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JP2012525847A - Fgf21変異体およびその使用 - Google Patents

Fgf21変異体およびその使用 Download PDF

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JP2012525847A JP2012509918A JP2012509918A JP2012525847A JP 2012525847 A JP2012525847 A JP 2012525847A JP 2012509918 A JP2012509918 A JP 2012509918A JP 2012509918 A JP2012509918 A JP 2012509918A JP 2012525847 A JP2012525847 A JP 2012525847A
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seq
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gly
amino acid
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ベロウスキ,エドワード・ジヨン
エリソン,ムリール・マリー
ハンバーガー,アグネス・エバ
ヘクト,ランデイー・アイラ
リー,ユエ−シヨン
マイケルズ,マーク・レオ
スン,ジヨンフン
シユイ,ジーン
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アムジエン・インコーポレーテツド
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Abstract

本発明は、FGF21変異体ポリペプチドをコードする核酸分子、FGF21変異体ポリペプチド、FGF21変異体ポリペプチドを含む医薬品組成物、およびこのような核酸、ポリペプチド、または医薬品組成物を使った代謝障害の治療方法を提供する。

Description

本出願は、2009年12月9日出願の米国特許仮出願第 61/285、118 号、2009年12月9日出願の米国特許仮出願第61/285、133号および2009年5月5日出願の米国特許仮出願第 61/175、736号の利益を主張し、その全ては参照によって本明細書に組み込まれる。
本発明は、FGF21変異体ポリペプチドをコードする核酸分子、FGF21変異体ポリペプチド、FGF21変異体ポリペプチドを含む医薬品組成物、およびこのような核酸、ポリペプチド、または医薬品組成物を使って代謝傷害を治療する方法に関する。
FGF21は、FGF19、FGF21、およびFGF23を含む繊維芽細胞増殖因子(FGF)のサブファミリーに属する分泌ポリペプチドである(Itoh et al.、2004、Trend Genet.20:563−69)。FGF21は、ヘパリン非依存性の点ならびにグルコース、脂質、およびエネルギー代謝の調節においてホルモンとして機能するという点で非定型FGFである。
FGF21は、肝臓分泌因子として、肝臓cDNAライブラリーから単離された。これは、肝臓および膵臓で高度に発現し、肝臓で主に発現する唯一のFGFファミリーメンバーである。FGF21を高発現しているトランスジェニックマウスは、低成長速度、低血漿グルコースレベルおよび低トリグリセリドレベル、および加齢関連2型糖尿病、膵島過形成、および肥満症を有さないという代謝表現型を示す。げっ歯類および霊長類モデルでの組換え型FGF21タンパク質の薬理学的投与は、血漿グルコースレベルの正常化、トリグリセリドおよびコレステロールレベルの低下、ならびにグルコース耐性およびインスリン感度の改善がもたらされる。さらに、FGF21は、エネルギー消費、身体活動、および代謝速度を高めて、体重およ体脂肪を減らす。実験的研究により、ヒトの2型糖尿病、肥満症、脂質異常症、および他の代謝状態または傷害の治療を目的としたFGF21の薬理学的投与に対して裏付けが得られている。
ヒトFGF21はインビボでの半減期が短い。マウス中では、ヒトFGF21の半減期は1〜2時間で、カニクイザルの場合は、その半減期は2.5〜3時間である。2型糖尿病の治療薬として使用するFGF21タンパク質の開発に際しては、半減期の延長が望まれるであろう。長い半減期を有するFGF21タンパク質であれば、そのタンパク質を投与される患者への投薬頻度を減らせることになる。このようなタンパク質が本明細書に記載される。
Itoh et al.、2004、Trend Genet.20:563−69
単離ポリペプチドが開示される。一実施形態では、ポリペプチドは、配列番号4または8を含み、単離ポリペプチドは、(a)(i)位置98のロイシン残基;(ii)位置171のプロリン残基;(iii)位置180のアラニン残基のうちの1つまたは複数の任意のアミノ酸に対する置換;および(b)本明細書中で与えられる表2〜10から選択される1つまたは複数の置換、をさらに含む。
別の実施形態では、ポリペプチドは、1つまたは複数の(b)の置換を含み、また、(a)表2のシステイン変異;(b)表3の操作ジスルフィド結合;(c)表4の安定性強化変異;(d)表5のタンパク質分解耐性変異;(e)表6の凝集変異;(f)表7のC末端分解変異;(g)表8のグリコシル化変異;(h)表9から選択されるO−グリコシル化耐性変異;(i)表10から選択される変異;および(j)(a)〜(i)の組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含む。
さらなる実施形態では、(a)のシステイン変異は、18〜31、33、35〜50、54、56〜62、64〜73、75〜104、106〜135、137〜140、152〜154、163および167、からなる群 より選択される位置のシステインを含む。
またさらなる実施形態では、操作ジスルフィド結合は、19-138, 20-139, 21-33, 22-137, 22-139, 23-25, 23-28, 24-135, 25-122, 26-122, 27-123, 28-43, 28-124, 31-43, 33-21, 35-84, 41-82, 42-124, 42-126, 43-124, 50-69, 54-66, 58-62, 67-72, 67-135, 72-84, 73-93, 75-85, 75-92, 76-109, 77-79, 77-81, 80-129, 82-119, 94-110, 95-107, 100-102, 102-104, 115-117, 117-129, 117-130, 118-132, 118-134, 121-127, 123-125, 127-132, および 152-163、からなる群 より選択される1つまたは複数の位置に一対のシステイン残基を含む。
他の実施形態では、安定性強化変異は、42、54、77、81、86、88、122、125、126、130、131、139、145、146、152、154、156、161、163、170、および172からなる群より選択される1つまたは複数の位置にD、E、R、K、H、S、T、NまたはQを含む。
他の実施形態では、蛋白質分解耐性変異は、(a)位置19のQ、IまたはK;(b)位置20のH、LまたはF;(c)位置21のI、F、YまたはV;(d)位置22のI、FまたはV、(e)位置150のAまたはR;(f)位置151のAまたはV;(g)位置152のH、L、FまたはV;(h)位置170のA、D、N、C、Q、E、P、またはS;(i)位置171のA、R、N、D、C、E、Q、G、H、K、S、T、WまたはY;(j)位置172のLまたはT;および(k)位置173のRまたはE、からなる群より選択される。
他の実施形態では、凝集低減変異は、(a)位置26のE、KまたはR;(b)位置45のEK、R、Q、またはT;(c)位置52のT;(d)位置58のC、EまたはS;(e)位置60のA、E、KまたはR;(f)位置78のA、C、HまたはR;(g)位置86のCまたはT;(h)位置88のA、E、K、RまたはS;(i)位置98のC、E、K、Q、またはR;(j)位置99のC、D、E、またはR;(k)位置111のKまたはT;(l)位置129のD、E、H、K、N、RまたはQ;および(m)位置134のE、H、KまたはY、からなる群より選択される。
他の実施形態では、C末端分解変異は、(a)位置180のG、E、PまたはS;(b)位置181のG、P、K、T、A、LまたはP;および(c)位置179のAP、G、SまたはA、からなる群より選択される。他の実施形態では、O−グリコシル化耐性変異は、S167A、S167E、S167D、S167N、S167Q、S167G、S167V、S167H、S167KおよびS167Y、からなる群より選択される。
さらに他の実施形態では、ポリペプチドは、(a)位置98のL98R、L98C、L98E、L98Q、L98KおよびL98Tからなる群より選択される変異;(b)位置171のP171A、P171R、P171N、P171D、P171C、P171E、P171Q、P171G、P171H、P171K、P171S、P171T、P171WおよびP171Yからなる群より選択される変異;(c)位置180のA180G、A180E、A180PおよびA180Sからなる群より選択される変異を含む。
特定の実施形態では、ポリペプチドは、位置98のL98Rの変異、位置171のP171Gの変異、および位置180のA180Eの変異を含む。
別の実施形態では、ポリペプチドは、(i)8以下の残基のN末端切断;(ii)12以下の残基のC末端切断;(iii)8以下の残基のN末端切断および12以下の残基のC末端切断、をさらに含む。切断型ポリペプチドの種々の実施形態では、ポリペプチドは、哺乳動物の血糖値を下げることができる。
他の実施形態では、単離ポリペプチドは、配列番号4または8のアミノ酸配列と少なくとも85パーセント同一のアミノ酸配列を含むが、そのポリペプチドがL98R、P171GおよびA180E変異を含む場合は、L98R、P171GおよびA180E変異はそれ以上に改変されない。
他の実施形態では、単離ポリペプチドは、ポリペプチドのC末端に融合した1〜10アミノ酸残基をさらに含み、これはグリシン、プロリンおよびその組み合わせからなる群より選択することができる。
さらに他の実施形態では、単離ポリペプチドは、PEGのような1つまたは複数のポリマーと共有結合している。
またさらなる実施形態では、異種のアミノ酸配列に融合した融合ポリペプチドが開示される。異種のアミノ酸配列は、IgG定常ドメインまたはその断片であってもよく、また、例えば、配列番号171または配列番号11のアミノ酸配列を含んでもよい。
他の実施形態では、ポリペプチドは、リンカー、例えば、ポリアラニン、 (Gly)4 (配列番号29)、(Gly)5 (配列番号30)、(Gly)5-Ser-(Gly)3-Ser-(Gly)4-Ser (配列番号28)、 (Gly)4-Ser-(Gly)4-Ser-(Gly)4-Ser(配列番号31)、 (Gly)3-Lys-(Gly)4 (配列番号32)、 (Gly)3-Asn-Gly-Ser-(Gly)2(配列番号33)、 (Gly)3-Cys-(Gly)4 (配列番号34)、Gly-Ser-(Gly4Ser)4 (配列番号166)、 (G4S)2 (配列番号168)、 (Gly4Ser)4 (配列番号167)、Asp-Ala-Ala-Ala-Lys-Glu-Ala-Ala-Ala-Lys-Asp-Ala-Ala-Ala-Arg-Glu-Ala-Ala-Ala-Arg-Asp-Ala-Ala-Ala-Lys (配列番号169)、Asn-Val-Asp-His-Lys-Pro-Ser-Asn-Thr-Lys-Val-Asp-Lys-Arg(配列番号170)、および Gly-Pro-Asn-Gly-Gly (配列番号35)を介して異種のアミノ酸配列に融合する。
2つ以上の融合ポリペプチドを含むマルチマーもまた提供される。
本明細書に開示されている単離ポリペプチドおよび薬学的に許容可能な処方薬を含む医薬品組成物もまた提供される。医薬品組成物を、それを必要とするヒトの患者に投与することを含む代謝傷害の治療方法もまた開示される。特定の例では、代謝傷害は糖尿病または肥満症である。
さらに、ポリペプチドをコードする核酸が開示され、また、核酸を含むベクターおよびそのベクターおよび/または核酸を含む宿主細胞が提供される。
本発明の具体的実施形態は、下記の特定の実施形態および請求項のさらに詳細な説明から明らかになろう。
FGF21切断変異体7−181および8−181(図1A)およびFGF21切断変異体1−172、1−171、1−169、および1−164(図1B)に対し行ったELKルシフェラーゼ活性アッセイの結果で、各パネルは、ヒトFGF21対照に対し得た結果を示している。 FGF21切断変異体7−181および8−181(図1A)およびFGF21切断変異体1−172、1−171、1−169、および1−164(図1B)に対し行ったELKルシフェラーゼ活性アッセイの結果で、各パネルは、ヒトFGF21対照に対し得た結果を示している。 ヒトFGF21対照およびFGF21切断変異体3−181、4−181、5−181、7−181、8−181、1−180、1−178、1−177、1−176、1−175、1−174、1−173、1−172、9−181、および1−149に対して行ったELKルシフェラーゼ活性アッセイの結果を示す。 PBS(中実バー)、ヒトFGF21対照(中空バー)、またはFGF21切断変異体8−181(灰色バー)および9−181(点刻バー)を注入したマウスで測定した血糖値を示す。 PBS(中実丸)、Fc−FGF21対照(野生型)(中空丸)、またはアミノ酸残基5−181(中実三角形)または7−181(中空三角形)を含む切断型Fc−FGF21融合タンパク質を注入したマウスで測定した血糖値の変化率(%)を示す。 PBS(中実丸)、FGF21−Fc対照(野生型)(中空丸)、残基1−175(中実三角形)を含む切断型FGF21−Fc融合タンパク質、またはアミノ酸残基1−171(中空三角形)を含む切断型Fc−FGF21タンパク質を注入したマウスで測定した血糖値の変化率(%)を示す。 ヒトFc−(G5)−FGF21(配列番号107)対照試料(図6A)ならびに注入後6時間(試料D6;図6B)、24時間(試料D24;図6C)、および48時間(試料D48;図6D)時点でマウスから採取したFc−(G5)−FGF21試料の液体クロマトグラフィー質量分析(LC−MS)結果を示す。 ヒトFc−(G5)−FGF21(配列番号107)対照試料(図6A)ならびに注入後6時間(試料D6;図6B)、24時間(試料D24;図6C)、および48時間(試料D48;図6D)時点でマウスから採取したFc−(G5)−FGF21試料の液体クロマトグラフィー質量分析(LC−MS)結果を示す。 ヒトFc−(G5)−FGF21(配列番号107)対照試料(図6A)ならびに注入後6時間(試料D6;図6B)、24時間(試料D24;図6C)、および48時間(試料D48;図6D)時点でマウスから採取したFc−(G5)−FGF21試料の液体クロマトグラフィー質量分析(LC−MS)結果を示す。 ヒトFc−(G5)−FGF21(配列番号107)対照試料(図6A)ならびに注入後6時間(試料D6;図6B)、24時間(試料D24;図6C)、および48時間(試料D48;図6D)時点でマウスから採取したFc−(G5)−FGF21試料の液体クロマトグラフィー質量分析(LC−MS)結果を示す。 哺乳類動物由来ヒトFGF21−(G3)−Fc(配列番号105)対照試料(図7A)ならびに注入後6時間(試料E6;図7B)、24時間(試料E24;図7C)、および48時間(試料E48;図7D)時点でマウスから採取したFGF21−(G3)−Fcの試料のLC−MS分析結果を示す。 哺乳類動物由来ヒトFGF21−(G3)−Fc(配列番号105)対照試料(図7A)ならびに注入後6時間(試料E6;図7B)、24時間(試料E24;図7C)、および48時間(試料E48;図7D)時点でマウスから採取したFGF21−(G3)−Fcの試料のLC−MS分析結果を示す。 哺乳類動物由来ヒトFGF21−(G3)−Fc(配列番号105)対照試料(図7A)ならびに注入後6時間(試料E6;図7B)、24時間(試料E24;図7C)、および48時間(試料E48;図7D)時点でマウスから採取したFGF21−(G3)−Fcの試料のLC−MS分析結果を示す。 哺乳類動物由来ヒトFGF21−(G3)−Fc(配列番号105)対照試料(図7A)ならびに注入後6時間(試料E6;図7B)、24時間(試料E24;図7C)、および48時間(試料E48;図7D)時点でマウスから採取したFGF21−(G3)−Fcの試料のLC−MS分析結果を示す。 Fc−(L15)−FGF21(配列番号49)対照試料(図8A)ならびに注入後6時間(図8B)、24時間(図8C)、および48時間(図8D)の時点でマウスから採取したFc−(L15)−FGF21の試料のLC−MS分析結果を示す。 Fc−(L15)−FGF21(配列番号49)対照試料(図8A)ならびに注入後6時間(図8B)、24時間(図8C)、および48時間(図8D)の時点でマウスから採取したFc−(L15)−FGF21の試料のLC−MS分析結果を示す。 Fc−(L15)−FGF21(配列番号49)対照試料(図8A)ならびに注入後6時間(図8B)、24時間(図8C)、および48時間(図8D)の時点でマウスから採取したFc−(L15)−FGF21の試料のLC−MS分析結果を示す。 Fc−(L15)−FGF21(配列番号49)対照試料(図8A)ならびに注入後6時間(図8B)、24時間(図8C)、および48時間(図8D)の時点でマウスから採取したFc−(L15)−FGF21の試料のLC−MS分析結果を示す。 FGF21−(L15)−Fc(配列番号41)対照試料(図9A)ならびに注入後6時間(図9B)、24時間(図9C)、および48時間(図9D)時点でマウスから採取したFGF21−(L15)−Fc試料のLC−MS分析結果を示す。 FGF21−(L15)−Fc(配列番号41)対照試料(図9A)ならびに注入後6時間(図9B)、24時間(図9C)、および48時間(図9D)時点でマウスから採取したFGF21−(L15)−Fc試料のLC−MS分析結果を示す。 FGF21−(L15)−Fc(配列番号41)対照試料(図9A)ならびに注入後6時間(図9B)、24時間(図9C)、および48時間(図9D)時点でマウスから採取したFGF21−(L15)−Fc試料のLC−MS分析結果を示す。 FGF21−(L15)−Fc(配列番号41)対照試料(図9A)ならびに注入後6時間(図9B)、24時間(図9C)、および48時間(図9D)時点でマウスから採取したFGF21−(L15)−Fc試料のLC−MS分析結果を示す。 Fc−(L15)−FGF21(図10A、配列番号49)および、マウスに注入したFGF21−(L15)−Fc(図10B、配列番号41)融合タンパク質のLC−MS分析により特定された開裂部位を示す。 Fc−(L15)−FGF21(図10A、配列番号49)および、マウスに注入したFGF21−(L15)−Fc(図10B、配列番号41)融合タンパク質のLC−MS分析により特定された開裂部位を示す。 PBS(中実バー)、Fc−(L15)−FGF21(配列番号49)(中空バー)、またはFc−(L15)−FGF21変異体であるFc−(L15)−FGF21G170E(配列番号51)(灰色バー)、Fc−(L15)−FGF21P171A(配列番号53)(点刻バー)、Fc−(L15)−FGF21S172L(配列番号55)(中空対角格子ハッチバー)、Fc−(L15)−FGF21(G170E、P171A、S172L)(配列番号59)(中実水平格子ハッチバー)、もしくはFc−(L15)−FGF21G151A(配列番号61)(中空対角格子ハッチバー)を注入したマウスで測定した血糖値を示す。 PBS(中実丸)、Fc−(L15)−FGF21(配列番号49)(中空丸)、もしくはFc−(L15)−FGF21変異体であるFc−(L15)−FGF21G170E(配列番号51)(中実三角形)、Fc−(L15)−FGF21P171A(配列番号53)(中空三角形)、Fc−(L15)−FGF21S172L(配列番号55)(中実ダイア)、Fc−(L15)−FGF21(G170E、P171A、S172L)(配列番号59)(中空ダイア)、またはFc−(L15)−FGF21G151A(配列番号61)(中実四角)を注入したマウスで測定した血糖値の変化率(%)を示す。 PBS(中実バー)、Fc−(L15)−FGF21(配列番号49)(中空バー)、またはFc−(L15)−FGF21変異体であるFc−(L15)−FGF21(P150A、G151A、I152V)(配列番号65)(灰色バー)、Fc−(L15)−FGF21G170E(配列番号51)(中空対角格子ハッチバー)、Fc−(L15)−FGF21(G170E、P171A)(配列番号63)(灰色対角格子ハッチバー)、もしくはFc−(L15)−FGF21(G170E、S172L)(配列番号67)(中空対角格子ハッチバー)を注入したマウスで測定した血糖値を示す。 PBS(中実四角)、Fc−(L15)−FGF21(配列番号49)(中空四角)、およびFc−(L15)−FGF21変異体Fc−(L15)−FGF21(P150A、G151A、I152V)(配列番号65)(中実逆三角形)、Fc−(L15)−FGF21 G170E(配列番号51)(中空逆三角形)、Fc−(L15)−FGF21(G170E、P171A)(配列番号63)(中実丸)、もしくはFc−(L15)−FGF21(G170E、S172L)(配列番号67)(中空丸)を注入したマウスで測定した血糖値の変化率(%)を示す。 PBS(中実バー)またはFc−(L15)−FGF21変異体であるFc−(L15)−FGF21 G170E(配列番号51)(中空バー)、Fc−(L15)−FGF21 G170A(配列番号69)(灰色バー)、Fc−(L15)−FGF21 G170C(配列番号71)(中空格子ハッチバー)、Fc−(L15)−FGF21 G170D(配列番号73)(灰と白バー)、Fc−(L15)−FGF21 G170N(配列番号75)(中実格子ハッチバー)、もしくはFc−(L15)−FGF21 G170S(配列番号77)(中空格子ハッチバー)を注入したマウスで測定した血糖値を示す。 PBS(中実丸)またはFc−(L15)−FGF21変異体であるFc−(L15)−FGF21 G170E(配列番号51)(中空丸)、Fc−(L15)−FGF21 G170A(配列番号69)(中実三角形)、Fc−(L15)−FGF21 G170C(配列番号71)(中空三角形)、Fc−(L15)−FGF21 G170D(配列番号73)(中実ダイア)、Fc−(L15)−FGF21 G170N(配列番号75)(中空ダイア)、もしくはFc−(L15)−FGF21 G170S(配列番号77)(中実逆三角形)を注入したマウスで測定した血糖値の変化率(%)を示す。 PBS(中実バー)またはFc−(L15)−FGF21変異体であるFc−(L15)−FGF21 G170E(配列番号51)(中空バー)、Fc−(L15)−FGF21 P171E(配列番号79)(灰色バー)、Fc−(L15)−FGF21 P171H(配列番号81)(中実格子ハッチバー)、Fc−(L15)−FGF21 P171Q(配列番号83)(中空格子ハッチバー)、Fc−(L15)−FGF21 P171T(配列番号85)(点刻バー)、もしくはFc−(L15)−FGF21 P171Y(配列番号87)(灰色格子ハッチバー)を注入したマウスで測定した血糖値を示す。 PBS(中実丸)またはFc−(L15)−FGF21変異体であるFc−(L15)−FGF21 G170E(配列番号51)(中空丸)、Fc−(L15)−FGF21 P171E(配列番号79)(中実三角形)、Fc−(L15)−FGF21 P171H(配列番号81)(中空三角形)、Fc−(L15)−FGF21 P171Q(配列番号83)(中実ダイア)、Fc−(L15)−FGF21 P171T(配列番号85)(中空ダイア)、もしくはFc−(L15)−FGF21 P171Y(配列番号87)(中実四角)を注入したマウスで測定した血糖値の変化率(%)を示す。 Fc−(L15)−FGF21対照試料(図19A、配列番号49)ならびに注入後6時間(図19B)、24時間(図19C)、および48時間(図19D)の時点でマウスから採取した試料のLC−MS分析結果を示す。 Fc−(L15)−FGF21対照試料(図19A、配列番号49)ならびに注入後6時間(図19B)、24時間(図19C)、および48時間(図19D)の時点でマウスから採取した試料のLC−MS分析結果を示す。 Fc−(L15)−FGF21対照試料(図19A、配列番号49)ならびに注入後6時間(図19B)、24時間(図19C)、および48時間(図19D)の時点でマウスから採取した試料のLC−MS分析結果を示す。 Fc−(L15)−FGF21対照試料(図19A、配列番号49)ならびに注入後6時間(図19B)、24時間(図19C)、および48時間(図19D)の時点でマウスから採取した試料のLC−MS分析結果を示す。 Fc−(L15)−FGF21 G170E対照試料(図20A、配列番号51)ならびに注入後6時間(図20B)、24時間(図20C)、および48時間(図20D)の時点でマウスから採取したFc−(L15)−FGF21 G170E試料のLC−MS分析結果を示す。 Fc−(L15)−FGF21 G170E対照試料(図20A、配列番号51)ならびに注入後6時間(図20B)、24時間(図20C)、および48時間(図20D)の時点でマウスから採取したFc−(L15)−FGF21 G170E試料のLC−MS分析結果を示す。 Fc−(L15)−FGF21 G170E対照試料(図20A、配列番号51)ならびに注入後6時間(図20B)、24時間(図20C)、および48時間(図20D)の時点でマウスから採取したFc−(L15)−FGF21 G170E試料のLC−MS分析結果を示す。 Fc−(L15)−FGF21 G170E対照試料(図20A、配列番号51)ならびに注入後6時間(図20B)、24時間(図20C)、および48時間(図20D)の時点でマウスから採取したFc−(L15)−FGF21 G170E試料のLC−MS分析結果を示す。 Fc−(L15)−FGF21 P171A対照試料(図21A、配列番号53)ならびに注入後6時間(図21B)、24時間(図21C)、および48時間(図21D)の時点でマウスから採取したFc−(L15)−FGF21 P171A試料のLC−MS分析結果を示す。 Fc−(L15)−FGF21 P171A対照試料(図21A、配列番号53)ならびに注入後6時間(図21B)、24時間(図21C)、および48時間(図21D)の時点でマウスから採取したFc−(L15)−FGF21 P171A試料のLC−MS分析結果を示す。 Fc−(L15)−FGF21 P171A対照試料(図21A、配列番号53)ならびに注入後6時間(図21B)、24時間(図21C)、および48時間(図21D)の時点でマウスから採取したFc−(L15)−FGF21 P171A試料のLC−MS分析結果を示す。 Fc−(L15)−FGF21 P171A対照試料(図21A、配列番号53)ならびに注入後6時間(図21B)、24時間(図21C)、および48時間(図21D)の時点でマウスから採取したFc−(L15)−FGF21 P171A試料のLC−MS分析結果を示す。 Fc−(L15)−FGF21 S172L対照試料(図22A、配列番号55)ならびに注入後6時間(図22B)、24時間(図22C)、および48時間(図22D)の時点でマウスから採取したFc−(L15)−FGF21 S172L試料のLC−MS分析結果を示す。 Fc−(L15)−FGF21 S172L対照試料(図22A、配列番号55)ならびに注入後6時間(図22B)、24時間(図22C)、および48時間(図22D)の時点でマウスから採取したFc−(L15)−FGF21 S172L試料のLC−MS分析結果を示す。 Fc−(L15)−FGF21 S172L対照試料(図22A、配列番号55)ならびに注入後6時間(図22B)、24時間(図22C)、および48時間(図22D)の時点でマウスから採取したFc−(L15)−FGF21 S172L試料のLC−MS分析結果を示す。 Fc−(L15)−FGF21 S172L対照試料(図22A、配列番号55)ならびに注入後6時間(図22B)、24時間(図22C)、および48時間(図22D)の時点でマウスから採取したFc−(L15)−FGF21 S172L試料のLC−MS分析結果を示す。 マウスに注入したFc−(L15)−FGF21(図23A、配列番号49)、Fc−(L15)−FGF21 G170E(図23B、配列番号51)、Fc−(L15)−FGF21 P171A(図23C、配列番号53)、およびFc−(L15)−FGF21 S172L(図23D、配列番号55)融合タンパク質のLC−MS分析により特定された開裂部位を示す。 マウスに注入したFc−(L15)−FGF21(図23A、配列番号49)、Fc−(L15)−FGF21 G170E(図23B、配列番号51)、Fc−(L15)−FGF21 P171A(図23C、配列番号53)、およびFc−(L15)−FGF21 S172L(図23D、配列番号55)融合タンパク質のLC−MS分析により特定された開裂部位を示す。 マウスに注入したFc−(L15)−FGF21(図23A、配列番号49)、Fc−(L15)−FGF21 G170E(図23B、配列番号51)、Fc−(L15)−FGF21 P171A(図23C、配列番号53)、およびFc−(L15)−FGF21 S172L(図23D、配列番号55)融合タンパク質のLC−MS分析により特定された開裂部位を示す。 マウスに注入したFc−(L15)−FGF21(図23A、配列番号49)、Fc−(L15)−FGF21 G170E(図23B、配列番号51)、Fc−(L15)−FGF21 P171A(図23C、配列番号53)、およびFc−(L15)−FGF21 S172L(図23D、配列番号55)融合タンパク質のLC−MS分析により特定された開裂部位を示す。 FGF21変異体であるFGF21 L99R(配列番号109)、FGF21 L99D(配列番号111)、およびFGF21 A111T(配列番号113)(図24A);FGF21変異体FGF21 A129D(配列番号115)、FGF21 A129Q(配列番号117)、およびFGF21 A134K(配列番号119)(図24B);ならびにFGF21変異体FGF21 A134Y(配列番号121)、FGF21 A134E(配列番号123)、およびFGF21 A129K(配列番号125)(図24C)を対象に実施したELKルシフェラーゼ活性アッセイの結果であり、各パネルはヒトFGF21対照に対して得られた結果を示す。 FGF21変異体であるFGF21 L99R(配列番号109)、FGF21 L99D(配列番号111)、およびFGF21 A111T(配列番号113)(図24A);FGF21変異体FGF21 A129D(配列番号115)、FGF21 A129Q(配列番号117)、およびFGF21 A134K(配列番号119)(図24B);ならびにFGF21変異体FGF21 A134Y(配列番号121)、FGF21 A134E(配列番号123)、およびFGF21 A129K(配列番号125)(図24C)を対象に実施したELKルシフェラーゼ活性アッセイの結果であり、各パネルはヒトFGF21対照に対して得られた結果を示す。 FGF21変異体であるFGF21 L99R(配列番号109)、FGF21 L99D(配列番号111)、およびFGF21 A111T(配列番号113)(図24A);FGF21変異体FGF21 A129D(配列番号115)、FGF21 A129Q(配列番号117)、およびFGF21 A134K(配列番号119)(図24B);ならびにFGF21変異体FGF21 A134Y(配列番号121)、FGF21 A134E(配列番号123)、およびFGF21 A129K(配列番号125)(図24C)を対象に実施したELKルシフェラーゼ活性アッセイの結果であり、各パネルはヒトFGF21対照に対して得られた結果を示す。 Fc−(L15)−FGF21変異体であるFc−(L15)−FGF21 P171G(配列番号89)、Fc−(L15)−FGF21 P171S(配列番号91)、およびFc−(L15)−FGF21 P171T(配列番号85)(図25A);Fc−(L15)−FGF21変異体Fc−(L15)−FGF21 P171Y(配列番号87)、Fc−(L15)−FGF21 P171W(配列番号93)、およびFc−(L15)−FGF21 P171C(配列番号95)(図25B);Fc−(L15)−FGF21(配列番号49)、Fc−(L15)−FGF21(A45K、G170E)(配列番号97)、およびFGF21 A45K(配列番号99)(図25C);ならびにFc−(L15)−FGF21(配列番号49)、Fc−(L15)−FGF21 P171E(配列番号79)、およびFc−(L15)−FGF21(A45K、G170E)(配列番号97)(図25D)を対象に実施したELKルシフェラーゼ活性アッセイの結果で、各パネルはヒトFGF21対照に対して得られた結果を示す。 Fc−(L15)−FGF21変異体であるFc−(L15)−FGF21 P171G(配列番号89)、Fc−(L15)−FGF21 P171S(配列番号91)、およびFc−(L15)−FGF21 P171T(配列番号85)(図25A);Fc−(L15)−FGF21変異体Fc−(L15)−FGF21 P171Y(配列番号87)、Fc−(L15)−FGF21 P171W(配列番号93)、およびFc−(L15)−FGF21 P171C(配列番号95)(図25B);Fc−(L15)−FGF21(配列番号49)、Fc−(L15)−FGF21(A45K、G170E)(配列番号97)、およびFGF21 A45K(配列番号99)(図25C);ならびにFc−(L15)−FGF21(配列番号49)、Fc−(L15)−FGF21 P171E(配列番号79)、およびFc−(L15)−FGF21(A45K、G170E)(配列番号97)(図25D)を対象に実施したELKルシフェラーゼ活性アッセイの結果で、各パネルはヒトFGF21対照に対して得られた結果を示す。 Fc−(L15)−FGF21変異体であるFc−(L15)−FGF21 P171G(配列番号89)、Fc−(L15)−FGF21 P171S(配列番号91)、およびFc−(L15)−FGF21 P171T(配列番号85)(図25A);Fc−(L15)−FGF21変異体Fc−(L15)−FGF21 P171Y(配列番号87)、Fc−(L15)−FGF21 P171W(配列番号93)、およびFc−(L15)−FGF21 P171C(配列番号95)(図25B);Fc−(L15)−FGF21(配列番号49)、Fc−(L15)−FGF21(A45K、G170E)(配列番号97)、およびFGF21 A45K(配列番号99)(図25C);ならびにFc−(L15)−FGF21(配列番号49)、Fc−(L15)−FGF21 P171E(配列番号79)、およびFc−(L15)−FGF21(A45K、G170E)(配列番号97)(図25D)を対象に実施したELKルシフェラーゼ活性アッセイの結果で、各パネルはヒトFGF21対照に対して得られた結果を示す。 Fc−(L15)−FGF21変異体であるFc−(L15)−FGF21 P171G(配列番号89)、Fc−(L15)−FGF21 P171S(配列番号91)、およびFc−(L15)−FGF21 P171T(配列番号85)(図25A);Fc−(L15)−FGF21変異体Fc−(L15)−FGF21 P171Y(配列番号87)、Fc−(L15)−FGF21 P171W(配列番号93)、およびFc−(L15)−FGF21 P171C(配列番号95)(図25B);Fc−(L15)−FGF21(配列番号49)、Fc−(L15)−FGF21(A45K、G170E)(配列番号97)、およびFGF21 A45K(配列番号99)(図25C);ならびにFc−(L15)−FGF21(配列番号49)、Fc−(L15)−FGF21 P171E(配列番号79)、およびFc−(L15)−FGF21(A45K、G170E)(配列番号97)(図25D)を対象に実施したELKルシフェラーゼ活性アッセイの結果で、各パネルはヒトFGF21対照に対して得られた結果を示す。 野生型熟成FGF21および種々のFGF21変異体について、凝集を時間の関数として示す。図26Aは、65mg/mLのタンパク質を4℃で1、2、および4日間インキュベートした後のFGF21対照(野生型、配列番号4、中実ダイア)およびFGF21 A45K(配列番号99、中実丸)の凝集変化率(%)を示す。一方、図26Bは、65mg/mLのタンパク質を4℃で1、6、および10日間インキュベートした後のFGF21対照(WT)(配列番号4)ならびにFGF21 P78C( 配列番号127)、FGF21 P78R( 配列番号129)、FGF21 L86T( 配列番号131)、FGF21 L86C( 配列番号133)、FGF21 L98C( 配列番号135)、FGF21 L98R( 配列番号137)、FGF21 A111T( 配列番号113)、FGF21 A129D( 配列番号115)、FGF21 A129Q( 配列番号117)、FGF21 A129K( 配列番号125)、FGF21 A134K( 配列番号119)、FGF21 A134Y( 配列番号121)、およびFGF21 A134E( 配列番号123)(全てプロット上に名称を付した)の凝集変化率(%)を示す。 野生型熟成FGF21および種々のFGF21変異体について、凝集を時間の関数として示す。