JP2014143344A - 波長変換部材及びこれを用いた半導体発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】半導体発光装置に設けられた際に当該半導体発光装置の発光効率を低下させることなく、蛍光体の含有量を減少させてコスト低減を図ることができる波長変換部材、及び当該波長変換部材を用いた半導体発光装置を提供する。
【解決手段】入射する青色光の少なくとも一部を波長変換し、複数の可視光を合成して合成白色光を出射する波長変換部材であって、前記青色光の少なくとも一部を吸収して前記青色光とは異なる波長の光を出射する蛍光体、及び前記蛍光体を保持する母材からなる透明部材と、前記合成白色光を構成する第1可視光の入射角0度から30度の範囲の平均透過率が20%以下であり、且つ前記合成白色光を構成する第2可視光の入射角0度から30度の範囲の平均透過率が80%以上であるフィルターと、を有し、前記フィルターは、前記合成白色光の出射側に位置すること。
【選択図】図1
【解決手段】入射する青色光の少なくとも一部を波長変換し、複数の可視光を合成して合成白色光を出射する波長変換部材であって、前記青色光の少なくとも一部を吸収して前記青色光とは異なる波長の光を出射する蛍光体、及び前記蛍光体を保持する母材からなる透明部材と、前記合成白色光を構成する第1可視光の入射角0度から30度の範囲の平均透過率が20%以下であり、且つ前記合成白色光を構成する第2可視光の入射角0度から30度の範囲の平均透過率が80%以上であるフィルターと、を有し、前記フィルターは、前記合成白色光の出射側に位置すること。
【選択図】図1
Description
本発明は、入射光の少なくとも一部を波長変換して当該入射光とは異なる波長の出射光を放出する波長変換部材、及び当該波長変換部材と半導体発光素子とを用いた半導体発光装置に関する。
発光装置の光源として白熱電球や蛍光灯が従来より広く用いられている。近年では、これらに加え、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)や有機EL(OLED)等の半導体発光素子を光源とした半導体発光装置が開発され使用されつつある。これらの半導体発光素子では、様々な発光色を得ることが可能であるため、発光色の異なる複数の半導体発光素子を組み合わせ、それぞれの発光色を合成して所望の色の合成光を得るようにした半導体発光装置も開発され使用され始めている。
例えば、発光色が赤色のLEDチップを用いた赤色LEDと、発光色が緑色のLEDチップを用いた緑色LEDと、発光色が青色のLEDチップを用いた青色LEDとを組み合わせ、各LEDに供給する駆動電流を調整して各LEDから発せられた光を合成することにより、所望の白色光を放射させるようにした半導体発光装置が特許文献1に開示されている。
元来、LEDチップ自体の発光スペクトル幅は比較的狭いため、LEDチップ自体が発する光をそのまま照明に用いた場合、一般的な照明光において重要となる演色性が低下するという問題がある。そこで、このような問題を解消すべく、LEDチップが発する光を蛍光体などの波長変換部材によって波長変換し、波長変換によって得られた光を放射するようにしたLEDが開発され、このようなLEDを組み合わせた半導体発光装置が、例えば特許文献2に開示されている。
特許文献2に開示されている半導体発光装置においては、青色の光を発するLEDチップを接触しつつ覆うように透明樹脂が設けられ、当該透明樹脂の内部に黄色蛍光体が含有されている。すなわち、特許文献2に開示されている半導体発光装置は、LEDチップを直接的に覆うように波長変換部材が設けられている。しかしながら、このような構造を有する半導体発光装置においては、半導体発光装置の輝度のばらつき及び色むらが大きかった。このような問題を解決するために、LEDチップから蛍光体を含有する樹脂(すなわち、波長変換部材又は蛍光体層)を離間して配置した構造を有する半導体発光装置の研究開発及び製品化が、近年においては盛んに行われている。このような構造を有する半導体発光装置は、例えば特許文献3に開示されている。
しかしながら、LEDチップから離間して波長変換部材を設ける構造は、LEDチップを接触して覆うように波長変換部材を設ける構造と比較して、波長変換部材の寸法が大きくなり、これによって樹脂に含有される蛍光体の量が増加する。一般的に、LEDチップから波長変換部材を離間する場合には、LEDチップを波長変換部材で直接的に覆う場合と同一の発光効率を得るために、従来よりも数倍以上の蛍光体が必要となる。従って、波長変換部材に使用する蛍光体量を削減することが求められている。
以上のことから、LEDチップから離間して波長変換部材を設ける構造を有する半導体発光装置においては、従来よりも蛍光体の量が増加し、波長変換部材及び半導体発光装置のコストが増加する問題が生じていた。特に、多数のLEDチップに対して単一の波長変換部材を設ける場合には、製品コストが増加していた。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、半導体発光装置に設けられた際に当該半導体発光装置の発光効率を低下させることなく、蛍光体の含有量を減少させてコスト低減を図ることができる波長変換部材、及び当該波長変換部材を用いた半導体発光装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の波長変換部材は、入射する青色光の少なくとも一部を波長変換し、複数の可視光を合成して合成白色光を出射する波長変換部材であって、
前記青色光の少なくとも一部を吸収して前記青色光とは異なる波長の光を出射する蛍光体、及び前記蛍光体を保持する母材からなる透明部材と、前記合成白色光を構成する第1可視光の入射角0度から30度の範囲の平均透過率が20%以下であり、且つ前記合成白色光を構成する第2可視光の入射角0度から30度の範囲の平均透過率が80%以上であるフィルターと、を有し、前記フィルターは、前記合成白色光の出射側に位置することを特徴とする。
前記青色光の少なくとも一部を吸収して前記青色光とは異なる波長の光を出射する蛍光体、及び前記蛍光体を保持する母材からなる透明部材と、前記合成白色光を構成する第1可視光の入射角0度から30度の範囲の平均透過率が20%以下であり、且つ前記合成白色光を構成する第2可視光の入射角0度から30度の範囲の平均透過率が80%以上であるフィルターと、を有し、前記フィルターは、前記合成白色光の出射側に位置することを特徴とする。
また、上記目的を達成するため、本発明の半導体発光装置は、上述した波長変換部材と、前記波長変換部材に向けて前記青色光を放射する半導体発光素子と、を有することを特徴とする。
本発明の波長変換部材及び半導体発光装置においては、青色光を蛍光体に向かって良好に反射することができるため、蛍光体の使用量が少ない場合であっても、所望の白色を効率よく出射することができる。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、実施例の説明に用いる図面は、いずれも本発明による波長変換部材及び半導体発光装置を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、または省略などを行っており、各構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。更に、実施例で用いる様々な数値は、いずれも一例を示すものであり、必要に応じて様々に変更することが可能である。
<半導体発光装置の構成>
先ず、図1乃至図4を参照しつつ半導体発光装置1の構成を説明する。ここで、図1は、第1実施例に係る半導体発光装置1の全体構成の概略を示す斜視図である。図2は、図1の半導体発光装置1の平面図である。図3は、図2中のIII−III線に沿う半導体発光装置1の断面図である。図4は、図3に示された断面図の要部拡大図である。なお、図1乃至図4において、半導体発光装置1の平面図における一方向をX方向、当該平面図においてX方向と直交する方向をY方向、半導体発光装置1の高さ方向をZ方向と定義する。
先ず、図1乃至図4を参照しつつ半導体発光装置1の構成を説明する。ここで、図1は、第1実施例に係る半導体発光装置1の全体構成の概略を示す斜視図である。図2は、図1の半導体発光装置1の平面図である。図3は、図2中のIII−III線に沿う半導体発光装置1の断面図である。図4は、図3に示された断面図の要部拡大図である。なお、図1乃至図4において、半導体発光装置1の平面図における一方向をX方向、当該平面図においてX方向と直交する方向をY方向、半導体発光装置1の高さ方向をZ方向と定義する。
本実施例において、半導体発光装置1は、擬似的な白色光を放射する光源である。図1に示すように、半導体発光装置1は電気絶縁性に優れて良好な放熱性を有し、かつ、反射率の高い(好ましくは反射率が80%以上の)アルミナ系セラミックからなる配線基板2を備える。配線基板2のチップ実装面2aには、X方向に4個、Y方向に5個、合計20個の半導体発光素子である発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)チップ3が配列されている。図1には示していないが、配線基板2には、これらLEDチップ3のそれぞれに電力を供給するための配線パターンが形成され、電気回路を構成している。
なお、配線基板2の材質はアルミナ系セラミックに限定されるものではなく、例えば、電気絶縁性に優れた材料として、樹脂、ガラスエポキシ、樹脂中にフィラーを含有した複合樹脂などから選択された材料を用いて配線基板2の本体を形成してもよい。或いは、配線基板2のチップ実装面2aにおける光の反射性を良くして半導体発光装置1の発光効率を向上させる上では、アルミナ粉末、シリカ粉末、酸化マグネシウム、酸化チタンなどの白色顔料を含むシリコーン樹脂を用いることが好ましい。一方、より優れた放熱性及び反射性を得るため、配線基板2の本体を銀等の金属製としてもよい。このような場合には、配線基板2の配線パターンなどを金属製の本体から電気的に絶縁する必要がある。
また、図1に示すように、LEDチップ3が実装された配線基板2のチップ実装面2aには、LEDチップ3から入射する入射光の少なくとも一部を異なる波長に波長変換し、当該波長変換された光を出射光として半導体発光装置1の外部に放射する波長変換部材4が配設されている。波長変換部材4は、板状の形状を有し、20個のLEDチップ3に対向して配設されている。
更に、図3に示すように、波長変換部材4は複数のスペーサ5を介して配線基板2に接合されており、これらスペーサ5を介在させることにより、図4に示すように、波長変換部材4と各LEDチップ3との間に空隙を設けている。
