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JP2013244363A - 眼底撮影装置 - Google Patents

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JP2013244363A JP2012122308A JP2012122308A JP2013244363A JP 2013244363 A JP2013244363 A JP 2013244363A JP 2012122308 A JP2012122308 A JP 2012122308A JP 2012122308 A JP2012122308 A JP 2012122308A JP 2013244363 A JP2013244363 A JP 2013244363A
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Takahiro Nanbara
孝啓 南原
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Nidek Co Ltd
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Abstract

【課題】 フレアの発生を抑え眼と撮影部のアライメントを維持する眼底撮影装置を提供する。
【解決手段】 眼底撮影装置は、眼底を照明する眼底照明光学系と,視線を誘導する固視標及び網膜の視機能検査を行う検査指標を眼底に投影する視標呈示光学系と,眼底を撮影して眼底撮影画像を得る撮像素子を備える眼底撮影光学系を備える撮影部と、所定のアライメント基準に基づき撮影部と眼を位置合わせするアライメント手段と、撮像素子で撮像された眼底撮影画像に含まれるフレアを画像処理で抽出するフレア抽出手段とを備え、アライメント手段は、フレア抽出手段でフレアが抽出されたときに,撮影部を患者眼から離れる作動距離方向へ移動させて眼と撮影部との位置ずれに伴うフレアの発生を抑える。

【選択図】 図5

Description

本発明は、患者眼の眼底を撮影する眼底撮影装置に関する。
眼底のピントが合った状態で眼底観察又は撮影が行われる眼底撮影装置において、眼底(網膜)上の各測定点に検査視標を投影して、患者眼の応答に基づく眼の視機能検査をするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また眼底撮影装置において、検査中に生じる眼の移動又は回旋によるフレアの発生を抑え、眼の視機能検査を好適に行うために、撮像素子で得られた眼底像の複数部位の光量を検出して、検出結果に基づき撮影部を上下左右方向へと移動させることによりフレアの発生を回避するものが提案されている(特許文献2参照)
特開2003‐235800号公報 特許平9−070388号公報
しかし特許文献2のように撮影部を光軸に垂直な方向(上下左右方向)に移動させるだけでは、フレアが発生しやすい状況は変わらない。その為、特許文献1に示される眼底撮影装置のように患者の検査に時間を要するものにおいては、眼と撮影部の位置関係のずれに伴うフレア検知と撮影部の移動が繰り返されることで、装置の安定動作に影響を与えてしまうおそれがある。
本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、眼と撮影部のアライメントが好適に維持される眼底撮影装置を提供することを技術課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 患者眼の眼底を照明する眼底照明光学系と,患者眼の視線を誘導する固視標及び網膜の視機能検査を行う検査指標を前記眼底に投影する視標呈示光学系と,前記眼底を撮影して眼底撮影画像を得るための撮像素子を備える眼底撮影光学系を備える撮影部と、所定のアライメント基準に基づき前記撮影部と前記患者眼の位置合わせをするアライメント手段と、を備える眼底撮影装置において、前記撮像素子で撮像された前記眼底撮影画像に含まれるフレアを画像処理で抽出するフレア抽出手段とを備え、前記アライメント手段は、前記フレア抽出手段で前記フレアが抽出されたときに,前記撮影部を前記患者眼から離れる作動距離方向へ所定距離移動させることで、前記患者眼と前記撮影部との位置ずれに伴うフレアの発生を抑えることを特徴とする。
