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JP2014233790A - 往復運動工具 - Google Patents

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剛也 藤本
Takeya Fujimoto
剛也 藤本
賢志 小堀
Kenji Kobori
賢志 小堀
佐藤 慎一郎
Shinichiro Sato
慎一郎 佐藤
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Hitachi Koki Co Ltd
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Abstract

【課題】ハウジングの重心を中心として生じる円周方向のモーメントを低減できるジグソーを提供する。
【解決手段】電動モータ14の動力でブレード27を往復運動させるジグソー10であって、ブレード27を支持するハウジング11と、ハウジング11に設けられ、かつ、ブレード27の往復運動により生じるハウジング11の重心B1を中心とする円周方向のモーメントを低減する動吸振器33と、を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、動力源の動力で先端工具を往復運動させる往復運動工具に関する。
従来、電動モータ、エンジン等の動力源の動力を先端工具に伝達し、先端工具を往復運動させることにより、対象物を切断する作業等に用いる往復運動工具が知られており、その一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された往復運動工具は、工具本体の内部に設けた電動モータの出力軸の回転力が伝達されるギヤと、ギヤの回転中心から偏心して設けられた偏心部と、偏心部が移動可能に配置される長孔を有するバランスウェイトと、バランスウェイトに連結されて往復運動するプランジャと、プランジャに取り付けられた先端工具とを有する。
特許文献1に記載された往復運動工具は、先端工具が往復運動して対象物を切断するにあたり、バランスウェイトが先端工具とは逆向きに動作することで、工具本体の振動を低減する。
特開2011−115913号公報
しかしながら、特許文献1に記載された往復運動工具は、工具本体の重心からバランスウェイトの重心までの距離と、工具本体の重心からプランジャの重心までの距離とが異なる。このため、バランスウェイトの動作によって工具本体の重心周りに発生するモーメントと、プランジャの動作によって工具本体の重心周りに発生するモーメントとが釣り合わず、工具本体の重心周りにおけるモーメントを低減できなかった。
本発明の目的は、工具本体の重心を中心とする円周方向のモーメントを低減できる往復運動工具を提供することにある。
一実施形態の往復運動工具は、動力源の動力を動力伝達部材を介して先端工具に伝達して、前記先端工具を往復運動させる往復運動工具であって、前記先端工具を支持する工具本体と、前記工具本体に設けられ、かつ、前記動力伝達部材または前記先端工具の少なくとも一方が所定方向に往復運動して生じる前記工具本体の重心を中心とする円周方向のモーメントを低減する動吸振器と、を有する。
本発明によれば、動力源の動力を先端工具に伝達する際に、工具本体の重心を中心とする円周方向のモーメントを低減できる。
本発明の往復運動工具を適用したジグソーの実施の形態1を示す断面図である。 図1に示すジグソーにおいて、振動を低減する原理を示す模式図である。 本発明の往復運動工具を適用したジグソーの実施の形態2を示す断面図である。 図4に示すジグソーにおいて、振動を低減する原理を示す模式図である。 本発明の往復運動工具を適用したジグソーの実施の形態3を示す断面図である。 図5に示すジグソーにおいて、振動を低減する原理を示す模式図である。 本発明の往復運動工具を適用したジグソーの実施の形態4を示す断面図である。 図7に示すジグソーにおいて、振動を低減する原理を示す模式図である。 本発明の往復運動工具を適用したジグソーの実施の形態5を示す平面図である。