ここで設ける空隙は、LEDチップ3から発せられた光が、このLEDチップ3に対応する位置にある波長変換部材4に確実に達するように予め算出された距離L1(図4参照)をもって設けられている。LEDチップ3を波長変換部材4にできるだけ近接させるようにすれば、LEDチップ3が発した光が波長変換部材4に確実に到達することになるが、LEDチップ3が波長変換部材4に近接しすぎると、LEDチップ3が発する熱により波長変換部材4が加熱されて波長変換機能や発光効率の低下を招いてしまうおそれがある。このため、このような過剰な温度上昇を防止する上で、LEDチップ3と波長変換部材4との間隔は0.01mm以上であることが好ましい。
また、半導体発光装置1に熱的な余裕があれば、このような空隙を設けず、波長変換部材4の第1の面4aをLEDチップ3に密着させてもよい。また、LEDチップ3と波長変換部材4とを離間する場合であっても、透光性を有したシリコーン樹脂、エポキシ樹脂或いはガラスなどで空隙を封止するようにしてもよい。このようにすることにより、LEDチップ3からの光を効率よく波長変換部材4に導くことができる。
以下において、図3及び図4を参照しつつ、LEDチップ3、波長変換部材4の詳細な説明をする。
(LEDチップ)
本実施例においてLEDチップ3には、460nmのピーク波長を有した青色光を発するLEDチップを用いる。具体的には、このようなLEDチップとして、例えばInGaN半導体が発光層に用いられるGaN系LEDチップがある。なお、LEDチップ3の種類や発光波長特性はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨から逸脱しない限りにおいて、様々なLEDチップなどの半導体発光素子を用いることができる。本実施例においてLEDチップ3が発する光のピーク波長は、360nm〜480nmの波長範囲内にあるのが好ましく、390nm〜430nmの波長範囲内又は430nm〜480nmの波長範囲内にあることがより好ましい。
本実施例においてLEDチップ3には、460nmのピーク波長を有した青色光を発するLEDチップを用いる。具体的には、このようなLEDチップとして、例えばInGaN半導体が発光層に用いられるGaN系LEDチップがある。なお、LEDチップ3の種類や発光波長特性はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨から逸脱しない限りにおいて、様々なLEDチップなどの半導体発光素子を用いることができる。本実施例においてLEDチップ3が発する光のピーク波長は、360nm〜480nmの波長範囲内にあるのが好ましく、390nm〜430nmの波長範囲内又は430nm〜480nmの波長範囲内にあることがより好ましい。
図4に示すように、LEDチップ3の配線基板2側に向く面には、p電極6とn電極7とが設けられている。図4に示すLEDチップ3の場合、配線基板2のチップ実装面2aに形成されている配線パターン8にp電極6が接合されると共に、同じくチップ実装面2aに形成された配線パターン9にn電極7が接合されている。これらp電極6及びn電極7の配線パターン8及び配線パターン9への接続は、図示しない金属バンプを介し、ハンダ付けによって行っている。図示されていない他のLEDチップ3も、それぞれのLEDチップ3に対応して配線基板2のチップ実装面2aに形成された配線パターンに、それぞれのp電極6及びn電極7が同様にして接合されている。ここで、LEDチップ3同士は、配線パターン8及び配線パターン9を介して直列接続さていてもよく、並列接続されていてもよく、更には直列接続及び並列接続を組み合わせた接続がなされていてもよい。
なお、LEDチップ3の配線基板2への実装方法は、これに限定されるものではなく、LEDチップ3の種類や構造などに応じて適切な方法を選択可能である。例えば、LEDチップ3を配線基板2の所定位置に接着固定した後、各LEDチップ3の2つの電極をワイヤボンディングで対応する配線パターンに接続してもよいし、一方の電極を上述のように対応する配線パターンに接合すると共に、他方の電極をワイヤボンディングで対応する配線パターンに接続するようにしてもよい。
(波長変換部材)
上述したように、波長変換部材4は、LEDチップ3から放射される青色光の一部を波長変換し、当該青色光とは異なる波長の出射光を放射する。より具体的な構成として、図1、図3及び図4に示すように、波長変換部材4は、LEDチップ4に対して近接する位置に配設される透明部材11と、透明部材11の上に積層されるようにして配設されるフィルター12と、から構成されている。
上述したように、波長変換部材4は、LEDチップ3から放射される青色光の一部を波長変換し、当該青色光とは異なる波長の出射光を放射する。より具体的な構成として、図1、図3及び図4に示すように、波長変換部材4は、LEDチップ4に対して近接する位置に配設される透明部材11と、透明部材11の上に積層されるようにして配設されるフィルター12と、から構成されている。
透明部材11は、LEDチップ3から放射される青色光を吸収して励起し、基底状態に戻る際に入射光とは異なる波長を有する出射光を放射する蛍光体11aと、蛍光体11aを分散して保持するとともに、透明部材11の母材として機能する樹脂11bとを有している。図4は、母材として樹脂を用いた場合の半導体発光装置1の断面図の要部拡大図であり、図4の波長変換部材4においては、樹脂11b内に蛍光体11aが分散して存在している。すなわち、母材である樹脂11bは、蛍光体11aを分散して保持している。
なお、蛍光体11aは、樹脂11bに分散保持されることなく、樹脂11bの表面等に塗布されてもよい。また、本実施例においては、波長変換部材4の母材として上述したような樹脂11bを用いたが、これに限定されることなく、ガラス等を用いることもできる。更に、樹脂11bは、蛍光体11aのみを分散保持していたが、光拡散材も分散保持していてもよい。
〔蛍光体〕
本実施例においては、青色光を放射するLEDチップ3を半導体発光素子として使用しているため、半導体発光装置1から白色光を得る方法として、当該青色光の一部を赤色光及び黄色光に波長変換し、当該赤色光及び黄色光、並びに波長変換されなかった青色光の混合により白色光を合成する方法がとられている。従って、本実施例における蛍光体11aには、青色光を赤色光及び黄色光に波長変換する赤色蛍光体及び黄色蛍光体が使用されている。
本実施例においては、青色光を放射するLEDチップ3を半導体発光素子として使用しているため、半導体発光装置1から白色光を得る方法として、当該青色光の一部を赤色光及び黄色光に波長変換し、当該赤色光及び黄色光、並びに波長変換されなかった青色光の混合により白色光を合成する方法がとられている。従って、本実施例における蛍光体11aには、青色光を赤色光及び黄色光に波長変換する赤色蛍光体及び黄色蛍光体が使用されている。
また、白色光の色度や色温度を調整したり、演色性を上げるために、当該青色光の一部を緑色光に波長変換する場合がある。この場合は、緑色蛍光体及び赤色蛍光体を使用したり、緑色蛍光体及び橙色蛍光体を使用したり、緑色蛍光体及び赤色蛍光体に加えて黄色蛍光体を使用することもできる。更に、白色光の色度や色温度を調整したり、発光効率を上げるために、当該青色光の一部を黄色光にのみ波長変換する場合がある。この場合は、黄色蛍光体のみを使用することもある。
赤色蛍光体を用いる場合、その発光ピーク波長は、通常550nm以上、好ましくは575nm以上、より好ましくは580nm以上、また、通常780nm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは680nm以下の波長範囲にあることが好適である。このような赤色蛍光体として、例えば、例えば、特開2006−008721号公報に記載されているCaAlSiN3:Eu[CASN蛍光体]、特開2008−7751号公報に記載されている(Sr,Ca)AlSiN3:Eu[SCASN蛍光体]、特開2007−231245号公報に記載されているCa1-xAl1-xSi1+xN3-xOx:Eu[CASON蛍光体]等のEu付活酸化物、窒化物又は酸窒化物蛍光体、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn等のMn付活ゲルマン酸塩蛍光体、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体等を用いることも可能である。
具体的な黄色蛍光体の発光ピーク波長は、通常は530nm以上、好ましくは540nm以上、より好ましくは550nm以上で、通常は620nm以下、好ましくは600nm以下、より好ましくは580nm以下の波長範囲にあるものが好適である。中でも、黄色蛍光体として例えば、Y3Al5O12:Ce[YAG蛍光体]、Lu3Al5O12:Ce[LuAG蛍光体]、(Y,Gd)3Al5O12:Ce、(Sr,Ca,Ba,Mg)2SiO4:Eu、(Ca,Sr)Si2N2O2:Eu、α−サイアロン、La3Si6N11:Ce(但し、その一部がCaやOで置換されていてもよい)が好ましい。
また、緑色蛍光体を用いる場合、その発光ピーク波長は、通常500nmより大きく、中でも510nm以上、さらには515nm以上であることが好ましく、また、通常550nm以下、中でも540nm以下、さらには535nm以下の範囲であることが好ましい。この発光ピーク波長が短過ぎると青味を帯びる傾向がある一方で、長過ぎると黄味を帯びる傾向があり、何れも緑色光としての特性が低下する可能性がある。このような緑色蛍光体として、例えば、Y3(Al,Ga)5O12:Ce[G−YAG蛍光体]、国際公開第2007/091687号公報に記載されている(Ba,Ca,Sr,Mg)2SiO4:Euで表されるEu付活アルカリ土類シリケート系蛍光体[BSS蛍光体]、特許第3921545号明細書に記載されているSi6-zAlzN8-zOz:Eu(但し、0<z≦4.2である。)等のEu付活酸窒化物蛍光体[β−SiAlON蛍光体]、国際公開第2007/088966号公報に記載されているM3Si6O12N2:Eu(但し、Mはアルカリ土類金属元素を表す。)等のEu付活酸窒化物蛍光体[BSON蛍光体]、特開2008−274254号公報に記載されているBaMgAl10O17:Eu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体[GBAM蛍光体]を用いることも可能である。
蛍光体11aの含有量は、蛍光体11a及び樹脂11bの合計100重量%中の0.1重量%以上が好ましく、0.5重量%以上がより好ましく、1重量%以上がさらに好ましい。一方、15重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましい。
〔樹脂〕
蛍光体11aを分散して保持する樹脂11bとしては、結晶性樹脂であってもよく、非晶性樹脂であってもよいが、非晶性樹脂が好ましく、非晶性樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂が挙げられ、熱可塑性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、及びシリコーン系樹脂を用いることが好ましい。