(2) (1)の眼底撮影装置は、前記患者眼の回旋によって生じる前記眼底上での前記検査視標の呈示位置のずれを補正するトラッキング手段とを備え、前記アライメント手段は、前記トラッキング手段によるトラッキングが行われる際に,前記フレア抽出手段で前記フレアが抽出された時に、前記撮影部を患者眼から所定距離離れる作動距離方向へ移動させた後、前記フレア抽出手段による前記フレアの抽出結果に基づき,前記撮影部を光軸に垂直な上下左右方向へと移動させる制御をすることを特徴とする。
(3) (2)の眼底撮影装置において、前記アライメント手段は更に、前記フレア抽出手段で抽出された前記フレアの領域の重心の位置情報を演算処理で求める重心演算手段と、該重心演算手段により得られた前記重心の位置情報と前記アライメント基準とに基づいて前記患者眼に対する前記撮影部の同一作動距離での上下左右方向のアライメント制御を行う制御手段と、を備えることを特徴とする。
(4) (3)の眼底撮影装置は、前記撮影部を前記患者眼から離れる作動距離方向へ移動させる際の移動量が記憶された記憶部とを備えることを特徴とする。
(5) (4)の眼底撮影装置において、前記アライメント手段は、前記フレア抽出手段で抽出された前記フレア領域の面積に比例させて前記撮影部を前記患者眼から離れる作動距離方向へと移動させることを特徴とする。
本発明によれば眼と撮影部のアライメントが好適に維持される眼底撮影装置を提供できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。なおここでは眼底観察及び撮影と、眼底の視野検査を一台で行うことができる眼底撮影装置を例に挙げて説明する。図1は眼底撮影装置の外観構成図である。図2は眼底撮影装置の光学系及び制御系の説明図である。
図1において、眼底撮影装置1は、基台1aと、基台1aに対して左右方向(X方向)及び前後(作動距離)方向(Z方向)に移動可能に設けられた移動台2、移動台2に設けられた駆動部6によって患者眼(眼)Eに対して左右方向(X方向)、上下方向(Y方向)及び前後方向(X方向)に移動可能に設けられた撮影部(装置本体)3、被検者の顔を支持するために基台1aに固設された顔支持ユニット5を備える。
なお、撮影部3の内部には後述する光学系及び制御系が収納される。
撮影部3の検者側には、ジョイスティック4、コントロール部7a、モニタ8が設けられている。ジョイスティック4は眼Eに対して撮影部3を相対移動させるために用いられる。ジョイスティック4が傾倒されると摺動機構によって移動台2が基台1a上をXZ方向に摺動する。ジョイスティック4の側面には回転ノブ4a、頂部にはスイッチ4bがあり、回転ノブ4aの回転操作で駆動部6が駆動して撮影部3がY方向に移動される。またスイッチ4bからの入力信号で眼底像の撮影動作などが行われる。
コントロール部7aは、各種撮影・検査条件等を設定するための入力手段であり、マウス、キーボード、タッチパネル(モニタ8に取り付けられる)等が用いられる。
モニタ8には眼Eの観察・撮影画像の他、各種検査結果が表示される。例えば、眼底観察画面、前眼部観察画面、視野検査画面等がモニタ8に表示される。
撮影部3の被検者側には、被検者が装置内部を覗き込むための撮影窓9、眼(網膜)の視機能検査時などに患者が応答信号を入力するための応答ボタン7bが設けられている。
図2において、光学系は、照明光学系10、患者眼の眼底や前眼部等の観察・撮影をする観察・撮影光学系30、眼底にフォーカス指標(フォーカス指標)を投影するフォーカス指標投影光学系40、前眼部にアライメント用指標光束を投影するアライメント指標投影光学系、被検者(眼E)の視線を誘導する視標呈示光学系70から構成されている。
<照明光学系> 照明光学系10は、撮影照明光学系と観察照明光学系を有する。撮影照明光学系は、可視光束を照射する撮影光源14、コンデンサレンズ15、リング状の開口を有するリングスリット17、リレーレンズ18、ミラー19、中心部に黒点を有する黒点板20、リレーレンズ21、孔あきミラー22、対物レンズ25を有する。
観察照明光学系は、近赤外光の光束を照射する照明光源11、近赤外光を透過する赤外フィルター12、コンデンサレンズ13、コンデンサレンズ13とリングスリット17との間に配置されたダイクロイックミラー16、リングスリット17から孔あきミラー22までの光学系と、対物レンズ25を有する。