図26Aは、65mg/mLのタンパク質を4℃で1、2、および4日間インキュベートした後のFGF21対照(野生型、配列番号4、中実ダイア)およびFGF21 A45K(配列番号99、中実丸)の凝集変化率(%)を示す。一方、図26Bは、65mg/mLのタンパク質を4℃で1、6、および10日間インキュベートした後のFGF21対照(WT)(配列番号4)ならびにFGF21 P78C( 配列番号127)、FGF21 P78R( 配列番号129)、FGF21 L86T( 配列番号131)、FGF21 L86C( 配列番号133)、FGF21 L98C( 配列番号135)、FGF21 L98R( 配列番号137)、FGF21 A111T( 配列番号113)、FGF21 A129D( 配列番号115)、FGF21 A129Q( 配列番号117)、FGF21 A129K( 配列番号125)、FGF21 A134K( 配列番号119)、FGF21 A134Y( 配列番号121)、およびFGF21 A134E( 配列番号123)(全てプロット上に名称を付した)の凝集変化率(%)を示す。 ヒトFGF21対照ならびにFGF21変異体であるFGF21 A45K(配列番号99)、FGF21 L52T(配列番号139)、およびFGF21 L58E(配列番号141)を対象に実施したELKルシフェラーゼ活性アッセイの結果を示す。 4℃で1、4、および8日間インキュベートした後の、Fc−(L15)−FGF21変異体であるFc−(L15)−FGF21(6−181、G170E)(配列番号101)(中実ダイア)、Fc−(L15)−FGF21(A45K、G170E)(配列番号97)(中空四角)、Fc−(L15)−FGF21P171E(配列番号79)(中実三角形)、Fc−(L15)−FGF21 P171A(配列番号53)(x印)、Fc−(L15)−FGF21 G170E(配列番号51)(中空三角形)、およびFGF21対照(中実丸)の凝集レベルの変化を示すプロットである。 この図も、また、インキュベーション結果を示す棒グラフである。 PBS(賦形剤)(中実丸)またはFc−(L15)−FGF21変異体であるFc−(L15)−FGF21(A45K、G170E)(配列番号97)(中空丸)、Fc−(L15)−FGF21(A45K、P171G)(配列番号103)(中実三角形)、もしくはFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)(中空三角形)を注入したマウスで測定した血糖値を示す。 ヒトFGF21(配列番号4)(中実丸、実線)、Fc−(L15)−FGF21(配列番号49)(中空丸、実線)およびFc−(L15)FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)(中実三角形、点線)を対象に実施したELKルシフェラーゼ活性アッセイの結果を示すプロットである。 室温(図31A)および4℃(図31B)で9日間経過後に観察したFGF21(配列番号4)(中実丸、実線)、Fc−(L15)−FGF21(配列番号49)(中空丸、実線)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)(中実三角形、点線)の高分子量凝集体の割合(%)を示すプロットである。 室温(図31A)および4℃(図31B)で9日間経過後に観察したFGF21(配列番号4)(中実丸、実線)、Fc−(L15)−FGF21(配列番号49)(中空丸、実線)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)(中実三角形、点線)の高分子量凝集体の割合(%)を示すプロットである。 168時間の内のいくつかの時点で観察されたFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)の変化を示す一連のMALDI質量分析結果である。 PBS賦形剤対照(中空丸)、野生型成熟FGF21(中実四角)、ならびにFGF21変異体であるFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)(逆中実三角形);Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、182P)(配列番号143)(中空ダイア)、およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、182G)(配列番号145)(中実丸)のそれぞれに対するob/obマウス中の血糖値の変化率(%)を示すプロットである。 PBS賦形剤対照(中実丸)、ならびにFGF21変異体であるFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)(中実三角形);Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、182G、183G)(配列番号147)(中空三角形)、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、182G)(配列番号145)(中実ダイア)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、182P)(配列番号143)(中空ダイア)のそれぞれに対するob/obマウス中の血糖値の変化率(%)を示すプロットである。 PBS賦形剤対照(中空丸)、ならびにFGF21変異体であるFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)(中実四角);Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、Y179S)(配列番号149)(中空三角形)、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、Y179A)(配列番号153)(逆中実三角形)、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180S)(配列番号155)(中空ダイア)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180G)(配列番号157)(中実丸)のそれぞれに対するob/obマウス中の血糖値の変化率(%)を示すプロットである。 PBS賦形剤対照(中実丸)、ならびにFGF21変異体であるFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)(中空四角);Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、Y179F)(配列番号151)(中実三角形)、およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号57)(中空ダイア)のそれぞれに対するob/obマウス中の血糖値の変化率(%)を示すプロットである。 アカゲザルで行った6週間用量漸増試験計画を図示したものである。この図で、斜線のシンボルは、空腹状態での血液採取を、点刻のシンボルは摂食状態での血液採取を示している。 アカゲザルが、OGTTプロファイル、OGTTAUCおよび体重に関して無作為化された状態であるかを示す一連のプロットである。図38Aは、化合物または賦形剤が各群に割り当てられる前の、OGTT1におけるベースライングルコースレベルを示し、中実四角はA群、中実丸、実線はB群および中空丸、点線はC群に対応する。図38Bは、化合物または賦形剤が各群に割り当てられる前の、OGTT2におけるベースライングルコースレベルを示し、中実四角はA群、中実丸、実線はB群および中空丸、実線はC群に対応する。図38Cは、AUCの観点からみたOGTT1および2に対するベースライングルコースレベルを示し、点刻バーはA群に、斜線ハッチバーはB群に、中空バーはC群に対応する。さらに、図38Dは、ベースライン体重を示し、点刻バーはA群、斜線バーはB群、中空バーはC群に相当する。 アカゲザルが、OGTTプロファイル、OGTTAUCおよび体重に関して無作為化された状態であるかを示す一連のプロットである。図38Aは、化合物または賦形剤が各群に割り当てられる前の、OGTT1におけるベースライングルコースレベルを示し、中実四角はA群、中実丸、実線はB群および中空丸、点線はC群に対応する。図38Bは、化合物または賦形剤が各群に割り当てられる前の、OGTT2におけるベースライングルコースレベルを示し、中実四角はA群、中実丸、実線はB群および中空丸、実線はC群に対応する。図38Cは、AUCの観点からみたOGTT1および2に対するベースライングルコースレベルを示し、点刻バーはA群に、斜線ハッチバーはB群に、中空バーはC群に対応する。さらに、図38Dは、ベースライン体重を示し、点刻バーはA群、斜線バーはB群、中空バーはC群に相当する。 アカゲザルが、OGTTプロファイル、OGTTAUCおよび体重に関して無作為化された状態であるかを示す一連のプロットである。図38Aは、化合物または賦形剤が各群に割り当てられる前の、OGTT1におけるベースライングルコースレベルを示し、中実四角はA群、中実丸、実線はB群および中空丸、点線はC群に対応する。図38Bは、化合物または賦形剤が各群に割り当てられる前の、OGTT2におけるベースライングルコースレベルを示し、中実四角はA群、中実丸、実線はB群および中空丸、実線はC群に対応する。図38Cは、AUCの観点からみたOGTT1および2に対するベースライングルコースレベルを示し、点刻バーはA群に、斜線ハッチバーはB群に、中空バーはC群に対応する。さらに、図38Dは、ベースライン体重を示し、点刻バーはA群、斜線バーはB群、中空バーはC群に相当する。 アカゲザルが、OGTTプロファイル、OGTTAUCおよび体重に関して無作為化された状態であるかを示す一連のプロットである。図38Aは、化合物または賦形剤が各群に割り当てられる前の、OGTT1におけるベースライングルコースレベルを示し、中実四角はA群、中実丸、実線はB群および中空丸、点線はC群に対応する。図38Bは、化合物または賦形剤が各群に割り当てられる前の、OGTT2におけるベースライングルコースレベルを示し、中実四角はA群、中実丸、実線はB群および中空丸、実線はC群に対応する。図38Cは、AUCの観点からみたOGTT1および2に対するベースライングルコースレベルを示し、点刻バーはA群に、斜線ハッチバーはB群に、中空バーはC群に対応する。さらに、図38Dは、ベースライン体重を示し、点刻バーはA群、斜線バーはB群、中空バーはC群に相当する。 アカゲザルにおけるベースラインに対する、賦形剤、FGF21(配列番号4)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)の体重変化率(%)を示すプロットである。斜線バー1および2は低用量の1週と2週に対応し、中空バー3および4は中用量の3週と4週に対応し、中実バー5および6は高用量の5週と6週に対応し、さらに、点刻バーは7、8、9は休薬期間の7〜9週に対応する。 ベースラインに対する、賦形剤、FGF21(配列番号4)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)のアカゲザルの空腹時インスリンレベルに対する空腹時インスリンの変化率(%)を示すプロットである。斜線バー1と2は低用量の1週と2週に対応し、中空バー3および4は中用量の3週と4週に対応し、中実バー5および6は高用量の5週と6週に相当し、さらに、点刻バー7と8は休薬期間の7週および8週に対応する。 試験の5週と6週の間に獲得したアカゲザルの摂食時インスリンレベルに対する高用量で与えられた賦形剤、FGF21(配列番号4)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)の効果を示すプロットである。中実バーは5週に対応し、斜線バーは6週に対応する。 Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)を使った2週間の高用量処置の最後に行ったOGTT5のグルコースプロファイルを示すプロットである。中実丸、実線は賦形剤に対応し、中空四角、点線はFGF21(配列番号4)に対応し、中実三角形、実線はFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)に対応する。 Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)を使った2週間の高用量処置の最後に行ったOGTT5のインスリンプロファイルを示すプロットである。中実丸、実線は賦形剤に対応し、中空四角、点線はFGF21(配列番号4)に対応し、さらに、中実三角形、実線はFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)に対応する。 アカゲザルの各用量期間(低、中および高用量)の最後に測定されたベースラインに対するグルコースOGTTAUC3〜5の変化率(%)を示すプロットである。中空バーはOGTT3によるグルコース測定値から計算したAUC3に対応し、中実バーはOGTT4によるグルコース測定値から計算したAUC4に対応し、さらに、斜線バーはOGTT5によるグルコース測定値から計算したAUC5に対応する。 各群のアカゲザルの空腹時血漿トリグリセリドレベルのベースラインからの変化率(%)に対する賦形剤、FGF21およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)の効果を示すプロットである。斜線バー1と2は低用量の週1および2に対応し、中空バー3と4は中用量の週3および週4に対応し、中実バー5と6は高用量の5週と6週に対応し、さらに、点刻バーの7、8および9は休薬期間の7〜9週に対応する。 高用量の賦形剤、FGF21(配列番号4)またはFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)による第5、6週の処置の間に測定した各群のアカゲザルの摂食時血漿トリグリセリドレベルを示すグラフである。斜線バーは5週に対応し、中実バーは6週に対応する。 各注入後、約21時間の時点で得た試料について、注入前、ならびに5、12、19、および26日目に測定した各アカゲザルのFGF21(配列番号4)レベルを示すプロットである。 各注入後、約5日の時点で得た試料について、注入前、ならびに5、12、19、および26日目に測定した各アカゲザルのFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)レベルを示すプロットである。 各低、中、高用量の後に行った3回のOGTTから測定したFGF21(配列番号4)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)の平均濃度レベルを示すプロットである。斜線バーは低用量のOGTT3に対応し、中実バーは中用量のOGTT4に対応し、さらに、中空バーは高用量のOGTT5に対応する。 Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)融合タンパク質(配列番号47)のアミノ酸配列である。IgG1Fc残基(配列番号11)は、ボールド体、(G4S)3リンカー(配列番号31)はイタリック体、また、FGF21配列(配列番号39)の点変異は下線付きボールド体で示した。 Erkルシフェラーゼアッセイによる試験化合物の用量反応を示すプロットである。Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号47)、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号57)、野生型FGF21、および野生型FGF21とのFc融合体を試験した。 ヒト(右)およびカニクイザルβ−Klotho(左)に対するFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号47)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)のBiacore溶解平衡結合アッセイ(solution equilibrium binding assay)の結果を示すプロットである。 db/dbマウスに対するFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号47)一回注入後の用量反応を示す一対のプロットである。図53Aは、賦形剤またはFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)注入後のいくつかの時点でのdb/dbマウスの血糖値を示す。一方、図53Bは、db/dbマウスの体重に与えるFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)の一回注入後の効果を示す。 db/dbマウスに対するFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号47)一回注入後の用量反応を示す一対のプロットである。図53Aは、賦形剤またはFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)注入後のいくつかの時点でのdb/dbマウスの血糖値を示す。一方、図53Bは、db/dbマウスの体重に与えるFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)の一回注入後の効果を示す。 DIOマウスにおけるFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号47)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)の投薬頻度試験を図示したものである。 異なる投薬頻度で、賦形剤、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号47)またはFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)で処置したマウスのGTTプロファイルを示すプロットである。 異なる投薬頻度で、賦形剤、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号47)またはFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)で処置したマウスのベースライン(0日目)からの体重の変化を示すプロットである。 FGF21(L98R、P171G))(配列番号37)FGF21変異体を含むヒドロゲルのインビトロ試験の結果を示すプロットである。 種々のヒドロゲル製剤を投与した8週齢のdb/dbマウスの血糖値に対する効果を示すプロットである。 種々のヒドロゲル製剤を投与した8週齢のdb/dbマウスの血糖値に対する効果を示すプロットである。 種々のヒドロゲル製剤を投与した8週齢のdb/B6マウスの血糖値に対する効果を示すプロットである。中実丸はヒドロゲル対照を投与したマウスを示し、中実四角はFGF21(L98R、P171G)(配列番号37)のヒドロゲル製剤10mg/kgを投与したマウスを示し、中実三角形はFGF21(L98R、P171G)のヒドロゲル製剤30mg/kgを投与したマウスを示し、さらに、逆三角形はFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号57)を単独で投与したマウスを示す。 種々のヒドロゲル製剤を投与した8週齢のdb/B6マウスの血糖値の変化率(%)を示すプロットである。中実丸はヒドロゲル対照を投与したマウスを示し、中実四角はFGF21(L98R、P171G)(配列番号37)のヒドロゲル製剤10mg/kgを投与したマウスを示し、中実三角形はFGF21(L98R、P171G)のヒドロゲル製剤30mg/kgを投与したマウスを示し、さらに、逆三角形はFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号57)を単独で投与したマウスを示す。 種々のヒドロゲル製剤を投与した8週齢db/B6マウスの体重に対する効果を示すプロットである。中実丸はヒドロゲル対照を投与したマウスを示し、中実四角はFGF21(L98R、P171G)(配列番号37)のヒドロゲル製剤10mg/kgを投与したマウスを示し、中実三角形はFGF21(L98R、P171G)のヒドロゲル30mg/kgを投与したマウスを示し、さらに、逆三角形はFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号57)を単独で投与したマウスを示す。 種々のヒドロゲル製剤を投与した8週齢db/B6マウス重量変化率(%)を示すプロットである。中実丸はヒドロゲル対照を投与したマウスを示し、中実四角はFGF21(L98R、P171G)(配列番号37)のヒドロゲル製剤10mg/kgを投与したマウスを示し、中実三角形はFGF21(L98R、P171G)のヒドロゲル製剤30mg/kgを投与したマウスを示し、さらに、逆三角形はFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号57)を単独で投与したマウスを示す。 耐糖能障害(IGT)のカニクイザルで行った9週用量漸増試験の計画を図示したものである。 調査したIGTカニクイザルの午前食物摂取量に与える賦形剤、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)およびFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号47)の効果を示すプロットである。 調査したIGTカニクイザルの果実摂取量に与える賦形剤、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)およびFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号47)の効果を示すプロットである。 調査したIGTカニクイザルの午後食物摂取量に与える賦形剤、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)およびFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号47)の効果を示すプロットである。 調査したIGTカニクイザルの体重に与える賦形剤、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)およびFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号47)の効果を示すプロットである。 調査したIGTカニクイザルの肥満度指数に与える賦形剤、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)およびFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号47)の効果を示すプロットである。 調査したIGTカニクイザルの皮下脂肪厚に与える賦形剤、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)およびFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号47)の効果を示すプロットである。 調査したIGTカニクイザルの腹囲に与える賦形剤、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)およびFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号47)の効果を示すプロットである。 調査したIGTカニクイザルの血漿グルコース値に与える賦形剤、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)およびFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号47)の効果を示すプロットである。 調査したIGTカニクイザルの耐糖能に与える賦形剤、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)およびFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号47)の効果を示すプロットである。 調査したIGTカニクイザルの血漿トリグリセリドレベルに与える賦形剤、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)およびFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号47)の効果を示すプロットである。 調査したIGTカニクイザルの血漿中総コレステロールレベルに与える賦形剤、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)およびFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号47)の効果を示すプロットである。 調査したIGTカニクイザルの血漿HDLコレステロールレベルに与える賦形剤、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)およびFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号47)の効果を示すプロットである。 168時間中のいくつかの時点でのFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(左パネル、配列番号43)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)(右パネル、配列番号57)で観察された変化を示す一連のMALDI質量分析結果である。 アスパラギン酸N消化後にMRMLC/MS/MSで分析した、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号57)の両方から得られた全C末端ペプチド断片中の完全長C末端ペプチドの相対存在量(%)を示すプロットである。 マウスへの静脈内注射後240時間にわたる期間の無傷の完全長Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号57)の血漿中濃度を測定したELISAアッセイの結果を示すプロットである。 陰性対照、ヒトFGF21(配列番号4)ならびにFGF21グリコシル化変異体FGF21(Y179N、S181T)(配列番号161)、FGF21 Y179N(配列番号163)およびFGF21 P124S(配列番号165)に対し行ったELKルシフェラーゼ活性アッセイの結果を示すプロットである。
発明の詳細な説明
増加した半減期および/または低減された凝集等の改善された特性を有するヒトFGF21タンパク質を、本明細書で開示の方法および標準的な分子生物学的方法を用いて調製することができる。任意選択として、抗体またはその一部を野生型FGF21配列のN末端またはC末端に融合することにより半減期をさらに延長することも可能である。また、タンパク質にアミノ酸置換基を導入することによって野生型タンパク質のさらなる半減期延長や凝集低減を行うことも可能である。このような改善タンパク質は、本明細書中では変異体、またはFGF21変異体と呼び、本発明の実施形態を構成する。
実施例を含む本明細書で使われる組換え型核酸の製法は、通常、Sambrook et al.、「分子クローニング:研究室マニュアル」(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989)または、「分子生物学の最新プロトコル」(Ausubel et al.、eds.、Green Publishers Inc.and Wiley and Sons 1994)に記述されている方法であり、両文献はいかなる目的に対しても、参照により本明細書に組み込まれる。
1.一般的定義
「単離核酸分子」という用語は、(1)タンパク質、脂質、炭水化物、または全核酸がソース細胞から単離される際に元々共存している他の物質の少なくとも約50パーセントからは分離されている、(2)「単離核酸分子」が元々結合しているポリヌクレオチドの全体または一部に結合していない、(3)本来結合していないポリヌクレオチドに機能的に連結されている、または(4)より大きなポリヌクレオチド配列の一部として天然に産生しない、という条件を満たす、本明細書で提供される核酸分子を指す。単離核酸分子は、他の任意の混入核酸分子または自然環境中に認められ、ポリペプチド産生またはその治療、診断、予防または研究用途での使用を妨げる他の混入物を実質的に含まないことが好ましい。
「ベクター」という用語は、コーディング情報を宿主細胞に移入するために使われる任意の分子(例えば、核酸、プラスミド、またはウイルス)を指すために使われる。
「発現ベクター」という用語は、宿主細胞の形質転換に適したベクターで、挿入された異種の核酸配列の発現を指示および/または制御する核酸配列を含むベクターを指す。発現には、これに限定されないが、転写、翻訳、およびイントロンが存在する場合はRNAスプライシング、等のプロセスが含まれる。
本明細書では、「機能的に連結された」という用語は、その通常の機能を遂行するように配置され組み込まれている隣接配列の配置を指すために使われる。従って、コード配列に機能的に連結された隣接配列は、コード配列の複製、転写および/または翻訳を行わせることができ得る。例えば、そのプロモーターが連結されているコード配列の転写を指示することができる場合、コード配列はプロモーターに機能的に連結されている。隣接配列は、正しく機能してさえいれば、コード配列に近接している必要はない。従って、例えば、転写されているが未翻訳の配列は、プロモーター配列とコード配列の間に介在させることができ、プロモーター配列は、この場合も、コード配列に「機能的に連結された」と見なしうる。
用語の「宿主細胞」は、本明細書で提供される核酸等の核酸配列で形質転換された、または形質転換され得、選択された目的遺伝子の発現が可能な細胞を指すために使用される。この用語には、その子孫の形態学的または遺伝学的性質が元の親と同等であるか否かに関わらず、選択された遺伝子がある限り、親細胞の子孫が含まれる。
本明細書では、「単離ポリペプチド」という用語は、(1)ポリヌクレオチド、脂質、炭水化物、またはソース細胞から単離される場合に元々存在する他の物質の少なくとも約50パーセントから分離されている、(2)(共有結合または非共有結合的相互作用によって)「単離ポリペプチド」が本来結合しているポリペプチドの全体または一部と結合していない、(3)本来結合していないポリペプチドに機能的に連結されている(共有結合または共有結合的相互作用によって)、または(4)天然には産生しない、という条件を満たすポリペプチドを指す。単離ポリペプチドは、他の任意の混入ポリペプチドまたは自然環境中に認められ、その治療、診断、予防または研究用途での使用を妨げる他の混入物を実質的に含まないことが好ましい。
「天然に存在する」という用語は、核酸分子、ポリペプチド、宿主細胞、等の生物学的物質に関連して使われる場合、天然に見出され、人間により操作されていない物質を指す。同様に、本明細書で使われる「天然に存在しない」は、天然に見出されない、または人間により構造的に改変されたか合成された物質を指す。ヌクレオチドに関連して使われる場合、「天然に存在する」という用語は、塩基アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)、およびウラシル(U)を指す。アミノ酸に関連して使われる場合、「天然に存在する」という用語は、20アミノ酸のアラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、リシン(K)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)、トリプトファン(W)、およびチロシン(Y)を指す。
「FGF21ポリペプチド」という用語は、ヒトで発現した天然に存在する野生型ポリペプチドを指す。本開示の目的のために、「FGF21ポリペプチド」という用語は、同義で、任意の完全長FGF21ポリペプチドを指すために使用することができる。これには、例えば、209アミノ酸残基を含み、配列番号1および5のヌクレオチド配列によってそれぞれコードされる配列番号2および6;任意の成熟型のポリペプチド、例えば、181アミノ酸残基を含み、配列番号3および7のヌクレオチド配列によりそれぞれコードされる、完全長FGF21ポリペプチドのアミノ末端の28アミノ酸残基が除去されている(すなわち、シグナルペプチドを構成する)配列番号4および8が挙げられる。完全長で成熟したFGF21ポリペプチドは、アミノ末端メチオニンを含んでもよいが、それを必要とすることはない。このメチオニンは、操作または細菌性発現プロセスの結果として導入することができる。
「FGF21ポリペプチド変異体」という用語および「FGF21変異体」は、同義で使用することができ、天然に存在するFGF21アミノ酸配列(例えば、配列番号2、4、6、または8)が改変されているFGF21ポリペプチドを指す。このような改変には、限定されないが、天然に存在しないアミノ酸および天然に存在しないアミノ酸類似体による置換を含む1つまたは複数のアミノ酸置換、および切断が含まれる。従って、FGF21ポリペプチド変異体には、これに限定されないが、本明細書記載のような、部位特異的なFGF21変異体、切断型FGF21ポリペプチド、タンパク質分解耐性FGF21変異体、凝集低減FGF21変異体、FGF21組み合わせ変異体、およびFGF21融合タンパク質、が含まれる。本発明のFGF21変異体特異的切断およびアミノ酸置換を特定するために、切断または変異アミノ酸残基の付番は、成熟181残基FGF21ポリペプチドの位置に対応する。FGF21変異体は、アミノ末端メチオニンを含んでもよいが、それを必要性とすることはない。このメチオニンは、操作または細菌性発現プロセスの結果として導入することができる。
本発明の他の実施形態では、FGF21ポリペプチド変異体は、変異体FGF21のアミノ酸配列に対し少なくとも約85パーセント同一であるが、FGF21ポリペプチド変異体に所望の特性、例えば、蛋白質分解耐性、半減期延長または凝集低減特性、およびこれらの組み合わせを付与する特異的残基は、それ以上改変されていない、アミノ酸配列を含む。換言すれば、FGF21変異体配列中の蛋白質分解耐性、凝集低減、または他の特性を付与するために改変されている残基を除いて、FGF21変異体配列中の全ての他のアミノ酸残基の約15%が改変可能である。例えば、FGF21変異体Q173Eでは、位置173のグルタミンを置換したグルタミン酸残基以外の全アミノ酸残基は、最大15%まで改変できる。さらなる他の実施形態では、FGF21ポリペプチド変異体は、変異体FGF21のアミノ酸配列に対し少なくとも約90パーセント、または約95、96、97、98、または99パーセント同一であるが、FGF21ポリペプチド変異体の蛋白質分解耐性または凝集低減特性を付与する特異的残基はこれ以上改変されていないアミノ酸配列を含む。このようなFGF21ポリペプチド変異体は、野生型FGF21ポリペプチドの少なくとも1つの活性を有する。
また、本発明は、FGF21ポリペプチド変異体をコードする核酸分子を包含し、この変異体は、変異体FGF21のアミノ酸配列に対し少なくとも約85パーセント同一であるが、FGF21ポリペプチド変異体の所望の特性、例えば、蛋白質分解耐性、半減期延長または凝集低減特性およびそれらの組み合わせを付与する特異的残基は、これ以上改変されていないアミノ酸配列を含む。換言すれば、FGF21変異体配列中の蛋白質分解耐性、凝集低減、または他の特性を付与するために改変されている残基を除いて、FGF21変異体配列中の全ての他のアミノ酸残基の約15%が改変可能である。例えば、FGF21変異体Q173Eでは、位置173のグルタミンを置換したグルタミン酸残基以外の全アミノ酸残基は、最大15%まで改変できる。本発明は、FGF21変異体をコードしたヌクレオチド配列に対し少なくとも約90パーセント、または約95、96、97、98、または99パーセント同一であるが、コード化FGF21ポリペプチド変異体の蛋白質分解耐性または凝集低減特性を付与するアミノ酸残基をコードしたヌクレオチドはこれ以上改変されていないヌクレオチド配列を含む核酸分子をさらに包含する。このような核酸分子は、野生型FGF21ポリペプチドの少なくとも1つの活性を有するFGF21変異体ポリペプチドをコードする。
「生物学的に活性なFGF21ポリペプチド変異体」という用語は、FGF21ポリペプチド変異体に導入された変異のタイプと数に拘わらず、血糖、インスリン、トリグリセリド、またはコレステロールレベルを低減させる能力;体重低減能力;およびグルコース耐性、エネルギー消費、またはインスリン感受性を改善する能力等の野生型FGF21ポリペプチドの活性を有する本明細書記載の任意のFGF21ポリペプチド変異体を指す。野生型FGF21ポリペプチドに比べ幾分低いレベルのFGF21活性FGF21ポリペプチド変異体は、それでも、生物学的に活性なFGF21ポリペプチド変異体と見なすことができる。
「有効量」および「治療有効量」という用語はそれぞれ、血糖、インスリン、トリグリセリド、またはコレステロールレベルを低減させる能力;体重低減能力;またはグルコース耐性、エネルギー消費、またはインスリン感受性を改善する能力等の観察可能なレベルの1つまたは複数の野生型FGF21ポリペプチドの生物学的活性を維持するために用いられるFGF21ポリペプチド変異体の量を指す。
