる。カーカスプライ材12a、12bは、一対のビードコア11の間に巻き回すことによりトロイダル形状に形成されている。
ベルト層14は複数のベルト材14a、14bからなり、カーカスプライ層12のタイヤ径方向外側にタイヤ周方向に巻き回されている。タイヤ径方向内側のベルト材14aのタイヤ幅方向の幅は、タイヤ径方向外側のベルト材14bの幅に比べて広い。
ベルト材14a、14bは、スチールコードにゴムを被覆した部材である。ベルト材14aのスチールコード、および、ベルト材14bのスチールコードは、タイヤ周方向に対して所定の角度、例えば20〜30度傾斜して配置されている。ベルト材14aのスチールコードと、ベルト材14bのスチールコードとは、タイヤ周方向に対して互いに逆方向に傾斜し、互いに交錯する。ベルト層14は充填された空気圧によるカーカスプライ層12の膨張を抑制する。
カーカスプライ層12は、有機繊維をゴムで被覆した1又は複数のカーカスプライ材12a、12bからなる。カーカスプライ材12a、12bは、一対のビードコア11の間に巻き回すことによりトロイダル形状に形成されている。
ベルト層14は複数のベルト材14a、14bからなり、カーカスプライ層12のタイヤ径方向外側にタイヤ周方向に巻き回されている。タイヤ径方向内側のベルト材14aのタイヤ幅方向の幅は、タイヤ径方向外側のベルト材14bの幅に比べて広い。
ベルト材14a、14bは、スチールコードにゴムを被覆した部材である。ベルト材14aのスチールコード、および、ベルト材14bのスチールコードは、タイヤ周方向に対して所定の角度、例えば20〜30度傾斜して配置されている。ベルト材14aのスチールコードと、ベルト材14bのスチールコードとは、タイヤ周方向に対して互いに逆方向に傾斜し、互いに交錯する。ベルト層14は充填された空気圧によるカーカスプライ層12の膨張を抑制する。
ベルト層14のタイヤ径方向外側には、トレッドゴム部材18が設けられる。トレッドゴム部材18の両端部には、サイドゴム部材20が接続されている。トレッドゴム部材18は、タイヤ径方向外側に設けられる上層トレッドゴム部材18aと、タイヤ径方向内側に設けられる下層トレッドゴム部材18bとの2層のゴム部材からなる。サイドゴム部材20のタイヤ径方向内側の端には、リムクッションゴム部材24が設けられる。リムクッションゴム部材24はタイヤ10を装着するリムと接触する。ビードコア11のタイヤ径方向外側には、ビードコア11の周りに巻きまわしたカーカスプライ層12に挟まれるようにビードフィラーゴム部材22が設けられている。タイヤ10とリムとで囲まれる空気を充填するタイヤ空洞領域に面するタイヤ10の内表面には、インナーライナゴム部材26が設けられている。
この他に、タイヤ10は、ベルト層14のタイヤ径方向外側面を覆うベルトカバー層28を備える。ベルトカバー層28は、有機繊維と、この有機繊維を被覆するゴムとからなる。
この他に、タイヤ10は、ベルト層14のタイヤ径方向外側面を覆うベルトカバー層28を備える。ベルトカバー層28は、有機繊維と、この有機繊維を被覆するゴムとからなる。
タイヤ10は、図1に示すタイヤ構造を有するが、本発明の空気入りタイヤのタイヤ構造は、これに限定されない。
図2は空気入りタイヤ10のトレッドパターン30を示す展開図である。本発明のタイヤ10は、図2に示すように、トレッド部Tに本発明の特徴とするトレッドパターン30A、30Bが形成されている。トレッドパターン30A、30Bを有するタイヤ10は、乗用車用タイヤに好適に用いることができる。特に、公道の走行が可能な乗用車でサーキットのレースコースを走行する際に、好適に用いることができる。ここでは、図2の右側が車両への装着時に車両の幅方向外側に配置される側、図2の左側が車両への装着時に車両の幅方向内側に配置される側である場合について説明する。
本発明のタイヤ10は、タイヤ回転方向が予め定められており、車両の前進時に図2のタイヤ回転方向Rに回転するように、車両に装着される。タイヤ10のサイドゴム部材20の表面には、この回転移動の方向を指定する記号や情報が表示されている。タイヤ10がタイヤ回転方向Rに回転するとき、トレッド部Tが図2の上から下に回転移動し、トレッド部Tの路面と接触する位置は図2の下から上に移動する。
図2において、符号CLはタイヤのセンターラインを示す。トレッドパターン30は、タイヤ10が車両に装着された状態で、接地端E1、E2の間で示すタイヤ幅方向領域において路面に接地する。