<観察・撮影光学系> 観察・撮影光学系30は、眼底観察光学系、眼底撮影光学系、前眼部観察光学系を有する。眼底観察光学系は、対物レンズ25、孔あきミラー22の開口近傍に位置する撮影絞り31、光軸方向に移動可能なフォーカシングレンズ32、結像レンズ33、跳ね上げミラー34を備える。跳ね上げミラー34の反射方向の光路には、赤外光反射・可視光透過の特性を有するダイクロイックミラー37、リレーレンズ36、赤外域に感度を有する観察用の二次元撮像素子38が配置され、赤外光源で照明された眼底像が撮影される。なお、跳ね上げミラー34は眼底の観察時に光路に挿入され、眼底の撮影時に挿脱機構39により光路から退避される。
眼底撮影光学系は、対物レンズ25,撮影絞り31から結像レンズ33までの光学系を眼底観察光学系と共用する。また眼底撮影光学系は、可視域に感度を有する撮影用の二次元撮像素子35を備え、可視光源14で照明された眼底像が撮影される。なお、撮影絞り31は対物レンズ25に関して眼Eの瞳孔と略共役な位置に配置され、フォーカシングレンズ32は、モータを備える移動機構49で光軸方向に移動される。
以上の構成により眼底の観察時には、照明光源11を発した光束が対物レンズ25によって眼Eの瞳孔付近で一旦収束した後、拡散して眼底を照明する。眼底からの反射光は、対物レンズ25、孔あきミラー22の開口部、撮影絞り31、フォーカシングレンズ32、結像レンズ33、跳ね上げミラー34、ダイクロイックミラー37、リレーレンズ36を介して撮像素子38に結像する。眼底の撮影時には、撮影光源14で照明された眼底からの反射光が、対物レンズ25、孔あきミラー22の開口部、撮影絞り31、フォーカシングレンズ32、結像レンズ33を経て二次元撮像素子35に結像する。
前眼部観察光学系は、赤外光を発する光源35a、35b、対物レンズ25、前眼部観察補助レンズ26(以下、補助レンズと記す)を有し、穴あきミラー22から撮像素子38までの光学系を眼底観察光学系と共用する。赤外光源35a,35bは撮影光軸L1を挟んで対称的配置された一対の矩形状のLEDであり、眼Eの角膜に向けて所定の投影角度で発散光束による有限遠の指標(患者眼に対して垂直方向に延びる矩形状の指標)を投影する。これにより、眼Eと撮影部3の三次元方向のアライメント状態が示されると共に前眼部全体が照明される。
なお、補助レンズ26は駆動手段26aの駆動によって光路から挿脱され、補助レンズ20が光軸L1上に置かれたときに前眼部と撮像素子38が略共役関係になる。つまり前眼部の観察時には、補助レンズ26が光軸L1上に置かれて撮像素子38で撮像された前眼部がモニタ8に表示される。一方、眼底観察時には、補助レンズ26が駆動手段26aの駆動で光路から退避され、撮像素子38と眼底が略共役関係となり、撮影された眼底像がモニタ8に表示される。
また、本実施形態では穴あきミラーの開口付近(眼底の略共役位置)に点光源27が設けられており、眼底観察時に点光源27が点灯されることで、眼底に形成されたワーキングドットWによる作動距離方向のアライメントが行われる。なお、点光源27はファイバードットの先端などで構成される。
<フォーカス指標投影光学系> フォーカス指標投影光学系40は、赤外光源41、スリット指標板42、スリット指標板42に取り付けられた2つの偏角プリズム43、照明光学系10の光路に斜設されたレバー45、レバー45に取り付けられ眼底の共役位置に置かれるスポットミラー44、ロータリーソレノイド46、投影レンズ47とを備える。
レバー45は光軸上に置かれ、スポットミラー44は光軸上を避けた位置に置かれるようにレバー45の先端に取り付けられる。これにより眼底の観察時に、スポットミラー44からの反射光が眼底上の光軸L1上を避けた位置に投影されるようになる。
スリット指標板42の光束は、偏角プリズム43で分離された後、投影レンズ47を介してスポットミラー44で反射され、リレーレンズ21、孔あきミラー22、ダイクロイックミラー24、対物レンズ25を経て眼底に投影される。眼底のフォーカスが合っていないとき、スリット指標板42の指標像(フォーカス指標S1,S2)は眼底と共役関係になっていないため眼底に分離して投影される。この場合、フォーカス視標S1,S2の分離状態の検出結果に基づき、駆動機構49の駆動によってフォーカシングレンズ32及びフォーカス視標投影光学系40が連動して光軸方向に移動される。一方、眼底のフォーカスが合った状態では、フォーカス指標S1,S2は眼底と共役位置にあり合致する。なお、フォーカスが合った状態で眼底撮影が行われるときには、ロータリーソレノイド46の軸の回転によってレバー45が光路から退避される。