(実施の形態1)
本発明の往復運動工具をジグソーに適用した実施の形態1を、図1及び図2に基づき説明する。図1は本発明の往復運動工具を適用したジグソー10の一部を破断して示す断面図である。ジグソー10は,工具本体としてのハウジング11を有しており、ハウジング11は水平方向に延ばされた第1筒部12と、第1筒部12の端部から上方に延ばされた第2筒部13と、第1筒部12の端部と第2筒部13の端部とを接続するハンドル部30と、を有している。第1筒部12の中心線と第2筒部13の中心線とは交差している。ジグソー10を側面視するとハウジング11は環状である。
第1筒部12内に電動モータ14が設けられている。電動モータ14の出力軸15にはピニオン16が設けられている。第1筒部12から第2筒部13の内部に亘り、ギヤホルダ17が固定して設けられており、ギヤホルダ17に取り付けた軸受18は、出力軸15を回転可能に支持している。
ギヤホルダ17には出力軸15と平行なスピンドル19が回転可能に支持されている。スピンドル19にはギヤ20が固定され、ギヤ20はピニオン16と噛合している。さらに、ピニオン16の中心線A5に沿った方向で、ギヤ20とギヤホルダ17との間にカム21が設けられている。カム21はギヤ20と一体的に設けられており、カム21はギヤ20と共に一体回転する。カム21は、中心線A5と垂直な平面内における外周形状が円形であり、カム21の中心から偏心した位置に、スピンドル19の中心線A1が配置されている。
中心線A1に沿った方向で、ギヤホルダ17とギヤ20との間にバランスウェイト22が設けられている。バランスウェイト22には、中心線A1に沿った方向に貫通する楕円穴23が設けられている。中心線A1に対して垂直な平面内で、楕円穴23の内周面形状は楕円形となっており、楕円穴23内にカム21が移動可能に配置されている。中心線A1に対して垂直な平面内で、カム21はバランスウェイト22に対して移動可能である。このため、ギヤ20とカム21とが一体回転すると、カム21の移動力によってバランスウェイト22が往復動作する。
バランスウェイト22は、図1において上下方向に往復運動可能である。また、ハウジング11の内部には、バランスウェイト22の動作方向を規定するガイド部材が設けられている。中心線A1に対して垂直な平面内で、バランスウェイト22の往復動作量は、中心線A1に対するカム21の中心の偏心量の2倍に相当する。
ギヤ20において、中心線A1から偏心した位置には、中心線A1に沿った方向の長さを有するピン24が設けられている。中心線A1に対するピン24の偏心位置は、中心線A1に対するカム21の偏心位置に対して、180度の位置にある。また、第1筒部12から第2筒部13の内部に亘り、図1で上下方向に往復動作可能なプランジャ25が設けられている。プランジャ25は、本発明の動力伝達部材に相当する。また、ハウジング11の内部に、プランジャ25の動作方向を規定するガイド部材が設けられている。プランジャ25には長孔26が設けられており、ピン24が長孔26内に移動可能に挿入されている。
プランジャ25の下端には、先端工具であるブレード27が着脱自在に装着されており、ハウジング11の下部にはベース28が水平に取り付けられている。ベース28には開口部29が設けられており、ブレード27は開口部29を通ってベース28の下方へ略垂直に延出している。中心線A1と平行な平面内で、プランジャ25の往復動作量は、中心線A1から、ピン24の中心の偏心量の2倍に相当する。
また、第1筒部12の端部と第2筒部13の端部とを接続するハンドル部30が設けられている。ハンドル部30の中心線は、プランジャ25の往復動方向と同一平面上にある。ハンドル部30にはスイッチ31が設けられている。スイッチ31は、作業者により操作される。また、ハウジング11における第1筒部12の端部に電源コード32が接続されており、外部電源から電源コード32を介して電力が供給される。ハンドル部30のうちスイッチ31を収容する部位、つまり、第1ハンドル部は、ハンドル部30と第2筒部13との接続部に近い位置である。また、第1ハンドル部は、作業者がスイッチ31を操作する空間を確保するため、後述する第2ハンドル部と比べて、水平に近い角度で延びている。