蛍光体11aを分散して保持する樹脂11bとしては、結晶性樹脂であってもよく、非晶性樹脂であってもよいが、非晶性樹脂が好ましく、非晶性樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂が挙げられ、熱可塑性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、及びシリコーン系樹脂を用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂の例としては、低、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ−3−メチルブテン−1樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂、ノルボルネン等を含む脂環式ポリオレフィン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンとメチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−の各アクリレートもしくはメタクリレートとの共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等のアイオノマー樹脂;ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂、MBS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタアクリレート、ポリメタアクリレート等のアクリル系樹脂;ポリアミド樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂等のポリエステル系樹脂;変性ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリテトラフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体、エチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体、ポリフッ化ビニリデン樹脂等のフッ素含有樹脂などが挙げられ,これらの1種または2種以上のブレンド品などが挙げられる。
また、樹脂11bは、半導体発光素子から放出される光(例えば、紫外光、近紫外光、又は青色光等)、または、波長変換部材から放出される可視光を吸収しないことが好ましい。更には、LEDチップ3から発せられる青色光に対して十分な透明性と耐久性とを有していることが好ましい。
上述した樹脂11bとして用いられるこれらの樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの樹脂の共重合体であってもよく、2種類以上を積層して使用してもよい。
ここで、樹脂11bとしては、ポリカーボネート樹脂が、透明性、耐熱性、機械的特性、難燃性に優れる点で、最も好ましく使用できる。以下に、ポリカーボネート樹脂について詳細に説明する。
化学式(1)中、X1は一般には炭化水素であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたX1を用いてもよい。
また、ポリカーボネート樹脂は、炭酸結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素である芳香族ポリカーボネート樹脂、及び脂肪族炭素である脂肪族ポリカーボネート樹脂に分類できるが、いずれを用いることもできる。なかでも、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
ポリカーボネート樹脂の具体的な種類に制限はないが、例えば、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させてなるポリカーボネート重合体が挙げられる。この際、ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体に加えて、ポリヒドロキシ化合物等を反応させるようにしてもよい。また、二酸化炭素をカーボネート前駆体として、環状エーテルと反応させる方法も用いてもよい。また、ポリカーボネート重合体は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、ポリカーボネート重合体は1種の繰り返し単位からなる単独重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。このとき共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。なお、通常、このようなポリカーボネート重合体は、熱可塑性の樹脂となる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物の例を挙げると、1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2'−ジヒドロキシビフェニル、4,4'−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;2,2'−ジヒドロキシ−1,1'−ビナフチル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;2,2'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
これらの中でもビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、中でもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)が好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、脂肪族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーの例を挙げると、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、2−メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、デカン−1,10−ジオール等のアルカンジオール類;シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサノール、2,2,4,4−テトラメチル−シクロブタン−1,3−ジオール等のシクロアルカンジオール類;2,2'−オキシジエタノール(即ち、エチレングリコール)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、スピログリコール等のグリコール類;1,2−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジエタノール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,3−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、1,6−ビス(ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4,4'−ビフェニルジメタノール、4,4'−ビフェニルジエタノール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビスフェノールAビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、ビスフェノールSビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル等のアラルキルジオール類;1,2−エポキシエタン(即ち、エチレンオキシド)、1,2−エポキシプロパン(即ち、プロピレンオキシド)、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,4−エポキシシクロヘキサン、1−メチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、2,3−エポキシノルボルナン、1,3−エポキシプロパン等の環状エーテル類が挙げられ、これらは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が挙げられる。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲンや、ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。以下、これらの方法のうち特に好適な、界面重合法及び溶融エステル交換法について具体的に説明する。
「界面重合法」
界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体は、前述のとおりである。なお、カーボネート前駆体の中でもホスゲンを用いることが好ましく、ホスゲンを用いた場合の方法は特にホスゲン法と呼ばれる。
反応に不活性な有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液に含有されるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が挙げられるが、中でも水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。なお、アルカリ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液中のアルカリ化合物の濃度に制限はないが、通常、反応のアルカリ水溶液中のpHを10〜12にコントロールするために、5〜10重量%で使用される。また、例えばホスゲンを吹き込むに際しては、水相のpHが10〜12、好ましくは10〜11になる様にコントロールするために、ビスフェノール化合物とアルカリ化合物とのモル比を、通常1:1.9以上、中でも1:2.0以上、また、通常1:3.2以下、中でも1:2.5以下とすることが好ましい。
重合触媒としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン等の脂肪族三級アミン;N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N’−ジエチルシクロヘキシルアミン等の脂環式三級アミン;N,N’−ジメチルアニリン、N,N’−ジエチルアニリン等の芳香族三級アミン;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩、ピリジン、グアニン、グアニジンの塩等が挙げられる。なお、重合触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