図2において、符号CLはタイヤのセンターラインを示す。トレッドパターン30は、タイヤ10が車両に装着された状態で、接地端E1、E2の間で示すタイヤ幅方向領域において路面に接地する。
ここで、接地端E1、E2の間隔が接地幅である。タイヤセンターラインCLから接地端E1までの幅、タイヤセンターラインCLから接地端E2までの幅をそれぞれwとすると、接地幅は2wである。接地端E1、E2は、タイヤ10を規定リムに組み付け、規定内圧を充填し、規定荷重の80%を負荷荷重とした条件において水平面に接地させたときの接地面のタイヤ幅方向の両端部である。
本発明においてタイヤ幅方向Wとは、タイヤ10の回転中心軸方向をいい、図1および図2の左右方向である。また、タイヤ周方向Cとはタイヤ10の回転方向Rおよびその反対方向をいい、図1の紙面に垂直な方向および図2の上下方向である。
図2に示すトレッドパターン30A、30Bは、互いにセンターラインCLに対して幅方向の反対側に設けられている。
トレッドパターン30Aは、第1周方向溝31と、複数の第1傾斜溝32を含む第1傾斜溝群と、複数の第1ラグ溝33を含む第1ラグ溝群と、複数の第2傾斜溝34を含む第2傾斜溝群と、を備える。
図2に示すトレッドパターン30A、30Bは、互いにセンターラインCLに対して幅方向の反対側に設けられている。
トレッドパターン30Aは、第1周方向溝31と、複数の第1傾斜溝32を含む第1傾斜溝群と、複数の第1ラグ溝33を含む第1ラグ溝群と、複数の第2傾斜溝34を含む第2傾斜溝群と、を備える。
第1周方向溝31は、タイヤ周方向に延び、タイヤ全周にわたって環状に設けられている。この第1周方向溝31とタイヤ接地端E1との間の領域に、第1傾斜溝群、第1ラグ溝群、第2傾斜溝群が設けられる。
なお、第1周方向溝31よりもタイヤ幅方向外側には他の周方向溝はない。第1周方向溝31とタイヤ接地端E1との間の領域の陸部36は、タイヤ幅方向に分断されることなく、タイヤ接地端E1まで連続している。このため、陸部36の接地面積を大きくすることができ、操縦安定性を良好にすることができる。
なお、第1周方向溝31よりもタイヤ幅方向外側には他の周方向溝はない。第1周方向溝31とタイヤ接地端E1との間の領域の陸部36は、タイヤ幅方向に分断されることなく、タイヤ接地端E1まで連続している。このため、陸部36の接地面積を大きくすることができ、操縦安定性を良好にすることができる。
第1傾斜溝32は、タイヤ周方向に複数設けられており、第1周方向溝31からタイヤ幅方向外側に離間した位置を開始端Xとし、タイヤ回転方向Rと反対方向(第1の方向)に向かうとともに、タイヤ幅方向外側に向かって傾斜して延び、タイヤ幅方向外側端(接続部Y)で第1ラグ溝33および第2傾斜溝34と接続されている。
第1ラグ溝33は、タイヤ周方向に複数設けられており、各接続部Yからタイヤ回転方向Rと反対方向に向かうとともに、タイヤ幅方向外側に向かって傾斜して接地端E1よりもタイヤ幅方向外側まで延びている。
第2傾斜溝34は、タイヤ周方向に複数設けられている。第2傾斜溝34の一端は、第1傾斜溝32と第1ラグ溝33との接続部Yにおいて第1傾斜溝32および第1ラグ溝33と接続されている。第2傾斜溝34はこの接続部Yにおいて接続された第1傾斜溝32および第1ラグ溝33に対して、タイヤ回転方向Rに隣接する他の第1傾斜溝32および第1ラグ溝33と離間した位置V(開始端)からタイヤ回転方向Rと反対方向に向かって接続部Yまで延びている。
すなわち、複数の第1傾斜溝をタイヤ回転方向Rの順に32a、32b、32c、…とし、複数の第1ラグ溝をタイヤ回転方向Rの順に33a、33b、33c、…とし、複数の第2傾斜溝をタイヤ回転方向Rの順に34a、34b、34c、…とする。第1傾斜溝32aと第1ラグ溝33aと第2傾斜溝34aとが接続部Y1で接続され、第1傾斜溝32bと第1ラグ溝33bと第2傾斜溝34bとが接続部Y2で接続されているとする。このとき、第2傾斜溝34aは、第2傾斜溝34aが接続部Y1で接続された第1傾斜溝32aおよび第1ラグ溝33aに対して、タイヤ回転方向R(タイヤ周方向の第1の方向とは反対の第2の方向)に隣接する他の第1傾斜溝32bおよび他の第1ラグ溝33bの接続部Y2から、タイヤ回転方向Rと反対方向(第1の方向)に離間した位置を開始端V1とし、第1の方向に向かって第1傾斜溝32aと第1ラグ溝33aとの接続部Y1まで延びている。
