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JP2011252168A - 軟質樹脂組成物 - Google Patents

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JP2011252168A JP2011180656A JP2011180656A JP2011252168A JP 2011252168 A JP2011252168 A JP 2011252168A JP 2011180656 A JP2011180656 A JP 2011180656A JP 2011180656 A JP2011180656 A JP 2011180656A JP 2011252168 A JP2011252168 A JP 2011252168A
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Abstract

【課題】 遮音性にすぐれ、かつ上記成形性にすぐれた遮音材用組成物、とくに屈曲部で折れ難く、白化し難い性質を持つ遮音材用組成物を提供すること。
【解決手段】 比重が1.5〜2.5であり、引張り延びが100〜1500%であり、JIS−A硬度が80〜90であり、180度折り曲げ試験で実質的に折れも白化も認められないフィラー充填オレフィン系軟質樹脂組成物。
密度が0.85〜0.89g/cm3であって、MFRが異なる少なくとも2種のエチレン・α−オレフィン共重合体の混合物で、混合物のMFRが0.5〜10g/10分であるエチレン・α−オレフィン共重合体混合物(A)15〜50重量部と、無機フィラー(B)50〜85重量部からなるフィラー充填オレフィン系軟質樹脂組成物は好適な態様である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、遮音材に適した組成物に関する。さらに詳しくは、成形性に優れた遮音材に適した組成物に関する。
一般住宅やビルなどの建築構造物、自動車などの乗物、エアコンやコンプレッサーなどの家電製品などにおいては、外部からの騒音やそれ自身が発生する音に対する防音対策が、利用者の快適さを追求する上で不可欠となっている。
従来、ゴム、樹脂、アスファルトなどに充填材や各種添加剤が混合され、遮音用シートとして供されてきた。遮音効果を上げるためには、目付け量を増す方法がとられたが、その結果遮音材自身の重量が増すという問題があった。
遮音材の機能は音波を伝搬中に遮断することであり、音波透過損失の大きいものが好ましいとされている。そのために、面密度(単位面積当たりの重量)が大きい素材が探求されてきた。一方共振現象で起きる振動音に対しては、弾性率の小さい柔軟性に富むものが低減効果が大きい。このような要請から、軟質塩化ビニル樹脂に炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化鉄などの無機充填材が配合された樹脂組成物よりなるシート状物が遮音シートとして好んで用いられてきた。
しかし、塩化ビニル樹脂は、火災時や廃棄焼却時の腐食性ガス発生という難点がある。さらに各種樹脂のリサイクルが進められている中で、他樹脂との相溶性が乏しいためリサイクルが困難である。そのため、より安全性が高くリサイクル可能な素材の出現が望まれている。
上記のような状況下で、軟質塩化ビニル樹脂に代わる軟質樹脂が提案されている。たとえば、特開平8−208900号では、エチレンーブテン系ランダム共重合体と、天然ゴム、合成ゴムおよび熱可塑性樹脂から選ばれた成分と、比重2以上の充填材からなる遮音シート組成物が提案されている。また、特開平11−62043号では、非晶質ポリα−オレフィンと高比重充填材とからなる遮音シート組成物が提案されている。同公開特許出願で具体的に例示されている非晶質ポリα−オレフィンは、アタクチックポリプロピレン、およびプロピレン含量50%以上のプロピレンとエチレンまたはブテン−1共重合体である。
遮音材が、自動車の内装材や外装材、たとえばダッシュパネル、フロアー、トランクルームなどや、他の複雑な形状の用途に使用される機会が多くなるにつれて、遮音材に優れた成形性が要求されるようになってきた。特に遮音性を維持したまま、深絞り性などの成形性と柔軟性が要求される。
さらには、複雑な形状の遮音材を成形する際に生ずる屈曲部にあっては、折れ難いとか白化し難いなどの物性要求が付加される。
本発明らは、遮音性にすぐれ、かつ上記成形性にすぐれた遮音材用物質を鋭意追求して本発明に到達した。
特開平8−208900号 特開平11−62043号
遮音性にすぐれ、かつ上記成形性にすぐれた遮音材用組成物、とくに屈曲部で折れ難く、白化し難い性質を持つ遮音材用組成物を提供すること。
本発明は、比重が1.5〜2.5であり、引張り延びが100〜1500%であり、JIS A硬度が80〜90であり、180度折り曲げ試験で実質的に折れも白化も認められないフィラー充填オレフィン系軟質樹脂組成物を提供する。
また本発明は、密度が0.85〜0.89g/cm3であって、MFRが異なる少なくとも2種のエチレン・α−オレフィン共重合体の混合物で、混合物のMFRが0.5〜10g/10分であるエチレン・α−オレフィン共重合体混合物(A)15〜50重量部と、無機フィラー(B)50〜85重量部からなるフィラー充填オレフィン系軟質樹脂組成物を提供する。
更に本発明は、密度が0.85〜0.89g/cm3、MFRが0.1〜2g/10分であるエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)5〜95重量部と、密度が0.85〜0.89g/cm3、MFRが2超〜100g/10分であるエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)5〜95重量部とからなる混合物で、混合物のMFRが0.5〜10g/10分であるエチレン・α−オレフィン共重合体混合物(A)15〜50重量部と、無機フィラー(B)50〜85重量部からなるフィラー充填オレフィン系軟質樹脂組成物を提供する。