さらに、ハンドル部30は筒状であり、ハンドル部30の内部に動吸振器33が設けられている。ハンドル部30のうち動吸振器33を収容する部位、つまり、第2ハンドル部は、第1ハンドル部よりもハンドル部30と第1筒部12との接続部に近い位置である。また、第2ハンドル部は、第1ハンドル部と比べて、水平方向に対して傾斜した角度で延びている。動吸振器33は、ハンドル部30に固定して設けられたケース34と、ケース34の内部に移動可能に配置したウェイト35と、ケース34の内部に設けられた2個の弾性体36とを有する。ケース34の内部には、ウェイト35により仕切られた空気室37が2個形成されている。弾性体36は空気室37にそれぞれ1個づつ設けられている。ケース34には空気室37に通じる空気穴38が形成されている。
ウェイト35は金属材料等により一体成形されている。2個の弾性体36は、金属製の圧縮コイルバネである。ウェイト35は2個の弾性体36の間に介在されており、中心線A4に沿った方向に往復運動可能である。つまり、ウェイト35は、重心B1を中心とする円の接線方向に往復運動可能である。ジグソー10を側面視すると、プランジャ25が往復動する中心線A2と、バランスウェイト22が往復動する中心線A3とは平行である。ウェイト35が往復運動する中心線A4を延長すると、中心線A2と交差する。中心線A4は、本発明の第1中心線に相当し、中心線A2は、本発明の第2中心線に相当する。
また、本実施の形態では、ウェイト35は、プランジャ25の往復動方向を含む平面上で、第1筒部12の端部とハンドル部30との接続部に近付く一方向と、第2筒部13とハンドル部30の端部との接続部に近付く他方向との間で、往復運動をする。第2ハンドル部は、スイッチ31を収納しない分の空間の余裕があるため、第2ハンドル部に動吸振器33を設けてもハウジング11全体の大型化を最小限に留めることができる。また、第2ハンドル部は、振動が発生する第2筒部13及び重心B1から離れているため、効果的に回転モーメントを低減することができる。
次に、ジグソー10の動作について説明する。作業者が電源コード32を外部電源に接続した後、ハンドル部30を把持し、スイッチ31を操作することにより電動モータ14に電力が供給され、出力軸15が回転する。出力軸15のトルクがギヤ20に伝達される場合、出力軸15の回転速度に対してギヤ20の回転速度が低くなる。すなわち、ピニオン16及びギヤ20は減速機であり出力軸15のトルクが増幅されてギヤ20に伝達される。
ギヤ20がスピンドル19を中心として回転すると、ピン24が中心線A1の回りを公転し、ピン24が長孔26内を移動する。このため、ピン24が公転する力が、プランジャ25を中心線A2に沿った方向に往復運動させる力に変換され、プランジャ25及びブレード27は、図1で共に上下方向に往復運動する。ベース28を対象物39に接触させると、対象物39はブレード27により切断される。対象物39は、木材、鋼板を含む。
次に、ジグソー10の振動を低減する原理を説明する。電動モータ14の回転力が、プランジャ25が往復動作する力に変換されて、プランジャ25及びブレード27が中心線A2に沿った方向に往復運動し、ジグソー10を振動させる力が生じる。なお、プランジャ25及びブレード27は一体で往復運動するため一体物として取扱い、便宜上、プランジャ25と記す。
一方、カム21がギヤ20と共にスピンドル19を中心として一体回転すると、カム21は、バランスウェイト22の楕円穴23内で長軸方向に動作する。このため、カム21の回転力が、バランスウェイト22を中心線A3に沿った方向に往復動させる力に変換され、バランスウェイト22が図1で上下方向に往復動する。このように、電動モータ14の動力の一部がバランスウェイト22に伝達されて、バランスウェイト22が強制振動される。
バランスウェイト22が中心線A3に沿って往復動作する向きは、プランジャ25が中心線A2に沿って往復動作する向きとは逆位相である。このため、バランスウェイト22の質量mw1、バランスウェイト22の往復移動量dw1、プランジャ25の質量mp、往復移動量dpの関係は、数式(1)を概ね満足するよう設計することで、プランジャ25の往復運動によるジグソー10の振動を低減可能である。
