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JP2013164290A - フィルム収納ケース、検査用キット、検査装置及び検査方法 - Google Patents

フィルム収納ケース、検査用キット、検査装置及び検査方法 Download PDF

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JP2013164290A JP2012026299A JP2012026299A JP2013164290A JP 2013164290 A JP2013164290 A JP 2013164290A JP 2012026299 A JP2012026299 A JP 2012026299A JP 2012026299 A JP2012026299 A JP 2012026299A JP 2013164290 A JP2013164290 A JP 2013164290A
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Koji Sakurai
孝司 櫻井
Mitsuo Natsume
三男 夏目
Masayoshi Takahashi
正義 高橋
Takashi Akiyama
喬 秋山
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KAMIJIMA DENKOSHA CO Ltd
Toyohashi University of Technology NUC
TAC Corp
Denkosha KK
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KAMIJIMA DENKOSHA CO Ltd
Toyohashi University of Technology NUC
TAC Corp
Denkosha KK
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Abstract

【課題】検査用フィルムを外部へ取り出すことなく検査を実施することにより、検査時間を短縮し、且つ、病原体への感染リスクを低減することが可能なフィルム収納ケースを提供する。
【解決手段】フィルム収納ケース1は、平面状の第1の部位13及び第2の部位14及び検査用フィルム2Aの検査部5に対応する位置に設けられた開口17を有するケース11と、開口17を覆うように開口17が設けられた第1の部位13及び第2の部位14に配置された膜部材12とを備える。第1の部位13と第2の部位14とは、検体である病原体を採取する検査部5を有する検査用フィルム2Aを挟んで収容する収納部1aを画成している。ケース11は、検査用フィルム2Aの剛性よりも高い剛性を有する。膜部材12は、所定の波長帯域の光を透過するフィルタ部材である。
【選択図】図3

Description

本発明は、病原体感染の検査に用いられるフィルム収納ケース、検査用キット、検査装置及び検査方法に関する。
保健所等の検査機関、健康管理施設、及び食品安全管理施設等では、検査技師による手作業で病原体の検査が行われている。まず、被験者が、肛門周辺に検査用フィルムを押し当て、検体である病原体をフィルム上に移行させて採取する。検体を採取した後、検査用フィルムは被験者の氏名等の情報が記載されたケースに収納され、回収されて、検査技師により検査が行われる。検査技師による検査では、はじめに回収された検査用フィルムをケースから取り出す。検査用フィルムを2枚のガラスプレートで挟んだ後に、顕微鏡のテーブルにセットして被検部位を検鏡する。検査後、ケースの所定の領域に検査結果を記載した後に、検査用フィルムをケースに再び収納する。
特許文献1には、検査用フィルムの検査結果を用いて、病原体の有無を自動的に判定する方法が記載されている。特許文献1に記載された方法では、検体に励起光を照射し、励起光によって検体が発する蛍光の輝度を観察し、蛍光の輝度に基づいて病原体の有無を判定する。この方法によれば、病原体の有無を自動的に判定できるため、迅速且つ簡便な判定が可能である。
また、特許文献2には、検査用フィルムの検査結果を用いて、ぎょう虫卵を簡易に発見する検査装置が記載されている。特許文献2に記載された装置は、ぎょう虫卵に紫外線を照射してぎょう虫卵を励起させる励起光照射部と、励起されたぎょう虫卵が発生する蛍光を含む画像を取得する画像データ取得部と、画像データに基づいてぎょう虫卵を発見する解析部とを備えている。この装置によれば、顕微鏡を用いて人間の眼で行われていた検査工程の少なくとも一部を自動化することができる。
特開2012―8042号公報 特開2011―209183号公報
