以下に、本発明の実施形態にかかる運転支援装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
(実施形態)
図1から図13を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、運転支援装置が搭載された車両を有する運転支援システムに関する。まず、図1から図3を用いて、運転支援装置が搭載された車両を有する運転支援システムの構成について説明する。図1は、本実施形態の運転支援システムの一例を示す説明図である。図2は、実施形態にかかる運転支援装置が搭載された車両の概略構成を示すブロック図である。図3は、表示装置の速度表示領域の一例を示す模式図である。
図1に示す運転支援システム1は、複数の車両10と、複数の信号機12、12aと、複数のインフラ情報送信装置14と、GPS衛星16と、を有する。運転支援システム1は、複数の車両10のうち、後述する運転支援装置19を搭載する車両10が、他の車両10との関係を検出したり、インフラ情報送信装置14やGPS衛星16から取得したりすることで得た情報に基づいて運転者の運転を支援するシステムである。
車両10は、道路を走行可能な車両、例えば自動車、トラック等である。車両10は、信号機12、12aが配置された道路を走行することができる。車両10の構成については後ほど説明する。
信号機12、12aは、交差点に配置された灯火装置である。信号機12は、緑色、黄色、赤色の3色の灯火部を備えている。また、信号機12aは、緑色、黄色、赤色の3色の灯火部に加え、矢印を表示する灯火部(矢灯器)を備えている。信号機12、12aは、道路の車両の走行方向のそれぞれに配置されている。信号機12は、緑色、黄色、赤色の3色の灯火部のうち、発光させる灯火部を切り替えることで、当該道路の車両10の走行方向を車両10が通過してよい状態であるか、車両10が通過不可の状態、つまり停止すべき状態であるか、を示している。なお、図1に示す運転支援システム1は、信号機12、12aを交差点に配置した場合を示しているが、信号機12、12aの配置位置は交差点に限定されない。信号機12、12aは、例えば、横断歩道に対して配置してもよい。なお、図1では、信号機12、12aを灯火部の表示が全て見える状態で示しているが、信号機12、12aは、灯火部が進行方向の車両10(当該信号機12、12aを通過する車両)に見える向きで配置されている。
インフラ情報送信装置14は、車両10が走行する道路の道路情報や、車両10の走行方向前方の信号機12、12aに関する信号情報等のインフラ情報を送信する。本実施形態のインフラ情報送信装置14は、交差点毎に配置されており、周囲の一定範囲を走行する車両10に対して無線通信でインフラ情報を送信する。ここで、道路情報は、典型的には、車両10が走行する道路の制限速度情報、交差点の停止線位置情報等を含む。信号情報は、典型的には、信号機12、12aの青信号、黄信号、赤信号の点灯サイクルや信号変化タイミング等の信号サイクル情報を含む。なお、インフラ情報送信装置14は、信号機12、12a毎に設けてもよいし、複数の交差点に1つ設けてもよい。
GPS衛星16は、GPS(GPS:Global Positioning System、全地球測位システム)による位置検出に必要なGPS信号を出力する衛星である。運転支援システム1は、図1で1つのGPS衛星16のみを示したが、少なくとも3つのGPS衛星16を備えている。GPSにより位置を検出する装置は、少なくとも3つのGPS衛星16から出力されるGPS信号を受信し、受信したGPS信号を比較することで、自機の位置を検出する。
次に、図2を用いて、運転支援装置19を搭載している車両10について説明する。なお、図1に示す運転支援システム1は、全ての車両を、運転支援装置19を搭載している車両10としたが、少なくとも1つの車両10が運転支援装置19を搭載していればよい。つまり、運転支援システム1は、運転支援装置19を搭載している車両10の前後に運転支援装置19を搭載していない車両が走行してもよい。
車両10は、ECU20と、記憶部22と、アクセルアクチュエータ24と、ブレーキアクチュエータ26と、カーナビゲーション装置28と、スピーカ30と、GPS通信部32と、車載カメラ34と、インフラ通信部38と、車速センサ40と、表示装置42と、を有する。なお、車両10のECU20と、記憶部22と、アクセルアクチュエータ24と、ブレーキアクチュエータ26と、カーナビゲーション装置28と、スピーカ30と、GPS通信部32と、車載カメラ34と、インフラ通信部38と、車速センサ40と、表示装置42とは、車両10の運転支援装置19ともなる。また、車両10は、上述した各部以外にも車両が一般的に備えている各部、車体、駆動源、ブレーキ装置、操作部(例えばハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダル)等を備えている。
ECU20は、電子制御ユニットであり、車両10の各部、アクセルアクチュエータ24、ブレーキアクチュエータ26、カーナビゲーション装置28、スピーカ30、GPS通信部32、車載カメラ34、インフラ通信部38、車速センサ40および表示装置42等を制御する。ECU20は、GPS通信部32、車載カメラ34、インフラ通信部38および車速センサ40で取得した情報や、図示を省略したアクセルペダル、ブレーキペダル等の各種操作部から入力された運転者等の操作に基づいて、各部の動作を制御する。また、ECU20は、目標車速制御部20aを有する。目標車速制御部20aについては、後述する。
記憶部22は、メモリ等の記憶装置であり、ECU20での各種処理に必要な条件やデータ、ECU20で実行する各種プログラムが記憶されている。また、記憶部22は、地図情報データベース22aが記憶されている。地図情報データベース22aは、車両の走行に必要な情報(地図、直線路、カーブ、登降坂、高速道路、サグ、トンネルなど)が記憶されている。また、地図情報データベース22aは、地図データファイル、交差点データファイル、ノードデータファイル、道路データファイルを備えている。ECU20は、地図情報データベース22aを参照して、必要な情報を読み出す。