本明細書で用いられる、「薬学的に許容可能な担体」または「生理学的に許容可能な担体」という用語は、ヒトまたは非ヒトの患者の体内へのFGF21ポリペプチド変異体の送達の遂行または促進に適した1つまたは複数の製剤用薬剤を指す。この用語には、生理学的に許容可能な、任意のあらゆる溶剤、分散剤、コーティング、抗菌および抗真菌性試薬、等張性および吸収遅延試薬等が含まれる。薬学的に許容可能な担体の例には、水、食塩水、リン酸塩緩衝食塩水、デキストロース、グリセリン、エタノール等のうちの1つ以上、ならびにこれらの組み合わせが含まれる。場合によっては、医薬品組成物中に、等張性試薬、例えば、糖類、マンニトール、ソルビトール等の多価アルコール、または塩化ナトリウムを含むのが好ましいこともある。FGF21ポリペプチド変異体の保存可能期間または有効性を向上させる湿潤剤や乳化剤、防腐剤または緩衝液、等の湿潤物質または少量の補助物質のような薬学的に許容可能な物質も、担体としての役割をする、あるいは担体の成分となることができる。
「抗原」という用語は、抗体に結合されることができ、さらには、動物に対して使用してその抗原のエピトープに結合できる抗体を産生する分子または分子の一部を指す。抗原は1つまたは複数のエピトープを持つことが可能である。
「ネイティブFc」という用語は、全抗体の消化により生じた、または他の方法で産生した、非抗原結合断片の配列を含む単量体または多量体の形の分子または配列を指し、ヒンジ部を含んでもよい。ネイティブFcの最初の免疫グロブリンソースは、必須ではないが、ヒト由来であることが好ましく、また、いずれの免疫グロブリンも使用可能であるがIgG1とIgG2が好ましい。IgG4も採用可能である。ネイティブFc分子は、単量体ポリペプチドから構成されており、これは共有結合性(すなわち、ジスルフィド結合)および非共有結合性会合によって2量体または多量体形式に結合することができる。ネイティブFc分子の単量体サブユニット間の分子内ジスルフィド結合の数は、1〜4の範囲にあり、クラス(例えば、IgG、IgA、およびIgE)またはサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgGA2)によって変化する。ネイティブFcの一例は、IgGのパパイン消化により生じたジスルフィド結合ダイマーである(Ellison et al.、1982、Nucleic Acids Res.10:4071−9を参照)。本明細書で使われる「ネイティブFc」という用語は、単量体、2量体、および多量体形式を含む、一般用語である。Fcポリペプチド配列の例は、配列番号11および171に示されており、これはそれぞれ、ヒトIgG1およびIgG4分子由来である。ネイティブFcは、アミノ末端メチオニンを含むことができるが、それが必要であるわけではない。このメチオニンは、操作または細菌性発現プロセスの結果として導入することができる。このようなFc分子は、この状態でも「ネイティブFc」分子とみなされる。
「Fc変異体」という用語は、ネイティブFcから改変されているが、サルベージ受容体(salvage receptor)である、FcRn(新生児型Fc受容体)に対する結合部位をまだ有している分子または配列を指す。国際公開番号第WO97/34631号およびWO96/32478号には、代表的Fc変異体、ならびに、サルベージ受容体との相互作用について記載されている。これらの特許は、本明細書により参照によって組み込まれる。従って、「Fc変異体」という用語は、非ヒトのネイティブFcからヒト化した分子または配列を含むことができる。さらに、ネイティブFcは、本発明のFGF21変異体の融合分子には必要ない構造特性または生物活性を与えるという理由で除去されうる領域を含む。このように、「Fc変異体」用語は、1つまたは複数のネイティブFc部位または残基が欠失しているか、または1つまたは複数のFc部位または残基が改変されており、それらの残基は、(1)ジスルフィド結合形成、(2)選択宿主細胞との不適合、(3)選択宿主細胞中で発現時のN末端不均質性、(4)グリコシル化、(5)補体との相互作用、(6)サルベージ受容体以外のFc受容体との結合、または(7)抗体依存細胞傷害活性(ADCC)、に影響を及ぼすか、または関与する分子または配列を含む。Fc変異体は、以降でさらに詳細に記述される。Fc変異体は、アミノ末端メチオニンを含んでもよいが、それを必要とするわけではない。このメチオニンは、操作または細菌性発現プロセスの結果として導入することができる。このようなFc分子は、この状態でも「Fc変異体」と見なされる。
「Fcドメイン」という用語は、前に定義したネイティブFcおよびFc変異体ならびに配列を包含する。Fc変異体およびネイティブFc分子と同様に、「Fcドメイン」という用語には、全長抗体(whole antibody)から消化されたか、または他の方法により産生された単量体または多量体形式の分子が含まれる。本発明の一部の実施形態では、Fcドメインは、FGF21またはFGF21変異体(FGF21またはFGF21変異体の切断型を含む)と、例えば、FcドメインおよびFGF21配列間の共有結合、を介して融合できる。このような融合タンパク質は、Fcドメインの会合により多量体を形成可能であり、これら融合タンパク質とその多量体の両方が本発明の一態様である。Fcドメインは、アミノ末端メチオニンを含んでもよいが、それを必要とするわけではない。このメチオニンは、操作または細菌性発現プロセスの結果として導入することができる。
2.FGF21変異体
「FGF21変異体」という用語は、ネイティブFGF21ポリペプチド配列の1つまたは複数のアミノ酸によるアミノ酸配列、例えば、配列番号2、4、6または8、とは異なるアミノ酸配列を有するFGF21変異体ポリペプチドを指す。FGF21変異体は、天然または天然に存在しないアミノ酸を使って、保存的または非保存的に、FGF21ポリペプチドの特定の位置に、1つまたは複数のアミノ酸置換基を導入することにより作ることができる。
「保存的アミノ酸置換」は、ネイティブアミノ酸残基(すなわち、野生型FGF21ポリペプチド配列の特定の位置にある残基)を非ネイティブの残基(すなわち、野生型FGF21ポリペプチド配列の特定の位置にない残基)で置換し、その位置のアミノ酸残基の極性または電荷に対する効果がほとんど、または、全くないようにすることを含む。また、保存的アミノ酸置換は、通常、生物学的システムによる合成よりは、化学的ペプチド合成により組み込まれる、天然に存在しないアミノ酸残基を包含する。
ネイティブ残基は、共通の側鎖特性に基づいていくつかのクラスに分けることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、メチオニン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン;
(2)中性で親水性:システイン、セリン、トレオニン;
(3)酸性:アスパラギン酸、グルタミン酸;
(4)塩基性:アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン;
(5)鎖の配向に影響を与える残基:グリシン、プロリン;および
(6)芳香族:トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン。
保存的置換には、これらのクラスの1つと同じクラスの他のメンバーとの交換を含むことができる。非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーと別のクラスのメンバーとの交換を含むことができる。
所望のアミノ酸置換(保存的または非保存的の)は、このような置換が必要なときに当業者が決定することができる。代表的(限定されないが)なアミノ酸置換リストを表1に示す。
Figure 2012525847
3.切断型FGF21ポリペプチド
本発明の一実施形態は、成熟FGF21ポリペプチドまたはFGF21変異体の切断型に関する。本発明のこの実施形態は、非切断型の成熟FGF21ポリペプチドと類似の、また場合によっては、より優れた活性を提供することができる切断型FGF21ポリペプチドを特定する取り組みから生まれたものである。
本明細書に使われている「切断型FGF21ポリペプチド」という用語は、アミノ酸残基がFGF21ポリペプチドのアミノ末端(N末端)から除去されているか、アミノ酸残基がFGF21ポリペプチドのカルボキシル末端(C末端)から除去されているか、またはアミノ酸残基がFGF21ポリペプチドのアミノ末端およびカルボキシル末端の両方から除去されているFGF21ポリペプチドを指す。本明細書で開示されている種々の切断は、本明細書記載の実施例3と6として記載した。
N末端切断型FGF21ポリペプチドおよびC末端切断型FGF21ポリペプチドの活性は、実施例4で記載するように、インビトロELKルシフェラーゼアッセイで評価できる。切断型FGF21ポリペプチドの活性を試験するために使用できるインビトロアッセイの具体的な詳細は実施例4に示してある。
本発明の切断型FGF21ポリペプチドの活性は、また、実施例5と7で示すようにdb/dbマウス、またはob/obマウス等のインビボアッセイで評価できる。通常、切断型FGF21ポリペプチドのインビボ活性を評価するために、試験動物に切断型FGF21ポリペプチドを腹腔内投与することができる。所望のインキュベーション期間(例えば、1時間またはそれ以上)の後、血液サンプルが採取され血糖値を測定することができる。切断型FGF21ポリペプチドの活性を調べるために使用するインビボアッセイの具体的な詳細を実施例5と7で示す。
a.N末端切断
本発明の一部の実施形態では、N末端切断は、成熟FGF21ポリペプチドまたはFGF21変異体のN末端から1、2、3、4、5、6、7、または8アミノ酸残基を含む。例えば、実施例5および図3に示されるように、9アミノ酸残基より少ないN末端切断を有する切断型FGF21ポリペプチドは、個体の血糖を下げる成熟FGF21ポリペプチドの能力を保持している。従って、本発明の特定の実施形態では、1、2、3、4、5、6、7、または8アミノ酸残基のN末端切断を有する切断型の成熟FGF21ポリペプチドまたはFGF21ポリペプチド変異体を包含する。
b.C末端切断
本発明の一部の実施形態では、C末端切断は、成熟FGF21ポリペプチドのC末端から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12アミノ酸残基を含む。例えば、実施例4および図1Bに示されるように、13アミノ酸残基より少ないC末端切断を有する切断型FGF21ポリペプチドは、インビトロELKルシフェラーゼアッセイにおいて、野生型FGF21の有効性の少なくとも50%の有効性を示し、これらのFGF21変異体が個体中の血糖を下げる成熟FGF21ポリペプチドの能力を保持していることを示した。従って、本発明の特定の実施形態では、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12アミノ酸残基のC末端切断を有する切断型の成熟FGF21ポリペプチドまたはFGF21ポリペプチド変異体を包含する。
c.N末端およびC末端切断
本発明の一部の実施形態では、切断型FGF21ポリペプチドは、N末端およびC末端切断の組み合わせを有することができる。N末端およびC末端切断の組み合わせを有する切断型FGF21ポリペプチドは、N末端単独またはC末端切断単独のいずれかを有する対応する切断型FGF21ポリペプチドと同じ活性を有する。換言すれば、9アミノ酸残基より少ないN末端切断と13アミノ酸残基より少ないC末端切断の両方を有する切断型FGF21ポリペプチドは、9アミノ酸残基より少ないN末端切断を有する切断型FGF21ポリペプチドと、または13アミノ酸残基より少ないC末端切断を有する切断型FGF21ポリペプチドと、類似またはより大きな生物活性、例えば、血糖低減活性を有する。従って、本発明の特定の実施形態では、1、2、3、4、5、6、7、または8アミノ酸残基のN末端切断および1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12アミノ酸残基のC末端切断の両方を有する、切断型の成熟FGF21ポリペプチドまたはFGF21ポリペプチド変異体を含む。
本発明の全てのFGF21変異体と同様に、切断型FGF21ポリペプチドおよびFGF21変異体は、任意選択として、アミノ末端メチオニン残基を含むことができる。これは、意図的変異により、または細菌性発現プロセスの結果として導入することができる。
本発明の切断型FGF21ポリペプチドは、実施例3と6に記載されるように調製できる。標準的分子生物学技術に通じている当業者であれば、その知識を本開示と組み合わせて用い、本発明の切断型FGF21ポリペプチドを作製し使用することができる。標準的な方法は、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、組織培養、および形質転換(例えば、電気穿孔、リポフェクション法)用に使用できる。例えば、Sambrook et al.、「分子クローニング:研究室マニュアル」、前出、を参照。この参考文献は、いかなる目的のためにも、参照により本明細書に組み込まれる。酵素反応および精製技術は、メーカーの仕様書に従って、当技術分野で通常行われるように、または本明細書記載のように行うことができる。特に定めがなければ、本明細書に記載されている分析化学、合成有機化学、および医薬品化学に関連して使われている命名法および検査法と技術は当技術分野でよく知られ、通常使われているものである。標準的な方法を、化学合成;化学分析;製剤、処方、および送達;ならびに患者の治療のために使用することができる。
本発明の切断型FGF21ポリペプチドは、別の実体に融合することもでき、これにより追加の特性を切断型FGF21ポリペプチドに付与することができる。本発明の一実施形態では、切断型FGF21ポリペプチドは、Fc配列に融合できる。このような融合は、既知の分子生物学的手法および/または本明細書に提供される指針により実行可能である。融合ポリペプチドの利点、ならびにこのような融合ポリペプチドを作る方法については、本明細書でさらに詳細に検討する。
4.タンパク質分解耐性FGF21変異体
実施例8で記載されるように、成熟FGF21は、インビボで分解を受けることが明らかになり、これは、最終的には、タンパク質分解攻撃により起こることが確定された。成熟FGF21のインビボ分解は、より短い有効半減期につながることがわかったが、これは分子の治療薬としての可能性に悪影響を与える可能性がある。従って、指向研究(directed study)を行い、蛋白質分解に耐性を示すFGF21変異体を特定した。この研究結果として、蛋白質分解に対し特に影響を受けやすいと確認された成熟FGF21ポリペプチド中の部位には、アミノ酸残基間の4−5、20−21、151−152、171−172および178−181の位置のペプチド結合が含まれる。
広範囲であるが焦点を絞った指向研究を行い、観察されたタンパク質分解効果を除去する一方で、受け入れられない程度にまではタンパク質の活性に影響を与えない特定の置換を特定した。表8および11では、調製され試験された一部の変異体を強調している。例えば、実施例13および14で記載されているように、FGF21変異体がすべて理想的プロファイルを示した訳ではなかった。一部の変異体はタンパク質分解耐性を得たが、易感染性FGF21活性が犠牲になった。他の変異では、FGF21活性は維持されたが、蛋白質分解耐性は得られなかった。例えば、FGF21 P171G、を含むいくつかの変異体では、野生型FGF21と類似の活性レベルを保持し、かつ、タンパク質分解耐性も示した。
所望のタンパク質分解耐性FGF21変異体を特定する1つの選択標準は、変異体の活性が、野生型FGF21に比べ基本的に同じか、またはより高いことである。それ故、本発明の別の実施形態では、蛋白質分解に耐性があり、それでもなお、野生型FGF21に比べ基本的に同じか、またはより高い活性を保持しているFGF21変異体を対象とする。ある場合には、あまり望ましくないが、蛋白質分解には耐性があるが、幾分低下した活性を示すFGF21変異体が、本発明の別の実施形態となっている。ときには、ある程度の蛋白質分解度を維持することが望ましい場合があり、その結果、ある程度の蛋白質分解の発生を許容するFGF21変異体が、本発明の別の実施形態となる。
本明細書にあるすべてのFGF21変異体と同様に、本発明のタンパク質分解耐性FGF21変異体は、本明細書の記載に従い調製することができる。当業者、例えば、標準的分子生物学技術に通じている人なら、本開示を結びつけてその知識を使い、本明細書で開示したタンパク質分解耐性FGF21変異体を作製し、使用することができる。標準的な方法を、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、組織培養、および形質転換(例えば、電気穿孔、リポフェクション法)用に使用することができる。例えば、Sambrook et al.、「分子クローニング:研究室マニュアル」、前出、を参照。この文献は、目的に応じて、参照により本明細書に組み込まれる。酵素反応および精製技術は、メーカーの仕様書に従って、当技術分野で通常行われるように、または本明細書の記載に従い実施することができる。特に定めがなければ、本明細書に記載されている分析化学、合成有機化学、および医薬品化学に関連して使われている命名法および検査法と技術は当技術分野でよく知られ、通常使われているである。標準的な方法を、化学合成;化学分析;製剤、処方、および送達;ならびに患者の治療のために使用することができる。
本発明のタンパク質分解耐性FGF21変異体は、別の実体に融合することもでき、これにより追加の特性をタンパク質分解耐性FGF21変異体に付与することが可能となる。本発明の一実施形態では、タンパク質分解耐性FGF21変異体は、IgG Fc配列、例えば、配列番号11または171に融合できる。このような融合は、既知の分子生物学的手法および/または本明細書にあるガイダンスにより実行可能である。融合ポリペプチドの利点、ならびにこのような融合ポリペプチドを作る方法については、本明細書でさらに詳細に検討する。
5.凝集低減FGF21変異体
実施例15で記載のように、野生型FGF21ポリペプチドの1つの特性は凝集性向である。約5mg/mLを超える濃度では、凝集速度は室温において大きい。本明細書で示し、また記載しているように、野生型FGF21ポリペプチドの凝集速度は、濃度と温度の両方に依存する。
野生型FGF21を使って治療薬処方におけるようなこれらの濃度で作業する場合、凝集が課題になる可能性がある。従って、指向研究を行い凝集の低減を示すFGF21変異体を特定した。次に、得られたFGF21変異体を、各種濃度に対して凝集性向を試験した。
広範囲であるが焦点を絞った指向研究を行い、野性型FGF21で観察された凝集効果を除去するか、または減らす一方で、受け入れられない程度にまではタンパク質の活性に影響を与えない特別の置換を特定した。適切な凝集低減変異体を特定する取り組みを実施例15に記載する。表16では、調製され試験された一部の変異体を強調している。例えば、実施例17で記載されているように、FGF21変異体がすべて理想的プロファイルを示した訳ではなかった。FGF21 L58E等の一部の変異体は、低下したFGF21活性を有しており、これ以上調査しなかった。FGF21 A134E等の他の変異では、FGF21活性は維持されたが、凝集特性の低減は得られなかった。FGF21 L98R等のいくつかの変異体では、FGF21活性を維持し、かつ凝集の低減も示した。1つの変異体FGF21 A45Kでは、驚くべきことに、FGF21活性を高める一方で凝集低減特性をも示した。
所望の凝集低減FGF21変異体を特定する1つの選択標準は、変異体の活性が、野生型FGF21に比べ基本的に同じか、またはより高いことである。それ故、本発明の別の実施形態では、凝集低減特性があり、それでもなお、野生型FGF21に比べ基本的に同じか、またはより高い活性を保持しているFGF21変異体を対象とする。ある場合にはあまり望ましくないが、凝集低減特性はあるが、幾分低下した活性を示すFGF21変異体が、本発明の別の実施形態となっている。ときには、ある程度の凝集を維持することが望ましいことがあり、その結果、ある程度の凝集の発生を許容するFGF21変異体も、また、本発明の別の実施形態となっている。
本明細書にあるすべてのFGF21変異体と同様に、本明細書で提供される凝集低減FGF21変異体は、本明細書の記載に従い調製することができる。標準的分子生物学技術に通じている当業者なら、本開示を結びつけてその知識を使い、本発明の凝集低減FGF21変異体を作製し、使用することができる。標準的な方法を、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、組織培養、および形質転換(例えば、電気穿孔、リポフェクション法)用に使用することができる。例えば、Sambrook et al.、「分子クローニング:研究室マニュアル」、前出、を参照。この文献は、いかなる目的にも、参照により本明細書に組み込まれる。酵素反応および精製技術は、メーカーの仕様書に従って、当技術分野で通常行われるように、または本明細書の記載に従って実施することができる。特に定めがなければ、本明細書に記載されている分析化学、合成有機化学、および医薬品化学に関連して使われている命名法および検査法と技術は当技術分野でよく知られ、通常使われているものである。標準的な方法を、化学合成;化学分析;製剤、処方、および送達;ならびに患者の治療のために使用することができる。
本発明の凝集低減FGF21変異体は、別の実体に融合することもでき、これにより追加の特性を凝集低減FGF21変異体に付与することが可能となる。本発明の一実施形態では、凝集低減FGF21変異体は、IgGFc配列、例えば、配列番号11または171に融合できる。このような融合は、既知の分子生物学的手法および/または本明細書にある指針により実行可能である。融合ポリペプチドの利点、ならびにこのような融合ポリペプチドを作る方法については、本明細書でさらに詳細に検討する。
6.その他のFGF21変異体
本開示は、種々の変異型FGF21に関する。開示した変異は、種々の特性をFGF21分子に付与することができる。例えば、一部の開示した変異は、FGF21の半減期を延長でき、それにより治療薬特性を高めることができる。
一実施形態では、A180E変異は、成熟FGF21のC末端分解を最小化することが確認されている。従って、A180E変異は、本明細書で記載のように、単一変異として、または他の変異と組み合わせて、変異体FGF21配列の1つの要素を構成することができる。
別の実施形態では、L98R変異は、凝集を最小化し、成熟FGF21の溶解性を高めることが確認されている。従って、L98R変異は、本明細書で記載のように、単一変異として、または他の変異と組み合わせて、変異体FGF21配列の1つの要素を構成することができる。
別の実施形態では、P171G変異は、成熟FGF21のタンパク質分解開裂を最小化することが確認されている。従って、P171G変異は、本明細書で記載のように、単一変異として、または他の変異と組み合わせて、変異体FGF21配列の1つの要素を構成することができる。
さらに、本明細書で開示されている他の変異は、ジスルフィド結合の形成部位を提供し、その結果、タンパク質の安定性、例えば、FGF21を製剤中に配合する場合の安定性、を高めることにより、FGF21の安定性を高めることができる。さらに他の開示変異は、FGF21が酵母中で発現した際の、O−グリコシル化レベルを増加または低下させることができる。また他の変異は、プロテアーゼまたは他の化学攻撃がFGF21に作用し分解させる可能性がある、FGF21のC末端を含む位置での分解を中断させることができる。他の変異は、低減した脱アミド化特性を分け与えることができる。またされに他の変異は、FGF21の凝集度を低減することができ、その結果、溶解度を高めることができる。本明細書で記載のように、変異は、半減期延長成分、例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコール(PEG)またはIgG定常部のための付着点として役立つように導入することもできる。様々な手段を使って、これらの変異は、インビボまたはインビトロでFGF21の活性をネイティブFGF21よりも改善することができる。本明細書で記載のように、1つまたは複数の所望の特性を与える1つまたは複数の変異をFGF21配列に導入し、所望特性の累積的増強を得ることができる。
1つの実施例では、単一または一対のシステイン残基をFGF21配列のいくつかの位置に導入し、ジスルフィド結合の形成を促進することができる。導入されたシステイン残基は、また、ペグ化の部位としても役立たせることができる。C75とC93の間のネイティブジスルフィド結合を、インタクトのまま維持、または分断して、新しいジスルフィド結合をC75またはC93と導入したシステイン残基の間に形成することができる。システインが野性型残基を置換することができる位置の例を表2にまとめる。
Figure 2012525847
Figure 2012525847
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導入されたシステイン残基は、操作されたジスルフィド結合の形成を促進することができる。このようなジスルフィド結合は、治療薬処方の場合のような濃縮状態下での分子の安定性を含むFGF21ポリペプチドの安定性を促進することができる。操作されたジスルフィド結合対の例には、表3に示すものが含まれる。
Figure 2012525847
Figure 2012525847
Figure 2012525847
野性型FGF21にはみられないジスルフィド結合操作を目的としたシステインに対する変異のための1つまたは複数の残基対の選択は、FGF21の3次元モデルの分析に基づいて行うことができる。例えば、合理的なタンパク質の操作手法を使い、変異のために適切なFGF21中の残基を特定することができる。これは、Protein Databank(PDB)から入手したFGF19(1PWA)の高解像度(1.3Å)X線結晶構造検査により行うことができる。次に、このDatabankを利用して、例えば、MOE(Molecular Operating Environment;Chemical Computing Group;Montreal、Quebec、Canada)モデリングソフトウェアを用いて、FGF21の3D相同性モデルを作製することができる。PDBに登録されているタンパク質の中で、アミノ酸配列相同性の観点からFGF19が最もFGF21と関係が深いということから、FGF19は、有用なテンプレートである。
別の態様では、別の変異がFGF21配列に導入され、高濃縮液またはフェノール、m−クレゾール、メチルパラベン、レゾルシノールおよびベンジルアルコール、等の通常の製剤成分の条件下、FGF21の安定性を促進することができる。安定性を増大することができる変異の例には、表4に示されるものが含まれる。
Figure 2012525847
安定性増大変異のための1つまたは複数の残基対の選択は、FGF21の3次元モデルの分析に基づいて行うことができる。例えば、合理的なタンパク質の操作手法を使い、変異のために適切なFGF21中の残基を特定することができる。これは、Protein Databank(PDB)から入手したFGF19(1PWA)の高解像度(1.3Å)X線結晶構造検査により行うことができる。次に、このDatabankを利用して、例えば、MOE(Molecular Operating Environment;Chemical Computing Group;Montreal、Quebec、Canada)モデリングソフトウェアを用いて、FGF21の3D相同性モデルを作製することができる。PDBに登録されているタンパク質の中で、アミノ酸配列相同性の観点からFGF19が最もFGF21と関係が深いということから、FGF19は、有用なテンプレートである。
別の態様では別の変異がFGF21配列に導入され、いくつかの条件下の、FGF21ポリペプチドのタンパク質分解開裂の程度を減らすことができる。タンパク質分解開裂に対する耐性を与えることができる変異の例には、表5で示されるものが含まれる。
Figure 2012525847
さらなる態様では、別の変異がFGF21配列に導入され、高濃度等のいくつかの条件下、FGF21ポリペプチドの凝集を防止することができる。FGF21の凝集防止特性を与えることのできる例は、表6に示すものを含む。
Figure 2012525847
さらなる態様では、別の変異が、FGF21配列に導入されFGF21ポリペプチドのC末端分解を抑制できる。一部の実施形態では、C末端分解に耐性を示すFGF21変異体は、位置181にセリンを加え、その結果、FGF21変異体の長さを野性型の181残基の長さを超えて延長する1つまたは複数の残基を含む「キャップ」を含む。キャップは、任意の数の残基、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10残基を含むことができる。ロイシン、グリシン、セリンおよびプロリンを含む任意の残基をキャップとして用いることができる。キャップはただ1つの単一アミノ酸の残基である必要はなく、1、2、3、4、または5グリシン残基および/または1、2、3、4、または5セリン残基および/または1、2、3、4、または5プロリン残基および/または1、2、3、4、または5ロイシン残基、等の残基の組み合わせであってもよい。FGF21のC末端分解耐性を与えることができる変異の例には、表7で示すものが含まれる。
Figure 2012525847
さらなる態様では、別の変異がFGF21配列に導入され、GalNAcトランスフェラーゼ媒介グリコシル化のための部位を与えることができる。ここに、GalNAcが付加され、O−グリコシル化用の位置としての役目を果たす。下記の変異リストには、連続的および非連続的変異の点変異体ならびに配列の両方が含まれ、GalNAcがSまたはT残基に付加されることになる。FGF21のGalNAcトランスフェラーゼ媒介グリコシル化のための部位を与える変異の例には、表8に示すものが含まれる。同表中、複数のアミノ酸配列がある場合は、点変異体を下線付き太字で示した。
Figure 2012525847
Figure 2012525847
Figure 2012525847
Figure 2012525847
表8とは対照的に、追加の変異がFGF21配列に導入され、FGF21が酵母中で発現した場合に、野性型FGF21配列に比べてO−グリコシル化能力を低下させることができる。下記の変異リストには、連続的および非連続的変異の点変異体ならびに配列の両方が含まれる。FGF21配列が酵母中で発現した場合の、野性型FGF21配列に比べてO−グリコシル化能力の低下した変異の例には、S167A、S167E、S167D、S167N、S167Q、S167G、S167V、S167H、S167KおよびS167Yが含まれる。
Figure 2012525847
7.FGF21組み合わせ変異体
本明細書に記載のように、野性型FGF21配列は、FGF21が治療用分子として用いられる場合、大きな課題を生ずる可能性があるいくつかの特性を有している。これらの課題の中には、タンパク質の分解感受性と高濃度での凝集性向がある。これらの各課題を克服できるFGF21ポリペプチドを特定する種々の試みの後に、指向研究を行って、蛋白質分解耐性を与え、また、凝集低減特性を与えるアミノ酸置換が、単一ポリペプチド配列中で、野性型FGF21と比べ同等か、またはそれ以上の活性レベルを維持しながら、付加的な形で組み合わされるのか、あるいは相乗的な形で組み合わされるのかを特定した。特定のポリペプチドへの複数の変異の導入が、発現、活性、およびその結果のタンパク質製造に悪影響を及ぼす可能性があることは当技術分野では既知であるので、これは大きな課題となる。
驚くべきことに、例えば、実施例19と20に示されるように、いくつかのFGF21変異体の所望の特性が付加的または相乗的な形で組み合わされ、実際に、強化された医薬品特性を有するFGF21変異体を生成させうることが明らかになった。蛋白質分解に耐え、凝集速度を低下させ、しかも、野性型FGF21と比べ同等か、またはそれ以上の活性レベルを維持しているFGF21変異体が本明細書で開示される。
所望のFGF21組み合わせ変異体を特定する1つの選択標準は、FGF21変異体の活性が、野生型FGF21の活性に比べ類似しているか、またはより高いことである。それ故、本発明の別の実施形態では、タンパク質分解耐性と低減した凝集特性を有し、それでもなお、野生型FGF21に比べ類似しているか、またはより高い活性を保持しているFGF21変異体を対象とする。ある場合にはあまり望ましくないが、タンパク質分解耐性と低減した凝集特性を有しているが、幾分低下した活性を示すFGF21変異体が、本発明の別の実施形態となっている。ときには、ある程度の蛋白質分解および/または凝集を維持することが望ましいことがあり、その結果、ある程度の蛋白質分解および/または凝集の発生を許容するFGF21変異体も、また、本発明の別の実施形態となっている。
本明細書にあるすべてのFGF21変異体と同様に、本発明のFGF21組み合わせ変異体は、本明細書の記載に従い調製することができる。標準的分子生物学技術に通じている当業者なら、本開示を結びつけてその知識を使い、本発明のFGF21組み合わせ変異体を作製し、使用することができる。標準的な方法を、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、組織培養、および形質転換(例えば、電気穿孔、リポフェクション法)用に使用することができる。例えば、Sambrook et al.、「分子クローニング:研究室マニュアル」、前出、を参照。この文献は、いかなる目的にも、参照により本明細書に組み込まれる。酵素反応および精製技術は、メーカーの仕様書に従って、当技術分野で通常行われるように、または本明細書の記載に従って実施することができる。特に定めがなければ、本明細書に記載されている分析化学、合成有機化学、および医薬品化学に関連して使われている命名法および検査法と技術は当技術分野でよく知られ、通常使われているものである。標準的な方法を、化学合成;化学分析;製剤、処方、および送達;ならびに患者の治療のために使用。
本発明のFGF21組み合わせ変異体は、別の実体に融合することもでき、これにより追加の特性をFGF21組み合わせ変異体に付与することができる。本発明の一実施形態では、FGF21組み合わせ変異体は、IgG Fc配列、例えば、配列番号11または171に融合できる。このような融合は、既知の分子生物学的手法および/または本明細書にあるガイダンスにより実行可能である。融合ポリペプチドの利点、ならびにこのような融合ポリペプチドを作る方法については、本明細書でさらに詳細に検討する。
FGF21配列に導入可能な変異の例を、点変異または2つ以上の点変異体の組み合わせとして、表10にまとめる。
Figure 2012525847
Figure 2012525847
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Figure 2012525847
Figure 2012525847
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8.FGF21融合タンパク質
本明細書で使われる「FGF21融合ポリペプチド」または「FGF21融合タンパク質」という用語は、本明細書記載の任意のFGF21ポリペプチド変異体のN末端またはC末端にある1つまたは複数のアミノ酸残基(異種のタンパク質またはペプチド等)の融合体を指す。
異種のペプチドおよびポリペプチドには、これに限定されないが、FGF21ポリペプチド変異体の検出および/または単離を可能にさせるエピトープ;膜貫通型受容体タンパク質またはその一部、例えば、細胞外ドメインまたは膜貫通型の細胞内ドメイン;膜貫通型受容体タンパク質に結合するリガンドまたはその一部;触媒活性のある酵素またはその一部;オリゴマー化を促進するポリペプチドまたはペプチド、例えば、ロイシンジッパードメイン;安定性を高めるポリペプチドまたはペプチド、例えば、免疫グロブリン定常ドメイン(例えば、Fcドメイン);2つ以上の組み合わせ(例えば、2、5、10、15、20、25、等)の天然または天然に存在しない電荷のあるおよび/または電荷のないアミノ酸(例えば、セリン、グリシン、グルタミン酸またはアスパラギン酸酸)を含み、FGF21変異体のために、親水性主体のまたは疎水性主体の融合パートナーを形成するように考案された半減期延長配列;機能的または非機能的抗体、またはその重鎖または軽鎖;および本発明のFGF21ポリペプチド変異体とは異なる治療活性、等の活性を有するポリペプチド、が含まれる。また、本発明には、ヒト血清アルブミン(HSA)に融合したFGF21変異体が含まれる。
FGF21融合タンパク質は、異種の配列をFGF21ポリペプチド変異体のN末端またはC末端に融合することにより作ることができる。本明細書の記載のように、異種の配列は、アミノ酸配列でも、非アミノ酸含有ポリマーであってもよい。異種の配列は、直接的に、またはリンカーもしくはアダプター分子を介してFGF21ポリペプチド変異体に融合可能である。リンカーまたはアダプター分子は、1つまたは複数のアミノ酸残基(またはマー(mer))、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、または9残基(またはマー)、好ましくは10〜50アミノ酸残基(またはマー)、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、または50残基(またはマー)、また、さらに好ましくは15〜35アミノ酸残基(またはマー)であってもよい。リンカーまたはアダプター分子は、融合成分の分離を可能にするDNA制限エンドヌクレアーゼまたはプロテアーゼのための開裂部位を考慮して計画することも可能である。
