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JP2015107441A - 機能水生成器 - Google Patents

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JP2015107441A JP2013250179A JP2013250179A JP2015107441A JP 2015107441 A JP2015107441 A JP 2015107441A JP 2013250179 A JP2013250179 A JP 2013250179A JP 2013250179 A JP2013250179 A JP 2013250179A JP 2015107441 A JP2015107441 A JP 2015107441A
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健太郎 寺島
宗郷 熊谷
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宗郷 熊谷
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Abstract

【課題】イオン交換樹脂を通過させた原水を電気分解する機能水生成器であって、イオン交換樹脂のイオン交換能力が失活したか否かを判別することができる、機能水生成器を提供する。
【解決手段】イオン交換樹脂を含むイオン交換槽と、イオン交換槽を通過させた原水を陽極および陰極を用いて電気分解して機能水を生成する電気分解部とを備え、前記電気分解部は、電圧および電流のいずれか一方を一定にして電気分解を行ない、電圧および電流のいずれか他方の変化を検知し、イオン交換槽におけるイオン交換樹脂のイオン交換能力が枯渇しているか否かを判定可能に構成されている、機能水生成器。
【選択図】図1

Description

本発明は、水道水などの原水を電気分解することにより、酸性水、アルカリ水などの機能水を生成する機能水生成器に関する。
従来、酸性水、アルカリ水などの機能水を生成するために、水道水を電気分解に供する原水として用いた場合、超硬水の問題が最大の阻害要因であった。すなわち、硬度200mg/L以上の超硬水においては、イオン平衝のため、硬度イオンと同時に重炭酸イオンも多く含む。したがって、重炭酸イオンの持つ強い緩衝作用のため、酸性およびアルカリ性のいずれの方向ともにpH変動を起こしにくく、また、同時に電気分解の際に陰極にCaやMgといった硬度成分が付着しやすいという問題があった。
上記問題のうち、重炭酸イオンの除去については、陰イオン交換樹脂を通して炭酸成分を除去した水を電気分解に供し、陰イオン交換樹脂のイオン交換能力が枯渇したと判断した段階で、水を金属塩化物貯留槽に導入し、電気分解中断中に金属塩化物溶解水を陰イオン交換槽に導入して陰イオン交換樹脂を再生する方法が知られている(たとえば、特開2006−231176号公報(特許文献1)を参照。)。
特開2006−231176号公報
しかしながら、陰イオン交換樹脂のイオン交換能力が枯渇したか否かは判定しにくく、陰イオン交換樹脂の消耗の度合いを判定できるように構成された機能水生成器の提供が望まれている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、イオン交換樹脂を通過させた原水を電気分解する機能水生成器であって、イオン交換樹脂のイオン交換能力が枯渇したか否かを判定することができる、機能水生成器を提供することである。
本発明の機能水生成器は、イオン交換樹脂を含むイオン交換槽と、イオン交換槽を通過させた原水を陽極および陰極を用いて電気分解して機能水を生成する電気分解部とを備え、前記電気分解部は、電圧および電流のいずれか一方を一定にして電気分解を行ない、電圧および電流のいずれか他方の変化を検知し、イオン交換槽におけるイオン交換樹脂のイオン交換能力が枯渇しているか否かを判定可能に構成されていることを特徴とする。