アクセルアクチュエータ24は、エンジン、モータ等の車両10の動力源の出力を制御するものである。アクセルアクチュエータ24は、例えば、エンジンへの吸気量、吸気タイミングや発火タイミング、モータの供給する電圧値、周波数等を制御することができる。アクセルアクチュエータ24は、ECU20に電気的に接続され、ECU20により動作が制御される。ECU20は、アクセル制御信号に応じてアクセルアクチュエータ24を作動し、エンジンへの吸気量、吸気タイミングや発火タイミング、モータの供給する電圧値、周波数を調整する。言い換えれば、アクセルアクチュエータ24は、動力源による駆動力を自動制御するための装置であり、ECU20から出力されるアクセル制御信号を受信して各部を駆動させることで駆動条件を制御し所望とする駆動力を発生させる。このようにしてアクセルアクチュエータ24は、車両10に作用する駆動力を制御することで、加速度を調節する。
ブレーキアクチュエータ26は、車両10に搭載されたブレーキ装置の駆動を制御するものである。ブレーキアクチュエータ26は、例えば、ブレーキ装置に設けられるホイールシリンダの油圧を制御する。ブレーキアクチュエータ26は、ECU20に電気的に接続され、ECU20により動作が制御される。ECU20は、ブレーキ制御信号に応じてブレーキアクチュエータ26を作動し、ホイールシリンダのブレーキ油圧を調整する。言い換えれば、ブレーキアクチュエータ26は、ブレーキによる制動力を自動制御するための装置であり、ECU20から出力されるブレーキ制御信号を受信してホイールシリンダに作動油を供給する機構のソレノイドやモータなどを駆動させることでブレーキ油圧を制御し所望とする制動力を発生させる。このようにしてブレーキアクチュエータ26は、車両10に作用する制動力を制御することで、減速度を調節する。
カーナビゲーション装置28は、車両10を所定の目的地に誘導する装置である。カーナビゲーション装置28は、ECU20と双方向の通信が可能である。カーナビゲーション装置28は、表示部を備えており、地図情報データベース22aに記憶されている情報や、後述するGPS通信部32で取得した現在位置の情報に基づいて、周辺の地図情報を表示部に表示する。また、カーナビゲーション装置28は、地図情報データベース22aに記憶されている情報と、後述するGPS通信部32で取得した現在位置の情報と、運転者等により入力された目的地の情報とから目的地までの経路を検出し、検出した経路情報を表示部に表示させる。なおカーナビゲーション装置28は、地図情報データベース22aとGPS通信部32とは別に自機に地図情報データベースとGPS通信部とを備え、自機の各部を用いて経路案内や、現在地情報の通知を行うようにしてもよい。
スピーカ30は、車両10の車内に音声を出力するものである。スピーカ30は、ECU20から送信される音声信号に対応する音声を車内に出力する。
GPS通信部32は、複数のGPS衛星16から出力されるGPS信号をそれぞれ受信するものである。GPS通信部32は、受信したGPS信号をECU20に送る。ECU20は、受信した複数のGPS信号を解析することで、自機の位置情報を検出する。
車載カメラ34は、車両10の前方に配置された撮影機器であり、車両10の前方(進行方向前側)の画像を取得するものである。車載カメラ34は、取得した車両10の前方の画像をECU20に送る。ECU20は、車載カメラ34が取得した画像を解析することで、車両10の前方の状態、つまり、前方に他の車両10がいるか、信号機12、12aは近いか、交差点は近いか等の情報を取得することができる。
インフラ通信部38は、上述したインフラ情報送信装置14と無線で通信するものである。インフラ通信部38は、インフラ情報送信装置14から送信されたインフラ情報を取得し、取得したインフラ情報をECU20に送信する。インフラ通信部38は、通信可能なインフラ情報送信装置14と常に通信を行い、インフラ情報を取得してもよいし、一定時間間隔でインフラ情報送信装置14と通信を行い、インフラ情報を取得してもよいし、新たなインフラ情報送信装置14と通信可能となった場合に当該インフラ情報送信装置14と通信を行い、インフラ情報を取得してもよい。
車速センサ40は、車両10の車速を検出するものである。車速センサ40は、取得した車速の情報をECU20に送信する。
表示装置42は、運転者に通知する各種情報を表示する表示装置であり、例えば車両10のダッシュボードに配置されたインストルメントパネルである。表示装置42は、液晶表示装置であってもよいし、各種計器を配置した表示装置であってもよい。表示装置42は、燃料の残量や、駆動源の出力(エンジン回転数)、ドアの開閉状態、シートベルト着用の状態等の情報を表示する。表示装置42は、車速を表示する速度表示領域48を備える。
速度表示領域48は、図3に示すように、目盛り表示部50と、針52と、を有する。目盛り表示部50は、円弧形状であり、0km/hから160km/hまでの目盛りを有する。針52は、計測結果の車速を指すものであり、図3では40km/hを指している。速度表示領域48は、アナログメータであり、現在の車速に合わせて、針52が指す目盛り表示部50の位置が変化する。これにより、運転者は、速度表示領域48の針52の位置を確認することで、現在の車速の検出結果を認識することができる。
次に、ECU20の目標車速制御部20aで実行する制御について説明する。目標車速制御部20aは、車両10の各部で取得した情報に基づいて基準目標車速域を算出し、算出した基準目標車速域を設定した基準に基づいて加工して目標車速域(目標速度域)を決定し、決定した目標車速域を表示装置42の速度表示領域48に表示させる。具体的には、目標車速制御部20aは、インフラ通信部38で取得した複数の通過対象(交差点や横断歩道)毎に配置された信号機12、12aの点灯サイクルや信号変化タイミング等の信号サイクル情報、通過対象(信号機地点ともいう)毎の車両10と当該信号機12、12aとの距離(正確には、当該信号機12、12aが配置された交差点や横断歩道(通過対象、信号機地点ともいう)までの距離)等の情報に基づいて、信号機地点毎に、当該信号機12、12aを青信号の状態の間に(つまり信号機が通過可能表示状態の間に)通過するために必要な走行速度の範囲(基準目標車速域)を算出する。また、目標車速制御部20aは、算出した基準目標車速域毎に基準目標車速域と予め設定された条件とに基づいて目標車速域を決定し、算出した目標車速域(推奨する走行速度の範囲)を速度表示領域48に表示させる。また、目標車速制御部20aは、複数の信号機地点に対して目標車速を算出できる場合、当該複数の信号機地点に対応する目標車速域を速度表示領域48に表示させる。目標車速域の算出方法および目標車速域の表示については後述する。