a.Fc融合体
本発明の一実施形態では、FGF21ポリペプチド変異体は、Fcドメイン、例えば、1つまたは複数のヒトIgGのFc領域ドメインに融合される。抗体は、2つの機能的に独立した部位の、抗原に結合する「Fab」として知られる可変ドメイン、および補体活性化や食細胞による攻撃等のエフェクター機能に関与する「Fc」として知られる定常ドメイン、を含む。Fcは、長い血清中半減期を有し、一方Fabは短命である(Capon et al.、1989、Nature 337:525−31)。治療タンパク質と一緒に結合する場合、Fcドメインは、より長い半減期を与えることができる、またはFc受容体結合、タンパク質A結合、補体固定機能、およびおそらく胎盤通過の機能をも組み込むことができる(Capon et al.、1989)。
インビボ薬物動態学的分析で、マウス中では、ヒトFGF21は、高速クリアランスとインビボ分解により約1時間の短い半減期を有することが示された。従って、FGF21の半減期を延長するため、ネイティブFc配列をFGF21ポリペプチドのNまたはC末端に融合した。Fc配列の野性型FGF21への融合、特に、野性型FGF21のN末端へ融合したFcでは、予期したようには半減期を延長できなかった。しかし、この観察が、lFGF21のタンパク質のインビボ分解の研究、およびこのような分解に耐性を示すFGF21変異体の特定につながった。このような変異体は、例えば、実施例9と11に記載されており、野性型FGF21よりも長い半減期を示す。これらおよび他のFGF21融合タンパク質は、本発明の実施形態を構成する。
本開示全体を通して、Fc−FGF21は、Fc配列がFGF21のN末端に融合した融合タンパク質を指す。同様に、本開示全体を通して、FGF21−Fcは、Fc配列がFGF21のC末端に融合した融合タンパク質を指す。
得られたFGF21融合タンパク質は、例えば、タンパク質Aアフィニティカラムを使って精製することができる。Fc領域にに融合したペプチドおよびタンパク質は、インビボで実質的に非融合カウンターパートより長い半減期を示すことが明らかになった。また、Fc領域への融合により、融合ポリペプチドの二量体化/多量体化を生じさせる。Fc領域は、ネイティブFc領域、例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4のFc、であってもよく、改変して、特定の品質、例えば、治療薬品質、循環時間、または凝集低減品質、を改善してもよい。一例では、Fc領域は、IgG1 Fc、例えば、配列番号11であり、また、別の例では、Fc領域はIgG4 Fc、例えば、配列番号171である。
抗体の「Fc」ドメインとの融合によるタンパク質治療薬の有用な改変については、国際公開番号WO00/024782号で詳細に検討されている。この文献は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
b.融合タンパク質リンカー
本発明の融合タンパク質の形成に際し、必ずしも必要ではないが、リンカーを採用できる。リンガーがある場合、単なるスペーサーとしての役目をするだけのため、そのリンカーの化学構造は重要ではない可能性がある。リンカーは、ペプチド結合によって数珠つなぎにしたアミノ酸から作り上げることができる。本発明の一部の実施形態では、リンカーは、ペプチド結合で結合した1〜20アミノ酸から作られ、このアミノ酸は20天然アミノ酸から選択される。いくつかの実施形態では、1〜20アミノ酸は、アミノ酸のグリシン、セリン、アラニン、プロリン、アスパラギン、グルタミン、およびリシンから選択される。一部の実施形態では、リンカーは、その大部分が、グリシンやアラニン等の立体障害のないアミノ酸から作られる。一部の実施形態では、リンカーは、ポリグリシン((Gly)(配列番号29)および(Gly)(配列番号30)、等の)、ポリアラニン、グリシンとアラニンの組み合わせ(ポリ(Gly−Ala)、等の)、またはグリシンとセリンの組み合わせ(ポリ(Gly−Ser)等の)である。他の適切なリンカーには、(Gly)5-Ser-(Gly)3-Ser-(Gly)4-Ser(配列番号28)、(Gly)4-Ser-(Gly)4-Ser-(Gly)4-Ser(配列番号31)、(Gly)3-Lys-(Gly)4(配列番号32)、(Gly)3-Asn-Gly-Ser-(Gly)2(配列番号33)、(Gly)3-Cys-(Gly)4(配列番号34)、Gly-Pro-Asn-Gly-Gly (配列番号35)、Gly-Ser(Gly4Ser)3(配列番号166)、(Gly4Ser)4(配列番号167)、(Gly4S)2(配列番号168)、DAAAKEAAAKDAAAREAAARDAAAK(配列番号169)、NVDHKPSNTKVDKR(配列番号170)、が含まれる。15アミノ酸残基のリンカーがFGF21融合タンパク質には特に良好に機能することがわかったが、本発明では、任意の長さ、または組成物のリンカーを意図している。本開示では、リンカーが、Fcドメインのような異種の配列、およびFGF21ポリペプチドまたはFGF21変異体を結合するために採用される場合、リンカーを括弧で表した。
本明細書記載のリンカーは代表的なものであり、ずっと長いリンカーや他の残基を含むリンカーも本発明で意図されている。非ペプチドリンカーもまた、本発明で意図されている。例えば、−NH−(CH−C(O)−(s=2〜20)のようなアルキルリンカーが使用可能であろう。これらのアルキルリンカーは、任意の非立体障害基によりさらに置換可能である。この非立体障害基には、これに限定されないが、低級アルキル(例えば、C1〜C6)、低級アシル、ハロゲン(例えば、Cl、Br)、CN、NH、またはフェニルが含まれる。代表的非ペプチドリンカーはポリエチレングリコールリンカーであり、この場合、リンカーは、100〜5000kD、例えば、100〜500kD、の分子量を有する。
8.化学修飾FGF21変異体
本明細書記載の切断型FGF21を含む本明細書記載のFGF21ポリペプチド変異体の化学修飾型は、本明細書に記載された本開示を考慮すれば、当業者には調製可能である。このような化学修飾FGF21変異体は、化学修飾FGF21変異体が元々結合しているFGF21変異体の種類または位置の点で非修飾FGF21変異体とは異なるように改変される。化学修飾FGF21変異体には、1つまたは複数の元々結合している化学基の欠損によりできた分子を含むことができる。
一実施形態では、本発明のFGF21ポリペプチド変異体は、1つまたは複数のポリマーの共有結合により修飾できる。例えば、ポリマーは、通常、結合しているタンパク質が、生理的環境等の水性環境中で沈殿しないように水可溶性のものが選択される。適切なポリマーの範囲には、ポリマー混合物が含まれる。好ましくは、最終製剤の治療薬への使用のために、ポリマーは薬学的に許容可能なものとする。本発明のGF21ポリペプチド変異体に結合した非水溶性ポリマーもまた、本発明の一態様となる。
典型的なポリマーは、それぞれ、任意の分子量でよく、また、分岐でも非分岐でもよい。各ポリマーは、通常、約2kDa〜約100kDaの平均分子量を有する(用語の「約」は水可溶ポリマーの調製で、一部の分子が出発時の分子量より重くなる、および軽くなることを示している)。各ポリマーの平均分子量は、好ましくは、約5kDaと約50kDaの間であり、さらに好ましくは、約12kDaと約40kDaの間、最も好ましくは、約20kDaと約35kDaの間である。
適切な水可溶ポリマーまたはこれらの混合物には、限定されないが、N結合型またはO結合型炭水化物、糖、リン酸塩、ポリエチレングリコール(PEG)(モノ−(C〜C10)、アルコキシ−、またはアリールオキシ−ポリエチレングリコールを含む誘導体タンパク質に使用されているPEGの形を含む)、モノメトキシポリエチレングリコール、デキストラン(例えば、約6kDの低分子量デキストラン等の)、セルロース、または他の炭水化物ベースポリマー、ポリ−(N−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレン酸化物/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化されたポリオール(例えば、グリセリン)、およびポリビニルアルコール、が含まれる。また、本発明には、共有結合FGF21ポリペプチド変異体多量体の調製に使われる二官能性架橋分子が含まれる。また、本発明には、ポリシアル酸に共有結合したFGF21変異体も含まれる。
本発明の一部の実施形態では、FGF21変異体は、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリオキシエチレングリコール、またはポリプロピレングリコールを含む1つまたは複数の水可溶ポリマーを含むように、共有結合的または化学的に修飾される。例えば、米国特許第4、640、835;4、496、689;4、301、144;4、670、417;4、791、192;および4、179、337を参照。本発明の一部の実施形態では、FGF21変異体は、限定されないが、モノメトキシポリエチレングリコール、デキストラン、セルロース、別の炭水化物ベースポリマー、ポリ−(N−ビニルピロリドン)−ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレン酸化物/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化されたポリオール(例えば、グリセリン)、ポリビニルアルコール、またはこのようなポリマーの混合物、を含む1つまたは複数のポリマーを含む。
本発明の一部の実施形態では、FGF21変異体は、PEGサブユニットにより共有結合修飾される。一部の実施形態では、1つまたは複数の水可溶ポリマーが1つまたは複数のFGF21変異体の特定の位置(例えば、N末端に)に結合される。一部の実施形態では、1つまたは複数の水可溶のポリマーが1つまたは複数のFGF21変異体の側鎖に無作為的に結合される。一部の実施形態では、PEGを使ってFGF21変異体の治療能力を改善する。例えば、米国特許第6、133、426で、このような特定の方法が考察されている。この文献は、目的に応じ、参照によって本明細書に組み込まれる。
ポリマーがPEGである本発明の実施形態では、PEG基は任意の好都合な分子量でよく、また、直鎖であっても分岐であってもよい。PEG基の平均分子量は、好ましくは、約2kD〜約100kDaの範囲であり、さらに好ましくは、約5kDa〜約50kDaの範囲、例えば、10、20、30、40、または50kDaである。PEG基は通常、PEG成分上の反応基(例えば、アルデヒド、アミノ、チオール、またはエステル基)によるFGF21変異体上の反応基(例えば、アルデヒド、アミノ、またはエステル基)に対するアシル化または還元性アルキル化を経由してFGF21変異体と結合する。
本発明のFGF21変異体を含むポリペプチドのペグ化は、当技術分野で既知のペグ化反応のどれかを使って特定的に行うことができる。このような反応は、例えば、次の文献:Francis et al.、1992、「増殖因子へのフォーカス」3:4〜10;欧州特許第0154316号および0401384;ならびに米国特許第4、179、337号、に記載されている。例えば、本明細書で記載のように、反応性ポリエチレングリコール分子(または類似の反応性水可溶ポリマー)とのアシル化反応またはアルキル化反応を経由してペグ化を行うことができる。アシル化反応のために、選択したポリマーは、単一の反応性エステ基を持つ必要がある。還元的アルキル化のために、選択したポリマーは、単一の反応性アルデヒド基を持つ必要がある。反応性アルデヒドは、例えば、水に安定なポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、またはモノC〜C10アルコキシまたはそのアリールオキシ誘導体である(例えば、米国特許第5、252、714号参照)。
本発明の一部の実施形態では、PEG基のポリペプチドへの結合に関する有用な戦略として、溶液中での複合体結合の形成を介して、それぞれが相互に相手に対し反応性を有する特別な官能基を持つ、ペプチドとPEG成分を結合することが含まれる。ペプチドは、通常の固相合成により容易に調製可能である。ペプチドは、特異的部位の適切な官能基で「あらかじめ活性化」されている。前駆物質は、PEG成分と反応させる前に精製され、完全に特徴付けられる。ペプチドとPEGの連結反応は通常、水相で起こり、分析用逆相HPLCにより容易にモニターできる。ペグ化ペプチドは、分取HPLCにより容易に精製でき、分析用HPLC、アミノ酸分析およびレーザー脱離質量分析により容易に特徴付けることができる。
多糖ポリマーは、タンパク質修飾に使うことができる別のタイプの水可溶ポリマーである。従って、多糖ポリマー型に融合した本発明のFGF21変異体は、本発明の実施形態となる。デキストラン多糖ポリマーは、大部分はアルファ1〜6連結により結合されているグルコースの各サブユニットからなる。デキストランそれ自体は、多くの分子量の範囲で入手可能であり、約1kD〜約70kDの分子量で容易に入手可能である。デキストランは、それ自体で賦形剤として、または別の賦形剤(例えば、Fc)と組み合わせて使用するための適切な水可溶ポリマーである。例えば、国際公開第WO 96/11953を参照。この特許は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明はまた、約1kD〜約20kDのデキストランの使用も包含する。
通常、化学的修飾は、タンパク質を活性化したポリマー分子と反応させるのに使われる任意の適切な条件の下で行うことができる。化学修飾ポリペプチドを調製する方法は、一般的には、(a)ポリペプチドを、FGF21ポリペプチド変異体が1つまたは複数のポリマー分子と結合する条件下で、活性化したポリマー分子(ポリマー分子の反応性エステルまたはアルデヒド誘導体、等の)と反応させるステップと、(b)反応生成物を得るステップを含む。最適反応条件は、既知のパラメーターと希望する結果に基づいて決定される。例えば、タンパク質に対するポリマー分子の比率が大きいほど、結合ポリマー分子のパーセンテージが大きくなる。本発明の一実施形態では、化学修飾FGF21変異体は、アミノ末端に単一ポリマー分子成分を持つことができる(例えば、米国特許第5、234、784を参照)。
本発明の別の実施形態では、FGF21ポリペプチド変異体は、ビオチンに化学的に結合できる。次に、ビオチン/FGF21ポリペプチド変異体を、アビジンに結合させ、四価のアビジン/ビオチン/FGF21ポリペプチド変異体ができる。FGF21ポリペプチド変異体は、ジニトロフェノール(DNP)またはトリニトロフェノール(TNP)に共有結合可能で、得られた複合体は、抗DNPまたは抗TNP−IgMで沈殿し、10価の十量体複合物を形成する。
一般的に、開示の化学修飾FGF21変異体の投与により緩和または調節される状態には、FGF21ポリペプチド変異体のために本明細書に記載される状態が含まれる。しかし、本明細書で開示の化学修飾FGF21変異体は、非修飾FGF21変異体に比べて、追加の活性、強化されたまたは低減した生物活性、または他の特性、例えば、延長した、又は短縮された半減期の延長や短縮を有することができる。
9.FGF21変異体の医薬品組成物およびその投与
FGF21変異体を含む医薬品組成物は、本発明の範囲内であり、強化特性を示すいくつかの変異体FGF21配列の特定の観点から特に考慮されている。このようなFGF21変異体医薬品組成物は、治療有効量のFGF21ポリペプチド変異体を、薬学的にまたは生理学的に受容可能な、投与形態と適合するように選択した処方剤と組み合わせて含むことができる。受容可能な処方剤は、使用する用量と濃度で、受容者に対し非毒性であることが好ましい。
医薬品組成物は、例えば、pH、モル浸透圧濃度、粘度、清澄性、色、等張性、匂い、無菌、安定性、溶解速度または放出、吸着、または組成物の浸透を改変、維持、または保存するための処方剤を含んでもよい。適切な処方剤には、これに限定されないが、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、またはリシン、等)、抗菌剤、抗酸化剤(アスコルビン酸、ナトリウム亜硫酸塩、またはナトリウム水素亜硫酸塩、等)、緩衝剤(ホウ酸塩、重炭酸塩、トリス塩酸、クエン酸塩、リン酸塩、または他の有機酸、等)、増量剤(マンニトールまたはグリシン、等)、キレート化剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等)、錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、ベータシクロデキストリン、またはヒドロキシプロピルベータシクロデキストリン、等)、充填剤、単糖類、二糖類、および他の炭水化物(グルコース、マンノース、またはデキストリン、等)、タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン、等)、着色剤、香料および希釈剤、乳化剤、親水性高分子(ポリビニルピロリドン等)、低分子量ポリペプチド、塩成形対イオン(ナトリウム等)、防腐剤(ベンズアルコニウム塩化物、安息香酸酸、サリチル酸酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸酸、または水素過酸化物、等)、溶剤(グリセリン、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコール、等)、糖アルコール(マンニトールまたはソルビトール、等)、懸濁剤、界面活性剤または湿潤剤(プルロニック;PEG;ソルビタンエステル;ポリソルベート20またはポリソルベート80等のポリソルベート;トリトン;トロメタミン;レシチン;コレステロールまたはチロキサポール)、安定性増大剤(ショ糖またはソルビトール、等)、浸透圧増強剤(アルカリ金属ハライド−おそらく、ナトリウムまたは塩化カリウム−またはマンニトールソルビトール、等)、送達賦形剤、希釈剤、賦形剤および/または医薬品アジュバント、が含まれる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(18thEd.、A.R.Gennaro、ed.、Mack Publishing Company 1990)、および続版を参照。この文献は、いかなる目的でも、参照により本明細書に組み込まれる。)。
最適な医薬品組成物は、例えば、目的の投与経路、送達形式、および所望の投与量に従って当業者により決定される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、前出、を参照)。このような組成物は、FGF21ポリペプチド変異体の物理的状態、安定性、インビボ放出速度、およびインビボクリアランス速度に影響を与え得る。
医薬品組成物中の主要な賦形剤または担体は、本性として、水性または非水性であってもよい。例えば、注入用に適切な賦形剤または担体は、水、生理的な食塩水溶液、または人工脳脊髄液であり得、非経口投与の組成物でよく使われる他の物質で補充され得る。中性の緩衝食塩水または血清アルブミンと混合した食塩水がさらなる代表的賦形剤である。他の代表的医薬品組成物は、pH約7.0〜8.5のトリス緩衝液、またはpH約4.0〜5.5の酢酸塩緩衝液であり、これらはさらにソルビトールまたは適切な代用品を含んでもよい。本発明の一実施形態では、FGF21ポリペプチド変異体組成物は、所望の程度の純度を有する選択した組成物を任意選択の処方剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences、前出)と共に混合し、凍結乾燥したケーキまたは水溶液の形で貯蔵するために調製することもできる。さらに、FGF21ポリペプチド変異体生成物は、ショ糖のような適切な賦形剤を使って、凍結乾燥物として処方できる。
FGF21ポリペプチド変異体医薬品組成物は、非経口送達用として選択できる。あるいは、組成物は、吸入用または経口等の消化管経由送達用として選択できる。このような薬学的に許容可能な組成物は、当業者の技術範囲内にある。
製剤成分は、投与部位に受容可能な濃度で含まれる。例えば、緩衝剤は組成物を生理的なpHに、またはそれよりわずかに低いpHに、通常は、約5〜約8のpH領域内に維持するために用いられる。
非経口の投与が意図される場合は、本発明で用いる治療組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤中に所望のFGF21ポリペプチド変異体を含む、発熱性物質の入らない、非経口的に受容可能な水溶液の形とすることができる。非経口注入用として特に好適な賦形剤は、無菌の蒸留水であり、その蒸留水中でFGF21ポリペプチド変異体が無菌の、等張性溶液として処方され、適切に保存される。さらに別の調製には、所望の分子と、次のステップで蓄積注入により送達できる生成物の制御放出または徐放を可能とする試薬、例えば、注入可能微粒子、生体内分解性粒子状物質、重合体化合物(ポリ乳酸またはポリグリコール酸、等)、ビーズ、またはリポソーム、との製剤を含んでもよい。ヒアルロン酸も使用でき、循環血液中の持続期間を延長する効果を有し得る。所望の分子の導入のための他の適切な手段には、埋め込み型薬剤送達装置が含まれる。
一実施形態では、医薬品組成物は、吸入用として処方できる。例えば、FGF21ポリペプチド変異体は、吸入用乾燥粉として処方できる。また、FGF21ポリペプチド変異体吸入溶液を、エアロゾル送達のために噴霧剤と共に処方できる。さらに別の実施形態では、溶液が噴霧できる。肺内投与は国際公開第WO94/20069号でさらに記載されており、これには、化学修飾タンパク質の肺内送達について記載されている。
特定の製剤は、経口で投与できることも意図される。本発明の一実施形態では、この方式で投与されるFGF21ポリペプチド変異体は、錠剤およびカプセル剤のような固形の剤形に使われている配合で通例使用される担体を使用して、または使用しないで処方できる。例えば、カプセルを、胃腸管でバイオアベイラビリティが最大になり、前全身性分解(pre−systemic degradation)が最小になる時点で製剤の有効部を放出するように計画できる。追加の試薬を加え、FGF21ポリペプチド変異体の吸収を促進することができる。希釈剤、香料、低融点ろう、植物油、滑剤、懸濁剤、錠剤崩壊剤、および結合剤もまた用いることができる。
別の医薬品組成物では、有効量のFGF21ポリペプチド変異体を、錠剤の製造に適した非毒性賦形剤との混合物として含むことができる。錠剤を無菌の水、または別の適切な溶剤に溶解して、溶液を単位用量剤形として調製できる。適切な賦形剤には、限定されないが、不活性希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムもしくは重炭酸ナトリウム、ラクトース、もしくはリン酸カルシウム;または結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン、もしくはアラビアゴム;または滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、もしくは滑石が含まれる。
別のFGF21ポリペプチド変異体医薬品組成物は、徐放または制御放出製剤中のFGF21ポリペプチド変異体含有製剤も含めて、当業者には自明であろう。種々の他の徐放または制御放出手段を構築するための技術、例えば、リポソーム担体、生体内分解性微小粒子または多孔性ビーズおよび蓄積注入は当業者には既知である(例えば、国際公開第WO93/15722号(医薬品組成物の送達のための多孔性重合体微小粒子の徐放について記載)、ならびにWischke&Schwendeman、2008、Int.J.Pharm.364:298−327、およびFreiberg&Zhu、2004、Int.J.Pharm.282:1−18(微粒子/微小粒子の調製と使用について考察)、を参照)。本明細書で記載のように、ヒドロゲルは、徐放または制御放出製剤の一例である。
徐放剤の別の例には、フィルム、またはマイクロカプセル、等の造形品の形をした半透性ポリマー基質が含まれる。徐放基質には、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリ乳酸(米国特許第3、773、919号および欧州特許第0058481号)、L−グルタミン酸とガンマエチル−L−グルタメートの共重合体(Sidman et al.、1983、Biopolymers 22:547−56)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリル酸塩)(Langer et al.、1981、J.Biomed.Mater.Res.15:167−277およびLanger、1982、Chem.Tech.12:98−105)、エチレンビニル酢酸塩(Langer et al.、前出)またはポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸(欧州特許第0133988号)を含んでもよい。また、徐放組成物には、当技術分野で既知のいくつかの方法の内のいずれかを使って調製できるリポソームを含んでもよい。例えば、Epstein et al.、1985、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.82:3688−92;および欧州特許第0036676、0088046、および0143949号を参照。
インビボ投与に使われるFGF21ポリペプチド変異体医薬品組成物は、通常無菌である必要がある。これは、細菌濾過膜を通して濾過することにより達成することができる。組成物を凍結乾燥する場合は、この方法による滅菌は、凍結乾燥と再構成の前、あるいは後で行うことができる。非経口投与用の組成物は、凍結乾燥した形または溶液で貯蔵可能である。さらに、非経口組成物は、通常、無菌のアクセスポートを有する容器、例えば、静脈内溶液バッグまたは皮下組織注射針により貫通可能な栓を有するバイアル、中に入れる。
医薬品組成物を処方するとすぐに、無菌のバイアル中に、溶液、懸濁液、ゲル、乳剤、固体として、または脱水もしくは凍結乾燥した粉末として保存できる。このような製剤は、すぐに使える形、または投与前に再構成が必要な形(例えば、凍結乾燥した)で保存できる。
特定の実施形態では、本発明は、一回用量投与ユニットを作製するためのキットに関する。各キットは、乾燥したタンパク質を入れた第1の容器および水性製剤を入れた第2の容器の両方を含むことができる。また、単一および多室薬剤充填済み注射器(例えば、液体注射器およびリオシリンジ(lyosyringe))を含むキットも本発明の範囲に含まれる。
治療目的で採用されるFGF21ポリペプチド変異体医薬品組成物の有効量は、例えば、治療の状況と目的によって決まる。当業者なら、治療のための適切な投与量は、1つには、送達される分子、FGF21ポリペプチド変異体が使われる適応症、投与経路、および患者の大きさ(体重、体表面、または器官サイズ)および状態(年齢および総体的な健康)によって変化することを理解できる。従って、臨床医は、投与量を決め、投与経路を変更して最適治療効果を得ることができる。通常の投与量は、上述の因子に依存して、約0.1μg/kgから約100mg/kgまたはそれ以上までの範囲にすることができる。他の実施形態では、投与量は、0.1μg/kgから約100mg/kgまで;または1μg/kgから約100mg/kgまで;または5μg/kg、10μg/kg、15μg/kg、20μg/kg、25μg/kg、30μg/kg、35μg/kg、40μg/kg、45μg/kg、50μg/kg、55μg/kg、60μg/kg、65μg/kg、70μg/kg、75μg/kgから約100mg/kgまでの範囲にすることができる。さらに別の実施形態では、投与量は、50μg/kg、100μg/kg、150μg/kg、200μg/kg、250μg/kg、300μg/kg、350μg/kg、400μg/kg、450μg/kg、500μg/kg、550μg/kg、600μg/kg、650μg/kg、700μg/kg、750μg/kg、800μg/kg、850μg/kg、900μg/kg、950μg/kg、100μg/kg、200μg/kg、300μg/kg、400μg/kg、500μg/kg、600μg/kg、700μg/kg、800μg/kg、900μg/kg、1000μg/kg、2000μg/kg、3000μg/kg、4000μg/kg、5000μg/kg、6000μg/kg、7000μg/kg、8000μg/kg、9000μg/kgまたは10mg/kgとすることができる。
投薬頻度は、使われる製剤中のFGF21ポリペプチド変異体の薬物動態学的パラメーターによって決まる。通常、臨床医は、所望の効果が得られる投与量までその組成物を投与する。従って、組成物は、1回用量として、2回またはそれ以上の用量(同じ量の所望の分子が含まれていても含まれていなくてもよい)として、または埋め込み装置またカテーテル経由の連続注入により時間をかけて投与できる。適切な投与量のさらなる微調整は、当業者により日常的に行われており、日常的に行われている作業の範囲内である。適切な用量は、適切な用量反応データを使って確認することができる。
医薬品組成物の投与経路は、既知の方法、例えば、経口;静脈内、腹腔内、大脳内(実質内)、脳室内、筋肉内、眼内、動脈内、門脈内、または病巣内経路の注入による;徐放製剤(注射してもよい)による;または埋め込み装置による方法に従う。所望なら、ボーラス注射もしくは連続注入により、または埋め込み装置により組成物を投与できる。
代替として、または追加で、所望の分子が吸収、またはカプセル化された膜、スポンジ、または他の適切な材料の埋め込みによって局所的に組成物を投与できる。埋め込み手段が使われる場合は、その手段は任意の適切な組織または器官に埋め込むことができ、所望の分子の送達は、拡散、持続放出急速投与、または連続投与経由であってもよい。
長期間にわたり所望の治療効果を得るレベルで薬剤濃度を維持することができるように、既定の速度で薬剤、例えば、本明細書で開示のFGF21変異体を送達するために、種々の異なる方式を用いることができる。一例では、ゼラチン(例えば、ウシゼラチン、ヒトゼラチン、または別のソース由来のゼラチン)等、または天然もしくは合成ポリマーを含むヒドロゲルを使うことができる。任意の割合、例えば、5、10、15または20%、のポリマー(例えば、ゼラチン)をヒドロゲル中に入れることができる。適切な濃度の選択は、種々の因子、例えば、所望の治療薬プロファイルおよび治療薬分子の薬物動態学的プロファイル、に依存し得る。
ヒドロゲル中に組み込むことができるポリマーの例には、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド−コポリプロピレン酸化物、コポリエチレンオキシドブロックまたはランダム共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ(ビニルピロリジノン)、ポリ(アミノ酸)、デキストラン、ヘパリン、多糖類、ポリエーテル、等が含まれる。
ヒドロゲル製剤作製時に考慮されるべき別の因子は、ヒドロゲル中の架橋度と架橋剤である。一実施形態では、架橋はメタクリル酸無水物を使うメタクリル化反応経由で得ることができる。ある場合には、高度の架橋が望ましく、他の場合には、低架橋度が好ましいことがある。いくつかの場合では、高度の架橋により、より長い持続放出が得られる。より高度の架橋によりより堅固なヒドロゲルが得られ、より長い期間にわたって薬剤が放出されうる。
任意の架橋剤(例えば、メタクリル酸無水物)に対するポリマーの比率を用いて所望の特性を有するヒドロゲルを作製できる。例えば、ポリマーの架橋剤に対する比率は、例えば、8:1、16:1、24:1、または32:1であってもよい。例えば、ヒドロゲルポリマーがゼラチンで架橋剤がメタクリル酸塩の場合は、メタクリル酸無水物:ゼラチンの比率として8:1、16:1、24:1、または32:1を用いることができる。
10.FGF21ポリペプチド変異体の治療上の使用
FGF21ポリペプチド変異体は、代謝障害を含むがそれに限定されない多くの疾患、障害、または状態の治療、診断、回復または予防のために使用できる。一実施形態では、治療される代謝障害は糖尿病、例えば、2型糖尿病である。別の実施形態では、代謝障害は肥満症である。他の実施形態では、脂質異常症、等の代謝状態または障害;高血圧症;非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)等の肝脂肪症;アテローム性動脈硬化等の心臓血管疾患;および老化が含まれる。
適用に際しては、糖尿病もしくは肥満症のような障害または状態は、本明細書で記載のように、FGF21ポリペプチド変異体の治療有効量を、それを必要としている患者に投与することにより治療できる。投与は、本明細書に記載のように、例えば、錠剤または液体の形で、IV注入、腹腔内注入、筋肉内注入、または経口により行うことができる。大抵の場合は、所望の投与量は、本明細書に記載のように、臨床医が決定することができ、治療効果のある量のFGF21変異体ポリペプチドを表し得る。FGF21変異体ポリペプチドの治療有効量は、とりわけ、投与スケジュール、投与される試薬の単位用量、核酸分子またはポリペプチドが他の治療薬と組み合わせて投与されるか否か、受容者の免疫状態および健康に依存することは当業者には明らかであろう。本明細書に使われている「治療有効量」という用語は、研究者、医師、または他の臨床医により研究されている組織系、動物、またはヒトの、治療している疾患または障害の症状の緩和を含む、生物学的または医薬的反応を誘導するFGF21変異体ポリペプチドの量を意味する。
11.抗体
本発明のFGF21変異体ポリペプチドに特異的に結合するが、野性型FGF21ポリペプチドには特異的に結合しない抗体および抗体断片が意図されており、これは本発明の範囲内にある。抗体は、単一特異性ポリクローナルを含むポリクローナル;モノクローナル(MAb);組換え型;キメラ;相補性決定領域(CDR)グラフト化のようなヒト化、;ヒト;一本鎖;および/または二重特異性;ならびに断片;変異体;の抗体またはその化学修飾分子であってもよい。抗体断片には、FGF21変異体ポリペプチドのエピトープに特異的に結合する抗体の一部が含まれる。このような断片の例には、完全長抗体の酵素的開裂により生じるFabおよびF(ab’)断片が含まれる。他の結合断片には、抗体変数領域をコードする核酸配列を含む組換えプラスミドの発現等の組換DNA技術により作製したものが含まれる。
「特異的に結合する」という用語は、抗体との関連で使われる場合、異種のタンパク質集団および/または他の生物学的物質の存在下、抗体がその標的と結合することを意味する。さらに具体的には、抗体が特異的にその標的に結合する場合、このことは、所定のイムノアッセイ条件下、抗体がその標的に結合し、また、試料中に存在する他のタンパク質に対し有意な量で結合しないことを意味する。任意の好都合なイムノアッセイ形態、例えば、固相ELISAイムノアッセイを使って特異的にその標的に結合している抗体を特定することができる。例えば、Harlow and Lane(1988)「抗体:研究室マニュアル」、Cold Spring Harbor Publications、New Yorkを参照。FGF21変異体ポリペプチドに結合するポリクローナル抗体は、通常、動物(例えば、ウサギまたはマウス)へのFGF21変異体ポリペプチドとアジュバントの複数回の皮下または腹腔内注射によって産生される。FGF21変異体ポリペプチドを、免役される種に対して免疫原性である担体タンパク質に複合化することが有用でありうる。担体タンパク質には、例えば、スカシ貝ヘモシアニン、血清、アルブミン、ウシチログロブリン、または大豆トリプシン阻害剤がある。また、ミョウバンのような凝集剤が免疫応答を促進するために使われる。免疫化後、動物から採血し、血清をアッセイし抗FGF21変異体抗体力価を求める。
FGF21変異体ポリペプチドに結合するモノクローナル抗体は、培養下の連続継代性細胞株による抗体分子の産生を行う任意の方法を使って産生することができる。モノクローナル抗体を調製する適切な方法の例には、ハイブリドーマ法(Kohler et al.、1975、Nature256:495−97)およびヒトハイブリドーマ法(Kozbor、1984、J.Immunol.133:3001;Brodeur et al.、「モノクローナル抗体産生技術と適用」51−63(Marcel Dekker、Inc.、1987)がある。また、FGF21変異体ポリペプチドと反応するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株も、本発明により提供される。
本発明のモノクローナル抗体は、治療薬として使用するために修飾することができる。一実施形態では、モノクローナル抗体は、「キメラ」抗体であり、重(H)鎖および/または軽(L)鎖の一部が、特定の種由来の、または特定の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体に対応する配列に同じか、または相同であり、一方、残りの鎖は、別の種由来の、または別の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体に対応する配列に同じか、または相同である。このような抗体断片も、所望の生物活性を示す限り、本発明に含まれる。例えば、米国特許第4、816、567号;Morrison et al.、1985、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.81:6851−55を参照。