特許文献1に記載された方法及び特許文献2に記載された装置では、検体の有無を判定する工程が自動化されている。しかしながら、一連の検査工程は、検体の有無を判定する工程の前に検査用フィルムをケースから取り出してから、例えば顕微鏡のステージといった所定の位置へ設置し、判定終了後に再びケースに検査用フィルムを収納するまでの作業を含んでいる。これらの作業は、検査技師による手作業で行われるため検査時間を短縮することが困難である。また、ケースからの検査用フィルムの取り出し及び収納において、検査用フィルムが損傷したり、外部に接触したりした場合、検体が飛散又は付着して検査技師が病原体に感染する場合があった。
上記問題に鑑みて、本発明では、検査用フィルムを外部へ取り出すことなく検査を実施することにより、検査時間を短縮し、且つ、病原体の感染リスクを低減することが可能なフィルム収納ケース、検査用キット、検査装置及び検査方法を提供する。
本発明の病原体検査に用いられる検査用フィルムを収容するフィルム収納ケースは、検体である病原体を採取する検査部を有する検査用フィルムを挟んで収容する収納部を画成するための第1の部位及び第2の部位と、第1の部位及び第2の部位の少なくとも何れか一方において、収容された検査用フィルムの検査部に対応する位置に設けられた開口と、を有する収容体と、開口を覆うように、開口が設けられた第1の部位及び第2の部位の少なくとも何れか一方に配置された膜部材と、を備える。収容体は、検査用フィルムの剛性よりも高い剛性を有する。膜部材は、所定の波長帯域の光を透過する。
上記フィルム収納ケースは、検査用フィルムよりも高い剛性を有する収容体を有し、収容体の第1の部位及び第2の部位の少なくとも一方には開口が設けられ、開口は所定の波長帯域の光を透過する膜部材に覆われている。そのため、検査用フィルムの検査部を、検査用フィルムを収容体に完全に収容した状態で検査することができる。また、検査用フィルムの運搬時に、検査用フィルムを保護すると共に、検査用フィルムの外部への露出が防止される。従って、検査時に検査用フィルムを収容体から取り出す必要がないため、検査に要する時間を短縮することができる。併せて、開口は膜部材に覆われているため、検査部に保持された検体が開口から外部へ飛散又は付着する可能性を低減することができる。さらに、検査時に検査用フィルムの出し入れを必要としないため、検査用フィルムを出し入れするときの検査用フィルムの破損や外部との接触が防止され、検体の飛散又は付着のおそれが低減されるので、感染リスクを更に低減させることができる。
所定の波長帯域は、検体に照射される励起光の波長と、検体が発する蛍光の波長とを含んでいてもよい。このような構成によれば、検体を励起するための励起光を、ケースに収容された検査用フィルムに保持された検体に好適に照射すると共に、検体が発する蛍光をケースの外部に導くことが可能となる。従って、フィルム収納ケースは、蛍光に基づく検体の検出方法に好適に用いることができる。
収容体は、開口が、該開口の周縁部により囲まれた領域内に検査部が占める領域が含まれるように形成されていてもよい。このような構成によれば、開口を介して検査部の全領域を検査することができる。
開口は、第1の部位に設けられた第1の開口と、第2の部位に設けられた第2の開口を含んでいてもよい。このような構成によれば、第1の開口及び第2の開口の何れか一方から励起光を検査部に照射し、第1の開口及び第2の開口の他方から蛍光をケースの外部に導くことができる。これにより、検査に用いる装置の光学的構造を単純化できる。
収容体は、第1の部位に対して第2の部位が折り曲げられた第1の辺部と、第1の部位及び第2の部位の何れか一方に対して、第1の部位及び第2の部位の他方を固定する固定部が設けられた第2及び第3の辺部とを有していてもよい。このような構成によれば、第1の部位13と第2の部位14とで画成される収納部1aの隙間(空間)が抑制されるので、検査用フィルム2の検査部5に発生し得るしわによる収納部1aの隙間の増加が抑制されて被写界深度の方向の範囲が狭くされる。従って、焦点を所定の被写界深度に設定することにより、検査部5の全領域を好適に観察することができる。
フィルム収容ケースには、開口を塞ぐように、着脱可能なシートが配置され、シートは、遮光性を有していてもよい。このような構成によれば、フィルム収納ケースに収納された検査用フィルムの移動及び保管時に、目視により検査用フィルムが外側から視認されることを防止できる。
本発明の検査用キットは、検体である病原体を採取する検査部を有する検査用フィルムと、検査用フィルムを収納する上記フィルム収納ケースと、を備える。検査用フィルムの検査部には、検体に照射される励起光と検体が発する蛍光とを透過する光学フィルタ領域が形成されている。
