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JP2013054102A - 顕微鏡装置 - Google Patents

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JP2013054102A JP2011190619A JP2011190619A JP2013054102A JP 2013054102 A JP2013054102 A JP 2013054102A JP 2011190619 A JP2011190619 A JP 2011190619A JP 2011190619 A JP2011190619 A JP 2011190619A JP 2013054102 A JP2013054102 A JP 2013054102A
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Abstract

【課題】光走査光学系を有する顕微鏡装置で高い分解能の画像を得ることを目的とする。
【解決手段】本発明の顕微鏡装置1は、試料Sに照射するレーザ光Lを発振する光源と2、レーザ光Lの一部を通過させる複数のピンホール6Pを有し、レーザ光Lを試料Sに走査させる走査光学系と、レーザ光Lのうちピンホール6Pを通過した光に試料Sで焦点を結ばせる対物レンズ12を有し、焦点から発生する戻り光Rをピンホール6Pに導く顕微鏡光学系と、試料Sから発生する戻り光Rを検出するカメラ16と、走査光学系を走査することによって走査光学系に形成される戻り光Rの像を、カメラ16に対して相対移動させる相対移動機構11と、を備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、試料に励起光を照射して、試料の画像を観察する顕微鏡装置に関するものである。
顕微鏡装置として蛍光顕微鏡が用いられている。蛍光顕微鏡は、試料に蛍光色素や蛍光タンパクを導入して、レーザ光を励起光として照射し、試料を蛍光させる。そして、この蛍光を観察することにより、試料の画像を取得する。顕微鏡装置では、高い分解能を得ることが求められるが、画素ずらしを行うことで、擬似的に観察画像の解像度を向上させている技術が特許文献1に開示されている。
また、ピンホールディスクとマイクロレンズディスクとを用いて高速に励起光を試料に走査させるニポウディスク方式の共焦点顕微鏡が特許文献2に開示されている。ピンホールディスクには多数のピンホールを配列し、マイクロレンズディスクには多数のマイクロレンズを配列し、ピンホールディスクとマイクロレンズディスクとを回転させることで、励起光を試料に高速に走査させることができる。
特開2009−25362号公報 特開2011−22327号公報
特許文献1の顕微鏡(顕微鏡システム)は、顕微鏡光学系(マイクロスコープ)と顕微鏡画像撮像装置(撮像装置)とにより構成されている。そして、画素ずらしを行うための平行平板ガラスを顕微鏡光学系の内部に設けるようにして、平行平板ガラスの傾きを前後左右に変化させることで、結像画像の位置を結像素子上で前後左右にずらすようにしている。
一方、特許文献2の顕微鏡では、顕微鏡光学系およびカメラ(撮像素子)だけではなく、走査系光学系を有している。走査光学系はピンホールディスクおよびマイクロレンズディスクを有して構成しており、顕微鏡光学系とカメラとの間に設けられている。つまり、特許文献1の顕微鏡とは異なり、顕微鏡光学系とカメラと走査光学系との3者により構成されている。
特許文献1の顕微鏡は顕微鏡光学系と撮像装置との2者の光学系を調整することにより、画素ずらしを実現している。これにより、擬似的に観察画像の解像度を向上させることができる。ただし、特許文献2のようなニポウディスク方式の共焦点顕微鏡のように、顕微鏡光学系とカメラと走査光学系との3者の光学系により実現される場合には、単に画素ずらしの技術を適用することができない。
そこで、本発明は、光走査光学系を有する顕微鏡装置で高い分解能の画像を得ることを目的とする。
