《第1実施形態》
以下に、本発明の第1実施形態の距離測定装置100について、図1〜図13を参照して説明する。
図1には、距離測定装置100の概略的構成がブロック図にて示されている。
距離測定装置100は、一例として、移動体としての自動車に搭載され、光を出射し、物体(例えば先行車両、停車車両、障害物、歩行者等)からの反射光を受光して該物体までの距離を測定する。
距離測定装置100は、図1に示されるように、光源としてのLD10(レーザダイオード)、LD10を制御するLD制御部12及び照射光学系14を含む光走査系と、受光光学系16、光検出器としてのPD18(フォトディテクタ)及びPD出力検出部20を含む検出系と、測定制御部22(測距系)と、速度取得部23と、舵角取得部25とを備えている。距離測定装置100は、例えば自動車のバッテリ(蓄電池)から電力の供給を受ける。
LD10は、半導体レーザの一種であり、端面発光レーザとも呼ばれる。LD10から出射されたレーザ光は、照射光学系14により導光され、物体(対象物)に照射される。
詳述すると、照射光学系14は、一例として、LD10からのレーザ光の光路上に配置されたカップリングレンズ26と、該カップリングレンズ26を介したレーザ光の光路上に配置されたポリゴンミラー28(偏向器)とを含む(図2(A)〜図2(C)参照)。ここでは、ポリゴンミラー28は、回転軸に直交する断面の形状が正方形であるが、例えば正六角形等の他の正多角形であっても良い。
なお、偏向器として、ポリゴンミラーに代えて、例えばガルバノミラー、MEMSミラー等の他のミラーを用いても良い。
そこで、LD10からのレーザ光は、カップリングレンズ26により所定のビームプロファイルのレーザ光に整形され、ポリゴンミラー28で例えば水平面内で偏向され、物体に照射される。すなわち、レーザ光により物体が例えば水平方向に走査される。
対象物に照射されたレーザ光(走査光)は物体で反射(散乱)され、その一部の反射光(散乱光)が受光光学系16を介してPD18に導かれる。
受光光学系16は、一例として、受光レンズ(例えば集光レンズ)を含み、物体からの反射光のうち入射光(ポリゴンミラー28で偏向され物体に入射するレーザ光の経路とほぼ同じ経路を辿ってくる反射光をPD18に結像させる。
PD18は、物体からの反射光を受光したとき、PD出力検出部20に、該反射光の光量に応じた電気信号である受光信号を出力する。
PD出力検出部20での動作としては、受光信号の信号増幅及び受光信号のタイミング検出の2つの動作がある。受光信号の信号増幅についてはアンプなどの信号増幅器を用いて増幅し、受光信号のタイミング検出についてはコンパレータなどの比較器を用いて、PD18からの受光信号の一定出力(スレッシュレベル)以上となる立ち上り波形部を検出する。PD出力検出部20は、受光信号(立ち上がり波形部)を検出すると、その検出タイミングを測定制御部22に出力する。
速度取得部23は、自動車の速度を取得し、取得結果を測定制御部22に速度信号として出力する。速度取得部23としては、例えばカーナビゲーションシステムに利用される車速信号のパルス数から演算するものや、GPSの情報から演算するものが用いられている。なお、速度取得部23は、自動車に装備されたスピードメータ用の車速検出器から速度を取得しても良い。
舵角取得部25は、自動車の舵角(舵角の大きさ、向き)を取得し、取得結果を測定制御部22に舵角信号として出力する。ここでは、舵角取得部25として、例えば自動車のステアリング(操舵装置)の舵角を計測する舵角センサが用いられている。なお、自動車は、ステアリングの舵角に応じた方向(進行方向)に進行する。
LD制御部12は、複数(i個)のLD駆動回路D1〜Diを有している。各LD駆動回路の構成部品には、蓄電用のコンデンサ、スイッチング用のトランジスタが含まれる(図3(A)参照)。各LD駆動回路では、トランジスタのスイッチングにより、コンデンサを充放電できるようになっている。なお、図3(A)には、一例として、i=3の場合が示されている。
詳述すると、i個のLD駆動回路D1〜DiのコンデンサCND1〜CNDiには、互いに異なる電荷量Q1〜Qiが蓄積されるようになっている。ここでは、コンデンサCND1〜CNDiの容量をC1〜Ci、極板間の電圧をV1〜Viとすると、C1×V1>C2×V2>・・・>C(i―1)×V(i―1)>Ci×Vi、すなわちQ1>Q2>・・・>Q(i―1)>Qiが成立するようになっている。ここで、i個のLD駆動回路D1〜Diのうち一のLD駆動回路Dk(1≦k≦i)のコンデンサ、トランジスタを、それぞれコンデンサCNDk(1≦k≦i)、トランジスタTrk(1≦k≦i)と称する。
コンデンサCNDkは、トランジスタTrkを介してLD10に直列に接続されている。コンデンサCNDkとLD10は、トランジスタTrkがONのときに導通状態となり、トランジスタTrkがOFFのときに非導通状態となる。
コンデンサCNDkの極板間(両極間)には、電圧Vk(1≦k≦i)が印加され、トランジスタTrkがOFFのときに、コンデンサCNDkに電荷量Qk(=CkVk)が蓄積され、トランジスタTrkがONのときに、コンデンサCNDkからLD10に電荷(電流の時間積分値)が供給される。
ここで、測定制御部22からトランジスタ駆動部を介してi個のLD駆動回路のトランジスタのいずれか1つに発光制御信号(矩形パルス信号)が選択的に出力されるようになっている(図3(A)参照)。詳述すると、測定制御部22は、i個のLD駆動回路D1〜Diのうち制御対象のLD駆動回路Dkに対応する発光制御信号Sk(1≦k≦i)をトランジスタ駆動部29に出力する。そこで、トランジスタ駆動部29は、発光制御信号Skを対応するLD駆動回路Dkに出力する。
この場合、発光制御信号SkがローレベルからハイレベルになったときにLD駆動回路DkのトランジスタTrkがOFFからONとなり、該トランジスタTrkがONの間、コンデンサCNDk(1≦k≦i)から電荷が放電されLD10に電流(駆動電流)が供給される。そして、発光制御信号SkがハイレベルからローレベルになったときトランジスタTrkがONからOFFとなり、コンデンサCNDkに電荷量Qk(=CkVk)が速やかに蓄積される。
すなわち、LD駆動回路Dkでは、トランジスタTrkがOFFのときに、コンデンサCDNkに電荷が充電され、トランジスタTrkがONのときに、コンデンサCDNkから電荷が放電される(LD10に供給される)。
ここで、LD10から出射される1つの光パルスの積分光量(光出力の時間積分値)は、該LD10に供給される電荷量にほぼ比例する(図3(B)参照)。そこで、図3(A)及び図3(B)に示される場合(i=3の場合)に、LD10に電荷量Q1が供給されたときに該LD10から出射される光パルス(大パルス)の光出力の最大値をP1max、LD10に電荷量Q2が供給されたときに該LD10から出射される光パルス(中パルス)の光出力の最大値をP2max、LD10に電荷量Q3が供給されたときに該LD10から出射される光パルス(小パルス)の光出力の最大値をP3maxとすると、P1max>P2max>P3maxが成り立つ。各光パルスの半値幅は光出力の最大値が小さいほど短くなる。光パルスの半値幅が短いほど(光出力の最大値が小さいほど)立ち上がり時間が短くなるため、受光信号の検出タイミングを判定する際、ジッタの影響を受け難くなり、ひいては物体までの距離の検出精度を向上できる。なお、LD10から出射されるレーザ光(光パルス)のパルス幅は、例えば数ns〜50nsである。
以上の説明から分かるように、測定制御部22によってi個のLD駆動回路D1〜Diから制御対象のLD駆動回路Dkが選択、すなわち発光制御信号Skが選択されることで、LD10に供給される電荷量(電流の時間積分値)が決まる。このようにして、LD10から光出力が異なる複数の光パルスのいずれかを選択的に出射することができる。
測定制御部22では、発光制御信号Skの出力タイミングとPD出力検出部20からの受光信号の検出タイミングとの時間差を物体との間の往復距離(物体までの距離の2倍)と推定し、該時間差を距離に換算することで、物体との間の往復距離、ひいては物体までの距離を測定する。
詳述すると、測定制御部22は、発光制御信号Skの立ち上がりタイミングで計時を開始し、PD出力検出部20からの受光信号の検出タイミングで計時を終了する時計機能を有する。この時計機能で計測された時間は、距離測定装置100と物体との間をレーザ光が伝播(往復)している時間であり、この時間を距離に換算することで、物体との間の往復距離を求めることができる。