第2傾斜溝34のタイヤ周方向の長さは第1傾斜溝32よりも短い。このため、第2傾斜溝34の開始端V1、V2、V3、…は、タイヤ周方向において、第1傾斜溝32の開始端X1、X2、X3、…の中間の位置に配置されている。これにより、陸部36の他の部分よりも剛性が低い部分をタイヤ周方向に分散させることができ、偏摩耗を抑制し、走行時の騒音を改善することができる。
、
接続部YとタイヤセンターラインCLとのタイヤ幅方向の距離をw1とすると、タイヤセンターラインCLから接地端E1までの幅wに対するw1の比w1/wは0.5≦w1/w≦0.85であることが好ましい。ここで、接続部YとタイヤセンターラインCLとのタイヤ幅方向の距離は、第1傾斜溝32および第1ラグ溝33の中心線と、第2傾斜溝34の中心線との交点からタイヤセンターラインCLまでの距離である。w1/wを0.5≦w1/wとすることで、第1傾斜溝32および第2傾斜溝34による排水性能を高めることができる。一方、w1/w≦0.85とすることにより、摩耗時の音性能を新品時と同程度に維持することができる。
接続部YとタイヤセンターラインCLとのタイヤ幅方向の距離をw1とすると、タイヤセンターラインCLから接地端E1までの幅wに対するw1の比w1/wは0.5≦w1/w≦0.85であることが好ましい。ここで、接続部YとタイヤセンターラインCLとのタイヤ幅方向の距離は、第1傾斜溝32および第1ラグ溝33の中心線と、第2傾斜溝34の中心線との交点からタイヤセンターラインCLまでの距離である。w1/wを0.5≦w1/wとすることで、第1傾斜溝32および第2傾斜溝34による排水性能を高めることができる。一方、w1/w≦0.85とすることにより、摩耗時の音性能を新品時と同程度に維持することができる。
第1傾斜溝32の開始端X、X2、X3、…における溝幅方向の中心点(開始点において溝幅がない場合は先端)と、第1傾斜溝32のタイヤ幅方向外側端Yにおける溝幅方向の中心点(第1ラグ溝33との接続部Yの中心点)とを結ぶ直線の、タイヤ周方向とのなす角をθ1とするとき、15°≦θ1≦40°であることが好ましい。ここで、中心点とは、第1傾斜溝32および第1ラグ溝33の中心線と、第2傾斜溝34の中心線との交点である。
以下、この角度θ1を第1傾斜溝32の傾斜角度という。第1傾斜溝32の傾斜角度θ1が15°未満であると、陸部36の第1傾斜溝32および第2傾斜溝34により囲まれる部分の剛性が低下し、偏摩耗が生じるおそれがある。一方、傾斜角度θ1が40°よりも大きいと、騒音を低減する効果が不充分となる。
以下、この角度θ1を第1傾斜溝32の傾斜角度という。第1傾斜溝32の傾斜角度θ1が15°未満であると、陸部36の第1傾斜溝32および第2傾斜溝34により囲まれる部分の剛性が低下し、偏摩耗が生じるおそれがある。一方、傾斜角度θ1が40°よりも大きいと、騒音を低減する効果が不充分となる。
第1ラグ溝33のタイヤ幅方向内側端Yにおける溝幅方向の中心点(第1傾斜溝32との接続部Yの中心点)と、タイヤ幅方向外側端Zにおける溝幅方向の中心点を結ぶ直線の、タイヤ周方向とのなす角θ2は、第1傾斜溝32のタイヤ幅方向とのなす角θ1よりも大きい。以下、この角度θ2を第1ラグ溝33の傾斜角度という。第1ラグ溝33の傾斜角度θ2は70°〜80°であることが好ましい。第1ラグ溝33の傾斜角度θ2が70°〜80°の範囲であると、タイヤの旋回性能と制動性能のバランスが良好となる。
第2傾斜溝34の開始端Vにおける溝幅方向の中心点(開始点において溝幅がない場合は先端)と、第1傾斜溝32のタイヤ幅方向外側端Yにおける溝幅方向の中心点(第1ラグ溝33との接続部Yの中心点)とを結ぶ直線の、タイヤ周方向とのなす角をθ3とするとき、θ3の絶対値|θ3|は、|θ3|≦10°であることが好ましい。以下、この角度θ3を第2傾斜溝32の傾斜角度という。なお、傾斜角度θ3の符号は、第2傾斜溝32の開始点Wが接続部Yよりもタイヤ幅方向内側にあるときを正とし、第2傾斜溝32の開始点Wが接続部Yよりもタイヤ幅方向外側にあるときを負とする。
第2傾斜溝34の傾斜角度θ3の絶対値が+10°よりも大きいと、陸部36の第1傾斜溝32および第2傾斜溝34により囲まれる部分の剛性が低下し、偏摩耗が生じるおそれがある。一方、傾斜角度θ1が−10°よりも小さいと、騒音を低減する効果が不充分となる。また、第2傾斜溝34による排水性能が低下する。