<視標呈示光学系> 視標呈示光学系70は、観察・撮影光学系20の対物レンズ25から跳ね上げミラー34までを共用し、更に2次元スキャン方式のプロジェクター71、スクリーン72、レンズ73を備える。ここでの図示は省略するが、プロジェクター71は、所定の色のレーザ光(例えば、赤色、緑色、青色)を照射する複数のレーザ光源と、各レーザ光を平行光とするためのコリメータレンズと、コリメータレンズによって平行光とされた各レーザ光を同軸にするためのダイクロイックミラーと、同軸にされたレーザ光の照射径を変更するために光軸上で移動されるレンズと、レンズを通過したレーザ光をスクリーン72上で走査するための走査部とを備え、後述する制御部80によって各光源の点灯状態の制御、走査部の駆動制御が行われる。
視標呈示光学系70にレーザ光源を用いることで、眼底に投影される視標の大きさ、形状等が任意に変えられる。またレーザ光源から照射されるレーザ光の組み合わせによって、モノクロだけでなくカラーの視標も呈示できるようになる。例えば、石原式色覚異常検査表や特定波長の色(例えば赤、青、緑)を用いた視機能検査視標が呈示されることで、患者の色覚異常の有無や、異常のある錐体(特定の色に対する色覚異常)等を特定できるようになる。また1台の検査装置を用いて様々な種類の視機能検査を行えるようになる。
なお、本実施形態では眼底と略共役位置に置かれたスクリーン72に投影された映像(視標)を途中の光学系を介して眼底に結像させているが、プロジェクター71から照射されるレーザ光を直接眼底に投影して各種視標を形成しても良い。また周知の液晶ディスプレイ等を用いて各種指標を形成しても良い。
<制御系> 制御部80は、上述の光学系及び制御系に接続されて各種動作制御をする。また制御部80には記憶部であるメモリ83が接続されており、各種プログラムなどが予め記憶されている。またメモリ83には、撮影画像に含まれるフレア領域を抽出するために、撮影画像を二値化するための輝度の閾値情報が記憶されている。
またメモリ83には、撮影部3を作動距離方向へ動かす際の基準と成るフレアの面積(画素数)の情報(以下、第1閾値)が記憶されている。また撮影部3を光軸L1に対して垂直な方向(上下左右方向)に移動させる際の基準となるフレアの面積(画素数)の情報(以下、第2閾値)が記憶されている。更にメモリ83には撮影部3の作動距離方向の移動量(駆動部6の駆動量)等の各種情報が予め記憶されている。
なお第1閾値は第2閾値よりも大きい値に設定されている。これにより眼底画像に含まれるフレア(領域)の面積が大きい場合には、先ず撮影部3は作動距離方向に移動されるようになる。
例えば、制御部80は撮像素子38で撮像された前眼部画像からアライメント指標を検出する。また制御部80は、撮像素子35で撮像された眼底画像をモニタ8に表示させると共に、フォーカス指標の分離状態に基づき眼底のフォーカスを合わせる。更に本実施形態では眼底視野検査を行う際に、撮像素子38で撮影された眼底画像からフレア(領域)を検出して、先ずは撮影部3を作動距離方向に移動させる。これにより視野検査中に生じる眼の移動や回旋によってフレアが発生し難くなり、眼Eと撮影部3とのアライメントが安定して維持されるようになる。
以上のような構成を備える眼底撮影装置の動作を説明する。ここでは、眼の視野検査を行った後、眼底を撮影する動作を説明する。
コントロール部7aの操作で視野検査モードが設定されるとモニタ8に視野検査画面が表示される。制御部80は駆動手段26aの駆動で光軸L2上に補助レンズ26を位置させ、光源35a、35bを点灯させる。この状態で被検者が撮影窓9から装置内部を覗き込むと、前眼部が照明されて角膜に矩形状のアライメント指標が投影される。
一方、制御部80はプロジェクター71の駆動制御でスクリーン72に固視標を形成する。つまり走査部の走査角度に応じてレーザ光の出力を調整して低い輝度の背景に高い輝度の固視標を形成させる。具体的には、光軸L1に対応する固視標の呈示位置では各光源によるレーザ光の出力(輝度)を上げ、それ以外の背景部分ではレーザ光の出力(輝度)を低くする。これによりスクリーン72に、暗い背景(低い輝度)に明るい(高い輝度)の固視標が形成される。スクリーン72に形成された映像(固視標)は、レンズ73、跳ね上げミラー34、リレーレンズ33から対物レンズ25を経て、スクリーン72と略共役位置にある患者の眼底に投影される。
固視標で眼Eが誘導された状態で、前眼部像を用いた位置合わせ(アライメント)が行われる。図3にモニタ8に表示される前眼部像の例を示す。前眼部像F1上に矩形状のアライメント視標M1、M2が現れると、制御部80はアライメント視標M1、M2の受光結果に基づき撮影部3と眼Eの位置合わせ(アライメント)を行う。