測定制御部22での測定結果(距離情報)は、自動車のECU(エンジンコントーロールユニット)に測定信号として出力される。ECUは、測定制御部22に制御信号(発光指令信号)を出力するとともに、測定制御部22での測定結果に基づいて例えば自動車の速度制御等を行う。自動車の速度制御としては、例えば自動ブレーキ(オートブレーキ)が挙げられる。
また、測定制御部22は、速度取得部23での取得結果及び舵角取得部25での取得結果の少なくとも一方に基づいて、発光制御信号S1〜Siから1つの発光制御信号Sk(1≦k≦i)を選択し、該発光制御信号SkをLD制御部12に出力する。
また、測定制御部22は、ポリゴンミラー28に回転制御信号を出力し、ポリゴンミラー28を所定の回転数(回転速度)で回転させる。また、測定制御部22は、ポリゴンミラー28から該ポリゴンミラー28の回転位置(回転軸周りの位置)を示すタイミング信号を受信し、該タイミング信号に同期して、発光制御信号SkをLD制御部12に出力する。以下では、ポリゴンミラー28の回転軸を単に「回転軸」とも称する。
ここで、ポリゴンミラー28を含む光走査系による略水平方向の走査範囲は、一例として、中央(走査角0°)が自動車の直進方向に一致し、中央から一端(例えば左端)及び他端(例えば右端)それぞれにかけての走査角(偏向角)が70°(走査範囲全体で140°)となるように設定されている(図2(A)〜図2(C)参照)。「自動車の直進方向」は、ステアリングの舵角が0°のときの自動車の進行方向を意味する。以下では、光走査系による走査範囲を、単に「走査範囲」とも称する。
詳述すると、ポリゴンミラー28の回転中心(例えば回転軸)と走査範囲の中央とを通る方向が自動車の直進方向に平行となっている。なお、走査範囲は、自動車の直進方向を含んでいれば良く、中央が自動車の直進方向からずれていても良い。
図2(A)には、LD10からのレーザ光がポリゴンミラー28によって走査範囲の一端(左端)に向けて偏向される状態が示されている。ここでは、回転軸方向から見た偏向反射面への光の入射角θは、35°である。
図2(C)には、LD10からのレーザ光がポリゴンミラー28によって走査範囲の他端(右端)に向けて偏向される状態が示されている。ここでは、回転軸方向から見た偏向反射面への光の入射角θは、35°である。
図2(B)には、LD10からのレーザ光がポリゴンミラー28によって走査範囲の中央に向けて偏向される状態が示されている。ここでは、回転軸方向から見た偏向反射面への光の入射角は、0°である。
結果として、回転軸方向から見た偏向反射面への光の入射角は、走査範囲の一端(上流端)及び他端(下流端)それぞれから中央にかけて徐々に小さくなることが分かる。
ところで、回転軸方向から見た偏向反射面への光の入射角が小さいほど光の反射率が大きくなる。ここでは、走査範囲内における偏向反射面での光の反射率は、図5に示されるように、走査範囲の中央に略対称な該中央で1つの極大値(最大値)をとる曲線で表される。なお、図5の縦軸は、反射率の最大値を0%としたときの該最大値からの減少率(%)である。
このように、走査範囲内において偏向反射面での光の反射率にばらつきがあるため、このばらつきに応じて、すなわち走査タイミング(光の偏向方向)に応じてLD10の発光光量を調整することで、走査範囲内における走査光の光量の分布を所望の分布に設定できる。
また、LD10からのレーザ光は、回転軸に直交する方向(ここでは水平方向)から見て傾斜して入射される(図4参照)。このように、LD10からの光が偏向反射面に斜入射されることで、LD10に光が戻らないようにして走査光により物体を走査することが可能となる。なお、偏向反射面に入射されるレーザ光は、該偏向反射面に対してS偏光成分がP偏光成分よりも多いほど好ましく、S偏光成分が100%であることが最も好ましい。
ここで、自動車が高速走行中には、特に、直進方向(自動車の前後方向)を含む小角度範囲(例えば5°〜35°程度)において遠方の物体を検出すること(測定距離の長距離化)が望まれる一方、それ以外の角度範囲においては遠方の物体を検出することはあまり望まれない。すなわち、高速走行中では、略直進方向での測定距離の長距離化が望まれる一方、測定範囲の広範囲化はあまり望まれない。高速走行の場合、ステアリングの舵角が小さくかつ制動距離が長くなるため、直進方向(進行方向)にある物体を早めに検出する必要性が高い一方、直進方向から大きく外れた方向にある物体は早めに検出する必要性が低いからである。なお、「測定範囲」とは、走査範囲内において自動車の制動に十分な測定距離が要求される範囲を意味する。
そこで、自動車が高速走行中には、図6(A)下図に示されるように、LD10の発光光量を走査範囲の一端(例えば左端)及び他端(例えば右端)それぞれから中央にかけて段階的に大きくなるように制御することが好ましい。
ここでは、走査範囲を、左端から右端にかけて例えば12個の範囲N1〜N12に分割している。そして、左端から数えて1番目、2番目、11番目、12番目の範囲N1、N2、N11、N12に対しては小パルスで走査する。また、左端から数えて3番目、4番目、9番目、10番目の範囲N3、N4、N9、N10に対しては中パルスで走査する。そして、左端から数えて5番目〜8番目の4つの範囲N5〜N8に対しては大パルスで走査する。ここでは、自動車の直進方向は、範囲N5〜N8に含まれる。なお、走査範囲の分割数は、12に限らず、要は、3以上であることが好ましい。
以下では、図6(A)下図に示される発光パターンを高速走行用発光パターンHVPと称する。高速走行用発光パターンHVPでは、走査回数Mが設定されている。図6(A)上図のハッチングで示される領域は、測定距離及び自動車の速度に応じた自動車の推定停止範囲を示している。高速走行では、舵角が小さく、かつ制動距離が長くなるため、推定停止範囲は、略直進方向(進行方向)に細長い狭角の扇形になる。また、図6(A)上図には、小パルス、中パルス、大パルスにそれぞれ対応する測定距離(測定可能な最大の距離)が示されている。なお、「推定停止範囲」は、前述した「測定範囲」に対応している。
高速走行用発光パターンHVPでLD10を発光させることで、高速走行中、略直進方向(進行方向)の測定距離を長くでき、かつ消費電力の低減を図ることができる。また、上述したように、偏向反射面での光の反射率は、走査範囲の中央で最大となるため、略直進方向での測定距離の長距離化を促進させることができる。
一方、自動車が低速走行中には、測定範囲の広範囲化が望まれる一方、測定距離の長距離化はあまり望まれない。低速走行の場合、例えば急操舵等によりステアリングの舵角が大きくなることが想定され、直進方向から大きく外れた物体を検出する必要性が高く、かつ制動距離も短くて済むからである。また、走査範囲の左端や右端に近いほど、運転者の視認性が低下するため、測定距離を長くすることが望まれる。
そこで、自動車が低速走行中には、図6(B)に示されるように、LD10の発光光量を走査範囲の中央から左端及び右端それぞれにかけて段階的に大きくなるように制御することが好ましい。
ここでは、走査範囲を左端から右端にかけて12個の範囲N1〜N12に分割している。そして、左端から数えて1番目、2番目、11番目、12番目の範囲N1、N2、N11、N12に対しては大パルスで走査する。また、左端から数えて3番目、4番目、9番目、10番目の範囲N3、N4、N9、N10に対しては中パルスで走査する。そして、左端から数えて5番目〜8番目の4つの範囲N5〜N8に対しては小パルスで走査する。ここでは、自動車の直進方向は、範囲N5〜N8に含まれる。なお、走査範囲の分割数は、12に限らず、要は、3以上であることが好ましい。
以下では、図6(B)下図に示される発光パターンを低速走行用発光パターンLVPと称する。低速走行用発光パターンLVPでは、走査回数Mが設定されている。図6(B)上図のハッチングで示される領域は、測定距離及び自動車の速度に対する自動車の推定停止範囲を示している。低速走行では、舵角が大きくなることが想定され、かつ制動距離が短くなるため、推定停止範囲は、走査範囲の略全域に及ぶ短径で広角の扇形となる。また、図6(B)上図には、小パルス、中パルス、大パルスにそれぞれ対応する測定距離が示されている。
低速走行用発光パターンLVPでLD10を発光させることで、低速走行中、測定範囲を広くでき、かつ消費電力の低減を図ることができる。また、特に、運転者の視認性が低い、測定範囲の左端及び右端の測定距離を長くすることができる。