第2傾斜溝34の傾斜角度θ3の絶対値が+10°よりも大きいと、陸部36の第1傾斜溝32および第2傾斜溝34により囲まれる部分の剛性が低下し、偏摩耗が生じるおそれがある。一方、傾斜角度θ1が−10°よりも小さいと、騒音を低減する効果が不充分となる。また、第2傾斜溝34による排水性能が低下する。
第1傾斜溝32の溝幅は、開始端Xから接続部Yに向かって徐々に広くなり、接続部Yから開始端Xに向かって徐々に狭くなっていることが好ましい。これにより、開始端Xの近傍における陸部36の剛性の低下を抑制することができる。
第1傾斜溝32の開始端Xの近傍には、第1傾斜溝32の溝壁と接地面とにより形成される角部に面取り部51が設けられていることが好ましい。面取り部51の深さおよび幅は、第1傾斜溝32の開始端X側において最も深く、接続部Y側に向かって漸減することが好ましい。面取り部51を設けることで、新品時において開始端Xの近傍におけるヒールアンドトウ摩耗を抑制し、ノイズを低減することができる。
第1傾斜溝32の開始端Xの近傍には、第1傾斜溝32の溝壁と接地面とにより形成される角部に面取り部51が設けられていることが好ましい。面取り部51の深さおよび幅は、第1傾斜溝32の開始端X側において最も深く、接続部Y側に向かって漸減することが好ましい。面取り部51を設けることで、新品時において開始端Xの近傍におけるヒールアンドトウ摩耗を抑制し、ノイズを低減することができる。
第2傾斜溝34の溝幅は、開始端Vから接続部Yに向かって徐々に広くなり、接続部Yから開始端Vに向かって徐々に狭くなっていることが好ましい。これにより、開始端Vの近傍における陸部36の剛性の低下を抑制することができる。
第2傾斜溝34の開始端Vの近傍には、第2傾斜溝34の溝壁と接地面とにより形成される角部に面取り部52が設けられていることが好ましい。面取り部52の深さおよび幅は、第2傾斜溝34の開始端V側において最も深く、接続部Y側に向かって漸減することが好ましい。面取り部52を設けることで、新品時において開始端Vの近傍におけるヒールアンドトウ摩耗を抑制し、ノイズを低減することができる。
第2傾斜溝34の開始端Vの近傍には、第2傾斜溝34の溝壁と接地面とにより形成される角部に面取り部52が設けられていることが好ましい。面取り部52の深さおよび幅は、第2傾斜溝34の開始端V側において最も深く、接続部Y側に向かって漸減することが好ましい。面取り部52を設けることで、新品時において開始端Vの近傍におけるヒールアンドトウ摩耗を抑制し、ノイズを低減することができる。
なお、タイヤ周方向に隣接する2つの第1ラグ溝33の間に、第1傾斜溝32および第2傾斜溝34と交差しない範囲で、第1ラグ溝33と平行に延びる第2ラグ溝35を設けてもよい。図2に示す第2ラグ溝35は、第2傾斜溝34からタイヤ幅方向外側に離間した位置から、第1ラグ溝33と平行に接地端E1まで延びている。
ここで、第2ラグ溝35の開始端Uは、第1傾斜溝32の開始端Xおよび第2傾斜溝34の開始端Vと、タイヤ周方向の位置がずれていることが好ましい。第2ラグ溝35を設けると、陸部36の開始端Vの近傍の部分で剛性が低くなる。開始端Uの位置を開始端Xおよび開始端Vのタイヤ周方向の位置とずらすことで、陸部36の剛性が低い部分をタイヤ周方向にさらに分散させることができ、偏摩耗を抑制し、走行時の騒音をさらに改善することができる。
ここで、第2ラグ溝35の開始端Uは、第1傾斜溝32の開始端Xおよび第2傾斜溝34の開始端Vと、タイヤ周方向の位置がずれていることが好ましい。第2ラグ溝35を設けると、陸部36の開始端Vの近傍の部分で剛性が低くなる。開始端Uの位置を開始端Xおよび開始端Vのタイヤ周方向の位置とずらすことで、陸部36の剛性が低い部分をタイヤ周方向にさらに分散させることができ、偏摩耗を抑制し、走行時の騒音をさらに改善することができる。
トレッドパターン30Bは1又は複数の第2の周方向溝37(37A、37B)と、複数の第3のラグ溝38からなる第3のラグ溝群とを備える。車両の幅方向内側のトレッドパターン30Bに1又は複数の第2の周方向溝37(37A、37B)を設けることで、車両の幅方向外側よりも操縦安定性への影響が少ない車両の幅方向内側部分における溝面積比を高め、排水性能を高めることができる。