mw1×dw1=mp×dp ・・・数式(1)
ところで、プランジャ25及びバランスウェイト22は、同周期で逆位相の往復運動をするが、ジグソー10の重心B1から、プランジャ25の重心B2までの距離Lpと、重心B1から、バランスウェイト22重心B3までの距離Lw1が異なる。このため、ジグソー10において、数式(2)に示すモーメントMが発生する。ジグソー10の重心B1は、電動モータ14、バランスウェイト22、ギヤ20、プランジャ25、ブレード27、ギヤホルダ17、動吸振器33等を含む全ての部品が取り付けられたハウジング11の重心である。
M=(mp×dp×Lp)−(mw1×dw1×Lw1) ・・・数式(2)
数式(2)において、(mp×dp×Lp)は、プランジャ25の往復運動により生じるモーメントM1を表し、(mw1×dw1×Lw1)は、バランスウェイト22の往復運動により生じるモーメントM2を表す。モーメントM,M1,M2は、全て重心B1を中心とする円周方向の力である。
また、中心線A2は、重心B1を中心とする円の接線であり、中心線A3は重心B1を中心とする円の接線である。さらに、距離LP>距離LWの関係にある。このため、プランジャ25の往復運動によるジグソー10の振動を、バランスウェイト22の往復運動により低減しようとすると、モーメントM1からモーメントM2を差し引いた分のモーメントMが生じる。
本実施形態のジグソー10は、モーメントM1からモーメントM2を差し引いた分のモーメントMを零とするために、バランスウェイト22に加えて、動吸振器33を有する。つまり、ウェイト35は、ジグソー10が振動すると中心線A4に沿った方向に往復運動し、ジグソー10の固有振動数周辺における共振現象を抑制する。中心線A4は、重心B1を中心とする円に対する接線であり、プランジャ25が図1で上に向けて動作すると、ウェイト35は第1筒部12から離れる向きで接線方向に運動する。
このため、ウェイト35が中心線A4に沿った方向に往復運動すると、ハウジング11では、重心B1を中心とする円周方向に、モーメントM3が生じる。モーメントM3はモーメントM1に対して逆向きである。したがって、このため、バランスウェイト22及び動吸振器33を有するジグソー10においては、モーメントMを、数式(3)のように零にすることができる。
M=(mp×dp×Lp)−(mw1×dw1×Lw1)−(mw2×dw2×Lw2)=0 ・・・数式(3)
すなわち、ウェイト35の往復運動によりより生じるモーメントM3は、(mw2×dw2×Lw2)で表される。そして、数式(3)を概ね満足するように、ウェイト35の質量mw2、ウェイト35の移動量dw2、ウェイト35の重心B4から、重心B1までの距離Lw2を設計すればよい。
このように、ジグソー10は、重心B1を中心として円周方向に生じるモーメントMを相殺することができ、重心B1を中心とする回転方向の振動を低減することができる。また、距離Lw2、移動量dw2、質量mw2を調整することで、ウェイト35の往復運動によるジグソー10の振動は低減可能である。
また、ウェイト35は強制振動により振動する訳ではなく、プランジャ25の往復運動により生じる振動を加振力として振動する。つまり、電動モータ14の動力は、動吸振器33のウェイト35を振動させることに消費されないため、電動モータ14の動力損失を抑制できる。さらに、電動モータ14の動力をウェイト35の振動力に変換する機構を設けずに済み、ジグソー10の構造が複雑化することを抑制できる。
さらに、図2のようにジグソー10を側面視すると、重心B4は、重心B1に対して、重心B2,B3とは反対側に設けられている。このため、重心B1から重心B4までの距離Lw2を、距離Lw1,Lpよりも長くすることができる。したがって、ウェイト35の質量mw2を小さくすることができ、動吸振器33の構造を簡略化できる。また、動吸振器33を、電動モータ14、プランジャ25等から離れた箇所に設けることができる。具体的に説明すると、動吸振器33は、ハンドル部30内部に元々あるデッドスペースを利用して配置されている。