本発明の機能水生成器は、イオン交換樹脂が陰イオン交換樹脂であり、電気分解部が、電流を一定にして電気分解を行ない、陽極と陰極の間の電圧の変化を検知するように構成されていることが好ましい。
本発明の機能水生成器は、イオン交換槽に金属塩化物を供給するための金属塩化物供給部をさらに備え、陽極と陰極の間の電圧が所定値以上となったことが検知された場合に、金属塩化物供給部から金属塩化物をイオン交換槽に自動的に供給するか、または、金属塩化物のイオン交換槽への供給が必要であることを通知するように構成されていることが好ましい。
本発明の機能水生成器は、金属塩化物供給部から金属塩化物をイオン交換槽に供給した後のイオン交換槽を通過した、金属塩化物を含む原水を電気分解するように構成されていることが好ましい。
本発明の機能水生成器において、金属塩化物の供給は、イオン交換槽における金属塩化物の濃度が10〜25wt%となるように行なわれることが好ましい。
本発明の機能水生成器において、金属塩化物はアルカリ金属塩化物であることが好ましい。
本発明の機能水生成器において、電気分解部は、金属電極とイオン吸着電極の対を備える無隔膜一槽式の電解槽を備えることが好ましい。
本発明の機能水生成器において、電気分解部は通水式であることが好ましく、その場合、電気分解部における通水速度は1L/分以上であることが好ましい。
本発明において生成された機能水は、食器洗浄機、衛生機器および室外用洗浄機からなる群から選ばれる少なくともいずれかの洗浄および殺菌に用いられることが、好ましい。
本発明によれば、イオン交換樹脂を通過させた原水を電気分解する機能水生成器であって、イオン交換樹脂のイオン交換能力が枯渇したか否かを判定することができ、イオン交換能力が枯渇したと判定された場合には、適宜、イオン交換樹脂に金属塩化物を供給することでイオン交換樹脂のイオン交換能力を再生させることができる。これにより、消費電力が大きくなったり、電気分解の時間が長くなってしまうことを回避し、効率的に電気分解を行なうことができ、短い時間で大量の酸性水、アルカリ水を生成することが可能となる。
本発明の第1の実施態様の機能水生成器1を模式的に示す図である。 原水を陰イオン交換樹脂を通過させたか否かによる電気分解の効率の違いを示すグラフである。 重炭酸イオンを含む水における電圧と電解時間との関係を示すグラフである。 本発明の第4の実施態様の機能水生成器21を模式的に示す図である。 図4に示した通水式の機能水生成器21を用いて、電気分解を行ない、酸性水、アルカリ水を生成した各場合についての通水速度に対するpHの変化を示すグラフである。
図1は、本発明の好ましい一例(第1の実施態様)の機能水生成器1を模式的に示す図である。図1に示す例の機能水生成器1は、イオン交換樹脂4を含むイオン交換槽2と、イオン交換槽2を通過させた原水7を陽極および陰極を用いて電気分解して機能水を生成する電気分解部3とを基本的に備える。なお、本発明において、「機能水」は、原水を電気分解することで得られる、原水に任意の機能が付与された水を指し、電気分解により酸性側で得られる酸性水、アルカリ性側で得られるアルカリ水を包含する。
図1に示す例の機能水生成器1におけるイオン交換槽2は、原水7をイオン交換槽2内に注水するための給水口8を備え、当該給水口8からイオン交換槽2内に導入された原水7を、イオン交換樹脂4と接触させることで、pHを弱酸性に調整する。原水7としては、特に制限なく、通常の水道水、純水などを用いることができるが、水道水が好ましい。
イオン交換槽2に用いられるイオン交換樹脂4としては、原水を水道水とする場合には、上述した超硬水の問題を回避するため、原水中に溶解している重炭酸イオン(HCO )、炭酸イオン(CO 2−)を除去するために、陰イオン交換樹脂を用いることが好ましい。ここで、陰イオン交換樹脂としては、上述の重炭酸イオン、炭酸イオンなどの陰イオンをClイオンに交換可能であるCl型の陰イオン交換樹脂が特に好ましく、その具体例としては、SA10A(三菱化学株式会社製)、SA20A(三菱化学株式会社製)、IRA400J(オルガノ株式会社製)などを挙げることができる。また、液性をpH3〜4程度に酸性にすることで水中の重炭酸イオン(HCO )を炭酸ガスとして放出させる、という上述の陰イオン交換樹脂とは異なるメカニズムで重炭酸イオンを除去することができるという観点からは、イオン交換樹脂4として、陰イオン交換樹脂の代わりにプロトン型イオン交換樹脂を用いてもよい。