予め設定された条件としては、例えば、現在の車速と比較し、現在の車速に対して設定した関係を満たす速度域を目標車速域とする方法がある。この場合、目標車速制御部20aは、算出した基準目標車速域と現在の車速とを比較しその比較結果に基づいて、目標車速域を決定し、算出した目標車速域(推奨する走行速度の範囲)を速度表示領域48に表示させる。目標車速制御部20aは、このようにして、車両10が赤信号で停止する回数をより低減することができるように運転者に車速の誘導を行う制御である、グリーンウェーブ支援を行う。なお、信号機が通過可能表示状態であるとは、信号機が対象の経路の通過が可能であることを示す表示を実行している状態であり、青信号の表示に限定されず、矢灯器を表示している状態も含む。また、設定により黄信号を表示している状態も信号機が通過可能表示状態であるとすることができる。
以下、図4から図9を用いて、車両10のECU20の目標車速制御部20aで実行する制御についてより詳細に説明する。図4は、運転支援装置の処理の一例を示すフローチャートである。図5から図9は、それぞれ表示装置の速度表示領域の一例を示す模式図である。
ECU20の目標車速制御部20aは、ステップS12としてグリーンウェーブ支援が可能であるかを判定する。具体的には、目標車速制御部20aは、目標車速域を算出するために必要な情報が取得できている状態で、かつ目標車速域を表示可能な条件を満たしているかを判定する。なお、目標車速域を算出するために必要な情報としては、上述した通過対象の信号機12、12aの点灯サイクルや信号変化タイミング等であるインフラ情報、車両10と当該信号機12、12aとの距離の算出に必要な現在位置の情報や、信号機12、12aの位置情報を含む地図情報である。また、目標車速域を表示可能な条件としては、例えば、車両10と信号機12、12aとの距離(対象の交差点等までの距離)が一定距離以上であること、また、車両10の現在の車速が一定速度以上であること等である。目標車速制御部20aは、車両10と信号機12、12aとの距離(対象の交差点等までの距離)が一定距離未満の場合、目標車速域を表示しても運転者がその表示に対応して運転を行うことが困難であるため、グリーンウェーブ支援を行わないと判定する。また、車速制御部20aは、車両10の現在の車速が一定速度未満の場合、走行している道が渋滞していて走行速度が制限される、また何らかの理由で停止しようとしているまたは停止している等である可能性が高く、目標車速域を表示しても運転者がその表示に対応して運転を行うことが困難であるため、グリーンウェーブ支援を行わないと判定する。また、目標車速制御部20aは、車両の走行方向にある複数の信号機12、12aの情報を取得し、複数の信号機12、12aに対してグリーンウェーブ支援可能かを判定する。目標車速制御部20aは、複数の信号機12、12aのうち、次に通過する信号機12、12aに対してグリーンウェーブ支援が可能であれば、支援可能と判定する。目標車速制御部20aは、ステップS12で支援可能ではない(No)、つまり支援できないと判定した場合、本処理を終了する。
目標車速制御部20aは、ステップS12で支援可能である(Yes)と判定した場合、ステップS14として次に通過する信号機に対する通過停止判定を行う。目標車速制御部20aは、ステップS14として、取得した情報に基づいて、現状の車速で走行した場合、次に通過する信号機が配置されている領域(交差点、横断歩道)に到達した時の信号機の表示が通過可能な表示、青信号または進行方向の矢印が表示された状態であるかで通過可能か停止かを判定する。
また、目標車速制御部20aは、ステップS14として、取得した情報に基づいて基準目標車速域を算出し、算出した基準目標車速域から通過支援を行うか、停止支援を行うかの判定を行ってもよい。ここで、基準目標車速域とは、対象の交差点、横断歩道等を通過することが可能となる車速の範囲、つまり、対象の信号機が青信号である間に対象の交差点、横断歩道等を通過することができる車速の範囲である。また、本実施形態の目標車速制御部20aは、算出した基準目標車速域の下限が現車速よりも速度α以上速い速度である場合、つまり、(現車速+α)<(基準目標車速域の下限の速度)である場合、停止支援を行うと判定する。
目標車速制御部20aは、ステップS14で判定を行ったら、ステップS16で通過支援可能か、つまりステップS14で判定した結果が通過支援であったか否かを判定する。目標車速制御部20aは、ステップS16で通過支援が可能である(Yes)と判定した場合、つまりステップS16の判定結果が通過支援であった場合、ステップS18として対象の信号機に基づいて目標車速域を決定する。つまり、目標車速制御部20aは、ステップS14で通過可能と判定した少なくとも1つの信号機を対象の信号機として、当該対象の信号機を通過できる車速範囲を目標車速域に決定する。例えば、目標車速制御部20aは、上述した基準目標車速域を算出し、算出した基準目標車速域と現車速と予め設定した条件とに基づいて、速度表示領域48に表示する目標車速域を調整してもよい。例えば、目標車速制御部20aは、目標車速域の上限値(表示上限速度)を現車速+α以下の速度としてもよい。