制御部80はアライメント視標M1、M2から求められる中間位置と、前眼部像から求められる瞳孔中心が一致するように撮影部3を上下左右(XY)方向に移動させる。またアライメント視標M1、M2の間隔が所定距離となるように、撮影部3を眼Eに対して前後(Z)方向に移動させて作動距離方向の位置合わせを行う。なお、アライメント動作の詳細な説明は国際公開2008/062527号公報を参照されたい。
制御部80に三次元方向のアライメントがアライメント許容範囲にあると判断されると、制御部80は光源35a,35bを消灯し、補助レンズ26を光路から退避させて光源11を点灯する。そしてモニタ8の表示を撮像素子38で撮像される眼底像に切り換えて、フォーカス指標投影光学系40を用いた眼底のフォーカス合わせを行う。
図4にモニタ8に表示される眼底像の例を示す。図4(a)には眼底のフォーカスが合っていない状態、図4(b)には眼底のフォーカスが合っている状態が示されている。制御部80は、撮像素子38の撮像範囲の輝度分布に基づき、フォーカス指標S1,S2の位置を特定する。そして検出されたフォーカス指標S1,S2間の距離(分離状態)を求め、検出結果に基づくフォーカス合わせを行う。
図4(a)に示されるようにフォーカスが合っていないとき、制御部80はフォーカス視標S1,S2が合致するように、フォーカシングレンズ32を光軸L1上で移動させる。そして制御部80によってフォーカスが適切であると判断されるとフォーカス調節が完了する。
また、モニタ8による眼底の観察時に、光源27が点灯されることで、眼底にワーキングドットWが投影される。制御部80は画像処理でワーキングドットWの位置検出を行い、眼底像にフレアが発生しないよう位置合わせを行う。
モニタ8に眼底像F2が鮮明に映る状態となると、視野計測中に生じる眼Eの移動及び回旋により生じる眼Eと撮影部3(光軸L1)の位置ずれを補正するオートアライメント、呈示視標の位置ずれを補正するトラッキングの制御が制御部80によって行われる。
ところで視機能検査では検査に時間を要するため、検査中に顔支持ユニット5に載せた患者の頭部が動く等によって、眼Eと撮影部3の位置ずれが生じると、撮像素子35で撮影された眼底撮影画像(眼底画像)に角膜反射光によるフレアが含まれてしまう(なおフレアは輪帯光束を形成するためのリングスリット17が観察視野からはずれることにより、輪帯光束の一部が撮影光束に入り込むことで生じる)。眼底画像にフレアが含まれると、眼底観察画像が見難くなる他、眼底画像に基づくトラッキング時に眼と撮影部3との位置合わせの精度が低下し検査に悪影響を与える。
そこで従来技術では、撮像素子35で撮影された眼底画像の複数部位で光量を検出して、検出結果に基づき、撮影部3を上下左右方向(撮影光軸L1に対して垂直方向)に移動させて、眼底画像にフレアが含まれることを回避している。しかし光軸L1に対して垂直な面内(上下左右方向)での移動はフレアの発生を改善するものではなく、検査中に生じる眼Eと撮影部3の位置ずれでフレアが繰り返し発生し、眼Eと撮影部3の位置補正が繰り返されると、装置の円滑な動作に影響を与えてしまう。また位置補正で生じる装置の振動や騒音が患者の検査結果に悪影響を与えるおそれもある。
ところでフレアは眼Eと撮影部3との作動距離が短いときに発生し易くなることが知られている。つまり輪帯光束を形成すると共に角膜反射光を除去する目的で光軸L1上に置かれたリングスリット17は、眼Eと撮影部3の作動距離が短くなると結像倍率の変化によって眼に投影されたときのリングスリット17の像が縮小されて角膜反射光を除去し難くなり、眼Eと撮影部3の上下左右方向の位置ずれに対してフレアが生じ易くなる(発生量が増加する)。
そこで本発明では患者の視機能検査中に所定量のフレアが生じた場合に、先ず撮影部3を眼Eから離れる作動距離方向へと移動させることで、リングスリット17の像でフレアを除去しやすくする。これにより、その後に眼Eと撮影部3とが上下左右方向に位置ずれしたとしてもフレアが発生しにくくなる。また、仮にフレアが発生したとしてもその面積が抑えられるので、撮影部3の上下左右方向の移動量を少なくできる。
図5にアライメントの動作原理を示すフローチャート、図6に眼底像を用いたアライメント原理の説明図を示す。
フォーカス合わせが完了すると、ステップS101で、制御部80は所定のステップ(時間間隔)で撮像素子38から眼底画像(画像データ)を取得する。この時、眼Eの移動又は回旋などによる角膜反射光の影響があると、眼底画像の周囲に白色がかったフレアが発生してしまう。