本発明の機能水生成器1は、イオン交換槽2と電気分解部3とが導入管9で連結され、給水口8から供給された原水7がイオン交換槽2を通過して、電気分解部3に供給されるように構成されている。図1に示す例では、イオン交換槽2の底部(導入管9側)には微粉末除去手段10が設けられており、イオン交換樹脂4でイオン交換された原水7は、この微粉末除去手段10を通過することで水中の炭素粉塵、サビなどの微粉末を除去された上で、導入管9を通り、電気分解部3に供給される。微粉末除去手段10としては、上述のように水中の微粉末を除去し得るのであれば特に制限はなく、たとえば、不織布、濾紙、樹脂製のメッシュ状物(PSF(ポリスルフォン)メンブレン、PES(ポリエーテルスルホン)メンブレンなどを用いたフィルターなど)、グラスファイバ、ワイヤメッシュなどを好適に用いることができる。耐久性の観点からは、これらの中でも、樹脂製のメッシュ状物、グラスファイバ、ワイヤメッシュを微粉末除去手段として用いることは好ましい。
また図1に示す例では、電気分解部3には、開閉弁12を介して取水口11が設けられ、開閉弁12を開いたときに、電気分解部3内の水(電気分解後により得られた機能水)13を取り出すことができるように構成されている。
本発明の機能水生成器1における電気分解部3は、原水を電気分解し得る構成であれば特に制限なく、従来公知の適宜の構成を採用することができる。図1には、好ましい一例として、電気分解部3が、陽極および陰極の対を備える無隔膜(隔膜を備えない)一槽式の電解槽14を備え、バッチ式で原水を電気分解するように構成された例を示している。ここで、「バッチ式」とは、電解槽14に所定量の原水7を供給した後は、実質的に電解槽14内の水の出し入れを行うことなく、電気分解を行なう方式を意味する。
本発明の機能水生成器1において、電極は、金属電極5とイオン吸着電極6とを対として用いることが好ましく、金属電極5を陽極に、イオン吸着電極6を陰極にして電気分解することにより酸性水を生成することができ、逆に、金属電極5を陰極に、イオン吸着電極6を陽極にして電気分解することによりアルカリ水を生成することができる。なお、図1に示す例では、図1の紙面に関して左側に金属電極5、右側にイオン吸着電極6を配置した例を示しているが、金属電極、イオン吸着電極の配置は、図1の紙面に関して左右逆であっても勿論よい。
本発明の機能水生成器1において、金属電極5としては、水の電気分解を効率的に行いやすい金属、たとえば白金、金、パラジウム、ロジウムおよびイリジウムからなる群から選ばれるいずれか1つの金属(またはその合金)が好適であり、たとえばチタンからなる電極の表面を白金でコートしたものでもよい。
また、本発明の機能水生成器1において、イオン吸着電極6としては、導電性の炭素材料(たとえばカーボン繊維、活性炭など)からなる炭素電極を用いることができ、中でもイオンを吸着する比表面積の大きい活性炭を炭素電極の少なくとも一部に用いるのが好ましい。特に活性炭電極では水道水などの水中に溶存しているMgイオン、Caイオンなどの硬度成分を活性炭電極の有する多孔質吸着面を利用して効果的に吸着させることが可能であり、好適である。
本発明の機能水生成器1において、上述した金属電極5およびイオン吸着電極6は、その形状は特に制限されるものではなく、平板状、ラス(エキスパンダ)形状、棒状などであってよいが、電気分解の効率の観点からは、図1に示されるように、ラス(エキスパンダ)形状(ピッチ:5mm)に形成された金属電極5および平板状に形成されたイオン吸着電極6が、水平方向に、互いに平行に対向して間隔をおいて配設された例(縦型)を示しているが、電極の配置はこれに限定されるものではなく、鉛直方向に、互いに平行に対向して間隔をおいて金属電極、イオン吸着電極が配設されていても勿論よい(横型)。また、金属電極5、イオン吸着電極6共に平板状としても勿論よい。
