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JP2013203841A - 感圧変色インク組成物 - Google Patents

感圧変色インク組成物 Download PDF

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JP2013203841A
JP2013203841A JP2012073458A JP2012073458A JP2013203841A JP 2013203841 A JP2013203841 A JP 2013203841A JP 2012073458 A JP2012073458 A JP 2012073458A JP 2012073458 A JP2012073458 A JP 2012073458A JP 2013203841 A JP2013203841 A JP 2013203841A
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Kosuke Ogura
孝介 小椋
Noriko Sakane
範子 坂根
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Mitsubishi Pencil Co Ltd
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Abstract

【課題】描線に圧力を加えことにより色が変化する感圧変色インク組成物を提供する。
【解決手段】少なくともロイコ染料内包カプセルと、顕色剤とを含有することを特徴とする感圧変色インク組成物。更に、着色剤を含有することを得、該ロイコ染料内包カプセルの含有量がインク組成物全量に対して、1〜10質量%であり、該ロイコ染料内包カプセルの平均粒子径が、0.1〜10μmであり、ボール受座投影面積/ボールの表面積が3%以下であるボールペンに好ましく使用される。
【選択図】なし

Description

本発明は、描線に圧力を加えることにより色が変化する感圧変色インク組成物に関する。
従来より、筆記描線を変化させるインク組成物としては、例えば、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体の均質相溶体からなる感温変色性色彩記憶性組成物をマイクロカプセル壁膜に内包したマイクロカプセル顔料と、溶剤とから少なくともなり、摩擦熱等の熱により変色するインク組成物(例えば、特許文献1参照)が知られている。
また、描線が香るインク組成物としては、例えば、着色剤、香料、部分スルホン化ポリエステル樹脂及び水を含有してなる筆記具用水性インク組成物(例えば、特許文献2参照)が知られている。
しかしながら、これらの描線変化や描線が香るものは、一般的になってきており、更なる変化に富む描線が得られるという趣向性に富んだ筆記具用などに好適なインク組成物が切望されている。
一方、圧力を加えることにより変色するものとして、例えば、電子供与化合物及び電子受容化合物を含む可逆性感圧変色システムであって、前記電子供与化合物と前記電子受容化合物との組み合わせが加圧により可逆的に発色し、色の変化が人の眼、比色測定、又はその両方により検出可能である印刷用インクとして有用である可逆性感圧変色システム(例えば、特許文献3参照)が知られている。
しかしながら、摩擦熱等の熱により変色するインク組成物は、描線が高温もしくは低温などの環境におかれた場合において、描線の色が時間の経過とともに変化するなどの課題を有するものである。
特開2007−126554号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開平8−283645号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特表2007−528929号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来の課題および現状に鑑み、これを解決しようとするものであり、温度、湿度等に影響されることなく、安定性に優れ、描線に圧力を加えることにより容易に色が変化する趣向性に富んだ感圧変色インク組成物を提供することを目的とする。
本発明は、上記従来の課題について、鋭意検討した結果、少なくともロイコ染料内包カプセルと、顕色剤とを含有することにより、上記目的の感圧変色インク組成物が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の感圧変色インク組成物は、次の(1)〜(5)に存する。
(1) 少なくともロイコ染料内包カプセルと、顕色剤とを含有することを特徴とする感圧変色インク組成物。