以上の課題を解決するため、本発明の顕微鏡装置は、試料に照射する励起光を発振する光源と、前記励起光の一部を通過させる複数の開口部を有し、前記励起光を前記試料に走査させる走査光学系と、前記励起光のうち前記開口部を通過した光に前記試料で焦点を結ばせる対物レンズを有し、前記焦点から発生する蛍光を前記開口部に導く顕微鏡光学系と、前記試料から発生する蛍光を検出する検出部と、前記走査光学系を走査することによって前記走査光学系に形成される前記蛍光の像を、前記検出部に対して相対移動させる相対移動機構と、を備えたことを特徴とする。
この顕微鏡装置によれば、相対移動機構が走査光学系に形成される戻り光(蛍光)の像を検出部に対して相対移動させている。戻り光の像を相対移動することで、検出部において画素ずらしを行うことができる。これにより、走査光学系を有する顕微鏡で高い分解能の画像を得ることができる。
また、前記走査光学系は、前記開口部として複数のピンホールを有するピンホールディスクと、このピンホールを回転させる回転部とを有し、この回転部が前記ピンホールディスクを回転することにより前記焦点を前記試料で走査し、前記ピンホールディスク面に前記試料の蛍光の像を形成し、前記ピンホール上の蛍光像を伝達するリレー光学系によってリレーされた前記蛍光の像を検出する前記検出部としての撮像素子を備えていることを特徴とする。
ピンホールディスクを回転させることにより、試料の光軸方向に直交する方向に焦点を走査することができる。走査されたときの戻り光の像はピンホールを通過し、リレー光学系によりリレーされて撮像素子で走査される。これにより、試料の断面情報を得ることができる。
また、前記相対移動機構は、前記対物レンズと前記ピンホールディスクとの間に配置された撮影レンズを光軸方向に直交する方向に移動することにより、前記ピンホールディスクに形成される前記蛍光の像を前記撮像素子に対して相対移動させることを特徴とする。
撮影レンズを光軸方向に直交する方向に移動することにより、ピンホールディスクに形成される戻り光の像を撮像素子に対して相対移動させることができる。
また、前記蛍光の波長をλ、前記対物レンズの開口数をNA、前記撮影レンズの移動ピッチをsとしたときに、s≦(1/2)×0.61×(λ/NA)となるように前記相対移動機構が前記撮影レンズを移動させることを特徴とする。
撮影レンズの移動ピッチsを前記の式のように設定することで、走査光学系を有する顕微鏡で光学分解能の限界値を得るような高い分解能の画像を得ることができるようになる。
また、前記相対移動機構が動作する高解像度モードと前記相対移動機構が動作しない高速モードとを切り替える制御部を備えたことを特徴とする。
画素ずらしを行う高解像度モードは高い解像度を得ることができるが、処理に時間がかかる。高い解像度が必要でない場合には、画素ずらしを行わない高速モードを選択することで、処理の高速化を実現することができる。
また、前記相対移動機構は、前記リレー光学系を光軸方向に直交する方向に移動することにより、前記ピンホールディスクに形成される像を前記撮像素子に対して相対移動させることを特徴とする。
リレー光学系を光軸方向に直交する方向に移動することによっても、ピンホールディスクに形成される像を撮像素子に対sh智恵相対移動させることができる。
本発明は、相対移動機構が走査光学系に形成される戻り光の像を検出部に対して相対移動させている。このため、戻り光の像を相対移動することで、検出部において画素ずらしを行うことができる。これにより、走査光学系を有する顕微鏡で高い分解能の画像を得ることができる。
実施形態の顕微鏡装置の構成図である。 ピンホールディスクおよびマイクロレンズディスクの構成図である。 ピンホールおよび走査ピッチを説明する図である。 撮影レンズの移動前後の焦点を説明する図である。 撮影レンズを移動したときの撮像素子の像を説明する図である。 画素の再配置を行ったときの図である。 変形例1の顕微鏡装置の構成図である。 変形例2の撮像素子の像の変化を説明する図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は実施形態の顕微鏡装置1を示している。顕微鏡装置1は試料Sを観察対象としており、光源2とファイバ3とコリメートレンズ4とマイクロレンズディスク5とピンホールディスク6と連結ドラム7とモータ8ダイクロイックミラー9と撮影レンズ10と相対移動機構11と対物レンズ12と前側リレーレンズ13と蛍光フィルタ14と後側リレーレンズ15とカメラ16と制御部17とモニタ18とを備えて構成している。