目標車速制御部20aは、ステップS18で目標車速域を決定したら、ステップS20として、目標車速域を表示する。つまり、目標車速制御部20aは、通過支援表示として、決定した目標車速域を速度表示領域48に表示する。ここで、目標車速制御部20aは、複数の信号機、つまり、2つ以上の信号機が通過可能な目標車速域を決定した場合、当該目標車速域を、最高速度と最低速度が他の速度よりも不鮮明な画像で表示させる。目標車速制御部20aは、ステップS20に示す処理を行ったら、ステップS24に進む。
目標車速制御部20aは、ステップS16で通過支援が可能ではない(No)と判定した場合、ステップS22として停止支援表示を実行する。ここで、停止支援表示とは、目標車速域として0km/h付近の速度域を表示する。目標車速制御部20aは、停止支援表示を行う場合も目標車速域の表示を不明瞭な画像(不明確な画像)とする。例えば、0km/h付近の速度域の目標車速域を、最高速度と最低速度が他の速度よりも不鮮明な画像で表示させる。目標車速制御部20aは、ステップS22に示す処理を行ったら、ステップS24に進む。
目標車速制御部20aは、ステップS20の処理またはステップS22の処理を行ったら、ステップS24として表示終了条件が成立しているかを判定する。ここで、表示終了条件とは、予め設定した目標車速域の表示終了の条件であり、例えば、車両と交差点(対象の信号機)との距離が一定以下となった場合、車速が一定の範囲外となった場合、目標車速域を表示してから一定時間が経過した場合等である。目標車速制御部20aは、ステップS24で条件が成立していない(No)と判定した場合、ステップS14に進み、上述した処理を繰り返す。つまり目標車速域を再度算出して目標車速域を再表示させる。目標車速制御部20aは、ステップS24で条件が成立した(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
次に、図5から図8を用いて、通過支援の際に速度表示領域に表示される画像について説明する。例えば、目標車速制御部20aは、図5の算出結果60aに示すように、目標車速域61aが約30km/hから約55km/hの範囲で算出される。この場合、目標車速制御部20aは、速度表示領域48aを表示する。速度表示領域48aは、目盛り表示部50の目標車速域と重なる速度範囲に目印70aが表示されている。ここで、本実施形態では、目標車速域61aが約30km/hから約55km/hであるため、速度表示領域48aは、目印70aを40km/hが明確で約30km/h近傍と約55km/hの近傍が不明瞭な画像として表示される。ここで、目印70aの不鮮明な画像となる約30km/h近傍は、目標車速域61aの最低速度から最低速度+αの範囲となる。不鮮明な画像となる約55km/h近傍は、目標車速域61aの最高速度−αから最高速度の範囲となる。つまり、目印70aは、目標車速域61aの最高速度から一定範囲と、最低速度から一定の範囲と、が不鮮明な画像として表示されている。なお、目印70aは、目標車速域61aの中心の速度が中心、つまり、最高速度と最低速度の中央値が中心となる。不鮮明な画像とは、目標車速域61aの最高速度と最低速度が認識しにくい画像である。例えば、それぞれ最高速度または最低速度に近づくにしたがって表示が薄くなるグラデーションの画像や、最高速度または最低速度に近づくにしたがって表示がぼける画像である。
なお、速度表示領域48aは、目盛り表示部50を液晶表示装置に画像で表示している場合、当該液晶表示装置に表示する画像として目印70aの画像を重ねればよい。また、速度表示領域48aは、目盛り表示部50がインク等で記入されている場合、目盛り表示部50の目盛りの表示部分に発光部を配置し、目標車速域の発光部を点灯させることで目印70を表示してもよい。このように、目標車速制御部20aは、決定した目標車速域を目印70として目盛り表示部50に重ねて表示することで、利用者に決定した目標車速域を認識させることができる。また、速度表示領域48aは、上限の速度と下限の速度とが不鮮明な画像を目印70として表示することで、運転者に認識させる目標車速域をあいまいな速度範囲として認識させることができる。
ここで、目標車速制御部20aは、図5に示す目標車速域61aを種々の基準で算出することができる。図5に示す例は、目標車速制御部20aが、複数の信号機を通過できると判定した場合も次に通過する信号機(手前の信号機)を通過できる速度範囲を目標車速域61aとして算出している。
運転支援装置19(およびこれを有する車両10、運転支援システム1)は、信号機を通過できる目標車速域を算出し、算出した目標車速域を示す目印70aを表示させることで、運転者に適切な車速を通知することができる。また、運転支援装置19は、目印70aを最高速度と最低速度とが不明瞭な状態で表示させることで、つまり、目標車速域の端部をあいまいな状態で表示することで、対象の信号機が通過できない場合に運転者に不信感を与えることを抑制することができる。つまり、運転支援装置19は、目印70aの目標車速域の端部をあいまいな状態で表示することで、運転者に、運転条件、つまり車速が目標車速域内であるか否かをあいまいにすることができる。このように、目標車速域の端部が目標車速域内であるか否かをあいまいにすることで、通過可能な速度の条件の端部である目標車速域の端部をあいまいにすることができる。これにより、運転者に運手条件を満足していたはずなのに信号機が通過できなかったという印象を与えることを抑制することができ、運転者に不信感を与えることを抑制することができる。また、目標車速域の端部が通過できなくなる可能性が高いことを伝えることができる。これにより、目標車速域の端部の速度で走行しつつも途中加速、減速等が生じて当該信号機を通過できなかった場合でも、運転者に不信感を与えることを抑制することができる。
以上より、運転支援装置19は、運転者に違和感やストレスを与える恐れの低い、目標車速域を表示させることができる。また、運転者は、境界が明確な目印にあわせて運転することがなくなるため、車速が目印の範囲内であるかを気にしすぎることを抑制することができ、運転しやすい状態を維持しつつ、好適な条件(本実施形態では、赤信号での停止を少なくしつつ)車両10を走行させることができる。