上記検査用キットは、検査用フィルムよりも高い剛性を有する収容体を有し、収容体の第1の部位及び第2の部位の少なくとも一方には開口が設けられ、開口は所定の波長帯域の光を透過する膜部材に覆われている。そのため、検査用フィルムの検査部を、検査用フィルムを収容体に完全に収容した状態で検査することができる。また、検査用フィルムの運搬時に、検査用フィルムを保護すると共に、検査用フィルムの外部への露出が防止される。従って、検査時に検査用フィルムを収容体から取り出す必要がないため、検査に要する時間を短縮することができる。併せて、開口は膜部材に覆われているため、検査部に保持された検体が開口から外部へ飛散又は付着する可能性を低減することができる。さらに、検査時に検査用フィルムの出し入れを必要としないため、検査用フィルムを出し入れするときの検査用フィルムの破損や外部との接触が防止され、検体の飛散又は付着のおそれが低減されるので、感染リスクを更に低減させることができる。
本発明の検査装置は、上記検査用キットと、検査用フィルムの検査部の検体に対して励起光を照射する照射部と、励起光によって検体が発する蛍光を含む光学画像を得る画像取得部と、光学画像に含まれた蛍光の強度に基づいて、検体の有無を判定する判定部と、を備える。
本発明の検査方法は、上記検査用キットを準備する第1の工程と、検査用フィルムの検査部の検体に対して励起光を照射する第2の工程と、励起光によって検体が発する蛍光を含む光学画像を得る第3の工程と、光学画像に含まれた蛍光の輝点が有する情報に基づいて、検体の有無を判定する第4の工程と、を備える。
上記検査装置及び検査方法では、検査用フィルムよりも高い剛性を有する収容体を有し、収容体の第1の部位及び第2の部位の少なくとも一方には開口が設けられ、開口は所定の波長帯域の光を透過する膜部材に覆われている。そのため、検査用フィルムの検査部を、検査用フィルムを収容体に完全に収容した状態で検査することができる。また、検査用フィルムの運搬時に、検査用フィルムを保護すると共に、検査用フィルムの外部への露出が防止される。従って、検査時に検査用フィルムを収容体から取り出す必要がないため、検査に要する時間を短縮することができる。併せて、開口は膜部材に覆われているため、検査部に保持された検体が開口から外部へ飛散又は付着する可能性を低減することができる。さらに、検査時に検査用フィルムの出し入れを必要としないため、検査用フィルムを出し入れするときの検査用フィルムの破損や外部との接触が防止され、検体の飛散又は付着のおそれが低減されるので、感染リスクを更に低減させることができる。また、検体の有無を蛍光の輝点が有する情報に基づいて判定しているため、検体の有無の判定に要する時間をさらに短縮することができる。
本発明によれば、検査用フィルムを外部へ取り出すことなく検査を実施することにより、検査時間を短縮すると共に、病原体への感染リスクを低減することが可能なフィルム収納ケース、検査用キット、検査装置及び検査方法が提供される。
本実施形態に係る検査用キットを示す斜視図である。 検査用キットに用いられる検査用フィルムを示す図である。 (a)部は本実施形態に係るフィルム収納ケースを示す平面図であり、(b)部はフィルム収容ケースの展開図である。 検査用キットを用いる検査装置の構成を示す図である。 検査用キットを用いる検査システムの構成を示す図である。 実施例による観察結果を説明するための図である。 本実施形態に係るフィルム収納ケースの変形例を説明するための図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明によるフィルム収納ケース、検査用キット、装置及び検査方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図1に示すように、一実施形態に係る検査用キット10は、検体である病原体等を採取するための検査用フィルム2Aと、検査用フィルムを収容するフィルム収納ケース1とを有している。
次にフィルム収納ケース1に収納される検査用フィルムについて説明する。検査用フィルムは、図2(a)に示される検体の採取を1回行う場合に用いる検査用フィルム2Aと、図2(b)に示される検体の採取を2回行う場合に用いる検査用フィルム2Bとの何れかの構造を有する。
検体の採取を1回行う場合に用いる検査用フィルム2Aについて説明する。シート状の検査用フィルム2Aは、矩形状であり、フィルム基体3と保護フィルム4とによる二層構造を有している。フィルム基体3には、病原体を容易に採取でき、光学透明性の優れた材質、例えば高機能プラスチック製の薄膜により構成される。このフィルム基体3は、保護フィルム4を固定するためのフィルム基体3の上辺に設けられた固定部3aと、フィルム基体3の略中央に設けられた検査部5と、所定の情報が記載されるラベル部6とを有している。保護フィルム4は、しわや病原体の飛散を防ぐことができる材質、例えばポリプロピレン、ゼラチン、トリアセテート(TAC)製の薄膜により構成される。この保護フィルム4は、フィルム基体4の固定部3aに対して貼り付けられて固定されている。