別の実施形態では、本発明のモノクローナル抗体は、「ヒト化」抗体である。非ヒト抗体をヒト化する方法は当技術分野でよく知られている。例えば、米国特許第5、585、089号および5、693、762号参照。一般的に、ヒト化抗体は、非ヒトの供給源から導入した1つまたは複数のアミノ酸残基を有する。ヒト化を、例えば、技術的に記載された方法(例えば、Jones et al.、1986、Nature 321:522−25;Riechmann et al.、1998、Nature 332:323−27;Verhoeyen et al.、1988、Science 239:1534−36を参照)を使って、ヒト抗体の対応する領域をげっ歯類の相補性決定領域の少なくとも一部で置換することにより、行うことができる。
また、本発明のFGF21変異体ポリペプチドに結合するヒト抗体も本発明に含まれる。内在性免疫グロブリン産生なしで、ヒト抗体のレパートリーを作製できるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を使って、このような抗体は、FGF21変異体由来の抗原(すなわち、少なくとも6近接アミノ酸を有する)での免疫化により産生され、また、任意選択として、担体に複合化される。例えば、Jakobovits et al.、1993、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:2551−55;Jakobovits et al.、1993、Nature 362:255−58;Bruggermann et al.、1993、Year in Immuno.7:33を参照。1つの方法では、このようなトランスジェニック動物は、免疫グロブリン重軽鎖をコードする内在性座位を無能力化し、ゲノム中のヒト重鎖と軽鎖タンパク質をコードした座位を挿入することにより作られる。部分的改変動物、すなわち、改変の完全補完に満たない動物、が、次のステップで交雑されて、すべての所望の免疫系改変を有する動物が得られる。免疫原を投与すると、これらのトランスジェニック動物は、これらの抗原に対して免疫特異的な可変領域を含む、(例えば、マウスではなく)ヒトアミノ酸配列を有する抗体を産生する。例えば、国際公開第WO96/33735号およびWO94/02602号参照。さらなる方法が、米国特許第5、545、807号、国際公開第WO91/10741号およびWO90/04036号、ならびに欧州特許第0546073号に記載されている。ヒト抗体は、本明細書に記載のように、宿主細胞中での組換えDNAの発現、またはハイブリドーマ細胞中での発現によっても産生できる。
別の実施形態では、ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリーからも産生できる(例えば、Hoogenboom et al.、1991、J.Mol.Biol.227:381;Marks et al.、1991、J.Mol.Biol.222:581を参照)。これらのプロセスは、繊維状バクテリオファージの表面に抗体レパートリーを提示し、その後の、選択した抗原に対する結合によるファージの選択を介して、免疫選択を模倣する。
キメラ、CDRグラフト化、およびヒト化抗体は、通常、組換え法により産生される。抗体をコードする核酸が、本明細書に記載の材料およびプロセスを使って、宿主細胞に導入され、発現される。一実施形態では、抗体は、CHO細胞のような哺乳類動物宿主細胞で産生される。モノクローナル(例えば、ヒト)抗体は、本明細書に記載のように、宿主細胞中での組換えDNAの発現、またはハイブリドーマ細胞中での発現により産生できる。
本発明の抗FGF21変異体抗体は、変異体ポリペプチドの検出と定量FGF21のための既知の任意のアッセイ方法、例えば、競合結合試験、直接および間接サンドイッチ法、ならびに免疫沈降アッセイで使用可能である(例えば、Sola、モノクローナル抗体:技術マニュアル147−158(CRCPress、Inc.、1987)を参照。この文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。抗体は、採用したアッセイ方法に適した親和性でFGF21変異体ポリペプチドに結合する。
特定の実施形態では、診断への適用の目的で、抗FGF21変異体抗体を検出可能成分で標識付けできる。検出可能成分は、直接、または間接的に検出可能信号を生成できる任意の成分であってよい。例えば、検出可能成分は、H、14C、32P、35S、125I、99Tc、111In、または67Ga等の放射性同位元素;フルオレセインイソチオシアン酸塩、ローダミン、またはルシフェリン等の蛍光または化学発光化合物;または、アルカリフォスファターゼ、βガラクトシダーゼ、または西洋わさびペルオキシダーゼ等の酵素であってもよい(Bayer et al.、1990、Meth.Enz.184:138−63)。
競合結合試験は、標識付けした標準(例えば、FGF21変異体ポリペプチド、またはその免疫的に反応する部分)が、限られた量の抗FGF21変異体抗体との結合に対して、試料分析物(例えば、FGF21変異体ポリペプチド)との間で競合する能力に依存している。試料中のFGF21変異体ポリペプチドの量は、抗体に結合する標準の量に逆比例する。結合した標準の量の測定を早めるため、抗体は、通常、競合の前、または後で不溶化され、抗体に結合している標準および分析試料を非結合で残っている標準と分析試料から簡単に分離できるようにする。
サンドイッチ法は、通常、2つの抗体が使用され、それぞれが、検出および/または定量されるタンパク質の異なる免疫原性部分、またはエピトープと結合できる。サンドイッチ法では、試験試料分析物は、通常、固体支持体に固定された最初の抗体により結合され、その後、第2の抗体が試料分析物に結合し、不溶性の3つの部分から構成される複合体を生成する。例えば、米国特許第4、376、110号参照。第2の抗体は、それ自身に検出可能成分で標識付けしてもよく(直接サンドイッチ法)または検出可能成分で標識付けした抗免疫グロブリン抗体を使って(間接サンドイッチ法)、測定できる。例えば、1つのタイプのサンドイッチ法は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)であり、この場合、検出可能成分は酵素である。
本発明の抗FGF21変異体抗体は、インビボ画像処理にも有用である。検出可能成分で標識付けした抗体は、動物に、好ましくは、血流中に投与でき、宿主中の標識付けした抗体の存在と位置がアッセイされる。抗体は、動物中で、当技術分野で既知の核磁気共鳴、放射線医学、または他の検出手段によって検出可能な任意の成分で標識付けできる。
本発明のFGF21変異体抗体は、治療薬として使用できる。これらの治療薬は、通常、FGF21変異体ポリペプチドの少なくとも1つの生物活性を、それぞれ強化または低減する点でアゴニストまたはアンタゴニストである。一実施形態では、本発明のアンタゴニスト抗体は、インビボまたはインビトロで、特異的にFGF21変異体ポリペプチドに結合でき、また、FGF21変異体ポリペプチドの機能活性を抑制または除去できる抗体またはその結合断片である。一部の実施形態では、アンタゴニスト抗体は、FGF21変異体ポリペプチドの機能活性を少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約80%抑制する。別の実施形態では、抗FGF21変異体抗体は、インビトロまたはインビボで、FGF21変異体ポリペプチドとFGF受容体間の相互作用に干渉し、これによりFGF21変異体ポリペプチド活性を抑制または除去できる。アゴニストおよびアンタゴニスト抗FGF21変異体抗体は、当技術分野でよく知られたスクリーニングアッセイにより特定される。
また、本発明は、生物試料中のFGF21変異体ポリペプチドレベルを検出するためのFGF21変異体抗体および有用な他の試薬を含むキットに関する。そのような試薬には、検出可能な標識、ブロッキング血清、陽性および陰性対照試料、ならびに検出試薬が含まれうる。
(実施例)
以下の実施例は、本発明の具体的実施形態、およびその種々の使用の説明のためのものである。これらは、説明の目的にのみ記述されており、本発明の範囲を多少なりとも制限すると解釈すべきではない。
FGF21発現構築物の調製
成熟FGF21ポリペプチドをコードする核酸配列を、成熟FGF21配列の5’および3’末端に対応するヌクレオチド配列を有するプライマーを使って、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅により得た。表11に成熟FGF21配列を増幅するために使用したプライマーを示す。
Figure 2012525847
成熟FGF21発現構築物を調製するために使われるプライマーが、配列の定方向クローニングのための、制限エンドヌクレアーゼ部位(NdeI部位には、細菌発現用のN末端メチオニンも含まれる)を適切な発現ベクター(例えば、pET30(Novagen/EMD Biosciences;SanDiego、CA)またはpAMG33(Amgen;Thousand Oaks、CA))に組み込んだ。発現ベクターpAMG33は、低複製数R−100複製起点、改変ラックプロモーター、およびカナマイシン耐性遺伝子を含む。発現ベクターpET30は、pBR322由来複製起点、誘導性T7プロモーター、およびカナマイシン耐性遺伝子を含む。pAMG33からの発現が高いことが認められたが、pET30の方が信頼性の高いクローニングベクターであることが見出された。従って、本開示で記載された大抵の構築物は、まず、pET30で作製し、次いで有効性について選別した。さらに増幅するため、選択した配列をpAMG33に移した。
FGF21配列を、40.65μLのdHO、5μLのPfuUltra II反応緩衝液(10x)、1.25μLのdNTP Mix(40mM−4x10mM)、0.1μLテンプレート(100ng/mL)、1μLプライマー1(10μM)、1μLプライマー2(10μM)、および1μLのPfuUltra II融合HSDNAポリメラーゼ(Stratagene;La Jolla、CA)を含む反応混合物中で増幅した。増幅反応は、95℃で2分加熱;次に95℃で20秒間、60℃で20秒間を10サイクル(サイクル毎に1℃ずつ下げて)、さらに72℃で15秒間/所望の産物のキロベース;次に94℃で20秒間を20サイクル、55℃で20秒間、さらに72℃で15秒間/所望の産物のキロベース;次に72℃で3分間、の条件で行った。増幅産物を、制限エンドヌクレアーゼNdeI、DpnI、およびEcoRIで消化し;適切なベクターに連結し;次にコンピテント細胞に転換した。
細菌からのFGF21タンパク質の精製
以下の実施例では、野性型FGF21ポリペプチド、切断型FGF21ポリペプチド、FGF21変異体、およびFGF21融合タンパク質を含む種々のFGF21タンパク質が、細菌発現システムで発現された。特に別段の指定がなければ、以下で記載の発現の後、FGF21タンパク質を、この実施例に示すように精製した。
細菌封入体から野性型FGF21ポリペプチド、切断型FGF21ポリペプチド、およびFGF21変異体を精製するために、2回洗浄封入体(DWIB)を塩酸グアニジンおよびpH8.5のトリス緩衝液中のDTTを含む可溶化緩衝液に溶解した。これを次に室温で1時間混合し、可溶化混合物を尿素、アルギニン、システイン、およびシスタミン塩酸塩を含むpH9.5のリフォールディング緩衝液に加え、5℃で24時間混合した(例えば、Clarke、1998、Curr.Opin.Biotechnol.9:157−63;Mannall et al.、2007、Biotechnol.Bioeng.97:1523−34;Rudolph et al.、1997、「折り畳み構造タンパク質」タンパク質の機能:実践的アプローチ(Creighton、ed.、New York、IRL Press)57−99;およびIshibashi et al.、2005、Protein Expr.Purif.42:1−6を参照)。
可溶化とリフォールディングに続いて、この混合物を0.45ミクロンフィルターを通して濾過した。次に20psiの膜間差圧(TMP)で10kD分子量カットオフPall Omegaカセットを用い、リフォールディングプールを約10倍に濃縮し、さらに20psiのTMPで3カラム容量の20mMトリス(pH8.0)を用いて透析濾過した。
次に、浄化した試料をQセファロースHP樹脂を使った陰イオン交換(AEX)クロマトグラフィーに供した。5℃、pH8.0で、20mMトリス中の0〜250mMNaCl線形塩傾斜の条件で実施した。ピーク画分をSDS−PAGEで分析しプールした。
次に、AEX溶出液プールをフェニルセファロースHP樹脂を使った疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)に供した。室温、pH8.0で0.7M〜0Mアンモニウム硫酸塩の漸減線形勾配を使ってタンパク質を溶出した。ピーク画分をSDS−PAGEで分析し(Laemmli、1970、Nature 227:680−85)、プールした。
HICプールを20psiのTMPの10kD分子量カットオフPall Omega0.2mカセットを使って7mg/mLに濃縮した。この濃縮液を5カラム容量の製剤緩衝液、20psiのTMPを使って透析濾過し、次に、回収した濃縮液を5mg/mLに希釈した。最後にこの溶液をPall mini−Kleenpac0.2μMポジダインメンブレンを通して濾過した。
細菌封入体からFGF21融合タンパク質およびFGF21融合変異体タンパク質を精製するために、2回洗浄封入体(DWIB)を、pH8.5でトリス緩衝液中に塩酸グアニジンおよびDTTを含む可溶化緩衝液に溶解し、次に室温で1時間混合した。さらに、可溶化混合物を尿素、アルギニン、システイン、およびシスタミン塩酸塩を含むpH9.5のリフォールディング緩衝液に加え、5℃で24時間混合した(例えば、Clarke、1998、Curr.Opin.Biotechnol.9:157−63;Mannall et al.、2007、Biotechnol.Bioeng.97:1523−34;Rudolph et al.、1997、「折り畳み構造タンパク質」タンパク質の機能:実践的アプローチ(Creighton、ed.、NewYork、IRL Press)57−99;およびIshibashi et al.、2005、Protein Expr.Purif.42:1−6を参照)。
可溶化とリフォールディングに続いて、この混合物を10kD透析チューブを使って5倍容量の20mMトリス(pH8.0)に対して透析した。透析リフォールディング物のpHを50%酢酸で5.0に調整し、次に、遠心分離を4Kで30分間行い浄化した。
次に、浄化した試料をQセファロースHP樹脂を使った陰イオン交換(AEX)クロマトグラフィーに供した。5℃、pH8.0で、20mMトリス中の0〜250mM NaCl線形塩勾配の条件で実施した。ピーク画分をSDS−PAGEで分析しプールした。
次に、AEX溶出液プールをフェニルセファロースHP樹脂を使った疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)に供した。室温、pH8.0で0.6M〜0Mアンモニウム硫酸塩の漸減線形傾斜を使ってタンパク質を溶出した。ピーク画分をSDS−PAGEで分析し(Laemmli、1970、Nature 227:680−85)、プールした。
HICステップ後、プールを60倍容量の製剤緩衝液で透析した。透析したプールをPall Jumbosepを使って5mg/mLに濃縮した。最後にこの溶液をPallmini−Kleenpac0.2μMポジダインメンブレンを通して濾過した。
切断型FGF21タンパク質の調製と発現
表12に挙げた切断型FGF21タンパク質をコードした構築物を下記のように野性型FGF21発現ベクター(野性型FGF21発現ベクターの構築については実施例1に記載している)のPCR増幅により調製した。
Figure 2012525847
切断型FGF21タンパク質構築物を、削除される(切断が起きている)コドン(1つまたは複数コドン)の上流と下流領域に対し相同である配列を有するプライマーを使って調製した。また、このような増幅反応に使われたプライマーは、約15ヌクレオチドの重複配列を備え、増幅産物を再環状化させる。すなわち、この段階でベクター全体が所望の変異体または切断を有する。
成熟FGF21配列の位置1のヒスチジン残基の欠失したFGF21タンパク質(すなわち、2−181切断変異体)をコードする代表的切断型FGF21構築物を、表13のプライマーを使って調製した。
Figure 2012525847
表4のプライマーは、下記に示すようにヒスチジン残基の欠失を許容し、上流配列(配列番号9)はN末端メチオニンを含む成熟FGF21ポリペプチドの一部であり、2番目の配列はセンスプライマー(配列番号14)で、3番目、4番目の配列(配列番号17と18)はFGF21発現構築物の一部であり、また、5番目の配列はアンチセンスプライマー(配列番号16)である。
Figure 2012525847
切断型FGF21タンパク質構築物を、基本的に実施例1のPCR条件で調製した。増幅産物を制限エンドヌクレアーゼDpnIで消化し、次にコンピテント細胞に転換した。得られたクローンの配列を決定し、ポリメラーゼ生成エラーの存在しないことを確認した。
切断型FGF21タンパク質を、コンピテントBL21(DE3)またはBL21Star(Invitrogen;Carlsbad、CA)細胞を特定の切断型FGF21タンパク質をコードした構築物で形質転換して発現させた。形質転換体を40μg/mLカナマイシンを補充したTB培地中で制限曝気下、一晩成長させ、翌朝曝気し、短回復期間の後、0.4mMIPTG培地中で誘導した。誘導後、FGF21変異体を18〜20時間の遠心分離により回収した。
切断型FGF21タンパク質のインビトロ活性
野性型FGF21活性を保持している切断型FGF21タンパク質を特定する実験を、ELKルシフェラーゼインビトロアッセイで行った。表5は、N末端またはN末端とC末端の両方に切断を有するFGF21タンパク質で得られた結果をまとめたものである。組換え型ヒト293T腎臓細胞系を使って、ELKルシフェラーゼアッセイを行った。293T細胞は、β−Klothoおよびルシフェラーゼレポーター構築物を過剰発現している。また、これらの構築物は、Gal4結合部位の5個のタンデム複写物を含むプロモーターにより駆動されるルシフェラーゼレポーターのGAL4−ELK1および5xUAS−Lucをコードする配列を含む。β−Klothoは、FGF受容体の活性化および細胞内シグナル伝達の誘導を行い、その後、ErkおよびELKリン酸化に導くためにFGF21にとって必要な共受容体である。ルシフェラーゼ活性はErk/ELK1のリン酸化レベルにより調節されており、間接的にモニターし、FGF21活性を定量するために使用される。
293T細胞を種々の濃度の野性型FGF21またはFGF21変異体ポリペプチドと共に6時間培養し、次にルシフェラーゼ活性について細胞溶解物を試験することによりELKルシフェラーゼアッセイを行った。図1A〜1Bは、FGF21切断変異体7−181および8−181(図1A)、ならびにFGF21切断変異体1−172、1−171、1−169、および1−164(図1B)に対し行ったELKルシフェラーゼ活性アッセイの結果を示す。3−181、4−181、5−181、7−181、8−181、1−180、1−178、1−177、1−176、1−175、1−174、1−173、1−172、9−181、および1−149の各FGF21切断変異体に対しELKルシフェラーゼアッセイで得られた発光を図2に示す。
FGF21変異体ポリペプチドを野性型FGF21標準と比較し、野性型FGF21の有効性の少なくとも50%の有効性を示す変異体をFGF21活性を失っていないと見なして表14で「+」のマークをつけた。
Figure 2012525847
まとめると、表14の結果は、14以上のアミノ酸残基のC末端欠失(すなわち、1−167以下のアミノ酸残基を含むC末端切断型FGF21タンパク質)によりFGF21活性が失われることを示している。さらに、表14は、7以上のアミノ酸残基のN末端欠失(すなわち、アミノ酸残基8−181以下のタンパク質を含むN末端切断型FGF21タンパク質)によりFGF21活性が失われることを示している。当然のことながら、8〜14残基のN末端切断および12または32残基のC末端切断の両方を有する切断型FGF21タンパク質は、ELKルシフェラーゼアッセイの活性に欠けることが明らかになった。
表14に示したデータと一致して、7アミノ酸残基未満のN末端切断を有する切断型FGF21ポリペプチドは、本発明の実施形態を構成する。同様に、13アミノ酸残基未満のC末端切断を有する切断型FGF21ポリペプチドも本発明の実施形態を構成する。
切断型FGF21タンパク質のインビボ活性
FGF21は多くの生物学的活性を有し、これには、血糖、インスリン、トリグリセリド、またはコレステロールレベルを下げる能力;体重を減らす能力;またはグルコース耐性、エネルギー消費、またはインスリン感受性を改善する能力、が含まれる。切断型FGF21ポリペプチドに対し、インスリン耐性ob/obマウスに切断型FGF21ポリペプチドを導入し、特定の切断型FGF21ポリペプチドの血糖を下げる能力を測定することにより、さらにインビボFGF21活性を分析した。試験する切断型FGF21ポリペプチドを、8週齢ob/obマウス(Jackson Laboratory)の腹腔内に注入し、血液サンプルを、一回注入後の種々の時間点、例えば、注入後0、6、24、72、120、および168時間後、に採血した。血糖値をOneTouch Glucometer(LifeScan、Inc.Milpitas、CA)で測定し、結果を、ベースライン血糖値(すなわち、時間0での値)に対する血糖の変化率(%)として表した。
一実験の結果を図3に示すが、これは、FGF21切断型変異体8−181と9−181を注入したマウスで得られた血糖値を示す。この実験では、アミノ酸残基8−181を含む切断型FGF21融合タンパク質は、注入後3時間と6時間で、血糖を下げるインビボ活性を示すが、その活性は野性型FGF21の活性より少し低いことが示された。しかし、アミノ酸残基9−181を含む切断型FGF21融合タンパク質は、このような活性を示さないこともわかった。従って、切断型FGF21ポリペプチドのインビボ分析により、成熟FGF21のN末端から7アミノ酸までの欠失では、分子の生物活性を消滅させないことが示された(成熟FGF21のN末端から7アミノ酸の欠失が活性を消滅させるであろうことを示唆している、インビトロ分析とは対照的に)。
特定のN末端切断型FGF21ポリペプチド(例えば、FGF218−181)のインビトロおよびインビボアッセイで得られた異なる結果は、シグナル伝達時のFGF21のβ−KlothoおよびFGF受容体との相互作用により説明できる。特に、FGF21は、チロシンキナーゼを含むシグナル伝達カスケードを開始する共受容体β−KlothoおよびFGF受容体(FGFR)を含む二重受容体複合体を活性化する。FGF21のN末端、FGFRの結合と活性化に関与し、一方、FGF21のC末端は、β−Klothoの相互作用に必要であることが示されている(Yie et al.、2009 FEBS Lett.583:19−24)。ELKルシフェラーゼインビトロアッセイを、共受容体β−Klothoが過剰発現し、FGFRが正常レベルで発現している293腎臓細胞を使って行った。FGFRの量は、β−Klothoの量に比べ少なく、従って、293細胞中のβ−KlothoのFGFRに対する比率は非生理学的であり、受容体複合体形成、最終的リガンド結合およびFGFRの活性化に影響する。293インビトロ系は、N末端切断型FGF21ポリペプチドに対して、より脆弱のように見え、故に、いくつかの試験したN末端切断型変異体、例えば、FGF218−181で活性結果の減少が生じている可能性がある。このため、特定のN末端切断型FGF21変異体が野性型FGF21活性を保持しているか否かを判定する際、インビボアッセイの場合は、そのFGF21変異体の活性は、傾向を示すものであると考えられた。従って、8アミノ酸残基未満のN末端切断を有する切断型FGF21ポリペプチドは、本発明に包含される。
切断型FGF21融合タンパク質の調製と発現
タンパク質の半減期は、そのタンパク質をFc配列に融合することにより延長することが可能であることから、切断型FGF21ポリペプチドを含む融合タンパク質を調製し分析、した。表15に挙げた切断型FGF21融合タンパク質をSOEing(重複伸長による遺伝子スプライシング)PCRにより増幅したFGF21配列から調製した。FGF21融合タンパク質を調製し、ヒト免疫グロブリンIgG1遺伝子のFc部(配列番号11)がFGF21タンパク質のN末端またはC末端に融合するようにした。
Figure 2012525847
特に、FGF21融合タンパク質構築物(切断型FGF21融合タンパク質をコードしたものを含む)を基本的には実施例1で使用した反応条件を使って一連の3つの増幅反応で調製した。最初の反応では、一対のプライマーをNdeIクローニング部位(細菌発現のためのN末端メチオニンを含む)、Fc領域、およびリンカー配列を含む配列を産生するように設計した。第2の反応では、一対のプライマーをリンカーの重畳部分、FGF21コード配列の一部、およびEcoRIクローニング部位を含む配列を産生するように設計した。最後に、第3の反応で、一対のプライマーを前の2つの反応の産物を結合するように設計した。Fc−FGF211−181の構築用の代表的プライマーセットを表16に挙げる。
Figure 2012525847
第1の反応の産物を制限エンドヌクレアーゼNdeIおよびEcoRIで消化させ、ベクター中に連結した後、コンピテント細胞に転換した。得られたクローンを配列決定し、ポリメラーゼで生じたエラーがないことを確認した。
切断型FGF21融合タンパク質のインビボ活性
Fc配列に融合した切断型FGF21配列を含む融合タンパク質を作製し、インビボ活性試験を行った。切断型FGF21融合タンパク質をIgG1Fc分子を切断型FGF21タンパク質のN末端またはC末端に融合し単一の連続配列を形成することにより調製した。N末端とC末端融合体の間の区別をするために、Fc分子がFGF21タンパク質のN末端に融合したFGF21融合タンパク質をFc−FGF21と名付け、Fc分子がFGF21タンパク質のC末端に融合したFGF21融合タンパク質をFGF21−Fcと名付ける。
FGF21は多くの生物学的活性を有し、これには、血糖、インスリン、トリグリセリド、またはコレステロールレベルを下げる能力;体重を下げる能力;またはグルコース耐性、エネルギー消費、またはインスリン感受性を改善する能力が含まれる。インビボFGF21活性を評価するため、FGF21ポリペプチド、FGF21変異体ポリペプチド、およびFGF21融合ポリペプチドをインスリン耐性ob/obマウスに導入し、特定のFGF21タンパク質の血糖値を下げる能力を測定した。試験するFGF21ポリペプチド、FGF21変異体ポリペプチド、またはFGF21融合ポリペプチドを8週齢ob/obマウス(Jackson Laboratory)の腹腔内に注入し、血液サンプルを、一回注入後の種々の時間点、例えば、注入後0、6、24、72、120、および168時間後、に採血した。血糖値をOneTouch Glucometer(Life Scan、Inc.Milpitas、CA)で測定し、結果を、ベースライン血糖値(すなわち、時間0での値)に対する血糖の変化率(%)として表した。
一実験結果を図4に示すが、これは、PBS対照、アミノ酸残基1−181を含む野性型Fc−FGF21対照、またはアミノ酸残基5−181もしくは7−181を含む切断型Fc−FGF21融合タンパク質を注入したマウスで観察された血糖値の変化率(%)を示す。この実験では、注入の6時間後にアミノ酸残基5−181または7−181を含む切断型Fc−FGF21融合タンパク質が、野性型Fc−FGF21の活性に類似した血糖低減活性を示すことが示された。従って、切断型FGF21ポリペプチドのインビボ分析では、成熟FGF21のN末端から6アミノ酸までの欠失は分子の生物活性に影響しないことが示された。また、インビボ分析では、しかしながら、切断型FGF21ポリペプチドの血糖低減能力が低下し、注入後24時間で血糖値がベースラインに戻ったことも示された(類似の結果は野性型FGF21でも得られた)。短時間インビボ活性は、実施例8に記載のようにFGF21のタンパク質分解の結果であることが明らかになった。
別の実験結果を図5に示すが、これは、PBS対照、アミノ酸残基1−181を含む野性型FGF21−Fc対照、アミノ酸残基1−175を含む切断型FGF21−Fc融合タンパク質、またはアミノ酸残基1−171を含む切断型Fc−FGF21タンパク質を注入したマウスで観察された血糖値の変化率(%)を示す。この実験は、アミノ酸残基1−181を含む野性型FGF21−Fcがグルコース低減活性を維持し、注入後24時間〜120時間の期間にわたって約30%の血糖値の低下を生じることを示す。アミノ酸残基1−171を含む切断型Fc−FGF21タンパク質では、注入後72時間にのみ明らかな、遅延した血糖低減活性が示されている。しかし、観察されたこの活性は、野性型FGF21−Fcの活性と同じである。残基1−175を含む切断型FGF21−Fc融合タンパク質はインビボ血糖低減に関して、活性ではない。
まとめると、本明細書記載の切断実験では、N末端切断を有する切断型FGF21融合タンパク質は、野性型FGF21融合タンパク質に類似した血糖低減活性を示し、さらに、Fc分子が切断型FGF21タンパク質のN末端に融合した切断型FGF21融合タンパク質は、切断型FGF21タンパク質のC末端に融合した融合タンパク質より高い活性を示すことが示されている。
FGF21のインビボ分解の観察
FGF21分解は、実施例7に記載のように、最初、FGF21Fc融合タンパク質構築物で観察された。インビボ薬物動態学的分析により、マウス中でヒトFGF21は急速クリアランスとインビボ分解により、約1時間の短い半減期を有することが示された。従って、FGF21の半減期を延長するため、Fc配列をFGF21ポリペプチドのNまたはC末端に融合した。しかし、Fc領域の融合は、半減期の課題を完全には解決しなかった。こう言えるのは、Fc配列をFGF21ポリペプチドのNまたはC末端に融合した融合タンパク質(またFc−FGF21融合体、すなわち、Fc配列が成熟FGF21のN末端に融合した場合は特に)では、予期したインビボ有効性が示されず、代わりにob/obマウス中でたかだか24時間の間の血糖低減活性を維持することが認められたためである。図4に記載のように、Fc−FGF21融合タンパク質は、注入後6時間で約30〜40%血糖値を低下させたが、24時間では血糖値がベースラインレベルまで戻った。
野性型FGF21のタンパク質分解は、その後研究された結果、Fc−FGF21融合タンパク質のインビボ活性の急速消滅はFGF21のインビボ分解の結果であることが明らかになった。タンパク質分解は、分子のインビボ生物活性の減少およびその結果の短い有効半減期につながる。また、このような分解は、その分子の治療での使用に悪影響を与える。このように、FGF21Fc融合タンパク質の分解の観察を契機として、FGF21タンパク質のインビボ分解の調査およびこのような分解に耐性のあるFGF21変異体の特定が行われるようになった。
分解の部位を決めるために、雄C57B6マウスに注入後の種々の時点で得た野性型ヒトFGF21およびFGF21Fc融合タンパク質についてLC−MS分析およびエドマン分解法を行った。エドマン分解法は、タンパク質のN末端またはC末端末端のどちらが分解しているかを確認するのに有益であった。Fc配列がヒトFGF21のN末端に融合された場合は、分解が融合分子のヒトFGF21部のアミノ酸残基151および152の間、ならびにアミノ酸残基171および172の間のペプチド結合で起こることが明らかとなった(上記残基の付番は、融合タンパク質の成熟FGF21配列に基づき、Fc部は含まれない)。171−172の位置の分解が最初に起こり、続いて151−152位置の分解が起こることが見出された。171−172の分解が律速ステップであり、分子の半減期に関与していると考えられる。Fc配列がFGF21のC末端に融合した場合は、分解がアミノ酸残基4および5ならびにアミノ酸残基20および21の間のペプチド結合で起こることが明らかとなった。これらの実験の結果として、Fc配列がFc配列に隣接するFGF21配列の部分を分解から保護すると考えられることが明確になった。野性型FGF21およびFc−FGF21融合タンパク質のインビボ分解の分析をカニクイザルを使ってさらに進めた。これらの調査により、アミノ酸残基171−172のFGF21の開裂部位は、カニクイザルにおける分解の主要部位であり、この分解の部位はマウスと霊長類の間で保存されていることが確認された。
FGF21タンパク質分解耐性変異体の特定
主要タンパク質分解活性部位である野性型FGF21配列の位置の実験的決定により、適切なFGF21変異体が特定され、特異的アミノ酸置換がこれら部位に導入された。アミノ酸置換は、他の種との間のFGF21配列保存(実施例8に記載のように)、および他のアミノ酸残基との生化学的保存に基づいた。野性型FGF21タンパク質に導入した、または導入可能なアミノ酸置換のリストを表17に示す(しかし表17は代表的なものに過ぎず、他の置換も可能である)。表17の位置の数字は、成熟FGF21タンパク質(181アミノ酸残基から成る)中の残基の位置に対応する。
Figure 2012525847
Fc−FGF21およびFGF21−Fc分解のインビボ分析
FGF21Fc融合タンパク質のインビボ安定性を、融合タンパク質をマウスに注入して、種々の時点でマウスから採血し、液体クロマトグラフィー質量分析(LC−MS)により血清を分析することにより測定した。特に、マウスの腹腔内に、10mg/kgのFc−(G5)−FGF21(配列番号107)(大腸菌中で発現し、実施例2に記載のように精製)またはFGF21−(G3)−Fc(配列番号105)(哺乳動物細胞中で発現し、標準的な手法で精製)を注入した。血液を、注入後6、24、および48時間の時点でマウスから採取し(表18)、プロテアーゼ阻害剤混合物(Roche診断薬)で前処理したEDTAチューブに集めた。試料を12、000xgで10分間遠心処理して血漿を分離した。FGF21タンパク質を、抗ヒトFcアガロース樹脂を使って血液からアフィニティー精製した。
Figure 2012525847
LC−MSによる分析に先立ち、Fc−(G5)−FGF21およびFGF21−(G3)−Fcタンパク質標準を参照として、アフィニティー精製試料を分析した。タンパク質標準はトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)で還元したものと還元しないものを用意した。還元および非還元標準に対して、LCQ古典的イオントラップ質量分析計に注入したカラム溶出物を加えたACEシアノ0.3mmx30cmカラムを使ってLC−MS分析を行った。還元試料のデコンボリューションスペクトルの方が不純物が少なかったので、LC−MS分析の前にアフィニティー精製試料を還元した。
還元Fc−(G5)−FGF21標準ならびに試料D6、D24、およびD48で観察された質量を図6A〜6Dに示す。還元FGF21−(G3)−Fc標準ならびに試料E6、E24、およびE48で観察された質量を図7A〜7Dに示す。一部の標準および試料溶出物をエドマン分解法を使いLC−MSで計測されたタンパク質のN末端および断片を確認した。標準および試料のLC−MS分析結果を表19に示す。
Figure 2012525847
表19で示すように、全アフィニティー精製試料は、わずか6時間の循環後にもある程度の分解を示した。24時間の循環後、Fc−(G5)−FGF21の主要生成物は、アミノ酸残基1−404を含む断片で、これはDとEの両方の試料で認められた。しかし、E試料では、FGF21−(G3)−Fcの主要生成物はアミノ酸残基5−410を含む断片であった。試験したこの両方の融合タンパク質に対し、融合タンパク質のFGF21部は、タンパク質のFc部に比べ、より分解しやすかった。
タンパク質分解耐性FGF21変異体 および融合タンパク質の調製と発現
表20のFGF21変異体をコードする構築物を以下のように野性型FGF21発現ベクターのPCR増幅により調製した(野性型FGF21発現ベクターの構築については、実施例1で記載)。リンカーを構築物に含んだ場合は、使われたリンカーは、GGGGGSGGGSGGGGS(「L15」、配列番号28)であった。これらの実験の目的は、蛋白質分解に耐性があり、さらに長い半減期を示すFGF21変異体を作製することであった。
Figure 2012525847
Figure 2012525847
Figure 2012525847
FGF21変異体構築物を、変異させるコドン(単数または複数)の上流および下流の領域に相同な配列を有するプライマーを使って調製した。このような増幅反応に使ったプライマーは、また、約15ヌクレオチドの重畳配列を提供し、増幅産物の再環状化をさせるものでもあり、すなわち、ベクター全体としては、その時点で所望の変異体を持つことになった。
位置170にネイティブグリシン残基の代わりにグルタミン酸残基を有するFGF21変異体をコードするFGF21代表的変異体構築物(すなわち、G170E変異体)を、表21に示すプライマーを使って調製した。
Figure 2012525847
表21に示すプライマーは、以下に示すようにグリシン残基のグルタミン酸残基による置換を可能とし、上流配列がセンスプライマー(配列番号23)、第2、第3配列(配列番号25および27)がFGF21発現構築物の一部であり、第4配列がアンチセンスプライマー(配列番号26)である。
Figure 2012525847
