JP2014097670A - 摩擦体の取付構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 加熱により消色或いは変色可能なインキによる筆跡を摩擦する摩擦体を、筆記具のキャップ又は軸筒に、係止部材を介して取り付ける摩擦体の取付構造であって、前記摩擦体が孔部を有し、前記孔部に係止部材を挿入し、且つ前記係止部材に、前記摩擦体から外方に突出する挿入部を設けるとともに、前記挿入部をキャップ又は軸筒に係止することで、前記キャップ又は軸筒に摩擦体を取り付ける。
【選択図】 図3
Description
前記特許文献2では、環状の飾り部材が係止用の天冠とキャップ本体の間に介在するように挟着してなるものであるが、適用される飾り部材は装飾効果のみを付与する部材であるため、外周部のみが露呈する構造で取り付けられており、上方外縁部は天冠と接触している。
更に、前記特許文献3では、環状弾性体が軸筒先端と口先部材の間に介在するように配設されており、これにより筆記時に口先部材が傾動可能となることで筆記感を向上させるものである。そのため、弾性体は口先部材や軸筒の外面から突出することなく取り付けられており、上方外縁部は口先部材と接触している。
いずれも熱変色性インキを収容する構成の適用は考えられていないため、該インキによる筆跡(筆記面)に上方外縁部を接触させる構造を有するものではなかった。
更に、前記挿入部が係止片を有すること、前記摩擦体が環状体であることを要件とする。
更に、前記係止部材の上方端面が、摩擦体の上方端面よりも下方に没入されることを要件とする。
尚、本発明において「上」とは、キャップ側を示し、「下」とは、筆記具本体側を示す。
前記摩擦体の材質としては、樹脂、ゴム、エラストマー材料等が好適に用いられ、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、アクリル、ナイロン、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等の比較的硬質な合成樹脂や、スチレン系、オレフィン系、ポリスチレンとポリオレフィンのブロック共重合体、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、1、2−ポリブタジエン系、塩化ビニル系、フッ素系等の熱可塑性エラストマーや、ポリプロピレンとエチレンプロピレン系ゴムとのブレンド、ブタジエンとアクリロニトリルの共重合体とのブレンド、塩素化ポリエチレンとナイロンとのブレンド等のブレンドされたエラストマーや、シリコーンゴム等のゴムエラストマー、天然ゴム、合成ゴム、シリカ粉、金属粉、各種樹脂による発泡体、繊維の熱融着や樹脂加工体等が挙げられる。
特に、前記材質のうち、摩擦時に消しカスを生じ難く軟質性(柔軟性)を有する合成樹脂やエラストマーからなる材料(軟質樹脂と称する)が好適であり、例えばショア硬度Aが40以上(JIS K6253A)のものが例示できる。軟質樹脂は擦過時に紙面と接触させた際の弾性を有し、適度な抵抗を発現するため、摩擦熱の発生効率が高いものとなる。具体的には、シリコーン樹脂、ポリエステル系エラストマー樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)共重合体、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン(SEBS)共重合体等が好適である。
尚、前記摩擦体は染料や顔料等の着色剤の添加により所望の色に着色することが可能であり、より装飾性の高いものとすることができる。特に、収容するインキの色(色変化を呈するインキにおいては変色前後いずれか、または両方の色)と同じ色とした場合、摩擦体にインキ色表示機能を付与するものとなる。
尚、前記孔部内には、キャップ本体又は軸筒と係止部材とで挟持される挟持用段部を形成することが好ましい。前記挟持用段部は係止部材が係止されるように、内面全周に亘って設けられる他、部分的に設けたものであってよい。また、段部下方を厚肉状として安定性を向上することもできる。
この場合、係止部材の上方端面は摩擦体の上方端面よりも下方に没入された状態(即ち、側方視認時に係止部材が上方から視認できない状態)とすることが好ましい。前記構造とすることで、摩擦時に係止部材が被筆記面に接触することがなくなり、上方外縁部と共に摩擦体上面(上方端面)で筆跡を摩擦することができるようになるため、広域面を一度に変色させることが可能となる。
前記筆記具外装は、把持できる程度の硬度を有する部材であれば汎用の材料を用いることができ、例えば、金属、木材、紙材、ガラス、陶器やセラミック、エラストマーの他、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、アクリル、ナイロン、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等の比較的硬質な合成樹脂が例示できる。特に、所望形状への成形性が高いことから、合成樹脂が好適である。
前記可逆熱変色性組成物のうち、加熱により消色する組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する組成物を例示できる。
また、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報、特開2005−1369号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜70℃)を示し、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、低温域での発色状態、又は、高温域での消色状態が、特定温度域で記憶保持できる可逆熱変色性組成物を用いることもできる。
尚、前記可逆熱変色性インキは、低温側変色点を−30℃〜+10℃の範囲、且つ、高温側変色点を25℃〜95℃(好ましくは36℃〜90℃)の範囲に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持を有効に機能させることができると共に、付属の摩擦体による擦過で変色可能となるため、実用性が高いものとなる。
実施例1(図1乃至3参照)
可逆熱変色性インキの調製