本実施形態においては、接続部Y、第1傾斜溝32の接続部Y側の端部、第1ラグ溝33の接続部Y側の端部、および第2傾斜溝34の接続部Y側の端部には、底上げ部40が設けられている。底上げ部40は第1傾斜溝32および第1ラグ溝33の溝幅よりもタイヤ周方向に長くかつ第2傾斜溝34の溝幅よりもタイヤ幅方向に長い領域である。底上げ部40の溝深さは、第1傾斜溝32、第1ラグ溝33、および第2傾斜溝34の他の部分の溝深さよりも浅い。
接続部Yの近傍の陸部は、第1傾斜溝32、第1ラグ溝33、および第2傾斜溝34により区切られているため、他の部分よりも剛性が低下する。本実施形態では、底上げ部40を設けることにより、第1傾斜溝32、第1ラグ溝33、および第2傾斜溝34により区切られた陸部同士を接続部Yの近傍において接続することで剛性を高め、偏摩耗を抑制し、走行時の騒音を改善することができる。
底上げ部40における最大溝深さは、第1傾斜溝32、第1ラグ溝33、および第2傾斜溝34の最大溝深さの50〜80%であることが好ましい。底上げ部40における最大溝深さをこの範囲とすることで、偏摩耗を抑制する機能を維持する一方、摩耗後におけるトレッド部Tの外観を良好に維持することができる。
図3は底上げ部40の拡大図である。
第1傾斜溝32の接続部Y側の端部に設けられた底上げ部40のタイヤ幅方向の長さL3および第2傾斜溝34の接続部Y側の端部に設けられた底上げ部40のタイヤ周方向の長さL4は、第1ラグ溝32の接続部Y側の端部に設けられた底上げ部40のタイヤ幅方向の長さL5よりも長く、かつ、第2傾斜溝34の両端間の距離L2の1/2以下であることが好ましい。ここで、L3は、第1傾斜溝32および第1ラグ溝33の中心線と第2傾斜溝34の中心線との交点yから、底上げ部40の第1傾斜溝32の開始端X側の端部までのタイヤ幅方向の距離である。また、L4は、交点yから、底上げ部40の第2傾斜溝34の開始端V側の端部までのタイヤ周方向の距離である。L5は、交点yから、第1ラグ溝32のタイヤ幅方向外側端Z側の端部までのタイヤ幅方向の距離である。
L3、L4をL5よりも長くすることで、第1傾斜溝32と第2傾斜溝34とにより挟まれた鋭角の角部を有する陸部の剛性を高めることができる。一方、L3、L4をL2の1/2以下とすることで、第1傾斜溝32および第2傾斜溝34による排水性能を維持することができる。
第1傾斜溝32の接続部Y側の端部に設けられた底上げ部40のタイヤ幅方向の長さL3および第2傾斜溝34の接続部Y側の端部に設けられた底上げ部40のタイヤ周方向の長さL4は、第1ラグ溝32の接続部Y側の端部に設けられた底上げ部40のタイヤ幅方向の長さL5よりも長く、かつ、第2傾斜溝34の両端間の距離L2の1/2以下であることが好ましい。ここで、L3は、第1傾斜溝32および第1ラグ溝33の中心線と第2傾斜溝34の中心線との交点yから、底上げ部40の第1傾斜溝32の開始端X側の端部までのタイヤ幅方向の距離である。また、L4は、交点yから、底上げ部40の第2傾斜溝34の開始端V側の端部までのタイヤ周方向の距離である。L5は、交点yから、第1ラグ溝32のタイヤ幅方向外側端Z側の端部までのタイヤ幅方向の距離である。
L3、L4をL5よりも長くすることで、第1傾斜溝32と第2傾斜溝34とにより挟まれた鋭角の角部を有する陸部の剛性を高めることができる。一方、L3、L4をL2の1/2以下とすることで、第1傾斜溝32および第2傾斜溝34による排水性能を維持することができる。
図3に示すように、第1傾斜溝32と第2傾斜溝34とにより陸部に形成される角部、および、第1ラグ溝33と第2傾斜溝34とにより陸部に形成される角部には、面取り部53、54が設けられていることが好ましい。第1傾斜溝32と第2傾斜溝34とにより形成される角部では、陸部が鋭角となり、剛性が低下する。第1傾斜溝32と第2傾斜溝34とにより形成される角部に面取り部53を設けることで、この角部における偏摩耗を抑制することができる。同様に、第1ラグ溝33と第2傾斜溝34とにより形成される角部においても、陸部の剛性が低下する。第1ラグ溝33と第2傾斜溝34とにより形成される角部に面取り部54を設けることで、この角部における偏摩耗を抑制することができる。面取り部53、54における曲率半径は、偏摩耗を抑制するために1mm以上であることが好ましい。一方、面取り部53、54における曲率半径が大きすぎると接地面が小さくなり操縦安定性が低下するため、曲率半径は30mm未満であることが好ましい。