また、図5に示す例は、目標車速域の最高速度と最低速度とを不鮮明にする表示として、目標車速域61aの最高速度から一定範囲と、最低速度から一定の範囲と、を不鮮明な画像としたが、これに限定されない。目標車速制御部20aは、目標車速域と現車速に基づいて目印の画像の表示位置を決定してもよい。以下、図6を用いて説明する。
目標車速制御部20aは、図6の算出結果60bに示すように、目標車速域61bが約30km/hから約55km/hの範囲で算出される。また、現車速は、針52で示す約35km/hである。この場合、目標車速制御部20aは、速度表示領域48bを表示する。速度表示領域48bは、目盛り表示部50の目標車速域と重なる速度範囲に目印70bを表示している。ここで、本実施形態では、目標車速域61bが約30km/hから約55km/hであり、現車速が約35km/hであるため、速度表示領域48bは、目印70bが現車速の約35km/hが明確で約35km/hから一定距離以上離れた速度域が不明瞭な画像として表示される。このように、目印70bは、目標車速域61bの現車速から一定速度以上は離れている領域を不鮮明な画像として表示している。不鮮明な画像とは、目標車速域61bのうち現車速から一定速度以上離れている領域が認識しにくい画像である。例えば、それぞれ現車速から一定速度以上離れている領域が現車速から離れるにしたがって表示が薄くなるグラデーションの画像や、現車速から離れるにしたがって表示がぼける画像である。
目標車速制御部20aは、算出した目標車速域のうち、現車速を中心として一定速度以上離れた速度域を不鮮明することでも、運転者に認識させる目標車速域をあいまいな速度範囲として認識させることができ、運転者に違和感やストレスを与える恐れの低い、目標車速域を表示させることができる。
目標車速制御部20aは、複数の信号機を通過できると判定した場合、複数の信号機を通過することができる速度範囲を目標車速域として算出してもよい。以下、図7を用いて複数の信号機を通過することができる速度範囲を目標車速域として算出する場合の目印の表示について説明する。
目標車速制御部20aは、図7の算出結果60cに示すように、手前の信号機に対する目標車速域61cが約15km/hから約40km/hの範囲で算出され、奥の信号、つまり手前の信号機の次に通過する信号機に対する目標車速域63が約30km/hから約55km/hの範囲で算出される。また、現車速は、針52で示す約40km/hである。この場合、目標車速制御部20aは、手前の信号機に対する目標車速域61cと手前の信号機の次に通過する信号機に対する目標車速域63とが重なる領域を目標車速域65とする。そして、目標車速制御部20aは、速度表示領域48cを表示する。速度表示領域48cは、目盛り表示部50の目標車速域61cと目標車速域63とが重なる目標車速域65に目印70cを表示している。目印70cは、目標車速域65の中心(中央値)から離れるにしたがって不明瞭なる画像として表示される。つまり、目印70cは、目標車速域65の最高速度と最低速度との境界が不明瞭な画像である。
目標車速制御部20aは、図7に示すように、手前の信号機に対する目標車速域61cと手前の信号機の次に通過する信号機に対する目標車速域63とが重なる領域、つまり複数の信号機を通過することができる速度範囲を目標車速域とすることで、運転者は複数の信号機を通過することができる車速を適切に把握することができる。また、この場合も、目印70cを、目標車速域65の中心(中央値)から離れるにしたがって不明瞭なる画像として表示することで、運転者に認識させる目標車速域65をあいまいな速度範囲として認識させることができ、運転者に違和感やストレスを与える恐れの低い、目標車速域を表示させることができる。
また、図7に示すように、複数の信号機に対する目標車速域が重なる速度範囲を目標車速域とする場合も、図6と同様に現車速を中心として一定速度以上離れた速度域を不鮮明してもよい。
目標車速制御部20aは、上述したように目標車速域に表示する目印の大きさ、つまり表示される速度の幅を変更してもよいが、目印の大きさを一定としてもよい。具体的には、図8に示す速度表示領域48dは、目盛り表示部50に目印70dを表示している。目印70dは、算出された目標車速域の中央値が中心となる位置に配置されている。目印70dは、目標車速域の中心(中央値)から離れるにしたがって不明瞭なる画像として表示される。また、目印70dは、目標車速域の速度範囲の大きさに関係なく一定の大きさで表示される画像である。ここで、図8に示す目印70dの基準となる目標車速域は、手前の信号機を通過できる速度範囲から検出しても、手前の信号機に対する目標車速域と手前の信号機の次に通過する信号機に対する目標車速域とが重なる速度範囲から検出してもよい。また、目印70dの表示位置は、目標車速域に含まれていればよく、目標車速域の中央値としても、現車速としてもよい。
目標車速制御部20aは、図8に示すように、目標車速域を表示する目印70dの大きさを目標車速域の大きさに係らず一定の大きさとした場合でも、目印70dを、速度範囲の境界を不明瞭な画像で表示させることで、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、運転支援装置19は、目標車速域を種々の基準で算出することができる。運転支援装置19は、現車速+α、つまり現車速よりも一定速度速い速度を目標車速域の条件値としてもよい。運転支援装置19は、現車速+αを上限速度とすることで、車速を目標車速域とするために必要な加速が大きくなることを抑制することができる。これにより、車両10および運転支援装置19は、運転者に違和感やストレスを与える恐れのより低い目標車速域を表示させることができる。
ここで、運転支援装置19は、目標車速域の上限速度を現車速+G×tとしてもよい。ここで、Gは加速度であり、tは時間である。つまり、運転支援装置19は、表示上限速度を現車速+G×t、つまり、t秒間に加速度Gで実現できる速度としてもよい。ここで、t秒は、信号機までの距離と現車速とに基づいて変化する値としてもよい。例えば、信号機までの距離が長い時はtを大きくし、信号機までの距離が短い時はtを小さくしてもよい。