(実施の形態2)
本発明の往復動工具の実施の形態2に相当するジグソー10を、図3に基づいて説明する。図3に示すジグソー10の構造は、図1に示すジグソー10と共通しており、図3に示すジグソー10と、図1に示すジグソー10との相違点は、動吸振器33の配置位置である。図3に示すジグソー10は、第1筒部12内であって、第2筒部13とは反対側の端部に、動吸振器33が設けられている。つまり、中心線A5に沿った方向で、動吸振器33とギヤホルダ17との間に電動モータ14が配置されている。図3に示す動吸振器33は、ウェイト35が中心線A4に沿って往復動作し、中心線A4は中心線A2と平行である。また、中心線A4に沿った方向で、電動モータ14の配置領域と、動吸振器33の配置領域とが、少なくとも一部で重なっている。
図3に示すジグソー10も、数式(3)となるように設計すれば、図1のジグソー10と同様にモーメントMを零とすることができる。なお、図3のジグソー10で振動を低減する原理は、図4に模式図で示されている。したがって、図3のジグソー10は、図1のジグソー10と同様の効果を得られる。本実施の形態においても、第2筒部13から離れた位置に動吸振器33を設けたことによって、空間の有効利用と、効果的な回転モーメント低減を実現している。
(実施の形態3)
次に、本発明の往復運動工具の実施の形態3に相当するヘッジトリマを、図5及び図6に基づいて説明する。ヘッジトリマは生垣の刈込、庭木の剪定などに用いる。すなわち、対象物を先端工具で切断する往復運動工具である。ヘッジトリマ40はハウジング41を有しており、ハウジング41の内部に電動モータ42が設けられている。
また、ハウジング41に着脱される電池パック43が設けられており、ハウジング41に設けたスイッチ44を作業者が操作すると、電池パック43の電力が電動モータ42に供給されて、電動モータ42の出力軸45が一方向に回転する。出力軸45にはギヤ49が取り付けられている。ハウジング41には先端工具46が取り付けられている。先端工具46は、ハウジング41に動かないように固定された固定刃47と、ハウジング41に対して動くように設けられた可動刃48とを有する。
ハウジング41には、電動モータ42の動力を可動刃48に伝達する動力伝達機構が設けられている。この動力伝達機構は、ギヤ49と噛み合うギヤ50と、ギヤ50と同軸に、かつ、一体回転するように設けたギヤ51と、ギヤ51と噛み合うギヤ52とを有する。ギヤ52は、本発明の回転要素に相当する。ギヤ51の歯数は、ギヤ50の歯数よりも少なく、ギヤ52の歯数はギヤ51の歯数よりも多い。このため、電動モータ42のトルクをギヤ49,50を介してギヤ52に伝達すると、出力軸45の回転速度よりもギヤ52の回転速度の方が低速となる。すなわち、動力伝達機構は減速機であり、伝達するトルクを増幅する。
ギヤ52は支持軸53を中心として回転し、ギヤ52と共に回転する偏心軸54が設けられている。偏心軸54の中心は支持軸53の中心に対して偏心されており、ギヤ52が回転すると、偏心軸54は支持軸53の回りを公転する。
一方、ハウジング41には、可動刃48を中心線C1に沿った方向に往復運動させるガイド部材が設けられており、可動刃48にはピン55が設けられている。そして、偏心軸54とピン55とがコンロッド56により連結されている。ヘッジトリマ40を平面視すると、コンロッド56は支持軸53を中心として揺動運動可能である。このため、ギヤ52が回転して、偏心軸54が支持軸53の回りを公転すると、偏心軸54の回転力は、可動刃48を中心線C1に沿った方向に運動させる往復運動力に変換される。このように、コンロッド56及び偏心軸54の往復運動方向は、可動刃48の往復運動方向とは異なる。上記偏心軸54及びコンロッド56は、本発明の動力伝達部材に相当する。
さらに、ハウジング41の内部には動吸振器57が設けられている。また、図6のようにヘッジトリマ40を平面視すると、板バネ58は、中心線C1に沿って板バネ58が配置されている。さらに、先端工具46と動吸振器57との間に、ギヤ49,50,51,52及びコンロッド56等が配置されている。ギヤ49,50,51,52の回転中心は、中心線C1上に配置されている。