図3に示すように、底上げ部40には、第1傾斜溝32と第1ラグ溝33とを接続する第1サイプ41、および、第1サイプ41と第2傾斜溝34とを接続する第2サイプ42が設けられていることが好ましい。第1サイプ41および第2サイプ42が設けられていると、トレッド部Tが摩耗して底上げ部40が露出した場合において、接続部Yの近傍の陸部の剛性を調整することができる。第1サイプ41は第1傾斜溝32および第1ラグ溝33の中心線に沿って設けられることが好ましい。また、第2サイプ42は、第2傾斜溝34の中心線に沿って設けられることが好ましい。
なお、新品時には陸部の剛性に影響がないように、第1サイプ41および第2サイプ42の底からトレッド面までの最大深さは、第1傾斜溝32、第1ラグ溝33および第2傾斜溝34の最大溝深さよりも浅いことが好ましい。
なお、新品時には陸部の剛性に影響がないように、第1サイプ41および第2サイプ42の底からトレッド面までの最大深さは、第1傾斜溝32、第1ラグ溝33および第2傾斜溝34の最大溝深さよりも浅いことが好ましい。
[実験例]
本発明のタイヤ10の効果を調べるために、以下の表1〜3に示す仕様のトレッドパターンを設けたタイヤを作製し、タイヤ性能を評価した。
本発明のタイヤ10の効果を調べるために、以下の表1〜3に示す仕様のトレッドパターンを設けたタイヤを作製し、タイヤ性能を評価した。
タイヤサイズは、215/45R17とした。
実施例1〜16のタイヤでは、第1周方向溝31、第1傾斜溝32、第2傾斜溝34および第1ラグ溝33がトレッド部Tに形成されている。第1傾斜溝32の傾斜角度θ1、第2傾斜溝34の傾斜角度θ3、底上げ部の有無、w1/w、L3/L2、接続部の面取りの有無、開始端の面取りの有無、サイプの有無は、それぞれ表1〜表3に示すとおりである。
比較例のタイヤでは、底上げ部がない点を除き、実施例1と同様の構成とした。
実施例1〜16のタイヤでは、第1周方向溝31、第1傾斜溝32、第2傾斜溝34および第1ラグ溝33がトレッド部Tに形成されている。第1傾斜溝32の傾斜角度θ1、第2傾斜溝34の傾斜角度θ3、底上げ部の有無、w1/w、L3/L2、接続部の面取りの有無、開始端の面取りの有無、サイプの有無は、それぞれ表1〜表3に示すとおりである。
比較例のタイヤでは、底上げ部がない点を除き、実施例1と同様の構成とした。
以上の試作したタイヤのタイヤ性能として、排水性、ヒールアンドトウ摩耗差、摩耗タイヤの音評価を下記のようにして評価した。
〔排水性〕
新品タイヤを装着した車両で水深10mmのプールに直進で進入したときに、ハイドロプレーニング現象が発生した速度を計測した。従来例のタイヤでハイドロプレーニング現象が発生した速度を基準値(100)とする指数で評価し、指数が高いほどハイドロプレーニング現象が発生する速度が高く、排水性が優れると評価した。
新品タイヤを装着した車両で水深10mmのプールに直進で進入したときに、ハイドロプレーニング現象が発生した速度を計測した。従来例のタイヤでハイドロプレーニング現象が発生した速度を基準値(100)とする指数で評価し、指数が高いほどハイドロプレーニング現象が発生する速度が高く、排水性が優れると評価した。
〔ヒールアンドトウ摩耗差〕
新品タイヤを装着した車両でテストコースを10000km走行した後、第1周方向溝31と第2傾斜溝34との間の陸部の接続部Y側の端部(第1測定点61)、および、第1周方向溝31をタイヤ周方向に挟んで第1測定点と隣接する陸部(第2測定点62)の摩耗量の差を求めた。第1測定点61および第2測定点62を図3に破線で示す。
新品タイヤを装着した車両でテストコースを10000km走行した後、第1周方向溝31と第2傾斜溝34との間の陸部の接続部Y側の端部(第1測定点61)、および、第1周方向溝31をタイヤ周方向に挟んで第1測定点と隣接する陸部(第2測定点62)の摩耗量の差を求めた。第1測定点61および第2測定点62を図3に破線で示す。
〔音評価〕
新品タイヤを装着した車両、および、テストコースを10000km走行した後のタイヤを装着した車両でプロドライバーにより走行してもらい、プロドライバーのフィーリングにより騒音性能を評価した。新品タイヤの評価を10点として、テストコースを10000km走行した後のタイヤを相対評価した。