(イ)成分として1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン1.0部、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン2.0部、(ロ)成分として4,4′−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール4.5部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.5部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T1:−20℃、T2:−9℃、T3:40℃、T4:57℃、ΔH:63℃、平均粒子径:2.5μm、赤色から無色に色変化する)を用いて、キサンタンガム(剪断減粘性付与剤)、尿素、グリセリン、ノニオン系浸透性付与剤、変性シリコーン系消泡剤、防黴剤、水と共に混合攪拌することで可逆熱変色性インキを調製した。
前記インキ(予め−20℃以下に冷却してマイクロカプセル顔料を緑色に発色させた後、室温下で放置したもの)をポリプロピレン製パイプに吸引充填し、樹脂製ホルダーを介してボールペンチップ6と連結させた。
次いで、前記ポリプロピレン製パイプの後部より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体を充填し、更に尾栓をパイプの後部に嵌合させて遠心処理により脱気処理を行うことでボールペンレフィルを得た。
尚、前記ボールペンチップは、金属材料をドリルによる切削加工により形成したボール抱持部に直径0.5mmのステンレス鋼ボールを抱持させてなり、且つ、前記ボールはバネ体により前方に付勢させたものである。
得られたボールペンレフィルを、ポリカーボネート樹脂製の透明円筒状軸筒21(後端に尾栓が嵌合されてなる)の内部に収容し、ポリカーボネート樹脂製の首部を螺合により組み立てることで筆記具本体2を作製した。
更に、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)共重合体を用いて成形された貫通孔部51を有する円形環状体を摩擦体5とし、前記孔部51に挿入される係止部材6の下端部(係止片63)と、ゴムシール44を内設するキャップ本体4の上端部(係止突起41内側下端)とを係合することで前記摩擦体5を二部材間に挟持するキャップ3を作製し、筆記具本体2に装着してキャップ式ボールペン形態の熱変色性筆記具1を得た(図1、2では説明用図面として不透明外装を示す)。
前記摩擦体5は円形の貫通孔(孔部51)を有する乳白色の円形環状体であり、孔部51内の下方には内径を小さくする向き(軸心方向)に延設される環状の段部52が形成されている。また、係止時に上方となる外縁部分(外縁部53)は面取りされており、筆跡接触時に面接触する構造を有し、更に上端は平面状とすることでより広い面接触が可能な形状となっている。
前記天板61は摩擦体5の孔部51の内径より僅かに小さい外径の円板であり、該天板61と孔部51内の段部52を接触させることで、段部52下方の厚肉部分を係止部材6とキャップ本体4上端とで挟持するものである。尚、前記天板61の上面は表示部65となっており、ペン先のボール径を表す数字が表示されている(具体的には印刷、一体成形、シール貼着等)。そのため、上方からキャップ上端を視認した際に収容するボールの外径が認識できるようになっている。
また、前記挿入部62の外面の一部にはリブ状の回り止め部64が形成されており、キャップ本体4上端の係止突起41に形成される切欠42に位置を合わせることで、軸線周りの回転が抑制できると共に、天板61の位置を一定方向で固定できるため、天板61の表示部65に表示された数字がクリップ43に対して傾くことなく常に所望位置で維持できるものとなる。
前記筆跡を、摩擦体5の外縁部53で数回擦過したところ、擦過した部分が摩擦熱により直ちに消色して無色となった。更に、該消去部分に再筆記することも可能であり、前記擦過消去及び消去箇所への筆跡形成は繰り返し行うことができた。
また、前記構成において、係止部材6の天板61がインキ色表示機能を呈するものであり、装飾性と視覚効果の高い筆記具となった。
実施例1で得たボールペンレフィルを収容する筆記具本体2として、環状摩擦体5(孔部内に挟持用段部を有する)を軸筒21後端の係止突起に取り付けた後、係止部材6(実施例1で作製したものと同様の構造の透明部材)により軸筒後端との間で摩擦体5を挟持することで筆記具本体2を作製し、更に実施例1で作製したキャップ3を取り付けることで熱変色性筆記具1を得た。
前記摩擦体5は、赤色着色剤を含有するスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)共重合体を用いて成形された貫通孔部51を有する円形環状体(実施例1の摩擦体5の径方向薄肉形状)であり、孔部51内の下方には内径を小さくする向きに延設される環状の段部が形成されている。また、係止時に外方端部となる外縁部分は面取りされ、筆跡接触時に面接触する構造となっており、端面は平面状とすることでより広い面接触が可能な構成となっている。
前記筆跡を、尾栓側の摩擦体5の外縁部で数回擦過したところ、擦過した部分が摩擦熱により直ちに消色して無色となった。更に、該消去部分に再筆記することも可能であり、前記擦過消去及び消去箇所への筆跡形成は繰り返し行うことができた。また、キャップ3側の摩擦体5を用いて外縁部53で数回擦過したところ、擦過した部分が摩擦熱により直ちに消色して無色となった。
尚、前記構成において、尾栓側の摩擦体5及びキャップ3側の係止部材6の天板61がインキ色表示機能を呈するものであり、装飾性及び視覚効果の高い筆記具となった。
2 筆記具本体
21 軸筒
22 係止突起
23 切欠
3 キャップ
4 キャップ本体
41 係止突起
42 切欠
43 クリップ
44 ゴムシール
5 摩擦体
51 孔部
52 段部
53 外縁部
6 係止部材
61 天板
62 挿入部
63 係止片
64 回り止め部
65 表示部
Claims (4)
- 加熱により消色或いは変色可能なインキによる筆跡を摩擦する摩擦体を、筆記具のキャップ又は軸筒に、係止部材を介して取り付ける摩擦体の取付構造であって、前記摩擦体が孔部を有し、前記孔部に係止部材を挿入し、且つ前記係止部材に、前記摩擦体から外方に突出する挿入部を設けるとともに、前記挿入部をキャップ又は軸筒に係止することで、前記キャップ又は軸筒に摩擦体を取り付けることを特徴とする摩擦体の取付構造。
- 前記挿入部が係止片を有することを特徴とする請求項1記載の摩擦体の取付構造。
- 前記摩擦体が環状体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の摩擦体の取付構造。
- 前記係止部材の上方端面が、摩擦体の上方端面よりも下方に没入されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の摩擦体の取付構造。
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