また、運転支援装置19は、目標車速域の上限速度を現車速としてもよい。目標車速制御部20aは、目標車速域の上限速度を現車速とすることで、目標車速域を加速が必要のない速度とすることができる。これにより、運転支援装置19は、運転者に加速が必要な目標車速域を推奨しないため、運転者に違和感やストレスを与える恐れのより低い目標車速域を表示させることができる。
また、運転支援装置19は、目標車速域の上限速度として、車両が走行している道路(道)の制限速度を用いてもよい。ここで、制限速度は、例えば現在走行している道路の法定速度であり、インフラ通信部38で取得するインフラ情報や、GPS通信部32で受信したGPS信号で現在位置を検出し地図情報データベース22aに記憶されている現在位置の情報から取得すればよい。運転支援装置19は、制限速度の情報を取得する情報取得部として、インフラ通信部38やGPS通信部32と地図情報データベース22aとの組み合わせを用いることができる。制限速度の情報を取得する情報取得部は、運転支援装置19の他の機能、例えば車載カメラ34を用いてもよい。運転支援装置19は、車載カメラ34で走行中の道路に設置された標識の画像を取得し、当該標識の画像に表示されている法定速度を制限速度として検出してもよい。運転支援装置19は、目標車速域の上限速度として、制限速度を用いることで、目標車速域の表示が制限速度を超えることを抑制することができる。これにより、運転支援装置19は、制限速度以下の速度で目標車速域を表示することができるため、実際には走行してはいけない速度が表示されることを抑制でき、運転者に違和感やストレスを与える恐れのより低い目標車速域を表示させることができる。
なお、上記実施形態の運転支援装置19は、現車速と制限速度の両方を用いて目標速度域の上限速度を決定することがより好ましい。つまり、運転支援装置19は、いずれも現車速を用いて、目標速度域の上限速度を決定する場合も目標車速域が制限速度を超えないようにすることが好ましい。これにより、運転支援装置19は、上述の両方の効果を得ることができ、運転者に違和感やストレスを与える恐れのより低い目標車速域を表示させることができる。
次に、図9を用いて、停止支援表示の速度表示領域に表示される画像について説明する。目標車速制御部20aは、停止支援表示を実行する場合、図9に示す速度表示領域48eを表示する。速度表示領域48eは、目盛り表示部50の目標車速域と重なる速度範囲に目印70eを表示している。ここで、停止支援表示は、目標車速域が0km/h付近の速度域(0km/hを含む速度域、本実施形態では、0km/hから10km/h)であるため、速度表示領域48eは、目印70eを0km/h付近の速度域に表示する。また、目印70eは、目印70aと同様に、目標車速域の最高速度から一定範囲と、最低速度から一定の範囲と、が不鮮明な画像として表示されている。不鮮明な画像とは、目標車速域の最高速度と最低速度が認識しにくい画像である。例えば、それぞれ最高速度または最低速度に近づくにしたがって表示が薄くなるグラデーションの画像や、最高速度または最低速度に近づくにしたがって表示がぼける画像である。
このように、運転支援装置19は、通過支援が可能ではない場合、例えば、現車速を維持して走行したら、信号機地点の到達時に信号機地点を通過できない場合または基準目標車速域が表示上限速度よりも高い速度である場合、停止支援の目標車速域に目印を表示することで、運転者に停止を推奨することができる。これにより、運転支援装置19は、対象の信号機の通過に急激な加速が必要な場合には、無理な運転を推奨せずに運転者に停止を推奨することができ、運転者に違和感やストレスを与える恐れを低減することができる。また、目印70eを不鮮明に表示することで、運転者に通過判定で表示されていると勘違いさせることを抑制することができる。
なお、本実施形態では、通過支援が可能ではない場合、停止支援の目標車速域を表示したが、これに限定されない。運転支援装置19は、通過支援が可能ではない場合、ステップS22の処理に代えて、目標車速域を表示しないようにしてもよい。
運転支援装置19は、通過支援時に表示する目標車速域と、停止支援時に表示する目標車速域とで、表示する目印の色を異なる色とすることが好ましい。なお、色ではなく模様や、点灯状態等を異なるようにしてもよい。これにより、運転者は、通過支援が表示されているか、停止支援が表示されているかをすぐに把握することができる。
上記実施形態の運転支援装置19は、いずれも各条件から1つの目標車速域を算出し、当該目標車速域に対応する1つの目印を表示させたがこれに限定されない。運転支援装置19は、対象の信号機毎に目標車速域を算出し、算出した目標車速域毎に目印を表示させてもよい。この場合、運転支援装置19は、複数の目標車速域のうち、目標車速域に対応する少なくとも1つの目印を最高速度と最低速度が不明瞭な画像で表示すればよい。
ここで、図10は、表示装置の速度表示領域の一例を示す模式図である。運転支援装置19は、図10の速度表示領域48fに示すように、目盛り表示部50に目印70fと目印73とを表示している。目印70fは、手前の信号機に対する目標車速域に対応しており、目印73は、手前の信号機の次に通過する信号機に対する目標車速域に対応している。目印70fは、手前の信号機に対する目標車速域と重なる全域を示している。また、目印70fは、目標車速域の最高速度と最低速度が明確な画像である。目印73は、算出された目標車速域の中央値が中心となる位置に配置されている。目印73は、目標車速域の中心(中央値)から離れるにしたがって不明瞭なる画像として表示される。また、目印73は、目標車速域の速度範囲の大きさに関係なく一定の大きさで表示される画像である。ここで、図10に示す目印73の基準となる目標車速域は、次に通過する信号機を通過できる速度範囲のみから検出しても、手前の信号機に対する目標車速域と手前の信号機の次に通過する信号機に対する目標車速域とが重なる速度範囲から検出してもよい。また、目印73の表示位置は、手前の信号機の次に通過する信号機に対する目標車速域に含まれていればよく、目標車速域の中央値としても、現車速としてもよい。