以下に、距離測定装置100を用いた距離測定方法の第1の例について、図7を参照して説明する。図7のフローチャートは、測定制御部22によって実行される処理アルゴリズムに基づいている。なお、距離測定装置100は、自動車のエンジンが始動されたときに起動される。そして、自動車のエンジンが始動されたときに、ECUから測定制御部22に発光指令信号(制御信号)が出力され、図7の一連の処理が開始される。測定制御部22のメモリには、低速走行用発光パターンLVP及び高速走行用発光パターンHVPが予め格納され、いずれかをLD10の発光パターンとして設定可能(読み出し可能)となっている。ここでは、距離測定装置100は、舵角取得部25を有していなくても良い。
最初のステップS1では、自動車の速度Vを初期値(0km/h)に設定する。
次のステップS2では、自動車の速度V(速度取得部23での取得結果)が閾値Vth1(例えば30km/h)未満であるか否かを判断する。ステップS2での判断が肯定されると、ステップS3に移行する。一方、ステップS2での判断が否定されると、ステップS8に移行する。
ステップS3では、LD10の発光パターンとして低速走行用発光パターンLVPを設定する。
次のステップS4では、物体までの距離Lを測定し、取得する。具体的には、低速走行用発光パターンLVPでLD10を発光させ、LVPの各発光タイミング毎(走査範囲の各範囲毎)に、物体までの距離Lを測定し、取得する。低速走行用発光パターンLVPでの発光は、走査範囲における範囲N1、N2、N11、N12が走査される際に大パルスに対応する発光制御信号S1を出力し、範囲N3、N4、N9、N10が走査される際に中パルスに対応する発光制御信号S2を出力し、範囲N5〜N8が走査される際に小パルスに対応する発光制御信号S3を出力することで行われる。ここでは、物体が予め設定された走査回数Mだけ走査され、走査毎に各範囲で距離Lが測定され、取得される。
次のステップS5では、低速走行用発光パターンLVPの設定を解除する。
次のステップS6では、自動車の速度V(速度取得部23での取得結果)を取得する。
次のステップS7では、測定を終了するか否かが判断される。ステップS7での判断が肯定されると、フローは、終了する。一方、ステップS7での判断が否定されると、ステップS2に戻る。なお、ステップS7での判断は、自動車のエンジンが停止されたときに肯定される。
ステップS8では、LD10の発光パターンとして高速走行用発光パターンHVPを設定する。
次のステップS9では、物体までの距離Lを測定し、取得する。具体的には、高速走行用発光パターンHVPでLD10を発光させ、HVPの各発光タイミング毎に(走査範囲の各範囲毎に)、物体までの距離Lを測定し、取得する。高速走行用発光パターンHVPでの発光は、走査範囲における範囲N1、N2、N11、N12が走査される際に小パルスに対応する発光制御信号S3を出力し、範囲N3、N4、N9、N10が走査される際に中パルスに対応する発光制御信号S2を出力し、範囲N5〜N8が走査される際に大パルスに対応する発光制御信号S1を出力することで行われる。ここでは、物体が予め設定された走査回数Mだけ走査され、走査毎に各範囲で距離Lが測定され、取得される。
次のステップS10では、高速走行用発光パターンHVPの設定を解除する。
次のステップS11では、自動車の速度V(速度取得部23での取得結果)を取得する。
次のステップS12では、自動車の速度Vが閾値Vth2(例えば40km/h)以上であるか否かを判断する。ステップS12での判断が否定されると、ステップS2に戻る。一方、ステップS12での判断が肯定されると、ステップS8に戻る。
このように、HVPを設定した後の速度Vの閾値をVth1よりも大きい閾値Vth2とすると、V≧Vth2のとき、LVPに移行するための閾値は、Vth2に変わる。V<Vth2のとき、LVPに移行するための閾値は、Vth1のままである。つまり、ここでは、図8に示されるように、発光パターンをHVPとLVPとの間で遷移させる速度Vの閾値を2つ設定することでヒステリシスを持たせている。この結果、閾値近傍の高頻度な切り換えを防ぐとともに、低速走行時及び高速走行時それぞれに合わせた閾値を設定できる。
ところで、ステアリングの舵角が右向きであるとき、自動車の進行方向が自動車の直進方向に対して右方向となるため、走査範囲において右側ほど測定距離を長くすることが望まれる。これは、特に、進行方向の測定距離を長くする必要性、すなわち進行方向の物体を早めに検出する必要性が高いからである。
そこで、舵角が右向きのとき、図9(A)下図に示されるような、走査範囲の左端から右端にかけて発光光量が段階的に大きくなる発光パターンである右方向進行用発光パターンRDPでLD10を発光させることが好ましい。右方向進行用発光パターンRDPでも、上記高速走行用発光パターンHVPや低速走行用発光パターンLVPと同様に、走査範囲が12個の範囲N1〜N12に分割されている。そして、走査範囲の左端から数えて1番目〜3番目の範囲N1〜N3に対しては小パルスで走査し、走査範囲の左端から数えて4番目〜6番目の範囲N4〜N6に対しては中パルスで走査し、走査範囲の左端から数えて7番目〜12番目の範囲N7〜N12に対しては大パルスで走査する。ここでは、自動車の直進方向は、走査範囲(N1〜N12)に含まれる。なお、走査範囲の分割数は、12に限らず、要は、2以上であることが好ましい。
右方向進行用発光パターンRDPでも、走査回数Mが設定されている。図9(A)上図のハッチングで示される領域は、測定距離及び自動車の速度に応じた自動車の推定停止範囲を示している。右方向進行では、舵角が右向きであるため、推定停止範囲は、自動車から進行方向である右方向に延びた扇形となる。また、図9(A)上図には、小パルス、中パルス、大パルスにそれぞれ対応する測定距離が示されている。
右方向進行用発光パターンRDPでLD10を発光させることで、右方向進行中、略進行方向の測定距離を長くでき、かつ消費電力の低減を図ることができる。
一方、ステアリングの舵角が左向きであるとき、自動車の進行方向が直進方向に対して左方向となるため、走査範囲において左側ほど測定距離を長くすることが望まれる。これは、特に、進行方向の測定距離を長くする必要性、すなわち進行方向の物体を早めに検出する必要性が高いからである。
そこで、舵角が左向きのとき、図9(B)下図に示されるような、走査範囲の右端から左端にかけて発光光量が段階的に大きくなる発光パターンである左方向進行用発光パターンLDPでLD10を発光させることが好ましい。左方向進行用発光パターンLDPでも、上記高速走行用発光パターンHVPや低速走行用発光パターンLVPと同様に、走査範囲が12個の範囲N1〜N12に分割されている。そして、走査範囲の左端から数えて1番目〜6番目の範囲N1〜N6に対しては大パルスで走査し、走査範囲の左端から数えて7番目〜9番目の範囲N7〜N9に対しては中パルスで走査し、走査範囲の左端から数えて10番目〜12番目の範囲N10〜N12に対しては小パルスで走査する。ここでは、自動車の直進方向は、走査範囲(N1〜N12)に含まれる。なお、走査範囲の分割数は、12に限らず、要は、2以上であることが好ましい。
左方向進行用発光パターンLDPでも、走査回数Mが設定されている。図9(B)上図のハッチングで示される領域は、測定距離及び自動車の速度に応じた自動車の推定停止範囲を示している。左方向進行では、舵角が左向きであるため、推定停止範囲は、自動車から進行方向である左方向に延びた扇形となる。また、図9(B)上図には、小パルス、中パルス、大パルスにそれぞれ対応する測定距離が示されている。
左方向進行用発光パターンLDPでLD10を発光させることで、左方向進行中、略進行方向の測定距離を長くでき、かつ消費電力の低減を図ることができる。
以下に、距離測定装置100を用いた距離測定方法の第2の例について、図10を参照して説明する。図10のフローチャートは、測定制御部22によって実行される処理アルゴリズムに基づいている。なお、距離測定装置100は、自動車のエンジンが始動されたときに起動される。そして、自動車のエンジンが始動されたときに、ECUから測定制御部22に発光指令信号(制御信号)が出力され、図10の一連の処理が開始される。測定制御部22のメモリには、高速走行用発光パターンHVP、右方向進行用発光パターンRDP及び左方向進行用発光パターンLDPが予め格納され、いずれかをLD10の発光パターンとして設定可能(読み出し可能)となっている。ここでは、距離測定装置100は、速度取得部23を有していなくても良い。
最初のステップS21では、自動車のステアリングの舵角Rを初期値(0°)に設定する。