(2) 更に、着色剤を含有することを特徴とする上記(1)に記載の感圧変色インク組成物。
(3) 前記ロイコ染料内包カプセルの含有量がインク組成物全量に対して、3〜10質量%であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の感圧変色インク組成物。
(4) 前記ロイコ染料内包カプセルの平均粒子径が、0.1〜10μmであることを特徴とする、上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の感圧変色インク組成物。
(5) 上記(1)〜(4)の何れか一つに記載の感圧変色インク組成物を充填したボールペンであって、前記ボールペンに使用されるチップの、投影受座面積/ボールの表面積が3%以下であることを特徴とするボールペン。
本発明によれば、温度、湿度等に影響されることなく、安定性に優れ、描線に圧力を加えることにより容易に色が変化する感圧変色インク組成物が提供される。
本発明の感圧変色インク組成物を充填するボールペンに使用されるボールペンチップの一例を示す正面図である。 (a)は図1のボールペンチップの先端部分を示す拡大正面図、(b)はその横断面図ある。 図2(b)のX−X線断面図である。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の感圧変色インク組成物は、少なくともロイコ染料内包カプセルと、顕色剤とを含有することを特徴とするものである。
本発明のロイコ染料内包カプセルは、ロイコ染料を芯剤としてマイクロカプセル化することにより形成することができる。
本発明に用いるロイコ染料としては、電子供与性染料で、発色剤としての機能するものであれば、特に限定されものではなく、例えば、トリアリールメタン化合物、ジフェニルメタン系化合物、キサンテン系化合物、チアジン系化合物、スピロ系化合物等の少なくとも1種(各単独、または2種以上の混合物、以下同様)が挙げられる。
用いることができるロイコ染料としては、具体的には、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス−(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、4,4−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等、ローダミンB−アニリノラクタム、ローダミンB−p−ニトロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−3,4−ジクロルアニリノフルオラン、3−エチル−トリルアミノ−6−メチル−7−フェニチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトビラン、3,3−ジクロロ−スピロ−ジナフトビラン、3−ベンジルスピロ−ジナフトビラン、3−メチルナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)−スピロピラン等の少なくとも1種が用いられる。
本発明のロイコ染料内包カプセルは、少なくとも上記ロイコ染料を平均粒子径が0.1〜10μmとなるように、かつ、好適な原料を選択して、マイクロカプセル化することにより製造することができる。
マイクロカプセル化法としては、例えば、界面重合法、界面重縮合法、insitu重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライニング法などを挙げることができ、用途に応じて適宜選択することができる。
例えば、水溶液からの相分離法では、ロイコ染料を加熱溶融後、乳化剤溶液に投入し、加熱攪拌して油滴状に分散させ、次いで、カプセル膜剤として、壁膜がアミノ樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などで形成できる樹脂原料などを使用、例えば、アミノ樹脂溶液では、メチロールメラミン水溶液、尿素溶液、ベンゾグアナミン溶液などの各液を徐々に投入し、引き続き反応させて調製後、この分散液を濾過することにより目的の感圧変色性となるロイコ染料内包カプセルを製造することができる。
本発明のロイコ染料内包カプセルでは、上記ロイコ染料の種類、量などを好適に組み合わせて加圧による顕色剤との反応により、任意の発色、例えば、透明から有色などに発色させることができる。
得られるロイコ染料内包カプセルの平均粒子径は、着色性、発色性、安定性の点、並びに、筆記性への悪影響を抑制する点から、上述の如く、0.1〜10μm、更に好ましくは、0.2〜5μmであるものが望ましい。なお、本発明(実施例等含む)で規定する「平均粒子径」は、粒度分布測定装置〔マイクロトラックHRA9320−X100(日機装社製)〕にて、平均粒子径を測定した値である。