分子量調整剤としては、例えば、一価のフェノール性水酸基を有する芳香族フェノール;メタノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール、メルカプタン、フタル酸イミド等が挙げられるが、中でも芳香族フェノールが好ましい。このような芳香族フェノールとしては、具体的に、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等のアルキル基置換フェノール;イソプロパニルフェノール等のビニル基含有フェノール、エポキシ基含有フェノール、o−オキシン安息香酸、2−メチル−6−ヒドロキシフェニル酢酸等のカルボキシル基含有フェノール等が挙げられる。なお、分子量調整剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
分子量調整剤の使用量は、ジヒドロキシ化合物100モルに対して、通常0.5モル以上、好ましくは1モル以上であり、また、通常50モル以下、好ましくは30モル以下である。分子量調整剤の使用量をこの範囲とすることで、ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性及び耐加水分解性を向上させることができる。
反応の際に、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。例えば、カーボネート前駆体としてホスゲンを用いた場合には、分子量調節剤はジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン化)の時から重合反応開始時までの間であれば任意の時期に混合できる。なお、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
「溶融エステル交換法」
溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
ジヒドロキシ化合物は、前述の通りである。一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。中でも、ジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートが好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの比率は所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用いることが好ましく、中でも1.01モル以上用いることがより好ましい。なお、上限は通常1.30モル以下である。このような範囲にすることで、末端水酸基量を好適な範囲に調整できる。
ポリカーボネート樹脂では、その末端水酸基量が熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす傾向がある。このため、公知の任意の方法によって末端水酸基量を必要に応じて調整してもよい。エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率、エステル交換反応時の減圧度などを調整することにより、末端水酸基量を調整したポリカーボネート樹脂を得ることができる。なお、この操作により、通常は得られるポリカーボネート樹脂の分子量を調整することもできる。
炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率を調整して末端水酸基量を調整する場合、その混合比率は前記の通りである。また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶融エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は任意のものを使用できる。なかでも、例えばアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いることが好ましい。また補助的に、例えば塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。なお、エステル交換触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶融エステル交換法において、反応温度は通常100〜320℃である。また、反応時の圧力は通常2mmHg以下の減圧条件である。具体的操作としては、前記の条件で、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行えばよい。
溶融重縮合反応は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。ただし中でも、ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物の安定性等を考慮すると、溶融重縮合反応は連続式で行うことが好ましい。
溶融エステル交換法においては、必要に応じて、触媒失活剤を用いてもよい。触媒失活剤としてはエステル交換触媒を中和する化合物を任意に用いることができる。その例を挙げると、イオウ含有酸性化合物及びその誘導体などが挙げられる。なお、触媒失活剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
触媒失活剤の使用量は、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは5当量以下である。更には、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して、通常1ppm以上であり、また、通常100ppm以下、好ましくは20ppm以下である。
ポリカーボネート樹脂の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]は、通常10,000以上、好ましくは16,000以上、より好ましくは18,000以上であり、また、通常40,000以下、好ましくは30,000以下である。粘度平均分子量を前記範囲の下限値以上とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、粘度平均分子量を前記範囲の上限値以下とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて成形加工を容易に行えるようになる。なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
なお、粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10-4Mv0.83から算出される値を意味する。また極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記数式(1)により算出した値である。
ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、通常1,000ppm以下、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下である。これにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の滞留熱安定性及び色調をより向上させることができる。また、その下限は、通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上、より好ましくは40ppm以上である。これにより、分子量の低下を抑制し、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネート樹脂の重量に対する、末端水酸基の重量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
ポリカーボネート樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂単独(ポリカーボネート樹脂単独とは、ポリカーボネート樹脂の1種のみを含む態様に限定されず、例えば、モノマー組成や分子量が互いに異なる複数種のポリカーボネート樹脂を含む態様を含む意味で用いる。)で用いてもよく、ポリカーボネート樹脂と他の熱可塑性樹脂とのアロイ(混合物)とを組み合わせて用いてもよい。さらに、例えば、難燃性や耐衝撃性をさらに高める目的で、ポリカーボネート樹脂を、シロキサン構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性や難燃性をさらに向上させる目的でリン原子を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性を向上させる目的で、ジヒドロキシアントラキノン構造を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;光学的性質を改良するためにポリスチレン等のオレフィン系構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;耐薬品性を向上させる目的でポリエステル樹脂オリゴマーまたはポリマーとの共重合体等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体として構成してもよい。他の熱可塑性樹脂と組み合わせて用いる場合は、樹脂成分中のポリカーボネート樹脂の割合が50重量%以上であることが好ましく、60重量%であることがより好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましい。
また、成形品の外観の向上や流動性の向上を図るため、ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1,500以上、好ましくは2,000以上であり、また、通常9,500以下、好ましくは9,000以下である。さらに、含有されるポリカーボネートリゴマーは、ポリカーボネート樹脂(ポリカーボネートオリゴマーを含む)の30重量%以下とすることが好ましい。
さらに、ポリカーボネート樹脂は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂(いわゆるマテリアルリサイクルされたポリカーボネート樹脂)であってもよい。前記の使用済みの製品としては、例えば、光学ディスク等の光記録媒体;導光板;自動車窓ガラス、自動車ヘッドランプレンズ、風防等の車両透明部材;水ボトル等の容器;メガネレンズ;防音壁、ガラス窓、波板等の建築部材などが挙げられる。また、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品またはそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。