光源2は励起光としてレーザ光Lを発振する。ファイバ3は光ファイバであり、レーザ光Lを導光する。ファイバ3の出射側にはコリメートレンズ4が配置されており、ファイバ3から出射されたレーザ光Lはコリメートレンズ4で平行光になる。コリメートレンズ4の前方にはマイクロレンズディスク5が配置されている。
図2に示すように、マイクロレンズディスク5は螺旋状に多数のマイクロレンズ5Mを配列した回転ディスクである。また、ピンホールディスク6はマイクロレンズ5Mと同じパターンで多数のピンホール6Pを配列した回転ディスクである。ピンホール6Pは観察対象である試料Sの焦点の範囲内の光のみを通過させる開口部である。マイクロレンズ5Mは対応するピンホール6Pにレーザ光Lを集光させる機能を有している。
マイクロレンズディスク5とピンホールディスク6とは連結ドラム7により連結されており、連結ドラム7はモータ8に接続されている。モータ8により回転力が付与されることで、マイクロレンズディスク5とピンホールディスク6とが一体的に回転する。連結ドラム7とモータ8とにより回転部が構成される。
マイクロレンズディスク5とピンホールディスク6とはそれぞれ走査光学系(走査板)を構成する。走査光学系により、試料Sの水平面(XY平面)にレーザ光Lが走査される。これにより、試料Sの所定領域の断層像を取得することができる。
図1および図2に示すように、マイクロレンズディスク5とピンホールディスク6との間にはダイクロイックミラー9を設けている。ダイクロイックミラー9は光源2が発振するレーザ光Lの波長を透過し、試料Sの蛍光の波長を反射する特性を有する光学素子である。
ピンホール6Pをレーザ光Lが透過した位置に撮影レンズ(チューブレンズ)10が配置されている。この撮影レンズ10によりレーザ光Lは平行光になる。撮影レンズ10にはレーザ光Lの光軸方向(Z方向)に対して直交する方向に撮影レンズ10を微小に移動させる相対移動機構11が取り付けられている。
相対移動機構11としては撮影レンズ10を光軸方向に対して直交する方向に撮影レンズ10を移動させる機構であればよく、例えば撮影レンズ10をクランプするホルダを駆動するアクチュエータ等を適用することができる。
撮影レンズ10により平行光になったレーザ光Lの光路に対物レンズ12が配置されている。この対物レンズ12によりレーザ光Lは観察対象である試料Sに焦点Fを結ぶ。撮影レンズ10と対物レンズ12とにより顕微鏡光学系が構成される。
ダイクロイックミラー9で反射した蛍光(戻り光R)の光路に前側リレーレンズ13が配置されており、この前側リレーレンズ13により戻り光Rは平行光になる。戻り光Rの光路に蛍光フィルタ14が配置されている。蛍光フィルタ14は試料Sの蛍光波長成分のみを透過させる。また、戻り光Rの光路には後側リレーレンズ15が配置されている。後側リレーレンズ15により平行光の戻り光Rはカメラ16の撮像素子16Cに焦点を結ぶ。
制御部17はカメラ16に接続されたコンピュータであり、カメラ16から出力される電気信号に基づいて所定の演算処理を行う。これにより、試料Sの画像が生成される。生成された画像はモニタ18に表示される。制御部17は光源2とモータ8と相対移動機構11とカメラ16とを制御している。
次に動作について説明する。制御部17は光源2から試料Sを励起させる波長を持つレーザ光Lを発振させる。このレーザ光Lは励起光となる。レーザ光Lはファイバ3に集光されており、ファイバ3の他端から広がりをもって発せられる。そして、レーザ光Lはコリメートレンズ4により平行光に変換される。平行光となったレーザ光Lはマイクロレンズディスク5の各マイクロレンズ5Mに照射される。