次のステップS22では、舵角R(舵角取得部25での取得結果)が閾値+Rth1(例えば+15°)未満であるか否かを判断する。ステップS22での判断が肯定されると、ステップS23に移行する。一方、ステップS22での判断が否定されると、ステップS29に移行する。なお、ここでは、舵角Rは、直進方向を0とし、右向きを+、左向きを−としている。
ステップS23では、舵角Rが閾値−Rth1(例えば−15°)よりも大きいか否かを判断する。ステップS23での判断が肯定されると、ステップS24に移行する。一方、ステップS23での判断が否定されると、ステップS34に移行する。
ステップS24では、LD10の発光パターンとして高速走行用発光パターンHVPを設定する。
次のステップS25では、物体までの距離Lを測定し、取得する。具体的には、高速走行用発光パターンHVPでLD10を発光させ、HVPの各発光タイミング毎に(走査範囲の各範囲毎に)、物体までの距離Lを測定し、取得する。ここでは、物体が予め設定された走査回数Mだけ走査され、走査毎に各範囲で距離Lが測定され、取得される。
次のステップS26では、高速走行用発光パターンHVPの設定を解除する。
次のステップS27では、舵角R(舵角取得部25での取得結果)を取得する。
次のステップS28では、測定を終了するか否かが判断される。ステップS28での判断が肯定されると、フローは、終了する。一方、ステップS28での判断が否定されると、ステップS22に戻る。なお、ステップS28での判断は、自動車のエンジンが停止されたときに肯定される。
ステップS29では、LD10の発光パターンとして右方向進行用発光パターンRDPを設定する。
次のステップS30では、物体までの距離Lを測定し、取得する。具体的には、右方向進行用発光パターンRDPでLD10を発光させ、RDPの各発光タイミング毎に(走査範囲の各範囲毎に)、物体までの距離Lを測定し、取得する。右方向進行用発光パターンRDPでの発光は、走査範囲における範囲N1〜N3が走査される際に小パルスに対応する発光制御信号S3を出力し、範囲N4〜N6が走査される際に中パルスに対応する発光制御信号S2を出力し、範囲N7〜N12が走査される際に大パルスに対応する発光制御信号S1を出力することで行われる。ここでは、物体が予め設定された走査回数Mだけ走査され、走査毎に各範囲で距離Lが測定され、取得される。
次のステップS31では、右方向進行用発光パターンRDPの設定を解除する。
次のステップS32では、舵角R(舵角取得部25での取得結果)を取得する。
次のステップS33では、舵角Rが閾値+Rth2(例えば+30°)以上であるか否かを判断する。ステップS33での判断が否定されると、ステップS22に戻る。一方、ステップS33での判断が肯定されると、ステップS29に戻る。
このように、RDPを設定した後の舵角Rの閾値を+Rth1よりも大きい閾値+Rth2とすると、R≧+Rth2のとき、HVPに移行するための閾値は、+Rth2に変わる。R<+Rth2のとき、HVPに移行するための閾値は、+Rth1のままである。つまり、ここでは、発光パターンをHVPとRDPとの間で遷移させる舵角Rの閾値を2つ設定することでヒステリシスを持たせている。この結果、閾値近傍の高頻度な切り換えを防ぐとともに、小舵角時及び大舵角時それぞれに合わせた閾値を設定できる。
ステップS34では、LD10の発光パターンとして左方向進行用発光パターンLDPを設定する。
次のステップS35では、物体までの距離Lを測定し、取得する。具体的には、左方向進行用発光パターンLDPでLD10を発光させ、LDPの各発光タイミング毎に(走査範囲の各範囲毎に)、物体までの距離Lを測定し、取得する。左方向進行用発光パターンLDPでの発光は、走査範囲における範囲N1〜N6が走査される際に大パルスに対応する発光制御信号S1を出力し、範囲N7〜N9が走査される際に中パルスに対応する発光制御信号S2を出力し、範囲N10〜N12が走査される際に小パルスに対応する発光制御信号S3を出力することで行われる。ここでは、物体が予め設定された走査回数Mだけ走査され、走査毎に各範囲で距離Lが測定され、取得される。
次のステップS36では、左方向進行用発光パターンLDPの設定を解除する。
次のステップS37では、舵角R(舵角取得部25での取得結果)を取得する。
次のステップS38では、舵角Rが閾値−Rth2(例えば−30°)以下であるか否かを判断する。ステップS38での判断が否定されると、ステップS22に戻る。一方、ステップS38での判断が肯定されると、ステップS34に戻る。
このように、LDPを設定した後の舵角Rの閾値を−Rth1よりも小さい閾値−Rth2とすると、R≦−Rth2のとき、HVPに移行するための閾値は、−Rth2に変わる。R>−Rth2のとき、HVPに移行するための閾値は、−Rth1のままである。つまり、ここでは、発光パターンをHVPとLDPとの間で遷移させる舵角Rの閾値を2つ設定することでヒステリシスを持たせている。この結果、閾値近傍の高頻度な切り換えを防ぐとともに、小舵角時及び大舵角時それぞれに合わせた閾値を設定できる。
ここで、自動車の速度とステアリングの舵角に基づいた発光パターンである高速右進行用発光パターンHRP(図12(A)参照)、低速右進行用発光パターンLRP(図12(B)参照)、高速左進行用発光パターンHLP(不図示)、低速左進行用発光パターンLLP(不図示)を用いても良い。
高速右進行用発光パターンHRPは、図12(A)下図に示されるような、走査範囲の左端から右端にかけて発光光量が段階的に大きくなる発光パターンである。高速右進行用発光パターンHRPでも、上記高速走行用発光パターンHVPや低速走行用発光パターンLVPと同様に、走査範囲が12個の範囲N1〜N12に分割されている。そして、走査範囲の左端から数えて1番目〜3番目の範囲N1〜N3に対しては小パルスで走査し、走査範囲の左端から数えて4番目〜6番目の範囲N4〜N6に対しては中パルスで走査し、走査範囲の左端から数えて7番目〜12番目の範囲N7〜N12に対しては大パルスで走査する。ここでは、自動車の直進方向は、走査範囲(N1〜N12)に含まれる。なお、走査範囲の分割数は、12に限らず、要は、2以上であることが好ましい。
高速右進行用発光パターンHRPでも、走査回数Mが設定されている。図12(A)上図のハッチングで示される領域は、測定距離及び自動車の速度に応じた自動車の推定停止範囲を示している。ここでは、高速で舵角が右向きのため、推定停止範囲は、自動車から進行方向である右方向に細長く延びた狭角の扇形となる。また、図12(A)上図には、小パルス、中パルス、大パルスにそれぞれ対応する測定距離が示されている。
高速右進行用発光パターンHRPでLD10を発光させることで、高速で右方向に進行中、略進行方向の測定距離を極力長くでき、かつ消費電力の低減を図ることができる。
低速右進行用発光パターンLRPは、図12(B)下図に示されるような、走査範囲の左端から右端にかけて発光光量が段階的に大きくなる発光パターンである。低速右進行用発光パターンLRPでも、上記高速走行用発光パターンHVPや低速走行用発光パターンLVPと同様に、走査範囲が12個の範囲N1〜N12に分割されている。そして、走査範囲の左端から数えて1番目〜6番目の範囲N1〜N6に対しては小パルスで走査し、走査範囲の左端から数えて7番目〜9番目の範囲N7〜N9に対しては中パルスで走査し、走査範囲の左端から数えて10番目〜12番目の範囲N10〜N12に対しては大パルスで走査する。ここでは、自動車の直進方向は、走査範囲(N1〜N12)に含まれる。なお、走査範囲の分割数は、12に限らず、要は、2以上であることが好ましい。
低速右進行用発光パターンLRPでも、走査回数Mが設定されている。図12(B)上図のハッチングで示される領域は、測定距離及び自動車の速度に応じた自動車の推定停止範囲を示している。ここでは、低速で舵角が右向きのため、推定停止範囲は、自動車から進行方向を中心に幅広い短径で広角の扇形となる。また、図12(B)上図には、小パルス、中パルス、大パルスにそれぞれ対応する測定距離が示されている。
低速右進行用発光パターンLRPでLD10を発光させることで、低速で右方向に進行中、進行方向を含む測定範囲を広くでき、かつ消費電力を極力低減できる。