ただし、再生されたポリカーボネート樹脂は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂のうち、80重量%以下であることが好ましく、中でも50重量%以下であることがより好ましい。再生されたポリカーボネート樹脂は、熱劣化や経年劣化等の劣化を受けている可能性が高いため、このようなポリカーボネート樹脂を前記の範囲よりも多く用いた場合、色相や機械的物性を低下させる可能性があるためである。
上述した樹脂11bには、本発明の特性を損なわない範囲において必要に応じて公知の各種添加剤を含有させることができる。例えば、光拡散材、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、滑剤、光安定剤、可塑剤、帯電防止剤、熱伝導性改良剤、導電性改良剤、着色剤、耐衝撃性改良剤、抗菌剤、耐薬品性改良剤、強化剤、レーザーマーキング改良剤、屈折率調整剤などが挙げられる。これらの添加剤の具体的な種類や量は、樹脂11bに対して公知の好適なものを選択することができる。
ここで、ポリカーボネート樹脂に配合する好ましい添加剤について例示する。ポリカーボネート樹脂には、光拡散材を含有することが好ましい。光拡散材を含有することで、母材に光拡散性を付与することが可能となる。光拡散材は、無機系光拡散材、有機系光拡散材、又は気泡が挙げられる。
無機系光拡散材としては、例えば、珪素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛及びバリウム等の元素を含有する無機系光拡散材を用いることが可能であり、また、珪素、アルミニウム、チタン、及びジルコニウムからなる群の少なくとも1つの元素を含む無機系光拡散材を用いることが好ましい。有機系光拡散材としては、アクリル系、スチレン系、ポリアミド系若しくは元素として珪素もしくはフッ素を含む有機系光拡散材を用いることが可能であり、中でも、アクリル系光拡散材、又は元素として珪素を含む有機系光拡散材を用いることが好ましい。
無機系光拡散材の具体例としては、二酸化ケイ素(シリカ)、ホワイトカーボン、溶融シリカ、タルク、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ホウ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸アルミ化ナトリウム、珪酸亜鉛、硫化亜鉛、ガラス粒子、ガラス繊維、ガラスフレーク、マイカ、ワラストナイト、ゼオライト、セピオライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ハイドロタルサイト、カオリン、チタン酸カリウム等の材料が挙げられる。
これらの無機系光拡散材は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、メチルハイドロジェンポリシロキサン、脂肪酸含有炭化水素化合物等の各種表面処理剤で処理されたものであっても良く、表面を不活性な無機化合物で被覆されたものでもよい。
有機系光拡散材としては、スチレン系(共)重合体、アクリル系(共)重合体、シロキサン系(共)重合体、ポリアミド系(共)重合体等の材料が挙げられる。これら、有機系光拡散材の分子の一部又は全部は、架橋していても架橋していなくてもよい。ここで、「(共)重合体」とは「重合体」及び「共重合体」の双方を意味する。
光拡散材としては、シリカ、ガラス、炭酸カルシウム、マイカ、架橋アクリル系(共)重合体粒子、シロキサン系(共)重合体粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。また、さらに平均粒子径が1μm以上であることが好ましく、30μm以下であることが好ましい。なお、平均粒子径は、積算重量百分率、粒度分布計等により測定した粒子径である。
光拡散材の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、通常0.1重量部以上、好ましくは0.3重量部以上含有する。また、通常40重量部以下、好ましくは30重量部以下含有する。
熱安定剤としては、例えばリン系化合物が挙げられる。リン系化合物としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第10族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられる。
なかでも、トリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等の有機ホスファイトが好ましい。
熱安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、通常0.0001重量部以上、好ましくは0.001重量部以上、より好ましくは0.01重量部以上であり、また、通常1重量部以下、好ましくは0.5重量部以下、より好ましくは0.3重量部以下、さらに好ましくは0.1重量部以下である。熱安定剤が少なすぎると熱安定性改良効果が得難く、多すぎると逆に熱安定性が低下する場合がある。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
なかでも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
酸化防止剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、通常0.0001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上であり、また、通常1重量部以下、好ましくは0.5重量部以下、より好ましくは0.3重量部以下である。酸化防止剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、酸化防止剤としての効果が不十分となる可能性があり、酸化防止剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族又は脂環式飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
ポリシロキサン系シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、フッ素化アルキルシリコーン等が挙げられる。
離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上であり、また、通常5重量部以下、好ましくは3重量部以下、より好ましくは1重量部以下、さらに好ましくは0.5重量部以下である。離型剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、離型性の効果が十分でない場合があり、離型剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などが生じる可能性がある。
難燃剤としては、ハロゲン系、リン系、有機酸金属塩系、シリコーン系の難燃剤、難燃助剤としては、フッ素樹脂系難燃助剤が挙げられる。難燃剤及び難燃助剤は併用することも可能であり、また、複数を組み合わせて使用することもできる。中でも好ましいのは、リン系難燃剤、有機酸金属塩系難燃剤、フッ素樹脂系難燃助剤である。
リン系難燃剤としては芳香族リン酸エステルやホスファゼン化合物が挙げられる。有機酸金属塩系難燃剤としては、有機スルホン酸金属塩が好ましく含フッ素の有機スルホン酸金属塩が特に好ましく、具体的にはパーフルオロブタンスルホン酸カリウム等を例示できる。フッ素系難燃助剤としては、フルオロオレフィン樹脂が好ましく、フィブリル構造を有するテトラフルオロエチレン樹脂が例示できる。フッ素系難燃助剤はパウダー状でもディスパージョン状でも、フッ素樹脂を別の樹脂で被覆したパウダー状でも何れの形態であってもよい。
これらの難燃剤、難燃助剤の配合比率は所望の難燃レベルを達成するために必要な量を配合すればよいが、通常はポリカーボネート100重量部に対して、リン系難燃剤の場合で1〜20重量部の範囲、有機酸金属塩の場合は0.01〜1重量部の範囲、フッ素樹脂系難燃助剤の場合で0.01〜1重量部の範囲で配合することが好ましい。上記範囲で難燃剤、難燃助剤を1種類もしくは2種類以上を使用することができる。この範囲より少ないと難燃性の改良効果が出難くなり、これより多いと熱安定性、機械的特性が低下する傾向にあり好ましくない。なお、難燃レベルは、例えばUL94に代表される燃焼試験などにより判定することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化合物、シアノアクリレート化合物、トリアジン化合物、オギザニリド化合物、マロン酸エステル化合物、ヒンダードアミン化合物などの有機紫外線吸収剤などが挙げられる。これらのうち、有機紫外線吸収剤が好ましく、中でもベンゾトリアゾール化合物がより好ましい。有機紫外線吸収剤を選択することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の透明性や機械物性が良好なものになる傾向にある。
ベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等が挙げられ、なかでも2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2'−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が好ましく、特に2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましい。
このようなベンゾトリアゾール化合物としては、具体的には例えば、シプロ化成社製(商品名、以下同じ)「シーソーブ701」、「シーソーブ702」、「シーソーブ703」、「シーソーブ704」、「シーソーブ705」、「シーソーブ709」、共同薬品社製「バイオソーブ520」、「バイオソーブ580」、「バイオソーブ582」、「バイオソーブ583」、ケミプロ化成社製「ケミソーブ71」、「ケミソーブ72」、サイテックインダストリーズ社製「サイアソーブUV5411」、アデカ社製「LA−32」、「LA−38」、「LA−36」、「LA−34」、「LA−31」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「チヌビンP」、「チヌビン234」、「チヌビン326」、「チヌビン327」、「チヌビン328」等が挙げられる。
紫外線吸収剤の好ましい含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上であり、また、5重量部以下、好ましくは3重量部以下、より好ましくは1重量部以下、さらに好ましくは0.5重量部以下である。紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、耐候性の改良効果が不十分となる可能性があり、紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、モールドデボジット等が生じ、金型汚染を引き起こす可能性がある。なお、紫外線吸収剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