本発明における電気分解部3の動作について、以下、説明する。
まず、給水口8から供給された原水7は、イオン交換槽2を通過した後、電気分解部3の無隔膜一槽式の電解槽14に供給される。使用する原水7としては、上述のように普通の水道水を用いることができ、具体的には、大阪府八尾市の水道水(pH=7.6、硬度:45mg/L)を原水7として用いた場合で説明する。この場合、原水500mLに対し、電流値が500mA、電極サイズが150mm×100mm、電極間距離が15mmにて電流を印加したとき、30〜35Vという比較的低い電圧値で電気分解を行い、酸性水を生成することができる。
電気分解は、まず、金属電極5を陽極、イオン吸着電極6を陰極として実行される。具体的には、原水7が500mLの場合、500mAで4分間程度電気分解を行うことで、pH=3.0〜3.2程度の酸性水が得られる。
電気分解時は、陽極である金属電極5から酸素ガスが放出され、残った水素イオンが水中に遊離することで、下記反応式(1)に示すように酸性化する。
2HO→O↑+4H+4e …式(1)
一方、陰極であるイオン吸着電極6では原水7中に溶存しているMgイオン、Caイオンなどの硬度成分を下記反応式(2)で示すようにイオン吸着電極6の有する多孔質吸着面を利用して電気二重層イオンとして効果的に吸着させている。
2++2e→M …式(2)
したがって、酸性水生成時において水の電気分解はほぼ金属電極上のみで行われるため、陽極である金属電極5で生成される水素イオン(H)によって酸性化し、また、陰極であるイオン吸着電極6で硬度成分が吸着されるため軟水化する。
一方、上記とは極性を反転させた電流を流して電気分解を実行することでアルカリ水の生成が可能である。具体的には、イオン吸着電極6を陽極、金属電極5を陰極として電気分解を実行する。これにより、陽極であるイオン吸着電極6では電極表面に付着した硬度成分Mが下記反応式(3)に示すようにM2+となって水中に溶出する。
M→M2++2e …式(3)
一方、陰極となる金属電極5の表面では、下記反応式(4)で表される反応が起こり、水素ガス(H)と水酸化イオン(OH)が発生する。これにより、電解槽14内の水はアルカリ側にシフトし、具体的には、電気分解を行う水が500mLの場合、500mAで180秒間電気分解を行うことで、pH=10.5〜11程度のアルカリ水が得られる。
2HO+2e→H↑+2OH …式(4)
図2は、原水を陰イオン交換樹脂を通過させたか否かによる電気分解の効率の違いを示すグラフであり、縦軸はpH、横軸は電解時間(分)である。図2には、以下の(A)、(B)、(C)、(D)それぞれの場合についての電解によるpHの経時的な変化を、酸性水、アルカリ水を生成した各場合について示している。
(A)水道水(重炭酸イオン濃度:50ppm)を陰イオン交換樹脂を通過させずに電気分解した場合(図2中、「水道水(重炭酸50ppm)」)、
(B)重炭酸イオン濃度100ppmに調整した水(高重炭酸水)を陰イオン交換樹脂を通過させずに電気分解した場合(図2中、「高重炭酸水(重炭酸100ppm)」)、
(C)水道水(重炭酸イオン濃度:50ppm)を陰イオン交換樹脂を通過させた後に電気分解した場合(図2中、「水道水+陰イオン交換樹脂」)、
(D)重炭酸イオン濃度100ppmに調整した水(高重炭酸水)を陰イオン交換樹脂を通過させた後に電気分解した場合(図2中、「高重炭酸水+陰イオン交換樹脂」)。
イオン交換を行う前は、電気分解により発生するHやOHは、水中の重炭酸イオンにより消費され、図2から、高重炭酸水(重炭酸イオン濃度:100ppm)の場合には特に、酸性方向のpH変化が進まないことが確認される(他の場合と同様のpHの変化を達成するためには、電解時間が長くなってしまう)。しかしながら、100ppmといった重炭酸イオン濃度の高い高重炭酸水であっても陰イオン交換樹脂でイオン交換した後の水に対して電気分解を行うと、より短い電解時間でpH4の弱酸性やpH10の弱アルカリ性に到達することが分かる。したがって、Cl型の陰イオン交換樹脂を用いイオン交換を行い、重炭酸イオンを除去することは短時間で所望のpHの酸性水、アルカリ水を生成するのに有効な手段であることが分かる。