高速左進行用発光パターンHLPは、走査範囲の右端から左端にかけて発光光量が段階的に大きくなる発光パターン、すなわち高速右進行用発光パターンHRPとは真逆の発光パターンである。高速左進行用発光パターンHLPでも、上記高速走行用発光パターンHVPや低速走行用発光パターンLVPと同様に、走査範囲が12個の範囲N1〜N12に分割されている。そして、走査範囲の左端から数えて1番目〜6番目の範囲N1〜N6に対しては大パルスで走査し、走査範囲の左端から数えて7番目〜9番目の範囲N7〜N9に対しては中パルスで走査し、走査範囲の左端から数えて10番目〜12番目の範囲N10〜N12に対しては小パルスで走査する。なお、走査範囲の分割数は、12に限らず、要は、2以上であることが好ましい。
高速左進行用発光パターンHLPでLD10を発光させることで、高速で左方向に進行中、略進行方向の測定距離を極力長くでき、かつ消費電力の低減を図ることができる。
低速左進行用発光パターンLLPは、走査範囲の右端から左端にかけて発光光量が段階的に大きくなる発光パターン、すなわち低速右進行用発光パターンLRPとは真逆の発光パターンである。低速左進行用発光パターンLLPでも、上記高速走行用発光パターンHVPや低速走行用発光パターンLVPと同様に、走査範囲が12個の範囲N1〜N12に分割されている。そして、走査範囲の左端から数えて1番目〜3番目の範囲N1〜N3に対しては大パルスで走査し、走査範囲の左端から数えて4番目〜6番目の範囲N4〜N6に対しては中パルスで走査し、走査範囲の左端から数えて7番目〜12番目の範囲N7〜N12に対しては小パルスで走査する。なお、走査範囲の分割数は、12に限らず、要は、3以上であることが好ましい。
低速左進行用発光パターンLLPでLD10を発光させることで、低速で左方向に進行中、進行方向を含む測定範囲を広くでき、かつ消費電力を極力低減できる。
以下に、距離測定装置100を用いた距離測定方法の第3の例について、図13を参照して説明する。図13のフローチャートは、測定制御部22によって実行される処理アルゴリズムに基づいている。なお、距離測定装置100は、自動車のエンジンが始動されたときに起動される。そして、自動車のエンジンが始動されたときに、ECUから測定制御部22に発光指令信号(制御信号)が出力され、図13の一連の処理が開始される。測定制御部22のメモリには、高速走行用発光パターンHVP、低速走行用発光パターンLVP、高速右進行用発光パターンHRP、低速右進行用発光パターンLRP、高速左進行用発光パターンHLP及び低速左進行用発光パターンLLPが予め格納され、いずれかをLD10の発光パターンとして設定可能(読み出し可能)となっている。
最初のステップS101では、自動車の速度Vを初期値(0km/h)に設定する。
次のステップS102では、自動車のステアリングの舵角Rを初期値(0°)に設定する。
次のステップS103では、舵角Rの絶対値がRth(例えば15°)未満であるか否かを判断する。ステップS103での判断が肯定されると、ステップS104に移行する。一方、ステップS103での判断が否定されると、ステップS114に移行する。
ステップS104では、速度Vが閾値Vth(例えば30km)未満であるか否かを判断する。ステップS104での判断が肯定されると、ステップS105に移行する。一方、ステップS104での判断が否定されると、ステップS111に移行する。
ステップS105では、LD10の発光パターンとして低速走行用発光パターンLVPを設定する。
次のステップS106では、物体までの距離Lを測定し、取得する。具体的には、低速走行用発光パターンLVPでLD10を発光させ、LVPの各発光タイミング毎に(走査範囲の各範囲毎に)、物体までの距離Lを測定し、取得する。ここでは、物体が予め設定された走査回数Mだけ走査され、走査毎に各範囲で距離Lが測定され、取得される。
次のステップS107では、低速走行用発光パターンLVPの設定を解除する。
次のステップS108では、速度V(速度取得部23での取得結果)を取得する。
次のステップS109では、舵角R(舵角取得部25での取得結果)を取得する。
次のステップS110では、測定を終了するか否かが判断される。ステップS110での判断が肯定されると、フローは、終了する。一方、ステップS110での判断が否定されると、ステップS103に戻る。なお、ステップS110での判断は、自動車のエンジンが停止されたときに肯定される。
ステップS111では、LD10の発光パターンとして高速走行用発光パターンHVPを設定する。
次のステップS112では、物体までの距離Lを測定し、取得する。具体的には、高速走行用発光パターンHVPでLD10を発光させ、HVPの各発光タイミング毎に(走査範囲の各範囲毎に)、物体までの距離Lを測定し、取得する。ここでは、物体が予め設定された走査回数Mだけ走査され、走査毎に各範囲で距離Lが測定され、取得される。
次のステップS113では、高速走行用発光パターンHVPの設定を解除する。ステップS113が実行されると、ステップS108に移行する。
ステップS114では、舵角Rが+Rth(例えば15°)以上であるか否かを判断する。ステップS114での判断が肯定されると、ステップS115に移行する。一方、ステップS114での判断が否定されると、ステップS122に移行する。なお、ステップS114での判断が否定された場合、Rは−Rth(例えば−15°)以下である。
ステップS115では、速度Vが閾値Vth(例えば30km)未満であるか否かを判断する。ステップS115での判断が肯定されると、ステップS116に移行する。一方、ステップS115での判断が否定されると、ステップS119に移行する。
ステップS116では、LD10の発光パターンとして低速右進行用発光パターンLRPを設定する。
次のステップS117では、物体までの距離Lを測定し、取得する。具体的には、低速右進行用発光パターンLRPでLD10を発光させ、LRPの各発光タイミング毎に(走査範囲の各範囲毎に)、物体までの距離Lを測定し、取得する。ここでは、物体が予め設定された走査回数Mだけ走査され、走査毎に各範囲で距離Lが測定され、取得される。
次のステップS118では、低速右進行用発光パターンLRPの設定を解除する。ステップS118が実行されると、ステップS108に移行する。
ステップS119では、LD10の発光パターンとして高速右進行用発光パターンHRPを設定する。
次のステップS120では、物体までの距離Lを測定し、取得する。具体的には、高速右進行用発光パターンHRPでLD10を発光させ、HRPの各発光タイミング毎に(走査範囲の各範囲毎に)、物体までの距離Lを測定し、取得する。ここでは、物体が予め設定された走査回数Mだけ走査され、走査毎に各範囲で距離Lが測定され、取得される。
次のステップS121では、高速右進行用発光パターンHRPの設定を解除する。ステップS121が実行されると、ステップS108に移行する。
ステップS122では、速度Vが閾値Vth(例えば30km)未満であるか否かを判断する。ステップS122での判断が肯定されると、ステップS123に移行する。一方、ステップS122での判断が否定されると、ステップS126に移行する。
ステップS123では、LD10の発光パターンとして低速左進行用発光パターンLLPを設定する。
次のステップS124では、物体までの距離Lを測定し、取得する。具体的には、低速左進行用発光パターンLLPでLD10を発光させ、LLPの各発光タイミング毎に(走査範囲の各範囲毎に)、物体までの距離Lを測定し、取得する。ここでは、物体が予め設定された走査回数Mだけ走査され、走査毎に各範囲で距離Lが測定され、取得される。
次のステップS125では、低速左進行用発光パターンLLPの設定を解除する。ステップS125が実行されると、ステップS108に移行する。
ステップS126では、LD10の発光パターンとして高速左進行用発光パターンHLPを設定する。
次のステップS127では、物体までの距離Lを測定し、取得する。具体的には、高速左進行用発光パターンHLPでLD10を発光させ、HLPの各発光タイミング毎に(走査範囲の各範囲毎に)、物体までの距離Lを測定し、取得する。ここでは、物体が予め設定された走査回数Mだけ走査され、走査毎に各範囲で距離Lが測定され、取得される。
次のステップS128では、高速左進行用発光パターンHLPの設定を解除する。ステップS128が実行されると、ステップS108に移行する。
なお、図13では、ステップS101、ステップS102の順序は、逆でも良い。
また、図13では、ステップS110を、ステップS108の直前に行っても良い。
また、図13では、ステップS108、ステップS109の順序は、逆でも良い。この場合、ステップS110を、ステップS109の直前に行っても良い。