FGF21変異体構築物を、基本的には実施例1に記載のPCR条件を使って調製した。増幅産物を制限エンドヌクレアーゼDpnIで消化させ、次にコンピテント細胞に転化させた。得られたクローンを配列決定し、ポリメラーゼ生じたエラーの存在しないことを確認した。本明細書、例えば、実施例6に記載のようにしてFc−(L15)−FGF21およびFGF21−(L15)−Fc融合タンパク質を得た。
FGF21変異体を、コードした特定の変異体をコードした構築物でコンピテントBL21(DE3)またはBL21 Star(Invitrogen;Carlsbad、CA)細胞を形質転換することにより発現した。形質転換体を、制限曝気下40μg/mLカナマイシンを補充したTB培地中で一晩成長させ、翌朝通気して短い回復期間の後、0.4mMIPTG中で誘導した。FGF21変異体ポリペプチドを誘導の18〜20時間後、遠心分離して採取した。
また、FGF21変異体を予想された免疫原性について分析した。タンパク質に対する免疫応答が、抗原処理、および主要組織適合性複合体(MHC)クラスII結合部位での提示により強化される。この相互作用は、タンパク質を認識する抗体の成熟時のT細胞の助けのために必要である。MHCクラスII分子の結合部位は特徴が解析されているので、一連の共通のヒト対立遺伝子に結合できる特異的配列を有するかどうかを予測することが可能である。参考文献およびMHCクラスII結晶構造に基づいてコンピュータアルゴリズムを作成し、直鎖アミノ酸ペプチド配列が、免疫耐性を壊す可能性を有するかどうかを判定した。TEPITOPEコンピュータプログラムを用いて、点変異、特に、FGF21変異体が大部分のヒトで抗原特異的T細胞を増やすかどうかを判定した。各FGF21変異体の直鎖タンパク質配列の分析では、いずれの変異体に対しても、免疫原性を強化するということは予測されなかった。
FGF21分解のリンカー配列に及ぼす影響
Fc配列とFGF21配列の間のさらに長いアミノ酸リンカーの存在がFGF2分解に影響するかどうかを判定するために、Fc領域がFGF21配列から、配列GGGGGSGGGSGGGGS(「L15」と命名:配列番号28)を有する15アミノ酸リンカーにより離されているFGF21融合タンパク質をマウスに注入し、マウスから血液を種々の時点で採取して、血清をLC−MSで分析した。特に、Fc−(L15)−FGF21またはFGF21−(L15)−Fc(大腸菌から入手)の23mg/kgをマウスに注入し、血液を6、24、および48時間で採血後、抗ヒトFcアガロース樹脂を使って採取血液をアフィニティー精製した。
精製試料のLC−MS分析の前に、Fc−(L15)−FGF21およびFGF21−(L15)−Fcタンパク質標準を参照として分析した。タンパク質標準をTCEPで還元したものと還元しないものを用意した。還元および非還元の両標準に対して、LCQ古典的イオントラップ質量分析計に注入したカラム溶出物を加えたACEシアノ0.3mmx30cmカラムを使ってLC−MS分析を行った。還元試料のデコンボリューションスペクトルの方が不純物が少なかったので、LC−MS分析の前にアフィニティー精製試料を還元した。
種々の時点で採血された還元Fc−(L15)−FGF21標準および対応するアフィニティー精製試料に対する観察された質量を図8A〜8Dに示す。種々の時点で採血された還元FGF21−(L15)−Fc標準および対応するアフィニティー精製試料に対する観察された質量を図9A〜9Dに示す。一部の標準および試料溶出物をエドマン分解法を適用し、LC−MSで観察されたタンパク質のN末端を確認し、断片が何であるかを予測するのに役立てた。標準および試料のLC−MS分析結果、および予測断片の目安を表22に示す。
Figure 2012525847
表22で示すように、全アフィニティー精製試料は、わずか6時間の循環後にもある程度の分解を示した。24時間の循環後、Fc−(L15)−FGF21の主要生成物は、アミノ酸残基1−414(試料の85%)と1−394(試料の15%)を含む断片で、FGF21(15)Fcの主要生成物は、アミノ酸残基1−423(試料の40%)、6−423(試料の35%)、および22−423(試料の25%)を含む断片であった。Fc−(L15)−FGF21とFGF21−(L15)−Fcタンパク質の特定された開裂点を、図10Aおよび10Bにそれぞれ示す。
注入1〜7日後のタンパク質分解耐性Fc−(L15)−FGF21変異体のインビボ活性
本明細書に記載のように、FGF21Fc融合タンパク質のタンパク質開裂は、Fc配列の向きに依存し、融合タンパク質のFc末端は融合タンパク質のFGF21末端よりも安定性が高い(すなわち、Fc−(L15)−FGF21融合タンパク質のN末端部分およびFGF21−(L15)−Fc融合タンパク質のC末端部分が、より安定であることが見出された)。例えば、開裂は、FGF21−(L15)−Fcの位置5と21およびFc−(L15)−FGF21の位置151と171で特定された。
観察の結果に基づき、調査を行い、タンパク質分解耐性FGF21変異体を特定した。Fc−(L15)−FGF21のLC−MS分析では、インビボでのタンパク質分解は、最初、アミノ酸残基171−172の間で起こり、次いで、アミノ酸残基151−152間で分解が起こることが示されている。位置171のタンパク質分解を阻止することにより、位置151での開裂を抑制でき、効果的に分子の半減期を延長できる。しかし、位置151で開裂を防いだタンパク質分解耐性変異体は、いまだプロテアーゼの攻撃を受けやすい位置171に残基があり、そのため、終端部の10アミノ酸の欠失がある分子が生成しており、これが、共受容体β−Klothoの結合に関与し、また、β−Klothoがリガンド受容体親和性ならびにインビトロおよびインビボ効力の決定因子であることが知られている。従って、成熟FGF21の位置171周辺のアミノ酸残基の変異生成は、分子のインビボ安定性、効力、および有効性を改善するためにさらに重要であるようである。
特定のタンパク質分解耐性Fc−(L15)−FGF21変異体のインビボ活性を、FGF21変異体をob/obマウスに腹腔内投与し、注入から0、0.25、1、3、5、および7日後の時点で注入したマウスから試料を採血した後、試料の血糖値を測定することにより試験した。一実験の結果を図11に示すが、これには、PBS対照、Fc−(L15)−FGF21(配列番号49)対照、またはFc−(L15)−FGF21変異体のFc−(L15)−FGF21 G170E(配列番号51)、Fc−(L15)−FGF21 P171A(配列番号53)、Fc−(L15)−FGF21 S172L(配列番号55)、Fc−(L15)−FGF21(G170E、P171A、S172L)(配列番号59)、またはFc−(L15)−FGF21 G151A(配列番号61)を注入したマウスで測定した血糖値を示す。図12には、この実験で得られた血糖値の変化率(%)を示す。この実験では、Fc−(L15)−FGF21 G170E、Fc−(L15)−FGF21 P171A、Fc−(L15)−FGF21 S172L、およびFc−(L15)−FGF21(G170E、P171A、S172L)変異体は、5日目まで血糖低減活性の維持を示し、これは、野性型Fc−(L15)−FGF21の活性より優れている。Fc−(L15)−FGF21 G151A変異体は、野性型Fc−(L15)−FGF21融合タンパク質に比べ血糖低減活性持続時間をわずかに改善した。驚くべきことに、Fc−(L15)−FGF21 S172L変異体はタンパク質分解耐性変異体ではなく、しかもそのため野性型Fc−(L15)−FGF21ポリペプチドと類似の分解プロファイルを有するにも拘わらず、この変異体は、野性型Fc−(L15)−FGF21ポリペプチドに比べ、インビボ効力の改善を示すことが明らかとなった。
別の実験の結果を図13に示すが、これは、PBS対照、Fc−(L15)−FGF21対照、またはFc−(L15)−FGF21変異体のFc−(L15)−FGF21(P150A、G151A、I152V)(配列番号65)、Fc−(L15)−FGF21 G170E(配列番号51)、Fc−(L15)−FGF21(G170E、P171A)(配列番号63)、もしくはFc−(L15)−FGF21(G170E、S172L)(配列番号67)を注入したマウスで測定した血糖値を示す。図14は、この実験で得られた血糖値の変化率(%)を示す。上述の実験と同様に、野性型Fc−FGF21融合タンパク質およびFc−(L15)−FGF21(P150A、G151A、I152V)変異体は、血糖低減活性の維持を示さず、これはおそらく171部位での分解がまだ起こっている可能性があるためと思われ、また、これらのタンパク質を注入した動物の血糖値は、注入後24時間でベースラインに戻った。しかし、Fc−(L15)−FGF21 G170E、Fc−(L15)−FGF21(G170E、P171A)、またはFc−(L15)−FGF21(G170E、S172L)は、注入後5日までは最大の血糖低減活性を示し、これは、野性型Fc−(L15)−FGF21融合タンパク質およびFc−(L15)−FGF21(P150A、G151A、I152V)変異体より優れている。
別の実験の結果を図15に示すが、これは、PBS対照またはFc−(L15)−FGF21変異体のFc−(L15)−FGF21 G170E(配列番号51)、Fc−(L15)−FGF21 G170A(配列番号69)、Fc−(L15)−FGF21 G170C(配列番号71)、Fc−(L15)−FGF21 G170D(配列番号73)、Fc−(L15)−FGF21 G170N(配列番号75)、もしくはFc−(L15)−FGF21 G170S(配列番号77)を注入したマウスで測定した血糖値を示す。図16は、この実験で得られた血糖値の変化率(%)を示す。この実験で試験した全てのFGF21変異体が、注入後5日まで血糖低減活性の維持を示した。
別の実験の結果を図17に示すが、これは、PBSまたはFc−(L15)−FGF21変異体のFc−(L15)−FGF21 G170E(配列番号51)、Fc−(L15)−FGF21 P171E(配列番号79)、Fc−(L15)−FGF21 P171H(配列番号81)、Fc−(L15)−FGF21 P171Q(配列番号83)、Fc−(L15)−FGF21 P171T(配列番号85)、もしくはFc−(L15)−FGF21 P171Y(配列番号87)を注入したマウスで測定した血糖値を示す。図18は、この実験で得られた血糖値の変化率(%)をしめす。この実験で試験した全てのFGF21変異体が、野性型Fc−FGF21に比べ血糖低減活性の改善を示した。
注入後6〜120時間でのタンパク質分解耐性Fc−(L15)−FGF21変異体のインビボ分解
選択FGF21変異体のインビボ安定性をFGF21変異体をマウスに注入し、種々の時点でマウスから採血した後、血清をLC−MSで分析することにより解析した。特に、Fc−(L15)−FGF21 G170E、Fc−(L15)−FGF21 P171A、またはFc−(L15)−FGF21 S172L変異体(実施例2に示すように大腸菌から入手)を、それぞれを注入前に約180μLの10mMHCl中に希釈して注入し、血液を6、24、48、72、および120時間目に採取した。FGF21タンパク質を抗ヒトFcアガロース樹脂カラムを使って採取血液からアフィニティー精製した。試料を10mM HClを使ってカラムから溶出した。全てのFGF21構築物は、FGF21タンパク質のアミノ末端にFc領域および15アミノ酸リンカーを含んでいる。また、マウスに野性型FGF21対照も注入した。
アフィニティー精製試料をLC−MSで分析する前に、未処理野性型FGF21および未処理FGF21変異体を参照として分析した。全ての標準および各時点の試料をTCEPで還元し、次に、LCQ古典的イオントラップ質量分析計に注入したカラム溶出物を加えたACEシアノ0.3mmx30cmカラムを使ってLC−MS分析を行った。アフィニティー精製試料をアンモニウム酢酸塩で希釈し、TCEPで還元した後、上述のようにLC−MSで分析した。
野性型Fc−(L15)−FGF21に対する注入後0、6、24、および48時間時点で観察された質量を図19A〜19Dに、それぞれ示す。Fc−(L15)−FGF21 G170Eに対する注入後0、6、24、および48時間時点で観察された質量を図20A〜20Dに、それぞれ示す。Fc−(L15)−FGF21 P171Aに対する注入後0、6、24、および48時間時点で観察された質量を図21A〜21Dに、それぞれ示す。Fc−(L15)−FGF21 S172Lに対する注入後0、6、24、および48時間時点で観察された質量を図22A〜22Dに、それぞれ示す。
72および120時間で採血された全ての試料は高分子量(非還元SDS−PAGEを使って測定200kDa超)のフィブリノーゲン成分を残りのFc−(L15)−FGF21融合タンパク質よりも遙かに豊富に含んでいることが明らかになった。他の標準および試料のLC−MS分析の結果を表23に示す。
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表23に示されるように、野性型Fc−(L15)−FGF21およびS172L変異体の分解は、24時間の循環後、融合タンパク質の主要生成物が、アミノ酸残基1−414を含む断片である点で類似しているように見える。Fc−(L15)−FGF21 G170EおよびFc−(L15)−FGF21 P171A変異体の分解生成物は、また、24時間の循環後の採血試料が、70〜80%のインタクトタンパク質(アミノ酸1−424)および20〜30%のアミノ酸残基1−421を含む断片を含む点で類似しているように見える。48時間後でも、Fc−(L15)−FGF21 G170EおよびFc−(L15)−FGF21 P171A変異体は、まだ、インタクトタンパク質を保持しているが、一方、アミノ酸残基1−421を含む断片の量は増加を示している。Fc−FGF21構築物の前の分析で観察されたように、融合タンパク質のFGF21部の分解が検出され、Fc部が安定な状態で残されることがわかった。野性型、Fc−(L15)−FGF21 G170E、Fc−(L15)−FGF21 P171A、およびFc−(L15)−FGF21 S172Lに対して特定された開裂部位を図23A〜23Dに、それぞれ示す。
凝集低減FGF21変異体の特定
野性型FGF21の1つの特性は、凝集傾向である。この特性の観点から、凝集低減FGF21変異体を作製することが望ましい。凝集低減FGF21変異体を、2つの仮説に基づいて特定した。第1の仮説は、FGF21に関して、凝集(または二量体化)は、親水性の水ベース溶媒環境に曝された疎水性の残基に起因するFGF21分子間の疎水性の相互作用およびファンデルワールス相互作用が引き金になっているということである。第2の仮説は、これらの曝された疎水性の残基が置換されて、FGF21活性を損なうことなくFGF21アミノ酸配列中の凝集低減点変異を生成することができるということである。
系統的、合理的なタンパク質工学の取り組みによりFGF21の疎水性残基を特定した。曝された疎水性残基を特定するのに使える既知のX−線またはNMRのFGF21構造がないので、タンパク質Databank(PDB)から入手したFGF19(1PWA)の高解像度(1.3Å)X−線結晶構造とMOE(Molecular Operating Environment;Chemical Computing Group;Montreal、Quebec、Canada)モデリングソフトウェアを使って、FGF21の3D相同性モデルを作成した。PDBに寄託されているタンパク質の中でFGF19がアミノ酸配列相同性の観点からFGF21と最も密接に関係するタンパク質であることから、FGF19をテンプレートとして選択した。
溶媒露出度をMOEを用いて次の方法で計算した。最初の表面積の測定値(SA1)は、残基の接触可能表面積(Åの単位)として定義された。特定のアミノ酸残基がタンパク質の一次配列中に繰り返し出現するが、特に、残基のタンパク質表面への近接度、残基側鎖の配向性、および隣接アミノ酸残基の空間的位置の差によって、出現のたび毎に残基が異なる表面積を有する可能性がある。従って、第2の表面積(SA2)の測定は、目的残基をその残基の近接、または隣接残基と共にタンパク質構造から抽出して行った。これら空間的に隣接した残基は、コンピュータシミュレーションによりグリシンに変異させて側鎖を除去し、次に目的残基のSA2を計算して、特定の配置にある残基に対する可能性のある全体表面積の測定値を求める。次に、SA1のSA2に対する比率(SA1/SA2)から、その残基が実際に曝される面積比率(%)の測定値を得ることができる。
さらなる分析のために、高度に溶媒に曝されるいくつかの疎水性残基を選択し、コンピュータシミュレーションによりこれらの残基に対し点変異を作り、選択した残基を他の天然アミノ酸残基と置換した。異なる置換から得られるタンパク質熱安定性の変化を、FGF21モデルおよびCUPSATウエブサイトで提供されている使用説明に従って対話型ウエブベースプログラムCUPSAT(Cologne University Protein Stability Analysis Tools)を使って計算した。Parthiban et al.、2006、Nucleic Acids Res.34:W239−42;Parthiban et al.、2007、BMC Struct.Biol.7:54を参照。大きな不安定化または疎水性の変異は、凝集低減点変異FGF21変異体の設計では排除された。親水性および/またはイオン特性の改善を導入する安定化(または、希なケースの、わずかな不安定化)置換を凝集低減FGF21変異体の候補として考慮に入れた。
この合理的なタンパク質工学の取り組みにより得られたデータの要約を表24に示すが、これには、また、タンパク質凝集低減と安定性改善が図られたと期待される代表的FGF21変異体も挙げる。
Figure 2012525847
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凝集低減FGF21変異体および融合タンパク質の調製と発現
表25の挙げたFGF21変異体をコードした構築物を、実施例11で記載したように野性型FGF21発現ベクターのPCR増幅により調製した(野性型FGF21発現ベクターの構築については実施例1に記載)。融合タンパク質を本明細書、例えば、実施例6に記載のように、作製した。リンカーを用いた場合は、GGGGGSGGGSGGGGS(「L15」:配列番号28)であった。
Figure 2012525847
Figure 2012525847
野性型FGF21、切断型FGF21ポリペプチド、FGF21変異体、およびFGF21融合タンパク質を含む種々のFGF21タンパク質の凝集をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により試験した。分析する試料を4℃、室温、または37℃で種々の時間インキュベートした後、SEC分析に供した。SECカラムを備えたBeckman HPLCシステムで実験を行った。野性型FGF21に対しては、TOSOHAAS TSKゲル G2000 SECカラムと、移動相として2%イソプロピルアルコール含有2xPBを使った。FGF21 Fc融合タンパク質およびFGF21変異体ポリペプチドに対しては、TOSOHAAS TSKゲル G3000 SECカラムと移動相として2xPBSを使った。
凝集低減FGF21変異体のインビトロ活性
ELKルシフェラーゼインビトロアッセイで野性型FGF21活性を維持する凝集低減変異体を特定する実験を行った。ELKルシフェラーゼアッセイは、実施例4に記載のように行った。図24A〜24Cは、FGF21変異体のFGF21 L99R(配列番号109)、FGF21 L99D(配列番号111)、およびFGF21 A111T(配列番号113)(図24A);FGF21変異体のFGF21 A129D(配列番号115)、FGF21 A129Q(配列番号117)、およびFGF21 A134K(配列番号119)(図24B);ならびにFGF21変異体のFGF21 A134Y(配列番号121)、FGF21 A134E(配列番号123)、およびFGF21 A129K(配列番号125)(図24C)に対し行ったELKルシフェラーゼ活性アッセイの結果を示す。これらの実験の結果では、ELKルシフェラーゼアッセイの試験によれば、一部の凝集低減変異はFGF21活性に悪影響を与えなかったことが示されている。
半減期延長と低レベル凝集を示すFc−(L15)−FGF21組み合わせ変異体の調製と発現
凝集低減ならびにタンパク質分解を阻害して半減期延長を示す変異を含む多くのFGF21組み合わせ変異体を調製し、IgG1Fc分子(配列番号11)に複合化した。これらのFGF21変異体は、基本的に実施例11記載のように調製した。
半減期延長と低レベル凝集を示すFc−(L15)−FGF21変異体のインビトロ調査
ELKルシフェラーゼインビトロアッセイで野性型FGF21活性を維持するFGF21組み合わせ変異体を特定する実験を行った。ELKルシフェラーゼアッセイは、実施例4に記載のように行った。
図25A〜25Dは、Fc−(L15)−FGF21変異体のFc−(L15)−FGF21 P171G、Fc−(L15)−FGF21 P171S、およびFc−(L15)−FGF21 P171T(図25A);Fc−(L15)−FGF21変異体のFc−(L15)−FGF21 P171Y、Fc−(L15)−FGF21 P171W、およびFc−(L15)−FGF21 P171C(図25B);Fc−(L15)−FGF21、Fc−(L15)−FGF21(A45K、G170E)、およびFGF21 A45K(図25C);ならびにFc−(L15)−FGF21、Fc−(L15)−FGF21 P171E、およびFc−(L15)−FGF21(A45K、G170E)(図25D)に対し行ったELKルシフェラーゼ活性アッセイの結果を示す。これらの実験の結果では、安定性、または安定性と溶解性両方の改善を狙った変異は、野性型Fc−(L15)−FGF21に比べて、インビトロ活性を損なうことはなかったことが示されている。興味深いことには、FGF21 A45K変異体は、野性型Fc−(L15)−FGF21に比べて効力改善を示した。
図26Aは、65mg/mLタンパク質の4℃での1、2、および4日間のインキュベーション後のFGF21対照(WT)およびFGF21 A45Kに対する凝集割合の変化を示す。データでは、A45K変異が、野性型タンパク質に比べて、タンパク質の凝集低減につながっていることが示された。
図26Bは、65mg/mLタンパク質の4℃での1、6、および10日間のインキュベーション後のFGF21対照(WT)ならびにFGF21 P78C、FGF21 P78R、FGF21 L86T、FGF21 L86C、FGF21 L98C、FGF21 L98R、FGF21 A111T、FGF21 A129D、FGF21 A129Q、FGF21 A129K、FGF21 A134K、FGF21 A134Y、およびFGF21 A134Eの凝集割合の変化を示す。このデータでは、FGF21 L86C、FGF21 L98C、FGF21 L98R、FGF21 A111T、FGF21 A129Q、およびFGF21 A129K変異が、野性型タンパク質に比べて、タンパク質凝集低減につながることが示された。
図27は、ヒトFGF21対照、ならびにFGF21変異体のFGF21 A45K、FGF21 L52T、およびFGF21 L58Eに対し行ったELKルシフェラーゼ活性アッセイの結果を示す。この実験では、FGF21 A45K変異体は野性型FGF21の全効力を保持し、野性型FGF21よりも高い効力さえも示すことが示されている。しかし、FGF21 L52T、およびFGF21 L58E変異体では、野性型FGF21に比べ、効力と有効性の低下が示されている。
図28A〜28Bは、4℃で1、4、および8日間のインキュベーション後の、Fc−(L15)−FGF21変異体のFc−(L15)−FGF21(6−181、G170E)、Fc−(L15)−FGF21(A45K、G170E)、Fc−(L15)−FGF21P171E、Fc−(L15)−FGF21 P171A、Fc−(L15)−FGF21 G170E、およびFGF21対照に対する凝集レベルの変化を示す。この実験では、8日間にわたって、Fc−(L15)−FGF21(A45K、G170E)変異体がFc−(L15)−FGF21 G170EまたはFc−(L15)−FGF21 P171E変異体より少ない凝集を示したが、この3つの変異体の全てが、Fc−(L15)−FGF21対照より少ない凝集であったことが示されている。表26は、4℃または室温で0、2、3、4、または7日間のインキュベーション後の、Fc−(L15)−FGF21対照およびFc−(L15)−FGF21(A45K、G170E)変異体で得られた凝集割合を示す。
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Fc−FGF21融合組み合わせ変異体の調製と発現
上述のように、FGF21の安定性と溶解性は、特異的切断およびアミノ酸置換を導入して調節可能である。さらに、FGF21安定性は、このように改変したFGF21タンパク質をヒト免疫グロブリンIgG1遺伝子のFc部と融合させることによりさらに強化できる。その上、上記改変の組み合わせを導入することにより、安定性と溶解性の両方を強化したFGF21分子を作製することができる。配列表27のFGF21組み合わせ変異体をコードする核酸を前述の技術を使って調製した。リンカーを採用した場合には、L15リンカー、GGGGGSGGGSGGGGS(配列番号28)を用いた。
Figure 2012525847
図29は、Fc−(L15)−FGF21組み合わせ変異体Fc−(L15)−FGF21(A45K、G170E)、Fc−(L15)−FGF21(A45K、P171G)、またはFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)を注入したマウスで測定した血糖値を示す。
別の実験では、FGF21変異体のFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)を野性型成熟FGF21およびFc−FGF21と一緒に調査した。一実験では、組換え型293T細胞株を異なる濃度のFGF21、Fc−(L15)−FGF21、またはFc−(L15)FGF21(L98R、P171G)の存在下、6時間培養した。次に、細胞溶解液のルシフェラーゼ活性アッセイを行った。図30に示すように、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)は、Fc−(L15)−FGF21と類似の活性を有し、2つの点変異の導入による分子のインビトロ活性の変化がなかったことが示された。
また別の実験では、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)の65mg/mLでの安定性を2つの異なる温度、すなわち、室温と4℃で9日間、FGF21およびFc−(L15)−FGF21と一緒に評価した。インキュベーション期間後、細胞溶解液をSEC−HPLCで分析し、種々の温度で時間に対する凝集プロファイルを測定した。図31Aと31Bのデータは、凝集形成速度がFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)において、室温(図31Aの中実三角形、点線)および4℃(図31Bの中実三角形、点線)で大きく減少したことを示している。
C末端変異を含むタンパク質分解耐性FGF21変異体
また、組み合わせ変異体のインビボ安定性を調査した。特定的には、マウスおよびカニクイザルモデルにおけるFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)のインビボ安定性をFc−(L15)−FGF21の安定性と比較した。その結果から両種が類似していることがわかった。カニクイザルの調査では、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)およびFc−(L15)−FGF21を23.5mg/kgで静脈注入し、一定分量の血清と血漿を投与後840時間の時点まで採取した。168時間までの時点の試料を分析した。各時点での試料を抗Fc試薬を使いアフィニティー精製した後、MALDI質量分析を使って分析した。両分析の結果の間でよい相関が得られた。
免疫親和性MALDIを使っで得たデータの解析から、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)分子では、P171からP171Gへの変異の結果として、P171部位でのクリッピングがなくなっていることが認められた。しかし、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(図32)に対して、3C末端残基までの欠失を生じる、少数のゆっくりとした分解が観察された。他のFGF21変異体では、171と172のアミノ酸残基間のより感受性の高い切断部位が図20および21に示すようにブロックされた後で、3つのC末端残基位置での少数の切断も観察された。3つのC末端残基の切断は、カルボキシペプチダーゼによる連続的な、残基から残基への形での、またはアミノ酸残基179−180および180−181位置での非特異的クリッピングを伴うアミノ酸残基178および179での特異的プロテアーゼ攻撃による、分子のC末端からの切断の停止を示している可能性がある。C末端での2〜3アミノ酸の欠失は、β−Klotho結合の減少を引き起こし、最終的に、分子の効力とインビボ活性を低下させる可能性がある。例えば、Yie etal.、2009、FEBS Lett.583:19−24を参照。明らかなC末端のカルボキシペプチダーゼ分解に対処するために、種々のFGF21変異体ポリペプチドに対するアミノ酸残基「キャップ」付加の影響を調査した。表28に示したものを含む種々の構築物を作製し、本明細書に記載の技術を使って試験した。表28には、インビトロELKルシフェラーゼアッセイの結果をまとめている。
適切なアミノ酸キャップは、1と15アミノ酸長さの間、例えば、1、2、3、4、5、10または15アミノ酸長さであり得る。任意の数とタイプのアミノ酸をキャップとして採用してよく、例えば、単一プロリン残基、および単一グリシン残基、2つのグリシン残基、5つのグリシン残基、ならびに他の組み合わせでもよい。追加のキャップの実施例をこの実施例および表19に示す。
さらに、アミノ酸残基178および179の明らかなプロテアーゼ攻撃に対処するために、179、180および181の位置のアミノ酸残基の変異を調べた。再度、表28に示したものを含む種々の構築物を作製し、本明細書に記載の技術を使って試験した。これらの部位で、キャップと変異の組み合わせの影響も調査した。表28には、代表的構築物を作製し、インビトロELK−ルシフェラーゼアッセイ(本明細書に記載のように実施)で調査した結果をまとめている。本明細書で使われている用語に従って、hFcは、ヒトFc配列(すなわち、配列番号11)を意味し、L15は、15残基を有するリンカーを指す(すなわち、GGGGGSGGGSGGGGS、配列番号28)。
Figure 2012525847
図33は、PBS対照、野性型ネイティブFGF21、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)ならびにプロリンまたはグリシン残基がC末端に付加された、すなわち、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、182P)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、182G)である2つのキャップ付加分子を注入した糖尿病性db/dbマウス(C57B6バックグラウンド)で観察された血糖値の変化率(%)を示す。この実施例では、野性型または変異体FGF21ポリペプチドのC末端に残基が付加された場合、残基は、生成タンパク質中のその位置によって参照される。従って、「182G」は、グリシン残基が成熟181残基野性型または変異体タンパク質のC末端に付加されたことを示す。図33は、ネイティブFGF21が血糖値を6時間低下させたが、調査した3つの全てのFc−FGF21変異体は、血糖低減活性を少なくとも120時間持続したことを示す。Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、182P)、すなわち、融合分子のFGF21成分のC末端にプロリン残基の付加を含む分子、がFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、182G)に比較して、最も効力があるように思われ、最低の血糖値を示した。
続く実験で、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、182G)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、182P)のインビボ活性を調査し、C末端に2つのグリシン付加、すなわち、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、182G、183G)、を含むキャップ付加分子のインビボ活性と比較した。図34は、PBS対照、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、182G、183G)、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、182G)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、182P)を注入したob/obマウスで観察された血糖値の変化率(%)を示す。
図34に示すように、全ての調査した分子は、PBS対照に比べグルコース低減活性を持続した。この実験で、プロリンキャップのない分子、例えば、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)と比較して、C末端へのプロリン付加のあるFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、182P)がわずかにグルコース低減効力の強化を示したという前の結果(図33)を確認した。しかし、2つのグリシン残基のC末端への付加、例えば、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、182G183G)は、分子のインビボ効力を低減させるようであり、インビボのグルコース低減効果の持続期間を短くした。
図35は、PBS対照またはFGF21変異体ポリペプチドFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、Y179S)、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、Y179A)、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180S)、およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180G)を注入した糖尿病性db/dbマウス(C57B6バックグラウンド)で測定した血糖値の変化率(%)を示す。全ての変異体が、類似の活性持続期間を有する類似のグルコース低減活性を示した。
図36は、賦形剤対照、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、Y179F)、およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)を注入した糖尿病性db/dbマウス(C57B6バックグラウンド)で観察した血糖値の変化率(%)を示す。Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)と比較して、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、Y179F)は、血糖低下に関し効力が低かった。しかし、アミノ酸位置180のアラニンがグルタミン酸に変異しているFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)は、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)よりも効力が高く、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)と比較して、さらなる20%の血糖値の減少を生じさせた。これらのデータは、A180E変異がインビボC末端分解を低減させ、そのため、分子のインビボ効力と有効性を改善した可能性があることを示唆している。
アカゲザルを使った研究
Fc−リンカー−FGF21構築物を本明細書に記載の方法を使って作製した。この構築物は、C末端でL15:(Gly)−Ser−(Gly)−Ser−(Gly)−Serのリンカー配列(配列番号28)に融合したIgG1 Fc配列(配列番号11)を含み、さらに、このリンカーがC末端で成熟FGF21配列(配列番号4)のN末端に融合しており、この融合体に2つの変異、すなわちL98RとP171Gが導入されている。次に本明細書に記載のようにこの構築物を発現させ、精製した。2量体型のタンパク質を単離し、分子間ジスルフィド結合により各モノマーのFc領域の間で結合させた。この分子は本実施例22中では「Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)」と呼び、配列番号43のアミノ酸配列を有し、配列番号42によりコードされている。この実施例では、FGF21は成熟型のFGF21、すなわち、配列番号4を指す。