次にステップS102で、制御部80はフレア抽出手段として、メモリ83に予め記憶されている輝度の閾値情報に基づき、取得された眼底画像(画像データ)を構成する各画素を二値化する。これにより閾値よりも高い輝度値の画素の集合がフレア領域R1として抽出され、閾値よりも低い輝度値の画素の集合がその他の領域R2として区分けされる。
ここでは、図6(a)に示されるように、眼底画像の紙面右側にフレアが発生しており、画素の二値化によって眼底画像の紙面右側にフレア領域R1が設定(抽出)される。なお、画素の二値化のための輝度の閾値は予め実験などに基づき決定されメモリ83に記憶されている。
次にステップS103で制御部80は、メモリ83に予め記憶されている第1閾値と、フレア領域R1の面積(画素数)とを比較する。ここでフレア領域R1の面積が作動距離に関する第1閾値以上と判断されるとステップS104に移る。またここでの図示は省略するが、検査開始後に最初にフレア領域R1が検知された場合にもステップS104に移るとする。
ステップS104では、制御部80は駆動部6を駆動させて、撮影部3を患者(眼E)から離す方向へと所定距離移動させる。なお撮影部3の移動量は実験結果などに基づきメモリ83に予め記憶されている。例えば撮影部3は駆動部6の駆動により患者(眼E)から1mm後退する方向に移動されるとする。
移動処理の完了後、ステップS105で視野検査の完了の有無が判断される。ステップS105で視野検査が完了していないと判断されると、ステップS101に戻り撮像素子38による画像データの取得が繰り返し行なわれる。一方、ステップS105で視野検査の完了が判断されるとアライメント処理が終了する。なお視野検査の完了の有無はコントロール部7aの操作で患者眼に対する検査視標の投影回数等を設定しておくことで判断される。又は検者が視野検査の完了の有無を判断しても良い。
一方、ステップS103で、フレア領域R1の面積が第1閾値よりも小さいと判断されると、ステップS110に移る。
ステップS110では制御部80はメモリ83に記憶された第2閾値と、フレア領域R1の面積を比較する。フレア領域R1が第2閾値よりも小さいと判定されると、ステップS105へ移り視野検査の完了の有無が判断される。一方、ステップS110でフレア領域R1の面積が、(第1閾値よりも小さく)第2閾値以上であると判定されると、ステップS111に移り、撮影部3のXY方向の移動方向及び移動距離が求められる。
例えばステップS111で制御部80は、抽出されたフレア領域R1の画像モーメントの重心(位置)O1(x、y)を画像処理で求める。ここで示される重心O1(x、y)は画像の輝度情報に基づく重心であり、周知の画像処理モーメント演算で求められる。例えば式(1)で算出される。
Figure 2013244363
式(1)において、f(x、y)は座標(x、y)に対応する画素の輝度値である。つまり式(1)において、x方向の重心位置と、y方向の重心位置と個別に求めることで、フレア領域R1の重心O1(x、y)を決定している。
次に制御部80は求められたフレア領域R1の重心O1の座標と、アライメント基準位置である撮像素子38の中心O2(光軸L1)の座標の差分を求め、撮影部3の移動方向と移動量(ベクトル)を求める。
そしてステップS104に移り、制御部80はフレア領域R1の重心O1と撮像素子38の中心O2(光軸L1)が近づくように駆動部6の駆動によって撮影部3を移動させる。なおフレア領域R1の重心O1と撮像素子38の中心O2は必ずしも一致させなくても良く、眼底像にフレアが含まれないように撮影部3の移動量が決定されれば良い。
この時、撮影部3の移動速度を重心O1と中心O2の差分(ベクトルVの長さ)に応じて変化させても良い。つまり差分が大きく、ベクトルVが長くなるほど撮影部3の移動速度を速くする。一方、差分が小さくベクトルVが短くなるほど撮影部3の移動速度を遅くする。このようにすると眼Eの移動又は回旋角度の度合いに応じて、眼Eと撮影部3のXY方向の位置ずれがより好適に抑えられる。なお、本実施形態ではアライメント基準位置として撮像素子の重心を例に挙げて説明したが、これに限るものではない。撮影部と患者眼とを所定の位置関係に合わせるために設定される受光素子上の所定位置をアライメント基準位置として設定されていればよい。
そして以上のステップS101からS105までの処理が繰り返されるときに、ステップS103で、再び眼Eと撮影部3との間に大きな位置ずれが生じ所定量以上のフレアの発生が検知された場合には、ステップS104で撮影部3が作動距離方向へと移動される。これによりフレアが発生し難い状況が維持されるようになる。
そしてステップS104の撮影部3の移動が完了すると、ステップS105で視野検査の完了の有無が判断される。