運転支援装置19は、図10に示すように、信号機に対応してそれぞれ目標車速域を算出し、複数の目標車速域にそれぞれ対応する複数の目印を表示することで、運転者に各信号機を通過できる目標車速を把握させることができる。また、目標車速域に対応する目印の少なくとも1つ、より好ましくはより奥側の信号機の目標車速域に対応する目印を最高速度と最低速度が不明瞭な画像で表示することで、上述した例と同様に当該信号機が通過できなかった場合に運転者に対して不信感を与えることを抑制できる。
次に図11を用いて、より奥側の信号機の目標車速域に対応する目印の表示位置の決定方法について説明する。図11は、運転支援装置の処理の他の例を示すフローチャートである。なお、図11に示す処理は、上述した図4の処理と並行して実施し、2つ目の目印、つまりより奥側の信号機の目標車速域に対応する目印を表示させる場合に処理結果を用いて2つ目印を表示させればよい。
ECU20の目標車速制御部20aは、ステップS40としてグリーンウェーブ支援が可能であるかを判定する。目標車速制御部20aは、ステップS40で支援可能ではない(No)、つまり支援できないと判定した場合、本処理を終了する。
目標車速制御部20aは、ステップS40で支援可能である(Yes)と判定した場合、ステップS42として手前の信号機が通過可能かを判定する。つまり、目標車速制御部20aは、次に通過する信号機に対する通過支援が可能かを判定する。目標車速制御部20aは、ステップS42で通過可能ではない(No)と判定した場合、ステップS43として、Center=0とし、ステップS56に進む。ここで、Centerとは、2つ目の目印の表示領域の中央値である。つまり、目標車速制御部20aは、ステップS43で2つ目の目印の中央値を0km/hとして目印の表示位置を決定する。なお、ステップS43の判定が行われる場合、手前の信号機に対する停止支援が実行される。
目標車速制御部20aは、ステップS42で通過可能である(Yes)であると判定した場合、ステップS44として、2つ目の信号機が通過可能かを判定する。つまり、目標車速制御部20aは、手前の信号機の次に通過する信号機が通過可能かを判定する。目標車速制御部20aは、ステップS44で通過可能ではない(No)と判定した場合、ステップS48に進む。
目標車速制御部20aは、ステップS44で通過可能である(Yes)であると判定した場合、ステップS46として、Vmin1>Vmax2であるか、つまり、1つ目の目標車速域の最小値が2つ目の目標車速域の最大値よりも大きいかを判定する。ここで、Vmin1は、手前の信号機に対する目標車速域の最低速度であり、Vmax2は、2つ目の信号機に対する目標車速域の最高速度である。
目標車速制御部20aは、ステップS46でVmin1>Vmax2である(Yes)と判定したら、ステップS48に進む。目標車速制御部20aは、ステップS44でNoまたはステップS46でYesと判定したら、ステップS48として、Center=Vmin1とし、ステップS56に進む。目標車速制御部20aは、ステップS48で、2つ目の目印の中央値を1つ目の目印の最低速度の位置に設定する。
目標車速制御部20aは、ステップS46でVmin1>Vmax2ではない(No)と判定したら、ステップS50として、Vmax1<Vmin2であるかを判定する。ここで、Vmax1は、手前の信号機に対する目標車速域の最高速度であり、Vmin2は、2つ目の信号機に対する目標車速域の最低速度である。
目標車速制御部20aは、ステップS50でVmax1<Vmin2である(Yes)と判定したら、ステップS52として、Center=Vmax1とし、ステップS56に進む。目標車速制御部20aは、ステップS52で、2つ目の目印の中央値を1つ目の目印の最高速度の位置に設定する。目標車速制御部20aは、ステップS50でVmax1<Vmin2ではない(No)と判定したら、ステップS54として、Center=(Vmax2+Vmin2)/2とし、ステップS56に進む。目標車速制御部20aは、ステップS52で、2つ目の目印の中央値を2つ目の目印の最高速度と最低車速の中央値に設定する。
目標車速制御部20aは、ステップS43、S48、S52、S54の処理を行ったら、ステップS56として表示終了条件が成立しているかを判定する。目標車速制御部20aは、ステップS56で条件が成立していない(No)と判定した場合、ステップS40に進み、上述した処理を繰り返す。目標車速制御部20aは、ステップS56で条件が成立した(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
運転支援装置19は、図10に示すように、1つ目の信号機の目標車速域と2つ目の信号機の目標車速域に基づいて2つ目の目印の表示位置を決定することで、運転者に分かりやすく、かつ、実現しやすい速度案内を表示させることができる。
運転支援装置19は、図11のステップS44、S48に示すように、手前の信号機が通過でき、2つ目の信号機つまり奥の信号機が通過できない場合も、目標車速域を示す目印を最高速度と最低速度が不明瞭な画像とすることで、手前の信号機が通過できなかった場合に運転者に対して不信感を与えることを抑制できる。また、停止支援を行っている奥の信号機に対する目標速度域の表示が車速を低くすれば通過できる通過判定の表示であると認識されにくくすることができる。つまり、運転支援装置19は、通過支援、停止支援によらず、複数の信号機に対する走行支援、つまり信号機地点に対する通過支援および停止支援の少なくとも一方の際に表示させる目標車速域の目印を、最高速度と最低速度が不明瞭な画像とすることで、運転者に対して不信感を与えることを抑制しつつ、走行支援を好適に実施することができる。
また、運転支援装置19は、次に通過する信号機とその次に通過する信号機、つまり2つ目の信号機との関係に基づいて、表示させる対象の目標車速域を決定してもよい。以下、図12を用いて制御の一例について説明する。ここで、図12は、運転支援装置の処理の他の例を示すフローチャートである。
ECU20の目標車速制御部20aは、ステップS112として次に通過する信号機(信号機地点)に対してグリーンウェーブ支援が可能であるかを判定する。目標車速制御部20aは、ステップS112で支援可能ではない(No)、つまり次に通過する信号機地点に対する目標車速域の算出ができないと判定した場合、本処理を終了する。