本発明の機能水生成器は、上述のようにイオン交換樹脂を通過させた原水を電気分解する機能水生成器であることを前提とし、電気分解部3が、電圧および電流のいずれか一方を一定にして電気分解を行ない、電圧および電流のいずれか他方の変化を検知し、イオン交換槽におけるイオン交換樹脂の状態を判定可能に構成されていることを大きな特徴とする。図1に示す例では、たとえば、金属電極5およびイオン吸着電極6に、スイッチング回路を介して、一定の電流値で駆動(定電流駆動)するように電源(定電流発生源)が接続され、金属電極5およびイオン吸着電極6に供給される電流の向きは制御装置によって切換え制御されるように構成される。制御装置は従来公知の適宜のマイコン、CPUで実現でき、制御装置により電気分解部に供給する電流量及び電流の向きを制御するほか、開閉弁12の開閉などを制御するように構成すればよい。
ここで図3は、重炭酸イオンを含む水における電圧と電解時間との関係を示すグラフであり、縦軸は電圧(V)、横軸は電解時間(分)である。図3には、水道水(重炭酸イオン濃度:50ppm)を陰イオン交換樹脂を通過させずに電気分解した場合(図2中、「水道水(重炭酸濃度50ppm)」)、ならびに、重炭酸イオン濃度100ppmに調整した水(高重炭酸水)を陰イオン交換樹脂を通過させずに電気分解した場合(図2中、「高重炭酸水(重炭酸濃度100ppm)」)について、一定の電流値で(定電流駆動)酸性側に電気分解を行なったときの電圧の変化を示している。定電流駆動により電気分解を行なう場合、溶存イオンの種類によって電圧値は大きく変わる。図3に示す例では、一般的な水道水である八尾市の水道水(硬度:45mg/L、重炭酸イオン濃度:50mg/L)では電気分解時の電圧は初期で35〜40V程度であり、電気分解が進むにつれて、20V程度まで電圧低下する。これに対し、重炭酸イオン濃度の高い水(たとえば、硬度:90mg/L、重炭酸イオン濃度:100mg/Lの水)では、酸性側に電解した場合に陽極である金属電極から発生するHイオンが重炭酸イオンによって捕捉され、消費されるため、いわゆるプロトン伝導が進まず、一方でイオン吸着電極において硬度イオンが吸着されるため、伝導度が減少する。したがって、電気分解が進むに従って電圧が上昇し、最大で80V程度まで電圧が上がる。
本発明者らは、この点に着目し、定電流駆動での電気分解により電圧が上昇し、予め設定した数値(閾値)を超えた場合に、イオン交換樹脂のイオン交換能力が枯渇したと判定できることを見出した。なお、このことは、一定の電圧値で電気分解を行なう場合(定電圧駆動)にも、同様の現象により、電気分解が進むに従って電流値が下降すると考えられ、この電流値が予め設定した数値(閾値)よりも下回った場合に、イオン交換樹脂のイオン交換能力が枯渇したと判定することができる。定電流駆動で電気分解し、電圧値の変化でイオン交換樹脂のイオン交換能力の枯渇を判定する場合、定電流駆動するための回路設計が定電圧駆動の場合と比較すると複雑である反面、効率的に電気分解できるため、短時間で大量の機能水を生成できるという利点がある。このため、本発明の機能水生成器1は、定電流駆動で電気分解を行ない、電圧値の変化で陰イオン交換樹脂のイオン交換能力が枯渇したか否かを判定するようにすることが好ましい。
本発明の機能水生成器1は、イオン交換槽2に金属塩化物を供給するための金属塩化物供給部15をさらに備えていることが好ましい。上述のように、陰イオン交換樹脂は交換寿命が比較的短いため、たとえば500ccのSA10A樹脂を用い、重炭酸イオン濃度50mg/Lの水を通水した場合、400〜500L程度の水処理で、イオン交換に寄与するClイオンが枯渇し、重炭酸イオンの除去ができなくなってしまう。したがって、トイレ、洗面台などの衛生機器、または、食器洗浄機などの洗浄、殺菌の目的で機能水を用いる場合は大量の水を処理する必要があるため、上述のように陰イオン交換樹脂のイオン交換能力が枯渇していると判定された場合に、金属塩化物供給部よりイオン交換槽に金属塩化物を供給し、陰イオン交換樹脂の再生処理を行なう必要がある。