この平均粒子径が0.1μm未満であると、十分な描線濃度が得られず、一方、10μmを越えると、筆記性の劣化やロイコ染料内包カプセルの分散安定性の低下が発生し、好ましくない。
なお、上記範囲(0.1〜10μm)となる平均粒子径のロイコ染料内包カプセルは、マイクロカプセル化法により変動するが、水溶液からの相分離法などでは、マイクロカプセル顔料を製造する際の攪拌条件を好適に組み合わせることにより調製することができる。
本発明において、ロイコ染料内包カプセルの含有量は、インク組成物全量に対して、好ましくは、1〜10質量%(以下、単に「%」という)、更に好ましくは、3〜7%とすることが望ましい。
このロイコ染料内包カプセルの含有量が1%未満であると、着色力、発色性が不十分となり、一方、10%を超えると、カスレが生じやすくなり、好ましくない。
本発明に用いる顕色剤は、ロイコ染料内包カプセルが加圧により破壊等されてカプセル外にでたロイコ染料と反応して発色させるものであり、例えば、例えば、フェノール樹脂系化合物、サリチル酸系金属塩化物、サリチル酸樹脂系金属塩化合物、固体酸系化合物等が挙げられる。
用いることができる顕色剤としては、具体的には、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、ヘキサフルオロビスフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス( 4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ノナンなどの少なくとも1種が挙げられる。
本発明において、顕色剤の含有量は、インク組成物全量に対して、好ましくは、1〜10%、更に好ましくは、3〜7%とすることが望ましい。
この顕色剤の含有量が1%未満であると、加圧した際の着色力、発色性が不十分となり、一方、10%を超えると、インクの安定性が低下するため好ましくない。
本発明の感圧変色インク組成物において、更に着色剤を含有することができる。この着色剤を含有することにより、描線は始めに着色剤等による色で定着しており、更に当該描線を加圧することによりカプセル外に出たロイコ染料と顕色剤との反応により所定の色に発色することとなるので、描線は着色剤の色とロイコ染料による着色との2色にすることが可能となる。従って、当該感圧変色インク組成物を筆記具用のリフィールで充填すれば、多色ペンとして使用することができる。
用いることができる着色剤としては、例えば、筆記具用インクに汎用される水に溶解又は分散可能な全ての染料、酸化チタンを始めとする公知の無機系及び有機系顔料、樹脂粒子を染料で着色した疑似顔料、白色系プラスチック顔料を用いることができる。
染料としては、例えば、エオシン、フロキシン、ウォーターイエロー#6−C、アシッドレッド、ウォーターブルー#105、ブリリアントブルーFCF及びニグロシンNB等の酸性染料、ダイレクトブラック154、ダイレクトスカイブルー5B及びバイオレットBB等の直接染料、並びに、ローダミン及びメチルバイオレット等の塩基性染料が挙げられる。
無機系顔料としては、例えば、カーボンブラック等が挙げられる。また、有機系顔料としては、例えば、アゾレーキ、キレートアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料並びに染料レーキ等が挙げられる。
これらの着色剤を含有する場合は、その含有量はインク組成物全量に対して、好ましくは、0.1〜40%の範囲内で、インクの描線濃度により適宜増減することが望ましい。
本発明の感圧変色インク組成物では、上記ロイコ染料内包カプセル、顕色剤、または、着色剤の他、残部として溶媒である水(水道水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水等)の他、本発明の効果を損なわない範囲で、水溶性有機溶剤、増粘剤、防腐剤もしくは防菌剤、潤滑剤、pH調整剤、その他の添加剤などを適宜含有することができる。
溶剤としては、水に相溶性のある極性基を有する水溶性有機溶剤を使用することができる。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン、ピロリドンなどが挙げられ、これらは単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
これらの溶剤の含有量は、インク組成物全量に対して、1〜50%の範囲内で、インクの保存安定性により適宜増減することが望ましい。