図2に示すように、マイクロレンズディスク5の個々のマイクロレンズ5Mにより集光されたレーザ光Lはダイクロイックミラー9を透過する。これは、ダイクロイックミラー9がレーザ光Lを透過する光学特性を有しているためである。そして、レーザ光Lはマイクロレンズ5Mに対応するピンホール6Pで焦点を結ぶ。
ピンホール6Pを通過したレーザ光Lは撮影レンズ10によって、ピンホール6Pの位置に対応する傾きを有する平行光に変換される。この平行光となったレーザ光Lは対物レンズ12に入射して、その傾きに応じて焦点面の対応する位置に焦点Fを結像する。従って、試料Sに入射されるレーザ光Lはその傾きに応じた焦点Fを結ぶ。図1では光軸中心の光線を実線で示し、光軸からずれた光線を破線で示している。
試料Sにはレーザ光Lにより励起される蛍光色素や蛍光タンパク等が導入されている。よって、レーザ光Lが試料Sで焦点Fを結ぶことにより、蛍光を発生する。この蛍光が戻り光Rとなる。戻り光Rは対物レンズ12、撮影レンズ10、ピンホール6Pのようにレーザ光Lと同じ光路を通って、ダイクロイックミラー9に入射する。
ダイクロイックミラー9は試料Sの蛍光の波長の光を反射する特性を有している。よって、戻り光Rは反射する。そして、この戻り光Rは前側リレーレンズ13に入射する。ピンホール6Pを通過した戻り光Rの像は前側リレーレンズ13、後側リレーレンズ15の作用でカメラ16の撮像素子16Cに等倍で結像する。このとき、戻り光Rは蛍光フィルタ14の作用により、蛍光成分のみが選択的に透過されており、蛍光成分以外は除去されている。
このときに、制御部17はモータ8を回転させるように制御する。これにより、走査光学系であるマイクロレンズディスク5とピンホールディスク6とが一体的に回転する。図2に示すように、ピンホール6Pを通過する光が試料Sの対応する焦点面で走査され、個々の戻り光Rは再びピンホール6Pを通過する。そして、ダイクロイックミラー9で反射してカメラ16の撮像素子16Cを走査される。
これにより、試料Sの焦点面の情報がカメラ16に投影されて試料Sの観察が可能になる。また、このときに焦点面以外の光はピンホール6Pを殆ど通過しないためカメラ16に到達しない。従って、カメラ16で取得する画像は試料Sの焦点の範囲内の光のみの画像となり、つまり共焦点画像となる。換言すれば、顕微鏡装置1は共焦点顕微鏡となる。
そして、モータ8がマイクロレンズディスク5およびピンホールディスク6を回転させることで、レーザ光Lを試料Sに高速に走査させることができる。これにより、試料Sの断層を高速に走査させることができ、所定の断層の画像を高速に生成することができる。
ここで、制御部17は相対移動機構11を制御して、撮影レンズ10をレーザ光Lの光軸方向に直交する方向に相対的に移動させる。これにより、ピンホールディスク6(走査光学系)に形成される戻り光R(蛍光)の像をカメラ(検出部)16に対して相対的に移動させている。
相対移動機構11が撮影レンズ10を移動させる移動ピッチsは、戻り光Rの波長をλ、対物レンズ12の開口数をNAとしたときに、「s≦(1/2)×0.61×(λ/NA)」となるようにする。これは、光学分解能の限界値をσとしたときに「σ=0.61×(λ/NA)」であり、光学分解能の限界値の情報を得るためのサンプリングピッチsが「s≦(1/2)×σ」となるためである。
ここで、対物レンズ12の倍率が20倍、開口数NAが0.75、戻り光Rの波長λが550nmであるとする。この場合、光学分解能の限界値σはσ=0.45μmとなる。ただし、対物レンズ12の倍率が20倍になっているため、限界値σはσ=9(=0.45×20)μmにカメラ16の撮像素子16Cに拡大投影される。つまり、光学分解能の限界値σはσ=9μmとなる。
一方、図3は、試料Sにおける焦点Fが走査される走査ピッチP1を示している。この図に示すように、破線方向(X方向)には焦点Fが連続しているため、極めて高い分解能で走査を行うことができる。ただし、この方向と直交する方向のピッチ(走査ピッチP1)には限界がある。ここでは、この走査ピッチP1が7μmであるとする。また、カメラ16の撮像素子16Cの画素サイズも7μmであるとする。