さらに、動吸振器57は、金属製の板バネ58と、板バネ58に固定したウェイト59とを有する。板バネ58は、中心線C1に沿った方向の両端が固定具59Aによりぞれぞれ固定された両持ち梁状態で、ハウジング41内に設けられている。また、ヘッジトリマ40を平面視すると、板バネ58の厚さ方向が、中心線C1に対して直交する方向となる向きで、板バネ58が取り付けられている。すなわち、板バネ58は、ヘッジトリマ40を平面視すると、中心線C1に対して交差する方向に弾性変形することが可能である。
図5及び図6に示すヘッジトリマ40においては、電動モータ42のトルクがギヤ49,50,51,52を経由して支持軸53に伝達され、支持軸53が回転する。支持軸53の回転力は、コンロッド56を経由して可動刃48に伝達され、可動刃48が中心線C1に沿った方向に往復運動する。その結果、固定刃47と可動刃48との間にある対処物が、せん断力で切断される。
ところで、偏心軸54が支持軸53を中心として公転し、かつ、コンロッド56が動作する際、ヘッジトリマ40を平面視すると、ヘッジトリマ40を中心線C1に対して交差する方向E1に沿って振動させる力が生じる。方向E1は、本発明の所定方向に相当する。一方、ヘッジトリマ40を振動させようとする力が生じると、その力で動吸振器57が振動を低減する。すなわち、板バネ58が弾性変形して、ウェイト59が方向E1と同じ方向に往復運動する。ウェイト59が動作する向きは、コンロッド56が動作する向きとは逆位相となり、ヘッジトリマ40の振動を低減する。
ここで、図6のようにヘッジトリマ40を平面視すると、ヘッジトリマ40の重心D1は、ハウジング41であって、中心線C1上であり、かつ、先端工具46が取り付けられている側の端部と、支持軸53との間にある。つまり、コンロッド56及び偏心軸54が往復運動すると、コンロッド56及び偏心軸54の質量、コンロッド56及び偏心軸54の重心から重心D1までの距離、コンロッド56及び偏心軸54の移動量に基づいて振動力が発生する。
これに対して、ウェイト59が往復運動すると、ウェイト59の質量、ウェイト59の重心F1から重心D1までの距離、ウェイト59の移動量に基づいて、振動を打ち消す力が発生する。このように、実施の形態3におけるヘッジトリマ40は動吸振器57を有するため、振動を低減できる。なお、ヘッジトリマ40の重心D1は、電動モータ42、電池パック43、先端工具46、動力伝達機構、動吸振器57等、全ての部品が取り付けられたハウジング41の重心である。
(実施の形態4)
次に、本発明の往復運動工具の実施の形態4に相当するヘッジトリマを、図7及び図8に基づいて説明する。図7及び図8に示すヘッジトリマ40において、図5及び図6に示すヘッジトリマ40と同じ構造部分については、図5及び図6と同じ符号を付してある。図7及び図8に示すヘッジトリマ40は、動吸振器60の構造が、動吸振器57とは異なる。
さらに、動吸振器60は金属製の板バネ61を有し、板バネ61の長手方向の一端は固定具62により固定されている。また、板バネ61の自由端には、板バネ61の厚さを他の部位よりも厚くしたウェイト部63が設けられている。板バネ61は、中心線C1に沿った方向の一端が固定具62により固定された片持ち梁状態で、ハウジング41内に設けられている。また、ヘッジトリマ40を平面視すると、板バネ61の厚さ方向が、中心線C1に対して直交する方向となる向きで、板バネ61が取り付けられている。すなわち、板バネ61は、ヘッジトリマ40を平面視すると、固定具62を支点として、中心線C1に対して交差する方向E1に沿って弾性変形することが可能である。
ところで、偏心軸54が支持軸53を中心として公転し、かつ、コンロッド56が動作する際、ヘッジトリマ40を平面視すると、ヘッジトリマ40を中心線C1に対して交差する方向E1に沿って振動させる力が生じる。一方、ヘッジトリマ40を振動させようとする力が生じると、その力で動吸振器57が振動を低減する。すなわち、板バネ58が弾性変形して、ウェイト59が方向E1と同じ方向に往復運動する。ウェイト59が動作する向きは、コンロッド56が動作する向きとは逆位相となり、ヘッジトリマ40の振動を低減する。