評価結果を、表1〜3に示す。
新品タイヤを装着した車両、および、テストコースを10000km走行した後のタイヤを装着した車両でプロドライバーにより走行してもらい、プロドライバーのフィーリングにより騒音性能を評価した。新品タイヤの評価を10点として、テストコースを10000km走行した後のタイヤを相対評価した。
評価結果を、表1〜3に示す。
従来例と実施例1とを比較すると、接続部に底上げ部を設けることで、排水性はやや低下するものの、ヒールアンドトウ摩耗差が減少し、摩耗後のタイヤにおいても音評価が高い値であり、偏摩耗性能および摩耗タイヤの車内騒音性能が良化していることがわかる。
実施例1〜5を比較すると、w1/wを0.5以上とすることで排水性が改善されることがわかる。また、w1/wを0.85以下とすることで、ヒールアンドトウ摩耗差が低減することがわかる。
実施例3および実施例6〜9を比較すると、第1傾斜溝32の傾斜角度θ1を15°≦θ1≦40°とすることで、摩耗タイヤの車内騒音性能を良化することができることがわかる。
実施例3および実施例10〜13を比較すると、第2傾斜溝34の傾斜角度θ2の絶対値を10°以下とすることで、摩耗タイヤの車内騒音性能を良化することができることがわかる。
実施例3および実施例10〜13を比較すると、第2傾斜溝34の傾斜角度θ2の絶対値を10°以下とすることで、摩耗タイヤの車内騒音性能を良化することができることがわかる。
実施例3と実施例14とを比較すると、接続部に面取り部53、54を設けることで、排水性が改善するとともに、ヒールアンドトウ摩耗差が低減することが分かる。また、実施例14と実施例15とを比較すると、開始端に面取り部51、52を設けることで、排水性がさらに改善することがわかる。さらに、底上げ部にサイプを設けることで、摩耗タイヤの車内騒音性能が改善することがわかる。
以上、本発明の空気入りタイヤについて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
CL センターライン
E1、E2 接地端
T トレッド部
10 タイヤ
11 ビードコア
12 カーカスプライ層
14 ベルト層
14a,14b ベルト材
18 トレッドゴム部材
18a 第1トレッドゴム部材
18b 第2トレッドゴム部材
20 サイドゴム部材
22 ビードフィラーゴム部材
24 リムクッションゴム部材
26 インナーライナゴム部材
30A、30B トレッドパターン
31 第1周方向溝
32 第1傾斜溝
33 第1ラグ溝
34 第2傾斜溝
35 第2ラグ溝
36 陸部
37、37A、37B 第2周方向溝
38 ラグ溝
40 底上げ部
41、42 サイプ
51、52、53、54 面取り部
E1、E2 接地端
T トレッド部
10 タイヤ
11 ビードコア
12 カーカスプライ層
14 ベルト層
14a,14b ベルト材
18 トレッドゴム部材
18a 第1トレッドゴム部材
18b 第2トレッドゴム部材
20 サイドゴム部材
22 ビードフィラーゴム部材
24 リムクッションゴム部材
26 インナーライナゴム部材
30A、30B トレッドパターン
31 第1周方向溝
32 第1傾斜溝
33 第1ラグ溝
34 第2傾斜溝
35 第2ラグ溝
36 陸部
37、37A、37B 第2周方向溝
38 ラグ溝
40 底上げ部
41、42 サイプ
51、52、53、54 面取り部
Claims (6)
- トレッド部にトレッドパターンを有する空気入りタイヤであって、
前記トレッドパターンは、
タイヤ周方向に延び、タイヤ全周にわたって環状に設けられる第1周方向溝と、
前記第1周方向溝のタイヤ幅方向外側に設けられ、タイヤ全周にわたって連続するとともに、前記第1周方向溝からタイヤ幅方向外側にタイヤ接地端まで連続する陸部と、
前記第1周方向溝からタイヤ幅方向外側に離間した位置を開始端とし、タイヤ周方向の第1の方向に向かうとともに、タイヤ幅方向外側に傾斜して延びる第1傾斜溝がタイヤ周方向に複数設けられた第1傾斜溝群と、
前記第1傾斜溝のそれぞれのタイヤ幅方向外側端部から接地端まで延びる第1ラグ溝がタイヤ周方向に複数設けられた第1ラグ溝群と、