光学分解能の限界値σはσ=9μmであり、この限界値σにおけるサンプリングピッチsは「s≦(1/2)×σ=4.5μm」である。従って、走査ピッチP1も画素サイズも7μmであり、サンプリングピッチs(=4.5μm)には達していないため、光学分解能の限界値の情報が得られていないことになる。これにより、高い分解能の画像が得られないことになる。
そこで、相対移動機構11を用いて撮影レンズ10を微小移動させる。撮影レンズ10の移動量はサンプリングピッチsの移動量であり、つまり「s≦(1/2)×0.61×(λ/NA)」である。前記の例では、「s≦4.5μm」を充足すればよいが、ここでは、この範囲のうち撮像素子16Cの画素サイズの半分とする。つまり、「s=3.5μm」とする。
相対移動機構11は撮影レンズ10を戻り光Rの光軸に直交する方向に移動させる。戻り光Rの光軸に直交する方向は平面であり、この平面には相互に直交する2方向(XY方向)がある。走査ピッチP1と画素サイズとの両者がサンプリングピッチsに達していない場合には、相対移動機構11は撮影レンズ10をXY方向の2方向に移動させる。一方、何れ一方がサンプリングピッチsに達していない場合には、相対移動機構11は撮影レンズ10をXY方向の何れか1方向に移動させる。
ここでは、走査ピッチP1も画素サイズもサンプリングピッチsに達していないため、相対移動機構11は撮影レンズ10をXY方向の2方向に移動させる。図4はピンホールディスク6と撮影レンズ10との関係を示している。同図において、実線は撮影レンズ10をX方向に移動する前の状態を示しており、破線はX方向に移動した後の状態を示している。
移動前において、撮影レンズ10の焦点はピンホールディスク6の点21にある。この点21にピンホール6Pが位置した場合、焦点から発せられたレーザ光Lは光軸に平行となり対物レンズ12に集光される。また、戻り光Rも同様の光路を通る。このときに、相対移動機構11は、撮影レンズ10をX方向にサンプリングピッチs(つまり、3.5μm:図4ではX1)だけ移動させる。
撮影レンズ10をX方向に移動させることにより、撮影レンズ10の焦点は点22に変化する。点22にピンホール6Pが位置した場合、この焦点から発せられたレーザ光Lは光軸に平行となり対物レンズ12に集光される。また、戻り光Rも同様の光路を通る。これらの撮影レンズ10を通過したレーザ光Lはどちらも光軸に平行な光であるため、対物レンズ12を通過後はどちらも同じ点に集光される。
つまり、撮影レンズ10をX方向にサンプリングピッチsの分だけ移動させることにより、点21で観察されていた情報は点22に移動する。同様に、ピンホールディスク6の他の点もそれぞれサンプリングピッチsの分だけX方向に移動するため、撮影レンズ10を移動することにより、ピンホールディスク6に投影される像もX方向に移動する。
この像は前側リレーレンズ13、後側リレーレンズ15の作用でカメラ16の撮像素子16Cに等倍に結像される。よって、撮影レンズ10を移動することによりピンホールディスク6に形成される像がX方向に移動されるが、この像の移動は撮像素子16Cにおいても移動する。ここで、撮像素子16Cに対して像がX方向に移動するということは、撮像素子16Cを像に対して相対的に−X方向に移動したことを意味する。すなわち、撮像素子16Cで観察される視野は移動前の視野よりも−X方向にサンプリングピッチsだけ移動した視野を撮影する。
図4では1方向(X方向)だけの移動になっているが、前述したように、撮影レンズ10はXYの2方向に移動するため、撮像素子16Cにおいて戻り光Rの像はXYの2方向に移動される。
ここで、撮像素子16Cについて説明する。図5(a)は撮像素子16Cのうち4つの画素A1、B1、C1、D1を示している。これらの画素サイズは7μmであり、光学分解能の限界値を得るためのサンプリングピッチs(=4.5μm)には達していない。まず、この状態で1枚の画像化を行う。
次に、制御部17が相対移動機構11を制御して、撮影レンズ10を戻り光Rの光軸(Z方向)に直交する方向(XY方向)の何れかにサンプリングピッチs以下の分だけ移動させる。前述したように、画素サイズの半分(=3.5μm)だけ移動させる。ここでは、まず−Y方向に撮影レンズを3.5μm移動させる。これによって撮影される視野はY方向に3.5μm移動される。