検査部5は、フィルム基体3の略中央に円形に形成され、検体を採取するための粘着部を有し、検査部5の外縁を示す外縁部5aが設けられている。さらに、検査部5には、検査部5の中心を示す十字型の目印5bが設けられている。検査部5は、汚れを目立たなくするために所定の色で着色されている。この着色された領域は、所定の光学特性を有する。すなわち、この検査部5は、検査時に後述する光照射部によって検体に照射される励起光と、励起光に応じて検体が発する蛍光とを透過する光学フィルタ領域を形成している。また、粘着部には、非蛍光物質が用いられている。また、粘着部は、病原体以外の異物を採取可能であると共に、皮膚以外から病原体等を採取可能な構成を有している。この粘着部には、粘着性を有する溶液が塗布されていてもよい。
ラベル部6は、フィルム基体3と保護フィルム4とが固定された固定部3aと反対側にある下辺付近に設けられている。ラベル部6は、例えば、被験者の所属先を記載する領域6a、被験者の氏名を記載する領域6b、その他の情報を示すバーコード等を記載する領域6cとを有している。
検体の採取を2回行う場合に用いる検査用フィルム2Bは、上述した一の検査用フィルム2Aの上辺3bを、別の検査用フィルム2Aの上辺3bに連結した構造を有する。その他の構成は、検査用フィルム2Aと同様である。なお、以下の本実施形態の説明では、検査用フィルム2Aを用いた場合を例に述べるが、検査用フィルム2Bであっても同様に用いることができる。
次に、検査用フィルム2Aを収納するフィルム収納ケース1について説明する。図3に示すように、フィルム収納ケース1は、病原体検査に用いられる検査用フィルム2Aを収容するケースである。フィルム収納ケース1は、収容体であるケース11と膜部材12を有する。
矩形の平面形状を有するケース11は、一辺が開口し、他の三辺が封着された袋状を有している。ケース11は、一体に成形された基体11aを折り畳み、且つ貼り合わせることにより構成されている。基体11aは、検査用フィルム2Aよりも高い剛性を有する材料、例えば、所定の厚さを有する紙又は樹脂製のシートからなる。このように、紙によって構成されるケース11は、容易に廃棄することができる。
ケース11は、一体化された第1の部位13と第2の部位14とを含んでいる。第1の部位13及び第2の部位14は、それぞれ平面矩形状の同一形状を有している。第1の部位13と第2の部位14とは、第1の辺部14aにおいて折り曲げられている。第2の部位14は、第1の辺部14aの反対側にある第2の辺部14bと、第1の辺部14aと互いに直交する第3の辺部14c及び第4の辺部14dを有している。第2の辺部14bには、第2の部位14を第1の部位13に固定するための帯状の固定部であるのりしろ14eが一体的に設けられている。第3の辺部14cには、第2の部位14を第1の部位13に固定するための帯状の固定部であるのりしろ14fが一体的に設けられている。
図1に示されるように、第2の部位14が、第1の部位13に対して第1の辺部14aで折り曲げられると共に、のりしろ14e,14fで第1の部位13に固定されることにより、検査用フィルム2Aを収納する収納部1aを画成する。ケース11には、第3の辺部14cの反対側は開口1bが形成されている。検査用フィルム2Aは、開口1bから収納部1aに挿入されて、収納される。
さらに、図3に示されるように、ケース11の開口1b付近には、ケース11を保持するための保持部15が設けられている。保持部15は、検査技師の手により保持する際、エアー吸引又は紙送り機構により機械的に保持する際、その他所望の移動機構により確実に保持されるように移動機構に適した材質により構成されることが好ましい。例えば表面粗さが小さい光沢紙や所定の柔軟性を有する紙又は紙状の材質により構成されることが好ましい。また、ケース11の開口1bの反対側には、ケースラベル部16が設けられている。ケースラベル部16には、例えば、被験者の氏名、被験者の所属先、その他の情報を示すバーコード等が記載される。
また、ケース11において、第1の部位13及び第2の部位14の略中央には円形に切り欠かれた開口17が設けられている。このような開口17は、第1の辺部14aで折り曲げたとき、第1の部位13に設けられた開口17が、第2の部位14に設けられた開口17と重なるように形成されている。また、開口17は、検査用フィルム2Aをケース11に挿入したとき、開口17の位置に検査部5が配置されるように、すなわち、開口17の周縁部17aに囲まれた領域に、検査部5が占める領域が含まれるように形成されている。これにより、開口17を通して、検査部5の全体を観察することが可能になる。さらに、開口17の全領域を覆うように、矩形状の膜部材12が第1の部位13及び第2の部位14のそれぞれに貼付されている。詳細には、それぞれの膜部材12は、ケース11の内側から、第1の部位13及び第2の部位14に貼り付けられている。