本発明の機能水生成器1は、定電流駆動で電気分解を行ない、陽極と陰極の間の電圧が所定値以上となったことが検知された場合に、別途設けられた制御系(図示せず)により、金属塩化物供給部から金属塩化物をイオン交換槽に自動的に供給されるように構成されることが好ましい(第2の実施態様)。すなわち、電圧値が閾値(たとえば60V)を超えたことを検知した段階で、陰イオン交換樹脂のイオン交換能力が枯渇したと判断し、金属塩化物供給部から自動的に供給を行なう。
また本発明の機能水生成器1は、上述のように自動的に金属塩化物を供給するのではなく、金属塩化物のイオン交換槽への供給が必要であることを通知するように構成されていてもよい(第3の実施態様)。たとえば、定電流駆動で電気分解を行なった場合に電圧値が閾値を超えたことを検知した段階で、LED灯やビープ音などで、金属塩化物のイオン交換槽への供給が必要であることをユーザーに通知する。この場合には、通知で金属塩化物のイオン交換槽への供給が必要であることを知ったユーザーの操作により、適宜、金属塩化物供給部から金属塩化物がイオン交換槽に供給される。このようにすることで、特別なセンサを設けることなしにユーザー側で水質を知ることができる他、検知が頻回になった場合、イオン交換樹脂の再生能力がゼロに近いことをユーザーが知ることができ、イオン交換樹脂の交換に備えることができる、といった利点がある。
上述のような重炭酸イオン濃度の高い水は、水中のカチオン−アニオン総量のイオン平衝を保つため、多くの場合硬水であり、イオン吸着電極6としてたとえば活性炭電極を用いてこのような硬水を原水として電気分解を行った場合、活性炭電極の表面に水中の硬度成分を吸脱着する際、活性炭表面の吸着点についた硬度成分が堆積する、という問題が生じうる。そこで、本発明の機能水生成器1は、金属塩化物供給部から金属塩化物をイオン交換槽に供給した後のイオン交換槽を通過した、金属塩化物を含む原水を電気分解するように構成されていることが、好ましい。
すなわち、イオン交換樹脂に通水した後の高濃度(後述するように、好適には10〜25wt%)の金属塩化物を含む水溶液(金属塩化物水溶液)を電解槽14に通水し、電気分解を行なう。このような金属塩化物水溶液を電気分解することにより、電解槽14内のpHを、通常の水道水では到達できないpH=1.5〜2の強酸性にすることができる。このような強酸性の水(強酸性水)は、炭酸カルシウム、水酸化カルシウムなどの活性炭上の硬度成分を溶解する能力が高いため、活性炭電極の表面の吸着点にこびりついた硬度成分を容易に溶解(溶出)除去することが可能である。なお、電気分解は先ず酸性方向に電気分解を行った後、逆電解を短時間行うことが望ましい。
このように金属塩化物供給部から金属塩化物をイオン交換槽に供給した後のイオン交換槽を通過した、金属塩化物を含む原水を電気分解することで、重炭酸イオン濃度の高い水を原水として用いて電気分解を行なった場合に発生する2つの問題点を解消することが可能となる。すなわち、(1)重炭酸イオン除去時の陰イオン交換樹脂を再生することができ、(2)活性炭電極上に堆積した硬度成分を除去することが可能となる。なお、このような金属塩化物水溶液の電気分解により生成した強酸性水は、機能水としては利用せずに、別経路を介して廃棄されることが望ましい。
金属塩化物の供給は、イオン交換樹脂のイオン交換能力の再生に必要な量であるという観点から、イオン交換槽における金属塩化物の濃度が10〜25wt%の範囲内となるように行なわれることが好ましく、金属塩化物の供給後の電気分解の効率が向上されるという観点からは、15〜20wt%の範囲内となるように行なわれることがより好ましい。たとえば重炭酸イオン濃度が100mg/L以上の高重炭酸水を機能水生成器に通水し続けた場合(後述する「通水式」の場合)であって、陰イオン交換樹脂のイオン交換能力が枯渇した場合であっても、電気分解時の電圧値が閾値を超えた段階で、たとえば15wt%程度になるように金属塩化物(たとえば、塩化ナトリウム)を水中に溶解することで、陰イオン交換樹脂に塩化物イオン(Cl)が供給されることで陰イオン交換樹脂の再生が行われ、陰イオン交換樹脂で再び重炭酸イオンを除去することが可能となる。このように、電気分解難度の高い超硬水に対し電気分解時の電圧の変化から陰イオン交換樹脂の交換能力の枯渇を判定し、陰イオン交換樹脂を復活させるため高濃度の金属塩化物水溶液を通水することで、超硬水に対しても、通常水と同様の電圧値にて電解が可能となるため、高電圧負荷を必要とせず、電源回路を簡易化でき、更に、ユーザーの安全性確保も可能となるという利点もある。