「透明部材11の製造方法」
波長変換部材4を構成する透明部材11の製造方法、波長変換部材4の加工方法は特に限定されず、樹脂11bの加工法として公知の手法を用いればよい。例えば、樹脂11bがポリカーボネート樹脂の場合の、透明部材11の一般的な製造方法は次の通りである。
波長変換部材4を構成する透明部材11の製造方法、波長変換部材4の加工方法は特に限定されず、樹脂11bの加工法として公知の手法を用いればよい。例えば、樹脂11bがポリカーボネート樹脂の場合の、透明部材11の一般的な製造方法は次の通りである。
樹脂11bとして用いられるポリカーボネート樹脂に蛍光体11a、及び必要に応じて配合されるその他の成分を加え、タンブラーミキサーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機で混合する。混合は全原料一括混合でも、幾つかの原料を分割して混合してもよい。その後に、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどで溶融混練して樹脂組成物ペレットを得る。
得られた樹脂組成物ペレットを用いて、シート・フィルムなどの押出成形、異型押出成形、真空成形、射出成形、ブロー成形、インジェクションブロー成形、回転成形、発泡成形など任意の成形方法により、必要な形状の透明部材11を成形する。中でも、射出成形法を採用することが好ましい。さらに、必要に応じてその成形体を更に溶着、接着、切削など加工することもできる。
樹脂11bがポリカーボネート樹脂の場合であって、光拡散材を混入する場合について、さらに詳しく好ましい条件を例示する。
ポリカーボネート樹脂と蛍光体11a、光拡散材、及びその他添加剤をタンブラーミキサーで混合後、単軸或いは二軸押出機を用いて溶融混練する。溶融混練条件としては、剪段力を加え過ぎない様に、スクリューとして順送りのフライトスクリューエレメントを中心に構成されたスクリューを使用する。逆送りのフライトスクリュー、ニーディングスクリューエレメントなどの剪段力を強く負荷するスクリューエレメントの多用は、樹脂の変色を招き好ましくない。また、蛍光体11aが固い場合、スクリュー、シリンダーの材質として、削れ難い耐摩処理の施された材質のものを用いることが好ましい。
また、混練温度は230〜340℃の範囲が好ましい。実測樹脂温度として340℃を超えると変色しやすくなるため好ましくなく、樹脂温度が230℃未満ではポリカーボネート樹脂の溶融粘度が高過ぎて押出機への機械的負荷が大きくなり好ましくない。特に好ましい混練温度は240〜300℃の範囲である。
スクリュー回転数、吐出量は生産速度、押出機への負荷、樹脂ペレットの状態を鑑みて適宜選択すればよい。また、押出機には原料と共に巻き込んだ空気、加熱により発生したガスを押出機系外に放出するベント構造を1カ所以上設置することが好ましい。
以上により得られたポリカーボネート樹脂組成物ペレットを用いて、任意の加工法で所望の形状に成形及び加工すればよい。
〔フィルター〕
本実施例において、フィルター12は、互いに異なる屈折率を備える複数の誘電体薄膜(すなわち、誘電体多層膜)をガラス等の基板上に積層した構造を有する。例えば、誘電体多層膜は、ガラス基板上にSiO2及びZrO2を交互に複数積層した構造を有している。このような積層構造を有するため、フィルター12は、光の干渉効果を利用し、反射率・透過率の波長選択性を制御することができる。すなわち、フィルター12は、入射する光の波長によって反射率・透過率が変化し、更には入射角によっても反射率・透過率が変化することになる。
本実施例において、フィルター12は、互いに異なる屈折率を備える複数の誘電体薄膜(すなわち、誘電体多層膜)をガラス等の基板上に積層した構造を有する。例えば、誘電体多層膜は、ガラス基板上にSiO2及びZrO2を交互に複数積層した構造を有している。このような積層構造を有するため、フィルター12は、光の干渉効果を利用し、反射率・透過率の波長選択性を制御することができる。すなわち、フィルター12は、入射する光の波長によって反射率・透過率が変化し、更には入射角によっても反射率・透過率が変化することになる。
なお、フィルター12の特性(光の透過率)については、後述するシミュレーションによる評価結果を説明する際に、詳細に説明することとする。
本実施例においては、誘電体薄膜であるSiO2及びZrO2を交互に複数積層することにより、誘電体多層膜を含むフィルター12を形成するが、フィルター12を形成する材料はこれらに限定されることはない。例えば、互いに屈折率の異なる樹脂からなる薄膜を積層した樹脂積層体によってフィルター12を形成してもよく、互いに屈折率の異なる無機結晶からなる薄膜を積層した無機結晶積層体によってフィルター12を形成してもよい。
従って、上述したようなLEDチップ3、透明部材11、及びフィルター12の配置関係、並びにフィルター12の積層構造から、本実施例の波長変換部材4は、LEDチップ3から出射する青色光の入射面側から、透明部材11(すなわち、蛍光体11a及び樹脂11b)、ガラス、及び誘電体多層膜が順次積層された構造を有している。
本実施例の波長変換部材4においては、蛍光体11aを含有する透明部材11上に上述したようなフィルター12が積層され、波長変換部材4の光出射面側にフィルター12が位置することになる。このため、非発光時において波長変換部材4の光出射面側から半導体発光装置1又は波長変換部材4を目視すると、波長変換部材4の体色とフィルター12の体色が合成された色として視認されることになる。ここで、波長変換部材4の体色とフィルター12の体色を合せた色は、波長変換部材4そのものの体色よりも自然な色(例えば、白色)であるため、本実施例に係るフィルター12を設けることにより、波長変換部材4及び半導体発光装置1の体色改善効果を奏することになる。
上述したような構成を有する本実施例の半導体発光装置1は、一般照明として用いることができる。このような場合、半導体発光装置1が発する光(具体的には、青色光、赤色光、及び黄色光または緑色光の合成光である白色光)は、黒体輻射軌跡から偏差duvが−0.0200〜0.0200であることが好ましく、色温度が1,600K〜7,000Kの範囲内にあることが好ましい。
また、上述したような構成を有する本実施例の半導体発光装置1は、一般照明以外にも、バックライトとして用いることも可能である。ディスプレイのバックライトのLED光源として用いる場合は、半導体発光装置1が発する光(具体的には、青色光、赤色光、及び黄色光または緑色光の合成光である白色光)は、通常、色温度が5,000K〜20,000Kの範囲内である。
<シミュレーションによる波長変換部材の評価>
次に、積層構造の異なる複数種類のフィルター12について、シミュレーションによる評価を行った。より具体的な条件としては、互いに異なる屈折率を有する2種類の誘電体薄膜(SiO2及びZrO2)の積層数を変更した4種類のフィルター12について、入射角0度における透過率の波長依存性、波長が450nmの光に対する透過率の入射角度依存性、及び波長が600nmの光に対する透過率の入射角度依存性をシミュレーションによって評価した。
次に、積層構造の異なる複数種類のフィルター12について、シミュレーションによる評価を行った。より具体的な条件としては、互いに異なる屈折率を有する2種類の誘電体薄膜(SiO2及びZrO2)の積層数を変更した4種類のフィルター12について、入射角0度における透過率の波長依存性、波長が450nmの光に対する透過率の入射角度依存性、及び波長が600nmの光に対する透過率の入射角度依存性をシミュレーションによって評価した。
具体的な4種類のフィルター12としては、以下の表1に示すような積層構造を有する試料フィルターa、b、c、dを想定した。
表1に示すように、試料フィルターaは、ガラスからなる基板上に、ZrO2からなる誘電体薄膜及びSiO2からなる誘電体薄膜を交互に合計27回積層した構造を有している。そして、基板直上及び基板から最も離間したZrO2の膜厚は11.00nmであり、他のZrO2の膜厚は46.20nmである。一方、基板の最も近傍に位置するSiO2及び基板から最も離間したSiO2の膜厚は90.20nmであり、他のSiO2の膜厚は70.95nmである。すなわち、試料フィルターaは、厚み方向の両端部分に薄いZrO2及び厚いSiO2が位置し、当該薄いZrO2及び厚いSiO2に挟まれるように厚いZrO2及び薄いSiO2が位置するような積層構造を有している。
また、表1に示すように、試料フィルターbは、ガラスからなる基板上に、ZrO2からなる誘電体薄膜及びSiO2からなる誘電体薄膜を交互に合計13回積層した構造を有している。そして、試料フィルターaと同様に、基板直上及び基板から最も離間したZrO2の膜厚は11.00nmであり、他のZrO2の膜厚は46.20nmである。また、試料フィルターaと同様に基板の最も近傍に位置するSiO2及び基板から最も離間したSiO2の膜厚は90.20nmであり、他のSiO2の膜厚は70.95nmである。すなわち、試料フィルターaと同様に試料フィルターbは、厚み方向の両端部分に薄いZrO2及び厚いSiO2が位置し、当該薄いZrO2及び厚いSiO2に挟まれるように厚いZrO2及び薄いSiO2が位置するような積層構造を有している。
更に、表1に示すように、試料フィルターcは、ガラスからなる基板上に、ZrO2からなる誘電体薄膜及びSiO2からなる誘電体薄膜を交互に合計7回積層した構造を有している。そして、試料フィルターa及び試料フィルターbと同様に、基板直上及び基板から最も離間したZrO2の膜厚は11.00nmであり、他のZrO2の膜厚は46.20nmである。一方、基板の最も近傍に位置するSiO2及び基板から最も離間したSiO2の膜厚は90.20nmであり、中央部に位置するSiO2の膜厚は70.95nmである。すなわち、試料フィルターa及び試料フィルターbと同様に試料フィルターcは、厚み方向の両端部分に薄いZrO2及び厚いSiO2が位置し、当該薄いZrO2及び厚いSiO2に挟まれるように厚いZrO2及び薄いSiO2が位置するような積層構造を有している。
そして、表1に示すように、試料フィルターdは、ガラスからなる基板上に、ZrO2からなる誘電体薄膜及びSiO2からなる誘電体薄膜を交互に合計5回積層した構造を有している。そして、基板直上及び基板から最も離間したZrO2の膜厚は11.00nmであり、中央部に位置するZrO2の膜厚は46.20nmである。一方、SiO2の膜厚は90.20nmである。すなわち、試料フィルターdは、厚み方向の両端部分に薄いZrO2が位置し、当該薄いZrO2に挟まれるように厚いZrO2及びSiO2が位置するような積層構造を有している。