以上のように(最初の)フレア検知によって撮影部3が眼Eから離れる作動距離方向に移動されることで、その後に眼Eと撮影部3との間に上下左右方向の位置ずれが生じたとしてもフレアが発生しがたくなる。これにより視機能検査中に生じる眼の回旋などによって撮影部3がXY方向に頻繁に移動されることが抑えられ、患者眼の視機能検査が安定して行われるようになる。なお仮に撮影部3が作動距離方向に移動された後にフレアが発生したとしてもフレアの発生量(面積)が抑えられるので、撮影部3の駆動量を少なくできる。
以上のようにフレア領域R1の検出結果に基づき、撮影部3が患者(眼E)から離れる方向へと移動されることで、リングスリット17で角膜反射光が好適に遮られる。その為、検査中に患者と撮影部3との位置ずれが生じたとしても、リングスリット17によって角膜反射光が除去され、撮像素子35にフレアが写り込みがたくなる。
なお上記では、ステップS104での撮影部3の作動距離方向の移動距離を一定値とした。これ以外にもステップS103で検出されるフレア領域R1の面積(画素数)に応じて、撮影部3の移動距離が調節されても良い。例えば、フレア領域R1の面積が広い(画素数が多い)場合に撮影部3の作動距離方向の移動距離を増加させ、フレア領域R1の面積が小さい(画素数が少ない)場合に撮影部3の作動距離方向の移動距離を減少させても良い。
またステップS103で検出されたフレア領域R1の面積が第1閾値以下となるまで、ステップS103とステップS104の処理が繰り返し行われても良い。つまり、ステップS103でフレア領域R1の面積と第1閾値とを比較した結果、フレア領域R1の面積が閾値よりも大きい場合には、ステップS104で撮影部3を作動距離方向へ所定距離移動させる。その後、再びステップS103に戻り、フレア領域R1の面積と第1閾値との比較を繰り返し行う。そして、フレア領域R1の面積が閾値以上と判断された場合には、同様にステップS104で撮影部3を作動距離方向に移動させ、フレア領域R1の面積が閾値よりも小さいと判断された場合には、ステップS105で視野検査完了の有無が判断される。
なお上記の説明では、撮影部3の作動距離方向の移動とXY方向の移動とが分離されている例を示した。これ以外にも撮影部3の作動距離方向の移動とXY方向の移動とが同時に行われても良い。この場合にはフレア領域が検出されたときに、メモリ83に記憶されている所定量だけ撮影部3を作動距離方向へ移動させると同時に、上述のステップS111で求められるフレア領域R1の重心O1と、撮像素子38の中心O2(光軸L1)とが近づくように撮影部3をXY方向に移動させる。
次に、眼球の移動又は回旋に追従して、視標呈示光学系70で呈示される検査視標の位置補正を行うトラッキングの動作原理を説明する。図7はトラッキングの動作原理の説明図であり、眼底像F2と固視標の呈示位置Tとが表示されている。
まず検者はモニタ8に表示された眼底像F2を確認しながら、コントロール部7aの操作で、眼底像F2上で乳頭部や血管等の特徴点(領域)を指定する。なお、特徴部分は画像処理で自動的に抽出されても良い。
そして制御部80はコントロール部7aからの入力信号に基づき、特徴点の座標と、特徴点を中心とした所定範囲を参照エリアSとしてメモリ83に記憶させ、モニタ8上に参照エリアSを示す枠を表示させる。そして、制御部80は参照エリアS内の画像処理によって、特徴部分の形状、輝度分布等の情報(画像処理により特徴部分を決定するための特徴情報)を得てメモリ83に記憶させる。
そして制御部80によってモニタ8上の特徴点(参照エリアS)の移動量が検出されると、眼Eの動き(移動)に追従して、眼底に投影される視標(検査視標)の呈示位置をモニタ8の選択位置に一致させる補正が行われる。これにより、検査中に生じる眼Eの回旋等による影響が抑えられて、眼底の所期の位置に正しく検査視標が投影され、視機能検査を精度良く行えるようになる。
以上のようなアライメント及びトラッキングが行われている状態で、制御部80はメモリ83に予め記憶されている視野計測プログラムに従い眼底の各測定点に所定の検査視標を呈示させる。制御部80はプロジェクター71の駆動制御によって、検査視標の呈示位置をランダムに切り換えると共に、プロジェクター71の光源の出力を調節して視標の輝度を変化させる。
この時、上述したようなアライメント処理によってフレアの発生が抑えられるので、患者眼Eの動きに伴う撮影部3の移動が抑えられ、患者の視機能検査を安定して行えるようになる。