これらの膜部材12は、所定の波長帯域の光を透過するフィルタ部材によって構成される。膜部材12には、シートタイプのゼラチンフィルターやトリアセテート(TAC)ベースのフィルムを用いることができる。膜部材12の光学特性は、検体である病原体を観察するときに用いる光の波長帯域に基づいて設定される。すなわち、膜部材12が透過する光の波長帯域は、後述する光照射部から照射される励起光が有する波長、及び、励起光が照射された検体が発する蛍光が有する波長を含んでいる。例えば、膜部材12は、330nm〜600nm及び450nm〜700nmの波長帯域の光を透過する光学特性を有するフィルタ部材が選択される。すなわち、膜部材12は、特定の波長帯域の光を透過するバンドパスフィルタの機能を有する。
検査用キット10は、検査用フィルム2Aよりも高い剛性を有するケース11を有し、ケース11の第1の部位13及び第2の部位14には開口17が設けられ、該開口17は所定の波長帯域の光を透過する膜部材12に覆われている。そのため、検査用フィルム2の検査部5を、検査用フィルム2をケース11に完全に収容した状態で検査することができる。
また、検査用フィルム2の運搬時に、検査用フィルム2を保護すると共に、検査用フィルム2の外部への露出が防止される。従って、検査時に検査用フィルム2をケース11から取り出す必要がないため、検査に要する時間を短縮することができる。併せて、開口17は膜部材12に覆われているため、検査部5に保持された検体が開口17から外部へ飛散又は付着する可能性を低減することができる。さらに、検査時に検査用フィルム2の出し入れを必要としないため、検査用フィルム2を出し入れするときの検査用フィルム2の破損が防止され、検体の飛散又は付着のおそれが低減されるので、感染リスクを更に低減させることができる。
また、フィルム収納ケース1によれば、第1の部材13に設けられた開口17及び第2の部材13に設けられた開口17の何れか一方から励起光を検査部5に照射し、他方の開口17から蛍光をフィルム収納ケース1の外部に導くことができる。これにより、後述する検査装置の光学的構造を単純化できる。
また、フィルム収納ケース1は、励起光及び蛍光を透過する光学特性を有する膜部材12を備えている。従って、フィルム収納ケース1は、蛍光に基づく検体の検出方法に用いることができる。
さらに、ケース11は、開口17が、該開口17の周縁部17aにより囲まれた領域内に検査部5が占める領域が含まれるように形成されていてもよい。このような構成によれば、開口17を介して検査部5の全領域を検査することができる。
そして、ケース11は、第1の部位13に対して第2の部位14が折り曲げられた第1の辺部14aと、第1の部位13に対して、第2の部位14を固定するのりしろ14e,14fが設けられた第2及び第3の辺部14b,14cとを有している。このような構成によれば、第1の部位13と第2の部位14とで画成される収納部1aの隙間(空間)が抑制されるので、検査用フィルム2の検査部5に発生し得るしわによる収納部1aの隙間の増加が抑制されて被写界深度の方向の範囲が狭くされる。従って、焦点を所定の被写界深度に設定することにより、検査部5の全領域を好適に観察することができる。
次に、検査用キット10を検査するための検査装置について説明する。図4に示すように、検査装置30は、検体に照射する励起光L1を生成する光照射部31と、励起光L1が照射された検体が発する蛍光L2を検出して蛍光L2を含む光学画像を取得する画像取得部32と、光照射部31及び画像取得部32を制御するための制御用コンピュータ33とを備えている。検査用キット10は、光照射部31と画像取得部32との間に配置される。
光照射部31は、励起光L1を生成するための光を発生する光源34と、光源34から照射された光から所望の波長を有する光を透過するための波長選択器35と、所望の波長を有する光を検査用キット10の検査部5に集光させる光照射レンズ36とを備えている。光源34には、周知の光源を用いることができる。光源として、超高圧水銀灯、キセノンランプ、LED、レーザ光等を用いてもよい。また、検査用フィルム2Aの検査部5に対して、励起光L1は垂直に照射されてもよいし、斜めから照射されてもよい。
波長選択器35は、所望の光学特性を有するフィルタ部材である。例えば、波長選択器35として、所望の波長を有する光のみを透過するゼラチンフィルター、色ガラスフィルター、TACフィルタ等のバンドパス特性を有するフィルタが用いられる。また、波長選択器35として、例えば分光器を用いてもよい。分光器には、光学フィルタを用いた光分光器、分散型分光器、フーリエ変換型分光器等が用いられる。また、波長選択器35は、制御用コンピュータ33からの入力により波長特性が変更可能にされてもよい。