図5(b)の破線は移動前、実線は移動後の画像を示している。つまり、Y方向に3.5μm分だけずれた画像が取得される。次に、図5(b)の状態から、相対移動機構11は、撮影レンズ10を−X方向(Y方向と直交)に3.5μm移動させる。これにより、図5(c)に示すように、最初の状態(図中の破線の状態)からX方向に3.5μm、Y方向に3.5μmずれた画像が取得される。そして、相対移動機構11は、図5(c)の状態から、撮影レンズ10をY方向に3.5μm移動させる。これにより、図5(d)に示すように、最初の状態(図中の破線の状態)からX方向に3.5μmずれた画像が取得される。
制御部17は、相対移動機構11を制御して、XY方向にそれぞれ3.5μmずつずらしたときの画像を取得し、合計4枚の画像を取得する。制御部17は取得した4枚の画像に基づいて、画素情報の再配置を行う。これにより、図6のように、擬似的に16画素により構成された画素情報を得る。
ただし、各画素サイズはもともと粗くなっており、例えばC1の画素情報には周辺の画素情報(A3、B4、B3、C2、C3、C4、D3、D2)の情報も含まれている。制御部17は所定の演算を行うコンピュータであり、差分処理や微分処理等の画像処理を行うことで、擬似的に観察画像の解像度を向上させる。これらの処理を全画素について行うことで、高解像度の画像を生成する。
以上説明したように、相対移動機構11が撮影レンズ10を移動させている。相対移動機構11はピンホールディスク6に形成される戻り光Rの像を撮像素子16Cに対して相対移動させており、これにより対物レンズ12を有する顕微鏡光学系とカメラ16とピンホールディスク6を有する走査光学系との3者を有して構成する顕微鏡装置において、光学分解能の限界値に達する高い分解能の画像取得を行うことができる。
以上において、図5(a)〜(d)に示すように、1つの画素を4分割するように撮影レンズ10を移動させている。つまり、X方向およびY方向にそれぞれ2分割するように撮影レンズ10を移動するようにしているが、画素の分割数は任意に設定してもよい。例えば、3×3の9つに設定して、9回の画像取得を行うようにしてもよい。
また、相対移動機構11が撮影レンズ10を移動させることにより、ピンホールディスク6に形成される戻り光Rの像を撮像素子16Cに対して相対移動させているが、カメラ16自身を移動させるようにしてもよい。ただし、一般に生物の蛍光観察に用いる高感度撮影カメラは冷却機構の搭載等で重量が大きいため、カメラ16を移動させるより、本実施形態のように撮影レンズ10を移動させる方が望ましい。
また、平行平板ガラスを用いて、傾きを前後左右に変化させることで、結像画像の位置を前後左右にずらすようにしてもよい。ただし、平行平板ガラスを用いると、傾きを距離に変化させるため、その対応関係を正確に維持することが難しい。また、傾きを距離に変換させるための演算を行うのが難しい。このため、単に撮影レンズ10をXY方向に移動させる本実施形態の方が、撮影レンズ10の移動距離がそのままカメラ16における像の移動距離になるため、正確且つ簡単になる。
また、制御部17は高解像度モードと高速モードとを有するようにしてもよい。高解像度モードは、前述したように相対移動機構11が撮影レンズ10を移動して、そのときの画像を取得する。そして、制御部17が画像情報の再配置を行うことで、高分解能の画像を得ている。
この高解像度モードのときには、相対移動機構11が撮影レンズ10の移動を行い、制御部17が画像情報の再配置の演算処理を行うために、所定の時間を要する。つまり、高い分解能の画像を得るために、処理は遅延化する。
例えば、記録用のために高分解能の画像を得る場合には制御部17に高分解能モードを設定する。これにより、相対移動機構11を制御して、高分解能の画像を得る。一方、それほど高分解能の画像を得る必要がない場合、例えば通常観察を行うような場合には、制御部17に高速モードを設定する。