また、目標車速制御部20aは、ステップS112で支援可能である(Yes)と判定した場合、ステップS114として、2つ目に通過する信号機(走行方向において2つめに通過する信号機地点に配置された信号機)のサイクル(信号サイクル)を取得したかを判定する。目標車速制御部20aは、ステップS114で2つ目に通過する信号機のサイクルが取得できていない(No)、つまり2つ目に通過する信号機地点に対する目標車速域の算出ができないと判定した場合、ステップS120に進む。
目標車速制御部20aは、ステップS114で2つ目に通過する信号機のサイクルが取得できている(Yes)と判定した場合、ステップS116として、2つ目に通過する信号機までの距離<閾値であるかを判定する。2つ目に通過する信号機までの距離とは、現在の車両と信号機地点(交差点、横断歩道)までの距離である。なお、閾値は、予め設定した値である。閾値としては、当該目視で信号機を確認できる範囲内の距離や、平均的な法定速度で一定の時間(例えば10秒)で到達できる距離等を用いることができる。
目標車速制御部20aは、ステップS116で2つ目に通過する信号機までの距離<閾値である(Yes)、つまり、現在の車両と信号機地点までの距離が閾値の距離未満であると判定した場合、ステップS118として、2つの信号機に対する目標車速域を表示する。つまり、目標車速制御部20aは、通過支援表示として、上述したように対象の信号機である2つの信号機に対応する目標速度域を決定し、当該決定した目標車速域に対応する目印を表示させる。目標車速制御部20aは、ステップS118に示す処理を行ったら、ステップS122に進む。
目標車速制御部20aは、ステップS114でNo、ステップS116でNoと判定した場合、ステップS120として、次に通過する信号機のみの目標車速域を表示する。つまり、目標車速制御部20aは、通過支援表示として、次に通過する信号機に対する基準目標車速域を算出し、算出した基準目標車速域に基づいて目標車速域(以下、第1目標車速域ともいう)を決定する。目標車速制御部20aは、決定した1つの目標車速域を速度表示領域に表示する。目標車速制御部20aは、ステップS120に示す処理を行ったら、ステップS122に進む。
目標車速制御部20aは、ステップS118の処理またはステップS120の処理を行ったら、ステップS122として表示終了条件が成立しているかを判定する。目標車速制御部20aは、ステップS122で条件が成立していない(No)と判定した場合、ステップS112に進み、上述した処理を繰り返す。つまり各信号機に対する目標車速域を表示可能かの判定と目標車速域の算出を実行し、対象の目標車速域を再表示させる。目標車速制御部20aは、ステップS122で条件が成立した(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
運転支援装置19は、図12に示すように、2つ目に通過する信号機、つまり2つ目の信号機との距離が一定距離未満の場合のみ2つの信号機に対する目標車速域を算出し、当該目標車速域に対応する目印を表示させることで、運転者によりストレスの少ない案内表示を行うことができる。
上記実施形態の運転支援装置19は、複数の信号機地点を通過できる場合、複数の信号機地点を通過できる速度範囲を示す目印を、最高速度と最低速度が不明瞭な画像としたが、これに限定されない。運転支援装置19は、図12に示すステップS120のように、次に通過する信号機のみの目標車速域を表示させる場合に、目標車速域を示す目印を最高速度と最低速度が不明瞭な画像とするようにしてもよい。つまり、運転支援装置19は、1つの信号機に対する走行支援を行う場合に、算出した目標車速域を示す目印を最高速度と最低速度が不明瞭な画像とするようにしてもよい。これにより、運転支援装置19は、次に通過する信号機が通過できなかった場合に運転者に対して不信感を与えることを抑制できる。また、停止支援を行っている奥の信号機に対する目標速度域の表示が車速を低くすれば通過できる通過判定の表示であると認識されにくくすることができる。つまり、運転支援装置19は、通過支援、停止支援によらず、次に信号機に対する走行支援の際に表示させる目標車速域の目印を、最高速度と最低速度が不明瞭な画像とすることで、運転者に対して不信感を与えることを抑制しつつ、走行支援を好適に実施することができる。また、1つの信号機のみに対する目標車速域を表示させる場合の目標車速域の決定方法は、上述した各種方法を用いることができる。
また、上記実施形態の運転支援装置19は、目標車速域を示す目印の表示領域を徐々に小さくすることで、最高速度、最低速度を不明瞭にしたがこれに限定されない。不明瞭な画像としては、各種の最高速度、最低速度に向かうにしたがって色を薄くした画像または外縁をぼかした画像を用いることができる。ここで、図13は、表示装置の速度表示領域の他の例を示す模式図である。図13に示す速度表示領域48gは、目盛り表示部50に目印70gを表示している。目印70gは、算出された目標車速域の中央値が中心となる位置に配置されている。目印70gは、目標車速域の中心(中央値)から離れるにしたがって不明瞭なる画像として表示される。具体的には、目印70gは、目標車速域の中心(中央値)から離れるにしたがって徐々に薄くなり、最高速度と最低速度との近傍でほとんど見えなくなる。また、目印70gは、各速度での太さは一定である。
運転支援装置19は、図13に示すように、各速度での太さを一定にしつつ、目標車速域の中心(中央値)から離れるにしたがって徐々に薄くなり、最高速度と最低速度との近傍でほとんど見えなくなるグラデーションの画像とすることでも、最高速度、最低速度を不明瞭にすることができ、上述と同様の効果を得ることができる。
また、上記実施形態の運転支援装置19は、信号機の信号サイクル情報等に基づいて、信号機が配置された交差点、横断歩道を通過できる条件に基づいて、基準目標車速域を算出したがこれに限定されない。運転支援装置19は、目標車速域を表示する種々の場合いに用いることができる。