なお、試料フィルターa〜dにおけるガラスからなる基板は、コーニング社の無アクリルガラス(#1737)を想定した。
次に、図5及び以下の表2を参照しつつ、各試料フィルターの入射角0度における透過率の波長依存性の評価結果を説明する。図5においては、横軸が波長(nm)であり、縦軸が入射角0度における光の透過率である。ここで入射角0度とは、試料フィルターa〜dの主面(誘電体多層膜の露出面)に対する垂直方向とする。また、表2は、図5の各フィルターの数値データである。
図5及び表2から分かるように、試料フィルターa〜dは、透過率に差があるものの、波長が330nmから525nmの光(青色光)を透過せず、他の波長の光(赤色光等)を透過する共通の特性を有している。より具体的に、試料フィルターaは、波長が370nmから470nmの光の透過率は0(0%:透過しない、即ち100%反射する)であり、試料フィルターaは当該波長の光を良好に遮断(反射)していることが分かった。また、試料フィルターbも、試料フィルターaのように波長が370nmから470nmの光を完全に遮断することができないものの、比較的良好に当該波長の光を遮断することができることが分かった。一方、試料フィルターcは、波長が330nmから525nmの光を他の波長の光と比較して透過しないものの、試料フィルターaと比較して、光の遮断率(すなわち、反射率)が約1/3以下に低下していることが分かった。具体的な数値としては、波長330nmから525nmの範囲において、試料フィルターcの透過率は0.25(25%)以上であった。更に、試料フィルターdは、試料フィルターaと比較して、光の遮断率が約1/2以下に低下していることが分かった。具体的な数値としては、波長330nmから525nmの範囲において、試料フィルターdの透過率は0.45(45%)以上であった。
このような結果となる理由としては、試料フィルターa及び試料フィルターbの膜厚が試料フィルターc及び試料フィルターdの膜厚よりも厚く、より多くの誘電体薄膜が積層されているためである。これらのことを換言すれば、ZrO2及びSiO2の積層構造により、入射角0度における、波長が330nmから525nmの光を遮断することができ、その積層の多層化によって遮断率(反射率)を向上することが可能である。
図5及び表2に示す結果から、試料フィルターa及び試料フィルターbは一定の波長の光を的確に遮断するという一般的なフィルターとして適しており、試料フィルターc及び試料フィルターdの特性は当該一般的なフィルターの特性よりも劣っていることが分かった。
次に、図6及び以下の表3を参照しつつ、波長が450nmの光(青色光:第1可視光)に対する透過率の入射角度依存性の評価結果を説明する。図6においては、横軸が入射角(度)であり、縦軸が透過率である。ここで、入射角0度とは、図5の場合と同様に、試料フィルターa〜dの主面(誘電体多層膜の露出面)に対する垂直方向とする。また、表3は、図6の各フィルターの数値データである。
図6及び表3から分かるように、試料フィルターaは、入射角0度から入射角30度において、波長が450nmの光を良好に遮断することが分かった。また、試料フィルターaにおいては、入射角度が30度を超えると透過率が急峻に増加し、入射角60度において透過率のピークを迎え、入射角度が60度を超えると透過率が減少する。また、試料フィルターbは試料フィルターaと同様の特性を有しており、より具体的には、入射角0度から入射角30度において、波長が450nmの光を良好に遮断し(具体的には、透過率が0.20(20%)以下である)、入射角度が30度を超えると透過率が急峻に増加し、入射角60度において透過率のピークを迎え、入射角度が60度を超えると透過率が減少する。すなわち、試料フィルターbも、入射角0度から入射角30度において、波長が450nmの光を良好に遮断することが分かった。
一方、試料フィルターcにおいては、入射角0度における透過率が0.40(40%)であり、入射角0度から60度の範囲では入射角度が増加するにつれて透過率が徐々に増加し、入射角60度において透過率のピークを迎え、入射角度が60度を超えると透過率が減少している。より具体的には、試料フィルターcは、入射角0度から40度の範囲において、波長が450nmの光を約半分ほど透過するとともに残りの半分ほどの光を反射し、入射角40度から70度の範囲において、波長が450nmの光の約60%以上を透過することが分かった。また、試料フィルターdにおいては、入射角0度における透過率が約0.65(65%)であり、入射角0度から60度の範囲では入射角度が増加するにつれて透過率が徐々に増加し、入射角60度において透過率のピークを迎え、入射角度が60度を超えると透過率が減少している。より具体的には、試料フィルターdは、入射角0度から70度の範囲において、波長が450nmの光の約0.70(70%)を透過し、残りの約0.30(30%)を反射することが分かった。
試料フィルターa〜dにおいて共通する結果として、入射角60度における透過率が約0.80(80%)となり、当該透過率がシミュレーション中のピーク値であった。また、入射角60度を超えると、透過率が同様に減少し、且つ各入射角度における透過率も概ね同一値であった。具体的には、入射角70度において透過率が約0.70(70%)であり、入射角80度において透過率が約0.45(45%)であった。
次に、図7及び表4を参照しつつ、波長が500〜700nmの光(赤色光:第2可視光)に対する平均透過率の入射角度依存性の評価結果を説明する。図7においては、横軸が入射角(度)であり、縦軸が透過率である。ここで、入射角0度とは、図5及び図6の場合と同様に、試料フィルターa〜dの主面(誘電体多層膜の露出面)に対する垂直方向とする。また、表4は、図7の各フィルターの数値データである。
図7及び表4から分かるように、波長が500〜700nmの光に対する試料フィルターa〜dの平均透過率の特性は共通していることが分かった。より具体的には、入射角0度から40度おいて、平均透過率は約0.90(90%)であり、その値がほぼ維持されている。そして、入射角度が40度を超えると、平均透過率が徐々に減少し、入射角60度において平均透過率が約0.85(85%)であった。更に入射角度が60度を超えると、平均透過率が急峻に減少し、入射角80度において透過率が約0.46(46%)であった。
図7及び表4に示された結果から、試料フィルターa〜dの積層構造の相違は、波長が500〜700nmの光に対する平均透過率の変化に影響を与えないことが分かった。換言すれば、試料フィルターa〜dは、波長が600nmの光に対しては、共通の透過特性を有することになり、試料フィルターa〜dの積層構造の相違により、波長が500〜700nmの光に対する平均透過率の入射角度依存性が大きく異なることはないと考えられる。
<シミュレーションによる半導体発光装置の評価>
次に、上述した試料フィルターa〜dのいずれかを含む波長変換部材4を有する半導体発光装置1、及びフィルター12を含まない波長変換部材を有する半導体発光装置(すなわち、従来の半導体発光装置)について、出射される蛍光体削減の評価を行った。以下において、試料フィルターaを搭載する半導体装置1を試料装置Aと称し、試料フィルターbを搭載する半導体装置1を試料装置Bと称し、試料フィルターcを搭載する半導体装置1を試料装置Cと称し、試料フィルターdを搭載する半導体装置1を試料装置Dと称し、フィルター12を含まない波長変換部材を有する半導体発光装置を試料装置Eと称する。本シミュレーションにおいては、各試料装置の寸法(X方向及びY方向)を5cm×5cmとし、厚さを1mmとした。ここで、各試料装置における波長変換部材は、LEDチップから出射する青色光の入射面側から、透明部材(すなわち、蛍光体及び樹脂)、ガラス、及び誘電体多層膜が順次積層された構造を有している。
次に、上述した試料フィルターa〜dのいずれかを含む波長変換部材4を有する半導体発光装置1、及びフィルター12を含まない波長変換部材を有する半導体発光装置(すなわち、従来の半導体発光装置)について、出射される蛍光体削減の評価を行った。以下において、試料フィルターaを搭載する半導体装置1を試料装置Aと称し、試料フィルターbを搭載する半導体装置1を試料装置Bと称し、試料フィルターcを搭載する半導体装置1を試料装置Cと称し、試料フィルターdを搭載する半導体装置1を試料装置Dと称し、フィルター12を含まない波長変換部材を有する半導体発光装置を試料装置Eと称する。本シミュレーションにおいては、各試料装置の寸法(X方向及びY方向)を5cm×5cmとし、厚さを1mmとした。ここで、各試料装置における波長変換部材は、LEDチップから出射する青色光の入射面側から、透明部材(すなわち、蛍光体及び樹脂)、ガラス、及び誘電体多層膜が順次積層された構造を有している。
先ず、図8及び以下の表5を参照しつつ、本シミュレーションにおいて想定した透明部材11における青色光(波長:430nm〜480nm)の平均透過率について説明する。図8は、透明部材11に対する入射角ごとの青色光の透過率の算出結果を示すグラフであり、横軸が入射角(度)であり、縦軸が青色光の透過率である。表5は、図8の数値データである。
図8及び表5に示すように、波長変換部材4を構成する透明部材11は、入射角(すなわち、視認角)が増加するについて、青色光の透過率が減少する。すなわち、透明部材11に対して青色光を入射した場合、透明部材11において波長変換されずに透過する青色光は、斜め方向よりも直上方向により多く透過することになる。特に、入射角0度における青色光の平均透過率は、入射角45度における青色光の平均透過率を基準として、その値よりも約20%大きくなっている。
次に、具体的な評価としては、試料装置A〜Eに順方向電流240mA、順方向電圧15.1Vを印可にした場合において、出射される合成白色光の色温度4000Kを同一にするために必要となる蛍光体濃度及び発光効率をシミュレーションによって算出して評価を行った。ここで、蛍光体濃度とは、透明部材11中に占める蛍光体11aの割合であって、単位は重量パーセント濃度(wt%)である。また、各試料装置の発光効率は、試料装置Eの発光効率を100とした相対値で示してある。以下の表5に、各試料装置において使用される蛍光体濃度及び発光効率を示す。
表6から分かるように、フィルター12を搭載した試料装置A乃至Dは、従来の半導体発光装置である試料装置Eと比較して、蛍光体濃度の値が小さいことが分かった。すなわち、試料装置A乃至Dにおいては、発光効率をフィルター12を使用しない当初の場合と比較して95%以上に維持したまま、蛍光体使用量を(試料装置A、Bにおいては、30%以上)低減することができ、波長変換部材4及び半導体発光装置1のコスト低減を図ることが可能である。また、フィルター12を搭載した試料装置A乃至Dは、従来の半導体発光装置である試料装置Eと比較して、発光効率は95%以上に維持されており、その低減は低いレベルに抑えられていることが可能である。