これにより、制御部17は相対移動機構11を動作させず、画像情報の再配置も行わない。従って、高い分解能の画像を得ることはできないものの、処理の高速化を実現できる。よって、制御部17に高解像度モードと高速モードとの何れかを設定可能にしていることで、目的に応じて適宜のモードを使用することができる。
次に、変形例1について説明する。図7は変形例1の顕微鏡装置1を示している。この顕微鏡装置1では、相対移動機構11は撮影レンズ10ではなく、後側リレーレンズ15を戻り光Rの光路に対して直交する方向に移動させている。その他の構成は前述した実施形態と同じである。
ただし、対物レンズ12の倍率は40倍、NAは0.95、戻り光Rの波長(つまり、蛍光波長)λは550nmであるとする。これにより、光学分解能の限界値σは「σ=0.35μm」となる。対物レンズ12の倍率は40倍であるため、撮像素子16Cに拡大投影されて、限界値σは「σ=14μm=0.35×40」となる。このときの、光学分解能の限界値を得るためのサンプリングピッチsは、前述した式を用いて「s≦(1/2)×σ=7μm」となる。
ここで、ピンホールディスク6の走査ピッチP1がP1=7μmであるものとし、撮像素子16Cの画素サイズが14μmであるとする。従って、走査ピッチP1はサンプリングピッチsの式を満たしているため、光学分解能の限界値の情報を得ることができる。一方、画素サイズは光学分解能の限界値の情報を取得することができない。
そこで、相対移動機構11はピンホールディスク6に形成される戻り光Rの像を撮像素子16Cに対して1方向に移動させる。実施形態で説明したように撮影レンズ10を移動させてもよいが、本変形例1では後側リレーレンズ16を移動させている。これによっても、ピンホールディスク6に形成される戻り光Rの像を撮像素子16Cに対して相対的に移動させることができる。
本変形例1では、画素サイズが比較的大きな14μmの撮像素子16Cを使用している。一般に画素サイズが大きな撮像素子16Cを有するカメラ16は高感度であるため、高速な現象を捕捉するのに好適である。また、励起光の光量を減少させることができるため、生細胞に与える影響を減らすことができる等の多くのメリットを有する。
従って、画素サイズが大きい場合には、本変形例1のように、後側リレーレンズ16(勿論、撮影レンズ10でもよい)を戻り光Rの光軸に直交する方向に移動させることにより、画素ずらしを行う。これにより、顕微鏡光学系とカメラと走査光学系との3者を有する顕微鏡装置で高い分解能を有する画像を生成することができる。
また、リレーレンズの倍率を等倍から変更してピンホール6Pでの画像を縮小投影した場合等に画素サイズが相対的に大きくことが考えられるが、そのような場合にも本変形例を適用することができる。
なお、本変形例1では後側リレーレンズ15に相対移動機構11を取り付けて移動させているが、前側リレーレンズ13に相対移動機構11を取り付けて戻り光Rの光路に対して直交する方向に移動させるようにしてもよい。
次に、変形例2について説明する。本変形例2では、実施形態と同じく、対物レンズ12の倍率が20倍、開口数NAが0.75、戻り光Rの波長λが550nmであるとする。よって、光学分解能の限界値σはσ=0.45μmとなり、対物レンズ12の倍率が20倍であるため、限界値σはσ=9μmとなる。このため、光学分解能の限界値を得るためのサンプリングピッチsは「s≦4.5μm」となる。
一方、本変形例2では、ピンホールディスク6の走査ピッチP1はP1=7μm、撮像素子16Cの画素サイズは3.5μmであるとする。従って、画素サイズはサンプリングピッチsに達しているが、走査ピッチP1はサンプリングピッチsに達していない。また、ピンホールディスク6は連続的に回転しているため、図3のX方向には高い分解能で走査を行っている。
図8(a)〜(c)は16画素の撮像素子16Cを示している。なお、ピンホールディスク6の走査ピッチは粗いため、例えばA行とB行とには殆ど同じ画像情報が伝達されている。また、同様にC行とD行とには殆ど同じ画像情報が伝達されている。
まず、図8(a)の状態の画像を取得する。次に、相対移動機構11は撮影レンズ10を光軸方向に直交する−Y方向にサンプリングピッチsの分(3.5μmとする)だけ移動させることにより、図8(b)の状態の画像を取得する。