前記第1傾斜溝および前記第1ラグ溝と、タイヤ周方向の第1の方向とは反対の第2の方向に隣接する他の第1傾斜溝および他の第1ラグ溝との間の陸部を開始端とし、タイヤ周方向の第1の方向に向かって前記第1傾斜溝と前記第1ラグ溝との接続部まで延び、タイヤ周方向の長さが前記第1傾斜溝よりも短い第2傾斜溝がタイヤ周方向に複数設けられた第2傾斜溝群と、
を備え、
前記接続部、前記第1傾斜溝の前記接続部側の端部、前記第1ラグ溝の前記接続部側の端部、および前記第2傾斜溝の前記接続部側の端部には、前記第1傾斜溝および前記第1ラグ溝の溝幅よりもタイヤ周方向に長くかつ前記第2傾斜溝の溝幅よりもタイヤ幅方向に長い領域であって、前記第1傾斜溝、前記第1ラグ溝、および前記第2傾斜溝の他の部分よりも溝深さが浅い底上げ部が設けられている、空気入りタイヤ。 - タイヤの赤道線から接地端までの幅をWとしたとき、タイヤ赤道線から前記接続部までのタイヤ幅方向の距離は0.50W〜0.85Wである、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第1傾斜溝の両端を結ぶ直線とタイヤ周方向のなす角θ1は15°≦θ1≦40°であり、
前記第2傾斜溝の両端を結ぶ直線とタイヤ周方向のなす角θ3の絶対値は10°以下であり、
前記第1傾斜溝の前記接続部側の端部に設けられた底上げ部のタイヤ幅方向の長さおよび前記第2傾斜溝の前記接続部側の端部に設けられた底上げ部のタイヤ周方向の長さは、前記第1ラグ溝の前記接続部側の端部に設けられた底上げ部のタイヤ幅方向の長さよりも長く、かつ、前記第2傾斜溝の両端間の距離の1/2以下である、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。 - 前記第1傾斜溝と前記第2傾斜溝とにより陸部に形成される角部、および、前記第1ラグ溝と前記第2傾斜溝とにより陸部に形成される角部には、面取り部が設けられている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第1傾斜溝又は前記第2傾斜溝の溝壁とトレッド面とにより形成される角部には、面取り部が設けられ、
前記面取り部の深さは、前記第1傾斜溝又は前記第2傾斜溝の開始端側において最も深く、前記接続部側に向かって漸減する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。 - 前記底上げ部には、前記第1傾斜溝と前記第1ラグ溝とを接続する第1サイプ、および、前記第1サイプと前記第2傾斜溝とを接続する第2サイプが設けられ、
前記第1サイプおよび前記第2サイプの底からトレッド面までの最大深さは、前記第1傾斜溝、前記第1ラグ溝および前記第2傾斜溝の最大溝深さよりも浅い、請求項1〜5のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
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JP2014227896A JP2016088407A (ja) | 2014-11-10 | 2014-11-10 | 空気入りタイヤ |
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Cited By (2)
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CN110177699A (zh) * | 2017-01-17 | 2019-08-27 | 横滨橡胶株式会社 | 充气轮胎 |
WO2020008997A1 (ja) * | 2018-07-04 | 2020-01-09 | 株式会社ブリヂストン | タイヤ |
-
2014
- 2014-11-10 JP JP2014227896A patent/JP2016088407A/ja active Pending
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JP2020006754A (ja) * | 2018-07-04 | 2020-01-16 | 株式会社ブリヂストン | タイヤ |
JP7178813B2 (ja) | 2018-07-04 | 2022-11-28 | 株式会社ブリヂストン | タイヤ |
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