22.1 研究デザイン
Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)構築物を長期にわたって非糖尿病性雄アカゲザル(BMI>35)に皮下(「SC」)投与した。2つの他の群のアカゲザル(群当たりn=10)を成熟FGF21(すなわち、配列番号4)または賦形剤対照で処置した。
動物は、いずれの試験化合物の投与の前にも42日間順化され、次に10群に分割し、図37に図示しすように、盲検方式で試験複数の化合物または対照品を皮下注入投与された。要するに、各動物は1日一回、化合物または賦形剤の注入を受けた。FGF21は毎日投与され、他方、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)は毎週投与された。Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)およびFGF21用量は、図37に示すように、2週毎に増やした。体重および食物摂取量を全調査期間にわたりモニターした。委託機関は処置については知らされなかった。
処置の開始に先立ち、2回の経口グルコース負荷試験(OGTT)を行った。OGTT1を使って、曲線下面積(AUC)と体重に基づいて、動物の分布が類似している3つの等価な群に動物を選別した。2回目のOGTT(OGTT2)の結果を使い、最初のOGTT(OGTT1)の選別を確認した。最初の試験(OGTT1)と次の試験(OGTT2)が一致しないOGTTプロファイルを有するアカゲザルは除外した。OGTT1と2の結果を図38Aおよび38Bに、AUC測定値を図38Cに示す。ベースライン体重を図38Dおよび表29に示す。
OGTT3、4、および5を、低、中、高用量の各用量処理の終わりに、2週毎に行った。血液サンプルを空腹動物から毎週集め、グルコース、インスリン、トリグリセリドレベル、ならびに試験化合物レベルの測定に使用した。また、血液サンプルを3週間の休薬期間中に毎週集めた。
ベースラインOGTT1およびOGTT2は、正常動物で期待されるグルコースプロファイルを示し、また、30分で最大血漿グルコースが得られ、3つの異なる群で安定なAUCを示した。
血漿化学のための空腹時ベースライン値を表29に示す。血漿化学測定を処置の開始前に集めた血液サンプルで行った。
Figure 2012525847
3つの異なる用量レベルを選択し、FGF21およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)に対し、それぞれ、低用量を0.1および0.3mg/kg、中用量を0.3および1mg/kg、ならびに高用量を1および5mg/kgとした。用量レベルを、マウスで観察された用量反応に基づいて、また、投薬治療法をヒトの注射の期待頻度に基づいて選択した。低および中用量に対しては、等モル用量のFGF21を使用し、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)の高用量に対しては、5mg/kgに増やした(すなわち、1mg/kgFGF21用量と等モルとなるであろう3mg/kgではなく)。
22.2 体重に及ぼす試験化合物の効果
この実験では、体重に対する試験化合物の効果を調べるために、3つの異なるアカゲザル群に対し、毎週測定した体重のベースラインからの変化割合を毎週計算した。3週間の休薬期間中にも体重を測定した。各群のベースライン体重値は、表29に含まれる。
体重は、試験化合物投与前と後の両方で全調査期間にわたり追調査された。担体動物のベースラインからの体重変化率(%)は時間と共に増加したが、一方、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)およびFGF21で処置した動物の体重は、図39に示すように、6週間の処置期間にわたり用量依存型で減少した。げっ歯類で前に観察されたように(Xu et al.、Diabetes 58(1):250−9(2009))、FGF21の処置により統計的に有意に体重が減少した。Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)に曝されている時間がFGF21の場合より長く(それぞれ、図48および図47)、このことがFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)がFGF21より明らかな体重減少を示したという観察に対する可能な説明を提供している。
22.3 インスリンレベルに与える試験化合物の効果
インスリンレベルを一晩の絶食または午後の食事の後集めた血液サンプルで測定した。
空腹時血漿のインスリンレベルを、賦形剤、FGF21またはFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)で処置したアカゲザルで毎週および3週間の休薬期間中に測定した。空腹時血液サンプルを、最後のFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)注入の約5日後および最後のFGF21注入の約21時間後、採取した。
摂食時血漿インスリンレベルを、賦形剤またはFGF21高用量処置の第5週と第6週の間のアカゲザルで測定した。摂食時血液サンプルを、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)注入の約3日後、および最後のFGF21注入の約2時間後に採取した。図40は、賦形剤、FGF21およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)の空腹時インスリンレベルに対する全9週間の調査期間にわたる効果を示す。一方、図41は、5週と6週の間に採取した試料で求めた摂食時インスリンレベルを示す。
まとめると、2つの最も高い用量では、FGF21およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)の両方が空腹時および摂食時血漿インスリンレベルを統計的に有意に減少させた。グルコースレベルの増加が観察されずにFGF21およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)で処置した動物のインスリンレベルが減少したという観察により、インスリン感受性の増加が示唆される。
22.4 試験化合物のOGTT(グルコースおよびインスリン)に与える効果
処置開始後、3回のOGTT(OGTT3、4および5)を行った。OGTT5グルコースおよびインスリンレベルプロファイルを、最後の2週間の高用量漸増計画に対応する6週間の間、賦形剤、FGF21またはFc−FGF21(L98R、P171G)で処置した動物で測定した。OGTT5を最後のFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)注入の約7日後、および最後のFGF21注入の約21時間後に行った。OGTT5グルコースおよびインスリンプロファイルを、それぞれ、図42と図43に示す。Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)で処置した動物は、図42に示すように、最高用量および最後の測定時点でのみ、賦形剤処置動物に比較してグルコースクリアランスの改善を示した。最後の投与の終わりに、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)は、グルコースクリアランスの最高の改善を示した。FGF21では、グルコースクリアランスの改善は示されなかった。Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)に曝されている時間は、FGF21に比べ長く(それぞれ、図48および図47)、このことが、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)がFGF21より明らかなグルコースクリアランス効果を示したという観察に対する可能な説明を提供した。OGTT5の間のインスリンベルは、賦形剤で処置した場合よりFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)で処置した動物で測定した最後の時点で統計的に有意に低下した。
ベースラインからのグルコースAUC変化率(%)を、図44に示すように3つの異なる群のアカゲザルに対して、各低、中、高用量の終わりに行った3回のOGTT(OGTTs3、4および5)について計算した。OGTT5を、最後のFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)注入の約7日後、および最後のFGF21注入の約21時間後に行い、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)が統計的に有意にAUC5を減少させたことを示した。各群に対するベースラインOGTT値を、図38Cに示す。
空腹時血漿グルコース値をOGTTが行われなかった日に測定した。3つの群の動物で測定した空腹時血漿グルコース値に統計的に有意な差は認められなかった。
22.5 試験化合物のトリグリセリドレベルに与える効果
空腹時血漿トリグリセリドレベルの変化率(%)を、賦形剤、FGF21またはFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)で処置したアカゲザルに対し毎週および3週間の休薬期間の間計算した。空腹時血液サンプルを最後のFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)注入の約5日後および最後のFGF21注入の約21時間後に採取した。トリグリセリドレベルを処置の開始後毎週測定した。ベースラインからの変化(%)を図45に、空腹時ベースライン値を表29に示す。
図45に示すように、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)またはFGF21で処置した動物はトリグリセリドレベルの用量依存性減少を示し、FGF21に比べてFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)が最大の低下効果を示した。
図46は、賦形剤またはFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)またはFGF21で処置した第5週と第6週の間に摂食状態のアカゲザルから得られた試料の血漿トリグリセリドレベルを示す。摂食時血液サンプルをFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)注入の約3日後、および最後のFGF21注入の約2時間後に採取した。FGF21およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)で処置した動物の摂食時血漿トリグリセリドレベルは、賦形剤で処置した動物のトリグリセリドレベル(図46)に比べ、統計的に有意に減少した。
22.6 試験化合物の濃度
およそ当量モル用量レベルを投与した試験化合物の暴露を全調査期間にわたり評価した。Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)の濃度を投与前、および最後の注入の約5日後に測定した。FGF21レベルを投与前、ならびに5、12、19、および26日に測定した。血液サンプルを最後の注入の約21時間後に採取した。
各カニクイザル中の試験した化合物の個々の濃度を図47と48に示す。図47に示すように、FGF21処置群の大抵の動物は定量限界未満の濃度であった。図48は、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)処置群の動物は各投薬段階(同じ用量を2週毎投与)の間で検出可能レベルのFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)を有していたことを示す。Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)に関して、各投薬段階からの平均濃度は、大略、投与量に比例して0.3から5mg/kgに増加した。各用量漸増段階内の1回目と2回目の毎週投与後の定常濃度からわかるように、両化合物には最小限の蓄積がある。処置なし段階の間(休薬期間)Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)レベルは、約47日目(最後の投与後12日)まで検出可能であり、それ以降、定量下限値(LLOQ)を下まわった。
また、試験化合物の暴露を各OGTTの間、モニターした。FGF21は、低および中用量FGF21処置後のOGTT3および4の間、検出不能であった。しかし、高用量処置後のOGTT5の間は、測定可能なレベルが認められた。図49に示すように、漸増用量レベルに従ってFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)レベルの用量比例的増加がOGTT3〜4で観察された。
化合物レベルデータにより、用量漸増方法で、動物が期待量の各化合物、すなわち、FGF21およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)に曝されたことが確認できる。FGF21測定量で大きなばらつきが観察されたが、最後の投与後約21時間目でサンプリングしたこと、およびFGF21の半減期が約1時間であることを考慮すると、これは予期された結果であった。
22.7 結論
FGF21は、空腹時および摂食時血漿トリグリセリドおよびインスリンレベルを低減させ、また、最高用量で体重を減少させた。Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)はOGTTを改善し、最高用量でインスリンレベルを低減させ、また、空腹時および摂食時血漿トリグリセリドレベルならびに体重を用量依存的に低減させた。FGF21およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)の両方は、非糖尿病性アカゲザルの多くの代謝パラメーターを低減させた。摂食条件下、循環化合物レベルが類似の範囲内にある場合、インスリンおよびトリグリセリドレベルの減少は、FGF21とFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)の間で同等であった。その改善された特性の故に、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)は、大抵の測定パラメーターに関してFGF21より優れており、週1回投与して代謝パラメーターに対する有効性を観察することが可能であろう。
Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)Fc融合分子
リンカーを介してIgG1Fc成分に結合しているFGF21変異体を含むFc融合体を作製した。Fc融合体のFGF21成分は、FGF21のポリペプチド配列中に操作により作った3つの点変異、すなわち、L98R、P171G、A180E(付番は成熟型FGF21に基づき、配列番号4とした)を含む。ヒトFc(配列番号11)をL98R、P171G、A180E変異体FGF21(配列番号39)のN末端にGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号31)の配列を含む15アミノ酸リンカーを介して複合化することによりこの分子を構築した。この分子を「Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)」と命名し、その完全長アミノ酸配列を図50の配列番号47に示す。これは、配列番号46の核酸によりコードされる。Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)のインビトロ試験で、これが組換え型細胞株過剰発現β−KlothoのErkリン酸化の強力な刺激薬であることが示された。Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)は、また、野性型FGF21のFc融合体またはFGF21−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G)のFc融合体(配列番号45)に比べて強化されたβ−Klotho結合親和性を示した。糖尿病性動物モデルに注入した場合、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)は血糖値を低減させ、体重を減らし、さらに、隔週の注入に適した。
23.1 Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)のインビトロ活性
ELKルシフェラーゼインビトロアッセイにより、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)が野性型FGF2または野性型ネイティブFGF21のFc融合体と類似の活性を保持しているか否かを調べる実験を行った。
ELKルシフェラーゼアッセイを、組換え型ヒト293T腎臓細胞系を使って行った。この細胞系では、293T細胞がβ−Klothoおよびルシフェラーゼレポーター構築物を過剰発現している。β−klothoは、FGF21がFGF受容体を活性化し、Erkリン酸化を含む細胞内のシグナル伝達を誘導するのに必要な共受容体である。Erkルシフェラーゼ受容体レポーター構築物は、GAL4−ELK1および5xUASルシフェラーゼレポーターをコードした配列を含む。5xUASルシフェラーゼレポーターはGal4結合部位の5つの縦列コピーを含むプロモーターにより駆動される。レポーター活性はリン酸化Erkのレベルにより調節されており、FGF21活性を間接的にモニターし定量するために使用される。
ELKルシフェラーゼアッセイを、いくつかの濃度の野性型FGF21、野性型FGF21のFc融合体、Fc−L15−FGF21(L98R、P171G、A180E)およびFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)の存在下、293T細胞を6時間培養し、次いで、その細胞溶解液をルシフェラーゼ活性に関し試験することにより行った。各FGF21構築物に対しELKルシフェラーゼアッセイで得られた発光をy軸で示し、化合物濃度をx軸で示した。
図51は、Erkルシフェラーゼアッセイにおける試験化合物の用量反応特性を示す。Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)は、FGF21野性型のFc融合体と比べて類似の活性を保持し、変異のL98R、P171GおよびA180Eとの組み合わせでは、FGF21の生物活性が変化しないことを示唆している。過剰発現共受容体β−Klothoの細胞ベースアッセイで、ネイティブ野性型FGF21に比較して、Fc融合体構築物は、効力および最大活性のわずかな低減を示した。
23.2異なるリンカー配列を有するFc−FGF21(L98R、P171G、A180E)融合体のインビトロ活性
類似のFc融合類似体を、ヒトIgG1Fcを異なるリンカー配列、GGGGGSGGGSGGGGS(配列番号28)を介してFGF21(L98R、P171G、A180E)に融合することにより作製した。このリンカーをL15と名付け、得られた融合分子を、Fc−L15−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号57)と命名した。この実験では、異なるリンカー配列のFc−FGF21(L98R、P171G、A180E)融合体の活性に与える効果を調査した。
ELKルシフェラーゼアッセイを、異なる濃度のFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)およびFc−L15−FGF21(L98R、P171G、A180E)の存在下、293T細胞を6時間培養した後、その細胞溶解液のルシフェラーゼ活性を試験することにより行った。Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)は、Fc−L15−FGF21(L98R、P171G、A180E)に類似の活性を示し、異なるリンカー配列、例えば、(G4S)3またはL15リンカー、は、Fc−FGF21融合体の生物活性に大きな影響を与えないことがわかった。
23.3 結合アッセイでのFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)のβ−Klothoに対するインビトロ結合親和性
Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)のヒトおよびカニクイザルβ−Klothoに対する結合をBiacore溶液平衡結合アッセイで試験した。また、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)の親和性を、L98RおよびP171G変異のみを有するFc−融合FGF21類似体、すなわち、Fc−L15−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)と比較した。
ニュートラアビジンを、アミン結合を使ってCM5チップに固定化した。ビオチン−FGF21を第2フローセルに約1500RUまで捕捉した。第1フローセルをバックグラウンド対照として使用した。5x希釈(0.03〜2000nM)のFGF21変異体を、10nMヒトまたは25nMカニクイザルβ−Klothoと共にPBS+0.1mg/mlBSA、0.005%P20中、室温で1時間インキュベートした。ビオチン−FGF21表面上に注入することにより溶液中の遊離β−Klothoの結合を測定した。100%β−Klotho結合シグナルを、溶液中にFGF21変異体が無い状態で測定した。FGF21変異体の濃度増加と共にβ−Klotho結合応答が減少することが、β−Klothoが溶液中でFGF21変異体に結合し、β−Klothoの固定化ビオチン−FGF21表面への結合を阻止していることを示した。その混合物のFGF21のモル濃度に対する相対的結合をGraphPad Prizm 5を使ってプロットした。EC50を同一ソフトに含まれるワンサイト競合非線形フィット(one site competition nonlinear fit)を使って計算した。
図52は、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)およびFc−L15−FGF21(L98R、P171G)のヒト(右)およびカニクイザル(左)β−Klothoに対するBiacore溶液平衡結合アッセイの結果を示す。Fc−L15−FGF21(L98R、P171G)に比較して、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)は、ヒトおよびカニクイザルβ−Klothoの両方に対する少なくとも2倍の結合活性改善効果を示した。
23.4 糖尿病性db/dbマウスを使ったFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)のインビボ有効性
Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)が、糖尿病性db/dbマウスの血糖低減や体重減等の薬効を発揮することができるのかどうかという疑問について調査した。調査は、また、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)の単回注入後の持続期間および用量反応を調べることも意図されていた。Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)を0.1、0.3、1および3mg/kgの用量で糖尿病性db/dbマウスに腹腔内注入を行った。賦形剤(10mMトリス、2.2%ショ糖、3.3%ソルビトール、pH8.5)処置した群もこの調査に含めた。血液サンプルをベースライン(注入前)、ならびに注入後6、24、72、120、および168時間後の時点で各動物(群当たりn=10)から採取した。血糖値をOneTouch Glucometer(LifeScan、Inc.Milpitas、CA)で測定した。体重を、ベースライン(時間0)、ならびに注入後24、72、120、および168時間の時点で測定した。
図53Aは、賦形剤またはFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)注入後の種々の時点でのdb/dbマウス中の血糖値を示す。Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)がdb/dbマウスの血糖値の用量依存的低減をもたらした。最大グルコース減少は、ベースラインから、または賦形剤処置群と比較して、約50%であった。最大効果は、注入後6時間以内に得られ、注入後120時間持続した。約168時間で血糖値がベースラインに戻り始めた。Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)の推定ED50(最大効果の半分を達成するのに必要な用量)は、db/dbマウスで約1mg/kgであった。
図53Bは、db/dbマウスに単回注入後の、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)の体重に与える効果を示す。結果を時間0(注入前)からの体重の変化で表した。賦形剤処置マウスは、7日間の調査期間の間に、漸進的かつ安定な体重増加を示した。しかし、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)で処置したマウスでは、体重増加速度は、用量依存的に抑制された。用量が多くなればなるほど、増加抑制は長くなった。一実施例では、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)は、体重増加を鈍らせて、5日間で3mg/kg、3日間で1mg/kg、または1日で0.3mg/kgとなった。増加速度はその後回復した。Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)の体重減少に対する推定ED50は、この実験では、約1mg/kgであった。
23.5異なる注入頻度でのDIOマウスを用いたFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)の有効性比較
この調査は、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)でFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)よりも注入頻度を少なくでき、しかも類似の有効性を達成できるか否かを判断するため行った。この調査は、DIOマウスにFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)を週一回(Q7D)もしくは2週に一回(Q14D)投与、またはFc−L15−FGF21(L98R、P171G)を週2回(BIW)、Q7DもしくはQ14D投与して行った。
DIOマウスは、4週齢の雄C57BL/6マウスに飽和脂肪酸(D12492、Research Diets、Inc.、New Brunswick、NJ)を多く含んだ脂肪由来のエネルギーが60%になる高脂肪食を与えることにより調製した。高脂肪食を与えて12週後、体重と血糖値を測定した。次に、DIOマウスを、無作為化し、賦形剤または処置群に分け、類似のベースライン平均血糖値と体重になるようにした。全体で7群をこの調査に含めた:Q7Dで賦形剤投与;Q7DもしくはQ14DでFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)投与;またはBIW、Q7DもしくはQ14DでFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)投与。注入を腹腔内に、また調査を31日間行った。 体重は毎週測定した。GTTを調査の28日目に行い、調査を31日目に終了した。 研究デザインを図54に図示する。
図55は、賦形剤、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)またはFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)により異なる投薬頻度で処置したマウスのGTTプロファイルを示す。グルコース耐性は、賦形剤投与に比較して、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)をQ7DまたはQ14D投与したマウスで統計的に有意に改善されたが、これはFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)が有効であり、DIOマウスへのQ14D投与に適していることを示唆している。Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)をBIWまたはQ7Dで投与した場合はグルコース耐性を改善したが、Q14D投与では改善しなかった。これは、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)のマウスへのQ14D注入の適合性が低い可能性があることを示唆している。Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)のQ7DまたはQ14D投与での有効性は、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)のBIWまたはQ7D投与とそれぞれ同等であったが、これはFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)がFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)よりも2倍少ない頻度で投与することが可能であることを示唆している。
図56は、賦形剤、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)またはFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)の異なる投薬頻度で処置したマウスのベースライン(day0)からの体重の変化を示す。Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)のQ7D投与で処置したマウスは、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)のBIW投与マウスと同様に、大きく体重減少した。Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)のQ14D投与またはFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)のQ7D投与により処置したマウスで体重が中程度に減少した。Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)のQ14D投与処置マウスでは、有意な体重効果が観察されなかった。体重に対する効果は、上述のGTTに対する効果と一致し、Fc−(G4S)4−FGF21(L98R、P171G、A180E)のQ14Dでの投薬が有効であり、同じ効果を得るために、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)よりおよそ2倍少ない頻度の注入で十分であることを示唆している。
FGF21変異体を含むヒドロゲル製剤
タンパク質ベース治療薬の処方剤として、ヒドロゲルは、多くの望ましい特性を提供する。例えば、ヒドロゲルは、ヒドロゲルに組み込まれたタンパク質のネイティブな構造と機能を保存する。さらに、耐容性良好で、また、ポリマーと架橋のタイプによっては、生分解性ともなり得る。さらに、ヒドロゲルは、以前、タンパク質の徐放に使われ成功している。従って、ヒドロゲルを本明細書に開示のFGF21変異体に適用可能な1つの送達方法として調査した。
この実施例中に記載の全ての実験で、ヒドロゲルを以下のように調製した。1.25%ウシゼラチン(Sigma)のPBS溶液を調製した。架橋剤のメタクリル酸無水物を16:1、24:1または32:1のモル比率(MAのゼラチンに対する比率)で添加した。得られた溶液を水に対して透析して全ての非重合メタクリルアミドを除去し、ヒドロゲル賦形剤を作製した。最終的に、ヒドロゲル賦形剤を凍結乾燥してFGF21変異体を含むヒドロゲルを作るまで4℃で貯蔵した。この調製物は、引き続いて本明細書に開示されたいずれかのFGF21変異体を含むよう適応させ得るゼラチンベースヒドロゲル賦形剤の調製に使用できる。
次に、特異的FGF21変異体を含むヒドロゲルを調製した。10%凍結乾燥メタクリル酸ゼラチンヒドロゲル賦形剤からはじめて、溶液を調製した。ヒドロゲル賦形剤を暖めた後、遠心分離して、凍結乾燥したMAゼラチンヒドロゲル賦形剤を溶かし、液化した。次に、選択したFGF21タンパク質、(本実施例では、FGF21(L98R、P171G)、(配列番号37))、を液化したゼラチン溶液に所定の濃度まで添加した。TEMEDストック溶液を次に添加した。次に、KPSストック溶液を添加し、この溶液を穏やかに攪拌した。1mlシリンジに200μlまで満たし、1.5〜2時間、室温で固化させた。シリンジを−20℃で貯蔵し、使用に先立ち4℃で一晩解答した。10mMトリス、9%ショ糖(pH8.5)を含み、FGF21変異体が添加されていないヒドロゲル賦形剤を対照として使った。
インビボ実験の場合は、動物に注入する前に、シリンジを37℃の加熱パッド上に約10分間置いた。
24.1 種々の架橋比を有する10%ヒドロゲルから放出されたFGF21(L98R、P171G)のインビトロで活性
実験の目的は、ヒドロゲルから放出されたFGF21(L98R、P171G)が、ネイティブ型のFGF21(L98R、P171G)と比較して生物学的に活性であるか否かをELKルシフェラーゼインビトロアッセイにより試験することであった。
FGF21(L98R、P171G)を調製し、記載のように、16:1、24:1および32:1の架橋比の、メタクリル酸ゼラチンを含む10%メタクリル酸ゼラチン溶液中に組み込んだ。次に、FGF21(L98R、P171G)を放出させるために、ヒドロゲルをインビトロ緩衝液に分散させた。100または150時間後、媒質を集め、FGF21(L98R、P171G)活性のインビトロアッセイに供した。分析的アッセイ(例えば、SDS−PAGE、サイズ排除HPLC、および逆相HPLC)により放出されたFGF21(L98R、P171G)は、全ての時点で、そのまま無傷であることが示された。
ELKルシフェラーゼアッセイを組換え型ヒト293T腎臓細胞系を使って行った。この細胞系では、293T細胞がβ−Klothoおよびルシフェラーゼレポーター構築物を過剰発現している。β−Klothoは、FGF21がFGF受容体を活性化するのに必要な共受容体である。このアッセイに使われるFGF受容体は293T腎臓細胞内で発現した内在性FGF受容体である。ルシフェラーゼレポーター構築物は、GAL4−ELK1およびルシフェラーゼレポーターをコードした配列を含み、このルシフェラーゼレポーターはGal4結合部位の5つの縦列コピー(5xUAS−Luc)を含むプロモーターにより駆動される。ルシフェラーゼ活性はErk/ELK1のリン酸化レベルにより調節され、FGF21活性を間接的にモニターし定量するために使用される。
ELKルシフェラーゼアッセイを、異なる濃度のネイティブ型FGF21(L98R、P171G)またはヒドロゲルから放出されたFGF21(L98R、P171G)の存在下、293T細胞を6時間培養した後、細胞溶解液をルシフェラーゼ活性試験することにより行った。図57は、インビトロELKルシフェラーゼアッセイ結果を示す。メタクリル酸ゼラチン架橋比16:1、24:1および32:1のヒドロゲルから放出されたFGF21(L98R、P171G)は、生物学的に活性で、ネイティブ型のFGF21(L98R、P171G)と同等の活性を有していた。このデータにより、ヒドロゲルが、組み込まれたタンパク質の構造と機能を保存し、放出されたFGF21(L98R、P171G)は媒質中で10〜15時間経過後も活性で安定であることが示された。
24.2 ob/obマウスにおける異なる架橋比のヒドロゲルFGF21(L98R、P171G)のインビボ有効性
この実験の目的は、メタクリル酸ゼラチン架橋比24:1および32:1で調製されたFGF21(L98R、P171G)ヒドロゲルが、生物学的に活性なFGF21(L98R、P171G)のインビボ徐放を可能とし、最終的に、ネイティブ型のFGF21(L98R、P171G)に比較して、より長期間のインビボ有効性を生じるか否かを判断することであった。さらに、インビトロ放出速度の評価に基づいて、より高い架橋比のメタクリル酸ゼラチンが、組み込まれたFGF21(L98R、P171G)のより優れた徐放を可能とすることが明らかになった。従って、この実験の別の目的は、メタクリル酸ゼラチン架橋比24:1および32:1で調製した2つのFGF21(L98R、P171G)ヒドロゲルを比較することであった。
FGF21は多くの生物学的活性を有し、これには、血糖、インスリン、トリグリセリド、またはコレステロールレベルを下げる能力;体重を減らす能力;またはグルコース耐性、エネルギー消費、またはインスリン感受性を改善する能力が含まれる。FGF21(L98R、P171G)ヒドロゲルをインスリン耐性ob/obマウスに導入し、FGF21(L98R、P171G)ヒドロゲルの血糖低減および体重減少能力を測定した。インビボでの作業の方法は以下の通りに行った。