画像取得部32は、蛍光L2から所望の波長を有する光を選択する波長選択器38と、検体が発する蛍光L2を波長選択器38に好適に導くマクロレンズアセンブリ37と、波長選択器38により選択された波長を有する光を検出する光検出器39とを備えている。波長選択器38は、光照射部31の波長選択器35と同様の構成を有している。光検出器39には、例えば、デジタルカメラ、CCDカメラ、CMOSカメラ、又は光電子増倍管(フォトマル)など受光した光の強度を電気信号に変換して出力する光電変換型の光検出器を用いることができる。
なお、検査用フィルム2Aの検査部5に励起光L1が入射される方向は、光検出器39に蛍光L2が入射する方向に対して傾いていることが好ましい。この構成によれば、光検出器39に入射する励起光L1が低減される。従って、光学画像データにおける背景光の強度を抑制し、背景光と検体からの蛍光L2とのコントラストを高めることができる。
また、ケース2を構成する基体11aは、低蛍光性を有する部材であることが好ましい。この構成によれば、蛍光を含む光学画像データを取得する際に背景光の発生が抑制される。従って、光学画像データおけるS/N比が向上するので、精度良く検体を検出することができる。
光照射部31と画像取得部32とは、それぞれ制御用コンピュータ33に接続されている。制御用コンピュータ33には、入力された光学画像データに基づいて検体の有無を判定する判定プログラムが搭載され、制御用コンピュータ33は、本実施形態における判定部をなす。検体の有無の判定には、光学画像データに含まれた蛍光の輝点が有する情報である輝点の大きさ及び輝点の光強度の一方又は両方が用いられる。判定プログラムに用いられる判定方法には、公知の方法を用いることができる。例えば、特許文献1(特開2012―8042号公報)又は特許文献2(特開2011―209183号公報)に記載された方法が用いられる。また、制御用コンピュータ33により、波長選択器35,38により選択される波長帯域を設定してもよい。
次に、検査装置30を用いた検査用キット10の検査方法を説明する。はじめに、被験者から回収された検査用キット10を、検査装置30の所定の位置に配置する(第1の項工程:S1)。次に、検査用フィルム2Aの検査部5に採取された病原体に対して励起光L1を光照射部31から照射する(第2の工程:S2)。続いて、励起光L1を照射された検体が発する蛍光L2を含む光学画像データを画像取得部32により取得し、取得した光学画像データを主制御用コンピュータ33に送信する(第3の工程:S3)。そして、取得された光学画像データに基づいて、主制御用コンピュータ33に搭載された判定プログラムを用いて検体の有無を判定する(第4の工程:S4)。
検査装置30及び検査方法では、検査用キット10を備えているため、検査用キット10が奏する上述した効果と同様の効果を得ることができる。また、検査装置30では、検体の有無を蛍光L2の輝点が有する情報に基づいて判定するため、検体の有無の判定に要する時間をさらに短縮することができる。さらに、この検査方法によれば、顕微鏡の倍率を高めることなく検査部5の全体の画像を一つの光学画像データとして取得し、該データに基づいて検体の有無を判定することができる。従って、検査時間を更に短縮することができる。
また、検査技師が、検査用フィルム2Aの出し入れ及び検体の検出を行う必要がないので、検査技師の負担を減らすことができる。さらに、資格を有する検査技師により行われていた顕微鏡を用いた目視による検体の有無の判定を、蛍光L2の強度に基づいて判定するため、資格を有する検査技師の必要性を軽減することができる。
次に、上述した検査用キット10を検査する検査装置30を含んだ検査システム40について説明する。図5に示されるように、検査システム40は、検査前ストッカ41に収納された複数の検査用キット10を機械的に検査装置30に搬送する。そして、検査システム40は、検査結果に応じて、検査後ストッカ42a,42bに仕分けして保管する。即ち、検査前ストッカ41に格納して、検査結果により仕分けされるまでの工程はすべて自動で行われる。
検査前ストッカ41には、複数の検査用キット10が収納されている。検査前ストッカ41からは、搬送装置43により検査用キット10が1つづつ取り出される。搬送装置43は、検査前ストッカ41から検査用キット10を取り出して、読取装置44及び検査装置30上に精度良く位置決めして配置する。そして、検査が終了した検査用キット10を検査結果に応じて検査後ストッカ42a,42bへ搬入する。搬送装置43は、制御用コンピュータ43aを含んでいる。制御用コンピュータ43aは、搬送の開始及び停止の制御や搬送速度の制御等を実施する。