一方、患者は固視を維持しながら検査視標を認識できたら応答ボタン7bを押す。制御部80は入力信号に基づき、検査視標の輝度をその計測点で患者が認識可能な感度の応答情報としてメモリ83に記憶させる。なお、患者の応答が無い場合は、制御部80は検査視標の輝度を計測点で患者が認識できない感度の応答情報としてメモリ83に記憶させる。
全ての計測点での感度計測が終了すると、図8の眼の視機能感度の分布図の例に示されるように、制御部80は眼の視機能の検査結果をモニタ8に表示させる。制御部80は全計測点に対する感度の分布状態を模式図としてモニタ8に表示させる。なお、図8では、呈示視標の輝度の減衰値が感度分布の表示に用いられており、最も高い輝度との差分によって感度分布が表示されるようになっている。つまり、モニタ8に表示された数値が大きいほどその部位での感度が高いと判断される。
視野計側が完了すると、制御部80は、赤外光源11を消灯して可視光源14を点灯させる。そして挿脱機構39の駆動で跳ね上げミラー34を光路から退避させる。可視で照明された眼底からの反射光は上記の眼底撮影光学系を経て撮像素子35で受光される。
なお上記の説明では、眼底撮影装置として、眼の眼底撮影と視機能検査の両方を行うことができる眼底撮影装置を例に示した。これ以外にも眼と撮影部とのアライメントを行う眼底撮影装置に本発明の構成を適用可能である。例えば、周知の眼底カメラのアライメントや、眼の断層像を撮影する光断層像撮影装置のアライメント、更にはこれらの眼底撮影装置の複合機において本発明の構成が適用されることで、眼底画像のフレアの発生自体を好適に抑えることができるようになる。
眼底撮影装置の外観構成図である。 眼底撮影装置の光学系及び制御系の説明図である。 モニタに表示される前眼部像の例である。 モニタに表示される眼底像の例である。 アライメントの動作原理を示すフローチャートである。 眼底像を用いたアライメント原理の説明図である。
3 撮影部
8 モニタ
10 照明光学系
30 観察・撮影光学系
35 撮像素子
40 フォーカス指標投影光学系
70 視標呈示光学系
80 制御部

Claims (5)

  1. 患者眼の眼底を照明する眼底照明光学系と,患者眼の視線を誘導する固視標及び網膜の視機能検査を行う検査指標を前記眼底に投影する視標呈示光学系と,前記眼底を撮影して眼底撮影画像を得るための撮像素子を備える眼底撮影光学系を備える撮影部と、所定のアライメント基準に基づき前記撮影部と前記患者眼の位置合わせをするアライメント手段と、
    を備える眼底撮影装置において、
    前記撮像素子で撮像された前記眼底撮影画像に含まれるフレアを画像処理で抽出するフレア抽出手段とを備え、
    前記アライメント手段は、前記フレア抽出手段で前記フレアが抽出されたときに,前記撮影部を前記患者眼から離れる作動距離方向へ所定距離移動させることで、前記患者眼と前記撮影部との位置ずれに伴うフレアの発生を抑えることを特徴とする眼底撮影装置。
  2. 請求項1の眼底撮影装置は、
    前記患者眼の回旋によって生じる前記眼底上での前記検査視標の呈示位置のずれを補正するトラッキング手段とを備え、
    前記アライメント手段は、前記トラッキング手段によるトラッキングが行われる際に,前記フレア抽出手段で前記フレアが抽出された時に、前記撮影部を患者眼から所定距離離れる作動距離方向へ移動させた後、前記フレア抽出手段による前記フレアの抽出結果に基づき,前記撮影部を光軸に垂直な上下左右方向へと移動させる制御をすることを特徴とする眼底撮影装置。
  3. 請求項2の眼底撮影装置において、
    前記アライメント手段は更に、
    前記フレア抽出手段で抽出された前記フレアの領域の重心の位置情報を演算処理で求める重心演算手段と、
    該重心演算手段により得られた前記重心の位置情報と前記アライメント基準とに基づいて前記患者眼に対する前記撮影部の同一作動距離での上下左右方向のアライメント制御を行う制御手段と、
    を備えることを特徴とする眼底撮影装置。
  4. 請求項3の眼底撮影装置は、
    前記撮影部を前記患者眼から離れる作動距離方向へ移動させる際の移動量が記憶された記憶部とを備えることを特徴とする眼底撮影装置。
  5. 請求項4の眼底撮影装置において、
    前記アライメント手段は、前記フレア抽出手段で抽出された前記フレア領域の面積に比例させて前記撮影部を前記患者眼から離れる作動距離方向へと移動させることを特徴とする眼底撮影装置。
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