前記エチレン・α−オレフィン共重合体混合物(A)が、グラフト変性されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含むものである前記したフィラー充填オレフィン系軟質樹脂組成物は本発明の好ましい態様である。
さらにまた、本発明は前記のフィラー充填オレフィン系軟質樹脂組成物よりなる遮音材を提供する。
本発明によれば、遮音性にすぐれ、かつ上記成形性にすぐれた遮音材用組成物が提供される。この組成物は、とくに屈曲部で折れ難く、白化し難い性質を持つ遮音材用組成物である。また本発明によれば、遮音性にすぐれ、かつ上記成形性にすぐれた遮音材用組成物から得られる遮音材が提供される。
本発明は、比重が1.5〜2.5であり、引張り延びが100〜1500%であり、JIS A硬度が80〜90であり、180度折り曲げ試験で実質的に折れも白化も認められないフィラー充填オレフィン系軟質樹脂組成物を提供するものである。
本発明のフィラー充填オレフィン系軟質樹脂組成物を与える好ましい態様は、密度が0.85〜0.89g/cm3であって、MFRが異なる少なくとも2種のエチレン・α−オレフィン共重合体の混合物で、混合物のMFRが0.5〜10g/10分であるエチレン・α−オレフィン共重合体混合物(A)15〜50重量部と、無機フィラー(B)50〜85重量部からなるフィラー充填オレフィン系軟質樹脂組成物である。
エチレン・α−オレフィン共重合体混合物(A)
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体混合物(A)は、MFRが異なる少なくとも2種の密度が0.85〜0.88g/cm3であるエチレン・α−オレフィン共重合体とからなる混合物で、混合物のMFRが0.5〜10g/10分であるエチレン・α−オレフィン共重合体混合物であることが好ましい。
本発明に使用できるエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体である。α−オレフィンの例としては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1等を挙げることができる。この共重合体は、これらのα−オレフィンの1種または複数種がエチレンと共重合した重合体であってもよい。
共重合体中に占めるエチレン単位の含量は、60〜90、好ましくは65〜85モル%で、α−オレフィン単位の含量は、10〜40、好ましくは15〜35モル%である。共重合体組成がこの範囲にあると、X線回析によって測定されたその共重合体の結晶化度が20%以下であって、この値からこの共重合体が低結晶性ないし非晶性の重合体であることを示している。
またこの共重合体の密度(g/cm3)は、0.89以下、好ましくは0.85以上でかつ0.89未満、より好ましくは0.86以上かつ0.88以下である。
これらのエチレン・α−オレフィン共重合体を任意に2種以上選んで混合し、
混合物のMFRが0.5〜10g/10分であるエチレン・α−オレフィン共重合体混合物(A)とすることができる。本発明でメルトフローレート(MFR)は、ASTM D 1238に準拠して、190℃および2.16kg荷重下で測定した値である。
また、本発明で用いられるエチレン・α一オレフイン共重合体混合物(A)は、その全部または一部が極性モノマーでグラフト変性されていてもよい。極性モノマーとしては、たとえば不飽和カルボン酸またはその誘導体(たとえば酸無水物、エステル)を挙げることができる。
このような不地和カルボン酸としては具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル政、ビシクロ(2,2,1)ヘプト−2−エンー5,6一ジカルボン酸なとが挙げられる。
不飽和カルボン酸の酸無水物としては、具体的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、ビシクロ(2,2,1)ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物なとが挙げられる。これらの中でも、無水マレイン酸が好ましい。
不飽和カルボン酸エステルとしては、具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、フマル酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ(2,2,1)ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸ジメチルなとが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが好ましい。
上記の不飽和カルボン酸などのグラフト変性剤(グラフトモノマー)は、それぞれ単独または2種以上の組み合わせで使用されるが、何れの場合も前述したグラフト変性前のエチレン・α−オレフイン共重合体(A)に対して0.1〜5重量%のグラフト量にするのがよい。
グラフト量が上記範囲にあるエチレン・α一オレフイン共重合体(A)を用いると、耐白化性、耐折り曲げ性などにより優れた軟質樹脂組成物を提供しうる。
グラフト変性したエチレン・α−オレフイン共重合体は、未変性のエチレン・α−オレフイン共重合体と不飽和カルボン酸またはその誘導体とを、ラジカル開始剤の存在下に反応させることにより得ることができる。
このグラフト反応は溶液にして行なうこともできるし、溶融状態で行なってもよい。溶融状態でグラフト反応を行なう場合には、押出機の中で連続的こ行なうことが最も効率的であり好ましい。