図8(b)の状態の画像は、撮像素子16CをY方向に3.5μmだけ移動させた画像と等価である。これをE行、F行、G行、H行で示す。なお、ピンホールディスク6の走査ピッチは粗いため、例えばE行とF行とには殆ど同じ画像情報が伝達されている。また、同様にG行とH行とには殆ど同じ画像情報が伝達されている。
そして、制御部17は、図8(a)および(b)の画像に基づいて、差分や微分といった演算を行い、画像の再配置を行う。これにより、図8(c)のような高分解能の画像が得られる。この処理を全ての画素について行うことで、試料Sの高分解能の画像を得ることができる。
従って、本変形例2のように、画素サイズはサンプリングピッチsに達しているものの、走査ピッチP1がサンプリングピッチsに達していない場合には、撮影レンズ10を1方向に移動させることで、画素ずらしを行い、高解像度の画像を得ることができる。撮影レンズ10の移動は、ピンホールディスク6に形成される戻り光Rの像をカメラ16に対して相対移動させているため、顕微鏡光学系とカメラと走査光学系との3者を有する顕微鏡装置で高い分解能の画像を得ることができるようになる。
1 顕微鏡装置
2 光源
5 マイクロレンズディスク
5M マイクロレンズ
6 ピンホールディスク
6P ピンホール
7 連結ドラム
8 モータ
10 撮影レンズ
11 相対移動機構
12 対物レンズ
13 前側リレーレンズ
15 後側リレーレンズ
16 カメラ
16C 撮像素子
17 制御部
F 焦点
L レーザ光
R 戻り光
S 試料

Claims (6)

  1. 試料に照射する励起光を発振する光源と、
    前記励起光の一部を通過させる複数の開口部を有し、前記励起光を前記試料に走査させる走査光学系と、
    前記励起光のうち前記開口部を通過した光に前記試料で焦点を結ばせる対物レンズを有し、前記焦点から発生する蛍光を前記開口部に導く顕微鏡光学系と、
    前記試料から発生する蛍光を検出する検出部と、
    前記走査光学系を走査することによって前記走査光学系に形成される前記蛍光の像を、前記検出部に対して相対移動させる相対移動機構と、
    を備えたことを特徴とする顕微鏡装置。
  2. 前記走査光学系は、前記開口部として複数のピンホールを有するピンホールディスクと、このピンホールを回転させる回転部とを有し、この回転部が前記ピンホールディスクを回転することにより前記焦点を前記試料で走査し、前記ピンホールディスク面に前記試料の蛍光の像を形成し、
    前記ピンホール上の蛍光像を伝達するリレー光学系によってリレーされた前記蛍光の像を検出する前記検出部としての撮像素子を備えていること
    を特徴とする請求項1記載の顕微鏡装置。
  3. 前記相対移動機構は、前記対物レンズと前記ピンホールディスクとの間に配置された撮影レンズを光軸方向に直交する方向に移動することにより、前記ピンホールディスクに形成される前記蛍光の像を前記撮像素子に対して相対移動させること
    を特徴とする請求項2記載の顕微鏡装置。
  4. 前記蛍光の波長をλ、前記対物レンズの開口数をNA、前記撮影レンズの移動ピッチをsとしたときに、
    s≦(1/2)×0.61×(λ/NA)
    となるように前記相対移動機構が前記撮影レンズを移動させること
    を特徴とする請求項3記載の顕微鏡装置。
  5. 前記相対移動機構が動作する高解像度モードと前記相対移動機構が動作しない高速モードとを切り替える制御部を備えたこと
    を特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の顕微鏡装置。
  6. 前記相対移動機構は、前記リレー光学系を光軸方向に直交する方向に移動することにより、前記ピンホールディスクに形成される像を前記撮像素子に対して相対移動させること
    を特徴とする請求項2記載の顕微鏡装置。
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