増粘剤としては、例えば、合成高分子、多糖類からなる群から選ばれた少なくとも一種を使用することができる。合成高分子としては、例えば、ポリアクリル酸類、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコール、ポリジオキソラン、ポリスチレンスルホン酸、ポリプロピレンオキサイドなどが挙げられる。多糖類としては、キサンタンガム、グアーガム、カゼイン、アラビアガム、ゼラチン、アミロース、アガロース、アガロペクチン、アラビナン、カードラン、カロース、カルボキシメチルデンプン、キチン、キトサン、クインスシード、グルコマンナン、ジェランガム、タマリンシードガム、デキストラン、ニゲラン、ヒアルロン酸、プスツラン、フノラン、ペクチン、ポルフィラン、ラミナラン、リケナン、カラギーナン、アルギン酸、トラガカントガム、アルカシーガム、ローカストビーンガムなどが挙げられる。
防腐剤としては、例えば、フェノール、ナトリウムオマジン、ペンタクロロフェノールナトリウム、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2,3,5,6−テトラクロロ−4(メチルスルフォニル)ピリジン、ベンズイミダゾール系化合物、並びに安息香酸、ソルビタン酸及びデヒドロ酢酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。
本発明の感圧変色インク組成物の製造は、例えば、上記ロイコ染料内包カプセル、顕色剤、の他、着色剤、溶剤、増粘剤、pH調整剤、その他添加剤、水などの各成分を所定量配合し、ホモミキサー、もしくはディスパー等の攪拌機により攪拌混合することによって得られる。
また、本発明の感圧変色インク組成物は、ボールペン用、マーキングペン用などの筆記具用として好適に用いることができる。
本発明の感圧変色インク組成物をボールペンに用いる場合には、ボールペンに使用されるボールペンチップの構造において、後述するように、投影受座面積/ボールの表面積を3%以下とすることが望ましい。
図1〜図3は、順次、本発明の感圧変色インク組成物を充填するボールペンに使用されるボールペンチップの一例を示す正面図、ボールペンチップの先端部分を示す拡大正面図、その横断面図、X−X線断面図である。
このボールペンチップ10は、図1に示すように、ステンレス鋼などの金属製のホルダー20と、その先端に抱持される超硬合金製の筆記ボール11とを有している。ホルダー20の先端部分は、図1〜図3に示すように、先細に形成されており、この部分がテーパー部21となっている。テーパー部21の内部空間はボールハウス30として形成されており、この中に筆記ボール11が収納されている。
ホルダー20の後端付近は、外径を減じた凹部を有する縮径部22となっている。この部分が図示しないボールペンリフィルとボールペンチップ10とを連結する図示しない継手部材に圧入されることで、ボールペンチップ10が継手部材を介してボールペンリフィル(インク収容管)に取り付けられる構成となっている。
ホルダー20の後端から、ボールハウス30近傍までの内部空間は、図2に示すように、バック孔23として形成されている。このバック孔23とボールハウス30とをインク誘導孔24が貫通している。
ボールハウス30は、軸心とほぼ平行な円筒面である内側面31と、この内側面に連続して後方へ向かって鋭角のテーパー角をもって縮径する連結底面32とを有している。また、この底面32の、軸心側の環状の領域は、筆記ボール11の曲面が転写されたボール受座33となっている。一方、テーパー部21の先端は、内向きに口径を狭めるように押圧変形されている。この部分をカシメ部25と称し、ボールハウス30内に収納された筆記ボール11が先端から脱落しないように保持するものである。さらに、インク誘導孔24の周囲には、放射状に3本のチャンネル溝26が等配されている。このチャンネル溝26は、連結底面32に跨って形成されているとともに、その後端はインク誘導孔24の途中にしか達せず、バック孔23までは貫通していないものである。
このように構成される本発明の感圧変色インク組成物を充填したボールペンに使用されるボールペンチップ10において、筆記ボール11の表面積をXとし、ボール受座投影面積Yとし場合に、筆圧によってロイコ染料内包カプセルが破壊されずに、かつ筆記感を損なわない範囲とするために、好ましくは、Y/Xが3%以下となることが望ましく、更に好ましくは1%以上3%以下とすることが望ましい。このY/Xが3%超過となると、ロイコ染料内包カプセルが破壊される場合があり、一方、1%未満では、安定した筆記感が損なわれることがある。
なお、本発明において、筆記ボール11の表面積Xは、ボール11の半径(r)から算出(4πr)し、また、ボール受座投影面積Yは、各部位の寸法を測定後、筆記ボール11側から光を照射して、その投影図から得られるボール受座33の面積を計測することにより、算出することができる(以下の実施例においても同様)。