グラフト反応に使用されるラジカル開始剤としては、パーオキサイド類が好ましく使用される。具体的には、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、t一ブチルヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキシン−3、2,6−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキサン、α,α′−{ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルパーオキサイド類;
t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシフタレートなどのパーオキシエステル類;
ジシクロへキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;
およびこれらの混合物などが挙げられる。
中でも半減期1分を与える温度が130〜200℃の範囲にある有機過酸化物が好ましく、特に、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパ−オキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメサルシクロヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイドなどの有機過酸化物が好ましい。
また、不飽和カルボン酸またはその誘導体(たとえば酸無水物、エステル)以外の極性モノマーとしては、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ酸含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、芳香族ビニル化合物、ビニルエステル化合物、塩化ビニルなどが挙げられる。
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体混合物(A)を構成する好ましいエチレン・α−オレフィン共重合体の組合せは、後記エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)5〜95重量部と、同じく後記するエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)5〜95重量部とからなる混合物であって、混合物のMFRが0.5〜10g/10分である。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)
本発明に使用できるエチレン・α−オレフィン共重合体は、前記のとおりエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体である。α−オレフィンの例としては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1等を挙げることができる。この共重合体は、これらのα−オレフィンの1種または複数種がエチレンと共重合した重合体であってもよい。
共重合体(A1)中に占めるエチレン単位の含量は、60〜90、好ましくは65〜85モル%で、α−オレフィン単位の含量は、10〜40、好ましくは15〜35モル%である。共重合体組成がこの範囲にあると、X線回析によって測定されたその共重合体の結晶化度が20%以下であって、この値からこの共重合体が低結晶性ないし非晶性の重合体であることを示している。
またこの共重合体(A1)の密度(g/cm3)は、0.89以下、好ましくは0.85以上でかつ0.89未満、より好ましくは0.86以上かつ0.88以下である。
さらに、共重合体(A1)のメルトフローレートは、0.1〜2、好ましくは0.5〜2(g/10分)である。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A2)
エチレン・α−オレフィン共重合体(A2)は、前記したエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)と同様にエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体である。α−オレフィンの例としては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1等を挙げることができる。この共重合体は、これらのα−オレフィンの1種または複数種がエチレンと共重合した重合体であってもよい。
共重合体(A2)中に占めるエチレン単位の含量は、60〜90、好ましくは65〜85モル%で、α−オレフィン単位の含量は、10〜40、好ましくは15〜35モル%である。共重合体組成がこの範囲にあると、X線回析によって測定されたその共重合体の結晶化度が20%以下であって、この値からこの共重合体が低結晶性ないし非晶性の重合体であることを示している。
またこの共重合体(A2)の密度(g/cm3)は、0.89以下、好ましくは0.85以上でかつ0.89未満、より好ましくは0.86以上かつ0.88以下である。
さらに、共重合体(A2)のメルトフローレートは、2g/10分超から50g/10分の範囲にあることが好ましく、より好ましい範囲は2超〜40g/10分である。
また、本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)または(A2)は、その分子が持つ分岐の状態によって、樹脂組成物およびその成形体に影響を与えることがある。すなわち、その共重合体のgη*値が0.95を越えていると、短鎖分岐を有するかあるいは比較的に長鎖分岐が少ないことを示している。そのような共重合体を配合した樹脂組成物は成形体の収縮率がいという長所がある。一方、gη*値が0.2〜0.95の範囲にあると、このエチレン・α−オレフィン共重合体は長鎖分岐を有している。それを配合した樹脂組成物は成形性に優れている従って、最終成形体の成形方法と物性とを考慮して、それに適したgη*値を有するエチレン・α−オレフィン共重合体を選択することが望ましい。