図7及び図8のヘッジトリマ40において、図5及び図6のヘッジトリマ40と同じ構成部分については、同様の作用が生じる。これに対して、動吸振器60のウェイト部63が往復運動すると、ウェイト部63の質量、ウェイト部63の重心G1から重心D1までの距離、ウェイト部63の移動量に基づいて、振動を打ち消す力が発生する。このように、実施の形態4におけるヘッジトリマ40は動吸振器60を有するため、振動を低減できる。
(実施の形態5)
次に、本発明の往復運動工具の実施の形態5に相当するヘッジトリマを、図9に基づいて説明する。図9に示すヘッジトリマ40において、図5及び図6に示すヘッジトリマ40と同じ構造部分については、図5及び図6と同じ符号を付してある。図9に示すヘッジトリマ40は、動吸振器64の構造が、動吸振器57とは異なる。動吸振器64はハウジング41内に設けられている。動吸振器64はケース34を有し、ケース34内にはウェイト66が設けられている。ヘッジトリマ40を平面視すると、ウェイト66は中心線C1に対して交差する方向E1に沿って動作である。図9では、方向E1は中心線C1に対して直交している。ケース65の内部において、方向E1でウェイト66の両側に弾性体67,68が設けられている。弾性体67,68は圧縮コイルバネであり、弾性体67,68の力がウェイト66に加わっている。
図9のヘッジトリマ40において、図5及び図6のヘッジトリマ40と同じ構成部分については、同様の作用が生じる。図9に示すヘッジトリマ40は、電動モータ42のトルクを先端工具46に伝達して対象物を切断する作業を行うと、図7及び図8のヘッジトリマ40と同様の原理で、ヘッジトリマ40を中心線C1に対して交差する方向E1に沿って振動させる力が生じる。一方、ヘッジトリマ40を振動させようとする力が生じると、その力で動吸振器64が振動を低減する。すなわち、弾性体67,68が弾性変形して、ウェイト66が方向E1と同じ方向に往復運動する。ウェイト66が動作する向きは、コンロッド56が動作する向きとは逆位相となり、ヘッジトリマ40の振動を低減する。つまり、ウェイト66の質量、ウェイト66の重心H1から重心D1までの距離、ウェイト66の移動量に基づいて、振動を打ち消す力が発生する。このように、実施の形態5におけるヘッジトリマ40は動吸振器64を有するため、振動を低減できる。
本発明の往復運動工具は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、実施の形態1及び実施の形態2のジグソーは、外部電源の電力が電動モータに供給される構成であるが、ハウジングに電池パックを着脱可能であれば、電池パックの電力を電動モータに供給することもできる。図1に示すジグソー10において、動吸振器を第2筒部13とハンドル部30との接続箇所の内部に設けることも可能である。この場合、補助ウェイトが往復運動する中心線は、中心線A2と同軸、または、中心線A2と交差する。
さらに、本明細書に記載した平行、垂直の用語は、構成同士が完全に平行、垂直である意味の他、要素の寸法誤差、要素の組み付け誤差などにより、略平行、略垂直であることを含む。
さらに、本発明における回転要素は、ギヤの他、プーリ、ローラを含む。さらに、全ての実施形態において、動力源は電動モータに代えてエンジンを用いることも可能である。本発明における動力伝達部材は、プランジャ、シャフト、メンバ、ホルダ等の要素を含む。さらにまた、本発明は、動力源の動力を先端工具に伝達する構造での往復運動工具、例えば、ハンマ、ハンマドライバ、ハンマドリル、セーバソー等を含む。
10…ジグソー、 11,41…ハウジング、 14…電動モータ、 22…バランスウェイト、 25…プランジャ、 27,46…先端工具、 33,57,60,64…動吸振器、 35…補助ウェイト、 40…ヘッジトリマ、 47…固定刃、 48…可動刃、 52…ギヤ、 53…支持軸、 54…偏心軸、 56…コンロッド、 E1…方向、 A2,A4…中心線、 B1,D1…重心。