読取装置44は、フィルム収納ケース1のケースラベル部16に記載された所定の情報を取得する。例えば、ケースラベル部16に記載されたバーコードを読み取るバーコードリーダや、ケースラベル部16に記載された所属先等の文字情報を含む画像を取得するCCDカメラ等を用いることができる。読取装置44と検査装置30とは、制御用コンピュータ45により制御される。例えば、読取装置44により取得した情報に基づいて、検査装置30において検体に照射する励起光の波長帯域を選択する等の制御を行う。また、制御用コンピュータ45は、主制御用コンピュータ49に接続されている。制御用コンピュータ45から主制御用コンピュータ49には、読取装置44により取得された情報、検査装置30により判定された検査結果、光学画像データ等が送信される。
仕分装置46は、検査装置30により判定された検査結果に基づいて、検査用キット10を仕分ける。検査結果が陽性の場合には検査後ストッカ42aに検査用キット10収納し、検査結果が陰性の場合には検査後ストッカ42bに検査用キット10を収納する。仕分装置46には、主制御用コンピュータ49が接続されている。主制御用コンピュータ49から仕分装置46には、検査用キット10を仕分けるために必要な検査結果に関するデータが送信される。
上記の検査システム40によれば、検査用キット10を検査前ストッカ41に収納した後、検査後ストッカ42a,42bに収納されるまでの検査工程を、自動的に行うことができる。この構成によれば、検査に要する時間をさらに低減することができる。さらに、検査用キット10に検査技師が触れることなく検査されるため、病原体の感染リスクを低減させることができる。
(実施例)
次に、検査用キット10を用いて検査部5を顕微鏡観察した結果を説明する。図6(a)に示すように、検査用キット10を用いた場合には、顕微鏡の視野に好適に検査部5の領域を配置することができる。また、検査用フィルム2Aがフィルム収納ケース1の第1の部位13及び第2の部位14に挟まれて保持されているので、検査用フィルム2Aのしわの発生が抑制される。従って、被写界深度の厚さ方向の範囲が狭くされるので、焦点を所定の被写界深度に設定することにより検査部5の全領域を好適に観察することができる。一方、図6(b)に示すように、検査用フィルム2A単体で顕微鏡観察をした場合には、しわが発生する場合がある。この場合には、検査部5の全領域に好適に焦点を合わせることができないので、互いに異なる複数の被写界深度に焦点を調整して検査部5を観察する必要がある。従って、検査時間を短縮することが困難になる。
次に、検査部5の外縁部5a及び目印5bを良好に認識できる条件を確認した結果を説明する。図6(c)は、検査用キット10が載置される載置台の色が黒い場合の顕微鏡写真である。検査部5の外縁部5a及び目印5bが黒く認識されており、良好に認識できている。この場合は、検査部5の領域を精度良く認識できるので、検体の検査時間を短縮することができる。図6(d)は、検査用キット10が載置される載置台の色が白い場合の顕微鏡写真である。黒色の検査部5の外縁部5a及び目印5bが白色に反転して認識されている。この場合は、検査部5の領域を認識することが困難であるため、手動により検査部5の範囲を設定する必要があるので、検体の検査時間を短縮することが困難である。
次に、膜部材12の光学特性と光学画像との関係を確認した結果を説明する。図6(e)は、検査部5の面に対して直交する方向から励起光Lを検体に照射する落射照明の条件の基に取得された光学画像データであり、図6(f)は、検査部5の面に対して斜めの方向から励起光Lを検体に照射する斜光照明の条件の基に取得された光学画像データである。図6(e)では、S/N比が高いため、検体である病原体が輝点として確認可能であり、検体の有無が良好に判定できる。この検体の有無は、輝点が占める領域の大きさ及び輝点の光強度の一方又は両方に基づいて判定された。一方、図6(f)では、背景光の光強度が強いためにS/N比が低く、病原体が発する蛍光が埋もれており、輝点の大きさ又は光強度から病原体を確認することが困難である。従って、膜部材12の光学特性を好適に設定することにより、輝点から病原体を容易に確認することができる光学画像データが得られることがわかった。
本発明のフィルム収納ケース1、検査用キット10,検査装置30及び検査方法は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。
例えば、図7に示されるように、フィルム収納ケース1には、開口17を塞ぐように、着脱可能なシート18が配置されていてもよい。このシート18は、遮光性を有していることが好ましい。このような構成によれば、フィルム収納ケース1に収納された検査用フィルム2Aの移動及び保管時に、外側から目視により検査用フィルム2Aが視認されることを防止できる。