本発明では、上記構成のボールペンチップ10を取り付けた図示しないボールペンリフィル(インク収容管)の内部には、本発明の感圧変色インク組成物が収容され、該インク収容管を保持する筆記具本体となるボールペン軸体に取り付けることにより、ボールペンを作製して、使用に供されることとなる。
このように構成される本発明では、少なくともロイコ染料内包カプセルと、顕色剤とを含有するインクを処方し、このインクを搭載したボールペンや、マーキングペンの各ペン先等にて紙面等に筆記等した後、キャップ、尾栓、口プラ、口金などの筆記具本体の一部、若しくは筆記具本体とは別の部材で描線を擦ることにより加圧すると、カプセル外に出たロイコ染料と顕色剤との反応により所定の色に発色するものとなる。なお、加圧をするための部材に用いられる材料は特に限定されるものではなく、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABSなどのプラスチック、オレフィン系、ウレタン系、スチレン系、ポリエステル系等のエラストマー、セラミック、金属などが使用できる。さらにその形状も特に限定されないが、加圧による筆記面への影響を考慮すると曲面を有していることが好ましい。また、この感圧変色インク組成物は、温度、湿度等に影響されることなく、安定性に優れ、趣向性に富んだ感圧変色インク組成物が得られるものとなる。
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
〔製造例1:ロイコ染料内包カプセルAの調製〕
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド5.0gをジイソプロピルナフタレン溶剤100gに溶解した発色剤溶液をpH5.0の5w%エチレン無水マレイン酸共重合体水溶液120gに混入して、平均粒子径3.2μm〔MV〕になるまで乳化し、該乳化液にメラミン10g、37w%ホルムアルデヒド水溶液19g、水28gを加熱溶解して得たメラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液を添加し、70℃で2時間混合攪拌しながら反応させてロイコ染料内包カプセルを得た。
〔製造例2:ロイコ染料内包カプセルBの調製〕
製造例1の3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリドに替えて2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオランを用いた以外は、製造例1と同様の処方にてロイコ染料内包カプセルを得た。なお、平均粒子径は2.7μm〔MV〕であった。
〔製造例3:ロイコ染料内包カプセルCの調製〕
製造例1の3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリドに替えて2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオランを用いた以外は、製造例1と同様の処方にてロイコ染料内包カプセルを得た。なお、平均粒子径は2.9μm〔MV〕であった。
〔実施例1〜4〕
下記各配合組成に基づいて、ロイコ染料内包カプセル以外の成分を50℃3時間攪拌して完全に溶解させ、室温(25℃)、回転数300rpmの条件で攪拌しながらロイコ染料内包カプセルを加え、1時間攪拌することにより各感圧変色インク組成物(全量100%)を調製した。
(実施例1)
ロイコ染料内包カプセルA 5%
顕色剤(2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン) 5%
グリセリン 15%
防腐剤(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン) 0.2%
キサンタンガム 0.2%
防錆剤(ベンゾトリアゾール) 0.3%
トリエタノールアミン 1.0%
潤滑剤(リン酸エステル RD−510Y:東邦化学工業社製) 0.5%
水(精製水) 72.8%
(実施例2)
ロイコ染料内包カプセルB 7%
顕色剤(2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン) 7%
グリセリン 15%
防腐剤(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン) 0.2%
キサンタンガム 0.2%
防錆剤(ベンゾトリアゾール) 0.3%
トリエタノールアミン 1.0%
潤滑剤(リン酸エステル RD−510Y:東邦化学工業社製) 0.5%
水(精製水) 68.8%
(実施例3)
ロイコ染料内包カプセルC 3%
顕色剤(2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン) 3%