以上説明した第1実施形態の距離測定装置100は、第1の観点からすると、LD10、該LD10を制御するLD制御部12及びLD10からの光を偏向するポリゴンミラー28を含む光走査系から光を出射し、物体からの反射光を受光して該物体までの距離を測定する距離測定装置であり、LD制御部12は、光走査系による走査範囲内でLD10の発光光量を変化させる。
また、距離測定装置100は、第2の観点からすると、LD10、該LD10を制御するLD制御部12及びLD10からの光を偏向するポリゴンミラー28を含む光走査系と、該光走査系から出射され物体で反射された光を検出する検出系と、LD10での出射タイミングと検出系での検出タイミングとに基づいて、物体までの距離を測定する測定制御部22(測距系)と、を備え、LD制御部12は、光走査系による走査範囲内でLD10の発光光量を変化させる。
距離測定装置100によれば、LD10の発光光量を走査範囲内における所望の測定範囲で大きくし、別の範囲で小さくすることができる。
この結果、消費電力の増大を抑制しつつ所望の測定範囲内で所望の測定距離を得ることができる。
また、距離測定装置100は、移動体(例えば自動車)に搭載され、LD制御部12は、走査範囲の一端(例えば左端)を含む第1の範囲(例えばHVPやLVPのN1〜N4)に対するLD10の発光光量と、走査範囲の他端(例えば右端)を含む第2の範囲(例えばHVPやLVPのN9〜N12)に対するLD10の発光光量と、走査範囲における第1及び第2の範囲間の第3の範囲(例えばHVPやLVPのN5〜N8)に対するLD10の発光光量と、の少なくとも2つを異ならせ、第3の範囲は、移動体の直進方向を含む。
この場合、例えば移動体(例えば自動車)の移動状況(速度や舵角)に応じて、第1の範囲における走査光の光量と、第2の範囲における走査光の光量と、第3の範囲における走査光の光量と、の少なくとも2つを異ならせることができ、移動体の移動状況に応じた適切な測定範囲で所望の測定距離を得ることができる。
なお、第1の範囲を、HVPやLVPのN1〜N4から成る範囲とすると、第1の範囲内でもLD10の発光光量を変化させていることになる(図6(A)及び図6(B)参照)。第2の範囲を、HVPやLVPのN9〜N12とすると、第2の範囲内でもLD10の発光光量を変化させていることになる(図6(A)及び図6(B)参照)。
ここで、第1の範囲を、HVPやLVPのN1、N2から成る範囲としても良い。また、第2の範囲を、HVPやLVPのN11、N12から成る範囲としても良い。
また、第3の範囲を、HVPやLVPのN3〜N10から成る範囲としても良い。この場合、第3の範囲内でもLD10の発光光量を変化させていることになる。
また、距離測定装置100は、移動体(例えば自動車)の速度を取得する速度取得部23を更に備え、LD制御部12は、速度取得部23での取得結果に基づいて、LD10の発光光量を変化させる。
具体的には、LD制御部12は、速度取得部23での取得結果が閾値Vth1未満のときに第3の範囲に対するLD10の発光光量を第1及び第2の範囲に対する発光光量よりも小さくする低速走行用発光パターンLVPでLD10を発光させ、速度取得部23での取得結果が閾値Vth1以上のときに第3の範囲に対するLD10の発光光量を第1及び第2の範囲に対する発光光量よりも大きくする高速走行用発光パターンHVPでLD10を発光させる。
この場合、移動体の速度に応じた適切な測定範囲で所望の測定距離を得ることができる。
また、LD制御部12は、高速走行用発光パターンHVPでLD10を発光させた後の取得結果が、閾値Vth1よりも大きい別の閾値Vth2未満かつ閾値Vth1以上のとき、高速走行用発光パターンHVPでLD10を発光させる。
この場合、移動体の速度が閾値Vth1近傍であるときの発光パターンの頻繁な切り換えを防止でき、ひいては制御の煩雑化を防止できる。
さらに、LD制御部12は、高速走行用発光パターンHVPでLD10を発光させた後の速度取得部23での取得結果が閾値Vth2以上のときに高速走行用発光パターンHVPでLD10を発光させる。
この場合、移動体の速度が閾値Vth2近傍であるときの発光パターンの頻繁な切り換えを防止でき、ひいては制御の煩雑化を防止できる。
また、LD制御部12は、走査範囲の一端を含む第1の範囲(例えばRDPやLDPのN1〜N6)に対するLD10の発光光量と、走査範囲の他端を含む第2の範囲(例えばRDPやLDPN7〜N12)に対するLD10の発光光量とを異ならせ、走査範囲は、移動体の直進方向を含む。
なお、第1の範囲をRDPやLDPのN1〜N6から成る範囲とし、第2の範囲をRDPやLDPのN7〜N12とすると、第1の範囲内及び第2の範囲内の一方でもLD10の発光光量を変化させていることになる(図9(A)及び図9(B)参照)。
この場合、例えば移動体(例えば自動車)の移動状況(速度や舵角)に応じて、第1の範囲における走査光の光量と、第2の範囲における走査光の光量とを異ならせることができ、移動体の移動状況に応じた適切な測定範囲で所望の測定距離を得ることができる。
また、移動体(例えば自動車)は、操舵装置(例えばステアリング)を有し、距離測定装置100は、操舵装置の舵角を取得する舵角取得部25を更に備え、LD制御部12は、舵角取得部25での取得結果に基づいて、LD10の発光光量を変化させる。
具体的には、LD制御部12は、舵角取得部25で取得された舵角が移動体の直進方向に対して走査範囲の一端側(例えば左端側)を向いているときに第1の範囲(例えばRDPやLDPのN1〜N6)に対するLD10の発光光量を第2の範囲(例えばRDPやLDPのN7〜N12)に対するLD10の発光光量よりも大きくし、舵角取得部25で取得された舵角が移動体の直進方向に対して走査範囲の他端側(例えば右端側)を向いているときに第2の範囲に対するLD10の発光光量を第1の範囲に対するLD10の発光光量よりも大きくする。
この場合、操舵装置の舵角に応じた適切な測定範囲で所望の測定距離を得ることができる。
また、LD制御部12は、舵角取得部25での取得結果及び速度取得部23での取得結果に基づいてLD10の発光光量を変化させる。
この場合、移動体の速度及び操舵装置の舵角に応じた適切な測定範囲で所望の測定距離を得ることができる。
また、移動体(例えば自動車)と、該移動体に搭載される距離測定装置100とを備える移動体装置を提供することができる。この移動体装置は、距離測定装置100により、移動体の速度や進行方向に応じた適切な制動制御(例えば自動ブレーキ)を行うことができる。
また、第1実施形態の距離測定方法は、移動体(例えば自動車)に搭載され、LD10及び該LD10からの光を偏向するポリゴンミラー28を含む光走査系を用いる距離測定方法であり、LD10から光を出射する工程と、ポリゴンミラー28で偏向され物体で反射された光を検出する工程と、出射する工程での出射タイミング及び検出する工程での検出タイミングに基づいて、物体までの距離を測定する工程と、を含み、出射する工程では、光走査系による走査範囲内でLD10の発光光量を変化させる。
これによれば、LD10の発光光量を走査範囲内の所望の測定範囲で大きくし別の範囲で小さくすることができる。
この結果、消費電力の増大を抑制しつつ所望の測定範囲内で所望の測定距離を得ることができる。
また、移動体の速度を取得する工程を更に含み、出射する工程では、取得する工程での取得結果に基づいて、LD10の発光光量を変化させる。
この場合、移動体の速度に応じた適切な測定範囲で所望の測定距離を得ることができる。
また、移動体は、操舵装置を有し、該操舵装置の舵角を取得する工程を更に含み、出射する工程では、取得する工程での取得結果に基づいて、LD10の発光光量を変化させる。
この場合、操舵装置の舵角に応じた適切な測定範囲で所望の測定距離を得ることができる。
また、移動体は、操舵装置を備え、操舵装置の舵角を取得する工程と、移動体の速度を取得する工程と、を更に含み、出射する工程では、舵角を取得する工程及び速度を取得する工程での取得結果に基づいて、LD10の発光光量を変化させる。
この場合、移動体の速度及び操舵装置の舵角に応じた適切な測定範囲で所望の測定距離を得ることができる。
《第2実施形態》
以下に本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態では、上記第1実施形態と同様の構成及び機能を有する部材等には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