本発明の機能水生成器1において、金属塩化物供給部15からイオン交換槽2に供給される金属塩化物としては、上述した硬度成分の溶出の観点から、アルカリ金属塩化物であることが好ましく、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)などが特に好適に用いられ得る。
図4は、本発明の好ましい他の例(第4の実施態様)の機能水生成器21を模式的に示す図である。図4に示す例の機能水生成器21は、図1に示した例の機能水生成器1が「バッチ式」であったのに対し、給水口8’から原水7’を連続的に供給し、取出口11’から電気分解により生成された機能水13’を連続的に取出すことができる、「通水式」で構成される。通水式の場合には、電解槽14’内の脱泡のため、図4に示す例のように、電解槽の下方向から上方向に抜けるように水を供給することが好ましい。図4に示す例では、図1に示した例とは異なり、イオン交換槽2’の上側に電気分解部3’が配置される。なお、図4に示す例の機能水生成器21は、通水式であり、イオン交換槽と電気分解部との配置が上下逆であること以外は、図1に示した例の機能水生成器1と基本的な構成は同じであり、同様の構成を有する部分については、同じ参照符号に「’」を付けて(たとえばイオン交換槽2’、電気分解部3’など)、説明を省略する。
図4に示す例では、電解槽の下方向から上方向に抜けるように水を供給するため、イオン交換槽2’に原水7’を供給するための給水口8’にも、取出口11’に取り付けられた開閉弁12’と同様の開閉弁22が取り付けられる。また、図4に示す例では、水中の炭素粉塵、サビなどの微粉末を除去するために、イオン交換槽2’の導入管9’側だけではなく給水口8’側にも微粉末除去手段10’が設けられる。
図5は、図4に示した通水式の機能水生成器21を用いて、電気分解を行ない、酸性水、アルカリ水を生成した各場合についての通水速度に対するpHの変化を示すグラフであり、縦軸はpH、横軸は通水速度(L/分)である。図5には、大阪府八尾市の水道水(重炭酸イオン濃度:50ppm、pH:7.6、硬度:45mg/L)を陰イオン交換樹脂を通過させずに電気分解した場合(図5中、「水道水(重炭酸濃度50ppm)」)、ならびに、水道水(重炭酸イオン濃度:50ppm)を陰イオン交換樹脂を通過させた後に電気分解した場合(図5中、「水道水+陰イオン交換樹脂」)についての通水速度とpHとの関係を示している。電気分解は、ともに平板状の金属電極とイオン吸着電極を間隔をあけて平行に対向配置し、電流値:2.26mA、電極サイズ:150mm×100mm、電極間距離:6mmにて電流を印加する、という条件で行なった。
図5に示す結果から、イオン交換を行なう前は、電気分解により発生するHやOHは、水中の重炭酸イオンにより消費され、特に酸性方向のpH変化が進まないことが確認される。しかしながら、陰イオン交換樹脂を用いてイオン交換した後の原水を電気分解することで、電気分解の速度は飛躍的に増加する。特に流水速度1L/分以上でイオン交換樹脂の効果が大きく現れており、このような通水速度が速い領域において、イオン交換による重炭酸除去の効果が大きく表れることが分かった。
また、図5中、「水道水(重炭酸濃度50ppm)」では、酸性水を生成した場合、通水速度が遅いときにpHが下がりやすくなっていることも分かる。このことから、陰イオン交換樹脂が消耗してきた際には、通水速度をたとえば1L/分以下にまで下げることで、酸性水が生成しやすくなる。