グリセリン 15%
防腐剤(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン) 0.2%
キサンタンガム 0.2%
防錆剤(ベンゾトリアゾール) 0.3%
トリエタノールアミン 1.0%
潤滑剤(リン酸エステル RD−510Y:東邦化学工業社製) 0.5%
水(精製水) 76.8%
(実施例4)
ロイコ染料内包カプセルA 5%
着色剤(フロキシン) 2%
顕色剤(2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン) 5%
グリセリン 15%
防腐剤(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン) 0.2%
キサンタンガム 0.2%
防錆剤(ベンゾトリアゾール) 0.3%
トリエタノールアミン 1.0%
潤滑剤(リン酸エステル RD−510Y:東邦化学工業社製) 0.5%
水(精製水) 70.8%
(水性ボールペンの作製)
上記で得られた各感圧変色インク組成物を用いて水性ボールペンを作製した。具体的には、図1〜図3に準拠するボールペンチップを用いた三菱鉛筆株式会社製、商品名:ユニボールファントムUF−202〕の軸を使用し、内径4.0mm、長さ113mmポリプロピレン製インク収容管とステンレス製チップ(超硬合金ボール、ボール径0.5mm)及び該インク収容管と該チップを連結する継手からなるリフィールに上記各インクを充填し、インキ後端に鉱油を主成分とするインキ追従体を装填し、水性ボールペンを作製した。
また、ボールの表面積Xは、0.785mmであり、ボール受座投影面積Yは、0.018mmであり、そのY/Xは、2.29%であった。
得られた実施例1〜4の水性ボールペンを用いて、下記各評価方法で描線発色濃度、保存安定性、筆記性の評価を行った。
これらの結果を下記表1に示す。
(描線発色変化の評価方法)
各ペン体をISO規格に準拠した筆記用紙に、フリーハンドで螺旋筆記し、尾栓側に装着したキャップ先端部により描線に圧力を加え、目視により描線発色の変化を下記の評価基準で評価した。
評価基準:
○:描線に圧力を加える前後で色に十分な変化が見られる。
△:描線に圧力を加える前後で色僅かに変化が見られる。
×:描線に圧力を加える前後で色に変化がない
(保存安定性の評価方法)
得られた各インクを15mlのガラス製蓋付き瓶に充填し、密封した後に、50℃の条件下で1ヶ月保存した後、夫々のインクの状態を目視で確認し、下記の基準で評価した。
評価基準:
○:分離、凝集は発生していない。
△:僅かな分離または凝集。
×:分離または凝集がある。
(筆記性の評価方法)
各ペン体をISO規格に準拠した筆記用紙に、フリーハンドで螺旋筆記し、目視により筆記性を下記の基準で評価した。
評価基準:
○:カスレを生じることなく筆記可能。
△:部分的にカスレが生じる。
×:全体的に大きくカスレが生じる。
Figure 2013203841
上記表1の結果から明らかなように、本発明となる実施例1〜4は、描線の発色濃度、保存安定性及び筆記性に優れていることが判明した。
ボールペン用、マーキングペン用などの筆記具用として好適な感圧変色インク組成物となる。
10 ボールペンチップ
11 筆記ボール
20 ホルダー
33 ボール受座

Claims (5)

  1. 少なくともロイコ染料内包カプセルと、顕色剤とを含有することを特徴とする感圧変色インク組成物。
  2. 更に、着色剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の感圧変色インク組成物。
  3. 前記ロイコ染料内包カプセルの含有量がインク組成物全量に対して、1〜10質量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の感圧変色インク組成物。
  4. 前記ロイコ染料内包カプセルの平均粒子径が、0.1〜10μmであることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載の感圧変色インク組成物。
  5. 請求項1乃至4の何れか一項に記載の感圧変色インク組成物を充填したボールペンであって、前記ボールペンに使用されるチップの、ボール受座投影面積/ボールの表面積が3%以下であることを特徴とするボールペン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017035804A (ja) * 2015-08-07 2017-02-16 三菱鉛筆株式会社 ボールペン

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