Claims (12)

  1. 動力源の動力を動力伝達部材を介して先端工具に伝達して、前記先端工具を往復運動させる往復運動工具であって、
    前記先端工具を支持する工具本体と、
    前記工具本体に設けられ、かつ、前記動力伝達部材または前記先端工具の少なくとも一方が所定方向に往復運動して生じる前記工具本体の重心を中心とする円周方向のモーメントを低減する動吸振器と、
    を有する、往復運動工具。
  2. 前記工具本体に、前記所定方向と同じ方向に往復運動可能に設けられ、かつ、前記動力伝達部材または前記先端工具の少なくとも一方が往復運動する向きとは逆向きに往復運動して前記工具本体の振動を低減するバランスウェイトを有する、請求項1に記載の往復運動工具。
  3. 前記工具本体は、
    前記動力源を収容し、かつ、前記所定方向に直交する方向に延びる第1筒部と、
    前記第1筒部の端部に接続され、かつ、前記動力伝達部材を収容し、かつ、前記所定方向に延びる第2筒部と、
    前記第1筒部と前記第2筒部とを接続するハンドル部と、
    を有し、
    前記動吸振器は、前記ハンドル部内に設けられる、請求項1または2に記載の往復運動工具。
  4. 前記動吸振器は、ウェイトと、前記ウェイトを往復運動可能に支持する弾性体とを有し、
    前記ウェイトは、前記所定方向を含む平面上で、一方向に移動した際に前記第1筒部と前記ハンドル部との接続部に近付き、かつ、他方向に移動した際に前記第2筒部と前記ハンドル部との接続部に近付く、請求項3に記載の往復運動工具。
  5. 前記工具本体は、
    前記動力源を収容し、かつ、前記所定方向に直交する方向に延びる第1筒部と、
    前記第1筒部の端部に接続され、かつ、前記動力伝達部材を収容し、かつ、前記所定方向に延びる第2筒部と、
    前記第1筒部の端部と前記第2筒部の端部とを接続するハンドル部と、
    を有し、
    前記動吸振器は、前記第1筒部内であって、前記第2筒部とは反対側の端部に設けられる、請求項2に記載の往復運動工具。
  6. 前記動吸振器は、ウェイトと、前記ウェイトとを往復運動可能に支持する弾性体とを有し、
    前記ウェイトの往復運動方向は、前記所定方向と平行である、請求項5に記載の往復運動工具。
  7. 前記動吸振器は、前記工具本体の振動で往復運動するウェイトと、前記ウェイトを往復運動可能に支持する弾性体と、を有し、
    前記ウェイトは、前記重心を中心とする円の接線方向に往復運動する、請求項2に記載の往復運動工具。
  8. 前記ウェイトが往復運動する第1中心線は、前記動力伝達部材または前記先端工具の少なくとも一方が往復運動する第2中心線に対して交差する、請求項7に記載の往復運動工具。
  9. 前記ウェイトが往復運動する第1中心線は、前記動力伝達部材または前記先端工具の少なくとも一方が往復運動する第2中心線に対して平行である、請求項7に記載の往復運動工具。
  10. 前記動力伝達部材及び前記先端工具は、共に前記所定方向に往復運動する、請求項7に記載の往復運動工具。
  11. 前記先端工具は、
    前記工具本体に固定された固定刃と、
    前記動力源の動力で往復運動する可動刃とを有し、
    前記動力伝達部材の往復運動方向は、前記可動刃の往復運動方向とは異なり、
    前記動吸振器は、前記動力伝達部材が往復運動して生じる前記工具本体の重心を中心とする円周方向のモーメントを低減する、請求項1に記載の往復運動工具。
  12. 前記動力伝達部材は、
    前記動力源の動力が伝達され、かつ、支持軸を中心として回転する回転要素と、
    前記支持軸に対して偏心して設けられ、かつ、前記回転要素に伝達された動力で回転する偏心軸と、
    前記偏心軸に連結され、かつ、前記偏心軸の回転力を前記可動刃の往復運動力に変換するコンロッドと、
    を有する、請求項11に記載の往復運動工具。
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