第2実施形態では、図14(A)〜図14(C)に示されるように、LD10から出射されカップリングレンズ26を介したレーザ光が反射ミラー30で反射され、ポリゴンミラー28の偏向反射面に入射される。
図14(A)には、反射ミラー30で反射された光がポリゴンミラー28で走査範囲の一端(左端、上流端)に向けて偏向される状態が示されている。ここでは、光が偏向反射面に入射角θ1で入射される。
図14(B)には、反射ミラー30で反射された光がポリゴンミラー28で走査範囲の中央に向けて偏向される状態が示されている。ここでは、光が偏向反射面に入射角θ2(>θ1)で入射される。
図14(C)には、反射ミラー30で反射された光がポリゴンミラー28で走査範囲の他端(右端、下流端)に向けて偏向される状態が示されている。ここでは、光が偏向反射面に入射角θ3(>θ2)で入射される。
結果として、回転軸方向から見た偏向反射面への光の入射角は、走査範囲の左端(上流端)から右端(下流端)にかけて徐々に大きくなる。
ところで、回転軸方向から見た偏向反射面への光の入射角が小さいほど光の反射率が大きくなる。ここでは、走査範囲内における偏向反射面での光の反射率は、図15に示されるように、走査範囲の一端(−70°)から他端(+70°)にかけて単調減少する曲線で表される。なお、図15の縦軸は、反射率の最大値を0%としたときの該最大値からの減少率(%)である。
このように、走査範囲内において偏向反射面での光の反射率にばらつきがあるため、このばらつきに応じて、すなわち走査タイミング(光の偏向方向)に応じてLD10の発光光量を調整することで、走査範囲内における走査光の光量の分布を所望の分布(分布がない場合、すなわち走査光の光量が均一の場合を含む)にすることができる。
高速走行中に、図16(A)下図に示される高速走行用発光パターンHVPでLD10を発光させても良い。
図16(A)上図のハッチングで示される領域は、測定距離及び自動車の速度に応じた自動車の推定停止範囲を示している。ここでは、高速のため、推定停止範囲は、自動車から略直進方向(進行方向)に細長く延びた狭角の扇形となる。また、図16(A)上図には、小パルス、中パルス、大パルスにそれぞれ対応する測定距離が示されている。各パルスによる測定距離は、走査範囲内における偏向反射面での反射率の変化(図15参照)の影響を受け、左右非対称となっている。
また、低速走行中に、図16(B)下図に示される低速走行用発光パターンLVP´でLD10を発光させても良い。
図16(B)上図のハッチングで示される領域は、測定距離及び自動車の速度に応じた自動車の推定停止範囲を示している。ここでは、低速のため、推定停止範囲は、自動車から直進方向を含む広範囲に延びた広角の扇形となる。また、図16(B)上図には、小パルス、中パルス、大パルスにそれぞれ対応する測定距離が示されている。
低速走行用発光パターンLVP´は、走査範囲の左端から右端にかけて発光光量が段階的に大きくなる発光パターンである。低速走行用発光パターンLVP´でも、上記高速走行用発光パターンHVPや低速走行用発光パターンLVPと同様に、走査範囲が12個の範囲N1〜N12に分割されている。そして、走査範囲の左端から数えて1番目〜4番目の範囲N1〜N4に対しては小パルスで走査し、走査範囲の左端から数えて5番目〜10番目の範囲N5〜N10に対しては中パルスで走査し、走査範囲の左端から数えて11番目、12番目の範囲N11、N12に対しては大パルスで走査する。ここでは、自動車の直進方向は、走査範囲(N1〜N12)に含まれる。なお、走査範囲の分割数は、12に限らず、要は、2以上であることが好ましい。
低速走行中に、低速走行用発光パターンLVP´でLD10を発光させることで、進行方向を含む測定範囲を広くでき、かつ消費電力の大幅な低減を図ることができる。また、反射率の変化(図15参照)による走査光の光量のばらつきを調整できる。すなわち、低速走行用発光パターンLVP´では、偏向反射面での反射率が走査範囲の左端(下流端)から右端(上流端)にかけて徐々に小さくなることを考慮して、LD10の発光光量を走査範囲の左端から右端にかけて段階的に大きくしている。
また、高速で左方向に進行中に高速左進行用発光パターンHLP´(図17(A)参照)でLD10を発光させ、高速で右方向に進行中に高速右進行用発光パターンHRP´(不図示)でLD10を発光させても良い。
図17(A)上図のハッチングで示される領域は、測定距離及び自動車の速度に応じた自動車の推定停止範囲を示している。ここでは、高速で左方向に進行するため、推定停止範囲は、自動車から進行方向である左方向に延びる細長い狭角の扇形となる。また、図17(A)上図には、小パルス、中パルス、大パルスにそれぞれ対応する測定距離が示されている。
高速左進行用発光パターンHLP´は、走査範囲の右端から左端にかけて発光光量が段階的に大きくなる発光パターンである。高速左進行用発光パターンHLP´でも、上記高速走行用発光パターンHVPや低速走行用発光パターンLVPと同様に、走査範囲が12個の範囲N1〜N12に分割されている。そして、走査範囲の左端から数えて1番目〜4番目の範囲N1〜N4に対しては大パルスで走査し、走査範囲の左端から数えて5番目〜8番目の範囲N5〜N8に対しては中パルスで走査し、走査範囲の左端から数えて9番目〜12番目の範囲N9〜N12に対しては小パルスで走査する。ここでは、自動車の直進方向は、走査範囲(N1〜N12)に含まれる。なお、走査範囲の分割数は、12に限らず、要は、2以上であることが好ましい。
高速右進行用発光パターンHRP´は、走査範囲の左端から右端にかけて発光光量が段階的に大きくなる発光パターンであり、高速左進行用発光パターンHLP´とは真逆の発光パターンである。高速右進行用発光パターンHRP´でも、上記高速走行用発光パターンHVPや低速走行用発光パターンLVPと同様に、走査範囲が12個の範囲N1〜N12に分割されている。そして、走査範囲の左端から数えて1番目〜4番目の範囲N1〜N4に対しては小パルスで走査し、走査範囲の左端から数えて5番目〜8番目の範囲N5〜N8に対しては中パルスで走査し、走査範囲の左端から数えて9番目〜12番目の範囲N9〜N12に対しては大パルスで走査する。ここでは、自動車の直進方向は、走査範囲(N1〜N12)に含まれる。なお、走査範囲の分割数は、12に限らず、要は、2以上であることが好ましい。
高速で左方向に進行中に高速左進行用発光パターンHLP´でLD10を発光させ、高速で右方向に進行中に高速右進行用発光パターンHRP´でLD10を発光させることで、略進行方向の測定距離を極力長くでき、かつ消費電力の低減を図ることができる。
また、右方向に進行中に右方向進行用発光パターンRDP´(図17(B)参照)でLD10を発光させ、左方向に進行中に左方向進行用発光パターンLDP´(不図示)でLD10を発光させても良い。
図17(B)上図のハッチングで示される領域は、測定距離及び自動車の速度に応じた自動車の推定停止範囲を示している。ここでは、右方向に進行するため、推定停止範囲は、自動車から進行方向である右方向に延びる細長い狭角の扇形となる。また、図17(B)上図には、小パルス、中パルス、大パルスにそれぞれ対応する測定距離が示されている。
右方向進行用発光パターンRDP´は、走査範囲の左端から右端にかけて発光光量が段階的に大きくなる発光パターンである。右方向進行用発光パターンRDP´でも、上記高速走行用発光パターンHVPや低速走行用発光パターンLVPと同様に、走査範囲が12個の範囲N1〜N12に分割されている。そして、走査範囲の左端から数えて1番目〜6番目の範囲N1〜N6に対しては小パルスで走査し、走査範囲の左端から数えて7番目〜12番目の範囲N7〜N12に対しては中パルスで走査する。ここでは、自動車の直進方向は、走査範囲(N1〜N12)に含まれる。すなわち、RDP´では、大パルスを用いない。なお、走査範囲の分割数は、12に限らず、要は、2以上であることが好ましい。
左方向進行用発光パターンLDP´は、走査範囲の右端から左端にかけて発光光量が段階的に大きくなる発光パターンであり、左方向進行用発光パターンLDP´とは真逆の発光パターンである。左方向進行用発光パターンLDP´でも、上記高速走行用発光パターンHVPや低速走行用発光パターンLVPと同様に、走査範囲が12個の範囲N1〜N12に分割されている。そして、走査範囲の左端から数えて1番目〜6番目の範囲N1〜N6に対しては中パルスで走査し、走査範囲の左端から数えて7番目〜12番目の範囲N7〜N12に対しては中パルスで走査する。ここでは、自動車の直進方向は、走査範囲(N1〜N12)に含まれる。なお、走査範囲の分割数は、12に限らず、要は、2以上であることが好ましい。