図4に示す例の機能水生成器21の場合にも、図1に示した例の機能水生成器1と同様に、定電流駆動で電気分解を行ない、陽極と陰極の間の電圧が所定値以上となったことが検知された場合に、金属塩化物供給部から金属塩化物をイオン交換槽に自動的に供給されるように構成されることが好ましい(第5の実施態様)。
また、図1に示した例の機能水生成器1と同様に、定電流駆動で電気分解を行ない、陽極と陰極の間の電圧が所定値以上となったことが検知された場合に、自動的に金属塩化物を供給するのではなく、金属塩化物のイオン交換槽への供給が必要であることを通知するように構成されていてもよい(第6の実施態様)。
本発明の機能水生成器1では、定電流駆動で電気分解を行ない、電圧の変化でイオン交換樹脂のイオン交換能力の枯渇を検知し、適宜、金属塩化物をイオン交換槽に供給するように構成することで、効率よく、短時間で大量の機能水(酸性水、アルカリ水)を生成することが可能となる。このため、本発明の機能水生成器1で生成された機能水は、生成速度が要求される用途に特に好適に用いられ得る。このような用途としては、たとえば、固定式の食器洗浄機、トイレ、洗面台などの衛生機器、ならびに、自動車洗浄機などの室外用洗浄機などを好ましい例として挙げることができる。
1,21 機能水生成器、2、2’ イオン交換槽、3,3’ 電気分解部、4,4’ イオン交換樹脂、5,5’ 金属電極、6,6’ イオン吸着電極、7,7’ 原水、8,8’ 給水口、9,9’ 導入管、10,10’ 微粉末除去手段、11,11’ 取水口、12,12’ 開閉弁、13,13’ 機能水、14,14’ 電解槽、15,15’ 金属塩化物供給部、22 開閉弁。

Claims (10)

  1. イオン交換樹脂を含むイオン交換槽と、
    イオン交換槽を通過させた原水を陽極および陰極を用いて電気分解して機能水を生成する電気分解部とを備え、
    前記電気分解部は、電圧および電流のいずれか一方を一定にして電気分解を行ない、電圧および電流のいずれか他方の変化を検知し、イオン交換槽におけるイオン交換樹脂のイオン交換能力が枯渇しているか否かを判定可能に構成されている、機能水生成器。
  2. イオン交換樹脂が陰イオン交換樹脂であり、
    電気分解部が、電流を一定にして電気分解を行ない、陽極と陰極の間の電圧の変化を検知するように構成されている、請求項1に記載の機能水生成器。
  3. イオン交換槽に金属塩化物を供給するための金属塩化物供給部をさらに備え、
    陽極と陰極の間の電圧が所定値以上となったことが検知された場合に、金属塩化物供給部から金属塩化物をイオン交換槽に自動的に供給するか、または、金属塩化物のイオン交換槽への供給が必要であることを通知するように構成されている、請求項2に記載の機能水生成器。
  4. 金属塩化物供給部から金属塩化物をイオン交換槽に供給した後のイオン交換槽を通過した、金属塩化物を含む原水を電気分解するように構成されている、請求項3に記載の機能水生成器。
  5. 金属塩化物の供給は、イオン交換槽における金属塩化物の濃度が10〜25wt%となるように行なわれる、請求項4に記載の機能水生成器。
  6. 金属塩化物がアルカリ金属塩化物である、請求項3または4に記載の機能水生成器。
  7. 電気分解部が、金属電極とイオン吸着電極の対を備える無隔膜一槽式の電解槽を備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の機能水生成器。
  8. 電気分解部が通水式であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の機能水生成器。
  9. 電気分解部における通水速度が1L/分以上であることを特徴とする、請求項8に記載の機能水生成器。
  10. 生成された機能水が、食器洗浄機、衛生機器および室外用洗浄機からなる群から選ばれる少なくともいずれかの洗浄および殺菌に用いられる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の機能水生成器。
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