特に、試料装置A及び試料装置Bにおいては、従来の半導体発光装置である試料装置Eと比較して、蛍光体濃度が約40%低減することができることが分かった。これは、入射角0度から30度の範囲における青色光の平均透過率が20%以下であることから、透明部材11を一度通過した青色光が、フィルター12によって反射され、透明部材に再度導かれた後に蛍光体11aによって波長変換されるため、少量の蛍光体11aによっても青色光を他の波長の光(赤色光及び黄色光)に十分に波長変換することができるためである。また、入射角0度から30度の範囲における赤色光の透過率の平均値が80%以下であることから、波長変換後の光を出射面側から的確に出射することができるため、波長変換した光を利用して効率よく白色光を合成していると考えられるためである。
上述した試料装置A〜Eの評価結果から分かるように、蛍光体11aの使用量を削減してコストを十分に低減できる半導体発光装置は、試料装置A及び試料装置Bとなるため、フィルター12の積層構造を試料a又は試料bと同様にすることが好ましい。このようなことから鑑みると、フィルター12は、入射角0度から30度の範囲における青色光の平均透過率が20%以下であり、且つ入射角0度から30度の範囲における赤色光の透過率の平均値が80%以上の特性を有することが重要となる。これは、入射角0度から30度の範囲における青色光の平均透過率が20%を超えると、LEDチップ4から出射される青色光が波長変換されることなく透明部材11及びフィルター12(すなわち、波長変換部材4)を通過することになり、波長変換部材4としての変換効率が低下し、合成白色光に必要となる所定の量の光(例えば、赤色光及び黄色光)を出射するためには、蛍光体11aの増量が必要となるからである。また、入射角0度から30度の範囲における赤色光の透過率の平均値が80%未満になると、変換光である赤色光を出射しにくくなり、合成白色光に必要となる所定の量の赤色光を出射するためには、蛍光体11aの増量が必要となるからである。ここで、青色光の平均透過率とは、特定の波長(例えば、450nm)の青色光における透過率のみを示すのではなく、一般的な波長範囲の全ての青色光に対する透過率の平均値を示す。なお、赤色光の透過率の平均値についても同様である。
また、フィルター12において、入射角45度における青色光の平均透過率が、0度における青色光の平均透過率に比して大きいことが好ましい。これは、樹脂11b等の母材から構成される透明部材11においては、入射角45度における青色光の平均透過率が入射角0度における青色光の平均透過率が小さいことが一般的であり、透明部材11における透過率の角度依存性をフィルター12における透過率の角度依存性によって相殺するためである。これにより、波長変換部材11及び半導体発光装置1から出射される合成白色光においては、視認方向に依存するような色むらが生じにくくなる。
更に、フィルター12は、青色光の平均透過率が入射角0度から50度にかけて増加し、且つ、赤色光の透過率の平均値が入射角0度から50度にかけて減少していることが好ましい。これは、樹脂11b等の母材から構成される透明部材11においては、青色光の平均透過率が入射角0度から50度にかけて減少し、且つ、赤色光の透過率の平均値が入射角0度から50度にかけて増加することが一般的であり、広い視認範囲においても青色光の角度依存性及び赤色光の角度依存性を相殺するためである。
そして、フィルター12は、入射角0度から40度において、青色光の平均透過率が50%以下、且つ、赤色光の透過率の平均値が80%以上であることが好ましい。このように設定することにより、白色光の合成に必要な青色光の過度の反射を防止し、広い視認範囲においても青色光及び赤色光の不足を招くことなく、色むらを当該広い視認範囲において防止しつつ、良好な白色光の合成を実現することができる。なお、本実施例のフィルター12は、入射する青色光の全てを透過するのではなく、その一部を透過する(すなわち、フィルター12は青色カットフィルターとして機能する)必要性があるため、このような場合においても、入射角0度において青色光の平均透過率が90%未満となることが好ましい。
各入射角度における青色光の平均透過率のより好ましい値としては、入射角0度における青色光の平均透過率が20%以下ある。また、入射角60度における青色光の平均透過率が60%以上である。平均透過率が20%以下に設定する理由は、平均透過率が20%を超えると、蛍光体11aによる波長変換が生じる確率が低下して蛍光体11aの使用量を増加する必要が生じるからである。そして、平均透過率が60%以上に設定する理由は、白色光の合成に必要となる青色光の不足を抑制して、良好な白色光を合成するためである。
<変形例>
上述した実施例のフィルター12において、可視光である青色光の平均透過率が入射角0度から30度の範囲で20%以下であり、可視光である赤色光の平均透過率が入射角0度から30度の範囲で80%以上であったが、当該特性が逆になってもよい。すなわち、青色光の平均透過率が入射角0度から30度の範囲で80%以上であり、赤色光の平均透過率が入射角0度から30度の範囲で20%以下となってもよい。このような変形例について、図9及び図10を参照しつつ、詳細に説明する。
上述した実施例のフィルター12において、可視光である青色光の平均透過率が入射角0度から30度の範囲で20%以下であり、可視光である赤色光の平均透過率が入射角0度から30度の範囲で80%以上であったが、当該特性が逆になってもよい。すなわち、青色光の平均透過率が入射角0度から30度の範囲で80%以上であり、赤色光の平均透過率が入射角0度から30度の範囲で20%以下となってもよい。このような変形例について、図9及び図10を参照しつつ、詳細に説明する。
ここで、図9は、変形例に係る、波長が450nmの光(青色光)に対する透過率の入射角度依存性を示す図であり、図10は、変形例に係る、波長が600nmの光(赤色光)に対する透過率の入射角度依存性を示す図である。図9及び図10においては、図6及び図7と同様に、横軸が入射角(度)であり、縦軸が透過率である。入射角0度とは、図6及び図7の場合と同様に、試料フィルターxの主面(ガラスの基板の露出面)に対する垂直方向とする。
図9に示すように、試料フィルターxは、入射角0度から入射角40度において、波長が450nmの光を良好に透過することが分かった。具体的に、入射角0度から入射角40度において、波長が450nmの光に対する透過率が約0.90(90%)であり、その値がほぼ維持されている。そして、入射角度が40度を超えると、透過率が徐々に減少し、入射角60度において透過率が約0.80(80%)であり、入射角度が60度を超えると、透過率が急峻に減少し、入射角80度において透過率が約0.45(45%)である。すなわち、試料フィルターxにおける、波長が450nmの光に対する透過率の入射角度依存性は、図7に示された試料フィルターa〜dの入射角度依存性と同等である。
一方、図10に示すように、試料フィルターxは、入射角0度から入射角30度において、波長が600nmの光を良好に遮断することが分かった。また、試料フィルターaにおいては、入射角度が30度を超えると透過率が急峻に増加し、入射角60度において透過率のピークを迎え、入射角度が60度を超えると透過率が減少する。すなわち、試料フィルターxにおける、波長が600nmの光に対する透過率の入射角度依存性は、図6に示された試料フィルターaの入射角度依存性と同等である。
このように、入射角0度から入射角30度において、青色光を透過する一方で赤色光を遮蔽し、入射角40度以上において、青色光を遮蔽する一方で赤色光を透過するような特性のフィルターであっても、上述した実施例と同様の効果を奏することになる。これは、比較に高い入射角(40度以上)において青色光を反射し、少ない蛍光体の量であっても、青色光による波長変換を十分に行うことができるようになるためである。また、比較に高い入射角(40度以上)において赤色光を良好に透過することができるため、波長変換した光を利用して効率よく白色光を合成していると考えられるためである。
1 半導体発光装置
2 配線基板
3 LEDチップ
4 波長変換部材
5 スペーサ
6 p電極
7 n電極
8 配線パターン
9 配線パターン
11 透明部材
11a 蛍光体
11b 樹脂
12 フィルター
2 配線基板
3 LEDチップ
4 波長変換部材
5 スペーサ
6 p電極
7 n電極
8 配線パターン
9 配線パターン
11 透明部材
11a 蛍光体
11b 樹脂
12 フィルター
Claims (9)
- 入射する青色光の少なくとも一部を波長変換し、複数の可視光を合成して合成白色光を出射する波長変換部材であって、
前記青色光の少なくとも一部を吸収して前記青色光とは異なる波長の光を出射する蛍光体、及び前記蛍光体を保持する母材からなる透明部材と、
前記合成白色光を構成する第1可視光の入射角0度から30度の範囲の平均透過率が20%以下であり、且つ前記合成白色光を構成する第2可視光の入射角0度から30度の範囲の平均透過率が80%以上であるフィルターと、を有し、
前記フィルターは、前記合成白色光の出射側に位置することを特徴とする波長変換部材。 - 前記第1可視光は430nmから470nmの範囲内にピーク波長を有する前記青色光であり、前記第2可視光は550nmから700nmの範囲内にピーク波長を有する赤色光であることを特徴とする請求項1に記載の波長変換部材。
- 前記フィルターは、前記青色光の平均透過率が入射角0度から50度にかけて増加し、且つ前記赤色光の平均透過率が入射角0度から50度にかけて減少することを特徴とする請求項1又は2に記載の波長変換部材。
- 前記フィルターは、入射角0度から40度において、前記青色光の平均透過率が50%以下、且つ前記赤色光の平均透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の波長変換部材。
- 前記フィルターは、入射角0度において、前記青色光の平均透過率が20%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の波長変換部材。
- 前記フィルターは、入射角60度において、前記青色光の平均透過率が60%以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の波長変換部材。
- 前記第1可視光は550nmから700nmの範囲内にピーク波長を有する赤色光であり、前記第2可視光は430nmから470nmの範囲内にピーク波長を有する前記青色光であることを特徴とする請求項1に記載の波長変換部材。
- 前記フィルターは、誘電体多層膜を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の波長変換部材。
- 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の波長変換部材と、
前記波長変換部材に向けて前記青色光を放射する半導体発光素子と、を有することを特徴とする半導体発光装置。
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