左方向に進行中に左方向進行用発光パターンLDP´でLD10を発光させ、右方向に進行中に右方向進行用発光パターンRDP´でLD10を発光させることで、略進行方向の測定距離を長くでき、かつ消費電力の更なる低減を図ることができる。
以上説明した第2実施形態でも、上記第1実施形態において説明した図7、図10、図13のフローチャートに基づく距離測定方法と同様の距離測定方法を行うことができ、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
具体的には、図7では、ステップS3でLVPの代わりにLVP´を設定し、ステップS5でLVP´の設定を解除しても良い。
図10では、ステップS29でRDPの代わりにRDP´を設定し、ステップS31でRDP´の設定を解除しても良い。また、図10では、ステップS34でLDPの代わりにLDP´を設定し、ステップS36でLDP´の設定を解除しても良い。
図13では、ステップS105でLVPの代わりにLVP´を設定し、ステップS107でLVP´の設定を解除しても良い。また、図13では、ステップS119でHRPの代わりにHRP´を設定し、ステップS121でHRP´の設定を解除しても良い。また、図13では、ステップS126でHLPの代わりにHLP´を設定し、ステップS128でHLP´の設定を解除しても良い。
第2実施形態において、図14(A)〜図14(C)に示される場合とは逆に、回転軸方向から見た偏向反射面への光の入射角が、走査範囲の一端(上流端)から他端(下流端)にかけて徐々に小さくなるようにポリゴンミラー28に光を入射させるようにしても良い。この場合、図15に対応する図は、走査範囲の一端(−70°)から他端(+70°)にかけて単調増加する曲線で表される。
なお、図7のフローチャートでは、速度Vの閾値が2つ用いられているが、これに限らず、1つ又は3つ以上用いても良い。図18には、速度Vの閾値Vthが1つ用いられる変形例1の距離測定方法のフローチャートが示されている。図18のステップS41〜S50は、図7のステップS1〜S10に個別に対応している。
図19に示される変形例2の距離測定方法のフローチャートのように、図18のステップS46、S47の順序を逆にしても良い。
また、図10のフローチャートでは、舵角Rの大きさ(絶対値)及び向き(符号±)に基づいて制御しているが、図20に示される変形例3の距離測定方法のフローチャートのように、舵角Rの絶対値のみに基づいて制御しても良い。図20では、舵角Rの絶対値が閾値Rth1よりも小さいときに高速走行用発光パターンHVPを用い、舵角Rの絶対値が閾値Rth1以上のときに低速走行用発光パターンLVPを用いている。そして、発光パターンにLVPが設定された後、取得したRの絶対値が閾値Rth1よりも大きい閾値Rth2未満かつ閾値Rth1以上であるとき又は閾値Rth2以上であるとき、発光パターンがLVPに再設定される。なお、図20の各処理、判断については、図7、図10の対応する処理、判断の説明を援用することができる。
すなわち、変形例3では、LD制御部12は、舵角取得部25での取得結果(Rの絶対値)が閾値Rth1以上のときに第3の範囲(N5〜N8)に対するLD10の発光光量を第1の範囲(N1〜N4)及び第2の範囲(N9〜N12)に対するLD10の発光光量よりも小さくする低速走行用発光パターンLVPでLD10を発光させ、舵角取得部25での取得結果(Rの絶対値)が閾値Rth1未満のときに第3の範囲に対するLD10の発光光量を第1及び第2の範囲に対する発光光量よりも大きくする高速走行用発光パターンHVPでLD10を発光させる。
この場合、操舵装置(例えばステアリング)の舵角に応じた適切な測定範囲で所望の測定距離を得ることができる。
また、変形例3では、LD制御部12は、低速走行用発光パターンLVPでLD10を発光させた後の舵角取得部25での取得結果(Rの絶対値)が、閾値Rth1よりも大きい別の閾値Rth2未満かつ閾値Rth1以上のとき、低速走行用発光パターンLVPでLD10を発光させる。
この場合、操舵装置の舵角が閾値Rth1近傍であるときの発光パターンの頻繁な切り換えを防止でき、ひいては制御の煩雑化を防止できる。
さらに、LD制御部12は、低速走行用発光パターンLVPでLD10を発光させた後の速度取得部23での取得結果(Rの絶対値)が閾値Rth2以上のときに低速走行用発光パターンLVPでLD10を発光させる。
この場合、操舵装置の舵角が閾値Rth2近傍であるときの発光パターンの頻繁な切り換えを防止でき、ひいては制御の煩雑化を防止できる。
また、図10のフローチャートでは、舵角Rの大きさ(絶対値)及び向き(符号±)に基づいて制御しているが、舵角Rの向き(±)のみに基づいて制御しても良い。例えば、舵角Rの向きが+(例えば右向き)のとき、右方向進行用発光パターンRDPやRDP´を用い、舵角Rの向きが−(例えば左向き)のとき、左方向進行用発光パターンLDPやLDP´を用いても良い。
また、図10のフローチャートでは、舵角Rの大きさ(絶対値)及び向き(符号±)に基づいて制御しているが、舵角Rの向き(±)及び速度に基づいて制御しても良い。例えば、舵角Rの向きが+(例えば右向き)かつ速度が閾値Vth以上のときに、高速右進行用発光パターンHRPやHRP´を用いても良い。舵角Rの向きが−(例えば左向き)かつ速度が閾値Vth以上のときに、高速左進行用発光パターンHLPやHLP´を用いても良い。舵角Rの向きが+(例えば右向き)かつ速度が閾値Vth未満のときに、低速右進行用発光パターンLRPを用いても良い。舵角Rの向きが−(例えば左向き)かつ速度が閾値Vth未満のときに、低速左進行用発光パターンLLPを用いても良い。
図20のフローチャートでは、舵角Rの閾値が2つ用いられているが、これに限らず、1つ又は3つ以上用いても良い。図21には、舵角Rの閾値Rthが1つ用いられる変形例4の距離測定方法のフローチャートが示されている。図21のステップS81〜S90は、図20のステップS61〜S70に個別に対応している。
図22に示される変形例5の距離測定方法のフローチャートのように、図21のステップS86、S87の順序を逆にしても良い。
なお、上記各実施形態及び各変形例では、光源として、単一のLDを用いているが、これに限られない。例えば、複数のLDが1次元又は2次元に配列されたLDアレイ、半導体レーザの一種であるVCSEL(面発光レーザ)、VCSELが1次元又は2次元に配列されたVCSELアレイ、半導体レーザ以外のレーザ、LED(発光ダイオード)、複数のLEDが1次元又は2次元に配列されたLEDアレイ、有機EL素子、複数の有機EL素子が1次元又は2次元に配列された有機ELアレイなどを用いても良い。複数のLDが1次元配列されたLDアレイとしては、複数のLDが積層されたスタック型のLDアレイや複数のLDが横に並べられたLDアレイが挙げられる。
また、上記各実施形態及び各変形例の距離測定装置の構成は、適宜変更可能である。例えば、照射光学系は、カップリングレンズを有していなくても良いし、他のレンズを有していても良い。また、受光光学系は、受光レンズを有していなくも良いし、他の光学素子(例えばミラー)を有していても良い。
また、LD制御部12の構成も適宜変更可能である。例えばLD駆動回路においてコンデンサを用いない構成も可能である。
また、上記各実施形態及び各変形例で説明したLD10の発光パターンも適宜変更可能である。この際、走査範囲の分割数に応じて、LD制御部12のLD駆動回路の個数iを設定することが好ましい。例えば、分割数が多いほど、個数iを多くしても良い。
また、距離測定装置100は、必要に応じて、速度取得部23及び舵角取得部25の少なくとも一方を有していれば良い。
また、上記各実施形態及び各変形例では、距離測定装置が搭載される移動体として自動車を例に説明したが、該移動体は、自動車以外の車両(例えば電車等)、航空機、船舶等であっても良い。
以上の説明で用いた具体的な数値(例えば閾値、角度、時間等)、形状などは、一例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である
以上の説明から明らかなように、本発明の距離測定装置及び距離測定方法は、物体との間の往復の距離を測定する所謂Time of Flight(TOF)法を用いた技術思想であり、移動体におけるセンシングの他、モーションキャプチャ技術、測距計などの産業分野などで幅広く用いられる。すなわち、本発明の距離測定装置は、必ずしも移動体に搭載されなくても良い。