ヒドロゲルを上述の方法で調製した。8週齢のob/obマウス(Jackson Laboratory)の注入部位を剪毛し、注入直前にイソフルランとOで麻酔をかけた。ヒドロゲル(0.2ml)をゆっくり皮下に注入し、注入後、注入部位にVetbondを適用した。賦形剤(10mMトリス、9%ショ糖pH8.5)またはネイティブFGF21(L98R、P171G)もこの実験に含め、ヒドロゲルと同様に注入した。麻酔から覚めた後で動物をケージに戻した。血液サンプルを、注入前と注入後の種々の時点、例えば、注入後、0、3、6、24、72、120、192および264時間目に、採取した。血糖値を、OneTouch Glucometer(LifeScan、Inc.Milpitas、CA)で測定した。体重もまたモニターした。
図58と59で、実験の結果をまとめる。賦形剤または対照ヒドロゲルに比較して、ネイティブ型のFGF21(L98R、P171G)は、注入の3時間と6時間で急速に血糖値を下げた。しかし、ネイティブ型のFGF21(L98R、P171G)のインビボ活性は徐々に弱まり、血糖値は注入後24時間でベースラインに戻った。FGF21(L98R、P171G)ヒドロゲルは、早くも注入後3時間で血糖減少を生じ、活性は8日目まで維持された。架橋比24:1と32:1の間で有意差はなかった。FGF21(L98R、P171G)ヒドロゲル群は、また、賦形剤またはヒドロゲル単独で処置したマウスよりゆっくりした体重増加を示した。これらの結果は、架橋比24:1および32:1のメタクリル酸ゼラチンで調製したFGF21(L98R、P171G)ヒドロゲルは、生物学的に活性なFGF21(L98R、P171G)のインビボ徐放を可能とし、最終的に、ネイティブ型のFGF21(L98R、P171G)に比べて、より長い期間にわたるインビボ有効性を生じることを示した。
24.3 db/B6マウスにおける異なる架橋比のヒドロゲルFGF21(L98R、P171G)およびFGF21(L98R、P171G、A180E)のインビボ有効性
ヒドロゲル製剤を、ウシゼラチン(Sigma)、いくつかのFGF21変異体および構築物、すなわち、FGF21(L98R、P171G)およびFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)、を使って調製した。また、ヒドロゲル対照も調製した。0.2mLのヒドロゲルを21G針を有する1mlシリンジに入れた。
上述のように、ヒドロゲル対照およびFGF21変異体を含むヒドロゲルを調製した。8週齢のdb/B6マウス(Jackson Laboratory)の注入部位を剪毛し、注入の直前にイソフルランおよびOで麻酔をかけた。ヒドロゲル(0.2ml)をゆっくり皮下に注入し、注入後、注入部位にVetbondを適用した。賦形剤(10mMトリス、9%ショ糖pH8.5)またはネイティブFGF21(L98R、P171G)もこの実験に含め、ヒドロゲルと同様に注入した。動物を、麻酔から覚めた後、ケージに戻した。血液サンプルを注入前、および注入後の種々の時点、例えば、注入後、0、24、96、168、240、312時間の時点で、採取した。血糖値をOneTouch Glucometer(LifeScan、Inc.Milpitas、CA)で測定した。また、体重もモニターした。
実験計画は、以下の通りとした:
動物の群(各群n=9)
A. 対照ヒドロゲル32:1(10%)MA:HU4 200μl
B. FGF21(L98R、P171G)ヒドロゲル32:1(10%)MA:HU4
0.5mg/マウス(200μl、約10mg/kg)
C. FGF21(L98R、P171G)ヒドロゲル32:1(10%)MA:HU4
1.5mg/マウス(200μl、約30mg/kg)
D. Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)(ヒドロゲルなし) 3mg/kg
種々のパラメーターを測定し、実験結果を図60〜63に示す。図60は、14日間の実験期間の血糖の変化を示し、図61は、同じ期間にわたる血糖の変化率(%)を示す。図62は、14日間の実験期間での体重の変化を示し、図63は、同期間の体重変化率(%)を示す。
図60〜63で図示され実験結果は以下のようにまとめることができる。
10mg/kg投与のFGF21(L98R、P171G)32:1(10%)MA:HU4は、注入後24時間の血糖低減に有効で、血糖値は4〜7日後にベースラインに戻った。
30mg/kg投与のFGF21(L98R、P171G)32:1(10%)MA:HU4は、血糖低減に対し10mg/kg投与よりさらに有効で、血糖値は、4〜7日後にベースラインに戻ることが認められた。
3mg/kg投与のFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)は、それだけで、ヒドロゲルから30mg/kgで放出のFGF21(L98R、P171G)と類似の程度に、注入24時間後の血糖を低減した。
ヒドロゲル対照(これはFGF21変異体を含まない)は、血糖低減に対し、何の効果も無かった。
FGF21(L98R、P171G)ヒドロゲル群およびFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)(これは、ヒドロゲル中には入れなかった)は、ヒドロゲル対照で処置したマウスに比べ、少ない体重増加を示した。
カニクイザルの調査
2つのFc−リンカー−FGF21構築物を本明細書に記載の方法を使って作製した。1つの構築物は、IgG1 Fc配列(配列番号11)を含み、このFc配列はC末端で(Gly)−Ser−(Gly)−Ser−(Gly)−Serリンカー配列(配列番号28)に融合し、今度はこのリンカーが成熟FGF21配列(配列番号4)のN末端に融合しており、このFGF21配列中に2つの変異、L98RとP171G、が導入されている。この分子は、本実施例中では、「Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)」(配列番号43)と呼ぶ。2つ目の構築物は、IgG1 Fc配列(配列番号11)を含み、このFc配列はC末端で(Gly)−Ser−(Gly)−Ser−(Gly)−Serリンカー配列(配列番号31)に融合し、今度はこのリンカーが成熟FGF21配列(配列番号4)のN末端に融合しており、このFGF21配列中に3つの変異、L98R、P171G、およびA180E、が導入されている。この分子は、本実施例中では、「Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)」(配列番号47)と呼ぶ。次に、本明細書に記載のように、これらの構築物を発現させ、精製して、2量体型のタンパク質として単離した。このタンパク質の各モノマーは、各モノマーのFc領域の間の分子間ジスルフィド結合を介して結合している。
25.1 研究デザイン
調査は、耐糖能障害(IGT)の特徴があるカニクイザルを使って行った。サルは8〜18才であった。体重は、5〜15kg、BMIは、32〜70kg/mの範囲であった。44匹のサルを化合物投与に先立ち、6週間順化させた。環境順化期間の間、サルを週4回の訓練を4週間行い、椅子拘束、皮下注入(PBS、0.1ml/kg)、経管栄養(水、10ml/kg)、非OGTTおよびOGTT試料用採血を含む、手続きに慣れさせた。4週間の訓練後、ベースラインOGTTおよび血漿代謝パラメーターを測定した。44匹のサルから40匹を選択し、3群に分けて無作為化し、体重、OGTT AUC応答、ならびに血漿グルコースおよびトリグリセリドについて、類似のベースラインレベルとなるようにした。
調査は盲検方式で行った。賦形剤(n=14)、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(n=13)およびFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)(n=13)を化合物A、BおよびCとして標識をつけ、週1回、皮下注入により投与した。化合物を用量漸増方式で、低(0.3mg/kg)、中(1mg/kg)から高(3mg/kg)レベルまで投与し、用量を3週毎に増加した。化合物による処置を9週行った後、動物を化合物の洗い流しと処置からの回復のため、さらに3週間モニターした。全調査期間にわたり、食物摂取量、体重、臨床化学およびOGTTをモニターした。食物摂取量を毎食毎に測定した。体重は、毎週測定した。血液サンプルを、各用量注入5日目以降毎週採取し、グルコース、トリグリセリド、総コレステロール、HDL−およびLDL−コレステロールレベルを測定した。OGTTを処置開始後3週毎(各用量レベルの終了時点)に行った。処置の開始日を0として、詳細 研究デザインを図64に示す。
本実施例で示した結果は、9週間の処置の終了時点で採取したデータである。
25.2 食物摂取量に及ぼす試験化合物の効果
動物に1日2回給餌し、各動物は、120gの環境順化期間中に確立した処方食を摂取した。残った食物を取り除き、各食事後秤量し食物摂取量を計算した。給餌時間は、8:00AM〜8:30AM(±30分)および4:30PM〜5:00PM(±30分)であった。おやつにするため、毎日11:30〜12:30PM(±30分)に、リンゴ(150g)を各動物に与えた。
賦形剤投与と比較して、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)およびFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)の両方ともサルの食物摂取量が減少した(図65、66および67)。Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)は、0.3mg/kg投与量の場合、午前、果実および午後の食事を含む毎食事時に食物摂取量を抑制した。しかし、用量を1mg/kgに増やすと、効果は減少し、処置のおよそ30日後、食物摂取量はベースライン近く、または対照のレベルまで戻った。Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)は、用量を1および3mg/kgに増量した場合、午前食物摂取量に対し有意な効果がなく、午後の食事に対しわずかに食物摂取量を減らしたに過ぎなかった。しかし、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)は、果実摂取量を、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)と同程度に減らした。全体としては、食物摂取量の抑制に関しFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)がFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)より強力な効果を示した。食物摂取量に対する効果は、短期的であると思われ、食物摂取量は処置の約30日後に元に戻った。
25.3 体重に及ぼす試験化合物の効果
全調査期間を通し、体重を毎週モニターした。9週間の処置の期間にわたり、賦形剤処置の動物の体重は一定のまま維持され、他方、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)およびFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)で処置した動物の体重は、少しずつ減少した。図68に示すように、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)は、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)より際立った体重減少をもたらした。
25.4 肥満度指数(BMI)、皮下脂肪厚(SFT)および腹囲(AC)に及ぼす試験化合物の効果
全調査期間にわたり、体重を測定した際に試験化合物の投与の前後の両方で、BMI、SFTおよびACを毎週モニターした。BMIを個体の体重を身長の2乗で割った値として定義した。SFTは、測定部位に一定の張力を与える特殊カリパスを使って測定した皮膚と皮膚の下の脂肪の二重層の厚さである。BMI、SFTおよびACは、比較的正確、簡単、安価な体組成、特に皮下脂肪の測定法である。賦形剤で処置した動物は、全調査期間にわたり比較的安定なBMI、SFTおよびACを示した。Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)およびFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)で処置した動物は、9週間の調査期間にわたり、低いレベルのBMI、SFTおよびACを示したが、これは、両化合物が体脂肪量の減少をもたらしたことを示唆している。Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)は、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)より有効で、BMI、SFTおよびACのさらに際立った減少をもたらした。結果を図69、70および71にぞれぞれ示す。
25.5 空腹時血糖値に及ぼす試験化合物の効果
一晩絶食した動物から血液を採取した。採血を注入5日後毎週行った。Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)の両方が空腹時血糖値を低減した。Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)は、0.3mg/kgの用量時に空腹時血糖値を低減し、用量を1mg/kgに増やした場合に、最大グルコース減少が達せされた。しかし、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)のみが、試験した最高用量(3mg/kg)で中程度の血糖値減少をもたらした。従って、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)がFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)より効果的で、さらに際だった血糖減少が得られた。低血糖は、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)またはFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)で処置したいずれのサルにも観察されなかった。図72は、調査期間中の空腹時血漿グルコースのレベルを示す。
25.6 経口グルコース負荷試験(OGTT)に与える試験化合物の効果
OGTTを処置開始の前後で行った。投与後OGTTを3週毎に行い、各用量レベルでの化合物の効果の試験を行った。Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)は、0.3〜3mg/kgの全試験用量でグルコース耐性を改善した。グルコースレベルは、減少し、グルコース大量投与後のグルコース変動幅は、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)処置に応じて増加した。用量反応が観察されなかったことは、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)が0.3mg/kgの用量でその最大効果に達したことを示唆している。Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)のみが、1mg/kg用量でグルコース耐性の改善をもたらし、用量を3mg/kgに増やしたときになぜ効果が減少したかは明らかでない。図73は、OGTT前後の曲線プロファイルおよびOGTT曲線下面積を示す。
25.7トリグリセリドレベルに与える試験化合物の効果
一晩絶食した動物から血液を採取した。採血を、各注入の5日後毎週行った。トリグリセリドレベルはFc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)またはFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)で処置した動物で有意に減少した。しかし、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)がFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)より有効であった。Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)は、0.3mg/kgで血漿トリグリセリドレベルの最大減少をもたらしたが、一方、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)のみが、最高試験投与量(3mg/kg)でトリグリセリドレベルの中程度の減少をもたらした。図74は、調査期間中の空腹時血漿トリグリセリドのレベルを示す。
25.8 総コレステロールおよびHDLコレステロールレベルに及ぼす試験化合物の効果
一晩絶食した動物から血液を採取した。採血を、各注入の5日後毎週行った。血漿総コレステロールおよびHDLコレステロールレベルは、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)またはFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)処置後、増加傾向であった。図75と76は、調査期間中の総コレステロールおよびHDLコレステロールレベルを示す。
25.9 結論
雄IGTカニクイザルで行った用量漸増試験では、Fc複合化FGF21変異体、すなわち、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)で処置した動物は、代謝パラメーターの改善を示した。体重は減少し、体組成は改善された。短期間の食物摂取量の減少が観察され、食物摂取量は、調査中に、ベースラインまたは対照レベルまで戻った。空腹時血糖およびトリグリセリドレベルもまた、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)またはFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)の両化合物により低減した。OGTTは改善され、HDLコレステロールレベルは、わずかに上昇した。Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)に比較して、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)は、全ての試験用量で測定した全てのパラメーテーでFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)より優れてるように思われた。Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)は、ほとんどのパラメーターに対し、0.3mg/kgの投与の場合に最大効果に達した。従って、より高度な種に対する、Fc−(G4S)3−FGF21(L98R、P171G、A180E)の治療効果のある用量は、0.3mg/kg未満である可能性がある。
カニクイザルを使った安定性調査
この調査は、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号57)がFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)よりプロテアーゼ耐性が高いか否かを判定することを意図した。マウスまたはサルにFc−(L15)−FGF21(L98R、P171Gを注入後、実施例21に示すように、カルボキシ末端処理過程を観察した。分解によりC末端からの1〜3アミノ酸残基の連続的欠失を生じた。Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)のC末端をキャッピングまたは追加の変異をそのC末端に導入する試みにより優れた分子Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)を得た。この調査は、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)が、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)に比べて、インビボ安定性を有するか否かを評価するために計画された。
Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)構築物を作製した。これらの構築物は、IgG1 Fc配列(配列番号11)を含み、このFc配列がC末端で(Gly)5−Ser−(Gly)3−Ser−(Gly)4−Serリンカー配列(配列番号28)に融合し、今度はこのリンカーが成熟FGF21配列(配列番号4)のN末端に融合しており、これには、2つの変異、L98R、P171G、または3つの変異、L98R、P171G、およびA180E、が導入されている。これらの構築物を本明細書に記載のように、発現させ、精製して、2量体型のタンパク質として単離した。この2量体タンパク質では、各モノマーが、そのFc領域の間にある分子間ジスルフィド結合を介して結合している。
Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)のインビボ安定性を雄カニクイザルを使って比較した。Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)をカニクイザルの静脈内に23.5mg/kg注入した。血液サンプルを、単回IV注入後、種々の時点で採取した。免疫親和性MALDI−TOF質量分析を使って注入後の各時点で代謝物をモニターした。結果を図77に示す。
Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)に比較して、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)は、C末端分解の有意な減少を示し、インタクト分子の親ピークに隣接した、より少ない検出可能な質量ピークが認められた。これは、A180E変異がC末端のペプチダーゼ分解を減速させたことを示唆している。[1−376]、[1−394]および[1−401]に質量損失が想定される、より大きな切断もまた、観察され、その部位は、FGF21ポリペプチド配列の133−134、153−154および158−159に相当した。内部エンドペプチダーゼクリッピングがFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)の両方の全体代謝に寄与し、A180E変異は、内部エンドペプチダーゼ分解の速度に有意に影響しないように思われた。
分解を増やし、分解混合物の詳細を把握するために、MRM(多重反応モニタリング)LC−MS質量分析も行い、種々の形のC末端分解断片をモニターした。サルの試料を親和性精製し、次に、Asp−N消化に供した。次に、C末端消化ペプチドをMRMでモニターした。種々の形のC末端分解断片の結果を、完全長ペプチド種に対する相対量(%)として図78で表している。MALDIスペクトルと一致して、C末端断片のMRM判定量分析もまた、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)を投与したサル中で、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)投与に比べ、1〜3アミノ酸がC末端から欠失したペプチド断片の相対的存在量の減少、およびインタクト分子の相対的存在量の増加を示した。
要約すると、カニクイザルにおいて、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)は、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)に比べて、C末端分解の減少およびインビボ安定性の強化を示した。
マウス中のFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)の薬物動態
この調査は、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)(配列番号57)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)(配列番号43)の雄C57BL/6マウスへの単回静脈内投与後の薬物動態を評価するために計画された。
Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)の20mg/kgを静脈内注入により投与した。血液サンプルを投与後0.083(5分)、1、4、8、16、24、48、72、96、168、および240時間の時点で採取した。無傷完全長分子の血漿中濃度を測定するため、N末端およびC末端FGF21を対象とした免疫反応性を使ったELISAアッセイを行った。このアッセイは、他の分解生成物の混入はほとんどなく完全長インタクト分子を追跡する。マウスへの注入後240時間までのインタクトFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)およびFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)の血漿中濃度を図79に示す。
Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)の血漿中濃度は、注入から24〜168時間の間、同量投与のFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)の濃度より有意に高かった。マウスへの投与後168時間で、かなりの量のFc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)が測定可能であった。結果として、マウスにおいて、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)は、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)に比べてAUC適用範囲の増加、および血漿循環半減期の2倍の増加を示した。Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G、A180E)の半減期は16.6時間で、Fc−(L15)−FGF21(L98R、P171G)の半減期は9.4時間であった。注入後240時間では、両化合物は、検出可能レベル以下であった。
溶解度を改善またはC末端クリッピンを低減して半減期を延長するためのN結合グリコシル化変異体の作製
ネイティブアミノ酸配列に対して最小限の破損しか含まない哺乳類動物発現のために有望なN結合グリコシル化部位を作るために、FGF21変異体を計画し、作成した。この構築変異体は、FGF21(Y179N、S181T)(配列番号161)、FGF21 Y179N(配列番号163)およびFGF21 P124S(配列番号165)を含む。
293−6E細胞中で一次的に変異体の発現を行い、順化培地をELKルシフェラーゼインビトロアッセイにより活性試験した。ELKルシフェラーゼアッセイは、異なる濃度の精製タンパク質ではなく、順化培地の系列希釈を使ったことを除いては、実施例4で記載のように実施した。
順化培地分析により、野性型よりもグリコシル化を増加されることは、一次的発現系では達成されないことが示された。図80は、ELKルシフェラーゼ活性アッセイの結果を示す。図80の結果は、ELKルシフェラーゼアッセイの試験により、FGF21 P124S変異体はFGF21活性に対し悪影響を及ぼさないが、FGF21 Y179NおよびFGF21(Y179N、S181T)変異体は、グリコシル化が無い場合は、活性の低下を生じたことを示している。
本発明を種々の実施形態を使って記載してきたが、当業者が変形および変更を思いつくであろうことは理解されたい。従って、添付の請求項は、請求範囲にある本発明の範囲内にある全てのこのような等価の変形を包含するものとする。さらに、本明細書で使われている節の標題は構成上の目的のみのために使用されているのであり、記載された対象を限定するものと解釈されるべきではない。
本出願で引用されている全ての参照は、目的に応じ、参照によって明示的に本明細書に組み込まれる。

Claims (31)

  1. 配列番号4または8を含む単離ポリペプチドであって、
    (a)
    (i)位置98のロイシン残基;
    (ii)位置171のプロリン残基;
    (iii)位置180のアラニン残基;
    のうちの1つ以上について任意のアミノ酸の置換、さらに
    (b)表2〜10の変異から選択される1つまたは複数の置換をさらに含む単離ポリペプチド。
  2. (b)の1つまたは複数の置換が、
    (a) 表2のシステイン変異;
    (b) 表3の操作されたジスルフィド結合;
    (c) 表4の安定性強化変異;
    (d) 表5のタンパク質分解耐性変異;
    (e) 表6の凝集変異;
    (f) 表7のC末端分解変異;
    (g) 表8のグリコシル化変異;
    (h) 表9から選択されたO−グリコシル化耐性変異;
    (i) 表10から選択された変異;および
    (j) (a)〜(i)の組み合わせ;
    からなる群より選択される1つまたは複数の変異を含む請求項1記載の単離ポリペプチド。
  3. (a)のシステイン変異が、18〜31、33、35〜50、54、56〜62、64〜73、75〜104、106〜135、137〜140、152〜154、163および167、からなる群より選択される位置のシステインを含む請求項2記載の単離ポリペプチド。
  4. 操作されたジスルフィド結合が、19〜138、20〜139、21〜33、22〜137、22〜139、23〜25、23〜28、24〜135、25〜122、26〜122、27〜123、28〜43、28〜124、31〜43、33〜21、35〜84、41〜82、42〜124、42〜126、43〜124、50〜69、54〜66、58〜62、67〜72、67〜135、72〜84、73〜93、75〜85、75〜92、76〜109、77〜79、77〜81、80〜129、82〜119、94〜110、95〜107、100〜102、102〜104、115〜117、117〜129、117〜130、118〜132、118〜134、121〜127、123〜125、127〜132、および152〜163、からなる群より選択される1つまたは複数の位置に一対のシステイン残基を含む請求項2記載の単離ポリペプチド。
  5. 安定性強化変異が、42、54、77、81、86、88、122、125、126、130、131、139、145、146、152、154、156、161、163、170、および172、からなる群より選択される1つまたは複数の位置にD、E、R、K、H、S、T、NまたはQを含む請求項2記載の単離タンパク質。
  6. 蛋白質分解耐性変異が、
    (a) 位置19のQ、IまたはK;
    (b) 位置20のH、LまたはF;
    (c) 位置21のI、F、YまたはV;
    (d) 位置22のI、FまたはV、
    (e) 位置150のAまたはR;
    (f) 位置151のAまたはV;
    (g) 位置152のH、L、FまたはV;
    (h) 位置170のA、D、N、C、Q、E、P、またはS;
    (i) 位置171のA、R、N、D、C、E、Q、G、H、K、S、T、WまたはY;
    (j) 位置172のLまたはT;および
    (k) 位置173のRまたはE、
    からなる群より選択される請求項2記載の単離タンパク質。
  7. 凝集低減変異が、
    (a) 位置26のE、KまたはR;
    (b) 位置45のEK、R、Q、またはT;
    (c) 位置52のT;
    (d) 位置58のC、EまたはS;
    (e) 位置60のA、E、KまたはR;
    (f) 位置78のA、C、HまたはR;
    (g) 位置86のCまたはT;
    (h) 位置88のA、E、K、RまたはS;
    (i) 位置98のC、E、K、Q、またはR;
    (j) 位置99のC、D、E、またはR;
    (k) 位置111のKまたはT;
    (l) 位置129のD、E、H、K、N、RまたはQ;および
    (m) 位置134のE、H、KまたはY、からなる群より選択される請求項2記載の単離タンパク質。
  8. C末端分解変異が、
    (a) 位置180のG、E、PまたはS;
    (b) 位置181のG、P、K、T、A、LまたはP;および
    (c) 位置179のAP、G、SまたはA
    からなる群より選択される請求項2記載の単離ポリペプチド。
  9. O−グリコシル化耐性変異がS167A、S167E、S167D、S167N、S167Q、S167G、S167V、S167H、S167KおよびS167Yからなる群より選択される請求項2記載の単離ポリペプチド。
  10. (a) 位置98の変異が、L98R、L98C、L98E、L98Q、L98KおよびL98T、からなる群より選択され;
    (b) 位置171の変異が、P171A、P171R、P171N、P171D、P171C、P171E、P171Q、P171G、P171H、P171K、P171S、P171T、P171WおよびP171Y、からなる群より選択され;
    (c) 位置180の変異が、A180G、A180E、A180PおよびA180S、からなる群より選択される、請求項1記載の単離ポリペプチド。
  11. 位置98の変異がL98Rであり、位置171の変異がP171Gであり、さらに位置180の変異がA180Eである請求項10記載の単離ポリペプチド。
  12. (i) 8以下の残基のN末端切断;
    (ii) 12以下の残基のC末端切断;
    (iii) 8以下の残基のN末端切断および12以下の残基のC末端切断、
    をさらに含む請求項1〜11のいずれか1項に記載の単離ポリペプチド。
  13. 哺乳類動物の血糖を下げることができる請求項12記載の単離ポリペプチド。
  14. ポリペプチドが配列番号4または8のアミノ酸配列と少なくとも85パーセントは同一であるが、該ポリペプチドがL98R、P171GおよびA180E変異を含む場合は、L98R、P171GおよびA180E変異はさらなる改変をされないアミノ酸配列を含む、請求項1または11記載の単離ポリペプチド。
  15. ポリペプチドのC末端に融合した1〜10アミノ酸残基をさらに含む請求項1または11のいずれか1項に記載の単離ポリペプチド。
  16. 1〜10アミノ酸残基が、グリシン、プロリンおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される請求項15記載の単離ポリペプチド。
  17. ポリペプチドが1つまたは複数のポリマーと共有結合している請求項1または11記載の単離ポリペプチド。
  18. ポリマーがPEGである請求項17記載の単離ポリペプチド。
  19. 異種のアミノ酸配列に融合している請求項1または11のいずれか1項に記載の単離ポリペプチドを含む融合ポリペプチド。
  20. 異種のアミノ酸配列がIgG定常ドメインまたはその断片である請求項19記載の融合ポリペプチド。
  21. IgG定常ドメインが配列番号171または配列番号11のアミノ酸配列を含む請求項20記載の融合ポリペプチド。
  22. ポリペプチドがリンカーを介して異種のアミノ酸配列に融合している請求項20記載の融合ポリペプチド。
  23. リンカーが、ポリアラニン、(Gly)(配列番号29)、(Gly)(配列番号30)、(Gly)−Ser−(Gly)−Ser−(Gly)−Ser(配列番号28)、(Gly)−Ser−(Gly)−Ser−(Gly)−Ser(配列番号31)、(Gly)−Lys−(Gly)(配列番号32)、(Gly)−Asn−Gly−Ser−(Gly)(配列番号33)、(Gly)−Cys−(Gly)(配列番号34)、Gly−Pro−Asn−Gly−Gly(配列番号35)、Gly−Ser(GlySer)(配列番号166)、(GlySer)(配列番号167)、(GlyS)(配列番号168)、DAAAKEAAAKDAAAREAAARDAAAK(配列番号169)、およびNVDHKPSNTKVDKR(配列番号170)、からなる群より選択される請求項22記載の融合ポリペプチド。
  24. 2つ以上の請求項23記載の融合ポリペプチドを含むマルチマー。
  25. 請求項1〜24のいずれか1項に記載の単離ポリペプチドおよび薬学的に許容可能な処方剤を含む医薬品組成物。
  26. 治療を必要としているヒトの患者に請求項25記載の医薬品組成物を投与することを含む代謝障害を治療する方法。
  27. 代謝障害が糖尿病である請求項26記載の方法。
  28. 代謝障害が肥満症である請求項26記載の方法。
  29. 請求項1〜24のいずれか1項に記載のポリペプチドをコード単離核酸。
  30. 請求項29記載の核酸分子を含むベクター。
  31. 請求項29記載の核酸分子を含む宿主細胞。
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