なお、gη*値は、エチレン・α−オレフィン共重合体を135℃、デカリン溶媒中で測定した極限粘度 [η](dl/g)と、光散乱法によって測定されたそれと同じ重量平均分子量を持ち、かつエチレン含量が70モル%の直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体の極限粘度 [η]blank(dl/g)との比で表される値である。
gη* = [η] /[η]blank
このような性状をもったエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)又は(A2)は、エチレンとα−オレフィンとを、遷移金属化合物、有機アルミニウム化合物および/またはオキシアルミニウム化合物、必要に応じて第三成分や担体とを組み合わせた触媒成分の存在下で、通常の重合条件のもとで共重合し製造することができる。例えば、バナジウムやチタンのハロゲン化物やアルコキシド化合物と有機アルミニウム化合物との組み合わせや、シクロペンタジエニル環を有するジルコニウム化合物とアルミノオキサンとの組み合わせで代表される、チーグラー触媒やメタロセン触媒を使用することによって、エチレンとα−オレフィンとの共重合から得ることができる。共重合体の製造は、回分式でも連続式でも行うことができる。
エチレン・α−オレフィン共重合体混合物(A)は、通常前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)と、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A2)を押出機やバンバリーミキサーで混練するなど、機械的に混合する方法が用いられるが、エチレン・α−オレフィン共重合体を製造するときに、多段重合を行い、エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)および(A2)をそれぞれの段階で製造して重合工程でエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)とエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)を混合するいわゆる化学的混合により製造することも可能である。
本発明においては、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)および/または前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A2)は、その全部または一部が前記した極性モノマーでグラフト変性されていてもよい。前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)および/または前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A2)がグラフト変性されていることによって、結果としてグラフト変性されたエチレン・α−オレフィン共重合体(A)を得る態様も本発明の好ましい実施態様である。
本発明のフィラー充填オレフィン系軟質樹脂組成物は、比重が1.5〜2.5であり、引張り延びが100〜1500%であり、JIS A硬度が80〜90であり、180度折り曲げ試験で実質的に折れも白化も認められないフィラー充填オレフィン系軟質樹脂組成物であることが好ましい。
無機フィラー
無機充填材は特に限定はされないが、例えば、炭酸エステル、鉄、鉄酸化物、三酸化アンチモン、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、塩基性炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、なとが挙げられる.これら無機フィラーの中でも、比重が2.5以上のフィラーが好ましい。具体的には、炭酸カルシウウム、硫酸バリウムなどが好ましい。
なお、さらに柔軟性が要求される場合には、軟化剤を加えることもできる。
無機フィラーは、エチレン・α−オレフィン共重合体混合物(A)15〜50重量部に対して、50〜85重量部、好ましくは60〜80重量部の割合で用いられる。
本発明の無機フィラーと、エチレン・α−オレフィン共重合体混合物(A)をヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ニーダーなど公知の混合分散機で溶融混合してフィラー充填エチレン・α−オレフィン共重合体組成物とすることができる。
エチレン・α−オレフィン共重合体混合物(A)を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)および(A2)は、それぞれ別々に無機フィラーと混合することもできる。この場合エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)および(A2)は、別途混合したときにエチレン・α−オレフィン共重合体混合物(A)が、上記した好ましいMFRの範囲に入るような量割合で用いればよい。
得られたエチレン・α−オレフィン共重合体混合物(A)は、カレンダーロール法やTダイ押出し法などのシート成形法でシート状に成形される。本発明の遮音材は、シートの形状で遮音シートとして使用することができる。
さらに、所望形状の遮音材とするときは、得られたシートを所定の形状の成形体とする金型を用いて圧縮成形することができる。
また、本発明の遮音材は単体で用いてもよいが、不織布、発泡体、カーペットなどとの積層体として用いてもよい。
以下本発明を実施例に基づき詳細に説明する。ただし、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものではない。
なお、本発明において、シートの物性は、下記の方法によって測定した。
(1)引張り特性
JIS K 6301に従い、引張り速度200mm/分の条件で引張り試験を行い、引張り強度および引張り伸びを求めた。
(2)硬度