また、フィルム収納ケース1には、第1の部位13又は第2の部位14の何れか一方に開口17が設けられていてもよい。このような構成を有するフィルム収納ケース1によれば、例えば第1の部位13に設けられた開口17から励起光が検体に照射され、励起光を照射された検体が発する蛍光を、励起光が入射された開口17と同じ開口17から観察することができる。
また、検査用キット10による検体の判定では、顕微鏡を用いて目視にて検体の有無を判定してもよい。
1…フィルム収納ケース、1b…収納部、2A,2B…検査用フィルム、5…検査部、11…ケース(収容体)、12…膜部材、13…第1の部位、14…第2の部位、14a…第1の辺部、14b…第2の辺部、14c…第3の辺部、14e,14f…のりしろ、17…開口、17a…周縁部、18…シート、31…光照射部、32…画像取得部、33…制御用コンピュータ(判定部)、L1…励起光、L2…蛍光、S1…第1の工程、S2…第2の工程、S3…第3の工程、S4…第4の工程。

Claims (9)

  1. 病原体検査に用いられる検査用フィルムを収容するフィルム収納ケースであって、
    検体である病原体を採取する検査部を有する前記検査用フィルムを挟んで収容する収納部を画成するための平面状の第1の部位及び第2の部位と、前記第1の部位及び前記第2の部位の少なくとも何れか一方において、収容された前記検査用フィルムの前記検査部に対応する位置に設けられた開口と、を有する収容体と、
    前記開口を覆うように、前記開口が設けられた前記第1の部位及び前記第2の部位の少なくとも何れか一方に配置された膜部材と、
    を備え、
    前記収容体は、前記検査用フィルムの剛性よりも高い剛性を有し、
    前記膜部材は、所定の波長帯域の光を透過するフィルタ部材である、
    ことを特徴とするフィルム収納ケース。
  2. 前記所定の波長帯域は、前記検体に照射される励起光の波長と、前記励起光に応じて前記検体が発する蛍光の波長とを含む、
    ことを特徴とする請求項1に記載のフィルム収納ケース。
  3. 前記収容体は、前記開口が、該開口の周縁部により囲まれた領域内に前記検査部が占める領域が含まれるように形成されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルム収納ケース。
  4. 前記開口は、前記第1の部位に設けられた第1の開口と、前記第2の部位に前記第1の開口と対向するように設けられた第2の開口を含む、
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のフィルム収納ケース。
  5. 前記収容体は、
    前記第1の部位に対して前記第2の部位が折り曲げられた第1の辺部と、
    前記第1の部位及び前記第2の部位の何れか一方に対して、前記第1の部位及び前記第2の部位の他方を固定する固定部が設けられた第2及び第3の辺部とを有する、
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のフィルム収納ケース。
  6. 前記開口を塞ぐように、着脱可能なシートが配置され、
    前記シートは、遮光性を有する、
    ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のフィルム収納ケース。
  7. 検体である病原体を採取する検査部を有する検査用フィルムと、
    前記検査用フィルムを収納する請求項1〜6の何れか一項に記載のフィルム収納ケースと、を備え、
    前記検査用フィルムの前記検査部には、前記検体に照射される励起光と、前記励起光に応じて前記検体が発する蛍光とを透過する光学フィルタ領域が形成されている、
    ことを特徴とする検査用キット。
  8. 請求項7に記載された検査用キットと、
    検査用フィルムの検査部の検体に対して励起光を照射する照射部と、
    前記励起光によって前記検体が発する蛍光を含む光学画像を得る画像取得部と、
    前記光学画像に含まれた前記蛍光の強度に基づいて、前記検体の有無を判定する判定部と、
    を備えることを特徴とする検査装置。
  9. 請求項7に記載された検査用キットを準備する第1の工程と、
    検査用フィルムの検査部の検体に対して励起光を照射する第2の工程と、
    前記励起光によって前記検体が発する蛍光を含む光学画像を得る第3の工程と、
    前記光学画像に含まれた前記蛍光の輝点が有する情報に基づいて、前記検体の有無を判定する第4の工程と、を備えることを特徴とする病原体の検査方法。
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