JIS K 6301に従い、JIS A硬度を求めた。
(3)折り曲げ性
軟性樹脂組成物のシートを180度折り曲げ、シートに折れ、ひびが生じる状況を次の5段階により評価した。
5:折れもひびもまったく生じなかった。
4:わずかにひびが生じたが、折れはまったくなかった。
3:ひびは入ったが、折れなかった。
2:ひびが入り、しばらくすると折れてしまった。
1:折り曲げとともに折れてしまった。
(4)白化性
軟質樹脂組成物のシートを180度折り曲げ、折り曲げ部の白化の度合いを次の3段階によって評価した。
3:まったく白化しなかった。
2:わずかに白化した。
1:完全に白化した。
(実施例1〜6)
実施例で使用したエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレン−ブテン−1共重合体でA−1〜A−5であって、その物性は表1のとおりである。
Figure 2011252168
表1に記載されたエチレン−ブテン−1共重合体から選択した共重合体を、表2に記載の割合でバンバリーミキサーを用いて溶融混合しエチレン・α−オレフィン共重合体混合物を得た。得られた混合物のMFRを表2に記載した。
続いて、炭酸カルシウムおよびカーボンブラックを樹脂分/CaCO3/カーボンブラックが重量部割合で28/72/0.5となるよう添加し、引き続き溶融混合し、カレンダーロールを用いてフィラー充填シートを得た。
得られたシートの物性を表2に示した。
(比較例1)
実施例1において、共重合体(A−1)50重量部および共重合体(A−3)に代えて、共重合体(A−1)100重量部を使用するほかは同様にして、フィラー充填シートを得た。得られたシートの物性を表2に示した。
Figure 2011252168
(実施例7)
無水マレイン酸変性エチレン・ブテン−1共重合体の調製
密度が0.86g/cm3で、MFR(190℃)が0.5g/10分であるエチレン・ブテン−1共重合体(エチレン含量:81mol%)100部に対して、無水マレイン酸1.0部、パーオキサイド(PH25B)0.002部を添加し充分に混合した。選られた混合物を押出機中で、250℃で加熱混練し、無水マレイン酸変性エチレン・ブテン−1共重合体を得た。得られた無水マレイン酸変性エチレン・ブテン−1共重合体のMFRは0.9g/10分であった。
エチレン・α−オレフィン共重合体混合物の調製
前記表1に記載されたエチレン−ブテン−1共重合体(A−2)75部と、上記で得られた無水マレイン酸変性エチレン・ブテン−1共重合体25部を、バンバリーミキサーを用いて溶融混合しを得た。得られた混合物のMFRを表3に記載した。
成形シートの調製
得られたエチレン・α−オレフィン共重合体混合物28部に、無機フィラーとして炭酸カルシウム78部、着色剤としてカーボンブラック0.5部を加え、ロールによりロール表面温度120℃で10分間混練した後、シート状に成形した。ついで得られたシートをプレス金型に充填し、150kg/cm2、200℃、10分の条件で加圧、加熱しを得た。
得られた成形シートについて、比重、引張り特性および硬度を上記方法に従って測定し、また折り曲げ性および白化性を上記方法に従って評価した。その結果を表3に示した。
(実施例8)
実施例7において、エチレン−ブテン−1共重合体(A−2)に代えて、前記表1に記載されたエチレン−ブテン−1共重合体(A−4)を使用するほかは全く同様にして成形シートを得た。得られた成形シートについて、比重、引張り特性および硬度を上記方法に従って測定し、また折り曲げ性および白化性を上記方法に従って評価した。その結果を表3に示した。
Figure 2011252168
本発明によれば、遮音性にすぐれ、かつ上記成形性にすぐれた遮音材用組成物が提供される。この組成物は、とくに屈曲部で折れ難く、白化し難い性質を持つ遮音材用組成物である。また本発明によれば、遮音性にすぐれ、かつ上記成形性にすぐれた遮音材用組成物から得られる遮音材が提供される。

Claims (5)

  1. 比重が1.5〜2.5であり、引張り延びが100〜1500%であり、JIS A硬度が80〜90であり、180度折り曲げ試験で実質的に折れも白化も認められないフィラー充填オレフィン系軟質樹脂組成物。
  2. 密度が0.85〜0.89g/cm3であって、MFRが異なる少なくとも2種のエチレン・α−オレフィン共重合体の混合物で、混合物のMFRが0.5〜10g/10分であるエチレン・α−オレフィン共重合体混合物(A)15〜50重量部と、無機フィラー(B)50〜85重量部からなるフィラー充填オレフィン系軟質樹脂組成物。
  3. 密度が0.85〜0.89g/cm3、MFRが0.1〜2g/10分であるエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)5〜95重量部と、密度が0.85〜0.89g/cm3、MFRが2超〜100g/10分であるエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)5〜95重量部とからなる混合物で、混合物のMFRが0.5〜10g/10分であるエチレン・α−オレフィン共重合体混合物(A)15〜50重量部と、無機フィラー(B)50〜85重量部からなることを特徴とする請求項2に記載のフィラー充填オレフィン系軟質樹脂組成物。
  4. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体混合物(A)が、グラフト変性されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含むことを特徴とする請求項2または3に記載のフィラー充填オレフィン系軟質樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィラー充填オレフィン系軟質樹脂組成物よりなる遮音材。
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